JP6981354B2 - 操舵システム - Google Patents

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Description

本発明は、運転者による操作部材の操作に応じた車輪の転舵を転舵装置によって実現する操舵システムに関する。
車両用操舵システムの分野において、例えば、下記特許文献に記載されているように、1つの制御装置に、2つの処理を、詳しく言えば、転舵トルクを制御するための処理(主処理の一種である)と、当該制御装置の故障診断処理(補助処理の一種である)とを、故障診断処理の優先度を高く設定して実行させるように構成された操舵システムが検討されている。
特開2010−36806号公報
近年、制御装置による制御の下、操作部材の操作に応じた車輪の転舵を転舵装置に実行させる操舵システム、すなわち、いわゆるステアバイワイヤ式の操舵システムの開発も盛んであり、そのような操舵システムにおいては、操作部材の操作に応じた車輪の転舵を転舵装置に実行させるための処理(以下、「転舵処理」という場合がある)の制御装置における負担は比較的大きい。したがって、制御装置が、その転舵処理を含む主処理と、当該操舵システムの作動に関連した補助的な処理である補助処理との両方を実行する場合、特に、制御装置の負担が大きくなることが問題となる。その問題は、上記特許文献に記載されているように、補助処理の優先度を高く設定しても解消しない。また、その問題を、例えば、高性能な制御装置を用いることによって解消しようとすると、当該操舵システムのコストが高くなり、そのような制御装置を装備した操舵システムは、決して実用的なものとはならないのである。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用的なステアバイワイヤ式の操舵システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の操舵システムは、当該操舵システムの制御装置が、操作部材の操作に応じた車輪の転舵を前記転舵装置に実行させる処理を含む主処理と、当該操舵システムの作動に関連した補助的な処理である補助処理とを、並行して実行可能とされ、かつ、主処理の実行比率および補助処理の実行比率を変更可能とされたことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、状況に応じて、主処理,補助処理の制御装置における実行比率を変更することで、制御装置の処理負担が過大となることが防止できるため、実用的な操舵システムを構築できる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)車両に装備される操舵システムであって、
運転者によって操作される操作部材と、車輪を転舵させる転舵装置と、当該操舵システムの制御を司る制御装置とを備え、
前記制御装置が、
前記操作部材の操作に応じた車輪の転舵を前記転舵装置に実行させる処理を含む主処理と、当該操舵システムの作動に関連した補助的な処理である補助処理とを、並行して実行可能とされ、かつ、前記主処理の実行比率および前記補助処理の実行比率を変更可能に構成された操舵システム。
本態様において、「制御装置」は、プロセッサ,RAM,ROM等を有するコンピュータを中心的な構成要素とする一般的な装置である。制御装置における「主処理の実行比率」,「補助処理の実行比率」とは、単位時間当たりにおいて制御装置が実行する全ての処理の処理量を「全体処理量」とした場合に、主処理,補助処理のそれぞれの処理量の全体処理量に占める割合と考えることができ、それぞれの処理の実行割合、それぞれの処理の制御装置における処理負担,処理負荷等と呼ぶこともできる。後に説明するように、種々の状況に応じて、主処理,補助処理の実行比率を変更することで、制御装置の処理の負担が過大となることを防止することができる。詳しく言えば、例えば、主処理を精度よく行う必要がある場合には、主処理の実行比率を増加させ、逆に、主処理を簡便に行ってもよい場合には、主処理の実行比率を減少させればよく、また、補助処理をしっかりと行うことが有意義な場合には、補助処理の実行比率を高め、補助処理を行うメリットが小さい場合には、補助処理の実行比率を低めるようにすればよい。
一般的に、制御装置は主処理と補助処理とを時分割にて行うが、制御装置全体における処理量である全体処理量には上限があり、その全体処理量を有効に活用するという観点からすれば、制御装置は、常時、上限に近い全体処理量となる処理を実行することが望ましい。全体処理量の上限に近い処理を制御装置が実行する場合、主処理の実行比率の増加は、補助処理の実行比率の減少となり、補助処理の実行比率の増加は、主処理の実行比率の減少となる。
制御装置が、それぞれがコンピュータを有する複数の制御ユニットを含んで構成されている場合、それら複数の制御ユニットの各々が主処理,補助処理の実行比率を変更するようにしてもよく、また、それら複数の制御ユニットの一部となる1以上の制御ユニットだけが主処理,補助処理の実行比率を変更するようにしてもよい。いずれにおいても、制御装置全体における主処理,補助処理の実行比率が変更される。また、主処理,補助処理の実行比率は、制御装置全体における主処理,補助処理の実行比率であるか、個々の制御ユニットの主処理,補助処理の実行比率であるかに拘わらず、0となる場合も含まれる。つまり、制御装置全体において、或いは、個々の制御ユニットにおいて、主処理,補助処理のいずれかが実行されないように、主処理,補助処理の実行比率を変更してもよいのである。
主処理,補助処理の実行比率を変更する場合、例えば、それぞれの処理の内容を変更することでそれぞれの処理を実行する時間を変更してもよく、また、それぞれの処理の内容を変更することなく、それぞれの処理の単位時間当たりの実行回数を変更してもよい。
主処理に含まれる「操作部材の操作に応じた車輪の転舵を転舵装置に実行させる処理(以下、「転舵処理」という場合がある)」は、ステアバイワイヤ式操舵システムにおける基本的な処理である。例えば、車輪の転舵角が、操作部材であるステアリングホイールの操作角に対応する角度となるように、転舵装置を制御するための制御処理である。ステアバイワイヤ式操舵システムでは、運転者の操舵フィーリングを適切なものとするために、操作部材に操作反力を付与するための反力アクチュエータを備える場合が多く、主処理は、上記転舵処理に加え、反力アクチュエータが発生させる操作反力を制御するための処理(以下、「反力処理」という場合がある)を始め、転舵処理に付随する処理を含むものであってもよい。後に説明するように、主処理の実行比率は、例えば、車輪の転舵に高い制御性(精度の良好なこと,応答性が良好なこと等を含む概念であり、後述する)が要求される状況においては、高くすべきであり、それ程高い制御性を要求されない状況下では、低くしても構わないと考えることができる。
操舵システムの作動に関連した補助的な処理である補助処理は、操舵システムの作動自体に直接的には関係しない処理であり、その種類が限定されるものではないが、例えば、当該操舵システムの健全性を確認するための処理等が含まれる。具体的には、後に説明するように、当該操舵システムが故障傾向にあることを認知するための故障傾向認知処理,車輪の転舵が適切に行い得る状態に当該操舵システムがあるか否かといったこと等を判断するシステム適正性判断処理等が含まれる。補助処理の実行比率は、例えば、主処理によって行われる制御の制御性を阻害しない状況において高くすることが望ましく、また、当該補助処理が有効である状況下においてのみ、高くすることも可能である。
(2)前記補助処理が、当該操舵システムが故障傾向にあることを認知するための処理である故障傾向認知処理を含む( 1)項に記載の操舵システム。
本態様は、補助処理の種類に関する限定を加えた態様である。「故障傾向認知処理」には、当該操舵システムにおいて、電気的失陥等が今将に発生していることを検知する緊急的な処理を含ませることができるが、補助処理の実行比率を変更することを前提とするならば、このままの作動を続ければ、ある程度の時間の経過によって当該操舵システムが故障に至る可能性が高いことを認知するための処理が中心的となる処理であることが望ましい。例えば、転舵装置,上記反力アクチュエータ等を構成する構成部品の疲労の状態等、喫緊には問題とならない状態を認知するような処理等を、故障傾向認知処理とすることが望ましい。なお、運転者が操作部材に加える操作力に依らずに、転舵装置が有する駆動源の力によって車輪を転舵するステアバイワイヤ式の操舵システムにおいては、特に、転舵装置の故障傾向を認知することが有意義である。
(3)前記故障傾向認知処理が、当該操舵システムの故障に繋がるような外部からの力の作用の累積に基づいて、当該操舵システムが故障傾向にあると判断する処理を含む( 2)項に記載の操舵システム。
本態様は、故障傾向認知処理が、上述の構成部品の疲労の状態を認知するための処理である場合に、有効な態様である。操舵システムの故障に繋がるような外部からの力を「過大入力」と呼べば、過大入力が何度も繰り返し作用することで、当該操舵システムを構成する部品は疲労によって損傷を受ける。過大入力の繰り返しによる疲労の蓄積によって、当該操舵システムが故障となる可能性が高くなる。そのような現象に基づき、本態様では、例えば、過大入力の累積に基づいて、当該操舵システムが故障する蓋然性が高まったことが認知される。
(4)前記補助処理が、車輪の転舵が適正に行われる状態に当該操舵システムがあるか否かを判断するシステム適正性判断処理を含む( 1)項ないし( 3)項のいずれか1つに記載の操舵システム。
故障とは呼べないまでも、何らかの原因で、操作部材の操作に応じた車輪の転舵が実行されなくなることもあり得る。具体的に言えば、例えば、操作部材の操作量と車輪の転舵量との間に、ある程度を超えたズレが生じるような事象が発生することも予測され、また、冗長系として同じ機能の複数のセンサが設けられている場合において、それらのセンサの各々の値がある程度を超えて食い違っているような事象が発生することも予測される。。本態様は、平たく言えば、そのような事象の有無を判断する処理を、補助処理として実行する態様である。なお、それらの事象は、当該操舵システムに既に故障が発生しているときの事象と擬制することができるため、システム適正性判断処理は、システム故障判断処理の一種と考えることもできる。
(5)前記制御装置が、当該操舵システムの作動状態,車両周辺の状態,車両の走行状態の少なくとも1つに基づいて前記主処理の実行比率および前記補助処理の実行比率を変更するように構成された( 1)項ないし( 4)項のいずれか1つに記載の操舵システム。
本態様は、簡単に言えば、どのような状況において、主処理の実行比率を高め若しくは低めるか、逆に言えば、どのような状況において、補助処理の実行比率を低めるか若しくは高めるかに関して、その状況を判断するためのステータスを明確にした態様である。「操舵システムの作動状態」は、例えば、車輪がどの程度の転舵量で転舵されているか、車輪を転舵するために転舵装置がどのような程度の力を発揮しているか等を示すものと考えることができる。また、「車両周辺の状態」は、例えば、車両が走行している路面が悪路であるか否か、車両の周囲に縁石等の障害物が存在しているか否か等を示すものと考えることができる。さらに、「車両の走行状態」は、例えば、車両がどのような走行速度で走行しているか、横加速度,ヨーレート等で表されるところの車両がどの程度の激しさで旋回しているか(車両に生じている横加速度,ヨーレート等がどの程度であるか)等を示すものと考えることができる。そのようなステータスに基づくことにより、効果的に、主処理,補助処理の実行比率を変更することが可能である。
(6)前記制御装置が、車両の走行速度が閾速度以上である場合に、前記主処理の実行比率を高めるように構成された( 1)項ないし( 5)項のいずれか1つに記載の操舵システム。
本態様は、車両の走行状態に基づいて主処理の実行比率を高める態様の一種と考えることができる。車両の走行速度が高い場合は、正確な転舵、つまり、精度の高い転舵が求められる。また、走行速度が高い場合には、いきなり転舵量が大きくなるような操舵操作は考えられず、また、車両が走行する路面も比較的良好であると考えられるため、転舵装置に大きな外部入力が作用する可能性も低い。そのことに鑑みれば、例えば故障傾向認知処理を含むような補助処理を行うことの有効性は低い。そのような観点から、本態様では、車輪の転舵についての制御性を向上させるために、主処理の実行比率を高めるようにされる。
(7)前記制御装置が、車両が直進している場合に、前記主処理の実行比率を高めるように構成された( 1)項ないし( 6)項のいずれかに記載の操舵システム。
本態様は、車両の走行状態、若しくは、操舵システムの作動状態に基づいて主処理の実行比率を高める態様の一種と考えることができる。車両が直進している状態において操舵操作を開始することを考慮すれば、車輪の転舵に対して、比較的高い応答性が求められる。一方で、車両が直進しているときには、車輪が転舵されていないため、例えば故障傾向認知処理を含むような補助処理を行うことの有効性は低い。そのような観点から、本態様では、車両が直進しているときに、主処理の実行比率を高めるようにされている。
(8)前記補助処理が、当該操舵システムが故障傾向にあることを認知するための処理である故障傾向認知処理を含み、
前記制御装置が、当該操舵システムの故障に繋がるような力が外部から作用する可能性があると予測される状況下において、前記補助処理の実行比率を高めるように構成された( 1)項ないし( 7)項のいずれか1つに記載の操舵システム。
先に説明したように、過大入力が繰り返し転舵装置等を始めとする当該操舵システムの構成要素に作用することは、相当の期間を経て、当該操舵システムが故障する蓋然性が高い。本態様では、そのような観点から、操舵システムの故障に繋がるような力が外部から作用する可能性があると予測される状況(以下、「過大入力可能性状況」という場合がある)において、故障傾向認知処理を含む補助処理の実行比率が高められる。
(9)前記制御装置が、車輪の転舵について高い制御性が必要とされる状況である要高制御性状況の下において、前記主処理の実行比率を高めるように構成された( 1)項ないし( 8)項のいずれか1つに記載の操舵システム。
本項にいう「制御性」とは、車輪の転舵の精度の良好性(精度性)、転舵の応答性等を含む概念であり、「制御性が高い」とは、具体的には、操舵操作の量に対応する車輪の転舵量が正確であること、操舵操作に対する車輪の転舵の遅れが小さいこと等を意味する。本態様によれば、高い制御性が求められる要高制御性状況下で、転舵処理を中心的な処理として含む主処理の実行比率を高めることが可能となる。
なお、先の態様との関連について言えば、例えば、過大入力可能性状況であり、かつ、要高制御性状況である場合も考えられる。その際、主処理の実行比率を高めるか、補助処理の実行比率を高めるかは、当該操舵システムが目指す特性,当該操舵システムの構造等に鑑みて、予め設定しておけばよい。なお、例えば、過大入力可能性状況であり、かつ、要高制御性状況である場合に主処理の実行比率を高めるようにすれば、本態様は、要高制御性状況下にないことを前提として、補助処理の実行比率を高める態様と考えることができる。
(10)前記制御装置が、
(A)第1モードにおいても、(B)前記主処理の実行比率が前記第1モードにおけるよりも低く、かつ、前記補助処理の実行比率が前記第1モードにおけるよりも高く設定された第2モードにおいても、作動可能とされ、
自身の作動を、前記第1モードでの作動と前記第2モードでの作動との間で切り換えるように構成された( 1)項ないし( 9)項のいずれか1つに記載の操舵システム。
主処理,補助処理の実行比率は、連続的に変更されるように設定してもよいが、複数の特定の値に設定することもできる。そして、本態様のように、主処理,補助処理のそれぞれに、互いに値の異なる2つの設定実行比率を設定し、制御装置の作動モードとして、主処理の実行比率が高い方の設定実行比率となり、かつ、補助処理の実行比率が低い方の設定実行比率となるように第1モードを設定するとともに、主処理の実行比率が低い方の設定実行比率となり、かつ、補助処理の実行比率が高い方の設定実行比率となるように第2モードを設定することもできる。そのように第1モード,第2モードを設定して、それらのモードの間で制御装置の作動を切り換えることで、状況に応じて、簡便に、主処理,補助処理の実行比率を変更することが可能となる。
(11)前記制御装置が、前記主処理の内容と前記補助処理の内容との少なくとも一方を変更することで、前記主処理の実行比率および前記補助処理の実行比率を変更するように構成された( 1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の操舵システム。
本態様は、例えば、主処理,補助処理の少なくともいずれかの処理内容を、比較的充実化された内容と、比較的簡便な内容との間で変更することによって、主処理,補助処理の実行比率を変更する態様と考えることができる。繰り返し実行されるある1つの処理において制御装置がその1つの処理に費やす時間を、処理サイクル時間と呼べば、本態様によれば、例えば、いずれかの処理の処理サイクル時間を変更することで、制御装置が実行すべき各種の処理を纏めて実行する場合におけるそれらの処理全体の繰り返しの時間ピッチ(以下、「処理ピッチ」という場合がある)を変更することなく、効果的に、主処理,補助処理の実行比率を変更することが可能となる。なお、本態様には該当しないが、主処理,補助処理の各々の内容、すなわち、処理サイクル時間を変更することなく、処理、および、処理ピッチ内における主処理,補助処理の実行回数を変更して、主処理,補助処理の実行回数を変更するように構成することもできる。
(12)前記制御装置が、
前記主処理の少なくとも一部として、複数のセンサによる検出に基づいて前記転舵装置に車輪の転舵を行わせる第1転舵処理と、前記複数のセンサのうちの一部による検出に基づいて前記転舵装置に車輪の転舵を行わせる第2転舵処理とを、選択的に実行するように構成され、
前記主処理の実行比率を高める場合に、前記第1転舵処理を実行し、前記主処理の実行比率を低める場合に、前記第2転舵処理を実行するように構成された(11)項に記載の操舵システム。
本態様は、転舵処理を含む主処理の処理内容を変更することによって、その主処理の実行比率を変更する態様と考えることができる。後に詳しく説明するが、例えば、検出値を換算等することによって互いに代用可能な2つのセンサを使用して転舵制御を行えば、制御装置が制御処理を実行する時間が長くなるが、車輪の転舵の精度は高いものとなる。一方、2つのセンサを一方だけしか使用せずに転舵制御を行えば、車輪の転舵の精度は何某か低くなるものの、制御処理が簡便であるため制御装置がその制御処理を実行する時間を短くすることができる。つまり、制御処理を実行することによる制御装置の負担を、小さくできるのである。
(13)前記制御装置が、
当該操舵システムが、前記第1転舵処理による車輪の転舵と前記第2転舵処理による車輪の転舵とのズレが許容範囲を超える状態にある場合には、前記第2転舵処理を実行しないように構成された(12)項に記載の操舵システム。
本態様は、上述の第2転舵処理を禁止するための条件についての限定を加えた態様である。先に説明したが、利用するセンサの数が少なく比較的簡便な制御処理である第2転舵処理は、車輪の転舵についての精度が低くなる可能性がある。そのことを考慮して、本態様では、転舵の精度がある程度を超えて悪くなる状態において、第2転舵処理の実行が禁止される。言い換えれば、主処理の実行比率を低くしないようにするのである。なお、第1転舵処理による車輪の転舵と前記第2転舵処理による車輪の転舵とのズレは、複数のセンサ各々の検出値の整合性、つまり、複数のセンサの検出値がズレていることによって推定すればよい。
実施例の操舵システムの全体構成を示す模式図である。 図1の操舵システムの転舵装置が有する転舵アクチュエータの一部を示す断面図である。 図1の操舵システムの制御装置が実行する処理に関して、当該制御装置の作動モードによって実行される処理が異なることを説明するためのチャートである。 作動モードを決定するために実行されるプログラムを示すフローチャートである。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、請求可能発明の実施例である操舵システムを、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]操舵システムの構成
i)全体構成
実施例の操舵システムは、図1に模式的に示すように、それぞれが車両10の前輪である左右の2つの車輪12を転舵するものであり、大まかには、それら車輪12を転舵するための転舵装置14と、運転者によって操作される操作部材であるステアリングホイール16を有する操作装置18と、ステアリングホイール16の操作に応じた車輪12の転舵を転舵装置14に実行させるための制御装置20とを含んで構成されている。
車輪12の各々は、サスペンション装置を介して回動可能に車体に支持されたステアリングナックル22によって、回転可能に保持されている。転舵装置14は、駆動源としての電動モータ24を有して転舵ロッド26を左右に動かす転舵アクチュエータ28と、転舵ロッド26の両端にそれぞれ一端がボールジョイント30を介して連結されたリンクロッド32とを含んで構成されている。リンクロッド32の各々の他端は、対応するステアリングナックル22に設けられたナックルアーム34にボールジョイント36を介して連結されている。転舵ロッド26が左右に動かされることによって、各ステアリングナックル22が回動して各車輪12が転舵される。
ii)転舵装置の構成
転舵装置14を構成する転舵アクチュエータ28の構造について、図2をも参照しつつ説明すれば、転舵アクチュエータ28は、図2に示すように、ハウジング40内に、転舵ロッド26を、それの軸線の回りに回転不能かつ左右に移動可能に保持している。転舵ロッド26の外周にはねじ溝42が形成されている。また、ハウジング40内には、保持筒44がそれの軸線の回りに回転可能かつ左右に移動不能に保持されている。この保持筒44には、ベアリングボールを保持するナット46が固定的に保持されている。ナット46と転舵ロッド26とは互いに螺合させられて、それらはボールねじ機構を構成している。電動モータ24(以下、他の電動モータと区別するため「転舵モータ24」ということとする)は、ハウジング40の外部に、自身の軸線と転舵ロッド26の軸線とが互いに平行となる姿勢で配設されており、モータ軸48の先端には、タイミングプーリ50が付設されている。保持筒44の外周には、タイミングプーリ50と同様に係合歯52が形成されており、保持筒44は、タイミングプーリ50と対をなすもう1つのタイミングプーリとして機能する。保持筒44,タイミングプーリ50には、タイミングベルト54が巻き掛けられており、転舵モータ24の回転(厳密には、モータ軸48の回転である)によって、ナット46が回転し、転舵ロッド26が、左右方向において、転舵モータ24の回転方向に応じた向きに移動させられる。
転舵モータ24は、3相のブラシレスDCモータであり、2系統のものとされている。詳しく言えば、モータ軸48の外周には、2系統に共通する磁石56が周方向に並んで固定的に配設されており、それら磁石56に対向するようにして、2系統に対応した2セットのコイル58a,58bが配設されている。コイル58a,58bのいずれかへの通電によっても転舵モータ24は回転し、また、両方への通電によっても転舵モータ24は回転する。転舵モータ24が発生させるトルク、すなわち、転舵ロッド26を左右に移動させる力は、概して、コイル58a,58bに供給される電流の合計に比例したものとなる。なお、転舵モータ24が2系統のモータであることに鑑み、2つの電動モータが存在すると擬制して、以下、図1に示すように、2系統の各々に対応する転舵モータ24の部分を、便宜的に、転舵モータ24a,24bと呼ぶ場合があることとする。したがって、転舵モータ24a,24bは、転舵装置14の2つの駆動源と考えることができるのである。
iii)操作装置の構成
図1に示すように、操作装置18は、ステアリングホイール16と、ステアリングホイール16に固定されてステアリングホイール16と一体的に回転可能とされたステアリングシャフト60と、電動モータ62とを含んで構成されている。電動モータ62のモータ軸はステアリングシャフト60と一体化されており、電動モータ62は、ステアリングホイール16に回転トルクを付与する。この回転トルクは、運転者によるステアリングホイール16の操作、つまり、ステアリング操作に対する反力(操作反力)として機能する。そのことに鑑み、この電動モータ62を、以下、反力モータ62と呼ぶこととする。ちなみに、反力モータ62は、反力アクチュエータを構成するものとなる。
反力モータ62は、詳しい構造の図示は省略するが、転舵モータ24と同様、2系統のブラシレスDCモータとされている。そのことを考慮して、2つの電動モータが存在すると擬制して、以下、図1に示すように、2系統の各々に対応する反力モータ62の部分を、便宜的に、反力モータ62a,62bと呼ぶ場合があることとする。なお、操作反力は、ステアリングホイール16を中立位置(右にも左にも操作されていない位置)に戻す力として機能する。操作反力は、反力モータ62a,62bのいずれか若しくは両方への通電によって発生し、その大きさは、概して、反力モータ62a,62bに供給される電流の合計に比例したものとなる。
iv)制御装置の構成
当該操舵システムの制御を司る制御装置20は、図1に示すように、4つの電子制御ユニット(以下、「ECU」と略す場合がある)70SA,70SB,70CA,70CBを含んで構成されている。ECU70SA,70SB,70CA,70CBは、図では
それぞれ、[ECUSA],[ECUSB],[ECUCA],[ECUCB]と表されている。なお、以下の説明において、ECU70SA,70SB,70CA,70CBを、それらを互いに区別する必要がない場合には、「ECU70」と総称する場合があることとする。
ECU70SA,70SBは、転舵装置14を制御する。詳しく言えば、上述の2系統に対応して、ECU70SAは、転舵アクチュエータ28の転舵モータ24aを、ECU70SBは、転舵アクチュエータ28の転舵モータ24bを、それぞれ制御し、それぞれ、CPU,ROM,RAM等によって構成されるコンピュータと、対応する転舵モータ24a若しくは転舵モータ24bの駆動回路(ドライバ)であるインバータとを含んで構成されている。インバータは、図では省略しているが電源に接続されており、対応する転舵モータ24a若しくは転舵モータ24bに、コンピュータの指令に基づく駆動電流を供給する。そして、その駆動電流の供給を受けた転舵モータ24a,24bは、すなわち、転舵装置14は、その駆動電流によって作動させられるのである。なお、以下の説明では、ECU70SA,70SBを、それぞれ、転舵ECU70SA,70SBと呼び、それらを区別する必要のないときには、転舵ECU70Sと総称する場合があることとする。
ECU70CA,70CBは、操作装置18を制御する。詳しく言えば、ECU70SA,70SBと同様に、上述の2系統に対応して、ECU70CAは、反力モータ62aを、ECU70CBは、反力モータ62bを、それぞれ制御し、それぞれ、CPU,ROM,RAM等によって構成されるコンピュータと、対応する反力モータ62a若しくは反力モータ62bの駆動回路(ドライバ)であるインバータとを含んで構成されている。インバータは、図では省略しているが電源に接続されており、対応する反力モータ62a若しくは反力モータ62bに、コンピュータの指令に基づく電流を供給する。なお、以下の説明では、ECU70CA,70CBを、それぞれ、反力ECU70CA,70CBと呼び、それらを区別する必要のないときには、反力ECU70Cと呼ぶ場合があることとする。
転舵モータ24a,24bは、それぞれ、モータ軸48に付設された磁石56と自身のコイル58a若しくはコイル58bとの相対位相(「電気角」と呼ぶこともできる)、すなわち、モータ軸48の回転角度を検出するための回転角センサ(例えば、レゾルバ,エンコーダ等である)72a若しくは72bと、自身に流れる電流を検出するための電流センサ74a若しくは74bとを有している。また、転舵アクチュエータ28は、2系統に対応して、それぞれが転舵量を検出するための2つの転舵量センサ76a,76bを有している。転舵量は、車輪12の転舵角を表すものと考えることができ、左右方向における中立位置からの転舵ロッド26の移動量である。同様に、反力モータ62a,62bは、それぞれ、モータ軸の回転角度を検出するための回転角センサ78a若しくは78bと、自身に流れる電流を検出するための電流センサ80a若しくは80bとを有している。また、操作装置18は、2系統に対応して、それぞれがステアリング操作における操作量を検出するための2つの操作量センサ82a,82bを有している。操作量は、具体的には、中立位置からのステアリングホイール16の回転角である。さらに、車両10には、当該車両10の走行速度を検出するための車速センサ84,当該車両10に生じている横加速度を検出するための横加速度センサ86が配設されている。なお、回転角センサ72a,72b、電流センサ74a,74b、転舵量センサ76a,76b、回転角センサ78a,78b、電流センサ80a,80b、操作量センサ82a,82b,車速センサ84,横加速度センサ86は、図では、それぞれ、[RSA],[RSB]、[ISA],[ISB]、[θA],[θB]、[RCA],[RCB]、[ICA],[ICB]、[δA],[δB]、[v]、[G]と表されている。
車内には、CAN(“car area network” or “contorable area network”)88が配設されており、各ECU70SA,70SB,70CA,70CBは、CAN88に接続されて、互いに通信可能とされている。上述した回転角センサ72a,72b、電流センサ74a,74b、転舵量センサ76a,76b、回転角センサ78a,78b、電流センサ80a,80b、操作量センサ82a,82b、車速センサ84、横加速度センサ86も、CAN88に接続されており、各ECU70は、それら各種センサのうちの対応するものの検出信号をCAN88を介して受け取り、その受け取った検出信号が示す検出値に基づいて、対応する転舵モータ24a若しくは24b,または、対応する反力モータ62a若しくは62bへ供給される電流の制御等を行う。
[B]制御装置が実行する処理
本操舵システムは、転舵装置14,操作装置18の制御のための処理である主処理と、当該操舵システムの作動に関連した補助的な処理である補助処理とを実行する。以下に、それらの処理の内容、それらの処理の実行に関する当該制御装置20の作動モード等について説明する。
i)主処理
主処理には、転舵ECU70SA,70SBの各々によって実行される転舵処理と、反力ECU70CA,70CBの各々によって実行される反力処理とが含まれる。転舵処理は、ステアリングホイール16の操作に応じた車輪12の転舵を転舵装置14に実行させるための制御処理であり、転舵処理として、後に説明するように、選択的に実行される第1転舵処理,第2転舵処理が準備されている。反力処理は、簡単に言えば、ステアリングホイール16に、操作量に応じた操作反力を反力モータ62a,62bによって付与させるための制御処理である。以下に、各処理について、詳しく説明する。
なお、車輪12の転舵については、転舵ECU70SA,転舵モータ24a,操作量センサ82a,転舵量センサ76aを含んで構成される1つの系統と、転舵ECU70SB,転舵モータ24b,操作量センサ82b,転舵量センサ76bを含んで構成されるもう1つの系統との2つの系統(以下、「転舵系統」という場合がある)が設けられている。通常時には、車輪12の転舵は、それら2つの転舵系統の両方によって、同時に、かつ、転舵モータ24a,24bが均等にトルクを発生させるようにして、行われる。同様に、操作反力の付与については、反力ECU70CA,反力モータ62a,操作量センサ82aを含んで構成される1つの系統と、反力ECU70CB,反力モータ62b,操作量センサ82bを含んで構成されるもう1つの系統との2つの系統(以下、「反力系統」という場合がある)が設けられている。通常時には、操作反力の付与は、2つの反力系統の両方によって、同時に、かつ、反力モータ62a,62bが均等にトルクを発生させるようにして、行われる。一方、車輪12の転舵,操作反力の付与のいずれについても、上記2つの系統のうちの1つが失陥した場合には、失陥していない系統によって行うことが可能とされている。それら2系統で行うために必要な制御処理および失陥時の処理については、よく知られた処理であるため、詳しい説明を省略することとする。
また、転舵処理,反力処理のいずれについても、以下の説明では、上記2つの転舵系統若しくは2つの反力系統のうちの1つの系統によって行われる処理を、代表して説明することとし、その際、転舵ECU70S,転舵モータ24,回転角センサ72,電流センサ74,操作量センサ82,転舵量センサ76,反力ECU70C,反力モータ62,回転角センサ78,電流センサ80といった総称を用いることとする。
i-a)第1転舵処理
第1転舵処理は、車輪12の転舵について高い制御性を実現させることのできる処理である。ECU70S(詳しく言えば、ECU70Sが有するコンピュータである)は、操作量センサ82の検出に基づいて、ステアリングホイール16の操作量δを取得し、その操作量δに基づいて、当該操舵システムにおいて設計上で設定されている設定ステアリングギヤ比(簡単に言えばθ/δである)に従って、実現すべき転舵量θとしての目標転舵量θ*を決定する。そして、ECU70Sは、転舵量センサ76の検出に基づいて、現時点での実際の転舵量θを取得し、目標転舵量θ*に対する実際の転舵量θの偏差である転舵量偏差Δθを求める。この転舵量偏差Δθに基づいて、転舵モータ24に供給されるべき電流である目標供給電流IS *を決定する。簡単に言えば、PDI制御則に従う次式
S *=α・Δθ+β・dΔθ+γ・∫Δθ
dΔθ:転舵量偏差Δθの微分値,∫Δθ:転舵量偏差Δθの積分値
α:比例項ゲイン,β:微分項ゲイン,γ:積分項ゲイン
に基づいて、目標供給電流IS *が決定される。その目標供給電流IS *を転舵モータ24に供給すべく、ECU70Sが有する駆動回路であるインバータが、回転角センサ72の検出による転舵モータ24の回転角RS,電流センサ74の検出による転舵モータ24に実際に流れている電流ISに基づいて、適切な作動を行う。
この第1転舵処理では、実際の転舵量θを検出しつつ車輪12の転舵が行われるため、その転舵は、応答性や精度に優れたものとなる。また、詳しい説明は省略するが、目標供給電流IS *の決定のための上記式における比例項ゲインα,微分項ゲインβ,積分項ゲインγを、車速センサ84の検出による車両の走行速度v,横加速度センサ86の検出に基づく横加速度G等に応じて異なる値に決定することで、車両の走行状態等に応じた適切な特性の車輪12の転舵、平たく言えば、味付けの良い転舵,運転者が望むであろう性能の転舵等を、転舵装置14によって行わせることが可能となる。
一方で、この第1転舵処理では、ECU70Sは、複数のセンサによる検出に基づいて転舵処理が実行される。具体的には、転舵量θに関係するセンサとして、転舵量センサ76と回転角センサ72という2つのセンサによる検出値を利用して、車輪12の転舵の制御を行っている。さらに詳しく言えば、転舵量センサ76の検出に基づく転舵量θの制御ループ(アウタループ)の中に、回転角センサ72の検出に基づく転舵モータ24の回転角RSの制御ループ(マイナループ)が存在している。また、上述の目標供給電流IS *の決定のための手順は複雑なものとなっている。それらのため、当該第1転舵処理におけるECU70Sの処理量が相当に大きいものとなっている。言い換えれば、1回の処理を繰り返し実行する場合のその1回の処理に費やす時間を処理サイクル時間と呼べば、第1転舵処理の処理サイクル時間を、ある程度長くする必要があるのである。また、詳しい説明は省略するが、転舵量センサ76からの転舵量θの検出信号の転舵ECU70Sによる受信には、ある程度の時間がかかるため、そのことによっても、第1転舵処理の処理サイクル時間を長くせざるを得ない。このことは、第1転舵処理のデメリットであると言える。
i-b)第2転舵処理
第2転舵処理は、比較的簡便な処理であり、上記第1転舵処理のデメリットを解消できる処理として設けられている。転舵量θと転舵モータ24の回転角RSとは、転舵装置14における構造上の不可避の事象、具体的には、例えば、タイミングベルト54の伸び、上述のボールねじ機構を始めとする各構成要素のガタ,バックラッシュ等によって、厳密な対応関係にはないが、ある程度の範囲内において対応関係にある。第2転舵処理は、この対応関係を利用し、上記複数のセンサの一部である転舵量センサ76による検出結果に基づく実際の転舵量θを用いずして、車輪12の転舵の制御が行われる。詳しく言えば、ステアリングホイール16の操作量δに基づいて、目標転舵量θ*に理論上対応する転舵モータ24の回転角RSの目標である目標回転角RS *を決定し、この決定した目標回転角RS *と、回転角センサ72の検出による転舵モータ24の現時点での回転角RSとに基づいて、適切な電流ISが転舵モータ24に供給されるように、インバータが作動させられる。
第2転舵処理によれば、上記制御性、すなわち、転舵の精度,応答性は、それ程は高くないものの、簡便な処理で済むため、転舵ECU70Sの処理の負担は軽いものとなる。つまり、第2転舵処理では、処理サイクル時間を比較的短くすることが可能となるのである。
i-c)反力処理
反力処理は、反力ECU70Cによって実行される。反力処理では、反力ECU70Cは、操作量センサ82の検出に基づいて、ステアリングホイール16の操作量δを取得する。取得した操作量δに基づいて、ステアリングホイール16を中立位置にまで戻す方向のトルクをステアリングホイール16に付与すべく、反力モータ62に供給すべき電流ICである目標供給電流IC *を決定し、反力ECU70Cが有する駆動回路であるインバータが、回転角センサ78の検出による反力モータ62の回転角RC,電流センサ80の検出による反力モータ62に実際に流れている電流ICに基づいて、適切な作動を行う。ちなみに、反力モータ62が発生させるトルクは、概ね、反力モータ62に供給されている電流ICに応じたものとなり、そして、操作量δ、すなわち、ステアリングホイール16の中立位置からの変位角に概ね比例したものとなるように、設定されている。
なお、この反力処理による反力ECU70Cの負担は、比較的小さく、反力処理の処理サイクル時間は、上記第1転舵処理の処理サイクル時間よりも短くされている。
ii)補助処理
本操舵システムでは、当該操舵システムの作動に関連した補助的な処理である補助処理として、2つの処理、詳しくは、車輪12の転舵が適正に行われる状態に当該操舵システムがあるか否かを判断するシステム適正性判断処理と、当該操舵システムが故障傾向にあることを認知するための処理である故障傾向認知処理とを実行するように構成されている。それらシステム適正性判断処理,故障傾向認知処理は、主に転舵装置14の正常性に関係した処理であることから、転舵装置14を制御するための電子制御ユニットである転舵ECU70Sの各々によって実行される。実際には、転舵ECU70SA,70SBの各々において実行されるシステム適正性判断処理および故障傾向認知処理は、それらの内容が異なるものとされているが、以下、補助処理の説明の単純化に鑑み、転舵ECU70SA,70SBの各々において同じ内容のシステム適正性判断処理および故障傾向認知処理が実行されるものとして扱う。
ii-a)システム適正性判断処理
システム適正性判断処理では、操作量センサ82の検出結果に基づいて取得された操作量δに基づく車輪12の転舵、すなわち、第2転舵処理による車輪12の転舵と、取得された操作量δと転舵量センサ76の検出結果に基づいて取得された転舵量θとに基づく車輪12の転舵、すなわち、第1転舵処理による車輪12の転舵とを比較することで、適正な車輪12の転舵が行われているか否かが判断される。詳しく言えば、取得された操作量δに基づけば、上記設定ステアリングギヤ比に従って理論的な転舵量θである理論転舵量θTHが求まる。この理論転舵量θTHと、転舵量センサ76によって検出された実際の転舵量θとの差が閾差以上となっている場合に、当該操舵システムが、車輪12の転舵が適正に行われる状態にはないと判断される。
また、システム適正性判断処理では、2系統に対応した2つの転舵量センサ76a,76bの各々による検出結果が互いにある程度以上食い違っている場合や、2系統に対応した2つの操作量センサ82a,82bの検出結果が互いにある程度以上食い違っている場合にも、当該操舵システムが、車輪12の転舵が適正に行われる状態にはないと判断される。
システム適正性判断処理は、転舵量センサ76の検出結果を利用する処理はあるが、その処理は、比較的単純であり、その処理の実行による転舵ECU70Sの負担は比較的小さい。言い換えれば、当該処理の処理サイクル時間は比較的短くされている。
ii-b)故障傾向認知処理
故障傾向認知処理では、当該操舵システムの故障に繋がるような力が作用しているか否かが検知され、特に、転舵装置14に作用する力が検知される。そして、そのような力、つまり、過大入力が作用した場合には、例えば、疲労によって損傷を受けることによる転舵装置14の故障が発生する可能性を考慮し、過大入力の累積を記憶する。具体的に言えば、過大入力を受けた回数が履歴としてカウントされる。推定された過大入力の累積が、設定程度を超えた場合、すなわち、過大入力を受けた回数のカウント値が、設定値を超えた場合に、当該操舵システムが故障傾向にあると判断される。
転舵装置14への過大入力は、例えば、転舵量センサ76の検出結果に基づいて取得された転舵量θの変化と、電流センサ74の検出結果に基づいて取得された転舵モータ24に流れる電流ISの変化との関係に基づいて推定される。具体的には、一例であるが、逆起電力に依拠して過大な電流ISが転舵モータ24に流れたようなときに、車輪12が比較的激しく縁石等に接触して転舵装置14に大きな負荷が掛かったと推定され、車輪12が転舵装置14による転舵範囲の終端、すなわち、転舵エンドにおいて、長い時間、大きな電流ISが転舵モータ24に供給されたようなときに、転舵装置14に大きな負荷が掛かったと推定される。
上述したように、過大入力の推定の手順等は、複雑であり、また、その推定には、微分演算等、難易度が高くかつ時間のかかる処理を要する。故障傾向認知処理の詳しい説明については、ここでは省略するが、上記複雑さ、難易度の高さ等を伴うことで、当該故障傾向認知処理の実行による転舵ECU70Sへの負担は比較的大きい。言い換えれば、当該処理の処理サイクル時間は比較的長くせざるを得ないのである。
iii)制御装置の処理負担と作動モード
制御装置20では、詳しく言えば、制御装置20の2つのECU70Sでは、上記主処理と上記補助処理とを並行して実行する(厳密に言えば、時分割にて実行する)ため、それらの処理を実行するためにある程度大きな負担が生じる。特に、主処理として、第1転舵処理を、補助処理として、故障傾向認知処理を、並行して実行する場合、その負担は相当に大きなものとなる。転舵ECU70Sが単位時間当たりに実行する全処理の処理量を、全体処理量と定義すれば、その全体処理量のうちの実行される各処理の処理量の割合を、実行比率と定義することができ、その定義に従って、主処理の実行比率,補助処理の実行比率も定義することができる。本制御装置20では、2つの転舵ECU70Sの各々において、その各々が実行する主処理および補助処理の内容を変更することで、それら主処理,補助処理の実行比率を変更し、転舵ECU70Sの負担が過度とはならないようにしている。見方を変えて言えば、状況に応じて主処理および補助処理の内容を変更することで、制御装置20の負担を比較的小さくできることから、ECU70S,ひいては、制御装置20を、簡便で安価なもので済ませることが可能となるのである。
主処理,補助処理の内容は、上述した種々の処理のうち、主処理,補助処理としていずれの処理を実行するかによって変更される。詳しく言えば、当該制御装置20の作動モードとして、第1モード,第2モードの2つが設定されており、それらのいずれかのモードで、制御装置20が作動するようにされている。第1モードでは、転舵ECU70Sにおいて、主処理として、上記第1転舵処理が、補助処理として、上記システム適正性判断処理が、実行され、第2モードでは、転舵ECU70Sにおいて、主処理として、上記第2転舵処理が、補助処理として、システム適正性判断処理と上記故障傾向認知処理との両方が実行される。なお、いずれのモードであっても、反力ECU70Cにおいては、上記反力処理が実行される。
各作動モードで実行される処理を図解すれば、第1モードは、図3(a)のチャートのように表し、第2モードは、図3(b)のチャートのように表すことができる。それらのチャートに示すように、実行すべき各処理を纏めて制御装置20が実行する場合におけるそれらの処理の繰り返しの時間ピッチを、処理ピッチtpと呼べば、本制御装置20では、処理ピッチtpは、いずれの作動モードでも等しくされている。この処理ピッチtp毎に、実行される各処理が繰り返されるのであるが、処理ピッチtp内において各処理に費やされる時間を処理サイクル時間tcと呼べば、それらのチャートに示すように、第1転舵処理,第2転舵処理,システム適正性判断処理,故障傾向認知処理,反力処理の処理サイクル時間tcは、それぞれ、tcS1,tcS2,tcD1,tcD2,tcCと表すことができる。ちなみに、チャートでは、解り易く説明するために、便宜的に、第1モードにおける第1転舵処理の処理サイクル時間tcS1とシステム適正性判断処理の処理サイクル時間tcD1の合計が、第2モードにおける第2転舵処理の処理サイクル時間tcS2とシステム適正性判断処理の処理サイクル時間tcD1と故障傾向認知処理の処理サイクル時間tcD2との合計が、それぞれ、処理ピッチtpと等しくなるものとして扱っている。
上述の各処理の実行比率εは、ECU70ごとに考えれば、処理ピッチtpに対する各処理の処理サイクル時間tcと考えることができ、具体的には、第1転舵処理の実行比率εS1,第2転舵処理の実行比率εS2,システム適正性判断処理の実行比率εD1,故障傾向認知処理の実行比率εD2,反力処理の実行比率εCは、それぞれ、tcS1/tp,tcS2/tp,tcD1/tp,tcD2/tp,tcC/tpと考えることができる。この考えに従えば、第1モードにおいて、転舵ECU70Sにおける主処理の実行比率εM,補助処理の実行比率εAは、それぞれ、
εM=εS1,εA=εD1
となり、第2モードにおいて、転舵ECU70Sにおける主処理の実行比率εM,補助処理の実行比率εAは、それぞれ、
εM=εS2,εA=εD1+εD2
となる。
第1モードで実行される第1転舵処理の処理サイクル時間tcS1に比べて、第2モードで実行される第2転舵処理の処理サイクル時間tcS2が短いこと、および、第1モードでは、故障傾向認知処理が実行されないことから解るように、第1モードと比較して、第2モードでは、主処理の実行比率が低くεM、かつ、補助処理の実行比率εAが高くされているのである。なお、ここでは、転舵ECU70Sごとにおける各処理の実行比率εについて説明したが、敢えて説明するまでもなく、制御装置20全体、すなわち、4つのECU70を総合して考えた場合でも、第1モードと比較して、第2モードでは、主処理の実行比率εMが低く、かつ、補助処理の実行比率εAが高くされている。
iv)作動モードの切換
主処理の実行比率εM,補助処理の実行比率εAの変更、すなわち、上記2つの作動モードの切換に関して、大まかに言えば、その切換は、当該操舵システムの作動状態,車両10の周辺の状態,当該車両10の走行状態の少なくとも1つに基づいて行われる。見方を変えて言えば、制御装置20は、車輪12の転舵について高い制御性が必要とされる状況である要高制御性状況の下では、第1転舵処理を実行すべきであるとして、主処理の実行比率を高めるべく、制御装置20は、第1モードで作動させられ、当該操舵システムの故障に繋がるような力が外部から作用する可能性があると予測される状況下において、故障傾向認知処理を実行すべきであるとして、補助処理の実行比率を高めるべく、制御装置20は、第2モードで作動させられる。
より具体的に言えば、本操舵システムでは、車両10の走行速度vが、閾速度v0以上であるときには、すなわち、車両10が比較的高速で走行しているときには、要高制御性状況下にあると考えることができ、また、転舵量θが大きくなるような車輪12の転舵は行われる可能性が低く、転舵に大きな力を必要とせず、転舵装置14に外部から大きな力が作用する可能性も低いことから、制御装置20は、第1モードで作動させられる。また、車両10が直進している状態、すなわち、転舵量θが0と見做せる状態では、操舵が開始される際の応答性を重視する必要があり、また、転舵装置14に外部から大きな力が作用する可能性も低いことから、制御装置20は、第1モードで作動させられる。ちなみに、転舵量θが0と見なせる状態であるか否かは、転舵量θが、小さな値として設定された閾転舵量θ0未満であるか否かによって判断すればよい。
一方で、本操舵システムでは、できるだけ高特性の操舵を実現させたいという理由から、車両10の走行速度vが閾速度v0未満であり、かつ、車輪12が転舵されている状態であっても、故障傾向認知処理を、転舵装置14に外部から大きな力が作用する可能性が高いと推定される状況、すなわち、過大入力可能性状況下だけに限定して実行するようにしている。具体的には、車両10が走行していない状態で車輪12が転舵されているとき、横加速度センサ86の検出に基づいて取得された横加速度Gが、転舵量θが増加しているにも拘わらず増加していないとき(タイヤ横力飽和時の切増し)、車輪12が転舵可能範囲における終端(転舵エンド)に近い位置まで転舵されているとき(フル転舵時)、ステアリングホイール16の操作量δの増加に対応した転舵量θが実現されていないとき(縁石等への車輪12の当接時)等に限って、第2モードで制御装置20が作動させられる。
なお、上述したように、第2転舵処理は、転舵量センサ76の検出結果を用いることなく、転舵モータ24の回転角センサ72の検出によるモータ回転角RSに依拠して転舵量θの制御を行うための処理である。したがって、転舵量センサ76の検出結果を用いた第1転舵処理による車輪12の転舵と、第2転舵処理による車輪12の転舵とのズレが、許容範囲を超える状態(処理間転舵ズレ発生状態)にある場合には、第2転舵処理の実行が禁止される。つまり、たとえ上述の過大入力可能性状況にあるとしても、第1作動モードで制御装置20が作動させられる。ちなみに、処理間転舵ズレ発生状態であるか否かは、転舵量センサ76の検出に基づく転舵量θと、回転角センサ72の検出によって取得されたモータ回転角RSに基づいて推定された転舵量θとの差によって、判断される。
v)作動モード切換のフロー
制御装置20の作動モードの切換は、図4にフローチャートを示す作動モード決定プログラムを、制御装置20が実行することによって行われる。この作動モード決定プログラムは、処理サイクル時間が短い処理であるため、本操舵システムでは、図3のチャートに示すように、処理量に余裕のある反力ECU70C(反力ECU70CA,70CBのうちのいずれかである)によって、処理ピッチtpの中で行われる。ちなみに、処理ピッチtpは、例えば、0.5msec〜10msec 程度に設定されている。以下に、その作動モード選択プログラムに従った処理を、フローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
作動モードの処理は、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様である)において、先に説明したように、処理間転舵ズレ発生状態にあるか否かが決定される。処理間転舵ズレ発生状態にある場合には、第2転舵処理を禁止すべく、S2において、作動モードが、第1モードに決定される。
処理間転舵ズレ発生状態とはなってない場合には、S3において、車速センサ84の検出に基づいて取得された車両10の走行速度vが、閾速度v0以上であるか否かが判断され、閾速度v0以上であるとき、すなわち、車両10が比較的高速で走行しているときには、要高制御性状況下であると認識され、S2において、作動モードが、第1モードに決定される。車両の走行速度vが、閾速度v0未満のときには、S4において、転舵量センサ76の検出に基づいて取得された転舵量θが、殆ど0であるか否かが判断される。車両10が直進していると見做すことができる場合には、要高制御性状況下であると認識され、S2において、作動モードが、第1モードに決定される。
車両10の走行速度vが閾速度v0未満であり、かつ、車輪12が転舵されているときには、S5において、上述の過大入力可能性状況にあるか否かが判断される。過大入力可能性状況にあると判断された場合には、S6において、故障傾向認知処理の実行のために、作動モードが、第2モードに決定される。過大入力可能性状況ではないと判断された場合には、高い転舵特性を維持するために、S2において、作動モードが第1モードに決定される。
以上説明したように、状況に応じて作動モードを変更することによって、つまり、制御装置20が実行する主処理,補助処理の各々の実行比率を変更することによって、制御装置20の処理の負担が過大となることを防止することができる。詳しく言えば、状況に応じて、主処理の実行比率を増加させることで、車輪12の転舵を精度よく行うことができ、逆に、主処理の実行比率を減少させることで、簡便に主処理を実行することができるのである。また、状況に応じて、補助処理の実行比率を増加させることで、補助処理を充実させることができ、補助処理の実行比率を減少させることで、必要性の低い補助処理を行わない若しくは簡便に済ませることができるのである。
10:車両 12:車輪 14:転舵装置 16:ステアリングホイール(操作部材) 18:操作装置 20:制御装置 24,24a,24b:転舵モータ 26:転舵ロッド 28:転舵アクチュエータ 62,62a,62b:反力モータ 70SA,70SB,70CA,70CB:電子制御ユニット(ECU) 72a,72b:回転角センサ 74a,74b:電流センサ 76a,76b:転舵量センサ 82a,82b:操作量センサ 84:車速センサ 86:横加速度センサ

Claims (13)

  1. 車両に装備される操舵システムであって、
    運転者によって操作される操作部材と、車輪を転舵させる転舵装置と、当該操舵システムの制御を司る制御装置とを備え、
    前記制御装置が、
    前記操作部材の操作に応じた車輪の転舵を前記転舵装置に実行させる処理を含む主処理と、当該操舵システムの作動に関連した補助的な処理である補助処理とを、並行して実行可能とされ、かつ、前記主処理の実行比率および前記補助処理の実行比率を変更可能に構成された操舵システム。
  2. 前記補助処理が、当該操舵システムが故障傾向にあることを認知するための処理である故障傾向認知処理を含む請求項1に記載の操舵システム。
  3. 前記故障傾向認知処理が、当該操舵システムの故障に繋がるような外部からの力の作用の累積に基づいて、当該操舵システムが故障傾向にあると判断する処理を含む請求項2に記載の操舵システム。
  4. 前記補助処理が、車輪の転舵が適正に行われる状態に当該操舵システムがあるか否かを判断するシステム適正性判断処理を含む請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の操舵システム。
  5. 前記制御装置が、当該操舵システムの作動状態,車両周辺の状態,車両の走行状態の少なくとも1つに基づいて前記主処理の実行比率および前記補助処理の実行比率を変更するように構成された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の操舵システム。
  6. 前記制御装置が、車両の走行速度が閾速度以上である場合に、前記主処理の実行比率を高めるように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の操舵システム。
  7. 前記制御装置が、車両が直進している場合に、前記主処理の実行比率を高めるように構成された請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の操舵システム。
  8. 前記補助処理が、当該操舵システムが故障傾向にあることを認知するための処理である故障傾向認知処理を含み、
    前記制御装置が、当該操舵システムの故障に繋がるような力が外部から作用する可能性があると予測される状況下において、前記補助処理の実行比率を高めるように構成された請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の操舵システム。
  9. 前記制御装置が、車輪の転舵について高い制御性が必要とされる状況である要高制御性状況の下において、前記主処理の実行比率を高めるように構成された請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の操舵システム。
  10. 前記制御装置が、
    (A)第1モードにおいても、(B)前記主処理の実行比率が前記第1モードにおけるよりも低く、かつ、前記補助処理の実行比率が前記第1モードにおけるよりも高く設定された第2モードにおいても、作動可能とされ、
    自身の作動を、前記第1モードでの作動と前記第2モードでの作動との間で切り換えるように構成された請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の操舵システム。
  11. 前記制御装置が、前記主処理の内容と前記補助処理の内容との少なくとも一方を変更することで、前記主処理の実行比率および前記補助処理の実行比率を変更するように構成された請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の操舵システム。
  12. 前記制御装置が、
    前記主処理の少なくとも一部として、複数のセンサによる検出に基づいて前記転舵装置に車輪の転舵を行わせる第1転舵処理と、前記複数のセンサのうちの一部による検出に基づいて前記転舵装置に車輪の転舵を行わせる第2転舵処理とを、選択的に実行するように構成され、
    前記主処理の実行比率を高める場合に、前記第1転舵処理を実行し、前記主処理の実行比率を低める場合に、前記第2転舵処理を実行するように構成された請求項11に記載の操舵システム。
  13. 前記制御装置が、
    当該操舵システムが、前記第1転舵処理による車輪の転舵と前記第2転舵処理による車輪の転舵とのズレが許容範囲を超える状態にある場合には、前記第2転舵処理を実行しないように構成された請求項12に記載の操舵システム。
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