JP5137488B2 - レーザ照射装置およびそれを用いたレーザ加工システム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、レーザ源と、被加工物を載置する加工テーブルと、微小ミラーアレイ(マイクロミラーアレイ)とを備え、微小ミラーアレイの複数のミラー片の角度を、ON/OFF制御することで切り換えて、被加工物に任意のパターン形状を形成するレーザ加工装置が記載されている。
ところが、特許文献2に記載されているように、このようなレーザ加工装置では、微小ミラーアレイに対するレーザ光の入射角を固定した状態で、波長を変更するとレーザ光の利用効率を低下させる現象が発生するという問題がある。
すなわち、マイクロミラーアレイを用いたレーザ加工装置では、マイクロミラーアレイの像を顕微鏡で被加工物上に縮小投影する。マイクロミラーアレイは小型ミラーを等間隔に配列した構造なので、そこから反射されたレーザ光は複数の回折光に分かれる。しかし、一般に顕微鏡の後側開口数は小さいので、複数に分かれた回折光をすべて入射することができない。
波長λ3では、図示×印で示すように、光軸502の近くに1つの回折次数504がある。レーザ光の照射領域に相当する小型ミラーは、光軸502の方向へレーザ光を反射するように傾いているので、光軸502に近い回折次数504が唯一、大きな強度を持つ回折光になる。この回折次数504は、顕微鏡の後側角開口503の範囲内にあるので、レーザ光の強度を効率よく被加工物に照射することができる。
一方、波長をλ2に切り換えると、図示丸印で示すように、光軸502の近くに回折次数が無く、同じような角度だけ離れた位置に4つの回折次数505が存在している。そのため、これら複数の回折次数505にレーザの強度が分散し、かつ顕微鏡の後側角開口503に入射しなくなる。顕微鏡に対する入射角度を変えて、1つの回折次数を入射させることはできるが、それでもレーザ光の利用効率は改善されない。
特許文献2に記載の技術では、マイクロミラーの傾斜角を調整しているため、複数の波長光によっては、汎用性のあるマイクロミラーアレイを使用できなくなり、高価なマイクロミラーアレイを用いる必要があるという問題がある。
本発明の第1の実施形態に係るレーザ照射装置およびそれを用いたレーザ加工システムについて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ照射装置およびそれを用いたレーザ加工システムの概略構成を示す光軸を含む断面における模式説明図である。図2(a)、(b)、(c)は、本発明の実施形態に係るレーザ照射装置の空間変調素子における回折現象を説明する模式的な断面図である。図3は、本発明の実施形態に係るレーザ加工システムの制御ユニットの概略構成を示す機能ブロック図である。
なお、図中のXYZ座標系は、方向参照の便宜のために各図共通の位置関係に設けたもので、鉛直方向がZ軸、水平面がXY平面であり、Y軸負方向からY軸正方向に向かう方向が、正面視の方向に一致されている(以下、他の図でも同様)。
また、図中の光束を示す線は、試料のある1点にレーザ光を照射する場合を模式的に描いたものである。
レーザ加工システム100の概略構成は、図1に示すように、レーザ光源50、加工ヘッド20、加工ヘッド移動機構31、載置台21、制御ユニット22、表示部30、およびユーザインタフェース32からなり、被加工物である基板11は、加工時には、加工ヘッド20の下方に設置された載置台21上に被加工面11a(被照射面)を上側(Z軸正方向側)に向けて水平に載置される。
レーザ発振器1は、制御ユニット22に電気的に接続され、制御ユニット22からの制御信号に応じて発振が制御されるようになっている。
結合レンズ2は、レーザ発振器1から出射されるレーザ光をファイバ3に光結合するための光学素子である。
ファイバ3は、結合レンズ2により、ファイバ端面3aに光結合されたレーザ光を内部で伝搬させて加工ヘッド20内に導き、レーザ光60として、ファイバ端面3bから出射するものである。レーザ光60は、ファイバ3の内部を伝搬してから出射されるので、レーザ発振器1のレーザ光がガウシアン分布であっても、光量分布が均一化された拡散光となっている。
投影レンズ4は、ファイバ端面3bの像を、後述する空間変調素子6の変調領域に照射できるように投影倍率が設定されたレンズまたはレンズ群であり、加工ヘッド20の筐体20aに固定されている。本実施形態では、一例として投影レンズ4の光軸P1は、Z軸に略平行に配置されている例で説明するが、配置位置はこれに限定されない。
また、レーザ光の均一化手段は、このようにファイバ3を用いることなく、他の光学素子、例えば、フライアイレンズ、回折素子、非球面レンズや、カレイド型ロッドを用いたものなどの種々の構成のホモジナイザなどを用いた構成としてもよい。
本実施形態では、相対移動は、加工ヘッド移動機構31によって加工ヘッド20を被加工面11aに平行なX軸方向および被加工面11aに直交する方向(Z軸方向)に移動し、載置台21によって、基板11をY軸方向に移動する場合の例で説明するが、例えば、加工ヘッド20がZ軸方向に移動して載置台21がXY方向に移動したり、載置台21が固定され加工ヘッド20がXYZ軸方向に移動したり、というように適宜の組合せの相対移動を採用することができる。
なお、加工ヘッド移動機構31は、例えば、ボールねじ、リニアモータなどが適宜用いられる。また、焦点合わせなど微小量の移動には圧電素子などを組み合わせてもよい。
ミラー移動機構34は、反射ミラー33を光軸P1に対して傾動させるミラー傾動部34aと、反射ミラー33を光軸P1に沿う方向に並進移動するミラー並進移動部34bとからなり、それぞれ、制御ユニット22に電気的に接続され、制御ユニット22からの制御信号によって、反射ミラー33の傾動の方向、傾動角度、および並進移動量を制御できるようになっている。
これにより、光軸P2の方向および光軸P2の空間変調素子6上での位置を変更できるようになっている。
微小ミラー6aの傾斜角φの大きさは、デバイスの構造などによっても異なるが、例えば、約10°〜約16°のような角度範囲のうちから選択されている。また、基準面Mは、適宜の向きに配置することができるが、本実施形態では、一例として、微小ミラー6aをZ軸方向負方向側に向けて、XY平面に平行に配置した場合の例で説明する。
各微小ミラー6aの位置は、長さWの辺の列番号m、長さHの辺の行番号n(m、nは、0以上の整数)によって、(m,n)で表すことができ、微小ミラー6aの配列ピッチから、基準面M上の位置座標に換算することができる。
本実施形態では、対物レンズ8Bは、倍率が異なる複数個がレボルバ機構によって切り替え可能に保持されている。そのため、レボルバ機構を回転させて対物レンズ8Bを切り替えることで、投影光学系8の倍率βを変更できるようになっている。以下では、特に断らない限り、対物レンズ8Bは、投影光学系8を構成するために選択されたレンズを指すものとする。
また本実施形態では、結像レンズ8Aの光軸P4は、X軸方向に平行に配置され、対物レンズ8Bの光軸P5は、Z軸方向に平行に配置されている。
このため、空間変調素子6と、結像レンズ8Aとの間には、オン光62を反射して、光軸P4に沿って入射させるミラー7が設けられている。そして、結像レンズ8Aと対物レンズ8Bとの間には、結像レンズ8Aを透過した光を反射して、光軸P5に沿って入射させる半透鏡9が設けられている。
なお、結像レンズ8AのNAは、オフ光63として反射された光が、入射しない大きさとされる。
半透鏡9と対物レンズ8Bとの間の光路上において観察用光源16に対向する位置には、半透鏡9で反射されたオン光62を透過し、観察用光80を対物レンズ8Bに向けて反射する半透鏡14が設けられている。そして、観察用光源16と半透鏡14との間には、観察用光80を適宜径の照明光束に集光する集光レンズ15が設けられている。
観察用光源16としては、例えば、可視光を発生するキセノンランプやLEDなど適宜の光源を採用することができる。
制御ユニット22の装置構成は、本実施形態では、CPU、メモリ、入出力部、外部記憶装置などで構成されたコンピュータと適宜のハードウェアとの組合せからなる。データ記憶部43は、このコンピュータのメモリや外部記憶装置を用いて実現している。また、他の構成は、それぞれの制御機能、処理機能に対応して作成されたプログラムをCPUで実行することにより実現している。
空間変調素子駆動部41は、画像処理部44で生成された加工データに基づいて、空間変調素子6の各微小ミラー6aのオン/オフ状態を制御するものである。
欠陥抽出部45は、画像データ150に対して欠陥抽出処理を行い、加工形状情報を欠陥画像データ151として、加工データ生成部46に送出するものである。
この欠陥抽出処理は、周知のいかなる欠陥抽出アルゴリズムを用いてもよい。例えば、取得された画像データと、あらかじめ記憶された正常な被加工面11aのパターン画像データとの輝度の差分をとり、その差分データをあるしきい値で2値化したデータから欠陥を抽出することができる。
加工データ生成部46は、欠陥抽出部45から送出された加工形状情報に対応して、被加工面11aにオン光62を照射できるように、空間変調素子6の各微小ミラー6aのオン/オフを制御する加工データ152(変調データ)を生成するものである。
図4は、本発明の実施形態に係るレーザ照射装置の偏向面移動機構の作用について説明する模式説明図である。
次に、加工ヘッド移動機構31によって、加工ヘッド20を移動して、最初の加工位置に設定し、被加工面11aの加工可能領域の画像を取得する。すなわち、観察用光源16を点灯し、観察用光80を発生させる。観察用光80は、半透鏡14で一部が反射され、この反射光が対物レンズ8Bで集光されて被加工面11a上の加工可能領域を照明する。
被加工面11aで反射された反射光は、対物レンズ8Bで集光され、一部が、半透鏡14を透過する。そして、半透鏡9により、さらに一部が透過されて、観察用結像レンズ12に導かれる。観察用結像レンズ12に入射した光は、撮像素子13の撮像面に結像される。
撮像素子13は、結像された被加工面11aの画像を光電変換し、画像取込部40に送出する。
画像取込部40では、送出された画像信号を、必要に応じて、ノイズ除去、輝度補正などの処理を施して表示部30に表示する。また、装置制御部42の制御信号に応じて、適宜のタイミングにおける画像信号を、画像データ150に変換し、データ記憶部43に記憶する。このようにして、被加工面11aの加工可能領域の画像が取得される。
また、被加工面11aの加工可能領域と空間変調素子6の変調領域とは、投影光学系8によって、共役の関係とされており、投影光学系8の投影倍率がβであるため、加工可能領域上の位置座標を1/β倍することで、空間変調素子6の変調領域上の位置に対応させることができる。
このようにして、加工データ生成部46では、欠陥画像データ151から、欠陥画像データ151で表される被加工面11a上の各位置に、オン光62を照射するためオン状態に制御すべき微小ミラー6aを決定し、それらの微小ミラー6aをオン状態とし、他の微小ミラー6aをオフ状態とするように空間変調素子6を駆動する加工データ152を生成する。例えば、各微小ミラー6aの位置(m,n)に対応して、オン状態が1、オフ状態が0の数値が対応する表データとして、加工データ152が生成される。
生成された加工データ152は、空間変調素子駆動部41に送出する。
次に、装置制御部42は、レーザ発振器1に対して、レーザ光を発振させる制御信号を送出し、基板11に応じて予め選択された照射条件に基づいて、レーザ発振器1からレーザ光を発振させる。レーザ光の照射条件としては、例えば、波長、光出力、発振パルス幅などが挙げられる。
発振されたレーザ光は、結合レンズ2でファイバ3のファイバ端面3aに光結合され、ファイバ端面3bから、光強度分布が略均一化された発散光であるレーザ光60として出射される。
ここで、偏向面33aの光軸P1に対する傾き(以下、単に偏向面33aの傾きと称する)と光軸P1方向の位置(以下、単に偏向面33aの光軸方向位置と称する)は、反射ミラー33の反射光であるレーザ光61が空間変調素子6のオン状態の微小ミラー6aで反射されたときに、投影光学系8に対して効率的に入射できるようにミラー移動機構34を駆動しておく。
この偏向面33aの傾きおよび光軸方向位置は、ユーザインタフェース32の操作入力および装置制御部42によって収集されたレーザ発振器1の波長情報などに基づいて、制御ユニット22の移動機構制御部35によって演算される。
傾斜角がオン状態とされた微小ミラー6aで反射されたオン光62は、光軸P3に沿って進み、ミラー7で反射されて光軸P4に沿って進み、結像レンズ8Aに入射し、集光されて、半透鏡9に到達し、半透鏡9で反射される。
半透鏡9で反射されたオン光62は、光軸P5に沿って進み、対物レンズ8Bによって被加工面11a上に結像される。
このようにして、加工データ152に基づくオン光62よる変調領域の画像が、被加工面11a上に投影される。その結果、オン光62が、被加工面11aの欠陥に照射され、欠陥が除去される。
この加工後、撮像素子13により再度被加工面11aの画像を取得し、必要に応じて、上記を繰り返して、未除去部があれば再度レーザ加工したり、あるいは、加工可能領域を移動して他の部分のレーザ加工をしたりする。
空間変調素子6は、微小ミラー6aが規則的に配列されているため、オン光62の光強度分布は、微小ミラー6aによる回折現象によって決定される。
例えば、図2(a)に示すように、レーザ光61が、空間変調素子6の基準面Mに対して入射角θ0=2・φで入射すると、基準面Mに対して図示反時計回りに角度φだけ傾斜したオン状態の複数の微小ミラー6aの反射光であるオン光62は、フラウンホーファー回折70と回折71とが発生し、オン光62の光強度分布は、これらの回折光をコンボルーションして得られる。
一方、回折71は、微小ミラー6aの配列ピッチとレーザ光61の波長から決まる離散的な分布となる。すなわち、0次回折光d0が、レーザ光61の基準面Mに対する正反射光(本例ではZ軸負方向に対して図示時計回りに角度θ0回転した方向)に発生し、微小ミラー6aの配列ピッチとレーザ光61の波長によって一義的に決まる異なる回折角の方向に、N次回折光dN(ただし、N=1,2,…)が発生する。
このとき、回折71のいずれかの次数の回折光の方向と、フラウンホーファー回折70のピーク強度の方向とが略一致した状態で、投影光学系8に入射させることができれば、コンボルーションされた光強度分布が大きくなるため、回折効率が向上する。したがって、光利用効率を向上することができる。
例えば、図2(a)の場合のように、投影光学系8の光軸方向に対して、フラウンホーファー回折70のピーク強度の方向が一致し、回折71の3次回折光d3、4次回折光d4が、それぞれ角度θ3、θ4(ただし、θ4≦θ3)だけ傾斜している場合、少なくともいずれかの回折光が、投影光学系8の開口角の範囲に含まれるようにすることで、回折効率が向上し、良好な光利用効率を実現できる。
もし、いずれの回折光の方向も、投影光学系8の開口角範囲内に入らない場合、移動機構制御部35は、偏向面33aを傾動させて、フラウンホーファー回折70のピーク強度の方向といずれかの回折光の方向とが、少なくとも投影光学系8の開口角範囲に入るようにし、可能であれば投影光学系8の光軸と一致するようにする。
例えば、図2(b)に破線で示すように、ミラー移動機構34によって偏向面33aの傾きを変えて、基準面Mに対して、レーザ光61Aが入射角(θ0+Δθ)で入射するように変更する。この入射角の変化に応じて、各回折光の回折方向が変化する。したがってΔθを適宜設定することで、例えば、4次回折光D4の回折方向を投影光学系8の光軸方向に一致させるといった動作が可能となる。
このとき、微小ミラー6aに対する正反射方向も変化するので、フラウンホーファー回折70のピーク強度方向も変化するから、実際には、それぞれの回折方向が、ともに投影光学系8の開口角の範囲に入るようにΔθの値を設定する。
例えば、図2(c)に示すように、空間変調素子6により短波長のレーザ光61Bが入射すると、フラウンホーファー回折70は図2(a)の場合と変わらないが、回折71は、波長の変化に応じて、基準面Mの正反射方向に0次回折光e0が発生し、図2(a)の高次回折光と異なる回折方向に、N次回折光eN(ただし、N=1,2,…)が発生する。そして、投影光学系8の光軸方向に最も近い回折方向を有する回折光は、例えば、投影光学系8の光軸と角度θ6をなす6次回折光e6となって、図2(a)とは、光利用効率が異なってくる。
そこで、この角度θ6に対応して、偏向面33aを移動することにより、レーザ発振器1の発振波長が変更されても、良好な回折効率が得られる。
表1に数値例1を示す。数値例1は、微小ミラー6aに配列ピッチが19.05μm、微小ミラー6aのオン状態の傾斜角φが、φ=15.3degの場合において、レーザ光61の波長を266nm、355nm、532nmとした場合の設定例である。ここで、それぞれの波長は、YAGレーザの第2高調波、第3高調波、第4高調波に対応している。
表1には、それぞれの波長に対する、1次回折光の回折角(deg)、投影光学系8の光軸P3に最も近い回折光の回折次数、空間変調素子6の基準面Mに対する入射角θ0の設定値、フラウンホーファー回折の強度分布と回折光のコンボルーションから算出した回折効率(%)、投影光学系8の光軸P3に対する角度(deg)をそれぞれ示した。
表2には、表1と同様の、回折角(deg)、回折次数、入射角θ0の設定値、回折効率(%)、光軸P3に対する角度(deg)をそれぞれ示した。
数値例3は、微小ミラー6aに配列ピッチが17.9μm、レーザ光61の波長が355nmの場合において、微小ミラー6aのオン状態の傾斜角φが、φ=15.0deg、14.97nmに変化した例である。微小ミラー6aの傾斜角は、参照光を所定角度で入射させて反射光の到達位置を測定することで実験的に求めることができる。
表3には、表1と同様の、回折角(deg)、回折次数、入射角θ0の設定値、回折効率(%)、光軸P3に対する角度(deg)を、オン状態の微小ミラー6aの傾斜角φとともに示した。
そして、数値例3−cは、偏向面33aを0.5deg傾動することで、回折効率を回復し、φ=14.97degの空間変調素子6でも、φ=15degの空間変調素子6と同じ回折効率80%が得られることを示している。
例えば、図4に示すように、偏向面33aが、光軸P1との交点Qが傾動中心となるようにミラー傾動部34aに保持されている場合、空間変調素子6への入射角が角度θ0となる反射ミラー33Aの状態から角度(Δθ/2)だけ回転して、反射ミラー33Bの位置に傾動すると、レーザ光源50からのレーザ光61の空間変調素子6の基準面Mに対する入射角は、角度(θ+Δθ)になるが、空間変調素子6までの距離によっては、反射光が空間変調素子6から外れたり、投影光学系8の有効範囲から外れたりする場合がある。
このとき、ミラー並進移動部34bによって、反射ミラー33Bを光軸P1の方向に、例えば距離Lだけ並進移動して反射ミラー33Cの位置に移動することで、反射ミラー33Cでの反射光を、反射ミラー33Aでの反射光と正確に同じ位置に入射させることができる。
このため、レーザ発振器1の発振波長に応じて、レーザ光61の空間変調素子6に対する入射角を変えることで、レーザ光61の波長変化による光利用効率の変化を抑制することができる。
また、空間変調素子6の製造バラツキなどによる微小ミラー6aのオン状態の傾斜角のバラツキがあっても、各空間変調素子6に傾斜角に応じて、レーザ光61の入射角を調整し、光利用効率が良好になるように調整することができる。
図5は、本発明の実施形態の第1変形例に係るレーザ照射装置の偏向面移動機構の構成を示す模式説明図である。
ミラー移動機構36は、ミラー移動機構34と同様のミラー傾動部34a、ミラー並進移動部34bからなり、反射ミラー33をその端部の点qを中心に傾動できるよう取り付けたものである。また、ミラー移動機構36は、制御ユニット22の移動機構制御部35に電気的に接続されている。
この場合、Z軸方向の並進移動量は、偏向面33a上の光軸の反射位置と点qとの間の距離を考慮することで上記実施形態と同様に決定することができ、上記実施形態と同様に、偏向面33aを傾動および並進移動させることができる。
図6は、本発明の実施形態の第2変形例に係るレーザ照射装置の光路偏向部および偏向面移動機構の構成を示す模式的な斜視図である。
反射ミラーブロック37は、図6に示すように、XY平面に平行な取付面37aと反対側の面に、ZX平面内の傾きと、Z軸方向の高さとが異なる偏向面37A、37B、37Cが、Y軸方向に並列して設けられたものである。
ミラー移動機構38は、不図示の筐体に図示Y軸方向に延ばして取り付けられスライドガイド38bと、反射ミラーブロック37の取付面37aに固定され、スライドガイド38b上を図示Y軸方向に移動可能に設けられたスライダ38aとからなる1軸移動機構である。
ミラー移動機構38は、制御ユニット22の移動機構制御部35に電気的に接続され、移動機構制御部35の制御信号によって、Y軸方向に、ステップ状に移動できるようになっている。
このように、本変形例によれば、予め偏向面の傾き量が複数に限定されている場合に、切替時ごとに入射角の計算を行うことなく、迅速に偏向面の設定を行うことができる。また、ここの偏向面に対しては傾動を行わないので偏向面移動機構の構成を簡素化することができる。
なお、図6では、各偏向面は、Y軸に平行な一つの軸を中心として傾き角が変更されている形状の例を示したが、各偏向面を適宜Z軸方向に移動させた形状であってもよい。
図7は、本発明の実施形態の第3変形例に係るレーザ照射装置の光路偏向部および偏向面移動機構の構成を示す模式説明図である。
反射ミラーブロック39は、図7に示すように、XY平面に平行な取付面39aと反対側の面に、ZX平面内の傾きと、Z軸方向の高さとが異なる偏向面37A、37B、37Cが、X軸方向に並列して設けられたものである。
ミラー移動機構48は、不図示の筐体に図示X軸方向に延ばして取り付けられスライドガイド48bと、反射ミラーブロック39の各偏向面の裏面側の取付面39aを固定する固定面48cをZ軸正方向側に備え、スライドガイド48b上をX軸方向に移動可能に設けられたスライダ48aとからなる1軸移動機構である。
ミラー移動機構48は、制御ユニット22の移動機構制御部35に電気的に接続され、移動機構制御部35の制御信号によって、Y軸方向に、ステップ状に移動できるようになっている。なお、図7では、各偏向面はZ軸方向の配置高さが、X軸正方向に向かってステップ状に増大して形成されている形状の例を示したが、各偏向面の配置高さは適宜Z軸方向に移動した形状としてもよく、例えば、ZX断面でノコギリ歯状となるように形成されていてもよい。
本変形例では、上記第2変形例に対して、偏向面の配置方向と偏向面の移動方向とを偏向したものであり、上記第2変形例と同様の作用効果を備える。
この場合、傾動角度や並進移動量は、例えば波長や微小ミラーの傾斜角の条件に応じて予め算出しておき、移動時に参照できるようにしておけばよい。あるいは、被加工面における光量をモニタできるようにしておき、移動量を変えて、被加工面上の光量を測定しながら設定してもよい。
特に、上記第2、第3変形例の構成では、偏向面移動機構は、1軸方向にステップ状に移動して偏向面を選択的に切り替えるので、高精度の移動精度が必要ないため、手動操作に適している。
この場合、空間変調素子に対する照射位置を移動しながらレーザ照射を行うことができるので、微小ミラーに対するレーザ光の照射負荷を分散させることができ、空間変調素子の寿命を延ばすことができる。
6a 微小ミラー
8 投影光学系
8A 結像レンズ
8B 対物レンズ
11 基板
11a 被加工面(被照射面)
12 観察用結像レンズ(撮像光学系)
13 撮像素子(撮像部)
20a 筐体
22 制御ユニット
33 反射ミラー(光路偏向部)
33a、37A、37B、37C、39A、39B、39C 偏向面
34、36、38、48 ミラー移動機構(偏向面移動機構)
35 移動機構制御部
37、39 反射ミラーブロック(光路偏向部)
44 画像処理部
45 欠陥抽出部
46 加工データ生成部
50 レーザ光源
60、61、61A、61B レーザ光
62 オン光
100 レーザ加工システム
P1、P2、P3、P4、P5 光軸
Claims (7)
- 加工形状情報に応じてレーザ光を被加工物に照射するレーザ照射装置であって、
レーザ光源と、
該レーザ光源から出射されるレーザ光を、可動支持された偏向面によって偏向する光路偏向部と、
前記光路偏向部で偏向されたレーザ光を空間変調して、被照射面に向かうオン光を形成する複数の微小ミラーを有する空間変調素子と、
該空間変調素子によって形成されたオン光を前記被照射面上に投影する投影光学系と、
前記レーザ光源の出射側光軸に対して前記光路偏向部の偏向面の傾きを変える第1の偏向面移動手段と前記レーザ光源の出射側光軸に沿う方向に前記偏向面を移動させる第2の偏向面移動手段とを有する偏向面移動機構と、
前記空間変調素子で空間変調されたオン光が前記投影光学系の開口角の範囲に入るように前記偏向面移動機構を制御する偏向面移動機構制御部を備え、
前記第1の偏向面移動手段は、前記光路偏向部の偏向面を前記出射側光軸に対して傾動させる傾動部からなり、
前記第2の偏向面移動手段は、前記偏向面を前記出射側光軸方向に沿って並進移動させる並進移動部からなる
ことを特徴とするレーザ照射装置。 - 前記偏向面移動機構制御部は、前記空間変調素子で変調されたオン光のN次回折光のうちいずれかの次数の回折光が前記投影光学系の開口角の範囲に入るように第1の偏向面移動手段により前記偏向面の傾きを変更させるとともに、前記第2の偏向面移動手段により前記偏向面を光軸方向により移動させることを特徴とする請求項1に記載のレーザ照射装置。
- 前記第1の偏向面移動手段は、前記空間変調素子における前記複数の微小ミラーの配列ピッチと前記レーザ光の波長により決まるN次回折光のうち選択されたいずれかの次数の回折光の方向が、前記空間変調素子の開口によって決まるフラウンホーファー回折のピーク強度の方向に略一致するように前記偏向面の傾斜角度を変更させることを特徴とする請求項2に記載のレーザ照射装置。
- 前記第2の前記偏向面移動手段は、前記第1の偏向面移動手段により選択されたいずれかの次数の回折光が前記投影光学系の開口角の範囲に入るように前記偏向面を前記出射測光軸方向に沿って移動させることを特徴とする請求項2に記載のレーザ照射装置。
- 前記レーザ光源は、複数の波長のレーザ光を選択的に出射するものであり、
前記第1の偏向面移動手段は、前記レーザ光源から出射される波長に応じて、前記偏向面の傾斜角度を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ照射装置。 - 前記傾動部は、前記光路偏向部の偏向面と前記出射測光軸との交点を中心に前記光路偏向部を回転可能に保持することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレーザ照射装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のレーザ照射装置と、
該レーザ照射装置の被照射面に配置された被加工物の撮像行うため、前記レーザ照射装置の前記投影光学系と同軸に配置された撮像光学系と、
該撮像光学系の像位置に配置された撮像部と、
該撮像部により撮像された画像を画像処理して前記被加工物の欠陥を抽出する画像処理部とを有し、
該画像処理部によって抽出された欠陥の形状に対応して、前記レーザ照射装置の前記空間変調素子を変調駆動して、前記被加工物に前記空間変調されたレーザ光を照射して、前記被加工物の加工を行うことを特徴とするレーザ加工システム。
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