JP3797710B2 - 潜熱蓄熱材組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潜熱蓄熱材組成物に関し、特に約35〜50℃の熱源を活用する蓄熱材として有用で、暖房(特に床暖房)、給温水用、空調用およびヒートポンプ排熱回収用などの用途に供することができ、安全性が高く、難燃性で、かつ耐久性に優れた潜熱蓄熱材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下に床暖房を例にとり説明する。近年の電気式床暖房システムの普及に伴い、電気式の中でも蓄熱型の占める割合が増大してきている。そのなかでも経済性に優れた深夜電力を活用した蓄熱型潜熱式床暖房システムの普及は目ざましい。養護施設や幼稚園、公民館のような大型の公共施設においては、床コンクリート打設時にヒーター線とともに潜熱蓄熱材組成物が充填されたプラスチック製パネルを敷設し、打設後床仕上げを行うことにより、蓄熱型潜熱式床暖房システムを設置する例が一般的である。かかる床暖房システムは使用時には通電制御をすることによって、頭寒足温の採暖ができ、快適であるといわれている。蓄熱型潜熱式床暖房システムに使用される潜熱蓄熱材組成物としては、30℃付近に相変化温度をもつ硫酸ナトリウム10水和塩(NaSO・10HO)が多用されてきた。
【0003】
しかしながら、今日、仕上げ材の高級化に伴って、床表面の仕上げ方法として、コンクリートに塩化ビニルシートやエポキシ樹脂を塗布する仕上げ方法に代わって、絨毯や木が使用される仕上げ方法が目立つようになってきた。かかる絨毯や木を仕上げ材に使用した場合、その仕上げ材自体が微細な間隙を有するために、熱伝導を阻害する例がみられる。すなわち、上述の蓄熱材組成物が有する30℃の放熱温度と空調対象となる室温との差が10℃前後の状態では、絨毯や木が熱抵抗となり、うまく放熱できないという問題を生じるようになった。
【0004】
そこで、現状では以上のような問題点を解決すべく、ノルマルパラフィンをオレフィンポリマー、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などと混合し、プレス成形をし、平板状にせしめたものを潜熱蓄熱材とし、この被プレス体をアルミラミネートフィルムにて包装したものを潜熱蓄熱器として床暖房システムに組み込むケースが見受けられるようになった。ノルマルパラフィンは炭素数によって相変化温度の調整ができ、例えば、床暖房用としては40〜50℃(炭素数にして20から24程度)の相変化温度をもつノルマルパラフィンがよく使用される。この潜熱蓄熱材組成物を用いた床暖房システムは、仕上げ材の高級化には対応できるものの、ノルマルパラフィン−オレフィンで構成される潜熱蓄熱材組成物はその比重が小さいため、単位容積当たりの蓄熱量が低く、また可燃性であり、さらにアルミラミネートフィルムの外装体も施工時の取扱によってはピンホールが生じやすいという問題点があった。
【0005】
ノルマルパラフィン−オレフィンで構成される潜熱蓄熱材組成物を難燃化しようとする試み(特開平06−49441号公報参照)もあるが、要求される難燃グレードが高くなるに従って難燃剤の添加量が増大し、潜熱蓄熱量が低下するという新たな問題点が生じた。
【0006】
いずれにしても、ノルマルパラフィン−オレフィンで構成されるような潜熱蓄熱材の持つ上述の諸々の問題点を克服して、相変化温度として35〜50℃程度を持ち、単位容積当たりの蓄熱量が大きく、安全性が高く、資源性があり、安価で、かつ不燃性である潜熱蓄熱材得るには、無機水和塩組成物を主要基材とせざるを得ず、さらに相変化温度を調整するために45℃以上の蓄熱基材が一種類は必要である。
【0007】
45℃以上の相変化温度をもつ水和塩系蓄熱基材として、チオ硫酸ナトリウム5水塩(ハイポ)、硝酸ニッケル6水塩、酢酸ナトリウム3水塩、水酸化ナトリウム1水塩、水酸化バリウム8水塩、硝酸マグネシウム6水塩、硫酸アルミニウムアンモニウム(アルミニウム明礬)12水塩、塩化マグネシウム6水塩などが良く知られている。
【0008】
これらの中で安全性が高く、資源性があり、安価で、かつ不燃性のものは少なく、前述の硫酸ナトリウム10水和塩以上の性能を持つものはなかなか見出すことができないが、そのような中で、チオ硫酸ナトリウム5水塩、硫酸アルミニウムアンモニウム12水塩、塩化マグネシウム6水塩の三種類が挙げられる。さらに、これら三種類のうち、チオ硫酸ナトリウム5水塩以外の蓄熱基材は、単独での相変化温度が極端に高いため、何等かの方法で相変化温度を調整する必要があり、これらのもつ特性を十分に引き出すことが困難であることから、最終的にチオ硫酸ナトリウム5水塩を利用することが最も望ましいということがいえる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるチオ硫酸ナトリウム5水塩は凝固時の過冷却が大きく、有効な過冷却(発核)対策が未だ見出されていないという問題点がある。
【0010】
すなわち、一般に過冷却現象は凝固点において固体を析出せずに温度降下が行われる現象であるが、チオ硫酸ナトリウムは凝固時の過冷却が大きく、容器中では20〜30℃の過冷却を示すことから、貯えた熱を所定温度で放出できないという欠点を有している。
【0011】
かかるチオ硫酸ナトリウムを蓄熱基材として使用する場合の過冷却対策として、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどを併用する方法が報告(特公昭63−24555号公報参照)されているが、過冷却解除能力が低く、なお十分とはいえなかった。また、ナフトール、ナフタリン(特公昭63−24555号公報参照)、アリルアルコール、エチルアルコール、ピリジン(特公平1−14957号公報参照)などを併用する方法も提案されているが、これらの場合、過冷却解除能力はあるものの、これら併用剤の固有の蒸気圧が高く、チオ硫酸ナトリウムのもつ還元雰囲気下で長期間使用するには難があった。加えて、ピクリン酸、p−クロルベンゾイル等(特公昭62−28995号公報参照)を併用する例もあるが、これらは安全性、対環境性からいって問題がある。
【0012】
上述のように床暖房を目的とした場合、45℃以上の相変化温度を有する主材としてチオ硫酸ナトリウム5水塩を用いることが有利であり、その他の用途においてもチオ硫酸ナトリウム5水塩の有利性が認識されてはいるが、その有効な過冷却対策が見出されていないのが現状である。
【0013】
そこで本第一発明の目的は、チオ硫酸ナトリウムのもつ過冷却問題を解決し、相変化温度として40〜50℃の温度を有し、単位容積当たりの蓄熱量が大きく、安全性が高く、資源性があり、安価で、かつ不燃性である潜熱蓄熱材組成物を提供することにある。
【0014】
また、本第二発明の目的は、相変化温度として35〜45℃の温度を有する以外は、本第一発明と同様の特性を有する潜熱蓄熱材組成物を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討をした結果、特定の物質を発核剤としてチオ硫酸ナトリウムと併用することによりチオ硫酸ナトリウムを主材とする良好な潜熱蓄熱材組成物であって、相変化温度として40〜50℃を有するものが得られることを見出し、本第一発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本第一発明は、必須成分として、
1)チオ硫酸ナトリウム(含水塩及び/又は無水塩)100重量部、
2)糖アルコール脱水物、ヘキソース、ペントース、テトロース又は二糖類から選ばれる五員環及び/又は六員環を有する多価アルコール(a1)若しくは該多価アルコールにエチレンオキサイドを必須とする炭素原子数2〜4のアルキレンオキサイドを付加せしめた誘導体(a2)と、炭素原子数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸(b)とのエステル0.1〜10重量部、及び、
3)水を1)チオ硫酸ナトリウムの4.9〜5.2倍モル量(1)が含水塩の場合には1)中に結晶水として含まれる水も包含される)
含有することを特徴とする潜熱蓄熱材組成物である。
【0017】
また、潜熱蓄熱材は用途によって相変化温度を変えることを要求されることが多いが、特に35℃〜45℃に相変化温度の設定を要した場合、即ち、上述の本第一発明よりも低温側に設定することを要する場合には、上述の蓄熱材組成物に、更にコハク酸ナトリウム(含水塩及び/又は無水塩)を所定量添加することにより、その目的を達成することができることを見出し、本第二発明を完成するに至った。
【0018】
即ち、本第二発明は、必須成分として、
1)−(a)チオ硫酸ナトリウム(含水塩及び/又は無水塩)100重量部、
(b)コハク酸ナトリウム(含水塩及び/又は無水塩)1〜10重量部、
2)糖アルコール脱水物、ヘキソース、ペントース、テトロース又は二糖類から選ばれる五員環及び/又は六員環を有する多価アルコール(a1)若しくは該多価アルコールにエチレンオキサイドを必須とする炭素原子数2〜4のアルキレンオキサイドを付加せしめた誘導体(a2)と、炭素原子数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸(b)とのエステル0.1〜11重量部、及び、
3)水を1)−(a)チオ硫酸ナトリウム及び(b)コハク酸ナトリウムの合計量に対して4.9〜5.3倍モル量(1)−(a)及び/又は(b)が含水塩の場合には1)−(a)及び/又は(b)中に結晶水として含まれる水も包含される)
含有することを特徴とする潜熱蓄熱材組成物である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下まず本第一発明について詳述する。
本第一発明に使用される1)チオ硫酸ナトリウムは含水塩又は無水塩として用いることができ、含水塩と無水塩とを混合して用いることもできる。
【0020】
本第一発明における3)水の割合は1)チオ硫酸ナトリウムの4.9〜5.2倍モル量であり、好ましくは4.95〜5.1倍モル量である。3)水の割合が上記の範囲外であると、組成物の相分離やエクセルギー効率低下が問題となる。
【0021】
尚、本第一発明に使用する1)チオ硫酸ナトリウム及び3)水の使用形態は何ら限定されず、例えば、3)水は1)チオ硫酸ナトリウムの結晶水として系内に配合、存在していてもよい。即ち、上記1)チオ硫酸ナトリウムとして含水塩を用いた場合には、該含水塩中に含まれる結晶水は3)水として扱われ、この結晶水の量をも勘案して組成物中に含まれる3)水の量が、上記割合の範囲内となるように調節すればよい。
【0022】
本第一発明においては、「3)水」とは1)チオ硫酸ナトリウムと含水塩を形成し得る水を意味する。従って、1)チオ硫酸ナトリウムとして、含水塩を用いた場合には該含水塩の有する結晶水も3)水に含まれる。
【0023】
具体的には、3)水の使用形態としては、(1)1)チオ硫酸ナトリウムとして無水塩を用い、別途3)水を使用する形態、(2)1)チオ硫酸ナトリウムとして含水塩を用い、該含水塩中に含まれる水を3)水とする形態、(3)1)チオ硫酸ナトリウムとして含水塩も用いるが、別途水も使用する形態、の3形態が挙げられ、何れの場合も、3)水の配合割合は上記の範囲内であり、かつ、何れの場合においても、潜熱蓄熱材として使用する場合に、同じ水の存在形態となる。
【0024】
本第一発明に使用する、2)エステルに使用する多価アルコール(a1)は、ソルビタン、ガラクタン、マンニタン、エリスリタン等の糖アルコール脱水物、ガラクトピラノース、グルコピラノース、グルコフラノース、タロピラノース、マンノピラノース、ソルボピラノース、タガトピラノース、フルクトピラノース、フルクトフラノース、プシコピラノース等のヘキソース、アラボピラノース、アラボフラノース、キシノピラノース、キシロフラノース、リボピラノース、リボフラノース、リキソピラノース、リキソフラノース、リブロフラノース、キシルロフラノース等のペントース、エリトロフラノース、トレオフラノース等のテトロース、キシロビオース、アガロビオース、マルトース、セロビオース、トレハロース、レバンビオース、キトビオース、ビシアノース、サンブビオース、メリビオース、エピセロビオース、ツラノース、スクロース(蔗糖)、ラクツロース、ラクトース(乳糖)等の二糖類等を挙げることができ、多価アルコール誘導体(a2)としては、該多価アルコール(a1)に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加せしめた誘導体(a2)、例えば、上記多価アルコール(a1)にエチレンオキサイド、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド及び/又はブチレンオキサイドを付加させたものを挙げることができ、この場合、好ましくは50モル以下、より好ましくは30モル以下の付加が良く、また、好ましくは付加したアルキレンオキサイド中の50重量%以上がエチレンオキサイドであるのが良く、更に好ましくは90重量%以上、付加させる場合最適なのは100重量%のエチレンオキサイドであるのが良い。
【0025】
上記2)のエステルを構成する多価アルコール(a1)として(該多価アルコール誘導体(a2)の出発物質を包含する)好ましいものは、ソルビタン、マンニタン、ガラクタン、エリスリタン、スクロース(蔗糖)、ラクトース(乳糖)、グルコピラノース、グルコフラノースフルクトピラノース、フルクトフラノース等である。
【0026】
本第一発明に使用する2)エステルは、上記多価アルコール(a1)と炭素原子数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸(b)とのエステル若しくは、上記該多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加せしめた誘導体(a2)と、炭素原子数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸(b)とのエステルである。このエステルを構成する脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸等を挙げることができ、好ましくは炭素原子数14〜22の飽和脂肪酸が良い。
【0027】
かかる2)エステルは単独でも混合でもよく、また、エステル化率(エステル結合された脂肪酸の数)は限定がなく、モノエステル等の部分エステルでもフルエステルでもよい。
【0028】
また、2)エステル化合物の使用量は1)チオ硫酸ナトリウム100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部であり、使用量が少ないと安定した過冷却防止作用(発核作用)が得られず、一方、多すぎると潜熱蓄熱量が減少し、好ましくない。
【0029】
次に、本第二発明について詳述する。
本第二発明に使用される1)−(a)チオ硫酸ナトリウムは、本第一発明における上記と同様のものを使用することができる。
【0030】
本第二発明に使用される1)−(b)コハク酸ナトリウムは含水塩又は無水塩として用いることができ、含水塩と無水塩とを混合して用いることもできる。
【0031】
1)−(a)チオ硫酸ナトリウムと(b)コハク酸ナトリウムの割合は、(a)チオ硫酸ナトリウム100重量部に対して(b)コハク酸ナトリウム1〜10重量部である。この範囲を超えると所望の相変化温度を得ることができなくなる。
【0032】
本第二発明における3)水の割合は、1)−(a)チオ硫酸ナトリウム及び(b)コハク酸ナトリウムの合計量に対して4.9〜5.3倍モル量であり、好ましくは4.95〜5.2倍モル量である。3)水の割合が上記の範囲外であると、組成物の相分離やエクセルギー効率低下が問題となる。
【0033】
尚、本第二発明に使用する1)−(a)チオ硫酸ナトリウム、(b)コハク酸ナトリウム及び3)水の使用形態は何ら限定されず、本第一発明における上記と同様に、例えば、3)水は1)−(a)チオ硫酸ナトリウム、(b)コハク酸ナトリウムの結晶水として系内に配合、存在していてもよく、これらの含水塩を用いた場合には、本第一発明の場合と同様に、該含水塩中に含まれる結晶水は3)水として扱われる。従って、この結晶水の量をも勘案して組成物中に含まれる3)水の量が、上記割合の範囲内となるように調節すればよい。以上の結果、本第二発明において「3)水」の意味するところは、本第一発明の場合と何等変わるところがない。
【0034】
具体的には、3)水の使用形態としては、(1)1)−(a)チオ硫酸ナトリウム、(b)コハク酸ナトリウムとして無水塩を用い、別途3)水を使用する形態、(2)1)−(a)チオ硫酸ナトリウム、(b)コハク酸ナトリウムとして含水塩を用い、該含水塩中に含まれる水を3)水とする形態、(3)1)−(a)チオ硫酸ナトリウム、(b)コハク酸ナトリウムとして含水塩も用いるが、別途水も使用する形態、(4)1)−(a)チオ硫酸ナトリウム、(b)コハク酸ナトリウムのいずれかが含水塩であり他が無水塩であり、別途水を使用、若しくは使用しない形態、の4形態が挙げられ、何れの場合も、3)水の配合割合は上記の範囲内であり、かつ、何れの場合においても、潜熱蓄熱材として使用する場合に、同じ水の存在形態となる。
【0035】
本第二発明に使用する、2)五員環及び/又は六員環を有する多価アルコール、若しくは該多価アルコールにエチレンオキサイドを必須とする炭素原子数2〜4のアルキレンオキサイドを付加せしめた誘導体としては、本第一発明における上記と同様のものが使用できる。
【0036】
本第二発明における2)エステルの使用量は1)−(a)チオ硫酸ナトリウム100重量部に対して0.1〜11重量部、好ましくは0.3〜5.5重量部であり、使用量が少ないと安定した過冷却防止作用(発核作用)が得られず、一方、多すぎると潜熱蓄熱量が減少し、好ましくない。
【0037】
本第一発明および本第二発明(以下「本発明」と称する)においては、チオ硫酸ナトリウム5水塩の持つ還元性に対して安定であり、長期間の熱履歴に安定であれば、本発明の目的を阻害しない範囲内で所望によりその他の相変化温度調節剤として塩化ナトリウム等の無機塩を添加することもできる。その他の変化温度調整剤としては、酒石酸ナトリウム(特開昭57−147578号参照)、酢酸ナトリウム3水塩(特公平6−55945号等参照)、炭酸ナトリウム(特開平1−182389号参照)なども用いることができるが、特に好ましいのは塩化ナトリウムである。
【0038】
さらに、長期間熱履歴に対して安定性を付与する場合は、相分離を防止する目的で、本発明の潜熱蓄熱材組成物に対して、一般的な相分離防止剤を添加することができる。かかる相分離防止剤として、例えば、木材パルプ、メチルセルロース、デンプン、アルギン酸塩、ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、アタパルジャイト型粘土、二酸化けい素等を例示することができる。
【0039】
本発明の潜熱蓄熱材組成物は、使用に際して特に制限されるものではないが、例えば中空成形容器に充填して使用することができ、その材質として、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等、熱可塑性樹脂をブロー成形したものを使用することができるが、特に好ましくは自己消火性となるように若干の無機フィラーを添加した熱可塑性樹脂をブロー成形した容器を使用するとよい。さらに不燃性が要求される場合には、金属製中空成形容器を使用することによって、潜熱蓄熱材組成物が充填された潜熱蓄熱器を不燃化することもできる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の各表で示す配合処方の単位はすべて重量部である。また、本実施例に用いた諸試料は、以下に示す試料を用いて各表に示す配合処方にて各試験用の潜熱蓄熱材組成物を調製した。
【0041】
試料1 :チオ硫酸ナトリウム5水塩
試料2 :コハク酸ナトリウム6水塩
試料3 :塩化ナトリウム
試料4 :ソルビタンモノステアレート
試料5 :ソルビタントリステアレート
試料6 :ソルビタンモノベヘニルモノエステル
試料7 :ポリオキシエチレンソルビタンステアリルモノエステル (エチレンオキサイド 6モル付加)
試料8 :エリスリタンモノステアレート
試料9 :プロピレングリコールステアリルモノエステル
試料10:エチレングリコールステアリルジエステル
試料11:ポリオキシエチレングリコールステアリルモノエステル (エチレンオキサイド 20モル付加)
試料12:ポリエチレングリコール(分子量200)
試料13:ノニルフェノールエトキシレート(分子量600)
試料14:メタノールエトキシレート
試料15:レシチン
試料16:ショ糖
試料17:ナフトール
試料18:エチルアルコール
試料19:コーンスターチ
試料20:マンニタンモノステアレート
試料21:ガラクタンモノステアレート
試料22:蔗糖モノステアレート
試料23:ソルビタンラウリン酸エステル(モノエステル体とジエステルの混合物でモル比は1:1)
試料24:ソルビタンモノミリステートとソルビタンモノパルミテートの混合物(モル比は1:1)
試料25:ソルビタンモノオレエート
試料26:ポリオキシエチレンソルビタンステアリルモノエステル (エチレンオキサイド 20モル付加)
試料27:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンソルビタンステアリルモノエステル(エチレンオキサイド15モル、プロピレンオキサイド5モ ル付加)
試料28:ソルビタンモノステアレートと蔗糖モノステアレートの混合物(モル比1:1)
試料29:ソルビタンモノパルミテート
試料30:ラクトースモノステアレート
試料31:グルコースモノパルミテート
試料32:フルクトースモノステアレート
【0042】
[潜熱蓄熱材組成物の蓄放熱試験]
凝固温度の測定にはJIS K 0065化学製品の凝固温度測定法を用い、潜熱蓄熱材組成物(2サンプル)の表面より1.5cmの深さの蓄熱材組成物内部温度を測定した。また潜熱蓄熱量は、示差走査型熱量計(セイコー電子工業株製)により測定した。
【0043】
実施例1〜29,比較例1〜9
本発明の組成物の各種配合による実施例およびこれと比較するサンプル組成物の各種配合による比較例、上記試験方法に基づく各配合組成物の凝固温度、過冷却温度差及び潜熱量の測定値を下記の表1〜5に示す。
【0044】
表1
Figure 0003797710
【0045】
表2
Figure 0003797710
【0046】
表3
Figure 0003797710
【0047】
表4
Figure 0003797710
【0048】
表5
Figure 0003797710
【0049】
[熱履歴試験]
60℃と20℃の雰囲気下に潜熱蓄熱材組成物(2サンプル)を交互に置いて、融解および凝固を繰り返し、熱サイクルによる熱履歴試験を行った。
潜熱蓄熱量は、示差走査型熱量計(セイコー電子工業株製)により測定した。実施例30〜33,比較例10,11
本発明の組成物の各種配合による実施例及び比較される組成物の比較例につき、その組成、上記試験方法に基づく熱サイクル前後の平均凝固温度並びに潜熱量の測定値を下記の表6に示す。
【0050】
表6
Figure 0003797710
【0051】
[難燃性試験]
潜熱蓄熱器の難燃性評価を行った。試験方法としてJIS K 1322建築用薄物材料の難燃性試験方法を使用した。なお、測定項目中、残炎時間とはガスバーナー加熱終了時から試験体が燃えつづける時間である。残じんの有無とはバーナー加熱終了時から無炎燃焼している状態の有無である。さらに炭化長さとは試験体のバーナー加熱面の炭化部分について試験体長手方向の最大長さを測定したものである。
【0052】
実施例34,比較例12
実施例として本発明の組成物を充填せしめた潜熱蓄熱器、及び比較例として比較組成物を充填せしめた潜熱蓄熱器について、上記試験法に基づき燃焼試験を行なった。バーナー加熱時間は1分間とした。
なお、実施例の試験体としては、高密度ポリエチレンのブロー成形容器(幅300mm、奥行き200mm、高さ5mm、使用樹脂:東燃(株)製BJ−501製) に実施例19の組成物を450グラム充填封入したものを用いた。また、比較例の試験体としては、炭素数20のノルマルパラフィンと高密度ポリエチレン樹脂チップ(使用樹脂:東燃(株)製BJ−501製) の重量比3:1の混合体を140℃にてプレス成形(重量285グラム)したものをLDPE−アルミ−PET−ナイロン6−LDPEの材料で構成される多層アルミ箔ラミネートフィルムにて外装密封したものを用いた。試験結果を下記の表7に示す。
【0053】
表7
Figure 0003797710
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本第一発明の潜熱蓄熱材組成物は相変化温度として40〜50℃の温度を有し、また本第二発明の潜熱蓄熱材組成物は相変化温度として35〜45℃の温度を有し、いずれの発明においても単位容積当たりの蓄熱量が大きく、安全性が高く、資源性があり、安価で、耐久性に優れ、かつ不燃性である。従って、本発明は、35〜50℃程度の熱源を活用する蓄熱材として有用であり、暖房、特には床暖房、給温水用、空調用およびヒートポンプ排熱回収用などの用途に供することができる。

Claims (2)

  1. 必須成分として、
    1)チオ硫酸ナトリウム(含水塩及び/又は無水塩)100重量部、
    2)糖アルコール脱水物、ヘキソース、ペントース、テトロース又は二糖類から選ばれる五員環及び/又は六員環を有する多価アルコール(a1)若しくは該多価アルコールにエチレンオキサイドを必須とする炭素原子数2〜4のアルキレンオキサイドを付加せしめた誘導体(a2)と、炭素原子数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸(b)とのエステル0.1〜10重量部、及び、
    3)水を1)チオ硫酸ナトリウムの4.9〜5.2倍モル量(1)が含水塩の場合には1)中に結晶水として含まれる水も包含される)
    含有することを特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  2. 必須成分として、
    1)−(a)チオ硫酸ナトリウム(含水塩及び/又は無水塩)100重量部、
    (b)コハク酸ナトリウム(含水塩及び/又は無水塩)1〜10重量部、
    2)糖アルコール脱水物、ヘキソース、ペントース、テトロース又は二糖類から選ばれる五員環及び/又は六員環を有する多価アルコール(a1)若しくは該多価アルコールにエチレンオキサイドを必須とする炭素原子数2〜4のアルキレンオキサイドを付加せしめた誘導体(a2)と、炭素原子数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸(b)とのエステル0.1〜11重量部、及び、
    3)水を1)−(a)チオ硫酸ナトリウム及び(b)コハク酸ナトリウムの合計量に対して4.9〜5.3倍モル量(1)−(a)及び/又は(b)が含水塩の場合には1)−(a)及び/又は(b)中に結晶水として含まれる水も包含される)
    含有することを特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
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