JP2001205737A - 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器 - Google Patents

樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器

Info

Publication number
JP2001205737A
JP2001205737A JP2000020902A JP2000020902A JP2001205737A JP 2001205737 A JP2001205737 A JP 2001205737A JP 2000020902 A JP2000020902 A JP 2000020902A JP 2000020902 A JP2000020902 A JP 2000020902A JP 2001205737 A JP2001205737 A JP 2001205737A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
metal substrate
coated metal
layer
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000020902A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuo Kadowaki
伸生 門脇
Akihiro Murata
明博 村田
Hiroshi Jodai
洋 上代
Hiroshi Oishi
浩 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2000020902A priority Critical patent/JP2001205737A/ja
Publication of JP2001205737A publication Critical patent/JP2001205737A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属基材を被覆する樹脂層ないしフィルムに
おけるピンホールおよび/又はクラックの発生が効果的
に防止され、優れた耐食性および内容物の品質保持性
(例えば、香味保持性)を実現可能な樹脂被覆金属基
材、およびこれを少なくとも一部に含む容器を提供す
る。 【解決手段】 金属基材と、その少なくとも一の面上に
配置されたポリエステル系樹脂組成物層と、該樹脂組成
物層上に配置されたトップコート層とを少なくとも含む
樹脂被覆金属基材。該組成物層は、ポリエステル樹脂
(A)と、極性基を有するユニットを1質量%以上含有
するビニル重合体(B)とを含有する樹脂組成物(I)
であって、更にラジカル禁止剤を含有する組成物からな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、耐薬品
性、成形性、耐熱性、ガスバリヤ性および金属との密着
性が良好で、樹脂の耐分解性が高く、樹脂からの有機物
の溶出物が少なく、フレーバー性に特に優れる樹脂組成
物の少なくとも1層を、金属基材(例えば、表面処理鋼
板等の金属板)の片面又は両面に単一層状に、又は必要
に応じて他の層とともに多層状に配置し、更に、これら
の層の最も上層としてトップコート層を配置してなる樹
脂被覆金属基材に関する。
【0002】本発明の樹脂被覆金属基材は、その種々の
特性を活かして、缶体(特に、容器用の缶体)形成用に
特に好適に使用可能である。本発明は更に、鋼板ラミネ
ート材を用いた缶体を始めとする容器に関し、特に、加
工時における金属露出が防止され、優れた耐食性と外観
特性とを有する缶体用フィルムラミネート鋼板およびそ
れを種々に成形(絞り、深絞り、ドローアイアニング成
形、ドローリドロー成形、ストレッチドロー成形、スト
レッチドローアイアニング成形等)してなる缶体に関す
る。
【0003】
【従来の技術】本発明の樹脂被覆金属基材ないし缶体の
用途および成形法は特に制限されないが、説明の便宜
上、近年広く使用されている絞りないし深絞り成形によ
る側面無継目缶(シームレス缶)を例にとって従来の技
術を説明する。従来より、アルミニウム板または表面処
理鋼板等の金属素材を、絞りダイスとポンチとの間で一
段または多段の絞り加工に供し、側面に継目のない胴部
と該胴部に継目なしに一体に接続された底部とからなる
側面無継目缶を製造することは広く行われている。
【0004】このシームレス缶、即ち絞りないし深絞り
缶を樹脂フィルムラミネート表面処理鋼板から製造する
ことも既に知られており、例えば特公昭59−3458
0号公報には、全グリコール成分の少なくとも45モル
%がテトラメチレングリコールからなり、且つ二塩基酸
成分の少なくとも66モル%が・テレフタル酸からなる
熱可塑性ポリエステルをシート状の金属基材に被覆した
素材からなる側面無継目容器が記載されている。
【0005】上記した先行技術におけるテトラメチレン
グリコールをグリコール成分として含有する熱可塑性ポ
リエステル類は、表面・処理鋼板等の金属基材(ないし
基質)に対する接着性および絞り加工等に対する加工性
に優れるものではあるが、腐食性成分に対するバリア性
が未だ充分なレベルになく、金属に対して高度に腐食性
を有する内容物(例えば、トマトジュース、乳酸飲料等
の酸性および/又はイオン性が強い液体)を充填し、加
熱殺菌後保存する用途に対しては改善すべき余地が残さ
れている。
【0006】また、種々の熱可塑性樹脂フィルムの内で
も二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)のフ
ィルムは、腐食性成分に対するバリア性に優れ且つ耐熱
性にも優れたものであることから、表面処理鋼板に対し
て二軸延伸PETフィルムをラミネートし、これを絞り
ないし深絞り缶の素材として用いることが知られてい
る。
【0007】しかしながら、二軸延伸PETフィルムを
ラミネートした表面処理鋼板を、実際に絞り成形または
深絞り成形して得られる缶体は、その内面(内容物に接
触すべき面)に金属露出部が数多く存在し、鉄等の金属
分の溶出による香味低下や内容品の変質、並びに孔食発
生等を招く可能性がある。一般に、二軸延伸PETフィ
ルムには、フィルム相互のブロッキング防止やフィルム
表面の摩擦係数を小さくしてフィルムの加工や取扱を容
易とするために、通常、シリカ系の添加剤が含有されて
おり、この添加剤の一部がPETフィルム表面に存在し
ている。このPETフィルム表面の硬いシリカ系添加剤
は、ラミネート時のロールや絞り加工時のしわ押えやポ
ンチ等の加工工具と接触した際に、該PETフィルムに
ピンホールやクラック等を発生させる原因となるのみな
らず、これらの加工工具の表面を荒らす(粗面化させ
る)。この荒れた工具表面とPETフィルムとの接触
は、さらにPETフィルムのピンホールやクラック等の
欠陥部を増加させる可能性がある。
【0008】PETフィルムで被覆した金属基材(例え
ば、クロメ−ト処理鋼板)にこのような傷が微少存在す
る場合には、この部分から鋼板の腐食が進行して鉄等の
金属成分の漏洩を生じたり、金属成分の溶出による食品
のフレーバー低下や、溶出金属成分と内容物(例えば、
食品)との化学反応による変色等の変質を来すこととに
なる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術における問題点を解消した樹脂被覆金属基
材、およびこれを少なくとも一部に含む容器を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、金属基材を被覆する
樹脂層ないしフィルムにおけるピンホールおよび/又は
クラックの発生が効果的に防止され、優れた耐食性およ
び内容物の品質保持性(例えば、香味保持性)を実現可
能な樹脂被覆金属基材、およびこれを少なくとも一部に
含む容器を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、優れた耐食性と外観
特性とを有し且つレトルト殺菌においても、内容物接触
側の面(内面)の被覆状態が完全である樹脂被覆金属基
材、およびこれを少なくとも一部に含む容器を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、金属基材を被覆してなる特定の組成を有するポリ
エステル樹脂系の樹脂組成物の上に、更に、トップコー
ト層を配置することが、上記目的の達成に極めて効果的
であることを見出した。本発明の樹脂被覆金属基材は上
記知見に基づくものであり、より詳しくは、金属基材
と、その少なくとも一の面上に配置されたポリエステル
系樹脂組成物層と、該樹脂組成物層上に配置されたトッ
プコート層とを少なくとも含み;且つ、該ポリエステル
系樹脂組成物層が、ポリエステル樹脂(A)と、極性基
を有するユニットを1質量%以上含有するビニル重合体
(B)とを含む樹脂組成物(I)であって、更にラジカ
ル禁止剤を含有する組成物からなることを特徴とするも
のである。
【0012】本発明によれば、更に、金属基材と、その
少なくとも一の面上に配置されたポリエステル系樹脂組
成物層と、該樹脂組成物層上に配置された結晶性および
/又は非晶性の飽和ポリエステル樹脂層と、該飽和ポリ
エステル樹脂層上に配置されたトップコート層とを少な
くとも含み;且つ、該ポリエステル系樹脂組成物層が、
ポリエステル樹脂(A)と、極性基を有するユニットを
1質量%以上含有するビニル重合体(B)とを含む樹脂
組成物(I)であって、更にラジカル禁止剤を含有する
組成物からなることを特徴とする樹脂被覆金属基材が提
供される。
【0013】本発明によれば、更に、上記構成を有する
本発明の樹脂被覆金属基材を容器形状(例えば、缶体)
に成形してなる容器が提供される。上記構成を有する本
発明の樹脂被覆金属基材においては、それ自体で耐衝撃
性、耐薬品性、成形性、耐熱性、ガスバリヤ性および金
属との密着性が良好で、樹脂の分解や樹脂からの有機物
の溶出物が少なく、香味保持性(フレーバー性)に特に
優れる樹脂組成物層に、更にトップコート層を組み合わ
せることにより、耐食性(特に、酸性等の腐食性の内容
物を含む場合、および/又はレトルト殺菌時の耐食
性)、および香味保持性をより高いレベルで達成するこ
とが可能となる。
【0014】より具体的では、本発明の樹脂被覆金属基
材を「絞りしごき」成形等の厳しい成形を行つた缶体に
適用した場合においても、樹脂被覆層全体としての耐食
性が優れるために、該樹脂被覆層全体を介して基材金属
が溶け出すことも実質的に完全に防止することが可能と
なる。また、本発明の樹脂被覆金属基材を用いて成形し
た缶をレトルト滅菌(過酷な加熱)処理しても、缶の内
容物のフレーバーの変化を実質的に完全に防止できるた
め、本発明の樹脂被覆金属基材は、容器成形(特に製
缶)用樹脂被覆金属基材として特に好適に使用可能であ
る。
【0015】他方、特開平3−269074号公報に示
されるような二軸延伸PETフィルムは、それ単独では
絞り成形性に著しく劣っている。即ち、絞り成形では、
缶胴側壁に対応する素材が缶軸方向には引き延ばされ、
缶周囲方向には圧縮されるように塑性流動することによ
り成形が行われるが、二軸延伸PETフィルムではこの
ような塑性流動に追従することができず、該フィルムの
破談を生じる場合がある。これを防止するためには、絞
り成形時に、フィルムが金属基材に常に強固に密着した
状態で存在することが不可欠である。
【0016】これに対して、上記した構成を有する本発
明の樹脂被覆金属基材においては、特定の組成を有する
ポリエステル系樹脂組成物層ないしフィルムが、成形時
の塑性流動性に優れるため、該成形時においても組成物
層ないしフィルムの破断や金属基材からの剥離が生じ難
い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、必要に応じて図面を参照し
つつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載におい
て量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り
質量(ないし質量)基準とする。 (樹脂被覆金属基材)本発明の樹脂被覆金属基材の基本
的な態様を示す図1の模式断面図を参照して、基材たる
金属基材(例えば、鋼板等の金属板)1の少なくとも一
方の面上には、ポリエステル系樹脂組成物層2と、トッ
プコート3とが少なくとも配置されている。
【0018】本発明の樹脂被覆金属基材を後述するよう
な容器(例えば、缶体)状に成形する場合には、該樹脂
被覆の特徴(例えば、金属との密着性、有機溶出物の抑
制性、フレーバー性、等)を充分に活用する点からは、
金属基材1の、少なくとも容器ないし缶体の内側(内容
物に接触する側)に、これらのポリエステル系樹脂組成
物層2と、トップコート層3とが少なくとも配置されて
いることが好ましい。したがって、この図1および後述
する図2〜図5の模式断面図において、これらの樹脂被
覆金属基材をを容器状に成形する場合には、各図面の上
側(図1ではトップコート3側)が、上記した容器の内
面側に対応することが好ましい。
【0019】また、この図1および後述する図2〜3の
態様においては、容器状に成形した際に容器の外面側に
対応する金属基材1の表面(ポリエステル系樹脂組成物
層2形成側と反対の面)上には樹脂層が配置されていな
いが、このような外面側にも、必要に応じて、種々の樹
脂層が配置されていてもよいことは、もちろんである。 (各層の構成)以下に、本発明の樹脂被覆金属基材を構
成する各層の構成について説明する。 (ポリエステル系樹脂組成物層) (01)ポリエステル系樹脂の物性定義 本発明の樹脂覆金属基材の被覆のうちの樹脂組成物層2
を構成する組成物は、ポリエステル樹脂(A)、極性基
を有するユニットを1質量%以上含有するビニル重合体
(B)およびラジカル禁止剤を含有する。これら樹脂の
組成を特に限定するものではないが、ポリエステル樹脂
(A)100質量部に対して、ビニル重合体(B)が1
〜50質量部からなり、更にこの樹脂組成物100質量
部に対しラジカル禁止剤を0.005〜7質量部含有す
る樹脂組成物であることが好ましい。ビニル重合体
(B)の含有量が1質量部未満では耐衝撃性が低下する
場合があり、他方、50質量部を越えると耐熱性が低下
する場合がある。
【0020】本発明に使用するポリエステル樹脂(A)
の固有粘度は0.3〜2.0dl/g、好ましくは0.
40〜1.7dl/g、より好ましくは0.50〜1.
5dl/gである。固有粘度が0.3dl/g未満の場
合は、極性モノマー含有ビニル重合体(B)と均一に混
合しないため機械強度や耐衝撃性が低く、一方、固有粘
度が2.0dl/gを越える場合には成形性が不良とな
り、何れも好ましくない。
【0021】上記固有粘度は、25℃のo−クロロフェ
ノール中、0.5%の濃度で測定し、下記(i)式によ
って求められる。式中、Cは溶液100ml当たりの樹
脂のg数で表わした濃度を、t0 は溶媒の流下時間を、
tは溶液の流下時間を各々表す。 固有粘度={ln(t/t0 )}/C (i) (02)ポリエステル樹脂の原料例示 本発明に好適に使用可能なポリエステル樹脂(A)と
は、ヒドロキシカルボン酸化合物残基のみを、また、ジ
カルボン酸残基およびジオール化合物残基を、あるい
は、ヒドロキシカルボン酸化合物残基とジカルボン酸残
基およびジオール化合物残基とをそれぞれ構成ユニット
とする熱可塑性ポリエステルである。また、これらの混
合物であっても良い。
【0022】ヒドロキシカルボン酸化合物残基の原料と
なるヒドロキシカルボン酸化合物を例示すると、p−ヒ
ドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシエチル安息香酸、2
−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−カルボキ
シフェニル)プロパン等が挙げられ、これらは単独で使
用しても、また、2種類以上を混合して使用しても良
い。
【0023】また、ジカルボン酸残基を形成するジカル
ボン酸化合物を例示すると、テレフタル酸、イソフタル
酸、オルソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2、3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、2、7−ナフタレンジカルボン酸、
ジフェン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエ
タンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸およびアジピ
ン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカン
ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン
酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン
酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらは単独
で使用しても、また、2種類以上を混合して使用しても
良い。
【0024】次に、ジオール残基を形成するジオール化
合物を例示すると、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略称す
る)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(2−ヒドロキシフェニル)メタン、o−ヒドロキシフ
ェニル−p−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)スルフィド、1、1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1、1−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1、1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3、3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、1、1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フェニルメタン、2、2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン、2、2−ビス(3,5−ジメ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2、2−ビ
ス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2、2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2、2−ビス(3−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(3−
クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2、2−
ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロ−2、2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4、4’
−ビフェノール、3、3’、5、5’−テトラメチル−
4、4’−ジヒドロキシビフェニル、4、4’−ジヒド
ロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール;およびエチ
レングリコール、トリメチレングリコール、プロピレン
グリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、水添ビスフェノールA等の脂肪族ジオール;
シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等が挙
げられ、これらは単独で使用することも、また、必要に
応じて2種類以上を混合して使用することもできる。ま
た、これらから得られるポリエステル樹脂を単独で使用
しても、必要に応じて2種類以上混合して使用しても良
い。
【0025】本発明に使用するポリエステル樹脂(A)
は、これらの化合物又はその組み合わせにより構成され
ていれば良いが、中でも芳香族ジカルボン酸残基とジオ
ール残基より構成される含芳香族ポリエステル樹脂であ
ることが、加工性、熱的安定性の観点から好ましい。ま
た、本発明に使用するポリエステル樹脂(A)は、トリ
メシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、ト
リメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタ
エリスリトール等の多官能化合物から誘導される構成単
位を少量、例えば2モル%以下の量を含んでいても良
い。
【0026】耐熱性や加工性の面から、これらのジカル
ボン酸化合物、ジオール化合物の組み合わせの中で最も
好ましい組み合わせは、テレフタル酸50〜95モル
%、イソフタル酸および/又はオルソフタル酸50〜5
モル%のジカルボン酸化合物と、炭素数2〜5のグリコ
ールのジオール化合物との組み合わせである。本発明に
使用する好ましいポリエステル樹脂(A)を例示する
と、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレー
ト、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、
ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−
2,6−ナフタレート等が挙げられるが、中でも適度の
機械特性、ガスバリア性、および金属密着性を有するポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレ
ン−2,6−ナフタレートが最も好ましい。 (03)ポリエステル樹脂の物性例示 本発明に使用するポリエステル樹脂(A)は、ガラス転
移温度(Tg、サンプル量約10mg、昇温速度10℃
/分の示差型熱分析装置(DSC)で測定)が、通常5
0〜120℃、好ましくは60〜100℃であることが
望ましい。このポリエステル樹脂(A)は、非晶性であ
っても結晶性であっても良く、結晶性である場合には、
結晶融解温度(Tm)が、通常210〜265℃、好ま
しくは210〜245℃であり、低温結晶化温度(T
c)が、通常110〜220℃、好ましくは120〜2
15℃であることが望ましい。Tmが210℃未満であ
ったり、Tcが110℃未満の場合は、耐熱性が不充分
で絞り加工時にフィルム形状を保持できない場合があ
る。また、Tmが265℃超であったり、Tcが220
℃超の場合は、金属基材の表面凹凸に充分樹脂が入り込
めず、密着不良となる場合がある。 (04)ビニル重合体(B)極性定義 次に、本発明に使用する極性基を有するユニットを1質
量%以上含有するビニル重合体(B)とは、ポーリング
の電気陰性度の差が0.39(eV)0.5以上ある元
素が結合した基を有するユニットを1質量%以上含有す
るビニル重合体である。極性基を有するユニットが1質
量%未満では、耐衝撃性が低下する場合がある。 (05)ビニル重合体(B)極性基例示 ポーリングの電気陰性度の差が0.39(eV)0.5
以上ある元素が結合した基を具体的に例示すると、−C
−O−、−C=O、−COO−、エポキシ基、C
2 3 、C2 2 N−、−CN、−NH2 、−NH−、
−X(X;F、Cl、Br)、−SO3 −、等が挙げら
れる。また極性基として金属イオンで中和された酸根イ
オンを有していてもよい。この場合、金属イオンの例と
してはNa+ 、K+ 、Li + 、Zn2+、Mg2+、Ca
2+、Co2 + 、Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti
3 +、Zr3+、Sc3+等の1価、2価または3価の金属
陽イオンが挙げられる。
【0027】極性基を有するユニットを例示すると、−
C−O−基を有する例としてビニルアルコール;−C=
O基を有する例としてビニルクロロメチルケトン;−C
OO−基を有する例としてアクリル酸、メタクリル酸、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル酸およびそ
の金属塩若しくはエステル誘導体;エポキシ基を有する
例としてはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシ
ジル、エタクリル酸グリシジル、イタクリル酸グリシジ
ル等のα,β−不飽和酸のグリシジルエステル;C2
3 基を有する例として無水マレイン酸;C2 2 N−基
を有する例として無水マレイン酸のイミド誘導体;−C
N基を有する例としてアクリロニトリル;−NH2 基を
有する例としてアクリルアミン;−NH−基を有する例
としてアクリルアミド;−X基を有する例として塩化ビ
ニル;−SO3 −基を有する例としてスチレンスルホン
酸;等が挙げられ、またこれらの酸性官能基の全部また
は一部が上 記の金属イオンで中和された化合物が挙げ
られ、これらが単独でまたは複数でビニル重合体(B)
に含有されていても良い。ビニル重合体(B)に含有さ
れる極性基を有するユニットは、ポーリングの電気陰性
度の差が0.39(eV)0.5以上ある元素が結合し
た基を有するユニットであれば良く、上記の具体例に限
定されるものではない。 (06)ビニル重合体(B)例示 本発明に使用するビニル重合体(B)を例示すると、上
記の極性基含有ユニットの単独若しくは2種類以上の重
合体、および上記極性基含有ユニットと下記一般式(i
i)で示される無極性ビニルモノマーとの共重合体等が
挙げられる。
【0028】 −CHR1 =CR2 3 − (ii) (式中、R1 、R3 は各々独立に炭素数1〜12のアル
キル基若しくは水素を、R2 は炭素数1〜12のアルキ
ル基、フェニル基若しくは水素を示す。)一般式(i
i)の無極性ビニルモノマーを具体的に例示すると、エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−
メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、
1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン;イソブ
テン、イソブチレン等の脂肪族ビニルモノマー;スチレ
ンモノマーの他にo−、m−、p−メチルスチレン、o
−、m−、p−エチルスチレン、t−ブチルスチレン等
のアルキル化スチレン;α−メチルスチレン等のスチレ
ン系モノマーの付加重合体単位等の芳香族ビニルモノマ
ー;等が挙げられる。
【0029】極性基含有ユニットの単独重合体を例示す
ると、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。また、極性基含有
ユニットと無極性ビニルモノマーとの共重合体を例示す
ると、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ア
クリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体およ
びこれらの共重合体中の酸性官能基の一部若しくは全部
を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレン−
アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチ
ル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、
エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−グ
リシジルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレ
イン酸共重合体、ブテン−エチレン−グリシジルメタク
リレート共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重
合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン
−無水マレイン酸共重合体等およびそれらの酸性官能基
のすべて、または一部が金属イオンで中和されたアイオ
ノマー樹脂類が挙げられる。
【0030】アイオノマー樹脂としては、公知のアイオ
ノマー樹脂を広く使用することができる。具体的な例と
しては、ビニルモノマーとα,β−不飽和カルボン酸と
の共重合体で共重合体中のカルボン酸の一部若しくは全
部を金属陽イオンにより中和したものが挙げられる。ビ
ニルモノマーを例示すると、上記のα−オレフィンやス
チレン系モノマー等であり、α,β−不飽和カルボン酸
を例示すると炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸
でより具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水
マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル等が挙げら
れる。
【0031】中和する金属陽イオンを例示すると、Na
+ 、K+ 、Li+ 、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Co2+
Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti3+、Zr3+、S
3+等の1価、2価または3価の金属陽イオンが挙げら
れる。また、金属陽イオンで中和されていない残余の酸
性官能基の一部は低級アルコールでエステル化されてい
ても良い。
【0032】アイオノマー樹脂を具体的に例示すると、
エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカ
ルボン酸との共重合体、あるいはエチレンとマレイン
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸との共重合体で
あって、共重合体中のカルボキシル基の一部若しくは全
部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシ
ウム、カルシウム等の金属イオンで中和された樹脂が挙
げられる。これらの中で、ポリエステル樹脂(A)とゴ
ム状弾性樹脂体(C)との相溶性を改善する目的で最も
好ましいのが、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸
の共重合体(カルボキシル基を有する構成単位が2〜1
5モル%)で、重合体中のカルボキシル基の30〜70
%がNa、Zn等の金属陽イオンで中和されている樹脂
である。 (07)ビニル重合体(B)物性例示 上記した組成物樹脂層に基づくバリア性確保の観点か
ら、α−オレフィンと極性基を有するユニットとの共重
合体が好ましい組み合わせである。なお、本発明に使用
するビニル重合体(B)は、極性基を有するユニットを
1質量%以上含有するビニル重合体であれば良く、上記
の具体例に限定されるものではない。また、ビニル重合
体(B)の分子量は特に限定するものではないが、数平
均分子量で2×103 以上で5×105 以下が好まし
い。ビニル重合体(B)の数平均分子量が2×103
満や5×105 超では、耐衝撃性が低下する場合があ
る。
【0033】耐衝撃性を向上させる性能が高い点で, ガ
ラス転移温度(Tg、サンプル量約10mg、昇温速度1
0℃/分の示差型熱分析装置(DSC)で測定)が50
℃以下、室温でのヤング率が1000MPa以下、およ
び破断伸びが50%以上であるビニル重合体(B)が好
ましい。本発明に使用する好ましいビニル重合体(B)
を例示すると、メタクリル酸、アクリル酸、およびこれ
らの酸性官能基の一部若しくは全部が金属イオンで中和
された極性オレフィン、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グ
リシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、無
水マレイン酸、酢酸ビニルとα−オレフィンの共重合体
が挙げられる。
【0034】特に耐衝撃性向上能が高い点から、更に好
ましくはエチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビ三ル共重合体お
よびこれらの共重合体中の酸性官能基の一部若しくは全
部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレン
−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エ
チル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン
−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリ
シジルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−
グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−一
酸化炭素−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレ
ン−一酸化炭素−グリシジルアクリレート共重合体、エ
チレン−無水マレイン酸共重合体、ブテン−エチレン−
グリシジルメタクリレート共重合体、ブテン−エチレン
−グリシジルアクリレート共重合体が挙げられる。 (08)三元系樹脂組成物説明 本発明においては、樹脂の組成物として、ポリエステル
樹脂(A)および極性を有するビニル重合体(B)以外
に、耐衝撃性を向上させるために、必要に応じて、ラジ
カル禁止剤の働きを実質的に阻害しないような第3成分
の樹脂を加えてもよい。第3成分の樹脂としては、例え
ばゴム状弾性体樹脂(C)が挙げられる。この第3成分
の樹脂は、ポリエステル樹脂(A)と、極性基を有する
ユニットを1質量%以上含有するビニル重合体(B)と
を含有する樹脂組成物(I)の10質量部に対して、
0.3〜4.3質量部程度、更には0.5〜2.5質量
部程度の量で使用することが好ましい。 (09)ゴム状弾性体(C)の物性定義 本発明に必要に応じて使用できるゴム状弾性体樹脂
(C)としては、公知のゴム状弾性体樹脂を広く使用で
きる。中でも、ゴム弾性発現部のガラス転移温度(T
g、サンプル量約10mg、昇温速度10℃/分の示差
型熱分析装置(DSC)で測定)が50℃以下、室温で
のヤング率が1000MPa以下、および破断伸びが5
0%以上であるゴム状弾性体樹脂が好ましい。ゴム弾性
発現部のTgが50℃超、室温でのヤング率が1000
MPa超、および破断伸びが50%未満では、充分な耐
衝撃性を発現できない場合がある。低温での耐衝撃性を
確保するためには、Tgが10℃以下、より望ましくは
−30℃以下であることが好ましい。また、より確実な
耐衝撃性を確保するためには、室温でのヤング率は10
0MPa以下、より望ましくは10MPa以下であるこ
とが、破断伸びは100%以上、より望ましくは300
%以上であることが、好ましい。 (10)ゴム状弾性体(C)の例示 本発明に必要に応じて使用できるゴム状弾性樹脂体
(C)を具体的に例示すると、ポリオレフィン樹脂や、
ブタジエン−スチレン共重合体(SBR)、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ポリイソプレ
ン(IPR)、ポリブタジエン(BR)等のジエン系エ
ラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体
(SBS)およびその水添物(SEBS)、ゴム変性ス
チレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン−ブ
タジエン共重合体(ABS)等のスチレン系エラストマ
ー、ジメチルシロキサンを主成分とするシリコンエラス
トマー、芳香族ポリエステル−脂肪族ポリエステル共重
合体もしくは芳香族ポリエステル−ポリエーテル共重合
体等のポリエステルエラストマー、ナイロンエラストマ
ー等が挙げられる。
【0035】中でも、ポリオレフィン樹脂は水蒸気透過
性が低いため好ましい。本発明において好適なポリオレ
フィン樹脂は、下記一般式(iii) −R1 CH−CR2 3 − (iii) (式中、R1 とR3 は各々独立に炭素数1〜12のアル
キル基又は水素を示し、R2 は炭素数1〜12のアルキ
ル基、フェニル基又は水素を示す)で表わされる繰り返
し単位を有する樹脂である。
【0036】本発明に使用できるポリオレフィン樹脂
は、これらの構成単位の単独重合体であっても、また、
2種類以上の共重合体であっても、更に、これらのユニ
ットで形成される樹脂単位の共重合体であっても良い。
繰り返し単位の例としては、プロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のα−
オレフィンを付加重合した時に現れる繰り返し単位や、
イソブテンを付加した時の繰り返し単位等の脂肪族オレ
フィン、スチレンモノマーの他にo−、m−、p−メチ
ルスチレン、o−、m−、p−エチルスチレン、t−ブ
チルスチレン等のアルキル化スチレン、モノクロロスチ
レン等のハロゲン化スチレン、α−メチルスチレン等の
スチレン系モノマーの付加重合体単位等の芳香族オレフ
ィン等が挙げられる。
【0037】ポリオレフィン樹脂を例示すると、α−オ
レフィンの単独重合体であるポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリ
オクテニレン等が挙げられる。また、上記ユニットの共
重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチ
レン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4
−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−
エチリデン−2−ノルボーネン共重合体等の脂肪族ポリ
オレフィンや、スチレン系重合体等の芳香族ポリオレフ
ィン等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
く、上記繰り返し単位を満足していれば良い。また、こ
れらの樹脂を単独若しくは2種類以上混合して使用して
も良い。
【0038】また、ポリオレフィン樹脂は、上記のオレ
フィンユニットが主成分であれば良く、上記のユニット
の置換体であるビニルモノマー、極性ビニルモノマー、
ジエンモノマーがモノマー単位若しくは樹脂単位で共重
合されていても良い。共重合組成としては、上記ユニッ
トに対して50モル%以下、好ましくは30モル%以下
である。50モル%超では寸法安定性等のポリオレフィ
ン樹脂としての特性が低下する可能性がある。
【0039】極性ビニルモノマーの例としては、アクリ
ル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリ
ル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル等のメタクリル酸誘導体、アクリロニト
リル、無水マレイン酸、無水マレイン酸のイミド誘導
体、塩化ビニル等が挙げられる。ジエンモノマーとして
は、ブタジエン、イソプレン、5−メチリデン−2−ノ
ルボーネン、5−エチリデン−2−ノルボーネン、シク
ロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等が挙げられ
る。
【0040】ポリオレフィン樹脂として耐衝撃強度を付
与するために最も好ましい樹脂は、エチレン−プロピレ
ン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン
−1−ペンテン共重合体、エチレン−3−エチルペンテ
ン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等のエチ
レンと炭素数3以上のα−オレフィンの共重合体、もし
くは、前記2元共重合体にブタジエン、イソプレン、5
−メチレイデン−2−ノルボーネン、5−エチリデン−
2−ノルボーネン、シクロペンタジエン、1,4−ヘキ
サジエン等を共重合したエチレン、炭素数3以上のα−
オレフィンおよび非共役ジエンからなる3元共重合体で
ある。中でも、ハンドリングのし易さから、エチレン−
プロピレン共重合体やエチレン−1−ブテン共重合体の
2元共重合体、若しくは、エチレン−プロピレン共重合
体やエチレン−1−ブテン共重合体に、非共役ジエンと
して5−メチレイデン−2−ノルボーネン、5−エチリ
デン−2−ノルボーネン、シクロペンタジエン、1,4
−ヘキサジエンを使用し、α−オレフィン量を20〜6
0モル%、非共役ジエンを0.5〜10モル%共重合し
た樹脂が最も好ましい。
【0041】また、このような3元系で使用されるポリ
エステル樹脂(A)および極性を有するビニル重合体
(B)としては、これらの樹脂として例示した前述の樹
脂類が使用できる。 (11)三元系高次構造:微細分散したカプセル化の限
定 第3成分としてゴム状弾性体樹脂(C)を含有する樹脂
組成物は、ポリエステル樹脂(A)、極性基を有するユ
ニットを1質量%以上含有するビニル重合体(B)、ゴ
ム状弾性体樹脂(C)、およびラジカル禁止剤からな
り;ポリエステル樹脂(A)中にゴム状弾性体樹脂
(C)が微細分散し;かつ、少なくともゴム状弾性体樹
脂(C)の一部がビニル重合体(B)でカプセル化され
た構造を有している樹脂組成物が、耐衝撃性、金属基材
への密着性がより高いという点で好ましい。 (12)三元系高次構造:微細分散の定義 ここで、微細分散とは、ゴム状弾性体樹脂(C)の全粒
子の内、70体積%以上の粒子が100μm以下の等価
球換算径でポリエステル樹脂(A) 中に分散している状態
である。ゴム状弾性体樹脂(C) の等価球換算径が100
μm超では、耐衝撃性が低下し、また本発明の樹脂組成
物の製膜性が低下する。好ましくは1μm以 下、より
好ましくは0.5μm以下の等価球換算径であることが
望ましい。1μ m超では、充分な耐衝撃性を発揮でき
ない場合がある。 (13)三元系高次構造:カプセル化の定義 また、ビニル重合体(B)でカプセル化されたゴム状弾
性体樹脂(C)とは、ゴム状弾性体樹脂(C)界面の8
0%以上、好ましくは95%以上をビニル重合体(B)
が被覆し、ポリエステル樹脂(A)とゴム状弾性体樹脂
(C)との直接接触面積を20%未満とした構造であ
る。このような構造とすることにより、ビニル重合体
(B)でカプセル化されたゴム状弾性樹脂体(C)の微
細分散が容易となり、耐衝撃性、製膜性が向上し、また
微細分散した粒子が金属基材に接してもビニル重合体
(B)が金属基材との密着性を有するため、樹脂組成物
と金属基材との密着性を確保できる。
【0042】ゴム状弾性体樹脂(C)の全粒子がビニル
重合体(B)でカプセル化されていることは必ずしも必
要ではなく、少なくとも体積比で70%以上のゴム状弾
性体樹脂(C)がビニル重合体(B)でカプセル化され
ていれば良い。カプセル化されていないゴム状弾性樹脂
体(C)が体積比で30%超存在する場合は微細分散が
困難になり、耐衝撃性が低下し、また樹脂組成物を金属
基材に被覆する場合は、金属基材に直接接触するゴム状
弾性樹脂体(C)の比率が増加してしまい、更に樹脂組
成物と金属基材との密着性を確保できなくなる。カプセ
ル化されていないゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算
径は特に規定するものではないが、耐衝撃性、加工性の
観点から1.0μm以下が望ましい。
【0043】また、過剰量のビニル重合体(B)が、ゴ
ム状弾性樹脂体(C)をカプセル化しないで、単独でポ
リエステル樹脂(A)中に分散していても良い。カプセ
ル化しないビニル重合体(B)の量、径は、特に制限す
るものではないが、全ビニル重合体(B)の体積比で2
0%以下、等価球換算径で1.0μm以下であることが
望ましい。体積比で20%超では、樹脂組成物の耐熱性
等の基本特性が変化する場合がある。また、等価球換算
径が1.0μm超では、加工性が低下する場合がある。 (14)カプセル化の原理(オレフィンエラストマー
系) ポリエステル樹脂(A)中にビニル重合体(B)でカプ
セル化したゴム状弾性樹脂体(C)を微細分散させるに
は、ビニル重合体(B)とポリエステル樹脂(A)およ
びゴム状弾性樹脂体(C)との界面張力のバランスを適
切にすることが重要である。好ましくはビニル重合体
(B)のゴム状弾性樹脂体(C)に対するSpread Param
eter(λ(Resin C)/(Resin B))が正になるよう
に極性基を有するユニットの含有量を制御することが望
ましい。λ(Resin C)/(ResinB)を正にすること
により、ビニル重合体(B)でゴム状弾性樹脂体(C)
をカプセルしても熱力学的な安定性が確保できる。異種
高分子間のSpread Parameterとは、S. Y. Hobbs; Poly
m.、 Vol. 29、p1598(1989)で定義されて
いるパラメータであって、下記の式(iv) λ(Resin C)/(Resin B)=Υ(Resin B)/(Resin A)-Υ(Resin C)/(Resin B) −Υ(Resin C)/(Resin A) (iv) [但し、式中、Resin Aはポリエステル樹脂(A)を、
Resin Bはゴム状弾性樹脂体(C)を、また、Resin C
はビニル重合体(B)をそれぞれ示し、また、Υi/j
は樹脂iと樹脂j間の界面張力であり、近似的には樹脂
iと樹脂j間の相溶性を示すパラメータΧi/j(相溶
性が良好なほど小さな値を示す)の0.5乗に比例す
る。]で与えられる。
【0044】ポリエステル樹脂(A)とゴム状弾性樹脂
体(C)との相溶性は低く、Υ(Resin B)/(Resin
A)>0となるので、ビニル重合体(B)の無極性ビニ
ルモノマー(Monomer V)と極性基含有ユニット(Mono
mer U)の配合比を調整して、下記の式(iii)、
(iv) ΧA/C =φΧ(Resin A)/ (Monomer V)+ (1−φ)Χ(Resin A)/ ( Monomer U)−φ(1−φ)Χ(Monomer V)/(Monomer U) (v) ΧB/C=φΧ(Resin B)/(Monomer V)+(1−φ)Χ(Resin B)/ (Monomer U)−φ(1−φ)Χ(Monomer V)/(Monomer U) (vi) [但し、φは無極性ビニルモノマーの配合比(体積比)
を示す。]で与えられるゴム状弾性樹脂体(C)とビニ
ル重合体(B)との相溶性を示すΧB/Cおよびポリエ
ステル樹脂(A)とビニル重合体(B)との相溶性を示
すΧA/Cを0に近付けるようにすれば、λ(Resin
C)/(Resin B)を正にすることが可能となる。
【0045】したがって、好ましいビニル重合体(B)
は、ポリエステル樹脂(A)およびゴム状弾性樹脂体
(C)の種類に応じて、これらの樹脂との相溶性を考慮
して決定される。好ましい組み合わせを具体的に例示す
ると、ポリエステル樹脂(A)が芳香族ジカルボン酸残
基とジオール残基より構成される芳香族ポリエステル樹
脂で、ゴム状弾性樹脂体(C)がポリオレフィン樹脂で
ある場合、ビニル重合体(B)としてエチレンと極性基
を有するユニットとの共重合体や、無水マレイン酸若し
くはグリシジルメタクリレートを1質量%以上導入した
SEBSが好ましく、中でもエチレンと極性基を有する
ユニットとの共重合体は、エチレンと極性基を有するユ
ニット間の配合比を適切に制御することにより、λ(Re
sin C)/( ResinB)を正に制御し易い。より好まし
くは、エチレンと極性基を有するユニットとの共重合体
にポリエステル樹脂(A)と共有結合、配位結合、水素
結合、イオン結合等の化学作用を有する官能基が導入さ
れていると、カプセル化した際にポリエステル樹脂
(A)とビニル重合体(B)との界面を熱力学的により
安定化できることから望ましい。 (15)カプセル化に使用できる樹脂の例示 エチレンと極性基を有するユニットとの共重合体をより
具体的に例示すれば、エチレン−ビニル酸共重合体、エ
チレン−ビニル酸エステル共重合体やこれらのアイオノ
マー樹脂、エチレンとα,β−不飽和酸のグリシジルエ
ステルとの共重合体、エチレンとビニル酸若しくはビニ
ル酸エステルとα,β−不飽和酸のグリシジルエステル
との3元共重合体、等である。中でも、アイオノマー樹
脂、エチレンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステル
との共重合体、エチレンとビニル酸若しくはビニル酸エ
ステルとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとの3
元共重合体が好ましい。これらの樹脂は、ポリエステル
樹脂(A)と比較的強い化学的相互作用を示し、ゴム状
弾性樹脂体(C)と安定したカプセル構造を形成する。
その中でも、アイオノマー樹脂は、温度によってポリエ
ステル樹脂(A)との化学作用の強度が変化するので、
成形性の観点から最も好ましいものである。
【0046】アイオノマー樹脂としては、公知のアイオ
ノマー樹脂を広く使用することができる。より具体的に
は、ビニルモノマーとα,β−不飽和カルボン酸との共
重合体で共重合体中のカルボン酸の一部若しくは全部を
金属陽イオンにより中和したものが挙げられる。ビニル
モノマーを例示すると、上記のα−オレフィンやスチレ
ン系モノマー等であり、α,β−不飽和カルボン酸を例
示すると炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸でよ
り具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水マレ
イン酸、マレイン酸モノエチルエステル等が挙げられ
る。
【0047】中和する金属陽イオンを例示すると、Na
+ 、K+ 、Li+ 、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Co2+
Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti3+、Zr3+、S
3+等の1価、2価または3価の金属陽イオンが挙げら
れる。また、金属陽イオンで中和されていない残余のカ
ルボキシル基の一部は低級アルコールでエステル化され
ていても良い。
【0048】アイオノマー樹脂を具体的に例示すると、
エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカ
ルボン酸との共重合体、あるいはエチレンとマレイン
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸との共重合体で
あって、共重合体中のカルボキシル基の一部若しくは全
部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシ
ウム、カルシウム等の金属イオンで中和された樹脂が挙
げられる。これらの中で、ポリエステル樹脂(A)とゴ
ム状弾性樹脂体(C)との相溶性を改善する目的で最も
好ましいのが、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸
の共重合体(カルボキシル基を有する構成単位が2〜1
5モル%)で、重合体中のカルボキシル基の30〜70
%がNa、Zn等の金属陽イオンで中和されている樹脂
である。 (16)オレフィンエラストマー系三元系樹脂製造方法 本発明のポリエステル樹脂(A)、ビニル重合体(B)
およびゴム状弾性樹脂体(C)を含有する樹脂組成物
は、公知の混合法により製造することができる。具体的
には、適切な界面張力の差を有するポリエステル樹脂
(A)、ビニル重合体(B)およびゴム状弾性樹脂体
(C)を所定の温度、例えば200〜350℃で公知の
各種混合機を用いて溶融混練することにより、界面張力
差を利用してカプセル構造を形成して製造することがで
きる。 (17)アクリルエラストマー系三元系樹脂製造方法、
定義 また、ポリエステル樹脂(A)中にビニル重合体(B)
でカプセル化したゴム状弾性樹脂体(C)を微細分散さ
せる方法としては、ビニル重合体(B)でゴム状弾性樹
脂体(C)がカプセル化されてるコア−シェルタイプゴ
ム状弾性体をポリエステル樹脂(A)に添加する方法も
挙げられる。このコア−シェルタイプゴム状弾性とは、
コア部とシェル部から構成される2層構造を有してお
り、コア部は軟質なゴム状態であって、その表面のシェ
ル部であるビニル重合体(B)は前述のごとく、極性ユ
ニットを有し、コア部に比して硬質である樹脂を指す。
例えばコア部をアクリル系ゴム状弾性体、ジエン系ゴム
状弾性体、若しくはシリコン系ゴム状弾性体で構成し、
これにグラフトしたアクリレート若しくはメタクリレー
トを主成分とするアクリル系重合体がシェル部を構成す
る樹脂が挙げられる。なお、グラフトとは、コア部の樹
脂とシェル部の樹脂とのグラフト共重合化を意味する。
【0049】このコア−シェルタイプゴム状弾性体は耐
衝撃性、ポリエステル樹脂中での分散性、金属との密着
性が高い点で好ましい。 (18)アクリルエラストマー系コア部定義 コア部を構成するゴム状弾性体を具体的に示すと、一般
式(vii )の構造を有するユニットで構成されるアクリ
レート系重合体、又は、ジエン系重合体、あるいは、ジ
メチルシロキサンを主体とするゴム状弾性体が挙げられ
る。
【0050】 CH2 =CR1 −CO−O−R2 (vii ) (19)アクリルエラストマー系コア部例示 上記のアクリレート系重合体の構成ユニットを具体的に
例示すると、アルキルアクリレートやアルキルメタクリ
レート、アルキルエタクリレート等が挙げられ、R1
水素又は炭素数1〜12のアルキル基を、また、R2
炭素数1〜12のアクリル基を有するものが好ましい。
更に具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレー
ト等が挙げられる。中でも耐衝撃性付与という観点か
ら、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヘ
キシルアクリレート、メチルメタクリレート、n−オク
チルメタクリレートが好ましい。コア部を形成するアク
リレート系重合体は、これらの単独重合体であっても、
2種類以上の共重合体であっても良い。
【0051】また、コア部を構成するアクリレート系重
合体は、上記のアクリレートが主成分であれば、他のビ
ニルモノマーが共重合されていても良い。主成分とは5
0質量%以上である。具体的にビニルモノマーを例示す
ると、α−オレフィンモノマーやスチレン系モノマー、
極性ビニルモノマーが挙げられる。より具体的に示す
と、α−オレフィンモノマーとしては、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、
1−ドデセン等が挙げられ、スチレン系モノマーとして
は、スチレンモノマーの他にo−、m−、p−エチルス
チレン、t−ブチルスチレン等のアルキル化スチレン、
モノクロロスチレン等のハロゲン化スチレン、α−メチ
ルスチレン等が挙げられ、また、極性ビニルモノマーと
してはアクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸
およびそのイミド誘導体、酢酸ビニル、塩化ビニル、プ
ロピオン酸ビニル等が挙げられる。
【0052】更に、コア部を構成するアクリレート系重
合体は、ゴム弾性を発揮するために架橋剤により一部架
橋されていることが好ましい。架橋剤を例示すると、エ
チレン性不飽和を有するビニルモノマーで、ジビニルベ
ンゼン、ブチレンジアクリレート、エチレンジメタクリ
レート、ブチレンジメタクリレート、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、
トリアリルイソシアネート等が挙げられる。架橋剤の添
加量は30質量%以下、好ましくは20質量%以下、よ
り好ましくは5質量%以下である。30質量%超では硬
化してゴム弾性が発揮できない場合が多い。
【0053】また、コア部を構成するジエン系重合体
は、ジエンモノマーの重合体若しくはその水添重合体で
あり、具体的にはポリブタジエンおよびその水添重合
体、ブタジエンとスチレンとの共重合体およびその水添
重合体等が挙げられる。(20)アクリルエラストマー
系コア部物性コア部を構成する重合体の分子量は、特に
制限するものではないが、数平均分子量で2×103
上が好ましい。2×103 未満では充分なゴム弾性を発
揮できない可能性がある。また、コア部が架橋したアク
リレート系重合体である場合は、架橋点間分子量が2×
103 以上であることが、充分なゴム弾性を付与する観
点から好ましい。
【0054】コア部を構成する重合体のガラス転移温度
(昇温速度10℃/分、示差型熱分析装置(DSC)で
測定)は、30℃以下であることが好ましく、より好ま
しくは10℃以下、更に好ましくは−10℃以下であ
る。ガラス転移温度が30℃超では、室温以下でのゴム
弾性が発揮し難くなる可能性がある。 (21)アクリルエラストマー系シェル部定義 次に、コア−シェルタイプゴム状弾性体のシェル部につ
いて説明する。シェル部は極性基を有するユニットから
成るアクリレート系重合体で構成されていることが好ま
しく、アクリレート系重合体の極性を利用することによ
り微細分散が可能になると共に、コア−シェルタイプゴ
ム状弾性体が金属基材に接触した際の密着性を確保でき
る。 (22)アクリルエラストマー系シェル部例示 シェル部を構成するアクリレート系重合体は、一般式
(vii )のユニットからなる重合体であることが好まし
い。具体的な例としては、先に挙げたモノマーの重合体
が挙げられ、アクリレートユニットが主成分である限
り、上記のビニルモノマーと共重合していても良い。こ
こで主成分とは50質量%以上である。他のビニルモノ
マーと共重合した場合、アクリレート成分の組成比は7
0質量%以上であることが好ましい。70質量%未満で
は、アクリレートユニットの極性が充分に利用できず、
微細分散や金属基材との密着性が不充分な場合がある。 (23)アクリルエラストマー系シェル部物性 コア−シェルタイプゴム状弾性体は、コア部が軟質なゴ
ム状物質であるので、シェル部を構成する樹脂は硬質で
あることがハンドリング性から必要である。このために
は、シェル部を構成するアクリレート系重合体のガラス
転移温度(昇温速度10℃/分、示差型熱分析装置(D
SC)で測定)が30℃以上であることが好ましく、よ
り好ましくは50℃以上である。
【0055】シェル部を構成するアクリレート系重合体
ユニットとして最も好ましいのは、ガラス転移温度が上
記の範囲にあり、また、重合速度の制御が容易であるこ
とからメチルメタクリレートである。 (24)アクリルエラストマー系三元系樹脂相溶性向上
(末端修飾型) 更に、シェル部を構成するアクリレート系重合体には、
ポリエステル樹脂(A)との相溶性を向上するために、
ポリエステル樹脂(A)の残留末端官能基やエステル結
合と反応可能な官能基若しくは結合基が導入されている
ことが好ましい。官能基を具体的に例示すれば、エポキ
シ基、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基
が挙げられ、シェル部をグラフト化する際に、これらの
官能基を有する公知のビニルモノマーを添加することに
より官能基が導入できる。また、結合基を例示すれば、
エステル結合、カーボネート結合、アミド結合等が挙げ
られ、シェル部をグラフト化する際に、T. O. Ahn et a
l.; J. Polym. Sci. PartA Vol.31、 435(199
3)に開示されているようなこれらの結合を有する開始
剤を使用することにより結合基が導入できる。これらの
官能基や結合基の中で、反応性の観点から最も好ましい
のが、エポキシ基および芳香族−芳香族のエステル結合
であり、シェル部を重合する際に、それぞれ、グリシジ
ルメタクリレート、 T. O. Ahn et al.; J. Polym. Sc
i. Part A Vol. 31、 435(1993)に開示さ
れているポリアリレートアゾ開始剤を添加することによ
り、上記のエポキシ基およびエステル結合が導入でき
る。
【0056】コア−シェルタイプゴム状弾性体を具体的
に例示すると、コア部がポリブチルアクリレート、シェ
ル部がポリメチルメタクリレートからなるMBA樹脂、
コア部がブタジエン−スチレン共重合体、シェル部がポ
リメチルメタクリレートからなるMBS樹脂、コア部が
ポリジメチルシロキサン、シェル部がポリメチルメタク
リレートからなる重合体等が挙げられ、更には、米国特
許第4,096,202号に開示されているアクリレー
トベースコア−重合アクリレートシェル重合体を本発明
に使用することができる。
【0057】これらの官能基、結合基を含有するユニッ
トの導入量は、各々反応性によって導入量が決定され、
アクリレートユニットが主成分である範囲においては特
に限定するものではない。しかしながら、官能基の場合
は、官能基含有ユニットの導入量が15質量%以下であ
ることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であ
る。15質量%超では混練工程で櫛形ポリマーが生成さ
れ、ポリエステル樹脂(A)に対する相溶性が充分に向
上しない場合がある。また、結合基である場合は、結合
基含有ユニットの導入量が15質量%以下であることが
好ましい。15質量%超では結合基を有するユニットが
ドメインを形成し、ポリエステル樹脂(A)に対する相
溶性が向上できない場合がある。
【0058】コア−シェルタイプゴム状弾性体は、ゴム
状重合体であるコア部を20質量%以上、好ましくは5
0質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有して
いることが望ましい。20質量%未満では充分な耐衝撃
性が発揮できない場合がある。コア−シェルタイプゴム
状弾性体は、ビニル重合体(B)とゴム状弾性樹脂体
(C)とをグラフト化してコア−シェルタイプゴム状弾
性体を形成させた後、ポリエステル樹脂(A)と混合す
ることによって製造できる。例えば公知のラジカル重合
法で重合できるが、中でも米国特許第4,096,20
2号に記載されているような乳化重合法が生成した重合
体の粒径をミクロに制御する観点から好適である。重合
法を具体的に示すと、以下の方法が挙げられるが、コア
−シェルタイプグラフトゴム状弾性体でシェル部がアク
リレート系重合体であれば良く、製法を当該製法に制限
するものではない。
【0059】第一段階の重合として、上述のコア部を構
成するユニットモノマーをラジカル重合する。この際
に、グラフト剤として、ポリエチレン性不飽和を有し複
数の2重結合を有するモノマーを約0.1〜5質量%添
加する。本グラフト剤の複数の2重結合は各々反応速度
が異なることが好ましく、具体的にはアリルメタクリレ
ート、ジアリルマレート等である。コア部の重合体を重
合後、第二段階の重合として、シェル部を構成するモノ
マーおよび開始剤を添加してシェル部をグラフト重合す
ることによりコア−シェルタイプゴム状弾性体を得るこ
とができる。 (25)アクリルエラストマー系三元系樹脂相溶性向上
(添加剤型) 本発明に使用するポリエステル樹脂(A)とコア−シェ
ルタイプゴム状弾性体からなる樹脂組成物には、ポリエ
ステル樹脂(A)とコア−シェルタイプゴム状弾性体と
の相溶性を向上する目的で、公知の相溶化剤を添加して
も良い。相溶化剤の添加量は15質量%以下が好まし
く、より好ましくは5質量%以下である。15質量%超
では、相溶化剤が独自に相構造を形成する場合があり、
充分な相溶性向上効果が発揮し難い。具体的に相溶化剤
を例示すると、反応型相溶化剤と非反応型相溶化剤が挙
げられ、反応型相溶化剤としては、コア−シェルタイプ
ゴム状弾性体と相溶なポリエステル樹脂(A)の末端残
留官能基や結合手と反応可能な官能基や結合手を導入し
たポリマーが挙げられる。より具体的には、コア−シェ
ルタイプゴム状弾性体のシェル部を構成するポリマーに
グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸をランダム
共重合した重合物や、シェル部を構成するポリマーに芳
香族ポリエステルをブロック、グラフト共重合した重合
物が挙げられる。また、非反応型相溶化剤としては、コ
ア−シェルタイプゴム状弾性体のシェル部を構成するポ
リマーとポリエステル樹脂(A)のブロック、グラフト
共重合体が挙げられる。 (26)樹脂組成物の製造方法(二元系、三元系併せ
て) 本発明の樹脂組成物の混合には、樹脂混練法、溶媒混合
法等の公知の樹脂混合方法を広く使用できる。樹脂混練
法を例示すると、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミ
キサー、V型ブレンダー等によりドライブレンドで混合
した後、1軸若しくは2軸押出機、ニーダー、バンバリ
ーミキサー等で溶融混練する方法が挙げられる。また、
溶媒混合法を例示すると、樹脂組成物に含まれる原料樹
脂の共通溶媒に各樹脂を溶解した後、溶媒を蒸発させた
り、共通の貧溶媒に添加して析出した混合物を回収する
方法等がある。 (27)ラジカル禁止剤の量 本発明の樹脂組成物には、上記樹脂組成物(I)100
質量部に対して、ラジカル禁止剤0.001〜7質量部
が添加されることが好ましい。ラジカル禁止剤が0.0
01質量部以下の添加では、顕著な効果が得られない可
能性がある。一方、ラジカル禁止剤を7質量部を越えて
添加しても、実質的に溶出量の削減効果が飽和するた
め、過剰添加となり不経済であり、更に樹脂の弾性率、
密着性の低下などの樹脂特性が低下する傾向がある。よ
り高い効果の発現のためには、上記樹脂組成物(I)1
00質量部に対して、ラジカル禁止剤を0.005〜1
質量部添加することが好ましい。 (28)ラジカル禁止剤の種類 本発明で使用される樹脂組成物(I)から発生する有機
低分子物質は、極性基を有するビニル重合体がポリエス
テル樹脂中の金属化合物の作用でラジカル分解すること
によって発生する。そのため本発明で必要に応じて使用
されるラジカル禁止剤としては、ラジカルを捕捉するこ
とでラジカル反応を停止する効果を有するフェノール系
ラジカル禁止剤や窒素系ラジカル禁止剤、ラジカル前駆
体である過酸化物類と反応し、ラジカル反応の開始の抑
制や反応中間体を不活性化する働きを有するりん系およ
びスルフィド系ラジカル禁止剤が好ましい。 (29)フェノール系ラジカル禁止剤の定義 フェノール系ラジカル禁止剤とは、分子内に1個以上の
フェノール性水酸基を有する化合物を指す。ラジカル反
応の連鎖を停止する効率を向上するために立体的に嵩高
いt−ブチル基等をフェノール性水酸基の近傍に有する
化合物が好ましく、また樹脂の混練や、製膜、製缶工程
においてラジカル禁止剤の揮散が少ない点で分子量が3
50以上であることが好ましい。また、ラジカル禁止剤
の樹脂内での拡散性の観点から、分子量は5000以下
であることが好ましい。反応性の向上、分子量の向上の
観点から、一分子内に複数のフェノール性水酸基を有す
る化合物の使用も好ましい。 (30)フェノール系ラジカル禁止剤例示 フェノール系ラジカル禁止剤の具体例としては、テトラ
キス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシハイドロシンナメート)]メタン、トリエチレング
リコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、等が挙げられる。 (31)りん系ラジカル禁止剤定義 りん系ラジカル禁止剤とは分子内に1個以上のホスファ
イト基および/又はホスホネート基を有する化合物を指
す。また樹脂の混練や、製膜、製缶工程においてラジカ
ル禁止剤の揮散が少ない点で分子量が350以上である
ことが好ましい。ラジカル禁止剤の樹脂内での拡散性の
観点から、分子量は5000以下であることが好まし
い。反応性の向上、分子量の向上の観点から、1分子内
に複数のホスファイト基および/又はホスホネート基を
有する化合物の使用も好ましい。 (32)りん系ラジカル禁止剤例示 りん系ラジカル禁止剤の具体例としては、2、2−メチ
レンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチル
ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フォスファイト等が挙げられる。 (33)スルフィド系ラジカル禁止剤定義 スルフィド系ラジカル禁止剤とは、分子内に1個以上の
スルフィド基を有する化合物を指す。樹脂の混練や、成
形工程においてラジカル禁止剤の揮散が少ない点で、分
子量が350以上であることが好ましい。また、ラジカ
ル禁止剤の樹脂内での拡散性の観点から、分子量は50
00以下であることが好ましい。反応性の向上、分子量
の向上の観点から、1分子内に複数のスルフィド基を有
する化合物の使用も好ましい。 (34)スルフィド系ラジカル禁止剤例示 スルフィド系ラジカル禁止剤の具体例としては、テトラ
キス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネー
ト]メタン、ビス(トリデシルオキシカルボニルエチ
ル)スルフィド等が挙げられる。 (35)窒素系ラジカル禁止剤定義 窒素系ラジカル禁止剤とは、脂肪族炭化水素または芳香
族炭化水素基にアミノ基が結合し、発生したラジカルに
水素を供与することでラジカルを消失させるような化合
物を指す。 (36)窒素系ラジカル禁止剤例示 窒素系ラジカル禁止剤の具体例としては、ビス(2−ド
デシルフェニル)アミン、ビス(3−オクチルフェニ
ル)アミン、ビス(4−オクチルフェニル)アミン等が
挙げられる。 (37)ラジカル禁止剤使用形態:混合使用 本発明で必要に応じて使用されるラジカル禁止剤は単独
で使用しても良く、また必要に応じて混合して使用して
も良い。本発明の樹脂組成物(I)において観測される
ビニル重合体(B)のラジカル分解は、通常の熱的なラ
ジカル分解の主要因の一つが、蓄積した過酸化物基の熱
分解によって生じるラジカル反応であるのとは異なり、
残留触媒などの金属化合物からの電子移動反応によるラ
ジカル発生が主要因であるため、ラジカル禁止剤を1種
を単独で使用する場合には、フェノール系がラジカルを
捕捉し、連鎖を切断する効果が高く、結果として樹脂の
分解を抑制する効果が高い点で好ましい。りん系および
スルフィド系ラジカル禁止剤は、ラジカル発生源やラジ
カル反応の中間体となる過酸化物を分解する効果を有す
るため、フェノール系ラジカル禁止剤との混合して使用
することで一層の高い効果を発揮する。また、同様の相
乗効果は一分子中にフェノール性水酸基、ホスファイト
基および/又はホスホネート基、アミノ基およびスルフ
ィド結合の2種以上を有する様な複合型のラジカル禁止
剤においても観測されるため、この使用も好ましい。
【0060】複合型のラジカル禁止剤の具体例として
は、2、2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−
クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−
ビス(オクチルチオ)−1、3,5−トリアジン−2−
イルアミノ)フェノール等が挙げられる。 (38)ラジカル禁止剤の添加方法 本発明で必要に応じて使用されるラジカル禁止剤の上記
樹脂組成物(I)への添加方法としては、原料樹脂であ
るポリエステル樹脂(A)、ビニル重合体(B)のいず
れか1種以上に、また、樹脂組成物(I)がゴム状弾性
体樹脂(C)を含有する場合には、ポリエステル樹脂
(A)、ビニル重合体(B)またはゴム状弾性体樹脂
(C)のいずれか1種以上にあらかじめラジカル禁止剤
を添加してから樹脂組成物とすることにより、上記樹脂
組成物(I)にラジカル禁止剤が含有させればよい。こ
の際、原料樹脂(B)にラジカル禁止剤をあらかじめ添
加しておくことが、原料樹脂(B)の分解を効率よく抑
制し、より少量のラジカル禁止剤の添加によって溶出物
の削減の高い効果が得られる点で好ましい。
【0061】複数の原料樹脂にラジカル禁止剤を添加す
る場合は、結果的に樹脂組成物に含有されるラジカル禁
止剤の量が、前述のラジカル禁止剤の必要量を満たして
いればよい。原料樹脂(A)、(B)および/又は
(C)にラジカル禁止剤を添加する別の方法としては、
樹脂の重合の際に反応槽に直接ラジカル禁止剤を投入す
る方法や、重合後に加熱ロール、バンバリーミキサー、
ニーダー、押し出し機等を用いて配合する方法が挙げら
れる。
【0062】また、他のラジカル禁止剤の添加方法とし
ては、ラジカル禁止剤を含有しない(A)および(B)
または(A)、(B)および(C)からなる原料樹脂を
混合して上記樹脂組成物またはフィルムを調製する際に
添加しても良い。この際、ラジカル禁止剤はラジカル禁
止剤そのものを直接添加してもよく、あるいはマスター
バッチ法により添加してもよい。また、一旦ラジカル禁
止剤を含有しない原料樹脂を混合して上記樹脂組成物
(I)を調製した後、フィルムに調製する際に製膜機の
ホッパ内にラジカル禁止剤を投入することで添加しても
よい。
【0063】成形性、外観向上、防錆性の向上の為に
は、ピンホールやフィッシュアイの形成を抑制すること
が好ましいが、水分や揮発性物質の蒸発によるピンホー
ル形成には原料を充分に乾燥させるなどの方法が有効で
ある。また微粒子の二次凝集体の形成や爽雑物の付着・
混入等による劣化を防止するためには、微粒子含有量の
低い原料中を使用する、および/又はクリーンルームで
製造する等の方法を採用することが好ましい。また混練
および/又は製膜時などの溶融押し出しの工程の少なく
とも一カ所でスクリーンに通して爽雑物を除去する方法
も有用である。 (39)強化剤 また、本発明の樹脂組成物には、剛性や線膨張特性の改
善等を目的に、ガラス繊維、金属繊維、チタン酸カリウ
ィスカー、炭素繊維のような繊維強化剤、タルク、炭酸
カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバ
ー、金属フレーク、金属粉末のようなフィラー類を混入
させても良い。これらの充填剤の内、ガラス繊維、炭素
繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm
以上の繊維長を有することが望ましい。また、これらの
添加量としては、全樹脂組成物質量に対して0.5〜5
0質量部であることが望ましい。 (40)添加剤 更に、本樹脂組成物には、目的に応じて、熱安定剤、光
安定剤、離型剤、滑剤、顔料、難燃剤、可塑剤、帯電防
止剤、抗菌抗カビ剤等を適正量添加することも可能であ
る。 (顔料)本発明において必要に応じて使用可能な上記顔
料は特に制限されず、公知のものから適宜選択して使用
することが可能である。下地色(例えば、金属色)の隠
蔽性に優れるおよび/又は印刷適性の点からは、白色顔
料(より好ましくは、酸化チタン)が好ましい。
【0064】この白色顔料は無機、有機系のいずれであ
ってもよいが、無機系であることが好ましい。無機系顔
料の好ましい例としては、アルミナ、二酸化チタン、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。そして該
顔料を含有する層ないしフィルムの白色遮光性を向上さ
せる点からは、粒子屈折率が1.5以上の顔料が好まし
い。
【0065】白色顔料の以下であることが好ましい。こ
の平均粒径が2.5μmを越える場合は、深絞り成形等
の製缶加工により樹脂被覆金属基材を変形させた際に、
その変形した部分において、粗大粒子(例えば粒径が1
0μmの粒子)が起点となり、ピンホールを生じたり、
場合によってはこれを起点とする被断が生じる可能性が
高まる。
【0066】本発明において、樹脂組成物層に含まれる
顔料の量は、該樹脂組成物層の全体を基準として、3〜
50質量%(更には3〜30質量%)であることが好ま
しい。これよりも少ないと遮光性(例えば白色遮光性)
が不充分となり易く、他方これより多いと製缶加工性が
悪化する傾向が高くなる。顔料は一種を単独にて使用し
ても良く、また必要に応じて二種以上の複数種を併用し
て含有させても良い。白色顔料を用いる場合、隠蔽性、
遮蔽効果が大きく、しかも安価である点から、ルチル型
二酸化チタンが特に好適に用いられる。
【0067】このような顔料は、必要に応じて、例え
ば、上記した特定の組成を有する樹脂組成物層および/
又は後述する上層ないしトップコート層に含有させるこ
とができる。本発明の樹脂被覆金属基材から形成した容
器内側にこのような顔料を含む層を配置した場合には、
地金の色の隠蔽により、内容物の「見た目」の色の変化
を効果的に防止できる(このような色変化の防止によ
り、摂取する消費者の心理的不快感を防止できる)。他
方、容器外側に顔料(特に白色顔料)を含む層を配置し
た場合には、容器外側の印刷色の明瞭性を効果的に向上
させることが可能となる(容器外側の印刷の明瞭性は、
それによる美観とも相まって、同種の内容物を含むもの
との間での消費者の選択行動に影響を与える可能性が高
い)。 (41)多層化 またフレーバー性の向上、耐衝撃性の向上などの目的
で、本樹脂組成物とともに、他の樹脂組成物および/又
は接着剤と組み合わせて使用しても差し支えない。 (42)用途(非被覆材料) 本発明の樹脂組成物は広く樹脂成形体として使用でき
る。具体的にはバンパー、ボンネット、ドア材、ホイー
ルカバー、オイルタンク、インストゥルメンタルパネル
などの自動車内外部品、玩具、容器、家電・コンピュー
タ・携帯電話などの筐体などに使用できる。本樹脂組成
物を成形体に加工する方法は特に限定する物ではない
が、公知の射出成形、ブロー成形、押出成形を広く適用
することができる。 (金属基材) (43)被覆使用時の金属基材例示 本発明の樹脂被覆金属基材において、金属基材1(図
1)として使用可能な金属基材(例えば金属板)は特に
限定されず、公知のものから適宜選択して使用すること
が可能である。
【0068】本発明において使用可能な金属基材1の具
体例としては、例えば、ブリキ、薄錫めっき鋼板、電解
クロム酸処理鋼板(ティンフリースチール;TFS)、
ニッケルめっき鋼板等の缶用鋼板や、溶融亜鉛めっき鋼
板、溶融亜鉛−鉄合金めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニ
ウム−マグネシウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム
−シリコン合金めっき鋼板、溶融鉛−錫合金めっき鋼板
等の溶融めっき鋼板や、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛
−ニッケルめっき鋼板、電気亜鉛−鉄合金めっき鋼板、
電気亜鉛−クロム合金めっき鋼板等の電気めっき鋼板等
の表面処理鋼板、冷延鋼板やアルミニウム、銅、ニッケ
ル、亜鉛、マグネシウム等の金属基材等が挙げられる。
また、金属基材への被覆も片面又は両面の何れであって
も良い。また、本発明の樹脂組成物を金属基材へ被覆し
た際の被覆膜厚みは、特に制限するものではないが、1
〜300μmであることが好ましい。1μm未満では被
膜の耐衝撃性が充分でない場合があり、300μm超で
は経済性が悪い。 (表面処理鋼板)上記金属基材1としては、少なくとも
一方の面(容器状とした場合に、好ましくは内容物接触
側の面)が表面処理された鋼板であることが好ましく、
該少なくとも一方の面がクロメート層を有する表面処理
鋼板であることが特に好ましい。
【0069】このような表面処理鋼板を用いた場合、ア
ルミニウム等の他の金属に比して、食塩類を含有する内
容物に対して孔食速度が著しく小さいこと、およびアル
ミニウム等に比して約2.5倍のヤング率を有し、絞り
缶や深絞り缶として充分に大きな耐圧変形性が得られる
ことによるものである。更に、表面にクロメート層を有
する表面処理鋼板を用いた場合、ポリエステル系樹脂組
成物層2(ないし接着剤や接着用プライマー層)に対し
て、絞り成形後は勿論のこと、レトルト殺菌等の過酷な
温度処理後にも充分な密着性を得ることが更に容易とな
る。 (好適なクロメート層含有表面処理鋼板)上記クロメー
ト層含有表面処理鋼板としては、特に電解クロム酸処理
鋼板、クロメート処理ニッケルめつき鋼板、クロメート
処理鉄・錫合金めつき鋼板、クロメート処理錫・ニッケ
ル合金めつき鋼板、クロメート処理鉄・錫・ニッケル合
金めつき鋼板、クロメート処理アルミニウムめっき鋼板
が好適に使用される。
【0070】電解クロム酸処理鋼板は、冷間圧延鋼板基
質の上に金属クロム層とその上の非金属クロム層からな
る。鋼板基質の厚みは、耐圧変形性と加工性および易開
封性との兼合いにより決定され、一般に0.10〜0.
40mm、特に0.12〜0.35mmの範囲にあるこ
とが好ましい。金属クロム層の厚みは、耐腐食性と加工
性との兼合いにより決定され、その量は30〜300m
g/m2 、特に50〜250mg/m2 の範囲にあるこ
とが望ましい。また非金属クロム層の厚みは、塗膜密着
性や接着剥離強度に関連するものであり、クロム量とし
て表わして4〜40mg/m2 、特に7〜30mg/m
2 の範囲にあることが望ましい。
【0071】クロメート処理ニッケルめつき鋼板は、冷
間圧延鋼板基質の上にニッケル層とその上のクロメート
層からなる。ニッケル層の厚みは耐腐食性に関連するも
のであり、その量は、30〜3000mg/m2 、特に
loo〜1000mg/m2の範囲にあることが望まし
い。またクロメート層は非金属クロム層単層又は金属ク
ロム層を含んでいてもよい。クロメート層の厚みは、塗
膜密着性や接着剥離強度に関運するものであり、クロム
量として3〜200mg/m2 、特に5〜150mg/
2 に範囲にあることが望ましい。
【0072】クロメート処理鉄・錫合金めつき鋼板は、
冷間圧延鋼板基質の上に鉄・錫合金層と、その上のクロ
メート層からなる。鉄・錫合金層の厚みは、耐腐食性に
関連するものであり、その量は錫量として30〜800
mg/m2 、特に200〜700mg/m2 の範囲にあ
ることが望ましい。またクロメート層は非金属クロム層
単層又は金属クロム層を含んでいでもよい。クロメート
層の厚みは、塗膜密着性や 接着−剥離強度に関連する
ものであり、クロム量として3〜200mg/m2 、特
に5〜150mg/m2 の範囲にあることが望ましい。
【0073】クロメート処理錫・ニッケル合金めっき鋼
板は、冷間圧延鋼板基質上に錫・ニッケル合金層とその
上のクロメート層からなる。錫・ニッケル合金層の厚み
は耐腐食性に関連するものであり、その量は、錫量とし
て30〜800mg/m2 、特に50〜600mg/m
2 にあることが望ましい。クロメート層は非金属クロム
層又は金属クロム層を含んでいてもよい。クロメート層
の厚みは塗膜密着性や接着 剥離強度に関連するもので
あり、クロム量として3〜200mg/m2 、特に5〜
150mg/m2 の範囲にあることが望ましい。錫・ニ
ッケル合金層に少量の鉄、マンガン、亜鉛、モリブデ
ン、銅等を耐食性向上のために添加することもできる。
錫・ニッケル合金層と鋼板の間にニッケル層又は錫層を
設けることもできる。
【0074】クロメート処理鉄・錫・ニッケル合金めっ
き鋼板は、冷間圧延鋼板基質上に鉄・錫・ニッケル合金
めつき層とその上のクロメート層からなる。鉄・錫・ニ
ッケル合金めっき層の厚みは、耐腐食性に関連するもの
であり、その量は、錫量として10〜800mg/
2 、特に30〜400mg/m2 にあることが望まし
い。又、クロメート層は非金属クロム単層又は金属クロ
ム層を含んでいてもよい。クロメート層の厚みは塗膜密
着性や接着剥離強度に関連するものであり、クロム量と
して3〜200mg/m2 、特に5〜150mg/m2
の範囲にあることが望ましい。又、鉄・錫・ニッケル合
金層に少量の、マンガン、亜鉛、モリブデン、銅等を耐
食性向上のために添加することもできる。
【0075】クロメート処理アルミニウムめつき鋼板
は、冷間圧延鋼板基質上にアルミニウム層とその上のク
ロメート層からなり、鋼板とアルミニウム層の間に鉄・
アルミニウム合金層を設ける場合もある。アルミニウム
層の厚みは耐腐食性に関連するものであり、その量は、
30〜3000mg/m2 であり、特に100〜250
0mg/m2 にあることが望ましい。またクロメート層
は非金属クロム単層又は金属クロム層を含んでいてもよ
い。また、クロメート層がリン酸クロメート層であって
もよい。クロメート層の厚みは、塗膜密着性や接着剥離
強度に関連するものであり、クロム量3〜200mg/
2 、特に5〜150mg/m2 の範囲にあることが望
ましい。 (トップコート層)本発明において、トップコート層3
(図1)を構成する材料は特に制限されず、公知のもの
から適宜選択した使用することが可能である。PETフ
ィルム等のポリエステル系フィルムへの密着性の点から
は、(a)水酸基含有ポリエステルと、(b)エポキシ
樹脂、フェノール樹脂およびアミノ樹脂から選ばれた少
なくとも1種との組合せを用いることが好ましい。
【0076】本発明において、トップコート層を構成す
る熱硬化性樹脂中に好適に含有される水酸基含有ポリエ
ステル樹脂としては、グリコール成分として、(i)ト
リメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリト
ール、マンニトール、ソルビトール等の3価以上の多価
アルコールと、(ii)エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコ
ール等の2価アルコールとの組合せを、テレフタル酸、
イソフタル酸、アジビン酸、セバチン酸、アゼライン酸
等の二塩基酸成分と重縮合させて得られたポリエステル
樹脂が好適に使用可能である。
【0077】このポリエステルは、1000〜2000
の数平均分子量(Mn)と3〜8の水酸基価とを有する
ことが好ましい。このポリエステルと組合せて用いるエ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂或いはアミノ樹脂は何れ
も、ポリエステル中の水酸基に対して反応性を有するも
のであり、これにより硬化した樹脂被覆が形成される。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピハロヒ
ドリンとの重縮合で得られた数平均分子量1400〜4
000およびエポキシ当量1000〜4000のエポキ
シ樹脂が好適に使用可能である。フェノール樹脂として
は、単環又は多環フェノール(ビスフェノール類)とホ
ルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下に縮合して得ら
れるレゾール型フェノールホルムアルデヒド樹脂、特に
平均分子量が1000〜3000のものが好適に使用可
能である。また、アミノ樹脂としては、尿素、メラミ
ン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等とホルムア
ルデヒドとを塩基性触媒の存在下に重縮合させてなる樹
脂が好適に使用可能である。これらの樹脂は単独でも、
必要に応じて2種以上の組合せでも好適に使用可能であ
る。
【0078】ポリエステル樹脂成分と、エポキシ樹脂等
の硬化剤樹脂成分との質量比は、80:20〜40:6
0の範囲内にあることが好ましい。ポリエステル樹脂成
分として、水酸基末端ポリエステルとエポキシ樹脂とを
反応させて、エポキシ−ポリエステル・ブロックコポリ
マ一とし、これをフェノール樹脂やアミノ酸との組合せ
でトップコート層として用いることもできる。
【0079】本発明の一つの態様では、トップコート層
がゴ−ルドの色相を有する。このゴールドの色相は、例
えば、トップコート層中にフェノール樹脂を含有させる
ことにより得られる。このタイプの塗料の好適な例は、
フェノール・エポキシ・ポリエステル塗料である。この
場合、塗膜の厚みは0.5〜6μmの範囲にあることが
望ましい。
【0080】本発明の別の態様では、トップコート層が
ホワイトの色相を有する。このホワイトの色相は、熱硬
化性樹脂中に二酸化チタン(例えばルチル或いはアナタ
ーゼ)等の白色顔料を含有させることにより得られる。
二酸化チタンの配合量は樹脂(100質量%)当り30
〜60質量%、特に35〜50質量%であることが好ま
しい。この際に用いる樹脂はクリアーであることが色相
の点で望まし<、このためにアミノ・エポキシ・ポリエ
ステル塗料又はアミノポリエステル塗料が好適に使用可
能である。このタイプのトップコート層は、5〜15μ
mの厚みを有することが望ましい。
【0081】このように、トップコート層としてゴール
ドのもの、或いはホワイトのものを使用することによ
り、開缶後の缶内面が美麗なものとなり、透明なフィル
ム層を介して金属基材が透視されずに隠蔽され、したが
って本発明の樹脂被覆金属基材に優れた外観特性、商品
価値を付与することができる。また、トップコート層に
は、素材搬送中において発生する傷を防止するために、
滑剤を予め含有させることができる。 (プライマー層)本発明の樹脂被覆金属基材において
は、上述したように、基材たる金属基材1と、特性の組
成を有する樹脂組成物層2との間に、必要に応じてプラ
イマー層が配置されていてもよい。このようなプライマ
ー層を構成する成分ないし組成は特に制限されず、従来
より樹脂被覆金属基材、樹脂被覆金属容器(例えば、缶
体)等に使用されているプライマー構成から適宜選択し
て使用することが可能である。
【0082】本発明においては、表面処理鋼板等からな
る金属基材1と上記したポリエステル系樹脂組成物層2
とを接着用プライマーを介してラミネートしてもよい。
接着用プライマーは、金属基材1と樹脂組成物層2との
双方に強い密着性を示すのみならず、金属基材1の耐腐
食性を更に向上させることもできる。密着性と耐腐食性
とに優れたプライマーとしては、特公昭60−1223
3号公報に示されるポリエステル樹脂系の水系分散剤、
特公昭63−13829号公報に示されるエポキシ系接
着剤、特開昭61−149341号公報に示される各種
官能基を有する重合体、特開平5−269917号公報
に示されるポリアミドジカルボン酸変性エポキシ樹脂等
が挙げられる。
【0083】(接着)プライマー層は、一般に0.3〜
2μmの厚みに設けることが好ましい。接着プライマー
にかえて、ポリエステル系樹脂組成物層2と金属基材1
(例えば、表面処理鋼板)との両者に対して接着性を示
すことが知られている公知の接着剤、例えばイソシアネ
ート系接着剤、エポキシ系接着剤等の熱硬化型接着剤
や、コポリエステル型熱接着剤等の熱可塑性接着剤を使
用することもできる。
【0084】該プライマー層の金属および樹脂組成物層
との間で耐衝撃性、耐食性等をより効果的に発揮させる
点からは、プライマーとして、(1)フェノールとホル
ムアルデヒドとから誘導されるレゾール型フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹
脂とからなるフェノール−エポキシ系塗料(特公平7−
10696号公報に記載);および、(2)50〜98
質量%のポリアミドジカルボン酸変性エポキシ樹脂と、
2〜50質量%の硬化剤樹脂と、0.05〜10質量%
の硬化触媒とを含むエポキシ樹脂組成物(特開平5−2
69917号公報に記載)、の少なくとも一方を含むこ
とが好ましい。 (好適な積層形態の例示)図2〜5には、上記した基本
的な態様(図1)に、必要に応じて追加的な層を配置し
た例を示す。 (図2の態様)図2の態様においては、ポリエステル系
樹脂組成物層2と、トップコート層3との間に、飽和ポ
リエステル樹脂からなる層4を配置してなる以外は、図
1の態様と同様である。この図2の態様における樹脂被
覆金属基材は、上記のように金属基材1と、この片面上
に、[B]樹脂組成物層2と、[A]飽和ポリエステル
樹脂層4と、が配置されているため、更に優れた耐衝撃
性を有するとともに、成形性特に絞りしごき成形性に優
れ、成形時に被膜中にピンホールを生じることなく均一
加工されるという特性に更に優れる。またこの樹脂被膜
は、金属基材との密着性にも優れ、成形時の加工追従性
に優れるため、外観に優れた缶が得られる。
【0085】この態様に係る樹脂被覆金属基材は、後述
するように特定の樹脂層で形成することによって優れた
絞りしごき加工性などの特性を発現することができる。
なお、上記した[A]飽和ポリエステル樹脂層4をホモ
ポリエチレンテレフタレートで形成すると、製缶後にブ
リスターを発生することがある。また[A]層をイソフ
タル酸成分を20モル%で含む共重合ポリエステルで形
成すると、製缶時のポンチ抜けが悪く、連続的に缶を製
造することが困難となることがあり、しかも得られる缶
はピンホール試験およびフレーバー吸着特性などの評価
に劣ることがある。
【0086】この図2の態様において使用できる飽和ポ
リエステル樹脂層4を構成する飽和ポリエステル樹脂
は、特定の2種のジカルボン酸から誘導されるジカルボ
ン酸成分を含む共重合ポリエステルであることが好まし
い。この飽和ポリエステル樹脂を形成しているジカルボ
ン酸成分は、ジカルボン酸成分を100モル%としたと
きに、テレフタル酸99〜80モル%、好ましくは95
〜85モル%と、イソフタル酸1〜20モル%、好まし
くは5〜15モル%とからなることが好ましい。
【0087】また、飽和ポリエステル樹脂を形成してい
るジヒドロキシ成分としては、具体的には、エチレング
リコール、トリメチレングリコール(プロピレングリコ
ール)、テトラメチレングリコール、ペンタメチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。上
記の飽和ポリエステルは、発明の目的を損なわない範囲
で、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタ
ン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物から誘導
される構成単位を少量、たとえば2モル%以下の量で含
んでいてもよい。
【0088】この飽和ポリエステルは、実質上線状であ
ることが好ましい。このことは該飽和ポリエステルが、
o−クロロフェノールに溶解することによって確認され
る。該飽和ポリエステルは、o−クロロフェノール中で
25℃で測定した極限粘度[η]が、それぞれ通常0.
5〜1.4dl/g、好ましくは0.5〜1.0dl/
g、さらに好ましくは0.6〜1.0dl/gであるこ
とが好ましい。このような極限粘度[η]を有する飽和
ポリエステルは、溶融成形性および絞りしごき成形性に
優れるとともに耐衝撃性などの機械的強度にも優れてい
て好ましい。
【0089】この飽和ポリエステル樹脂は、ガラス転移
温度(Tg)が、通常50〜120℃、更には60〜1
00℃であることが好ましく、低温結晶化温度(Tc)
が、通常130〜210℃、更には140〜200℃で
あることが好ましく、結晶融解温度(Tm)が、通常2
10〜265℃、更には220〜260℃であることが
好ましい。
【0090】上記の飽和ポリエステル樹脂は、X線回折
法によって測定される結晶化度が、5〜75%、好まし
くは10〜60%であることが望ましい。上記のような
組成を有する飽和ポリエステル樹脂は、加工性に優れて
いるとともに、この飽和ポリエステル樹脂から形成され
る被膜は、テレフタル酸とエチレングリコールとから誘
導される従来公知のポリエステル樹脂から形成される被
膜に比べて、テルペン系臭気を吸着しにくく、保香性に
優れている。
【0091】このように[A]層および[B]層からな
る樹脂層の厚さは、これら2層の合計で、通常5〜50
0μm、更には10〜100μm、特に20〜60μm
であることが好ましい。またこれら[A]飽和ポリエス
テル樹脂層と、[B]樹脂組成物層との2層の膜厚比
は、[A]層:[B]層=2:1〜1:9であることが
好ましい。この[A]層/[B]層が2を超えている
と、耐衝撃強度に劣ることがある。一方、[A]層/
[B]層が1/9未満であると、金属基材上へ均一な膜
厚で連続的にラミネートすることが困難なことがあり、
また得られる缶にはピンホールが発生することがある。
【0092】上記のような本発明に係る樹脂被覆金属基
材は、たとえば以下のように製造することができる。 (1)[A]飽和ポリエステル樹脂と上記のように調製
された[B]樹脂組成物とを、2層押出Tダイにより金
属基材上に[B]樹脂層が金属基材に接するように同時
に押し出す。
【0093】(2)一旦[A]飽和ポリエステル樹脂層
と[B]樹脂組成物層とからなるフィルムを形成し、こ
のフィルムと金属基材とを[B]樹脂組成物層が金属基
材に接するように貼り合わせる。 (3)、また金属基材上に[B]樹脂組成物層を形成
し、次いでこの[B]樹脂組成物層上に[A]飽和ポリ
エステル樹脂層を形成することもできる。上記のように
金属基材上に樹脂層を被覆するに際しては、押出機から
溶融状態で押し出されて金属基材上に被覆された樹脂被
膜は、急冷することが好ましい。
【0094】このように金属基材上に設けられた樹脂被
膜は、実質的に未配向であり、かつ非晶状態であること
が好ましい。また上記のような樹脂被膜を金属基材上に
形成するに際しては、必要に応じて耐候安定剤、滑剤、
熱安定剤、耐衝撃改良剤などの添加剤を各樹脂層中に含
有させてもよく、さらにこれらの添加剤は予め各樹脂と
添加剤とからなるマスターバッチを形成してから添加し
てもよい。 (図3の態様)図3の態様においては、金属基材1と、
ポリエステル系樹脂組成物層2との間に、接着用プライ
マーまたは接着剤からなるプライマー層5を配置してな
る以外は、図1の態様と同様である。この図3の態様に
よれば、更に、密着性に優れるので、低温での耐衝撃性
が更に向上するという利点が得られる。
【0095】このプライマー層5を構成する接着用プラ
イマーまたは接着剤としては、上述した材料ないし組成
が使用可能である。 (図4の態様)図4の態様においては、金属基材1のポ
リエステル系樹脂組成物層2を配置してなる面(容器と
した際には内側)と反対側の面上に、外面層6が配置さ
れてなる以外は、図1の態様と同様である。この図4の
態様によれば、更に、外面塗装が省略可能であるという
利点が得られる。
【0096】この外面層6の構成としては、従来公知の
ものが特に制限なく使用可能であるが、その一態様とし
ては、この図4に示すような、外面用フィルム6a、印
刷インキ層6b、および透明ラッカー層6cからなる層
構成が挙げられる。これらの外面用フィルム6a、印刷
インキ層6b、および透明ラッカー層6cの構成として
は、従来公知のものが特に制限なく使用可能である。 (図5の態様)図5の態様においては、金属基材1のポ
リエステル系樹脂組成物層2を配置してなる面(容器と
した際には内側)と反対側の面上に、図4とは異なる構
成を有する外面層7が配置されてなる以外は、図3の態
様と同様である。この図4の態様によれば、更に、美麗
な外観が得られるとともに、外面塗装が省略可能である
という利点が得られる。
【0097】この外面層7の構成としては、従来公知の
ものが特に制限なく使用可能であるが、その一態様とし
ては、この図5に示すような、下地塗膜7a、印刷イン
キ層7b、および透明ラッカー層7cからなる層構成が
挙げられる。これらの下地塗膜7a、印刷インキ層7
b、および透明ラッカー層7cの構成としては、従来公
知のものが特に制限なく使用可能である。(44)金属
基材の被覆方法:フィルム圧着(間接/直接)、直接ラ
ミネーション金属基材への被覆には、公知の方法が使用
できる。具体的には、(1)あらかじめ混練機により原
料樹脂を溶融混練することで調製した本樹脂組成物をT
ダイス付の押出機でフィルム化し、これを金属基材に熱
圧着する方法(この場合、フィルムは無延伸でも、1方
向若しくは2方向に延伸してあっても良い)、(2)T
ダイスから出たフィルムを直接熱圧着する方法、が挙げ
られる。更にフィルムを直接熱圧着する別の方法として
は、(3)Tダイス付の押出機のホッパに本樹脂組成物
の代わりに、本樹脂組成物の原料となる樹脂およびラジ
カル禁止剤を投入し、押出機内で本樹脂組成物に混練
し、それを直接熱圧着する方法が挙げられる。
【0098】更に、本発明の樹脂組成物は、被覆後の膜
内部に結晶化度を傾斜させなくても充分な耐衝撃性を発
現できる。従って、(4)樹脂組成物を溶融してバーコ
ーターやロールでコーティングする方法、(5)溶融し
た樹脂組成物に金属基材を漬ける方法、(6)樹脂組成
物を溶媒に溶解してスピンコートする方法、等により金
属基材に被覆することも可能であり、被覆方法は特に限
定されるものではない。
【0099】金属基材への被覆方法として作業能率から
最も好ましいのは、上記(1)、(2)および(3)の
方法である。(2)の方法を使用して被覆する場合は、
フィルム厚みは上記と同様の理由により1〜300μm
であることが好ましい。更に膜の表面粗度は、フィルム
表面粗度を任意に1mm長測定した結果がRmaxで5
00nm以下であることが好ましい。500nm超では
熱圧着で被覆する際に気泡を巻き込む場合がある。
【0100】また本樹脂組成物の高い衝撃性のため、延
伸をすることなく使用しても高い衝撃性を発揮する。そ
のため延伸することなく金属被覆材料として使用可能で
あり、省工程化が可能である。また無延伸で金属被覆材
料として使用する場合には温度、通板速度などの制御で
薄膜内の結晶化度を制御することは必須でなくなるた
め、プロセスウィンドウの拡大、高速製造が可能とな
る。更に製膜時、被覆時の結晶化度制御の為の温度制御
が容易であるため、性能の安定した製品の製造が可能と
なる。 (45)滑剤の使用 本発明の樹脂フィルムは、本発明の樹脂組成物からなる
樹脂フィルムであり、被覆前の樹脂フィルムでも上記の
(4)〜(6)の方法等で被覆後に形成された樹脂フィ
ルムであっても良い。また、金属基材への被覆工程や金
属基材加工時の潤滑性を向上する目的で、特開平5−1
86613号公報に開示されているような公知の滑剤が
添加されていても良い。滑剤の粒径は2.5μm以下が
好ましい。2.5μm超では樹脂フィルムの機械特性が
低下する。滑剤の添加量は金属基材の巻取性や深絞り加
工性に応じて決定されるが、0.05〜20%が好まし
い。 (46)積層方法(多層/単層、片面/両面、金属厚
み) また、本発明の樹脂フィルムを金属基材に被覆する際に
は、金属基材の片面および/又は両面に、少なくとも上
記樹脂フィルムを用いて単一層状に又は多層状に積層し
て被覆することができる。この際に、1又は2種類以上
の樹脂フィルムを用いて金属基材の片面および/又は両
面に単一層状にあるいは多層状に積層しても良く、ま
た、必要に応じてPETフィルム、ポリカーボネートフ
ィルム等のポリエステルフィルムや、ポリエチレンフィ
ルム等のポリオレフィンフィルムや、6−ナイロンフィ
ルム等のポリアミドフィルムや、アイオノマーフィルム
等の他の公知の樹脂フィルム、あるいは、結晶/非結晶
ポリエステル組成物フィルム、ポリエステル/アイオノ
マー組成物フィルム、ポリエステル/ポリカーボネート
組成物フィルム等の公知の樹脂組成物フィルムをその下
層および/又は上層に積層して被覆しても良い。具体的
な積層方法としては、上述の(1)、(2)および
(3)の方法を使用する場合、多層のTダイスを使用し
て本発明の樹脂フィルムと他の樹脂フィルムや樹脂組成
物フィルムとの多層膜を製造し、これを熱圧着する方法
がある。また、上述の(4)〜(6)の方法を使用する
場合、他の樹脂組成物を被覆した後に本発明の樹脂組成
物を被覆したり、逆に本発明の樹脂組成物を被覆した後
に他の樹脂組成物を被覆することにより、多層に積層す
ることが可能である。
【0101】本発明の樹脂被覆金属基材は本発明の樹脂
フィルムが被覆された金属基材であり、被覆は片面であ
っても両面であっても良い。金属基材の厚みは特に制限
するものではないが、0.01〜5mmであることが好
ましい。0.01mm未満では強度が発現し難く、5m
m超では加工が困難である。 (47)接着剤 本発明の樹脂被覆金属基材は、本発明の樹脂フィルムが
被覆されていれば良く、必要に応じて公知の樹脂フィル
ムを本発明の樹脂フィルムの下層および/又は上層に積
層して金属基材に被覆しても良い。また、公知の接着剤
を金属基材と本発明の樹脂フィルムとの間に積層するこ
とも可能である。接着剤を例示すると、特公昭60−1
2233号公報に開示されるポリエステル樹脂系の水系
分散剤、特公昭63−13829号公報に開示されるエ
ポキシ系接着剤、特開昭61−149341号公報に開
示される各種官能基を有する重合体等が挙げられる。 (ポリエステル系樹脂組成物層の処理等)上記したポリ
エステル系樹脂組成物層2の厚みは、腐食成分に対する
バリア性と加工性との兼ね合いから、8〜50μm、特
に12〜40μmの厚みを有することが望ましい。
【0102】ポリエステル系樹脂組成物層2への接着用
プライマーないし接着剤との密着性を高め、且つトップ
コート層3の塗布性を高める点からは、ポリエステル系
樹脂組成物層2の表面を、必要に応じてコロナ放電処理
しておいてもよい。コロナ放電処理の程度は、その濡れ
張力が44dyne/cm以上となるようなものである
ことが望ましい。
【0103】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーティ
ング処理を行なうことも可能である。 (樹脂被覆金属基材の製法)本発明の樹脂被覆金属基材
は特に制限されず、従来公知の製法から適宜選択して使
用することが可能である。本発明の樹脂被覆金属基材を
構成する各層の積層ないしラミネートは、任意の順序で
行うことができる。
【0104】本発明の樹脂被覆金属基材の好適な製法の
例を、図6および図7の模式断面図に示す。図6を参照
して、この態様においては、外面フィルムも同時にラミ
ネートする方法を示す。この製法は、フィルムの一方の
面にエポキシ系熱硬化性接着プライマーを塗布する工程
と、金属基材前記フィルムを接着プライマー層と金属基
材とが対面する位置関係でラミネートする工程と、得ら
れるラミネート材の容器内面となるべき表面にトップコ
ート層用熱硬化性塗料を塗装焼き付けする工程と、金属
基材の容器外面となるべき表面に外面保護膜を形成する
工程とを含む。
【0105】また、他の好適な態様を示す模式断面図た
る図7を参照して、この態様においては、フィルムの容
器内面となるべき表面にトップコート用熱硬化性樹脂塗
料を塗布し、該フィルムの他方の面にエポキシ系熱硬化
性接着ポリマーを塗布する工程と、金属基材の一方の面
に、前記フィルムを、接着プライマー層と金属基材とが
対面する位置関係で施す工程と、得られるラミネート材
を、接着プライマー層およびトップコート層熱硬化性樹
脂塗膜が硬化するように熱処理する工程とにより、絞り
加工用のラミネー板を製造する。
【0106】接着プライマーを塗布されたフイルムを鋼
板にラミネートする場合、金属基材の温度は230℃〜
250℃に達するようにすることが望ましい。 (48)製缶方法 本発明の樹脂被覆金属容器は、本発明の樹脂被覆金属基
材からなる樹脂被覆金属容器で公知の加工法により成形
できる。具体的にはドローアイアニング成形、ドローリ
ドロー成形、ストレッチドロー成形、ストレッチドロー
アイアニング成形等が挙げられるが、本発明の樹脂被覆
金属基材を使用した樹脂被覆金属容器であれば良く、成
形法は前記の成形法に限定するものではない。
【0107】本発明の缶体は、前述したラミネート材を
用いる点を除けば、それ自体公知の方法で製造できる。
即ち、このラミネートを円板等の形状に剪断し、これを
絞りポンチと絞りダイスとの間で一段或いは多段の絞り
加工に賦する。絞り成形は大径の浅いカップへの絞り成
形と小径の深絞りカップへの深絞り成形とで.も行うこ
とができ、この深絞り成形工程では、肉厚を均一化する
ためカップ側壁部の上方部分に軽度のしごきを加えるよ
うにしてもよい。絞り成形に際しては、素材に潤滑剤を
適用することもできる。絞り加工は室温で行い得るのは
勿論であるが、→股には20〜70℃程度の温度で行う
方が良好な成形作業性が得られることが多い。得られる
絞りカップは、トリミング、更にはネッキング等の後加
工を行った後、フランジ加工を行って缶蓋との巻締を行
う缶体とする。 (絞りしごき缶の製法)本発明に係る樹脂被覆金属基材
を絞りしごき缶に成形するに際しては、例えば、以下の
ような絞りしごき加工が好適に使用可能である。この
際、金属基材の片面のみに樹脂被膜が設けられた樹脂被
覆金属基材が用いられる場合には、樹脂被覆面が缶内面
側になるように絞りしごき加工されることが好ましい。
【0108】なお上記の樹脂被覆金属基材から絞りしご
き缶を製造する際に、樹脂被膜が両面に設けられた樹脂
被覆金属基材を用いると、缶内面だけでなく缶外面も樹
脂で被覆された絞りしごき缶が得られるので、通常製缶
後に行われる缶外面の塗装工程を省くことができ、溶媒
が飛散するなどの塗装時の問題点もないとともに、製缶
設備を大幅に縮小することもできる。
【0109】缶体を製造する方法は、公知の各種の方法
が採用できる。最も一般的な方法としては、しごきポン
チを用いて一段階もしくは数段階しごき加工する方法に
より製造することができる。たとえば、絞りしごき加工
は、下記のような条件下に行うことができる。 プランク径 …100〜200mm 絞り条件 …1段絞り比 1.1〜2.4 2段絞り比 1.1〜1.6 絞りしごき径…3段アイアニング 20〜100mmφ 総しごき率 …20〜80%。
【0110】本発明に係る缶体を、上記した図2におけ
るように金属基材上に[A]結晶性飽和ポリエステル樹
脂層と[B]樹脂組成物層との2層の被膜が[A]結晶
性飽和ポリエステル樹脂層が缶の内容物と接するように
形成されいている樹脂被覆金属基材で形成した場合に
は、特にテルペン系臭気の吸着が少なく、フレーバー性
(保香性)に優れているとともに、被膜中にピンホール
などがなく、内容物の長期保存性に特に優れる。
【0111】本発明の樹脂組成物層2(図1〜5)を構
成する樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)、極性基
を有するユニットを1質量%以上含有するビニル重合体
(B)およびラジカル禁止剤の3元成分を含有してい
る。樹脂組成物(I)100質量部に対して、ラジカル
禁止剤を0.001〜7質量部含有する樹脂組成物であ
ることが好ましい。本発明においては、ビニル重合体
(B)によりポリエステル樹脂(A)の耐衝撃性が改善
でき、金属基材と樹脂組成物との密着性も良好である。
更に、ラジカル禁止剤の添加により樹脂組成物の分解が
抑制され、分解生成物が溶出することが少ない。
【0112】また本発明に更に好適に用いることが可能
な樹脂組成物はポリエステル樹脂(A)、極性基を有す
るユニットを1質量%以上含有するビニル重合体(B)
およびラジカル禁止剤の他に、ゴム状弾性樹脂体(C)
を含有する樹脂組成物である。特に、ポリエステル樹脂
(A)中にビニル重合体(B)でカプセル化されたゴム
状弾性樹脂体(C)が微細分散している構造を有する樹
脂組成物(I)100質量部に対して、ラジカル禁止剤
を0.001〜7質量部含有させてなる樹脂組成物が、
ゴム状弾性樹脂体(C)によりポリエステル樹脂(A)
の耐衝撃性が改善でき、更にビニル重合体(B)でゴム
状弾性樹脂体(C)をカプセル化しているため、ポリエ
ステル樹脂(A)とゴム状弾性樹脂体(C)との相溶性
を改善し、耐衝撃性を向上させる共に、金属基材とゴム
状弾性樹脂体(C)との直接接触を防止して金属基材と
樹脂組成物との密着性を確保できる点で優れている。更
に、ラジカル禁止剤の添加により樹脂組成物の分解が抑
制され、分解生成物が溶出する可能性も極めて低い。
【0113】この結果、本発明の樹脂組成物によりコー
トされた樹脂被覆金属基材は、成形性、耐熱性、耐衝撃
性、耐薬品性、機械強度、ガスバリア性、金属と樹脂層
との密着性等に優れると共に、フレーバー性にも優れて
いるため、樹脂成形体などに好適に使用することが可能
である。また、本発明の樹脂被覆金属基材は、上記の樹
脂組成物若しくは樹脂フィルムが金属基材の片面若しく
は両面を被覆しているため、樹脂と金属基材との密着
性、耐食性、耐衝撃性、加工性に優れると共に、塗装・
印刷特性にも優れ意匠性を付与し易く、更にラジカル禁
止剤の添加によって、樹脂の分解が抑制されていること
から、金属缶等の金属容器、家電製品の筐体や金属製家
具等の部材、自動車外板等の自動車用部材、内装壁やド
ア等の建材用内外装部材等に広く使用できる。特に、絞
り成形時や絞りしごき成形時の樹脂の加工追従性に優れ
ており、外観に優れた金属容器を形成し得る。
【0114】更に、本発明の樹脂被覆金属基材から成形
された容器(例えば、缶体)は、本発明の樹脂被覆金属
基材を成形してなる金属容器なので、打缶、缶詰工程、
運搬時の衝撃に耐え得る耐衝撃性、製缶後の乾燥、印
刷、焼付等に耐え得る耐熱性を有し、特にフレーバー性
(保香性)に優れた長期保存性を有する。従って、清涼
飲料水や食品等の容器として好適に使用することができ
る。
【0115】以下、実施例・参考例および比較例に基づ
いて、本発明を更に具体的に説明する。
【0116】
【実施例】以下の実施例・参考例および比較例におい
て、ポリエステル樹脂(A)としてポリエチレンテレフ
タレート(PET)[東洋紡(株)製RN163]、ポ
リブチレンテレフタレート(PBT)[東レ(株)製1
401−X04]、極性基を有するユニットを1質量%
以上有するビニル重合体(B)としてエチレン系アイオ
ノマー[三井デュポン(株)製ハイミラン1706、1
707]、エチレン−メタクリル酸共重合体[三井デュ
ポン(株)製ニュークレルN1035]、およびコア−
シェルタイプゴム状弾性体としてポリブチルアクリレー
ト−ポリメタクリル酸メチル共重合体(MBA)[呉羽
化学(株)製パラロイドEXL2314]、ゴム状弾性
体樹脂(C)としてエチレン−プロピレンゴム(EP
R)[JSR(株)製EP0 7P]、エチレン−ブテン
ゴム(EBM)[JSR(株)製EBM2 041P]を
使用した。製造例1〜15 表1に示す各樹脂とラジカル禁止剤のテトラキス[メチ
レン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイド
ロシンナメート)]メタンとを表1に示す各組成比で、
V型ブレンダーを使用してドライブレンドした。各樹脂
の組成は表1に示すとおりで、ラジカル禁止剤はいずれ
の場合も樹脂組成物(I)100質量部に対して0.1
質量部を添加した。この混合物を2軸押出機で260℃
で溶融混練してラジカル禁止剤を含有する樹脂組成物ペ
レットを得た。
【0117】本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片
を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル
樹脂(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型
電子顕微鏡で解析した。またゴム状弾性体樹脂(C)を
添加した場合にはポリエステル樹脂(A)中のビニル重
合体(B)およびゴム状弾性体樹脂(C)の分散状態を
透過型電子顕微鏡で解析した。この結果、ゴム状弾性体
樹脂(C)を添加しない場合にはビニル重合体(B)の
等価球換算径は表1に示すように1μm以下でポリエス
テル樹脂(A)中に微細分散していた。またゴム状弾性
体樹脂(C)を添加した場合は,何れもゴム状弾性体樹
脂(C)はビニル重合体(B)でほぼ100%カプセル
化されており、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算径
は表1に示すように1μm以下でポリエステル樹脂
(A)中に微細分散していた。
【0118】
【表1】
【0119】(注)上記の表中、各樹脂の質量%は、ラ
ジカル禁止剤を含まない樹脂の総質量に対する添加質量
部を示す。本ペレットを使用して押出しTダイスで30
μm厚みのフィルムを得た(押出温度:280℃)。本
フィルムを250℃に加熱した0.19mm厚みのティ
ンフリースチールの両面に張り合わせ、水冷により10
秒以内に100℃以下まで急冷した。
【0120】このようにして得られた常温の樹脂被覆金
属基材について、下記に示す評価方法により、保香性、
保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃性の各
項目の評価を行った。なお、保香性および保味性の評価
は同一の試験片を使用して評価し、密着性、常温耐衝撃
性および低温耐衝撃性は、保香性および保味性を評価し
た試験片とは異なる試験片を使用して評価した。 <保香性および保味性>上記の樹脂被覆金属基材(1
2.5cm×8cm角)を蒸留水(300mL)ととも
にガラス製容器に入れ,ガラス栓にて密閉した後,85
℃で7日間加熱した。内容水の香りおよび味の変化を以
下の基準で官能評価した。結果を表2に示す。
【0121】 ◎:香りまたは味の変化はなかった ○:香りまたは味の変化がわずかに認められる △:香りまたは味の変化が認められる ×:不快な香りまたは味が認められた
【0122】
【表2】
【0123】<密着性,常温耐衝撃性および低温耐衝撃
性>上記の樹脂被覆金属基材を、クエン酸1.5質量%
−食塩1.5質量%の水溶液(UCC液)に室温で24
時間浸漬した後、フィルムの剥がれた長さ(mm)(1
0サンプルの平均)で評価した。評価は、◎:0.0m
m、○:0.0〜0.5mm、△:0.5〜2.0m
m、および×:2.0mm超とした。密着試験の結果を
表2に示す。
【0124】更に、本樹脂被覆金属基材の耐衝撃性評価
をデュポン式の落垂衝撃試験で行なった。30cmの高
さから金属基材に0.5kgの鉄球を落とした後、サン
プルの凸状に膨らんだ側(r=8mm)が上面となるよ
うに金属基材を底面にして、凸状部位の周囲に柔らかい
ゴム状の樹脂で壁を形成し、その中に1.0%食塩水を
入れて、サンプルを陽極とし、凸状部位近傍に設置した
白金を陰極として+6Vの電圧をかけた際のERV値
(mA)を測定した。ERV値は以下の指標により評価
した。また、樹脂被覆金属基材を0℃の恒温槽に24時
間入れた後、同様の耐衝撃性評価を行い、低温での耐衝
撃性を評価した。評価は、◎:全サンプルが0.01m
A未満、○:1〜3サンプルが0.01mA以上、△:
3〜6サンプルが0.01mA以上、×:7サンプル以
上が0.01mA以上、の基準で行なった。結果を表3
に示す。
【0125】
【表3】
【0126】(製造例16〜28)上記製造例2に示し
た各樹脂の組成比(ポリエステル樹脂(A):ビニル重
合体(B)=92:8)の樹脂組成物を調製する際に、
ラジカル禁止剤としてテトラキス[メチレン(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメー
ト)]メタンの代わりに、表4に示す各種ラジカル禁止
剤を樹脂組成物(I)100質量部に対して各0.1質
量部添加して、樹脂組成物ペレットを調製した。本樹脂
組成物からミクロトームで超薄切片を切り出した後、ル
テニウム酸で染色し、ポリエステル樹脂(A)中のビニ
ル重合体(B)の分散状態を透過型電子顕微鏡で解析し
た。この結果、ビニル重合体(B)の等価球換算径は製
造例2と同等であり、1μm以下でポリエステル樹脂
(A)中に微細分散していた。
【0127】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃
性の各項目の評価を行った。結果を表4に示す。
【0128】
【表4】
【0129】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 (製造例29)上記製造例5に示した各樹脂の組成比
(ポリエステル樹脂(A):ビニル重合体(B):ゴム
状弾性体(C)=87:3:10)の樹脂ペレットおよ
びラジカル禁止剤のテトラキス[メチレン(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメー
ト)]メタン(樹脂ペレット100質量部に対して0.
01%)を加え、V型ブレンダーを使用してドライブレ
ンドした。この混合物をT型ダイス付2軸押出機で26
0℃で溶融混練し、幅30mm、厚さ25ミクロンのフ
ィルムに製膜した。本フィルムからミクロトームで超薄
切片を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエス
テル樹脂(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透
過型電子顕微鏡で解析した。またゴム状弾性体樹脂
(C)を添加した場合にはポリエステル樹脂(A)中の
ビニル重合体(B)およびゴム状弾性体樹脂(C)の分
散状態を透過型電子顕微鏡で解析した。この結果、ゴム
状弾性体樹脂(C)はビニル重合体(B)でほぼ100
%カプセル化されており、ゴム状弾性体樹脂(C)の等
価球換算径は0.6μmでポリエステル樹脂(A)中に
微細分散していた。本フィルムを使用して製造例5と同
様にして樹脂被覆金属基材を調製し、製造例5と同様の
評価方法により、評価を行った。結果を表5に示す。
【0130】
【表5】
【0131】(製造例30〜42)上記製造例5に示し
た各樹脂の組成比(ポリエステル樹脂(A):ゴム状弾
性体樹脂(C):ビニル重合体(B)=87:10:
3)の樹脂組成物を調製する際に、ラジカル禁止剤とし
てテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンの代わり
に、表6に示す各種ラジカル禁止剤を樹脂組成物(I)
100質量部に対して各0.1質量部添加して、樹脂組
成物ペレットを調製した。本樹脂組成物からミクロトー
ムで超薄切片を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、
ポリエステル樹脂(A)中のビニル重合体(B)、ゴム
状弾性体樹脂(C)の分散状態を透過型電子顕微鏡で解
析した。この結果、何れもゴム状弾性体樹脂(C)はビ
ニル重合体(B)でほぼ100%カプセル化されてお
り、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算径は製造例1
と同等であり、1μm以下でポリエステル樹脂(A)中
に微細分散していた。
【0132】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃
性の各項目の評価を行った。結果を表6に示す。
【0133】
【表6】
【0134】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 (製造例43〜47)上記製造例2に示した各樹脂の組
成比(ポリエステル樹脂(A):ビニル重合体(B)=
92:8)の樹脂組成物を調製する際に、ラジカル禁止
剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを
表7に示す割合で添加して樹脂組成物ペレットを調製し
た。本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片を切り出
した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル樹脂
(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型電子
顕微鏡で解析した。この結果、ビニル重合体(B)の等
価球換算径は0.5μm以上1μm以下でポリエステル
樹脂(A)中に微細分散していた。
【0135】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃
性の各項目の評価を行った。結果を表7に示す。
【0136】
【表7】
【0137】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 (製造例48〜52)上記製造例6に示した各樹脂の組
成比(ポリエステル樹脂(A):ゴム状弾性体樹脂
(C):ビニル重合体(B)=87:10:3)の樹脂
組成物を調製する際に、ラジカル禁止剤としてテトラキ
ス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シハイドロシンナメート)]メタンを表6に示す割合で
添加して樹脂組成物ペレットを調製した。本樹脂組成物
からミクロトームで超薄切片を切り出した後、ルテニウ
ム酸で染色し、ポリエステル樹脂(A)中のビニル重合
体(B)、ゴム状弾性体樹脂(C)の分散状態を透過型
電子顕微鏡で解析した。この結果、何れもゴム状弾性体
樹脂(C)はビニル重合体(B)でほぼ100%カプセ
ル化されており、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算
径は0.3μm以上1μm以下でポリエステル樹脂
(A)中に微細分散していた。
【0138】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃
性の各項目の評価を行った。結果を表8に示す。
【0139】
【表8】
【0140】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 (製造例53)上記製造例2に示した各樹脂の組成比
(ポリエステル樹脂(A):ビニル重合体(B)=9
2:8)の樹脂組成物を調製する際に、ポリエステル樹
脂(A)としてPETを、ビニル重合体(B)としてラ
ジカル禁止剤をあらかじめ添加した1706を使用し
た。すなわち1706の100質量部とテトラキス[メ
チレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイ
ドロシンナメート)]メタンを0.01質量部をV型ブ
レンダーを使用してドライブレンドし、この混合物を2
軸押出機で150℃で溶融混練してラジカル禁止剤を含
有するビニル重合体(B)のペレットを得た。このペレ
ットとポリエステル樹脂(A)のペレットをV型ブレン
ダーを使用してドライブレンドし、この混合物を2軸押
出機で260℃で溶融混練して樹脂組成物ペレットを調
製した。本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片を切
り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル樹脂
(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型電子
顕微鏡で解析した。この結果、ビニル重合体(B)の等
価球換算径は0.7μmでポリエステル樹脂(A)中に
微細分散していた。
【0141】このようにして調製したペレットを使用し
て上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保香
性、保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃性
の各項目の評価を行った。結果を表9に示す。
【0142】
【表9】
【0143】(製造例54)上記製造例5に示した各樹
脂の組成比(ポリエステル樹脂(A):ゴム状弾性体樹
脂(B):ビニル重合体(C)=87:10:3)の樹
脂組成物を調製する際に、ポリエステル樹脂(A)とし
てPETを、ゴム状弾性体樹脂(B)としてEBMを、
ビニル重合体(C)としてラジカル禁止剤をあらかじめ
添加した1706を使用した。すなわち1706の10
0質量部とテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン
を0.01質量部をV型ブレンダーを使用してドライブ
レンドし、この混合物を2軸押出機で150℃で溶融混
練してラジカル禁止剤を含有するビニル重合体(B)の
ペレットを得た。このペレットとポリエステル樹脂
(A)およびゴム状弾性体樹脂(C)のペレットをV型
ブレンダーを使用してドライブレンドし、この混合物を
2軸押出機で260℃で溶融混練して樹脂組成物ペレッ
トを調製した。本樹脂組成物からミクロトームで超薄切
片を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステ
ル樹脂(A)中のビニル重合体(B)、ゴム状弾性体樹
脂(C)の分散状態を透過型電子顕微鏡で解析した。こ
の結果、ゴム状弾性体樹脂(C)はビニル重合体(B)
でほぼ100%カプセル化されており、ゴム状弾性体樹
脂(C)の等価球換算径は0.5μmでポリエステル樹
脂(A)中に微細分散していた。
【0144】このようにして調製したペレットを使用し
て上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保香
性、保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃性
の各項目の評価を行った。結果を表10に示す。
【0145】
【表10】
【0146】(製造例55〜58)表11に示す各樹脂
およびラジカル禁止剤としてテトラキス[メチレン
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシ
ンナメート)]メタンをV型ブレンダーを使用してドラ
イブレンドした。各樹脂の組成は表11に示すとおり
で、ラジカル禁止剤はいずれの場合も樹脂組成物(I)
100質量部に対して0.1質量部添加した。この混合
物を2軸押出機で230℃で溶融混練して樹脂組成物ペ
レットを得た。製造例1〜15と同様にして分散状態を
解析した結果、分散粒子の等価球換算径は表10に示す
ように0.3μm以上1μm以下でポリエステル樹脂
(A)中に微細分散していた。またゴム状弾性体樹脂
(C)を添加した場合にはゴム状弾性体樹脂(C)はビ
ニル重合体(B)で100%カプセル化されていた。
【0147】
【表11】
【0148】(注)各樹脂のwt%は、ラジカル禁止剤
を含まない樹脂3種の総質量に対する値 更に、製造例1〜15と同様にフィルムを作成して0.
19mm厚みのティンフリースチールの両面に張り合わ
せ、保香性、保味性、密着性および耐衝撃性を評価し
た。結果を表12に示す。
【0149】
【表12】
【0150】(製造例59〜61)表13に示す各樹脂
およびラジカル禁止剤としてテトラキス[メチレン
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシ
ンナメート)]メタンをV型ブレンダーを使用してドラ
イブレンドした。各樹脂の配合割合は表13に示すとお
りで、ラジカル禁止剤はいずれの場合も各樹脂組成物
(I)100質量部に対して0.1質量部添加した。こ
の混合物を2軸押出機で240℃で溶融混練して樹脂組
成物ペレットを得た。製造例1〜15と同様にして分散
状態を解析した結果、コア−シェルタイプゴム状弾性体
は表13に示すように等価球換算径1μm以下でポリエ
ステル樹脂(A)中に微細分散していた。
【0151】
【表13】
【0152】(注)各樹脂のwt%は、ラジカル禁止剤
を含まない樹脂2種の総質量に対する値 更に、製造例1〜15と同様にフィルムを作成して(但
し、押出温度は240℃)、0.19mm厚みのティン
フリースチールの両面に張り合わせ、保香性、保味性、
密着性および耐衝撃性を評価した。結果を表14に示
す。
【0153】
【表14】
【0154】(参考製造例1〜8)表14に示す各樹脂
を、ラジカル禁止剤を加えずにV型ブレンダーを使用し
てドライブレンドした。この混合物を2軸押出機で23
0℃で溶融混練して樹脂組成物ペレットを得た。製造例
1〜11と同様にして分散状態を解析した結果、粒子の
等価球換算径は表14に示すように1μm以下でポリエ
ステル樹脂(A)中に微細分散していた。またゴム状弾
性体樹脂(C)はビニル重合体(B)で100%カプセ
ル化されていた。
【0155】
【表15】
【0156】更に、製造例1〜15と同様にフィルムを
作成して0.19mm厚みのティンフリースチールの両
面に張り合わせ、保香性、保味性、密着性および耐衝撃
性を評価した。結果を表16に示す。
【0157】
【表16】
【0158】いずれの場合もラジカル禁止剤を添加した
樹脂組成物を使用した場合と比較して、密着性、常温耐
衝撃性、低温耐衝撃性は変化がないが、保香性、味性の
点で劣ることがわかった。 (参考製造例9)ポリエステル樹脂としてPETを、コ
ア−シェルゴム状弾性体としてMBAを90:10の質
量比で、ラジカル禁止剤を添加せずにドライブレンドし
た。この混合物を2軸押出機で240℃で溶融混練して
樹脂組成物(I)ペレットを得た。製造例1〜15と同
様にして分散状態を解析した結果、コア−シェルタイプ
ゴム状弾性体は等価球換算径0.25μmでポリエステ
ル樹脂中に微細分散していた。更に、製造例1〜15と
同様にフィルムを作成して0.19mm厚みのティンフ
リースチールの両面に張り合わせ、保香性、保味性、密
着性および耐衝撃性を評価した。結果を17に示す。
【0159】
【表17】
【0160】ラジカル禁止剤を添加した樹脂組成物を使
用した場合と比較して、密着性、常温耐撃性、低温耐衝
撃性は変化がないが、保香性、保味性の点で劣ることが
わかった。 (参考製造例10)参考製造例1のポリエステル樹脂
(A):ビニル重合体(B)=92:8の樹脂組成物を
調製する際に、金属不活性化剤として3−(N−サリチ
ロイル)アミノ−1、2、4−トリアゾールを樹脂組成
物(I)100質量部に対して0.1質量部添加して樹
脂組成物ペレットを調製した。製造例1〜15と同様に
して分散状態を解析した結果、ビニル重合体(B)は等
価球換算径0.5μmでポリエステル樹脂中に微細分散
していた。
【0161】このようにして調製したペレットを使用し
て樹脂被覆金属基材を調製し、保香性、保味性、密着
性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃性の各項目の評価を
行った。結果を表18に示す。
【0162】
【表18】
【0163】添加剤として金属不活性化剤を使用した場
合には、保香性および保味性の改善は見られなかった。 (参考製造例11)参考製造例3のポリエステル樹脂
(A):ゴム状弾性体樹脂(C):ビニル重合体(B)
=87:10:3の樹脂組成物を調製する際に、金属不
活性化剤として3−(N−サリチロイル)アミノ−1、
2、4−トリアゾールを樹脂組成物(I)100質量部
に対して0.1質量部添加して樹脂組成物ペレットを調
製した。製造例1〜15と同様にして分散状態を解析し
た結果、ゴム状弾性体樹脂(C)はビニル重合体(B)
で100%カプセル化されており、ゴム状弾性体樹脂
(C)の等価球換算径0.5μmでポリエステル樹脂中
に微細分散していた。
【0164】このようにして調製したペレットを使用し
て樹脂被覆金属基材を調製し、保香性、保味性、密着
性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃性の各項目の評価を
行った。結果を表19に示す。
【0165】
【表19】
【0166】添加剤として金属不活性化剤を使用した場
合には、保香性および保味性の改善は見られなかった。 (参考製造例12、13)上記製造例2に示した各樹脂
の組成比(ポリエステル樹脂(A):ビニル重合体
(B)=82:8)の樹脂組成物を調製する際に、ラジ
カル禁止剤としてテトラキス[メチレン(3、5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]
メタンを下記の各割合添加して樹脂組成物ペレットを調
製した。本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片を切
り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル樹脂
(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型電子
顕微鏡で解析した。ビニル重合体(B)の等価球換算径
は0.3μm以上1μm以下でポリエステル樹脂(A)
中に微細分散していた。
【0167】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃
性の各項目の評価を行った。結果を表20に示す。
【0168】
【表20】
【0169】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 ラジカル禁止剤の添加量が0.001質量部未満である
と、十分に保香性および保味性が改善されないことがわ
かった。また、ラジカル禁止剤の添加量が10質量部に
達すると、密着性および耐衝撃性が低下することがわか
った。 (参考製造例14、15)上記製造例5に示した各樹脂
の組成比(ポリエステル樹脂(A):ゴム状弾性体樹脂
(C):ビニル重合体(B)=87:10:3)の樹脂
組成物を調製する際に、ラジカル禁止剤としてテトラキ
ス[メチレン(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シハイドロシンナメート)]メタンを下記の各割合添加
して樹脂組成物ペレットを調製した。本樹脂組成物から
ミクロトームで超薄切片を切り出した後、ルテニウム酸
で染色し、ポリエステル樹脂(A)中のビニル重合体
(B)、ゴム状弾性体樹脂(C)の分散状態を透過型電
子顕微鏡で解析した。この結果、何れもゴム状弾性体樹
脂(C)はビニル重合体(B)でほぼ100%カプセル
化されており、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算径
は0.3μm以上1μm以下でポリエステル樹脂(A)
中に微細分散していた。
【0170】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃
性の各項目の評価を行った。結果を表21に示す。
【0171】
【表21】
【0172】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 ラジカル禁止剤の添加量が0.001質量部未満である
と、十分に保香性および保味性が改善されないことがわ
かった。また、ラジカル禁止剤の添加量が10質量部に
達すると、密着性および耐衝撃性が低下することがわか
った。 (参考製造例16)特公平2−9935号公報の製造例
に基づき、PBTとPETの2層からなる2軸延伸フィ
ルム(PBT層:10μm、PET層:20μm、PE
T層のフィルム厚さ方向の屈折率:1.526)を製造
例1〜15と同一条件でティンフリースチール上に熱圧
着し(PBT層がティンフリースチールと接着するよう
に被覆)、密着性および耐衝撃性を製造例1〜15と同
様に評価した。 (参考製造例17)特開平2−57339号公報の製造
例に基づき、2軸延伸ポリエステルフィルム(テレフタ
ル酸/イソフタル酸/エチレングリコール残基(78/
22/100)から構成され、比重1.3387、30
μm厚み、面配向係数0.120のフィルム)を製造例
1〜15と同一条件でティンフリースチール上に熱圧着
し、密着性および耐衝撃性を製造例1〜15と同様に評
価した。 (参考製造例18)特開昭64−22530号公報の製
造例1に基づき、108μm未延伸PETフィルムを9
5℃で縦方向に2.7倍、105℃で横方向に2.6倍
に延伸した後熱処理し、約20μmの延伸フィルムを得
た。本フィルムを製造例1〜15と同一条件でティンフ
リースチール上に熱圧着し、密着性および耐衝撃性を製
造例1〜15と同様に評価した。
【0173】
【表22】
【0174】これらの従来の方法による樹脂では、十分
な密着性および耐衝撃性が得られなかった。 (製造例62〜67、参考製造例19〜21)製造例
2、5、11、57〜59、参考製造例16〜18で得
られた樹脂被覆金属基材を、150mm径の円盤状に切
り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加
工し、55mm径の側面無継目容器(以下缶と略す)を
各々10缶作成した。
【0175】これらの缶について、以下の観察および試
験を行い、各々下記の基準で評価した結果を表23に示
す。 (1)深絞り加工性(フィルム表層の評価) ○;全10缶について、フィルムに異常なく加工され、
缶内外面のフィルムに白化や破断が認められない。
【0176】△;1〜5缶について、缶上部にフィルム
の白化が認められる。 ×;6缶以上について、フィルムの一部にフィルム破断
が認められる。 (2)深絞り加工性(缶内側フィルムの評価) ○;全10缶が内外面とも異常なく加工され、缶内側フ
ィルム面の防錆試験(1.0%食塩水を入れ、缶を陽極
とし、白金を陰極として+6Vの電圧をかけたときに流
れる電流値(ERV値)(mA))において、0.1m
A以下を示す。
【0177】×;3缶以上が缶内側フィルム面の防錆試
験で0.1mA超を示す。 (3)耐衝撃性 深絞り加工が良好な缶について、水を満注し、各サンプ
ルにつき10缶づつ高さ10cmから塩ビタイル床面に
落とした後、缶内のERV試験を行った。 ○;全10缶が0.1mA以下であった。
【0178】 △;1〜5缶が0.1mA超であった。 ×;6缶以上が0.1mA超であった。 (4)耐熱脆化性 深絞り加工が良好な缶を200℃×5分間、加熱保持し
た後、上記の方法で耐衝撃性を測定し、耐熱脆化性を評
価した。
【0179】
【表23】
【0180】以上の結果より、本発明のラジカル禁止剤
を添加した樹脂組成物は、金属との密着性および耐衝撃
性に優れ、特に低温での耐衝撃性に優れており、さらに
従来技術に比較して保香性、保味性が優れていることが
分かる。また、本発明の樹脂被覆金属基材は被膜の加工
追従性に優れ、本発明の樹脂被覆金属容器も耐衝撃性や
耐熱脆化性に優れていることが分かる。 (参考例1:TOCと保香性の相関)92:8の組成比
で、ポリエステル樹脂(A)およびビニル重合体(B)
ペレットをV型ブレンダーを使用してドライブレンドし
た。この混合物を2軸押出機で260℃で溶融混練して
樹脂組成物ペレットを得た。本ペレットを使用して、製
造例1〜15と同様のに樹脂被覆金属基材を調製した。
この樹脂被覆金属基材(12.5cm×8cm角)を蒸
留水(300mL)とともにガラス製容器に入れ、ガラ
ス栓にて密閉した後、85℃で所定時間後に、内容水の
TOC値(ppm)および香りおよび味の変化を製造例
1〜15と同様の基準で評価した。結果を表24に示
す。
【0181】
【表24】
【0182】(TOC値は島津製作所製全有機体炭素計
TOC−500を使用して測定した)以上の結果によ
り、内容水の臭気は水中に含まれる有機物質の量と相関
が有ることがわかった。 (参考例2:樹脂の種類とTOC値)製造例5に記載の
樹脂原料を使用してラジカル禁止剤を含有しない樹脂組
成物(I)のペレットを調製した。さらに製造例5に記
載の樹脂原料のうち2種を使用してラジカル禁止剤を含
有しない樹脂混合物のペレットを調製した。これらペレ
ットおよび原料樹脂ペレットのTOC値を参考例1に示
す方法で、7日後に測定した。結果を表25に示す。
【0183】
【表25】
【0184】260℃で溶融混練する条件では、原料の
樹脂3種、PETとEBMの混合樹脂、およびEBMと
1706の混合樹脂ではTOC値が低く、PET+EB
M+1706およびPET+1706の混合樹脂ではT
OC値が高いことから、TOCは単なる熱分解により生
じているのではないことが明らかになった。 (参考例3:PET樹脂中の金属元素分析)市販のPE
T樹脂の元素分析を行い、以下の金属元素が含有されて
いることを確認した(表中の単位はmg/Kg)
【0185】
【表26】
【0186】(参考例4:PET樹脂中の金属元素量と
TOC値)表26記載のPET樹脂Cおよび、PET樹
脂Cに酸化ゲルマニウム200ppmを添加したPET
樹脂Dをそれぞれ使用して製造例5に記載の方法で、ラ
ジカル禁止剤を添加せずに樹脂ペレットを調製した。こ
のペレットのTOC値を参考例1の方法で7日後に測定
したその結果PET樹脂Cを使用して調製した樹脂ペレ
ットからは5ppm、PET樹脂Dを使用して調製した
樹脂ペレットからは16ppmのTOCが観測され、酸
化ゲルマニウムが樹脂の分解を促進することが確認され
た。実施例1 (トップコート塗料)p−クレゾールとホルマリンとを
アンモニアの存在下で反応して得られたレゾール型フェ
ノール樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキ
シ当量1900)とポリエステル樹脂(数平均分子量1
700、水酸基価7;以下同じ)を、ケトン系、エステ
ル系、アルコール系混合溶媒中に質量固型分比が30:
50:20になる様に混合し、80℃で2時間予備縮合
させ、内面塗料を調製した。 (塗装ラミネート板の製造)市販のTFS板(板厚0.
18mm、硬度DR−8、金属クロム層100mg/m
2 、オキサイドクロム量20mg/m2 )を250℃に
加熱し、製造例45で得たポリエステル系樹脂組成物フ
ィルム(厚さ16μm)を、TFS材の缶内面側に対応
する面と、缶外面側に対応する面に16μm厚さの該ポ
リエステル系樹脂組成物フィルムを配するように供給し
て熱圧着し、ラミネート後水冷した。
【0187】次いで、得られたラミネート板缶内面側に
するフィルム面に、前記で製造した内面系塗料を乾燥塗
膜厚0.5μmになる様にロールコーターで塗装し、2
05℃で10分間焼き付けた。 (缶の製法−1)前記塗装ラミネート板のフィルムラミ
ネート面が缶の内面側となる様に二段絞り成形法で缶体
を作成した。
【0188】この工程を説明すると先ず、1段目絞り工
程で直径約126mmの円板を円板側カットエッジのカ
エリ発生方向がラミネート面側になるように打ち抜き、
次いで絞り比が約1.5のフランジ付きカップを成形し
た。さらに、2段目絞り工程で絞り比約1、3のフラン
ジ付きカップを成形した。この絞りカップを常法に従い
開口端縁部のトリミング、フランジング加工を行なって
径66mm、高さ37mmの深絞り缶を作成した。
【0189】上記(製法−1)で得られた缶体につい
て、以下の試験を実施した。 (1)深絞り缶成形後の缶内面金属露出 1%食塩水を缶に満たし、6Vの電位を与え、4秒後に
流れている電流値で缶内面金属露出程度を評価した。 (缶の製法−2)製造例2、5、11、57〜59、参
考製造例16〜18で得られた樹脂被覆金属基材を、1
66mm径の円盤状に切り取り、絞りダイスとポンチを
用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目
容器(以下缶と略す)を各々10缶作成した。
【0190】上記(製法−2)で得られた缶について、
以下の観察および試験を行い、各々下記の基準で評価し
た結果を表27に示す。 (2)深絞り加工性(缶内側フィルムの評価) ○;全10缶が内外面とも異常なく加工され、缶内側フ
ィルム面の防錆試験(1.0%食塩水を入れ、缶を陽極
とし、白金を陰極として+6Vの電圧をかけたときに流
れる電流値(ERV値)(mA))において、0.1m
A以下を示す。
【0191】×;3缶以上が缶内側フィルム面の防錆試
験で0.1mA超を示す。 (2)レトルト試験 1.5%食塩水を常温で80mlを缶に充填し、蓋を二
重巻締め後、115℃で70分レトルト処理した。1晩
放置後開缶し、巻締め部近傍の缶胴塗膜の剥離状態を目
視評価した。
【0192】(3)実缶試験 鮭鱒水煮を、製缶法−1で製缶した缶に充填し、常法に
従い巻締め、殺菌処理した。直後、および50℃で1ケ
月経時後の缶内面状態を目視評価した。実施例1−1 製造例45で得たポリエステル系樹脂組成物フィルム
(厚さ10μm)と、6μmのPET−iA(5モル
%)層を、Tダイ2層押し出し製膜によって積層させて
2層構成のフィルムを作製した。
【0193】実施例1で用いたポリエステル系樹脂組成
物フィルム(厚さ16μm)に代えて、上記で得た2層
構成のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして
樹脂被覆金属基材および缶体を製造した。実施例1−2 (塗装ラミネート板の製造) (接着用プライマー塗料)ビスフェノールA75質量
%、p−クレゾール25質量%からなる混合フェノール
と、ホルムアルデヒドとを塩基触媒の存在下で反応さ
せ、精製させ、レゾール型フェノールホルムアルデヒド
樹脂の溶液を製造した。
【0194】ビスフェノールA型エポキシ樹脂(シェル
社製、エピコート1009、平均分子量3750、エポ
キシ当量2650)溶液と上記レゾール型フェノールホ
ルムアルデヒド樹脂溶液とを、固型質量比が70:30
の量比で混合し、予備縮合させて、接着プライマー塗料
を製造した。製造例45で得たポリエステル系樹脂組成
物フィルム(厚さ16μm)に、前記接着プライマー塗
料を固型分として10mg/dm2 の塗工量となるよう
に塗布し、120℃で乾燥させた。
【0195】実施例1で用いたポリエステル系樹脂組成
物フィルムに代えて、上記で得た接着プライマー層を有
するポリエステル系樹脂組成物フィルムを用いた以外
は、実施例1と同様にして樹脂被覆金属基材および缶体
を製造した。実施例2 実施例1のトップコート塗料の乾燥塗膜厚を5μmとな
るように塗布した以外は実施例1と同様にして、樹脂被
覆金属基材および缶体を製造した。
【0196】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例3 実施例1の内面塗料の質量固形分比を30:30:40
になる様に調合した塗料を乾燥塗膜厚4μmになるよう
に塗布した以外は実施例1と同様にして、樹脂被覆金属
基材および缶体を製造した。
【0197】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例4 実施例1の内面塗料をエポキシ樹脂(エポキシ当量19
00)とユリアホルムアルデヒド樹脂とポリエステルを
ケトン系、エステル系、アルコール系混合溶媒中に質量
固形分比30:20:50になるように調合し、これに
二酸化チタン粉末を40PHR混合した塗料を乾燥塗膜
厚8μmになるよう塗布した以外は実施例1と同様にし
て、樹脂被覆金属基材および缶体を製造した。
【0198】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例5 実施例4の内面塗料の乾燥塗膜厚を13μmとなるよう
に塗布した以外は実施例4と同様にして、樹脂被覆金属
基材および缶体を製造した。
【0199】このようにして得られた缶体について、実
施例4と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例6 実施例4の内面塗料をポリエステルとユリア−ベンゾグ
アナミン−ホルムアルデヒド共重合樹脂をケトン系、エ
スチル系、アルコール系混合溶媒中に質量固形力比7
0:30になるように調合した以外は実施例4と同様に
して、樹脂被覆金属基材および缶体を製造した。
【0200】このようにして得られた缶体について、実
施例4と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例7 実施例1のラミネート板の製造においてコロナ放電処理
を行ったポリエステル系樹脂組成物フィルムを用いた以
外は実施例1と同様にして、樹脂被覆金属基材および缶
体を製造した。
【0201】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例8 フィルムの膜厚を25μmとした以外は実施例2と同様
にして、樹脂被覆金属基材および缶体を製造した。
【0202】このようにして得られた缶体について、実
施例2と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例9 実施例2の表面処理鋼板をクロメート処理ニッケルめつ
き鋼板(板厚0.18mm、硬度DR−8、ニッケル量
500mg/m2 、クロム量20mg/m2 )を使用し
た以外は実施例2と同様にして、樹脂被覆金属基材およ
び缶体を製造した。
【0203】このようにして得られた缶体について、実
施例2と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例10 実施例2の表面処理鋼板をクロメート処理鉄・錫合金め
っき鋼板(板厚0.18mm、硬度DR−8、錫量50
0mg/m2 、クロム量20mg/m2 )を使用した以
外は実施例2と同様にして、樹脂被覆金属基材および缶
体を製造した。
【0204】このようにして得られた缶体について、実
施例2と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。実施例11 実施例2の表面処理鋼板をクロメート処理鉄・錫・ニッ
ケル合金めっき鋼板(板厚0.18mm、硬度DR−
8、錫量30mg/m2 、クロム量20mg/m 2 )を
使用した以外は実施例2と同様にして、樹脂被覆金属基
材および缶体を製造した。
【0205】このようにして得られた缶体について、実
施例2と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。参考例1 実施例1の内面塗料を使用しなかった以外は実施例1と
同様にして、樹脂被覆金属基材および缶体を製造した。
【0206】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。参考例2 実施例1の内面塗料の乾燥塗膜厚を0.3μmとなるよ
うに塗布した以外は実施例1と同様にして、樹脂被覆金
属基材および缶体を製造した。
【0207】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。参考例3 実施例1の内面塗料の乾燥塗膜厚を7μmとなるように
塗布した以外は実施例1と同様にして、樹脂被覆金属基
材および缶体を製造した。
【0208】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。参考例4 実施例6の内面塗料の乾燥塗膜厚を17μmとなるよう
に塗布した以外は実施例6と同様にして、樹脂被覆金属
基材および缶体を製造した。
【0209】このようにして得られた缶体について、実
施例6と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。参考例5 実施例1で用いたポリエステル系樹脂組成物フィルム
(厚さ16μm)に代えて、市販の2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)フィルムを用いた以外は実
施例(1−1)(プライマー層あり)と同様にして、樹
脂被覆金属基材および缶体を製造した。
【0210】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。参考例6 実施例1で用いたポリエステル系樹脂組成物フィルム
(厚さ16μm)に代えて、市販の無延伸テレフタレー
ト(無配向PET)フィルムを用いた以外は実施例(1
−1)(プライマー層あり)と同様にして、樹脂被覆金
属基材および缶体を製造した。
【0211】このようにして得られた缶体について、実
施例1と同様に試験を行なった。得られた結果を表27
に示す。
【0212】
【表27】
【0213】 *1: 20缶開缶中の硫化黒変または内容物発生缶
数。実施例(2−1)〜(2−8) 下記表28に示す[A]飽和ポリエステル樹脂と、表2
8に示すような組成を有する[B]製造例43、47で
製造したポリエステル系樹脂組成物とからなる樹脂組成
物とを、両面ティンフリー鋼板(以下、「TFS」と略
す)(板厚み0.18mm、硬度T−4相当)の片面上
に、2種2層押出Tダイを用いて、表28に示す膜厚比
で作製した30μm厚のフィルムを、[B]層が鋼板と
接するようにして250℃に加熱したTFSの両面に圧
着ロールで貼り合わせ、10秒以内に100℃まで急冷
させて被覆した。
【0214】表28に、[A]飽和ポリエステル樹脂の
固有粘度[dl/g]を示す。このようにして得られた
常温の樹脂被覆鋼板を、樹脂被覆面が缶内面となるよう
にして下記の成形条件にて絞りしごき加工を行って絞り
しごき缶を製造した。 <成形条件>上記で得られた樹脂被覆金属基材を、15
0mm径の円盤状に切り取り、絞りダイスとポンチを用
いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容
器(以下缶と略す)を各々10缶作成した。
【0215】(i)缶内面被覆樹脂の密着性評価 絞りしごき加工後、缶の内面を洗浄し、オーブンにて2
10℃で10分空焼き後の缶の先端部の樹脂のはがれの
程度を観察し、評価した。評価基準を表29に示す。 (iii )樹脂被膜の耐衝撃性の評価 缶外面の塗装、焼き付け後の絞りしごき缶に1.0%の
食塩水を充填し、130℃で30分レトルト処理した。
処理後、室温まで冷却後、5℃の環境下で30cmの高
さから45度の角度の鉄板に底部より落下した。落下
後、缶内部の食塩水を捨てて、衝撃部付近に少しのこし
た食塩水を陰極とし、缶の外壁を陽極として6Vの電流
を流した。このときに流れる電流値(mA)を測定し
た。評価基準を表29に示す。
【0216】(iv)缶内面被覆樹脂のピンホール評価
または硫酸銅試験ピンホール評価絞りしごき加工後、オ
ーブンにて210℃で10分空焼き後の缶に1.0%の
食塩水を充填し、食塩水を陰極に、缶の外壁を陽極とし
て6Vの電流を流した。このときに流れる電流値(m
A)を測定した。評価基準を表2に示す。(V)フレー
バー吸着特性の評価上記のようにして得られた缶の内面
を洗浄し、210℃のオーブンを用いて約2分間で乾燥
した。さらに缶外面を塗装、焼き付けを行った。こうし
て得られた缶に20ppmのリモネンを含有する5%エ
タノール溶液を充填し、20℃、10日間放置した。リ
モネンのフィルムへの吸着量を、下記のような比較例
(2−1)で得られる缶(内面にホモPETを用いたと
き)を100として比較した。樹脂溶出性試験 絞りしごき加工後、オーブンにて210℃で10分間空
焼き後の缶に、蒸留水を充填し、130℃で30分レト
ルト処理した後、更に85℃で7日間熱処理した。
【0217】処理後、内容水のTOC値(ppm)を、
全有機炭素計(島津製作所( 株) 製造、全有機炭素計T
OC−500)を使用して試験した。下記のような比較
例(2−1)で得られる缶(内面にホモPETを用いた
とき)を100として比較した。参考例2−1 表28に示すような飽和ポリエステル樹脂からなる被膜
(単層)を30μmの厚みで形成した以外は、実施例2
−1と同様にして、樹脂被覆金属基材を得た。
【0218】この樹脂被覆金属基材を実施例2−1と同
様にして製缶した。得られた缶について、実施例2−1
と同様にして試験評価した。結果を表30に示す。表2
8に、この飽和ポリエステル樹脂の固有粘度[dl/
g]を、表29に評価基準を示す。
【0219】
【表28】
【0220】
【表29】
【0221】
【表30】
【0222】参考例(2−2)〜(2−8) 下記の表31に示すような飽和ポリエステル樹脂からな
る被膜(単層)を30μmの厚みで形成した以外は、実
施例2−1と同様にして、樹脂被覆金属基材を得た。こ
の樹脂被覆金属基材を実施例2−1と同様にして製缶し
た。得られた缶について、実施例2−1と同様にして試
験評価した。結果を表30に示す。
【0223】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、金属基
材と、その上に配置された特定の組成を有するポリエス
テル系樹脂組成物層と、該ポリエステル系樹脂組成物層
に配置されたトップコート層とを少なくとも含む樹脂被
覆金属基材、およびこれを少なくとも一部に含む容器が
提供される。
【0224】このような構成を有する本発明の樹脂被覆
金属基材においては、金属基材を被覆する樹脂層ないし
フィルムにおけるピンホールおよび/又はクラックの発
生が効果的に防止され、優れた耐食性および内容物の品
質保持性(例えば、香味保持性)を実現可能である。特
に、上記樹脂被覆金属基材からなるラミネート材を用い
た絞り缶ないし深絞り缶において、フィルム表面に熱硬
化性樹脂のトップコート層を設けておくことにより、フ
ィルムの絞り加工に際して生じ易いクラックやピンホー
ルの発生が防止され、金属露出のない耐腐食性に特に優
れた缶体が提供できる。また、例えば、このトップコー
ト層を、ゴールド又はホワイトの色相のものとすること
により、外観特性特性および商品価値に優れた缶体とす
ることもできる。
【0225】本発明の樹脂被覆金属基材は、樹脂と金属
基材との密着性(特に絞りしごき成形性、成形加工時の
樹脂の追随性)に優れており、フィッシュアイが少なく
外観に優れた絞りしごき缶を形成しうる。この絞りしご
き缶は、打缶、缶詰工程および運搬時の衝撃に耐え得る
優れた耐衝撃性を有しており、製缶後、乾燥、印刷、焼
き付けなどの工程において加熱されても、優れた耐衝撃
性を保持している。更に、このような絞りしごき缶は、
ピンホールがなく、内容物の長期保存性に優れるととも
に内容物の香り、フレーバー性(保香性)などの保存性
にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂被覆金属基材の基本的な一態様を
示す模式断面図である。
【図2】本発明の樹脂被覆金属基材の他の態様を示す模
式断面図である。
【図3】本発明の樹脂被覆金属基材の更に他の態様を示
す模式断面図である。
【図4】本発明の樹脂被覆金属基材の更に他の態様を示
す模式断面図である。
【図5】本発明の樹脂被覆金属基材の更に他の態様を示
す模式断面図である。
【図6】本発明の樹脂被覆金属基材を製造するための製
法の一態様を示す模式断面図である。
【図7】本発明の樹脂被覆金属基材を製造するための製
法の他の態様を示す模式断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 21/00 C08L 51/04 51/04 51/06 51/06 67/00 67/00 101/02 101/02 C09D 161/06 C09D 161/06 161/20 161/20 163/00 163/00 167/00 167/00 B65D 1/00 B (72)発明者 上代 洋 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 大石 浩 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 3E033 AA06 BA07 BA17 BA30 BB08 CA14 CA20 4F100 AA21D AA22A AB01A AK01D AK21B AK33A AK33D AK35D AK41B AK41C AK41D AK53A AK53D AL05B AL05D AL09B AN00B BA10A BA10D CA13D CA30B CC00D DA01 DE04B EJ64A EJ65A EJ69A GB16 JA07D JA11C JA12C JB02 JB13D JJ03 JK06 JK10 JK14 JL01 JL10D YY00B YY00D 4J002 AC03Y AC06Y AC07Y AC08Y BB03Y BB04X BB05Y BB06X BB07X BB08X BB09X BB10X BB12Y BB14X BB15Y BB17X BB17Y BB23X BC04X BC06X BC07X BC12X BD05X BE02X BF01X BF02X BG01X BG04X BG05X BG06X BG07X BG10X BG13X BH01X BH02X BN12Y BN14Y BN15Y BP01Y CD19X CF01W CF03W CF04W CF05W CF06W CF07W CF08W CF09W CF10W CF10Y CF12W CF14W CF17Y CF18W CL00Y CP03Y EJ066 EN066 EU186 EV066 EW066 FD010 FD036 FD090 GF00 GG01 4J038 DA061 DA062 DA121 DA131 DA132 DA141 DA142 DA161 DA162 DA171 DA172 DB061 DB062 DB351 DD121 DD122 GA03 HA166 KA08 MA14 PA07 PB03 PB04 PC02 PC08

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材と、その少なくとも一の面上に
    配置されたポリエステル系樹脂組成物層と、該樹脂組成
    物層上に配置されたトップコート層とを少なくとも含
    み;且つ、 該ポリエステル系樹脂組成物層が、ポリエステル樹脂
    (A)と、極性基を有するユニットを1質量%以上含有
    するビニル重合体(B)とを含む樹脂組成物(I)であ
    って、更にラジカル禁止剤を含有する組成物からなるこ
    とを特徴とする樹脂被覆金属基材。
  2. 【請求項2】 金属基材と、その少なくとも一の面上に
    配置されたポリエステル系樹脂組成物層と、該樹脂組成
    物層上に配置された結晶性および/又は非晶性の飽和ポ
    リエステル樹脂層と、該飽和ポリエステル樹脂層上に配
    置されたトップコート層とを少なくとも含み;且つ、 該ポリエステル系樹脂組成物層が、ポリエステル樹脂
    (A)と、極性基を有するユニットを1質量%以上含有
    するビニル重合体(B)とを含む樹脂組成物(I)であ
    って、更にラジカル禁止剤を含有する組成物からなるこ
    とを特徴とする樹脂被覆金属基材。
  3. 【請求項3】 前記ポリエステル系樹脂組成物層が、樹
    脂組成物(I)に、さらにゴム状弾性体樹脂(C)を含
    有する組成物からなる請求項1または2に記載の樹脂被
    覆金属基材。
  4. 【請求項4】 前記ゴム状弾性体樹脂(C)がポリエス
    テル樹脂(A)が微細分散する構造を有し、かつ少なく
    ともゴム状弾性体樹脂(C)の一部がビニル重合体
    (B)でカプセル化された構造を有する請求項3に記載
    の樹脂被覆金属基材。
  5. 【請求項5】 前記ポリエステル系樹脂組成物層が、樹
    脂組成物(I)の100質量部に対して、ラジカル禁止
    剤を0.001〜7質量部含有する組成物からなる請求
    項1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  6. 【請求項6】 前記金属基材が、表面処理鋼板である請
    求項1〜5のいずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  7. 【請求項7】 前記金属基材と樹脂組成物層との間に配
    置された、接着用プライマー層を更に含む請求項1〜6
    のいずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  8. 【請求項8】 前記トップコート層が、 (A)数平均分子量(Mn)が1000〜2000で水
    酸基価が3〜8の水酸基含有ポリエステル樹脂と、 (B)エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアミノ樹脂
    からなる群から選ばれた少なくとも1種の熱硬化性樹脂
    と、を80:20〜40:60の質量比で組み合わせて
    なる請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂被覆金属基
    材。
  9. 【請求項9】 前記トップコート層がゴールドの色相を
    有する請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂被覆金属基
    材。
  10. 【請求項10】 前記トップコート層がフェノール樹脂
    を含有する熱硬化性樹脂層である請求項1〜9のいずれ
    かに記載の樹脂被覆金属基材。
  11. 【請求項11】 前記トップコート層がフェノールエポ
    キシ・ポリエステル塗料からなる請求項1〜10のいず
    れかに記載の樹脂被覆金属基材。
  12. 【請求項12】 前記トップコート層が0.5〜6μm
    の厚みを有する請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂
    被覆金属基材。
  13. 【請求項13】 前記トップコート層がホワイトの色相
    を有する請求項1〜8、または10〜12のいずれかに
    記載の樹脂被覆金属基材。
  14. 【請求項14】 前記トップコート層が二酸化チタンを
    含む熱硬化性樹脂塗膜からなる請求項13に記載の樹脂
    被覆金属基材。
  15. 【請求項15】 前記熱硬化性樹脂がアミノ・エポキシ
    ・ポリエステル塗料又はアミノ・ポリエステル塗料から
    なる請求項12に記載の樹脂被覆金属基材。
  16. 【請求項16】 前記トップコート層が5〜15μmの
    厚みを有する請求項15に記載の樹脂被覆金属基材。
  17. 【請求項17】 前記接着用プライマーがエポキシ−フ
    ェノール系プライマーである請求項1〜16のいずれか
    に記載の樹脂被覆金属基材。
  18. 【請求項18】 前記表面処理鋼板の少なくとも一方の
    面がクロメート層を有する表面処理鋼板である請求項6
    に記載の樹脂被覆金属基材。
  19. 【請求項19】 前記表面処理鋼板の少なくとも一方の
    面が電解クロム酸処理されている表面処理鋼板である請
    求項6または18に記載の樹脂被覆金属基材。
  20. 【請求項20】 容器形成用である請求項1〜19のい
    ずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  21. 【請求項21】 容器形成用であって、且つ前記金属基
    材の一の面上に配置された金属基材と、その少なくとも
    一の面上に配置された樹脂組成物層と、該樹脂組成物層
    上に配置されたトップコート層とが缶の内側用である請
    求項1〜20に記載の樹脂被覆金属基材。
  22. 【請求項22】 請求項1〜19のいずれかに記載の樹
    脂被覆金属基材を少なくとも一部に含む容器。
  23. 【請求項23】 缶体の形状を有する請求項22に記載
    の容器。
  24. 【請求項24】 絞り成形、深絞り成形、ドローアイア
    ニング成形、ドローリドロー成形、ストレッチドロー成
    形、ストレッチドローアイアニング成形から選ばれた成
    形法により成形されてなる缶体の形状を有する請求項2
    3に記載の容器。
JP2000020902A 2000-01-28 2000-01-28 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器 Pending JP2001205737A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000020902A JP2001205737A (ja) 2000-01-28 2000-01-28 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000020902A JP2001205737A (ja) 2000-01-28 2000-01-28 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001205737A true JP2001205737A (ja) 2001-07-31

Family

ID=18547388

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000020902A Pending JP2001205737A (ja) 2000-01-28 2000-01-28 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001205737A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007260915A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Jfe Steel Kk 樹脂被覆金属板
JP2014162848A (ja) * 2013-02-25 2014-09-08 Denso Corp 炭素繊維強化樹脂成形品及び複合構造体
JP5649763B1 (ja) * 2013-08-01 2015-01-07 関西ペイント株式会社 水性塗料組成物
WO2015015827A1 (ja) * 2013-08-01 2015-02-05 関西ペイント株式会社 水性塗料組成物
JP2017082098A (ja) * 2015-10-28 2017-05-18 旭化成株式会社 複合部品、ポリオキシメチレン製樹脂部品、及び樹脂組成物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007260915A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Jfe Steel Kk 樹脂被覆金属板
JP2014162848A (ja) * 2013-02-25 2014-09-08 Denso Corp 炭素繊維強化樹脂成形品及び複合構造体
JP5649763B1 (ja) * 2013-08-01 2015-01-07 関西ペイント株式会社 水性塗料組成物
WO2015015827A1 (ja) * 2013-08-01 2015-02-05 関西ペイント株式会社 水性塗料組成物
JP2017082098A (ja) * 2015-10-28 2017-05-18 旭化成株式会社 複合部品、ポリオキシメチレン製樹脂部品、及び樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6783825B1 (en) Resin-metal laminates
CZ370498A3 (cs) Polyesterová kompozice a její použití pro povlékání vytlačováním
JP4460426B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂シート並びに積層材料
JP3645771B2 (ja) 樹脂組成物、これを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板並びに樹脂被覆金属容器
JP2001205737A (ja) 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器
JP4422296B2 (ja) 樹脂組成物、これを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板並びに樹脂被覆金属容器
JP2001205771A (ja) 樹脂被覆金属板及び樹脂被覆金属容器の製造方法
JP5146171B2 (ja) 有機樹脂ラミネート鋼板
JP2001205736A (ja) 樹脂被覆金属板および樹脂被覆金属容器
JP2001205738A (ja) 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器
JP2003291261A (ja) エンボス化粧金属板、その製法及び単層エンボス化粧金属板積層用樹脂フィルム
JP5200480B2 (ja) 金属板被覆用樹脂組成物、樹脂フィルム、樹脂被覆金属板、及び樹脂被覆金属容器
JP3766675B2 (ja) 樹脂組成物、これを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板並びに樹脂被覆金属容器
EP1939100B1 (en) Easy open lid
JP3300528B2 (ja) 樹脂被覆金属板、およびこれからなる絞りしごき缶または絞り缶
JP2007297419A (ja) 金属板被覆用樹脂フィルム,金属板被覆用多層樹脂フィルム,樹脂被覆金属板および樹脂被覆金属容器
US7514154B2 (en) Resin-coated steel plate and press molded can using the same
JPH07195618A (ja) 絞りしごき缶用樹脂被覆金属板およびこれからなる絞りしごき缶
JP3300527B2 (ja) 樹脂被覆金属板、およびこれからなる絞りしごき缶または絞り缶
JPH0710696B2 (ja) 鋼板ラミネ−ト材を用いた缶体
JP2010023418A (ja) 有機樹脂ラミネート鋼板
JP3921065B2 (ja) 金属被覆用樹脂組成物、樹脂フィルム、容器用金属板および金属容器
JP4754106B2 (ja) 樹脂被覆金属容器
JP4585146B2 (ja) 樹脂組成物、およびこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板
JP2005320370A (ja) 樹脂組成物、樹脂シート並びに積層材料

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050526

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060404