JP4464914B2 - 沸騰冷却方法、沸騰冷却装置および流路構造体並びにその応用製品 - Google Patents
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Description
沸騰現象は一般に以下の如き経過を辿る。
液体中に例えば金属等による「加熱ブロック」の表面を浸漬し、加熱ブロックを加熱してその伝熱面温度を上昇させる。伝熱面温度がある程度まで高くなると、加熱ブロックの伝熱面に「大きさが1mm程度以下の微少な気泡」が発生する。この状態は「加熱ブロックの表面に接する液層部分の温度が飽和温度に達し、上記表面部分で沸騰が生じている状態」である。
このように「熱流束が飽和した状態」は、加熱ブロック表面が「大きな気泡」で覆われた状態となっている。
特許文献2に開示されているのは、主として半導体デバイスを発熱体とする冷却装置であって、2種類のノズルを用い、第1のノズルから低温冷媒液を発熱体に向けて噴射し、発熱体の熱によって沸騰気泡を発生させて「気液2相状態の高温冷媒液」とし、第2のノズルから同じ低温冷媒液を該高温冷媒液に向けて噴射させて急冷し、沸騰気泡を凝縮・消滅させて冷却を行うものである。この冷却方式では「120℃程度の温度領域で200W/cm2程度の熱流束」が得られると考えられ、半導体デバイスのような短い伝熱面の冷却には適するが、より大きな伝熱面の冷却は困難と考えられる。
即ち、本発明の沸騰冷却装置は、被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面(以後、「伝熱面」とも言う。)として、冷却液用の主流路および副流路を冷却面の側から順次形成し、副流路と主流路を隔てる隔壁を貫通して主流路内に突出する複数のノズルを主流路の流路方向に配列し、個々のノズルの先端部を冷却面に近接もしくは当接させたことを特徴とする。
主流路と副流路とには冷却液を流通させ、主流路を流れる冷却液の沸騰により冷却面を冷却するとともに、副流路の側から各ノズルを介して、副流路側の冷却液を冷却面近傍に滲み出るように供給する。
冷却面は、主流路の流路面の一部をなす単一面である。
主流路に流通される冷却液を、主流路を通して一方向へ流し、副流路に流通される冷却液を、副流路を通して「主流路を流れる冷却液と逆向き」に一方向へ流す。
「冷却面が単一面である」とは、後述の具体的な説明に示されたように、主流路の流路面の一部をなす冷却面に、冷却液の流れに対して障壁となるような不連続で大きい凹凸が無いことを意味する。
速で流し、かつ、副流路側からノズルを通して滲み出す状態にして、上記限界熱流束を達成可能としているため、省エネ型で冷却装置の小型軽量化に適した極めて実用的な沸騰冷却方法である。
被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面として、冷却液用の主流路および副流路を、冷却面の側から上記順序に形成する。
副流路と主流路を隔てる隔壁を貫通して主流路内に突出する複数のノズルを主流路の流路方向に配列し、個々のノズルの先端部を上記冷却面に近接もしくは当接させる。
冷却面は、主流路の流路面の一部をなす単一面である。
主流路に流通される冷却液を、主流路を通して一方向へ流し、副流路に流通される冷却液を、副流路を通して「主流路を流れる冷却液と逆向き」に一方向へ流す。
冷却面の表面形状は、主流路・副流路の形成が可能な単一面の形状であれば良く、平面であってもよいしシリンダ面等の曲面であっても良い。勿論、被冷却面が平面である場合には、主流路・副流路の形成が容易である。
冷却液の流れの向きは「主流路と副流路とで同じ向き」としてもよいし、「主流路と副流路における流れの向きを互いに逆向き」にしても良い。冷却液の流れの向きを「主流路と副流路とで互いに逆」にすると、主流路の下流側ほど副流路では上流側となる。アクティブ冷却方法では、サブクールされた冷却液がノズルから主流路へ供給されるが、主流路では下流側ほど冷却液の温度が飽和温度に近づいているので、上記の如く、主流路・副流路で冷却液の流れの向きを逆にし、ノズルの配列密度を主流路の下流側ほど密になるようにし、主流路の下流側ほど副流路からの(サブクール度の大きい)冷却液の供給量を増大させることにより、主流路内の冷却液の温度を有効に低下させ、気泡崩壊の効果を維持することが容易になる。
被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を単一の冷却面として、冷却面に一体的に形成されて冷却液を一方向へ流通させる主流路およびこの主流路に重なるように隔壁を介して一体的に形成されて冷却液を一方向へ流通させる副流路と、副流路側から隔壁を貫通し、先端部が冷却面に近接もしくは当接するように形成された複数のノズルを有する。
「流路構造体」は、被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面として、冷却面に一体的に形成される主流路およびこの主流路に重なるように隔壁を介して一体的に形成される副流路と、副流路側から上記隔壁を貫通し、先端部が冷却面に近接もしくは当接するように形成された複数のノズルとを有するものであり、前記請求項7〜請求項16の任意の1に記載のものが用いられる。
また、請求項17〜21の任意の1に記載の沸騰冷却装置において用いられる冷却液は、請求項6の発明における冷却液と同様「ノズルから滲み出る冷却液や、ノズルから噴出される冷却液により、気泡を微細化あるいは崩壊させることのできるもの」であれば特に制限無く使用することができ、入手容易性、低コスト性、取り扱いの容易性、安全性、化学的・物理的安定性等の観点から、水あるいはアルコール、もしくは、水とアルコールの混合液、またはフッ素系不活性液体が好適である(請求項23)。
また、請求項17〜22の沸騰冷却装置による「冷却の対象物」である被冷却体にも特に制限はないが、前述のように実用的な見地からして、原子炉の炉心部分や、各種の半導体デバイス(例えば、車載用インバータやSi−IGBTインバータ等、Si基板やSiC基板を用いる半導体デバイス)の冷却に対して、この発明の沸騰冷却装置による沸騰冷却は極めて有効である。
上記請求項19記載の沸騰冷却装置でパッシブ冷却方法を実施する場合、例えば、主流路用ポンプと副流路用ポンプの圧力は同じであっても良く、このような場合、主流路用ポンプと副流路用のポンプを「同一のポンプとして共用」することもできる。また、パッシブ冷却方法ではサブクールを必ずしも必要としないので、凝集手段(アクティブ冷却方法ではサブクール手段の少なくとも一部をなす。)の能力を小さくできる。また、パッシブ冷却方法を実施する場合、振動や騒音が少ないというメリットがある。
請求項24記載の発明は「稼動中に熱を発生し該熱の冷却手段を構成要素とする製品」であって、請求項17〜23の任意の1に記載の沸騰冷却装置を冷却手段とする。
請求項24に記載の製品は、発熱体を有する電子素子または発熱体を有する燃料電池であって、沸騰冷却装置を構成する流路構造体の主流路が発熱体の表面に一体的に形成したものであることができる(請求項25)。
請求項24に記載の製品はまた、電子素子と伝熱部材とを主構成要素とする高発熱密度電子機器が搭載された、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置又は鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であって、沸騰冷却装置を構成する流路構造体の主流路が伝熱部材との表面に一体的に形成したことを特徴とするハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置又は鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であることができる(請求項26)。
図1(a)は、請求項21記載の沸騰冷却装置の実施の1形態を要部のみ、説明図として略示している。
図1(a)において、符号obは「被冷却物」を示している。被冷却物obは、例えばインバータ等の半導体デバイスであって発熱源H1、H2、H3等を有し、これら発熱源に接して「放熱手段」であるヒートスプレッダSPが形成されている。即ち、ヒートスプレッダSPは被冷却物obの構成部分であり、ヒートスプレッダSPの外側表面が「冷却面」である。
図1に示す実施の形態において、ノズルNZは、図1(c)に示すように「中空シリンダ状」で、冷却面の表面に近接する先端部も開口部の周囲は平滑な面となっている。図2に示すのは「ノズルの形態の別例」である。
図2に示す3つのタイプのノズルNZa、NZb、NZcは、何れも中空シリンダ状であるが、冷却面に近接する部分に特徴があり、ノズルNZaでは、冷却面に近接する先端部に1以上の微少な貫通孔K1、K2、K3・・を有し、ノズルNZbでは、冷却面に近接するノズル先端部に微細な切欠きKR1、KR2、KR3・・を有し、ノズルNZcでは、冷却面に近接するノズル先端部に微細なスリットSL1、SL2、SL3・・を形成されている(請求項12)。
図3(a)に例示する、流路構造体部分12では、内部は主流路12Aと副流路12Bとに分離されており、主流路・副流路とも「単一流路」である。符号12aは主流路10Aに冷却液を通ずる主流路用管路の「主流路12Aへの連結部」を示す。符号12bは副流路10Bに冷却液を通ずる副流路用管路の「副流路12Bへの連結部」を示す。
図3(b)に例示する、流路構造体部分13では、内部は主流路13Aと副流路13Bとに分離されている。主流路13Aは、冷却面に沿って「冷却液の流れの方向に直交する方向(図の左右方向)」へ、1以上の分離隔壁によりn個の主流路部分13A1、・・13Ai、・・13Anに分離されており(請求項13)、副流路13Bも、主流路13Aとの隔壁に沿って冷却液の流れの方向に直交する方向(図の左右方向)へ、1以上の分離隔壁によりn個の副流路部分13B1、・・13Bi、・・13Bnに分離されている(請求項14)。
即ち、主流路13Aと副流路13Bとは同数の分離隔壁により「整合格子状」に分離されている(請求項15)。
図4(a)に示したのは、図1(b)、(c)に即して説明した場合の例であり、各ノズルNZの先端部が微少な間隙を介して近接する冷却面RSは平滑面である。
図4(b)、(c)に例示するのは、複数のノズルの先端部に対向する冷却面の表面が「微細な凹凸構造」を有し、複数のノズルの先端部が「微細な凹凸構造に当接」する場合(請求項9)である。
図4(b)、(c)に示す例では、冷却面RSb、RScの表面の微細な凹凸構造は、主流路(図面に直交する方向)に沿って形成された細溝の集合である(請求項11)。
図7は制御手段70による制御の様子を説明図として簡単に示している。
制御手段70は「マイクロコンピュータ」である。上には説明しなかったが、図1に示した実施の形態では各種のセンサが用いられ、「冷却面温度」、「主流路入口温度・主流路入口圧力・主流路入口流量・主流路出口温度・主流路出口圧力」、「副流路入口温度・副流路入口流量・副流路出口温度・副流路出口圧力・副流路出口流量」、「凝縮部出口温度・冷却液容器温度・冷却液容器圧力」が検出される。
実施例1
実施例装置の構成は、図1に即して説明した実施の形態を示したのと同様ものである。
図2(c)の切り欠きタイプのノズルと流路構造体の材質としてステンレスを用いた以外、流路構造体の構成が実施例1に記載のものを用いて、パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法を行った。
一方、本発明のアクティブ冷却方法では、副流路の冷却液が連続して強制的に主流路へ供給され、上記の如く、冷却面で発生する微少な気泡は瞬時に「極く微少な気泡」に崩壊される。
このように、本発明のアクティブ冷却方法によると気泡が実質的に成長せず、微少な気泡は瞬時に崩壊されるので、極めて静かな運転状態で冷却を行うことができ、高熱流束冷却を安定して維持することができる。
換言すれば伝熱面上に形成される気泡を大きくなる前に微細化して除熱限界を高め、その結果、伝熱部材の焼損を発生させずにより高温領域での冷却を、かつ「伝熱面の長さがより長いもの」の冷却を可能としたものである。
これに対して、気泡が大きくなってから崩壊させるやり方では、気泡の成長と崩壊が繰り返し生じることになって、本発明のような高熱流束冷却を得ることは出来ないばかりでなく、「かなりの騒音」が発生する。
また、本発明におけるパッシブ法とアクティブ法は、冷却対象である伝熱部材等、必要に応じて別装置とすることもできるが、併用装置にして、圧力調整によって冷却液の供給状態を変化させ、低発熱時には滲み出し状態で行ない、発熱量が高い場合には噴射状態にし、例えば電気自動車における急加速あるいは異常運転によって発熱が急上昇する場合には最大の噴射状態にして行ない、500W/cm2以上の高発熱まで連続的に対応できるものである。
本発明の沸騰冷却装置が適用される技術・製品分野(以下、製品と称する)としては、稼動中に熱が発生しその熱を冷却する冷却手段を構成要素とするものであれば、特に限定されない。
例えば、パソコンのような発熱体を有する電子機器または発熱体を有する燃料電池、ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換インバータ又は鉄道電車あるいは航空機の電力システムの電力変換インバータ等を挙げることができ、従って、本発明の沸騰冷却装置が広い技術分野における伝熱部材(加熱ブロック)の適用可能な、対環境性、対省エネ性の発展性のある技術と言うことができる。
また、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車並びに燃料電池発電装置の電力変換制御装置又は鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置については、電力変換のためのインバータ、電力制御の電子パッケージを含む複数の電子素子および伝熱部材(例えば、ヒートスプレッダ)を主構成要素とする電子機器が搭載され、本発明の沸騰冷却装置は、流路構造体の主流路を伝熱部材の表面に取り付けて一体的に形成した構成とし、製品とすることができる。
このような電子機器としては、一般的に高発熱密度電子機器が用いられており、例えば50kW以上のような高い電力が扱われるので、単位面積当たりの発熱量が多く、発熱密度が100W/cm2以上、さらには300W/cm2にもなることも考えられるが、このような電子機器の冷却に対しても、本発明は好適である。
流路構造体を単独の製品として扱う場合には、沸騰冷却装置の構成要素として設置する際に、被冷却物の大きさ、放熱器の最適取り付け場所、空間余裕によって配管の長さ等を調節することができるが、冷却液が入っていないため、放熱器、送液ポンプ等を含む冷却系を組み上げた時に空気が入らないように冷却液を注入することが必要とされる。
また、沸騰冷却装置を単独の製品として扱う場合には、冷却液容器に冷却液が予め貯留された構成のものであっても、貯蔵されていない構成のものであっても、いずれのものも製品とすることができるが、冷却液容器に冷却液が予め貯留された構成のものの場合には、予め冷却液を封入した状態で扱うことができるので、冷却液液注入と空気抜き作業を省略することができる。
以上のように、本発明の沸騰冷却装置は、広い技術分野における伝熱部材(加熱ブロック)に適用可能な、対環境性、対省エネルギー性に対して発展性のある技術と言うことができる。
10 流路構造体部分(被冷却体obと一体化されて流路構造体をなす。)
10A 主流路
10B 副流路
NZ ノズル
21 冷却液
30 主流路用ポンプ
40 副流路用ポンプ
Claims (26)
- 被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面として、冷却液用の主流路および副流路を、上記冷却面の側から上記順序に形成し、
上記副流路と主流路を隔てる隔壁を貫通して上記主流路内に突出する複数のノズルを主流路の流路方向に配列し、個々のノズルの先端部を上記冷却面に近接もしくは当接させ、
上記主流路と副流路とに冷却液を流通させ、上記主流路を流れる冷却液の沸騰により上記冷却面を冷却するとともに、上記副流路側から各ノズルを介して副流路側の冷却液を冷却面近傍に滲み出るように供給する沸騰冷却方法において、
上記冷却面は、主流路の流路面の一部をなす単一面であり、
上記主流路に流通される冷却液を、上記主流路を通して一方向へ流し、
上記副流路に流通される冷却液を、上記副流路を通して、上記主流路を流れる冷却液と逆向きに一方向へ流すことを特徴とするパッシブ冷却方法。 - 被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面として、冷却液用の主流路および副流路を、上記冷却面の側から上記順序に形成し、
上記副流路と主流路を隔てる隔壁を貫通して上記主流路内に突出する複数のノズルを主流路の流路方向に配列し、個々のノズルの先端部を上記冷却面に近接もしくは当接させ、
上記主流路と副流路とに、予め所定の温度にサブクールした冷却液を、副流路における圧力を主流路における圧力より高めて流通させ、上記主流路を流れる冷却液の沸騰により上記冷却面を冷却するとともに、上記副流路側から各ノズルを介して、副流路側の冷却液を上記主流路と副流路の冷却液の圧力差によって強制的に冷却面近傍に噴出させて供給することを特徴とする沸騰冷却方法において、
上記冷却面は、主流路の流路面の一部をなす単一面であり、
上記主流路に流通される冷却液を、上記主流路を通して一方向へ流し、
上記副流路に流通される冷却液を、上記副流路を通して、上記主流路を流れる冷却液と逆向きに一方向へ流すことを特徴とするアクティブ冷却方法。 - 請求項2記載の沸騰冷却方法において、
冷却面の下流側端部でサブクール度が20K以上となるように、冷却液のサブクール度、流量、主流路と副流路の冷却液の圧力差を設定することを特徴とする沸騰冷却方法。 - 請求項1記載のパッシブ冷却方法と、請求項2または3記載のアクティブ冷却方法とを、冷却条件により、主流路に流通させる冷却液および副流路に流通させる冷却液の圧力差を切り替えることを特徴とする沸騰冷却方法。
- 請求項1〜4の任意の1に記載の沸騰冷却方法において、
ノズルの配列密度を、主流路の下流側ほど密になるようにし、副流路からの冷却液の供給量を、主流路の下流側ほど増大させることを特徴とする沸騰冷却方法。 - 請求項1〜5の任意の1に記載の沸騰冷却方法において、
冷却液が、水あるいはアルコール、もしくは、水とアルコールの混合液、または、フッ素系不活性液体であることを特徴とする沸騰冷却方法。 - 被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を単一の冷却面として、上記冷却面に一体的に形成されて冷却液を一方向へ流通させる主流路およびこの主流路に重なるように隔壁を介して一体的に形成されて上記主流路に流通される冷却液と逆向きに一方向へ冷却液を流通される副流路と、上記副流路側から上記隔壁を貫通して上記主流路内に突設し、先端部が上記冷却面に近接もしくは当接するように形成された複数のノズルとを有する流路構造体。
- 請求項7記載の流路構造体において、
複数のノズルの先端部に対向する冷却面が平滑面であり、上記複数のノズルの先端部が、上記平滑面に、上記ノズル先端部の外径に比して小さい間隙を隔して近接していることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7記載の流路構造体において、
複数のノズルの先端部に対向する冷却面の表面が平滑または、上記ノズルの先端部の大きさに比して微細な凹凸構造を有し、上記複数のノズルの先端部が、上記平滑面に近接もしくは微細な凹凸構造に当接していることを特徴とする流路構造体。 - 請求項9記載の流路構造体において、
冷却面の表面の微細な凹凸構造が、粗面構造であることを特徴とする流路構造体。 - 請求項9記載の流路構造体において、
冷却面の表面の微細な凹凸構造が、環状もしくは螺旋状または主流路に沿って形成された細溝の集合であることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7〜11の任意の1に記載の流路構造体において、
各ノズルの先端部に、上記先端部の大きさに比して微少な、貫通孔、スリット、切欠きの1種以上を、1以上有することを特徴とする流路構造体。 - 請求項7〜12の任意の1に記載の流路構造体において、
主流路が、冷却面に沿って、冷却液の流れの方向に直交する方向へ、1以上の分離隔壁により分離されていることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7〜12の任意の1に記載の流路構造体において、
副流路が、主流路との隔壁に沿って、冷却液の流れの方向に直交する方向へ、1以上の分離隔壁により分離されていることを特徴とする流路構造体。 - 請求項13または14記載の流路構造体において、
主流路と副流路とが、同数の分離隔壁により整合格子状に分離されていることを特徴とする流路構造体。 - 請求項7〜15の任意の1に記載の流路構造体において、
ノズルの配列密度を、主流路の下流側ほど密になるように構成したことを特徴とする流路構造体。 - 被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を単一の冷却面として、上記冷却面に一体的に形成されて冷却液を一方向へ流通させる主流路およびこの主流路に重なるように隔壁を介して一体的に形成されて上記主流路に流通される冷却液と逆向きに一方向へ冷却液を流通される副流路と、上記副流路側から上記隔壁を貫通し、先端部が上記冷却面に近接もしくは当接するように形成された複数のノズルをと有する流路構造体と、
この流路構造体の上記主流路と副流路とに流通される冷却液を上記流路構造体に供給し、上記主流路と副流路とに互いに逆向きに流通させる冷却液供給・流通手段とを有し、
流路構造体として、請求項7〜16の任意の1に記載のものを用いることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項17記載の沸騰冷却装置において、
流路構造体が、請求項14記載のものであり、隣接する流路における冷却液の流れが互いに逆向きに設定されていることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項17または18記載の沸騰冷却装置において、
冷却液供給・流通手段が、冷却液を貯留させる冷却液容器と、主流路を通して上記冷却液容器内の冷却液を一方向へ導液する主流路用管路と、上記冷却液を上記主流路用管路により主流路に流通させる主流路用ポンプと、副流路を通して上記冷却液容器内の冷却液を上記主流路におけると逆向きに一方向へ導液する副流路用管路と、上記冷却液を上記副流路用管路により副流路に流通させる副流路用ポンプと、上記主流路を通過し、上記主流路用管路を通って上記冷却液容器に戻る冷却液を凝集させる凝集手段とを有し、パッシブ冷却方法を実施するための沸騰冷却装置。 - 請求項17または18記載の沸騰冷却装置において、
冷却液供給・流通手段が、冷却液を貯留させる冷却液容器と、主流路を通して上記冷却液容器内の冷却液を一方向へ導液する主流路用管路と、上記冷却液を上記主流路用管路により主流路に流通させる主流路用ポンプと、副流路を通して上記冷却液容器内の冷却液を上記主流路におけると逆向きに一方向へ導液する副流路用管路と、上記冷却液を上記副流路用管路により副流路に流通させる副流路用ポンプと、上記主流路を通過し、上記主流路用管路を通って上記冷却液容器に戻る冷却液を冷却して凝集させる凝集手段と、
上記主流路用ポンプと副流路用ポンプとにより上記主流路と副流路に供給される冷却液を、所定のサブクール度にサブクールするサブクール手段と、
上記副流路に流通される冷却液の圧力を、上記主流路に流通される冷却液の圧力より高くする高圧化手段とを有し、アクティブ冷却方法を実施することを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項20記載の沸騰冷却装置において、
高圧化手段による、副流路に流通される冷却液の圧力と主流路に流通される冷却液の圧力差を切り替える圧力切り替え手段を有し、
パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法とを、冷却条件により切り替え可能としたことを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項19〜21の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
冷却液容器に冷却液が貯留されていることを特徴とする沸騰冷却装置。 - 請求項19〜22の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
冷却液を、水あるいはアルコール、もしくは、水とアルコールとの混合液、または、フ
ッ素系不活性液体としたことを特徴とする沸騰冷却装置。 - 稼動中に熱を発生し該熱の冷却手段を構成要素とする製品であって、請求項17〜23の任意の1に記載の沸騰冷却装置を冷却手段とすることを特徴とする製品。
- 請求項24に記載の製品が、発熱体を有する電子素子または発熱体を有する燃料電池であって、沸騰冷却装置を構成する流路構造体の主流路が発熱体の表面に一体的に形成されたことを特徴とする電子素子または燃料電池。
- 請求項24に記載の製品が、電子素子と伝熱部材とを主構成要素とする高発熱密度電子機器が搭載された、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置、又は、鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であって、沸騰冷却装置を構成する流路構造体の主流路が伝熱部材との表面に一体的に形成されたことを特徴とするハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置又は鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置。
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