JP5135125B2 - 塗布容器 - Google Patents

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Description

本発明は、液剤等の内容物を適量塗布するのに好適な塗布容器に関する。
容器に収容した液剤等の内容物を適量塗布するための塗布容器として、例えば特許文献1記載のものが知られている。特許文献1記載の塗布容器は、容器の口部に装着された中栓(流通筒)と、中栓の径方向内側にその軸方向に沿った容器の外側に向けて付勢された状態で配設されると共に先端部を中栓に形成された流通孔から前記容器の外側に突出させた塗布栓とを備えている。また、この塗布容器では、塗布栓の外周面に形成されたシール面と、中栓の内周面に形成された被シール面とが当接することで、容器の内部と外部とが遮断されている。
この塗布容器を用いて内容物を塗布する際には、塗布栓の先端部が下方を向くように容器を傾け、先端部を被塗布面に押し当てて塗布栓を中栓に対し容器の内側へ押し込みシール面と被シール面との当接を解除することで、流通孔から内容物を流出させ被塗布面に塗布する。そして、内容物を被塗布面に塗布し終えた後には、塗布栓の先端部の被塗布面への押し当てを解除して、塗布栓に作用する前記容器の外側に向く付勢力によりシール面を被シール面に当接させてシールすることで、内容物の流出を停止する。
実用新案登録第2553493号公報
ところで、前記従来の塗布容器では、例えば揮発性の比較的高い液剤等の内容物を容器に収容した場合や、容器が高い外気温に晒された場合等に、容器内の圧力が外部の圧力である外気圧に対し高められた状態となることがある。このように容器内の圧力が外気圧に対し高められた状態で前述の塗布を行った場合、シール面と被シール面との当接が解除されたときに、容器内外の圧力差によって内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうことがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物を塗布する前に容器内の圧力を外気圧と同等にして、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうのを抑制することができる塗布容器を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る塗布容器は、内容物が収容される容器と、前記容器の口部に装着され、内部が前記容器内に連通する流通筒と、前記流通筒内にその軸方向に沿った容器の外側に向けて付勢された状態で配設され、先端部が前記流通筒に形成された流通孔内に該流通筒に対して出没自在に挿通された塗布栓と、を備え、前記塗布栓において前記流通筒内に位置する部分には、前記流通筒内に形成された被シール面に前記軸方向に沿った容器の内側から当接及び離間するシール面が形成された塗布容器であって、前記容器の口部に着脱自在に装着されて、前記流通筒及び前記塗布栓の先端部を覆うオーバーキャップが備えられ、前記オーバーキャップには、前記流通孔を通した前記流通筒の内部と外部との連通を遮断するシール部と、前記塗布栓の先端部に前記軸方向に沿った容器の外側から当接してこの塗布栓を前記軸方向に沿った容器の内側に向けて押下して、前記シール面と前記被シール面との当接を解除する押下部と、が備えられ、前記オーバーキャップを前記容器の口部から取り外す際、前記シール面と前記被シール面とが当接する前に前記シール部による前記流通筒の内部と外部との連通の遮断が解除され、前記シール部は、前記流通筒及び前記容器の少なくとも一方に前記軸方向に沿った容器の外側から当接し、前記シール部は、前記オーバーキャップの天板部の内面に前記軸方向に沿った容器の内側に向けて突設された筒状体とされ、その開口端縁が、前記流通筒における前記流通孔の開口縁部と当接し、前記天板部の内面には、前記シール部と同軸に配置されるとともに前記シール部よりも前記軸方向に沿った容器の内側に突出し、内周面が、前記シール部の外周面全周に亘り連結された筒状の補助シール部が突設され、前記補助シール部のうち、前記シール部よりも前記軸方向に沿った容器の内側に突出する部分内には、前記流通筒が嵌合されていることを特徴とするものである。
本発明に係る塗布容器によれば、オーバーキャップを容器の口部から取り外す際、シール面と被シール面とが当接する前にシール部による流通筒の内部と外部との連通の遮断が解除されるので、内容物を被塗布面に塗布するのに先立って流通筒の内部と外部とを連通させることができる。従って、容器内の圧力が高まった場合であっても、内容物を塗布する前にその容器内の圧力を外気圧と同等にすることが可能となり、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうのを抑制することができる。
また、流通孔を通した流通筒の内部と外部との連通を遮断するシール部が備えられているので、押下部によりシール面と被シール面との当接が解除されているにも関わらず、例えば塗布容器を搬送するために容器を傾けた場合や、塗布容器が不意に転倒した場合等に、内容物が容器の内部から外部に漏出するのを抑制することができる。
さらに、シール部が、流通筒及び容器の少なくとも一方に前記軸方向に沿った容器の外側から当接することで流通筒の内部と外部との連通を遮断しているので、オーバーキャップを取り外す際に容器の口部から僅かに移動させるだけで、シール部による前述の連通の遮断を解除することが可能になり、この解除を確実にシール面と被シール面とが当接する前に行うことができる。
そして、シール部が、オーバーキャップの天板部の内面に前記軸方向に沿った容器の内側に向けて突設された筒状体とされ、その開口端縁が、流通筒における流通孔の開口縁部と当接しているので、例えば塗布容器を搬送するために容器を傾けた場合や、塗布容器が不意に転倒した場合等に、容器の内部の内容物が流通筒内を通ってシール部内に流入される。従ってこの際、流通筒とシール部との当接部分に内容物が集中することに起因してシール部の外部に流れ出してしまうのを抑えることができる。しかも、このシール部内の内容物を、傾いた容器を単に正立させるだけで、流通孔を通して容器の内部に流入させることができる。
本発明に係る塗布容器内容物を塗布する前に容器内の圧力を外気圧と同等にして、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうのを抑制することができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る第1実施形態の塗布容器を、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。図2は、図1に示す塗布容器においてオーバーキャップを取り外す過程を示す概略縦断面図である。図3は、図1に示す塗布容器においてオーバーキャップを取り外した状態を示す概略縦断面図である。
塗布容器1は、図1に示すように、内容物が収容される容器2と、容器2の口部3に装着され、内部が容器2内に連通する流通筒4と、流通筒4内にその軸方向に沿った容器2の外側に向けて付勢された状態で配設され、先端部5が流通筒4に形成された流通孔6内にこの流通筒4に対して突出高さが変動するように出没自在に挿通された塗布栓7と、を備えている。更に本実施形態では、塗布容器1は、流通筒4からその軸方向に沿った容器2の内側に突出し、容器2内と流通筒4内とを連通させる導入筒部8と、塗布栓7を前記容器2の外側に向けて付勢する付勢部材9と、容器2の口部3に着脱自在に装着されて、流通筒4及び塗布栓7の先端部5を覆うオーバーキャップ10と、を備えている。
なお、図示の例では、容器2が有底筒状に形成されると共に塗布栓7の先端部5が棒状に形成されており、容器2、流通筒4、塗布栓7の先端部5、導入筒部8及びオーバーキャップ10は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸を軸線Oと称し、軸線O方向に沿ったオーバーキャップ10側(軸方向に沿った容器の外側)を上側、容器2側(軸方向に沿った容器の内側)を下側と称する。
容器2の口部3の外周面には、雄ネジ3aが形成されている。
流通筒4の外周面における軸線O方向の中間部分には、周方向に沿った環状をなし径方向外側に突出するフランジ部11が形成されている。フランジ部11の外径は、容器2の口部3の外径と同等とされている。また、流通筒4においてフランジ部11よりも下側に位置する下側部分12は、口部3内に嵌合され、フランジ部11の下面は、容器2の口部3の上端縁に当接されている。
また、流通筒4においてフランジ部11よりも上側に位置する上側部分13は、下側から上側に向かうに連れ漸次縮径している。また、前記上側部分13の上端部における外周面には、前記上側部分13における他の部分よりも軸線O方向に沿った単位長さあたりの縮径量が大きいテーパ面14が形成されている。また、図示の例では、流通筒4の上端開口部である流通孔6を画成する前記上端部における内周面は、軸線O方向の位置に関わらず内径が同等な平坦面となっている。また、流通筒4の上端部においてこの平坦面の下側に連なる部分の内周面には、上側から下側へ向かうに連れ漸次拡径する被シール面15が形成されている。
また、塗布栓7は、前記先端部5と、先端部5の下側に連設され先端部5より大径な有頂筒状の基部16とからなる。先端部5の外径は、流通孔6の内径と同等若しくは若干小さくなっている。また、先端部5の外周面には、軸線O方向に沿って延びる溝5aが周方向に間隔を開け複数形成されている。また、図示の例では、先端部5の上側部分は、流通筒4から上側に突出している。
また、基部16は、流通筒4内に配設され、この基部16において先端部5に連設された天板部17の外周縁部には、上側から下側へ向かうに連れ漸次拡径すると共に、流通筒4内に形成された被シール面15に下側から当接及び離間するシール面18が形成されている。図示の例では、シール面18及び被シール面15は、軸線O方向に互いに離間している。また、図示の例では、基部16と流通筒4との間には、隙間があいている。また、基部16の内周面は、上側から下側に向かうに連れて漸次拡径している。
また、導入筒部8は、流通筒4と別部材で構成され、その下側部分19が流通筒4から下側に突出するように流通筒4内に配設されている。導入筒部8の軸線O方向の中間部分には、径方向の外側に向けて突設されたフランジ部20が形成されている。フランジ部20の外径は、流通筒4の下端縁における内径より大きく、且つ前記下端縁の外径より小さくなっており、フランジ部20の上面は、前記下端縁に当接している。
また、導入筒部8においてフランジ部20より上側に位置する上側部分21は、流通筒4の下端開口部内に配置され流通筒4に対して軸線O方向に固定されている。図示の例では、前記上側部分21は、流通筒4の下端開口部内に嵌合されることで流通筒4に対して軸線O方向に固定されている。また、導入筒部8の上端縁の内径及び外径は、塗布栓7の基部16の内径及び外径よりそれぞれ大きくなっている。
また、導入筒部8には、側方に向けて開口する側面開口部22が形成され、この側面開口部22の開口端縁23の少なくとも一部は、下側に向かうに従い漸次この導入筒部8の径方向の内側に向けて凹む曲線をなす曲線部24となっている。また、導入筒部8には、下側に向けて開口する端面開口部25が形成され、側面開口部22は、端面開口部25に連なっている。更に、側面開口部22の開口端縁23において端面開口部25に連なる部分は、軸線O方向に沿って延びる直線部26となっている。図示の例では、側面開口部22は、導入筒部8のフランジ部20より下側に位置する下側部分19に形成され、曲線部24の上端がフランジ部20の下端と連なっている。また、曲線部24の下端は、直線部26の上端と連なっている。また、曲線部24の軸線O方向の大きさは、例えば前記下側部分19の軸線O方向の大きさの約1/3となっている。また、曲線部24の径方向の大きさは、例えば前記下側部分19の内径の約1/2となっており、直線部26の径方向の位置は、軸線O方向に沿った縦断面視で軸線Oと一致する位置となっている。
また、導入筒部8及び流通筒4のうちの少なくとも一方には、容器2内と流通筒4内とを連通させる第1流路27が形成され、この第1流路27は、軸線Oを挟んだ側面開口部22の反対側に配置されている。図示の例では、第1流路27は、導入筒部8の外周面において流通筒4内に位置する部分から下端まで軸線O方向に沿って延びる溝状に形成されている。
また、付勢部材9は、軸線O周りに螺旋状に延びる樹脂バネからなり、その上端が塗布栓7の下端縁に連結され、その下端が導入筒部8の上端縁に連結されている。また、付勢部材9と流通筒4の内周面との間には、隙間があいている。また、図示の例では、塗布栓7、付勢部材9及び導入筒部8は、一体に形成されている。
また、オーバーキャップ10は、多段筒状に形成された本体部28と、本体部28の上側を塞ぐ天板部29と、を備えている。本体部28の内周面における軸線O方向の中間部分には、下側を向き流通筒4のフランジ部11の上面に当接する環状の押さえ面30が形成されている。また、本体部28の内周面において押さえ面30よりも下側に位置する部分には、容器2の雄ネジ3aに螺合する雌ネジ10aが形成されている。また、本体部28において押さえ面30よりも上側に位置する部分は、本体部28において押さえ面30の下側に位置する部分よりも縮径して形成されている。
また、オーバーキャップ10には、流通孔6を通した流通筒4の内部と外部との連通を遮断するシール部31と、塗布栓7の先端部5に上側から当接してこの塗布栓7を下側に向けて押下して、シール面18と被シール面15との当接を解除する押下部32と、が備えられている。
シール部31は、流通筒4及び容器2の少なくとも一方に上側から当接しており、図示の例では、シール部31は、オーバーキャップ10の天板部29の内面に下側に向けて突設された筒状体とされ、その下端縁(シール部の開口端縁)33が、流通筒4における流通孔6の開口縁部34と当接している。図示の例では、シール部31は、軸線Oと同軸に配設され、その内径が流通孔6の内径と同等とされている。また、オーバーキャップ10の天板部29の内面には、軸線Oと同軸に配置された筒状の補助シール部35が突設されており、この補助シール部35の内周面が、シール部31の外周面全周に亘り連結されている。補助シール部35の内周面には、シール部31の下端縁の径方向外縁部から下側へ向かうに連れ漸次拡径すると共に流通筒4のテーパ面14に当接するテーパ面36が形成されている。また、図示の例では、補助シール部35の外径は、オーバーキャップ10の本体部28において押さえ面30よりも上側に位置する部分の内径より小さくなっている。
押下部32は、オーバーキャップ10の天板部29の内面に設けられている。図示の例は、押下部32は、前記天板部29においてシール部31よりも径方向内側に配置されると共に下側に向けて突設されている。また、押下部32の突出高さは、シール部31の突出高さより小さくなっている。また、押下部32の外径は、シール部31の内径よりも小さく、押下部32とシール部31との間には隙間があいており、この隙間の径方向の大きさは、塗布栓7の先端部5に形成された溝5aの径方向の大きさと同等となっている。
また、この塗布容器1では、図2に示すように、オーバーキャップ10を容器2の口部3から取り外す際、シール面18と被シール面15とが当接する前にシール部31による流通筒4の内部と外部との連通の遮断が解除される。図示の例では、シール面18と被シール面15とが当接する前に、シール部31の下端縁33と流通筒4における流通孔6の開口縁部34との当接が解除され、更に、流通筒4のテーパ面14と補助シール部35のテーパ面36、及びオーバーキャップ10の押さえ面30と流通筒4のフランジ部11の上面が軸線O方向にそれぞれ離間するようになっている。
次に、以上のように構成された塗布容器1を利用して、内容物を塗布する方法について説明する。以下では、容器2内の内容物の液面位置が導入筒部8の下端より下側にあり、且つ流通筒4内がエアで満たされている場合を例として説明する。
まず、図1及び図2に示すように、オーバーキャップ10が容器2の口部3に装着された状態でこのオーバーキャップ10を軸線O周りに回転させて、オーバーキャップ10を口部3に対して上側に移動させながら口部3から取り外す。この際、前述したように、シール面18と被シール面15とが当接する前にシール部31の下端縁33と流通筒4における流通孔6の開口縁部34等による流通筒4の内部と外部との連通の遮断が解除され、容器2の内部と外部とが、導入筒部8内、流通筒4内及びオーバーキャップ10内を通して連通される。これにより、容器2内の圧力を外気圧と同等にすることができる。
この状態から更にオーバーキャップ10を取り外していくと、図3に示すように、シール面18と被シール面15とが当接し、容器2の内部と外部との連通が遮断される。なお、図示の例では、シール面18と被シール面15とは、オーバーキャップ10を口部3から取り外し終えた状態で当接しているが、オーバーキャップ10を取り外し終える前に当接しても良い。更に、シール面18と被シール面15とが当接するときには、押下部32と塗布栓7の先端部5とが当接した状態であっても良い。この場合、押下部32により塗布栓7が付勢部材9の付勢力に抗する力を受けた状態でシール面18と被シール面15とが当接するので、シール面18が前記付勢力により過度に加速されて被シール面15に衝突するのを防ぐことができる。
次いで、オーバーキャップ10を容器2の口部3から取り外した後に、塗布栓7の先端部5が下方を向くように容器2を傾ける。これにより、流通筒4内のエアと容器2内の内容物とが置換される。この際、例えば容器2を側面開口部22が下方に位置すると共に第1流路27が上方に位置するように傾けると、容器2内の内容物を側面開口部22及び端面開口部25を通して流通筒4内に流入させ易くすると共に、流通筒4内のエアを第1流路27を通して容器2内に流入させ易くすることができる。
次いで、塗布栓7の先端部5を被塗布面に押し当てて塗布栓7を流通筒4に対し容器2の内側へ押し込みシール面18と被シール面15との当接を解除することで、流通孔6から内容物を流出させ被塗布面に塗布する。そして、内容物を被塗布面に塗布し終えた後には、塗布栓7の先端部5の被塗布面への押し当てを解除して、塗布栓7に作用する前述の付勢力によりシール面18を被シール面15に当接させてシールすることで、内容物の流出を停止する。
次いで、塗布栓7の先端部5が上方を向くように容器2の傾きを元に戻して容器2を正立させる。これにより、流通筒4内の内容物を容器2内に向けて流れ落とす。
次いで、オーバーキャップ10を容器2の口部3に装着させる。この際、図2に示すように、まず、押下部32が塗布栓7の先端部5に当接して、シール面18と被シール面15との当接を解除し、更にオーバーキャップ10を口部3に締め込んでいくと、図1に示すように、シール部31の下端縁33と流通筒4における流通孔6の開口縁部34、流通筒4のテーパ面14と補助シール部35のテーパ面36、及びオーバーキャップ10の押さえ面30と流通筒4のフランジ部11の上面がそれぞれ当接することで、容器2の内部と外部との連通が遮断される。
以上に示した本実施形態の塗布容器1によれば、オーバーキャップ10を容器2の口部3から取り外す際、シール面18と被シール面15とが当接する前にシール部31による流通筒4の内部と外部との連通の遮断が解除されるので、内容物を被塗布面に塗布するのに先立って流通筒4の内部と外部とを連通させることができる。従って、容器2内の圧力が高まった場合であっても、内容物を塗布する前にその容器2内の圧力を外気圧と同等にすることが可能となり、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に噴き出してしまうのを抑制することができる。
また、流通孔6を通した流通筒4の内部と外部との連通を遮断するシール部31が備えられているので、押下部32によりシール面18と被シール面15との当接が解除されているにも関わらず、例えば塗布容器1を搬送するために容器2を傾けた場合や、塗布容器1が不意に転倒した場合等にも、内容物が容器2の内部から外部に漏出するのを抑制することができる。
また、シール部31が、流通筒4及び容器2の少なくとも一方に軸線O方向に沿った容器2の外側から当接することで流通筒4の内部と外部との連通を遮断しているので、オーバーキャップ10を取り外す際に容器2の口部3から僅かに移動させるだけで、シール部31による前述の連通の遮断を解除することが可能になり、この解除を確実にシール面18と被シール面15とが当接する前に行うことができる。
また、シール部31が、オーバーキャップ10の天板部29の内面に軸線O方向に沿った容器2の内側に向けて突設された筒状体とされ、その下端縁33が、流通筒4における流通孔6の開口縁部34と当接しているので、例えば塗布容器1を搬送するために容器2を傾けた場合や、塗布容器1が不意に転倒した場合等に、容器2の内部の内容物が流通筒4内を通ってシール部31内に流入される。従ってこの際、流通筒4とシール部31との当接部分に内容物が集中することに起因してシール部31の外部に流れ出してしまうのを抑えることができる。しかも、このシール部31内の内容物を、傾いた容器2を単に正立させるだけで、流通孔6を通して容器2の内部に流入させることができる。
また、導入筒部8に側方に向けて開口する側面開口部22が形成されているので、容器2内に開口する導入筒部8の開口面積を大きくすることができる。
また、側面開口部22の開口端縁23の一部が前記曲線部24となっているので、この開口端縁23の全部が、下側に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて直線状に延びている場合と比べて、側面開口部22内の内容物に働く凝集力(表面張力)を分散させて弱めることができる。
以上により、内容物を塗布した後に容器2を正立させたときに、導入筒部8内の内容物を容器2内に流れ落とし易くすることが可能となり、この流れ落としに併せて流通筒4内の内容物も導入筒部8を通して容器2内に流れ落とし易くすることができる。従って、流通筒4内に内容物が留まることを抑え、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制することができる。
また、流通筒4内の内容物を容器2内に流れ落とすことで、流通筒4内はエアで満たされた状態になるが、前述したように容器2内に開口する導入筒部8の開口面積が大きいので、容器2を傾けた際に、流通筒4内のエアを導入筒部8を通して容器2内に流入させ易く、且つ容器2内の内容物を導入筒部8を通して流通筒4内に流入させ易くする、つまり流通筒4内のエアと容器2内の内容物との置換効率を向上することができる。
以上により、塗布栓7の先端部5を被塗布面に押し当てシールを解除して内容物を塗布する際に、内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまうのを抑制しつつ、内容物を円滑に流出させることができる。
また、導入筒部8に軸線O方向に沿った容器2の内側に向けて開口する端面開口部25が形成されると共に、この端面開口部25に側面開口部22が連なっているので、容器2内に開口する導入筒部8の開口面積を拡大し、且つ側面開口部22内及び端面開口部25内の内容物に働く凝集力をより分散させることが可能となる。これらにより、内容物を塗布した後に容器2を正立させたときに、導入筒部8内の内容物を容器2内に確実に流れ落とすことができる。
また、側面開口部22の開口端縁23において端面開口部25に連なる部分は、軸線O方向に沿って延びる直線部26となっているので、容器2内に開口する導入筒部8の開口面積を更に拡大し、且つ側面開口部22内及び端面開口部25内の内容物に働く凝集力をより一層分散させることが可能となる。これらにより、内容物を塗布した後に容器2を正立させたときに、導入筒部8内の内容物を容器2内により一層確実に流れ落とすことができる。
また、容器2内と流通筒4内とを連通させる第1流路27が軸線Oを挟んだ側面開口部22の反対側に配置されているので、側面開口部22が下方に位置すると共に第1流路27が上方に位置するように容器2を傾けたときに、容器2内の内容物を側面開口部22及び導入筒部8内を通して流通筒4内に流入させ易くすると共に、流通筒4内のエアを第1流路27を通して容器2内に流入させ易くすることが可能となり、流通筒4内のエアと容器2内の内容物とが同一流路内で流通することを抑え、両者の置換効率をより向上することができる。なお、第1流路27が下方に位置すると共に側面開口部22が上方に位置するように容器2を傾けた場合においても、同様の効果が期待できる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る第2実施形態の塗布容器40を、図4を参照して説明する。
図4は、本発明に係る第2実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の塗布容器40では、塗布栓7及び付勢部材9と、導入筒部41と、が別部材で構成されている。また、塗布栓7及び付勢部材9は、付勢部材9の下端に連結された嵌合筒部42と一体に形成されている。嵌合筒部42は、流通筒4における下端開口部内に嵌合されており、その下端の軸線O方向に沿った位置は、流通筒4の下端における軸線O方向に沿った位置と同等になっている。また、嵌合筒部42の上端縁の内径及び外径は、塗布栓7の基部16の内径及び外径よりそれぞれ大きくなっている。そして、この嵌合筒部42内には、導入筒部41の前記上側部分21が嵌合されている。
また、流通筒4内には、塗布栓7の先端部5の下側へ向けた移動を規制する規制部43が配設されている。この規制部43は、軸線O方向に沿って延びる筒状に形成されると共に、内部が導入筒部41内に連通している。図示の例では、規制部43は、塗布栓7の基部16、付勢部材9及び嵌合筒部42の径方向内側に配設されると共に、その下端が導入筒部41の上端に連設されており、規制部43及び導入筒部41は、一体に形成されている。また、図示の例では、規制部43は、有頂筒状に形成され、上側から下側に向かうに従い漸次拡径している。
また、塗布栓7の基部16及び付勢部材9と、規制部43との間には径方向に隙間があいている。また、規制部43の上端面と塗布栓7の基部16の天板部17の下面との間には、軸線O方向に隙間があいている。図示の例では、この隙間の大きさは、流通筒4から上側に突出する塗布栓7の軸線O方向の大きさと同等となっている。また、図示の例では、規制部43の上端面は、前記天板部17の下面と同等の大きさとなっている。また、図示の例では、塗布栓7の基部16の内側に、規制部43の頂部43aの上側部分が配置されている。
また、流通筒4の内周面と規制部43の外周面との間には、シール面18及び被シール面15が離間したときに外部と連通する第2流路44が形成されている。図示の例では、第2流路44は、軸線O方向に沿って付勢部材9が配設されている範囲に形成されている。また、第2流路44は、流通筒4の内周面と塗布栓7の外周面との間及び流通孔6を通して外部と連通されている。
また、規制部43には、その内部と第2流路44とを連通する連通開口45が形成されている。図示の例では、連通開口45は、規制部43の周壁部43bに形成され、軸線O方向に長い長方形状をなしている。また、連通開口45は、前記周壁部43bに、周方向に互いに間隔をあけて複数形成されている。また、連通開口45の上端における軸線O方向の位置は、第2流路44の軸線O方向の中央位置と等しくなっている。また、連通開口45の軸線O回りの大きさW1は、第2流路44の径方向の大きさW2より大きくなっている。
次に、以上のように構成された塗布容器40を利用して、内容物を塗布する方法について説明する。
まず、オーバーキャップ10を口部3から取り外し、その後、塗布栓7の先端部5が下方を向くように容器2を傾けて、先端部5を被塗布面に押し当てて塗布栓7を流通筒4に対し容器2の内側へ押し込んで、流通孔6から内容物を流出させ被塗布面に塗布する。この際、塗布栓7の基部16の天板部17が規制部43の上端面に当接して、塗布栓7の先端部5の容器2の内側へ向けた移動が規制される。なお、図示の例では、規制部43の上端面と塗布栓7の基部16の天板部17の下面との間隔の大きさが、流通筒4から突出する塗布栓7の軸線O方向の大きさと同等となっているので、前記先端部5の上端面が流通筒4の上端面(開口縁部34)と軸線O方向において同等の位置で移動が規制される。
次いで、内容物を被塗布面に塗布し終えた後には、塗布栓7の先端部5の被塗布面への押し当てを解除して内容物の流出を停止し、塗布栓7の先端部5が上方を向くように容器2を正立させて、流通筒4内の内容物を、容器2内に向けて流れ落とす。この際、流通筒4内の内容物は、第2流路44から連通開口45を通った後、更に規制部43内及び導入筒部41内を通り容器2内に流れ落とされる。なお、図示の例では、連通開口45の軸線O回りの大きさW1は、第2流路44の径方向の大きさW2より大きくなっており、連通開口45における流路抵抗が、第2流路44における流路抵抗よりも小さくなるので、内容物が連通開口45を通過する際、第2流路44から導入筒部41内に引き込まれるように通過すると考えられる。
以上に示した本実施形態の塗布容器40によれば、第1実施形態の塗布容器1と同様の作用効果を奏することができる。
また、塗布栓7の先端部5が容器2の内側へ向けて移動したときに、塗布栓7が規制部43に当接して、この移動が規制される。これにより、塗布栓7が過度に軸線O方向に沿った容器2の内側に押し込まれることがなく、塗布栓7の過度の押し込みに起因して例えば内容物が意図した以上に多量に被塗布面に塗布されてしまったり、或いは塗布栓7の先端部5が元の位置に戻らなくなってしまったりするのを抑制することができる。
また、内容物の塗布後に容器2を正立させたときには、第2流路44内の内容物が連通開口45を通して規制部43内に引き込まれるように流入することになり、この流入によって導入筒部41内の内容物を容器2内に押し込ませることで流れ落とし易くすることができる。
なお、本実施形態では、連通開口45の軸線O回りの大きさW1が、第2流路44の径方向の大きさW2より大きいものとしたが、これに限らない。
また、本実施形態では、規制部43の上端面と塗布栓7の基部16の天板部17の下面との間隔の大きさが、流通筒4から突出する塗布栓7の軸線O方向の大きさと同等となっているとしたが、これに限らない。
〔第3実施形態〕
次に、本発明に係る第3実施形態の塗布容器50を、図5を参照して説明する。
図5は、本発明に係る第3実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の塗布容器50では、導入筒部51の前記上側部分21が、流通筒4における下端開口部内に嵌合されている。また、規制部43の下端の外径は、導入筒部8の上端の外径より小さくなっており、導入筒部51には軸線O方向に直交する上端面51aが形成されている。
また、塗布栓7と付勢部材52とは別部材であり、付勢部材52は、軸線O回りに螺旋状に延びる金属バネからなると共に、導入筒部51の上端面51aと塗布栓7の下端面との間に介装されている。
以上に示した本実施形態の塗布容器50によれば、第2実施形態の塗布容器40と同様の作用効果を奏することができる。
また、付勢部材52が金属バネなので、この付勢部材52による付勢力を長期間維持することができる。なお、この塗布容器50では、塗布栓7が押下部32によって下側に向けて押下されており、容器2にオーバーキャップ10が装着されているときには常に付勢部材52に前述した付勢力に抗する力が働いているため、この付勢力が短期間で弱まる恐れがある。
なお、本発明の技術的範囲は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記各実施形態では、塗布栓7の先端部5の外周面に軸線O方向に沿って延びる溝5aが周方向に間隔を開け複数形成されているとしたが、溝は前記先端部5の外周面において下側から上側へと内容物を通すように形成されていれば良く、これに代えて、例えば先端部5の外周面に螺旋状の溝を形成したり、周方向に沿って延びる環状の複数の溝を軸線O方向に繋いで形成したりしても構わない。
また、前記各実施形態では、導入筒部8、41、51を備えているが、導入筒部8はなくても構わない。
また、前記各実施形態では、押下部32は、オーバーキャップ10の天板部29に突設されているものとしたが、塗布栓7の先端部5に上側から当接すればよく、例えばオーバーキャップ10の本体部28等に設けても良い。
また、前記各実施形態では、塗布栓7の先端部5の上側部分が、オーバーキャップ10が装着されているときに流通筒4から上側に突出しているとしたが、流通孔6内に流通筒4に対して出没自在に挿通されていれば良く、突出していなくても良い。
また、前記各実施形態では、オーバーキャップ10に補助シール部35及び押さえ面30を設けたが、これらはなくても構わない。また、シール部31は流通筒4における流通孔6の開口縁部34と当接しているとしたが、流通筒4における他の部分に当接するようにしても良いし、容器2に当接するようにしても良いし、また、流通筒4と容器2との両方に当接しても良い。また、シール部31は流通筒4に上側から当接するとしたが、例えばシール部31の内周面と流通筒4の外周面を互いに当接させ、つまりシール部31を流通筒4に径方向の外側から当接させてもよい。更にまた、シール部31を筒状体に形成したが、柱状体に形成しても良い。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
本発明に係る第1実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。 図1に示す塗布容器においてオーバーキャップを取り外す過程を示す概略縦断面図である。 図1に示す塗布容器においてオーバーキャップを取り外した状態を示す概略縦断面図である。 本発明に係る第2実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。 本発明に係る第3実施形態の塗布容器において、オーバーキャップを容器の口部に装着した状態を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1、40、50 塗布容器
2 容器
3 口部
4 流通筒
5 先端部
6 流通孔
7 塗布栓
9、52 付勢部材
10 オーバーキャップ
15 被シール面
18 シール面
31 シール部
32 押下部
33 シール部の下端縁(シール部の開口端縁)
34 流通筒における流通孔の開口縁部

Claims (1)

  1. 内容物が収容される容器と、
    前記容器の口部に装着され、内部が前記容器内に連通する流通筒と、
    前記流通筒内にその軸方向に沿った容器の外側に向けて付勢された状態で配設され、先端部が前記流通筒に形成された流通孔内に該流通筒に対して出没自在に挿通された塗布栓と、を備え、
    前記塗布栓において前記流通筒内に位置する部分には、前記流通筒内に形成された被シール面に前記軸方向に沿った容器の内側から当接及び離間するシール面が形成された塗布容器であって、
    前記容器の口部に着脱自在に装着されて、前記流通筒及び前記塗布栓の先端部を覆うオーバーキャップが備えられ、
    前記オーバーキャップには、前記流通孔を通した前記流通筒の内部と外部との連通を遮断するシール部と、前記塗布栓の先端部に前記軸方向に沿った容器の外側から当接してこの塗布栓を前記軸方向に沿った容器の内側に向けて押下して、前記シール面と前記被シール面との当接を解除する押下部と、が備えられ、
    前記オーバーキャップを前記容器の口部から取り外す際、前記シール面と前記被シール面とが当接する前に前記シール部による前記流通筒の内部と外部との連通の遮断が解除され
    前記シール部は、前記流通筒及び前記容器の少なくとも一方に前記軸方向に沿った容器の外側から当接し、
    前記シール部は、前記オーバーキャップの天板部の内面に前記軸方向に沿った容器の内側に向けて突設された筒状体とされ、その開口端縁が、前記流通筒における前記流通孔の開口縁部と当接し、
    前記天板部の内面には、前記シール部と同軸に配置されるとともに前記シール部よりも前記軸方向に沿った容器の内側に突出し、内周面が、前記シール部の外周面全周に亘り連結された筒状の補助シール部が突設され、
    前記補助シール部のうち、前記シール部よりも前記軸方向に沿った容器の内側に突出する部分内には、前記流通筒が嵌合されていることを特徴とする塗布容器。
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