図1は、本発明に係る建設機械用油圧制御回路が搭載される油圧ショベルの構成例を示す図である。図1において、油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2の上に、旋回機構を介して、上部旋回体3をX軸周りに旋回自在に搭載している。
また、上部旋回体3は、前方中央部に、ブーム4、アーム5及びバケット6、並びに、これらを駆動する油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9(各シリンダは、ピストンを挟んだ二つの油室で構成され、ピストンから延びるロッドの側にある油室をロッドチャンバとし、反対側の油室をボトムチャンバとする。)から構成される掘削アタッチメントを備える。
図2は、各腕体とそれらに対応する油圧シリンダとの間の関係を説明するための図であり、図2(A)は、ブーム4の動きを示し、矢印で示す方向にブーム4を降下させるとブームシリンダ7のロッドが収縮し(すなわち、ボトムチャンバが収縮しロッドチャンバが伸張することを意味する。)、ブーム4を上昇させるとブームシリンダ7のロッドが伸張する(すなわち、ボトムチャンバが伸張しロッドチャンバが収縮することを意味する。)状態を示す。
また、図2(B)は、アーム5の動きを示し、ブームシリンダ7の動きとは異なり、矢印で示す方向にアーム5を閉じるとアームシリンダ8のロッドが伸張し、アーム5を開くとアームシリンダ8のロッドが収縮する状態を示す。
更に、図2(C)は、バケット6の動きを示し、アームシリンダ8の動きと同様に、矢印で示す方向にバケット6を閉じるとバケットシリンダ9のロッドが伸張し、バケット6を開くとバケットシリンダ9のロッドが収縮する状態を示す。
図3は、本発明に係る建設機械に搭載される油圧制御回路の油圧回路図であり、圧油管路を実線で示し、制御圧管路を破線で示し、制御電流線を斜線付きの線で示す。
油圧制御回路100は、エンジン又は電動モータによって駆動される、一回転当たりの吐出量(cc/rev)が可変である二つの油圧ポンプ10L、10Rから、方向制御弁11L、12L、13L及び15Lを連通するセンターバイパス管路30L、又は、方向制御弁11R、12R、13R、14及び15Rを連通するセンターバイパス管路30Rを経て圧油タンク22まで圧油を循環させる。
また、方向制御弁11Lは、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油を走行用油圧モータ42Lで循環させるために圧油の流れを切り換えるスプール弁(左走行モータ方向制御弁)である。
方向制御弁11Rは、走行直進弁であり、下部走行体2を駆動する走行用油圧モータ42L、42Rと、上部旋回体3の何れかの油圧アクチュエータ(例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9又は旋回用油圧モータ44である。)とが同時に操作された場合に、下部走行体2の直進性を高めるために油圧ポンプ10Lから左右の走行用油圧モータ42L、42Rの双方に圧油を循環させるために圧油の流れを切り換えるスプール弁である。
また、方向制御弁12Lは、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油を旋回用油圧モータ44で循環させるために圧油の流れを切り換えるスプール弁(旋回モータ方向制御弁)であり、方向制御弁12Rは、油圧ポンプ10Rが吐出する圧油を走行用油圧モータ42Rで循環させるために圧油の流れを切り換えるスプール弁(右走行モータ方向制御弁)である。
また、方向制御弁13L、13Rはそれぞれ、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する圧油をブームシリンダ7へ供給し、また、ブームシリンダ7内の圧油を圧油タンク22へ排出するために圧油の流れを切り換えるスプール弁であり、方向制御弁13Rは、ブーム操作レバーが操作された場合に作動するスプール弁(以下、「第一速ブーム方向制御弁13R」とする。)であり、方向制御弁13Lは、ブーム操作レバーが所定操作量以上で操作された場合に油圧ポンプ10Lの吐出する圧油をブームシリンダ7に合流させるためのスプール弁(以下、「第二速ブーム方向制御弁13L」とする。)である。
方向制御弁14は、油圧ポンプ10Rが吐出する圧油をバケットシリンダ9へ供給し、また、バケットシリンダ9内の圧油を圧油タンク22へ排出するためのスプール弁(バケット方向制御弁)である。
また、方向制御弁15L、15Rはそれぞれ、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する圧油をアームシリンダ8へ供給し、また、アームシリンダ8内の圧油を圧油タンク22へ排出するために圧油の流れを切り換えるスプール弁であり、方向制御弁15Lは、アーム操作レバーが操作された場合に作動するスプール弁(以下、「第一速アーム方向制御弁15L」とする。)であり、方向制御弁15Rは、アーム操作レバーが所定操作量以上で操作された場合に油圧ポンプ10Rの吐出する圧油をアームシリンダ8に合流させるためのスプール弁(以下、「第二速アーム方向制御弁15R」とする。)である。
なお、方向制御弁11L、12L、13L及び15L、並びに、方向制御弁11R、12R、13R、14及び15Rは、バルブユニット内に纏めて格納されているものとする。
メインリリーフ弁23L、23Rは、油圧ポンプ10L、10Rの吐出圧が所定値を上回った場合に油圧ポンプ10L、10Rが吐出する圧油を圧油タンク22に排出させて油圧ポンプ10L、10Rの吐出圧が過度に上昇してしまうのを防止し油圧ポンプ10L、10Rや圧油管路に対する悪影響を回避するための機構である。
センターバイパス管路30L、30Rは、それぞれ、最も下流にある方向制御弁15L、15Rと圧油タンク22との間にネガティブコントロール絞り20L、20Rを備え、油圧ポンプ10L、10Rが吐出した圧油の流れを制限することにより、ネガティブコントロール絞り20L、20Rの上流において、油圧ポンプ10L、10R用の各レギュレータ(油圧ポンプの吐出量を変化させる装置である。)を制御するための制御圧(ネガティブコントロール圧)を発生させる管路である。
破線で示される制御圧管路32L、32Rは、ネガティブコントロール絞り20L、20Rの上流で発生させたネガティブコントロール圧を油圧ポンプ10L、10R用の各レギュレータに伝達するためのネガティブコントロール圧管路である。
油圧ショベル1における何れの油圧アクチュエータも利用されていない場合(以下、「待機モード」とする。)、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する圧油は、センターバイパス管路30L、30Rを通ってネガティブコントロール絞り20L、20Rに至り、ネガティブコントロール絞り20L、20Rの上流で発生するネガティブコントロール圧を増大させる。
その結果、油圧ポンプ10L、10Rは、その吐出量を減少させることで、吐出した圧油がセンターバイパス管路30L、30Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制するようにする。
一方、油圧ショベル1における何れかの油圧アクチュエータが利用された場合、油圧ポンプ10L、10Rが吐出する圧油は、その油圧アクチュエータに対応する方向制御弁を介してその油圧アクチュエータに流れ込み、ネガティブコントロール絞り20L、20Rに至る量を減少或いは消滅させ、ネガティブコントロール絞り20L、20Rの上流で発生するネガティブコントロール圧を低下させる。
その結果、油圧ポンプ10L、10Rは、その吐出量を増大させ、各油圧アクチュエータに十分な圧油を循環させ、各アクチュエータの駆動を確かなものとする。
上述のような構成により、油圧制御回路100は、待機モードにおいては、油圧ポンプ10L、10Rにおける無駄なエネルギー消費(油圧ポンプ10L、10Rの吐出する圧油がセンターバイパス管路30L、30Rで発生させるポンピングロス)を抑制しながらも、各種油圧アクチュエータを作動させる場合には、油圧ポンプ10L、10Rから必要十分な圧油を各油圧アクチュエータに供給できるようにする。
アーム操作レバー50は、コントロールポンプ52が吐出する圧油を利用してレバー操作量に応じた制御圧を第一速アーム方向制御弁15Lのパイロットポート、及び第二速アーム方向制御弁15Rのパイロットポートに導入させるための装置である。なお、図示されていないが、ブーム操作レバー、バケット操作レバー、又は旋回操作レバー等の他の操作レバーも同様の構成を有するものとする。
コントロールポンプ52は、制御用圧油を吐出するための油圧ポンプであり、所定の吐出圧(例えば、4MPaである。)で制御用圧油を継続的に吐出する固定容量型の油圧ポンプである。
メインコントローラ54は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであり、再生回路制御手段に対応するプログラムをROMに記憶しながら、再生回路制御手段に対応する処理をCPUに実行させる。
また、メインコントローラ54は、アーム操作レバー50を開く方向に操作した場合に発生する制御圧(二次圧)を測定する圧力センサ60の出力P1、及び、アーム操作レバー50を閉じる方向に操作した場合に発生する制御圧(二次圧)を測定する圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50のレバー操作方向及びレバー操作量を検出する。他の操作レバーについても同様である。
再生弁55は、アームシリンダ8の収縮側油室(ロッドチャンバ)と伸張側油室(ボトムチャンバ)とを連通させてロッドチャンバからボトムチャンバへ圧油を再生させるためのスプール弁であり、例えば、コントロールポンプ52から切換弁56を経て導入されるパイロット圧に応じて切り替わる4ポート2ポジションのスプール弁である。
具体的には、再生弁55は、アームシリンダ8を伸張させる際にボトムチャンバとロッドチャンバとを連通させてロッドチャンバから流出する圧油の全部をボトムチャンバへ流入させる切り替え位置R1、及び、ロッドチャンバからボトムチャンバへの圧油の流入を禁止しロッドチャンバから流出する圧油の全部を圧油タンク22に排出させる切り替え位置R2を備える。
なお、再生弁55を含む再生回路は、好適には、収縮側油室から伸張側油室へ流れる圧油が通る管路を短くして圧力損失を低減させるために油圧シリンダに隣接して配置され、或いは、複数の方向制御弁を格納するバルブユニットの外部で油圧シリンダの近傍に配置される。
切換弁56は、メインコントローラ54が出力する制御電流に応じて二次圧を制御するソレノイドバルブであり、コントロールポンプ52の吐出圧を一次圧とし、その二次圧を再生弁55のパイロットポートに導入させる。
図4は、再生弁55のストロークと切換弁56の二次圧との間の関係を示す図であり、再生弁55のストロークが切換弁56の二次圧に比例して増大することを示す。
また、図4は、切換弁56の二次圧がa1未満の場合(すなわち再生弁55のストロークがL1未満の場合)、再生弁55が切り替え位置R2の状態にあり、切換弁56の二次圧がa1以上a2未満の場合(すなわち再生弁55のストロークがL1以上L2未満の場合)、再生弁55が切り替え位置R1の状態にあることを示す。
チェック弁70は、再生弁55の切り替え位置R1にあるアームシリンダ8のロッドチャンバとボトムチャンバとを繋ぐための管路に配置されるチェック弁であり、ロッドチャンバ内の圧力がボトムチャンバ内の圧力より低い場合にロッドチャンバ内の圧油がボトムチャンバ内に流入するのを禁止する。
キャビテーション防止弁57は、アームシリンダ8の伸張側油室(ボトムチャンバ)におけるキャビテーションの発生を防止するためのスプール弁であり、例えば、コントロールポンプ52から切換弁58を経て導入されるパイロット圧に応じて切り替わる2ポート2ポジションのスプール弁である。
具体的には、キャビテーション防止弁57は、アームシリンダ8を伸張させる際に絞り80を介してロッドチャンバと再生弁55とを連通させる切り替え位置C1、及び、絞り80を介することなくロッドチャンバと再生弁55とを連通させる切り替え位置C2を備える。
絞り80は、キャビテーション防止弁57の切り替え位置C1にあるロッドチャンバと再生弁55とを繋ぐための管路に配置される可変絞りであり、例えば、メインコントローラ54からの制御電流に応じて開度を調節し、ロッドチャンバから再生弁55に流れる圧油の流量が大きくなり過ぎるのを防止する。
なお、再生弁55及びキャビテーション防止弁57を含む再生回路は、好適には、収縮側油室から伸張側油室へ流れる圧油が通る管路を短くして圧力損失を低減させるために油圧シリンダに隣接して配置され、或いは、複数の方向制御弁を格納するバルブユニットの外部で油圧シリンダの近傍に配置される。
保持弁59は、メインコントローラ54が出力する制御電流に応じて状態を切り替えるポペット弁であり、油圧ホースのバースト等によるアーム5の閉じ方向への予期せぬ動作を防止するためにアームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油の流れを遮断する第一状態と、アームシリンダ8のロッドチャンバから圧油を流出させアーム5の閉じ方向への動作を許容する第二状態とを切り替えられるようにする。なお、再生弁55及びキャビテーション防止弁57を含む再生回路は、保持弁59と一体的に形成され、アームシリンダ8に直付けされていてもよい。
次に、メインコントローラ54が有する再生回路制御手段について説明する。
再生回路制御手段は、アーム操作レバー50が閉じる方向に操作された場合に発生する制御圧を測定する圧力センサ61の出力P2、及び、アームシリンダ8のボトムチャンバ内の圧力を測定する圧力センサ62の出力P3に基づいて切換弁56、切換弁58、及び保持弁59に対して出力される制御電流を制御し、再生弁55及びキャビテーション防止弁57を含む再生回路の動作を制御するための手段である。
再生回路制御手段は、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50が閉じ方向にどの程度の操作量で操作されたかを判定する。
図5は、アーム操作レバー50の閉じ方向への操作量とアーム操作レバー50の二次圧との間の関係を示す図であり、アーム操作レバー50の操作量がゼロの場合に圧力センサ61は基準圧b1を出力し、アーム操作レバー50の操作量が増大するにつれて圧力センサ61の出力P2も増大し、アーム操作レバー50の操作量がフルストローク(Max)に達した時点で圧力センサ61が最大圧b2を出力する関係を示す。
図5のような関係に基づいて、再生回路制御手段は、アーム操作レバー50が閉じ方向に操作されたか否か、或いは、アーム操作レバー50がフルストロークで操作されたか否か等を判定する。
また、再生回路制御手段は、圧力センサ62の出力P3に基づいて再生を開始させるか否か、或いは、既に開始させた再生を中止するか否か、更には、ボトムチャンバ内でのキャビテーションの発生を防止するためにアーム5の動作速度を遅らせるか否かを判定する。なお、再生回路制御手段は、現時点における再生弁55の切り替え位置を、例えば切換弁56に対する制御電流の大きさの形で、RAMに用意された切り替え位置参照テーブルに記憶しており、再生弁55の切り替え位置が切り替わる度にその切り替え位置参照テーブルを更新する。
再生回路制御手段は、未だ再生を開始させていない状態(再生弁55が切り替え位置R2にある状態)において、圧力センサ62の出力P3が所定の再生見送り圧TH1未満の場合に限り再生の開始を許容し、圧力センサ62の出力P3が所定の再生見送り圧TH1を超えている場合には再生の開始を禁止する。
圧力センサ62の出力P3が再生見送り圧TH1を超えている場合に再生弁55を切り替え位置R1に切り替えると、ロッドチャンバから流出する圧油は、通常、再生見送り圧TH1よりも低いためにチェック弁70によってボトムチャンバ内への流入が禁止され流れが完全に止められてしまうため、ロッドチャンバ内の圧力を上昇させ、その結果、ボトムチャンバ内の圧力を更に上昇させ、ひいては、メインリリーフ弁23Lを通じて油圧ポンプ10Lが吐出する圧油を圧油タンク22に排出させることとなり、アーム5の動作に悪影響を及ぼしてしまうからである。
また、再生回路制御手段は、既に再生を開始させている状態(再生弁55が切り替え位置R1にある状態)において、圧力センサ62の出力P3が所定の再生中止圧TH2未満の場合に限り再生を継続させ、圧力センサ62の出力P3が所定の再生中止圧TH2を超えた場合に再生を中止させる。
圧力センサ62の出力P3が再生中止圧TH2を超えた場合に再生弁55を切り替え位置R1のままにしておくと、上述のようにメインリリーフ弁23Lを通じて油圧ポンプ10Lが吐出する圧油を圧油タンク22に排出させることとなり、アーム5の動作に悪影響を及ぼしてしまうからである。
なお、再生中止圧TH2は、再生見送り圧TH1よりも高い値となるように設定される。仮に再生中止圧TH2が再生見送り圧TH1以下に設定された場合、再生回路制御手段は、再生中止のために切り替え位置R1にある再生弁55を切り替え位置R2に切り替えた直後に、再生開始のために再生弁55を再び切り替え位置R1に切り替えてしまい、ハンチングを発生させてしまうからである。
また、再生中止圧TH2は、好適には、メインリリーフ弁23Lが作動する(連通状態となる)境界値TH3よりも僅かに低い値に設定される。ボトムチャンバ内の圧力P3が境界値TH3を上回りメインリリーフ弁23Lが作動してアーム5の動作に悪影響を及ぼす前に再生を中止するためである。
更に、再生見送り圧TH1は、好適には、再生中止圧TH2に受圧面積比(アームシリンダ8のピストンのロッド側の受圧面積をそのピストンのボトム側の受圧面積で除した値を意味し、通常、1/2(=0.5)程度である。)を乗じた値に設定される。再生開始直後にボトムチャンバ内の圧力P3(すなわちロッドチャンバ内の圧力と同じ圧力である。)は、受圧面積比の逆数倍(受圧面積比が1/2(=0.5)ならば2倍である。)まで上昇する場合があり、仮に再生開始時のボトムチャンバ内の圧力P3が境界値TH3の1/2以上(すなわち再生中止圧TH2以上である。)であれば再生開始直後にメインリリーフ弁23Lを作動させてアーム5の動作に悪影響を及ぼしてしまうこととなるからである。
更に、再生回路制御手段は、圧力センサ62の出力P3が所定のキャビテーション防止圧TH4(TH4<TH2)以上の場合に限り絞り80を経由させることなくロッドチャンバ内の圧油を再生弁55に流入させ、圧力センサ62の出力P3が所定のキャビテーション防止圧TH4を下回る場合には絞り80を経由させてロッドチャンバ内の圧油を再生弁55に流入させるようにする。ロッドチャンバから流出する圧油の量を低減させてロッドチャンバの収縮速度(ボトムチャンバの膨張速度)を抑えることにより、ボトムチャンバ内におけるキャビテーションの発生を防止するためである。
次に、図6を参照しながら、再生回路制御手段が再生弁55及びキャビテーション防止弁57の切り替え位置を切り替える処理(以下、「再生弁切り替え処理」とする。)について説明する。なお、図6は、再生弁切り替え処理の流れを示すフローチャートであり、メインコントローラ54は、所定周期で繰り返しこの再生弁切り替え処理を実行するものとする。
最初に、再生回路制御手段は、アーム5の閉じ操作が行われたか否かを判定する(ステップS1)。アーム5の閉じ操作が行われていないと判定した場合(ステップS1のNO)、再生回路制御手段は、再生弁55が切り替え位置R1であれば切り替え位置R2に切り替え、再生弁55が既に切り替え位置R2であれば切り替え位置R2としたままで再生回路を非再生状態とする。
このとき、再生回路制御手段は、キャビテーション防止弁57が切り替え位置C1であれば切り替え位置C2に切り替え、キャビテーション防止弁57が既に切り替え位置C2であれば切り替え位置C2としたまま(ステップS2)、この再生弁切り替え処理を終了させる。
一方、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム5の閉じ操作が行われたと判定した場合(ステップS1のYES)、再生回路制御手段は、ROMに記憶された切り替え位置参照テーブルを参照して再生弁55の現在の切り替え位置の状態を確認し、再生中であるか否かを判定する(ステップS3)。
再生弁55が切り替え位置R2であり再生中でないと判定した場合(ステップS3のNO)、再生回路制御手段は、所定の再生見送り圧TH1を閾値Pthとして設定する(ステップS4)。
また、再生弁55が切り替え位置R1であり再生中であると判定した場合(ステップS3のYES)、再生回路制御手段は、所定の再生中止圧TH2(TH2>TH1)を閾値Pthとして設定する(ステップS5)。
その後、再生回路制御手段は、圧力センサ62の出力P3とステップS4又はS5で設定した閾値Pthとを比較し(ステップS6)、出力P3が閾値Pth以上の場合(ステップS6のNO)、再生弁55が切り替え位置R1であれば切り替え位置R2に切り替え、再生弁55が既に切り替え位置R2であれば切り替え位置R2としたままで再生回路を非再生状態とし、更に、キャビテーション防止弁57が切り替え位置C1であれば切り替え位置C2に切り替え、キャビテーション防止弁57が既に切り替え位置C2であれば切り替え位置C2としたまま(ステップS2)、この再生弁切り替え処理を終了させる。
一方、出力P3が閾値Pth未満であれば(ステップS6のYES)、再生回路制御手段は、圧力センサ62の出力P3とキャビテーション防止圧TH4とを比較する(ステップS7)。
圧力センサ62の出力P3がキャビテーション防止圧TH4以上であると判定した場合(ステップS7のNO)、再生回路制御手段は、再生弁55が切り替え位置R2であれば切り替え位置R1に切り替え、再生弁55が既に切り替え位置R1であれば切り替え位置R1としたままで再生回路を完全再生状態(ロッドチャンバから流出する圧油の全部をボトムチャンバに再生させる状態をいう。)とし、更に、キャビテーション防止弁57が切り替え位置C1であれば切り替え位置C2に切り替え、キャビテーション防止弁57が既に切り替え位置C2であれば切り替え位置C2としたまま(ステップS8)、この再生弁切り替え処理を終了させる。
一方、圧力センサ62の出力P3がキャビテーション防止圧TH4未満であると判定した場合(ステップS7のYES)、再生回路制御手段は、ボトムチャンバ内でキャビテーションが発生するおそれがあると判定して、再生弁55が切り替え位置R2であれば切り替え位置R1に切り替え、再生弁55が既に切り替え位置R1であれば切り替え位置R1としたままで再生回路を完全再生状態とし、更に、キャビテーション防止弁57が切り替え位置C2であれば切り替え位置C1に切り替え、キャビテーション防止弁57が既に切り替え位置C1であれば切り替え位置C1としたまま(ステップS9)、この再生弁切り替え処理を終了させる。
次に、図7〜図10を参照しながら、再生弁55及びキャビテーション防止弁57の各切り替え位置における油圧制御回路100の動作について説明する。
図7〜図10は、図3の油圧回路図からアーム5の操作に関連する構成要素を選択的に抽出した油圧制御回路100の部分的な油圧回路図であり、図7は、アーム操作レバー50が閉じ方向に操作され再生弁55及びキャビテーション防止弁57をそれぞれ切り替え位置R2、C2とした状態を示し、図8は、アーム操作レバー50が閉じ方向に操作され再生弁55及びキャビテーション防止弁57をそれぞれ切り替え位置R1、C2とした状態を示す。また、図9は、アーム操作レバー50が閉じ方向に操作され再生弁55及びキャビテーション防止弁57をそれぞれ切り替え位置R1、C1とした状態を示し、図10は、アーム操作レバー50が開き方向に操作され再生弁55及びキャビテーション防止弁57をそれぞれ切り替え位置R2、C2とした状態を示す。
図7で示すように、メインコントローラ54は、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50が閉じ方向に操作されたことを検出し、圧力センサ62の出力P3に基づいてボトムチャンバ内の圧力が再生見送り圧TH1以上であることを検出し、且つ、ROMに記憶された切り替え位置参照テーブルを参照して再生弁55が既に切り替え位置R2にあることを検出すると、切換弁56及び切換弁58に制御電流を供給することなく、保持弁59のみに制御電流を供給する。
切換弁56は、a1以上の二次圧(図4参照。)を発生させないようにして再生弁55を切り替え位置R2のまま維持させる。
また、切換弁58も、所定圧以上の二次圧を発生させないようにしてキャビテーション防止弁57を切り替え位置C2のまま維持させる。
また、保持弁59は、制御電流の供給を受け、アームシリンダ8のロッドチャンバから再生弁55に至る圧油管路を連通させる。
また、第一速アーム方向制御弁15Lは、アーム操作レバー50からのパイロット圧を受けて左位置に切り替わり、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油をアームシリンダ8のボトムチャンバ内に流入させ、且つ、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油の全部を圧油タンク22に排出させる。
このようにして、メインコントローラ54は、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油を再生させることなくアーム5の閉じ操作を実行させることができる。
また、図8で示すように、メインコントローラ54は、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50が閉じ方向に操作されたことを検出し、圧力センサ62の出力P3に基づいてボトムチャンバ内の圧力が再生見送り圧TH1未満であることを検出し、且つ、ROMに記憶された切り替え位置参照テーブルを参照して再生弁55が切り替え位置R2にあることを検出すると、切換弁58に制御電流を供給することなく、切換弁56及び保持弁59の双方に制御電流を供給する。
切換弁56は、制御電流の供給を受け、a1以上a2未満の二次圧(図4参照。)を発生させ再生弁55を切り替え位置R1に切り替える。
切換弁58は、所定圧以上の二次圧を発生させないようにしてキャビテーション防止弁57を切り替え位置C2のまま維持させる。
保持弁59は、制御電流の供給を受け、アームシリンダ8のロッドチャンバから再生弁55に至る圧油管路を連通させる。
第一速アーム方向制御弁15Lは、アーム操作レバー50からのパイロット圧を受けて左位置に切り替わり、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油をアームシリンダ8のボトムチャンバ内に流入させ、且つ、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油の全部を矢印AR1で示すように絞り80を経由させずにボトムチャンバ内に再生させる。
このようにして、メインコントローラ54は、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油を完全再生させながらアーム5の閉じ操作をより迅速に実行させることができる。
また、図9で示すように、メインコントローラ54は、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50が閉じ方向に操作されたことを検出し、圧力センサ62の出力P3に基づいてボトムチャンバ内の圧力がキャビテーション防止圧TH4未満であることを検出し、且つ、ROMに記憶された切り替え位置参照テーブルを参照して再生弁55が既に切り替え位置R1にあることを検出すると、切換弁56、切換弁58、及び保持弁59の全てに制御電流を供給する。
切換弁56は、制御電流の供給を受け、a1以上a2未満の二次圧(図4参照。)を発生させ再生弁55を切り替え位置R1のままで維持させる。
また、切換弁58も、制御電流の供給を受け、所定圧以上の二次圧を発生させキャビテーション防止弁57を切り替え位置C1に切り替える。
このとき、メインコントローラ54は、圧力センサ62の出力P3に応じて絞り80の開度を調節するようにしてもよく、例えば、圧力センサ62の出力P3が低いほど、絞り80の開度を小さくするようにしてもよい。
保持弁59は、制御電流の供給を受け、アームシリンダ8のロッドチャンバから再生弁55に至る圧油管路を連通させる。
第一速アーム方向制御弁15Lは、アーム操作レバー50からのパイロット圧を受けて左位置に切り替わり、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油をアームシリンダ8のボトムチャンバ内に流入させ、且つ、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油の全部を矢印AR2で示すように絞り80を経由させてボトムチャンバ内に再生させる。
このようにして、メインコントローラ54は、アームシリンダ8のボトムチャンバにおけるキャビテーションの発生を防止しながら、完全再生状態を継続させることができる。
更に、図10で示すように、メインコントローラ54は、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50が閉じ方向に操作されていないことを検出し、且つ、ROMに記憶された切り替え位置参照テーブルを参照して再生弁55が切り替え位置R1にあることを検出すると、保持弁59に制御電流を供給したまま、切換弁56及び切換弁58に対する制御電流の供給を中止する。
切換弁56は、制御電流の供給が中止されると、二次圧をa1未満(図4参照。)にし、再生弁55を切り替え位置R1に切り替える。
また、切換弁58も、制御電流の供給が中止されると、二次圧を所定圧未満にし、キャビテーション防止弁57を切り替え位置C1に切り替える。
保持弁59は、制御電流の供給を受け、アームシリンダ8のロッドチャンバから再生弁55に至る圧油管路を連通させる。
第一速アーム方向制御弁15Lは、アーム操作レバー50が開き方向に操作されたことによって、アーム操作レバー50からのパイロット圧を受けて右位置に切り替わり、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油をアームシリンダ8のロッドチャンバ内に流入させ、且つ、アームシリンダ8のボトムチャンバから流出する圧油の全部を圧油タンク22に排出させる。
このようにして、メインコントローラ54は、再生弁55及びキャビテーション防止弁57の影響を受けることなく、アーム5の開き操作を実行させることができる。
以上の構成により、油圧制御回路100は、例えば掘削作業時にアーム5が受ける地面からの反力に応じてアームシリンダ8のボトムチャンバ内の圧力が大きく変動するような場合であってもハンチングを発生させることなくアーム5を円滑に動作させることができる。
また、油圧制御回路100は、ロッドチャンバから流出する圧油の全部をボトムチャンバに再生させる完全再生状態を実現させるので、ロッドチャンバ内から流出する圧油の再生率(ロッドチャンバから流出する圧油量に占める再生油量の割合である。)を増大させ、アーム5の動作速度を増大させることができる。
また、油圧制御回路100は、アームシリンダ8のボトムチャンバ内の圧力が低下した場合にロッドチャンバから流出する圧油の量を制限するので、キャビテーションを防止することができる。
また、油圧制御回路100は、アームシリンダ8のロッドチャンバと再生弁55との間にキャビテーション防止弁57を配置するが、再生弁55とアームシリンダ8のボトムチャンバとの間にキャビテーション防止弁57を配置するようにしてもよい。
また、油圧制御回路100は、再生回路をアームシリンダ8に隣接させて或いはその近傍に配置するので、再生回路を構成する管路の長さを短縮できそれら管路で発生する圧力損失を低減させることができる。また、圧力損失の低減は、作業効率、燃費性能、及びヒートバランス性能を向上させ、更には油圧ホースや圧油管路の径の低減を可能にして再生回路のコスト削減、及びレイアウトの自由度の増大をもたらすことができる。
また、上述の実施例は、第一速アーム方向制御弁15Lを用いてアーム5を動作させる場合について説明するが、第一速アーム方向制御弁15R及び第二速アーム方向制御弁15Rの双方を用いて、すなわち油圧ポンプ10L、10Rの双方が吐出する圧油を用いてアーム5を動作させる場合にも同様の説明が適用されるものとする。
なお、上述の実施例において、再生弁55は、切り替え位置R1及びR2が中間領域無く段階的に切り替わるようにするが、切換弁56の二次圧に応じて再生率が0%から100%に徐々に変化するように切り替わるものであってもよい。
同様に、キャビテーション防止弁57は、切換弁58の二次圧に応じて絞り80(図3参照。)の開度が徐々に変化するように切り替わるものであってもよい。
次に、図11〜図13を参照しながら、本発明に係る油圧制御回路の第二実施例について説明する。
油圧制御回路200は、油圧制御回路100における再生弁55の代わりに再生弁55Aを有し、キャビテーション防止弁57及び切換弁58を省略した点で油圧制御回路100と相違し、その他の点で共通する。そのため、共通する構成要素に対しては油圧制御回路100の説明で使用された参照符号をそのまま利用することとし、相違点である再生弁55Aを中心に詳しく説明することとする。
再生弁55Aは、アームシリンダ8のロッドチャンバとボトムチャンバとを連通させてロッドチャンバからボトムチャンバへ圧油を再生させるためのスプール弁であり、キャビテーション防止機能を更に備える。
再生弁55Aは、例えば、コントロールポンプ52から切換弁56を経て導入されるパイロット圧に応じて切り替わる4ポート3ポジションのスプール弁である。
具体的には、再生弁55Aは、アームシリンダ8を伸張させる際にボトムチャンバとロッドチャンバとを連通させてロッドチャンバから流出する圧油の全部を絞り80Aを経由させてボトムチャンバへ流入させる切り替え位置U1と、アームシリンダ8を伸張させる際にボトムチャンバとロッドチャンバとを連通させてロッドチャンバから流出する圧油の全部を絞り80Aを経由させずにボトムチャンバへ流入させる切り替え位置U2と、ロッドチャンバからボトムチャンバへの圧油の流入を禁止しロッドチャンバから流出する圧油の全部を圧油タンク22に排出させる切り替え位置U3とを備える。
なお、再生弁55Aを含む再生回路は、好適には、収縮側油室から伸張側油室へ流れる圧油が通る管路を短くして圧力損失を低減させるために油圧シリンダに隣接して配置され、或いは、複数の方向制御弁を格納するバルブユニットの外部で油圧シリンダの近傍に配置される。
図11〜図13は、油圧制御回路200の部分的な油圧回路図であり、図11は、アーム操作レバー50が閉じ方向に操作され再生弁55Aを切り替え位置U3とした状態を示し、図12は、アーム操作レバー50が閉じ方向に操作され再生弁55Aを切り替え位置U2とした状態を示し、図13は、アーム操作レバー50が閉じ方向に操作され再生弁55Aを切り替え位置U1とした状態を示す。
図11で示すように、メインコントローラ54は、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50が閉じ方向に操作されたことを検出し、圧力センサ62の出力P3に基づいてボトムチャンバ内の圧力が再生見送り圧TH1以上であることを検出し、且つ、ROMに記憶された切り替え位置参照テーブルを参照して再生弁55Aが既に切り替え位置U3にあることを検出すると、切換弁56に制御電流を供給することなく、保持弁59のみに制御電流を供給する。
切換弁56は、第一所定圧以上の二次圧を発生させないようにして再生弁55Aを切り替え位置U3のまま維持させる。
また、保持弁59は、制御電流の供給を受け、アームシリンダ8のロッドチャンバから再生弁55Aに至る圧油管路を連通させる。
また、第一速アーム方向制御弁15Lは、アーム操作レバー50からのパイロット圧を受けて左位置に切り替わり、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油をアームシリンダ8のボトムチャンバ内に流入させ、且つ、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油の全部を圧油タンク22に排出させる。
このようにして、メインコントローラ54は、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油を再生させることなくアーム5の閉じ操作を実行させることができる。
また、図12で示すように、メインコントローラ54は、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50が閉じ方向に操作されたことを検出し、圧力センサ62の出力P3に基づいてボトムチャンバ内の圧力が再生見送り圧TH1未満であることを検出し、且つ、ROMに記憶された切り替え位置参照テーブルを参照して再生弁55Aが切り替え位置U3にあることを検出すると、切換弁56及び保持弁59の双方に制御電流を供給する。
切換弁56は、制御電流の供給を受け、第一所定圧以上の二次圧を発生させ再生弁55Aを切り替え位置U2に切り替える。
保持弁59は、制御電流の供給を受け、アームシリンダ8のロッドチャンバから再生弁55Aに至る圧油管路を連通させる。
第一速アーム方向制御弁15Lは、アーム操作レバー50からのパイロット圧を受けて左位置に切り替わり、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油をアームシリンダ8のボトムチャンバ内に流入させ、且つ、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油の全部を矢印AR3で示すようにボトムチャンバ内に再生させる。
このようにして、メインコントローラ54は、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油を完全再生させながらアーム5の閉じ操作をより迅速に実行させることができる。
また、図13で示すように、メインコントローラ54は、圧力センサ61の出力P2に基づいてアーム操作レバー50が閉じ方向に操作されたことを検出し、圧力センサ62の出力P3に基づいてボトムチャンバ内の圧力がキャビテーション防止圧TH4未満であることを検出し、且つ、ROMに記憶された切り替え位置参照テーブルを参照して再生弁55Aが切り替え位置U2にあることを検出すると、切換弁56及び保持弁59の双方に制御電流を供給する。
切換弁56は、制御電流の供給を受け、第一所定圧より高い第二所定圧以上の二次圧を発生させ再生弁55を切り替え位置U1に切り替える。
保持弁59は、制御電流の供給を受け、アームシリンダ8のロッドチャンバから再生弁55Aに至る圧油管路を連通させる。
第一速アーム方向制御弁15Lは、アーム操作レバー50からのパイロット圧を受けて左位置に切り替わり、油圧ポンプ10Lが吐出する圧油をアームシリンダ8のボトムチャンバ内に流入させ、且つ、アームシリンダ8のロッドチャンバから流出する圧油の全部を矢印AR4で示すように絞り80Aを経由させてボトムチャンバ内に再生させる。
このようにして、メインコントローラ54は、アームシリンダ8のボトムチャンバにおけるキャビテーションの発生を防止しながら、完全再生状態を継続させることができる。
次に、図14を参照しながら、油圧制御回路200の再生回路制御手段が再生弁55Aの切り替え位置を切り替える処理について説明する。なお、図14は、油圧制御回路200の再生弁切り替え処理の流れを示すフローチャートであり、メインコントローラ54は、所定周期で繰り返しこの再生弁切り替え処理を実行するものとする。また、図14のフローチャートは、ステップS12、S18及びS19以外のステップが図6のフローチャートと共通するので、その部分の説明を省略することとする。
ステップS12において(アーム閉じ操作が行われていない場合、或いは、アーム閉じ操作が行われている場合であって圧力センサ62の出力P3が閾値Pth以上の場合である。)、再生回路制御手段は、再生弁55Aが切り替え位置U1又はU2であれば切り替え位置U3に切り替え、再生弁55Aが既に切り替え位置U3であれば切り替え位置U3のままとする。
同様に、ステップS18において(アーム閉じ操作が行われている場合であって圧力センサ62の出力P3がキャビテーション防止圧TH4以上で且つ閾値Pth未満の場合である。)、再生回路制御手段は、再生弁55Aが切り替え位置U1又はU3であれば切り替え位置U2に切り替え、再生弁55Aが既に切り替え位置U2であれば切り替え位置U2のままとする。
更に、ステップS19において(アーム閉じ操作が行われている場合であって圧力センサ62の出力P3がキャビテーション防止圧TH4未満の場合である。)、再生回路制御手段は、再生弁55Aが切り替え位置U2又はU3であれば切り替え位置U1に切り替え、再生弁55Aが既に切り替え位置U1であれば切り替え位置U1のままとする。
以上の構成により、油圧制御回路200は、油圧制御回路100における再生弁55とキャビテーション防止弁57とを一体化することにより、油圧制御回路100における有利な効果を実現しながらも、構成要素の数を更に削減でき、また、再生回路を構成する管路の長さを更に短縮しそれら管路で発生する圧力損失を更に低減させることができる。
また、再生弁55Aは、切り替え位置U1、U2、及びU3が中間領域無く段階的に切り替わるようにするが、切り替え位置U3とU2との間で切換弁56の二次圧に応じて再生率が0%から100%に徐々に変化するように切り替わり、且つ、切り替え位置U2とU1との間で絞り80Aの開度が徐々に変化するように切り替わるものであってもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例において、メインコントローラ54は、アーム5を閉じ操作する場合に作動する再生回路を制御するが、その代わりに或いはそれに加えて、ブーム4を下げ操作する場合、或いは、バケット6を閉じ操作する場合に作動する再生回路を同様の方法で制御するようにしてもよい。
また、上述の実施例において、油圧制御回路100は、油圧ショベル1に搭載されるが、クレーン仕様機等の他の建設機械に搭載されてもよい。