JP5151791B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、乗用車やトラックなどの車両の操舵系には、ステアリングホイール1が設けられ、ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト2に連結されている。そして、ステアリングシャフト2は、ユニバーサルジョイント4A、4Bを介してピニオンラック機構5に結合され、ピニオンラック機構5はタイロッド6に結合されている。
電流制御部12bは、トルク指令値Tdに対応した電流指令値Idに近づくように電動モータ8に流れる電流Irを制御することができる。
ここで、コントロールユニット12は、トルク制御部12aおよび電流制御部12bによる処理によって開始タイミングが遅れるのを防止しながら、故障診断手段12cによるコントロールユニット12の故障診断を所定の周期で実行する。そして、コントロールユニット12は、故障診断手段12cによるコントロールユニット12の故障診断の合間に、トルク制御部12aおよび電流制御部12bによる処理を実行する。
なお、図1の実施形態では、電動モータ8によりアシストを行う位置として、コラムアシスト型を例にとって説明したが、ピニオンアシスト型またはラックアシスト型などに適用するようにしてもよい。
図2において、コントロールユニット12には、プログラムに従って演算処理を行うマイクロコントロールユニット21、イグニションキー10からのイグニション信号に基づいてバッテリ11の電源を供給する電源リレー41、電動モータ8を駆動するモータ駆動回路42、電動モータ8に流れる電流を検出する電流検出回路43およびモータ駆動回路42の温度を検出する温度センサ45が設けられている。なお、モータ駆動回路42としては、PWM(Pulse Width Modulation)制御に基づいて直流を交流に変換するインバータを用いることができる。
なお、CPU22は、RAM24をワークエリアとして使用しながらROM23に格納されたプログラムに従って、図1のトルク制御部12aのトルク指令生成処理22a、電流制御部12bの電流制御処理22b、故障診断手段12cの故障診断処理22cおよび優先度設定手段12dの優先度設定処理22dを実行することができる。
また、CPU22は、トルク指令生成処理22aおよび電流制御処理22bの優先度よりも故障診断処理22cの優先度を高くし、マイクロコントロールユニット21などの故障診断処理22cを所定の周期で実行しながら、トルク指令生成処理22aおよび電流制御処理22bにて故障診断処理22cが中断されないようにして、トルク指令生成処理22aおよび電流制御処理22bを故障診断処理22cの合間に実行する。
例えば、RAM24に故障が発生すると、RAM24に記憶されたトルク指令値Tdが誤って読み出され、トルク指令値Tdが過大になることがある。そして、トルク指令値Tdが過大になると、電動モータ8から大きな回転力が発生し、ステアリングホイール1による操舵の自由が利かなくなる可能性がある。また、RAM24の故障診断には、マイクロコントロールユニット47が補助的に使用されることがあることから、通信インターフェース25に故障が発生すると、RAM24の故障診断ができなくなり、RAM24の故障を検出できなくなる恐れが発生する。
図3において、コントロールユニット12には、トルク制御部12a、電流制御部12b、故障診断手段12c、優先度設定手段12dおよびトルク補償部12eが設けられている。なお、優先度設定手段12dによる優先度の設定に関しては、トルク補償部12eは、トルク制御部12aに含めることができる。
ここで、モータ角速度推定部121は、電動モータ8の回転角θに基づいて電動モータ8の角速度ωを推定することができる。モータ角加速度推定部122は、電動モータ8の角速度ωに基づいて電動モータ8の角加速度αを推定することができる。ヨーレート収れん性制御部123は、電動モータ8の角速度ωに基づいて車両のヨーレートを推定し、ステアリングホイール1が振れ回る動作に制動をかけることで、車両のヨーの収れん性を改善することができる。モータ慣性補償部124は、電動モータ8の角加速度αに基づいて電動モータ8の慣性力を推定し、電動モータ8の慣性力を補償することで、制御の応答性を高めることができる。SAT推定部125は、操舵トルクTr、アシストトルクTm、電動モータ8の角速度ωおよび角加速度αに基づいてセルフアライニングトルクTsを推定し、そのセルフアライニングトルクTsを反力としてアシストトルクTmを補償することで、ハンドル操作に路面情報を反映させることができる。減算器126は、モータ慣性補償部124からの出力TiからセルフアライニングトルクTsを減算することができる。加算器127は、ヨーレート収れん性制御部123からの出力Tyに加算器127からの出力を加算することができる。加算器128は、位相補償部103にて位相補償されたアシストトルクTmにトルク微分器102からの出力と加算器127からの出力とを加算することができる。
そして、アシスト量演算部101において、操舵トルクTrおよび車速Velに基づいてアシストトルクTmが算出され、位相補償部103にて位相補償された後、加算器128に出力される。また、操舵トルクTrがトルク微分器102に入力されると、操舵トルクTrの微分値が算出され、加算器128に出力される。
そして、電動モータ8の角速度ωがヨーレート収れん性制御部123に入力されると、車両のヨーレートが推定され、車両のヨーを収れんさせるヨーレート補償値Tyがヨーレート収れん性制御部123から加算器127に出力される。
さらに、操舵トルクTr、アシストトルクTm、電動モータ8の角速度ωおよび角加速度αがSAT推定部125に入力されると、セルフアライニングトルクTsが推定され、SAT推定部125から減算器126に出力される。
J・α+Fr・sign(ω)+Ts=Tm+Tr ・・・(1)
この運動方程式において、ドライバがハンドルを操舵すると、操舵トルクTrが発生し、その操舵トルクTrに従って電動モータ8がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪が転舵され、セルフアライニングトルクTsが反力として発生する。その際、電動モータ8の慣性Jおよび摩擦(静摩擦)Frによってハンドル操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、(1)式の運動方程式が得られる。
ここで、(1)式の初期値を0としてラプラス変換し、Tsについて解くと、以下の(2)式に示すように、セルフアライニングトルクTsを求めることができる。
Ts(s)=Tm(s)+Tr(s)−J・α(s)−Fr・sign(ω(s))
・・・(2)
そして、減算器131において、電流指令値Idと電流検出値Imとの偏差が算出され、電流制御器132に出力される。そして、電流制御器132において、電流指令値Idと電流検出値Imとの偏差が0に近づくように電流制御値が算出され、デューティ演算器133に出力される。そして、デューティ演算器133において、電流制御器132から出力された電流制御値に基づいてパルス信号のデューティ比が演算され、インバータ134に出力される。そして、インバータ134は、デューティ演算器133にて演算されたデューティ比に基づいてPWM制御された電流Irを生成し、電動モータ8に出力することで、トルク指令値Tdに対応したトルクを電動モータ8に発生させる。
図4において、図2の優先度設定処理22dでは、CPU22にて実行される優先度は、故障診断処理22c、電流制御処理22b、トルク指令生成処理22a、その他の処理の順序に設定される。なお、その他の処理としては、通信インターフェース25を介した通信処理、温度センサ45からのデータの取り込み処理、フェールセーフ処理などを挙げることができる。また、EEPROM28の故障診断や温度センサ45の故障診断などは、その他の処理に含めるようにしてもよい。
なお、故障診断処理22cは、所定の周期T1で実行することができ、例えば、周期T1は数msecに設定することができる。また、電流制御処理22bは、周期T1内の故障診断処理22cの合間に所定の周期T2で実行することができ、例えば、周期T2は数百μsecに設定することができる。
ここで、故障診断処理22cの実行中にその他の処理の割り込み要求があった場合においても、その割り込み要求は直ぐには受け付けられることはなく、時刻t7において電流制御処理22bが所定のサイクル分だけ終了すると、その他の処理が実行される。そして、時刻t8においてその他の処理の実行が終了すると、トルク指令生成処理22aが実行される。
そして、時刻t17において前回の故障診断処理22cの実行から周期T1だけ経過すると、故障診断処理22cの実行が再び開始される。
図5において、図2のCPU22は、RAM24の故障診断処理が起動されると、RAM24の内容をレジスタ31aに格納する(ステップS1)。次に、反転部30は、レジスタ31aの内容を反転してレジスタ31bに格納する(ステップS2)。次に、CPU22は、レジスタ31bの内容をRAM24に格納した後(ステップS3)、そのRAM24の内容をレジスタ31cに格納する(ステップS4)。
一方、レジスタ31bの内容とレジスタ31cの内容とが一致している場合、CPU22は、レジスタ31aの内容をRAM24に格納した後(ステップS6)、そのRAM24の内容をレジスタ31cに格納する(ステップS7)。
図6において、この電動パワーステアリング装置には、図3の構成に加え補完演算部141が設けられ、電流指令部111の後段に接続されている。ここで、補完演算部141は、図2の故障診断処理22cに遅延が発生した場合、電流指令部111から出力された過去の電流指令値Idを今回の電流指令値Idとして減算器131に入力することができる。なお、補完演算部141の処理は、図2のCPU22の演算処理によって実現することができる。
そして、補完演算部141は、故障診断処理22cに遅延が発生してない場合には、電流指令部111から出力された今回の電流指令値Idを減算器131に入力し、故障診断処理22cに遅延が発生している場合には、電流指令部111から出力された過去の電流指令値Idを減算器131に入力する。
なお、過去の電流指令値Idとしては、前回の電流指令値Idまたは前々回の電流指令値Idなどを用いることができる。
図7において、補完演算部141aには、前回の電流指令値Idを保持する遅延器201および遅延検出信号SLに基づいて前回の電流指令値Idまたは今回の電流指令値Idのいずれか一方を選択する切り替え器202が設けられている。
一方、遅延検出信号SLが切り替え器202に入力されない場合、電流指令部111から出力された電流指令値Idが切り替え器202にて選択され、今回の電流指令値Id´として出力される。
図8において、補完演算部141bには、前回の電流指令値Idを保持する遅延器211、前々回の電流指令値Idを保持する遅延器212、3回前の電流指令値Idを保持する遅延器213、遅延器211の出力を2倍する乗算器214、加算器216の出力を1/4倍する乗算器217、遅延器212の出力と遅延器213の出力とを加算する加算器215、乗算器214の出力と加算器215の出力を加算する加算器216および遅延検出信号SLに基づいて電流指令部111からの出力または乗算器217からの出力のいずれか一方を選択する切り替え器218が設けられている。
そして、前々回の電流指令値Idと3回前の電流指令値Idとは加算器215にて加算された後、加算器216に出力されるとともに、前回の電流指令値Idは乗算器214にて2倍された後、加算器216に出力される。そして、加算器216において、前々回の電流指令値Idと3回前の電流指令値Idとの加算結果に前回の電流指令値Idを2倍した値が加算された後、乗算器217にて1/4倍される。
一方、遅延検出信号SLが切り替え器218に入力されない場合、電流指令部111から出力された電流指令値Idが切り替え器218にて選択され、今回の電流指令値Id´として出力される。
2 ステアリングシャフト
3 減速ギア
4A、4B ユニバーサルジョイント
5 ピニオンラック機構
6 タイロッド
7 トルクセンサ
8 電動モータ
9 車速センサ
10 イグニションキー
11 バッテリ
12 コントロールユニット
12a トルク制御部
12b、52b 電流制御部
12c 故障診断手段
12d 優先度設定手段
12e トルク補償部
21、47 マイクロコントロールユニット
22 CPU
22a トルク指令生成処理
22b 電流制御処理
22c 故障診断処理
22d 優先度設定処理
23 ROM
24 RAM
25 通信インターフェース
26 A/D変換器
27 PWM制御部
28 EEPROM
29 比較判定部
30 反転部
31a〜31c レジスタ
32 バス
41 電源リレー
42 モータ駆動回路
43 電流検出回路
45 温度センサ
46 位置センサ
101 アシスト量演算部
102 トルク微分器
103 位相補償部
111 電流指令部
121 モータ角速度推定部
122 モータ角加速度推定部
123 ヨーレート収れん性制御部
124 モータ慣性補償部
125 SAT推定部
126、131 減算器
127、128、215、216 加算器
132 電流制御器
133 デューティ演算器
134 インバータ
135 電流センサ
141、141a、141b 補完演算部
201、211〜213 遅延器
202、218 切り替え器
214、217 乗算器
Claims (5)
- 操舵力を補助する電動モータと、
操舵トルクおよび車速に基づいてトルク指令値を演算するトルク制御部と、
前記トルク指令値に対応した電流指令値に近づくように前記電動モータに流れる電流を制御する電流制御部と、
少なくとも前記トルク制御部および前記電流制御部の故障診断処理を実行する故障診断手段と、
前記電流制御部にて実行される電流制御処理の優先度よりも高くなるように、前記故障診断手段にて実行される故障診断処理の優先度を設定する優先度設定手段とを備え、
前記優先度設定手段は、
前記電流制御部にて実行される電流制御処理の優先度よりも高くなるように、前記故障診断手段にて実行される故障診断処理の優先度を設定した上で、前記トルク制御部にて実行されるトルク指令値演算処理の優先度よりも高くなるように、前記電流制御部にて実行される電流制御処理の優先度を設定すること
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記優先度設定手段は、前記故障診断処理を割り込み禁止処理とすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記故障診断処理は、前記トルク指令値の演算および前記電流制御に使用されるマイクロコントロールユニットの故障診断であることを特徴とする請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記故障診断処理は、前記トルク指令値の演算および前記電流制御に使用されるメモリの書き込み動作および読み出し動作に異常がないかどうかを診断することを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記故障診断処理に遅延が発生した場合、過去のトルク指令値または電流指令値を今回のトルク指令値または電流指令値として前記電流制御部に入力する補完演算部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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