従来、車両には、運転手等が後方確認を行うために、両側部に車両用サイドミラーが取り付けられている。この車両用サイドミラーには、車両に取り付けられるとともにミラーを保持するハウジングにカバー部材が装着され、このカバー部材とハウジングとで一体的な外形を形成するものがある。このものでは、ハウジングにカバー部材の装着のための装着箇所が設けられ、当該装着箇所の周縁部にカバー部材の周縁部が合致するようにカバー部材が形成されている。このため、カバー部材の周縁部が装着箇所の周縁部に合致しつつ当接するようにカバー部材がハウジングに装着されると、ハウジングとカバー部材とが滑らかに連続し、ハウジングとカバー部材とにより一体的な外形が形成される(例えば、特許文献1参照)。
このような従来の車両用サイドミラーの一例を図7ないし図9を用いて説明する。図7は、従来例の車両用サイドミラー50を分解して示す模式的な斜視図であり、右側がハウジング51であり、左側がカバー部材52である。図8は、図7のIII−III線に沿って得られた断面図であり、図9は、従来例の車両用サイドミラー50の問題点を説明するために図8と同様の断面図で示す説明図である。
車両用サイドミラー50は、図7に示すように、ハウジング51にカバー部材52が装着されて一体的な外形を形成するように構成されている。
ハウジング51は、車両Cの前後方向で見た後方側に臨むようにミラー本体53(図8参照)を保持するものであり、ミラー本体53との間に収容空間54(図8参照)を形成する器状とされている。ハウジング51には、車両Cの前後方向で見た前方側に位置する面に、取付開口55が設けられている。この取付開口55は、その開口縁部が車両用サイドミラー50の外表面に位置することとなる。取付開口55には、その内方側で全周に渡って取付フランジ部56が設けられている。この取付フランジ部56は、後述するようにカバー部材52の周縁部が全周に渡って当接可能とされている。
また、ハウジング51には、取付フランジ部56に連続しつつ取付開口55の上半分を塞ぐように曲面で形成された取付面部57が設けられている。取付面部57は、カバー部材52の上半部と近接しつつ対向可能とされており、3つの係合孔58が設けられている。この取付開口55に嵌合されるようにカバー部材52が装着される。
カバー部材52は、全体に凹状に湾曲された板状を呈し、この凹状とされた面がハウジング51への装着側となる。このカバー部材52は、周縁がハウジング51の取付開口55の開口縁部に一致する形状とされ、3つの上側係合部59と4つの下側係合部60とが設けられている。
各上側係合部59は、図7および図8に示すように、上方へ向けて突起する上向係合爪59aを有し、ハウジング51の取付面部57に設けられた各係合孔58に挿通された状態において、この各係合孔58を構成する上壁部58aに、後方および下方から当接するように係合可能とされている。また、4つの下側係合部60のうち、車両の幅方向で見た中間の2つの下側係合部60は、上下方向で見て3つ上側係合部59の下方に位置している。この中間の2つの下側係合部60は、下方へ向けて突起する下向係合爪60aを有し、ハウジング51の取付開口55の取付フランジ部56に、後方および上方から当接するように係合可能とされている。
このため、カバー部材52は、上半部を取付面部57に対向させつつ、適切な位置関係となるように、各上側係合部59をハウジング51の取付面部57の対応する係合孔58に係合させ、かつ各下側係合部60をハウジング51の取付開口55の取付フランジ部56に係合させることにより、取付開口55を塞ぐようにハウジング51に装着することができる。
このように、カバー部材52は、容易にかつ適切にハウジング51に装着することができ、ハウジング51に装着されると当該ハウジング51と協働して、内方に収容空間54を形成しつつ、一体的な外形を形成する。この収容空間54には、図示は略すが、適宜ミラー駆動機構やカメラ機構等が収容される。
この車両用サイドミラー50では、図8に示すように、カバー部材52がハウジング51に装着された際、幅方向(車両Cから延出する方向)で見た中間領域において、3つの上側係合部59が上向係合爪59aによりハウジング51に係合し、中間の2つの下側係合部60が下向係合爪60aによりハウジング51に係合していることから、カバー部材52がハウジング51に対して、3つの上側係合部59により上方への移動が防止されるとともに、中間の2つの下側係合部60により下方への移動が防止されている。このため、車両用サイドミラー50では、カバー部材52のハウジング51への容易な装着を可能としつつ、車両の走行に伴って車両に生じる得る振動や受ける風に起因してカバー部材52がハウジング51から脱落することが防止されている。
特開2004−196298号公報
しかしながら、上記した車両用サイドミラー50では、幅方向で見た中間領域において、例えば、人が手で押す等のように不測の押圧力F1もしくは押圧力F2が付与された場合、カバー部材52がハウジング51からの脱落してしまう虞がある。ここでいう押圧力F1は、カバー部材52の下端部を下方から斜め後方へ押し上げるような力であり、押圧力F2は、カバー部材52の上端部を上方から斜め前方へ押し下げるような力である。
押圧力F1の付与による脱落は、図9(a)に示すように、カバー部材52の中間部が撓みつつカバー部材52の下端部がハウジング51に対して上方へと移動し、中間の2つの下側係合部60によるハウジング51の取付開口55の取付フランジ部56への係合が解除されることによる。
また、押圧力F2の付与による脱落は、図9(b)に示すように、押圧力F2によりカバー部材52が取付面部57に押し当てられることで、カバー部材52には取付面部57に沿って下方へ移動させる力として作用し、カバー部材52の下端とハウジング51との当接箇所tを支点としてカバー部材52の下端部がハウジング51から離間するように撓みつつカバー部材52の上端部がハウジング51に対して下方へと移動し、中間の2つの下側係合部60によるハウジング51の取付開口55の取付フランジ部56への係合が解除されるとともに、3つの上側係合部59によるハウジング51の取付面部57の各係合孔58への係合が解除されることによる。
本発明は、上記の問題に鑑みて為されたもので、カバー部材のハウジングへの容易な装着を可能としつつ、カバー部材のハウジングからの脱落を防止することができる車両用サイドミラーを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用サイドミラーは、車両に取り付けられるとともにミラーを保持するハウジングと、該ハウジングに装着可能とされたカバー部材とを備える車両用サイドミラーであって、前記ハウジングには、前記カバー部材の上半部と近接して対向する取付面部と、該取付面部を開口する係合孔と、該係合孔の下方に位置する係合箇所と、が設けられ、前記カバー部材には、上方へ向けて突起する上向係合爪を有し前記係合孔に係合可能な上側係合部と、下方へ向けて突起する下向係合爪を有し前記係合箇所に係合可能な下側係合部と、該下側係合部の近傍位置でかつ上下方向で見た該下側係合部よりも下側において該下側係合部と間隔を置きつつ前記車両の後方へ向けて突起する突起片とが設けられ、前記ハウジングには、前記カバー部材の前記突起片が嵌合可能とされた嵌合孔が設けられ、前記上側係合部は、前記車両の後方へ向けて突出する板状部材が上方に向けてU字状に折り返されて先端部が前記車両の前方へ向けて延在して形成されており、前記先端部に前記上向係合爪が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の車両用サイドミラーは、車両に取り付けられるとともにミラーを保持するハウジングと、該ハウジングに装着可能とされたカバー部材とを備える車両用サイドミラーであって、前記ハウジングには、前記カバー部材の取り付けのための取付開口と、該取付開口の内方側で全周に渡る取付フランジ部と、該取付フランジ部に連続しつつ前記取付開口の上半分を塞ぐ取付面部と、該取付面部を開口する係合孔と、該係合孔の下方の位置で前記取付フランジ部を開口する嵌合孔と、が設けられ、前記カバー部材には、上方へ向けて突起する上向係合爪を有し前記係合孔に係合可能な上側係合部と、下方へ向けて突起する下向係合爪を有し前記取付フランジ部のうちの前記係合孔の下方の位置に係合可能な下側係合部と、前記ハウジングの前記嵌合孔に嵌合可能とすべく前記下側係合部の近傍位置でかつ上下方向で見た該下側係合部よりも下側において該下側係合部と間隔を置きつつ前記車両の後方へ向けて突起する突起片とが設けられ、前記上側係合部は、前記車両の後方へ向けて突出する板状部材が上方に向けてU字状に折り返されて先端部が前記車両の前方へ向けて延在して形成されており、前記先端部に前記上向係合爪が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の車両用サイドミラーは、請求項2に記載の車両用サイドミラーであって、前記カバー部材は、適切に装着された状態において、上半部が前記取付面部に面当接しつつ、周縁部が前記取付フランジ部に面当接していることを特徴とする。
請求項4に記載の車両用サイドミラーは、請求項3に記載の車両用サイドミラーであって、前記カバー部材は、全体に凹状に湾曲された板状を呈し、凹状とされた面が前記ハウジングに対向するように該ハウジングの前記取付開口に嵌合されて前記ハウジングに装着されることを特徴とする。
本発明の車両用サイドミラーでは、カバー部材の上半部をハウジングの取付面部に対向させつつ、上側係合部をハウジングの取付面部の係合孔に係合させかつ下側係合部をハウジングの係合箇所に係合させることにより、カバー部材をハウジングに容易に装着することができる。
また、上述した押圧力F1が付与された場合、カバー部材における下側係合部の近傍に設けられた突起片がハウジングの嵌合孔に嵌合されていることから、カバー部材の下端部がハウジングに対して上方へと移動することを防止することができるので、カバー部材の下側係合部によるハウジングの係合箇所への係合が解除されることを防止することができる。
さらに、上述した押圧力F2が付与された場合であっても、下側係合部の近傍において、カバー部材に設けられた突起片がハウジングの嵌合孔に嵌合されていることから、押圧力F2によりカバー部材が取付面部に押し当てられることで、カバー部材に取付面部に沿って下方へ移動させる力が作用しても、カバー部材の下端部が下側係合部のハウジングの係合箇所への係合位置を支点とするように撓むことを防止することができるので、カバー部材の下側係合部によるハウジングの係合箇所への係合が解除されることを防止することができる。これにより、カバー部材の上端部がハウジングに対して下方へと移動することを防止することができ、上側係合部によるハウジングの取付面部の各係合孔への係合が解除されることを防止することができる。
また、車両に取り付けられるとともにミラーを保持するハウジングと、該ハウジングに装着可能とされたカバー部材とを備える車両用サイドミラーであって、前記ハウジングには、前記カバー部材の取り付けのための取付開口と、該取付開口の内方側で全周に渡る取付フランジ部と、該取付フランジ部に連続しつつ前記取付開口の上半分を塞ぐ取付面部と、該取付面部を開口する係合孔と、該係合孔の下方の位置で前記取付フランジ部を開口する嵌合孔と、が設けられ、前記カバー部材には、上方へ向けて突起する上向係合爪を有し前記係合孔に係合可能な上側係合部と、下方へ向けて突起する下向係合爪を有し前記取付フランジ部のうちの前記係合孔の下方の位置に係合可能な下側係合部と、前記ハウジングの前記嵌合孔に嵌合可能とすべく前記車両の後方へ向けて突起する突起片とが設けられていることとすると、カバー部材の上半部をハウジングの取付面部に対向させかつカバー部材の周縁部をハウジングの取付フランジ部に面当接させるとともに、上側係合部をハウジングの取付面部の係合孔に係合させかつ下側係合部をハウジングの取付フランジ部に係合させることにより、カバー部材をハウジングに容易に装着することができる。
また、上述した押圧力F1が付与された場合、ハウジングの取付フランジ部における係合孔の下方の位置に設けられた嵌合孔が、カバー部材の下側係合部が係合されるハウジングの取付フランジ部における係合孔の下方の位置と近接することとなり、この嵌合孔にカバー部材の突起片が嵌合されていることから、カバー部材の下端部がハウジングに対して上方へと移動することを防止することができる。このため、カバー部材の下側係合部によるハウジングの取付フランジ部への係合が解除されることを防止することができる。
さらに、上述した押圧力F2が付与された場合であっても、下側係合部の近傍において、カバー部材に設けられた突起片がハウジングの取付フランジ部に設けられた嵌合孔に嵌合されていることから、押圧力F2によるカバー部材を取付面部に沿って下方へ移動させる力によりカバー部材の下端とハウジングとの当接箇所を支点としてカバー部材の下端部がハウジングから離間するように撓むことを防止することができるので、カバー部材の下側係合部によるハウジングの取付フランジ部への係合が解除されることを防止することができる。このため、カバー部材の上端部がハウジングに対して下方へと移動することを防止することができ、上側係合部によるハウジングの取付面部の各係合孔への係合が解除されることを防止することができる。
上記した構成に加えて、前記カバー部材は、適切に装着された状態において、上半部が前記取付面部に近接して対向しつつ、周縁部が前記取付フランジ部に面当接していることとすると、上述した押圧力F1もしくは押圧力F2によるハウジングに対するカバー部材の移動を取付フランジ部に沿うものとすることができることから、押圧力F1もしくは押圧力F2に対して、ハウジングの取付フランジ部の嵌合孔とカバー部材の突起片との嵌合による脱落防止の効果をより確実なものとすることができる。
上記した構成に加えて、前記カバー部材は、全体に凹状に湾曲された板状を呈し、凹状とされた面が前記ハウジングに対向するように該ハウジングの前記取付開口に嵌合されて前記ハウジングに装着されることとすると、車両用サイドミラーの外方からカバー部材に付与された押圧力を、当該カバー部材を互いに連続する取付面部および取付フランジ部により構成される曲面に沿って移動させるような力として当該カバー部材に作用させることができる。このため、下側係合部の近傍で、カバー部材に設けられた突起片を、ハウジングの取付フランジ部に設けられた嵌合孔に嵌合させることで、カバー部材の下端部がハウジングに対して当該曲面に沿って移動することを防止することにより、外方からカバー部材に押圧力が付与された場合でもカバー部材の下側係合部によるハウジングの取付フランジ部への係合が解除されることをより確実に防止することができる。
本発明に係る車両用サイドミラー10は、図1に示すように、車両Cの両側に設けられ、乗員特に運転手による後側方の確認のために用いられる。
図1は、本発明に係る車両用サイドミラー10が車両Cに搭載された様子を示す模式的な斜視図である。図2は、右側にハウジング11を示し、左側にカバー部材12を示す模式的な斜視図であり、図3は、図2のI−I線に沿って得られた断面図であり、図4は、車両用サイドミラー10の作用を説明するために図3と同様の断面図で示す説明図である。
ここで、以下の説明では、車両Cに搭載された車両用サイドミラー10が使用される状態(図1参照)における、車両用サイドミラー10の高さ方向H、厚さ方向T(ミラーと直交する方向)、幅方向W(車両Cから延出される方向)を用いる。また、車両Cの両側に設けられる車両用サイドミラー10は、本実施例では左右で対称的な構成とされていること以外は等しい構成であることから、以下の説明では、乗員から見て左側に取り付けられる車両用サイドミラー10について説明し、他方の説明は省略する。
車両用サイドミラー10は、図1に示すように、ハウジング11にカバー部材12が装着されて一体的な外形を形成するように構成され、そのハウジング11が車両Cのフロントドア等の車体パネルC1に取り付けられたベース部材13に回動可能に支持されている。本実施例では、ハウジング11およびカバー部材12は、ABS樹脂により射出成形されて形成されている。なお、車両用サイドミラー10は、本実施例では、車体パネルC1に取り付けられたベース部材13にハウジング11が支持されることにより車両Cに取り付けられているが、ハウジング11が直接またはシャフト等を介して車両Cに取り付けられる構成であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
この車両用サイドミラー10は、本実施例では、単なるミラーとしての機能のみを有するものであるが、全体に統一された外形でありながら一部が互いに異なる構成とされた複数の仕様の設定が可能であり、後述するターンランプ等の補助警戒灯30が設けられている仕様の車両用サイドミラー10´(図5および図6参照)の設定が可能な構成とされている。
ハウジング11は、図2および図3に示すように、厚さ方向Tの前方側に凸でありかつ後方側の一端(11a)を開放する器状を呈する。ハウジング11は、開放端11aに鏡面14aが位置するようにミラー本体14(図3参照)を保持するものであり、車両用サイドミラー10が使用される状態(図1参照)において、鏡面14aが車両Cの前後方向で見た後方側に臨むこととなる。ハウジング11は、ミラー本体14の裏面側(車両Cの前後方向で見た前方側)に収容空間15を形成する(図3参照)。ハウジング11には、ミラー本体14が保持された面と反対側に位置する面(厚さ方向Tで見た前側)に、取付開口16が設けられている。この取付開口16に嵌合されるように、ハウジング11にカバー部材12を装着することで車両用サイドミラー10が形成される。この取付開口16が設けられた面を、ハウジング11におけるハウジング側対向面17とする。このハウジング11は、ハウジング側対向面17を構成する前壁部が幅方向Wで見て車両Cから離間するに連れて後側へと湾曲されており、ハウジング側対向面17では、車両Cから最も離間する自由端近傍に位置決め傾斜面18が設けられている。
ハウジング11の取付開口16は、その開口縁部が車両用サイドミラー10の外表面に位置する。この取付開口16には、その内方側で全周に渡って取付フランジ部19が設けられている。この取付フランジ部19は、取付開口16に嵌合されるカバー部材12に適合するように湾曲された面を形成すべく取付開口16の内方へと延出する板状を呈し、形成する面でカバー部材12の後述するカバー側対向面24の周縁部と面当接可能とされている。
ハウジング11には、取付フランジ部19に連続しつつ取付開口16の上半分を塞ぐように曲面で形成された取付面部20が設けられている。取付面部20は、カバー部材12が適切にハウジング11に装着された状態において当該カバー部材12の後述するカバー側対向面24の上半分と僅かな間隔を置いて対向可能な板状を呈し、3つの係合孔21が設けられている。各係合孔21は、断面が矩形状を呈し、取付面部20を貫通している。
また、ハウジング11では、取付面部20の下方に、取付面部20から凹とされた(取付面部20よりもミラー本体14側すなわち厚さ方向Tの後方側に突出する(図3参照))設置部22が設けられている。この設置部22は、後述する車両用サイドミラー10´(図5および図6参照)に設けられる補助警戒灯30としての補助警戒灯具31が設置される箇所となる。この設置部22には、補助警戒灯具31の取り付けのための2つのネジ孔22aと、2つの係合用切欠孔23とが設けられている。この両係合用切欠孔23は、カバー部材12の後述する左位置下側係合部261および中間下側係合部262の係合を可能とすべく設置部22の下端を開口するものであり、左位置下側係合部261および中間下側係合部262に対応する位置に設けられている。この両係合用切欠孔23は、個別に示す際には、対応する左位置下側係合部261および中間下側係合部262に合わせて、図3を正面視して右側から係合用切欠孔231、係合用切欠孔232とする。
この取付開口16に嵌め込まれるカバー部材12は、全体に凹状に湾曲された板状を呈し、取付開口16に嵌合するようにハウジング11に装着可能とされている。このカバー部材12は、ハウジング11に装着されると、当該ハウジング11と協働して、内方に収容空間15を形成する。
カバー部材12では、凹状とされた面がハウジング11への装着側となり、この面をカバー側対向面24とする。カバー部材12は、その周縁部が、ハウジング11の取付開口16を形作る開口縁部に一致する形状とされている。このカバー部材12は、カバー側対向面24の周縁部をハウジング11の取付開口16の取付フランジ部19に面当接させつつ、カバー側対向面24の上半部をハウジング11の取付開口16の取付面部20に近接して対向させるように、ハウジング11の取付開口16に嵌合することができ、ハウジング11と協働して一体的な外形を形成する。この状態では、カバー側対向面24の上半部と、ハウジング11の取付開口16の取付面部20とが、互いに沿って延在している。
また、カバー部材12のカバー側対向面24には、3つの上側係合部25と、4つの下側係合部26とが設けられている。
各上側係合部25は、上方へ向けて突起する上向係合爪25aを有する。この各上側係合部25は、本実施例では、厚さ方向Tの後方へ向けて突出する板状部材が上側に向けてU字状に折り返されて先端部が前方へ向けて延在する構成とされており、その先端部に上向係合爪25aが設けられている。このため、各上側係合部25は、上向係合爪25aと基部との間で、厚さ方向Tおよび高さ方向Hに対して積極的に弾性変形可能とされている。この各上側係合部25は、ハウジング11に設けられた各係合孔21のうちの対応するものに挿通可能とされており、その挿通状態で当該係合孔21を構成する上壁部21aに後方および下方から当接するように係合可能である。
下側係合部26は、本実施例では、図3を正面視して左側下方に位置する左位置下側係合部261と、カバー部材12の中間部に位置する中間下側係合部262および中間下側係合部263と、右側方に位置する右位置下側係合部264とがある。
左位置下側係合部261は、厚さ方向Tで見た後方へ向けて突起する突起片の先端部に、上方へ向けて突起する上向係合爪261aが設けられて構成されている。左位置下側係合部261は、ハウジング11に設けられた係合用切欠孔231を挿通した状態で当該係合用切欠孔231を構成する上壁部231aに後方および下方から当接するように係合可能である。この左位置下側係合部261の近傍には、厚さ方向Tで見た後方へ向けて突起する位置決め突起27が設けられている。位置決め突起27は、ハウジング11のハウジング側対向面17に設けられた位置決め傾斜面18に当接可能とされており、この当接状態であるとハウジング11に対するカバー部材12の位置決めがなされ、左位置下側係合部261がハウジング11の係合用切欠孔231に適切に係合する。
また、右位置下側係合部264は、厚さ方向Tで見た後方へ向けて突起する突起片の先端部に、幅方向Wの内側(車両C側)へ向けて突起する内向係合爪264aが設けられて構成されている。この右位置下側係合部264は、ハウジング11の取付フランジ部19において、幅方向Wの内側(車両C側)で高さ方向Hに沿って立ち上がる位置に、後方および外側(車両用サイドミラー10の自由端側)から当接するように係合可能である。
さらに、中間下側係合部262および中間下側係合部263は、厚さ方向Tで見た後方へ向けて突起する突起片の先端部に、下方へ向けて突起する下向係合爪262a、263aが設けられて構成されている。中間下側係合部262は、ハウジング11に設けられた係合用切欠孔232に挿通可能とされており、その挿通状態で取付フランジ部19に後方および上方から当接するように係合可能である。中間下側係合部263は、ハウジング11の取付フランジ部19において、設置部22よりも幅方向Wの内側(車両C側)の下側で幅方向Wに沿って延在する位置に、後方および上方から当接するように係合可能である。
本発明に係る車両用サイドミラー10では、上記した構成に加えて、図2に示すように、ハウジング11に2つの嵌合孔28が設けられるとともに、カバー部材12に2つの突起片29が設けられている。
カバー部材12の2つの突起片29は、中間下側係合部262の近傍位置(個別に述べるときは292とする。)と、中間下側係合部263の近傍位置(個別に述べるときは293とする。)とに設けられている。両突起片29は、厚さ方向Tで後方へ向けて突起する板形状を呈し、中間下側係合部262および中間下側係合部263の突起方向に沿うものとされている。
ハウジング11の2つの嵌合孔28は、2つの突起片29に適合する位置で取付フランジ部19に設けられている。このため一方の嵌合孔282は、ハウジング11において係合用切欠孔232の近傍位置で取付フランジ部19を開口しており、他方の嵌合孔283は、取付フランジ部19において、設置部22よりも幅方向Wの内側(車両C側)の下側で幅方向Wに沿って延在する位置で取付フランジ部19を開口している。この両嵌合孔28は、対応する突起片29と略同形状とされた凹所であり、対応する突起片29を略隙間なく受け入れることが可能とされている。
車両用サイドミラー10では、カバー部材12のカバー側対向面24をハウジング11のハウジング側対向面17に対向させ、カバー部材12のカバー側対向面24の周縁部をハウジング11の取付フランジ部19に面当接させつつカバー部材12のカバー側対向面24上半部をハウジング11の取付面部20に対向させるように、カバー部材12をハウジング11に宛がう。そして、カバー部材12の位置決め突起27をハウジング11の位置決め傾斜面18に当接させ、カバー部材12の各上側係合部25をハウジング11の対応する各係合孔21(その上壁部21a)に係合させ、カバー部材12の左位置下側係合部261をハウジング11の係合用切欠孔231(その上壁部21a)に係合させ、カバー部材12の右位置下側係合部264をハウジング11の取付フランジ部19に係合させ、カバー部材12の中間下側係合部262をハウジング11の係合用切欠孔232内で取付フランジ部19に係合させ、カバー部材12の中間下側係合部263をハウジング11の取付フランジ部19に係合させる。これにより、カバー部材12をハウジング11に適切に装着することができる。このように、カバー部材12がハウジング11に適切に装着されると、車両用サイドミラー10では、カバー部材12の突起片292がハウジング11の嵌合孔282に嵌合し、カバー部材12の突起片293がハウジング11の嵌合孔283に嵌合している。このため、車両用サイドミラー10では、カバー部材12をハウジング11に容易に装着することができる。特に、本実施例の車両用サイドミラー10では、各上側係合部25が上向係合爪25aと基部との間で厚さ方向Tおよび高さ方向Hに対して積極的に弾性変形可能とされていることから、カバー部材12のハウジング11への装着をより容易なものとされているとともに、装着状態における取付強度がより高められている。
次に、この車両用サイドミラー10における作用を説明する。ここで、以下の説明では、図2のI−I線に沿って得られた断面図である図3および図4を用いて、カバー部材12の突起片292およびハウジング11の嵌合孔282での作用のみを説明するが、カバー部材12の突起片293およびハウジング11の嵌合孔283も同様の構成であることから同様の作用するものであり、実際の車両用サイドミラー10では、両突起片29および両嵌合孔28が協働することにより効果的に下記の作用が生ずる。
車両用サイドミラー10では、図3に示すように、幅方向で見た中間領域において、例えば、人が手で押す等のように不測の押圧力F1もしくは押圧力F2が付与された場合であっても、カバー部材12がハウジング11から脱落することが防止されている。ここでいう押圧力F1は、カバー部材12の下端部を下方から斜め後方へ押し上げるような力であり、押圧力F2は、カバー部材12の上端部を上方から斜め前方へ押し下げるような力である。これは以下のことによる。
押圧力F1が付与された場合、図4(a)に示すように、カバー部材12の中間部が撓みつつカバー部材12の下端部がハウジング11に対して上方へと移動しようとする(二点鎖線で示すカバー部材12参照)。このようにカバー部材12の下端部がハウジング11に対して上方に移動すると、カバー部材12の中間下側係合部262による、ハウジング11の係合用切欠孔232内での取付フランジ部19への係合が解除されてしまう。ところが、車両用サイドミラー10では、中間下側係合部262の近傍において、カバー部材12の突起片292がハウジング11の嵌合孔282に嵌合していることから、カバー部材12の下端部がハウジング11に対して上方へと移動することを防止することができる。このため、車両用サイドミラー10では、押圧力F1が付与された場合であっても、カバー部材12の中間下側係合部262によるハウジング11の係合用切欠孔232内での取付フランジ部19への係合が解除されることを防止することができるので、カバー部材12がハウジング11から脱落することを防止することができる。
また、押圧力F2が付与された場合、図4(b)に示すように、押圧力F2によりカバー部材12が取付面部20に押し当てられることで、カバー部材12には取付面部57に沿って下方へ移動させる力として作用し、カバー部材12の下端とハウジング11との当接箇所を支点としてカバー部材12の下端部がハウジング11から離間するように撓みつつカバー部材12の上端部がハウジング11に対して下方へと移動しようとする(二点鎖線で示すカバー部材12参照)。このようにカバー部材12の下端部が撓みつつ上端部がハウジング11に対して下方に移動すると、カバー部材12の中間下側係合部262による、ハウジング11の係合用切欠孔232内での取付フランジ部19への係合が解除されてしまう。ところが、車両用サイドミラー10では、中間下側係合部262の近傍において、カバー部材12の突起片292がハウジング11の嵌合孔282に嵌合していることから、カバー部材12の下端部が下方へ移動することを防止することができるので、カバー部材12の下端とハウジング11との当接箇所を支点として当該カバー部材12の下端部がハウジング11から離間するように撓むことを防止することができる。このため、車両用サイドミラー10では、押圧力F2が付与された場合であっても、カバー部材12の中間下側係合部262によるハウジング11の係合用切欠孔232内での取付フランジ部19への係合が解除されることを防止することができるので、カバー部材12がハウジング11から脱落することを防止することができる。
このように、車両用サイドミラー10では、カバー部材12の上半部がハウジング11の取付面部20に近接して対向しているとともに、カバー部材12の周縁部がハウジング11の取付フランジ部19に面当接していることから、押圧力F1もしくは押圧力F2によるハウジング11に対するカバー部材12の移動を取付フランジ部19に沿うものとすることができる。このため、カバー部材12の突起片292がハウジング11の嵌合孔282に嵌合させる構成とするとともに、カバー部材12の突起片293がハウジング11の嵌合孔283に嵌合させる構成とすることにより、押圧力F1もしくは押圧力F2が付与された場合であっても、カバー部材12のハウジング11からの脱落を防止することができる。
特に、本実施例の車両用サイドミラー10では、カバー部材12において凹状とされたカバー側対向面24が、ハウジング11において凸状とされたハウジング側対向面17に対向されて、当該カバー側対向面24の上半部がハウジング11の取付面部20に近接して対向している(互いの面が近接しつつ沿って延在している)とともに、当該カバー側対向面24の周縁部がハウジング11の取付フランジ部19に面当接していることから、当該車両用サイドミラー10の外方からカバー部材12に付与された押圧力は、当該カバー部材12を互いに連続する取付面部20および取付フランジ部19により構成される曲面に沿って移動させるような力として当該カバー部材12に作用することとなる。ここで、カバー部材12の中間下側係合部262の近傍で突起片292がハウジング11の嵌合孔282に嵌合しているとともに、カバー部材12の中間下側係合部263の近傍で突起片293がハウジング11の嵌合孔283に嵌合していると、カバー部材12の中間下側係合部262の近傍およびカバー部材12の中間下側係合部263の近傍が、ハウジング11(その取付フランジ部19)に対して、当該曲面に沿って移動することを防止することができる。このため、車両用サイドミラー10では、外方からカバー部材12に押圧力が付与された場合であっても、カバー部材12の中間下側係合部262および中間下側係合部263によるハウジング11の取付フランジ部19への係合を解除するようにカバー部材12がハウジング11に対して移動することを確実に防止することができるので、カバー部材12のハウジング11からの脱落をより効果的に確実に防止することができる。
よって、本発明に係る車両用サイドミラー10では、カバー部材12のハウジング11への容易な装着を可能としつつ、カバー部材12のハウジング11からの脱落を防止することができる。
ここで、本実施例の車両用サイドミラー10では、図5および図6に示すように、上記したカバー部材12とは異なる構成のカバー部材12´を用いることにより、異なる仕様の車両用サイドミラー10´とすることができる。この車両用サイドミラー10´では、上記したものと同様のハウジング11に、補助警戒灯30が設けられてカバー部材12´が装着されて構成されている。
車両用サイドミラー10´では、ハウジング11取付開口16の設置部22に補助警戒灯具31が設置される。補助警戒灯具31は、ターンランプとして機能すべく点灯部31aが点滅制御されるものであり、設置部22に設けられたネジ孔22a(図2参照)に図示を略すネジ部材が螺合されることにより設置部22に取り付けられる。この補助警戒灯具31には、図示は略すが、車両用サイドミラー10´が車両Cに搭載された際、車両Cの電装品と統括制御する制御部との電気的な接続のための接続端子が設けられており、車両用サイドミラー10´が車両Cに搭載される際に当該接続端子が車両Cの制御部に通じる接続端子に接続される。
カバー部材12´は、その基本的な構成は上記したカバー部材12と同様であるので、同一機能部分にはカバー部材12と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。カバー部材12´には、補助警戒灯具31の点灯部31aを受け入れ可能な切欠部32が設けられている。この切欠部32は、補助警戒灯具31が設置部22に取り付けられたハウジング11に対してカバー部材12´が適切に装着されると、補助警戒灯具31の点灯部31aに3方から当接するように当該点灯部31aに嵌合する。
このカバー部材12´は、切欠部32で補助警戒灯具31の点灯部31aを受け入れるように、カバー側対向面24をハウジング11のハウジング側対向面17に対向させ、ハウジング側対向面17の周縁部をハウジング11の取付フランジ部19に面当接させつつハウジング側対向面17の上半部をハウジング11の取付面部20に対向させるように、ハウジング11に宛がわれる。そして、カバー部材12´の位置決め突起27をハウジング11の位置決め傾斜面18に当接させ、カバー部材12´の各上側係合部25をハウジング11の対応する係合孔21(その上壁部21a)に係合させ、カバー部材12´の左位置下側係合部261をハウジング11の係合用切欠孔231(その上壁部231a)に係合させ、カバー部材12´の右位置下側係合部264をハウジング11の取付フランジ部19に係合させ、カバー部材12´の中間下側係合部262をハウジング11の係合用切欠孔232内で取付フランジ部19に係合させ、カバー部材12´の中間下側係合部263をハウジング11の取付フランジ部19に係合させる。これにより、カバー部材12´をハウジング11に適切に装着することができる。すると、ハウジング11の取付開口16の設置部22に設置された補助警戒灯具31の点灯部31aが、カバー部材12´の切欠部32から露出されて、補助警戒灯30を有する車両用サイドミラー10´が形成される(図6参照)。
この車両用サイドミラー10´では、カバー部材12´には切欠部32が設けられているが、この切欠部32には補助警戒灯具31の点灯部31aが嵌合されていることから、カバー部材12´では、当該カバー部材12´の延在方向に沿う力に対しては上記したカバー部材12と同様の作用が生じる。このため、車両用サイドミラー10´では、図6に示すように、幅方向で見た中間領域において、例えば、人が手で押す等のように不測の押圧力F1もしくは押圧力F2が付与された場合であっても、上記した車両用サイドミラー10と同様に、カバー部材12´がハウジング11から脱落することが防止されている。
なお、上記した実施例では、ハウジング11に設けられた取付開口16にカバー部材12を嵌め込む構成とされていたが、カバー部材12がハウジング11に装着されることにより一体的な外形を形成するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、カバー部材12において、中間下側係合部262の斜め下方に突起片292が設けられ、かつ中間下側係合部263の斜め下方に突起片293が設けられていたが、カバー部材12の中間下側係合部262の近傍およびカバー部材12の中間下側係合部263の近傍が、ハウジング11(その取付フランジ部19)に対して、その曲面に沿って移動することを防止することができるように、カバー部材12の中間下側係合部262の近傍で突起片292がハウジング11の嵌合孔282に嵌合するとともに、カバー部材12の中間下側係合部263の近傍で突起片293がハウジング11の嵌合孔283に嵌合するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。、例えば、単一の下側係合部に対して複数の突起片が設けられていてもよく、また、下側係合部の下方に突起片が設けられていてもよい。
さらに、上記した実施例では、カバー部材12の中間下側係合部262の近傍で突起片292がハウジング11の嵌合孔282に嵌合しているとともに、カバー部材12の中間下側係合部263の近傍で突起片293がハウジング11の嵌合孔283に嵌合している構成とされていたが、下向係合爪が設けられた下側係合部の近傍位置でカバー部材の突起片がハウジングの嵌合孔に嵌合する構成であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、カバー部材12には3つの上側係合部25と4つの下側係合部26とが設けられ、各上側係合部25および各下側係合部26がハウジング11の各所に係合することにより、カバー部材12がハウジング11に装着される構成とされていたが、幅方向で見た中間位置において、上向係合爪が設けられた上側係合部と下向係合爪が設けられた下側係合部とがハウジングの各所に係合することにより、カバー部材がハウジングに装着される構成とされていればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、上側係合部25が厚さ方向Tの後方へ向けて突出する板状部材が上側に向けてU字状に折り返されて先端部が前方へ向けて延在し、その先端部に上向係合爪25aが設けられた構成とされていたが、係合孔21を構成する上壁部21aに後方および下方から当接するように係合可能な構成であれば、例えば、先端部に上方へ向けて突起する上向係合爪261aを有する左位置下側係合部261のような構成であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。