JP5145618B2 - 凹凸形状を有するネット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量で集塵性に優れ、繰り返し使用しても目ずれのない、経済性に優れた、エアコン室内機や空気清浄機等の空調機器に好適に装着される凹凸形状を有するネットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生活の質が高度化し、居住環境についてもより質の高い快適さが求められ、空調機器が広く普及している。空調機器は、室温を調整するために加熱・冷却した空気を循環させる結果、気密性が高く自然換気率が極端に低い屋内では繊維製品等から発生した埃等が空気中に増加・滞留しがちである。そのため、空調機器には空気取り込み口と熱交換器の間に集塵ネットや脱臭・消臭フィルター等の空調用フィルターが取り付けられる。集塵ネットの場合、集塵された埃は定期的に水洗い等の方法で掃除され除去され機能を再生させて再使用される。このように集塵ネットは長期に使用されるため、繰り返しの掃除に耐えて形状や機能が保持される必要がある。
【0003】
空調用フィルターとして用いられる集塵ネットは、主として綿埃等の比較的大きい埃を濾過・集塵するために用いられ、合成樹脂の繊維を蜂巣織に製織したネットを、予め収縮防止のため熱セットした上で所定の大きさにスリットもしくは断裁し、ポリプロピレン等の射出成形製外枠に熱圧着や超音波接着の方法により固定したりもしくは外枠の射出成形時に前記ネットをインサートする等の方法で作製される。
【0004】
蜂巣織のネットは、嵩高の製織物で繊維間で埃を捕捉・保持する性能に優れるが、平織や綾織等に比べて製織物の単位面積当りの繊維量が多く製織物が重くなる傾向があった。また、水洗い等を繰り返すうちに目ずれが発生して濾過精度が悪くなったり、ネットをインサートして外枠を射出成形する場合に繊維がほつれて成形不良品が発生する等の問題があった。これを解決するため、熱可塑性樹脂の繊維を用いその交点を熱接着した蜂巣織のネットが検討されたが、熱でネットが変形し蜂巣織の嵩高さが失われる欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽量で集塵性、嵩高性に優れ、目ずれのない、経済性に優れたネットを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究の結果、熱可塑性繊維からなる糸条を製織し、前記糸条の交点を熱接着して得られる製織物を型押加工して得られる凹凸を有するネットが前記課題を解決することを見出し、この知見を基に本発明を完成した。
【0007】
本発明は以下より構成される。
(1)熱可塑性繊維からなる糸条を製織し、前記糸条の交点を熱接着して得られる製織物を型押加工して得られる、凹凸形状を有するネット。
【0008】
(2)熱可塑性繊維が、10℃以上の融点差を有する低融点樹脂と高融点樹脂からなる複合繊維である前記(1)項記載の凹凸形状を有するネット。
【0009】
(3)熱可塑性繊維からなる糸条が、繊度100〜5000dtexのフィラメント糸である前記(1)項もしくは(2)項記載の凹凸形状を有するネット。
【0010】
(4)低融点樹脂と高融点樹脂がポリオレフィンである前記(1)〜(3)項のいずれか1項記載の凹凸形状を有するネット。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のネットは、熱可塑性繊維からなる糸条を製織し、前記糸条の交点を熱接着して得られる製織物を型押加工して、凹凸形状を付与して得られる。
【0012】
本発明のネットは、空調機器等の集塵ネットとして用いられる場合、凹凸形状を有するために埃を捕捉・保持する性能に優れ、また糸条の交点が熱接着されているため水洗い等を繰り返しても目ずれが発生しにくく濾過精度の低下がない。更に、単位面積当りの重量も従来の集塵ネットに比べ軽く、ネットをインサートして外枠を射出成形する場合にも繊維のほつれによる成形不良品の発生がなく経済性に優れるという特徴を有する。
【0013】
本発明において、熱可塑性繊維とは、熱可塑性樹脂から作られた繊維をいう。本発明で用いられる熱可塑性繊維には、溶融紡糸が可能なあらゆる熱可塑性樹脂を使用することができる。前記熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プロピレン共重合体(例えば、プロピレンを主体として、エチレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1等との二元または多元共重合体)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、酸成分をテレフタル酸以外にイソフタル酸をも加えて共重合したこれらの低融点ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン(アタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等の熱可塑性樹脂が提示できる。これらの中でも、軽量で比較的安価なポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0014】
前記熱可塑性樹脂には必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、通常熱可塑性樹脂に用いられる添加剤を必要に応じて用いることができる。前記添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、消臭剤、抗菌剤、無機系充填材、有機系充填材等を挙げることができる。
【0015】
本発明において、ネットの糸条を構成する熱可塑性繊維には、単一成分樹脂からなるレギュラーモノフィラメント、複数の樹脂からなる複合モノフィラメント、さらには単一成分樹脂もしくは複数の樹脂からなるマルチフィラメントを用いることが出来る。前記糸条には本発明の効果を損なわない範囲で熱可塑性繊維以外の繊維を併用することができる。
【0016】
前記熱可塑性繊維からなる糸条の繊度は、ネットの目合いの保持性や単位面積当り重量(目付重量)の観点から、100〜5000dtex、好ましくは250〜3000dtexであることが望ましい。
【0017】
本発明のネットにおいて、前記糸条の引張強さ及び伸び率(JIS L 1013「化学繊維フィラメント糸試験方法」)は特に限定はされないが、引張強さ1.5cN/dtex以上、好ましくは2.5cN/dtex以上、伸び率70%以下、好ましくは20〜60%であることが望ましく、それによって強度に優れ寸法安定性のよいネットが得られる。また、130℃における収縮率(JISL 1013「化学繊維フィラメント糸試験方法」乾熱収縮率B法)は15%以下であることが望ましく、それによって熱収縮の少ないネットが得られる。
【0018】
糸条の交点を熱接着する場合に十分な接着強度を有する交点とするため、本発明のネットの糸条を構成する熱可塑性繊維は、熱可塑性複合モノフィラメントが好ましく用いられる。ここで熱可塑性複合モノフィラメントとは、少なくとも融点差が10℃以上ある低融点樹脂と高融点樹脂とからなり、繊維表面の少なくとも一部が連続する低融点樹脂により形成された二種以上の樹脂からなる熱可塑性複合モノフィラメントである。
【0019】
熱可塑性複合モノフィラメントの構造は、たとえば鞘芯型、並列型、海島型等のいずれも使用できるが、中でも鞘芯型構造の熱可塑性複合モノフィラメントは熱接着性が良好で一定しており好ましい。
【0020】
前記熱可塑性複合モノフィラメントを構成する低融点樹脂及び高融点樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を例示することができる。
【0021】
前記低融点樹脂及び高融点樹脂の組合せの例としては、低融点樹脂/高融点樹脂で表わす場合、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種のポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリエチレンテレフタレート、低融点熱可塑性ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、各種のポリエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン6、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ナイロン6、ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/熱可塑性ポリエステル等を挙げることができる。
【0022】
これらの中ではポリオレフィン同士もしくはポリオレフィンとポリエステルからなる組合せが好ましく、その具体例としては高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン二元共重合体/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体/ポリエチレンテレフタレート、あるいは高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。
さらに、これらの中ではポリオレフィン同士、例えば高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン二元共重合体/ポリプロピレン等が軽量性の面から特に好ましい。
【0023】
本発明において、熱可塑性繊維からなる糸条の製織における織パターン等に特に限定はなく、経糸や緯糸に用いられる熱可塑性繊維からなる糸条の配列、繊維密度等は、任意に設定できる。織り構造としては、平織、綾織、朱子織、絡み織、ラッセル織等が挙げられるが、製織性、目合いの調節しやすさ等を考慮した場合、平織が好ましい。製織物の繊維密度は、型押加工の条件、糸条の繊度や材質、所望の目合い等を勘案して適宜選択できるが、経糸と緯糸の合計で10〜100本/2.54cm、好ましくは15〜70本/2.54cmが例示できる。
経糸と緯糸の合計で10本/2.54cm未満では、塵が通過しネットとしての性能が出ず、経糸と緯糸の合計で100本/2.54cmを超えると、差圧が大きくなり集塵性能が低下する。
【0024】
本発明において、前記糸条の交点の熱接着は、糸条をネット状に製織し、製織と同時に、もしくは製織後に、得られた製織物を前記糸条の交点が融着する温度以上に加熱することにより行うことができる。
【0025】
前記製織物の糸条の交点を加熱し熱接着させるための装置としては、熱風型加熱機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機、高圧蒸気加熱機、超音波型加熱機、熱ロール型加熱機、熱圧着ロール型加熱機等を挙げることができ、これらは単独でも複数組み合わせて使用してもよい。とりわけ、熱風型加熱機と熱ロール型加熱機、または熱風型加熱機と熱圧着ロール型加熱機を組み合わせた装置を使用すると、交点の接着強度の高いネットを得ることができる。
【0026】
本発明において、前記糸条の交点を熱接着して得られる製織物の目合いは、型押加工の条件、糸条の繊度や材質、所望の目合い等を勘案して適宜選択できるが、得られるネットの通気性や目合いの観点から0.4〜5mm、より好ましくは0.5〜3mmであることが望ましい。
なお、経(MD)方向及び緯(TD)方向の目合いは上記の範囲であれば同一でも別でもよい。
【0027】
本発明のネットは、前記糸条の交点を熱接着して得られる製織物に、型押加工により凹凸形状を付与して得られる。前記の凹凸形状は特に限定されないが、投影形状が円、半円形、楕円、方形、矩形、三角形、多角形、波型等を挙げることができ、これらは均等又は、不均一に配されてもよく、組み合わせて使用しても良い。中でも、円形、楕円形等は型押加工も容易であり好ましい。
【0028】
前記凹凸形状は、本発明のネットの埃を捕捉・保持する機能を向上させるもので、ネットの経(MD)方向及び緯(TD)方向それぞれに交互に凹凸(山と谷)が現れる構造であり、山と谷の高さの差は、ネット厚さに対して1.1〜50倍、好ましくは1.5〜30倍であり、隣接する山と山もしくは谷と谷の間の距離は1〜30mm、好ましくは1.5〜20mmであると、ネットとしての埃を捕捉・保持する機能が優れ、強度も十分であり、型押加工も容易である。
【0029】
本発明において、前記型押加工する方法としては、プレス法もしくはエンボスロールを用いる方法が挙げられる。具体的には、前記糸条の交点を熱接着して得られる製織物を、糸条交点の熱接着温度より低く、かつネットを構成する熱可塑性樹脂の軟化温度もしくはガラス転移温度のうちの一番低い温度より高い温度で予熱し、プレス型もしくはエンボスロール面に彫刻された凹凸形状を型押しすればよい。
【0030】
例えば、本発明のネットが空調機器等の集塵ネットとして用いられる場合、必ずしも製織物の全面に型押加工する必要はなく、得られたネットがスリットもしくは断裁された後、熱圧着や超音波接着もしくはインサート射出成形によって外枠が取り付けられる部分は平坦のままでもよい。場合によっては、製織物のままで外枠を取り付けた後、凹凸形状を有するネットとなる部分にプレス法によって型押加工を行っても良い。
【0031】
本発明のネットが空調機器等の集塵ネットとして用いられる場合、凹凸形状を付与された本発明のネットは、外枠を取り付けられて空調機器用の空調用フィルター部材なるが、実際に空調機器で使用する場合は、必要に応じて高効率粒子除去(ヘパ)フィルターや活性炭複合ハニカムフィルター等のより細かい塵埃粒子等を捕捉する他のフィルター部材と併用することができる。併用の場合、空気取り入れ口に本発明のネットを設置することにより、前記ネットで濾過された空気が、より細かい塵埃粒子等を捕捉する他のフィルター部材に供給される。
【0032】
また、本発明のネットは、ネットの凹凸模様により伸縮性を有するため、平ネットに比べて展張性に優れるが、経方向及び緯方向それぞれに交互に凹凸形状が現れる構造を有するため、プリーツネットの様な異方性がないという特徴を有する。すなわち、方向性がなく濾過面積の広いネットとして、住宅用の網戸の他、工業用濾過資材、農水産業用通気性被覆資材、土木用透水資材等に広く用いることができる。
【0033】
また、本発明のネットは、その3次元的な立体的構造により、嵩高性、クッション性を有するため、ネット状緩衝材や断熱・吸音材として使用されるだけでなく、適当にチョップして各種充填剤やコンクリートと混合し補強材として使用することもできる。
本発明のネットは、その熱接着性により他の熱接着性のあるシート、ネット、不織布と組み合わせて、容易に複合化ができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例において用いられた試験法を記載する。
▲1▼メルトフローレート
JIS K 7210−1976「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」(表1の条件14、試験温度230℃、試験荷重21.18N)により測定、以下MFRという。
【0035】
▲2▼ネットの目付重量
ネットから50cm×50cmの試験片3枚を採取して重量を測定し、1m2当りの重量(g)を算出し目付重量とした。
【0036】
▲3▼ネットの塵埃捕捉性
ネットから20cm(経方向)×30cm(緯方向)の試験片を切り出し、その周縁部を幅5mmにわたってほつれ防止の補強処理をした後、集塵ネットが2枚取り付けられる家庭用エアコン室内機用の集塵ネットの枠(外側寸法20cm×30cm)の一方に前記試験片を糸でくくりつけて固定し、他方の集塵ネットの枠に比較対照のネット(後述の比較例2に記載のネット)を同様に固定し、それぞれの重量を測定する。室内機に前記2枚の枠を取り付けた後、室内機を埃の多い部屋に設置し、扇風機で室内の空気を循環させつつ室内機の送風ドラムを12時間運転させる。その後で前記2枚の枠を静かに取り外して夫々の重量を測定し、下記の基準で評価した。
◎:比較対照のネットに比べて塵埃の捕捉量が多い。
○:比較対照のネットと同等の塵埃の捕捉量である。
×:比較対照のネットに比べて塵埃の捕捉量が少ない。
【0037】
▲4▼ネットの塵埃保持性
上記の塵埃捕捉性試験で12時間運転の後、試験用ネットを固定した枠を取り外す際に、ネットからの塵埃の脱落状況を観察し、下記の基準で評価した。
◎:比較対照のネットに比べて塵埃の脱落が少ない。
○:比較対照のネットと同等の塵埃の脱落。
×:比較対照のネットに比べて塵埃の脱落が多い。
【0038】
▲5▼形状保持性
上記の(塵埃捕捉性)試験で12時間運転の後、試験用ネットに吸引による変形等の有無を観察し、下記の基準で評価した。
◎:比較対照のネットに比べて変形が小さい。
○:比較対照のネットと同等の変形。
×:比較対照のネットに比べて変形が大きい。
【0039】
▲6▼目合い保持性
上記の(塵埃捕捉性)試験で12時間運転の後の重量を測定した後、電気掃除機でネット面の塵埃を吸引し、更にネット面を水洗いして残りの塵埃を洗い流し乾燥後、ネットの目合い変化の有無を観察し、下記の基準で評価した。
◎:目合いの変化が殆どない。
×:目合いの変化が見られる。
【0040】
実施例1
鞘成分として融点が130℃のプロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体(MFR:16g/10分)、芯成分として融点が165℃のポリプロピレン(MFR:5.3g/10分)を用いた複合モノフィラメント(繊度1100dtex)を溶融紡糸した。複合モノフィラメントの鞘成分と芯成分の重量比は50:50であった。前記複合モノフィラメントを経糸及び緯糸に用い、繊維密度を経糸20本/2.54cm、緯糸20本/2.54cmとして平織に製織し、熱風型加熱機を用いて150℃で熱処理し放冷して、熱接着性複合モノフィラメント同士の交点が熱接着された製織物を得た。更に、この製織物を経(MD)方向及び緯(TD)方向それぞれに交互に凹凸(山と谷)が波形に現れ、各方向の山と山(谷と谷)の間隔が7mmで、山と谷の高さが1.8mmである模式図1のような彫刻が施された金属ロール(100℃)とゴムロールとを用いて型押し、繊維密度が経糸22本/2.54cm、緯糸21.5本/2.54cmのネットを得た。前記ネットを所定の寸法に裁断し評価試験に供した。ネットの性状及び評価試験の結果を表1に記載した。
【0041】
実施例2
鞘成分として融点が130℃のプロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体(MFR:16g/10分)、芯成分として融点が165℃のポリプロピレン(MFR:5.3g/10分)を用いた複合モノフィラメント(繊度330dtex)を溶融紡糸した。複合モノフィラメントの鞘成分と芯成分の重量比は50:50であった。前記複合モノフィラメントを経糸及び緯糸に用い、繊維密度を経糸33本/2.54cm、緯糸34本/2.54cmとして平織に製織し、熱風型加熱機を用いて150℃で熱処理し放冷して、熱接着性複合モノフィラメント同士の交点が熱接着された製織物を得た。更に、この製織物を実施例1と同様にして型押し、繊維密度が経糸35本/2.54cm、緯糸36.2本/2.54cmのネットを得た。前記ネットを所定の寸法に裁断し評価試験に供した。ネットの性状及び評価試験の結果を表1に記載した。
【0042】
実施例3
請求項2記載の方法で得られた複合モノフィラメントを経糸及び緯糸に用い、繊維密度を経糸25本/2.54cm、緯糸30本/2.54cmとして平織に製織し、熱風型加熱機を用いて150℃で熱処理し放冷して、熱接着性複合モノフィラメント同士の交点が熱接着された製織物を得た。更に、この製織物を実施例1と同様にして型押し、繊維密度が経糸25.5本/2.54cm、緯糸31本/2.54cmのネットを得た。前記ネットを所定の寸法に裁断し評価試験に供した。ネットの性状及び評価試験の結果を表1に記載した。
【0043】
比較例1
型押加工しない以外は実施例2と同様にして作成したネット(製織物)を、所定の寸法に裁断し評価試験に供した。ネットの性状及び評価試験の結果を表1に記載した。
【0044】
比較例2
融点が165℃のポリプロピレン(MFR:5.3g/10分)を用いたモノフィラメント(繊度330dtex)を用い、繊維密度を経糸33本/2.54mm、緯糸34本/2.54mmとし、織パターンを蜂巣織として製織し、その糸条交点の熱接着を行う代わり160℃で1分間熱セットし放冷してネット(製織物)を得た。前記ネットを所定の寸法に裁断し評価試験に供した。ネットの性状及び評価試験の結果を表1に記載した。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
本発明の凹凸形状を有するネットは、熱可塑性繊維からなる糸条を製織し、前記糸条の交点を熱接着して得られる製織物を型押加工して得られるため、3次元的な立体的構造を有し、軽量で嵩高性に優れ、目ずれのない、経済性に優れたネットである。
すなわち、このネットを空調機器用フィルターの集塵ネットに用いれば、従来の蜂巣織のネットに比べて、重量が同じであれば集塵性に優れ、集塵性が同等であれば軽量性に優れ、かつ優れ繰り返しの掃除でも目ずれのない集塵ネットとなる。
このネットは、空調機器用フィルターの集塵ネット以外にも、住宅用資材、工業用濾過資材、農水産業用通気性被覆資材、土木用透水資材等に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸形状の彫刻が施されたエンボスロールの断面模式図。
Claims (3)
- 10℃以上の融点差を有する低融点樹脂と高融点樹脂からなる複合繊維である、熱可塑性複合モノフィラメントからなる糸条を製織し、前記糸条の交点を熱接着して得られる製織物をエンボス加工して得られる、凹凸形状を有するネット。なお、凹凸形状とは、ネットの経(MD)方向及び緯(TD)方向それぞれに交互に凹凸(山と谷)が現れる構造である。
- 熱可塑性複合モノフィラメントからなる糸条が、繊度100〜5000dtexのフィラメント糸である請求項1記載の凹凸形状を有するネット。
- 低融点樹脂と高融点樹脂がポリオレフィンである請求項1もしくは2記載の凹凸形状を有するネット。
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JP2002371458A (ja) | 2002-12-26 |
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