JP5151362B2 - 冷却装置およびそれを備えた電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、パーソナルコンピュータ(以下PC)等に使われるマイクロプロセッシングユニット(以下、MPUと略す)等の発熱する半導体、またはその他の発熱部を有する電子部品を冷却するのに用いられる冷却装置およびそれを備えた電子機器に関するものである。
近年、電子機器においては半導体等の電子部品の高集積化、動作クロックの高周波数化等に伴う発熱量の増大に対して、電子部品の正常動作の為に、それぞれの電子部品の接点温度を動作温度範囲内に如何に保つかが大きな問題となってきている。特に、MPUの高集積化、高周波数化はめざましく、動作の安定性、また動作寿命の確保などの点からも放熱対策が重要な問題となっている。
しかし、従来のようにヒートシンクとファンを組み合わせた空冷方式では高発熱量の電子部品に対しては能力不足の場合が多くなりつつある。そこで、例えば(特許文献1)に示すような冷媒を循環させる、より能力の高い高効率の冷却装置が提案されている。
一般に、MPU等の高発熱量の発熱体を冷却するには、受熱部で吸収した熱を広い面積を有する放熱部から空気へ放熱する方法が採られている。
ここで(特許文献1)〜(特許文献3)に示される従来の技術を図16、図17を用いて説明する。
図16は従来の冷却装置の構成図と受熱部構造図である。通常、このような冷却装置は、図16(a)に示すようにMPU81から熱を除去する受熱部82と受熱部82で熱を受け取った冷媒を輸送する流路86と冷媒を動かすポンプ85および冷媒から熱を放熱する放熱部83から構成されている。その主な冷却原理は、同図のようにMPU81で発生した熱が、受熱部82の内部へ伝わり内部に循環する冷媒と熱交換することにより冷媒の温度が上昇する。次に、その冷媒がポンプ85により流路86を通って放熱部83へ輸送され、放熱部83の温度を高める。次に高温となった放熱部83の表面へ放熱部搭載のファン84から空気が送られ熱交換されることで空気中へ放散される方法が採られている。
近年では、電子部品の小型化(製造プロセスの細線化)に伴い発熱体その物のサイズも小さくなる傾向にあり、単位面積当たりの熱密度は、増加の一途をたどっている。そのため、冷却装置の冷却性能は、受熱部と放熱部の両方の性能で決定されるが、特に受熱部の高性能化が大きな課題となっている。これは、例えば100Wの熱を発生する面積100平方mmの発熱体を仮に冷却できていた冷却装置でも、発熱面積が、電子部品製造プロセスの細線化によって50平方mmへ減少した場合には熱密度が2倍になるため吸熱性能の不足が発生し、同じ冷却装置では冷却できないことを意味している。
また、前記した図16(a)の様な冷媒が循環する方式の受熱部82では、図16(b)のような流路86がブロック状の受熱部82を貫通する構造が採用されている。受熱部82は高い熱伝導率を有する金属(例えば、銅、アルミなど)で構成されており、この中を冷媒が循環する流路を設けることで性能を高める工夫がされている。しかし、この場合でも熱が、受熱部82内部で金属から冷媒へ熱交換される効率は、流路86の内壁の面積に大きく依存するため、単純に受熱部内部に配するだけでは、受熱面積が少なく十分な性能が得られない場合が多い。そして、今後の発熱体サイズの縮小で更に性能不足が顕著になると考えられる。
そこで、受熱部の吸熱性能を更に高める方法として、考案された他の従来の技術が(特許文献2)などに示される、図17の様なヒートパイプを採用した方式である。ヒートパイプは離れた場所に熱を高速移動させる特長を持っている。冷却しにくい場所にある熱を引き出し、冷却が容易に行える所に無動力でしかも高速度で熱伝達が可能である。ヒートパイプの熱伝達速度は銀の数千倍で、熱の超伝導体とも称される。ヒートパイプは真空の金属容器中に封入された作動液の蒸発・凝縮サイクルを応用したもので、僅かな温度差でも作勤し、冷却、加熱、均熱等に幅広く利用できる。図17に示す例は、この発明の電子部品の冷却装置をノートブック型パソコンに適用した例である。本適用例は本発明における冷却装置の適用例としてもほぼ同様な構成となるので幾分詳細に説明する。パソコンケース90は、プラスチックパネルあるいはマグネシウム合金などの金属パネルによって形成された平板状を成す中空容器である。このパソコンケース90の図17での上面部には、回動軸を中心とした所定範囲内で自在に開閉するディスプレイ(図示せず)が備えられている。パソコンケース90の内部には、冷却装置91が配置されている。冷却装置91には、銅あるいはその合金等の金属からなる受熱ブロック92が設置されている。この受熱ブロック92における上面部は、平坦面を成していて、そこにはMPUなどの電子部品93が密着状態で取り付けられている。更に受熱ブロック99における下面部には、円弧状断面の取付溝94が形成されている。この取付溝94の内部には、ヒートパイプ95が添わされた状態で取り付けられており、前記取り付けられたヒートパイプ95の端部が蒸発部96となっている。なお、ヒートパイプ95としては、一例として銅製コンテナの内部に純水を封入したものが採用されている。ヒートパイプ95の他方の端部には、ヒートシンク97が取り付けられている。ヒートシンク97は、ヒートパイプ95が熱授受可能に連結されるベースプレート98と、そのベースプレート98に一体に組み付けられた多数枚の放熱フィン100とを備えている。より具体的には、ベースプレート98は、銅などからなる直方体を成すブロックである。またベースプレート98の下面部における幅方向での中央部分には、長さ方向に向けて取付溝101が形成されている。また、前記の部品類は、フレーム109上に配置されている。この取付溝101の内部には、ヒートパイプ95の一端部が添わされた状態で取り付けられており、この端部が凝縮部102となっている。これに対して、ベースプレート98の図17での上面部には、平板状を成す多数枚の放熱フィン100が垂直に起立した状態で取り付けられている。ヒートシンク97の近傍には、ファン103が設置されていて、適宜の手段によってパソコンケース90に対して固定されている。このファン103は、設置状態での厚さ(高さ)がヒートシンク97の高さよりも小さい設定の中空平板状のハウジング104と、ハウジング104の内部に収容された回転駆動するブレード105とを備えたいわゆる横型軸流ファンが採用されている。ハウジング104における図17での上面部には、円形状に開口した吸込口106が形成されており、またハウジング104における同図での一側面部には、矩形状に開口した吐出口107が形成されている。またブレード105は、その駆動軸108を吸込口106の中心軸線と同軸上に揃えた状態にハウジング104に組み付けられている。このファン103は、吐出口107をベースプレート98の図17での側面部に対して平行に対向させた姿勢で配置されている。つまり各放熱フィン100の側縁部に吐出口107が対向している。また吐出口107の長さ方向での両縁部は、ベースプレート98の長さ方向での両縁部に対して揃えられている。したがって、ファン103を駆動させると、パソコンケース90の内部の空気が、ハウジング104の内側に入込むとともに、吐出口107からヒートシンク97に向けて供給され、各放熱フィン100同士の間ならびにベースプレート98の上面部を通過してパソコンケース90の外部に送り出される。したがって、上記の装置によれば、パソコンの使用に伴って電子部品93が動作することにより生じた熱は、受熱ブロック92に伝達される。前記熱伝達の際、フレーム109と接触している受熱ブロック92が、フレーム109を形成しているアルミニウムより熱伝導性の高い銅によって形成されているので、大部分の熱が受熱ブロック92に移動する。伝達された熱は更にヒートパイプ95の蒸発部96に伝達される。それに伴ってヒートパイプ95の両端部において温度差が生じ、ヒートパイプ動作が自動的に開始される。即ち内部に封入してある純水などの作動流体が蒸発し、その蒸気が温度の低い凝縮部102に流動してベースプレート98の取付溝94の内面に対して放熱する。前記熱伝達の際、フレーム109と接触しているベースプレート98が、フレーム109を形成しているアルミニウムより熱伝導性の高い銅によって形成されているので、大部分の熱がベースプレート98に移動する。このような過程を経てベースプレート98に供給された電子部品93の熱は、更に各放熱フィン100に伝達される。なお放熱して凝縮した前記作動流体は、ヒートパイプ95のうち蒸発部96に向けて流下し、電子部品93の熱によって再度蒸発する。ヒートシンク97の保有する熱は、各放熱フィン100同士の間ならびにベースプレート98の上面部に沿って流れる空気流Aに伝達される。その高温の空気流Aは、パソコンケース90の外部に排出される。この方式の場合、同図のように受熱部96に一端を接するようにヒートパイプが配置され、その他端はフィン上の放熱器に接した構造となっており、図16(b)に比べ遙かに大きな熱交換能力が確保されるため、より高い吸熱性能が得られる構成とされている。更に加えてヒートパイプは、伝熱性能などの機能を一層改善するため、本体の構造を変えることにより解決することが要求されている。
その第一は伝熱性の向上である。ヒートパイプは、一定の伝熱量(最大熱輸送量)を越えると作動液のドライアウトが起こり、円滑な熱伝熱ができない。そこで、作動液の流路の工夫、蒸発部の構造の工夫、ループ化など、構造の改善で最大熱輸送量を向上させる工夫が行われている。
その一例として、(特許文献3)に示すような発熱体に作動液をかけ、その蒸気によって循環するループ型ヒートパイプがある。
また、ヒートパイプで発熱素子の放熱を行う際、発熱体と熱接触の良い構造でないと、円滑な放熱が行えない。このため、ヒートパイプを偏平化したり、平板型にしたりして、容易に発熱体と熱接触を図る工夫などが行われている。
ノートパソコンや小型デスクトップ向けの製品では、薄型の筐体に実装できる冷却システムの構造(平板型)が求められ、更にその平板型ヒートパイプを安価に作るための構造の工夫も要求されている。ヒートパイプは、水平設置や蒸発部が上になるように設置(トップヒート)すると、著しく伝熱性能が低下する。この欠点を補うための構造や、ヒートパイプ同士を伝熱接続する構造も要求されている。ヒートパイプの主要な構成要素は、容器(コンテナ=金属管)とウィックと作動液である。容器は、銅またはアルミを使用する場合が多いが、高温用、耐食用などの要求からステンレスを用いたものや、特殊用途として電気絶縁型として2重管の一方を電気絶縁性にしたものや、セラミックス管のものも出願されている。容器の形状・構造ではコルゲート加工や、偏平型や平板型にする要求があり、最近ではノートパソコン等用に、偏平型や平板型のニーズが高まっている。ウィックは毛細管力で作動液の循環を図るもので、金属ワイヤのメッシュやコイル、多孔性金属などが用いられるが、ウィックレスにして容器の内面にグルーブ加工(溝加工)をしたものも多く用いられる。
更にヒートパイプの機能や性能を一層高めるため、種々の新しい原理のヒートパイプが考案されている。伝熱性能(最大熱輸送量)を高めることは、最大の課題である。ループ型ヒートパイプは伝熱性能を一層高めるため考案されたが、その伝熱性能を一層高めるため、ポンプなど循環機構を流入した強制循環型ヒートパイプはその一例である。
特開平10−213370号公報 特開2003−229689号公報 特開2003−302178号公報
しかしながら、半導体等の電子部品では、更なる高性能化の進展等によって益々発熱が大きくなるか、または、熱密度が上昇するという傾向にあることは前記した通りであり、図16の従来の冷却装置を用いた場合では、十分な冷却を行うことが困難な場合も出て来ている。これらの問題に対応することを考慮して考案されたのが図17に示す冷却系へのヒートパイプの採用であり、高性能を確保するため前述のような工夫が採用されている。
しかし、この構成でも、ある程度までの熱密度を有する熱交換部で作動液の蒸発量を増やし性能を向上させることはできるが、それ以上の熱密度を有する装置ではドライアウトが防げず性能が低下するという問題が出てくる。これを防ぐためには作動液を高圧のポンプを用いて高圧噴流としで蒸発受熱面に噴きつける方式が提案されているが、本発明が対象とするPC用冷却装置などへの高圧ポンプ搭載は、信頼性確保のための保守作業の実行性や装置の規模が大きくなるなどの問題が生じる。
本発明は上記の課題を解決するもので、発熱体から発生した熱を効率的な作動液の蒸発により移動させるための受熱部の最大性能を引き出し、冷却性能に優れた冷却装置およびそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
本発明の冷却装置およびそれを備えた電子機器は、作動液の循環によって冷却する冷却装置であって、外壁の一面に発熱体を設け前記外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、前記受熱部に前記作動液を注入する作動液流入管と、前記外壁の一面に対応する内壁の熱によって注入された前記作動液が蒸気となり前記蒸気を排出する蒸気排出管と、前記受熱部より上方に設けられ蒸気排出管が運搬した前記蒸気の熱を放出する放熱器と、を備え、前記作動液流入管の開口部は前記外壁の一面に対応する内壁と対向して近接し、前記作動液流入管の開口部近傍の作動液の流れを前記外壁の一面に対応する内壁表面に近づけることよって前記外壁の一面に対応する内壁の表面近傍に作動液の流れを起こさせ、前記作動液流入管の開口部と前記外壁の一面に対応する内壁との隙間は、0.07mm〜0.2mmであることを特徴とするものである。
本発明によれば、作動液流入管の開口部を外壁の一面に対応する内壁と対向して近接させ、作動液流入管の開口部近傍の作動液の流れを外壁の一面に対応する内壁表面に近づけることより、外壁の一面に対応する内壁の表面近傍に作動液の流れを起こし、外壁の一面に対応する内壁表面に滞留する作動液をなくすので、発熱体の熱によって外壁の一面に対応する内壁表面に生じる蒸気泡の成長を抑止でき、その結果、蒸気泡によって外壁の一面に対応する内壁表面の作動液の蒸発を阻害することがなく、受熱部の吸熱特性を高め、冷却装置の性能を向上させることができる。
請求項1記載の発明によれば、作動液の循環によって冷却する冷却装置であって、外壁の一面に発熱体を設け外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、受熱部に作動液を注入する作動液流入管と、外壁の一面に対応する内壁の熱によって注入された作動液が蒸気となり蒸気を排出する蒸気排出管と、受熱部より上方に設けられ蒸気排出管が運搬した蒸気の熱を放出する放熱器と、を備え、作動液流入管の開口部は外壁の一面に対応する内壁と対向して近接し、作動液流入管の開口部近傍の作動液の流れを外壁の一面に対応する内壁表面に近づけることよって外壁の一面に対応する内壁の表面近傍に作動液の流れを起こさせ、前記作動液流入管の開口部と前記外壁の一面に対応する内壁との隙間は、0.07mm〜0.2mmであることを特徴とするものである。
これにより、作動液流入管の開口部を外壁の一面に対応する内壁と対向して近接させ、作動液流入管の開口部近傍の作動液の流れを外壁の一面に対応する内壁表面に近づけることより、外壁の一面に対応する内壁の表面近傍に作動液の流れを起こし、外壁の一面に対応する内壁表面に滞留する作動液をなくすので、発熱体の熱によって外壁の一面に対応する内壁表面に生じる蒸気泡の成長を抑止でき、その結果、蒸気泡によって外壁の一面に対応する内壁表面の作動液の蒸発を阻害することがなく、受熱部の吸熱特性を高め、冷却装置の性能を向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置において、作動液流入管の開口部は、作動液を外壁の一面に対応する内壁に向けて垂直に当てるように配置されていることを特徴とするものである。
これにより、作動液を外壁の一面に対応する内壁に向けて垂直に当てるように配置されていることにより、外壁の一面に対応する内壁に対する作動液流入管の開口部の距離が開口部の全領域にわたって一定になり、外壁の一面に対応する内壁に対する作動液流入管の開口部から注入される作動液の流れによる力が開口部の全領域にわたって均等となって、外壁の一面に対応する内壁表面に滞留する作動液および蒸気泡をなくすので、作動液を注入する開口部の面積に対して、作動液および蒸気泡の滞留がない内壁表面の面積を大きくすることができ、作動液流入管から注入される作動液の流れを効率的に利用して、冷却装置の性能を向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置において、発熱体を受熱部の下に配置し、蒸気排出管の開口部が箱型の受熱部の内部に入込むことを特徴とするものである。
これにより、発熱体を受熱部の下に配置し、蒸気排出管の開口部が箱型の受熱部の内部に入込むことにより、発熱体の熱によって蒸発する作動液の蒸気圧によって受熱部内の圧力が高まり、受熱部内の水位を蒸気が排出される蒸気排出管の開口部まで押し下げ、受熱部内に存在する作動液の量を減少させて作動液の蒸発を促進するので、受熱部の吸熱特性を一層向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置において、発熱体を受熱部の横に配置することを特徴とするものである。
これにより、発熱体を受熱部の横に配置しても、外壁の一面に対応する内壁に対して、作動液流入管の開口部から作動液が注入され、外壁の一面に対応する内壁表面に滞留する作動液および蒸気泡をなくすので、受熱部の吸熱特性を高めることができ、冷却装置の性能を向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置において、外壁の一面に対応する内壁は、作動液流入管の開口部側の周囲を囲んで放熱フィンを設けていることを特徴とするものである。
これにより、外壁の一面に対応する内壁に、作動液流入管の開口部側の周囲を囲んで放熱フィンを設けたことにより、外壁の一面に対応する内壁の表面積が増加し、作動液が受熱部からより多くの熱を吸収するので、作動液の蒸発を促進して、受熱部の吸熱特性を一層向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の冷却装置において、作動液流入管の周囲に円環状の蒸気排出管を設けたことを特徴とするものである。
これにより、作動液流入管の周囲に円環状の蒸気排出管を設けたことにより、外壁の一面に対応する内壁表面に滞留する蒸気泡を作動液流入管の周囲に設けられた蒸気排出管から速やかに排出するので、外壁の一面に対応する内壁表面の作動液の蒸発を蒸気泡によって阻害することがなく、受熱部の吸熱特性を向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれかに記載の冷却装置を電子機器の冷却に用いることができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における冷却装置をPC筐体内に配置した状態の構成を示す断面図である。
図1において、重力方向は下向きである。1はMPUでマザーボード2上に他の図示しないPC部品と共に搭載されていて、本発明の冷却装置はMPU1に対接するよう配置されている。本発明の冷却装置は、受熱部3と放熱部4、および作動液およびその蒸気を受熱部3から放熱部4まで循環させる管路5a、放熱部4から受熱部3に作動液を循環させる管路5b、更に管路5bの途中には受熱部3から作動液の逆流を防ぐ逆止弁6がある。
ここで、受熱部3にMPU1を設けた面を受熱面3aとし、管路5bの受熱部3側の開口部であって、受熱面3aの近傍にあり、作動液を供給する作動液流入口9、受熱部3内部で発生した蒸気を受熱部3より管路5aに導く蒸気排出口10から構成される。
以上、この管路5a、管路5bに係わる循環系をループ型ヒートパイプという。このループ型ヒートパイプには真空ポンプなどによりほぼ真空にされた状態で適当な量の作動液が注入されている。このとき作動液の一部は蒸発してそのときのループ型ヒートパイプ内の温度で気液が平衡状態となる。
ここで、作動液として純水を用いことが一般的であるが、性能向上を目的として純水にエチルアルコール等を添加してもよい。
なお、装置内の接液部には高真空状態に純水が組み合わされた状態で腐食しにくいものが求められる。また、系内に非凝集性のガスが存在するとその多くは放熱部4に集積し、そこでの非凝縮性ガスの分子濃度が高まる。そうなると蒸気として存在する作動液の分子濃度が相対的に薄くなり放熱部4の内壁に接触する頻度が下がって、結果として凝縮の妨げとなる。そのため、比較的高温な真空下に長時間あっても非凝縮性のガスが発生しない材料が接液部に使われるのが望ましい。作動液として純水を用いた場合、熱伝導性も優れることもあり一般には銅が使われることが多い。
なお、一部樹脂部品も使用可能で、具体例としてPTFE(四フッ化エチレン樹脂)を代表とするフッ素系樹脂などがあげられる。また、銅などを接液部に薄くコーティングした樹脂部品も使用可能である。
放熱部4の外部には多数枚の放熱フィン7があり、これらの放熱フィン7に対しの回転するファン8により生じた外部空気の流れが吹き付けられる。
以下、本発明における実際の冷却過程を説明する。まず作動液流入口9よりもたらされた低温の作動液が受熱部3内のMPU1直上の熱せられた受熱面3aで蒸発し蒸発潜熱を吸収する。この構成によれば、受熱面3aとMPU1の距離が最小の位置に低温の作動液が供給されることとなるので、この部分の熱抵抗が最小に抑えられる。
このとき作動液の液面は受熱面3aより上方、図1においては放熱部4内の空洞内の矢印Bで示される最下部付近にあるため、この作動液の液面から作動液流入口9に至るまでの水頭差分の圧力をもって受熱面3a表面に滞留する作動液を流動させる。つまり、受熱面3a上の作動液は常に入れ替わりながら受熱面3aに接触して沸点以上に昇温した部分が蒸発して蒸気となる。また、MPU1からの熱は受熱面3aに全体に伝わり、受熱面3a全体で作動液に対する伝熱が発生する。
図1において、発生した蒸気は気泡として作動液中を上昇し受熱部3内の空間に滞留するか蒸気排出口10を通過して直接受熱部3から放熱部4に向かう管路5aに入り矢印A方向に上昇する。蒸発することで作動液は気体となるがその体積変動は大きく仮に純水0.1gが10kPaで平衡したヒートパイプ中で気化すると体積比は単純計算では最終的には15000倍ほどとなる。
ただし、この体積変動はミクロ的に見ると急激に起こる訳ではなく受熱面3a上で生じた発泡核周りの力学的均衡が破綻しない状態で徐々に体積変化が進行し蒸気の気泡が生成するので爆発的なものではなく、また、周囲の作動液に対する熱交換も発生するので幾分かは凝縮するので体積比は前述ほどではなく結果的には数100倍程度となる。同時に放熱部4において、放熱部4の内部に設けられた空洞の壁面で受熱部3には蒸気から液体への凝縮が起こるので蒸気とは逆の急激な体積の減少が起こることとなる。
したがって管路5aで受熱部3と放熱部4は連結されているにも係わらず圧力差が発生する。それに伴い、受熱部3から放熱部4に向かって蒸気が高速に移動する。この蒸気流により、蒸気排出口10付近の作動液を蒸気と作動液の混合物として蒸気排出口10内に移動する。
その後、図1に示すように作動液は蒸気流によって管路5a中を放熱部4に向かって移動する。本発明においては循環する作動液および蒸気の流れを阻害しないようにして循環量を大きく確保するため、管路5aの太さを作動液の表面張力により充填閉塞しない太さとしている。そのため、作動液は水滴状、もしくは管壁上を波状になって押し流され、放熱部4までの管路5aを気液二層流として移動する。
そのため、冷却装置内を循環する作動液の量を増加させるので、冷却装置の受熱量を増加させることができる。
ここで、従来のウィックの毛細管力によって作動液を移送するループ型ヒートパイプでは、冷却装置内の作動液を循環する量には限界があり、そのため冷却装置の受熱量を増加させることが困難であった。
そこで、冷却装置内を循環する作動液を増加させ、冷却装置の受熱量を増加させるものあり、この冷却装置にはポンプ、センサ、バルブ等の必要としていた。
これに対して、本発明は、上記ポンプ、センサ、バルブ等を必要とすることなく、気液二相流として移送させることで、冷却装置内を循環する作動液の量を増加させ、安定的に作動液を受熱面3aに供給するので、冷却装置の受熱量を増加させることができる。
なお、前記のように放熱部4での蒸気の凝縮に伴って受熱部3と放熱部4との間に圧力差が生じるが、逆止弁6の働きにより逆流しないことから、作動液流入口9からは受熱部3内の蒸気はほとんど出て行かない。
管路5aより放熱部4に入った蒸気は外部のファン8と放熱フィン7により冷やされた内壁に接触することにより冷やされ、図1に示すように壁面上に凝縮し熱を壁面に放出する。
このとき凝集前後の作動液の体積比は前述したように大きく、凝縮時には急速に体積変動が起こるため受熱部3から放熱部4に向かう管路5a中の蒸気の速度はかなり高速なものとなる。
前記のように壁面からの熱は放熱フィン7に伝わり外部の空気流に放熱される。凝集して液体に戻った作動液は放熱部4の最下部に集まりそこからまた受熱部3に向かい流出する。
なお、凝縮した作動液は放熱部4の内壁に付着しているときから放熱部4内に滞留している間にも冷却されるため、系内の平衡温度よりも更に低い温度となり放熱部4から受熱部3へ管路5bを通って流入することとなる。
以上のようにして作動液が蒸発および凝縮することでMPU1の動作で発生した熱は結果として大気中に排出される。
ここで、沸騰様式による伝熱性能を図2を用いて説明する。図2は、一般的な沸騰様式による伝熱性能を示した図である。
本実施例における吸熱特性と同意である伝熱性能(単位面積あたりの伝熱量、W/m2)は核沸騰領域(図2中BからD)においては受熱面3a温度と作動液の温度差に比例して上昇し、核沸騰から遷移沸騰領域に変移するところ(図2中D)でピークを持つ。また、遷移沸騰領域は膜沸騰領域に移行するところ(図2中E)までは幾分かの伝熱性能の低下は見られるものの対流伝熱領域(図2中AからB)および核沸騰領域(図2中BからD)に比べ高い伝熱性能を示す。よって受熱面3a温度を一定の範囲内で低く抑えつつ高い伝熱性能を維持するには遷移沸騰領域前の核沸騰領域を維持するのが理想である。つまり、過熱した受熱面3aのごく近傍に温度の低い作動液を絶えず流動させた状態とし、発生した蒸気泡が大きくなって合体、膜状とならないように気泡が小さいうちに受熱面3a上から移動させるような構成とすることで装置の高性能化が実現する。
特に前記のような熱密度の高いMPUを冷却しようとした場合、ループ式ヒートパイプ内の蒸発温度よりも受熱面3aが過熱しているのが普通である。よってそこにおける蒸発は激しく、蒸発様式としては膜沸騰領域に近い状態となりうる。しかし、本発明の構成によれば受熱面3aに常に安定して作動液が供給されるため、完全な膜沸騰状態への移行が受熱面3aにおける熱密度がかなり高くなるまで阻害されるので装置の性能が向上できる。
以下、図3(a)、図3(b)、図4および図5を用いて、作動液流入口9の開口と受熱面3aの関係について説明する。
図3(a)および図3(b)は、本発明と異なり、作動液流入口9の開口と受熱面3aが離間して設けられた場合の従来の例であり、図3(a)は、本発明の実施例1によらない場合の冷却装置の受熱部動作の初期状態を示す断面図、図3(b)は、本発明の実施例1によらない場合の冷却装置の受熱部動作定常状態を示す断面図である。
図3(a)においては、作動液は作動液流入口9の開口より受熱部3内の空洞部に流入するが、流入面積が大きいため流入速度も低く、矢印で示されるようにすぐに周囲に広がるため、受熱面3a付近で面に沿うような流れは起きず大部分は蒸気排出口10より受熱部3の外へ発生蒸気とともに排出される。そのため受熱面3a付近では流れはほぼ滞った状態に近く、受熱面3aで発生した蒸気泡は受熱面3aに付着した状態で膨張し易い。
その後、時間が経過すると図3(b)に示すように受熱面3aにおいて発生した蒸気の気泡は隣り合った気泡が合体し、その結果、受熱面3aでは膜状の蒸気が壁面に付着し頻繁には移動しない前述した膜沸騰状態となる。受熱面3a上の蒸気膜は周囲の作動液の流動や膜内部の蒸気圧の変動により振動しており、それに伴い蒸気膜内にあった受熱面3aが作動液に接する部分が生じてそこで少量ながら新たな蒸気が発生する。つまり主な蒸気発生部はMPU1の直上ではなくその周囲の温度が低い部分からの蒸発となる。
また、蒸気自体は熱伝達係数が低いので蒸気泡内の対流伝熱による周囲の作動液の温度上昇も阻害する。これらのことから、結果として受熱面3aにおける熱抵抗に代表される吸熱特性が悪化してしまう。この状態では熱抵抗が大きいためMPU1の温度が高い状態で維持されることになるためPCを安定して稼動させるには発生する熱量を抑えて温度を下げる必要がある。そのため、MPU1の処理能力を下げるなどの対策が必要となり不都合が生じる。
そこで、図4に示すように本発明では作動液流入口9の開口と前記受熱面3aとの隙間を狭くし近接させるように構成し、上記のような膜沸騰状態に移行することを回避できる。このような構成としたことにより、放熱部4で冷やされた作動液をほぼそのままの温度を保ちつつ、受熱面3aの近傍にある程度の圧力を掛けた状態で運ぶことができる。そうすると、受熱面3a付近で面に沿うような流れが起きるので、受熱面3aのごく近傍に温度の低い作動液を絶えず流動させた状態とし、発生した蒸気泡が大きくなって合体、膜状とならないように気泡が小さいうちに受熱面3a上から移動させることができる。
図5に本発明の冷却装置と従来の冷却装置の受熱面3aの近傍における作動液および蒸気泡の挙動を示す。図5(a)は、本発明の実施例1によらない場合の受熱面近傍における作動液および蒸気泡の挙動を模式図、図5(b)は、本発明の実施例1における冷却装置の受熱面近傍における作動液および蒸気泡の挙動を模式図である。
従来の冷却装置では図5(a)に示されるように、作動液流入口9から流入された作動液は、受熱面3aの表面近傍まで達することはなく、受熱面3aから離れた部分を流れる。
そのため、作動液の流速は受熱面3aの表面近傍ではほぼ0であり、作動液流入口9から流入された作動液の流れによって、受熱面3aの表面の作動液を押し流すことができず、受熱面3aの表面の作動液は滞留し、図3(b)のように受熱面3aの表面に蒸気泡のかたまりが生成され、これによって受熱面3aでの作動液の蒸発を阻害し、受熱面3aの吸熱特性を悪化させていた。
これに対して、本発明の冷却装置は、図5(b)のように、作動液流入口9を受熱面3aに近接させているため、作動液流入口9から流入される作動液は、受熱面3aの表面近くを流れる。
そのため、作動液の流速は、受熱面3aの表面近傍で0とはならず、作動液流入口9から流入された作動液の流れによって、受熱面3aの表面に滞留した作動液に流れが生じることとなり、これによって、受熱面3aで発生した作動液の蒸気泡は滞留せず、作動液の蒸発を阻害することなく、受熱面3aの吸熱特性を向上させることができる。
具体的には、図5(b)において作動液流入口9から受熱面3aに対し垂直に流入された作動液は受熱面3aに沿う方向に流れの方向を変え、受熱面3aと作動液流入口9との隙間へと流れる。受熱面3aに沿う流れの中には当然、作動液の粘性の影響で受熱面3aの近傍に境界層が存在する。境界層内の速度分布は図中に示されたようになっており壁面上での速度はほぼ0で、そこでは受熱面3aより作動液に熱伝達が直接行われており、そこでの圧力により決まる沸点を超えた作動液は蒸発し小さな蒸気泡となる。蒸発により周囲の受熱面3aや作動液から多量の潜熱を奪うため、対流伝熱に比べ極めて大きな熱伝達率が得られる。発生した直後より蒸気泡はその内部の圧力により容積が徐々に膨張し上記の境界層の厚さに対し十分な大きさとなると、境界層内にある速度差によるせん断力を大きく受けるようになると同時に受熱面3aから離れ作動液中に放出される。更に、常に供給される作動液の流れにより、発生した蒸気泡は直ちに受熱面3a上から押し流される。
更にこの構成によれば、熱密度が大きく受熱面3aの温度が高い場合でも温度の低い作動液が効率よく受熱面3aに接触することから受熱面3aにおける熱密度が大きい場合でも対流伝熱によっても受熱面3aおよび発生した蒸気泡からも熱を作動液に吸収することができる。それにより蒸発様式が膜沸騰まで至らない領域で蒸発が継続することとなり、前述の通り、良好な吸熱特性を得ることができる。これより隙間が大きくなると流れ場が変化し、作動液の流れが図3(a)に近い状態となって受熱面3aの近傍では作動液が動かず、作動液流入口9の開口に大きな淀みを生じる。そうすると前述したようにその部分の作動液の温度が受熱面3aよりの伝熱で上昇し少量ずつ作動液は蒸発するものの作動液の入れ替わりは起こらず、膨張した気泡が受熱面3aを覆うことで作動液が受熱面3aに接することができなくなる。結果としてそれ以上の蒸発が非常に起こりにくい状態となる。
また、開口は受熱面3aに対し平行であることが望ましくこのように構成すると作動液は受熱面3aに対し垂直に流入されるので、前記のように受熱面3aに沿う方向に流れの方向を変え受熱面3aと作動液流入口9との隙間へと流れる作動液の流れ場は軸対象に極めて近づくので発生した気泡が偏ることなく流出していき滞留を起こさない。開口が極端に片方が離間していると作動液の流れに偏りが大きく生じ、発生した気泡が偏り結果として局所的に滞留を起こし性能が低下する。ただし、作動液の流れが受熱面3aの面心を通る法線に対し概略軸対象となるようであれば開口は受熱面3aに対し平行な平板状である必要はなく、例えば開口中心に対し点対称な形状の切込みを有するような開口部であってもよい。
本実施例では、作動液の流れによって受熱面3a表面に発生した蒸気泡を押し流すように作動液流入口9と受熱面3aとを近接するようにしているが、作動液流入口9と受熱面3aとの隙間と受熱部3の熱抵抗との関係について図6に示す。
図6において、0.1mm程度が、熱抵抗が小さく、それ以下でもそれ以上でも熱抵抗が大きくなることが判る。また、0.2mm以上は離れた状態になると熱抵抗は急激に悪化する。これは、前述のように0.2mm以上離れた状態では前述の理由で流入された温度の低い作動液が受熱面3aの表面に挿入されることがなくなり、特に受熱量が大きい受熱面3aの熱密度が高い場合には膜沸騰状態に移行しているからである。
また、本実施例の条件では境界層の厚さは0.07mm程度であり受熱面3aとの隙間が境界層厚さとほぼ同じとみられる0.07mmを割り込むと開口部と受熱面3aの間での流体抵抗が大きくなり、作動液の流量が減少して受熱面3aから対流伝熱で奪う熱量が減少すると同時に、発生した蒸気泡の排出が円滑に行われなくなるので熱抵抗が上昇する傾向が発生していると見られる。よって、冷却性能の向上および安定性向上には作動液流入口9と受熱面3aとの隙間は0.07mm〜0.2mmが有効である。
つまり、作動液流入口9の開口と受熱面3aの隙間は、作動液の境界層の厚さ0.07mmのおよそ3倍以下の範囲であれば、冷却性能の向上および安定性向上を実現できる。
また、本発明においての作動液流入口9の開口は受熱面3aに近接して設けられるため、作動液の表面張力により水膜が開口と受熱面3aの間に形成され外部で生じた蒸気泡の作動液流入口9内への進入を防ぎ、より安定した受熱面3aへの作動液の供給を実現できる。
なお、受熱部3において受熱面3aと対向する面を近接させ、受熱部3の厚さを薄くし作動液流入口9と受熱面3aとの隙間を狭くすることで、上記効果が得られるが、本実施例では、作動液流入口9を受熱部3に入込むようにしている。
これにより、受熱部3の構造によらず作動液流入口9は受熱部3に近接しており、内壁の近傍に作動液流入口9を近づけつつ受熱部3の内部体積を大きくすることが出るので、冷却装置内の作動液の量を増加させることができ、その分、発熱体の熱量変動が大きくても作動液が受熱部から無くなるのを防ぐことができ、その結果、熱量変動が大きい発熱体の冷却についても、受熱部の吸熱特性を高め、冷却装置の性能を向上させることができる。
(実施例2)
次にさらなる吸熱特性の向上に向けた改善策を、図7を使って説明する。なお、図7において実施例1と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1のものを援用する。
図7において、蒸気排出口10は受熱部3の内部に入込み受熱面3aの近傍にあり、図7(a)は、本発明の実施例2における冷却装置の稼動前の断面図、図7(b)は同実施例における冷却装置の動作図である。
図7(a)において、MPU1が発熱していない場合には、受熱部3内の水位はある一定の位置にあり、この状態では、蒸気排出口10は完全に水没した状態になっている。
ここで、MPU1が発熱し始めると、作動液の蒸発が始まり、蒸発した作動液は蒸気排出口10から排出される一方、受熱部3の上方の空間にも溜まり始める。
すると、蒸発した作動液によって受熱部3内の圧力Pが高まり、その圧力Pによって、蒸気とともに受熱部3内にある作動液が蒸気排出口10から排出され、受熱部3内の作動液の水位を押し下げ始める。この状態が進むと、受熱部3内部の作動液の量が少なくなり、作動液の蒸発が促進される。
特に、受熱部3内の作動液の水位が、蒸気排出口10の位置まで押し下げられると、受熱面3a表面に作動液の薄い層を維持しつつ、作動液の蒸発を効果的に促進する。
仮に、蒸発した作動液によって作動液の水位が押し下げられ、作動液の水位が蒸気排出口10より下になった場合であっても、受熱部3内部にある蒸気のみが蒸気排出口10から受熱部3内の圧力Pによって排出されて、受熱部3内部の圧力Pが下がり、圧力Pによって押し下げられていた水位が蒸気排出口10の位置まで上昇する。
そのため、MPU1が発熱し始めて一定の時間が経過すると、図7(b)に示すように受熱部3内の圧力Pと作動液の水位がほぼ一定となり、受熱部3内の作動液の水位は、蒸気排出口10の位置まで押し下げられた状態で安定する。
これにより、MPU1を受熱部3の下に配置した場合、蒸気排出口10が受熱部3の内部に入込むことにより、MPU1の熱によって蒸発する作動液の蒸気圧によって受熱部3内の圧力Pが高まり、受熱部3内の水位を蒸気排出口10まで押し下げ、受熱部3内に存在する作動液の量を減少させて作動液の蒸発を促進するので、受熱部3の吸熱特性を一層向上させることができる。
また、作動液の水位が蒸気排出口10より下になった場合であっても、受熱部3内部にある蒸気が蒸気排出口10から排出されて、受熱部3内部の圧力Pを下げ、圧力Pによって押し下げられていた水位を蒸気排出口10の位置まで回復することにより、受熱部3内の作動液の水位は蒸気排出口10の位置に向けて収束するので、受熱面3a表面に作動液の薄い層を維持しつつ、作動液の蒸発が促進される状態を安定して継続することができる。
具体的には、図7(b)において、図4との相違は作動液流入口9と同様に蒸気排出口10も受熱面3aの近傍にあることである。前述のように作動液流入口9から流入した作動液は受熱面3aに接触し昇温、沸騰し蒸気となるのは同様である。
前述した通り発生した蒸気の体積は大きくかつ放熱部に対し圧力差も生じるので、蒸気排出口10開口付近での流速は非常に高いものとなる。したがって図6のように構成すると蒸気排出口10の開口位置で沸騰に至らない作動液は蒸気流に伴われて速やかに蒸気排出口より押し出される。よって受熱部3内の作動液の液面は蒸気排出口10の開口位置とほぼ同じ高さを保つこととなる。つまり作動液が受熱面3aおよびその周囲に厚く滞留せず薄い層状を維持した状態を保ちながら常に入れ替わることになる。
図4の受熱面3aにおいては発生した蒸気泡が浮力により受熱面3aより上昇しそれに伴い周囲の作動液が新たに受熱面3aに接触し昇温・蒸発するという過程で熱交換が行われるのに対し、図7(b)に示す受熱部3では作動液中を発生した蒸気が上昇する過程はなく、受熱面3aの近傍にある水膜からすぐに上方の空間に放出される。つまり、蒸気気泡の排出が迅速に行われるようになる。また、水膜状であることから単位面積あたりの昇温時間が短くなりより多くの蒸気の発生が可能となる。
つまり、受熱面3aで発生する蒸気の圧力Pによって受熱部3内の水位を押し下げ、受熱面3aでの作動液の蒸発を促進する。
また同時に、周囲に広がる蒸気間に対する作動液の界面には当然ながら表面張力が発生することになるので蒸気として放出されたあとの薄くなった水膜部分には周囲の厚い水膜部分から速やかに作動液が補給されることになり更に効率的に蒸気発生が可能となることで良好な吸熱特性を得ることができる。
(実施例3)
また、吸熱特性を向上させるために放熱フィンを設けた場合について図8を用いて説明する。なお、実施例1と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1のものを援用する。
図8は、本発明の実施例3における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図である。本実施例では作動液流入口9の中心軸を中心とする概略放射状にフィン12を配置した上、作動液流入口9の中心軸を中心とする円周上にそれぞれのフィン端部が位置するようにフィン12を受熱面3aと一体に構成されている。
フィン12の上端は受熱部内部の受熱面3aに対向する面に対し十分な間隔を持ちフィン12の間で蒸気が発生してもその排出を妨げないよう構成される。
このような構成とすることで、発生した蒸気の放出を妨げない範囲で受熱面3aの面積を拡大し多くの熱を作動液に伝達しより多くの蒸気を発生させ吸熱性能を向上させることができる。なお、本実施例ではフィン12は作動液流入口9を中心とする放射状に配置されているが配置はこれに限定されるものではない。
(実施例4)
図9(a)、図9(b)に作動液流入口9の周囲に円環状の蒸気排出口10を設けた場合について説明する。なお、実施例1と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1のものを援用する。
図9(a)は、本発明の実施例4における冷却装置の受熱部構成を示す断面斜視図、図9(b)は、本発明の実施例4における受熱部内部の作動状態を説明する概念図である。
図9(a)に示すように作動液流入口9の中心軸を中心とする概略放射状にフィン12を配置した上、作動液流入口9の中心軸を中心とする円周上にそれぞれのフィン端部が位置するようにフィン12を受熱面3aと一体に構成されているのは図8に示す実施例と共通である。フィン12の上端は受熱部内部の受熱面3aに対向する面に対し十分な間隔を持ちフィン12の間で蒸気が発生してもその排出を妨げないよう構成されるのも図8に示した実施例と共通である。
このような構成とすることで、前述の通り吸熱性能を向上させることができるが、本実施例では更に断面形状を前記フィン12端部の存在する円周を含む円環状とし、その開口部がフィン12の上面近傍に配置されている。
図9(b)で本実施例における作動状態を説明する。作動液流入口9から流入した低温の作動流体が、フィン12が存在する受熱面3aで蒸発するまでの過程は前述と相違ないまた、余分の作動液が気液二層流として蒸気排出口10より排出されることも同様である。
しかし、本実施例では蒸気排出口10の開口がフィン12の終端近傍のフィン上端から上にわずかに離間して配置されているので余分の作動液は排出に際して一旦はフィン12端部まで還流しなければならない。よって、図に示すようにフィン12の終端部からではほぼ定常的に作動液の液面が上昇した状態となり、フィン12間で起こる蒸発に伴う液面変動も合成されるので、図中の両向き矢印に示されるフィン12間全体を通して液面運動が激しく起こる。
この液面運動によりフィン12を含む受熱面3aの表面における作動液の入れ替わりが促進されるため、作動液への熱伝達率および熱拡散が大きくなりより多くの作動液が蒸発することになり結果として吸熱性能を向上させることができる。
また、熱負荷の急上昇によりドライアウト間際まで受熱面3aの温度が急激に上昇して中央部の作動液が爆発的に蒸発するような場合、受熱面3aの近傍の作動液が吹き飛ばされドライアウトの状態への遷移を早めることになるが、本実施例によれば周囲に存在する作動液を高温の受熱面3aの中央に運搬する効果があるためドライアウトに遷移する危険を最小限に止めることができる。
このようにして多くの作動液を高温部に移動させ蒸発量を増加させながらドライアウトさせずに持ちこたえることができれば、必然的に放熱部での凝縮する量も増加し、作動液の流動が熱負荷の上昇に対応することになる。
つまり、熱負荷の急激な変化に対する耐性が強化できることになる。なお、更に本実施例では蒸気排出口10の開口が円環上に設けられているので各フィン間に前述した蒸発状態を偏りなくかつ確実に再現することができる。
なお、蒸気排出口10を作動液流入口9の周りに円環状に設けることでも、受熱面3aで発生した蒸気泡を速やかに排出し、ドライアウトに急速に遷移することを防止でき、受熱面3aの吸熱特性を高めることができる。
(実施例5)
次に、受熱部3を垂直に設置し稼動させた状態である本発明の実施例5について説明する。なお、実施例1と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1のものを援用する。
ここまでは前提として受熱面3aが重力方向に対し垂直な受熱部に対する実施例であるが、一般的なPC筐体を例にとると筐体内でマザーボードが重力方向に対し平行となる縦状態となるよう設置するか、マザーボードが重力方向に対し垂直となる横状態となるよう設置するかはユーザーにより任意である。
PCの中でもサーバー用途として使われるものに関しては複数台のPCを横状態で積み重ねて設置することが多い。しかし、一般の単独使用されるPCに関しては縦状態の方がPCの設置面積が少なくてすむため、縦状態で設置されることも多い。後者では、マザーボードの面に直付けされるMPU1の受熱面3aは重力方向に平行となるため一般的なPCではその冷却装置内の受熱面3aは重力方向に対し平行となる。
以下、図10〜図12に、図4にて説明した冷却装置の受熱部3を垂直に設置し稼動させた状態を示す。図10は、本発明の実施例5における受熱部3を垂直に設置し稼動させた状態を示す断面斜視図である。なお、図10は内部の説明のため、MPU1および受熱面3aの中心を通りかつ重力方向に平行な面でカットした受熱部3の状態を斜め上方から見た斜断面図である。
図4と同様、図10においても重力方向は下向きである。図10では蒸気排出口10が作動液流入口9の上方になるよう設置した状態を示している。図10では低温の作動液がMPU1直近の受熱面3aに開口した作動液流入口9から入っており図4で説明した状態に近い伝熱状態となる。
そのため、上昇した蒸気泡は受熱部3上方に集まると同時に蒸気排出口10より余分な作動液とともに気液二相流として排出され、冷却装置の受熱部3を垂直に設置した場合においても冷却装置が実現できる。
また、蒸気排出口10を作動液流入口9と平行に配置した場合について図11(a)、図11(b)に説明する。図11(a)は、本発明の実施例5における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図、図11(b)は、本発明の実施例5における受熱部内部の作動液液面の様子を説明する概念図である。図11(a)もMPU1および受熱面3aの中心を通りかつ重力方向に平行な面でカットして斜め上方から見た斜断面図である。図10では蒸気排出口10が作動液流入口9の上方になるように設置されているが図11(a)では蒸気排出口10の開口がMPU1の当接面を水平に平行移動させた領域を含むような高さとなるように設置されている。
前記のように蒸発前後の作動液の体積変化は大きくそれに伴い作動液が動くための液面は大きく波立つこととなる。その様子を図11(b)に示す。図11(b)は作動液流入口9の開口面が紙面に平行になる方向から本実施例の受熱部3を見たものである。前述のように蒸気排出口10の開口が図中に斜線で示すMPU1の当接面を水平に平行移動させた領域を含むような高さとなるように設置されている。
このように構成することで熱密度の高いMPU1直近の受熱面3aがある時点での作動液の液面11aでは液面下に没している。それに対し他の時点での液面11bではMPU1直近の受熱面3aが液面上に出ている。
この2つの液面11aと液面11bの状態はほぼ交互に行き交っていて、受熱面3aが液面上に出ている状態が長く続くことはない。受熱面3aが液面下に没している状態では受熱面3aにおける伝熱様式は図2に示される核沸騰もしくは対流伝熱となる。受熱面3aが液面上に出ている液面11bのときは、受熱面3aの温度は上昇し、そのままでは作動液の沸点を超え過熱された状態となる。ただしすぐに液面11aの状態へと変化する。
つまり、過熱した受熱面3aに低温の作動液が液面移動にともない順次接触することなる。この状態では作動液の蒸発様式は図2における遷移沸騰と核沸騰の境界付近の高熱伝達状態を行き来することとなる。結果として時間平均的に良好な吸熱特性を得ることができる。
図12は、蒸気排出口10が作動液流入口9より下もしくは、受熱部3内部空間の最下部に開口するように設置されているものである。
図12は、本発明の実施例5における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図である。
このような構成においても作動液流入口9から入った作動液が受熱面3aで蒸発、発生した蒸気が蒸気排出口10から作動液を伴い気液二層流で排出するのは基本的に変わらない。
また、蒸気排出口10付近の作動液は蒸気により急速に排出されるため受熱部3の内部に滞留する作動液の時間平均的液面の高さは蒸気排出口10の開口の中心付近となる。よって、作動液流入口9から流入した作動液の流れは図12に示すように開口から受熱面3aに接触、一部は蒸発し蒸気となり残りは下方へ受熱面3aを流れ落ちて底部に集まる。その後、図11(a)の場合と同じく蒸気排出口10付近の作動液は蒸気により急速に排出される。
よって、この実施例では受熱面3aの上の液膜が薄い状態を保ちつつ常に低温の作動液が供給されることとなり、図7に示した実施例2と同様、受熱部3内で作動液中を発生した蒸気泡が上昇する過程はなく、受熱面3aの近傍にある水膜からすぐに上方の空間に放出される。
また、水膜状であることから単位面積あたりの昇温時間が短くなりより多くの蒸気の発生が可能となって結果として吸熱性能が向上する。
なお、本実施例においてはPC筐体の設置方向が決まっていて、処理すべき熱量・熱密度が大きい場合では作動液流入口9を幾分上にシフトしたほうが、MPU1直近の受熱面3aの温度分布が均一化し過熱状態の部分が無くなるので膜沸騰への遷移が起こらず、結果として吸熱性能が向上する。実験的に図10の実施例と図11の実施例を比較した結果、図12の実施例の方が熱抵抗値で0.02℃/W(100W受熱時にMPU表面温度が2℃低い)ほど良いことが実験により確認された。
図13に実験によって得られた受熱面3aと蒸気排出口の各相対的位置における受熱量と熱抵抗の関係を示す。図13は、実験によって得られた受熱面と蒸気排出口の各相対的位置における受熱量と熱抵抗の関係を示す図である。図13中「横」が図9(a)の状態、「上」が図8の状態、「下」が図10の状態での実験結果である。受熱量200Wのときの性能は「下」「横」「上」の順である。各状態とも、受熱量の増大につれ熱抵抗も増大していくが「横」(図11)の状態がほぼ直線的に変化していくのと異なり、「下」(図12)の状態ではある受熱量を超過した時点で急激に性能が劣化する。このことより、急激に熱負荷(受熱量)が増大した場合、図9(a)では受熱部3内に滞留している作動液の液面が熱密度の高いMPU1直近の受熱面3aがある間は作動液の供給が少ないながら続くのですぐには受熱面3aの急激な温度上昇は起こらないが、図12の実施例においては急激に沸騰様式が膜沸騰に遷移しドライアウト状態になると考えられる。よって、図11(a)の方式は急激な熱負荷変動が想定されるが温度上限に余裕がある場合に向き、図12の方式は熱負荷(受熱量)の変動は緩やかであるが熱負荷が比較的高い場合に向く。
そのため、上記3つの構成は、用途に応じて使い分けることができる。
参考
次に、作動液流入口9の構造について図14、図15を用いて説明する。図14は、本発明の参考における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図、図15は、本発明の参考における他形態の冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図である。なお、実施例1と同一構成部分については便宜上同一符号を付し、その具体的説明は実施例1のものを援用する。
ここで、一般には銅などで作られる受熱部を実際に製造する場合、簡単に製造するためには受熱部を少なくとも2分割し別個に鋳造もしくは鍛造などにより製造することとなる。
図14において31は受熱面3aを含む受熱部下部、32は作動液流入口9および蒸気排出口10を一体に備える受熱部上部である。前述のように受熱部下部31と受熱部上部32は別個に製造され、Oリングを介した気密締結や半田付け・溶接・接着などの方法で一体にして冷却装置の一部として稼動する。
このとき、受熱部下部31と受熱部上部32は製作上のいくらかの幾何公差をもつことは避けられず、また歩留まり向上のためその公差は大きいほうが望ましい。そうすると前述のように0.2mm程度が最適とされる作動液流入口9または蒸気排出口10の開口と受熱面3aまで距離を実現するのは調整機構を設けない限り困難である。
そこで本参考例は作動液流入口9を受熱部3の近傍まで延長しない短い形状とした上、作動液流入口9の開口部分を別体の開口部材33として設ける。開口部材33はその受熱面3aの側開口部を前述したような作動液の流れが受熱面3aの面心を通る法線に対し概略軸対象となる開口中心に対し点対称な形状の切り欠きを有するような開口部とし、また少なくとも受熱面3aに対し垂直な方向に可撓性を持つように構成される。作動液流入口9との接合は端部を圧入、半田付け・接着・溶接などにより行う。
材質としては銅もしくは前述のような腐食しない金属、前述のような理由で非凝縮性のガスを発生させない樹脂などが利用可能である。
これを図14に示すような薄板を円筒状としたものの途中を蛇腹状に加工し端面に開口位置に対応する深さまで切り欠き部分を入れ作動液を周囲に対し概ね均等に排出できる構成とすれば、特別な調整機構の使用および調整工程を経ずとも、上記の製作上の幾何公差を吸収した上で前述の作動液流入口9を受熱面3aの近傍で開口した効果が得られる。
よって、本発明の参考例をより簡単な構成および工程で実機に応用可能となり低コストで装置を提供できるとともに装置間の吸熱性能の差も小さくすることになる。
なお、上記の開口部材33の可撓部材としての剛性は必要以上に大きくせず適正な押圧力で受熱面3aに押圧されていることが望ましい。この押圧力が過大であると受熱面3aが変形しMPU1との接触面積が十分に取れなくなりMPU1からの伝熱が阻害され吸熱性能が低下することとなる。
図15は図14の同様の効果を別の構成で実現した例である。図15における本参考例では鍛造により作られる受熱部下部31に開口位置に対応する高さで受熱面3aの上に凸部が設けられている。鍛造による製法ではこの凸部の高さの製造管理は比較的容易であり、幾何公差は十分小さく保たれる。
開口部材33は前述の非凝縮性ガスを発しないある程度の可撓性を持つ樹脂製となっており、受熱部上部32に設けられた凹部に圧入もしくはネジ固定されている。受熱部下部31に受熱部上部32を固定することで、開口部材33の受熱面3aの側端部は受熱部下部31の受熱面3aの上の凸部に当接し適正な隙間を形成することとなる。
この方法によれば図14の例よりも製造コストの安価な樹脂部品を用いて同様の効果を実現できることとなる。なお、図14および図15では作動液流入口9のみについての参考例を説明したが、これらは蒸気排出口10についても応用可能であることはいうまでもない。
本発明の冷却装置およびそれを備えた電子機器によれば、高い吸熱特性を有するので、特にMPU等の高集積化、高周波数化に伴う高発熱量の電子部品の冷却に好適である。
本発明の実施例1における冷却装置をPC筐体内に配置した状態の構成を示す断面図 一般的な沸騰様式による伝熱性能を示した図 (a)本発明の実施例1によらない場合の冷却装置の受熱部動作の初期状態を示す断面図、(b)本発明の実施例1によらない場合の冷却装置の受熱部動作定常状態を示す断面図 本発明の実施例1における本発明の実施例における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面図 (a)本発明の実施例1によらない場合の受熱面近傍における作動液および蒸気泡の挙動を模式図、(b)本発明の実施例1における冷却装置の受熱面近傍における作動液および蒸気泡の挙動を模式図 実験によって得られた受熱面との隙間と受熱量の関係を示す図 (a)本発明の実施例2における冷却装置の稼動前の断面図、(b)同実施例における冷却装置の動作図 本発明の実施例3における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図 (a)本発明の実施例4における冷却装置の受熱部構成を示す断面斜視図、(b)本発明の実施例4における受熱部内部の作動状態を説明する概念図 本発明の実施例5における受熱部3を垂直に設置し稼動させた状態を示す断面斜視図 (a)本発明の実施例5における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図、(b)本発明の実施例5における受熱部内部の作動液液面の様子を説明する概念図 本発明の実施例5における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図 実験によって得られた受熱面と蒸気排出口の各相対的位置における受熱量と熱抵抗の関係を示す図 本発明の参考における冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図 本発明の参考における他形態の冷却装置の受熱部動作状態を示す断面斜視図 (a)従来の冷却装置の構成図、(b)従来の冷却装置の受熱部構造を示す図 従来のヒートパイプを用いた冷却装置の構成図
符号の説明
1 MPU
2 マザーボード
3 受熱部
3a 受熱面
4 放熱部
5a、5b 管路
6 逆止弁
7 放熱フィン
8 ファン
9 作動液流入口
10 蒸気排出口
11a、11b 液面
12 フィン
31 受熱部下部
32 受熱部上部
33 開口部材

Claims (7)

  1. 作動液の循環によって冷却する冷却装置であって、
    外壁の一面に発熱体を設け前記外壁の一面に対応する内壁に熱を伝える箱型の受熱部と、
    前記受熱部に前記作動液を注入する作動液流入管と、
    前記外壁の一面に対応する内壁の熱によって注入された前記作動液が蒸気となり前記蒸気を排出する蒸気排出管と、
    前記受熱部より上方に設けられ蒸気排出管が運搬した前記蒸気の熱を放出する放熱器と、を備え、
    前記作動液流入管の開口部は前記外壁の一面に対応する内壁と対向して近接し、前記作動液流入管の開口部近傍の作動液の流れを前記外壁の一面に対応する内壁表面に近づけることよって前記外壁の一面に対応する内壁の表面近傍に作動液の流れを起こさせ、
    前記作動液流入管の開口部と前記外壁の一面に対応する内壁との隙間は、0.07mm〜0.2mmであることを特徴とする冷却装置。
  2. 前記作動液流入管の開口部は、前記作動液を前記外壁の一面に対応する内壁に向けて垂直に当てるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  3. 前記発熱体を前記受熱部の下に配置し、前記蒸気排出管の開口部が前記箱型の受熱部の内部に入込むことを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  4. 前記発熱体を前記受熱部の横に配置することを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  5. 前記外壁の一面に対応する内壁は、前記作動液流入管の開口部側の周囲を囲んで放熱フィンを設けていることを特徴とする請求項1の冷却装置。
  6. 前記作動液流入管の周囲に円環状の前記蒸気排出管を設けたことを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の冷却装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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