JP5146171B2 - 有機樹脂ラミネート鋼板 - Google Patents
有機樹脂ラミネート鋼板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5146171B2 JP5146171B2 JP2008190183A JP2008190183A JP5146171B2 JP 5146171 B2 JP5146171 B2 JP 5146171B2 JP 2008190183 A JP2008190183 A JP 2008190183A JP 2008190183 A JP2008190183 A JP 2008190183A JP 5146171 B2 JP5146171 B2 JP 5146171B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- film
- steel sheet
- polyester
- thickness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Description
(1)鋼板の片面又は両面に、ポリエステル樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂からなるエラストマー(B、以下、単にポリオレフィン系樹脂という)、及び、極性相互作用樹脂(C)からなる樹脂組成物のフィルムを1層以上被覆した有機樹脂ラミネート鋼板であって、前記鋼板は、非表面処理鋼板であり、前記鋼板の表面は、二乗平均平方根粗さRqが0.01〜2.5μmで、最大谷深さRvが0.03〜15.0μmであり、前記鋼板と接する前記樹脂組成物のフィルム中のポリエステル樹脂(A)は、全アルコールユニットのうちシクロヘキサンジメタノールユニットを10〜100モル%含有し、前記ポリオレフィン系樹脂(B)と前記極性相互作用樹脂(C)との質量比(B):(C)が1.0:10〜15:1.0であり、前記ポリオレフィン系樹脂(B)と前記極性相互作用樹脂(C)の合計量の全樹脂((A)+(B)+(C))に対する質量%が1〜30%であり、前記ポリエステル樹脂(A)中に前記極性相互作用樹脂(C)でカプセル化したポリオレフィン系樹脂(B)が分散してなることを特徴とする、有機樹脂ラミネート鋼板。
(2)前記ポリエステル樹脂(A)のフィルムの合計の厚さと前記鋼板の厚みとの比(鋼板厚み/フィルム厚み)が、3〜35であることを特徴とする、(1)記載の有機樹脂ラミネート鋼板。
(3)前記鋼板と接する前記ポリエステル樹脂(A)のフィルムの層の上に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートから選ばれる樹脂からなる一層以上の樹脂フィルム層を有し、前記樹脂フィルム層の合計の厚さが200μm以下で、かつ、前記鋼板と接するフィルムとそれ以外のフィルムとの厚み比(前記鋼板と接しないフィルム厚み/前記鋼板と接するフィルム厚み)が0.5〜16であることを特徴とする、(1)又は(2)記載の有機樹脂ラミネート鋼板。
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)とは、ジカルボン酸化合物及びジオール化合物またはヒドロキシカルボン酸化合物ユニットとジカルボン酸ユニット及びジオール化合物ユニットを構成ユニットとする熱可塑性ポリエステルである。又は、前記熱可塑性ポリエステルの混合物であっても良い。
本発明のポリエステル樹脂(A)は、ラミネート時に鋼板表面の凹凸に樹脂が流れ込み、鋼板とフィルム界面の微細空隙を無くすという観点から、鋼板と接する前記ポリエステル樹脂フィルムの層は、樹脂−樹脂相互作用を低下させるジオール成分として、CHDMユニットを含有していることが必要である。鋼板と接する前記ポリエステル樹脂フィルムの層は、全アルコールユニットに対しCHDMユニットを10〜100モル%含有するものとする。CHDMユニット含有率が10モル%より少ない場合には、樹脂−樹脂相互作用が上昇し、樹脂の付きまわり性が低下し、樹脂フィルムと鋼板の間に微細空隙が発生し、点食が発生しやすくなる。また、微細空隙発生をより少なくするという観点から、CHDMユニットの含有率が20モル%以上である事が好ましく、更に微小空隙を減少させるという観点からは、CHDMユニットの含有率が28モル%以上である事が好ましい。また、樹脂の剛性が下がり過ぎないようにするという観点からは、CHDMユニットの含有率は90%以下がより好ましく、さらに耐衝撃性を向上させるという観点からはCHDMユニットの含有率は60%以下が好ましい。
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、0.5〜1.25dl/gであることが好ましい。前記固有粘度が0.5dl/g未満では、混練によって本発明の樹脂を製造する際に、樹脂の溶融粘度が低すぎ、製膜性が低下する場合がある。一方、前記固有粘度が1.25dl/gを越えると、製膜時に適切な樹脂溶融粘度を得る為に高温が必要となり、樹脂が熱劣化しやすくなるために好ましくない。また、耐衝撃性の観点からは、固有粘度は0.65dl/g以上が好ましい。さらに、固有粘度が高い樹脂は、固相合成により製造され、比較的高価であるため、コストの観点からは、固有粘度は0.8dl/g以下が好ましい。
固有粘度= {ln(t/t0)}/C (i)
本発明の下地層の樹脂は、ポリエステル樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、及び、極性相互作用樹脂(C)を主成分とし、ポリオレフィン系樹脂(B)は極性相互作用樹脂(C)によりカプセル化されているポリマーアロイである。このようなポリマーアロイは、本発明のポリエステル樹脂(A)が有する、点食防止能に、耐衝撃性及び加工性を向上できる観点から好ましい。
本発明の下地層樹脂フィルムに使用するポリオレフィン系樹脂(B)は、公知のエラストマーであるエチレンやプロピレンなどのビニル化合物と、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンとの共重合体を広く使用できる。
本発明に使用する極性相互作用樹脂(C)とは、ポーリングの電気陰性度の差が0.39(eV)0.5以上ある元素が結合した極性基を有するユニットを1質量%以上含有する重合体である。極性基を有するユニットは、極性相互作用樹脂(C)とポリエステル樹脂(A)の間に弱い結合を形成し、極性相互作用樹脂(C)のポリエステル樹脂(A)への分散性を向上させる。極性基を有するユニットが1質量%未満では、分散性が低下する場合がある。
CHR1=CR2R3 (ii)
(式中、R1、R3は各々独立に炭素数1〜12のアルキル基若しくは水素を、R2は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基若しくは水素を示す。)
本発明の下地層樹脂フィルムは、ポリエステル樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(B)、極性相互作用樹脂(C)を少なくとも含むが、さらに、ポリエステル樹脂(A)中に極性相互作用樹脂(B)が微細分散し、かつ、ポリオレフィン系樹脂(B)が極性相互作用樹脂(C)でカプセル化された構造を有している樹脂をフィルムとして金属板に被覆するので、耐衝撃性、加工性がより高くなる。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)中に極性相互作用樹脂(B)が「分散」するとは、ポリオレフィン系樹脂(B)の全粒子の内、70体積%以上の粒子が100μm以下の投影面積円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径であり、顕微鏡法で計測できる)の平均粒径(数平均粒子径)でポリエステル樹脂(A)中に分散している状態である。カプセル化したポリオレフィン系樹脂(B)の投影面積円相当径の平均径が100μm超では、耐衝撃性が低下し、また本発明の樹脂フィルムの製膜性が低下する場合がある。好ましくは1μm以下、より好ましくは9.5μm以下の投影面積円相当径の平均粒径であることが望ましい。1μm超では、十分な耐衝撃性を発揮できない場合がある。
また、極性相互作用樹脂(C)で「カプセル化」したポリオレフィン系樹脂(B)とは、ポリオレフィン系樹脂(B)界面の80%以上、好ましくは95%以上を極性相互作用樹脂(C)が被覆し、ポリエステル樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)との直接接触面積を20%未満とした構造である。このような構造とすることにより、極性相互作用樹脂(C)でカプセル化したポリオレフィン系樹脂(B)の微細分散が容易となり、耐衝撃性、製膜性が向上する。また、ポリオレフィン系樹脂(B)は一般に金属板との密着性が低いが、極性基を有する極性相互作用樹脂(C)が金属板との密着性を有するため、微細分散した粒子が金属板に接しても樹脂フィルムと金属板との十分な密着性を確保できる効果を有する。
上記のような三元系樹脂組成物を混合してポリエステル樹脂(A)中に極性相互作用樹脂(C)でカプセル化したポリオレフィン系樹脂(B)を微細分散させるには、極性相互作用樹脂(C)とポリエステル樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)との界面張力のバランスを適切にすることが重要である。
λ(Resin C)/(Resin B) = Υ(Resin C)/(Resin A) − Υ(Resin C)/(Resin B) − Υ(Resin B)/(Resin A) (iv)
〔但し、式中、Resin A はポリエステル樹脂(A)を、Resin B はポリオレフィン系樹脂(B)を、またResin C は極性相互作用樹脂(C)をそれぞれ示し、またΥi/jは樹脂iと樹脂j間の界面張力であり、近似的には樹脂iと樹脂j間の相溶性を示すパラメータΧi/j(相溶性が良好なほど小さな値を示す。)の0.5乗に比例する。〕
cA/C=φc(Resin A)/(Monomer V) + (1−φ)c(Resin A)/(Monomer U) − φ(1−φ)c(Monomer V)/(Monomer U) (v)
cB/C=φc(Resin C)/(Monomer V) +(1−φ)c(Resin C)/(Monomer U) − φ(1−φ)c(Monomer V)/(Monomer U) (vi)
〔但し、φは無極性ビニルモノマーの配合比(体積比)を示す。〕
本発明のフィルムがポリマーアロイの場合ポリエステル樹脂(A)、極性相互作用樹脂(C)及びポリオレフィン系樹脂(B)を含有する樹脂フィルムをカプセル化した構造にすることは、公知の混合法により製造することができる。具体的には、適切な界面張力の差を有するポリエステル樹脂(A)、極性相互作用樹脂(C)及びポリオレフィン系樹脂(B)を選択した後は、所定の温度、例えば200〜350℃で公知の各種混合機を用いて溶融混練すれば、界面張力差を利用してカプセル構造を形成して製造することができる。
本発明の樹脂フィルムを製造する方法としては、樹脂原料が複数からなる場合は、1軸若しくは2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、Tダイなどから押し出す方法が挙げられる。樹脂混合物が複数樹脂から成る場合は、樹脂混練法、溶媒混練法等の公知の樹脂混練方法を広く使用できる。また、樹脂原料が単数からなる場合、或いは複数からなる場合でも、Tダイを設置した1軸若しくは2軸押出機を使用して直接押し出す方法が挙げられる。
また、本発明の樹脂フィルムには、剛性や線膨張特性の改善等を目的に、ガラス繊維、金属繊維、チタン酸カリウィスカー、炭素繊維のような繊維強化剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属フレーク、金属粉末のようなフィラー類を混入させても良い。これらの充填剤の内、ガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有することが望ましい。また、これらの添加量としては、全樹脂組成物質量に対して0.5〜50質量部であることが望ましい。
更に、本樹脂フィルムには、目的に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、離型剤、滑剤、顔料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤等を適正量添加することも可能である。
また、フレーバー性の向上、耐衝撃性の向上などの目的で、本樹脂フィルムとともに、他の樹脂フィルム若しくは接着剤、又は他の樹脂フィルムと接着剤の両方と組み合わせて使用しても差し支えない。
本発明の樹脂フィルムは非表面処理鋼板の被覆材として使用することができる。非表面処理鋼板としては、鋼種は特に限定するものではないが、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、錫めっき鋼板などの原板として使用されている冷延鋼板が上げられる。
樹脂の付きまわり性を向上させて点食を防止する為には、鋼板の表面粗さに起因する凸凹を適切に制御することが必要である。鋼板表面粗さの深さ方向の高さが大きい場合、樹脂が溶融時に完全に流れ込むことができず、鋼板と有機樹脂界面に微細な空隙ができる可能性がある。したがって、鋼板の局所的な鋼板表面粗さを制御するために、鋼板表面全体の表面粗さを制御するために、二乗平均平方根粗さRqが0.01〜2.5μmであることが必要である。0.01μm未満の場合、樹脂が鋼板隙間に侵入して接着力を発現する、所謂「アンカー効果」が得られず、密着性が低下する可能性がある。また、2.5μm超の場合は、樹脂が溶融時に鋼板表面粗さに起因する凸凹に完全に流れ込むことができず、鋼板と樹脂間に微小空隙が発生する場合がある。特に、湿潤条件での点食抑制の観点からは、Rqが0.03〜1.6μmであることが好ましい。
樹脂と鋼板の間の微小空隙をなくすためには、樹脂の付きまわり性を改善することが重要であるが、一旦、鋼板を被覆した樹脂が剥離して、微小空隙が生じる事を防止する必要がある。点食の起点となる様な微小空隙の発生は、主として樹脂が冷却される際に、鋼材と樹脂の熱膨張係数の差に起因して生じる応力が原因であるため、これの抑制の為には、ポリエステル樹脂フィルムの合計の厚みと鋼板の厚みとの比率は、35≧(鋼材厚み/フィルム厚み)≧3であることが好ましい。厚み比率が35超の場合は、残留応力が強くなり、微小空隙が発生する可能性がある。また、厚み比率が3未満の場合は、鋼板を通じてのフィルム冷却速度が遅くなり、結晶化不均一化が生じ、やはり微小空隙が発生する可能性がある。
鋼板と接するポリエステル樹脂(A)のフィルムの層の上に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートから選ばれる樹脂からなる一層以上の樹脂フィルム層を有し、この樹脂フィルム層の合計の厚さが200μm以下であることが好ましい。樹脂フィルム層の合計の厚さが200μmを超えると、フィルムが剥離しやすくなるため好ましくない。
鋼板と接するフィルムとそれ以外のフィルムとの厚み比(鋼板と接しないフィルム厚み/鋼板と接するフィルム厚み)が0.5〜16であることが好ましい。(鋼板と接しないフィルム厚み/鋼板と接するフィルム厚み)が0.5未満では、鋼材厚み=重量となる条件に対し、フィルム厚みが薄くなり過ぎ、材料同士がぶつかった場合などに容易にフィルムが破けるようになるため好ましくない。一方、(鋼板と接しないフィルム厚み/鋼板と接するフィルム厚み)が16超では、鋼板と比して線膨張係数が大きなフィルムの厚みが厚すぎるため、温度変化の際に発生する応力が大きくなり、フィルム剥離しやすくなるため好ましくない。
フィルム圧着(間接/直接)、直接ラミネーションなど、金属板への被覆には、公知の方法が使用できる。具体的には、(1)あらかじめ混練機により原料樹脂を溶融混練することで調製した樹脂組成物をTダイス付の押出機で本樹脂フィルムに成型し、これを金属板に熱圧着する方法(この場合、フィルムは無延伸でも、1方向若しくは2方向に延伸してあっても良い)、(2)Tダイスから出たフィルムを直接熱圧着する方法、が挙げられる。さらに、フィルムを直接熱圧着する別の方法としては、(3)Tダイス付の押出機のホッパにあらかじめ混練機により原料樹脂を溶融混練することで調製した樹脂組成物の代わりに、本樹脂組成物の原料となる樹脂を投入し、押出機内で樹脂組成物に混練し、それを直接熱圧着する方法が挙げられ、被覆方法は特に限定されるものではない。
金属板への被覆工程や金属板加工時の潤滑性を向上する目的で、特開平5−186613号公報に開示されているような公知の滑剤が添加されていても良い。滑剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機系、架橋ポリスチレン粒子、シリコーン粒子などの有機系のいずれでもよいが、無機系が好ましい。
本発明の樹脂フィルムは、顔料を含んでもよい。例えば、白色顔料として、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、などの無機系顔料を挙げることができる。顔料の平均粒径(数平均粒子径)は、滑剤の粒径と同じ理由から、2.5μm以下が好ましい。顔料の添加量は、着色の機能を達成するために必要な量であり、3〜50質量%程度の範囲内で使用される。顔料の添加方法は公知の方法によることができる。
ポリエステル樹脂の可塑剤としては、例えば、炭素数2〜20の脂肪酸多塩基酸又はそのエステル形成性誘導体に対する炭素数8〜20の芳香族多塩基酸又はそのエステル形成性誘導体のモル比が0〜2.0であるこれらの多塩基酸成分と、炭素数2〜20の脂肪族アルコールとを縮重合したものを、炭素数2〜20の一塩基酸又はそのエステル形成性誘導体及び/又は炭素数1〜18の一価アルコールで末端エステル化したポリエステルからなるポリエステル樹脂用可塑剤を挙げることができる。
また、本発明の樹脂フィルムを金属板に被覆する際には、金属板の片面又は両面に、少なくとも上記樹脂フィルムを用いて単一層状に又は多層状に1層又は2層以上積層して被覆することができる。この際に、1又は2種類以上の樹脂フィルムを用いて金属板の片面又は両面に単一層状にあるいは多層状に積層しても良く、また、必要に応じてPETフィルム、ポリカーボネートフィルム等のポリエステルフィルムや、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルムや、6−ナイロンフィルム等のポリアミドフィルムや、アイオノマーフィルム等の他の公知の樹脂フィルム、あるいは、結晶/非結晶ポリエステル組成物フィルム、ポリエステル/アイオノマー組成物フィルム、ポリエステル/ポリカーボネート組成物フィルム等の公知の樹脂組成物フィルムをその上層に積層して被覆しても良い。特に、食品用途などでは、従来から利用されているポリエステルフィルムを本発明のフィルムの上に積層することは、耐疵付き性、耐熱性、フレーバー性の向上などの観点から好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらのブレンド物が、特に耐疵付き性向上の観点から好ましい。具体的な積層方法としては、すでに述べた方法を使用する場合、多層のTダイスを使用して本発明の樹脂フィルムと他の樹脂フィルムや樹脂組成物フィルムとの多層膜を製造し、これを熱圧着する方法がある。本発明の樹脂被覆金属板は本発明の樹脂フィルムが被覆された金属板であり、被覆は片面であっても両面であっても良い。金属板の厚みは特に制限するものではないが、0.01〜5mmであることが好ましい。0.01mm未満では強度が発現し難くなる場合がある。5mm超では加工が困難である場合がある。
実施例1〜39(表1)は、CHDMユニットを10〜100%含有する例である。何れも表1の組成に混合したペレットを使用して、フィルムとして押し出しTダイスで所定厚みのフィルムを得た(押出温度:250〜265℃、リップ幅=310mm、巻き取り速度=5.5〜6.8m/分、リップ/第1ロール間距離=10cm)。PETを二種類使用する場合は表1にある割合で混合し、使用した。表1中、(B)、(C)は全樹脂100質量%に対する質量%を示す(以下の表2、表5、表6にて同じ)。得られたフィルムを250℃に加熱した所定厚み、5cm角の非表面処理鋼板の片面に張り、水冷により10秒以内に100℃以下まで急冷し、樹脂被覆金属板を作製した。
比較例1〜13(表2)は、CHDMユニットが10%未満の例、又は、Rq、Rv,フィルム厚みが不適切な例である。フィルムの製造、分析は、実施例と同様である。
上記の樹脂被覆金属板をオートクレーブ中で121℃、30分の水熱殺菌処理を施した後、25cm2辺りの点食数で評価した。評価は、◎:0〜5個、○:6〜20個、△:21〜30個、×:31個以上とした。サンプル数は1水準に付き3枚にて実施した。なお、サンプルによって評価の異なるものがある場合には、「◎〜○」のように示した(実施例3〜7)。
更に、本樹脂被覆金属板の耐衝撃性評価をデュポン式の落垂衝撃試験で行った。30cmの高さから金属板に0.5kgの鉄球を落とした後、1.0%食塩水中でサンプルを陽極とし、銅板を陰極として+6Vの電圧をかけた際のERV値(mA)を測定した。ERV値は以下の指標により評価した。◎:全サンプルが0.01mA未満、○:1〜3サンプルが0.01mA以上、△:4〜6サンプルが0.01mA以上、×:7サンプル以上が0.01mA以上、の基準で評価した。サンプル数は1水準に付き10枚にて実施した。
本樹脂被覆金属板の加工性評価をエリクセン加工試験で行った。エリクセン加工機により5.5mmの張り出し加工を施した後、1.0質量%食塩水中でサンプルを陽極とし、銅板を陰極として+6Vの電圧をかけた際のERV値(mA)を測定した。ERV値は以下の指標により評価した。◎:全サンプルが0.01mA未満、○:1〜3サンプルが0.01mA以上、△:4〜6サンプルが0.01mA以上、×:7サンプル以上が0.01mA以上、の基準で評価した。サンプル数は1水準に付き10枚にて実施した。
実施例38〜40は、下層が(A)、(B)、(C)のアロイ樹脂フィルムで、上層が非アロイである、複数の樹脂層からなる例である。いずれも表5の樹脂をフィルムとして押し出しTダイスで厚さ25μmのフィルムを得た(押出温度:250〜265℃(8756の場合は275〜285℃)、リップ幅=310mm、巻き取り速度=5.5〜6.8m/分、リップ/第1ロール間距離=10cm)。得られたフィルムを表5の構成となるように重ねた後、250℃に加熱した所定厚み、5cm角の非表面処理鋼板の片面に張り、水冷により10秒以内に100℃以下まで急冷し、樹脂被覆金属板を作製した。表5の中の「下層」とは金属板に直接接触する樹脂フィルム層、「上層」とは、鋼板に直接接触しない層を表す。
比較例14は、実施例38〜40と同様にして、樹脂被覆金属板を作製した。ただし、下層は、PET1とPET2を混合して使用する事で、CHDMユニットを5モル%含有する樹脂とした。
樹脂被覆金属板の樹脂フィルム側を上にして、分銅(重さ20g、直径10mm)を置き、70℃にて10分保持した。目視にて、押し疵が無いものを○、ある物を×とした。耐食性評価(点食数)、耐衝撃性評価、加工性評価、及び耐熱性評価の結果を表7,8に示す。
Claims (3)
- 鋼板の片面又は両面に、ポリエステル樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂からなるエラストマー(B、以下、単にポリオレフィン系樹脂という)、及び、極性相互作用樹脂(C)からなる樹脂組成物のフィルムを1層以上被覆した有機樹脂ラミネート鋼板であって、
前記鋼板は、非表面処理鋼板であり、
前記鋼板の表面は、二乗平均平方根粗さRqが0.01〜2.5μmで、最大谷深さRvが0.03〜15.0μmであり、
前記鋼板と接する前記樹脂組成物のフィルム中のポリエステル樹脂(A)は、全アルコールユニットのうちシクロヘキサンジメタノールユニットを10〜100モル%含有し、
前記ポリオレフィン系樹脂(B)と前記極性相互作用樹脂(C)との質量比(B):(C)が1.0:10〜15:1.0であり、
前記ポリオレフィン系樹脂(B)と前記極性相互作用樹脂(C)の合計量の全樹脂((A)+(B)+(C))に対する質量%が1〜30%であり、
前記ポリエステル樹脂(A)中に前記極性相互作用樹脂(C)でカプセル化したポリオレフィン系樹脂(B)が分散してなることを特徴とする、有機樹脂ラミネート鋼板。 - 前記ポリエステル樹脂(A)のフィルムの合計の厚さと前記鋼板の厚みとの比(鋼板厚み/フィルム厚み)が、3〜35であることを特徴とする、請求項1記載の有機樹脂ラミネート鋼板。
- 前記鋼板と接する前記ポリエステル樹脂(A)のフィルムの層の上に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートから選ばれる樹脂からなる一層以上の樹脂フィルム層を有し、
前記樹脂フィルム層の合計の厚さが200μm以下で、かつ、前記鋼板と接するフィルムとそれ以外のフィルムとの厚み比(前記鋼板と接しないフィルム厚み/前記鋼板と接するフィルム厚み)が0.5〜16であることを特徴とする、請求項1又は2記載の有機樹脂ラミネート鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008190183A JP5146171B2 (ja) | 2008-07-23 | 2008-07-23 | 有機樹脂ラミネート鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008190183A JP5146171B2 (ja) | 2008-07-23 | 2008-07-23 | 有機樹脂ラミネート鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010023419A JP2010023419A (ja) | 2010-02-04 |
JP5146171B2 true JP5146171B2 (ja) | 2013-02-20 |
Family
ID=41729700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008190183A Expired - Fee Related JP5146171B2 (ja) | 2008-07-23 | 2008-07-23 | 有機樹脂ラミネート鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5146171B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5278367B2 (ja) * | 2010-04-12 | 2013-09-04 | 新日鐵住金株式会社 | 有機樹脂ラミネート鋼板 |
JP5924292B2 (ja) * | 2013-02-25 | 2016-05-25 | 株式会社デンソー | 炭素繊維強化樹脂成形品及び複合構造体 |
JP6426865B1 (ja) * | 2018-02-20 | 2018-11-21 | タツタ電線株式会社 | 電磁波シールドフィルム |
TW202128418A (zh) * | 2019-09-30 | 2021-08-01 | 日商太陽油墨製造股份有限公司 | 積層結構 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06226913A (ja) * | 1993-02-08 | 1994-08-16 | Sumitomo Metal Ind Ltd | ラミネート金属板およびその製造方法 |
JP3343424B2 (ja) * | 1993-12-28 | 2002-11-11 | 東洋製罐株式会社 | 絞りしごき缶用樹脂被覆金属板およびこれからなる絞りしごき缶 |
JP3560267B2 (ja) * | 1996-08-06 | 2004-09-02 | 東洋鋼鈑株式会社 | 薄肉化深絞りしごき缶用ポリエステル樹脂被覆鋼板の製造方法 |
JP2007297419A (ja) * | 2006-04-27 | 2007-11-15 | Nippon Steel Corp | 金属板被覆用樹脂フィルム,金属板被覆用多層樹脂フィルム,樹脂被覆金属板および樹脂被覆金属容器 |
-
2008
- 2008-07-23 JP JP2008190183A patent/JP5146171B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010023419A (ja) | 2010-02-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3982385B2 (ja) | 金属板ラミネート用樹脂フィルム、その製造方法、樹脂ラミネート金属板並びにその製造方法 | |
KR100378952B1 (ko) | 금속판 피복용 수지조성물 및 이를 사용한 수지 필름,수지피복 금속판 및 수지 피복 금속용기 | |
JP5146171B2 (ja) | 有機樹脂ラミネート鋼板 | |
JP5146170B2 (ja) | 有機樹脂ラミネート鋼板 | |
JP3645771B2 (ja) | 樹脂組成物、これを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板並びに樹脂被覆金属容器 | |
JP5200480B2 (ja) | 金属板被覆用樹脂組成物、樹脂フィルム、樹脂被覆金属板、及び樹脂被覆金属容器 | |
JP5278367B2 (ja) | 有機樹脂ラミネート鋼板 | |
JP5082268B2 (ja) | 容器用樹脂被覆金属板 | |
JP4422296B2 (ja) | 樹脂組成物、これを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板並びに樹脂被覆金属容器 | |
EP4129647A1 (en) | Layered polyester resin covered metal plate, layered polyester resin film, and can lid | |
JP2007297419A (ja) | 金属板被覆用樹脂フィルム,金属板被覆用多層樹脂フィルム,樹脂被覆金属板および樹脂被覆金属容器 | |
JP4725477B2 (ja) | 金属板ラミネート用樹脂フィルム、その製造方法、樹脂ラミネート金属板並びにその製造方法 | |
JP6056733B2 (ja) | 容器用樹脂被覆金属板 | |
JP2001205771A (ja) | 樹脂被覆金属板及び樹脂被覆金属容器の製造方法 | |
JP4364630B2 (ja) | 金属板貼合せ用ポリエステル系フィルム | |
JP4585146B2 (ja) | 樹脂組成物、およびこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板 | |
JP3921065B2 (ja) | 金属被覆用樹脂組成物、樹脂フィルム、容器用金属板および金属容器 | |
JP4460350B2 (ja) | 樹脂組成物、樹脂シート並びに積層材料 | |
JP2004083736A (ja) | キャストフィルム、樹脂被覆金属板、缶及び缶蓋 | |
JP2001205736A (ja) | 樹脂被覆金属板および樹脂被覆金属容器 | |
JP2001205737A (ja) | 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器 | |
JP3766675B2 (ja) | 樹脂組成物、これを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板並びに樹脂被覆金属容器 | |
JP4754106B2 (ja) | 樹脂被覆金属容器 | |
WO2020234979A1 (ja) | 金属板ラミネート用樹脂フィルムおよびそれを用いたラミネート金属板 | |
JP2001205738A (ja) | 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100810 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111215 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120207 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120405 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121030 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121112 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5146171 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |