JP5134808B2 - 糖アルコールを含有する蓄熱材組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、糖アルコール、好ましくはエリスリトール、及び水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液をを含有する蓄熱材組成物、並びにそれを用いた蓄熱装置に関する。
熱エネルギーは産業や生活にとって極めて重要なエネルギーであり、その多くは燃料物質の燃焼や電気エネルギーから得てきている。近年、地球資源を有効に活用するということから、太陽熱や廃熱などの利用が注目されてきているが、熱エネルギーは、発生時期や発生量が不安定なために、これを有効に利用することが限られていた。このような熱エネルギーを一時的に貯蔵することができれば、熱エネルギーの有効な利用が可能となる。このために、熱エネルギーの一時的な貯蔵手段として各種の蓄熱材料が開発されてきている。蓄熱材料としては、大きく分けて顕熱材料を用いた顕熱型蓄熱材料と、潜熱材料を用いた潜熱型蓄熱材料がある。
顕熱型蓄熱材料は、湯タンポのように物質(湯タンポでは、水)の熱容量を利用するものであり、古くから人類が利用してきたものであるが、熱容量が小さく温度制御が困難であるために、大きな熱容量を確保するためには大きな装置が必要となるといった欠点がある。
また、潜熱型蓄熱材料は、物質の融解などの相転位を利用したものであり、顕熱型蓄熱材料に比べて相転位温度付近の狭い温度領域に大量の熱エネルギーを貯蔵できることから、温度制御が比較的容易であることや、小容量でコンパクトな装置とすることが可能となる。このために潜熱型蓄熱材料の開発が注目されてきている。例えば、硫酸ナトリウム・10水塩(融点32℃)、酢酸ナトリウム・3水塩(融点58℃)、4級アンモニウム塩水和物蓄熱材料、有機化合物のパラフィン系やエステル系などを用いた蓄熱材料が開発されてきており、床暖房や人体接触暖房用として実用化されてきているものもある。水和塩型蓄熱材料は、他の有機系蓄熱材料に比べて高い蓄熱密度を有し、かつ不燃性という特長を有するが、一方で融解・凝固の繰り返しによる相分離や過冷却現象を生じやすく、そのために、相分離防止剤や、過冷却防止剤を添加しなければ実用的でないという欠点がある。さらに、金属に対する腐食性が大きいため、収納容器材質には十分な配慮が必要であるという欠点もある。
近年になって、蓄熱材料の安全性の観点から、蓄熱材料としての糖アルコールが注目されてきた(特許文献1参照)。糖アルコールは食品として使用されるものであり、人体に対する安全性の観点からは、従来の無機系材料に比べて極めて安全性の高いものである。糖アルコールとしては、キシリトール(融点95℃)、エリスリトール(融点123℃)、またこの誘導体としてのペンタエリスリトール(融点260℃)が着目されてきた。キシリトールは、融点が水の沸点である100℃以下であり、水を熱媒とする蓄熱装置においては好ましいものであるが、過冷却が激しく、熱安定性も十分ではなく、安定して使用できる蓄熱材料としては適していない。エリスリトールは、融点が100℃以上ではあるが、比較的安定性が良く蓄熱材料として注目されてきた(特許文献2参照)。
エリスリトールは、蔗糖の75%の甘味度を有し非う触性で低カロリーの甘味剤として広く食品用に使用されてきているものであり、その安全性も緩下作用の無作用量が0.66g/kg(体重)と大きく、さらにブドウ糖から発酵法により大量生産できる技術も確立されてきており、産業材料としても有望視されてきている。
また、融解潜熱も大きく蓄熱材料としても優れているが、融点が100℃以上であること、過冷却を起こすこと、金属材料などに対する腐食性があること、温度変化に対する熱安定性が十分でないことなどの問題があり、蓄熱材料としての改善が必要とされてきた。
このために、りん酸塩、珪酸塩、有機アミンなどの含有させて腐食を防止する方法(特許文献3参照)、糖アルコールや水に難溶性の無機塩を添加して過冷却を防止する方法(特許文献4及び5参照)、珪酸化合物、又は水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の2価若しくは3価の無機化合物を添加してエリスリトールの熱安定性を改善する方法(特許文献6参照)、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩、カルボン酸塩および分子内に2個以上のアミノ基を有する有機ポリアミン化合物から選ばれる少なくとも一種の水溶性有機化合物を添加して熱安定性を改善する方法(特許文献7参照)などが提案されている。
また、エリスリトールは融点が高く、熱媒体として水を使用する場合には、水が過熱されることになる。例えば、水が130℃に過熱された場合には、その内圧が2.7気圧となり、耐圧性の蓄熱装置が必要となる。常圧で水を熱媒体とする蓄熱装置を用いる場合には水が沸騰しない温度制御が必要になる。このために、キシリトールの融点を降下させるための技術開発が行われている。例えば、キシリトールを45〜75%配合させて融点を70〜90℃にするもの(特許文献8参照)、アミノ酸化合物を配合して融点を70〜115℃とするもの(特許文献9参照)、トリメチロールエタンを配合するもの(特許文献10参照)、トリメチロールエタン及びアミノ酸化合物などの水溶性化合物を配合して融点を70〜120℃に降下させるもの(特許文献11参照)、エリスリトールの光学異性体であるD−スレイトール及び/又はL−スレイトールを配合して融点を85〜120℃程度と降下させるもの(特許文献12及び13参照)、尿素類を配合させて融点を90℃台とするもの(特許文献14参照)などがある。これらの方法は、いずれも水を含有するものではなく、これらの2種以上の化合物を混合するものである。
エリスリトールに水を配合した組成物としては、エリスリトール6〜25重量%及び水75〜94重量%からなり、−5℃以上0℃未満に融点を有することを特徴とする蓄熱材組成物(特許文献15参照)、エリスリトールなどの糖アルコールの分子内脱水物から選ばれる少なくとも一種の化合物を5〜40重量%含有する水溶液からなる、−10℃以下でも液状を保持することができるブライン(不凍液)組成物(特許文献16参照)などが報告されているが、いずれもブライン(不凍液)組成物に関するものである。
エリスリトールの融点を降下させるために水を配合することが安全性に点からも好ましいが、エリスリトールは他の糖類に比べて水に対する溶解度が低く(38%(25℃))、80℃においても蔗糖と同程度の溶解度しか示さない。しかも、水と混合した場合には、相転移点における熱容量が極めて小さくなり実用的ではないとされていた。
特開昭63−500946号公報 特開平5−32963号公報 特開2001−214158号公報 特開平9−249875号公報 特開2000−38577号公報 特開平8−245953号公報 特開平10−324868号公報 特開平10−204423号公報 特開平11−21549号公報 特開平11−152464号公報 特開平11−181415号公報 特開2000−87020号公報 特開2003−90548号公報 特開2001−31957号公報 特開平10−279931号公報 特開2000−8027号公報
以上のように、エリスリトールの凝固・融解点は通常123℃であるが、これに凝固点降下剤を加えることによって凝固・融解点を変化させることが出来るが、当然、凝固点降下剤を使用すると融解熱量が落ちてしまう。ここで、最も安価かつ安全な凝固点降下剤は水であるが、水を添加した場合、融解潜熱が大きく下がる傾向にあるため、下がらないようにする技術が求められていた。
したがって、本発明は、糖アルコール好ましくはエリスリトールと水を含有してなる蓄熱材組成物であって、融点が当該糖アルコールの融点未満であり、融解熱容量が高い新規な蓄熱材組成物を提供するものである。
本発明者らは、融点の降下した糖アルコール特にエリスリトール含有蓄熱材組成物を検討してきた。そのために、種々の方法が提案されてきているが、エリスリトールをより不燃性にし、かつ安価で安全な凝固点降下剤として水の配合に着目してきた。エリスリトールに水を配合することにより、融点の降下を達成することはできたが、融解潜熱が大きく下がり蓄熱材組成物として実用性を欠くものであった。本発明者らは、さらにこの場合における融解潜熱の低下を防止する対策を種々検討してきた結果、水に易溶な無機又は有機の塩類を予め水に溶解させた水溶液をエリスリトールに添加することにより、潜熱容量の大幅な低下を防止できることを見出し、安全で安価な実用的な蓄熱材組成物を提供することができた。
即ち、本発明は、糖アルコール及び水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液を含有してなる蓄熱材組成物に関する。
また、本発明は、前記した本発明の蓄熱材組成物を蓄熱材料として用いた蓄熱装置に関する。
本発明をより詳細に説明すれば以下のとおりとなる。
(1)糖アルコール及び水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液を含有してなる蓄熱材組成物。
(2)水溶性の塩類が、20℃で水100gに対する溶解度が5g以上である塩類である前記(1)に記載の蓄熱材組成物。
(3)水溶性の塩類が、20℃で水100gに対する溶解度が10g以上である塩類である前記(1)又は(2)に記載の蓄熱材組成物。
(4)水溶性の塩類が、無機又は有機の塩類である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(5)水溶性の塩類が、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(6)水溶性の塩類が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(7)水溶性の塩類が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の有機酸塩である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(8)水溶性の塩類が、ハロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ金属、及びアルカリ金属カルボン酸塩の群から選ばれる塩類である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(9)糖アルコールが、エリスリトール 、マンニトール、又はキシリトールの1種又は2種以上からなるものである前記(1)〜(8)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(10)糖アルコールが、エリスリトール である前記(9)に記載の蓄熱材組成物。
(11)水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液の濃度が、当該塩類の飽和濃度未満である前記(1)〜(10)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(12)水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液の濃度が、10質量%〜60質量%である前記(1)〜(11)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(13)蓄熱材組成物の全量に対する水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液の含有量が、3質量%〜50質量%である前記(1)〜(12)のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
(14)前記(1)〜(13)のいずれかに記載の蓄熱材組成物を蓄熱材料として用いた蓄熱装置。
本発明者らは、蓄熱材として糖アルコールの1種であるエリスリトールについて検討した。特にエリスリトールは、融点以上に加熱することにより容易に融解し、このとき融解潜熱分のエネルギーを吸熱して温度を融点付近に保持でき、逆に融点以下まで冷却すると、結晶化熱分のエネルギーを発熱して温度を融点付近に保持することができ、融解潜熱が大きく、難燃性で、かつ腐食性がないという優れた性質を有している。
まずエリスリトールに種々の量の水を加えて、それらの融解点(℃)と融解熱(J/g)を測定した。その結果を次の表1に示す。
Figure 0005134808
この結果、エリスリトール100質量%の場合には、融点が123℃と高いが、融解熱は271.43J/gと極めて大きかった。この融点を下げるために水を加えたが、水を10質量%加えただけで、融解熱は146.66J/gと約半分程度にまで減少した。水を20質量%加えた場合には融点は91.3℃となり水の沸点以下まで融点を下げることができたが、このために失われる融解熱の減少が極めて大きく、実用性に乏しいことがわかった。
この点を改善するために、種々検討してきた結果、食塩水を用いて同様な実験を行った。この結果を次の表2に示す。
Figure 0005134808
食塩水を5質量%混合した場合には、水の場合と同程度の融解熱となり、塩化ナトリウムを添加した意味が顕著に見られなかったが、塩化ナトリウム水溶液を10質量%混合した場合には、融解熱は191.63J/gに止まり、水の場合に比べて顕著な相違が見られる。そして、融点も113.8℃となり、約10℃の融点降下が見られた。このことは、食塩を溶解した水溶液を用いた場合には、水と同様な融点降下を示すが、融解熱の減少は水ほどではないということであり、実用的な蓄熱材組成物の開発ができることが示された。
次に本発明者らは、このことが食塩に特有なことでないことを確認するために、塩化カリウム又は酢酸カリウムの水溶液を用いて同様な実験を行った。この結果を、前記の10質量%の場合の結果と併せて次の表3に示す。
Figure 0005134808
この結果、塩化カリウム又は酢酸カリウムの場合も、その融解熱はそれぞれ173.29J/g、197.06J/gであり、前記の実験における塩化ナトリウムとほぼ同様な結果が得られ、このような現象が塩化ナトリウムに特有なものではなく、塩類の水溶液を用いた場合に共通する現象であることが確認された。そして、その効果(融解熱の量)は、塩類の種類に依存するのかもしれないが、塩類の種類と同時に塩類の濃度により大きく依存しているように見えた。即ち、20質量%の塩化カリウム水溶液では173.29J/gであり、22質量%の塩化ナトリウム水溶液では191.63J/gであり、50質量%の酢酸カリウム水溶液では197.06J/gであった。
以上のことからも明らかなように、水を単独で使用した場合には、融点降下は起こるが、同時に融解熱も大きく減少する。しかし、本発明の方法にしたがって、水溶性の塩類を溶解した水溶液を用いた場合には、塩類の種類によらず、水と同様な融点降下は生じるが、融解熱の減少は水単独の場合に比べて極めて少ないことがわかる。
したがって、糖アルコール、好ましくはエリスリトールに水溶性の塩類を溶解した水溶液を混合することにより、水の沸点辺りに融点が降下した蓄熱材組成物であって、糖アルコールに基づく大きな融解熱を保持したままの蓄熱材組成物を得ることができる。
本発明の蓄熱材組成物における糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール 、マンニトール、ガラクチトール、キシリトール、ソルビトール等の蓄熱材として使用可能な糖アルコールが挙げられる。これらの糖アルコールは、利用温度帯によって、これらを単独で使用しても良いし、またこれらの2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明における糖アルコールとしては、融点が123℃であるエリスリトールが、特に給湯装置、ボイラーの廃熱利用や、水を熱媒とする蓄熱装置に適しており、特に好ましいものである。
特にエリスリトールは、キシリトールなどの他の糖類と比較して結晶性が非常に良く、過冷却も少ない。また、エリスリトールは、融点以上に加熱することにより容易に融解し、このとき融解潜熱分のエネルギーを吸熱して温度を融点付近に保持でき、逆に融点以下まで冷却すると、結晶化熱分のエネルギーを発熱して温度を融点付近に保持することができ、融解潜熱が大きく、難燃性で、かつ腐食性がないという優れた性質を有している。さらに、エリスリトールは、既に食品素材として使用されてきているものであり、人体に対して極めて安全なものであり、グルコースを原料とした酵母を用いた発酵法により大量に生産されているものである。このような理由からも、本発明の糖アルコールとしてはエリスリトールが特に好ましい。
本発明の蓄熱材組成物における「水溶性の塩類」としては、20℃で水100gに対する溶解度が5g以上、好ましくは8g以上、10g以上、より好ましくは15g以上、さらに好ましくは20g以上の水溶性の金属塩類、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩類が挙げられる。本発明の好ましい金属塩類としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられるが、アルカリ金属塩がより好ましい。これらの金属塩、好ましくはアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、カルボン酸やスルホン酸などの有機酸塩でもってもよいし、ハロゲン化酸、炭酸、炭酸水素、硫酸、硝酸などの無機酸塩であってもよい。好ましい塩類としては、ハロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ金属、炭酸アルカリ土類金属、及びアルカリ金属カルボン酸塩の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、例えば、塩化ナトリウム(36.38)、塩化カリウム(25.5)、塩化カルシウム(42.7)、塩化マグネシウム(35.3)、炭酸ナトリウム(18.1)、炭酸カリウム(52.5)、炭酸水素カリウム(25.0)、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム(49)、酢酸カルシウム(34.7)などが挙げられる。なお、カッコ内の数値は、100gの飽和水溶液中に存在する各物質の質量をg(グラム)で表示したものである。安全性や価格の点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウムなどが好ましく、なかでも塩化ナトリウムが好ましい。
これらの塩類は、1種類を単独で使用することもできるが、これらの中の2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
水溶液中のこれらの塩類の濃度としては、室温以上の温度で当該塩類の結晶が析出しない濃度であれば特に制限はないが、具体的には、例えば、当該塩類の70℃以上、好ましくは50℃以上、30℃以上、又は20℃以上における飽和濃度以下であって、10質量%〜60質量%、好ましくは10質量%〜50質量%、より好ましくは15質量%〜50質量%が挙げられる。好ましい濃度としては、当該塩類の20℃における飽和濃度の50〜95%、好ましくは50〜90%、又は60〜80%程度が挙げられる。
本発明の蓄熱材組成物における塩類が溶解した水溶液の配合量としては、特に制限はないが、好ましくは塩類の水溶液が、蓄熱材組成物の全量に対して5〜60重量%、より好ましくは10〜60質量%、10〜45質量%程度である。
本発明の蓄熱材組成物は、水溶性の塩類を予め水に溶解させてエリスリトールなどの糖アルコールに添加し、これを混合して製造することができるが、これに限定されるものではなく、糖アルコール、水溶性の塩類、及び水を適宜混合して製造することができる。
本発明の蓄熱材組成物は、蓄熱材料として、さらに他の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、腐食防止剤、酸化防止剤、耐電防止剤、着色剤、防黴剤などが挙げられる。また、保形性や流動性を改善するために、粒状化してその表面を架橋性ポリマーなどで被覆してもよいし、カプセル化して使用することも可能である。
本発明の蓄熱材組成物は、各種の保温用具や冷暖房機器、熱回収システムなどの各種の蓄熱装置における蓄熱材料として使用することができる。従来のポリエチレングリコールを蓄熱材料として装置と同様にして、本発明の蓄熱材組成物を各種装置に適用することができる。適用に当たっては、本発明の蓄熱材組成物は水を含有していることから、装置の金属部分の腐食の防止に留意する必要がある。
ポリエチレンやナイロンなどの合成樹脂を、本発明の蓄熱材組成物の容器とすことが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明は、実用性の高い60℃以上120℃以下の融点を有し、かつ水を単独で使用した場合に比べて潜熱量が大きな実用的な蓄熱材組成物を提供する。本発明の蓄熱材組成物は、高い潜熱量、蓄熱温度において非常に有用な蓄熱材であるだけでなく、安全性の高い糖アルコールと水を含有するものであり、糖アルコールは毒性がなく、消防法における危険物ではないので可燃性も低く、それに水を添加することによって更に不燃性を増大させることが可能となり、更に、本発明においてはこれにさらに不燃性の塩類が添加されていることから不燃性が増している。
糖アルコールのなかでも、特にエリスリトールは、その高い潜熱量、蓄熱温度において非常に有用な蓄熱材であり、エリスリトールはキシリトールなどの他の糖類と比較して結晶性が非常に良く、過冷却も少なく、本発明は、エリスリトールを用いた潜熱量が高く、安価で、実用性の高い60℃以上120℃以下の蓄熱材を自由に設計することが出来る、新規な蓄熱材組成物及びそれを用いた蓄熱装置を提供するものである。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下に示す実施例においては、蓄熱材の潜熱量をDSC SEIKO6200(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。
塩化ナトリウムを水に溶解して、塩化ナトリウム濃度が22質量%の塩化ナトリウム水溶液を調製した。
得られた塩化ナトリウム水溶液の5質量部とエリスリトール95質量部とを混合し、撹拌して塩化ナトリウム水溶液を5質量%含有する蓄熱材組成物を製造した。
得られた蓄熱材組成物の潜熱量(融解熱)及び融点を測定した。結果を前記した表2の実験番号1に示す。
塩化ナトリウム水溶液を10質量部とエリスリトール90質量部としたほかは実施例1と同様にして塩化ナトリウム水溶液を10質量%含有する蓄熱材組成物を製造した。
得られた蓄熱材組成物の潜熱量(融解熱)及び融点を測定した。結果を前記した表2の実験番号2に示す。
塩化ナトリウム水溶液を15質量部とエリスリトール85質量部としたほかは実施例1と同様にして塩化ナトリウム水溶液を15質量%含有する蓄熱材組成物を製造した。
得られた蓄熱材組成物の潜熱量(融解熱)及び融点を測定した。結果を前記した表2の実験番号3に示す。
塩化ナトリウム水溶液を25質量部とエリスリトール75質量部としたほかは実施例1と同様にして塩化ナトリウム水溶液を25質量%含有する蓄熱材組成物を製造した。
得られた蓄熱材組成物の潜熱量(融解熱)及び融点を測定した。結果を前記した表2の実験番号4に示す。
塩化ナトリウム水溶液を30質量部とエリスリトール70質量部としたほかは実施例1と同様にして塩化ナトリウム水溶液を30質量%含有する蓄熱材組成物を製造した。
得られた蓄熱材組成物の潜熱量(融解熱)及び融点を測定した。結果を前記した表2の実験番号5に示す。
塩化カリウムを水に溶解して、塩化カリウム濃度が20質量%の塩化カリウム水溶液を調製した。
得られた塩化カリウム水溶液の10質量部とエリスリトール90質量部とを混合し、撹拌して塩化カリウム水溶液を10質量%含有する蓄熱材組成物を製造した。
得られた蓄熱材組成物の潜熱量(融解熱)及び融点を測定した。結果を前記した表3の実験番号1に示す。
酢酸カリウムを水に溶解して、酢酸カリウム濃度が50質量%の酢酸カリウム水溶液を調製した。
得られた酢酸カリウム水溶液の10質量部とエリスリトール90質量部とを混合し、撹拌して酢酸カリウム水溶液を10質量%含有する蓄熱材組成物を製造した。
得られた蓄熱材組成物の潜熱量(融解熱)及び融点を測定した。結果を前記した表3の実験番号2に示す。
比較例1−5
水が、0質量部、5質量部、10質量部、20質量部、及び30質量部に対して、それぞれエリスリトールが、100質量部、95質量部、90質量部、80質量部、及び70質量部となるように、これらをそれぞれ混合し、撹拌して水を含有する蓄熱材組成物を製造した。
得られた蓄熱材組成物の潜熱量(融解熱)及び融点を測定した。結果を前記した表1の実験番号1−5にそれぞれ示す。
熱エネルギーの有効な活用は地球温暖化を防止ためにも極めて重要な課題とおり、本発明の蓄熱材組成物は、潜熱量が大きく、安価で、かつ極めて安全性の高いものであり、産業上も極めて有用なものである。

Claims (10)

  1. 糖アルコール、及び20℃で水100gに対する溶解度が5g以上である水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液を蓄熱材組成物の全量に対して5〜60重量%(但し、塩類が酢酸ナトリウムを含有する場合には、60重量%の場合を除く)含有してなる蓄熱材組成物。
  2. 水溶性の塩類が、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属である請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 水溶性の塩類が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物である請求項1又は2に記載の蓄熱材組成物。
  4. 水溶性の塩類が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の有機酸塩である請求項1又は2に記載の蓄熱材組成物。
  5. 糖アルコールが、エリスリトール 、マンニトール、又はキシリトールの少なくとも1種からなるものである請求項1〜4のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
  6. 糖アルコールが、エリスリトールである請求項5に記載の蓄熱材組成物。
  7. 水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液の濃度が、10質量%〜60質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
  8. 蓄熱材組成物の全量に対する水溶性の塩類の少なくとも1種を溶解した水溶液の含有量が、質量%〜50質量%である請求項1〜7のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
  9. 蓄熱材組成物が、60℃以上120℃以下の融点を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の蓄熱材組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の蓄熱材組成物を蓄熱材料として用いた蓄熱装置。
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