JP5644481B2 - 画像投影装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表示素子の画像をスクリーン上に投影する画像投影装置に関し、特に、各画素を構成するミラーを回動させることで画像を表示するデジタルマイクロミラーデバイスからなる表示素子を備えた画像投影装置に関するものである。
デジタルマイクロミラーデバイス(以下、DMDと称する。米国テキサスインスツルメント社製)は、複数の微小ミラーをマトリックス状に有し、各ミラーの傾きをON/OFFの2値で制御するものであり、各ミラーの傾きの制御によって、入射する光を変調することができる。DMDは、このように傾きが変化する複数のミラーを2次元的に敷き詰めた構成であるため、DMDの表面には、各ミラーの表面に沿った凹凸が生じ、この凹凸がブレーズ型の回折格子として機能する。
DMDにおける回折の影響を低減する技術としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1には、レーザ光源からの光をDMDの各ミラーに照射し、その反射回折光を集光レンズと対物レンズで被加工物に結像させるレーザ加工装置が開示されている。このレーザ加工装置では、DMDの各ミラーを通過した光線が回折作用によって2本の光線に分離しないよう、DMDを対物レンズの光軸に対して所定の角度だけ傾け、各ミラーを通過した光線が被加工物に効率的に伝送されるように構成している。
また、DMDは、プロジェクタなどの画像投影装置における表示素子としても多く用いられている。画像投影装置においては、DMDの各画素のミラーが所定の角度だけ傾いた状態で照明光を反射させることにより、DMDの画像表示面に垂直な方向に画像光としてのオン光を出射している。一方、各ミラーがオン光を出射する角度とは異なる角度で傾いた状態で照明光を反射させることにより、投影に不要な光をオフ光として出射している。オン光は、投影レンズを介してスクリーンに導かれるが、オフ光は、投影レンズには入射せず、スクリーンには到達しない。このように、各ミラーの傾きをON/OFFの2値で制御することにより、DMDに画像を表示して、その画像をスクリーンに投影することができる。ところが、前述のようにDMDの回折格子としての性質によって、ミラーで反射されたオフ光が回折次数に応じて分散して出射し、分散した一部の光が投影レンズに入射することになり、スクリーンに投影した画像のコントラストが低下するおそれがある他、オン光も回折次数に応じて分散して出射し、分散した一部の光が投影レンズに入射せずに、スクリーンに投影した画像の明るさが低下するおそれがある。
非特許文献1に記載の画像投影装置では、投影レンズの瞳を楕円形状で形成するとともに、オフ光が分散する方向と楕円形状の瞳の短径方向とが一致するように、投影レンズを配置している。これによって、分散したオフ光は楕円形状の瞳に遮られ、スクリーンに到達ことがなく、スクリーン上の画像コントラストの低下を抑えている。しかし、分散したオン光に対しての対策にはなっておらず、却ってオン光のスクリーンへの到達を妨げ、スクリーンに投影した画像の明るさが低下する。
特開2010−44272号公報
SID 02 DIGEST 46.1:Advances in Contrast Enhancement for DLP Projection Displays, SID Symposium Digest of Technical Papers, May 2002, Volume 33, Issue 1, pp.1246-1249
特許文献1に記載の装置は、上述のように、レーザ加工装置においてDMDを対物レンズの光軸に対して所定の角度(実施例では5度)傾けることにより、回折による光の伝達効率の低下を回避するものであるが、この装置の構成を画像投影装置に適用することはできない。なぜならば、DMDを投影レンズの光軸に対して5度も傾けると、周辺などに焦点ボケが投影画像に生じる。
また、画像投影装置においては、DMDの各ミラーで反射される光(オン光、画像光)においても、回折次数に応じて分散して出射されるが、非特許文献1の装置は、画像光の回折による影響を低減できる構成ではなく、この結果、画像光の伝達効率が低下するという不都合があった。特に、光源がレーザ光である場合には、レーザ光は波長帯域が狭いために回折による影響が顕著に顕れ、スクリーンに投影する画像光の伝達効率が著しく低下するおそれがある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、表示素子であるDMDから画像光が出射するときに回折の散乱による画像光の伝達効率が低下するのを抑え、明るく良好な画像を投影する画像投影装置を提供することを目的とする。
本発明の画像投影装置は、放電ランプからなる光源と、前記光源からの照明光を各画素で変調することにより、青、緑、赤の各色の画像を表示する表示素子と、前記表示素子にて表示された各色の画像を投影する投影レンズとを備えた画像投影装置であって、前記表示素子は、各画素を構成するミラーで前記照明光を反射させて、前記画像を表す光をオン光として前記投影レンズに導く一方、前記画像を表す光以外のオフ光を前記投影レンズの外部に導くデジタルマイクロミラーデバイスで構成されており、下記の条件式を満たすことを特徴とする画像投影装置。
β(2・k−1)≧2・γ―β(2・k)≧β(2・k+1)
但し、
β(m)は、表示素子の画像表示面に照明光が入射したときの回折による、m次の回折光の回折角であって、
β(m)=sin−1{sinα−m・λ/(√2・d)}
γは、表示素子に入射した照明光線が、表示素子のオン光を出射するミラーで鏡面反射するときの、鏡面反射光の出射方向と画像表示面法線とのなす角度であって、
γ=α−2・θ
d:表示素子の画素ピッチ
α:表示素子に入射する照明光線の画像表示面法線に対する入射角
θ:表示素子のオン光を出射するミラーの法線の画像表示面法線に対する傾斜角
λ:青色の画像表示の場合は波長480nm、
緑色の画像表示の場合は波長550nm、
赤色の画像表示の場合は波長620nm
m:正の整数
k:正の整数
また、本発明の画像投影装置は、青、緑、赤の各色のレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源からの照明光を各画素で変調することにより、青、緑、赤の各色の画像を表示する表示素子と、前記表示素子にて表示された各色の画像を投影する投影レンズとを備えた画像投影装置であって、前記表示素子は、各画素を構成するミラーで前記照明光を反射させて、前記画像を表す光をオン光として前記投影レンズに導く一方、前記画像を表す光以外のオフ光を前記投影レンズの外部に導くデジタルマイクロミラーデバイスで構成されており、下記の条件式を満たすことを特徴とする画像投影装置。
β(2・k−1)≧2・γ―β(2・k)≧β(2・k+1)
但し、
β(m)は、表示素子の画像表示面に照明光が入射したときの回折による、m次の回折光の回折角であって、
β(m)=sin−1{sinα−m・λ/(√2・d)}
γは、表示素子に入射した照明光線が、表示素子のオン光を出射するミラーで鏡面反射するときの、鏡面反射光の出射方向と画像表示面法線とのなす角度であって、
γ=α−2・θ
d:表示素子の画素ピッチ
α:表示素子に入射する照明光線の画像表示面法線に対する入射角
θ:表示素子のオン光を出射するミラーの法線の画像表示面法線に対する傾斜角
λ:青色の画像表示の場合は、レーザ光源が出射する青色のレーザ光の波長、
緑色の画像表示の場合は、レーザ光源が出射する緑色のレーザ光の波長、
赤色の画像表示の場合は、レーザ光源が出射する赤色のレーザ光の波長
m:正の整数
k:正の整数
本発明の画像投影装置においては、青色の画像表示の場合、k=7であり、緑色の画像表示の場合、k=6であり、赤色の画像表示の場合、k=5であることが望ましい。
本発明の画像投影装置においては、前記表示素子は、青、緑、赤の各色に対応して3つ設けられており、前記3つの表示素子のうちの1つは、他の表示素子に対して前記画素ピッチdが異なっていることが望ましい。
本発明の画像投影装置においては、前記表示素子は、青、緑、赤の各色に対応して3つ設けられており、前記3つの表示素子のうちの1つは、他の表示素子に対して前記傾斜角θが異なっていることが望ましい。
本発明によれば、放電ランプからなる光源から照明光を表示素子の画像表示面に照射し、これによって、照明光が表示素子のミラーに入射し該ミラーで反射してオン光として出射する場合、各ミラーが回折格子として作用し、回折次数に応じた回折光が各ミラーから分散する。この回折光が条件式を満たすように設定されると、偶数次の回折光は鏡面反射光の出射方向に略一致し、または鏡面反射光の出射方向の近くに分散するために、鏡面反射光の出射方向の近傍に回折光のエネルギーが集中することになり、画像光の伝達効率が低下するのを抑えられ、明るく良好な画像を投影することができる。
また、本発明によれば、レーザ光源から照明光を表示素子の画像表示面に照射し、これによって、照明光が表示素子のミラーに入射し該ミラーで反射してオン光として出射する場合、各ミラーが回折格子として作用し、回折次数に応じた回折光が各ミラーから分散する。この回折光が条件式を満たすように設定されると、偶数次の回折光は鏡面反射光の出射方向に略一致し、または鏡面反射光の出射方向の近くに分散するために、光源がレーザ光であっても、鏡面反射光の出射方向の近傍に回折光のエネルギーが集中することになり、画像光の伝達効率が低下するのを抑えられ、明るく良好な画像を投影することができる。
本発明の実施の一形態に係る画像投影装置の概略の構成を示す断面図 上記画像投影装置のDMDの平面図 上記画像投影装置のDMDの断面図 上記画像投影装置のカラープリズムの断面図 上記DMDにおける回折の状態を示す平面図 上記DMDにおける回折の状態を示す断面図 上記DMDの変形例における回折の状態を示す平面図 上記DMDの変形例における回折の状態を示す断面図 上記DMDの参考例における回折の状態を示す平面図 上記DMDの参考例における回折の状態を示す断面図 上記画像投影装置の折り返しミラーの断面図 本発明の実施の別形態に係る画像投影装置の概略の構成を示す断面図 上記画像投影装置の光源の別形態に係る構成を示す断面図 上記光源のレーザアレイを示す平面図 上記光源のコリメートレンズアレイを示す平面図 上記光源の青帯域PBSミラーの反射特性を示す図 上記光源の緑帯域PBSミラーの反射特性を示す図 上記光源の赤帯域PBSミラーの反射特性を示す図
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1、本発明の実施の一形態に係る画像投影装置の概略の構成を示す断面図であり、図2は上記画像投影装置のDMDの平面図であり、図3は、オン光を出射する状態にあるDMDの断面図であり、図4は上記画像投影装置のカラープリズムの断面図である。
図1に示すように、画像投影装置は、光源1と、ロッドインテグレータ52と、照明リレー系53と、折り返しミラー51と、TIRプリズム54と、色分離及び色合成手段であるカラープリズム63と、表示素子であるDMD44と、投影レンズ24と、を備える。
光源1は、白色光を放射する放電ランプである。リフレクタ2は、光源1から出射される光を反射させて照明光学系7に導く反射板である。リフレクタ2は、回転楕円面の反射面を有しており、リフレクタ2の一方の焦点位置に光源1が配置されている。光源1からの光は、リフレクタ2にて反射されてロッドインテグレータ52に入射する。
ロッドインテグレータ52は、光源1からの光の光量分布を均一化して出射するものである。ロッドインテグレータ52の断面形状は、DMD44の矩形の画像表示領域と略相似となっている。これにより、ロッドインテグレータ52は、DMD44の矩形の画像表示領域と略相似な照明光束を形成するインテグレータ光学系を構成している。尚、ロッドインテグレータ52の長辺方向は、TIRプリズム54の入射面に対して、実際は45度傾いたねじれの関係にあるが、図1では、説明の理解をしやすくするため、上記入射面と平行に示している。TIRプリズム54の入射面とは、光線束の中心光線がTIRプリズム54の面に入射するときに、その面に入射する中心光線と、入射点における面の法線とを含む平面である。
照明リレー系53の瞳面上には、ロッドインテグレータ52内での反射回数に応じた位置に複数の2次光源像が形成される。また、ロッドインテグレータ52の光出射面とDMD44の画像表示領域とは、照明リレー系53によって略共役となっている。
照明リレー系53は、ロッドインテグレータ52の光出射面の像をリレーしてDMD44に投影することにより、DMD44を均一に照明する光学系である。照明リレー系53によってロッドインテグレータ52からの光を集光することにより、上記光の利用効率を向上させることができる。
折り返しミラー51は、照明リレー系53から出射した光を反射させてエントランスレンズ58に導くミラーであり、光路を折り曲げることで画像投影装置をコンパクトに構成することができる。
エントランスレンズ58は、DMD44を略テレセントリックに照明するためのレンズであり、TIRプリズム54の光入射側に配置されている。
上記構成によれば、光源1からロッドインテグレータ52に入射する光は、そこでの内面反射を繰り返してミキシングされ、均一な光量分布となって光出射面から出射される。このロッドインテグレータ52での反射回数に応じて、照明リレー系53内に複数の2次光源像が形成されるが、これらを重畳させることにより、光量分布の均質な照明光を実現することができる。ロッドインテグレータ52から出射される光は、照明リレー系53、及びTIRプリズム54を介して、DMD44に導かれる。
TIRプリズム54は、DMD44への照明光を全反射させ、DMD44で生成される画像光を透過させる全反射プリズム(臨界角プリズム)である。TIRプリズム54によって照明光の光路を折り曲げることにより、画像投影装置をコンパクトに構成することができる。
TIRプリズム54は、エアギャップ層を介して2つのプリズム55、56を貼り合わせて構成されている。プリズム55は、第1光入射面55a、臨界面55b及び第1光出射面55cを有しており、プリズム56は、第2光入射面56a及び第2光出射面56bを有している。プリズム55の臨界面55bとプリズム56の第2光入射面56aとは、エアギャップ層を介して対向して配置されている。
照明リレー系53からの照明光は、TIRプリズム54のプリズム55の内部に第1光入射面55aから入射する。プリズム55の臨界面55bは、照明光が全反射するように配置されており、照明光は臨界面55bで反射されて、プリズム55の第1光出射面55cから出射され、カラープリズム63を介してDMD44を照明する。
図2に示すように、DMD44は、矩形の画像表示領域44aを有し、各画素を構成するミラー44bの回動軸44cが画像表示領域44aの長辺44a及び短辺44aと45度の角度をなしている。尚、図2では、本来、DMD44の画像表示領域44aには、複数のミラー44bが長辺44a及び短辺44a方向に配列されているが、説明の便宜上、一つのミラー44bのみを描いている。
DMD44の各ミラー44bは、照明光軸に対して所定の角度傾いた状態で照明光を反射させることにより、DMD44の画像表示領域44aに垂直な方向に画像光としてのオン光を出射する。一方、各ミラー44bがオン光を出射する角度とは異なる角度に傾いた状態で照明光を反射させることにより、オン光より大きな射出角を持ってオフ光が出射する。ミラー44bへのオン光の入射及び出射の状態を図3に基づいて詳しく説明する。
図3に示すように、DMD44のミラー44bのミラー法線Sは、画像表示面法線Axに対して傾斜角θだけ傾斜している。尚、画像表示面法線Axは、DMD44の表示領域44aを平面とみなしたとき、その平面に対する法線である。照明光線Lはミラー44bに入射し、ミラー44bで鏡面反射した光線は、ミラー法線Sに対して、照明光線Lの反対側の位置に、入射した照明光線Lの角度と同じ角度で出射する。この鏡面反射光線の出射する方向を鏡面反射方向Rとする。ここで、画像表示面法線Axを基準にしてミラー法線S、照明光線L及び鏡面反射方向Rを示すと、ミラー法線Sは画像表示面法線Axに対して傾斜角θの位置にある。照明光線Lは画像表示面法線Axに対して入射角αで画素(ミラー44b)に入射し、一方、鏡面反射方向Rは画像表示面法線Axに対して角度γだけ傾斜している。オン光が画素(ミラー44b)から出射する場合、照明光線Lと鏡面反射方向Rとの関係は、下記の式(A)で表される。尚、角度γは微小角度である(例えば、5度未満)。図3の回折光D、回折角βは後述する。
γ=α−2・θ ・・・(A)
図1に戻り、DMD44から出射したオン光は、カラープリズム63、TIRプリズム54及び投影レンズ24を順に介してスクリーンに導かれるが、オフ光は、ミラー44bから大きな射出角で出射するため、投影レンズ24には入射せず、スクリーンには到達しない。このように、各ミラー44b(図3参照)の傾きをON/OFFの2値で制御することにより、DMD44に画像を表示して、その画像光をスクリーンに投影することができる。
図4に示すように、カラープリズム63は、TIRプリズム54(図1参照)とDMD44との間の光路中に配置される色分離合成手段である。本実施形態では、DMD44は、赤、緑、青の3色の光に対応して設けられるDMD44R、44G、44Bからなっており、カラープリズム63は、TIRプリズム54からの光を上記3つの色光に分離して各DMD44R、44G、44Bに導くとともに、各DMD44R、44G、44Bからの反射光を同一光路に合成する。
カラープリズム63は、三角柱状の第1カラープリズム64及び第2カラープリズム65、略四角柱状の第3カラープリズム66が組み合わされている。第1カラープリズム64の、第2カラープリズム65と対向する面にダイクロイック面64Bが形成され、このダイクロイック面64Bにて青の波長域の光を反射するとともに赤緑の波長域の光を透過する。なお、第1カラープリズム64と第2カラープリズム65との間にはエアギャップ層が設けられている。また、第2カラープリズム65の、第3カラープリズム66と対向する面にダイクロイック面65Rが形成され、このダイクロイック面65Rに赤の波長域の光を反射するとともに緑の波長域の光を透過する。第2カラープリズム65と第3カラープリズム66との間にもエアギャップ層が設けられている。
第1カラープリズム64の光入出射面より入射した照明光は、ダイクロイック面64Bで青の波長域の光が反射し、赤、緑の波長域の光は透過する。ダイクロイック面64Bで反射した青の波長域の光は、第1カラープリズム64の側面で全反射して、第1カラープリズム64の光入出射面より出射してDMD44Bを照明する。一方、ダイクロイック面64Bを透過した赤、緑の波長域の光のうち、赤の波長域の光は第2カラープリズム65のダイクロイック面65Rで反射し、緑の波長域の光は透過する。ダイクロイック面65Rで反射した赤の波長域の光は、第2カラープリズム65の側面で全反射され、第2カラープリズム65の光入出射面より出射してDMD44Rを照明する。ダイクロイック面65Rを透過した緑の波長域の光は、第3カラープリズム66の光入出射面より出射してDMD44Gを照明する。
各DMD44R、44G、44Bに入射した光は、そこで変調された後、画像光として出射される。DMD44Bで反射した青の画像光は、第1カラープリズム64の光入出射面に入射して、第1カラープリズム64の側面で全反射した後、さらにダイクロイック面64Bで反射する。また、DMD44Rで反射された赤の画像光は、第2カラープリズム65の光入出射面に入射して、第2カラープリズム65の側面で全反射した後、ダイクロイック面65Rで反射して、さらに、第1カラープリズム64のダイクロイック面64Bを透過する。一方、DMD44Gで反射した緑の画像光は、第3カラープリズム66の光入出射面に入射して、ダイクロイック面65R及びダイクロイック面64Bを透過する。そして、これら青、緑、赤の各画像光は、同一光軸に合成されて出射して、TIRプリズム54(図1参照)に入射する。合成された画像光は投影レンズ24(図1参照)によってスクリーン(図略)上に拡大投影される。
ここで、DMD44R、44G、44Bは、各ミラー44b(画素、図2参照)のピッチが比較的に小さく、ミラー44bが画像表示領域44a(図2参照)に傾いた状態でマトリックス状に配列されているために、回折格子として作用し、DMD44R、44G、44Bから出射するオン光から回折光が生じる。
図5〜図10は、DMD44における、オン光の回折の状態を示す図であり、図5、図7、図9は、DMD44の画像表示領域の平面図であり、図6、図8、図10は、DMD44の各画素の断面図である。図5、図6は、本実施形態における、回折状態の一例を示し、図7、図8は、本実施形態における、回折状態の別例を示し、図9、図10は、回折状態の参考例を示す。
図5、図7、図9に示すように、照明光線Lは画像表示領域44aに入射し、その入射方向は、画素(ミラー44b、図6参照)の対角線Xの方向であり、また、照明光線Lが対角線X方向から入射すると、鏡面反射方向Rは対角線X上に位置することになる。尚、画像表示領域44a上で対角線Xに対して鏡面反射方向Rにおいて直角方向に交わる線を直交線Yとする。
照明光線Lはミラー44bで反射し、反射した光は、回折次数に応じ分散して出射する。その結果、回折光は、直交線Yの方向に回折次数m毎に複数並んで生じる。回折次数mが奇数である回折光では、対角線X上に位置する回折光が出現せずに、鏡面反射方向Rから離れた位置に分散する。一方、回折次数mが偶数である回折光では、対角線X上に位置する回折光が出現する。偶数次の回折光が鏡面反射方向Rに略一致すると、鏡面反射方向Rに略一致する回折光は、照明光の光量(エネルギー)に近い光量(エネルギー)を有して出射することができ、鏡面反射方向Rの近傍に回折光のエネルギーが集中する。
そこで、偶数次の回折光が鏡面反射方向Rに略一致するようにDMD44を構成する。図5では、DMD44の画素ピッチdが7.56μm、傾斜角θ(図3参照)が12度、照明光線Lの入射角α(図3参照)が26度、波長λが550nmである。この場合には、鏡面反射方向Rに略一致する8次の回折光D8aが出現し、8次の回折光D8aでは照明光の光量に対して略98%の光量を有することになる。尚、画素ピッチdは、画像表示領域44aの長辺44a(短辺44a、図2参照)方向におけるミラー44bのピッチである。
図7は、図8の断面にて鏡面反射方向Rが偶数次の回折方向と奇数次の回折方向の丁度中間にあり、DMD44の画素ピッチdが7.56μm、傾斜角θ(図3参照)が13度、照明光線Lの入射角α(図3参照)が27.8度、波長λが550nmである。この場合には、鏡面反射方向Rの近傍で8次の回折光D8aが出現し、8次の回折光D8aでは照明光の光量に対して66%の光量を有することになる。このように偶数次の回折方向と鏡面反射方向Rの差が、奇数次の回折方向と鏡面反射方向Rの差と、少なくとも同程度であれば、ある程度エネルギーを集中させた状態を維持できる。
図9は、図10の断面にて奇数次の回折方向が鏡面反射方向Rに略一致する場合である。奇数次の回折光において鏡面反射方向Rを含む直交線Yに並ぶ回折光が出現しても、対角線X上に位置する回折光が出現することがないために、奇数次及び偶数次の回折光は鏡面反射方向Rの四方から囲むように離れて分散し、各回折光の光量は、照明光の光量に対して著しく低下する。
図9では、DMD44の画素ピッチdが7.56μm、傾斜角θ(図3参照)が13.8度、照明光線Lの入射角α(図3参照)が28.9度、波長λが550nmである。この場合には、鏡面反射方向Rの四方から囲む9次の回折光D9a、D9bと、8次の回折光D8a、及び10次の回折光D10aは、夫々照明光の光量に対して略16%の光量しか有していない。さらに、回折光の次数が一つ異なると、回折光の角度がこの場合では3度も異なることになり、本実施形態の一例(図5、図6参照)に比べると、参考例(図9、図10)では、鏡面反射方向Rに対して回折光の範囲が大きく拡がる。このため、投影レンズ24(図1参照)によって遮られる光束が発生し、照明光に対して画像光の伝達効率が著しく低下する。
このように、偶数次の回折光が奇数次の回折光に対して鏡面反射方向Rに近づくように、画素ピッチd、傾斜角θ、照明光線Lの入射角α等を設定すると、回折の散乱によって画像光の伝達効率が低下するのを抑えることができる。
ここで、図3に示すように、回折光Dの、画像表示面法線Axに対する回折光Dの角度を回折角βとし、回折次数をmとすると、m次の回折光の回折角β(m)は下記の式(B)で示される。
β(m)=sin−1{sinα−m・λ/(√2・d)} ・・・(B)
但し、
d:DMD44の画素ピッチ(単位:μm)
α:画像表示面法線Axに対する照明光線の入射角(単位:°)
m:正の整数
λ:DMD44を照明する色の波長(単位:nm)
偶数次の回折光Dの回折角β(2k)は、下記の式(C)で示される。尚、kは正の整数とする。
β(2k)=sin−1{sinα−2・k・λ/(√2・d)} ・・・(C)
奇数次の回折光Dの回折角β(2k+1)、及びβ(2k―1)は、下記の式(D)、(E)で示される。
β(2k+1)=sin−1{sinα−(2・k+1)・λ/(√2・d)} ・・・(D)
β(2k−1)=sin−1{sinα−(2・k−1)・λ/(√2・d)} ・・・(E)
偶数次の回折光Dが、奇数次の回折光Dに対して鏡面反射方向Rに近くなるように分散するには、下記の条件式(F)及び(G)をともに満たすとよい。
β(2k−1)−γ≧γ−β(2k) ・・・(F)
γ−β(2k+1)≧β(2k)−γ ・・・(G)
但し、γは画像表示面法線Axに対する鏡面反射方向Rの角度であり、前述の式(A)に示すように、γ=α−2・θである。
上記の条件式(F)及び(G)をまとめると、下記の条件式(1)となる。
β(2・k−1)≧2・γ―β(2・k)≧β(2・k+1) ・・・(1)
鏡面反射方向Rの角度γに対して回折光Dが条件式(1)を満たすように、DMD44の構成や照明光の波長が設定されると、回折光Dのうち、奇数次の回折光Dは鏡面反射方向Rから離間して回折光のエネルギーは低下し、偶数次の回折光Dは鏡面反射方向Rに略一致、または鏡面反射方向Rに近くなり、鏡面反射方向Rの近傍の回折光Dにエネルギーが集中し、画像光の伝達効率が低下するのを抑えられ、明るく良好な画像を投影することができる。
上記実施形態を実施例1〜5(表1〜5)により更に具体的に説明する。各表におけるλはDMD44を照明する色の中心波長(単位:nm)、dはDMD44の画素ピッチ(単位:μm)、θはミラーの傾斜角(単位:度)、αは照明光線Lの入射角(単位:度)、γは鏡面反射方向Rの角度(単位:度)、βは回折角(単位:度)、kは正の整数を示す。また、波長480nmは青、波長550nmは緑、波長620nmは赤の各照明光の中心波長であり、回折角βは画像表示面法線Ax基準で時計回り方向が正で、その反時計回り方向が負の値であり、2k次の回折光の光量(単位:%)は、照明光線Lに対する光量の割合を示す。
Figure 0005644481
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実施例1〜5は、条件式(1)を満たす。さらに、実施例2及び実施例3では、DMD44R、44G、44Bの各画素ピッチdを夫々異ならせている。このように、DMD44R、44G、44Bのうちの一つのDMD44の画素ピッチdを、他のDMD44の画素ピッチdに対して異ならせることによって、偶数次の回折光Dを反射軸Rに近づけ、照明光線Lの光量に対して回折光Dの光量の低下を抑えている。
また、実施例4では、DMD44Gの傾斜角θをDMD44B、44Rの傾斜角θに対して異ならせている。実施例5では、DMD44R、44G、44Bの各傾斜角θを互い異ならせている。このように、DMD44R、44G、44Bのうちの一つのDMD44の傾斜角θを、他のDMD44の傾斜角θに対して異ならせることによって、偶数次の回折光Dを反射軸Rに近づけ、照明光線Lの光量に対して回折光Dの光量の低下を抑えている。
また、実施例1は、3色のDMDの画素ピッチd、傾斜角θ、及び照明光線Lの入射角αが夫々同じであるために、照明光学系の構成を色毎に異ならせる必要がなく、安価な画像投影装置を提供することができる。
上記実施例4及び実施例5では、青、緑、赤の各照明光線Lの入射角αが異なる。例えば、実施例5に示すように、青、緑、赤の各照明光線Lの入射角αが夫々異なる場合には、図11に示すように折り返しミラー51を構成するとよい。図11は折り返しミラーの断面図である。
折り返しミラー51は、反射ミラー51aと、青反射ダイクロイックミラー51bと、赤反射ダイクロイックミラー51cとを有する。
青反射ダイクロイックミラー51bは、青色光を反射するとともに緑色を透過し、反射ミラー51aに対して所定角度だけ傾斜して設けられる。この傾斜角は、DMD44Gに対してDMD44Bへの照明光線の入射角αの差異を補正する角度となっている。
赤反射ダイクロイックミラー51cは、赤色光を反射するとともに青及び緑色光を透過し、反射ミラー51aに対して所定角度だけ傾斜して設けられる。この傾斜角は、DMD44Gに対してDMD44Rへの照明光線の入射角αの差異を補正する角度となっている。
折り返しミラー51は、反射ミラー51aの手前に青反射ダイクロイックミラー51bを配置し、青反射ダイクロイックミラー51bの手前に赤反射ダイクロイックミラー51cを配置して構成される。
この構成によって、照明光Lは折り返しミラー51で反射し、反射した照明光Lのうち、赤色光LRは、赤反射ダイクロイックミラー51cにて反射し、TIRプリズム54、カラープリズム63を順に介してDMD44Rを照明する。また、照明光Lのうち、青色光LBは、赤反射ダイクロイックミラー51cを透過し、次に、青反射ダイクロイックミラー51bにて反射し、反射後、赤反射ダイクロイックミラー51cを透過し、TIRプリズム54、カラープリズム63を順に介してDMD44Bを照明する。さらに、照明光Lのうち、緑色光LGは、赤反射ダイクロイックミラー51c及び青反射ダイクロイックミラー51bを透過し、次に、反射ミラー51aにて反射し、反射後、青反射ダイクロイックミラー51b及び赤反射ダイクロイックミラー51cを透過し、TIRプリズム54、カラープリズム63を順に介してDMD44Gを照明する。照明光LR、LG、LRは、DMD44R、44G、44Bの各入射角αに対応して入射する。
尚、実施例4(表4)に示すように、緑色の照明光線の入射角が青色及び赤色の照明光線の入射角に対して異なる場合には、青反射ダイクロイックミラー51b及び赤反射ダイクロイックミラー51cの傾斜角を、反射ミラー51aに対してともに同じ所定角度だけ傾斜して設けてもよく、青反射ミラー51bと赤反射ミラー51cの代わりに、赤色光と青色光を反射し緑色光を透過する青赤反射ミラーを所定角度だけ傾斜して設けてもよい。
(第2実施形態)
図12は、本発明の実施の別形態に係る画像投影装置の概略の構成を示す断面図である。尚、この実施形態では、表示素子は一つのDMD4から構成され、DMD4は第1実施形態と同じ構成のものが用いられる。画像投影装置は、光源1と、照明光学系7と、TIRプリズム3と、DMD4と、投影レンズ24とを有している。なお、ロッドインテグレータ22の長辺方向は、TIRプリズム3の入射面に対して、実際は45度傾いたねじれの関係にあるが、図12では、説明の理解をしやすくするため、同一面内で示している。TIRプリズム3の入射面とは、光線束の中心光線がTIRプリズム3の面に入射するときに、その面に入射する中心光線と、入射点における面の法線とを含む平面である。
上記の構成において、光源1から出射された光は、照明光学系7を介してTIRプリズム3に入射し、そこで全反射された後、DMD4に入射する。DMD4に入射した光は、そこで変調された後、画像光として出射され、TIRプリズム3を透過し、投影レンズ24を介して被投影面であるスクリーン(図略)に導かれる。この投影レンズ24により、DMD4に表示された画像がスクリーン上に拡大投影される。
光源1は、白色光を放射する放電ランプである。リフレクタ2は、光源1から出射される光を反射させて照明光学系7に導く反射板である。リフレクタ2は、回転楕円面の反射面を有しており、リフレクタ2の一方の焦点位置に光源1が配置されている。光源1からの光は、リフレクタ2にて反射されてロッドインテグレータ22に入射する。
照明光学系7は、光源1からの光をDMD4に導く光学系であり、カラーホイール21と、ロッドインテグレータ22と、照明リレー系23とを有している。
カラーホイール21は、青、緑、赤の各色光を順次透過させるカラーフィルターで構成されている。カラーホイール21を回転させることにより、照明する色光を時間的に順次切り替えてDMD4を照明できるので、各色に対応した画像光をDMD4に表示することにより、投影画像をカラー化することができる。
ロッドインテグレータ22は、光源1からの光の光量分布を均一化して出射するものである。ロッドインテグレータ22の断面形状は、DMD4の矩形の画像表示領域と略相似となっている。これにより、ロッドインテグレータ22は、DMD4の矩形の画像表示領域と略相似な照明光束を形成するインテグレータ光学系を構成している。
照明リレー系23の瞳面上には、ロッドインテグレータ22内での反射回数に応じた位置に複数の2次光源像が形成される。また、ロッドインテグレータ22の光出射面とDMD4の画像表示領域とは、照明リレー系23によって略共役となっている。
照明リレー系23は、ロッドインテグレータ22の光出射面の像をリレーしてDMD4に投影することにより、DMD4を均一に照明する光学系である。照明リレー系23によってロッドインテグレータ22からの光を集光することにより、上記光の利用効率を向上させることができる。
照明光学系7の上記構成によれば、光源1からカラーホイール21を介してロッドインテグレータ22に時分割で入射する各色光は、そこでの内面反射を繰り返してミキシングされ、均一な光量分布となって光出射面から出射される。このロッドインテグレータ22での反射回数に応じて、照明リレー系23内に複数の2次光源像が形成されるが、これらを重畳させることにより、光量分布の均質な照明光を実現することができる。ロッドインテグレータ22から出射される光は、照明リレー系23、及びTIRプリズム3を介して、DMD4に導かれる。このとき、ロッドインテグレータ22の断面は、DMD4の画像表示領域と略相似であるので、DMD4には光が均一にかつ効率よく導かれる。
TIRプリズム3は、DMD4への照明光を全反射させ、DMD4からの画像光を透過させる全反射プリズム(臨界角プリズム)である。TIRプリズム3は、エアギャップ層を介して2つのプリズム31、32を貼り合わせて構成されている。プリズム31は、第1光入射面31a、臨界面31b及び第1光出射面31cを有しており、プリズム32は、第2光入射面32a及び第2光出射面32bを有している。プリズム31の臨界面31bとプリズム32の第2光入射面32aとは、エアギャップ層を介して対向して配置されている。
照明光学系7からの照明光は、TIRプリズム3のプリズム31の内部に第1光入射面31aから入射する。プリズム31の臨界面31bは、照明光が全反射するように配置されており、照明光は臨界面31bで反射されて、プリズム31の第1光出射面31cから出射され、DMD4を照明する。
また、DMD4からの反射光のうち、オン光は、プリズム31の第1光出射面31cから再びプリズム31内部に入射し、臨界面31bに到達し、このとき、上記のオン光は、全反射条件を満たさない角度で臨界面31bに入射するため、臨界面31bを透過し、エアギャップ層を経て、第2光入射面32aからプリズム32内部に入射し、第2光出射面32b及び投影レンズ24を介してスクリーンに導かれる。
ここで、DMD4は、DMD44と同じ構成であり、ミラーのピッチが比較的に小さく、ミラーが画像表示領域に傾いた状態でマトリックス状に配列されているために、回折格子として作用し、DMD4から出射するオン光から回折光が生じる。
そこで、第1実施形態と同様に、偶数次の回折光Dが奇数次の回折光Dに対して鏡面反射方向Rに近づくように、画素ピッチd、傾斜角θ、照明光線の入射角α等のDMD4の構成や照明光の波長を設定する。これによって、回折の散乱によって画像光の伝達効率が低下するのを抑えることができる。具体的には、前述した実施例1と同じく条件式(1)を満たす設定にすることで、上記の効果を得ることができる。
上記第1及び第2実施形態では、光源1に放電ランプを用いた構成を示したが、本発明はこれに限らず、光源1にレーザ光を用いることができる。図13〜図18は、夫々レーザ光を用いた光源の図である。図13はレーザ光源ユニットを示す断面図であり、図14はレーザ光源ユニットのレーザアレイを示す平面図であり、図15はレーザ光源ユニットのコリメータレンズアレイを示す平面図である。図16はレーザ光源ユニットの青帯域PBSミラーの透過特性を示す図であり、図17はレーザ光源ユニットの緑帯域PBSミラーの透過特性を示す図であり、図18はレーザ光源ユニットの赤帯域PBSミラーの透過特性を示す図である。尚、図16〜図18の実線はS偏光に対する透過特性であり、一点鎖線はP偏光に対する透過特性である。
図13に示すように、レーザ光源ユニット71は、青レーザユニット72Bと、緑レーザユニット72Gと、赤レーザユニット72Rと、青ミラーユニット73Bと、緑ミラーユニット73Gと、赤ミラーユニット73Rと、コンデンサレンズ76とを備える。
青レーザユニット72Bは、波長445nmの半導体レーザアレイであって、P偏光のレーザ光を照射するP偏光青レーザアレイ72Bpと、P偏光に対して直交する方向に偏光するS偏光のレーザ光を照射するS偏光青レーザアレイ72Bsとを有して構成される。P偏光及びS偏光青レーザアレイ72Bp、72Bsには、夫々、図14に示すように複数のレーザ光源72aが縦横に配列される。各レーザ光源72aの横方向の配列ピッチは、各レーザ光源72aの縦方向の配列ピッチより大きく設定されており、レーザ光源72aの光束の放射角が大きい方向が大きい配列ピッチに対応するように配置されている。また、図15に示すように、各レーザ光源72aに対向して複数のコリメータレンズ75aが設けられ、コリメータレンズ75aはレーザ光源72aの光束を平行光にして出射する。複数のコリメータレンズ75aが縦横に配列され、コリメータレンズアレイ75を構成し、コリメータレンズアレイ75は、P偏光及びS偏光青レーザアレイ72Bp、72Bsの夫々の配列に対応した開口形状にて形成されている。P偏光青レーザアレイ72Bpと、S偏光青レーザアレイ72Bsは同じレーザアレイを用い90度配置を異ならせることで各偏光のレーザ光を照射するレーザアレイとしてもよく、コリメータレンズアレイ75も同じものを用い、各レーザアレイに対応して配置を90度異ならせた構成にしてもよい。
緑レーザユニット72Gは、波長522nmの半導体レーザアレイであって、P偏光のレーザ光を照射するP偏光緑レーザアレイ72Gpと、P偏光に対して直交する方向に偏光するS偏光のレーザ光を照射するS偏光緑レーザアレイ72Gsとを有して構成される。P偏光及びS偏光緑レーザアレイ72Gp、72Gsには、夫々、図14に示すように複数のレーザ光源72aが縦横に配列される。各レーザ光源72aの横方向の配列ピッチは、各レーザ光源72aの縦方向の配列ピッチより大きく設定されており、レーザ光源72aの光束の放射角が大きい方向が大きい配列ピッチに対応するように配置されている。図15に示すように、各レーザ光源72aに対向して複数のコリメータレンズ75aが設けられ、コリメータレンズ75aはレーザ光源72aの光束を平行光にして出射する。複数のコリメータレンズ75aが縦横に配列され、コリメータレンズアレイ75を構成し、コリメータレンズアレイ75は、P偏光及びS偏光緑レーザアレイ72Gp、72Gsの夫々の配列に対応した開口形状にて形成されている。P偏光緑レーザアレイ72Gpと、S偏光緑レーザアレイ72Gsは同じレーザアレイを用い90度配置を異ならせることで各偏光のレーザ光を照射するレーザアレイとしてもよく、コリメータレンズアレイ75も同じものを用い、各レーザアレイに対応して配置を90度異ならせた構成にしてもよい。
赤レーザユニット72Rは、波長635nmの半導体レーザアレイであって、P偏光のレーザ光を照射するP偏光赤レーザアレイ72Rpと、P偏光に対して直交する方向に偏光するS偏光のレーザ光を照射するS偏光赤レーザアレイ72Rsとを有して構成される。P偏光及びS偏光赤レーザアレイ72Rp、72Rsには、夫々、図14に示すように複数のレーザ光源72aが縦横に配列される。各レーザ光源72aの横方向の配列ピッチは、各レーザ光源72aの縦方向の配列ピッチより大きく設定されており、レーザ光源72aの光束の放射角が大きい方向が大きい配列ピッチに対応するように配置されている。図15に示すように、各レーザ光源72aに対向して複数のコリメータレンズ75aが設けられ、コリメータレンズ75aはレーザ光源72aの光束を平行光にして出射する。複数のコリメータレンズ75aが縦横に配列され、コリメータレンズアレイ75を構成し、コリメータレンズアレイ75は、P偏光及びS偏光赤レーザアレイ72Rp、72Rsの夫々の配列に対応した開口形状にて形成されている。P偏光赤レーザアレイ72Rpと、S偏光赤レーザアレイ72Rsは同じレーザアレイを用い90度配置を異ならせることで各偏光のレーザ光を照射するレーザアレイとしてもよく、コリメータレンズアレイ75も同じものを用い、各レーザアレイに対応して配置を90度異ならせた構成にしてもよい。
青ミラーユニット73Bは、反射ミラー73Bpと青帯域PBSミラー73Bsとを有する。青帯域PBSミラー73Bsは図16に示す透過特性を備える。P偏光青レーザアレイ72Bpから照射されたP偏光青レーザ光は、反射ミラー73Bpで反射し、青帯域PBSミラー73Bsを透過する。S偏光青レーザアレイ72Bsから照射されるS偏光青レーザ光は、青帯域PBSミラー73Bsで反射され、P偏光青レーザ光と合成された青色光となる。
緑ミラーユニット73Gは、緑反射青透過ミラー73Gpと緑帯域PBS青透過ミラー73Gsとを有する。緑帯域PBS青透過ミラー73Gsは図17に示す透過特性を備える。P偏光緑レーザアレイ72Gpから照射されたP偏光緑レーザ光は、緑反射青透過ミラー73Gpで反射し、緑帯域PBS青透過ミラー73Gsを透過する。S偏光緑レーザアレイ72Gsから照射されるS偏光緑レーザ光は、緑帯域PBS青透過ミラー73Gsで反射され、P偏光緑レーザ光と合成された緑色光となる。さらに、青色光が緑反射青透過ミラー73Gp及び緑帯域PBS青透過ミラー73Gsを透過し、緑色光と青色光が合成されシアン色光となる。
赤ミラーユニット73Rは、赤反射青緑透過ミラー73Rpと赤帯域PBS青緑透過ミラー73Rsとを有する。赤帯域PBS青緑透過ミラー73Rsは図18に示す透過特性を備える。P偏光赤レーザアレイ72Rpから照射されたP偏光赤レーザ光は、赤反射青緑透過ミラー73Rpで反射し、赤帯域PBS青緑透過ミラー73Rsを透過する。S偏光赤レーザアレイ72Rsから照射されるS偏光赤レーザ光は、赤帯域PBS青緑透過ミラー73Rsで反射され、P偏光赤レーザ光と合成された赤色光となる。さらに、シアン色光が赤反射青緑透過ミラー73Rp及び赤帯域PBS青緑透過ミラー73Rsを透過し、赤色光とシアン色光が合成され白色光となる。
合成された白色光は、コンデンサレンズ76によって集光され、ロッドインテグレータ22、52(図1、図12参照)に入射する。
レーザ光源ユニット71の上記構成により、複数のレーザ光源から照射され、これらの照射光を合成しているために、レーザ光束のスペックルが低減され輝度が高くなる。また、複数のレーザ光源のなかに発光しないレーザ光源があっても、レーザ光源ユニット71の明るさの変化への影響は小さく、レーザ光源ユニット71として用いることに支障をきたすことがない。また、レーザ光源に波長のバラツキがあっても、青緑赤の各色光は複数のレーザ光源の光束を合成するために、各色光で平均化され大きく色度が変化することなく、レーザ光源ユニット71毎の色再現性の差異を小さくすることができる。また、青ミラーユニット73B、緑ミラーユニット73G、赤ミラーユニット73Rによって色合成及び偏光合成を行っており、見掛けの光源数は1/6になり、光学系のNAを大きくしなくとも輝度の高い光源が得られる。また、レーザ光源から出射する光束をコリメータレンズによって平行光とし、平行光を青ミラーユニット73B、緑ミラーユニット73G、赤ミラーユニット73Rに入射させているので、入射角分布範囲が小さくなり、効率よく色合成及び偏光合成が行われる。
レーザ光からなる光源を備えた画像投影装置では、実施例6〜10(表6〜10)のDMD4、44、及び、実施例11〜14(表11〜14)のDMD44を用いることができる。各表におけるλは表示素子(DMD4、44)を照明する色の波長(単位:nm)、dは表示素子(DMD4、44)の画素ピッチ(単位:μm)、θはミラーの傾斜角(単位:度)、αは照明光線Lの入射角(単位:度)、γは鏡面反射方向Rの角度(単位:度)、βは回折角(単位:度)、kは正の整数を示す。また、回折角βは画像表示面法線Ax基準で時計回り方向が正で、その反時計回り方向が負の値であり、2k次の回折光の光量(単位:%)は、照明光線Lに対する光量の割合を示す。
Figure 0005644481
この実施例では、青(波長:445nm)及び赤(波長:635nm)のレーザ光源は、ダイレクト発光の波長であって使用頻度の高いレーザ光を用いており、また、緑(波長:532nm)のレーザ光源のレーザ光は、第2高調波の波長であって使用頻度の高いレーザを用いており、安価で高出力であるレーザ光源ユニットが得られる。
Figure 0005644481
この実施例では、青(波長:445nm)、緑(波長:522nm)、赤(波長:635nm)の各レーザ光源は、ダイレクト発光の波長の半導体レーザ光を用いており、第2高調波を生成する結晶体を用いていないので、量産性があり、安価であるレーザ光源ユニットが得られる。
Figure 0005644481
Figure 0005644481
Figure 0005644481
Figure 0005644481
Figure 0005644481
Figure 0005644481
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上記実施例6〜14は、条件式(1)を満たす。さらに、実施例11では、DMD44Gの画素ピッチdをDMD44B、44Rに対して異ならせている。また、実施例12では、DMD44R、44G、44Bの各画素ピッチdを夫々異ならせている。このように、DMD44R、44G、44Bのうちの一つのDMD44の画素ピッチdを、他のDMD44の画素ピッチdに対して異ならせることによって、偶数次の回折光Dを反射軸Rに近づけ、照明光線Lの光量に対して回折光Dの光量の低下を抑えている。
また、実施例13では、DMD44Gの傾斜角θをDMD44B、44Rの傾斜角θに対して異ならせている。実施例14では、DMD44R、44G、44Bの各傾斜角θを互い異ならせている。このように、DMD44R、44G、44Bのうちの一つのDMD44の傾斜角θを、他のDMD44の傾斜角θに対して異ならせることによって、偶数次の回折光Dを反射軸Rに近づけ、照明光線Lの光量に対して回折光Dの光量の低下を抑えている。
また、実施例6、7、10では、青色の画像表示の場合、整数k=7に設定し、緑色の画像表示の場合、整数k=6に設定し、赤色の画像表示の場合、整数k=5に設定している。このように設定したとき、鏡面反射方向Rの近傍に位置する各偶数次の回折光は、DMD44Bでは14次の回折光であり、また、DMD44Gでは12次の回折光であり、さらに、DMD44Rでは10次の回折光となる。こうすることで、既存の発光効率がよく量産性に優れ安価なレーザ光源を用い、そのレーザ光源の波長の各色光で、同じ画素ピッチd、同じミラー傾斜角θのDMD44において、効率の良い光学系とすることができる。よって、これらの次数の回折光が発生するレーザ光を光源に用いることによって、明るい(輝度の高い)安価な画像投影装置が得られる。
また、実施例6〜10は、3色のDMDの画素ピッチd、傾斜角θ、及び照明光線Lの入射角αが夫々同じであるために、実施例6〜10をDMD44R、44G、44Bを備える第1実施形態に適用すると、照明光学系の構成を色毎に異ならせる必要がなく、安価な画像投影装置を提供することができる。また、表示素子が一つのDMD4から構成される第2実施形態に適用することが可能であり、この場合には、安価で小型の画像投影装置を提供することができる。
本発明は、表示素子の画像をスクリーン上に投影する画像投影装置に利用することができ、特に、各画素を構成するミラーを回動させることで画像を表示するデジタルマイクロミラーデバイスからなる表示素子を備えた画像投影装置に利用することができる。
1 光源
3 TIRプリズム
4 DMD(表示素子)
7 照明光学系
24 投影レンズ
44 DMD(表示素子)
44a 画像表示領域(画像表示面)
44b ミラー(画素)
44c 回動軸
44B DMD(表示素子)
44G DMD(表示素子)
44R DMD(表示素子)
51 折り返しミラー
54 TIRプリズム
63 カラープリズム
71 レーザ光源ユニット(光源)
72B 青レーザユニット
72G 緑レーザユニット
72R 赤レーザユニット
73B 青ミラーユニット
73G 緑ミラーユニット
73R 赤ミラーユニット
Ax 画像表示面法線
D 回折光
L 照明光線
R 鏡面反射方向
S ミラー法線
θ 傾斜角
α 入射角
β 回折角
γ 画像表示面法線Axに対する鏡面反射方向Rの角度

Claims (5)

  1. 放電ランプからなる光源と、
    前記光源からの照明光を各画素で変調することにより、青、緑、赤の各色の画像を表示する表示素子と、
    前記表示素子にて表示された各色の画像を投影する投影レンズとを備えた画像投影装置であって、
    前記表示素子は、各画素を構成するミラーで前記照明光を反射させて、前記画像を表す光をオン光として前記投影レンズに導く一方、前記画像を表す光以外のオフ光を前記投影レンズの外部に導くデジタルマイクロミラーデバイスで構成されており、
    下記の条件式を満たすことを特徴とする画像投影装置。
    β(2・k−1)≧2・γ―β(2・k)≧β(2・k+1)
    但し、
    β(m)は、表示素子の画像表示面に照明光が入射したときの回折による、m次の回折光の回折角であって、
    β(m)=sin−1{sinα−m・λ/(√2・d)}
    γは、表示素子に入射した照明光線が、表示素子のオン光を出射するミラーで鏡面反射するときの、鏡面反射光の出射方向と画像表示面法線とのなす角度であって、
    γ=α−2・θ
    d:表示素子の画素ピッチ
    α:表示素子に入射する照明光線の画像表示面法線に対する入射角
    θ:表示素子のオン光を出射するミラーの法線の画像表示面法線に対する傾斜角
    λ:青色の画像表示の場合は波長480nm、
    緑色の画像表示の場合は波長550nm、
    赤色の画像表示の場合は波長620nm
    m:正の整数
    k:正の整数
  2. 青、緑、赤の各色のレーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源からの照明光を各画素で変調することにより、青、緑、赤の各色の画像を表示する表示素子と、
    前記表示素子にて表示された各色の画像を投影する投影レンズとを備えた画像投影装置であって、
    前記表示素子は、各画素を構成するミラーで前記照明光を反射させて、前記画像を表す光をオン光として前記投影レンズに導く一方、前記画像を表す光以外のオフ光を前記投影レンズの外部に導くデジタルマイクロミラーデバイスで構成されており、
    下記の条件式を満たすことを特徴とする画像投影装置。
    β(2・k−1)≧2・γ―β(2・k)≧β(2・k+1)
    但し、
    β(m)は、表示素子の画像表示面に照明光が入射したときの回折による、m次の回折光の回折角であって、
    β(m)=sin−1{sinα−m・λ/(√2・d)}
    γは、表示素子に入射した照明光線が、表示素子のオン光を出射するミラーで鏡面反射するときの、鏡面反射光の出射方向と画像表示面法線とのなす角度であって、
    γ=α−2・θ
    d:表示素子の画素ピッチ
    α:表示素子に入射する照明光線の画像表示面法線に対する入射角
    θ:表示素子のオン光を出射するミラーの法線の画像表示面法線に対する傾斜角
    λ:青色の画像表示の場合は、レーザ光源が出射する青色のレーザ光の波長、
    緑色の画像表示の場合は、レーザ光源が出射する緑色のレーザ光の波長、
    赤色の画像表示の場合は、レーザ光源が出射する赤色のレーザ光の波長
    m:正の整数
    k:正の整数
  3. 青色の画像表示の場合、k=7であり、緑色の画像表示の場合、k=6であり、赤色の画像表示の場合、k=5であることを特徴とする請求項2に記載の画像投影装置。
  4. 前記表示素子は、青、緑、赤の各色に対応して3つ設けられており、前記3つの表示素子のうちの1つは、他の表示素子に対して前記画素ピッチdが異なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像投影装置。
  5. 前記表示素子は、青、緑、赤の各色に対応して3つ設けられており、前記3つの表示素子のうちの1つは、他の表示素子に対して前記傾斜角θが異なっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像投影装置。
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