JP5141445B2 - 樹脂ワニス含浸装置 - Google Patents

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本発明は、プリプレグ製造における樹脂ワニス含浸装置に関する。製造されるプリプレグは、プリント配線板の絶縁層等を構成するための材料である。
上記樹脂ワニス含浸装置は、図2や図3に示すような構成が一般的である。なお、図中の矢印は移送方向を示している。
図2に示す装置では、樹脂ワニス2を満たした含浸槽9と、ロール間隔を調整できる一対の絞りロール6、6’を備えている。順次移送される連続したシート状繊維基材1は、含浸槽9の樹脂ワニスに引込まれた後、一対の絞りロール6、6’で樹脂ワニス含浸量を調整される。そして、乾燥炉へ導かれ、加熱乾燥の工程を経て、プリプレグとなる。
また、図3に示す装置では、樹脂ワニス2を満たした含浸槽9’と、含浸槽9’内の樹脂ワニスに半没して回転する含浸ロール7と、含浸ロール7のシート状繊維基材移送方向前後に位置する押えロール8、8’を備えている。順次移送される連続したシート状繊維基材1は、表面に樹脂ワニスが塗布された状態で回転する含浸ロール7に圧接された後、乾燥炉へ導かれ、加熱乾燥の工程を経て、プリプレグとなる。このとき、樹脂ワニス含浸量の調整は、含浸ロール7の回転速度等により行われる。
一方、特許文献1には、上面に樹脂ワニスが塗布されたフィルムと、樹脂ワニスが塗布されていないフィルムとの間にシート状繊維基材を移送して、加熱及び加圧することにより、含浸操作を行う方法が記載されている。この場合、一対のフィルムの間に挟まれたシート状繊維基材は、ローラ間で、及びローラと加熱板間で直接加圧されている。
特開平6−166029号公報
しかし、図2や図3に示す樹脂ワニス含浸装置では、含浸操作や樹脂ワニス含浸量の調整を行うために、含浸槽や多数のロールを使用している。このため、作業終了後に樹脂ワニスの付着した含浸槽やロールを洗浄しなければならない。
さらに、粘度の高い樹脂ワニスの場合には、シート状繊維基材の内部まで充分に樹脂ワニスを含浸できないという問題がある。また、充填材を多量に含む樹脂ワニスの場合には、含浸槽内で充填材が沈降したり、シート状繊維基材に含浸した樹脂ワニス(特に充填材)がロールに付着したりするため、シート状繊維基材に均一に樹脂ワニスを含浸できないという問題がある。
一方、特許文献1の方法では、シート状繊維基材をローラ間で、及びローラと加熱板間で直接加圧するために、シート状繊維基材を一対のフィルムの間に挟む必要がある。これにより、シート状繊維基材の両面がフィルムで覆われているため、樹脂ワニスがロールに付着することはない。しかし、両面がフィルムで覆われている状態で加熱乾燥を行った場合、樹脂ワニスに含まれる溶剤が充分に飛散できず、プリプレグに溶剤が多量に残留する心配がある。ここで、含浸操作後に片側のフィルムを剥がして加熱乾燥を行うことも考えられるが、含浸した樹脂ワニス(特に充填材)がフィルムに付着し、シート状繊維基材に均一に樹脂ワニスを含浸できないという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、シート状繊維基材に含浸させた樹脂ワニスが、ロール等に付着しないようにして、作業終了後のロール等の洗浄作業を簡略化することである。さらに、粘度の高い樹脂ワニスの場合においても、シート状繊維基材の内部まで充分に樹脂ワニスを含浸することである。また、充填材を多量に含む樹脂ワニスの場合においても、シート状繊維基材に均一に樹脂ワニスを含浸することである。そのためのプリプレグ製造における樹脂ワニス含浸装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明が対象とする樹脂ワニス含浸方法は、順次移送される連続したシート状繊維基材に樹脂ワニスを含浸し保持するプリプレグ製造における樹脂ワニス含浸方法であって、順次移送され上面に樹脂ワニスが塗布された連続したフィルムに、上側から前記シート状繊維基材を重ね、シート状繊維基材をフィルムに圧接し、かつ当該圧接箇所ではシート状繊維基材側に押圧体を用いることなく圧接を実現して樹脂ワニスを含浸する。
そして、本発明に係る樹脂ワニス含浸装置は、順次移送される連続したシート状繊維基材に樹脂ワニスを含浸し保持するプリプレグ製造における樹脂ワニス含浸装置であって、上面に樹脂ワニスが塗布され順次移送される連続したフィルムを下側から支持する第1ロールと、前記シート状繊維基材を上側から押さえる第2ロールを備える。そして、前記第2ロールは前記第1ロールよりシート状繊維基材移送方向手前に位置し、第2ロールの下側周面は第1ロールの上側周面より下側に位置しており、前記第1ロールと前記第2ロールは、相対的に上下位置を調整できる。さらに、上面に樹脂ワニスが塗布されたフィルムに、第1ロール位置で上側からシート状繊維基材を重ね圧接するにあたり、第1ロール周面における水平面とシート状繊維基材との間の角度が、10°以上20°以下であることを特徴とする(請求項
なお、本発明が対象とするプリプレグの製造方法は、前述の樹脂ワニス含浸後に、樹脂ワニスを保持したシート状繊維基材を加熱乾燥することもできる。
本発明に係る樹脂ワニス含浸装置においては、フィルムとシート状繊維基材の圧接箇所ではシート状繊維基材側に押圧体を用いることなく圧接を実現して樹脂ワニスを含浸しているので、シート状繊維基材に含浸させた樹脂ワニスは、ロール等の押圧体に付着しない。このため、作業終了後のロール等の洗浄作業を簡略化することができる。また、充填材を多量に含む樹脂ワニスの場合においても、シート状繊維基材に均一に樹脂ワニスを含浸することができる。
さらに、シート状繊維基材を圧接して含浸するようにしたので、粘度の高い樹脂ワニスの場合においても、シート状繊維基材の内部まで充分に樹脂ワニスを含浸することができる。
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る樹脂ワニス含浸装置の説明図である。なお、図中の矢印は移送方向を示している。樹脂ワニス含浸装置は、上面に樹脂ワニス2が塗布され順次移送される連続したフィルム3を下側から支持する第1ロール5と、シート状繊維基材1を上側から押さえる第2ロール4を備える。
そして、第2ロール4は第1ロール5よりシート状繊維基材移送方向手前に位置し、第2ロール4の下側周面は第1ロール5の上側周面より下側に位置しており、上面に樹脂ワニス2が塗布されたフィルム3に、第1ロール5の位置で上側からシート状繊維基材1を重ね圧接して含浸する。フィルム3とシート状繊維基材1を重ねた状態は、乾燥工程後の適宜の位置まで維持されることが好ましい。これにより、樹脂ワニス2が半硬化状態となるため、含浸した樹脂ワニス2がフィルム3に付着することなく、容易にフィルム3を剥がすことができる。
ここで、第1ロール5と第2ロール4は、相対的に上下位置を調整できる。そして、第1ロール5周面における水平面とシート状繊維基材1との間の角度θは、10°以上20°以下とする。これにより、フィルム上面に塗布した樹脂ワニスが垂れるのを防ぐことができ、また、シート状繊維基材の内部まで充分に樹脂ワニスを含浸することができる。なお、第1ロール5と第2ロール4の位置関係は、前記のほか、フィルム上面に塗布した樹脂ワニスが第2ロール4に接触しないことなどを考慮して適宜決定する。
上記のように、第1ロール5と第2ロール4の位置関係を特定することにより、第1ロール5の位置ではシート状繊維基材側に押圧体を用いることなく圧接を実現することができる。
本発明を実施するに当たり、フィルム上面に樹脂ワニスを塗布する方法は、例えば、ダイコーターやパイプブレードコーター等であり、特に限定するものではない。また、使用するフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等であり、特に限定するものではない。そのほか、金属箔や表面をシリコン等で表面処理された離型紙等を使用してもよい。その種類、厚みなどは、プリプレグ製造時の耐薬品性や剛性、耐熱性等を考慮して適宜決定する。
上記含浸装置を使用して樹脂ワニスを含浸するシート状繊維基材は、ガラス織布、ガラス不織布、有機繊維織布、有機繊維不織布等であり、特に限定するものではない。その織り密度、厚み、単位質量なども適宜決定する。また、樹脂ワニスは、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等であり、特に限定するものではない。
以下、本発明に係る実施例を示し、本発明について詳細に説明する。なお、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、本実施例に限定されるものではない。
実施例に使用する材料仕様は以下の通りである。なお、以下の材料仕様において、「部」とは「質量部」を意味する。
(a)エポキシ樹脂ワニスa;エポキシ樹脂モノマ成分としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂モノマ(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)100部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬製「1,5−DAN」,アミン当量40)22部を用意し、これをジメチルホルムアミド(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
上記のエポキシ樹脂モノマ溶液と硬化剤溶液を混合・撹拌して均一なワニスにし、さらに無機充填材としてアルミナ(電気化学工業製「DAW−10」,平均粒子径:10μm,)425部(樹脂固形分100体積部に対し100体積部に相当)を加えて混練し、エポキシ樹脂ワニスaを調製した。
実施例1
先ず、ダイコーター法により、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:50μm)の上面に、エポキシ樹脂ワニスaを塗布した。ここで、エポキシ樹脂ワニスの塗布厚みは、200μmである。
次に、図1に示す樹脂ワニス含浸装置を使用し、上面に樹脂ワニス2が塗布されたフィルム3に、上側から厚み100μmのガラス不織布基材1を圧接して含浸した後、加熱乾燥してプリプレグを得た。乾燥工程後にフィルム3を剥がしたので、含浸した樹脂ワニス2がフィルム3に付着することなく、容易にフィルム3を剥がすことができた。
ここで、第1ロール5の直径はφ60mm、第2ロール4の直径はφ60mm、シート状繊維基材移送方向における第2ロール4と第1ロール5との中心間距離は70mm、第2ロール4の下側周面と第1ロール5の上側周面の距離は17mmである。なお、第1ロール5周面における水平面とガラス不織布基材1との間の角度θは、15.4°である。
実施例1の方法では、ガラス不織布基材に含浸させた樹脂ワニスが、ロール等に付着しないため、作業終了後のロール等の洗浄作業を簡略化できた。
さらに、樹脂ワニスの粘度が高い場合においても、ガラス不織布基材の内部まで充分に樹脂ワニスを含浸することができた。また、樹脂ワニスに充填材が多量に含まれている場合においても、ガラス不織布基材に均一に樹脂ワニスを含浸することができた。
比較例1
実施例1において、第2ロール4の下側周面と第1ロール5の上側周面の距離を0mmとする以外は実施例1と同様にしてプリプレグを得た。なお、第1ロール5周面における水平面とガラス不織布基材1との間の角度θは、0°である。
第2ロール4の下側周面と第1ロール5の上側周面の距離を0mmとしたことにより、上面に樹脂ワニス2が塗布されたフィルム3に、シート状繊維基材1が圧接されていない。このため、ガラス不織布基材の内部まで充分に樹脂ワニスを含浸できなかった。
従来例1
実施例1において、図2に示す樹脂ワニス含浸装置を使用する以外は実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
従来例1の方法では、含浸槽9や絞りロール6、6’等に樹脂ワニスが付着し、作業終了後に樹脂ワニスの付着した含浸槽やロールを洗浄しなければならなかった。
さらに、樹脂ワニスの粘度が高く、ガラス不織布基材の内部まで充分に樹脂ワニスを含浸できなかった。また、樹脂ワニスには充填材が多量に含まれており、含浸槽内で充填材が沈降したり、ガラス不織布基材に含浸した樹脂ワニス(特に充填材)が絞りロール等に付着したりして、ガラス不織布基材に均一に樹脂ワニスを含浸できなかった。
本発明の実施の形態に係る樹脂ワニス含浸装置の説明図である。 従来の樹脂ワニス含浸装置の説明図である。 従来の他の樹脂ワニス含浸装置の説明図である。
1はシート状繊維基材
2は樹脂ワニス
3はフィルム
4は第2ロール
5は第1ロール
6、6’は絞りロール
7は含浸ロール
8、8’は押えロール
9、9’は含浸槽

Claims (1)

  1. 順次移送される連続したシート状繊維基材に樹脂ワニスを含浸し保持するプリプレグ製造における樹脂ワニス含浸装置であって、
    上面に樹脂ワニスが塗布され順次移送される連続したフィルムを下側から支持する第1ロールと、前記シート状繊維基材を上側から押さえる第2ロールを備え、
    前記第2ロールは前記第1ロールよりシート状繊維基材移送方向手前に位置し、第2ロールの下側周面は第1ロールの上側周面より下側に位置しており、
    前記第1ロールと前記第2ロールは、相対的に上下位置を調整でき、
    上面に樹脂ワニスが塗布されたフィルムに、第1ロール位置で上側からシート状繊維基材を重ね圧接するにあたり、
    第1ロール周面における水平面とシート状繊維基材との間の角度が、10°以上20°以下であることを特徴とする樹脂ワニス含浸装置。
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