JP2001205738A - 樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器 - Google Patents

樹脂被覆金属基材およびそれを含む容器

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JP2001205738A
JP2001205738A JP2000020905A JP2000020905A JP2001205738A JP 2001205738 A JP2001205738 A JP 2001205738A JP 2000020905 A JP2000020905 A JP 2000020905A JP 2000020905 A JP2000020905 A JP 2000020905A JP 2001205738 A JP2001205738 A JP 2001205738A
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JP2000020905A
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Nobuo Kadowaki
伸生 門脇
Akihiro Murata
明博 村田
Hiroshi Jodai
洋 上代
Hiroshi Oishi
浩 大石
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属基材を被覆する樹脂層ないしフィルムに
おけるピンホールおよび/又はクラックの発生が効果的
に防止され、優れた耐食性および内容物の品質保持性
(例えば、香味保持性)を実現可能な樹脂被覆金属基
材、およびこれを少なくとも一部に含む容器を提供す
る。 【解決手段】 金属基材と、その少なくとも一の面上に
配置されたプライマー樹脂層と、該プライマー樹脂層上
に配置されたポリエステル系樹脂組成物層とを少なくと
も含む樹脂被覆金属基材。該組成物層は、ポリエステル
樹脂(A)と、及び極性基を有するユニットを1質量%
以上含有するビニル重合体(B)とを含む樹脂組成物
(I)であって、更にラジカル禁止剤を含有する組成物
からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、耐薬品
性、成形性、耐熱性、ガスバリヤ性及び金属との密着性
が良好で、樹脂の耐分解性が高く、樹脂からの有機物の
溶出物が少なく、フレーバー性に特に優れる樹脂組成物
からなる層を少なくとも1層を、プライマー層を介し
て、金属基材の片面又は両面に単一層状に、又は必要に
応じて他の層とともに多層状に配置してなる樹脂被覆金
属基材に関する。本発明の樹脂被覆金属基材は、その種
々の特性を活かして、缶体(特に、容器用の缶体)形成
用に特に好適に使用可能である。
【0002】本発明は更に、鋼板ラミネート材を用いた
容器(例えば缶体)に関し、特に、加工時における金属
露出が防止され、優れた耐食性と外観特性とを有する缶
体用フィルムラミネート鋼板およびそれを種々に成形
(絞り、深絞り、ドローアイアニング成形、ドローリド
ロー成形、ストレッチドロー成形、ストレッチドローア
イアニング成形等)してなる缶体に関する。
【0003】
【従来の技術】本発明の樹脂被覆金属基材ないし缶体の
用途および成形法は特に制限されないが、説明の便宜
上、近年広く使用されている絞りないし深絞り成形によ
る側面無継目缶(シームレス缶)を例にとって従来の技
術を説明する。従来より、アルミニウム板または表面処
理鋼板等の金属素材を、絞りダイスとポンチとの間で一
段または多段の絞り加工に供し、側面に継目のない胴部
と該胴部に継目なしに一体に接続された底部とからなる
側面無継目缶を製造することは広く行われている。
【0004】このシームレス缶、即ち絞りないし深絞り
缶を樹脂フィルムラミネート表面処理鋼板から製造する
ことも既に知られており、例えば特公昭59−3458
0号公報には、全グリコール成分の少なくとも45モル
%がテトラメチレングリコールからなり、且つ二塩基酸
成分の少なくとも66モル%が・テレフタル酸からなる
熱可塑性ポリエステルをシート状の金属基材に被覆した
素材からなる側面無継目容器が記載されている。
【0005】上記した先行技術におけるテトラメチレン
グリコールをグリコール成分として含有する熱可塑性ポ
リエステル類は、表面・処理鋼板等の金属基材(ないし
基質)に対する接着性および絞り加工等に対する加工性
に優れるものではあるが、腐食性成分に対するバリア性
が未だ充分なレベルになく、金属に対して高度に腐食性
を有する内容物(例えば、トマトジュース、乳酸飲料等
の酸性が強い液体)を充填し、加熱殺菌後保存する用途
に対しては改善すべき余地が残されている。
【0006】また、種々の熱可塑性樹脂フィルムの内で
も二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)のフ
ィルムは、腐食性成分に対するバリア性に優れ且つ耐熱
性にも優れたものであることから、表面処理鋼板に対し
て二軸延伸PETフィルムをラミネートし、これを絞り
ないし深絞り缶の素材として用いることが知られてい
る。
【0007】しかしながら、二軸延伸PETフィルムを
ラミネートした表面処理鋼板を、実際に絞り成形または
深絞り成形して得られる缶体は、その内面(内容物に接
触すべき面)に金属露出部が数多く存在し、鉄等の金属
分の溶出による香味低下や内容品の変質、並びに孔食発
生等を招く可能性がある。一般に、二軸延伸PETフィ
ルムには、フィルム相互のブロッキング防止やフィルム
表面の摩擦係数を小さくしてフィルムの加工や取扱を容
易とするために、通常、シリカ系の添加剤が含有されて
おり、この添加剤の一部がPETフィルム表面に存在し
ている。このPETフィルム表面の硬いシリカ系添加剤
は、ラミネート時のロールや絞り加工時のしわ押えやポ
ンチ等の加工工具と接触した際に、該PETフィルムに
ピンホールやクラック等を発生させる原因となるのみな
らず、これらの加工工具の表面を荒らす(粗面化させ
る)。この荒れた工具表面とPETフィルムとの接触
は、さらにPETフィルムのピンホールやクラック等の
欠陥部を増加させる可能性がある。
【0008】PETフィルムで被覆した金属基材(例え
ば、クロメ−ト処理鋼板)にこのような傷が微少存在す
る場合には、この部分から鋼板の腐食が進行して鉄等の
金属成分の漏洩を生じたり、金属成分の溶出による食品
のフレーバー低下や、溶出金属成分と内容物(例えば、
食品)との化学反応による変色等の変質を来すこととに
なる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術における問題点を解消した樹脂被覆金属基
材、およびこれを少なくとも一部に含む容器を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、金属基材を被覆する
樹脂層ないしフィルムにおけるピンホールおよび/又は
クラックの発生が効果的に防止され、優れた耐食性およ
び内容物の品質保持性(例えば、香味保持性)を実現可
能な樹脂被覆金属基材、およびこれを少なくとも一部に
含む容器を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、優れた耐食性と外観
特性とを有し且つレトルト殺菌においても、内容物接触
側の面(内面)の被覆状態が完全である樹脂被覆金属基
材、およびこれを少なくとも一部に含む容器を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、金属基材と特定の組成を有するポリエステル樹脂
系の樹脂組成物との間、更に、プライマー層を配置する
ことが、上記目的の達成に極めて効果的であることを見
出した。本発明の樹脂被覆金属基材は上記知見に基づく
ものであり、より詳しくは、金属基材と、その少なくと
も一の面上に配置されたプライマー樹脂層と、該プライ
マー樹脂層上に配置されたポリエステル系樹脂組成物層
とを少なくとも含み;且つ、該ポリエステル系樹脂組成
物層が、ポリエステル樹脂(A)と、及び極性基を有す
るユニットを1質量%以上含有するビニル重合体(B)
とを含む樹脂組成物(I)であって、更にラジカル禁止
剤を含有する組成物からなることを特徴とするものであ
る。
【0012】本発明によれば、更に、金属基材と、該金
属基材の一方の面上に配置されたプライマー樹脂層と、
該プライマー樹脂層上に配置されたポリエステル系樹脂
組成物層と;前記金属基材の他方の面上に配置されたポ
リエステル系樹脂組成物層を少なくとも含み;且つ、該
ポリエステル系樹脂組成物層が、ポリエステル樹脂
(A)と、及び極性基を有するユニットを1質量%以上
含有するビニル重合体(B)とを含む樹脂組成物(I)
であって、該樹脂組成物(I)の100質量部に対し
て、ラジカル禁止剤を0.001〜7質量部含有する樹
脂組成物とからなり、且つ、該ポリエステル系樹脂組成
物が平均粒径2.5μm以下の酸化チタンを含有するこ
とを特徴とする樹脂被覆金属基材が提供される。
【0013】上記構成を有する本発明の樹脂被覆金属基
材においては、それ自体で耐衝撃性、耐薬品性、成形
性、耐熱性、ガスバリヤ性及び金属との密着性が良好
で、樹脂の分解や樹脂からの有機物の溶出物が少なく、
フレーバー性に特に優れる樹脂組成物層に、更にプライ
マー層を組み合わせることにより、耐衝撃性(特に、低
温時の耐衝撃性)、およびフレーバー性をより高いレベ
ルで達成することが可能となる。
【0014】より具体的では、本発明の樹脂被覆金属基
材を「絞りしごき」成形等の厳しい成形を行つた缶体に
適用した場合においても、低温時の耐衝撃性が優れるた
めで、衝撃時に樹脂組成物フィルムないし層にクラック
が発生する可能性が極めて低く、したがって該クラック
を介して基材金属が溶け出すことも実質的に完全に防止
することが可能となる。また、本発明の樹脂被覆金属基
材を用いて成形した缶をレトルト滅菌処理しても、缶の
内容物のフレーバーの変化を実質的に完全に防止できる
ため、本発明の樹脂被覆金属基材は、製缶用樹脂被覆金
属基材として特に好適に使用可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、必要に応じて図面を参照し
つつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載におい
て量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り
質量(ないし重量)基準とする。 (樹脂被覆金属基材)本発明の樹脂被覆金属基材の基本
的な態様を示す図1の模式断面図を参照して、基材たる
金属基材(例えば、鋼板)1の少なくとも一方の面上に
は、プライマー樹脂層2と、樹脂組成物層3とが少なく
とも配置されている。本発明の樹脂被覆金属基材を後述
するような容器(例えば、缶体)状に成形する場合に
は、該樹脂被覆の特徴(例えば、金属との密着性、有機
溶出物の抑制性、フレーバー性、等)を充分に活用する
点からは、金属基材1の、少なくとも容器ないし缶体の
内側(内容物に接触する側)に、これらのプライマー樹
脂層2と、樹脂組成物層3とが少なくとも配置されてい
ることが好ましい。したがって、この図1および以下の
図2〜図6の模式断面図において、これらの樹脂被覆金
属基材をを容器状に成形する場合には、各図面の上側
(図1では樹脂組成物層3側)が、上記した容器の内面
側に対応することが好ましい。
【0016】この図1の態様によれば、本発明の樹脂被
覆金属基材を缶体を始めとする容器状に成形した場合
(例えば、「絞りしごき」成形等の厳しい成形を行つた
缶体に適用した場合)においても、低温時の耐衝撃性
(および/又は金属との密着性)が優れるため、衝撃時
に樹脂組成物フィルムないし層にクラックが発生する可
能性が極めて低く、したがって該クラックを介して基材
金属が溶け出すことも実質的に完全に防止することが可
能となる(すなわち、金属の耐食性も向上する)。本発
明の樹脂被覆金属基材をレトルト滅菌処理等の厳しい条
件に晒した場合にも、缶の内容物のフレーバーの変化を
実質的に完全に防止できるという効果が得られる。
【0017】このように低温時でも優れた耐衝撃性およ
び/又は密着性を示すことにより、例えば、低温で保管
・貯蔵される内容物(例えば、ジュース等の飲料類)用
の容器として、本発明の被覆金属基材が特に好適に適用
できる。特に、酸性が強い内容物(例えば、トマトジュ
ース、乳酸飲料等の飲料)にあっては、本発明の被覆金
属基材が示す優れた耐衝撃性および/又は密着性が、下
地金属の耐食性向上に大きく寄与できることとなる。 (各層の構成の説明)以下に、本発明におけるラジカル
禁止剤を加えた樹脂組成物、及びこれを用いた樹脂フィ
ルム、樹脂被覆金属基材並びに樹脂被覆金属容器につい
て説明する。 (01)ポリエステル系樹脂の物性定義 本発明の樹脂覆金属基材の被覆に1層を構成する組成物
は、ポリエステル樹脂(A)、極性基を有するユニット
を1質量%以上含有するビニル重合体(B)及びラジカ
ル禁止剤を含有する。これら樹脂の組成を特に限定する
ものではないが、ポリエステル樹脂(A)100質量部
に対して、ビニル重合体(B)が1〜50質量部からな
り、更にこの樹脂組成物100質量部に対しラジカル禁
止剤を0.005〜7質量部含有する樹脂組成物である
ことが好ましい。ビニル重合体(B)の含有量が1質量
部未満では耐衝撃性が低下する場合があり、他方、50
質量部を越えると耐熱性が低下する場合がある。
【0018】本発明に使用するポリエステル樹脂(A)
の固有粘度は0.3〜2.0dl/g、好ましくは0.
40〜1.7dl/g、より好ましくは0.50〜1.
5dl/gである。固有粘度が0.3dl/g未満の場
合は、極性モノマー含有ビニル重合体(B)と均一に混
合しないため機械強度や耐衝撃性が低く、一方、固有粘
度が2.0dl/gを越える場合には成形性が不良とな
り、何れも好ましくない。
【0019】上記固有粘度は、25℃のo−クロロフェ
ノール中、0.5%の濃度で測定し、下記(i)式によ
って求められる。式中、Cは溶液100ml当たりの樹
脂のg数で表わした濃度を、t0 は溶媒の流下時間を、
tは溶液の流下時間を各々表。 固有粘度={ln(t/t0 )}/C (i) (02)ポリエステル原料例示 本発明に使用するポリエステル樹脂(A)とは、ヒドロ
キシカルボン酸化合物残基のみを、また、ジカルボン酸
残基及びジオール化合物残基を、あるいは、ヒドロキシ
カルボン酸化合物残基とジカルボン酸残基及びジオール
化合物残基とをそれぞれ構成ユニットとする熱可塑性ポ
リエステルである。また、これらの混合物であっても良
い。
【0020】ヒドロキシカルボン酸化合物残基の原料と
なるヒドロキシカルボン酸化合物を例示すると、p−ヒ
ドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシエチル安息香酸、2
−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−カルボキ
シフェニル)プロパン等が挙げられ、これらは単独で使
用しても、また、2種類以上を混合して使用しても良
い。
【0021】また、ジカルボン酸残基を形成するジカル
ボン酸化合物を例示すると、テレフタル酸、イソフタル
酸、オルソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2、3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、2、7−ナフタレンジカルボン酸、
ジフェン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエ
タンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びアジピン
酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジ
カルボン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸
等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸
等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらは単独で
使用しても、また、2種類以上を混合して使用しても良
い。
【0022】次に、ジオール残基を形成するジオール化
合物を例示すると、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略称す
る)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(2−ヒドロキシフェニル)メタン、o−ヒドロキシフ
ェニル−p−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)スルフィド、1、1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1、1−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1、1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3、3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、1、1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−
クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1、1、1,3、3、3−ヘキサフルオロ−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4、4’
−ビフェノール、3、3’、5、5’−テトラメチル−
4、4’−ジヒドロキシビフェニル、4、4’−ジヒド
ロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール;及びエチレ
ングリコール、トリメチレングリコール、プロピレング
リコール、テトラメチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール、水添ビスフェノールA等の脂肪族ジオール;シ
クロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等が挙げ
られ、これらは単独で使用することも、また、必要に応
じて2種類以上を混合して使用することもできる。ま
た、これらから得られるポリエステル樹脂を単独で使用
しても、必要に応じて2種類以上混合して使用しても良
い。
【0023】本発明に使用するポリエステル樹脂(A)
は、これらの化合物又はその組み合わせにより構成され
ていれば良いが、中でも芳香族ジカルボン酸残基とジオ
ール残基より構成される含芳香族ポリエステル樹脂であ
ることが、加工性、熱的安定性の観点から好ましい。ま
た、本発明に使用するポリエステル樹脂(A)は、トリ
メシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、ト
リメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタ
エリスリトール等の多官能化合物から誘導される構成単
位を少量、例えば2モル%以下の量を含んでいても良
い。
【0024】耐熱性や加工性の面から、これらのジカル
ボン酸化合物、ジオール化合物の組み合わせの中で最も
好ましい組み合わせは、テレフタル酸50〜95モル
%、イソフタル酸及び/又はオルソフタル酸50〜5モ
ル%のジカルボン酸化合物と、炭素数2〜5のグリコー
ルのジオール化合物との組み合わせである。本発明に使
用する好ましいポリエステル樹脂(A)を例示すると、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン
テレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,
6−ナフタレート等が挙げられるが、中でも適度の機械
特性、ガスバリア性、及び金属密着性を有するポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−
2,6−ナフタレートが最も好ましい。 (03)ポリエステル樹脂の物性例示 本発明に使用するポリエステル樹脂(A)は、ガラス転
移温度(Tg、サンプル量約10mg、昇温速度10℃
/分の示差型熱分析装置(DSC)で測定)が、通常5
0〜120℃、好ましくは60〜100℃であることが
望ましい。このポリエステル樹脂(A)は、非晶性であ
っても結晶性であっても良く、結晶性である場合には、
結晶融解温度(Tm)が、通常210〜265℃、好ま
しくは210〜245℃であり、低温結晶化温度(T
c)が、通常110〜2,20℃、好ましくは120〜
215℃であることが望ましい。Tmが210℃未満で
あったり、Tcが110℃未満の場合は、耐熱性が不充
分で絞り加工時にフィルム形状を保持できない場合があ
る。また、Tmが265℃超であったり、Tcが2,2
0℃超の場合は、金属基材の表面凹凸に充分樹脂が入り
込めず、密着不良となる場合がある。 (04)ビニル重合体(B)極性定義 次に、本発明に使用する極性基を有するユニットを1質
量%以上含有するビニル重合体(B)とは、ポーリング
の電気陰性度の差が0.39(eV)0.5以上ある元
素が結合した基を有するユニットを1質量%以上含有す
るビニル重合体である。極性基を有するユニットが1質
量%未満では、耐衝撃性が低下する場合がある。 (05)ビニル重合体(B)極性基例示 ポーリングの電気陰性度の差が0.39(eV)0.5
以上ある元素が結合した基を具体的に例示すると、−C
−O−、−C=O、−COO−、エポキシ基、C
2 3 、C2 2 N−、−CN、−NH2 、−NH−、
−X(X;F、Cl、Br)、−SO3 −、等が挙げら
れる。また極性基として金属イオンで中和された酸根イ
オンを有していてもよい。この場合、金属イオンの例と
してはNa+ 、K+ 、Li+ 、Zn2+、Mg2+、C
2+、Co2+、Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti
3 + 、Zr3+、Sc3+等の1価、2価または3価の金属
陽イオンが挙げられる。
【0025】極性基を有するユニットを例示すると、−
C−O−基を有する例としてビニルアルコール;−C=
O基を有する例としてビニルクロロメチルケトン;−C
OO−基を有する例としてアクリル酸、メタクリル酸、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル酸及びその
金属塩若しくはエステル誘導体;エポキシ基を有する例
としてはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル、エタクリル酸グリシジル、イタクリル酸グリシジル
等のα,β−不飽和酸のグリシジルエステル;C2 3
基を有する例として無水マレイン酸;C2 2 N−基を
有する例として無水マレイン酸のイミド誘導体;−CN
基を有する例としてアクリロニトリル;−NH2 基を有
する例としてアクリルアミン;−NH−基を有する例と
してアクリルアミド;−X基を有する例として塩化ビニ
ル;−SO3 −基を有する例としてスチレンスルホン
酸;等が挙げられ、またこれらの酸性官能基の全部また
は一部が上記の金属イオンで中和された化合物が挙げら
れ、これらが単独でまたは複数でビニル重合体(B)に
含有されていても良い。ビニル重合体(B)に含有され
る極性基を有するユニットは、ポーリングの電気陰性度
の差が0.39(eV)0.5以上ある元素が結合した
基を有するユニットであれば良く、上記の具体例に限定
されるものではない。 (06)ビニル重合体(B)例示 本発明に使用するビニル重合体(B)を例示すると、上
記の極性基含有ユニットの単独若しくは2種類以上の重
合体、及び上記極性基含有ユニットと下記一般式(i
i)で示される無極性ビニルモノマーとの共重合体等が
挙げられる。 −CHR1 =CR2 3 − (ii) (式中、R1 、R3 は各々独立に炭素数1〜12のアル
キル基若しくは水素を、R2 は炭素数1〜12のアルキ
ル基、フェニル基若しくは水素を示す。) 一般式(ii)の無極性ビニルモノマーを具体的に例示
すると、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペン
テン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−
オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィ
ン;イソブテン、イソブチレン等の脂肪族ビニルモノマ
ー;スチレンモノマーの他にo−、m−、p−メチルス
チレン、o−、m−、p−エチルスチレン、t−ブチル
スチレン等のアルキル化スチレン;α−メチルスチレン
等のスチレン系モノマーの付加重合体単位等の芳香族ビ
ニルモノマー;等が挙げられる。
【0026】極性基含有ユニットの単独重合体を例示す
ると、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。また、極性基含有
ユニットと無極性ビニルモノマーとの共重合体を例示す
ると、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ア
クリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び
これらの共重合体中の酸性官能基の一部若しくは全部を
金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレン−ア
クリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル
共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エ
チレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−グリ
シジルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、ブテン−エチレン−グリシジルメタクリ
レート共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
無水マレイン酸共重合体等及びそれらの酸性官能基のす
べて、または一部が金属イオンで中和されたアイオノマ
ー樹脂類が挙げられる。
【0027】アイオノマー樹脂としては、公知のアイオ
ノマー樹脂を広く使用することができる。具体的な例と
しては、ビニルモノマーとα,β−不飽和カルボン酸と
の共重合体で共重合体中のカルボン酸の一部若しくは全
部を金属陽イオンにより中和したものが挙げられる。ビ
ニルモノマーを例示すると、上記のα−オレフィンやス
チレン系モノマー等であり、α,β−不飽和カルボン酸
を例示すると炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸
でより具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水
マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル等が挙げら
れる。
【0028】中和する金属陽イオンを例示すると、Na
+ 、K+ 、Li+ 、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Co2+
Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti3+、Zr3+、S
3+等の1価、2価または3価の金属陽イオンが挙げら
れる。また、金属陽イオンで中和されていない残余の酸
性官能基の一部は低級アルコールでエステル化されてい
ても良い。
【0029】アイオノマー樹脂を具体的に例示すると、
エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカ
ルボン酸との共重合体、あるいはエチレンとマレイン
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸との共重合体で
あって、共重合体中のカルボキシル基の一部若しくは全
部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシ
ウム、カルシウム等の金属イオンで中和された樹脂が挙
げられる。これらの中で、ポリエステル樹脂(A)とゴ
ム状弾性樹脂体(C)との相溶性を改善する目的で最も
好ましいのが、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸
の共重合体(カルボキシル基を有する構成単位が2〜1
5モル%)で、重合体中のカルボキシル基の30〜70
%がNa、Zn等の金属陽イオンで中和されている樹脂
である。 (07)ビニル重合体(B)物性例示 上記した組成物樹脂層に基づくバリア性確保の観点か
ら、α−オレフィンと極性基を有するユニットとの共重
合体が好ましい組み合わせである。なお、本発明に使用
するビニル重合体(B)は、極性基を有するユニットを
1質量%以上含有するビニル重合体であれば良く、上記
の具体例に限定されるものではない。また、ビニル重合
体(B)の分子量は特に限定するものではないが、数平
均分子量で2×103 以上で5×105 以下が好まし
い。ビニル重合体(B)の数平均分子量が2×103
満や5×105 超では、耐衝撃性が低下する場合があ
る。
【0030】耐衝撃性を向上させる性能が高い点で, ガ
ラス転移温度(Tg、サンプル量約10mg、昇温速度1
0℃/分の示差型熱分析装置(DSC)で測定)が50
℃以下、室温でのヤング率が1000MPa以下、及び
破断伸びが50%以上であるビニル重合体(B)が好ま
しい。本発明に使用する好ましいビニル重合体(B)を
例示すると、メタクリル酸、アクリル酸、及びこれらの
酸性官能基の一部若しくは全部が金属イオンで中和され
た極性オレフィン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシ
ジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、無水マ
レイン酸、酢酸ビニルとα−オレフィンの共重合体が挙
げられる。
【0031】特に耐衝撃性向上能が高い点から、更に好
ましくはエチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビ三ル共重合体及
びこれらの共重合体中の酸性官能基の一部若しくは全部
を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレン−
アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチ
ル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、
エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−グ
リシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジ
ルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリ
シジルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル
−グリシジルアクリレート共重合体,エチレン−一酸化
炭素−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−
一酸化炭素−グリシジルアクリレート共重合体、エチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、ブテン−エチレン−グリ
シジルメタクリレート共重合体、ブテン−エチレン−グ
リシジルアクリレート共重合体が挙げられる。 (08)三元系樹脂組成物説明 本発明においては、樹脂の組成物として、ポリエステル
樹脂(A)及び極性を有するビニル重合体(B)以外
に、耐衝撃性を向上させるために、必要に応じて、ラジ
カル禁止剤の働きを実質的に阻害しないような第3成分
の樹脂を加えてもよい。第3成分の樹脂としては、例え
ばゴム状弾性体樹脂(C)が挙げられる。この第3成分
の樹脂は、ポリエステル樹脂(A)と、極性基を有する
ユニットを1質量%以上含有するビニル重合体(B)と
を含む樹脂組成物(I)の10質量部に対して、0.3
〜4.3質量部程度、更には0.5〜2.5質量部程度
の量で使用することが好ましい。 (09)ゴム状弾性体(C)の物性定義 本発明に必要に応じて使用できるゴム状弾性体樹脂
(C)としては、公知のゴム状弾性体樹脂を広く使用で
きる。中でも、ゴム弾性発現部のガラス転移温度(T
g、サンプル量約10mg、昇温速度10℃/分の示差
型熱分析装置(DSC)で測定)が50℃以下、室温で
のヤング率が1000MPa以下、及び破断伸びが50
%以上であるゴム状弾性体樹脂が好ましい。ゴム弾性発
現部のTgが50℃超、室温でのヤング率が1000M
Pa超、及び破断伸びが50%未満では、充分な耐衝撃
性を発現できない場合がある。低温での耐衝撃性を確保
するためには、Tgが10℃以下、より望ましくは−3
0℃以下であることが好ましい。また、より確実な耐衝
撃性を確保するためには、室温でのヤング率は100M
Pa以下、より望ましくは10MPa以下であること
が、破断伸びは100%以上、より望ましくは300%
以上であることが、好ましい。 (10)ゴム状弾性体(C)の例示 本発明に必要に応じて使用できるゴム状弾性樹脂体
(C)を具体的に例示すると、ポリオレフィン樹脂や、
ブタジエン−スチレン共重合体(SBR)、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体(NBR)、ポリイソプレ
ン(IPR)、ポリブタジエン(BR)等のジエン系エ
ラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体
(SBS)及びその水添物(SEBS)、ゴム変性スチ
レン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタ
ジエン共重合体(ABS)等のスチレン系エラストマ
ー、ジメチルシロキサンを主成分とするシリコンエラス
トマー、芳香族ポリエステル−脂肪族ポリエステル共重
合体もしくは芳香族ポリエステル−ポリエーテル共重合
体等のポリエステルエラストマー、ナイロンエラストマ
ー等が挙げられる。
【0032】中でも、ポリオレフィン樹脂は水蒸気透過
性が低いため好ましい。本発明において好適なポリオレ
フィン樹脂は、下記一般式(iii) −R1 CH−CR2 3 − (iii) (式中、R1 とR3 は各々独立に炭素数1〜12のアル
キル基又は水素を示し、R2 は炭素数1〜12のアルキ
ル基、フェニル基又は水素を示す)で表わされる繰り返
し単位を有する樹脂である。
【0033】本発明に使用できるポリオレフィン樹脂
は、これらの構成単位の単独重合体であっても、また、
2種類以上の共重合体であっても、更に、これらのユニ
ットで形成される樹脂単位の共重合体であっても良い。
繰り返し単位の例としては、プロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等のα−
オレフィンを付加重合した時に現れる繰り返し単位や、
イソブテンを付加した時の繰り返し単位等の脂肪族オレ
フィン、スチレンモノマーの他にo−、m−、p−メチ
ルスチレン、o−、m−、p−エチルスチレン、t−ブ
チルスチレン等のアルキル化スチレン、モノクロロスチ
レン等のハロゲン化スチレン、α−メチルスチレン等の
スチレン系モノマーの付加重合体単位等の芳香族オレフ
ィン等が挙げられる。
【0034】ポリオレフィン樹脂を例示すると、α−オ
レフィンの単独重合体であるポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリ
オクテニレン等が挙げられる。また、上記ユニットの共
重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチ
レン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4
−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−
エチリデン−2−ノルボーネン共重合体等の脂肪族ポリ
オレフィンや、スチレン系重合体等の芳香族ポリオレフ
ィン等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
く、上記繰り返し単位を満足していれば良い。また、こ
れらの樹脂を単独若しくは2種類以上混合して使用して
も良い。
【0035】また、ポリオレフィン樹脂は、上記のオレ
フィンユニットが主成分であれば良く、上記のユニット
の置換体であるビニルモノマー、極性ビニルモノマー、
ジエンモノマーがモノマー単位若しくは樹脂単位で共重
合されていても良い。共重合組成としては、上記ユニッ
トに対して50モル%以下、好ましくは30モル%以下
である。50モル%超では寸法安定性等のポリオレフィ
ン樹脂としての特性が低下する可能性がある。
【0036】極性ビニルモノマーの例としては、アクリ
ル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリ
ル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル等のメタクリル酸誘導体、アクリロニト
リル、無水マレイン酸、無水マレイン酸のイミド誘導
体、塩化ビニル等が挙げられる。ジエンモノマーとして
は、ブタジエン、イソプレン、5−メチリデン−2−ノ
ルボーネン、5−エチリデン−2−ノルボーネン、シク
ロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等が挙げられ
る。
【0037】ポリオレフィン樹脂として耐衝撃強度を付
与するために最も好ましい樹脂は、エチレン−プロピレ
ン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン
−1−ペンテン共重合体、エチレン−3−エチルペンテ
ン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等のエチ
レンと炭素数3以上のα−オレフィンの共重合体、もし
くは、前記2元共重合体にブタジエン、イソプレン、5
−メチレイデン−2−ノルボーネン、5−エチリデン−
2−ノルボーネン、シクロペンタジエン、1,4−ヘキ
サジエン等を共重合したエチレン、炭素数3以上のα−
オレフィン及び非共役ジエンからなる3元共重合体であ
る。中でも、ハンドリングのし易さから、エチレン−プ
ロピレン共重合体やエチレン−1−ブテン共重合体の2
元共重合体、若しくは、エチレン−プロピレン共重合体
やエチレン−1−ブテン共重合体に、非共役ジエンとし
て5−メチレイデン−2−ノルボーネン、5−エチリデ
ン−2−ノルボーネン、シクロペンタジエン、1,4−
ヘキサジエンを使用し、α−オレフィン量を20〜60
モル%、非共役ジエンを0.5〜10モル%共重合した
樹脂が最も好ましい。
【0038】また、このような3元系で使用されるポリ
エステル樹脂(A)及び極性を有するビニル重合体
(B)としては、これらの樹脂として例示した前述の樹
脂類が使用できる (11)三元系高次構造:微細分散したカプセル化の限
定 第3成分としてゴム状弾性体樹脂(C)を含有する樹脂
組成物は、ポリエステル樹脂(A)、極性基を有するユ
ニットを1質量%以上含有するビニル重合体(B)、ゴ
ム状弾性体樹脂(C)、及びラジカル禁止剤からなり;
ポリエステル樹脂(A)中にゴム状弾性体樹脂(C)が
微細分散し;かつ、少なくともゴム状弾性体樹脂(C)
の一部がビニル重合体(B)でカプセル化された構造を
有している樹脂組成物が、耐衝撃性、金属基材への密着
性がより高いという点で好ましい。 (12)三元系高次構造:微細分散の定義 ここで、微細分散とは、ゴム状弾性体樹脂(C)の全粒
子の内、70体積%以上の粒子が100μm以下の等価
球換算径でポリエステル樹脂(A) 中に分散している状態
である。ゴム状弾性体樹脂(C) の等価球換算径が100
μm超では、耐衝撃性が低下し、また本発明の樹脂組成
物の製膜性が低下する。好ましくは1μm以下、より好
ましくは0.5μm以下の等価球換算径であることが望
ましい。1μm超では、充分な耐衝撃性を発揮できない
場合がある。 (13)三元系高次構造:カプセル化の定義 また、ビニル重合体(B)でカプセル化されたゴム状弾
性体樹脂(C)とは、ゴム状弾性体樹脂(C)界面の8
0%以上、好ましくは95%以上をビニル重合体(B)
が被覆し、ポリエステル樹脂(A)とゴム状弾性体樹脂
(C)との直接接触面積を20%未満とした構造であ
る。このような構造とすることにより、ビニル重合体
(B)でカプセル化されたゴム状弾性樹脂体(C)の微
細分散が容易となり、耐衝撃性、製膜性が向上し、また
微細分散した粒子が金属基材に接してもビニル重合体
(B)が金属基材との密着性を有するため、樹脂組成物
と金属基材との密着性を確保できる。
【0039】ゴム状弾性体樹脂(C)の全粒子がビニル
重合体(B)でカプセル化されていることは必ずしも必
要ではなく、少なくとも体積比で70%以上のゴム状弾
性体樹脂(C)がビニル重合体(B)でカプセル化され
ていれば良い。カプセル化されていないゴム状弾性樹脂
体(C)が体積比で30%超存在する場合は微細分散が
困難になり、耐衝撃性が低下し、また樹脂組成物を金属
基材に被覆する場合は、金属基材に直接接触するゴム状
弾性樹脂体(C)の比率が増加してしまい、更に樹脂組
成物と金属基材との密着性を確保できなくなる。カプセ
ル化されていないゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算
径は特に規定するものではないが、耐衝撃性、加工性の
観点から1.0μm以下が望ましい。
【0040】また、過剰量のビニル重合体(B)が、ゴ
ム状弾性樹脂体(C)をカプセル化しないで、単独でポ
リエステル樹脂(A)中に分散していても良い。カプセ
ル化しないビニル重合体(B)の量、径は、特に制限す
るものではないが、全ビニル重合体(B)の体積比で2
0%以下、等価球換算径で1.0μm以下であることが
望ましい。体積比で20%超では、樹脂組成物の耐熱性
等の基本特性が変化する場合がある。また、等価球換算
径が1.0μm超では、加工性が低下する場合がある。 (14)カプセル化の原理(オレフィンエラストマー
系) ポリエステル樹脂(A)中にビニル重合体(B)でカプ
セル化したゴム状弾性樹脂体(C)を微細分散させるに
は、ビニル重合体(B)とポリエステル樹脂(A)及び
ゴム状弾性樹脂体(C)との界面張力のバランスを適切
にすることが重要である。好ましくはビニル重合体
(B)のゴム状弾性樹脂体(C)に対するSpread Param
eter(λ(Resin C)/(Resin B))が正になるよう
に極性基を有するユニットの含有量を制御することが望
ましい。λ(Resin C)/(Resin B)を正にすること
により、ビニル重合体(B)でゴム状弾性樹脂体(C)
をカプセルしても熱力学的な安定性が確保できる。異種
高分子間のSpread Parameterとは、S. Y. Hobbs; Poly
m.、 Vol. 29、p1598(1989)で定義されて
いるパラメータであって、下記の式(iv) λ(Resin C)/(Resin B)=Υ(Resin B)/(Resin A)-Υ(Resin C)/(Resin B)-Υ (Resin C)/(Resin A) (iv) [但し、式中、Resin Aはポリエステル樹脂(A)を、
Resin Bはゴム状弾性樹脂体(C)を、また、Resin C
はビニル重合体(B)をそれぞれ示し、また、Υi/j
は樹脂iと樹脂j間の界面張力であり、近似的には樹脂
iと樹脂j間の相溶性を示すパラメータΧi/j(相溶
性が良好なほど小さな値を示す)の0.5乗に比例す
る。]で与えられる。
【0041】ポリエステル樹脂(A)とゴム状弾性樹脂
体(C)との相溶性は低く、Υ(Resin B)/(Resin
A)>0となるので、ビニル重合体(B)の無極性ビニ
ルモノマー(Monomer V)と極性基含有ユニット(Mono
mer U)の配合比を調整して、下記の式(iii)、
(iv) ΧA/C =φΧ(Resin A)/ (Monomer V)+ (1−φ)Χ(Resin A)/ (Mo nomer U)−φ(1−φ)Χ(Monomer V)/(Monomer U) (v) ΧB/C=φΧ(Resin B)/(Monomer V)+(1−φ)Χ(Resin B)/( Monomer U)−φ(1−φ)Χ(Monomer V)/(Monomer U) (vi) [但し、φは無極性ビニルモノマーの配合比(体積比)
を示す。]で与えられるゴム状弾性樹脂体(C)とビニ
ル重合体(B)との相溶性を示すΧB/C及びポリエス
テル樹脂(A)とビニル重合体(B)との相溶性を示す
ΧA/Cを0に近付けるようにすれば、λ(Resin C)
/(Resin B)を正にすることが可能となる。
【0042】したがって、好ましいビニル重合体(B)
は、ポリエステル樹脂(A)及びゴム状弾性樹脂体
(C)の種類に応じて、これらの樹脂との相溶性を考慮
して決定される。好ましい組み合わせを具体的に例示す
ると、ポリエステル樹脂(A)が芳香族ジカルボン酸残
基とジオール残基より構成される芳香族ポリエステル樹
脂で、ゴム状弾性樹脂体(C)がポリオレフィン樹脂で
ある場合、ビニル重合体(B)としてエチレンと極性基
を有するユニットとの共重合体や、無水マレイン酸若し
くはグリシジルメタクリレートを1質量%以上導入した
SEBSが好ましく、中でもエチレンと極性基を有する
ユニットとの共重合体は、エチレンと極性基を有するユ
ニット間の配合比を適切に制御することにより、λ(Re
sin C)/(Resin B)を正に制御し易い。より好まし
くは、エチレンと極性基を有するユニットとの共重合体
にポリエステル樹脂(A)と共有結合、配位結合、水素
結合、イオン結合等の化学作用を有する官能基が導入さ
れていると、カプセル化した際にポリエステル樹脂
(A)とビニル重合体(B)との界面を熱力学的により
安定化できることから望ましい。 (15)カプセル化に使用できる樹脂の例示 エチレンと極性基を有するユニットとの共重合体をより
具体的に例示すれば、エチレン−ビニル酸共重合体、エ
チレン−ビニル酸エステル共重合体やこれらのアイオノ
マー樹脂、エチレンとα,β−不飽和酸のグリシジルエ
ステルとの共重合体、エチレンとビニル酸若しくはビニ
ル酸エステルとα,β−不飽和酸のグリシジルエステル
との3元共重合体、等である。中でも、アイオノマー樹
脂、エチレンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステル
との共重合体、エチレンとビニル酸若しくはビニル酸エ
ステルとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとの3
元共重合体が好ましい。これらの樹脂は、ポリエステル
樹脂(A)と比較的強い化学的相互作用を示し、ゴム状
弾性樹脂体(C)と安定したカプセル構造を形成する。
その中でも、アイオノマー樹脂は、温度によってポリエ
ステル樹脂(A)との化学作用の強度が変化するので、
成形性の観点から最も好ましいものである。アイオノマ
ー樹脂としては、公知のアイオノマー樹脂を広く使用す
ることができる。より具体的には、ビニルモノマーと
α,β−不飽和カルボン酸との共重合体で共重合体中の
カルボン酸の一部若しくは全部を金属陽イオンにより中
和したものが挙げられる。
【0043】ビニルモノマーを例示すると、上記のα−
オレフィンやスチレン系モノマー等であり、α,β−不
飽和カルボン酸を例示すると炭素数3〜8のα,β−不
飽和カルボン酸でより具体的にはアクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル
エステル、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエス
テル等が挙げられる。
【0044】中和する金属陽イオンを例示すると、Na
+ 、K+ 、Li+ 、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Co2+
Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti3+、Zr3+、S
3+等の1価、2価または3価の金属陽イオンが挙げら
れる。また、金属陽イオンで中和されていない残余のカ
ルボキシル基の一部は低級アルコールでエステル化され
ていても良い。
【0045】アイオノマー樹脂を具体的に例示すると、
エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカ
ルボン酸との共重合体、あるいはエチレンとマレイン
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸との共重合体で
あって、共重合体中のカルボキシル基の一部若しくは全
部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシ
ウム、カルシウム等の金属イオンで中和された樹脂が挙
げられる。これらの中で、ポリエステル樹脂(A)とゴ
ム状弾性樹脂体(C)との相溶性を改善する目的で最も
好ましいのが、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸
の共重合体(カルボキシル基を有する構成単位が2〜1
5モル%)で、重合体中のカルボキシル基の30〜70
%がNa、Zn等の金属陽イオンで中和されている樹脂
である。 (16)オレフィンエラストマー系三元系樹脂製造方法 本発明のポリエステル樹脂(A)、ビニル重合体(B)
及びゴム状弾性樹脂体(C)を含有する樹脂組成物は、
公知の混合法により製造することができる。具体的に
は、適切な界面張力の差を有するポリエステル樹脂
(A)、ビニル重合体(B)及びゴム状弾性樹脂体
(C)を所定の温度、例えば200〜350℃で公知の
各種混合機を用いて溶融混練することにより、界面張力
差を利用してカプセル構造を形成して製造することがで
きる。 (17)アクリルエラストマー系三元系樹脂製造方法、
定義 また、ポリエステル樹脂(A)中にビニル重合体(B)
でカプセル化したゴム状弾性樹脂体(C)を微細分散さ
せる方法としては、ビニル重合体(B)でゴム状弾性樹
脂体(C)がカプセル化されてるコア−シェルタイプゴ
ム状弾性体をポリエステル樹脂(A)に添加する方法も
挙げられる。このコア−シェルタイプゴム状弾性とは、
コア部とシェル部から構成される2層構造を有してお
り、コア部は軟質なゴム状態であって、その表面のシェ
ル部であるビニル重合体(B)は前述のごとく、極性ユ
ニットを有し、コア部に比して硬質である樹脂を指す。
例えばコア部をアクリル系ゴム状弾性体、ジエン系ゴム
状弾性体、若しくはシリコン系ゴム状弾性体で構成し、
これにグラフトしたアクリレート若しくはメタクリレー
トを主成分とするアクリル系重合体がシェル部を構成す
る樹脂が挙げられる。なお、グラフトとは、コア部の樹
脂とシェル部の樹脂とのグラフト共重合化を意味する。
【0046】このコア−シェルタイプゴム状弾性体は耐
衝撃性、ポリエステル樹脂中での分散性、金属との密着
性が高い点で好ましい。 (18)アクリルエラストマー系コア部定義 コア部を構成するゴム状弾性体を具体的に示すと、一般
式(vii )の構造を有するユニットで構成されるアクリ
レート系重合体、又は、ジエン系重合体、あるいは、ジ
メチルシロキサンを主体とするゴム状弾性体が挙げられ
る。
【0047】 CH2 =CR1 −CO−O−R2 (vii ) (19)アクリルエラストマー系コア部例示 上記のアクリレート系重合体の構成ユニットを具体的に
例示すると、アルキルアクリレートやアルキルメタクリ
レート、アルキルエタクリレート等が挙げられ、R1
水素又は炭素数1〜12のアルキル基を、また、R2
炭素数1〜12のアクリル基を有するものが好ましい。
更に具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレー
ト等が挙げられる。中でも耐衝撃性付与という観点か
ら、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヘ
キシルアクリレート、メチルメタクリレート、n−オク
チルメタクリレートが好ましい。コア部を形成するアク
リレート系重合体は、これらの単独重合体であっても、
2種類以上の共重合体であっても良い。
【0048】また、コア部を構成するアクリレート系重
合体は、上記のアクリレートが主成分であれば、他のビ
ニルモノマーが共重合されていても良い。主成分とは5
0質量%以上である。具体的にビニルモノマーを例示す
ると、α−オレフィンモノマーやスチレン系モノマー、
極性ビニルモノマーが挙げられる。より具体的に示す
と、α−オレフィンモノマーとしては、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−
ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、
1−ドデセン等が挙げられ、スチレン系モノマーとして
は、スチレンモノマーの他にo−、m−、p−エチルス
チレン、t−ブチルスチレン等のアルキル化スチレン、
モノクロロスチレン等のハロゲン化スチレン、α−メチ
ルスチレン等が挙げられ、また、極性ビニルモノマーと
してはアクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸
及びそのイミド誘導体、酢酸ビニル、塩化ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等が挙げられる。
【0049】更に、コア部を構成するアクリレート系重
合体は、ゴム弾性を発揮するために架橋剤により一部架
橋されていることが好ましい。架橋剤を例示すると、エ
チレン性不飽和を有するビニルモノマーで、ジビニルベ
ンゼン、ブチレンジアクリレート、エチレンジメタクリ
レート、ブチレンジメタクリレート、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、
トリアリルイソシアネート等が挙げられる。架橋剤の添
加量は30質量%以下、好ましくは20質量%以下、よ
り好ましくは5質量%以下である。30質量%超では硬
化してゴム弾性が発揮できない場合が多い。
【0050】また、コア部を構成するジエン系重合体
は、ジエンモノマーの重合体若しくはその水添重合体で
あり、具体的にはポリブタジエン及びその水添重合体、
ブタジエンとスチレンとの共重合体及びその水添重合体
等が挙げられる。 (20)アクリルエラストマー系コア部物性 コア部を構成する重合体の分子量は、特に制限するもの
ではないが、数平均分子量で2×103 以上が好まし
い。2×103 未満では充分なゴム弾性を発揮できない
可能性がある。また、コア部が架橋したアクリレート系
重合体である場合は、架橋点間分子量が2×103 以上
であることが、充分なゴム弾性を付与する観点から好ま
しい。
【0051】コア部を構成する重合体のガラス転移温度
(昇温速度10℃/分、示差型熱分析装置(DSC)で
測定)は、30℃以下であることが好ましく、より好ま
しくは10℃以下、更に好ましくは−10℃以下であ
る。ガラス転移温度が30℃超では、室温以下でのゴム
弾性が発揮し難くなる可能性がある。 (21)アクリルエラストマー系シェル部定義 次に、コア−シェルタイプゴム状弾性体のシェル部につ
いて説明する。シェル部は極性基を有するユニットから
成るアクリレート系重合体で構成されていることが好ま
しく、アクリレート系重合体の極性を利用することによ
り微細分散が可能になると共に、コア−シェルタイプゴ
ム状弾性体が金属基材に接触した際の密着性を確保でき
る。 (22)アクリルエラストマー系シェル部例示 シェル部を構成するアクリレート系重合体は、一般式
(vii )のユニットからなる重合体であることが好まし
い。具体的な例としては、先に挙げたモノマーの重合体
が挙げられ、アクリレートユニットが主成分である限
り、上記のビニルモノマーと共重合していても良い。こ
こで主成分とは50質量%以上である。他のビニルモノ
マーと共重合した場合、アクリレート成分の組成比は7
0質量%以上であることが好ましい。70質量%未満で
は、アクリレートユニットの極性が充分に利用できず、
微細分散や金属基材との密着性が不充分な場合がある。 (23)アクリルエラストマー系シェル部物性 コア−シェルタイプゴム状弾性体は、コア部が軟質なゴ
ム状物質であるので、シェル部を構成する樹脂は硬質で
あることがハンドリング性から必要である。このために
は、シェル部を構成するアクリレート系重合体のガラス
転移温度(昇温速度10℃/分、示差型熱分析装置(D
SC)で測定)が30℃以上であることが好ましく、よ
り好ましくは50℃以上である。
【0052】シェル部を構成するアクリレート系重合体
ユニットとして最も好ましいのは、ガラス転移温度が上
記の範囲にあり、また、重合速度の制御が容易であるこ
とからメチルメタクリレートである。 (24)アクリルエラストマー系三元系樹脂相溶性向上
(末端修飾型) 更に、シェル部を構成するアクリレート系重合体には、
ポリエステル樹脂(A)との相溶性を向上するために、
ポリエステル樹脂(A)の残留末端官能基やエステル結
合と反応可能な官能基若しくは結合基が導入されている
ことが好ましい。官能基を具体的に例示すれば、エポキ
シ基、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基
が挙げられ、シェル部をグラフト化する際に、これらの
官能基を有する公知のビニルモノマーを添加することに
より官能基が導入できる。また、結合基を例示すれば、
エステル結合、カーボネート結合、アミド結合等が挙げ
られ、シェル部をグラフト化する際に、T. O. Ahn et a
l.; J. Polym. Sci. PartA Vol.31、 435(199
3)に開示されているようなこれらの結合を有する開始
剤を使用することにより結合基が導入できる。これらの
官能基や結合基の中で、反応性の観点から最も好ましい
のが、エポキシ基及び芳香族−芳香族のエステル結合で
あり、シェル部を重合する際に、それぞれ、グリシジル
メタクリレート、 T. O. Ahn et al.; J. Polym. Sci.
Part A Vol. 31、435(1993)に開示されてい
るポリアリレートアゾ開始剤を添加することにより、上
記のエポキシ基及びエステル結合が導入できる。
【0053】コア−シェルタイプゴム状弾性体を具体的
に例示すると、コア部がポリブチルアクリレート、シェ
ル部がポリメチルメタクリレートからなるMBA樹脂、
コア部がブタジエン−スチレン共重合体、シェル部がポ
リメチルメタクリレートからなるMBS樹脂、コア部が
ポリジメチルシロキサン、シェル部がポリメチルメタク
リレートからなる重合体等が挙げられ、更には、米国特
許第4,096,202号に開示されているアクリレー
トベースコア−重合アクリレートシェル重合体を本発明
に使用することができる。
【0054】これらの官能基、結合基を含有するユニッ
トの導入量は、各々反応性によって導入量が決定され、
アクリレートユニットが主成分である範囲においては特
に限定するものではない。しかしながら、官能基の場合
は、官能基含有ユニットの導入量が15質量%以下であ
ることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であ
る。15質量%超では混練工程で櫛形ポリマーが生成さ
れ、ポリエステル樹脂(A)に対する相溶性が充分に向
上しない場合がある。また、結合基である場合は、結合
基含有ユニットの導入量が15質量%以下であることが
好ましい。15質量%超では結合基を有するユニットが
ドメインを形成し、ポリエステル樹脂(A)に対する相
溶性が向上できない場合がある。
【0055】コア−シェルタイプゴム状弾性体は、ゴム
状重合体であるコア部を20質量%以上、好ましくは5
0質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有して
いることが望ましい。20質量%未満では充分な耐衝撃
性が発揮できない場合がある。コア−シェルタイプゴム
状弾性体は、ビニル重合体(B)とゴム状弾性樹脂体
(C)とをグラフト化してコア−シェルタイプゴム状弾
性体を形成させた後、ポリエステル樹脂(A)と混合す
ることによって製造できる。例えば公知のラジカル重合
法で重合できるが、中でも米国特許第4,096,20
2号に記載されているような乳化重合法が生成した重合
体の粒径をミクロに制御する観点から好適である。重合
法を具体的に示すと、以下の方法が挙げられるが、コア
−シェルタイプグラフトゴム状弾性体でシェル部がアク
リレート系重合体であれば良く、製法を当該製法に制限
するものではない。
【0056】第一段階の重合として、上述のコア部を構
成するユニットモノマーをラジカル重合する。この際
に、グラフト剤として、ポリエチレン性不飽和を有し複
数の2重結合を有するモノマーを約0.1〜5質量%添
加する。本グラフト剤の複数の2重結合は各々反応速度
が異なることが好ましく、具体的にはアリルメタクリレ
ート、ジアリルマレート等である。コア部の重合体を重
合後、第二段階の重合として、シェル部を構成するモノ
マー及び開始剤を添加してシェル部をグラフト重合する
ことによりコア−シェルタイプゴム状弾性体を得ること
ができる。 (25)アクリルエラストマー系三元系樹脂相溶性向上
(添加剤型) 本発明に使用するポリエステル樹脂(A)とコア−シェ
ルタイプゴム状弾性体からなる樹脂組成物には、ポリエ
ステル樹脂(A)とコア−シェルタイプゴム状弾性体と
の相溶性を向上する目的で、公知の相溶化剤を添加して
も良い。相溶化剤の添加量は15質量%以下が好まし
く、より好ましくは5質量%以下である。15質量%超
では、相溶化剤が独自に相構造を形成する場合があり、
充分な相溶性向上効果が発揮し難い。具体的に相溶化剤
を例示すると、反応型相溶化剤と非反応型相溶化剤が挙
げられ、反応型相溶化剤としては、コア−シェルタイプ
ゴム状弾性体と相溶なポリエステル樹脂(A)の末端残
留官能基や結合手と反応可能な官能基や結合手を導入し
たポリマーが挙げられる。より具体的には、コア−シェ
ルタイプゴム状弾性体のシェル部を構成するポリマーに
グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸をランダム
共重合した重合物や、シェル部を構成するポリマーに芳
香族ポリエステルをブロック、グラフト共重合した重合
物が挙げられる。また、非反応型相溶化剤としては、コ
ア−シェルタイプゴム状弾性体のシェル部を構成するポ
リマーとポリエステル樹脂(A)のブロック、グラフト
共重合体が挙げられる。 (26)樹脂組成物の製造方法(二元系、三元系併せ
て) 本発明の樹脂組成物の混合には、樹脂混練法、溶媒混合
法等の公知の樹脂混合方法を広く使用できる。樹脂混練
法を例示すると、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミ
キサー、V型ブレンダー等によりドライブレンドで混合
した後、1軸若しくは2軸押出機、ニーダー、バンバリ
ーミキサー等で溶融混練する方法が挙げられる。また、
溶媒混合法を例示すると、樹脂組成物に含まれる原料樹
脂の共通溶媒に各樹脂を溶解した後、溶媒を蒸発させた
り、共通の貧溶媒に添加して析出した混合物を回収する
方法等がある。 (27)ラジカル禁止剤の量 本発明の樹脂組成物には、上記樹脂組成物(I)100
質量部に対して、ラジカル禁止剤0.001〜7質量部
が添加されることが好ましい。ラジカル禁止剤が0.0
01質量部以下の添加では、顕著な効果が得られない可
能性がある。一方、ラジカル禁止剤を7質量部を越えて
添加しても、実質的に溶出量の削減効果が飽和するた
め、過剰添加となり不経済であり、更に樹脂の弾性率、
密着性の低下などの樹脂特性が低下する傾向がある。よ
り高い効果の発現のためには、上記樹脂組成物(I)1
00質量部に対して、ラジカル禁止剤を0.005〜1
質量部添加することが好ましい。 (28)ラジカル禁止剤の種類 本発明で使用される樹脂組成物(I)から発生する有機
低分子物質は、極性基を有するビニル重合体がポリエス
テル樹脂中の金属化合物の作用でラジカル分解すること
によって発生する。そのため本発明で必要に応じて使用
されるラジカル禁止剤としては、ラジカルを捕捉するこ
とでラジカル反応を停止する効果を有するフェノール系
ラジカル禁止剤や窒素系ラジカル禁止剤、ラジカル前駆
体である過酸化物類と反応し、ラジカル反応の開始の抑
制や反応中間体を不活性化する働きを有するりん系及び
スルフィド系ラジカル禁止剤が好ましい。 (29)フェノール系ラジカル禁止剤の定義 フェノール系ラジカル禁止剤とは、分子内に1個以上の
フェノール性水酸基を有する化合物を指す。ラジカル反
応の連鎖を停止する効率を向上するために立体的に嵩高
いt−ブチル基等をフェノール性水酸基の近傍に有する
化合物が好ましく、また樹脂の混練や、製膜、製缶工程
においてラジカル禁止剤の揮散が少ない点で分子量が3
50以上であることが好ましい。また、ラジカル禁止剤
の樹脂内での拡散性の観点から、分子量は5000以下
であることが好ましい。反応性の向上、分子量の向上の
観点から、一分子内に複数のフェノール性水酸基を有す
る化合物の使用も好ましい。 (30)フェノール系ラジカル禁止剤例示 フェノール系ラジカル禁止剤の具体例としては、テトラ
キス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシハイドロシンナメート)]メタン、トリエチレング
リコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、等が挙げられる。 (31)りん系ラジカル禁止剤定義 りん系ラジカル禁止剤とは分子内に1個以上のホスファ
イト基および/又はホスホネート基を有する化合物を指
す。また樹脂の混練や、製膜、製缶工程においてラジカ
ル禁止剤の揮散が少ない点で分子量が350以上である
ことが好ましい。ラジカル禁止剤の樹脂内での拡散性の
観点から、分子量は5000以下であることが好まし
い。反応性の向上、分子量の向上の観点から、1分子内
に複数のホスファイト基および/又はホスホネート基を
有する化合物の使用も好ましい。 (32)りん系ラジカル禁止剤例示 りん系ラジカル禁止剤の具体例としては、2,2−メチ
レンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチル
ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フォスファイト等が挙げられる。 (33)スルフィド系ラジカル禁止剤定義 スルフィド系ラジカル禁止剤とは、分子内に1個以上の
スルフィド基を有する化合物を指す。樹脂の混練や、成
形工程においてラジカル禁止剤の揮散が少ない点で、分
子量が350以上であることが好ましい。また、ラジカ
ル禁止剤の樹脂内での拡散性の観点から、分子量は50
00以下であることが好ましい。反応性の向上、分子量
の向上の観点から、1分子内に複数のスルフィド基を有
する化合物の使用も好ましい。 (34)スルフィド系ラジカル禁止剤例示 スルフィド系ラジカル禁止剤の具体例としては、テトラ
キス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネー
ト]メタン、ビス(トリデシルオキシカルボニルエチ
ル)スルフィド等が挙げられる。 (35)窒素系ラジカル禁止剤定義 窒素系ラジカル禁止剤とは、脂肪族炭化水素または芳香
族炭化水素基にアミノ基が結合し、発生したラジカルに
水素を供与することでラジカルを消失させるような化合
物を指す。 (36)窒素系ラジカル禁止剤例示 窒素系ラジカル禁止剤の具体例としては、ビス(2−ド
デシルフェニル)アミン、ビス(3−オクチルフェニ
ル)アミン、ビス(4−オクチルフェニル)アミン等が
挙げられる。 (37)ラジカル禁止剤使用形態:混合使用 本発明で必要に応じて使用されるラジカル禁止剤は単独
で使用しても良く、また必要に応じて混合して使用して
も良い。本発明の樹脂組成物(I)において観測される
ビニル重合体(B)のラジカル分解は、通常の熱的なラ
ジカル分解の主要因の一つが、蓄積した過酸化物基の熱
分解によって生じるラジカル反応であるのとは異なり、
残留触媒などの金属化合物からの電子移動反応によるラ
ジカル発生が主要因であるため、ラジカル禁止剤を1種
を単独で使用する場合には、フェノール系がラジカルを
捕捉し、連鎖を切断する効果が高く、結果として樹脂の
分解を抑制する効果が高い点で好ましい。りん系及びス
ルフィド系ラジカル禁止剤は、ラジカル発生源やラジカ
ル反応の中間体となる過酸化物を分解する効果を有する
ため、フェノール系ラジカル禁止剤との混合して使用す
ることで一層の高い効果を発揮する。また、同様の相乗
効果は一分子中にフェノール性水酸基、ホスファイト基
および/又はホスホネート基、アミノ基及びスルフィド
結合の2種以上を有する様な複合型のラジカル禁止剤に
おいても観測されるため、この使用も好ましい。
【0057】複合型のラジカル禁止剤の具体例として
は、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−
クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−
ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−
イルアミノ)フェノール等が挙げられる。 (38)ラジカル禁止剤の添加方法 本発明で必要に応じて使用されるラジカル禁止剤の上記
樹脂組成物(I)への添加方法としては、原料樹脂であ
るポリエステル樹脂(A)、ビニル重合体(B)のいず
れか1種以上に、また、樹脂組成物(I)がゴム状弾性
体樹脂(C)を含有する場合には、ポリエステル樹脂
(A)、ビニル重合体(B)またはゴム状弾性体樹脂
(C)のいずれか1種以上にあらかじめラジカル禁止剤
を添加してから樹脂組成物とすることにより、上記樹脂
組成物(I)にラジカル禁止剤が含有させればよい。こ
の際、原料樹脂(B)にラジカル禁止剤をあらかじめ添
加しておくことが、原料樹脂(B)の分解を効率よく抑
制し、より少量のラジカル禁止剤の添加によって溶出物
の削減の高い効果が得られる点で好ましい。
【0058】複数の原料樹脂にラジカル禁止剤を添加す
る場合は、結果的に樹脂組成物に含有されるラジカル禁
止剤の量が、前述のラジカル禁止剤の必要量を満たして
いればよい。原料樹脂(A)、(B)および/又は
(C)にラジカル禁止剤を添加する別の方法としては、
樹脂の重合の際に反応槽に直接ラジカル禁止剤を投入す
る方法や、重合後に加熱ロール、バンバリーミキサー、
ニーダー、押し出し機等を用いて配合する方法が挙げら
れる。
【0059】また、他のラジカル禁止剤の添加方法とし
ては、ラジカル禁止剤を含有しない(A)及び(B)ま
たは(A)、(B)および(C)からなる原料樹脂を混
合して上記樹脂組成物またはフィルムを調製する際に添
加しても良い。この際、ラジカル禁止剤はラジカル禁止
剤そのものを直接添加してもよく、あるいはマスターバ
ッチ法により添加してもよい。また、一旦ラジカル禁止
剤を含有しない原料樹脂を混合して上記樹脂組成物
(I)を調製した後、フィルムに調製する際に製膜機の
ホッパ内にラジカル禁止剤を投入することで添加しても
よい。
【0060】成形性、外観向上、防錆性の向上の為に
は、ピンホールやフィッシュアイの形成を抑制すること
が好ましいが、水分や揮発性物質の蒸発によるピンホー
ル形成には原料を充分に乾燥させるなどの方法が有効で
ある。また微粒子の二次凝集体の形成や爽雑物の付着・
混入等による劣化を防止するためには、微粒子含有量の
低い原料中を使用する、および/又はクリーンルームで
製造する等の方法を採用することが好ましい。また混練
および/又は製膜時などの溶融押し出しの工程の少なく
とも一カ所でスクリーンに通して爽雑物を除去する方法
も有用である。 (39)強化剤 また、本発明の樹脂組成物には、剛性や線膨張特性の改
善等を目的に、ガラス繊維、金属繊維、チタン酸カリウ
ィスカー、炭素繊維のような繊維強化剤、タルク、炭酸
カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバ
ー、金属フレーク、金属粉末のようなフィラー類を混入
させても良い。これらの充填剤の内、ガラス繊維、炭素
繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm
以上の繊維長を有することが望ましい。また、これらの
添加量としては、全樹脂組成物重量に対して0.5〜5
0質量部であることが望ましい。 (40)添加剤 更に、本樹脂組成物には、目的に応じて、熱安定剤、光
安定剤、離型剤、滑剤、顔料、難燃剤、可塑剤、帯電防
止剤、抗菌抗カビ剤等を適正量添加することも可能であ
る。 (顔料)本発明において必要に応じて使用可能な上記顔
料は特に制限されず、公知のものから適宜選択して使用
することが可能である。下地色(例えば、金属色)の隠
蔽性に優れるおよび/又は印刷適性の点からは、白色顔
料(より好ましくは、酸化チタン)が好ましい。
【0061】この白色顔料は無機、有機系のいずれであ
ってもよいが、無機系であることが好ましい。無機系顔
料の好ましい例としては、アルミナ、二酸化チタン、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。そして該
顔料を含有する層ないしフィルムの白色遮光性を向上さ
せる点からは、粒子屈折率が1.5以上の顔料が好まし
い。
【0062】白色顔料の以下であることが好ましい。こ
の平均粒径が2.5μmを越える場合は、深絞り成形等
の製缶加工により樹脂被覆金属基材を変形させた際に、
その変形した部分において、粗大粒子(例えば粒径が1
0μmの粒子)が起点となり、ピンホールを生じたり、
場合によってはこれを起点とする被断が生じる可能性が
高まる。
【0063】本発明において、樹脂組成物層に含まれる
顔料の量は、該樹脂組成物層の全体を基準として、3〜
50質量%(更には3〜30質量%)であることが好ま
しい。これよりも少ないと遮光性(例えば白色遮光性)
が不充分となり易く、他方、これより多いと製缶加工性
が悪化する傾向が高くなる。顔料は一種を単独にて使用
しても良く、また必要に応じて二種以上の複数種を併用
して含有させても良い。白色顔料を用いる場合、隠蔽
性、遮蔽効果が大きく、しかも安価である点から、ルチ
ル型二酸化チタンが特に好適に用いられる。
【0064】このような顔料は、必要に応じて、例え
ば、上記した特定の組成を有する樹脂組成物層および/
又は後述する上層ないしトップコート層に含有させるこ
とができる。本発明の樹脂被覆金属基材から形成した容
器内側にこのような顔料を含む層を配置した場合には、
地金の色の隠蔽により、内容物の「見た目」の色の変化
を効果的に防止できる(このような色変化の防止によ
り、摂取する消費者の心理的不快感を防止できる)。他
方、容器外側に顔料(特に白色顔料)を含む層を配置し
た場合には、容器外側の印刷色の明瞭性を効果的に向上
させることが可能となる(容器外側の印刷の明瞭性は、
それによる美観とも相まって、同種の内容物を含むもの
との間での消費者の選択行動に影響を与える可能性が高
い)。 (41)多層化 またフレーバー性の向上、耐衝撃性の向上などの目的
で、本樹脂組成物とともに、他の樹脂組成物及び/又は
接着剤と組み合わせて使用しても差し支えない。 (42)用途(非被覆材料) 本発明の樹脂組成物は広く樹脂成形体として使用でき
る。具体的にはバンパー、ボンネット、ドア材、ホイー
ルカバー、オイルタンク、インストゥルメンタルパネル
などの自動車内外部品、玩具、容器、家電・コンピュー
タ・携帯電話などの筐体などに使用できる。本樹脂組成
物を成形体に加工する方法は特に限定する物ではない
が、公知の射出成形、ブロー成形、押出成形を広く適用
することができる。 (43)被覆使用時の金属基材例示 本発明の樹脂組成物は広く金属基材の被覆材として使用
することができる。金属基材は特に限定するものではな
いが、ブリキ、薄錫めっき鋼板、電解クロム酸処理鋼板
(ティンフリースチール;TFS)、ニッケルめっき鋼
板等の缶用鋼板や、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−鉄
合金めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウ
ム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム−シリコン合金め
っき鋼板、溶融鉛−錫合金めっき鋼板等の溶融めっき鋼
板や、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−ニッケルめっき
鋼板、電気亜鉛−鉄合金めっき鋼板、電気亜鉛−クロム
合金めっき鋼板等の電気めっき鋼板等の表面処理鋼板、
冷延鋼板やアルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、マグネ
シウム等の金属基材等が挙げられる。また、金属基材へ
の被覆も片面又は両面の何れであっても良い。また、本
発明の樹脂組成物を金属基材へ被覆した際の被覆膜厚み
は、特に制限するものではないが、1〜300μmであ
ることが好ましい。1μm未満では被膜の耐衝撃性が充
分でない場合があり、300μm超では経済性が悪い。 (表面処理鋼板)上記金属基材1としては、少なくとも
一方の面(容器状とした場合に、好ましくは内容物接触
側の面)が表面処理された鋼板であることが好ましく、
該少なくとも一方の面がクロメート層を有する表面処理
鋼板であることが特に好ましい。
【0065】このような表面処理鋼板を用いた場合、ア
ルミニウム等の他の金属に比して、食塩類を含有する内
容物に対して孔食速度が著しく小さいこと、およびアル
ミニウム等に比して約2.5倍のヤング率を有し、絞り
缶や深絞り缶として充分に大きな耐圧変形性が得られる
ことによるものである。更に、表面にクロメート層を有
する表面処理鋼板を用いた場合、ポリエステル系樹脂組
成物層2(ないし接着剤や接着用プライマー層)に対し
て、絞り成形後は勿論のこと、レトルト殺菌等の過酷な
温度処理後にも充分な密着性を得ることが更に容易とな
る。 (好適なクロメート層含有表面処理鋼板)上記クロメー
ト層含有表面処理鋼板としては、特に電解クロム酸処理
鋼板、クロメート処理ニッケルめつき鋼板、クロメート
処理鉄・錫合金めつき鋼板、クロメート処理錫・ニッケ
ル合金めつき鋼板、クロメート処理鉄・錫・ニッケル合
金めつき鋼板、クロメート処理アルミニウムめっき鋼板
が好適に使用される。
【0066】電解クロム酸処理鋼板は、冷間圧延鋼板基
質の上に金属クロム層とその上の非金属クロム層からな
る。鋼板基質の厚みは、耐圧変形性と加工性および易開
封性との兼合いにより決定され、一般に0.10〜0.
40mm、特に0.12〜0.35mmの範囲にあるこ
とが好ましい。金属クロム層の厚みは、耐腐食性と加工
性との兼合いにより決定され、その量は30〜300m
g/m2 、特に50〜250mg/m2 の範囲にあるこ
とが望ましい。また非金属クロム層の厚みは、塗膜密着
性や接着剥離強度に関連するものであり、クロム量とし
て表わして4〜40mg/m2 、特に7〜30mg/m
2 の範囲にあることが望ましい。
【0067】クロメート処理ニッケルめつき鋼板は、冷
間圧延鋼板基質の上にニッケル層とその上のクロメート
層からなる。ニッケル層の厚みは耐腐食性に関連するも
のであり、その量は、30〜3000mg/m2 、特に
loo〜1000mg/m2の範囲にあることが望まし
い。またクロメート層は非金属クロム層単層又は金属ク
ロム層を含んでいてもよい。クロメート層の厚みは、塗
膜密着性や接着剥離強度に関運するものであり、クロム
量として3〜200mg/m2 、特に5〜150mg/
2 に範囲にあることが望ましい。
【0068】クロメート処理鉄・錫合金めつき鋼板は、
冷間圧延鋼板基質の上に鉄・錫合金層と、その上のクロ
メート層からなる。鉄・錫合金層の厚みは、耐腐食性に
関連するものであり、その量は錫量として30〜800
mg/m2 、特に200〜700mg/m2 の範囲にあ
ることが望ましい。またクロメート層は非金属クロム層
単層又は金属クロム層を含んでいでもよい。クロメート
層の厚みは、塗膜密着性や接着−剥離強度に関連するも
のであり、クロム量として3〜200mg/m 2 、特に
5〜150mg/m2 の範囲にあることが望ましい。
【0069】クロメート処理錫・ニッケル合金めっき鋼
板は、冷間圧延鋼板基質上に錫・ニッケル合金層とその
上のクロメート層からなる。錫・ニッケル合金層の厚み
は耐腐食性に関連するものであり、その量は、錫量とし
て30〜800mg/m2 、特に50〜600mg/m
2 にあることが望ましい。クロメート層は非金属クロム
層又は金属クロム層を含んでいてもよい。クロメート層
の厚みは塗膜密着性や接着剥離強度に関連するものであ
り、クロム量として3〜200mg/m2 、特に5〜1
50mg/m2 の範囲にあることが望ましい。錫・ニッ
ケル合金層に少量の鉄、マンガン、亜鉛、モリブデン、
銅等を耐食性向上のために添加することもできる。錫・
ニッケル合金層と鋼板の間にニッケル層又は錫層を設け
ることもできる。
【0070】クロメート処理鉄・錫・ニッケル合金めっ
き鋼板は、冷間圧延鋼板基質上に鉄・錫・ニッケル合金
めつき層とその上のクロメート層からなる。鉄・錫・ニ
ッケル合金めっき層の厚みは、耐腐食性に関連するもの
であり、その量は、錫量として10〜800mg/
2 、特に30〜400mg/m2 にあることが望まし
い。又、クロメート層は非金属クロム単層又は金属クロ
ム層を含んでいてもよい。クロメート層の厚みは塗膜密
着性や接着剥離強度に関連するものであり、クロム量と
して3〜200mg/m2 、特に5〜150mg/m2
の範囲にあることが望ましい。又、鉄・錫・ニッケル合
金層に少量の、マンガン、亜鉛、モリブデン、銅等を耐
食性向上のために添加することもできる。
【0071】クロメート処理アルミニウムめつき鋼板
は、冷間圧延鋼板基質上にアルミニウム層とその上のク
ロメート層からなり、鋼板とアルミニウム層の間に鉄・
アルミニウム合金層を設ける場合もある。アルミニウム
層の厚みは耐腐食性に関連するものであり、その量は、
30〜3000mg/m2 であり、特に100〜250
0mg/m2 にあることが望ましい。またクロメート層
は非金属クロム単層又は金属クロム層を含んでいてもよ
い。また、クロメート層がリン酸クロメート層であって
もよい。クロメート層の厚みは、塗膜密着性や接着剥離
強度に関連するものであり、クロム量3〜200mg/
2 、特に5〜150mg/m2 の範囲にあることが望
ましい。 (44)金属基材の被覆方法:フィルム圧着(間接/直
接)、直接ラミネーション 金属基材への被覆には、公知の方法が使用できる。具体
的には、(1)あらかじめ混練機により原料樹脂を溶融
混練することで調製した本樹脂組成物をTダイス付の押
出機でフィルム化し、これを金属基材に熱圧着する方法
(この場合、フィルムは無延伸でも、1方向若しくは2
方向に延伸してあっても良い)、(2)Tダイスから出
たフィルムを直接熱圧着する方法、が挙げられる。更に
フィルムを直接熱圧着する別の方法としては、(3)T
ダイス付の押出機のホッパに本樹脂組成物の代わりに、
本樹脂組成物の原料となる樹脂及びラジカル禁止剤を投
入し、押出機内で本樹脂組成物に混練し、それを直接熱
圧着する方法が挙げられる。
【0072】更に、本発明の樹脂組成物は、被覆後の膜
内部に結晶化度を傾斜させなくても充分な耐衝撃性を発
現できる。従って、(4)樹脂組成物を溶融してバーコ
ーターやロールでコーティングする方法、(5)溶融し
た樹脂組成物に金属基材を漬ける方法、(6)樹脂組成
物を溶媒に溶解してスピンコートする方法、等により金
属基材に被覆することも可能であり、被覆方法は特に限
定されるものではない。
【0073】金属基材への被覆方法として作業能率から
最も好ましいのは、上記(1)、(2)及び(3)の方
法である。(2)の方法を使用して被覆する場合は、フ
ィルム厚みは上記と同様の理由により1〜300μmで
あることが好ましい。更に膜の表面粗度は、フィルム表
面粗度を任意に1mm長測定した結果がRmaxで50
0nm以下であることが好ましい。500nm超では熱
圧着で被覆する際に気泡を巻き込む場合がある。
【0074】また本樹脂組成物の高い衝撃性のため、延
伸をすることなく使用しても高い衝撃性を発揮する。そ
のため延伸することなく金属被覆材料として使用可能で
あり、省工程化が可能である。また無延伸で金属被覆材
料として使用する場合には温度、通板速度などの制御で
薄膜内の結晶化度を制御することは必須でなくなるた
め、プロセスウィンドウの拡大、高速製造が可能とな
る。更に製膜時、被覆時の結晶化度制御の為の温度制御
が容易であるため、性能の安定した製品の製造が可能と
なる。 (45)滑剤の使用 本発明の樹脂フィルムは、本発明の樹脂組成物からなる
樹脂フィルムであり、被覆前の樹脂フィルムでも上記の
(4)〜(6)の方法等で被覆後に形成された樹脂フィ
ルムであっても良い。また、金属基材への被覆工程や金
属基材加工時の潤滑性を向上する目的で、特開平5−1
86613号公報に開示されているような公知の滑剤が
添加されていても良い。滑剤の粒径は2.5μm以下が
好ましい。2.5μm超では樹脂フィルムの機械特性が
低下する。滑剤の添加量は金属基材の巻取性や深絞り加
工性に応じて決定されるが、0.05〜20%が好まし
い。 (46)積層方法(多層/単層、片面/両面、金属厚
み) また、本発明の樹脂フィルムを金属基材に被覆する際に
は、金属基材の片面及び/又は両面に、少なくとも上記
樹脂フィルムを用いて単一層状に又は多層状に積層して
被覆することができる。この際に、1又は2種類以上の
樹脂フィルムを用いて金属基材の片面及び/又は両面に
単一層状にあるいは多層状に積層しても良く、また、必
要に応じてPETフィルム、ポリカーボネートフィルム
等のポリエステルフィルムや、ポリエチレンフィルム等
のポリオレフィンフィルムや、6−ナイロンフィルム等
のポリアミドフィルムや、アイオノマーフィルム等の他
の公知の樹脂フィルム、あるいは、結晶/非結晶ポリエ
ステル組成物フィルム、ポリエステル/アイオノマー組
成物フィルム、ポリエステル/ポリカーボネート組成物
フィルム等の公知の樹脂組成物フィルムをその下層及び
/又は上層に積層して被覆しても良い。具体的な積層方
法としては、上述の(1)、(2)及び(3)の方法を
使用する場合、多層のTダイスを使用して本発明の樹脂
フィルムと他の樹脂フィルムや樹脂組成物フィルムとの
多層膜を製造し、これを熱圧着する方法がある。また、
上述の(4)〜(6)の方法を使用する場合、他の樹脂
組成物を被覆した後に本発明の樹脂組成物を被覆した
り、逆に本発明の樹脂組成物を被覆した後に他の樹脂組
成物を被覆することにより、多層に積層することが可能
である。
【0075】本発明の樹脂被覆金属基材は本発明の樹脂
フィルムが被覆された金属基材であり、被覆は片面であ
っても両面であっても良い。金属基材の厚みは特に制限
するものではないが、0.01〜5mmであることが好
ましい。0.01mm未満では強度が発現し難く、5m
m超では加工が困難である。 (47)接着剤 本発明の樹脂被覆金属基材は、本発明の樹脂フィルムが
被覆されていれば良く、必要に応じて公知の樹脂フィル
ムを本発明の樹脂フィルムの下層及び/又は上層に積層
して金属基材に被覆しても良い。また、公知の接着剤を
金属基材と本発明の樹脂フィルムとの間に積層すること
も可能である。接着剤を例示すると、特公昭60−1
2,233号公報に開示されるポリエステル樹脂系の水
系分散剤、特公昭63−13829号公報に開示される
エポキシ系接着剤、特開昭61−149341号公報に
開示される各種官能基を有する重合体等が挙げられる。 (プライマー層)本発明の樹脂被覆金属基材において
は、上述したように、基材たる金属基材と、特性の組成
を有する樹脂組成物層との間に、プライマー層が配置さ
れている。このようなプライマー層を構成する成分ない
し組成は特に制限されず、従来より樹脂被覆金属基材、
樹脂被覆金属容器(例えば、缶体)等に使用されている
プライマー構成から適宜選択して使用することが可能で
ある。
【0076】接着用プライマーは、金属基材1と樹脂組
成物層2との双方に強い密着性を示すのみならず、金属
基材1の耐腐食性を更に向上させることもできる。密着
性と耐腐食性とに優れたプライマーとしては、特公昭6
0−12233号公報に示されるポリエステル樹脂系の
水系分散剤、特公昭63−13829号公報に示される
エポキシ系接着剤、特開昭61−149341号公報に
示される各種官能基を有する重合体、特開平5−269
917号公報に示されるポリアミドジカルボン酸変性エ
ポキシ樹脂等が挙げられる。
【0077】(接着)プライマー層は、一般に0.3〜
2μmの厚みに設けることが好ましい。接着プライマー
にかえて、ポリエステル系樹脂組成物層2と金属基材1
(例えば、表面処理鋼板)との両者に対して接着性を示
すことが知られている公知の接着剤、例えばイソシアネ
ート系接着剤、エポキシ系接着剤等の熱硬化型接着剤
や、コポリエステル型熱接着剤等の熱可塑性接着剤を使
用することもできる。
【0078】該プライマー層の金属および樹脂組成物層
との間で耐衝撃性、耐食性等をより効果的に発揮させる
点からは、プライマーとして、(1)フェノールとホル
ムアルデヒドとから誘導されるレゾール型フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹
脂とからなるフェノール−エポキシ系塗料(特公平7−
10696号公報に記載);および、 (2)50〜98質量%のポリアミドジカルボン酸変性
エポキシ樹脂と、2〜50質量%の硬化剤樹脂と、0.
05〜10質量%の硬化触媒とを含むエポキシ樹脂組成
物(特開平5−269917号公報に記載)、の少なく
とも一方を含むことが好ましい。 (好適な積層形態の例示)図2〜6には、上記した基本
的な態様(図1)に、必要に応じて追加的な層を配置し
た例を示す。
【0079】図2の態様においては、樹脂組成物層3a
が顔料(好ましくは、酸化チタン等の白色顔料)を含む
以外は、図1の態様と同様である。この樹脂組成物層3
aに含有された顔料は、下地色の隠蔽性に優れる(白色
顔料の場合には、しかも白色を呈する)。したがって、
容器内側にこのような脂組成物層3aを配置した場合に
は、地金の色の隠蔽により、内容物の「見た目」の色の
変化を効果的に防止できる(このような色変化の防止に
より、摂取する消費者の心理的不快感を防止できる)。
他方、容器外側にこのような脂組成物層3aを配置した
場合には、容器外側の印刷色の明瞭性を効果的に向上さ
せることが可能となる(容器外側の印刷の明瞭性は、そ
れによる美観とも相まって、同種の内容物を含むものと
の間での消費者の選択行動に影響を与える可能性が高
い)。
【0080】図3の態様においては、樹脂組成物層3
(図1)または樹脂組成物層3a(図2)の上に、更に
上層4が配置されてなる以外は、図1または図2の態様
と同様である。この上層4を配置した場合には、加工、
殺菌(例えば、130℃程度のレトルト殺菌)時の環
境、保管・貯蔵の各段階における樹脂組成物層3(また
は樹脂組成物層3a;図3の態様において以下同様)の
クラック発生・拡大の防止、および/又は樹脂組成物層
3に含まれる可能性のある低融点成分(例えば、エラス
トマー、アイオノマー、プライマー、接着剤等)の各樹
脂層および/又はクラックを介する表面への溶出を、よ
り高いレベルで防止することが可能となる。
【0081】このような上層4の組成は特に制限されな
いが、上記したバリア性を高いレベルで発揮させる点か
らは、飽和ポリエステル樹脂、特に、ジカルボン酸とジ
ヒドロキシ化合物とから誘導される結晶性飽和ポリエス
テル樹脂(ジカルボン酸成分100モル%中、テレフタ
ル酸99〜85モル%、イソフタル酸1〜15モル%を
含むことが好ましい)が好適に使用可能である。
【0082】この上層4には、必要に応じて、顔料(好
ましくは、酸化チタン等の白色顔料)を含んでいてもよ
い。図4の態様においては、樹脂組成物層3(図1)ま
たは樹脂組成物層3a(図2)の上に、上層4aが配置
され、且つ、プライマー層2と樹脂組成物層3(または
樹脂組成物層3a;図4の態様において以下同様)との
間に中間層4bが配置されてなる以外は、図1または図
2の態様と同様である。このように上層4aおよび中間
層4bを配置した場合には、更に、低融点成分の表面へ
の溶出防止のより高い効果を得ることが可能となり、バ
リア性が更に向上するという利点を得ることができる。
【0083】このような上層4aおよび中間層4bの組
成は特に制限されないが、上記したバリア性を高いレベ
ルで発揮させる点からは、飽和ポリエステル樹脂、特
に、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導され
る結晶性飽和ポリエステル樹脂(ジカルボン酸成分10
0モル%中、テレフタル酸99〜85モル%、イソフタ
ル酸1〜15モル%を含むことが好ましい)が好適に使
用可能である。上層4aおよび中間層4bの組成は同じ
でもよく、また必要に応じて異なっていてもよい。ま
た、これらの上層4aおよび/又は中間層4bは、必要
に応じて、上記した顔料(好ましくは、酸化チタン等の
白色顔料)を含んでいてもよい。
【0084】図5の態様においては、樹脂組成物層3a
(図2)が、隣接する層が互いに顔料組成が異なる3個
の層(プライマー層2側から3b、3c、および3d)
に分けられている以外は、図2の態様と同様である。こ
のように樹脂組成物層3aを互いに顔料組成が異なる3
個の樹脂組成物層3b、3c、および3dに分けた場合
には、下地色の隠蔽性を高めつつ、しかも顔料による成
形工具の摩耗を更に低減できるという利点を得ることが
できる。
【0085】このような態様において樹脂組成物層3
b、3c、および3dは、隣接する層が互いに顔料組成
が異なっていれば足りる(層3bおよび3dの顔料組成
は同じでもよく、また必要に応じて異なっていてもよ
い)。ここに「顔料組成が異なる」とは、1以上の種類
のトータルの顔料濃度が異なる場合、および/又は顔料
組成が異なる(すなわち、いずれか1種類以上の顔料濃
度が異なる)場合のいずれをも包含する。すなわち、図
5の態様は、例えば、以下の場合を包含する。
【0086】(1)層3cは顔料を含むが、層3bおよ
び3dは顔料を含まない。 (2)層3cおよび層3bは顔料を含む(これらの層
は、互いに顔料組成が異なる)が、層3dは顔料を含ま
ない。 (3)層3cおよび層3dは顔料を含む(これらの層
は、互いに顔料組成が異なる)が、層3bは顔料を含ま
ない。
【0087】(4)樹脂組成物層3b、3c、および3
dは、いずれも顔料を含むが、隣接する樹脂組成物層3
bおよび3cは互いに顔料組成が異なり、また、隣接す
る樹脂組成物層3dおよび3cは互いに顔料組成が異な
る。樹脂組成物層3bおよび3d樹脂組成は同じでもよ
く、また必要に応じて異なっていてもよい。上記した顔
料としては、酸化チタン等の白色顔料が好適に使用可能
である。
【0088】これらの層のうち、比較的多量の顔料を含
む樹脂組成物層3cは、該樹脂組成物層3c全体を基準
として、10〜50質量%(更には10〜30質量%)
の顔料を含むことが好ましい。他方、比較的少量の顔料
を含む樹脂組成物層3bおよび/又は3dは、(顔料を
含む場合には)該樹脂組成物層3bまたは3d全体を基
準として、0.05〜10質量%(更には0.05〜3
質量%)の顔料を含むことが好ましい。
【0089】また、比較的多量の顔料を含む樹脂組成物
層3cの顔料の含有量をX(%)とし、比較的少量の顔
料を含む樹脂組成物層3b又は3dの顔料の含有量をY
(%)とした場合これらの比(Y/X)は、0.5以下
(更には0.1以下)程度であることが好ましい。図6
の態様においては、上記した図1〜5の樹脂層(3、3
a、3b、3c、4、4a、および/又は4bの1種以
上を含む;ただし、層3または3aは必ず含む)5の上
に、更にトップコート層6が配置されてなる以外は、図
1〜5のいずれかに示した態様と同様である。このトッ
プコート層6を配置した場合には、更に高い耐食性が可
能となるという利点が得られる。トップコート層6を構
成する材料は特に制限されず、従来より樹脂被覆金属基
材のトップコート層として公知のものから適宜選択して
使用可能である。 (トップコート層)本発明において、トップコート層3
(図1)を構成する材料は特に制限されず、公知のもの
から適宜選択した使用することが可能である。PETフ
ィルム等のポリエステル系フィルムへの密着性の点から
は、(a)水酸基含有ポリエステルと、(b)エポキシ
樹脂、フェノール樹脂およびアミノ樹脂から選ばれた少
なくとも1種との組合せを用いることが好ましい。
【0090】本発明において、トップコート層を構成す
る熱硬化性樹脂中に好適に含有される水酸基含有ポリエ
ステル樹脂としては、グリコール成分として、(i)ト
リメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリト
ール、マンニトール、ソルビトール等の3価以上の多価
アルコールと、(ii)エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコ
ール等の2価アルコールとの組合せを、テレフタル酸、
イソフタル酸、アジビン酸、セバチン酸、アゼライン酸
等の二塩基酸成分と重縮合させて得られたポリエステル
樹脂が好適に使用可能である。
【0091】このポリエステルは、1000〜2000
の数平均分子量(Mn)と3〜8の水酸基価とを有する
ことが好ましい。このポリエステルと組合せて用いるエ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂或いはアミノ樹脂は何れ
も、ポリエステル中の水酸基に対して反応性を有するも
のであり、これにより硬化した樹脂被覆が形成される。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピハロヒ
ドリンとの重縮合で得られた数平均分子量1400〜4
000およびエポキシ当量1000〜4000のエポキ
シ樹脂が好適に使用可能である。フェノール樹脂として
は、単環又は多環フェノール(ビスフェノール類)とホ
ルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下に縮合して得ら
れるレゾール型フェノールホルムアルデヒド樹脂、特に
平均分子量が1000〜3000のものが好適に使用可
能である。また、アミノ樹脂としては、尿素、メラミ
ン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等とホルムア
ルデヒドとを塩基性触媒の存在下に重縮合させてなる樹
脂が好適に使用可能である。これらの樹脂は単独でも、
必要に応じて2種以上の組合せでも好適に使用可能であ
る。
【0092】ポリエステル樹脂成分と、エポキシ樹脂等
の硬化剤樹脂成分との質量比は、80:20〜40:6
0の範囲内にあることが好ましい。ポリエステル樹脂成
分として、水酸基末端ポリエステルとエポキシ樹脂とを
反応させて、エポキシ−ポリエステル・ブロックコポリ
マ一とし、これをフェノール樹脂やアミノ酸との組合せ
でトップコート層として用いることもできる。
【0093】本発明の一つの態様では、トップコート層
がゴ−ルドの色相を有する。このゴールドの色相は、例
えば、トップコート層中にフェノール樹脂を含有させる
ことにより得られる。このタイプの塗料の好適な例は、
フェノール・エポキシ・ポリエステル塗料である。この
場合、塗膜の厚みは0.5〜6μmの範囲にあることが
望ましい。
【0094】本発明の別の態様では、トップコート層が
ホワイトの色相を有する。このホワイトの色相は、熱硬
化性樹脂中に二酸化チタン(例えばルチル或いはアナタ
ーゼ)等の白色顔料を含有させることにより得られる。
二酸化チタンの配合量は樹脂(100質量%)当り30
〜60質量%、特に35〜50質量%であることが好ま
しい。この際に用いる樹脂はクリアーであることが色相
の点で望まし<、このためにアミノ・エポキシ・ポリエ
ステル塗料又はアミノポリエステル塗料が好適に使用可
能である。このタイプのトップコート層は、5〜15μ
mの厚みを有することが望ましい。
【0095】このように、トップコート層としてゴール
ドのもの、或いはホワイトのものを使用することによ
り、開缶後の缶内面が美麗なものとなり、透明なフィル
ム層を介して金属基材が透視されずに隠蔽され、したが
って本発明の樹脂被覆金属基材に優れた外観特性、商品
価値を付与することができる。また、トップコート層に
は、素材搬送中において発生する傷を防止するために、
滑剤を予め含有させることができる。 (ポリエステル系樹脂組成物層の処理等)上記したポリ
エステル系樹脂組成物層2の厚みは、腐食成分に対する
バリア性と加工性との兼ね合いから、8〜50μm、特
に12〜40μmの厚みを有することが望ましい。
【0096】ポリエステル系樹脂組成物層2への接着用
プライマーないし接着剤との密着性を高め、且つトップ
コート層3の塗布性を高める点からは、ポリエステル系
樹脂組成物層2の表面を、必要に応じてコロナ放電処理
しておいてもよい。コロナ放電処理の程度は、その濡れ
張力が44dyne/cm以上となるようなものである
ことが望ましい。
【0097】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーティ
ング処理を行なうことも可能である。 (樹脂被覆金属基材の製法)本発明の樹脂被覆金属基材
は特に制限されず、従来公知の製法から適宜選択して使
用することが可能である。本発明の樹脂被覆金属基材を
構成する各層の積層ないしラミネートは、任意の順序で
行うことができる。
【0098】本発明の樹脂被覆金属基材の好適な製法の
例を、図7および図87の模式断面図に示す。図7を参
照して、この態様においては、外面フィルムも同時にラ
ミネートする方法を示す。この製法は、フィルムの一方
の面にエポキシ系熱硬化性接着プライマーを塗布する工
程と、金属基材前記フィルムを接着プライマー層と金属
基材とが対面する位置関係でラミネートする工程と、得
られるラミネート材の容器内面となるべき表面にトップ
コート層用熱硬化性塗料を塗装焼き付けする工程と、金
属基材の容器外面となるべき表面に外面保護膜を形成す
る工程とを含む。
【0099】また、他の好適な態様を示す模式断面図た
る図8を参照して、この態様においては、フィルムの容
器内面となるべき表面にトップコート用熱硬化性樹脂塗
料を塗布し、該フィルムの他方の面にエポキシ系熱硬化
性接着ポリマーを塗布する工程と、金属基材の一方の面
に、前記フィルムを、接着プライマー層と金属基材とが
対面する位置関係で施す工程と、得られるラミネート材
を、接着プライマー層およびトップコート層熱硬化性樹
脂塗膜が硬化するように熱処理する工程とにより、絞り
加工用のラミネー板を製造する。
【0100】接着プライマーを塗布されたフイルムを鋼
板にラミネートする場合、金属基材の温度は230℃〜
250℃に達するようにすることが望ましい。 (48)製缶方法 本発明の樹脂被覆金属容器は、本発明の樹脂被覆金属基
材からなる樹脂被覆金属容器で公知の加工法により成形
できる。具体的にはドローアイアニング成形、ドローリ
ドロー成形、ストレッチドロー成形、ストレッチドロー
アイアニング成形等が挙げられるが、本発明の樹脂被覆
金属基材を使用した樹脂被覆金属容器であれば良く、成
形法は前記の成形法に限定するものではない。
【0101】本発明の樹脂組成物層を構成する樹脂組成
物は、ポリエステル樹脂(A)、極性基を有するユニッ
トを1質量%以上含有するビニル重合体(B)及びラジ
カル禁止剤の3元成分を含有している。樹脂組成物
(I)100質量部に対して、ラジカル禁止剤を0.0
01〜7質量部含有する樹脂組成物であることが好まし
い。本発明においては、ビニル重合体(B)によりポリ
エステル樹脂(A)の耐衝撃性が改善でき、金属基材と
樹脂組成物との密着性も良好である。更に、ラジカル禁
止剤の添加により樹脂組成物の分解が抑制され、分解生
成物が溶出することが少ない。
【0102】また本発明に用いる樹脂組成物はポリエス
テル樹脂(A)、極性基を有するユニットを1質量%以
上含有するビニル重合体(B)及びラジカル禁止剤の他
に、ゴム状弾性樹脂体(C)を含有する樹脂組成物であ
り、特にポリエステル樹脂(A)中にビニル重合体
(B)でカプセル化されたゴム状弾性樹脂体(C)が微
細分散している構造を有する樹脂組成物(I)100質
量部に対して、ラジカル禁止剤を0.001〜7質量部
含有させてなる樹脂組成物が、ゴム状弾性樹脂体(C)
によりポリエステル樹脂(A)の耐衝撃性が改善でき、
更にビニル重合体(B)でゴム状弾性樹脂体(C)をカ
プセル化しているため、ポリエステル樹脂(A)とゴム
状弾性樹脂体(C)との相溶性を改善し、耐衝撃性を向
上させる共に、金属基材とゴム状弾性樹脂体(C)との
直接接触を防止して金属基材と樹脂組成物との密着性を
確保できる点で優れている。更に、ラジカル禁止剤の添
加により樹脂組成物の分解が抑制され、分解生成物が溶
出する事も少ない。
【0103】この結果、本発明の樹脂組成物によりコー
トされた樹脂被覆金属基材は、成形性、耐熱性、耐衝撃
性、耐薬品性、機械強度、ガスバリア性、金属と樹脂層
との密着性等に優れると共に、フレーバー性にも優れて
いるため、樹脂成形体などに好適に使用することが可能
である。また、本発明の樹脂被覆金属基材は、上記の樹
脂組成物若しくは樹脂フィルムが金属基材の片面若しく
は両面を被覆しているため、樹脂と金属基材との密着
性、耐食性、耐衝撃性、加工性に優れると共に、塗装・
印刷特性にも優れ意匠性を付与し易く、更にラジカル禁
止剤の添加によって、樹脂の分解が抑制されていること
から、金属缶等の金属容器、家電製品の筐体や金属製家
具等の部材、自動車外板等の自動車用部材、内装壁やド
ア等の建材用内外装部材等に広く使用できる。特に、絞
り成形時や絞りしごき成形時の樹脂の加工追従性に優れ
ており、外観に優れた金属容器を形成し得る。
【0104】更に、本発明の樹脂被覆金属基材から成形
された容器(例えば、缶体)は、本発明の樹脂被覆金属
基材を成形してなる金属容器なので、打缶、缶詰工程、
運搬時の衝撃に耐え得る耐衝撃性、製缶後の乾燥、印
刷、焼付等に耐え得る耐熱性を有し、特にフレーバー性
(保香性)に優れた長期保存性を有する。従って、清涼
飲料水や食品等の容器として好適に使用することができ
る。
【0105】以下、実施例・参考例および比較例に基づ
いて、本発明を更に具体的に説明する。
【0106】
【実施例】以下の実施例および比較例において、ポリエ
ステル樹脂(A)としてポリエチレンテレフタレート
(PET)[東洋紡(株)製RN163]、ポリブチレ
ンテレフタレート(PBT)[東レ(株)製1401−
X04]、極性基を有するユニットを1質量%以上有す
るビニル重合体(B)としてエチレン系アイオノマー
[三井デュポン(株)製ハイミラン1706、170
7]、エチレン−メタクリル酸共重合体[三井デュポン
(株)製ニュークレルN1035]、およびコア−シェ
ルタイプゴム状弾性体としてポリブチルアクリレート−
ポリメタクリル酸メチル共重合体(MBA)[呉羽化学
(株)製パラロイドEXL2314]、ゴム状弾性体樹
脂(C)としてエチレン−プロピレンゴム(EPR)
[JSR(株)製EP0 7P]、エチレン−ブテンゴム
(EBM)[JSR(株)製EBM2 041P]を使用
した。製造例1〜15 表1に示す各樹脂とラジカル禁止剤のテトラキス[メチ
レン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイド
ロシンナメート)]メタンとを表1に示す各組成比で、
V型ブレンダーを使用してドライブレンドした。各樹脂
の組成は表1に示すとおりで、ラジカル禁止剤はいずれ
の場合も樹脂組成物(I)100質量部に対して0.1
質量部を添加した。この混合物を2軸押出機で260℃
で溶融混練してラジカル禁止剤を含有する樹脂組成物ペ
レットを得た。
【0107】本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片
を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル
樹脂(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型
電子顕微鏡で解析した。またゴム状弾性体樹脂(C)を
添加した場合にはポリエステル樹脂(A)中のビニル重
合体(B)およびゴム状弾性体樹脂(C)の分散状態を
透過型電子顕微鏡で解析した。この結果、ゴム状弾性体
樹脂(C)を添加しない場合にはビニル重合体(B)の
等価球換算径は表1に示すように1μm以下でポリエス
テル樹脂(A)中に微細分散していた。またゴム状弾性
体樹脂(C)を添加した場合は,何れもゴム状弾性体樹
脂(C)はビニル重合体(B)でほぼ100%カプセル
化されており、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算径
は表1に示すように1μm以下でポリエステル樹脂
(A)中に微細分散していた。
【0108】
【表1】
【0109】(注)上記の表中、各樹脂の質量%は、ラ
ジカル禁止剤を含まない樹脂の総質量に対する添加質量
部を示す。 本ペレットを使用して押出しTダイスで30μm厚みの
フィルムを得た(押出温度:280℃)。本フィルムを
250℃に加熱した0.19mm厚みのティンフリース
チールの両面に張り合わせ、水冷により10秒以内に1
00℃以下まで急冷した。
【0110】このようにして得られた常温の樹脂被覆金
属基材について、下記に示す評価方法により、保香性、
保味性、密着性、常温耐衝撃性および低温耐衝撃性の各
項目の評価を行った。なお、保香性および保味性の評価
は同一の試験片を使用して評価し、密着性、常温耐衝撃
性および低温耐衝撃性は、保香性および保味性を評価し
た試験片とは異なる試験片を使用して評価した。<保香
性および保味性>上記の樹脂被覆金属基材(12.5c
m×8cm角)を蒸留水(300mL)とともにガラス
製容器に入れ,ガラス栓にて密閉した後,85℃で7日
間加熱した。内容水の香りおよび味の変化を以下の基準
で官能評価した。結果を表2に示す。 ◎:香りまたは味の変化はなかった ○:香りまたは味の変化がわずかに認められる △:香りまたは味の変化が認められる ×:不快な香りまたは味が認められた
【0111】
【表2】
【0112】<密着性,常温耐衝撃性および低温耐衝撃
性>上記の樹脂被覆金属基材を、クエン酸1.5質量%
−食塩1.5質量%の水溶液(UCC液)に室温で24
時間浸漬した後、フィルムの剥がれた長さ(mm)(1
0サンプルの平均)で評価した。評価は、◎:0.0m
m、○:0.0〜0.5mm、△:0.5〜2.0m
m、および×:2.0mm超とした。密着試験の結果を
表2に示す。
【0113】更に、本樹脂被覆金属基材の耐衝撃性評価
をデュポン式の落垂衝撃試験で行なった。30cmの高
さから金属基材に0.5kgの鉄球を落とした後、サン
プルの凸状に膨らんだ側(r=8mm)が上面となるよ
うに金属基材を底面にして、凸状部位の周囲に柔らかい
ゴム状の樹脂で壁を形成し、その中に1.0%食塩水を
入れて、サンプルを陽極とし、凸状部位近傍に設置した
白金を陰極として+6Vの電圧をかけた際のERV値
(mA)を測定した。ERV値は以下の指標により評価
した。また、樹脂被覆金属基材を0℃の恒温槽に24時
間入れた後、同様の耐衝撃性評価を行い、低温での耐衝
撃性を評価した。評価は、◎:全サンプルが0.01m
A未満、○:1〜3サンプルが0.01mA以上、△:
3〜6サンプルが0.01mA以上、×:7サンプル以
上が0.01mA以上、の基準で行なった。結果を表3
に示す。
【0114】
【表3】
【0115】(製造例16〜28)上記製造例2に示し
た各樹脂の組成比(ポリエステル樹脂(A):ビニル重
合体(B)=92:8)の樹脂組成物を調製する際に、
ラジカル禁止剤としてテトラキス[メチレン(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメー
ト)]メタンの代わりに、表4に示す各種ラジカル禁止
剤を樹脂組成物(I)100質量部に対して各0.1質
量部添加して、樹脂組成物ペレットを調製した。本樹脂
組成物からミクロトームで超薄切片を切り出した後、ル
テニウム酸で染色し、ポリエステル樹脂(A)中のビニ
ル重合体(B)の分散状態を透過型電子顕微鏡で解析し
た。この結果、ビニル重合体(B)の等価球換算径は製
造例2と同等であり、1μm以下でポリエステル樹脂
(A)中に微細分散していた。
【0116】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性
の各項目の評価を行った。結果を表4に示す。
【0117】
【表4】
【0118】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 (製造例29)上記製造例5に示した各樹脂の組成比
(ポリエステル樹脂(A):ビニル重合体(B):ゴム
状弾性体(C)=87:3:10)の樹脂ペレット及び
ラジカル禁止剤のテトラキス[メチレン(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]
メタン(樹脂ペレット100質量部に対して0.01
%)を加え、V型ブレンダーを使用してドライブレンド
した。この混合物をT型ダイス付2軸押出機で260℃
で溶融混練し、幅30mm、厚さ25ミクロンのフィル
ムに製膜した。本フィルムからミクロトームで超薄切片
を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル
樹脂(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型
電子顕微鏡で解析した。またゴム状弾性体樹脂(C)を
添加した場合にはポリエステル樹脂(A)中のビニル重
合体(B)及びゴム状弾性体樹脂(C)の分散状態を透
過型電子顕微鏡で解析した。この結果、ゴム状弾性体樹
脂(C)はビニル重合体(B)でほぼ100%カプセル
化されており、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算径
は0.6μmでポリエステル樹脂(A)中に微細分散し
ていた。本フィルムを使用して製造例5と同様にして樹
脂被覆金属基材を調製し、製造例5と同様の評価方法に
より、評価を行った。結果を表5に示す。
【0119】
【表5】
【0120】(製造例30〜42)上記製造例5に示し
た各樹脂の組成比(ポリエステル樹脂(A):ゴム状弾
性体樹脂(C):ビニル重合体(B)=87:10:
3)の樹脂組成物を調製する際に、ラジカル禁止剤とし
てテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンの代わり
に、表6に示す各種ラジカル禁止剤を樹脂組成物(I)
100質量部に対して各0.1質量部添加して、樹脂組
成物ペレットを調製した。本樹脂組成物からミクロトー
ムで超薄切片を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、
ポリエステル樹脂(A)中のビニル重合体(B)、ゴム
状弾性体樹脂(C)の分散状態を透過型電子顕微鏡で解
析した。この結果、何れもゴム状弾性体樹脂(C)はビ
ニル重合体(B)でほぼ100%カプセル化されてお
り、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算径は製造例1
と同等であり、1μm以下でポリエステル樹脂(A)中
に微細分散していた。
【0121】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性
の各項目の評価を行った。結果を表6に示す。
【0122】
【表6】
【0123】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 (製造例43〜47)上記製造例2に示した各樹脂の組
成比(ポリエステル樹脂(A):ビニル重合体(B)=
92:8)の樹脂組成物を調製する際に、ラジカル禁止
剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを
表7に示す割合で添加して樹脂組成物ペレットを調製し
た。本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片を切り出
した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル樹脂
(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型電子
顕微鏡で解析した。この結果、ビニル重合体(B)の等
価球換算径は0.5μm以上1μm以下でポリエステル
樹脂(A)中に微細分散していた。
【0124】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性
の各項目の評価を行った。結果を表7に示す。
【0125】
【表7】
【0126】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 (製造例48〜52)上記製造例6に示した各樹脂の組
成比(ポリエステル樹脂(A):ゴム状弾性体樹脂
(C):ビニル重合体(B)=87:10:3)の樹脂
組成物を調製する際に、ラジカル禁止剤としてテトラキ
ス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シハイドロシンナメート)]メタンを表6に示す割合で
添加して樹脂組成物ペレットを調製した。本樹脂組成物
からミクロトームで超薄切片を切り出した後、ルテニウ
ム酸で染色し、ポリエステル樹脂(A)中のビニル重合
体(B)、ゴム状弾性体樹脂(C)の分散状態を透過型
電子顕微鏡で解析した。この結果、何れもゴム状弾性体
樹脂(C)はビニル重合体(B)でほぼ100%カプセ
ル化されており、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算
径は0.3μm以上1μm以下でポリエステル樹脂
(A)中に微細分散していた。
【0127】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性
の各項目の評価を行った。結果を表8に示す。
【0128】
【表8】
【0129】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 (製造例53)上記製造例2に示した各樹脂の組成比
(ポリエステル樹脂(A):ビニル重合体(B)=9
2:8)の樹脂組成物を調製する際に、ポリエステル樹
脂(A)としてPETを、ビニル重合体(B)としてラ
ジカル禁止剤をあらかじめ添加した1706を使用し
た。すなわち1706の100質量部とテトラキス[メ
チレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイ
ドロシンナメート)]メタンを0.01質量部をV型ブ
レンダーを使用してドライブレンドし、この混合物を2
軸押出機で150℃で溶融混練してラジカル禁止剤を含
有するビニル重合体(B)のペレットを得た。このペレ
ットとポリエステル樹脂(A)のペレットをV型ブレン
ダーを使用してドライブレンドし、この混合物を2軸押
出機で260℃で溶融混練して樹脂組成物ペレットを調
製した。本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片を切
り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル樹脂
(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型電子
顕微鏡で解析した。この結果、ビニル重合体(B)の等
価球換算径は0.7μmでポリエステル樹脂(A)中に
微細分散していた。
【0130】このようにして調製したペレットを使用し
て上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保香
性、保味性、密着性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性の
各項目の評価を行った。結果を表9に示す。
【0131】
【表9】
【0132】(製造例54)上記製造例5に示した各樹
脂の組成比(ポリエステル樹脂(A):ゴム状弾性体樹
脂(B):ビニル重合体(C)=87:10:3)の樹
脂組成物を調製する際に、ポリエステル樹脂(A)とし
てPETを、ゴム状弾性体樹脂(B)としてEBMを、
ビニル重合体(C)としてラジカル禁止剤をあらかじめ
添加した1706を使用した。すなわち1706の10
0質量部とテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン
を0.01質量部をV型ブレンダーを使用してドライブ
レンドし、この混合物を2軸押出機で150℃で溶融混
練してラジカル禁止剤を含有するビニル重合体(B)の
ペレットを得た。このペレットとポリエステル樹脂
(A)及びゴム状弾性体樹脂(C)のペレットをV型ブ
レンダーを使用してドライブレンドし、この混合物を2
軸押出機で260℃で溶融混練して樹脂組成物ペレット
を調製した。本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片
を切り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル
樹脂(A)中のビニル重合体(B)、ゴム状弾性体樹脂
(C)の分散状態を透過型電子顕微鏡で解析した。この
結果、ゴム状弾性体樹脂(C)はビニル重合体(B)で
ほぼ100%カプセル化されており、ゴム状弾性体樹脂
(C)の等価球換算径は0.5μmでポリエステル樹脂
(A)中に微細分散していた。
【0133】このようにして調製したペレットを使用し
て上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保香
性、保味性、密着性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性の
各項目の評価を行った。結果を表10に示す。
【0134】
【表10】
【0135】(製造例55〜58)表11に示す各樹脂
及びラジカル禁止剤としてテトラキス[メチレン(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメ
ート)]メタンをV型ブレンダーを使用してドライブレ
ンドした。各樹脂の組成は表11に示すとおりで、ラジ
カル禁止剤はいずれの場合も樹脂組成物(I)100質
量部に対して0.1質量部添加した。この混合物を2軸
押出機で230℃で溶融混練して樹脂組成物ペレットを
得た。製造例1〜15と同様にして分散状態を解析した
結果、分散粒子の等価球換算径は表10に示すように
0.3μm以上1μm以下でポリエステル樹脂(A)中
に微細分散していた。またゴム状弾性体樹脂(C)を添
加した場合にはゴム状弾性体樹脂(C)はビニル重合体
(B)で100%カプセル化されていた。
【0136】
【表11】
【0137】(注)各樹脂のwt%は、ラジカル禁止剤
を含まない樹脂3種の総質量に対する値 更に、製造例1〜15と同様にフィルムを作成して0.
19mm厚みのティンフリースチールの両面に張り合わ
せ、保香性、保味性、密着性及び耐衝撃性を評価した。
結果を表12に示す。
【0138】
【表12】
【0139】(製造例59〜61)表13に示す各樹脂
及びラジカル禁止剤としてテトラキス[メチレン(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメ
ート)]メタンをV型ブレンダーを使用してドライブレ
ンドした。各樹脂の配合割合は表13に示すとおりで、
ラジカル禁止剤はいずれの場合も各樹脂組成物(I)1
00質量部に対して0.1質量部添加した。この混合物
を2軸押出機で240℃で溶融混練して樹脂組成物ペレ
ットを得た。製造例1〜15と同様にして分散状態を解
析した結果、コア−シェルタイプゴム状弾性体は表13
に示すように等価球換算径1μm以下でポリエステル樹
脂(A)中に微細分散していた。
【0140】
【表13】
【0141】(注)各樹脂のwt%は、ラジカル禁止剤
を含まない樹脂2種の総質量に対する値 更に、製造例1〜15と同様にフィルムを作成して(但
し、押出温度は240℃)、0.19mm厚みのティン
フリースチールの両面に張り合わせ、保香性、保味性、
密着性及び耐衝撃性を評価した。結果を表14に示す。
【0142】
【表14】
【0143】(参考製造例1〜8)表14に示す各樹脂
を、ラジカル禁止剤を加えずにV型ブレンダーを使用し
てドライブレンドした。この混合物を2軸押出機で23
0℃で溶融混練して樹脂組成物ペレットを得た。製造例
1〜11と同様にして分散状態を解析した結果、粒子の
等価球換算径は表14に示すように1μm以下でポリエ
ステル樹脂(A)中に微細分散していた。またゴム状弾
性体樹脂(C)はビニル重合体(B)で100%カプセ
ル化されていた。
【0144】
【表15】
【0145】更に、製造例1〜15と同様にフィルムを
作成して0.19mm厚みのティンフリースチールの両
面に張り合わせ、保香性、保味性、密着性及び耐衝撃性
を評価した。結果を表16に示す。
【0146】
【表16】
【0147】いずれの場合もラジカル禁止剤を添加した
樹脂組成物を使用した場合と比較して、密着性、常温耐
衝撃性、低温耐衝撃性は変化がないが、保香性、味性の
点で劣ることがわかった。(参考製造例9)ポリエステ
ル樹脂としてPETを、コア−シェルゴム状弾性体とし
てMBAを90:10の質量比で、ラジカル禁止剤を添
加せずにドライブレンドした。この混合物を2軸押出機
で240℃で溶融混練して樹脂組成物(I)ペレットを
得た。製造例1〜15と同様にして分散状態を解析した
結果、コア−シェルタイプゴム状弾性体は等価球換算径
0.25μmでポリエステル樹脂中に微細分散してい
た。更に、製造例1〜15と同様にフィルムを作成して
0.19mm厚みのティンフリースチールの両面に張り
合わせ、保香性、保味性、密着性及び耐衝撃性を評価し
た。結果を17に示す。
【0148】
【表17】
【0149】ラジカル禁止剤を添加した樹脂組成物を使
用した場合と比較して、密着性、常温耐撃性、低温耐衝
撃性は変化がないが、保香性、保味性の点で劣ることが
わかった。 (参考製造例10)参考製造例1のポリエステル樹脂
(A):ビニル重合体(B)=92:8の樹脂組成物を
調製する際に、金属不活性化剤として3−(N−サリチ
ロイル)アミノ−1、2、4−トリアゾールを樹脂組成
物(I)100質量部に対して0.1質量部添加して樹
脂組成物ペレットを調製した。製造例1〜15と同様に
して分散状態を解析した結果、ビニル重合体(B)は等
価球換算径0.5μmでポリエステル樹脂中に微細分散
していた。
【0150】このようにして調製したペレットを使用し
て樹脂被覆金属基材を調製し、保香性、保味性、密着
性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性の各項目の評価を行
った。結果を表18に示す。
【0151】
【表18】
【0152】添加剤として金属不活性化剤を使用した場
合には、保香性及び保味性の改善は見られなかった。 (参考製造例11)参考製造例3のポリエステル樹脂
(A):ゴム状弾性体樹脂(C):ビニル重合体(B)
=87:10:3の樹脂組成物を調製する際に、金属不
活性化剤として3−(N−サリチロイル)アミノ−1、
2、4−トリアゾールを樹脂組成物(I)100質量部
に対して0.1質量部添加して樹脂組成物ペレットを調
製した。製造例1〜15と同様にして分散状態を解析し
た結果、ゴム状弾性体樹脂(C)はビニル重合体(B)
で100%カプセル化されており、ゴム状弾性体樹脂
(C)の等価球換算径0.5μmでポリエステル樹脂中
に微細分散していた。
【0153】このようにして調製したペレットを使用し
て樹脂被覆金属基材を調製し、保香性、保味性、密着
性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性の各項目の評価を行
った。結果を表19に示す。
【0154】
【表19】
【0155】添加剤として金属不活性化剤を使用した場
合には、保香性及び保味性の改善は見られなかった。 (参考製造例12、13)上記製造例2に示した各樹脂
の組成比(ポリエステル樹脂(A):ビニル重合体
(B)=82:8)の樹脂組成物を調製する際に、ラジ
カル禁止剤としてテトラキス[メチレン(3、5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]
メタンを下記の各割合添加して樹脂組成物ペレットを調
製した。本樹脂組成物からミクロトームで超薄切片を切
り出した後、ルテニウム酸で染色し、ポリエステル樹脂
(A)中のビニル重合体(B)の分散状態を透過型電子
顕微鏡で解析した。ビニル重合体(B)の等価球換算径
は0.3μm以上1μm以下でポリエステル樹脂(A)
中に微細分散していた。
【0156】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性
の各項目の評価を行った。結果を表20に示す。
【0157】
【表20】
【0158】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 ラジカル禁止剤の添加量が0.001質量部未満である
と、十分に保香性及び保味性が改善されないことがわか
った。また、ラジカル禁止剤の添加量が10質量部に達
すると、密着性及び耐衝撃性が低下することがわかっ
た。 (参考製造例14、15)上記製造例5に示した各樹脂
の組成比(ポリエステル樹脂(A):ゴム状弾性体樹脂
(C):ビニル重合体(B)=87:10:3)の樹脂
組成物を調製する際に、ラジカル禁止剤としてテトラキ
ス[メチレン(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シハイドロシンナメート)]メタンを下記の各割合添加
して樹脂組成物ペレットを調製した。本樹脂組成物から
ミクロトームで超薄切片を切り出した後、ルテニウム酸
で染色し、ポリエステル樹脂(A)中のビニル重合体
(B)、ゴム状弾性体樹脂(C)の分散状態を透過型電
子顕微鏡で解析した。この結果、何れもゴム状弾性体樹
脂(C)はビニル重合体(B)でほぼ100%カプセル
化されており、ゴム状弾性体樹脂(C)の等価球換算径
は0.3μm以上1μm以下でポリエステル樹脂(A)
中に微細分散していた。
【0159】このようにして調製した各ペレットを使用
して上記と同様の手法で樹脂被覆金属基材を調製し、保
香性、保味性、密着性、常温耐衝撃性及び低温耐衝撃性
の各項目の評価を行った。結果を表21に示す。
【0160】
【表21】
【0161】(注)樹脂組成物(I)100質量部に対
する添加質量部 ラジカル禁止剤の添加量が0.001質量部未満である
と、十分に保香性及び保味性が改善されないことがわか
った。また、ラジカル禁止剤の添加量が10質量部に達
すると、密着性及び耐衝撃性が低下することがわかっ
た。 (参考製造例16)特公平2−9935号公報の製造例
に基づき、PBTとPETの2層からなる2軸延伸フィ
ルム(PBT層:10μm、PET層:20μm、PE
T層のフィルム厚さ方向の屈折率:1.526)を製造
例1〜15と同一条件でティンフリースチール上に熱圧
着し(PBT層がティンフリースチールと接着するよう
に被覆)、密着性及び耐衝撃性を製造例1〜15と同様
に評価した。 (参考製造例17)特開平2−57339号公報の製造
例に基づき、2軸延伸ポリエステルフィルム(テレフタ
ル酸/イソフタル酸/エチレングリコール残基(78/
2,2/100)から構成され、比重1.3387、3
0μm厚み、面配向係数0.120のフィルム)を製造
例1〜15と同一条件でティンフリースチール上に熱圧
着し、密着性及び耐衝撃性を製造例1〜15と同様に評
価した。 (参考製造例18)特開昭64−2,2530号公報の
製造例1に基づき、108μm未延伸PETフィルムを
95℃で縦方向に2.7倍、105℃で横方向に2.6
倍に延伸した後熱処理し、約20μmの延伸フィルムを
得た。本フィルムを製造例1〜15と同一条件でティン
フリースチール上に熱圧着し、密着性及び耐衝撃性を製
造例1〜15と同様に評価した。
【0162】
【表22】
【0163】これらの従来の方法による樹脂では、十分
な密着性及び耐衝撃性が得られなかった。 (製造例62〜67、参考製造例19〜21)製造例
2、5、11、57〜59、参考製造例16〜18で得
られた樹脂被覆金属基材を、150mm径の円盤状に切
り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加
工し、55mm径の側面無継目容器(以下缶と略す)を
各々10缶作成した。
【0164】これらの缶について、以下の観察及び試験
を行い、各々下記の基準で評価した結果を表23に示
す。 (1)深絞り加工性(フィルム表層の評価) ○;全10缶について、フィルムに異常なく加工され、
缶内外面のフィルムに白化や破断が認められない。 △;1〜5缶について、缶上部にフィルムの白化が認め
られる。 ×;6缶以上について、フィルムの一部にフィルム破断
が認められる。 (2)深絞り加工性(缶内側フィルムの評価) ○;全10缶が内外面とも異常なく加工され、缶内側フ
ィルム面の防錆試験(1.0%食塩水を入れ、缶を陽極
とし、白金を陰極として+6Vの電圧をかけたと きに流れる電流値(ERV値)(mA))において、
0.1mA以下を示す。×;3缶以上が缶内側フィルム
面の防錆試験で0.1mA超を示す。 (3)耐衝撃性 深絞り加工が良好な缶について、水を満注し、各サンプ
ルにつき10缶づつ高さ10cmから塩ビタイル床面に
落とした後、缶内のERV試験を行った。 ○;全10缶が0.1mA以下であった。 △;1〜5缶が0.1mA超であった。 ×;6缶以上が0.1mA超であった。 (4)耐熱脆化性 深絞り加工が良好な缶を200℃×5分間、加熱保持し
た後、上記の方法で耐衝撃性を測定し、耐熱脆化性を評
価した。
【0165】
【表23】
【0166】以上の結果より、本発明のラジカル禁止剤
を添加した樹脂組成物は、金属との密着性及び耐衝撃性
に優れ、特に低温での耐衝撃性に優れており、さらに従
来技術に比較して保香性、保味性が優れていることが分
かる。また、本発明の樹脂被覆金属基材は被膜の加工追
従性に優れ、本発明の樹脂被覆金属容器も耐衝撃性や耐
熱脆化性に優れていることが分かる。 (参考例1:TOCと保香性の相関)92:8の組成比
で、ポリエステル樹脂(A)及びビニル重合体(B)ペ
レットをV型ブレンダーを使用してドライブレンドし
た。この混合物を2軸押出機で260℃で溶融混練して
樹脂組成物ペレットを得た。本ペレットを使用して、製
造例1〜15と同様のに樹脂被覆金属基材を調製した。
この樹脂被覆金属基材(12.5cm×8cm角)を蒸
留水(300mL)とともにガラス製容器に入れ、ガラ
ス栓にて密閉した後、85℃で所定時間後に、内容水の
TOC値(ppm)および香り及び味の変化を製造例1
〜15と同様の基準で評価した。結果を表24に示す。
【0167】
【表24】
【0168】(TOC値は島津製作所製全有機体炭素計
TOC−500を使用して測定した)以上の結果によ
り、内容水の臭気は水中に含まれる有機物質の量と相関
が有ることがわかった。 (参考例2:樹脂の種類とTOC値)製造例5に記載の
樹脂原料を使用してラジカル禁止剤を含有しない樹脂組
成物(I)のペレットを調製した。さらに製造例5に記
載の樹脂原料のうち2種を使用してラジカル禁止剤を含
有しない樹脂混合物のペレットを調製した。これらペレ
ット及び原料樹脂ペレットのTOC値を参考例1に示す
方法で、7日後に測定した。
【0169】結果を表25に示す。
【0170】
【表25】
【0171】260℃で溶融混練する条件では、原料の
樹脂3種、PETとEBMの混合樹脂、及びEBMと1
706の混合樹脂ではTOC値が低く、PET+EBM
+1706及びPET+1706の混合樹脂ではTOC
値が高いことから、TOCは単なる熱分解により生じて
いるのではないことが明らかになった。 (参考例3:PET樹脂中の金属元素分析)市販のPE
T樹脂の元素分析を行い、以下の金属元素が含有されて
いることを確認した(表中の単位はmg/Kg)。
【0172】
【表26】
【0173】(参考例4:PET樹脂中の金属元素量と
TOC値)表26記載のPET樹脂C及び、PET樹脂
Cに酸化ゲルマニウム200ppmを添加したPET樹
脂Dをそれぞれ使用して製造例5に記載の方法で、ラジ
カル禁止剤を添加せずに樹脂ペレットを調製した。この
ペレットのTOC値を参考例1の方法で7日後に測定し
たその結果PET樹脂Cを使用して調製した樹脂ペレッ
トからは5ppm、PET樹脂Dを使用して調製した樹
脂ペレットからは16ppmのTOCが観測され、酸化
ゲルマニウムが樹脂の分解を促進することが確認され
た。実施例1 製造例43で得たポリエステル系樹脂組成物フィルム
(厚さ25μm)に、後述する表28に示すプライマー
塗料を固型分として10mg/dm2 の塗工量となるよ
うに塗布し、120℃で乾燥させた。
【0174】表面処理鋼板(TFS)(板厚0.18m
m、硬度DR−8、金属クロム層100mg/m2 、オ
キサイドクロム量20mg/m2 )を250℃に加熱
し、上記で得た層をラミネートした塗工フィルムを、T
FS材の缶内面側に対応する面と、缶外面側に対応する
面に25μm厚さの該ポリエステル系樹脂組成物フィル
ムを配するように供給して熱圧着し、ラミネート後水冷
した。そして、実施例1の樹脂被覆金属基材および缶体
を製造した。実施例2〜10および参考例1〜7 後述する表27に示した材料および条件を用いた以外は
実施例1と同様にして、実施例2〜10および比較例1
〜7の樹脂被覆金属基材および缶体を製造した。なお、
実施例9、10は得られたラミネート板缶内面側にする
フィルム面に、後述する表28に示すトップコート層塗
料を乾燥塗膜厚5μmになる様にロールコーターで塗装
し、205℃で10分間焼き付けた。
【0175】このようにして得られた実施例1〜10お
よび参考例1〜7の缶体について、下記の表27に示す
評価基準で各項目を評価した。得られた結果を後述する
表28に示す。
【0176】
【表27】
【0177】上記の評価においては、常温の各実施例・
比較例の樹脂被覆鋼板を、樹脂被覆面が缶内面となるよ
うにして下記の成形条件にて絞りしごき加工を行って、
絞りしごき缶を製造した。 <成形条件>樹脂被覆金属基材を150mm径の円盤状
に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞
り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下缶と略
す)を各々10缶作製した。
【0178】(i)缶内面被覆樹脂の密着性評価 絞りしごき加工後、缶の内面を洗浄し、オーブンにて2
10℃で10分空焼き後の缶の先端部の樹脂のはがれの
程度を観察し、評価した。評価基準を表29に示す。 (ii)樹脂被膜の耐衝撃性の評価 缶外面の空焼き後の絞りしごき缶に1.0%の食塩水を
充填し、130℃で30分レトルト処理した。処理後、
室温まで冷却後、5℃の環境下で30cmの高さから4
5度の角度の鉄板底部より落下させた。落下後、缶内部
の食塩水を捨てて、衝撃部付近に少し残した食塩水を陰
極とし、缶の外壁を陽極として6Vの電流を流した。こ
のときに流れる電流値(mA)を測定した。
【0179】(iii )缶内面被覆樹脂のピンホール評価 絞りしごき加工後、オーブンにて210℃で10分空焼
き後の缶に1.0%の食塩水を充填し、食塩水を陰極と
し、缶の外壁を陽極として6Vの電流を流した。このと
きに流れる電流値(mA)を測定した。 (iv)フレーバー吸着性の評価 絞りしごき加工後、オーブンにて210℃で2分間で乾
燥した缶に、更に缶外面を塗装、焼き付けを行った。こ
うして得られた缶に20ppmのリモネンを含有する5
%エタノール溶液を充填し、20℃、10日間放置し
た。リモネンのフィルムへの吸着量を、内面にホモPE
Tを用いた缶を「100」として比較した。
【0180】(v)樹脂溶出性試験 絞りしごき加工後、オーブンにて210℃で10分間空
焼き後の缶に、蒸留水を充填し、130℃で30分レト
ルト処理した後、更に85℃で7日間熱処理した。処理
後、内容水のTOC値(ppm)を、全有機炭素計(島
津製作所( 株) 製造、全有機炭素計TOC−500)を
使用して試験した。内面にホモPETを用いた缶を「1
00」として比較した。
【0181】(vi)鉄溶出性評価 絞りしごき加工後、オーブンにて210℃で10分間空
焼き後の缶の缶胴中央部を切り出し、37℃の水に1日
浸漬させた後、5℃の環境下でデュポン衝撃試験(重錘
1kg−落下高さ 40mm、ポンチ先端径 16m
m)を行った。デュポン衝撃試験後の試験片を、(1.
5%クエン酸+1.5%食塩)のモデル試験液に38℃
で1週間浸漬後、溶出鉄量を測定した(測定装置:島津
製作所(株)製、高周波アルゴンプラズマ発光分光分析
装置、商品名:ICPS−10001V)。
【0182】
【表28】
【0183】*1:プライマー詳細名の記載の無いもの
は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂溶液と、レゾール
型フェノールホルムアルデヒド樹脂溶液とを、固形分質
量比70:30の量比で混合し、予備縮合させた、接着
プライマー塗料を使用した。 *2:エポキシフェノールポリエステル *3:缶内面側の樹脂被覆層が2軸延伸ポリエチレンテ
レフタレートフィルムである缶のフレーバー吸着量を1
00とした時の、フレーバー吸着量の比。
【0184】*4:缶内面側の樹脂被覆層が2軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルムである缶の樹脂溶出
量を100とした時の、樹脂溶出量の比。
【0185】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、金属基
材と、プライマー樹脂層と、該プライマー樹脂層上に配
置されたポリエステル系樹脂組成物層とを少なくとも含
む樹脂被覆金属基材、およびこれを少なくとも一部に含
む容器が提供される。このような構成を有する本発明の
樹脂被覆金属基材においては、金属基材を被覆する樹脂
層ないしフィルムにおけるピンホールおよび/又はクラ
ックの発生が効果的に防止され、優れた耐食性および内
容物の品質保持性(例えば、香味保持性)を実現可能で
ある。
【0186】本発明の樹脂被覆金属基材は、樹脂と金属
基材との密着性(特に絞りしごき成形性、成形加工時の
樹脂の追随性)に優れており、フィッシュアイが少なく
外観に優れた絞りしごき缶を形成しうる。この絞りしご
き缶は、打缶、缶詰工程および運搬時の衝撃に耐え得る
優れた耐衝撃性を有しており、製缶後、乾燥、印刷、焼
き付けなどの工程において加熱されても、優れた耐衝撃
性を保持している。更に、このような絞りしごき缶は、
ピンホールがなく、内容物の長期保存性に優れるととも
に内容物の香り、フレーバー性(保香性)などの保存性
にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂被覆金属基材の基本的な一態様を
示す模式断面図である。
【図2】本発明の樹脂被覆金属基材の他の態様を示す模
式断面図である。
【図3】本発明の樹脂被覆金属基材の更に他の態様を示
す模式断面図である。
【図4】本発明の樹脂被覆金属基材の更に他の態様を示
す模式断面図である。
【図5】本発明の樹脂被覆金属基材の更に他の態様を示
す模式断面図である。
【図6】本発明の樹脂被覆金属基材の更に他の態様を示
す模式断面図である。
【図7】本発明の樹脂被覆金属基材を製造するための製
法の一態様を示す模式断面図である。
【図8】本発明の樹脂被覆金属基材を製造するための製
法の他の態様を示す模式断面図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 21/00 C08L 51/04 51/04 51/06 51/06 67/00 67/00 101/02 101/02 C09D 5/00 Z C09D 5/00 161/06 161/06 163/00 163/00 163/02 163/02 B65D 1/00 B (72)発明者 上代 洋 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 大石 浩 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 3E033 AA06 BA07 BA17 BA30 BB08 CA14 CA20 4F100 AA21C AA21H AB01A AK02C AK34B AK41C AK41D AK53B AL05B AL05C AL06C AL07B AL09C AL09H AT00A BA04 BA07 BA27 CA02B CA02H CA05C CA05H CA06C CA06H DE04C DE04H EJ65 GB16 JB02 JL01 JL11 4J002 BB03Y BB04X BB05Y BB06X BB07X BB08X BB09X BB10X BB12Y BB14X BB15Y BB17X BB17Y BB23X BC04X BC06X BC07X BC12X BD05X BE02X BF01X BF02X BG01X BG04X BG05X BG06X BG07X BG10X BG13X BH01X BH02X BN12Y CD19X CF01W CF03W CF04W CF05W CF06W CF07W CF08W CF09W CF10W CF12W CF14W CF18W CL00Y DE137 EJ066 EN066 EU186 EV066 EW066 FD010 FD036 FD097 GF00 GG01 4J038 DA061 DA062 DB061 DB062 DB351 PA07 PB03 PB04 PC02 PC08

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材と、その少なくとも一の面上に
    配置されたプライマー樹脂層と、該プライマー樹脂層上
    に配置されたポリエステル系樹脂組成物層とを少なくと
    も含み;且つ、 該ポリエステル系樹脂組成物層が、ポリエステル樹脂
    (A)と、極性基を有するユニットを1質量%以上含有
    するビニル重合体(B)とを含む樹脂組成物(I)であ
    って、更にラジカル禁止剤を含有する組成物からなるこ
    とを特徴とする樹脂被覆金属基材。
  2. 【請求項2】 前記ポリエステル系樹脂組成物層が、樹
    脂組成物(I)に、さらにゴム状弾性体樹脂(C)を含
    有する組成物からなる請求項1に記載の樹脂被覆金属基
    材。
  3. 【請求項3】 前記ゴム状弾性体樹脂(C)がポリエス
    テル樹脂(A)が微細分散する構造を有し、かつ少なく
    ともゴム状弾性体樹脂(C)の一部がビニル重合体
    (B)でカプセル化された構造を有する請求項2に記載
    の樹脂被覆金属基材。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステル系樹脂組成物(I)の
    100質量部に対して、ラジカル禁止剤を0.001〜
    7質量部含有する組成物からなることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  5. 【請求項5】 前記ポリエステル系樹脂組成物層中に、
    平均粒径2.5μm以下の酸化チタンを含有する請求項
    1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  6. 【請求項6】 更に、前記ポリエステル系樹脂組成物層
    上に配置された飽和ポリエステル層を含む請求項1〜5
    のいずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  7. 【請求項7】 金属基材と、 該金属基材の一方の面上に配置されたプライマー樹脂層
    と、該プライマー樹脂層上に配置されたポリエステル系
    樹脂組成物層と;前記金属基材の他方の面上に配置され
    たポリエステル系樹脂組成物層を少なくとも含み;且
    つ、 該ポリエステル系樹脂組成物層が、ポリエステル樹脂
    (A)と、極性基を有するユニットを1質量%以上含有
    するビニル重合体(B)とを含む樹脂組成物(I)であ
    って、更にラジカル禁止剤を含有する樹脂組成物とから
    なり;且つ、該ポリエステル系樹脂組成物が平均粒径
    2.5μm以下の酸化チタンを含有することを特徴とす
    る樹脂被覆金属基材。
  8. 【請求項8】 前記ポリエステル系樹脂組成物層が、樹
    脂組成物(I)に、さらにゴム状弾性体樹脂(C)を含
    有する組成物からなる請求項7に記載の樹脂被覆金属基
    材。
  9. 【請求項9】 前記ゴム状弾性体樹脂(C)がポリエス
    テル樹脂(A)が微細分散する構造を有し、かつ少なく
    ともゴム状弾性体樹脂(C)の一部がビニル重合体
    (B)でカプセル化された構造を有する請求項8に記載
    の樹脂被覆金属基材。
  10. 【請求項10】 前記ポリエステル系樹脂組成物(I)
    の100質量部に対して、ラジカル禁止剤を0.001
    〜7質量部含有する組成物からなることを特徴とする請
    求項7〜9のいずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  11. 【請求項11】 前記樹脂組成物層が、酸化チタンを1
    0〜50質量%含有する中心層と、該中心層の両側の両
    側に配置された酸化チタンを0.05〜10質量%含有
    する層とを含む3層構造を有する請求項1または7に記
    載の樹脂被覆金属基材。
  12. 【請求項12】 前記樹脂被覆層の上(最上層)として
    配置されたトップコート層を含む請求項1〜11のいず
    れかに記載の樹脂被覆金属基材。
  13. 【請求項13】 前記プライマー層が、(1)フェノー
    ルとホルムアルデヒドとから誘導されるレゾール型フェ
    ノール−ホルムアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エ
    ポキシ樹脂とからなるフェノール−エポキシ系塗料;お
    よび、(2)50〜98質量%のポリアミドジカルボン
    酸変性エポキシ樹脂と、2〜50質量%の硬化剤樹脂
    と、0.05〜10質量%の硬化触媒とを含むエポキシ
    樹脂組成物、の少なくとも一方を含む請求項1〜12の
    いずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  14. 【請求項14】 容器形成用である請求項1〜13のい
    ずれかに記載の樹脂被覆金属基材。
  15. 【請求項15】 容器形成用であって、且つ前記金属基
    材の一方の面上に配置されたプライマー樹脂層と、該プ
    ライマー樹脂層上に配置された樹脂組成物層とが該容器
    の内側用である請求項1または7に記載の樹脂被覆金属
    基材。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれかに記載の樹
    脂被覆金属基材を少なくとも一部に含む容器。
  17. 【請求項17】 缶体の形状を有する請求項16に記載
    の容器。
  18. 【請求項18】 絞り成形、深絞り成形、ドローアイア
    ニング成形、ドローリドロー成形、ストレッチドロー成
    形、ストレッチドローアイアニング成形から選ばれた成
    形法により成形されてなる缶体の形状を有する請求項1
    7に記載の容器。
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