[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図1〜図3を用いて説明する。
図1に示す油圧ショベル1は、履帯を駆動して走行する走行体2と、この走行体2に旋回ベアリング14を介して旋回可能に結合した旋回体3と、この旋回体3の前部に設けられたフロント作業装置7とを備えている。
旋回体3は、フロント作業装置7の左方に設けられた運転室4と、この運転室4の後方に設けられた機械室5と、この機械室5の後方に設けられたカウンタウェイト6とを備えている。機械室5内には、旋回ベアリング14のインナーレース(図示してない)に減速機を介して伝動可能に結合した旋回モータ14(油圧モータ)が設けられている。
フロント作業装置7は、旋回体3の前部に回動可能に結合したブーム8と、このブーム8に回動可能に結合したアーム9と、このアーム9に回動可能に結合したバケット10とを備えたバックホウタイプのフロント作業装置である。ブーム8はブームシリンダ11(油圧シリンダ)により駆動されるようになっており、アーム9はアームシリンダ12(油圧シリンダ)により駆動されるようになっており、バケット10はバケットシリンダ13(油圧シリンダ)により駆動されるようになっている。
図2に示すように、第1実施形態に係る油圧駆動装置20は、ブームシリンダ11、アームシリンダ12、バケットシリンダ13、旋回モータ14、これらブームシリンダ11、アームシリンダ12、バケットシリンダ13および旋回モータ14を駆動する作動油を吐出する主油圧ポンプ21と、この主油圧ポンプ21を駆動するディーゼルエンジン22とを備えている。
油圧駆動装置20はさらに、主油圧ポンプ21とブームシリンダ11、アームシリンダ12、バケットシリンダ13および旋回モータ14のそれぞれとの間に、ブーム用主供給回路30、アーム用主供給回路40、バケット用主供給回路50および旋回用主供給回路60のそれぞれを備えている。
ブーム用主供給回路30は、主油圧ポンプ21の吐出ポートから延びた吐出管路70と、この吐出管路70からブームシリンダ11側に延びたブーム用主供給管路31と、このブーム用主供給管路31のブームシリンダ11側の端部に設けられたブーム用方向制御弁32と、このブーム用方向制御弁32からブームシリンダ11のボトム室11aに延びたボトム側管路33と、ブーム用方向制御弁32からブームシリンダ11のロッド室11bに延びたロッド室側管路34とを備えている。ブーム用方向制御弁32は、油圧パイロット式の3位置弁であり、スプリングセンタ式の弁である。このブーム用方向制御弁32の初期位置は中立位置(図中の中央の弁位置)であり、ブーム用主供給管路31とボトム室側管路33およびロッド室側管路34の両方との間における圧油の流れを遮断する弁位置である。ブーム用方向制御弁32の第1作動位置(図中の左側の弁位置)はブーム用主供給管路31をロッド室側管路34に連通させつつボトム室側管路33を後述の回生用回路80の圧力変換器82の入口に連通させる弁位置である。ブーム用方向制御弁32の第2作動位置(図中の右側の弁位置)はブーム用主供給管路31をボトム室側管路33に連通させつつロッド室側管路34を圧力変換器82の入口に連通させる弁位置である。ブーム用方向制御弁32は、ブーム用操作レバー装置35により生成されたパイロット圧によって操作されるようになっている。
アーム用主供給回路40は、主油圧ポンプ21の吐出ポートから延びた吐出管路70と、この吐出管路70からアームシリンダ12側に延びたアーム用主供給管路41と、このアーム用主供給管路41のアームシリンダ12側の端部に設けられたアーム用方向制御弁42と、このアーム用方向制御弁42からアームシリンダ12のボトム室12aに延びたボトム側管路43と、アーム用方向制御弁42からアームシリンダ12のロッド室12bに延びたロッド室側管路44とを備えている。アーム用方向制御弁42は、油圧パイロット式の3位置弁であり、スプリングセンタ式の弁である。このアーム用方向制御弁42の初期位置は中立位置(図中の中央の弁位置)であり、アーム用主供給管路41とボトム室側管路43およびロッド室側管路44の両方との間における圧油の流れを遮断する弁位置である。アーム用方向制御弁42の第1作動位置(図中の左側の弁位置)はアーム用主供給管路41をロッド室側管路44に連通させつつボトム室側管路43を作動油タンク71に連通させる弁位置である。アーム用方向制御弁42の第2作動位置(図中の右側の弁位置)はアーム用主供給管路41をボトム室側管路43に連通させつつロッド室側管路44を作動油タンク71に連通させる弁位置である。アーム用方向制御弁42は、アーム用操作レバー装置45により生成されたパイロット圧によって操作されるようになっている。
バケット用主供給回路50は、主油圧ポンプ21の吐出ポートから延びた吐出管路70と、この吐出管路70からバケットシリンダ13側に延びたバケット用主供給管路51と、このバケット用主供給管路51のバケットシリンダ13側の端部に設けられたバケット用方向制御弁52と、このバケット用方向制御弁52からバケットシリンダ13のボトム室13aに延びたボトム側管路53と、バケット用方向制御弁52からバケットシリンダ13のロッド室13bに延びたロッド室側管路54とを備えている。バケット用方向制御弁52は、油圧パイロット式の3位置弁であり、スプリングセンタ式の弁である。このバケット用方向制御弁52の初期位置は中立位置(図中の中央の弁位置)であり、バケット用主供給管路51とボトム室側管路53およびロッド室側管路54の両方との間における圧油の流れを遮断する弁位置である。バケット用方向制御弁52の第1作動位置(図中の左側の弁位置)はバケット用主供給管路51をロッド室側管路54に連通させつつボトム室側管路53を作動油タンク71に連通させる弁位置である。バケット用方向制御弁52の第2作動位置(図中の右側の弁位置)はバケット用主供給管路51をボトム室側管路53に連通させつつロッド室側管路54を作動油タンク71に連通させる弁位置である。バケット用方向制御弁52は、バケット用操作レバー装置55により生成されたパイロット圧によって操作されるようになっている。このバケット用操作レバー装置55はブーム用操作レバー装置35と操作レバー35aを共有するものである。
旋回用主供給回路60は、バケット用主供給管路51から分岐して旋回モータ14側に延びた旋回用主供給管路61と、この旋回用主供給管路61の旋回モータ14側の端部に設けられた旋回用方向制御弁62と、この旋回用方向制御弁62から旋回モータ14の第1入出ポート14aに延びた第1入出ポート側管路63と、旋回用方向制御弁62から旋回モータ14の第2入出ポート14bに延びた第2入出ポート側管路64とを備えている。旋回用方向制御弁62は、油圧パイロット式の3位置弁であり、スプリングセンタ式の弁である。この旋回用方向制御弁62の初期位置は中立位置(図中の中央の弁位置)であり、旋回用主供給管路61と第1入出ポート側管路63および第2入出ポート側管路64の両方との間における圧油の流れを遮断する弁位置である。旋回用方向制御弁62の第1作動位置(図中の左側の弁位置)は旋回用主供給管路61を第2入出ポート側管路64に連通させつつ第1入出ポート側管路63を作動油タンク71に連通させる弁位置である。旋回用方向制御弁62の第2作動位置(図中の右側の弁位置)は旋回用主供給管路61を第1入出ポート側管路63に連通させつつ第2入出ポート側管路64を作動油タンク71に連通させる弁位置である。旋回用方向制御弁62は、旋回用操作レバー装置65により生成されたパイロット圧によって操作されるようになっている。この旋回用操作レバー装置65はアーム用操作レバー装置45と操作レバー45aを共有するものである。
ブーム用主供給回路30は、フロント作業装置7に作用する重力により駆動されるブームシリンダ11に主油圧ポンプ21の圧油を供給するものである。このブーム用主供給回路30とこれ以外の主供給回路40,50,60の構成を比較して分かるように、フロント作業装置7に作用する重力によりブームシリンダ11から吐出される戻り圧油は、回生用回路80の戻り管路81を通じて圧力変換器82の入口に導かれるようになっている。ブーム用主供給回路30以外の主供給回路40,50,60において戻り圧油は作動油タンク71に導かれるようになっている。
ブーム用主供給管路31、アーム用主供給管路41、バケット用主供給管路51のそれぞれはチェック弁72〜74のそれぞれを備えている。これにより、それらの主供給管路31,41,51のそれぞれにおいて主油圧ポンプ21に向かう圧油の流れが阻止されている。
油圧駆動装置20は前出の回生用回路80を備えている。この回生用回路80は、ブームシリンダ11が収縮した際、すなわちフロント作業装置7のブーム下げが行われた際、ブームシリンダ11(特定の油圧アクチュエータ)のボトム室11aから吐出される戻り圧油の流体エネルギを、旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)の駆動に利用するものである。この回生用回路80の構成の詳細について次に説明する。
回生用回路80は、ブーム用方向制御弁32の出口から延びた前出の戻り管路81と、ブームシリンダ11から戻り管路81を通じて供給された戻り圧油により駆動されて圧油を生成する前出の圧力変換器82と、この圧力変換器82により生成された圧油を蓄えるアキュムレータ91と、このアキュムレータ91から旋回用主供給管路61に圧油を導く副供給管路92と、この副供給管路92を開閉する開閉弁93とを備えている。
圧力変換器82は、ブーム用方向制御弁32からブームシリンダ11の戻り圧油を供給される回生用油圧モータ83と、この回生用油圧モータ83の出力を伝達されて駆動される回生用油圧ポンプ84とを備えている。回生用油圧モータ83は定容量形のポンプであり、回生用油圧ポンプ84は可変容量形油圧ポンプである。この回生用油圧ポンプ84の容量は、電気で制御可能なコントロールピストン84aにより調節されるようになっている。回生用油圧ポンプ84の最大容量は回生用油圧モータ83の容量と略同じに設定されている。この最大容量の設定は、ブームシリンダ11からの戻り圧油と、略同じ圧力および略同じ流量の圧油を生成することを目的としている。回生用油圧ポンプ84の最小容量は、フロント作業装置7の重力のみでブームシリンダ11が収縮した際にブームシリンダ11から吐出される戻り圧油から、旋回モータ14の駆動に必要な圧力、例えば旋回モータ14の始動に必要な圧力の圧油を生成することが可能な大きさに設定されている。
開閉弁93は、開閉操作弁94により操作されるようになっている。この開閉操作弁94は電磁パイロット式でスプリングリターン式の2位置弁である。開閉操作弁94の弁位置が初期位置(下側の弁位置)のときに、副供給管路92の圧力が開閉弁93にパイロット圧として供給されて開閉弁93は副供給管路92を閉じるようになっている。開閉操作弁94の弁位置が作動位置(図中の上側の弁位置)のときに、開閉弁93に与えられていたパイロット圧が作動油タンク71に戻されて、開閉弁93は副供給管路92を開くようになっている。なお、開閉弁93の弁体はポペットであり、これによって、アキュムレータ91に蓄えられている圧油の漏出を防止する十分な密閉性が確保されている。
アキュムレータ91は、回生用油圧ポンプ84の吐出油を蓄圧管路97を通じて導入するようになっている。この蓄圧管路97には、回生用油圧ポンプ84に向かう圧油の流れを阻止するチェック弁99と、このチェック弁99よりも回生用油圧ポンプ84側で圧油を排出可能なリリーフ弁100とが設けられている。リリーフ弁100は、アキュムレータ91に蓄えられる圧油の圧力の上限を規定している。また、副供給管路92には、チェック弁101が設けられている。このチェック弁101は、旋回用主供給管路60から副供給管路92に向かう圧油の流れを阻止している。
油圧駆動装置20はさらに、旋回用主供給管路61にパイロットチェック弁200を備えている。このパイロットチェック弁200は、副供給管路92内の圧力、すなわち開閉弁93が開いたときのアキュムレータ91の吐出圧をパイロット圧として作動するものであり、作動時には、主油圧ポンプ21の吐出油が旋回用主供給管路61を通じて旋回モータ14に導かれるのを阻止する。このパイロットチェック弁200の最低作動圧力は、基準駆動圧力Paclに設定されている。パイロットチェック弁200にパイロット圧を導くパイロット管路200aは、チェック弁101よりもアキュムレータ91側の副供給管路92の位置からパイロットチェック弁200に延びている。
開閉弁93とパイロットチェック弁200は、旋回モータ14の油圧源を、主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換える切換手段を構成している。また、開閉弁93は副供給管路92を開くことによってアキュムレータ91から旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを許可する許可手段であり、パイロットチェック弁200は旋回用主供給管路60において主油圧ポンプ21から旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する阻止手段である。
油圧駆動装置20はさらに、ブーム下げパイロット圧センサ102を備えている。このブーム下げパイロット圧センサ102は、ブーム用操作レバー装置35により生成されるブームパイロット圧のうちブーム下げの動作指令に予め対応付けられたブーム下げパイロット圧Pi_boを検出し、そのブーム下げパイロット圧Pi_boに相応する電気信号であるブーム下げ指令検出信号を出力するものである。
油圧駆動装置20はさらに、高圧優先形シャトル弁103と、旋回パイロット圧センサ104とを備えている。高圧優先形シャトル弁103の2つの入口の一方は、旋回用操作レバー装置65により生成された左旋回の動作指令に相当する旋回パイロット圧を旋回用方向制御弁62に導くパイロット管路に連通しており、他方は旋回用操作レバー装置65により生成された右旋回の動作指令に相当する旋回パイロット圧を旋回用方向制御弁62に導くパイロット管路に連通している。それらのパイロット管路内の圧力のうち高い方が高圧優先形シャトル弁103の出口に導かれるようになっている。その出口に導かれる旋回パイロット圧Pi_swを旋回パイロット圧センサ104は検出し、その旋回パイロット圧Pi_swに相応する電気信号である旋回指令検出信号を出力するようになっている。
油圧駆動装置20はさらに、戻り管路81に設けられてブームシリンダ11からの戻り圧油の圧力P1(以下「戻り圧力P1」という)を検出し、その戻り圧力P1に相応する電気信号である戻り圧力検出信号を出力する戻り圧力センサ105と、蓄圧管路97に設けられて回生用油圧ポンプ84により生成された圧油の圧力P2(以下「生成圧力P2」という)を検出し、その生成圧力P2に相応する電気信号である生成圧力検出信号を出力する生成圧力センサ106と、アキュムレータ91に蓄えられた圧油の圧力P3(以下「蓄積圧力P3」という)を検出し、その蓄積圧力P3に相応する電気信号である蓄積圧力検出信号を出力する蓄積圧力センサ107とを備えている。
油圧駆動装置20はさらに、コントローラ110を備えている。このコントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)と、制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、CPUにより行われる情報処理作業の記憶領域としてのRAM(Random Access Memory)等を備えたものであり、CPUでROMに格納された制御プログラムを実行することにより油圧駆動装置20の動作に係る様々な処理を行うマイクロコントローラである。このコントローラ110には、前出のブーム下げ指令検出信号、前出の旋回指令検出信号、前出の戻り圧力検出信号、前出の生成圧力検出信号、前出の蓄積圧力検出信号が入力されるようになっている。
コントローラ110は、ブーム下げパイロット圧判定手段111、傾転制御手段112、旋回パイロット圧判定手段113、蓄積圧力判定手段114、開閉制御手段115を備えている。これらの手段111〜115は制御プログラムにより設定された手段である。
ブーム下げパイロット圧判定手段111は、ブーム下げ指令検出信号により示されたブーム下げパイロット圧Pi_boの検出値がブーム用方向制御弁32を作動させる最低パイロット圧Pi_low以上の状態であるかどうかを判定するものである。
傾転制御手段112は、ブーム下げパイロット圧Pi_boの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であるとブーム下げパイロット圧判定手段111により判定された場合に、戻り圧力検出信号により示される戻り圧力P1の検出値に基づき、生成圧力検出信号により示される生成圧力P2の検出値が基準駆動圧力Paclとなるよう回生用油圧ポンプ84の傾転角を制御するものである。基準駆動圧力Paclは、旋回モータ14の駆動に必要な圧力として予め設定されたものであり、第1実施形態においては旋回モータ14の始動に必要な圧力に設定されている。基準駆動圧力Paclはコントローラ110のROMに予め記憶されている。傾転制御手段112は、生成圧力P2の検出値が基準駆動圧力Paclよりも低い場合に、回生用油圧ポンプ84の吐出流量が減少するよう回生用油圧ポンプ84のコントロールピストン84aを制御するようになっており、逆に、生成圧力P2の検出値が基準駆動圧力Paclよりも高い場合に、回生用油圧ポンプ84の吐出流量が増加するようコントロールピストン84aを制御するようになっている。
蓄積圧力判定手段114は、蓄積圧力検出信号により示された蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Pacl以上の状態であるかどうかを判定するものである。
旋回パイロット圧判定手段113は、旋回指令検出信号により示された旋回パイロット圧Pi_swの検出値が旋回用方向制御弁62を作動させる最低パイロット圧Pi_low(ブーム用方向制御弁32の最低パイロット圧と同じ圧力値)以上の状態であるかどうかを判定するものである。この旋回パイロット圧判定手段113と、前出の高圧優先形シャトル弁103と、前出の旋回パイロット圧センサ104は、旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)を動作させるための指令を、左旋回の指令か右旋回の指令かに関係なく検出する指令検出手段を構成している。
開閉制御手段115は、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Pacl以上の状態であると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件と、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であると旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件との2つの条件が満たされた場合に、開閉操作弁94に電力を供給してこの開閉操作弁94の弁位置を作動位置(図中の上側の弁位置)に制御し、これによって開閉弁93を開けるものである。
この開閉制御手段115はさらに、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Pacl以上の状態でないと蓄積圧力判定手段114により判定された場合には、開閉操作弁94への電力供給は行わずにこの開閉操作弁94の弁位置を初期位置(下側の弁位置)に制御し、これによって開閉弁93を閉じるものである。
開閉制御手段115と開閉操作弁94は、切換手段の開閉弁93を制御する制御手段を構成しており、ブームシリンダ11、アームシリンダ12、バケットシリンダ13、旋回モータ14という複数の油圧アクチュエータのうち旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)の駆動に必要な圧力値として予め設定された基準駆動圧力Paclに蓄積圧力センサ107(蓄積圧力検出手段)により検出された蓄積圧力P3が達していることと、旋回パイロット圧センサ104と旋回パイロット圧判定手段113により、すなわち指令検出手段により指令が検出されることとの両方を条件として、切換手段の開閉弁93を開ける、すなわち切換手段に旋回モータ14の油圧源を主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換させるようになっている。
第1実施形態に係る油圧駆動装置20の動作のうち、アキュムレータ91に蓄えられた圧油を旋回モータ14の駆動に利用する場合について図3を用いて説明する。
図3に示すように、コントローラ110の蓄積圧力判定手段114は蓄積圧力センサ107からの蓄積圧力検出信号を入力し(ステップS1)、この蓄積圧力検出信号から得られた蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達しているかどうかの判定を行う(ステップS2)。この判定の結果、蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達していた場合(ステップS2でY)、コントローラ110の旋回パイロット圧判定手段113は、旋回パイロット圧センサ104からの旋回指令検出信号を入力し(ステップS3)、この旋回指令検出信号から得られた旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるかどうか、すなわち旋回モータ14の動作が指令されているかどうかの判定を行う(ステップS4)。この判定の結果、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上である場合(ステップS4でY)、コントローラ110の開閉制御手段115は開閉操作弁94に電力を供給して、すなわち開閉操作弁94をオン(ON)して、開閉弁93を開ける(ステップS5)。そしてルーチンはステップS1に戻る。
開閉弁93が開くと、アキュムレータ91から副供給管路92に圧油が吐出される。この圧油は、副供給管路92を通じて旋回用主供給管路60の旋回用方向制御弁62とパイロットチェック弁200の間に導かれ、さらに旋回用方向制御弁62を通じて旋回モータ14に導かれる。これと同時に、副供給管路92内の圧力、すなわちアキュムレータ91の吐出圧がパイロット圧としてパイロット管路200aを通じてパイロットチェック弁200に導かれ、これによってパイロットチェック弁200は作動し、主油圧ポンプ21から旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する状態に保持される。つまり、開閉弁93が開き、パイロットチェック弁200が作動したことによって、旋回モータ14の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられたのである。
なお、ステップS2において、蓄積圧力判定手段114により蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達していないと判定された場合、すなわち、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが旋回モータ14の駆動に不十分であると判定された場合(ステップS2でN)、開閉制御手段115は開閉操作弁94をオフ(OFF)の状態に保持し(ステップS6)、これにより開閉弁93は閉じた状態に保持される。また、ステップS4において、旋回パイロット圧判定手段113により旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_lowに達していないと判定された場合、すなわち、旋回モータ14の動作が指令されていなかった場合(ステップS4でN)、開閉制御手段115は開閉操作弁94に電力を供給することなく(ステップS6)、これにより開閉弁93は閉じた状態に保持される。これにより旋回モータ14の油圧源は主油圧ポンプ21に保持される。
つまり、旋回モータ14を駆動する際、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達した状態が継続していれば、「Start→ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→Return」のルーチンが繰り返されることによって旋回モータ14の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられた状態に保持される。そして、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclよりも低下すると、ステップS2→ステップS6の処理が行われることによって旋回モータ14の油圧源がアキュムレータ91から主油圧ポンプ21に戻される。
第1実施形態に係る油圧駆動装置20によれば次の効果を得られる。
第1実施形態に係る油圧駆動装置20は、蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達していることを条件として、旋回モータ14の油圧源を主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換える。これにより、主油圧ポンプ21の吐出油の替わりにアキュムレータ91の吐出油によって旋回モータ14を駆動することができる。このように主油圧ポンプ21の吐出油にアキュムレータ91の吐出油を合流させずにアキュムレータ91の吐出油を旋回モータ14の駆動に使用するので、すなわち、主油圧ポンプ21には旋回モータ14を駆動するための負荷を掛けずにアキュムレータ91の吐出油のみで旋回モータ14を駆動するので、アキュムレータ91の吐出油を省エネの観点から効果的に使用することができる。
第1実施形態に係る油圧駆動装置20は、アキュムレータ91から旋回モータ14に向かう圧油の流れを開閉弁93によって許可しつつ、主油圧ポンプ21から旋回モータ14に向かう圧油の流れをパイロットチェック弁200によって阻止する。この結果、旋回モータ14の油圧源を主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に確実に切り換えることができる。
第1実施形態に係る油圧駆動装置20において、パイロットチェック弁200がアキュムレータ91の吐出圧をパイロット圧として作動するので、アキュムレータ91の吐出油が旋回モータ14に導かれるタイミングで、主油圧ポンプ21から旋回モータ14に圧油が導かれることを阻止することができる。
第1実施形態係る油圧駆動装置20は、蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達しているという条件に加えて、旋回パイロット圧Pi_swが最低パイロット圧Pi_low以上であることも、すなわち旋回モータ14の動作が指令されたことも条件として、開閉弁93を開ける。これにより、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが旋回モータ14を駆動できる程度の高さであって旋回モータ14が動作するときに限定して、旋回モータ14の油圧源を主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えることができる。
第1実施形態に係る油圧駆動装置20において、回生用油圧モータ83を駆動する戻り圧油はブームシリンダ11が収縮時に排出するものであり、この戻り油の流体エネルギの一部または全部は、ブーム8を含むフロント作業装置7の位置エネルギがブームシリンダ11により変換されたものである。つまり、第1実施形態に係る油圧駆動装置20によれば、フロント作業装置7の位置エネルギを旋回モータ14の駆動に利用でき、主油圧ポンプ21に掛かる負荷をその位置エネルギ相当だけ軽減することができる。この結果、主油圧ポンプ21を駆動するディーゼルエンジン22に掛かる負荷も軽減でき、省エネに貢献できる。
なお、前述の第1実施形態に係る油圧駆動装置20において、旋回用主供給管路60において主油圧ポンプ21から旋回モータ14に向かう方向の圧油の流れを阻止する阻止手段は、パイロットチェック弁200であったが、本発明における阻止手段は、パイロットチェック弁に限定されるものではなく、図3に示す切換弁201であってもよい。この切換弁201は、油圧パイロット式の2位置弁であり、スプリングリターン式の弁である。この切換弁201のパイロット圧は第1実施形態におけるパイロットチェック弁200と同じく副供給管路92内の圧力であり、副供給管路92から延びたパイロット管路93aによって切換弁201に与えられる。切換弁201の初期位置(図中の上側の弁位置)は、旋回用主供給管路60において主油圧ポンプ21から旋回モータ14に向かう圧油の流れを許可しつつ、副供給管路92から旋回用主供給管路60に向かう圧油の流れを阻止する弁位置である。切換弁201の作動位置(下側の弁位置)は、旋回用主供給管路60において主油圧ポンプ21から旋回モータ14に向かう圧油の流れを阻止しつつ、副供給管路92から旋回モータ14に向かう圧油の流れを許可する弁位置である。
また、切換弁201は油圧パイロット式ではなく、電磁パイロット式でもよい。この場合、コントローラ110には、開閉操作弁94に電力を供給するときに、すなわち開閉弁93を開くときに、切換弁201に電力を供給して作動位置に切り換える切換弁制御手段(開閉制御手段115と同様のもの)が付加されることになる。
第1実施形態に係る油圧駆動装置20において、所定の油圧アクチュエータは旋回モータ14であったが、本発明における所定の油圧アクチュエータは旋回モータに限定されるものではなく、旋回モータ14以外の油圧アクチュエータ、すなわち油圧ショベル1においてはブームシリンダ11、アームシリンダ12、バケットシリンダ13のいずれであってもよい。なお、ブームシリンダ11は回生用油圧モータ83を駆動する戻り圧油を吐出する特定の油圧アクチュエータと、アキュムレータ91の吐出油により駆動される所定の油圧アクチュエータとの両方を兼ねていてもよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る油圧駆動装置について図5,図6を用いて説明する。第2実施形態に係る油圧駆動装置の構成要素のうち第1実施形態と同じ構成要素については説明を省略する。
第2実施形態に係る油圧駆動装置300において、アキュムレータ91の蓄積圧力を利用して駆動される所定の油圧アクチュエータは、前出の旋回モータ14とバケットシリンダ13の2つである。バケットシリンダ13は旋回モータ14よりも低い油圧で駆動する油圧アクチュエータである。
第2実施形態に係る油圧駆動装置300においては、第1実施形態における副供給管路92とは異なる副供給管路310を備えている。この副供給管路310は、アキュムレータ91から延びて途中に開閉弁93が設けられた幹管路311と、この幹管路311側から旋回用主供給回路60の旋回用主供給管路61に圧油を導く第1枝管路312と、幹管路311側からバケット用主供給管路51に圧油を導く第2枝管路313と、幹管路311、第1枝管路312および第2枝管路313の3者の間に介在して設けられた供給先切換弁314とを備えている。
供給先切換弁314は、アキュムレータ91の吐出油を旋回モータ14とバケットシリンダ13のうち旋回モータ14のみに導く状態と、アキュムレータ91の吐出油を旋回モータ14とバケットシリンダ13のうちバケットシリンダ13のみに導く状態とに切換可能な弁である。具体的には、供給先切換弁314はスプリングリターン式で電磁パイロット式の2位置弁であり、供給先切換弁314の初期位置(図中の右側の弁位置)は、幹管路311を第1枝管路312と第2枝管路313のうち第1枝管路312のみに連通させる弁位置であり、供給先切換弁314の作動位置(図中の左側の弁位置)は、幹管路311を第1枝管路312と第2枝管路313のうち第2枝管路313のみに連通させる弁位置である。
また、第1枝管路312および第2枝管路313のそれぞれには、チェック弁315,316のそれぞれが設けられている。チェック弁315は、旋回用主供給管路60から第1枝管路312に向かう圧油の流れを阻止しており、チェック弁316はバケット用主供給管路51から第2枝管路313に向かう圧油の流れを阻止している。
油圧駆動装置300はさらに、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacを利用して駆動される所定の油圧アクチュエータにバケットシリンダ13が含まれていることに関連して、高圧優先形シャトル弁320と、バケットパイロット圧センサ321とを備えている。高圧優先形シャトル弁320の2つの入口の一方は、バケット用操作レバー装置55により生成されたバケッドクラウドの動作指令に相当するバケットパイロット圧をバケット用方向制御弁52に導くパイロット管路に連通しており、他方はバケット用操作レバー装置55により生成されたバケットダンプの動作指令に相当するバケットパイロット圧をバケット用方向制御弁52に導くパイロット管路に連通している。それらのパイロット管路内の圧力のうち高い方が高圧優先形シャトル弁320の出口に導かれるようになっている。その出口に導かれるバケットパイロット圧Pi_bkをバケットパイロット圧センサ321は検出し、そのバケットパイロット圧Pi_bkに相応する電気信号であるバケット動作指令検出信号を出力するようになっている。
第2実施形態に係る油圧駆動装置300は、第1実施形態におけるコントローラ110とは異なるコントローラ330を備えている。このコントローラ330は、制御プログラムにより設定された手段であるバケットパイロット圧判定手段331を備えている。このバケットパイロット圧判定手段331は、バケット動作指令検出信号により示されたバケットパイロット圧Pi_bkの検出値がバケット用方向制御弁52を作動させる最低パイロット圧Pi_low(ブーム用方向制御弁32の最低パイロット圧と同じ圧力値)以上の状態であるかどうかを判定するものである。このバケットパイロット圧判定手段331、前出の高圧優先形シャトル弁320およびバケットパイロット圧センサ321は、バケット10の動作指令を、バケットクラウドの指令かバケットダンプの指令かに関係なく検出する指令検出手段を構成している。
コントローラ330は、第1実施形態と異なる開閉制御手段333を備えている。この開閉制御手段333は、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Paclに達した状態であると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件と、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であると旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件との2つの条件が満たされた場合に、開閉操作弁94に電力を供給してこの開閉操作弁94の弁位置を作動位置(図中の上側の弁位置)に制御し、これによって開閉弁93を開けるものである。この機能は第1実施形態と同じである。
この機能に加えて、開閉制御手段333は、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Paclに達した状態であると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件と、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態ではないと旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件と、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であるとバケットパイロット圧判定手段331により判定されたという条件との3つの条件が満たされた場合に、開閉操作弁94に電力を供給してこの開閉操作弁94の弁位置を作動位置(図中の上側の弁位置)に制御し、これによって開閉弁93を開けるものである。
コントローラ330は、供給先切換弁314が設けられていることに関連して、制御プログラムにより設定された手段である供給先切換制御手段334を備えている。この供給先切換制御手段334は、蓄積圧力判定手段114と旋回パイロット圧判定手段113との判定結果、または、蓄積圧力判定手段114とバケットパイロット圧判定手段331との判定結果に基づき、供給先切換弁314を制御するものである。具体的には、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Paclに達した状態であると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件と、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であると旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件との2つの条件が満たされた場合に、供給先切換制御手段334は供給先切換弁314に電力を供給せず、供給先切換弁314の弁位置を初期位置(図中の右側の弁位置)に保持し、これによって幹管路311を、供給先切換弁314と第1枝管路312とを通じて旋回用主供給管路60に連通させるようになっている。
供給先切換制御手段334はさらに、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Paclに達した状態であると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件と、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態ではないと旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件と、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であるとバケットパイロット圧判定手段331により判定されたという条件との3つの条件が満たされた場合に、供給先切換弁314に電力を供給して、供給先切換弁314の弁位置を作動位置(図中の左側の弁位置)に制御し、これによって幹管路311を、供給先切換弁314と第2枝管路313とを通じてバケット用主供給管路51に連通させるようになっている。
油圧駆動装置300はさらに、旋回用主供給管路61に設けられた第1パイロットチェック弁340と、バケット用主供給管路51に設けられた第2パイロットチェック弁341とを備えている。第1パイロットチェック弁340は、開閉弁93が開き、かつ、供給先切換弁314の弁位置が初期位置である状態における第1枝管路312内の圧力、すなわちアキュムレータ91の吐出圧をパイロット圧として作動するものであり、その作動時には、主油圧ポンプ21の吐出油が旋回用主供給管路60を通じて旋回モータ14に導かれるのを阻止する。この第1パイロットチェック弁340の最低作動圧力は、基準駆動圧力Paclに設定されている。また、第2パイロットチェック弁341は、開閉弁93が開き、供給先切換弁314の弁位置が作動位置である状態における第2枝管路313内の圧力、すなわちアキュムレータ91の吐出圧をパイロット圧として作動するものであり、その作動時には、主油圧ポンプ21の吐出油がバケット用主供給管路51を通じてバケットシリンダ13に導かれるのを阻止する。この第2パイロットチェック弁341の最低作動圧力も、基準駆動圧力Paclに設定されている。
第2実施形態に係る油圧駆動装置300においては、開閉弁93、供給先切換弁314および第1パイロットチェック弁340は、旋回モータ14の油圧源を、主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換える切換手段を構成している。また、開閉弁93および供給先切換弁314は、副供給管路310の幹管路311を開き、この幹管路311を第1枝管路312に連通させることによってアキュムレータ91から旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを許可する許可手段であり、第1パイロットチェック弁340は旋回用主供給管路60において主油圧ポンプ21から旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する阻止手段である。
また、開閉弁93、供給先切換弁314および第2パイロットチェック弁341は、バケットシリンダ13の油圧源を、主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換える切換手段を構成している。また、開閉弁93および供給先切換弁314は、副供給管路310の幹管路311を開き、この幹管路311を第2枝管路313に連通させることによってアキュムレータ91からバケットシリンダ13(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを許可する許可手段であり、第1パイロットチェック弁340はバケット用主供給管路51において主油圧ポンプ21からバケットシリンダ13(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する阻止手段である。
次に第2実施形態に係る油圧駆動装置300の動作のうち、アキュムレータ91に蓄えられた圧油を旋回モータ14の駆動に利用する場合、および、バケットシリンダ13の駆動に利用する場合について図6を用いて説明する。
図6に示すように、コントローラ330の蓄積圧力判定手段114は蓄積圧力センサ107からの蓄積圧力検出信号を入力し(ステップS11)、この蓄積圧力検出信号から得られた蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達しているかどうかの判定を行う(ステップS12)。この判定の結果、蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達していた場合(ステップS12でY)、コントローラ330の旋回パイロット圧判定手段113は、旋回パイロット圧センサ104からの旋回指令検出信号を入力し(ステップS13)、この旋回指令検出信号から得られた旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるかどうか、すなわち旋回モータ14の動作が指令されているかどうかの判定を行う(ステップS14)。この判定の結果、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上である場合(ステップS14でY)、コントローラ330の供給先切換制御手段334は、供給先切換弁314への電力供給を行わない状態(供給先切換弁314のオフの状態)を保持して、すなわち供給先切換弁314の弁位置を初期位置に保持して、副供給管路310において幹管路311を供給先切換弁314を通じて第1枝管路312に連通した状態に保持する(ステップS15)。次に、コントローラ330の開閉制御手段333は開閉操作弁94に電力を供給して、すなわち開閉操作弁94をオンして開閉弁93を開ける(ステップS16)。そしてルーチンはステップS11に戻る。
供給先切換弁314の弁位置が初期位置に保持された状態において開閉弁93が開くと、アキュムレータ91から副供給管路310の幹管路311に圧油が吐出される。この圧油は、幹管路311、供給先切換弁314、第1枝管路312を通じて旋回用主供給管路60の旋回用方向制御弁62と第1パイロットチェック弁340の間に導かれ、さらに旋回用方向制御弁62を通じて旋回モータ14に導かれる。これと同時に、第1枝管路312内の圧力、すなわちアキュムレータ91の吐出圧がパイロット圧としてパイロット管路340aを通じて第1パイロットチェック弁340に導かれ、これによって第1パイロットチェック弁340は作動し、主油圧ポンプ21から旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する状態に保持される。つまり、供給先切換弁314の弁位置が初期位置に保持された状態において開閉弁93が開き、第1パイロットチェック弁340が作動したことによって、旋回モータ14の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられたのである。
また、ステップS14における判定の結果が、旋回パイロット圧Pi_swの検出値は最低パイロット圧Pi_low以上ではない、という結果であった場合(ステップS14でN)、コントローラ330のバケットパイロット圧判定手段331は、バケットパイロット圧センサ321からのバケット動作指令検出信号を入力し、このバケット動作指令検出信号からバケットパイロット圧Pi_bkの検出値を得て(ステップS17)、このバケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるかどうか、すなわちバケットシリンダ13の動作が指令されているかどうかの判定を行う(ステップS18)。この判定の結果、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上である場合(ステップS18でY)、コントローラ330の供給先切換制御手段334は、供給先切換弁314に電力を供給する、すなわち供給先切換弁314をオンする(ステップS19)。これによって、供給先切換弁314の弁位置は作動位置に切り換わり、副供給管路310において幹管路311は供給先切換弁314を通じて第2枝管路313に連通した状態となる(ステップS19)。次に、コントローラ330の開閉制御手段333は開閉操作弁94に電力を供給して、すなわち開閉操作弁94をオンして、開閉弁93を開ける(ステップS16)。そしてルーチンはステップS11に戻る。
なお、ステップS12において、蓄積圧力判定手段114により蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達していないと判定された場合、すなわち、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが旋回モータ14の駆動に不十分であると判定された場合(ステップS12でN)、供給先切換制御手段334は供給先切換弁314をオフの状態に保持し(ステップS20)、開閉制御手段333は開閉操作弁94をオフの状態に保持する(ステップS21)。これにより、副供給管路310の幹管路311は供給先切換弁314を通じて第1枝管路312に連通した状態ではあるが、開閉弁93は閉じた状態であるためにアキュムレータ91から圧油は吐出されず、したがって、旋回モータ14およびバケットシリンダ13の油圧源は主油圧ポンプ21に保持される。
つまり、油圧駆動装置300が旋回モータ14を駆動する際、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達した状態においては「Start→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS16→Return」のルーチンが繰り返されることによって、旋回モータ14の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられた状態に保持される。そして、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclよりも低下すると、ステップS21の処理が行われることによって旋回モータ14の油圧源がアキュムレータ91から主油圧ポンプ21に戻される。
また、油圧駆動装置300が旋回モータ14を駆動しないでバケット10を駆動する際、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達した状態においては「Start→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS17→ステップS18→ステップS19→ステップS16→Return」のルーチンが繰り返されることによって、バケットシリンダ13の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられた状態に保持される。そして、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclよりも低下すると、ステップS21の処理が行われることによってバケットシリンダ13の油圧源がアキュムレータ91から主油圧ポンプ21に戻される。
第2実施形態に係る油圧駆動装置300によれば、第1実施形態と同様の効果を得られるとともに、次の効果を得られる。
第2実施形態に係る油圧駆動装置300は、旋回モータ14の駆動時に加えてバケットシリンダ13の駆動時にも蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達していることを条件として、バケットシリンダ13の油圧源を主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換える。これにより、主油圧ポンプ21の吐出油の替わりにアキュムレータ91の吐出油によりバケットシリンダ13を駆動することができる。このように主油圧ポンプ21の吐出油にアキュムレータ91の吐出油を合流させずにアキュムレータ91の吐出油をバケットシリンダ13の駆動に使用するので、すなわち、主油圧ポンプ21にはバケットシリンダ13を駆動するための負荷を掛けずにアキュムレータ91の吐出油のみでバケットシリンダ13を駆動するので、アキュムレータ91の吐出油を省エネの観点から効果的に使用することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る油圧駆動装置について図7〜図9を用いて説明する。第3実施形態に係る油圧駆動装置の構成要素のうち第1,第2実施形態と同じ構成要素については説明を省略する。
第3実施形態に係る油圧駆動装置400において副供給回路410は、第2実施形態における供給先切換弁314とは異なる供給先切換弁414を備えている。この供給先切換弁414は、アキュムレータ91の吐出油を旋回モータ14とバケットシリンダ13との両方に導く状態と、アキュムレータ91の吐出油を旋回モータ14とバケットシリンダ13のうち旋回モータ14のみに導く状態と、アキュムレータ91の吐出油を旋回モータ14とバケットシリンダ13のうちバケットシリンダ13のみに導く状態とに切換可能な弁である。具体的には、供給先切換弁314はスプリングセンタ式で電磁パイロット式の3位置弁であり、供給先切換弁414の初期位置(図中の中央の弁位置)は幹管路311を第1枝管路312および第2枝管路313の両方に連通させる弁位置であり、供給先切換弁414の第1作動位置(図中の右側の弁位置)は幹管路311を第1枝管路312に連通させる弁位置であり、供給先切換弁414の第2作動位置(図中の左側の弁位置)は、幹管路311を第2枝管路313に連通させる弁位置である。供給先切換弁414はソレノイド414a,414bを有し、ソレノイド414aに電力を供給されることによって第1作動位置に切り換わり、ソレノイド414bに電力を供給されることによって第2作動位置に切り換わるようになっている。
第3実施形態に係る油圧駆動装置400はさらに、第2実施形態とは異なるコントローラ430を備えている。このコントローラ430は、供給先切換弁414が設けられていることに関連して、第2実施形態における開閉制御手段333と供給先制御手段334とは異なる開閉制御手段433と供給先切換制御手段434とを備えている。
開閉制御手段433は、蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達していると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件と、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であると旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件との2つの条件が満たされた場合に、開閉操作弁94に電力を供給してこの開閉操作弁94の弁位置を作動位置(図中の上側の弁位置)に制御し、これによって開閉弁93を開けるものである。
この開閉制御手段433はさらに、蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達していると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件と、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上でないという旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件と、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるとバケットパイロット圧判定手段331により判定されたという条件との3つの条件が満たされた場合にも、開閉操作弁94に電力を供給してこの開閉操作弁94の弁位置を作動位置(図中の上側の弁位置)に制御し、これによって開閉弁93を開けるものである。
この開閉制御手段433はさらに、蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達していると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件と、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上である旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件と、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるとバケットパイロット圧判定手段331により判定されたという条件との3つの条件が満たされた場合にも、開閉操作弁94に電力を供給してこの開閉操作弁94の弁位置を作動位置(図中の上側の弁位置)に制御し、これによって開閉弁93を開けるものである。
この開閉制御手段433はさらに、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Pacl以上の状態でないと蓄積圧力判定手段114により判定された場合には、開閉操作弁94への電力供給は行わずにこの開閉操作弁94の弁位置を初期位置(下側の弁位置)に制御し、これによって開閉弁93を閉じるものである。
開閉制御手段433と開閉操作弁94は、切換手段の開閉弁93を制御する制御手段を構成しており、ブームシリンダ11、アームシリンダ12、バケットシリンダ13、旋回モータ14という複数の油圧アクチュエータのうち旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)の駆動に必要な圧力値として予め設定された基準駆動圧力Paclに蓄積圧力センサ107(蓄積圧力検出手段)により検出された蓄積圧力P3が達していることに加えて、旋回パイロット圧センサ104と旋回パイロット圧判定手段113(指令検出手段)、および、バケットパイロット圧センサ321とバケットパイロット圧判定手段331(指令検出手段)の少なくとも一方により指令が検出されることを条件として、切換手段の開閉弁93を開ける、すなわち切換手段に旋回モータ14の油圧源を主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換させるようになっている。
コントローラ430は、供給先切換弁414が設けられていることに関連して、制御プログラムにより設定された手段である供給先切換制御手段434を備えている。この供給先切換制御手段434は、蓄積圧力判定手段114、旋回パイロット圧判定手段113およびバケットパイロット圧判定手段331の判定結果の組合せに基づき、供給先切換弁414を制御するものである。具体的には、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であると旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件と、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であるとバケットパイロット圧判定手段331により判定されたという条件と、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Paclに達した状態であると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件との3つの条件が満たされた場合に、供給先切換制御手段434は供給先切換弁414に電力を供給せず、供給先切換弁414の弁位置を初期位置(図中の中央の弁位置)に保持し、これによって幹管路311を、供給先切換弁414を通じて第1枝管路312と第2枝管路313の両方に、すなわち旋回用主供給管路60とバケット用主供給管路51の両方に連通させるようになっている。
旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態ではないと旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件と、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態ではないとバケットパイロット圧判定手段331により判定されたという条件との2つの条件が満たされた場合にも、供給先切換制御手段434は供給先切換弁414に電力を供給せず、供給先切換弁414の弁位置を初期位置(図中の中央の弁位置)に保持するようになっている。
供給先切換制御手段434はさらに、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であると旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという1つの条件が満たされた場合に、供給先切換弁414のソレノイド414aに電力を供給して、供給先切換弁414の弁位置を第1作動位置(図中の右側の弁位置)に制御し、これによって幹管路311を、供給先切換弁414と第1枝管路313とを通じて旋回用主供給管路60に連通させるようになっている。
供給先切換制御手段434はさらに、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であると旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという1つの条件と、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であるとバケットパイロット圧判定手段331により判定されたという条件と、蓄積圧力P3の検出値が基準駆動圧力Paclに達した状態であると蓄積圧力判定手段114により判定されたという条件との3つの条件が満たされた場合にも、供給先切換弁414のソレノイド414aに電力を供給して、供給先切換弁414の弁位置を第1作動位置(図中の右側の弁位置)に制御し、これによって幹管路311を、供給先切換弁414と第1枝管路313とを通じて旋回用主供給管路60に連通させるようになっている。
供給先切換制御手段434はさらに、旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態ではないと旋回パイロット圧判定手段113により判定されたという条件と、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上の状態であるとバケットパイロット圧判定手段331により判定されたという条件との2つの条件が満たされた場合に、供給先切換弁414のソレノイド414bに電力を供給して、供給先切換弁414の弁位置を第2作動位置(図中の左側の弁位置)に制御し、これによって幹管路311を、供給先切換弁414と第2枝管路313とを通じてバケット用主供給管路51に連通させるようになっている。
次に第3実施形態に係る油圧駆動装置400の動作のうち、アキュムレータ91に蓄えられた圧油を旋回モータ14の駆動に利用する場合、および、バケットシリンダ13の駆動に利用する場合について図8,図9を用いて説明する。
〔1〕 旋回モータ14とバケットシリンダ13の両方にアキュムレータ91の吐出油を供給する場合の動作について、はじめに説明する。
図8に示すように、コントローラ430の蓄積圧力判定手段114は蓄積圧力センサ107からの蓄積圧力検出信号を入力し(ステップS31)、この蓄積圧力検出信号から得られた蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達しているかどうかの判定を行う(ステップS32)。この判定の結果、蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達していた場合(ステップS32でY)、コントローラ430の旋回パイロット圧判定手段113は、旋回パイロット圧センサ104からの旋回指令検出信号を入力し(ステップS33)、この旋回指令検出信号から得られた旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるかどうか、すなわち旋回モータ14の動作が指令されているかどうかの判定を行う(ステップS34)。今回は旋回モータ14の動作が指令されているので(ステップS34でY)、コントローラ430の開閉制御手段433は、開閉操作弁94に電力を供給して、すなわち開閉弁93をオンして(ステップS37)、開閉弁93を開ける。
コントローラ430は図8に示す処理と並行して、図9に示す処理をも行っている。コントローラ430の旋回パイロット圧判定手段113は、旋回パイロット圧センサ104からの旋回指令検出信号を入力し(ステップS41)、この旋回指令検出信号から得られた旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるかどうか、すなわち旋回モータ14の動作が指令されているかどうかの判定を行う(ステップS41)。今回は旋回モータ14の動作が指令されている(ステップS41でY)。次に、コントローラ430のバケットパイロット圧判定手段331は、バケットパイロット圧センサ321からのバケット指令検出信号を入力し(ステップS43)、このバケット指令検出信号から得られたバケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるかどうか、すなわちバケットシリンダ13の動作が指令されているかどうかの判定を行う(ステップS44)。今回はバケット10の動作が指令されてるので(ステップS44でY)、コントローラ430の蓄積圧力判定手段114は図8のステップS31で得た蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達してるかどうかの判定を行い(ステップS45)、今回は達しているので(ステップS45でY)、コントローラ430の供給先切換制御手段434は、供給先切換弁414に電力を供給しない、すなわち供給先切換弁414をオフの状態にして(ステップS46)、この供給先切換弁414の弁位置を初期位置(図中の中央の弁位置)に保持する。
図8のステップS37は図9のステップS46の後に開始される。これにより供給先切換弁414の弁位置が初期位置に保持された状態において開閉弁93が開き、この結果、アキュムレータ91から副供給管路310の幹管路311に圧油が吐出される。これにより、幹管路311から供給先切換弁414、第1枝管路312を通じて旋回用主供給管路60の旋回用方向制御弁62と第1パイロットチェック弁340の間に圧油が導かれ、この圧油は旋回用方向制御弁62を通じて旋回モータ14に導かれる。これと同様に、幹管路311から供給先切換弁414、第2枝管路313を通じてバケット用主供給管路51のバケット用方向制御弁52と第2パイロットチェック弁341の間に圧油が導かれ、この圧油はバケット用方向制御弁52を通じてバケットシリンダ13に導かれる。
これらと同時に、第1枝管路312内の圧力(アキュムレータ91の吐出圧)はパイロット圧としてパイロット管路340aを通じて第1パイロットチェック弁340に導かれ、これによって第1パイロットチェック弁340は作動し、主油圧ポンプ21から旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する状態に保持される。これと同様に、第2枝管路313内の圧力(アキュムレータ91の吐出圧)はパイロット圧としてパイロット管路341aを通じて第2パイロットチェック弁341に導かれ、これによって第2パイロットチェック弁341は作動し、主油圧ポンプ21からバケットシリンダ13(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する状態に保持される。
つまり、供給先切換弁414の弁位置が初期位置に保持された状態において開閉弁93が開き、第1パイロットチェック弁340および第2パイロットチェック弁341が作動したことによって、旋回モータ14とバケットシリンダ13の両方の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられたのである。
油圧駆動装置400が旋回モータ14とバケットシリンダ13の両方を駆動する際、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達した状態においては、図8の「Start→ステップS31→ステップS32→ステップS33→ステップS34→ステップS37→Return」のルーチンが繰り返され、かつ、図9の「Start→ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS44→ステップS45→ステップS46→Return」が繰り返されることによって、旋回モータ14とバケットシリンダ13の両方の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられた状態に保持される。そして、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclよりも低下すると、コントローラ430の蓄積圧力判定手段114は蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達していないと判定し(図8のステップS32でN)、この判定の結果に基づきコントローラ430の開閉制御手段433は開閉操作弁94に電力を供給しなくなり、開閉弁93が閉じる。これにより、旋回モータ14とバケットシリンダ13の両方の油圧源がアキュムレータ91から主油圧ポンプ21に戻される。
〔2〕 次に、旋回モータ14とバケットシリンダ13のうち旋回モータ14のみにアキュムレータ91の吐出油を供給する場合の動作について、はじめに説明する。
今回の場合、開閉弁93の制御に係る処理は「(1)」で述べたように図8の「Start→ステップS31→ステップS32→ステップS33→ステップS34→ステップS37」のルーチンが行われ、開閉弁93が開かれる。
一方、供給先切換弁414の制御に係る処理については、図9の「Start→ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS44」までの処理が行われるのは、「(1)」と同じであるが、このステップS44において、コントローラ430のバケットパイロット圧判定手段331が、バケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上ではない、すなわちバケットシリンダ13の動作が指令されていないと判定する(ステップS44でN)。この判定の結果に基づきコントローラ430の供給先切換制御手段434は、供給先切換弁414のソレノイド414aに電力を供給し、すなわちソレノイド414a(sol_a)をオンし、供給先切換弁414の弁位置を第1作動位置(図中の右側の弁位置)に切り換える。
図8のステップS37は図9のステップS47の後に開始される。これにより供給先切換弁414の弁位置が第1作動位置に保持された状態において開閉弁93が開き、この結果、アキュムレータ91から副供給管路310の幹管路311に圧油が吐出される。これにより、幹管路311から供給先切換弁414、第1枝管路312を通じて旋回用主供給管路60の旋回用方向制御弁62と第1パイロットチェック弁340の間に圧油が導かれ、この圧油は旋回用方向制御弁62を通じて旋回モータ14に導かれる。このとき、幹管路311と第2枝管路313は供給先切換弁414により遮断されていて、バケットシリンダ13にはアキュムレータ91の吐出圧は導かれない。また、第1枝管路312内の圧力(アキュムレータ91の吐出圧)をパイロット圧として第1パイロットチェック弁340が作動し、主油圧ポンプ21から旋回モータ14(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する状態に保持される。
つまり、供給先切換弁414の弁位置が第1作動位置に保持された状態において開閉弁93が開き、第1パイロットチェック弁340が作動したことによって、旋回モータ14とバケットシリンダ13のうち旋回モータ14の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられたのである。
油圧駆動装置400が旋回モータ14とバケットシリンダ13のうち旋回モータ14のみを駆動する際、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達した状態においては、図8の「Start→ステップS31→ステップS32→ステップS33→ステップS34→ステップS37→Return」のルーチンが繰り返され、かつ、図9の「Start→ステップS41→ステップS42→ステップS43→ステップS44→ステップS47→→Return」が繰り返されることによって、旋回モータ14についてのみ油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられた状態に保持される。そして、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclよりも低下すると、コントローラ430の蓄積圧力判定手段114は蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達していないと判定し(図8のステップS32でN)、この判定の結果に基づきコントローラ430の開閉制御手段433は開閉操作弁94に電力を供給しなくなり(ステップS38)、開閉弁93が閉じる。これにより、旋回モータ14の油圧源がアキュムレータ91から主油圧ポンプ21に戻される。
〔3〕 次に、旋回モータ14のみにアキュムレータ91の吐出油を供給する場合の動作について、はじめに説明する。
今回の場合、開閉弁93の制御に係る処理はステップS34において、コントローラ430の旋回パイロット圧判定手段113は旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上ではないと判定する(ステップS34でN)。次に、コントローラ430のバケットパイロット圧判定手段331は、バケットパイロット圧センサ321からのバケット指令検出信号を入力し(ステップS35)、このバケット指令検出信号から得られたバケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるかどうか、すなわちバケットシリンダ13の動作が指令されているかどうかの判定を行う(ステップS36)。今回はバケットシリンダ13の動作が指令されているので(ステップS36でY)、コントローラ430の開閉制御手段433は、開閉操作弁94に電力を供給して、すなわち開閉弁93をオンして(ステップS37)、開閉弁93を開ける。
一方、供給先切換弁414の制御に係る処理については、図9のステップS42においてコントローラ430の旋回パイロット圧判定手段113は旋回パイロット圧Pi_swの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上ではないと判定する(ステップS42でN)。次に、コントローラ430のバケットパイロット圧判定手段331は、バケットパイロット圧センサ321からのバケット指令検出信号を入力し(ステップS43)、このバケット指令検出信号から得られたバケットパイロット圧Pi_bkの検出値が最低パイロット圧Pi_low以上であるかどうか、すなわちバケットシリンダ13の動作が指令されているかどうかの判定を行う(ステップS49)。今回は、バケットシリンダ13の動作が指令されているので(ステップS49でY)、コントローラ430の供給先切換制御手段434は、供給先切換弁414のソレノイド414bに電力を供給し、すなわちソレノイド414b(sol_b)をオンし、供給先切換弁414の弁位置を第2作動位置(図中の左側の弁位置)に切り換える。
図8のステップS37は図9のステップS50の後に開始される。これにより供給先切換弁414の弁位置が第2作動位置に保持された状態において開閉弁93が開き、この結果、アキュムレータ91から副供給管路310の幹管路311に圧油が吐出される。これにより、幹管路311から供給先切換弁414、第2枝管路313を通じてバケット用主供給管路51のバケット用方向制御弁52と第2パイロットチェック弁341の間に圧油が導かれ、この圧油はバケット用方向制御弁52を通じてバケットシリンダ13に導かれる。このとき、幹管路311と第1枝管路312は供給先切換弁414により遮断されていて、旋回モータ14にはアキュムレータ91の吐出圧は導かれない。また、第2枝管路313内の圧力(アキュムレータ91の吐出圧)をパイロット圧として第2パイロットチェック弁341が作動し、主油圧ポンプ21からバケットシリンダ13(所定の油圧アクチュエータ)に向かう圧油の流れを阻止する状態に保持される。
つまり、供給先切換弁414の弁位置が第2作動位置に保持された状態において開閉弁93が開き、第2パイロットチェック弁341が作動したことによって、旋回モータ14とバケットシリンダ13のうちバケットシリンダ13の油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられたのである。
油圧駆動装置400が旋回モータ14とバケットシリンダ13のうちバケットシリンダ13のみを駆動する際、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達した状態においては、図8の「Start→ステップS31→ステップS32→ステップS33→ステップS34→ステップS35→ステップS36→ステップS37→Return」のルーチンが繰り返され、かつ、図9の「Start→ステップS41→ステップS42→ステップS48→ステップS49→ステップS50→Return」が繰り返されることによって、バケットシリンダ13についてのみ油圧源が主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えられた状態に保持される。そして、アキュムレータ91の蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclよりも低下すると、コントローラ430の蓄積圧力判定手段114は蓄積圧力Pacが基準駆動圧力Paclに達していないと判定し(図8のステップS32でN)、この判定の結果に基づきコントローラ430の開閉制御手段433は開閉操作弁94に電力を供給しなくなり(ステップS38)、開閉弁93が閉じる。これにより、旋回モータ14の油圧源がアキュムレータ91から主油圧ポンプ21に戻される。
第3実施形態に係る油圧駆動装置400によれば、第1,第2実施形態と同様の効果を得られるとともに、次の効果を得られる。
第3実施形態に係る油圧駆動装置400は、旋回モータ14とバケットシリンダ13とを同時期に駆動する際に、蓄積圧力Pacの検出値が基準駆動圧力Paclに達していることを条件として、旋回モータ14とバケットシリンダ13の両方の油圧源を主油圧ポンプ21からアキュムレータ91に切り換えることができる。これにより、主油圧ポンプ21の吐出油の替わりにアキュムレータ91の吐出油により旋回モータ14とバケットシリンダ13の両方を駆動することができる。このように主油圧ポンプ21の吐出油にアキュムレータ91の吐出油を合流させずにアキュムレータ91の吐出油を旋回モータ14とバケットシリンダ13の駆動に使用するので、すなわち、主油圧ポンプ21には旋回モータ14とバケットシリンダ13を駆動するための負荷を掛けずにアキュムレータ91の吐出油のみで旋回モータ14とバケットシリンダ13を駆動するので、アキュムレータ91の吐出油を省エネの観点から効果的に使用することができる。