JP5135729B2 - アリル化合物の異性化方法 - Google Patents

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本発明は、アリル化合物の製造方法に関し、より詳細には、アリル化合物を異性化させて構造の異なるアリル化合物を製造する方法に関する。
アセトキシ基などの電子吸引基を有するアリル化合物は、遷移金属触媒を用いることで、様々な化合物へと変換可能な有用な物質群である。
特にジアセトキシアリル化合物は特徴有る骨格を有することから様々な物質への合成原料であるだけでなく、加水分解によりジオール類製造が可能な重要中間体である。そのため、各種ジアセトキシアリル化合物の製造プロセスの開発が行われてきた。例えば特開平8−3110号公報、特開平11−71327号公報に示すように、パラジウム固体触媒によるブタジエンのジアセトキシ化反応や、イソプレンのジアセトキシ化反応によるジアセトキシアリル化合物の製造法が開発されている。また特開平11−71326号公報では、ロジウム固体触媒を用いたブタジエンのジアセトキシ化反応によるジアセトキシアリル化合物の製造法が報告されている。特に1,4−ジアセトキシ−2−ブテンは水素化、加水分解を経て、様々なポリマーやテトラヒドロフランなどの原料として重要な1,4−ブタンジオールへと変換できる有用な物質である。これらジアセトキシアリル化合物を製造するための共役ジエン類のジアセトキシ化反応は、固体触媒の存在下、収率良く進行することが多いが、アセトキシ基を付与する位置を完全に制御できないのが現状であり、特に1,4−ブタンジオールの原料となる1,4−ジアセトキシ−2−ブテンの製造反応では、1,4−ブタンジオールへと変換できない3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが副生してしまう。そのため1,4−ブタンジオール製造プロセスにおいて、原料であるブタジエンのコストを押し上げていた。この副生する3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを異性化して1,4−ジアセトキシ−2−ブテンなど1,4−ジアセトキシアリル化合物を生成することができれば、より効率の高い1,4−ブタンジオールの製造方法を確立することができる。そのため、既にこのような方法が開発されてきた。例えば特開2002−105025号公報ではホスファイト配位子を有するパラジウム錯体触媒を用いて、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンから1,4−ジアセトキシ−2−ブテンへの異性化反応に成功している。また特開2004−115506号公報では、パラジウム錯体触媒とホスファイト配位子に加えて、更にホスホニウム化合物を添加することで、より活性の高い異性化触媒が報告されている。しかしながら、これらジアセトキシアリル化合物の異性化方法では触媒の劣化が著しく、多量の触媒を用いる必要があった。
特開平8−3110号公報 特開平11−71327号公報 特開2002−105025号公報 特開2004−115506号公報
本発明の課題は、アリル化合物の異性化反応をより少ない触媒使用量で実施し、より安価な触媒コストで達成することを可能とする工業的に有利なアリル化合物の異性化方法を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、共役ジエン類のアセトキシ化反応では、酸素雰囲気下、または空気雰囲気下、高圧条件で反応を行うため、反応液中にジアセトキシアリル化合物以外にも様々な微量副生物が生成し、それらの中には異性化触媒の劣化を著しく促進する成分が含まれていることを見出し、更にそれら触媒劣化を著しく促進する成分をある濃度以下に保つことで、効率よく異性化反応を実施可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(6)に存する。
(1) 共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液を触媒と接触させて、アリル化合物含有液中の下記一般式(a)で表されるアリル化合物を下記一般式(b)で表される生成物へと異性化する方法において、前記アリル化合物含有液中の下記一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類を、重量比で前記アリル化合物含有液中の一般式(a)で表されるアリル化合物の1/40以下に低減化し、次いで該アリル化合物含有液を触媒と接触させ、アリル化合物を異性化することを特徴とする異性化方法。
Figure 0005135729
Figure 0005135729
(上記一般式(a)、(b)、(c)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群から選ばれ、Xは電子吸引基を表す。但し、R、R、R〜及びRは同時に同一の基を表さない。)
(2) 一般式(a)で表されるアリル化合物が3,4−ジアセトキシアリル化合物であり、一般式(b)で表される化合物が1,4−ジアセトキシアリル化合物である上記(1)に記載の異性化方法。
(3) 上記一般式(a)中、R、R、R、Rが水素原子を表し、Xがアセトキシ基を表し、且つXが結合した炭素原子とアルデヒドの炭素原子がトランス位に位置することを特徴とする上記(1)に記載の異性化方法。
(4) 触媒が液相均一系パラジウム触媒であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の異性化方法。
(5) 液相均一系パラジウム触媒が、パラジウム化合物とP−O結合を有する配位子からなることを特徴とする上記(4)に記載の異性化方法。
(6) 蒸留分離によりアリル化合物含有液中の下記一般式(a)で表される不飽和アルデヒド類の濃度を1.0重量%以下に低減することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の異性化方法。
本発明は回分、半回分、連続方式のいずれの形式にも使用することができる。以下、その詳細について説明する。
本発明により、アリル化合物の異性化をより少ない触媒使用量で実施することを可能とする工業的に有利なアリル化合物の異性化方法を提供することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の異性化方法は、共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液を触媒と接触させて、アリル化合物含有液中の下記一般式(a)で表されるアリル化合物を下記一般式(b)で表される生成物へと異性化する方法において、前記アリル化合物含有液中の下記一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類を、重量比で前記アリル化合物含有液中の一般式(a)で表されるアリル化合物の1/40以下に低減化し、次いで該アリル化合物含有液を触媒と接触させ、アリル化合物を異性化することを特徴とする。
Figure 0005135729
Figure 0005135729
(上記一般式(a)、(b)、(c)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群から選ばれ、Xは電子吸引基を表す。但し、R、R、R〜及びRは同時に同一の基を表さない。)
なお本発明は、工業的に有利な連続法を前提としている。
本発明における「共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液」は、様々な方法で得ることができる。
最も一般的には、パラジウム系触媒の存在下、ブタジエン、酢酸及び酸素を反応させてジアセトキシアリル化合物である1,4−ジアセトキシ−2−ブテン及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを得ることができる。またそれらジアセトキシアリル化合物の加水分解物である1−ヒドロキシ−4−アセトキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテン、4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンなども併せて生成し、得ることができる。本発明で使用可能な共役ジエン類として例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられ、好ましくはブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−ジクロペンタジエンであり、特に好ましくはブタジエン、イソプレンである。ブタジエン、イソプレンのような置換基の少ない共役ジエン類が、最も高い反応活性を示すことがここで好ましい理由である。共役ジエン類のジアセトキシ化反応に用いる触媒は、共役ジエン類をジアセトキシアリル化合物に変換する能力を有する触媒であれば使用可能であるが、好ましくは第8〜10族遷移金属を含有する固体触媒であり、特に好ましくはパラジウム金属を含む固体触媒である。パラジウム金属を含む固体触媒は、パラジウム金属またはその塩からなり、助触媒としてビスマス、セレン、アンチモン、テルル、銅などの金属またはその塩を使用することが好ましく、特に好ましくはテルルを助触媒として使用した触媒である。この組み合わせは高い触媒活性と、ジアセトキシアリル化合物への選択率高いために好ましい。ここで使用する触媒は、パラジウム及びテルル等の活性成分を担体に担持した固体触媒であることが好ましい。該固体触媒は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、活性炭、グラファイトなどの担体に担持させて使用することが好ましく、特に好ましくは強度的に優れているためにシリカである。担体の物性として多孔質が好ましく、特にその平均細孔直径が1nm〜100nmである多孔質が好ましい。担体付触媒の場合、パラジウム金属は通常0.1〜20重量%、他の助触媒金属は0.01〜30重量%の範囲で選定される。この値が小さすぎると、触媒活性の低下によるコスト競争力が低下し、この値が大きすぎると、触媒コストの甚大化による競争力が低下してしまう。
上記の共役ジエン類の酸化反応は空気、または酸素富加された空気、窒素など不活性ガスで希釈された空気または酸素、あるいは酸素雰囲気下で行なうことが好ましく、酸素濃度は1vol%〜100vol%の範囲で差し支えなく、より好ましくは2vol%〜50vol%であり、特に好ましくは3vol%〜40vol%である。酸素濃度が低すぎると反応速度が低下し、長大な反応器が必要となって建設コストが増大する。また、酸素濃度が高すぎると、爆発、火災などプロセスを運転する際の危険性が増大してしまう。
本反応は気相、液相のいずれでも実施することができる。反応は0℃〜300℃の温度範囲で実施可能であり、好ましくは10℃〜250℃、より好ましくは30℃〜200℃の範囲である。反応温度が低すぎると反応速度が低下し、長大な反応器が必要となり、また反応温度が高すぎると、爆発、火災などプロセスの危険性が増大する。反応圧力は大気圧〜50MPaの範囲が好ましく、より好ましくは大気圧〜30MPa、特に好ましくは1MPa〜10MPaである。ジアセトキシ化反応を液相にて行なう場合は、用いる反応溶媒は反応原料を溶解するものであれば差し支えないが、特に水、または酢酸等のカルボン酸、あるいはブタジエンなど反応原料となる共役ジエン類そのもの、あるいはジアセトキシアリル化合物など生成物そのものが好ましい。またヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トリグライムなどのエーテル類、酢酸エチル、酪酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、1,4−ブタンジオールなどのアルコール類なども使用可能である。原料となる共役ジエン類と触媒との重量比は100000000〜1の範囲が好ましく、より好ましくは50000000〜10の範囲であり、特に好ましくは20000000〜100である。重量比が多すぎると反応速度は不充分となり、長大な反応器が必要となりプロセス競争力を失ってしまう。一方、この重量比が低すぎる場合には、触媒コストが増大してプロセスのコスト競争力が消失する。 上記の「共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液」のアリル化合物は、下記一般式(a)で表されるアリル化合物(以下「原料アリル化合物」という)であり、触媒と接触させることにより下記一般式(b)で表される生成物へと異性化する。
Figure 0005135729
式(a)、(b)における脱離基Xは通常、電子吸引性置換基であり、アリル化反応により脱離する原子または原子団である。上記一般式(a)において、R〜Rはアリル基に結合を有する置換基を表し、例えばR〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群から選ばれる。なお、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基は置換基を有していてもよい。Xの具体例としてはアシロキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。これらの原料アリル化合物は単独で用いても数種類の混合物として用いても良い。
一般式(b)で表される異性化反応の生成物は、上記一般式(a)で表される原料アリル化合物の異性化物であり、一般式(b)におけるR〜R及びXは、上記一般式(a)におけるR〜R及びXと同一である。但し、上記一般式(a)で表されるアリル化合物と上記一般式(b)で表される生成物とは、同一の化合物を表さない。例えば、R、R、R及びRが同一の基を表す場合は上記一般式(a)で表されるアリル化合物と、上記一般式(b)で表されるアリル化合物が同一化合物となってしまうため、本発明においてR、R、R及びRが同時に同一の基を表すことはない。
本発明における原料アリル化合物は、共役ジエン類の酸化反応により得られるものであれば、特に限定されるものではないが、具体的な原料アリル化合物の例として、酢酸クロチル、クロチルフェニルエーテル、クロチルアルコール、クロチルジメチルアミン、塩化クロチル、ブタジエンモノオキシド、シクロペンタジエンモノオキシド、酢酸−2−シクロペンテニル、5−メチル−3−アセトキシシクロヘキセン、2−アセトキシ−5−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3−ヘキセン、酢酸−1−フェニル−1−ブテン−3−イル、酢酸−1−シクロヘキシル−2−ブテン、1,3−ジフェニル−3−ジベンジルアミノ−1−プロペン、1−(4−ブロモフェニル)−3−ブロモ−1−プロペン、酢酸−2−ヘキセニル、2−ドデセニルアルコール、蟻酸ゲラニル、酢酸ゲラニル、酢酸−3−フェニル−2−プロペン、9−フェノキシ−7−ノネン−3−オン酸メチル、酢酸−3−ブテン−2−イル、イソブチル酸−2,4−ヘキサジエニル、酢酸プレニル、2,5−ジヒドロ−5−メトキシ−2−フラノン、2−シクロヘキセニルアルコール、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−2−メチル−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−3−メチル−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−2,3−ジメチル−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−シクロヘキセン、3,4−ジアセトキシ−1−シクロペンテン、3,4−ジアセトキシ−1−シクロヘプテン、3,4−ジアセトキシ−1−シクロオクテン、マロン酸ジアリルエステル、テレフタル酸ジアリルエステル、フタル酸ジアリルエステル、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテンなどを挙げることができる。
具体的な生成物アリル化合物は、上記原料アリル化合物を異性化して生成する、上記一般式(b)で表されるアリル化合物を挙げることができる。
上記の原料アリル化合物のうち、より好ましいものとしては上記一般式(a)におけるR〜Rが、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、Xがアセトキシ基及びヒドロキシ基から選ばれる基である原料アリル化合物が挙げられる。より好ましい上記一般式(a)で表される原料アリル化合物の具体例として、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−2−メチル−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−3−メチル−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテン等が好ましく、これに対応する上記一般式(b)で示される生成物アリル化合物として、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、1,4−ジアセトキシ−2−メチル−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブテン、1,4−ジアセトキシ−3−メチル−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−1−ヒドロキシ−1−ブテン等が挙げられる。特に好ましい一般式(a)で表される原料アリル化合物として、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテンが挙げられ、これに対応する一般式(b)で表される生成物アリル化合物として、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1−アセトキシ−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテンが挙げられる。
「一般式(a)で表されるアリル化合物を一般式(b)で表される生成物へと異性化する方法」とは、例えば「3,4−ジアセトキシアリル化合物を触媒と接触させて1,4−ジアセトキシアリル化合物に異性化して、1,4−ジアセトキシアリル化合物を得る方法」や、「3,4−ジアセトキシアリル化合物と1,4−ジアセトキシアリル化合物の混合物を触媒と接触させて混合物中の3,4−ジアセトキシアリル化合物を1,4−ジアセトキシアリル化合物に異性化し、1,4−ジアセトキシアリル化合物純度を上げる方法」が挙げられる。 本発明における「共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液」とは、上記触媒による共役ジエン類のジアセトキシ化反応後の液(反応生成物流)を指し、本発明を実施可能な範囲において、それに一部成分を追加したもの、或いは一部成分を除去したものもこれに含まれる。
共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液が、例えばアリル化合物含有液が一般式(a)で表されるアリル化合物として3,4−ジアセトキシアリル化合物を含有する場合には、3,4−ジアセトキシアリル化合物の加水分解物である3,4−ヒドロキシアセトキシアリル化合物、及び/又は3,4−ジヒドロキシアリル化合物を含有しても差し支えなく、更に対応する一般式(b)に相当する1,4−ジアセトキシアリル化合物、及びその加水分解物である1,4−ヒドロキシアセトキシアリル化合物、及び/又は1,4−ジヒドロキシアリル化合物を含有していても差し支えない。 上記の共役ジエン類の酸化反応により得られるアリル化合物含有液中には、副生成物として、下記一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類が含まれる。
Figure 0005135729
(上記一般式(a)、(b)、(c)中、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基からなる群から選ばれ、Xは電子吸引基を表す。但し、R、R、R〜及びRは同時に同一の基を表さない。)
一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類としては、好ましくは、上記一般式(c)におけるR〜Rが、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、Xがアセトキシ基及びヒドロキシ基から選ばれる基である不飽和アルデヒド類が挙げられる。具体的な例として、アクロレイン、3−ブテナール、2−ブテナール、4−アセトキシ−2−ブテナール、3−アセトキシ−2−ブテナール、2−アセトキシ−2−ブテナール、2−アセトキシ−3−ブテナール、2−アセトキシブタナール、4−アセトキシ−2−ペンタナール、4−アセトキシ−2−ヘキサナール、4−アセトキシ−2−ヘプタナール、4−アセトキシ−2−オクテナール、4−アセトキシ−2−ドデセナール、4−ヒドロキシ−2−ブテナール、3−ヒドロキシ−2−ブテナール、4−ヒドロキシ−2−オクテナール、4−メトキシ−2−ブテナール、3−メトキシ−2−ブテナール、4−メトキシ−2−オクテナール、4−ブトキシ−2−ブテナール、3−ブトキシ−2−ブテナール、4−ブトキシ−2−オクテナール、4−クロロ−2−ブテナール、3−クロロ−2−ブテナール、4−クロロ−2−オクテナール、4−フェノキシ−2−ブテナール、3−フェノキシ−2−ブテナール、4−フェノキシ−2−オクテナール、4−ブチロキシ−2−ブテナール、4−ブチロキシブタナール、3−ブチロキシ−2−ブテナール、2−ブチロキシ−2−ブテナール、2−ブチロキシ−3−ブテナール、4−ブチロキシ−2−ペンタナール、4−ブチロキシ−2−ヘキセナール、4−ブチロキシ−2−ヘプテナール、4−ブチロキシ−2−オクテナール、4−ブチロキシ−ドデセナール、1−ホルミル−2−アセトキシメチル−1−シクロペンテンなどを挙げることができる。尚、これらの化合物はシス体、トランス体のどちらでも差し支えない。特に好ましい一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類として、4−アセトキシ−2−ブテナール、4−アセトキシ−2−オクテナール、4−ヒドロキシ−2−ブテナール、2−アセトキシ−3−ブテナールが挙げられ、これらのシス体及び/又はトランス体である。
我々は鋭意検討の結果、一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類が、一般式(a)で示される原料アリル化合物を一般式(b)で示される生成物へと異性化する触媒を著しく劣化する成分であることを見出した。そしてこの一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類を、一般式(a)で表されるアリル化合物に対し重量比で1/40以下に低減させれば、アリル化合物を異性化する際の触媒劣化を著しく改善できることを見出した。好ましくは一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類を一般式(a)で表されるアリル化合物に対し重量比で1/60以下である。一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類の低減化が不充分であると、触媒劣化のために反応成績が悪化して、より多量の触媒が必要となってしまう。一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類の低減化は、低減すればするほど効果があるが、その分離に要する蒸留塔などに必要なコストが甚大となってしまうことから、通常、一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類を一般式(a)で表されるアリル化合物に対し重量比で1/1000以上、より好ましくは1/500以上である。
また、本発明は、共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液中の一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類の濃度を1.0重量%以下に低減し、次いで該アリル化合物含有液を触媒と接触させ、アリル化合物を異性化することが好ましい。低減化した後のアリル化合物含有液中における該不飽和アルデヒド類の濃度は、好ましくは2.0重量%以下、特に好ましくは1.2重量%以下であり、低減するほど好ましいが、通常は0.01重量%以上である。該アリル化合物含有液中の不飽和アルデヒド濃度が高すぎると、次いで実施する異性化に必要となる触媒量が触媒劣化のために増加し、触媒コストが増大してしまう。一方、低すぎる場合には、触媒コストは低減化できるものの、該アリル化合物含有液中の不飽和アルデヒド類濃度を低減するためのコストが甚大なものとなってしまい、コスト競争力を失う。
共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液中の一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類の低減方法は特に制限されるものではないが、例えば抽出分離、蒸留分離等が挙げられる。好ましくは蒸留、特に連続蒸留により、一般式(a)で示される原料アリル化合物含有液を精製して、不飽和アルデヒド類を分離除去する方法である。この際、不飽和アルデヒド類を分離除去する連続蒸留は、1塔で実施しても差し支えないが、好ましくは2〜6塔の蒸留塔を用いて、不飽和アルデヒド類の濃度を低減化し、且つ原料アリル化合物濃度を高く精製することが好ましい。
連続蒸留により、一般式(a)で示される原料アリル化合物含有液を精製して、不飽和アルデヒド類を分離除去する方法例を以下に説明する。
例えば、原料アリル化合物が3,4−ジアセトキシ−1−ブテンであり、異性化による生成物が1,4−ジアセトキシ−2−ブテンであった場合、通常、パラジウムなどの固体触媒を用いた共役ジエン類であるブタジエンの酸化反応により得られたアリル化合物含有液は、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、及び1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、及び触媒を劣化させる成分である不飽和アルデヒド類として4−アセトキシ−2−ブテナール、及び酢酸などそれらよりも軽沸点の成分、高沸点の成分を含有する。
このブタジエンの酸化反応により得られたアリル化合物含有液から、好ましくは1つ、あるいは複数の連続蒸留塔を用いて、4−アセトキシ−2−ブテナールの濃度を低減化した高濃度の3,4−ジアセトキシ−1−ブテン濃度を得る。
そのための方法として、例えば、まずブタジエンの酸化反応により得られたアリル化合物含有液から、蒸留により軽沸点成分を全量、またはその一部を除去する。ここで使用する蒸留塔の蒸留時の圧力は任意に設定することができるが、塔底温度を容易に運転可能な範囲とするために、塔頂圧力を10〜2000mmHgとすることが好ましい。より好ましくは塔頂圧力が20〜1500mmHgであり、特に好ましくは30〜1200mmHgの範囲である。この塔頂圧力が低すぎると、圧力を保つために多大なコストが必要となり、また高すぎると蒸留塔塔底の温度が高くなり、蒸気コストの増大となってしまう。塔頂温度は通常0℃〜200℃以下であり、好ましくは20℃〜160℃、より好ましくは40℃〜140℃である。塔頂温度が低すぎると冷却器など特殊な装置が必要となりコスト悪化となる。また温度が高すぎると、塔底温度もより高い温度となるために、蒸気コストの増大となってしまう。還流比は1〜100で差し支えなく、好ましくは1〜10である。還流比が小さすぎると、分離能の悪化を引き起こし、還流比が高すぎると、必要な熱量が増大し、コスト悪化原因となる。蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。アリル化合物含有液と、軽沸点成分とを分離する蒸留塔の理論段は3段以上、特に10段〜50段とするのが好ましい。50段を越える蒸留塔は、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。
次に、ここで得られた蒸留精製液から高沸点成分を全量、またはその一部を次に除去する。この際の蒸留条件はここで使用する蒸留塔の蒸留時の圧力は任意に設定することができるが、塔底温度を低くするために、塔頂圧力を1〜760mmHgとすることが好ましい。より好ましくは塔頂圧力が5〜200mmHgであり、特に好ましくは10〜100mmHgの範囲である。この塔頂圧力が低すぎると、圧力を保つために多大なコストが必要となり、また高すぎると蒸留塔の塔底温度が高くなり、蒸気コストの増大となってしまう。塔頂温度は通常0℃〜200℃以下であり、好ましくは20℃〜160℃、より好ましくは40℃〜140℃である。塔頂温度が低すぎると冷却器など特殊な装置が必要となりコスト悪化となる。また温度が高すぎると、塔底温度もより高い温度となるために、蒸気コストの増大となってしまう。還流比は1〜100で差し支えなく、好ましくは1〜10である。還流比が小さすぎると、分離能の悪化を引き起こし、還流比が高すぎると、必要な熱量が増大し、コスト悪化原因となる。蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。このアリル化合物含有液と、高沸点成分とを分離する蒸留塔の理論段は3段以上、特に10段〜50段とするのが好ましい。50段を越える蒸留塔は、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。
高沸点成分、ならびに軽沸点成分を蒸留により除去して得た粗アリル化合物含有液を、次に蒸留塔に連続的に導入し、塔底より、高沸点の成分を含んでも構わない1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを抜き出し、塔上部より軽沸点成分を含有しても構わない3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液を留出させて、原料アリル化合物である3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを高い濃度で含む3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液を得る。この際、不飽和アルデヒド類の4−アセトキシ−2−ブテナールを、塔底より1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有液と共に抜き出すことで、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液中の4−アセトキシ−2−ブテナールの濃度を低減できる。ここで、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液は、塔頂あるいは塔上部から軽沸点成分とともに抜き出す、あるいは塔頂から軽沸点成分を留出させ、軽沸点成分の留出と区別される側流により、4−アセトキシ−2−ブテナール濃度を低減した3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液を抜き出す。ここで使用する蒸留塔の蒸留時の圧力は任意に設定することができるが、塔底温度を低くするために、塔頂圧力を1〜760mmHgとすることが好ましい。より好ましくは塔頂圧力が5〜200mmHgであり、特に好ましくは10〜100mmHgの範囲である。この塔頂圧力が低すぎると、圧力を保つために多大なコストが必要となり、また高すぎると蒸留塔塔底の温度が高くなり、蒸気コストの増大となってしまう。塔頂温度は通常0℃〜200℃以下であり、好ましくは20℃〜160℃、より好ましくは40℃〜140℃である。塔頂温度が低すぎると冷却器など特殊な装置が必要となりコスト悪化となる。また温度が高すぎると、塔底温度もより高い温度となるために、蒸気コストの増大となってしまう。還流比は0.1〜100で差し支えなく、好ましくは1〜10である。還流比が小さすぎると、分離能の悪化を引き起こし、還流比が高すぎると、必要な熱量が増大し、コスト悪化原因となる。蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。この3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液と、1,4−ジアセトキシ−2−ブテンとを分離する蒸留塔の理論段は11以上、200以下が好ましく、特に15〜80段とするのが好ましい。理論段数が高すぎると、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。
その後、4−アセトキシ−2−ブテナール濃度を低減化した3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液に含まれる軽沸点成分をさらに留去することも可能である。ここで使用する蒸留塔の蒸留時の圧力は任意に設定することができるが、塔底温度を低くするために、塔頂圧力を10〜760mmHgとすることが好ましい。より好ましくは塔頂圧力が5〜200mmHgであり、特に好ましくは20〜150mmHgの範囲である。この塔頂圧力が低すぎると、圧力を保つために多大なコストが必要となり、また高すぎると蒸留塔塔底の温度が高くなり、蒸気コストの増大となってしまう。塔頂温度は通常0℃〜200℃以下であり、好ましくは20℃〜160℃、より好ましくは40℃〜140℃である。塔頂温度が低すぎると冷却器など特殊な装置が必要となりコスト悪化となる。また温度が高すぎると、塔底温度もより高い温度となるために、蒸気コストの増大となってしまう。還流比は0.1〜100で差し支えなく、好ましくは1〜10である。還流比が小さすぎると、分離能の悪化を引き起こし、還流比が高すぎると、必要な熱量が増大し、コスト悪化原因となる。蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。この3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液と、軽沸点成分とを分離する蒸留塔の理論段は5以上、100以下が好ましく、特に10〜50段とするのが好ましい。理論段数が高すぎると、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。
また、これらの幾つかの蒸留塔を組み合わせて、不飽和アルデヒド類の濃度を低減してもよい。具体的には、不飽和アルデヒド類の濃度みあいでコントロールすればよく、不飽和アルデヒド類の濃度をみながら蒸留等の条件を決めればよい。
本発明でアリル化合物の異性化に使用される触媒はアリル化合物を異性化する能力を有していれば特に限定されるものではないが、均一系錯体触媒であり、好ましくは第8〜10族の遷移金属化合物(IUPAC無機化学命名法改訂版(1998)による)の均一系錯体触媒であり、特に好ましくはアセトキシ異性化速度に特に高い活性を示すパラジウム錯体触媒である。該錯体触媒は種々の遷移金属から調製することが可能であるが、具体的には酢酸塩、アセチルアセトネート化合物、塩化物、臭化物、ヨウ素化物、硫酸塩、硝酸塩、有機塩、無機塩、オレフィン配位化合物、アミン配位化合物、一酸化炭素配位化合物、ホスフィン配位化合物、ホスファイト配位化合物などが挙げられる。好ましくはパラジウム金属、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ジクロロシクロオクタジエンパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、酢酸ニッケル、ジシクロオクタジエンニッケル、酢酸プラチナ、ジシクロオクタジエンプラチナなどであり、特に好ましくは安価なパラジウム源である酢酸パラジウム、塩化パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウムである。本発明に於いては上述した金属化合物の形態には特に限定されず、活性な錯体触媒が単量体、2量体、及び/または多量体であっても差し支えない。
また該錯体触媒はリン配位子を有するが、ホスフィン類、ホスファイト類、ホスホナイト類、ホスフィナイト類、ホスフォラアミダイト類など特に限定されず種々のリン配位子を使用することが可能である。これらは単座であっても、多座であっても良い。リン配位子として好ましくは「P−O結合及び/又はP−N結合を有する配位子」であり、ホスファイト類、ホスホラアミダイト類であり、特に2座、多座のホスファイト類、ホスホラアミダイト類が好ましい。具体的には式、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6−1)〜(6−7)で示される化合物が挙げられる。本発明においては、一種又は複数種の配位子を用いてもよい。
Figure 0005135729
Figure 0005135729
式(1)〜(5)において、X〜X’’’は(X1)〜(X5)から選ばれ、Y〜Y’’’ は(Y1)〜(Y5)から任意に選ぶことができる。(X1)〜(X5)、(Y1)〜(Y5)及び(6−1)〜(6−7)において、R、R’、R〜R54は、それぞれ独立してアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリーロキシ基、アルキルアリーロキシ基、アミノ基、又はアリール基を表し、更に置換基を有していても良い。R、R’、R〜R54としてアルキル基を用いる場合、又はアルキル骨格を有する置換基(アルキルアリーロキシ基中のアルキル基等)を用いる場合には、その炭素数は通常1〜20であり、好ましくは1〜14である。その具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等である。また、アルキル基又はアルキル骨格部分は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリ‐ル基、アミノ基、シアノ基、炭素数2〜10のエステル基、ヒドロキシ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
また、R、R’、R〜R54としてアリール基を用いる場合又はアリール骨格を有する置換基を用いる場合には、その炭素数は通常6〜20であり、好ましくは6〜14である。アリール基又はアリール骨格部分は更に置換基を有していても良く、置換基として、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数6〜20のアルキルアリール基、炭素数6〜20のアルキルアリーロキシ基、炭素数6〜20のアリールアルキル基、炭素数6〜20のアリールアルコキシ基、シアノ基、エステル基、ヒドロキシ基およびハロゲン原子が挙げられる。R、R’、R〜R54がアリール基である場合の具体例としてフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3‐ジメチルフェニル基、2,4‐ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2‐t‐ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ニトロフェニル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基、及び下記の(C−1)〜(C−8)が挙げられる。
Figure 0005135729
A〜A’’、A〜Aはそれぞれ独立して置換基を有していても良い炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していても良い炭素数6〜30のアリーレン基、又はAr−(Q−Arなる真中に二価の連結基を有していても良いジアリーレン基(但しAr及びArはそれぞれ独立して、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリーレン基を表す)を表す。T〜Tは炭素原子、アルカンテトライル基、ベンゼンテトライル基、又はT−(Q−Tで表される置換基を有していても良い四価の基であり、T及びTはそれぞれ独立してそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルカントリイル基、及び炭素数6〜15のベンゼントリイル基から選ばれる置換基を有していても良い三価の基を表す。Q及びQはそれぞれ独立して、−CR5556−、−O−、−S−、−CO−を表し、nは0又は1であり、R55及びR56は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、置換基を有していても良い。
またA〜A’’、A〜Aがアルキレン基の場合、例えばテトラメチルエチレン基、ジメチルプロピレン基等が挙げられ、置換基を有しても良いアルキレン基の場合には、置換基として炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、アミノ基、シアノ基、アミド基、トルフルオロメチル基等が挙げられる。またA〜A’’、A〜Aが置換基を有していても良いアリーレン基の場合には、例えばフェニレン基やナフチレン基等が挙げられ、置換基として炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、アミノ基、シアノ基、アミド基、トルフルオロメチル基等が挙げられる。
更に、A〜A’’、A〜AがAr‐(Q‐Arなる真中に二価の連結基を有していても良いジアリ‐レン基の場合、Ar及びArはそれぞれ独立して、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリーレン基であり、その炭素数は6〜24、更には6〜16が好ましい。好ましい置換基の具体例として、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、アミノ基、シアノ基、アミド基、トルフルオロメチル基等が挙げられる。
またA〜A’’、A〜Aの具体例として、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)−CH(CH)−、−CH(CH)CHCH(CH)−、−C(CH−C(CH−、−C(CH−CH−C(CH−、及び下記の(A−1)〜(A−48)が挙げられる。
Figure 0005135729
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Figure 0005135729
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本発明の配位子を表す式(1)〜(5)及び(6−1)〜(6−7)の化合物の好ましい具体例として、下記の単座配位子(L−1)〜(L−16)及び多座配位子(L−17)〜(L−44)を例示することができ、特に好ましい具体例として、(L−17)〜(L−36)を例示することができる。
Figure 0005135729
Figure 0005135729
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本発明でアリル化合物の異性化に使用される均一系錯体触媒の添加量は金属量でアリル化合物含有液に対して0.001wtppm〜1000wtppmが好ましく、より好ましくは0.01wtppm〜100wtppmであり、特に好ましくは0.1wtppm〜10wtppmである。触媒の添加量が少なすぎると反応速度が低下してしまい長大な反応器が必要となり、多すぎると触媒金属コスト、配位子コストが増大してしまう。
また配位子の添加量は配位子中のリン原子のモル比が錯体触媒中の遷移金属に対して0.1〜1000が好ましく、より好ましくは1〜100であり、特に好ましくは1〜10である。配位子の添加量が少なすぎると触媒劣化が進行し反応が完結する前に停止してしまい、多すぎると触媒コストが高すぎてプロセスの競争力が低下してしまう。
また配位子以外にも助触媒として別のリン化合物またはアミン化合物を添加することで触媒の安定性、または反応の速度が向上する。更にリン化合物、及びアミン化合物の両方を添加しても差し支えない。ここで使用するリン化合物はリン原子に3つの置換基が結合したものであれば特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィンなどのトリアリールホスフィン類、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルエチルホスフィン、ジフェニルプロピルホスフィンなどのジアリールアルキルホスフィン類、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィンなどのジアルキルアリールホスフィン類、トリオクチルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類が好ましく、更に好ましくはトリフェニルホスフィン、トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィンなどのトリアリールホスフィン類であり、特に好ましくはトリフェニルホスフィンである。
助触媒として添加することが可能なアミン化合物は1級、2級、3級のアミン、環状、鎖状アミンのいずれを用いても差し支えないが、異性化反応を行なう際にアセトキシアリル化合物が副生物を生成し難い3級のアミンが好ましい。具体的にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリデカニルアミン、トリフェニルアミン、ジフェニルメチルアミン、ジフェニルエチルアミン、ジフェニルブチルアミン、ジメチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジブチルフェニルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロヘプチルアミン、ピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどが好ましく、更に好ましくはトリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンであり、特に好ましくはトリオクチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。これら配位子以外の助触媒である別のリン化合物、アミン化合物の添加量はリン化合物中のリン原子のモル比、またはアミン化合物中のアミン原子のモル比が、錯体触媒中の遷移金属量に対してモル比で1〜10000が好ましく、より好ましくは10〜2000であり、特に好ましくは50〜500である。アミン化合物の添加量が少なすぎると反応速度が低下し、多すぎるとアミンコストが増大してしまう。これらの範囲で、添加するリン化合物、アミン化合物のいずれかを単一で用いても、あるいはリン化合物、アミン化合物を混合して用いても差し支えない。
本発明ではアリル化合物の異性化反応を行うが、該反応においては種々の溶媒を使用することが可能である。溶媒とは具体的には蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリグライムジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの炭化水素類など特に限定されること無く一般的な有機溶媒が使用可能であり、好ましくは蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸類であり、特に好ましくはアセトキシ基の異性化速度を向上する酢酸である。溶媒の添加量はジアセトキシアリル化合物に対して重量比で0.1wt%〜10000wt%が好ましく、より好ましくは10wt%〜1000wt%であり、特に好ましくは50wt%〜300wt%である。溶媒の添加量が少なすぎると触媒劣化の速度が向上してしまい、多すぎると反応器容量が大きくなりすぎ、非効率なプロセスとなってしまう。
該異性化反応を行う際の反応温度は40℃〜200℃が好ましく、より好ましくは80℃〜180℃であり、特に好ましくは100℃〜160℃である。反応温度が低すぎると反応速度が低下し長大な反応器が必要となり、高すぎると触媒劣化が進行してしまう。
異性化後の反応液は溶媒を蒸留などで除去した後、更に未反応の原料アリル化合物、例えば3,4−ジアセトキシアリル化合物含有液と生成物である、例えば1,4−ジアセトキシアリル化合物含有液とに分離する。得られた3,4−ジアセトキシアリル化合物含有液はそのまま、あるいは更に蒸留などで精製した後、異性化反応器へとリサイクル使用することが望ましい。また分離して得られた1,4−ジアセトキシアリル化合物含有液は、そのまま、あるいは更なる蒸留などによる精製を経た後。遷移金属触媒存在下、水素化され置換基を有しても良い1,4−ジアセトキシブタン化合物へと変換される。ここで使用する遷移金属触媒は通常の市販の水素化触媒で差し支えないが、好ましくはパラジウムまたはルテニウムなどの貴金属を含有する触媒、あるいはニッケル触媒である。これら水素化触媒の存在下、40〜180℃の温度範囲で、水素と1,4−ジアセトキシアリル化合物含有液とを接触させ、常圧〜15MPaの圧力範囲条件で実施することができる。反応温度が高すぎると触媒劣化が迅速に進行してしまい、温度が低すぎると反応速度が低下してしまう。圧力が低すぎると反応速度が低下してしまい、圧力が高すぎると高価な反応器が必要となってしまう。 上記、水素化反応により得られた1,4−ジアセトキシブタン化合物は、酸触媒あるいは塩基性物質により水存在下で、加水分解され1,4−ブタンジオールなどのジオール類へと変換される。好ましくは固体酸触媒であり、特に陽イオン交換樹脂を触媒として使用するのが、加水分解速度が速く、しかもテトラヒドロフランのような副生物が少ないので好適である。具体的には、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を母体とするスルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂であり、ゲル型でもポーラス型のいずれでも差し支えない。反応は通常30〜110℃、好ましくは40〜90℃の温度条件にて実施する。温度が低すぎると加水分解速度が低下し、高価で長大な反応器が必要となる。温度が高すぎるとテトラヒドロフランなど副生物が増加して、1,4−ブタンジオールの収率が低下してしまう。水の量は、1,4−ジアセトキシブタン1モルに対し、通常2〜100モル、好ましくは4〜50モルの範囲の量を使用する。水の量が少なすぎると反応速度が低下し高価で長大な反応器が必要となる。また水の量が多すぎると、加水分解後に1,4−ブタンジオールから水を除去する際に多量のエネルギーが必要とされるために、エネルギーコストが増大してしまう。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテンの分析は内部標準法によるガスクロマトグラフィーにより行った。内部標準としてドデカンを使用した。
参考例1:ブタジエンのアセトキシ化反応工程
Pd−Te触媒1kgの存在下に、ブタジエン0.21kg/hr、酢酸2.94kg/hr、6%酸素/94%窒素混合ガス0.34kg/hrを流通させ、80℃、6MPaの条件でアセトキシ化反応させて、1,4−ジアセトキシ−2−ブテンを80重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを9.0重量%、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテンを1.3重量%、4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンを0.5重量%、本発明における不飽和アルデヒド類である4−アセトキシ−2−ブテナールを0.6重量%、酢酸を3.3重量%、その他3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分を3.0重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の高い成分を2.3重量%を含む混合液を得た。
参考例2:触媒調製
窒素ガス雰囲気下、ガラス製シュレンク内で酢酸パラジウム5.1mg、ホスファイト配位子(L21)56mg、トリフェニルホスフィン25mgをトルエン8.8cc中に添加した。この混合液を120℃で5分間加熱し、完全に溶解させ触媒液を得た。
実施例1
(a)3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液と、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有液の分離
参考例1で得た混合液11Lを連続蒸留により3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液と、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有液とに分離した。尚、蒸留には40段のオルダーショウ蒸留塔を使用した。塔頂圧力は20mmHg、還流比は3、塔頂温度は89℃、塔底温度は143℃の温度範囲において保持し、150cc/hrの流量で塔底から20段の位置に連続導入し、塔頂部から27cc/hrで連続留出を行い、塔底から123cc/hrで連続抜き出しを行なった。本連続蒸留により、塔底から1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有液を缶出液として得、塔頂から3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液を留出液として得た。得られた3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液は、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを45重量%、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテンを8.3重量%、4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンを2.5重量%、酢酸を22重量%、本発明における不飽和アルデヒド類である4−アセトキシ−2−ブテナールを0.8重量%、その他3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分を21.4重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の高い成分を0.1重量%含む混合液であった。また、該3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液の1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有量は1重量%以下であった。
(b)3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液の精製
上記(a)で得た3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液1Lを連続蒸留により3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分の大部分を分離した。尚、蒸留には40段のオルダーショウ蒸留塔を使用した。塔頂圧力は100mmHg、還流比は3、塔頂温度は98℃、塔底温度は147℃の温度において保持し、100cc/hrの流量で塔底から20段の位置に連続導入し、塔頂部から42cc/hrで連続留出を行い、塔底から58cc/hrで連続抜き出しを行なった。本連続蒸留により、塔頂から3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分を留出液として得た。該留出中には酢酸が59重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが1.6重量%(蒸留塔に導入する3,4−ジアセトキシアリル化合物量の1.5重量%に相当)、その他、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分39.4重量%含まれていた。また塔底からの抜き出した液中には、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが72重量%、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテンが12.0重量%、4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンが4.2重量%、本発明における不飽和アルデヒド類である4−アセトキシ−2−ブテナールが1.5重量%、その他3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分が9.8重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の高い成分が0.5重量%含まれていた。尚、4−アセトキシ−2−ブテナールの3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテン、及び4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンの合計に対する重量比は1/59であった。
(c)異性化反応
上記「(b)3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液の精製」で得た精製3,4−ジアセトキシ−1−ブテン(3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが72重量%、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテンが12.0重量%、4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンが4.2重量%、本発明における不飽和アルデヒド類である4−アセトキシ−2−ブテナールが1.5重量%(重量比でアリル化合物の1/59)、その他3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分を9.8重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の高い成分を0.5重量%を含む精製3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)1.5ccと、酢酸1.5ccをシュレンク内で混合し、オイルバスで130℃に昇温した。そこに参考例2で調製した触媒液を13μL添加し、130℃で加熱攪拌を3時間行なった(反応液中のパラジウム濃度1.2wtppm)。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン(シス体、トランス体合計)と3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの重量比率は34:66(1,4−体:3,4−体)であった。尚、ドデカンを内部標準として使用した。パラジウム1gあたりの1,4−体の生成量は128.2kgであった。
比較例1
(a)3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液と、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有液の分離2
参考例1で得た混合液11Lを連続蒸留により3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液と、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有液とに分離した。尚、蒸留には10段のオルダーショウ蒸留塔を使用した。塔頂圧力は20mmHg、還流比は3、塔頂温度は92℃、塔底温度は145℃の温度範囲において保持し、150cc/hrの流量で塔底から5段の位置に連続導入し、塔頂部から27cc/hrで連続留出を行い、塔底から123cc/hrで連続抜き出しを行なった。本連続蒸留により、塔底から1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有液を缶出液として得、塔頂から3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液を留出液として得た。得られた3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液は、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを47重量%、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテンを7.4重量%、4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンを2.4重量%、酢酸を20重量%、本発明における不飽和アルデヒド類である4−アセトキシ−2−ブテナールを2.8重量%、その他3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分を18.1重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の高い成分を2.3重量%を含む混合液であった。また、該3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液の1,4−ジアセトキシ−2−ブテン含有量は2.2重量%であった。
(b)3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液の精製
上記(a)で得た3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液1Lを連続蒸留により3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分の大部分を分離した。尚、蒸留には40段のオルダーショウ蒸留塔を使用した。塔頂圧力は100mmHg、還流比は3、塔頂温度は99℃、塔底温度は146℃の温度において保持し、100cc/hrの流量で塔底から20段の位置に連続導入し、塔頂部から32cc/hrで連続留出を行い、塔底から68cc/hrで連続抜き出しを行なった。本連続蒸留により、塔頂から3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分を留出液として得た。該留出中には酢酸が71重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが0.5重量%(蒸留塔に導入する3,4−ジアセトキシアリル化合物量の0.2重量%に相当)、その他、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分28.5重量%含まれていた。また塔底からの抜き出した液中には、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが74重量%、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテンが10重量%、4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンが4.0重量%、本発明における不飽和アルデヒド類である4−アセトキシ−2−ブテナールが3.3重量%、その他3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分が6.4重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の高い成分が2.3重量%含まれていた。尚、4−アセトキシ−2−ブテナールの3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテン、及び4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンの合計に対する重量比は1/27であった。
(c)異性化反応
上記「(b)3,4−ジアセトキシ−1−ブテン含有液の精製」で得た精製3,4−ジアセトキシ−1−ブテン(3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを74重量%、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ−1−ブテンを10重量%、4−ヒドロキシ−3−アセトキシ−1−ブテンを4.0重量%、本発明における不飽和アルデヒド類である4−アセトキシ−2−ブテナールを3.3重量%(重量比でアリル化合物の1/27)、その他3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の低い成分を6.4重量%、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンよりも沸点の高い成分を2.3重量%を含む精製3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)1.5ccと、酢酸1.5ccをシュレンク内で混合し、オイルバスで130℃に昇温した。そこに参考例2で調製した触媒液を13μL添加し、130℃で加熱攪拌を3時間行なった(反応液中のパラジウム濃度1.0wtppm)。反応後の液をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン(シス体、トランス体合計)と3,4−ジアセトキシ−2−ブテンの重量比率は26:74(1,4−体:3,4−体)であった。尚、ドデカンを内部標準として使用した。パラジウム1gあたりの1,4−体の生成量は98.0kgであった。

Claims (4)

  1. 共役ジエン類の酸化反応により得られたアリル化合物含有液を触媒と接触させて、アリル化合物含有液中の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを1,4−ジアセトキシ−2−ブテンへと異性化する方法において、前記アリル化合物含有液中の下記一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類を、重量比で前記アリル化合物含有液中の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの1/40以下に低減化し、次いで該アリル化合物含有液を触媒と接触させ、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを異性化することを特徴とする異性化方法。
    Figure 0005135729

    (上記一般式(c)中、R〜Rがそれぞれ独立して水素原子であり、Xがアセトキシ基及びヒドロキシ基から選ばれる基を表す
  2. 連続蒸留により、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを精製し、前記アリル化合物含有液中の一般式(c)で表される不飽和アルデヒド類の濃度を1.0重量%以下に低減することを特徴とする請求項1に記載の異性化方法。
  3. 触媒が液相均一系パラジウム触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の異性化方法。
  4. 液相均一系パラジウム触媒が、パラジウム化合物とP−O結合を有する配位子からなることを特徴とする請求項3に記載の異性化方法。
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