JP5133995B2 - ペルフルオロポリエーテルシラン及びその使用 - Google Patents

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Description

本発明は、新規ペルフルオロポリエーテルシラン、新規ペルフルオロポリエーテルシランを含有する組成物、並びに基材、具体的にはセラミックス又はガラスなどの硬質表面を有する基材を、撥水性、撥油性、防染性及び/又は防汚性にするための基材の処理方法に関する。本発明はまた、かかる方法で使用するための組成物に関する。
フッ素化シラン、即ちガラス及びセラミックスなどの基材を撥油性及び撥水性にするための1つ以上のフッ素化基を有するシラン化合物の使用は既知である。例えば、米国特許第5,274,159号には、水溶液から適用し得る、破壊可能な(destructible)フッ素化アルコキシシラン界面活性剤が記載されている。PCT国際特許公開第02/30848号は、セラミックスを撥油性及び撥水性にするためのフッ素化ポリエーテルシランを含む組成物が記載されている。
欧州特許第797111号には、光学部品上に防汚層を形成するために、ペルフルオロポリエーテル基を含有するアルコキシシラン化合物の組成物が記載されている。さらに、米国特許第6,200,884号には、硬化して撥水性及び撥油性並びに防染特性が向上したフィルムになるペルフルオロポリエーテル修飾アミノシランの組成物が開示されている。
欧州特許第789050号には、複合膜コーティングを作製するためのフッ素化ポリエーテルシランの使用が開示されている。米国特許第3,646,085号には、ガラス又は金属表面を撥油性及び撥水性にするためのフッ素化ポリエーテルシランが教示されている。PCT国際特許公開第99/37720号には、ガラス又はプラスチックなどの基材上の反射防止表面に防汚コーティングを提供するためのフッ素化ポリエーテルシランが開示されている。米国特許第3,950,588号には、浴室のタイル又は調理器具などのセラミック表面を撥水性及び/又は撥油性にするためのフッ素化ポリエーテルシランの使用が開示されている。
本発明は、式
[−R−C−S−R−Si(Y)(R3−x(式中、
は、一価又は二価ペルフルオロポリエーテル基であり、
は、共有結合、−O−、又は二価アルキレン若しくはアリーレン基又はこれらの組み合わせであって、前記アルキレン基は1つ以上のカテナリー酸素原子を含有してもよく、
は、二価アルキレン若しくはアリーレン基又はこれらの組み合わせであって、前記アルキレン基は1つ以上のカテナリー酸素原子を含有してもよく、
Yは加水分解性基であり、
は、一価アルキル又はアリール基であり、xは1、2又は3、好ましくは3であり、
yは1又は2である)の新規ペルフルオロポリエーテルシランを提供する。
撥油性及び撥水性にするために基材を処理するための、多くのフッ素化シラン組成物が当該技術分野において既知であるが、基材、具体的には、セラミックス、ガラス及び石などの硬質表面を有する基材を撥水性及び撥油性にするため並びに洗浄を容易にするための、基材の処理用のさらに改善された組成物を提供することに対する要求が持続的に存在する。
硬質表面としてのガラス及びプラスチックを防汚性、即ち、染み、汚れ、油及び/又は水耐性にするために、特に眼科分野で、処理することに対する要求も存在する。望ましくは、かかる組成物及びそれらを使用する方法により、改善された特性を有するコーティングを得ることができる。具体的には、コーティングの磨耗耐性の改善を含む、コーティングの耐久性が改善されることが望ましい。さらに、使用する洗剤、水又は手作業を減らしながら、かかる基材の洗浄の容易さを改善することは、末端消費者による要望であるだけでなく、環境にも正の影響を与える。組成物は、容易かつ安全な方法で便利に適用することができ、既存の製造方法とも適合する。好ましくは、組成物は、処理される基材を製造するために実施される製造プロセスに容易に適合する。組成物はまた、好ましくは、生態学的に好ましくない成分の使用を避ける。
本発明はさらに、基材、具体的には硬質基材を、ペルフルオロポリエーテルシランでコーティングし、それに防汚性コーティングを提供する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、例えば蒸着技術により、ペルフルオロポリエーテルシランを蒸発させ、それを基材に堆積させることを含む、基材にペルフルオロポリエーテルシランを堆積させる方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、ペルフルオロポリエーテルシラン及び溶媒を含むコーティング組成物を含み、それによりコーティング組成物を基材に適用し、基材に防汚性コーティングを付与する。
本発明は、新規ペルフルオロポリエーテルシラン及びペルフルオロポリエーテルシランのコーティングを有する基材を提供する。シランは、式
[−R−C4−S−R−Si(Y)(R3−x(式中、
は、一価又は二価ペルフルオロポリエーテル基であり、
は、共有結合、−O−、又は二価アルキレン若しくはアリーレン基又はこれらの組み合わせであって、該アルキレン基は1つ以上のカテナリー(鎖内)酸素原子を含有してもよく、
は、二価アルキレン若しくはアリーレン基又はこれらの組み合わせであって、該アルキレン基は1つ以上のカテナリー酸素原子を含有してもよく、
Yは加水分解性基であり、
は、一価アルキル又はアリール基であり、xは1、2又は3、好ましくは3であり、
yは1又は2である)のものである。
は、一価又は二価ペルフルオロポリエーテル基を表す。ペルフルオロポリエーテル基は、直鎖、分岐鎖及び/又は環状構造を含んでよく、飽和又は不飽和であってよい。それは、ペルフルオロ化基であり、即ち、本質的に全てのC−H結合がC−F結合に置換されている。好ましくは、それは、−(C2n)−、−(C2nO)−、−(CF(Z))−、−(CF(Z)O)−、−(CF(Z)C2nO)−、−(C2nCF(Z)O)−、−(CFCF(Z)O)−及びこれらの組み合わせの群から選択されるペルフルオロ化反復単位を含む。これらの反復単位Zがペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基又はペルフルオロエーテル基であるとき、これらは全て直鎖、分岐鎖又は環状であってよく、好ましくは約1〜約9個の炭素原子及び0〜約4個の酸素原子を有する。「n」は少なくとも1、好ましくは1〜4である。これらの反復単位を含有するペルフルオロポリエーテルの例は、米国特許第5,306,758号(ペレリット(Pellerite))に開示されている。
一価ペルフルオロポリエーテル基(上記式(I)中、yは1である)の場合、末端基は(C2n+1)−、(C2n+1O)−又は(X’C2nO)−であってよく、これは直鎖又は分岐鎖であってよく、式中X’は例えばH、Cl又はBrである。好ましくは、これらの末端基はペルフルオロ化されている。これらの反復単位又は末端基では、nは1以上、好ましくは1〜8である。二価フッ素化ポリエーテル基の好ましい近似平均構造としては、−CO−、C−FO−、−C10O−、−C12O−、
−CFO(CFO)(CO)CF−(式中、m及びpの平均値は0〜50であるが、ただしm及びpは同時に0ではない)、
−CFO(CO)CF−、−CF(CF)O−(CFCF(CF)O)−CO−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−、
及び−(CFO(CO)(CF−(式中、各pの平均値は1〜50である)が挙げられる。
これらのうち、特に好ましい近似平均構造は、−CFO(CFO)(CO)CF−、−CFO(CO)CF−、及び、−CF(CF)O−(CFCF(CF)O)−CO−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−である。一価ペルフルオロポリエーテル基の特に好ましい近似平均構造としては、CO(CF(CF)CFO)CF(CF)−及びCFO(CO)CF−(式中、pの平均値は1〜50である)が挙げられる。合成されるとき、これらの化合物は典型的にはポリマーの混合物を含む。
二価R及びR基は、独立に、アラルキレン及びアルカリレン基などの、アルキレン、アリーレン及びこれらの組み合わせを含む、飽和又は不飽和であってよい、直鎖、分岐鎖又は環状構造を含むことができる。R及びR基は、1つ以上のカテナリーヘテロ原子(例えば、酸素、窒素又は硫黄)を含有してよい。これらの基はまた、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換されてよいが、これは化合物の不安定性を導く可能性があるため、あまり望ましくない。
好ましくは、R及びR基は、1つ以上のカテナリーヘテロ原子を含有し得る炭化水素基、好ましくは直鎖炭化水素基である。R及びR基の例としては、式−(C2m)−(式中、mは約2〜約20である)のアルキレンが挙げられ、1つ以上の非隣接−CH−基はエーテル酸素原子、例えば−(C2m)−O−(Cm’2m’)−(式中、mは2〜20であり、m’は0〜20であり、m+m’は2〜20である)により置換されている。
Yは、例えばハロゲン化物、C〜Cアルコキシ基、アシルオキシ基又は米国特許第5,274,159号に開示されているポリオキシエチレン基などのポリオキシアルキレン基のような式(1)中の加水分解性基を表す。加水分解性とは、Y基が水との交換反応を受け、さらに反応してシロキサン基を形成し得るSi−OH部分を形成することを意味する。加水分解性基の特定の例としては、メトキシ、エトキシ及びプロポキシ基、塩素及びアセトキシ基が挙げられる。
は、一価アルキル又はアリール基であり、一般に非加水分解性である。
本発明の基材を処理する組成物に好適な式Iの化合物は、少なくとも約200、好ましくは少なくとも約1000の分子量(数平均)を有する。好ましくは、それらは約10000以下である。
好ましいペルフルオロポリエーテルシランの例としては、以下の近似平均構造が挙げられるが、これらに限定されない。反復単位の数n及びmは、nが1〜50、一般に3〜30、n+mは30以下で変動する。
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CHOCSCSi(OCH
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CHOCSCSi(OC
O[CF(CF)CFO]CF(CF)COSCSi(OCH
O[CF(CF)CFO]CF(CF)COSCSi(OC
(CHO)SiCSCOCHCF(OC(OCF)nCFCHOCSCSi(OCH
(CO)SiCSCOCHCF(OC(OCF)nCFCHOCSCSi(OC
(CHO)SiCSCOCHCF(CF)[OCFCF(CF)]OCO[(CF(CF)CFO]CF(CF)CHOCSCSi(OCH
(CO)SiCSCOCHCF(CF)[OCFCF(CF)]OCO[(CF(CF)CFO]CF(CF)CHOCSCSi(OC
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CHCHSCSi(OCH
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CHCHSCSi(OC
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CFOCSCSi(OCH
O[CFCFCFO]CHOCSCSi(OCH
O[CFCFCFO]CHCHSCSi(OCH
式Iの化合物は、標準的な技術を用いて合成することができる。例えば、市販の、又は容易に合成される、式HS−R−Si(Y)(R3−xのメルカプトシランは、以下のスキームで示すような式R−R−CH=CHのエチレン性不飽和ペルフルオロポリエーテル化合物と結合されてもよい。式Iのジシリル化合物(式中yは2である)もまた、これらの同じ一般的技術により調製してもよい。
スキームI
−R−CH=CH(II)+HS−R−Si(Y)(R3−x(III)→R−R−C−S−R−Si(Y)(R3−x、(I)(式中、
、R、R、R、Y及びxは、式Iで既に定義したものである。スキーム1の付加反応に関して、硫黄はエチレン性不飽和基の炭素原子のいずれかに付加することができ、この場合−C−基の構造は、−CH(CH)−又は−CHCH−である。
メルカプトシラン(III)のエチレン性不飽和化合物(II)への付加は、フリーラジカル反応開始剤を用いて作用され得る。有用なフリーラジカル反応開始剤としては、無機及び有機ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルスルファート、アゾ化合物、レドックス系(例えば、K及びNaの混合物)、及び「コーティング、インク及び塗装用UV&EB処方の化学及び技術(Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints)」第3巻276〜298ページ、SITAテクノロジー社(SITA Technology Ltd.)、ロンドン(1991年)にK.K.ダイエットライカー(Dietliker)により記載されているようなフリーラジカル反応開始剤が挙げられる。代表的な例としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルベンゾアート、クメンヒドロペルオキシド、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、(VAZO 67)及びアゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)が挙げられる。当業者は、反応開始剤の選択は、具体的な反応条件、例えば溶媒の選択に応じて決定されることを理解するだろう。
エチレン性不飽和基、例えば式IIを有するペルフルオロポリエーテル化合物は、当該技術分野において既知である方法により調製することができる。例えば、一般式R−CH−OH(対応するペルフルオロ化アシルフッ化物又はエステルの還元により調製される)のペルフルオロ化ジヒドロアルコールは、臭化アリルなどのω−ハロアルケンと反応してもよい。
Figure 0005133995
或いは、ペルフルオロ化アシルフッ化物は、フッ化物イオン触媒性付加によりω−ハロアルケンに反応してもよい。
Figure 0005133995
他のエチレン性不飽和ペルフルオロポリエーテルは、180℃でのヨウ化リチウムとポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)との反応によるヨウ化ペルフルオロポリエーテルとエチレンとを溶媒の非存在下で65℃にて過酸化ベンゾイルなどのフリーラジカル触媒を用いて反応することにより調製することができる(J.L.ハウエル(Howell)ら「ジャーナル・オブ・フローリン・ケミストリー」(J. Fluorine Chem)、第125巻、(2004年)1513ページに記載されている)。得られる一級又は二級ヨウ化物は、次いで、例えばメタノール中でナトリウムメトキシドを用いて脱水素ヨウ素化を受け、エチレン性不飽和ペルフルオロポリエーテル前駆体を形成することができる。
Figure 0005133995
ペルフルオロポリエーテル化合物は、ペルフルオロポリエーテルフッ化カルボニルを生じるヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)のオリゴマー化により得ることができる。このフッ化カルボニルは、当業者に周知の反応により、酸、酸塩、エステル、アミド又はアルコールに変換し得る。フッ化カルボニル又はそれから由来する酸、エステル若しくはアルコールは、次いで、さらに反応して、既知の手順に従って所望の基を導入することができる。
式(I)のペルフルオロポリエーテルの混合物を用いて、フッ素性化学化合物のフッ素化ポリエーテル化合物を調製し得ることは、当業者にとって明白である。一般に、本発明の式(I)のペルフルオロポリエーテルの製造方法により、様々な分子量を有し、(1)750g/モル未満の分子量を有するペルフルオロ化ポリエーテル部分を有するフッ素化ポリエーテル化合物と(2)10,000g/モルを超える分子量を有するペルフルオロポリエーテル部分を有するフッ素化ポリエーテル化合物とを含まないペルフルオロポリエーテルの混合物が生じる。
約10,000g/モルを超える分子量に対応するペルフルオロポリエーテルを使用すると、加工上の問題が生じる場合がある。これらの問題は、典型的には、分子量の大きい物質が、不溶性の懸念、及び、これらの高分子量化合物の低蒸気圧に起因するCVDコーティングなどの適用方法の困難性を導くという事実に起因する。さらに、高分子量フッ素化ポリエーテル誘導体の存在は、分留を介して物質の分離プロセスの効率性に大きな影響を与え得る。
フッ素性化学組成物は、望ましくは、750g/モル未満の分子量を有するペルフルオロポリエーテル部分及び5000g/モルを超える分子量を有する部分を含まない、又は実質的に含まない。「実質的に含まない」という用語は、分子量範囲外の特定のペルフルオロポリエーテル部分が、組成物中のペルフルオロポリエーテル部分の総質量に基づき、10質量%以下、好ましくは5質量%以下の量で存在することを意味する。有益な環境特性及びさらなる反応工程での加工性のために、これらの部分を含まない又は実質的に含まない組成物が好ましい。
蒸着法により式Iの化合物を適用することが望ましい場合、ペルフルオロポリエーテル部分の分子量は、好ましくは10,000g/モル未満、より好ましくは1000〜5000g/モルである。
式Iのペルフルオロポリエーテルシラン由来のコーティングを、種々の基材、具体的には硬質基材に適用し、それを撥油性、撥水性及び防汚性にし得る。このコーティングは、極度に薄い、例えば1〜50分子層であってよいが、実際には有用なコーティングはより厚くてもよい。
発明者らは、理論に縛られることを望むものではないが、上記式Iの化合物は、基材表面と縮合反応し、加水分解又は式Iの加水分解性「Y」基の置換を介してシロキサン層を形成すると考えられる。この文脈では、「シロキサン」とは、有機連結基(例えば、本明細書では式IのR及びR基)を通してケイ素原子に結合した、Rセグメント(即ち、本明細書では式Iのペルフルオロポリエーテルセグメント)が結合した−Si−O−Si−結合を指す。
式Iの化合物を含むペルフルオロポリエーテルシランコーティング組成物から調製されるコーティングとしては、ペルフルオロポリエーテルシランそれ自体及び予め選択された基材の表面への結合から得られるシロキサン誘導体が挙げられる。コーティングはまた、未反応又は未縮合「Si−Y」基を含むことができる。組成物はさらに、オリゴマー性ペルフルオロポリエーテル一水素化物などの非シラン物質、出発物質、並びにペルフルオロポリエーテルアルコール及びエステルを含有してよい。同様に、蒸着したペルフルオロポリエーテルシランは、式Iのシランそれ自体、及び、基材表面との反応から得られるシロキサン誘導体を含んでよい。
一実施形態では、本発明は、ペルフルオロポリエーテルシラノール、溶媒を含むコーティング組成物を提供し、この組成物は水及び酸を含んでもよい。セラミックスなどの多くの基材に対する良好な耐久性を実現するために、本発明の組成物は好ましくは水を含む。従って、本発明は、基材を式Iのペルフルオロポリエーテルシラン及び溶媒を含むコーティング組成物に接触させる工程を含むコーティング方法を提供する。コーティング組成物は、水及び酸をさらに含んでよい。一実施形態では、方法は、基材を、式Iのシラン及び溶媒を含むコーティング組成物に接触させ、続いて基材を酸性水溶液に接触させる工程を含む。
存在する場合、水の量は、典型的には、式Iのシランの質量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
水に加えて、本発明の組成物はまた有機酸又は無機酸を含んでもよい。有機酸としては、酢酸、クエン酸、ギ酸等;CFSOH、CCOK又は式R [−(L)−Z](IV)(式中、R は、一価又は二価ペルフルオロアルキル又はペルフルオロポリエーテル基を表し、Lは有機二価連結基を表し、Zはカルボン酸、スルホン酸又はリン酸基などの酸基を表し、aは0又は1であり、bは1又は2である)により表すことができるもののようなフッ素化有機酸が挙げられる。
好適なR 基の例としては、所与の上記Rが挙げられる。式(IV)の有機酸の例としては、デュポン(DuPont)から市販されているCO(CF(CF)CF10〜30CF(CF)COOH、又はCF(CFOCF(CF)COOHが挙げられる。無機酸の例としては、硫酸、塩酸等が挙げられる。酸は、一般に、シランの質量に対して、約0.01〜10質量%、より好ましくは0.05質量%〜5質量%の量で、組成物中に含まれる。
酸は、コーティング組成物それ自体に配合されてよく、又はペルフルオロポリエーテルシランでコーティングした後で、コーティングされた基材を酸溶液に浸し、シロキサン層の形成に作用させてもよい。
多くの基材用の本発明のコーティング組成物は、1種以上の有機溶媒を含んでよい。用いられる有機溶媒又は有機溶媒のブレンドは、式Iのペルフルオロポリエーテルシランの質量の少なくとも0.01質量%溶解できなければならない。さらに、溶媒又は溶媒の混合物は、水に対して少なくとも0.1質量%、酸に対して少なくとも0.01質量%の溶解度を有してもよい。有機溶媒又は有機溶媒の混合物がこれらの基準を満たさない場合、フッ素化シラン、溶媒並びに任意の水及び酸の均質な混合物を得ることはできない。かかる不均質な組成物を用いて基材を処理することもできるが、それから得られるコーティングは、一般に、所望の撥油性/撥水性を有さず、十分な耐久特性も有しない。
好適な有機溶媒又は溶媒の混合物は、アルカン、芳香族溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの脂肪族アルコール;アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン;酢酸エチル、ギ酸メチルなどのエステル、及びジイソプロピルエーテルなどのエーテルから選択することができる。
フッ素化溶媒は、単独で用いてよく、又はペルフルオロポリエーテルシランの溶解度を向上させるために有機溶媒と併用してもよい。かかるフッ素化溶媒は、一般に、存在する場合、水及び酸に対する溶解度の要件を満たさない可能性があるため、そのままでの使用に好適ではない。一般に、ペルフルオロポリエーテルシランは、まずフッ素化溶媒でコーティングし、次いで酸性水溶液と接触させることができる。
フッ素化溶媒の例としては、3Mから入手可能なペルフルオロヘキサン又はペルフルオロオクタンなどのフッ素化炭化水素;ソルベイ(Solvay)から入手可能なペンタフルオロブタン又はデュポン(DuPont)から入手可能なCFCFHCFHCFCFなどの部分的にフッ素化された炭化水素;3Mからノベック(Novec)(商標)HFE 7100及びノベック(商標)HFE 7200としてそれぞれ入手可能なメチルペルフルオロブチルエーテル又はエチルペルフルオロブチルエーテルなどのアルキルペルフルオロアルキルエーテルを含むヒドロフルオロエーテルが挙げられる。これらの物質と有機溶媒との種々のブレンドを使用することができる。
特に好ましい基材は、反射防止基材である。反射防止(AR)表面は、眼科用装置及び電子装置の表示装置で有用である、ガラス又はプラスチックで作製された基材上に、金属酸化物の薄膜を真空蒸着又はスパッタリングすることにより調製される基材である。かかる金属酸化物フィルムは、比較的多孔質であり、比較的粗い輪郭を形成する粒子のクラスターからなる。かかるコーティングは、グレア及び反射を減少させるのに役立つ。それらを眼科用眼鏡に使用すると、眼精疲労を低減させる。それらが導電性コーティングであるとき、静電放電及び電磁放射線の低減にも役立つ。従って、これらのコーティングの1つの用途は、コントラストを強化し、反射防止特性を与え、コンピュータのモニタなどの表示装置の可読性を向上させることである。反射防止基材は、米国特許第5,851,674号に記載されている。
反射防止コーティング用の種々の防汚性コーティングが既知である。例えば、米国特許第6,906,115号(ハナザワ(Hanazawa)ら)及び米国特許第6,183,872号(タナカ(Tanaka)ら)にはともに、眼科用レンズなどの反射防止基材に適用され得るケイ素含有有機フルオロポリマーが記載されている。しかしながら、かかる防汚性コーティングは、眼科用レンズの製造における研磨作業に悪影響を与えることが述べられている。米国特許出願公開第2003/004937号(エシロー・インターナショナル(Essilor International))には、界面パッド/凸面の接着が、最も効果的な疎水性及び/又は撥油性コーティングでさえ変質する又は損なわれることが述べられている。同参照文献は、レンズが滑ることなく研磨作業中固定されるように、少なくとも15mJ/mの表面エネルギーを有する一時的な保護コーティングを提供することにより、これらの商用コーティング固有の問題を打開することを試みる。
多くの実施形態では、本発明はさらに、現在入手可能なコーティングの既知の欠陥を克服し、その場合反射防止レンズを本発明のペルフルオロポリエーテルシランでコーティングし、レンズ縁部の切削/研磨装置に固定し、それにより米国特許出願公開第2003/004937号に記載されている一時的な層の必要性をなくすことができる。従って、本発明は、レンズをブロックし、レンズの縁部を切削することを含む、反射防止コーティング及びその上に式Iのペルフルオロポリエーテルシランのコーティングを有する眼科用レンズを提供することにより、眼科用レンズの縁部を切削する方法を提供する。方法は、一時的な保護コーティングの非存在下で行ってもよい。
スパッタされた金属酸化物の反射防止コーティングは、一般に耐久性があるとともに均一である。また、それらの光学特性は制御可能であり、それによりコーティングが非常に望ましくなる。それらはまた、非常に高い表面エネルギー及び屈折率を有する。しかしながら、スパッタした金属酸化物表面の高い表面エネルギーにより、コーティングは(皮脂などの)有機不純物で汚染されがちになる。表面に汚染物質が存在することにより、金属酸化物コーティングの反射防止特性が非常に劣化する。さらに、高屈折率のため、表面汚染が非常に末端消費者の目につくようになる。
本発明は、比較的耐久性があり、汚染にさらに耐性があり、縁部研磨プロセスに関して先行技術のコーティングの欠陥を克服する、反射防止表面上の撥油性、撥水性及び防汚性コーティングを提供する。本発明は、一実施形態では、反射防止表面及びその上に堆積する厚さ約200オングストローム未満の防汚性コーティングを有する基材を含む反射防止物品の調製に用いるための方法及び組成物を提供する。防汚性コーティングは、反射防止物品の反射防止特性を実質的に変化させない厚さのペルフルオロポリエーテルシロキサンフィルムを含む。
防汚性コーティングの全体のコーティング厚は、一般に単層より厚い(典型的には厚さが約15オングストロームを超える)。つまり、本発明の防汚性コーティングは、少なくとも約20オングストローム、好ましくは少なくとも約30オングストロームの厚さであってよい。一般に、約200オングストローム未満、好ましくは約100オングストローム未満の厚さである。コーティング物質は、典型的には、反射防止物品の反射防止特性を実質的に変化させない量で、即ち、ペルフルオロポリエーテルシランでコーティングしていない同一物品との差が約0.5%単位未満である量で存在する。
本発明の方法により製造される光学物品としては、任意の接着強化コーティングでコーティングされてもよい、下塗された表面を有するガラス又は有機ポリマー基材などの基材、反射防止組成物、及び式Iのペルフルオロポリエーテルシラン由来の防汚性コーティングが挙げられる。
反射防止物品に好適な透明基材としては、ガラス及びポリ(メタ)アクリレートなどの透明熱可塑性材料、ポリカーボネート、ポリチオウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー及びアクリロニトリル−スチレンコポリマーなどのスチレンコポリマー、セルロースエステル、特にセルロースアセテート及びセルロースアセテート−ブチラートコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド及びポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが挙げられる。「ポリ(メタ)アクリレート」(又は「アクリル」」)という用語は、一般にキャストアクリルシート、延伸アクリル、ポリ(メチルメタクリレート)「PMMA」、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチルアクリレート)等と呼ばれる物質を含む。基材の厚さは変動可能だが、可撓性有機フィルムの場合、典型的には、約0.1mm〜約1mmの範囲である。さらに、有機ポリマー基材は、種々の異なる方法により作製することができる。例えば、熱可塑性材料を押出成形し、次いで所望の寸法に切断することができる。それを成形し、所望の形状及び寸法を形成することができる。また、それをセルキャスト(cell cast)し、続いて加熱及び延伸し、有機ポリマー基材を形成することができる。
反射防止コーティングが堆積した基材は、下塗された表面を含んでよい。下塗された表面は、アクリル層などの化学下塗層の適用、又は化学エッチング、電子線照射、コロナ処理、プラズマエッチング若しくは接着促進層の共押出から得ることができる。かかる下塗された基材は市販されている。例えば、水性アクリレートラテックスで下塗したポリエチレンテレフタレート基材は、インペリアル・ケミカル・インダストリー・フィルム(Imperial Chemical Industries Films)(ノースカロライナ州ホープウェル(Hopewell))から入手可能である。
基材はまた、接着強化コーティングを含み、反射防止コーティングと基材との接着を改善し得る。かかるコーティングは市販されている。接着強化コーティングは、可撓性有機ポリマー基材上での使用に特に望ましい。下塗した又はしていない有機ポリマー基材への反射防止コーティングの接着強化に加えて、接着強化コーティングはまた、反射防止コーティングの引っ掻き耐性を向上させることにより、可撓性有機ポリマー基材上の反射防止コーティングの耐久性を増大させることもできる。
スプレーコーティング、ナイフコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、メニスカスコーティング、フローコーティング、ロールコーティング等の広範なコーティング方法を用いて、本発明の組成物を任意の基材に適用することができる。本発明のペルフルオロポリエーテルシラン混合物を適用するのに好ましいコーティング方法としては、スプレーの適用が挙げられる。コーティングされる基材は、典型的には、室温(典型的には、約20〜25℃)でコーティング組成物と接触させることができる。
コーティング組成物を、例えば60〜150℃の温度に予熱した基材に適用することができる。これは、工業生産で特に関心があり、この場合例えば、セラミックタイルを生産ラインの終わりで焼成オーブンの直後に処理することができる。適用に続いて、処理した基材を周囲温度又は高温、例えば40〜300℃で、乾燥に十分な時間乾燥させ、硬化させることができる。プロセスはまた、過剰な材料を除去するための研磨工程を必要とする場合もある。
基材が、例えば光学レンズの反射防止コーティングである場合、ペルフルオロポリエーテルシランを、溶液コーティング技術に加えて、蒸着技術により堆積させることができる。ペルフルオロポリエーテルシランが蒸発する条件は、防汚性ペルフルオロポリエーテルシランの構造及び分子量によって変動する場合がある。本発明のいくつかの実施形態では、蒸発は、約1.3Pa(0.01トール)未満、0.013Pa(10−4トール)未満、又は0.0013Pa(10−5トール)の圧力でさえ行い得る。本発明の実施形態では、蒸発は、少なくとも約100℃、又は200℃超、又は300℃超の温度で行い得る。有利なことに、即時ペルフルオロポリエーテルシランは、米国特許第6,991,826号(ペレリット(Pellerite)ら)に開示されているもののような他の防汚性コーティングより低い温度で蒸着され得ることが見出されている。
蒸着方法は、同様に収率損失を減少させるさらなる処理及び環境への曝露を通して、反射防止物品表面の汚染の機会を低減し得る。さらに、反射防止コーティングが一般に蒸着により適用される場合、同じ真空槽内で同じプロセスによりペルフルオロポリエーテルシランを適用することがより効率的である。従って、本発明の方法により、他の適用のために業界で使用されているのと同様の加工条件下でありながら、資本設備のコストが低く、溶媒利用を必要とせずに、反射防止レンズに防汚性組成物を適用することが可能になる。
一実施形態では、蒸発は、ペルフルオロポリエーテルシラン及び反射防止基材を槽内に定置し、槽内の圧力を低下させ、ペルフルオロポリエーテルシランを加熱することを含む。ペルフルオロポリエーテルシランは、典型的には、るつぼ中に維持されるが、いくつかの実施形態では、シランを、セラミックペレットなどの多孔質マトリックスに吸収させ、該ペレットを真空槽内で加熱する。好ましい実施形態では、反射防止基材は、反射防止眼科用レンズを含む。さらに、反射防止眼科用レンズは、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂の表面上の反射防止コーティングを含んでよい。
本発明はまた、式Iのペルフルオロポリエーテルシランを蒸発させ、反射防止コーティングされた眼科用レンズ上にペルフルオロポリエーテルシランを堆積させることを含む、反射防止コーティングされた眼科用レンズ上にペルフルオロポリエーテルシランを堆積させる方法であって、ペルフルオロポリエーテルシランを第1槽内に定置し、反射防止コーティングされた眼科用レンズを、第1槽から蒸発したペルフルオロポリエーテルシランが第2槽内の反射防止コーティングされた眼科用レンズ上に堆積できるように、第1槽に連結した第2槽内に定置する方法を提供する。本発明の別の態様では、第2槽は、第1槽が加熱されている間、周囲温度で保持してもよい。
本発明はまた、シラン及び反射防止基材を同じ槽内に定置し、ペルフルオロポリエーテルシランを加熱し、槽内の圧力を低下させることを含んでよい、反射防止基材上にペルフルオロポリエーテルシランを堆積させる方法を提供する。いくつかの基材を用いて、いくつかの条件下で、反射防止基材及びペルフルオロポリエーテルシランを同じ温度に加熱してよい。
さらなる態様では、本発明は、透明な基材の表面上に反射防止層を堆積させ、反射防止表面上に式Iのペルフルオロポリエーテルシランを真空蒸着することを含む、反射防止物品を調製する方法であって、ペルフルオロポリエーテル部分の平均分子量が約750〜約5000、好ましくは1000〜3000g/モルである方法を提供する。
他の有用な基材としては、セラミックス、ガラス、金属、天然及び人工石、熱可塑性材料(ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマーのようなスチレンコポリマー、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート)、塗料(アクリル樹脂ベースのものなど)、粉末コーティング(ポリウレタン又はハイブリッド粉末コーティングなど)及び木材が挙げられる。種々の物品を、本発明のペルフルオロポリエーテル溶液で効率的に処理し、その上に撥水性及び撥油性コーティングを提供することができる。例としては、セラミックタイル、浴槽又はトイレ、ガラスのシャワーパネル、建築ガラス、自動車の種々の部品(鏡又はフロントガラスなど)、ガラス及びセラミック又はエナメル陶器材料が挙げられる。
ペルフルオロポリエーテルシランコーティング組成物で処理することができる好適な基材としては、式(I)のペルフルオロポリエーテルシランと反応することができる官能基を有する硬質表面を好ましくは有する基材が挙げられる。好ましくは、かかる基材の表面の反応性は、活性水素原子によりもたらされる。かかる活性水素原子が存在しない場合、基材をまず酸素を含有するプラズマ又はコロナ雰囲気中で処理し、それをペルフルオロポリエーテルシランに対して反応性にし得る。
有用な基材としては、セラミックス、光沢セラミックス、ガラス、コンクリート、モルタル、グラウト、並びに天然及び人工石を含むシリカ質基材が挙げられる。種々の物品を、本発明のペルフルオロポリエーテルシランで効率的に処理し、その上に撥水性及び撥油性コーティングを提供することができる。例としては、セラミックタイル、浴槽又はトイレ、ガラスのシャワーパネル、建築ガラス、自動車の種々の部品(鏡又はフロントガラスなど)、及びセラミック又はエナメル陶器材料が挙げられる。眼科用目的のために使用されるガラス、例えばガラスレンズを、本発明の組成物で処理することは特に有利である。
基材を処理することによって、処理された表面に撥油性及び撥水性が付与されるので、処理された表面は汚れにくくなり、より簡単に洗浄できるようになる。これらの望ましい特性は、本発明の組成物を通して得ることができるような処理された表面の高い耐久性ゆえに、長期間の露出又は使用及び繰り返しの洗浄にもかかわらず維持される。
最適な特性、特に耐久性を得るように、本発明の組成物を適用する前に基材を洗浄してよい。つまり、コーティングされる基材の表面は、コーティング前に、有機汚染物質を実質的に含んではならない。洗浄方法は基材の種類に応じて決定され、例えば、アセトン又はエタノールのような有機溶媒による溶媒洗浄工程を含む。
コーティング組成物は、典型的には、0.01〜50質量%のペルフルオロポリエーテルシラン、より好ましくは0.03〜3質量%のペルフルオロポリエーテルシラン、最も好ましくは0.05〜1.0質量%のペルフルオロポリエーテルシランを含有する、比較的希釈された溶液である。溶媒と任意の水及び酸との比は、均質な混合物を得るように選択すべきである。
製造の容易性及びコストの理由のために、本発明のコーティング組成物は、一般に、式(I)のペルフルオロポリエーテルシランの濃縮物を希釈することにより、使用直前に調製される。濃縮物は、一般に、かかる濃縮物に存在する水及び/又は酸を含まず、有機溶媒中の式(I)のペルフルオロポリエーテルシランの濃縮溶液を含む。濃縮物は、数週間、好ましくは少なくとも1ヶ月間、より好ましくは少なくとも3ヶ月間安定であるべきである。式(I)のペルフルオロポリエーテルシランは、高濃度で有機溶媒に容易に溶解できることが見出されている。
前述の真空蒸着技術に加えて、スプレーコーティング、ナイフコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、メニスカスコーティング、フローコーティング、ロールコーティング等の広範なコーティング方法を用いて、本発明の組成物を適用することができる。ペルフルオロポリエーテルシランコーティング組成物を適用するための1つのコーティング方法は、スプレーの適用である。ロールコーティングは、ドクターブレードにコーティング組成物を送り、ドクターブレードからグラビアロールにコーティング組成物を輸送し、コーティング組成物をグラビアロールから基材の反射防止表面に適用することを含んでよい。それはさらに、ソフトロールを基材の表面に対向する表面に適用することをさらに含む、防汚性コーティング組成物をコーティングする工程を含んでよい。
コーティングされる基材は、典型的には、室温(典型的には約25℃〜200℃)でコーティング組成物に接触することができる。或いは、混合物を、例えば60℃〜150℃の温度に予熱した基材に適用することができる。これは、工業生産で特に関心があり、この場合例えば、セラミックタイルを生産ラインの終わりで焼成オーブンの直後に処理することができる。適用に続いて、処理した基材を周囲温度又は高温、例えば40〜300℃で、乾燥に十分な時間乾燥させ、硬化させてよい。プロセスは、過剰な材料を除去するための研磨工程も必要とする場合がある。
本発明の目的及び利点は、下記の実施例によってさらに例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。これらの実施例は単に、あくまで例示を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲を制限することを意味するものではない。
特に記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、比率等は全て、質量による。使用した溶媒及び他の試薬は、特に断りのない限り、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis))から入手した。
試験方法
核磁気共鳴(NMR)
H&19F−NMRスペクトルは、バリアン(Varian)ユニティプラス400(UNITYplus 400)フーリエ変換NMR分光計(バリアンNMRインストルメンツ社(Varian NMR Instruments)(カルフォルニア州パロアルト(Palo Alto))から入手可能)にて測定した。
ガスクロマトグラフィ/質量分析(GCMS)
GCMS試料は、例えば、フィニガン(Finnigan)TSQ7000質量分析計(サーモ・エレクトロン社(Thermo Electron Corporation)(マサチューセッツ州ウォルサム(Waltham))から入手可能)にて測定した。
ガスクロマトグラフィ(GC)
GC試料を、アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)(カルフォルニア州パロアルト(Palo Alto))から入手可能な、ヒューレットパッカード(Hewlett Packard)6890シリーズガスクロマトグラフにかけた。
赤外分光法(IR)
IRスペクトルは、サーモ・エレクトロン社(Thermo Electron Corporation)(マサチューセッツ州ウォルサム(Waltham))から入手可能なサーモ−ニコレー、アバター370FTIR(Thermo-Nicolet, Avatar 370 FTIR)で測定した。
(実施例1)
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CHOCSCSi(OCHの調製
中間体アルコールを以下のように調製した:イソプロピルアルコール(200グラム)を、オーバーヘッドスターラー、温度センサ及び添加漏斗を備える2Lの三つ口丸底フラスコに入れ、水/氷浴を用いて<10℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(34グラム、0.9モル)を、何回かに分けて少しずつ添加した。CO[CF(CF)CFO]CF(CF)COCH(900グラム、M=1262、0.71モル)を、窒素下で攪拌しながら滴下した。温度は0℃〜10℃に維持した。エステルの添加を約1時間で完了した。エステルの添加完了後、温度を0℃〜10℃に維持しながら反応物を持続的に攪拌した。次いで、反応混合物を室温に加温し、一晩攪拌した。
600mLの塩化アンモニウムの20質量%水溶液を、室温で粘性混合物に滴下した。添加完了時、冷却槽を使用して温度を45℃未満に保持した。NHCl溶液を全て添加した後、混合物を室温で約30分間攪拌し、次いで相を分離させた。上方の水性層を除去し、下方のアルコール相を500mLの脱イオン水で3度洗浄した。残留溶媒を、減圧下でロータリーエバポレータを用いて60℃で蒸留することにより除去し、884グラムの中間体(無色の油)を得た。
中間体アリルエーテルを以下のように調製した:
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CHOH(200グラム、M=1234、0.16モル)を、攪拌棒、温度センサ及び冷却器を備える2Lの三つ口丸底フラスコに入れた。t−ブチルアルコール(400グラム)を添加し、続いてカリウムt−ブトキシド(20グラム、0.18モル)を少しずつ添加した。反応混合物を窒素下で40℃に加熱した。最初曇っていた混合物が、澄んで透明な溶液になった。臭化アリル(21.6グラム、0.18モル)を一度に添加した。次いで、曇っている反応混合物を、窒素下で18時間40℃に加熱し、次いで溶解していない塩を含有する反応混合物を室温に冷却し、500mLの脱イオン水に続いて250mLの2NのHCl及び500mLの脱イオン水で希釈した。混合物を30分間攪拌し、層を分離させた。水相をデカントした。有機相を1Lの脱イオン水でさらに2度洗浄した。250mLのHFE−7100(3M社(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から商標ノベック(Novec)(商標)HFE−7100流体として入手可能)を添加し、生成物を溶解させた。有機相を分液漏斗内に残る水から分離し、60℃でロータリーエバポレータにより真空下で過剰なHFE−7100を除去し、212グラムの無色油生成物アリルエーテル:CO[CF(CF)CFO]CF(CF)CHOCHCH=CHを得た。
生成物アリルエーテル(24グラム、0.019モル、M=1274、nの値が約3〜約8の範囲であるオリゴマー性化合物の混合物からなる)、HSCSi(OCH(3.7グラム、0.019モル、アルファ・エーサー(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill))から入手した)、酢酸エチル(60グラム)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(ヴァゾ(Vazo)(商標)64、0.12グラム、デュ・ポン・ド・ヌムール社(Du Pont de Nemours & Co.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))から入手した)を、窒素雰囲気下で、熱電対温度プローブ、電磁攪拌棒及び水を満たした冷却器を備える250mLの丸底フラスコ内で混合した。次いで、混合物を4度脱気し、加熱還流し、反応溶液が完全に均質になるまで16時間その温度で保持した。溶液を乾燥氷/アセトン槽で冷却し、相分離を起こさせた。上方の酢酸エチル相を除去し、残った下相をFC72(商標)(ペルフルオロヘキサン、3M社(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から入手した)で抽出し、下方のフルオロケミカル相を残留酢酸エチルから分離し、続いてFC72(商標)を回転蒸発により除去した。IRスペクトル(サーモ−ニコレー(Thermo-Nicolet)、アバター(Avatar)370FTIR、サーモ・エレクトロン社(マサチューセッツ州ウォルサム(Waltham))から入手可能)は、予測されたシランと一致した。
(実施例2)
O[CF(CF)CFO]CF(CF)COSCSi(OCHの調製
ヘキサフルオロプロピレンオキシドをオリゴマー化し、本質的に米国特許第3,242,218号に記載されているような酸フッ化物混合物(CO[CF(CF)CFO]CF(CF)COF)を得、分画し、米国特許第6,923,921号に記載されているような低沸点オリゴマーを除去した。アリルアルコール(12.8グラム、0.22モル)を、酸フッ化物混合物(87グラム、M=1180)に一度に添加し、混合物を室温で(最初に発熱した後)18時間攪拌した。反応混合物をアセトンで希釈し、下方の不溶性フルオロケミカル相を分離し、もう一度等量のアセトンで洗浄した。フルオロケミカル相中の残留アセトンを回転蒸発により除去し、81.1グラムの油を得た。IRスペクトルは、1787.4cm−1にアリルエステルのカルボニルバンドを示した。GC(ヒューレットパッカード(Hewlett Packard)6890シリーズガスクロマトグラフ、アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto))から入手可能)による混合物の分析は、出発酸フッ化物成分が完全になくなり、アリルエステル(CO[CF(CF)CFO]CF(CF)COCHCH=CH2)の新たな一連のピークが現れたことを示した。COF基が水素で置換されている一連のオリゴマーが約8%存在し、この物質はさらに精製することなく次の工程で用いた。
O[CF(CF)CFO]CF(CF)COCHCH=CH(50グラム、0.041モル)、HSCSi(OCH(9.6グラム、0.049モル、アルファ・エーサー(Alfa Aesar)(マサチューセッツ州ワードヒル(Ward Hill))から入手した)、2−ブタノン(60グラム)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(ヴァゾ(Vazo)(商標)64、0.16グラム、デュ・ポン・ド・ヌムール社(Du Pont de Nemours & Co.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))から入手した)を、窒素雰囲気下で、熱電対温度プローブ、電磁攪拌棒及び水を満たした冷却器を備える250mLの丸底フラスコ内で混合した。脱気後、混合物を79℃で16時間加熱し、次いで室温に冷却した。FC72(商標)(約50mL)を添加し、下相を分離し、アセトンで1度洗浄し、過剰なメルカプトシランを除去した。溶媒を回転蒸発により除去し、50.1グラムの淡黄色油を得た。この生成物をH−NMR(バリアン・ユニティプラス400フーリエ変換NMR分光計(Varian UNITYplus 400 Fourier transform NMR spectrometer)(バリアンNMRインスツルメンツ(Varian NMR Instruments)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto))から入手可能)により分析し、45%のエステル/シラン及び40%の出発物質アリルエステルと、約15%の対応する水素化物との混合物であることが分かった。次いで、混合物を上記と同一反応条件下にて20グラム超のメルカプトシランで処理し、81%の所望のシラン、0.6%の出発アリルエステル及び18%の水素化物である最終組成物を得た。
(実施例3)
(CHO)SiCSCOCHCF(OC)n(OCF)nCFCHOCSCSi(OCHの調製
フォンブリン(Fomblin)(商標)ZDOLペルフルオロポリエーテルジオール(157グラム、EW=950、ソルベイ・ソレキス(Solvay Solexis)(テキサス州ヒューストン(Houston))から入手した)を、熱電対、添加漏斗及びオーバーヘッドスターラーを備える1Lの三つ口丸底フラスコ内で、HFE(商標)7100(150mL)及びジメトキシエタン(100mL、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis))から入手した)に溶解させた。この混合物に、水酸化カリウム(14.0グラム、9mLの水に溶解)を添加し、混合物を40℃〜50℃に加熱し、1時間攪拌した。テトラブチルアンモニウムブロミド(3.0グラム、1mLの水に溶解)を添加し、続いて約1時間にわたって臭化アリル(31グラム、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis))から入手した)を滴下した。次いで、反応混合物を16時間45℃で攪拌した。蒸留ヘッドを取付け、溶媒及び水を、ポット温度が約120℃に達するまで蒸留した。次いで反応混合物を冷却し、1.99kPa(0.02気圧(15mmHg))の真空を適用し、温度を再度約120℃に上昇させた。混合物をこの温度で約1時間保持した。室温に冷却した後、HFE(商標)7100(250mL)を添加し、混合物を真空下で焼結ガラス漏斗で濾過し、固体を除去した。固体をさらに75mLのHFE(商標)7100で洗浄した。ろ液を1%水性塩酸で1度洗浄し、下方のフルオロケミカル相を分離し、溶媒を回転蒸発により除去し、158グラムのビスアリルエーテルの琥珀色の透明液体を得た。IRスペクトルは、アルコールバンドが完全に消失していることを示した。
ビスアリルエーテル(35.8グラム、0.017モル)、HSCSi(OCH(13.5グラム、0.067モル)、酢酸エチル(100グラム)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(ヴァゾ(Vazo)(商標)64、0.16グラム)を、窒素雰囲気下で、熱電対温度プローブ、電磁攪拌棒及び水を満たした冷却器を備える250mLの丸底フラスコ内で混合した。実施例1のように脱気した後、混合物を70℃で16時間加熱した。溶媒を回転蒸発により除去し、過剰なメルカプトシラン出発物質を0.27kPa(0.002気圧(2mmHg))で真空蒸留することにより除去し、39.6グラムの所望の生成物を得た。
(実施例4)
(CHO)SiCSCOCHCF(CF)[OCFCF(CF)]OCO[(CF(CF)CFO]CF(CF)CHOCSCSi(OCHの調製
以下を充填したことを除き、このシランを実施例3のように調製した:
米国特許第3,574,770号のように調製したフルオロケミカルジオール、ヒドロキシルEW=610:100グラム;HFE(商標)7100:150mL;ジメトキシエタン:100mL;KOH:9mLの水中に14グラム溶解;テトラブチルアンモニウムブロミド:1mLの水に3グラム溶解;臭化アリル:31グラム(0.26モル)。反応条件及び検査手順は実施例3と同様であり、92グラムの所望のビス(アリル)エーテルの黄褐色液体(tan liquid)を得た。
ビス(アリル)エーテル(20グラム、0.015モル)をHSCSi(OCH(14グラム、0.07モル)、酢酸エチル(40グラム)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(ヴァゾ(Vazo)(商標)64、0.045グラム)を、窒素雰囲気下で、熱電対温度プローブ、電磁攪拌棒及び水を満たした冷却器を備える250mLの丸底フラスコ内で混合した。脱気後、混合物を70℃で16時間加熱した。溶媒を回転蒸発により除去し、過剰なメルカプトシランを0.27kPa(0.002気圧(2mmHg))で真空蒸留することにより除去し、25.6グラムの所望の生成物を得た。IRスペクトルは、所望のビス(シラン)と一致した。
(実施例5)
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CHCHSCSi(OCHの調製
O[CF(CF)CFO]CF(CF)CH=CHを、還流下にてメタノール中で、CO[CF(CF)CFO]CF(CF)CHCHIとナトリウムメトキシドを反応させることにより調製した。次に、反応開始剤として過酸化ベンゾイルを用いて65℃で、CO[CF(CF)CFO]CF(CF)Iとエチレンを反応させることにより、ヨウ化物を調製した。ビニル成分(28.5グラム、0.026モル、純度約76%)を、HSCSi(OCH(10.2グラム、0.05モル)、2−ブタノン(約60グラム)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(ヴァゾ(Vazo)(商標)64、0.1グラム)を、窒素雰囲気下で、熱電対温度プローブ、電磁攪拌棒及び水を満たした冷却器を備える250mLの丸底フラスコ内で混合した。脱気後、混合物を70℃で16時間加熱した。溶媒を回転蒸発により除去し、残留物をペルフルオロペンタン、PF5050(商標)(3M社(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から3M(商標)パフォーマンス流体PF−5050として入手可能)に吸収させ、2−ブタノンで洗浄し、過剰な出発物質シランを除去し、溶媒を回転蒸発により除去し、30.5グラムのシランを得た。
(実施例6)
O[CF(CF)CFO)CF(CF)CFOCSCSi(OCHの調製
中間体CO[CF(CF)CFO)]CF(CF)CFOCHCH=CHを、以下のように調製した:CO[CF(CF)CFO]CF(CF)COF(M=1180、実施例2に記載したように調製した、170グラム、0.14モル)、無水ジグリム(354グラム)、ヨウ化カリウム(0.5グラム)、フッ化カリウム(12.8グラム、0.22モル)、アドゲン(Adogen)(商標)464(9.3グラムの49質量%無水ジグリム溶液)及び臭化アリル(54グラム、0.44モル)を、オーバーヘッドスターラー、冷却器及び熱電対温度プローブを備える1Lの三つ口丸底フラスコ内で混合し、混合物を攪拌しながら窒素雰囲気下で72時間75℃で加熱した。次いで、74グラムの臭化アリルをさらに添加し、混合物を75℃でさらに72時間加熱した。この時点で、反応混合物の組成は、約44%の出発物質酸フッ化物、41%の所望のアリルエーテル及び10%のアリルエステルであった。反応混合物を濾過し、固体を除去し、ジグリム溶液から相を分離した。次いでフルオロケミカル相を酢酸エチルで洗浄し、残りの有機溶媒及び試薬を除去した。HFE(商標)7100を含むフルオロケミカル相の希釈によりさらに精製し、フェノールフタレイン終点まで水性水酸化カリウムと反応させた。相分離(乳化した反応混合物を凍結させることにより達成された)後、得られたフルオロケミカル相を蒸留し、留出物を次の手順で用いた。留出物の組成は、約34%のアリルエーテル及び57%のCO[CF(CF)CFO]CFHCFであった。
上記のように調製したアリルエーテルを、AIBN反応開始剤(0.15グラム)を用いて2−ブタノン溶媒(125mL)中にてHSCSi(OCH(14.0グラム)で処理し、脱気した。この反応混合物を70℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をペルフルオロペンタンで処理し、生成物を抽出し、続いて2−ブタノンを含むペルフルオロペンタン溶液で洗浄し、過剰なシランを除去した。
処理及び試験方法
ディップコートによる眼科用レンズの処理:
選択したフルオロケミカルシランの0.1%HFE−7100(商標)溶液を、ディップ式塗布機のガラス容器に入れた。清浄なレンズを15mm/秒の速度で溶液に浸し、2秒間沈めたままにした。次いで、レンズを15mm/秒の速度で溶液から引き上げた。コーティングしたレンズを30分間空気中で乾燥させ、次いで同様の浸漬及び引き上げ速度で0.1%HCl溶液に浸した。任意の過剰な酸を窒素ガスで吹き飛ばした。レンズをアルミニウムパン内に定置し、オーブン内で30分間60℃で硬化させた。
化学蒸着(CVD)による眼科用レンズ処理:
清浄なレンズを、3.9E−5Pa(3×10−7トール)圧下で蒸着槽内にて、本発明の選択されたフルオロケミカルシラン及び比較用シラン(ECC−1000(商標)、イージー・クリーン・コーティング(Easy Clean Coating)−1000(商標)、(CHO)SiCNHCOCF(OC)n(OCF)nCFCONHCSi(OCH、3M社(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から入手した)のそれぞれで処理した。シランの蒸発温度は、以下の表1に示すように350〜500℃の範囲であった。
表1に示すCVD(化学蒸着)実験結果は、メルカプト連結基を有する本発明のシランが、効率的な堆積のために低蒸発温度を必要とすることを示す。例えば、実施例3のシラン、
(CHO)SiCSCOCHCF(OC)n(OCF)nCFCHOCSCSi(OCHのCVDプロセス温度は、同様のペルフルオロポリエーテル主鎖を有するが、カルボキサミド連結基を有するECC−1000(商標)より約50℃低い。
Figure 0005133995
排液時間試験:
この試験のために、処理された眼科用レンズからの液体の排液時間を、ディップ式塗布機を用いて測定した。処理したレンズを浸し、続いて液体(オレイン酸又はイソプロパノール(IPA))から引き上げる。試験用の引き上げ速度は5cm(2インチ)/秒であった。液体を完全に排出するのに必要な時間をタイマーで測定した。
表2は、イソプロパノール及びオレイン酸でCVD及びディップコーティングしたポリカーボネートレンズについて測定した排液時間を要約する。データによると、一般に、レンズのCVDコーティングは、ディップコーティングよりも、IPA及びオレイン酸の両方について排液時間が短かった。データはまた、コーティング方法とは無関係に、メルカプト連結基を有するシランが、同様のフルオロケミカル鎖を有するとき(実施例3対ECC−1000FTM)でさえカルボキサミド連結基よりも排液時間が短かったことを示した。
Figure 0005133995
クライザル(商標)、エシオール・インターナショナル(Essilor International)(フロリダ州セントピーターズバーグ(St Petersburg))から入手した。
アライズ(商標)、エシオール・インターナショナル(Essilor International)(フロリダ州セントピーターズバーグ(St Petersburg))から入手した。
比較例Aのシランは、式CO[CF(CF)CFO]CF(CF)CONHCSi(OCHを有する
比較例Bのシランは、実施例4のシランに類似するが、カルボキサミドシランである。
静的及び動的接触角
静的、前進及び後退接触角試験は、コーティング材料の表面特性の速やかで正確な予測を行う。
処理されたレンズの接触角(乾燥及び硬化後)を、両方とも制御及びデータ処理(date process)用コンピュータを備えるクラス(Kruss)G120及びAST VCA 2500 XE映像接触角システム(ASTプロダクツ(AST Products, Inc.))を用いて測定した。データは水及びn−ヘキサデカンの両方に対して生じた。表3は、CVD及びディップコーティング加工の両方を用いた、種々のシランで処理したレンズについて、静的、前進及び後退接触角を要約する。測定した接触角は、全ての処理したレンズについて大きかったが、一般に、ディップコーティングにより処理したレンズの接触角の方がわずかに大きかった。CVDコーティングしたレンズの接触角が、ディップコーティングしたレンズの接触角に非常に近いことは注目に値し、これはCVDコーティングがうまく適用されていることを示す。
Figure 0005133995
処理したレンズのヒステリシス:
最大(前進)及び最小(後退)接触角の値の差は、接触角ヒステリシスと呼ばれる。多くの研究がヒステリシスの有意性の分析について論じており、それを用いて表面の不均一性、粗度及び可動性を特徴付けるのを補助する。簡潔に言えば、均質でない表面の場合、表面上に接触線の動きに対する障壁を示す領域が存在する。化学的に不均一な場合、これらの領域は、周囲の表面とは異なる接触角を有する範囲を示す。例えば、水で濡れているとき、疎水性領域は、液体が前進するにつれて接触線の動きを抑え、それにより接触角が増加する。水が後退するとき、親水性領域は、接触線の排水運動を抑え、それにより接触角が減少する。コーティングされた表面の簡易洗浄性能は、接触角ヒステリシスに対応する可能性がある。接触角ヒステリシスが小さくなるにつれて、性能はよくなる。表4は、いくつかの処理されたレンズのヒステリシスを列挙する。
Figure 0005133995
耐久性試験:
レンズ上のシラン処理の耐久性を以下の方法で測定した。レンズ・イレイサー・アブレーション試験機(Lens Eraser Abrasion Tester)(コルツ・ラボラトリーズ(Colts Laboratories, Inc.)(フロリダ州クリアウォーター(Clearwater))から入手した)及び3M高性能布地(スコッチ・ブライト(Scotch-Brite)(商標)マイクロファイバー・ダスティング・クロス(Microfiber Dusting Cloth)、3M社(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から入手した)を用いて、22.2N(5ポンド)負荷下で500サイクル、処理したレンズを磨耗試験に供した。次いで、磨耗試験後の処理したレンズの接触角を、再び上記方法を用いて測定した。表5は、磨耗耐性試験後の処理したレンズの接触角データを示す。磨耗試験前(表3)及び後(表5)の接触角データを比較することにより、実施例3の材料は優れた耐久性を有することが示された。
Figure 0005133995
接着及びエッジング試験:
この試験を実施し、切削作業中縁磨き機の所定の位置にレンズを保持するためのパッドの能力を測定する。リープパッド(Leap Pad)III(3M社(ミネソタ州セントポール(St Paul))から入手した)の片側から封止紙を剥がし、コーティングしたレンズの中央に適用し、30cm(12.25インチ)のバーを有するトルク用具にしっかりと貼着した。レンズを回転させながら所定の位置にレンズを保持する装置であるブロックを、リープパッドIIIのもう一方の側に適用した。パッド及びレンズを備えるトルク用具を、縁磨き機に挿入し(ブロックフランジのブロッカーへの整列が基準である)、パッド上に0.29MPa(2.86気圧(42psi)の圧力でしっかりと圧した。トルク用具の先端を、トルク目盛りの0度に並べ、26.7N(6ポンド)の水平力を、バネばかりを用いて1分間適用し、トルク目盛り上のトルク用具の新たな位置を、0位置からの度数として記録した。トルク度が5以下である場合、それは適切に接着し、エッジングプロセス中レンズを保持する能力を有すると考えられる。アライズに加えて、本発明のシラン処理の試験結果を表6に示す。アライズレンズのトルク度は>15であり、これはエッジングプロセスに特別な一時的コーティングを必要とする。本発明で記載した新規シラン処理は、トルク度8を有する実施例3を除いて全て、このトルク試験に合格した(<5)。実施例3のCVDコーティングされたレンズを、トルク試験前にまずイソプロパノールで洗浄した場合、接着が改善され、試験に合格した。それ故、本発明のシラン処理は、エッジングプロセス中特別な一時的コーティングを必要としない。
Figure 0005133995

Claims (8)

  1. 式:
    [−R−C−S−R−Si(Y)(R3−x(式中、
    は、一価又は二価ペルフルオロポリエーテル基であり、
    は、共有結合、−O−、又は二価アルキレン若しくはアリーレン基又はこれらの組み合わせであって、前記アルキレン基は1つ以上のエーテル酸素原子を含有してもよく、
    は、二価アルキレン若しくはアリーレン基又はこれらの組み合わせであって、前記アルキレン基は1つ以上のエーテル酸素原子を含有してもよく、
    Yは、加水分解性基であり、
    は、一価アルキル又はアリール基であり、xは1、2又は3であり、
    yは1又は2である)のペルフルオロポリエーテルシラン。
  2. が、−(C2nO)−、−(CF(Z)O)−、−(CF(Z)C2nO)−、−(C2nCF(Z)O)−、−(CFCF(Z)O)−及びこれらの組み合わせ(式中、nは1〜4であり、Zはペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基又はペルフルオロエーテル基である)からなる群から選択されるペルフルオロ化反復単位を含むペルフルオロポリエーテル基である、請求項1に記載のペルフルオロポリエーテルシラン。
  3. 前記ペルフルオロポリエーテル基が、−CFO(CFO)(CO)CF−(式中、m及びpの平均値は0〜50であるが、ただしm及びpは同時に0ではない);
    −CFO(CO)CF−、−CF(CF)O−(CFCF(CF)O)−CO−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−、
    及び−(CFO(CO)(CF−(式中、pの平均値は1〜50である)から選択される、請求項1に記載のペルフルオロポリエーテルシラン。
  4. が一価ペルフルオロポリエーテル基である、請求項1に記載のペルフルオロポリエーテルシラン。
  5. 式HS−R−Si(Y)(R3−xのメルカプトシランを、式:
    [−R−CH=CH(式中、
    は、一価又は二価ペルフルオロポリエーテル基であり、
    は、共有結合、−O−、又は二価アルキレン若しくはアリーレン基又はこれらの組み合わせであって、前記アルキレン基は1つ以上のエーテル酸素原子を含有してもよく、
    は、二価アルキレン若しくはアリーレン基又はこれらの組み合わせであって、前記アルキレン基は1つ以上のエーテル酸素原子を含有してもよく、
    は、一価アルキル又はアリール基であり、
    Yは加水分解性基であり、xは1、2又は3であり、yは1又は2である)のエチレン性不飽和フッ素化化合物にフリーラジカル付加することを含む、請求項1に記載のペルフルオロポリエーテルシランの調製方法。
  6. 表面上に請求項1に記載のペルフルオロポリエーテルシランのコーティングを有する基材を含むコーティングされた物品。
  7. 請求項1に記載のペルフルオロポリエーテルシラン、有機溶媒、及び所望により有機又は無機酸を含むコーティング組成物。
  8. 0.01〜50質量%の前記ペルフルオロポリエーテルシランを含む、請求項に記載のコーティング組成物
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