JP2008286503A - 沸騰冷却方法、沸騰冷却装置および機能製品 - Google Patents

沸騰冷却方法、沸騰冷却装置および機能製品 Download PDF

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Abstract

【課題】冷却液がサブクール度の低い場合でも、高い熱流束による熱の移動を得ることができる気泡微細化沸騰冷却方法および簡単な構成の気泡微細化沸騰による沸騰冷却装置を提供する。
【解決手段】沸騰冷却方法は、被冷却面にサブクール冷却液10を接触させ、沸騰冷却により冷却する沸騰冷却方法であって、冷却液10に超音波が照射され、冷却液10の限界熱流束を超える熱流束で熱が移動する状態が形成される。被冷却面は、冷却液10を保持する冷却液容器12内、または冷却液10が流通される管状流路内に設けられる。冷却液10を放熱させる冷却液放熱手段が設けられる。冷却液10は、1気圧のサブクール度が15〜25Kとされる。沸騰冷却装置は、被冷却面に接触するよう冷却液10を保持する冷却液保持機構と、冷却液10に超音波を照射する超音波照射手段とから構成され、上記の沸騰冷却方法の実施に用いられる。
【選択図】図2

Description

この発明は、沸騰冷却方法および当該沸騰冷却方法を実施するための沸騰冷却装置並びに当該沸騰冷却装置を備える機能製品に関する。
液体を加熱して行くと次第に液温が上昇し、やがて液温がそれ以上には上昇しない飽和温度に達し、更に加熱すると液体内部で液体の気化が発生する。この現象を工学分野では「液相から気相への相変化」という。この状態が沸騰であり、上記飽和温度は「沸点」とも呼ばれる。
飽和温度状態になると、加熱により液体に加えられるエネルギーは相変化に消費され、液体の温度と気体(蒸気)の温度は飽和温度に保たれる。相変化に消費される熱エネルギーは「潜熱」と呼ばれる。潜熱は、液体を温度上昇させる熱エネルギー(「顕熱」と呼ばれる。)に比して極めて大きい。
例えば1気圧の条件下で1リットル(1kg)の水を0℃から100℃の飽和温度まで加熱するために必要な熱量は約420kJであるが、100℃の飽和温度で同量の水の全部を蒸気にするために必要な熱量は約2256kJと、5倍以上である。従って、液体の相変化を利用することにより、高温物体から大量の熱を取り去ることができ、大きな冷却効果をあげることができる。
このような液体の沸騰を利用した冷却は「沸騰冷却」と呼ばれ、従来から種々の沸騰冷却装置が提案されている。
例えば、冷却用液体を収容する容器と、この容器内を通る管流路を有してなり、被冷却物である半導体素子に接合された伝熱部材を冷却用液体に浸漬し、前記管流路内に、容器内の冷却用液体を冷却する冷媒を循環させるように構成された、浸漬方式の沸騰冷却装置が提案されている。
沸騰現象について説明すると、沸騰現象は一般に以下の如き経過を辿る。図1は、液体の沸騰現象について説明するための沸騰曲線図である。この図の曲線において、Aは液体の加熱開始点、Bは沸騰開始点、Cは限界熱流束点、Dは最小熱流束点、Eが過熱焼損点を示す。また、熱面過熱度=(伝熱面温度)―(液体の飽和温度)である。
例えば液体を満たした容器内に、金属よりなる加熱ブロックを置いて当該加熱ブロックを加熱する系において、加熱ブロックの液体に接した面を「伝熱面」といい、加熱により伝熱面の温度を上昇させると、伝熱面を通して熱が液体に輸送される。伝熱面の温度が液体の飽和温度に達すると、伝熱面において沸騰気泡が発生する。この気泡を「沸騰一次気泡」と呼び、最初は1mm以下の小さい気泡であるが、伝熱面温度の上昇に伴って次第に大きな気泡に成長すると共に、発生する気泡の数も増加し、気泡が伝熱面から離脱する。伝熱面において発生する気泡の量(質量)に比例して伝熱面から取り去られる熱量、すなわち液体に輸送される熱量が増加する。
液体の沸騰により取り去られる熱量、すなわち高温固体面から液体に輸送される熱量によって冷却の効果の程度を表すことができるが、その物理量の一つとして「熱流束」がある。
上記の系についていえば、「熱流束」とは「加熱ブロックの液体に接している表面すなわち伝熱面の単位面積を通して単位時間あたりに液体に移る熱量」であり、一般に「W/cm2 」または「W/m2 」の単位で表される。この熱流束が大きいほど除熱量が大きいので、冷却効果が大きいこととなる。そして、上記の伝熱面は、加熱ブロックの冷却という観点からいえば「被冷却面」であり、液体が「冷却液」である。
加熱ブロックから液体に移動する熱量が増加すると、伝熱面においては、沸騰による一次気泡の発生量が増加すると共に当該気泡が成長して大きくなり、熱流束が増加する。さらに加熱を続けると、発生した気泡は互いに合体して大きな合体気泡に成長する。沸騰開始から気泡は伝熱面から離脱し、液体が伝熱面に供給されて蒸気に変化する現象が連続的に生じて熱流束が増加するが、やがて大きな合体気泡が伝熱面を覆い、液体の供給が妨げられる。液体が相変化を起こして蒸気になることによって伝熱面から熱を取り去るが、液体の供給がなくなると、伝熱面から液への熱は伝わらない。すなわち熱流束の増加が止まる。この時(点C)の熱流束を「限界熱流束」と呼び、沸騰開始点Bから限界熱流束点Cまでの沸騰の形態を「核沸騰」と呼ぶ。すなわち、限界熱流束は核沸騰における最大熱流束になる。
換言すれば、小さな気泡の発生が増加し、合体し徐々に成長して大きくなった気泡はやがて固体の表面を覆って液体の当該表面への進入を妨げて沸騰を阻害することになるが、伝熱面である高温固体の表面すなわち被冷却面から液へ伝達される熱は最大になり、熱流束は限界熱流束に達する。
加熱ブロックにおける発熱が更に増加すると、合体気泡に覆われた伝熱面、すなわち合体気泡の底部にはまだ薄い液膜が存在しており、この薄い液膜が蒸発しながら伝熱面が乾き始める。沸騰による熱が伝えられるための液体の供給がないので、この伝熱面の温度は急速に上昇し、同時に蒸発によって液膜は消耗し、熱流束は低下する。やがて伝熱面は安定した薄い蒸気膜で覆われ、高温になった伝熱面から熱は輻射によって蒸気膜の中を伝わり、蒸気膜を通して液に伝えられる。限界熱流束点Cからは破線で示すように熱流束が減少し、極小熱流束点Dを経由して再び増加し始めるが、この時の熱流束を「極小熱流束」と呼び、限界熱流束点Cから極小熱流束点Dまでの沸騰を「遷移沸騰」と呼び、極小熱流束点Dから伝熱面が蒸気膜に覆われて熱が伝わる領域を「膜沸騰」と呼ぶ。
薄い蒸気膜で覆われた状態である膜沸騰の状態では、加熱ブロックの熱エネルギーが輻射熱として蒸気膜を通して液体に伝えられ、熱流束は再び増加に転ずるが、伝熱面は液体に接していないために温度が上昇し、この温度が加熱ブロックを形成している材料の融点を越えれば、伝熱面が焼損する。すなわち「焼き切れ」(バーンアウト)である。
通常、限界熱流束点C以後の遷移沸騰から膜沸騰を経て焼損に至るプロセスは極めて迅速に生じ、制御が著しく困難であるところから、この現象を例えば発熱する電子機器の冷却に利用することは、実用上、殆ど不可能と考えられている。
以上のような状況から、従来行われている電子機器の沸騰冷却は、限界熱流束点Cまでに十分な安全余裕をとった、すなわち核沸騰の領域における限界熱流束点C以下の常用除熱限界以下の領域で行われ、その冷却限界は、液体が60℃の水である場合に、1気圧でおよそ100W/cm2 程度といわれている。因みに、限界熱流束は同様の条件で300W/cm2 である。
従来提案されている高い熱流束を得るための技術について具体的に説明する。
例えば、ノズルを用い、沸騰気泡を速やかに消滅させて高い冷却効率を図った冷却装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、主として半導体デバイスを冷却対象物とする冷却装置であって、複数の半導体チップを発熱体とし、第1のノズルから低温冷媒液を個々の発熱体に向けて噴射し、これにより、発熱体の熱によって沸騰気泡を発生させて気液2相状態の高温冷媒液とし、これと同時に第2のノズルから同じ低温冷媒液を当該高温冷媒液に向けて噴射させて急冷することにより、沸騰気泡を凝縮・消滅させて冷却を行うものが提案されている(特許文献2参照)。
この冷却方式では、2種類のノズルを通って噴射される冷媒液は同じ流入口から流入するものであるため、下流において噴射される液温度は高く、液圧は低い状態のものとなるので、実際には、所期の冷却効果が得られないものと考えられる。
また、沸騰冷却方法として、冷却液(冷媒)が流通される流路に対し、隔壁を介して副流路を形成してこの副流路にも冷却液を流通させ、隔壁に設けた補給孔を通して副流路から冷却液を冷却液流路を補給することにより、温度上昇した冷却液流路の冷却液の温度を下げ、これにより成長途上にある気泡を凝縮崩壊させ、いわば合体気泡を分割することにより、高い熱流束を得ることを図った方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
この気泡微細化沸騰冷却は、被冷却面上を覆い被冷却面に接触する合体気泡をサブクール液で凝縮崩壊させて行うことを特徴とするものであるが、特許文献2に記載の冷却方法は、被冷却面を離脱したあるいは被冷却面に非接触の合体気泡を崩壊させるものであり、これは沸騰冷却効果はなく、「気泡微細化沸騰」とは異なるものと考えられる。
本発明者等は、主流路と副流路を重ねた流路構造体を用い、副流路から複数のノズルを対向する主流路の被冷却面に向けて突設し、かつノズル先端部を被冷却面に近接させてなる冷却装置を用い、主流路と副流路に互いに逆方向に冷却液を流すと共に、副流路からノズルを介して被冷却面に冷却液を噴射させることにより、気泡微細化沸騰冷却を実現する手法を提案した(特許文献3参照)。
特許文献3の記載の方法によれば、例えば、1気圧下で純水の場合、サブクール度が30〜40K以上で安定した気泡微細化沸騰が発生し、従来得られていた限界熱流束よりもはるかに高い、300W/cm2 以上の熱流束による沸騰冷却を実現することが可能となった。
特許文献3による沸騰冷却方法は、気泡微細化沸騰を利用することができる点で基本的に大きな利点を有するものの、高い熱流束が得られる気泡微細化沸騰を確実に実現するためには、サブクール度が大きい冷却液を用いることが必要である、という問題がある。そのため、被冷却面の冷却に供されて温度が上昇した冷却液の温度を大幅に低下させる必要があり、その結果、大型のラジエータのような大容量の放熱手段を設ける必要があり、長時間を要する問題がある。
以上の事情から、例えばサブクール度のより低い冷却液を用いる場合にも、高い熱流束による熱の移動が実現できる気泡微細化沸騰冷却方法、更に、緩和された条件下でも確実に気泡微細化沸騰による冷却を行うことができる気泡微細化沸騰冷却方法の提供が要請されている。
気泡微細化沸騰は、サブクール液体中の沸騰により形成される気泡の気液界面の不安定性による凝縮崩壊によってサブクール液が伝熱面に供給され、これにより高熱流束の冷却が可能になるものであるが、気泡における気液界面の不安定性を誘導し促進するための方法として次のものが考えられる。
(1)伝熱面上のサブクール液体の流速を大きくして乱流強度を増加させる方法。
この方法は、冷却液の流れを強い乱流とし、流体力による気液界面の不安定誘導を促進するものであるが、管路の圧力損失が増加する欠点がある。
(2)伝熱面の上流あるいは伝熱面上に障害物を設置し、障害物の背面に発生する渦(カルマン・ボルテックス)により気液界面の不安定性を誘導を促進する方法。
この方法は、或る程度有効な方法であるが、障害物の大きさにより伝熱面上のサブクール液の流動抵抗が増加する欠点がある。
(3)サブクール液の噴流によって気泡を粉砕する方法。
この方法は、ノズルの先端を伝熱面に近接させて、気泡底部で乾き始める伝熱面に直接サブクール液を供給すると同時に気泡の内側から凝縮崩壊に併せて沸騰気泡を崩壊させることにより、主流路のサブクール液を伝熱面に供給する方法である。
(4)水槽の中に細いノズルから空気を噴出させ、この空気噴流に超音波を照射して、微細な気泡群を生成させる方法。
特開平5−136305号公報 特開2005−79337号公報 国際公開WO2006/075493 A1号公報
本発明の第1の目的は、高い熱流束による熱の移動を実現することができる新規な気泡微細化沸騰冷却方法およびその冷却装置を提案することである。
本発明の第2の目的は、用いられる冷却液がサブクール度の低いものであっても、高い熱流束による熱の移動を得ることができる気泡微細化沸騰冷却方法およびその冷却装置を提案することである。
本発明の第3の目的は、簡単な構成の装置であって、高い熱流束による熱の移動が得られる気泡微細化沸騰による沸騰冷却装置を提案することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、実験を重ねた結果、気泡微細化沸騰系において冷却液に超音波を照射すると、緩和された条件下で確実に気泡微細化沸騰冷却を実現することができ、例えばサブクール度の低い冷却液を用いる場合であっても気泡微細化沸騰冷却を行うことが可能となり、高い熱流束による熱の移動が得られることを確認したことにより、本発明が完成されたものである。
本発明の沸騰冷却方法は、被冷却面にサブクールされた冷却液を接触させ、沸騰冷却によって前記被冷却面を冷却する沸騰冷却方法であって、
前記冷却液に超音波が照射され、当該冷却液の限界熱流束を超える熱流束で熱が移動する状態が形成されることを特徴とする。
以上の沸騰冷却方法においては、被冷却面が、冷却液を保持する冷却液容器内に設けられている構成とすることができる。
そして、この構成の場合には、冷却液容器内において対流する冷却液が、当該冷却液容器に配置された冷却液放熱手段により放熱されることが好ましい。
また、以上の沸騰冷却方法においては、被冷却面が、冷却液が流通される管状流路内に設けられている構成とすることができる。
そして、この構成の場合には、管状流路は、冷却液が循環される循環流路の一部を構成し、当該循環流路を流通する冷却液が、当該循環流路に設けられた冷却液放熱手段により放熱されることが好ましい。
また、管状流路を流通する冷却液の平均流速が0.05〜1.0m/秒であることが好ましい。
以上の沸騰冷却方法において、サブクールされた冷却液は、1気圧におけるサブクール度が15〜25Kのものであることが好ましい。
本発明において、冷却液は、水、アルコール、水とアルコールとの混合液、並びに、フッ素系不活性液体から選ばれたものであることが好ましく、当該冷却液は不凍液であってもよい。
本発明の沸騰冷却装置は、被冷却面に接触するよう冷却液を保持する冷却液保持機構と、当該冷却液に超音波を照射する超音波照射手段とから少なくとも構成され、上記の沸騰冷却方法の実施に用いられることを特徴とする。
以上の沸騰冷却装置において、冷却液保持機構は被冷却面が設けられる冷却液容器よりなり、冷却液を放熱させる冷却液放熱手段が設けられてなる構成とすることができる。
この構成において、冷却液保持機構は、冷却液容器内において対流する冷却液に接触する受熱部分と、冷却液から外部に突出する放熱部分とを有する熱伝導性材料からなることが好ましい。
また、以上の沸騰冷却装置において、冷却液保持機構は、被冷却面に接触して冷却液が流通する管状流路よりなり、当該管状流路は、冷却液が循環される循環流路の一部を構成し、当該循環流路を流通する冷却液を放熱させる冷却液放熱手段が当該循環流路に設けられている構成とすることができる。
この構成においては、冷却液保持機構の管状流路において、被冷却面とこれに対向する当該管状流路の管内壁が互いに平行的であることが好ましい。
また、管状流路における冷却液の流れ方向に沿った被冷却面の長さが1〜5cmであることが好ましい。
更に、被冷却面が管状流路の管内壁の一部を構成する状態で設けられることが好ましい。
本発明の沸騰冷却装置においては、被冷却面を構成する材料が超親水性であることが好ましい。
本発明の沸騰冷却装置においては、管状流路に対して隔壁を介して管状の副流路が形成され、この副流路から前記隔壁を通して管状流路内に冷却液を供給する供給部を複数個有する構成とすることができる。
この構成においては、管状流路を含む循環流路に冷却液を供給して流通させる冷却液供給・流通手段を備えることが好ましい。
また、冷却液供給・流通手段が、冷却液を貯留させる冷却液貯留容器を有することが好ましい。
また、本発明の沸騰冷却装置においては、冷却液供給・流通手段が対流式の放熱手段を有し、この放熱手段が、前記循環流路に流通されて被冷却面の冷却に供された冷却液の放熱を行うものであることが好ましい。
この場合に、対流式の放熱手段が、空冷式のラジエータであることが好ましい。
本発明の機能製品は、稼動中に熱を発生する熱発生部材と、この熱発生部材の熱を冷却する冷却手段とを構成要素とする機能製品であって、当該冷却手段が、上記の沸騰冷却装置であることを特徴とする。
この構成においては、熱発生部材が電子素子パッケイジよりなり、当該熱発生部材の表面により、沸騰冷却装置における管状流路の一部が一体的に形成されている構成とすることができる。
また、本発明の機能製品は、電子素子よりなる熱発生部材と伝熱部材とを主構成要素とする高発熱密度電子機器であって、伝熱部材の被冷却面により、沸騰冷却装置における管状流路の一部が一体的に形成されているものとすることができる。
この場合に、高発熱密度電子機器は、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車もしくは燃料電池発電設備の電力変換制御装置、コンピュータもしくはスーパーコンピュータ、または鉄道電車もしくは航空機用の電力システムの電力変換制御装置に搭載されるものとすることができる。
本発明によれば、冷却液を介して被冷却面(伝熱面)に超音波が作用されるので、被冷却面において成長すべき合体気泡が形成されずに微細気泡が生成されることとなり、緩和された条件下、例えばサブクール度が小さい冷却液を用いる場合であっても、核沸騰領域における通常の限界熱流束を超える高い熱流束による熱の移動を伴う気泡微細化沸騰を実現することができる。その結果、超音波の照射がなければ気泡微細化沸騰が生じない条件下であっても、超音波を照射することによって気泡微細化沸騰を生じさせることができ、また、気泡微細化沸騰が生ずる条件下であれば、更に高い熱流束による熱の移動を確実に実現することができ、気泡微細化沸騰による冷却効率を大きくすることができる。
本発明の沸騰冷却方法は、被冷却面にサブクールされた冷却液を接触させ、沸騰冷却によって被冷却面を冷却する沸騰冷却方法であって、冷却液に超音波が照射され、これによって、当該冷却液の限界熱流束を超える熱流束で熱が移動する状態が形成される。
本発明の一の具体的態様においては、当該超音波の照射がされなければ気泡微細化沸騰が生じない条件下において、冷却液に超音波が照射され、これにより、当該冷却液の限界熱流束を超える熱流束で熱が移動する状態が形成される。
本発明の他の具体的態様においては、当該超音波の照射がされなくても気泡微細化沸騰が生じる条件下において、冷却液に超音波が照射され、これにより、当該冷却液の限界熱流束を超える熱流束で熱が移動する状態が促進される。
本発明は、冷却液に超音波が照射されることにより、サブクール液体内の沸騰気泡の気液界面の不安定性が誘導されて促進され、伝熱面上において成長して形成されるべき合体気泡が形成されず、それが微細化された微細化気泡として発生する。
その結果、低サブクール度の液体によっても気泡微細化沸騰を生じさせることができ、従って伝熱面における気液交換が促進され、その結果、高い熱流束による熱の移動により優れた冷却効果が得られる。
本発明は、沸騰冷却において、従来用いられてきた核沸騰領域での冷却の限界をはるかに超える、通常の限界熱流束以上の限界を有する気泡微細化沸騰を、発生しにくい低サブクール液体で限界熱流束点で伝熱面に成長する合体気泡に超音波を照射し、気液界面の不安定誘導を行い気泡微細化沸騰の発生を促進し、高熱流束冷却を行うものである。
以下、気泡微細化沸騰について説明する(図1参照)。
飽和温度より低い温度の液体(「サブクール液」という。そして、当該液体の温度と飽和温度との差を「サブクール度」という。)を容器に入れ、容器の底に上向きに加熱ブロックの伝熱面を置いて沸騰させると、伝熱面で加熱された液体は発生した気泡と共に自然対流循環することとなり、伝熱面から熱が液体に伝えられる。この沸騰を「サブクールプール沸騰」と呼ぶ。加熱熱量を増加させると、伝熱面の温度上昇と共に気泡の発生頻度が増加し、伝熱面から除去される熱量(熱流束)は増加する。やがて伝熱面は大きく成長した合体気泡に覆われ、沸騰は限界熱流束状態に達する(限界熱流束点C)。
そして、通常は上記のように、合体気泡に覆われた伝熱面は乾き始め、沸騰形態は遷移沸騰に移行し始めるが、この遷移沸騰の初期において、伝熱面において合体気泡が形成されずに微細な気泡が放出されて、図1の沸騰曲線において実線で示すように、熱流束が限界熱流束点Cを越えて更に増加する現象が生ずる。この沸騰の状態が「気泡微細化沸騰」(または「微小気泡発生沸騰」)MEB(Microbubble Emission Boiling)と呼ばれる。
気泡微細化沸騰の現象は、伝熱面上に液体の流れがある場合のいわゆるサブクール流動沸騰において顕著に現れる。この気泡微細化沸騰においては、限界熱流束よりも遙かに高い熱流束で熱の移動が生ずる。
具体的には、例えば、断面が矩形の流路が水平に設定され、その底面に伝熱面(被冷却面)が設置された装置を用いた実験によれば、伝熱面の大きさにもよるが、1気圧下でサブクール度が40Kの純水(温度60℃の純水)が冷却液として供給される条件では、幅10mm、長さ10mmの伝熱面において最大除熱熱流束が1kW/cm2 (10MW/m2 )、幅10mm、長さ50mmものでは、500W/cm2 (5MW/m2 )もの大きな熱流束となることが確認された。
気泡微細化沸騰現象が起こる沸騰形態の過程では、合体気泡で覆われた被冷却面の温度が上がり乾き始めて遷移沸騰域に移るが、サブクール液中に生長した気泡が凝縮崩壊し、液が再び供給されて沸騰が開始し、気泡崩壊→液供給→沸騰開始→気泡生長→限界熱流束→気泡崩壊という順次の現象が短時間の間に例えば1秒間に30〜90回の割合、すなわち30〜90Hzで繰り返され、その結果として、通常の限界熱流束を越えた高い熱流束で熱の除去が行われるのである。
このように、気泡挙動が周期的な様相を呈する状態では、気泡崩壊の周波数に比例して熱流束が増加する。
以上の説明では、気泡微細化沸騰において「合体気泡が微細化される」という表現が用いられているが、これは通常の遷移沸騰の場合を基本とする説明であって、実際には、一旦合体気泡が形成されてそれが微細化するのではなく、合体気泡が形成されることなしに多数の微細気泡が生ずる。
気泡微細化沸騰は、基本的にサブクールされた液体内の沸騰気泡の気液界面の不安定性による凝縮崩壊が生じている状態であるが、流動沸騰やサブクール液の噴流による力学的な刺激がある場合は、凝縮による崩壊に加えて気泡の崩壊が促進される。あるいは、凝縮崩壊が生じない条件下であっても、そのような力学的な刺激により、気泡の崩壊が生ずることが可能である。従って、自然対流のような弱い流れの場合よりも、噴流も含めて強制的にサブクール液を流通させる流動沸騰であれば、気泡崩壊が生じ易く、気泡微細化沸騰が顕著に発生する。
従来の沸騰冷却技術は、核沸騰限界熱流束に達しない、熱流束がはるかに低い領域において、発熱体の電源を切断するなどの安全装置を設けることが必要と考えられていた。その主たる理由は、気泡微細化沸騰の現象および気泡微細化沸騰が発生する条件が未知であったことによるものである。
一方、本発明者の研究によれば、1気圧下で純水を冷却液とする沸騰冷却においては、サブクール度を30〜40K以上とすることにより、安定した気泡微細化沸騰を発生させて維持することが可能であり、これにより、通常の限界熱流束よりも高い熱流束で熱が移動する現象を実現することができる。
この気泡微細化沸騰を利用すれば、きわめて有利に被冷却面の冷却を行うことができるが、サブクール度が大きい冷却液が必要であり、そのようなサブクールされた冷却液を供給するために大きな負担が必要である。
然るに本発明によれば、冷却液に超音波が照射されることにより、伝熱面において生ずるべき合体気泡が形成されることが阻止されて微細化気泡が生ずる状態を形成することができるので、緩和された条件下において気泡微細化沸騰を生じさせることができ、例えばサブクール度が小さい冷却液を用いながらも所期の気泡微細化沸騰を維持することができて、高い熱流束による熱の移動による沸騰冷却を達成することができる。
図2は、本発明の沸騰冷却装置の一例の構成を示す説明用断面図である。この沸騰冷却装置は、サブクールされた冷却液10を保持する冷却液容器12を具えており、この冷却液容器12の底部には、その底壁の一部を構成する状態でヒートスプレッダ14が、冷却液容器12の一方の側(図で左側)に変位した位置に配置されている。Sはヒートスプレッダ14の被冷却面である。このヒートスプレッダ14には、その下面に、IC素子よりなる発熱体16が一体に設けられている。17は断熱材である。
そして、冷却液容器12の一側の側壁の下部には、ヒートスプレッダ14の被冷却面Sに接近した状態で、超音波発振装置(図示せず)に接続された超音波アクチュエーター22が、その超音波作用ヘッドが被冷却面Sに臨む状態で、設けられている。
また、冷却液容器12には、放熱機構18が設けられている。図示の放熱機構18は、その上部部分以外の部分が冷却液10内に浸漬される吸熱部分18Aと、この吸熱部分18Aの上部に接続して設けられた放熱フィン部分18Bとにより構成されている。吸熱部分18Aは、多数の金属板が平行に、図では紙面に垂直な方向に並列した状態で設けられて構成され、放熱フィン部分18Bも同様の構成とされている。20は、放熱フィン部分18Bに冷却風を供給する冷却ファンである。
この放熱機構18の吸熱部分18Aは、下方に向かうに従って超音波アクチュエーター22から離間する方向に伸びる傾斜縁19を有するものとされており、従って、当該吸熱部分18Aは、冷却液容器12の超音波アクチュエーター22とは反対側(図で右側)の領域において、一側(図で左側)の領域よりも深いレベルにまで冷却液10中に伸びた状態とされている。このように、放熱機構18は、熱導伝性の高い材料からなる棒状または板状の放熱部材により構成することが好ましい。
この沸騰冷却装置において、発熱体16が発熱すると、サブクールされた冷却液10に沸騰が生じ、被冷却面Sからの熱によって高温となった冷却液10は、矢印で示されているように、冷却液容器12の一側において上昇し、他側において下降する対流を生ずる。そして、超音波アクチュエーター22により、冷却液10を介して、被冷却面Sに超音波が作用される。そして、その結果、被冷却面Sにおいて、気泡微細化沸騰が生ずる状態が形成される。
以上において、気泡微細化沸騰が生ずるためには、冷却液10はサブクール度が15K以上であることが必要である。この冷却液10のサブクール度が15K未満では、超音波が照射される条件下であっても、気泡微細化沸騰を起こすことができない場合がある。
図3は、本発明の沸騰冷却装置の他の一例の構成を示す説明用断面図である。この沸騰冷却装置において、500は被冷却物で、発熱部501、502、503を有する。これら発熱部501、502、503に接してヒートスプレッダ510が伝熱部材として設けられ、図においてヒートスプレッダ510の上側の表面が、平滑な平面状の被冷却面510Aとなっている。
512は流路部材を示し、ヒートスプレッダ510とともに管状流路を構成する。すなわち、管状流路514の管壁の一部はヒートスプレッダ510の被冷却面510Aにより構成されている。
すなわち、ヒートスプレッダ510と、流路部材512とは、被冷却物500の表面に密接する伝熱部材510の表面を被冷却面510Aとし、被冷却面510Aを管壁として形成され、サブクールされた冷却液を流通される管状流路514を有する流路構造体である。
そして、この装置においては、流路構造体を構成する管状流路514内の冷却液に超音波を照射する超音波照射手段(図示せず)が設けられている。
図3において、520は冷却液貯留容器であって、これに冷却液522が貯留されている。532は冷却液流通用ポンプ、530は供給用管路、540は帰還用管路、550は放熱機構を示している。
この例の沸騰冷却装置においては、冷却液貯留容器520内の冷却液522が流通用ポンプ532により汲み上げられ、供給用管路530を通して流路構造体の管状流路514に供給される。管状流路514に供給された冷却液522は、管状流路514内を流れつつ、また超音波照射手段により超音波が照射された状態で、被冷却面510Aの気泡微細化沸騰冷却が行われる。
管状流路514を通過した冷却液522は、帰還用管路540内を流れて冷却液容器520内に戻されるが、その途上において放熱機構550により放熱される。
放熱機構550は、帰還用管路540内に組み込まれた空冷式のラジエータ551と、このラジエータ551に冷却風553を供給するファン552とにより構成されている。ラジエータ551は流路を長く取り、冷却液522はこの部分を流れる間に冷却風553により冷却され、放熱して冷却液貯留容器520に戻される。
このように、この装置では、冷却液貯留容器520、供給用管路530、管状流路514および帰還用管路540により循環流路が形成されており、これに流通用ポンプ532と放熱機構550が設けられて、管状流路514に流通される冷却液520を流路構造体に供給して流通させる冷却液供給・流通手段が構成されている。
以上において「管状流路」とは、サブクールされた冷却液を流通する流路であって、2つのタイプを包含する。
第1のタイプは、内壁部に被冷却面が設けられた管状体からなる一重構造体による流路である。
一方、第2のタイプは、図4に示すように、管状体50とその内部に中心軸に沿って固定設置された柱状体51とからなる二重構造体であって、該管状体50の内壁部50Aと柱状体表面51Aの、一方に被冷却面が設けられたものである。
従って、本発明において「管状流路の内壁部」とは、管状体の内壁部だけではなく、柱状体の表面部をも意味するものである。
高発熱密度のパワーICのような、ヒートスプレッダの中に冷却管を通して沸騰冷却を行うような場合には、第2のタイプが用いられるが、通常の冷却装置は、第1のタイプの管状流路が用いられるので、以後、第1のタイプの管状流路を中心に説明する。
被冷却物は冷却対象となる物体、部材、または装置である。また、伝熱部材は、例えば被冷却物の表面に密接して設けられる、ヒートスプレッダなどの、熱伝導性であって発熱体からの熱の流れを広げる機能を有する部材である。
被冷却面は、伝熱が行われる、被冷却物自体の表面もしくは伝熱部材の表面であり、「伝熱面」ともいう。この被冷却面は、平滑面であってもよいが、例えば環状、螺旋状、細溝のような凹凸面あるいは粗面にすると、被冷却面の面積が増大し、高い熱流束を得るのに好ましい。
上記第1のタイプの管状流路においては、被冷却物の表面を被冷却面とする場合には、被冷却物は流路を構成する流路構造体の構造の一部をなし、伝熱部材の表面を被冷却面とする場合には、伝熱部材は流路構造体の構造の一部をなす。
「サブクール」は、冷却液の温度を「被冷却面との接触部で冷却液に沸騰が生じる飽和温度よりも低い温度」にすることを意味し、冷却液の飽和温度(管状流路内で沸騰が生じる温度)とサブクールされた冷却液との温度差を「サブクール度」といい、単位は「K」で表わされ、サブクールされた冷却液を「サブクール液」という。
本発明における「サブクール度」は特に制限されるものではないが、被冷却面を安定した気泡微細化沸騰により冷却し、かつ、冷却した後の冷却液のラジエータ等による放熱を考慮すると、管状流路における「被冷却面上流側端部におけるサブクール度」は、15K以上であればよいが、20K以上、25K以下が適当である。サブクール度を高いものとすることは、気泡微細化沸騰を生じさせる点では好ましいが、そのようなサブクール度の冷却液を得るために必要な当該冷却液の放熱量が多くなるため、有利ではない。例えば、冷却液として純水を用いる場合には、サブクール度が25K程度であれば、被冷却面により飽和温度である100℃またはその近傍にまで加熱された冷却液を75℃まで放熱させることは比較的容易であるが、それ以上のサブクール度を達成することは、例えば環境温度が高温の場合には相当の消費エネルギーが必要とされる。
本発明の沸騰冷却装置において、管状流路は、その断面形状が略「矩形形状」であることが好ましい。そして、管状流路においては、冷却液が0.05〜1.0m/秒となる平均流速で流通されることが好ましい。
管状流路において「被冷却面とこれに対向する管壁が互いに平行的である」とは、これらの面が平面であって互いに平行して対向する場合のみならず、これらの面がそれぞれ円筒面等であって、互いに平行的に対向する場合も含む。すなわち、被冷却面とこれに対向する管壁とは平面である場合も曲面である場合もある。
また、本発明の流路構造体において、管状流路の断面形状は、矩形形状以外に、円形状もしくは楕円形状、または半円形状または半楕円形状とすることができる。
例えば、被冷却物または伝熱部材の内部に、断面形状が円形状もしくは楕円形状の孔を穿設すると、被冷却物または伝熱部材の内部に円筒面状もしくは楕円筒面状の表面が形成されるので、この円筒面状もしくは楕円筒面状の表面を被冷却面とし、この表面を管壁とする管状流路に冷却液を流通させて気泡微細化沸騰冷却を行うことができる。
この場合には、管状流路の管壁はすべて被冷却物もしくは伝熱部材の、円筒面状もしくは楕円筒面状の表面になる。
本発明の流路構造体は、後述するように、稼動中に熱を発生し該熱の冷却手段を構成要素とする多種の製品に幅広く適用可能なものであり、冷却液を流す被冷却面の長さは、製品によって様々である。
本発明の流路構造体を単体で用いる場合に、所期の気泡微細化沸騰効果を十分発揮するためには、その冷却液を流す被冷却面の長さが、1〜5cmが適当である。被冷却面の長さがより大きい場合には、本発明の流路構造体を複数個、直列に組合せて用いることが好ましい。
また、被冷却面が長い電子パッケイジが必要な場合は、被冷却面の長さを、例えば5cmとする複数のパッケイジに分割し、本冷却装置をサンドイッチ状に配置することにより、よりコンパクトになり高熱流束冷却を行うことができる。
すなわち、本発明の流路構造体は、管状流路を複数個、互いに近接して直列的もしくは並列的に有するものとして構成することもできる。複数個の管状流路を並列的に組み合わせる場合には、複数の管状流路における冷却液の流通方向は同一方向であってもよいし、管状流路のうちに、他の管状流路とは逆向きに冷却液を流通されるものが1以上あってもよい。このように複数の管状流路を併設することにより、流路の並列的な配列方向における冷却領域を増大することができる。
また、本発明の流路構造体は、冷却液を流通される管状流路に対し、隔壁を隔して管状の副流路が形成され、副流路から隔壁を通して管状流路内に冷却液を供給する供給部を複数個有する構成とすることができる。
副流路は、管状流路を介して被冷却面から離れる位置に形成されてもよいし、管状流路の流路方向に沿う側方に形成されてもよい。
供給部は、管状流路との隔壁に形成された貫通孔として形成されたものであってもよいし、隔壁自体が液体流通性を有する、例えば多孔質体により形成することもでき、隔壁から管状流路側へノズル状に突設させて、先端部を被冷却面に近接させるように構成することもできる。
この場合、流路構造体の管状流路と副流路における冷却液の流通方向は、管状流路と副流路とで同じ向きでもよいし、互いに逆の向きでもよい。副流路に流通される冷却液もサブクール液である。
流路構造体は、熱伝導性の良い材料で構成するのがよい。例えば、金や銀やアルミニウムは大きな熱伝導率を持ち、特に、銀は熱伝導率の高さの点で流路構造体の材料として適しているが、コストの面からするとアルミニウムが好適である。
さらに、流路構造体の材料として、熱伝導性の良いものばかりでなく、安定した耐錆性、耐腐食性、耐熱性の高いものを使用することが好ましく、例えば、耐錆性処理を施したアルミニウム、ステンレス鋼、セラミックス、アクリル樹脂等を好適に使用できる。
本発明の冷却装置は、気泡微細化沸騰による冷却を行う装置であり、流路構造体と、冷却液供給・流通手段とを少なくとも有する。
流路構造体は、被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を被冷却面とし、被冷却面を管壁として形成され、サブクールされた冷却液を流通される管状流路を有する構造のものである。
冷却液供給・流通手段は、流路構造体の管状流路もしくは管状流路と副流路に流通される冷却液を流路構造体に供給して流通させる手段である。
この冷却液供給・流通手段は、冷却液を貯留させる冷却液容器と流路構造体との間に、冷却液を流通させることができ、この場合において、冷却液容器に冷却液が貯留された状態が含まれる。
また、冷却液供給・流通手段の構成要素として、対流式の放熱手段を有することができる。
対流式の放熱手段は、流路構造体に流通されて被冷却面から冷却液に移された熱を有効に放熱し、より効率良い沸騰冷却を可能とするものである。この放熱手段は、空気を対流させる方式のものでも、水などの液体を対流させる方式のものでも良いが、空冷式のラジエータは好適なものの1つである。
本発明の沸騰冷却装置における冷却液としては「被冷却面温度に対して適当な飽和温度を持つもの」であれば、特に制限無く使用することができるが、入手の容易性、低コスト性、取り扱いの容易性、安全性、化学的・物理的安定性等の観点から、水、アルコール、水とアルコールとの混合液、および、フッ素系不活性液体から選ばれたものを好適に用いることができる。
水は、環境保全の面から、冷却液として特に好適なものである。フッ素系不活性液体としては例えば「フロリナート」(登録商標 住友スリーエム社)が市販されている。
水とアルコールの混合液としては、アルコールとしてエチルアルコール、プロピルアルコールそれぞれを、水に対し5〜15%の割合で混合したものが好適である。
水とアルコールの混合液は、水のみよりなる冷却液に比して、合体気泡崩壊時の圧力振動を50%程度さらに低減することが可能となり、30%程度高い熱流束を得ることを可能となる点で、好ましい。
圧力振動を低減できる理由は、水とアルコールとを混合すると、表面張力が水単独の場合よりも小さくなり、気泡の崩壊が容易になるためと考えられる。また、高い熱流束が得られる理由は、沸騰時に沸点の低いアルコールが先に蒸発することにより、伝熱面の気泡付着箇所近傍と混合液の間に生じるアルコール濃度差が、気泡における表面張力の差をもたらし、気液界面の気泡上部における温度の低い部分の大きな表面張力に混合液が引張られ、気泡上部に向かう流れ(マランゴニ流れ)が生じ、伝熱面の気泡付着面に向かって温度の低い冷却液が供給されて気液交換が促進されることによるものと推察される。
本発明の沸騰冷却装置が、寒冷地又は低温雰囲気中で使用される場合、冷却液の凍結により冷却装置として機能が果たせなくなる虞がある。この対策として、冷却液の凍結を防ぐ「防結手段」として冷却液を不凍液とすることができる。
不凍液は、本発明の沸騰冷却装置を搭載する製品種に応じて適宜選択使用することができ、市販されているものも適用可能であり、例えば、エチレングリコールを主成分とするものを用いることができるが、エチレングリコールに代えて、メチルアルコールやエチルアルコールのようなアルコール類と水とを濃度調整して不凍液として使用することができる。
例えば、水とエチレングリコールとの混合液(混合液1)、水とメチルアルコールとの混合液(混合液2)、水とエチルアルコールとの混合液(混合液3)のそれぞれの凝固点(℃)は、水と混合するエチレングリコールなどの成分の濃度(%)によって変化し、表1のようになる。
Figure 2008286503
また、この発明の流路構造体の被冷却面を構成する被冷却物もしくは被冷却物に密接にする伝熱部材の、少なくともその表面を構成する材料として、先述の金属板のように、熱伝導で発熱体からの熱の流れを広げる機能を有する部材ばかりでなく、超親水性材料を用いることができる。
伝熱面を親水性材料からなる膜(親水性膜あるいは超親水性膜)とすることにより、伝熱面が冷却液による濡れ性が向上して気泡離脱が促進し、超音波の作用に加えて、限界熱流束を向上させることができる。
親水性材料としては、例えば、特許第3340149号、特許第3147251号、特許第259931号、特開2005−55066号公報、特開2002−062069号公報、特開2001−1336890号公報、特開2000−144052号公報、特開2000−103645号公報等に挙げられているものを、この発明の流路構造体を用いる製品に応じて適宜適用可能である。
発明者等の実験によると、500〜600℃で形成されたセラミック親水性膜は、限界熱流束を10〜20%増加させ、また特に、微小重力環境下では気泡離脱を促進する効果が高いことが確認された。
さらに、本発明の沸騰冷却方法において、沸騰冷却装置に用いられる流路構造体として副流路を有するものを用いる場合には、冷却液供給・流通手段により、流路構造体の管状流路と副流路とに冷却液を供給・流通させ、副流路の側から管状流路内へ冷却液を供給しつつ冷却を行うことができる。
この場合、副流路から管状流路への冷却液供給は、副流路内の圧力を管状流路内の圧力より高くして強制的に行ってもよいし、管状流路に流通する冷却液と副流路に流通する冷却液の動圧差や毛管現象を利用して、副流路内の冷却液が管状流路内に滲出するようにしてもよい。
本発明の沸騰冷却装置は、稼動中に熱を発生し該熱の冷却手段を構成要素とする製品に適用可能であり、例えば、発熱体を有し、沸騰冷却装置を構成する流路構造体の管壁の少なくとも一部が発熱体の表面となる電子素子または燃料電池であることができる。
この製品としては、例えば、電子素子と伝熱部材とを主構成要素とする高発熱密度電子機器が搭載された、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置、又はコンピュータもしくはスーパーコンピュータ、又は鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であって、沸騰冷却装置を構成する流路構造体の管状流路が伝熱部材を管壁として形成されたことを特徴とするハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置又は鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であることができる。
現在広く用いられている、Si基板を用いるIGBTは、高出力化に伴い発熱密度が増加する傾向にあり、このような半導体デバイスに対する冷却として、この発明の冷却装置・冷却方法は極めて有効である。
この発明の沸騰冷却装置が用いられる技術・製品分野(以下、「機能製品」と称する)は、稼動中に熱が発生しその熱を冷却する冷却手段を構成要素とするものであれば、特に限定されない。
例えば、パソコンのような発熱体を有する電子機器または発熱体を有する燃料電池、高発熱密度の電子機器、ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換インバータ又は鉄道電車あるいは航空機の電力システムの電力変換インバータ、電力制御の電子パッケイジを含む複数の電子素子および伝熱部材(例えば、ヒートスプレッダ)を主構成要素とする電子機器が搭載され、この発明の沸騰冷却装置は、伝熱部材の表面を「流路構造体の管状流路の管壁」として一体的に形成した構成とし、製品とすることができる。
現在広く用いられている、Si基板を用いるIGBTは、高出力化に伴い発熱密度が増加する傾向にあり、このような半導体デバイスに対する冷却として、この発明の冷却装置・冷却方法は極めて有効である。
すなわち、パソコンのような発熱体を有する電子機器または発熱体を有する燃料電池では、この発明の沸騰冷却装置は、流路構造体の主流路と発熱体の表面とを一体的に形成した構成とし、製品とすることができる。
このような電子機器としては、一般的に高発熱密度電子機器が用いられており、例えば50kW以上のような高い電力が扱われるので、単位面積当たりの発熱量が多く、発熱密度が100W/cm2 以上、さらには300W/cm2 にもなることも考えられるが、このような電子機器の冷却に対しても、この発明の沸騰冷却方法・装置は好適である。
一方、この発明の流路構造体およびこの流路構造体を構成要素として備えた沸騰冷却装置は、それぞれ単独の製品として扱うこともできる。
流路構造体を単独の製品として扱う場合には、沸騰冷却装置の構成要素として設置する際に、被冷却物の大きさ、放熱器の最適取り付け場所、空間余裕によって配管の長さ等を調節することができるが、冷却液が入っていないため、放熱器、送液ポンプ等を含む冷却系を組み上げた時に空気が入らないように冷却液を注入することが必要である。
また、沸騰冷却装置を単独の製品として扱う場合には、冷却液容器に冷却液が予め貯留された構成のものであっても、貯蔵されていない構成のものであっても製品とすることができるが、冷却液容器に冷却液が予め貯留された構成のものの場合には、予め冷却液を封入した状態で扱うことができるので、冷却液注入と空気抜き作業を省略できる。
実験例
この実験に用いた実験装置の概略の構成を図5に示す。この装置は、冷却液が流通するステンレス鋼製の冷却液容器32を備えており、この冷却液容器32内に冷却液の弱い流れが生ずる擬似プール沸騰系である。
冷却液容器32には、投げ込みヒータ34、熱電対35、放熱用冷却管36およびスターラ38が取り付けられている。また、冷却液容器32の底部には、直径10mmの円柱部分と円錐台部分とからなる銅製の加熱ブロック44が設けられており、当該加熱ブロック44の円柱部分の上面が冷却液容器32の底面の一部を構成する状態とされて被冷却面(伝熱面)が形成されている。37は照明用ライト、46はカメラ、47は表示装置を示す。
加熱ブロック44の円錐台部分には、7本のカートリッジヒーター(図示せず)が装着されており、これにより加熱ブロック44が電気加熱される。また、加熱ブロック44の円柱部分の中心軸に沿って被冷却面から、1mm、3mmおよび5mmの各位置に、直径0.5mmのシースK型熱電対が装着されている。加熱ブロック44は断熱材で被覆されている。
また、冷却液容器32の上部には、冷却アダプターが装着された、超音波発振器を有する超音波アクチュエーター42が、加熱ブロック44の上面(被冷却面)の直上位置となるよう設置されている。この超音波アクチュエーター42の超音波発振器は、「UH−600S」(エスエムテー社、周波数20KHz±3KHz、最大振幅40μm、最大出力600W)である。
冷却液として十分脱気した蒸留水を用い、この冷却液の温度を20Kまたは10Kのサブクール度に保ち、各サブクール度の場合について、加熱ブロック44における円柱部分について測定された温度分布を被冷却面まで外挿して被冷却面温度を求め、更にこの温度勾配から熱流束の値を求めた。円柱部分の側面からの熱損失は、軸方向熱流の5%程度である。
具体的には、ヒータの印加電圧を2.5Vづつ上げて加熱ブロック44を加熱し、円柱部分の温度が定常になった状態で被冷却面過熱度および熱流束の値を求める操作を、超音波アクチュエーター22による超音波の照射をしながら行った。ここに、超音波振動出力は、20kHzで400Wであった。
また、上記と同様の操作を、超音波の照射をせずに行った。
サブクール度が20Kの場合の結果を図6に、10Kの場合の結果を図7に示す。
サブクール度20Kで超音波を照射しなかった場合には、図6において白丸で示されているように、気泡微細化沸騰が発生するが熱流束は3.22MW/m2 が限度であって限界熱流束CHFに比してあまり大きな増加は見られなかった。そして、被冷却面は薄い蒸気膜に覆われ膜沸騰へ移行した。
一方、サブクール度20Kで超音波を照射した場合は、図6において白角で示されているように、限界熱流束CHFに達した後に遷移沸騰に移行するが同時に気泡微細化沸騰が始まり、この気泡微細化沸騰MEBにおいては、熱流束は限界熱流束CHFに比して大きく増加し、最高熱流束値は7.87MW/m2 であった。
この熱流束の状態は、超音波の照射をせずにサブクール度が40〜60Kである冷却液による場合のサブクール流動沸騰の場合に匹敵する。すなわち、この実験結果から、超音波の照射を行えば、サブクール度20Kの冷却液を用いても、超音波の照射をしない場合のサブクール度40〜60Kの冷却液を用いる場合と同様の冷却効果が得られることとなる。
また、サブクール度が10Kで超音波の照射を行った場合には、図7において白角で示されているように、気泡微細化沸騰MEBが発生し、白丸で示されている超音波の照射がされない場合より多少は熱流束の増加があるものの、膜沸騰に移行した。被冷却面において成長する気泡はサブクール度20Kの場合より大きくなり、超音波照射の影響はあまり見られなかった。そして、超音波を照射しない場合の最高熱流束値は1.77MW/m2 であり、超音波を照射した場合でも2.22MW/m2 であった。
気泡微細化沸騰の発生は、サブクールジェットを伝熱面に衝突させると低サブクール度でも気泡微細化沸騰が発生することが確認されているが、サブクールプール沸騰や流動沸騰の場合、サブクール度が20Kを境にして20Kより高い場合に気泡微細化沸騰が発生している。超音波を照射しない場合に、安定した気泡微細化沸騰が生ずるのは、サブクール度が30K以上と考えられる。サブクール度が20Kでは、気泡微細化沸騰の発生も不安定で膜沸騰に移行しやすい。気泡微細化沸騰において、サブクール度20Kは伝熱面上に成長した合体気泡の気液界面が不安定な状態で、超音波の照射により、凝縮崩壊を起こし安定した気泡微細化沸騰に発展してゆくものと考えられる。
サブクール度20Kで図6の結果から明らかなように、遷移沸騰の初期に伝熱面上に成長した合体気泡に超音波照射すると、気泡表面は細かく分裂し、微細気泡が放出されており、気泡微細化沸騰が発生している。
以上のように、上向き水平の直径10mmの銅面を伝熱面とした、水のサブクール擬似プール沸騰において、超音波(20kHz、400W)を照射した結果、気泡微細化沸騰が発生する境目のサブクール度20Kにおいて、伝熱面上に成長した合体気泡が崩壊し安定した気泡微細化沸騰が発生し、熱流束が2倍以上増加し、超音波照射により選択的に大きな伝熱促進効果のあることが確認できた。
サブクール度10Kの冷却液を用いる場合には、気泡を凝縮崩壊させるにはサブクール度が小さすぎるために気泡微細化沸騰は起きないが、サブクール度が20Kの冷却液によれば、凝縮崩壊が生ずるが不安定である。凝縮崩壊が生じても単位時間当たりにサブクール液が十分に伝熱面に供給される状態にはならず、熱流束の増加が見られない場合が多くて、気泡微細化が生じてもすぐに膜沸騰に移行しやすい。すなわち、気泡と液の界面が凝縮崩壊するには不安定度が低い。
然るに、本発明によれば、このような条件下であっても、当該系の冷却液に超音波を照射することにより、気泡の界面に超音波の刺激が作用されることにより、気液界面の不安定性が増長されて気泡の崩壊が激しくなり、伝熱面に大量のサブクール液が供給されることとなる結果、サブクール度が高い冷却液を用いた場合と同程度以上に、熱流束が増加する。
サブクール度が30K以上の冷却液によれば、通常、そのままの条件下で気泡微細化沸騰が発生するので、超音波照射による効果は小さくなる。
例えばサブクール度20Kの冷却液として80℃の水を用いる場合には、このサブクール度の冷却液であっても、本発明に従って超音波照射をすることにより、確実に気泡微細化沸騰を実現して高い熱流束による熱の移動が可能となる。
そして、被冷却面の冷却に供されて飽和温度の100℃またはこれに近い温度状態となっている冷却液(水)を、放熱機構によってサブクール度20Kの冷却液(すなわち温度80℃の水)に冷却することは容易であり、冷却液の放熱に要するエネルギーを減少させることができ、用いる放熱機構は小型の簡単な構成のもので十分であって、大容量の放熱機構を用いることが不要となる。
液体の沸騰現象について説明する沸騰曲線図である。 本発明の沸騰冷却装置の一例の構成を示す説明用断面図である。 本発明の沸騰冷却装置の他の一例の構成を示す説明用断面図である。 本発明の管状流路の一例を示す説明用斜視図である。 本発明の効果を確認するための実験装置の構成を示す概略図である。 サブクール度が20Kの場合の実験結果を示すグラフである。 サブクール度が10Kの場合の実験結果を示すグラフである。
符号の説明
A 液体の加熱開始点
B 沸騰開始点
C 限界熱流束点
D 極小熱流束点
E 過熱焼損点
10 冷却液
12 冷却液容器
14 ヒートスプレッダ
S ヒートスプレッダの被冷却面
16 発熱体
17 断熱材
18 放熱機構
18A 吸熱部分
18B 放熱フィン部分
19 傾斜縁
20 冷却ファン
22 超音波アクチュエーター
32 冷却液容器
34 投げ込みヒータ
35 熱電対
36 放熱用冷却管
37 照明用ライト
38 スターラ
42 超音波アクチュエーター
44 加熱ブロック
46 カメラ
47 表示装置
50 管状体
51 柱状体
50A 内壁部
51A 柱状体表面
500 被冷却物
501、502、503 発熱部
510 ヒートスプレッダ
510A 被冷却面
512 流路部材
514 管状流路
520 冷却液貯留容器
522 冷却液
530 供給用管路
532 冷却液流通用ポンプ
540 帰還用管路
550 放熱機構
551 ラジエータ
552 ファン
553 冷却風

Claims (26)

  1. 被冷却面にサブクールされた冷却液を接触させ、沸騰冷却によって前記被冷却面を冷却する沸騰冷却方法であって、
    前記冷却液に超音波が照射され、当該冷却液の限界熱流束を超える熱流束で熱が移動する状態が形成されることを特徴とする沸騰冷却方法。
  2. 被冷却面が、冷却液を保持する冷却液容器内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の沸騰冷却方法。
  3. 冷却液容器内において対流する冷却液が、当該冷却液容器に配置された冷却液放熱手段により放熱されることを特徴とする請求項2に記載の沸騰冷却方法。
  4. 被冷却面が、冷却液が流通される管状流路内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の沸騰冷却方法。
  5. 管状流路は、冷却液が循環される循環流路の一部を構成し、当該循環流路を流通する冷却液が、当該循環流路に設けられた冷却液放熱手段により放熱されることを特徴とする請求項4に記載の沸騰冷却方法。
  6. 管状流路を流通する冷却液の平均流速が0.05〜1.0m/秒であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の沸騰冷却方法。
  7. サブクールされた冷却液は、1気圧におけるサブクール度が15〜25Kのものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の沸騰冷却方法。
  8. 冷却液が、水、アルコール、水とアルコールとの混合液、並びに、フッ素系不活性液体から選ばれたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の沸騰冷却方法。
  9. 冷却液が不凍液であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の沸騰冷却方法。
  10. 被冷却面に接触するよう冷却液を保持する冷却液保持機構と、当該冷却液に超音波を照射する超音波照射手段とから少なくとも構成され、請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の沸騰冷却方法の実施に用いられることを特徴とする沸騰冷却装置。
  11. 冷却液保持機構は被冷却面が設けられる冷却液容器よりなり、冷却液を放熱させる冷却液放熱手段が設けられてなることを特徴とする請求項10に記載の沸騰冷却装置。
  12. 冷却液保持機構は、冷却液容器内において対流する冷却液に接触する受熱部分と、冷却液から外部に突出する放熱部分とを有する熱伝導性材料からなることを特徴とする請求項11に記載の沸騰冷却装置。
  13. 冷却液保持機構は、被冷却面に接触して冷却液が流通する管状流路よりなり、当該管状流路は、冷却液が循環される循環流路の一部を構成し、当該循環流路を流通する冷却液を放熱させる冷却液放熱手段が当該循環流路に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の沸騰冷却装置。
  14. 冷却液保持機構の管状流路において、被冷却面とこれに対向する当該管状流路の管内壁が互いに平行的であることを特徴とする請求項13に記載の沸騰冷却装置。
  15. 管状流路における冷却液の流れ方向に沿った被冷却面の長さが1〜5cmであることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の沸騰冷却装置。
  16. 被冷却面が管状流路の管内壁の一部を構成する状態で設けられることを特徴とする請求項13乃至請求項15のいずれか一に記載の沸騰冷却装置。
  17. 被冷却面を構成する材料が超親水性であることを特徴とする請求項13乃至請求項16のいずれか一に記載の沸騰冷却装置。
  18. 管状流路に対して隔壁を介して管状の副流路が形成され、この副流路から前記隔壁を通して管状流路内に冷却液を供給する供給部を複数個有することを特徴とする請求項13乃至請求項17のいずれか一に記載の沸騰冷却装置。
  19. 管状流路を含む循環流路に冷却液を供給して流通させる冷却液供給・流通手段を備えることを特徴とする請求項13乃至請求項18のいずれか一に記載の沸騰冷却装置。
  20. 冷却液供給・流通手段が、冷却液を貯留させる冷却液貯留容器を有することを特徴とする請求項19に記載の沸騰冷却装置。
  21. 冷却液供給・流通手段が対流式の放熱手段を有し、この放熱手段が、前記循環流路に流通されて被冷却面の冷却に供された冷却液の放熱を行うものであることを特徴とする請求項19乃至請求項20のいずれか一に記載の沸騰冷却装置。
  22. 対流式の放熱手段が、空冷式のラジエータであることを特徴とする請求項21に記載の沸騰冷却装置。
  23. 稼動中に熱を発生する熱発生部材と、この熱発生部材の熱を冷却する冷却手段とを構成要素とする機能製品であって、当該冷却手段が、請求項13乃至請求項22のいずれか一に記載の沸騰冷却装置であることを特徴とする機能製品。
  24. 熱発生部材が電子素子パッケイジよりなり、当該熱発生部材の表面により、沸騰冷却装置における管状流路の一部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項23に記載の機能製品。
  25. 電子素子よりなる熱発生部材と伝熱部材とを主構成要素とする高発熱密度電子機器であって、伝熱部材の被冷却面により、沸騰冷却装置における管状流路の一部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項23に記載の機能製品。
  26. 高発熱密度電子機器が、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車もしくは燃料電池発電設備の電力変換制御装置、コンピュータもしくはスーパーコンピュータ、または鉄道電車もしくは航空機用の電力システムの電力変換制御装置に搭載されるものであることを特徴とする請求項25に記載の機能製品。
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