JP5145650B2 - 透明バリア性積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明が解決しようとする課題は、包装材料として十分に透明な高い紫外線透過率を有し、且つ高い酸素バリア性及び高い水蒸気バリア性を有し、耐レトルト・ボイル適性を備える透明バリア性積層フィルム及びその製造方法を提供することである。
図1は本発明の係る透明バリア性積層フィルムの構成を示す。
上記の透明プラスチックフィルムの表面には、その上に形成する無機酸化物の蒸着膜との密着性を向上させるために必要に応じて、所望の表面処理層を設けてもよい。
この表面処理層として、コロナ処理層、オゾン処理層、酸素ガス若しくは窒素ガスを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理層を設けることができる。
また、本発明において、無機酸化物の蒸着膜として、酸化アルミニウムの蒸着膜を用いることにより、蒸着膜とガスバリア性被膜により、従来相反していた酸化アルミニウム蒸着層の透明性とガスバリア性を両立させ、好ましい効果をあげることができる。その場合、酸化アルミニウムニウム蒸着膜は、アルミニウム蒸気と酸素を気相中で反応させながらその反応系を調整して366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整して形成する。紫外線透過率が82%以下では透明バリア性積層フィルムの透明性向上が得られない。また、94%以上では蒸着膜自体の反応活性が低くバリア性コート剤との反応が不十分となるため酸素バリア性及び水蒸気バリア性向上の効果が損なわれる。
また、本発明において用いる酸化アルミニウム蒸着膜の厚みは好ましくは100〜400Åである。100Å以下のときは、蒸着膜自体のバリア性が低く蒸着膜上にバリア性コート剤の塗工を行っても十分なバリア性が得られない。逆に400Å以上に蒸着膜が厚くなると後加工適性に欠ける透明バリア性積層フィルムとなってしまい、実用性に乏しいフィルムとなってしまう。
具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、透明プラスチック基材フィルム2上に蒸着する真空蒸着法、または原料として金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて透明プラスチック基材フィルムの表面に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
物理気相成長法において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
図2に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバー42の中で、巻き出しロール43から繰り出す透明プラスチック基材フィルム2は、ガイドロール44、45を介して、冷却したコーティング・ドラム46に案内される。
コーティング・ドラム46上に案内された透明プラスチックフィルム2の上に、るつぼ47で熱せられた蒸着膜48、例えば、金属アルミニウム、あるいは酸化アルミニウムを蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹き出し口49より酸素ガスを噴出させ、これをマスク50、50を介して、透明プラスチック基材フィルム2のほうに供給しながら、酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜し、次いで蒸着膜を形成した透明基材フィルム2をガイドロール45′、44′を経て送り出し、巻き取りロール51に巻き取ることによって、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
また、高分子有機化合物(A)の好ましい分子量は250〜20万であり、より好ましくは250〜10万の範囲である。分子量が250より小さいと形成された被膜の可撓性に劣り、20万より大きいと、形成された被膜の透明性に劣り好ましくない。
(蒸着条件)
蒸着条件:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素導入前のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルムの搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布するバリア性コート剤を次のようにして作製した。ポリエチレンイミン6.98g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.25g、メタノール25.1gを混合して、65℃で、窒素雰囲気下で3時間攪拌して反応溶液を得た。この反応溶液にテトラメトキシシラン72.0gとメタノール11.1gの混合液を加え1時間攪拌してバリア性コート剤を作製した。このバリア性コート剤を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
(蒸着条件)
蒸着条件:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素導入前のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルムの搬送速度:500m/min
そして実施例1と同様にして55℃で72時間エージング処理を行った。
(蒸着条件)
蒸着条件:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素導入前のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルムの搬送速度:500m/min
次いで実施例1において用いたバリア性コート剤を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が80%となるように調整して、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着条件:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素導入前のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルムの搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート剤を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が96%となるように調整して、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着条件:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素導入前のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルムの搬送速度:500m/min
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が88%となるように調整して、厚さ100Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着条件:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素導入前のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルムの搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート剤を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にEB式蒸着装置を用いて反応性蒸着法により、酸素ガス供給量を調整し、366nmにおける紫外線透過率が88%となるように調整して、厚さ500Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を製膜して酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着条件:アルミニウム
巻き取り側チャンバー内の真空度:2.3×10-3mbar
酸素導入前のコーティングチャンバー内の真空度:2.9×10-4mbar
酸素導入後のコーティングチャンバー内の真空度:4.3×10-4mbar
フィルムの搬送速度:500m/min
このアルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に実施例1において用いたバリア性コート剤を酸化アルミニウム蒸着フィルムの蒸着膜面に塗布し、140℃で30秒間乾燥させ、厚みが0.2μmのバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを得た。得られた透明バリア性積層フィルムに対して55℃で72時間エージング処理を行った。
上記の実施例1〜4及び比較例1〜4の透明バリア性積層フィルムについて、エージング処理の前後の366nmにおける紫外線透過率並びに酸素透過度及び水蒸気透過度について測定した。
(1)紫外線透過度の測定
分光光度計(島津製作所(株)製、機種名:UV−2000)を使用し、透過光の366nmにおける直線光と散乱光の合計値を全光線として透過率を測定した。
(2)酸素透過度の測定
酸素透過度の測定は、MOCON社製OXTRANにより、温度23℃、湿度90%RHの条件下に行った。
(3)水蒸気透過度の測定
水蒸気の測定は、MOCON社製PERMATRANにより、温度40℃、湿度100%RHの条件下に行った。
測定の結果は表1に示す。
2 透明プラスチック基材フィルム
3 蒸着膜
4 バリア性被膜
41 巻き取り式真空蒸着装置
42 真空チャンバー
43 巻き出しロール
44 ガイドロール
45 ガイドロール
46 コーティングロール
47 るつぼ
48 蒸着膜
49 酸素ガス吹き出し口
50 マスク
51 巻き取りロール
Claims (3)
- 透明プラスチック基材フィルム上に、366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲であって、膜厚が、200〜300Åである酸化アルミニウム蒸着膜を形成し、
次いで、上記の酸化アルミニウム蒸着膜の上に、分子内に1級および/または2級アミノ基を有し、かつSi(OR1)基(但し、前記式中R1は、水素原子、低級アルキル基またはアシル基を表す)を含まない高分子有機化合物(A)と、前記高分子有機化合物(A)の有するアミノ基と反応し得る官能基を分子内に有する化合物(B)と、下記一般式(I)で示される有機シラン化合物(C)および/またはその加水分解縮合物と、アルコールとを含有するバリア性組成物を塗布し、加熱乾燥してバリア性被膜を形成して透明バリア性積層フィルムを製造し、
次いで、上記の透明バリア性積層フィルムを40〜80℃の温度で1日乃至72時間エ−ジング処理して、上記の透明バリア性積層フィルムの紫外線透過率を高めると共に酸素透過度および水蒸気透過度を低くすること
を特徴とする透明バリア性積層フィルムの製造方法。
R2mSi(OR3)n....(I)
(但し、式中、R2は同一または異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、ビニル基または炭素鎖に直結したメルカプト基、またはメタクリロイル基を表し、R3は同一または異なっていても良く、水素原子、低級アルキル基またはアシル基を表し、mは0または正の整数、nは1以上の整数でかつm+nはSiの原子価と一致する。) - 酸化アルミニウム蒸着膜が、アルミニウム蒸気と酸素を気相中で反応させながらその反応系を調整して366nmにおける紫外線透過率が82〜94%の範囲に調整した酸化アルミニウム蒸着膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の透明バリア性積層フィルムの製造方法。
- 酸化アルミニウム蒸着膜が、酸化アルミニウム蒸着膜を形成し、その上に酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載の
透明バリア性積層フィルムの製造方法。
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