JP4443483B2 - 油圧駆動装置 - Google Patents

油圧駆動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4443483B2
JP4443483B2 JP2005233333A JP2005233333A JP4443483B2 JP 4443483 B2 JP4443483 B2 JP 4443483B2 JP 2005233333 A JP2005233333 A JP 2005233333A JP 2005233333 A JP2005233333 A JP 2005233333A JP 4443483 B2 JP4443483 B2 JP 4443483B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydraulic
pressure
cylinder
boom
hydraulic cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005233333A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007046742A (ja
Inventor
康雄 岡野
修栄 有賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority to JP2005233333A priority Critical patent/JP4443483B2/ja
Publication of JP2007046742A publication Critical patent/JP2007046742A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4443483B2 publication Critical patent/JP4443483B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Operation Control Of Excavators (AREA)
  • Fluid-Pressure Circuits (AREA)

Description

本発明は、フロント作業機の油圧アクチュエータをなす複数の油圧シリンダと、上部旋回体を旋回させる旋回油圧モータと、これらの油圧アクチュエータへ圧油を供給する共用の油圧ポンプと、これらの油圧アクチュエータをそれぞれ制御する各方向制御弁とを備えた、油圧ショベルのような建設機械等の作業機械に設けられる油圧駆動装置に関する。
自走式の建設機械では、建設作業を行なうためのフロント作業機を車体に設置し、このフロント作業機を操作して種々の作業を行なう。そのため、フロント作業機は、その構成要素をなし互に協働して種々の作業を行なう作業用機具と、これらの作業用機具をそれぞれ駆動するための複数の油圧シリンダとを備えている。自走式の建設機械として油圧ショベルを例にとると、油圧ショベルにおいては、車体を、クローラ等で走行する下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に設置された上部旋回体とを設けて構成し、フロント作業機を、掘削作業等を行うためのブーム、アーム及びバケットのような作業用機具と、これらの作業用機具をそれぞれ駆動するためのブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダのような種々の油圧シリンダとを設けて構成している。そして、こうして構成されたフロント作業機を上部旋回体に設置して掘削作業等の種々の作業を行う。
こうした建設機械では、前記油圧シリンダ等の種々の油圧アクチュエータを駆動、制御するため、種々の油圧アクチュエータへ圧油を供給するための油圧の発生源となる油圧ポンプと、この油圧ポンプから各油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れをそれぞれ制御する各方向制御弁と、油圧アクチュエータから方向制御弁を通じて排出される圧油を貯溜する作動油タンクとを備えた油圧駆動装置を設けている。こうした油圧駆動装置では、油圧シリンダを駆動する場合、油圧ポンプの圧油を、方向制御弁を通じて油圧シリンダのボトム側及びロッド側の一方の側に供給し、他方の側から排出して駆動するが、フロント作業機の複数の油圧シリンダについて複合操作をする場合に、通常の油圧駆動装置では、油圧シリンダの他方の側すなわち圧油排出側から排出される圧油を、その複合操作に有効に活用しないでそのまま作動油タンクに逃がしていた。
例えば、油圧ショベルにおいてブームシリンダ及びアームシリンダのボトム側に圧油を供給してこれらを伸長してブーム上げ及びアームクラウドの複合操作を行うと、ブームシリンダにおける圧油供給側すなわわちボトム側の油圧が高圧となり、これに伴ってブームシリンダにおける圧油排出側すなわちロッド側の油圧も上昇するが、こうしたエネルギーの残存するロッド側の油圧を有効に活用することなく作動油タンクに捨てていた。出願人は、こうした問題に着目して、それまで有効利用されていなかった油圧シリンダの圧油排出側の圧油を油圧シリンダの複合操作時に有効に活用できるようにするため、特許文献1に記載の技術をすでに開発している。
本発明は、この特許文献1に記載の技術に係る油圧駆動装置について、その仕組みを別の目的に二重に活用できるように改良を加えようとするものである。そこで、本発明の改良点の技術内容を容易に理解できるようするため、特許文献1に記載の技術を、従来の技術として位置付けて以下に概説する。その際、特許文献1で使用している用語や符号を括弧内に付記しながら、本発明と関連する部分の技術内容を中心に説明する。
この特許文献1に記載の従来の技術に係る油圧駆動装置は、発明の実施の形態の説明では、フロント作業機の油圧アクチュエータをなし互に複合操作される第1油圧シリンダとしてのブームシリンダ(6)及び第2油圧シリンダとしてのアームシリンダ(7)と、ブームシリンダ(6)及びアームシリンダ(7)へ供給するための油圧の発生源として共用される主油圧ポンプ(21)とを備えている。また、ブームシリンダ(6)やアームシリンダ(7)をこうした共通の主油圧ポンプ(21)の圧油で駆動できるようにするため、その圧油を両油圧アクチュエータへ供給する並列の管路(27,28)を備えている。さらに、主油圧ポンプ(21)からブームシリンダ(6)へ供給される圧油の流れを制御する第1油圧シリンダ用方向制御弁としてのブーム用方向制御弁(23)と、主油圧ポンプ(21)からアームシリンダ(7)へ供給される圧油の流れを制御する第2油圧シリンダ用方向制御弁としてのアーム用方向制御弁(24)と、ブーム用方向制御弁(23)を作動油タンク(タンク(43))へ連結するタンク油路(42)とを備えている。
特許文献1に記載の従来の技術では、こうした油圧駆動装置において、タンク油路(42)とアーム用方向制御弁(24)の上流側とを連通させる連通路(40)と、タンク油路(42)に設けられこのタンク油路(42)を選択的に閉鎖することができる閉鎖手段としての合流切換弁(44)とを設けている。この合流切換弁(44)は、アームシリンダ(7)のボトム側の圧力が所定圧力値以上の高圧となったときに、この圧力により、開位置から閉位置に切り換えられる常開の油圧パイロット式切換弁である。この合流切換弁(44)は、開位置にあるときに、ブーム用方向制御弁(23)を通じてブームシリンダ(6)から排出される油圧を作動油タンクに戻せるようにし、アームシリンダ(7)のボトム側の圧力が所定圧以上の高圧となって閉位置に切り換えられたとき、ブームシリンダ(6)の特にロッド側の油圧が作動油タンクに戻されるのを阻止する働きをする。
この従来の技術に係る油圧駆動装置は、以上のような手段を備えているので、ブームシリンダ(6)及びアームシリンダ(7)を伸長させてブーム上げ及びアームクラウドの複合操作をしているときに、アームシリンダ(7)のボトム側の圧力が所定圧力値以上の高圧になると、合流切換弁(44)でタンク油路(42)を閉鎖することにより、タンク油路(42)に排出されたブームシリンダ(6)のロッド側の圧油を連通路(40)に導いてアーム用方向制御弁(24)の上流側に供給する。このブームシリンダ(6)のロッド側の圧油は、主油圧ポンプ(21)からアームシリンダ(7)に供給される圧油とアーム用方向制御弁(24)の上流側で合流し、合流したこれらの圧油が同方向制御弁(24)を経由してアームシリンダ(7)のボトム側へ供給される。したがって、この油圧駆動装置によれば、ブームシリンダ(6)及びアームシリンダ(7)について複合操作をする場合に、エネルギーの残存するブームシリンダ(6)のロッド側の油圧を有効に活用してアームシリンダ(7)を従前よりも迅速に伸長させることができる。
特開2004ー346485号公報(第5−12頁、図1−2)
ところで、こうした優れた仕組みを有する特許文献1に記載の従来の技術に係る油圧駆動装置が上部旋回体を有する例えば油圧ショベルのような建設機械の油圧駆動装置である場合には、この上部旋回体を旋回させるための旋回油圧モータを設けることが必要になるが、この旋回油圧モータを前記の第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダと共通の主油圧ポンプで駆動するようにした場合には、更に改善すべき新たな問題が生じる。この点について以下に言及する。
前記旋回油圧モータを主油圧ポンプで駆動するようにした場合、第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダと旋回油圧モータには、主油圧ポンプの圧油が並列の油路により供給されることとなる。こうした油圧駆動装置において旋回油圧モータと油圧シリンダとを複合操作した場合、特に、旋回油圧モータの始動時において、カウンタウエイト、フロント作業機、運転室、建屋等、種々の機器、設備を設けた旋回慣性体としての上部旋回体から旋回油圧モータが著大な負荷を受けるため、旋回油圧モータの駆動圧力が油圧シリンダの駆動圧力よりも高くなることがある。このような場合、主油圧ポンプの圧油が油圧シリンダの方に優先して供給され、旋回油圧モータには、圧油が十分に供給されないため、旋回油圧モータを駆動するための油圧を高めることができず、旋回油圧モータを即座に始動させるために必要な十分な旋回加速が得られない。
こうした旋回油圧モータ及び油圧シリンダの複合操作の例を挙げると、油圧ショベルにおいて高頻度で実施される旋回及びブーム上げの複合操作がこれに当たる。この旋回ブーム上げ操作では、バケットに入れた掘削土砂を、上部旋回体を旋回させながらブームを持ち上げることにより、油圧ショベルの後方に位置するトラック等の放土エリアに運んで放出する。こうした油圧ショベルによる積載作業を行う場合、作業能率上、上部旋回体の旋回操作とブーム上げ操作とが同時並行的にスピーディに行えるようにすることが望ましいが、旋回油圧モータの始動時に旋回油圧モータの駆動圧力がブームシリンダの駆動圧力よりも高くなると、旋回油圧モータの始動を迅速に行うことができなくなる。
こうしたことから、従来の技術に係る油圧駆動装置において旋回油圧モータを油圧シリンダと共通の主油圧ポンプで駆動するように前述のごとく設けた場合には、旋回油圧モータを油圧シリンダと複合操作するときに、旋回油圧モータの始動が迅速に行えるように改善するが必要となる。その場合、従来の技術が有する前述の優れた仕組みに影響を及ぼしことなく、これと融合させるように改善することが望ましい。
本発明は、こうした要求に応えるために創作されたものであり、従来の技術に係る油圧駆動装置において、旋回油圧モータを油圧シリンダと共通の主油圧ポンプで駆動するように設けた場合に、従来の技術の優れた仕組みを変えることなく有効に活用して、旋回油圧モータと油圧シリンダの複合操作時に旋回油圧モータの始動を迅速に行うことができる油圧駆動装置を提供することにある。
本発明は、前記の技術課題を達成するため、
フロント作業機の油圧アクチュエータをなし互に複合操作される第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダと、第1油圧シリンダと共に複合操作され上部旋回体を旋回させる旋回油圧モータと、これら第1油圧シリンダ、第2油圧シリンダ及び旋回油圧モータへ供給するための油圧の発生源として共用される主油圧ポンプと、この主油圧ポンプから第1油圧シリンダへ供給される圧油の流れを制御する第1油圧シリンダ用方向制御弁と、主油圧ポンプから第2油圧シリンダへ供給される圧油の流れを制御する第2油圧シリンダ用方向制御弁と、主油圧ポンプから旋回油圧モータへ供給される圧油の流れを制御する旋回油圧モータ用方向制御弁と、第1油圧シリンダ用方向制御弁を作動油タンクへ連結するタンク油路とを備えた油圧駆動装置において、このタンク油路を選択的に閉鎖することができる閉鎖手段を設けて、旋回油圧モータを駆動させることなく第1油圧シリンダと第2油圧シリンダの複合操作をしている場合において第2油圧シリンダの圧油供給側の圧力が所定圧力値以上の高圧となったときに、閉鎖手段でタンク油路を閉鎖することにより第1油圧シリンダの圧油排出側の圧油を第2油圧シリンダ用方向制御弁を経由して第2油圧シリンダの圧油供給側へ供給し、第2油圧シリンダは駆動させずに第1油圧シリンダを駆動しながら旋回油圧モータを始動する旋回油圧モータと第1油圧シリンダの複合操作を開始したときに、閉鎖手段でタンク油路を一時的に閉鎖することにより主油圧ポンプの吐出側の油路の油圧を一時的に上昇させて、主油圧ポンプから旋回油圧モータへ供給される同油圧モータ始動時の圧油の圧力を増強させるように構成した。
本発明の油圧駆動装置は、「タンク油路を選択的に閉鎖することができる閉鎖手段を設けて、旋回油圧モータを駆動させることなく第1油圧シリンダと第2油圧シリンダの複合操作をしている場合において第2油圧シリンダの圧油供給側の圧力が所定圧力値以上の高圧となったときに、閉鎖手段でタンク油路を閉鎖することにより第1油圧シリンダの圧油排出側の圧油を第2油圧シリンダ用方向制御弁を経由して第2油圧シリンダの圧油供給側へ供給する」ようにしていて、従来の技術の優れた仕組みを変えることなく実質的に保持している。そのため、旋回油圧モータを駆動させることなく第1油圧シリンダ第2油圧シリンダ複合操作をする場合に、従来の技術と同様、エネルギーの残存する第1油圧シリンダのロッド側の油圧を有効に活用して第2油圧シリンダを迅速に駆動することができる。
本油圧駆動装置は、こうした従来の技術の優れた仕組みが既に有する閉鎖手段を活用することにより、「第2油圧シリンダは駆動させずに第1油圧シリンダを駆動しながら旋回油圧モータを始動する旋回油圧モータと第1油圧シリンダの複合操作を開始したときに、閉鎖手段でタンク油路を一時的に閉鎖することにより主油圧ポンプの吐出側の油路の油圧を一時的に上昇させて、主油圧ポンプから旋回油圧モータへ供給される同油圧モータ始動時の圧油の圧力を増強させる」ように構成しているので、旋回油圧モータと第1油圧シリンダとを共通の主油圧ポンプで駆動して旋回油圧モータと第1油圧シリンダの複合操作しても、旋回油圧モータを速やかに始動させるために必要な十分な旋回加速を得ることができる。以上のことから明らかなように、本油圧駆動装置によれば、従来の技術に係る油圧駆動装置において、旋回油圧モータを第1油圧シリンダと共通の主油圧ポンプで駆動するように設けた場合に、従来の技術の優れた仕組みを変えることなく有効に活用して、第2油圧シリンダを駆動させずに行なわれる旋回油圧モータと第1油圧シリンダとの複合操作時に旋回油圧モータの始動を迅速に行うことができる。
以下の説明から明らかなように、本発明の油圧駆動装置は、前記の〔課題を解決するための手段〕の項に示したように構成されているので、従来の技術に係る油圧駆動装置において、旋回油圧モータを第1油圧シリンダと共通の主油圧ポンプで駆動するように設けた場合に、従来の技術の優れた仕組みを変えることなく有効に活用して、第2油圧シリンダを駆動させずに旋回油圧モータと第1油圧シリンダの複合操作を行なう際の旋回油圧モータの始動を迅速に行うことができる。そのため、本油圧駆動装置では、第2油圧シリンダを増速するための既存の仕組み中の閉鎖手段を旋回油圧モータの始動を迅速化する手段にも利用して二重に活用して、当該作業を能率的に行うことができるとともに製作費の節減にも資することができる。
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを図1乃至図3を用いて説明することにより、本発明を実施するための望ましい形態を明らかにする。
図1は、本発明を具体化して構成した油圧駆動装置に関する油圧回路図、図2は、図1の油圧駆動装置の制御のために設けられるコントローラのブロック図、図3は、旋回油圧モータをブームシリンダと複合操作しながら始動した場合に旋回油圧モータ及びブームシリンダにそれぞれかかる負荷の推移を示す概念図である。以下に、本発明に係る油圧駆動装置を説明する場合、ここでは、自走式の油圧ショベルの油圧駆動装置に具体化した場合を例にして説明をする。
まず、図1の油圧駆動装置を設置するための建設機械である自走式の油圧ショベルについて概説する。
この自走式の油圧ショベルは、大別すると、掘削作業や積載作業等種々の作業を行うフロント作業機と、このフロント作業機が設置される走行可能な車体とで構成される。このうち、車体は、上部旋回体を設置するための基台となり作業現場を走行することが可能な下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された旋回フレーム及びこの旋回フレーム上に設置された諸装置からなる上部旋回体とを設けて構成される。旋回フレーム上には、フロント作業機のほか、油圧ポンプ、これを駆動するエンジン及び各種制御装置等を内蔵した建屋、運転室、カウンタウエイト等の種々の装置が設置されており、それゆえ、上部旋回体は、著大な重量を有する旋回慣性体をなす。こうした旋回慣性体としての上部旋回体は、油圧アクチュエータとしての図1に図示の旋回用油圧モータ50により駆動される。また、下部走行体は、スプロケットの回転が伝動されるエンドレスチェーン状のクローラにより走行する。
一方、車体上に設置されるフロント作業機は、後端部が旋回フレームの前部に垂直方向に回動(傾動)可能に軸着されて設置されたブームと、後端部がこのブームの前端部に垂直方向に回動(揺動)可能に軸着されたアームと、このアームの前端部に垂直方向に回動可能にかつ着脱可能に軸着されたバケットとを備えている。また、これらの作業用機具をそれぞれ駆動するための、油圧アクチュエータとして、後述する図1に図示のブームシリンダ6及びアームシリンダ7やバケットシリンダを備えている。これらのブームシリンダ6、アームシリンダ7及びバケットシリンダは、それぞれ、伸縮させてブーム、アーム及びバケットシリンダを垂直方向に回動させるように駆動する。
図1乃至図3に基づき、本発明を具体化して構成した油圧ショベルの油圧駆動装置について説明する。本油圧駆動装置を特許文献1に記載の油圧駆動装置と対比しやすくするため、図1において特許文献1に記載の要素と同等の働きをする部分には、特許文献1で使用している符号と同一の符号を付けている。
図1において、6は油圧により伸縮させてブームを回動させるように駆動する第1油圧シリンダとしてのブームシリンダ、6aはシリンダチューブのボトム側の室をなし圧油が供給又は排出されるブームシリンダ6のボトム室、6bはシリンダチューブのピストンロッド側の室をなし圧油が供給又は排出されるブームシリンダ6のロッド室、7は油圧により伸縮させてアームを回動させるように駆動する第2油圧シリンダとしてのアームシリンダ、7aはアームシリンダ7のボトム室、7bはアームシリンダ7のロッド室、50は油圧により回転させて前記上部旋回体を旋回させるように駆動する旋回用油圧モータ、20は油圧ショベルの動力源としてのエンジン、21はこのエンジン20により駆動されて圧油を発生しブームシリンダ6、アームシリンダ7及び旋回油圧モータ50へ供給するための油圧の発生源として共用される可変容量型の主油圧ポンプである。
油圧ショベルでは、ブームシリンダ6、アームシリンダ7及び旋回用油圧モータ50のうちの複数の油圧アクチュエータについて、時を同じくして駆動するいわゆる複合操作が行われる。共通の主油圧ポンプ20でこうした複合操作さが行えるようにするため、ブームシリンダ6、アームシリンダ7及び旋回用油圧モータ50へは、主油圧ポンプ20の圧油を互に並列の油路により供給するように配管している。すなわち、主油圧ポンプ20の圧油を、ブームシリンダ6へは圧油供給管路28の一方の分岐路28aを通じて供給し、アームシリンダ7へはこの圧油供給管路28と並列の圧油供給管路27を通じて供給し、旋回用油圧モータ50へは圧油供給管路28の他方の分岐路28bを通じて供給するようにしている。
22は油圧パイロット圧を発生するための油圧パイロット圧発生源としてのパイロットポンプ、22aはこのパイロットポンプ22で発生した油圧パイロット圧の上限値を規定するためのパイロットリリーフ弁、23は主油圧ポンプ21からブームシリンダ6へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同シリンダ6の運動を制御する第1油圧シリンダ用方向制御弁としてのブーム用方向制御弁、24は主油圧ポンプ21からアームシリンダ7へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同シリンダ7の運動を制御する第2油圧シリンダ用方向制御弁としてのアーム用方向制御弁、51は主油圧ポンプ21から旋回用油圧モータ50へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同油圧モータ50の運動を制御する旋回用方向制御弁、25は操作手段の操作によりブーム用方向制御弁23を切り換え操作するためのパイロット信号を出力するブーム用操作装置、26は操作手段の操作によりアーム用方向制御弁24を切り換え操作するためのパイロット信号を出力するアーム用操作装置、52は操作手段の操作により旋回用方向制御弁51を切り換え操作するためのパイロット信号を出力する旋回用操作装置である。
パイロットポンプ22で発生した油圧パイロット圧は、その上限値をパイロットリリーフ弁22aで規定することにより所定の値に調整されて、互に並列の各パイロット圧供給路を通じてブーム用操作装置25、アーム用操作装置26及び旋回用操作装置52へそれぞれ導く。また、こうして調整された油圧パイロット圧は、必要に応じて、前記各パイロット圧供給路と並列の後記パイロット管路45を通じて、後述する合流切換弁44の信号受け部にも導くことができるようになっている。各操作装置25,26,52は、オペレータが操作するための操作レバーや操作ペダル等の操作手段(図1の例では操作レバー)を備えている。
各操作装置25,26,52に導かれた油圧パイロット圧は、それぞれの操作手段の操作量に応じた圧力値に調整されて、各操作装置25,26,52から対応する各方向制御弁23,24,51の信号受け部に出力される。その結果、各方向制御弁23,24,51は、各操作装置25,26,52から出力された圧力値に応じて開口量が調節されてブームシリンダ6、アームシリンダ7及び旋回用油圧モータ50の各駆動速度をそれぞれ制御する。また、各操作装置25,26,52の操作手段の操作方向により、それぞれ、各方向制御弁23,24,51を中立位置から左位置又は右位置に切り換えてブームシリンダ6、アームシリンダ7及び旋回用油圧モータ50の駆動方向を制御する。なお、油圧ショベルの油圧駆動装置には、バケットを駆動するバケットシリンダ、その運動を制御するバケット用方向制御弁、これを操作するブーム用操作装置を設けているが、これらは、本油圧駆動装置に直接的には関係しないので、図1への図示は省略している。
各操作装置25,26,52の働きについて更に具体的に述べる。ブーム用操作装置25は、その操作手段を一方の方向に操作すると、同操作装置25で圧力調整された油圧パイロット圧を、パイロット管路25aを通じてブーム用方向制御弁23の左の信号受け部へ出力してこれを中立位置から左位置(図1に示す位置)に切り換える。そうすると、このブーム用方向制御弁23は、主油圧ポンプ21の圧油を、ボトム側管路29aを通じてブームシリンダ6のボトム側室6aへ供給するとともに、そのロッド側室6bの圧油を、ロッド側管路29bからタンク管路42を経て作動油タンク43へ排出し、これによりブームシリンダ6を伸長させてブーム上げ操作を行う。
また、ブーム用操作装置25の操作手段を他方の方向に操作すると、ブーム用操作装置25は、同様にして、油圧パイロット圧を、パイロット管路25bを通じてブーム用方向制御弁23の右の信号受け部へ出力してこれを右位置に切り換える。そうすると、このブーム用方向制御弁23は、主油圧ポンプ21の圧油を、ロッド側管路29bを通じてブームシリンダ6のロッド側室6bへ供給するとともに、そのボトム側室6aの圧油を、ボトム側管路29aからタンク管路42を経て作動油タンク43へ排出し、これによりブームシリンダ7を縮小させる。以上の間、ブーム用方向制御弁23は、ブーム用操作装置25の操作手段の操作量に応じて開口量が調節され、これにより、ブームシリンダ6の伸縮する速度を制御する。
アーム用操作装置26は、その操作手段を一方の方向に操作すると、同操作装置26で圧力調整された油圧パイロット圧を、パイロット管路26aを通じてアーム用方向制御弁24の左の信号受け部へ出力してこれを中立位置から左位置(図1に示す位置)に切り換える。そうすると、このアーム用方向制御弁24は、主油圧ポンプ21の圧油を、ボトム側管路30aを通じてアームシリンダ7のボトム側室7aへ供給するとともに、そのロッド側室7bの圧油を、ロッド側管路30bを通じて作動油タンク43へ排出し、これによりアームシリンダ7を伸長させてアームクラウド操作を行う。
また、操作レバーを他方の方向に操作すると、アーム用操作装置26は、同様にして、油圧パイロット圧を、パイロット管路26bを通じてアーム用方向制御弁24の右の信号受け部へ出力してこれを右位置に切り換える。そうすると、このアーム用方向制御弁24は、主油圧ポンプ21の圧油を、ロッド側管路30bを通じてアームシリンダ7のロッド側室7bへ供給するとともに、そのボトム側室7aの圧油を、ボトム側管路30aを通じて作動油タンク43へ排出し、これによりアームシリンダ7を縮小させる。以上の間、アーム用方向制御弁24は、アーム用操作装置26の操作レバーの操作量に応じて開口量が調節され、これにより、アームシリンダ7の伸縮する速度を制御する。
旋回用操作装置52は、その操作手段を一方の方向又は他方の方向に操作すると、同操作装置52で圧力調整された油圧パイロット圧を、一方のパイロット管路52a又は他方のパイロット管路52bを通じて旋回用方向制御弁51の左の信号受け部又は右の信号受け部へ出力してこれを左位置(図1に示す位置)又は右位置へ切り換える。そうすると、この旋回用方向制御弁51は、主油圧ポンプ21の圧油を、一方の側の管路31a又は他方の側の管路31bを通じて旋回用油圧モータ50へ供給するとともに、旋回用油圧モータ50の排出油を、他方の側の管路31b又は一方の側の管路31aを通じて作動油タンク43へ排出して、旋回用油圧モータ50の回転方向を制御する。この間、旋回用方向制御弁51は、旋回用操作装置52の操作手段の操作量に応じて旋回用油圧モータ50の回転速度を制御し、以上の制御により、上部旋回体の旋回速度を調節しつつこれを正逆所望の方向に旋回させることができる。
36は主油圧ポンプ21の吐出口に接続された吐出側管路、37は後述する連通管路40の油圧が設定圧力以上に上昇したときにその連通管路40の圧油をメインリリーフ弁38により逃がすことができるようにするための圧抜き管路、38は吐出側管路36に供給される主油圧ポンプ21の圧油を逃がしてその圧油の最大圧力を制限するメインリリーフ弁、39は吐出側管路36の圧油が圧抜き管路37を経由して連通管路40に流入しないようにするための逆止弁である。
40はタンク油路42とアーム用方向制御弁24の上流側とを連通させる連通管路、41は吐出側管路36を通じて圧油供給管路27に供給される主油圧ポンプ21の圧油が連通管路40を通じてタンク管路42側に流入しないようにするための逆止弁、42はブーム用方向制御弁23からの戻り油を作動油タンク43に逃がすためのタンク管路、43は作動油を貯溜するための作動油タンク、44はタンク管路42に設けられて通常は右位置に切り換えられてタンク管路42を開放しているスプリングオフセットパイロット方式の2ポート2位置切換弁としての合流切換弁、45はパイロットポンプ22で発生した油圧パイロット圧を合流切換弁44の信号受け部に導くためのパイロット管路である。
合流切換弁44は、通常は右位置に切り換えられていて、ブーム用方向制御弁23からの戻り油を、タンク管路42を通じて作動油タンク43に逃がすのを許容しているが、後述するパイロット圧導入用切換弁53が下位置に切り換えられると、パイロットポンプ22の油圧パイロット圧がパイロット管路45を通じて信号受け部に導かれて左位置に切り換えられる。そうすると、タンク管路42が合流切換弁44により閉鎖され、ブーム用方向制御弁23からの戻り油、換言すると、ブームシリンダ6の排出側から排出された圧油は、タンク管路42を通じて作動油タンク43へ排出されるのを阻止される。
このとき、ブーム上げ及びアームクラウドの複合操作をしているときには、後述するように、ブームシリンダ6の圧油排出側となるロッド側室6bから排出された圧油は、行き場を失って連通管路40に流入する。そして、この連通管路40に流入した圧油は、圧油供給管路27に供給された主油圧ポンプ21の圧油とアーム用方向制御弁24の上流側で合流して、アーム用方向制御弁24を通じてアームシリンダ7の圧油供給側となるボトム側室7aに供給される。また、そのとき、旋回及びブーム上げの複合操作をしているときには、ブームシリンダ6の排出側から圧油を円滑に排出することができなくなり、その当然の結果として、圧油供給管路28内の油圧が上昇し、主油圧ポンプ21から旋回油圧モータ50へ供給される圧油の圧力が増強される。さらに、ブーム下げ及びアームクラウドの複合操作をしているときには、次に述べるサブタンク管路46とパイロット式逆止弁47とによる仕組みにより、ブームシリンダ6の排出側の圧油を連通管路40に流入させることなく作動油タンク43へ逃がす。
46は逆止弁41の上流側における連通管路40と合流切換弁44の下流側におけるタンク管路42とを接続して、必要に応じて連通管路40の圧油を作動油タンク43に逃がすことができるようにするためのサブタンク管路、47はこのサブタンク管路46に設けられ通常は連通管路40の圧油がサブタンク管路46を通じてタンク管路42側に流れるのを阻止する逆止弁の機能を果たし、必要に応じてこの逆止弁の機能を解除することができるパイロット式逆止弁、48は油圧パイロット圧をパイロット式逆止弁47の信号受け部に導くための逆止弁用パイロット管路である。
パイロット式逆止弁47は、通常は連通管路40の圧油がタンク管路42側に流れるのを阻止しているが、油圧パイロット圧が逆止弁用パイロット管路48に導入されて信号受け部に導かれると、逆止弁としての機能を解除して、連通管路40の圧油がサブタンク管路46を通じてタンク管路42側に流れるのを許容する。その場合、逆止弁用パイロット管路48の信号受け部には、ブームシリンダ6を縮小操作するときにブーム用操作装置25が発する油圧パイロット圧が導入される。すなわち、ブームシリンダ6を縮小操作するようにブーム用操作装置25の操作手段を操作すると、ブーム用操作装置25が発する油圧パイロット圧は、パイロット管路25bに導入されてブーム用方向制御弁23の右の信号受け部に導かれ、ブームシリンダ6を縮めるようにブーム用方向制御弁23を切り換えるとともに、逆止弁用パイロット管路48にも導入されてパイロット式逆止弁47の信号受け部に導かれ、同逆止弁47の逆止弁としての機能を解除する。
53はパイロット管路45に設けられて通常は上位置に切り換えられてパイロット管路45を閉鎖しているスプリングオフセット電磁方式の2ポート2位置切換弁としてのパイロット圧導入用切換弁、54はパイロット管路52a,52bの油圧パイロット圧のうちの高圧の方の油圧パイロット圧を選択して下流側のパイロット管路に導くシャトル弁、60はブーム用方向制御弁23の左の信号受け部に出力される油圧パイロット圧を検出してブーム上げ操作が行われていることを検出するブーム上げ操作検出手段、61は旋回用方向制御弁51の左右の信号受け部の何れかに出力される油圧パイロット圧を検出して旋回操作が行われていることを検出する旋回操作検出手段、62はアームシリンダ7のボトム側室7aの圧力を検出するアームシリンダボトム圧検出手段、70(図2参照)はこれらブーム上げ操作検出手段60、旋回操作検出手段61及びアームシリンダボトム圧検出手段62の検出結果が入力され、これらの検出結果に基づいてパイロット圧導入用切換弁53の切換操作を制御するコントローラである。
パイロット圧導入用切換弁53は、通常は上位置に切り換えられていて、パイロットポンプ22の油圧パイロット圧がパイロット管路45を通じて合流切換弁44の信号受け部に導かれるのを阻止しているが、コントローラ70からの電気信号が信号受け部53aへ出力されると、下位置に切り換えられてパイロット管路45を開放し、パイロットポンプ22の油圧パイロット圧が合流切換弁44の信号受け部に導かれるのを許容する。コントローラ70は、アームシリンダ7のボトム側(ボトム側室7a)の圧力が設定値以上に上昇している(YES)かそうでない(NO)かを判定する第1の判定手段と、旋回及びブーム上げ操作の複合操作が実施されている(YES)かそうでない(NO)かを判定する第2の判定手段とを備えている。そして、第1の判定手段及び第2の判定手段の何れかでYESと判定されたときには、パイロット圧導入用切換弁53の信号受け部53aへ電気信号を出力してこれを下位置に切り換える。
そこで、図1及び図2に基づき、このコントローラ70で実施する制御について更に具体的に説明する。
コントローラ70には、図2に示すようにブーム上げ操作検出手段60の検出信号α、旋回操作検出手段61の検出信号β、アームシリンダボトム圧検出手段62の検出信号γが入力される。検出信号αは、ブーム用操作装置25からパイロット管路25aに対し油圧パイロット圧が出力されているか否かを判別するための信号であり、この信号により、ブーム上げ操作を行うためのブーム用方向制御弁23の左位置への切換操作が行われているか否かを判別することができる。検出信号βは、旋回用操作装置52からパイロット管路52a,52bの何れかに対し油圧パイロット圧が出力されているか否かを判別するための信号であり、この信号により、旋回操作を行うための旋回用方向制御弁51の左右何れかの位置への切換操作が行われているか否かを判別することができる。検出信号γは、アームシリンダ7のボトム側の圧力の値に係る検出信号であり、この信号により、アームシリンダ7の迅速な伸長操作が要求されているか否かを判別することができる。
前記第1の判定手段では、アームシリンダボトム圧検出手段62の検出信号γに基づいて、アームシリンダ7のボトム側の圧力の値が予め設定した設定値以上であるか否かを判定し、設定値以上であると判定されたときに、コントローラ70は、電気信号による制御信号sを出力してパイロット圧導入用切換弁53を下位置に切り換える。その結果、パイロットポンプ22の油圧パイロット圧は、パイロット管路45を通じて合流切換弁44の信号受け部に導かれ、これにより、合流切換弁44は、タンク管路42を閉鎖するための左位置に切り換えられる。
前記第2の判定手段では、ブーム上げ操作検出手段60の検出信号αに基づいて、パイロット管路25aへ油圧パイロット圧が出力されているか否かを判定し、旋回操作検出手段61の検出信号βに基づいて、パイロット管路52a,52bの何れかへ油圧パイロット圧が出力されているか否かを判定する。その結果、両方の油圧パイロット圧が出力されていると判定されたとき、すなわち、旋回及びブーム上げの複合操作が行われていると判定されたときに、コントローラ70は、制御信号sを出力してパイロット圧導入用切換弁53を下位置に切り換え、前記と同様にして、合流切換弁44を左位置に切り換えてタンク管路42を閉鎖する。
こうして第2の判定手段での判定結果に基づいてタンク管路42を閉鎖する場合、コントローラ70からは、制御信号sを限られた時間だけ出力して合流切換弁44でタンク管路42を一時的に閉鎖する。この点の技術的意義を、図3を用いて説明する。
図3は、旋回及びブーム上げの複合操作の実施時に、ブームシリンダ6及び旋回用油圧モータ50がそれぞれ受ける負荷の推移を模式的に示したものであり、ブームシリンダ6や旋回用油圧モータ50が受ける負荷Lを縦軸に表し、旋回用油圧モータ50の始動開始後の経過時間Tを横軸に表している。図3中、Bは、複合操作の開始以降にブームシリンダ6が受ける負荷の推移を示すグラフ、Mは、複合操作の開始以降に旋回用油圧モータ50が受ける負荷の推移を示すグラフである。また、t0 は、複合操作の開始時点(旋回用油圧モータ50の始動開始時点)、t1 は、旋回用油圧モータ50が受ける負荷がその始動開始後に増加してからブームシリンダ6が受ける負荷の域にまで低下した時点、tは、複合操作の開始時点t0 から前記時点t1 までの時間を意味する。
旋回及びブーム上げ操作の複合操作を実施したときに、ブームシリンダ6が受ける負荷は、図3のグラフBに示すようにその複合操作の開始時点t0 以降ほぼ一定である。これに対し、ブームシリンダ6が受ける負荷は、図3のグラフMに示すように旋回用油圧モータ50の始動開始時点t0 後に急激に上昇して、ブームシリンダ6が受ける負荷を大きく上回り、その後、急速に低下して、時点t1 経過後に、ブームシリンダ6が受ける負荷を大きく下回り、定常状態となる。旋回用油圧モータ50がこうした特性を有する理由は、既に述べたように上部旋回体が著大な重量を有する旋回慣性体をなしていて、その起動に大きなエネルギーを必要とするからである。
このように、旋回及びブーム上げ操作の複合操作における旋回油圧モータ50の始動時に、特に、旋回用油圧モータ50の始動開始時点t0 から時点t1 までの時間t内での一時期、旋回油圧モータ50が上部旋回体から著大な負荷を受けるため、旋回油圧モータ50の駆動圧力がブームシリンダ6の駆動圧力よりも高くなる。そうすると、主油圧ポンプ21の圧油がブームシリンダ6に優先して供給され、旋回油圧モータ50には、圧油が十分に供給されないため、旋回油圧モータ50を迅速に始動させるために必要な十分な旋回加速が得られない。こうした問題に対応して、主油圧ポンプ21から旋回油圧モータ50へ供給する圧油の圧力を増強するため、旋回油圧モータ50の始動時に、時間tを目安にして予め設定した設定時間だけ制御信号sをコントローラ70から出力して、合流切換弁44によりタンク管路42を一時的に閉鎖する。この設定時間は、通常は1秒前後で足りるが、余裕を見込んでも数秒あれば十分である。
以上の手段を備えた本油圧駆動装置の作用効果について説明する。
本油圧駆動装置では、油圧ショベルの運転時に、コントローラ70の第1の判定手段において、アームシリンダ7のボトム側の圧力の値が予め設定した設定値以上であるか否かをアームシリンダボトム圧検出手段62の検出信号γに基づいて判定する。その結果、アームシリンダ7のボトム側の圧力の値が前記設定値以上であると判定されたときには、コントローラ70は、制御信号sを出力してパイロット圧導入用切換弁53を下位置に切り換え、これにより、合流切換弁44を左位置に切り換えてタンク管路42を閉鎖する。
このとき、ブームシリンダ6及びアームシリンダ7を共に伸長させてブーム上げ及びアームクラウドの複合操作をしているならば、タンク管路42に排出されたブームシリンダ6の圧油排出側となるロッド側(ロッド側室6b)の圧油は、連通管路40に導かれてアーム用方向制御弁24の上流側に供給される。そして、この上流側に供給されたブームシリンダ6のロッド側の圧油は、主油圧ポンプ21からアームシリンダ7に供給される圧油とアーム用方向制御弁24の上流側で合流し、合流したこれらの圧油が同方向制御弁24を経由してアームシリンダ7の圧油供給側となるボトム側へ供給される。このように、本油圧駆動装置は、従来の技術の優れた仕組みを変えることなく実質的に保持し、ブーム上げ及びアームクラウドの複合操作をする場合に、エネルギーの残存するブームシリンダ6のロッド側の油圧を有効に活用してアームシリンダ7を迅速に伸長させることができる。
なお、こうしてブームシリンダ6のロッド側の圧油を連通管路40を通じてアーム用方向制御弁24の上流側に供給している過程で、連通管路40の油圧が所定値以上に上昇したときには、この連通管路40の圧油を、メインリリーフ弁38により圧抜き管路37を通じて作動油タンク43に逃がす。ここに示す例では、アームシリンダ7のボトム側室7aの圧だけを検出手段で検出して合流切換弁44を切り換えるようにしているので、ブームシリンダ6を伸長させアームシリンダ7を縮小させるブーム上げ及びアームダンプの複合操作をしたときには、アームシリンダ7の圧油供給側となるロッド側室7bの圧は上昇するものの、圧油排出側となるボトム側室7aの圧は、設定値までは上昇せず、タンク管路42が合流切換弁44により閉鎖されることはない。
また、前記第1の判定手段での判定結果に基づいて合流切換弁44によりタンク管路42を閉鎖したときに、ブーム下げ及びアームクラウドの複合操作をしているならば、ブームシリンダ6の縮小操作時にブーム用操作装置25が発する油圧パイロット圧が逆止弁用パイロット管路48に導入されてパイロット式逆止弁47の信号受け部に導かれ、同逆止弁47の逆止弁としての機能を解除する。その結果、ブームシリンダ6の圧油排出側となるボトム側の圧油を、連通管路40に流入させることなく、サブタンク管路46を通じて作動油タンク43へ逃がす。
一方、本油圧駆動装置では、油圧ショベルの運転時に、コントローラ70の第2の判定手段において、パイロット管路25aに油圧パイロット圧が出力されているか否かをブーム上げ操作検出手段60の検出信号αに基づいて判定し、パイロット管路52a,52bの何れかに油圧パイロット圧が出力されているか否かを旋回操作検出手段61の検出信号βに基づいて判定する。その結果、両方の油圧パイロット圧が出力されていると判定されたときには、旋回及びブーム上げの複合操作が実施されていると判断して、コントローラ70は、制御信号sを一時的に出力してパイロット圧導入用切換弁53を下位置に切り換え、これにより、合流切換弁44を左位置に切り換えて、旋回油圧モータ50の始動時にタンク管路42を一時的に閉鎖する。
そうすると、ブームシリンダ6をブーム上げのために伸長操作しても、ブームシリンダ6のロッド側から圧油を円滑に排出することができなくなり、その当然の結果として、圧油供給管路28内の油圧が上昇して、主油圧ポンプ21から旋回油圧モータ50へ供給される圧油の圧力が増強される。換言すると、本油圧駆動装置では、タンク管路42を合流切換弁44で閉鎖してブームシリンダ6の駆動圧力を旋回油圧モータ50の駆動圧力に対し人為的に上昇させることにより、主油圧ポンプ21の圧油が旋回油圧モータ50の方へ供給されやすくして、旋回油圧モータを始動するための油圧を増強する。したがって、図1の油圧回路のように旋回油圧モータ50とブームシリンダ6とを共通の主油圧ポンプ21で駆動して複合操作しても、旋回油圧モータ50を速やかに始動させるために必要な十分な旋回加速を得ることができる。
なお、旋回及びブーム上げの複合操作時に、こうした合流切換弁44でのタンク管路42の閉鎖によりブームシリンダ6のロッド側からの圧油の排出を妨げても、このタンク管路42の閉鎖は、旋回油圧モータ50の始動開始時の限られた時間であるので、ブーム上げの操作に悪影響をもたらすようなことはない。また、合流切換弁44でのタンク管路42の閉鎖時に、圧油供給管路28内の油圧が過度に上昇したときには、主油圧ポンプ21からの圧油をメインリリーフ弁38の作動により作動油タンク43に逃がすので、こうした仕組みにより圧油供給管路28の油圧を上昇させても、格別問題は生じない。
以上のことから明らかなように、本油圧駆動装置によれば、従来の技術に係る油圧駆動装置において、旋回油圧モータ50をブームシリンダ6と共通の主油圧ポンプ21で駆動するように設けた場合に、従来の技術の優れた仕組みを変えることなく有効に活用して、旋回油圧モータ50とブームシリンダ6の複合操作時に旋回油圧モータ50の始動を迅速に行うことができる。そのため、本油圧駆動装置では、アームシリンダ7を増速するための既存の仕組み中の合流切換弁44を旋回油圧モータ50の始動を迅速化する手段にも利用して二重に活用して、当該作業を能率的に行うことができるとともに製作費の節減にも資することができる。
ここでは、第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダの複合操作において第2油圧シリンダを増速する例として、ブーム上げ及びアームクラウドの複合操作の例を示したが、本油圧駆動装置は、土砂を押す作業で実施されるブーム上げ及びアームダンプの複合操作においてアームシリンダ7を増速する場合にも適用することができる。その場合には、図1の油圧回路において、アームシリンダボトム圧検出手段62の代わりに又は同検出手段62に加えて、アームシリンダ7のロッド側室7bの圧を検出するためのアームシリンダロッド圧検出手段を設けて、アームシリンダ7のロッド圧が設定値以上であるときに、パイロット圧導入用切換弁53を下位置に切り換えて合流切換弁44でタンク管路42を閉鎖するようにすればよい。
ここでは、旋回油圧モータ及び油圧シリンダの複合操作時に旋回油圧モータの始動を迅速に行うための本発明の油圧駆動装置を、建設機械の代表例である油圧ショベルに具体化した例を示した。しかしながら、旋回油圧モータと油圧シリンダとを備えて両者を複合操作する油圧駆動装置は、各種建設機械を始めとする油圧ショベル以外の作業機械も備えているので、旋回油圧モータ及び油圧シリンダの複合操作時に旋回油圧モータの駆動を優先して作業を行う必要性がある作業機械であれば、本発明の油圧駆動装置は、油圧ショベルだけに限らず、他の作業機械の油圧駆動装置にも適用することができる。
本発明を具体化して構成した油圧駆動装置に関する油圧回路図である。 図1の油圧駆動装置の制御のために設けられるコントローラのブロック図である。 旋回油圧モータをブームシリンダと複合操作しながら始動した場合に旋回油圧モータ及びブームシリンダにそれぞれかかる負荷の推移を示す概念図である。
符号の説明
6 ブームシリンダ
6a (ブームシリンダ6の)ボトム側室
6b (ブームシリンダ6の)ロッド側室
7 アームシリンダ
7a (アームシリンダ7の)ボトム側室
7b (アームシリンダ7の)ロッド側室
21 主油圧ポンプ
22 パイロットポンプ
23 ブーム用方向制御弁
24 アーム用方向制御弁
25 ブーム用操作装置
25a,25b パイロット管路
26 アーム用操作装置
26a,26b パイロット管路
27,28 圧油供給管路
38 メインリリーフ弁
40 連通管路
42 タンク管路
43 作動油タンク
44 合流切換弁
45 パイロット管路
46 サブタンク管路
47 パイロット式逆止弁
48 逆止弁用パイロット管路
50 旋回用油圧モータ
51 旋回用方向制御弁
52 旋回用操作装置
52a,52b パイロット管路
53 パイロット圧導入用切換弁
53a (パイロット圧導入用切換弁53の)信号受け部
54 シャトル弁
60 ブーム上げ操作検出手段
61 旋回操作検出手段
62 アームシリンダボトム圧検出手段
70 コントローラ

Claims (1)

  1. フロント作業機の油圧アクチュエータをなし互に複合操作される第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダと、第1油圧シリンダと共に複合操作され上部旋回体を旋回させる旋回油圧モータと、これら第1油圧シリンダ、第2油圧シリンダ及び旋回油圧モータへ供給するための油圧の発生源として共用される主油圧ポンプと、この主油圧ポンプから第1油圧シリンダへ供給される圧油の流れを制御する第1油圧シリンダ用方向制御弁と、主油圧ポンプから第2油圧シリンダへ供給される圧油の流れを制御する第2油圧シリンダ用方向制御弁と、主油圧ポンプから旋回油圧モータへ供給される圧油の流れを制御する旋回油圧モータ用方向制御弁と、第1油圧シリンダ用方向制御弁を作動油タンクへ連結するタンク油路とを備えた油圧駆動装置において、
    このタンク油路を選択的に閉鎖することができる閉鎖手段を設けて、旋回油圧モータを駆動させることなく第1油圧シリンダと第2油圧シリンダの複合操作をしている場合において第2油圧シリンダの圧油供給側の圧力が所定圧力値以上の高圧となったときに、閉鎖手段でタンク油路を閉鎖することにより第1油圧シリンダの圧油排出側の圧油を第2油圧シリンダ用方向制御弁を経由して第2油圧シリンダの圧油供給側へ供給し、第2油圧シリンダは駆動させずに第1油圧シリンダを駆動しながら旋回油圧モータを始動する旋回油圧モータと第1油圧シリンダの複合操作を開始したときに、閉鎖手段でタンク油路を一時的に閉鎖することにより主油圧ポンプの吐出側の油路の油圧を一時的に上昇させて、主油圧ポンプから旋回油圧モータへ供給される同油圧モータ始動時の圧油の圧力を増強させるように構成したことを特徴とする油圧駆動装置。
JP2005233333A 2005-08-11 2005-08-11 油圧駆動装置 Expired - Fee Related JP4443483B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005233333A JP4443483B2 (ja) 2005-08-11 2005-08-11 油圧駆動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005233333A JP4443483B2 (ja) 2005-08-11 2005-08-11 油圧駆動装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007046742A JP2007046742A (ja) 2007-02-22
JP4443483B2 true JP4443483B2 (ja) 2010-03-31

Family

ID=37849720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005233333A Expired - Fee Related JP4443483B2 (ja) 2005-08-11 2005-08-11 油圧駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4443483B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101725581B (zh) * 2009-11-24 2013-04-17 中冶赛迪工程技术股份有限公司 一种高炉炉顶布料器复合液压控制系统
JP6850707B2 (ja) * 2017-09-29 2021-03-31 日立建機株式会社 作業機械
JP7268435B2 (ja) * 2019-03-22 2023-05-08 コベルコ建機株式会社 作業機械の油圧駆動装置
CN111140424A (zh) * 2020-02-07 2020-05-12 山东大学 一种重心位置可调的封闭式波浪能发电装置及发电控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007046742A (ja) 2007-02-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5388787B2 (ja) 作業機械の油圧システム
JP4272207B2 (ja) 建設機械の油圧制御装置
JP5572586B2 (ja) 作業機械の油圧駆動装置
KR101973872B1 (ko) 작업 기계의 유압 구동 시스템
JP4815338B2 (ja) 油圧ショベルの油圧駆動装置
JP6785203B2 (ja) 建設機械
US10301793B2 (en) Hydraulic drive system for work machine
WO2017056199A1 (ja) 建設機械
JP2010078035A (ja) 作業機械の油圧シリンダ制御回路
WO2014054326A1 (ja) 建設機械の油圧回路
JP6915042B2 (ja) ショベル
JP4384977B2 (ja) 油圧駆動装置
WO2017061220A1 (ja) 建設機械
KR101747519B1 (ko) 하이브리드식 건설 기계
JP4443483B2 (ja) 油圧駆動装置
JP4480565B2 (ja) バックホウの油圧回路構造
KR102138783B1 (ko) 작업 기계의 유압 구동 장치
JP7171475B2 (ja) 作業機械
JP2004092247A (ja) 建設機械の油圧駆動装置
JP2012021311A (ja) 建設機械の油圧駆動装置
JP5568509B2 (ja) 油圧制御装置および作業機械

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091006

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091222

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4443483

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130122

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130122

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140122

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees