JP6168825B2 - コーティング材料、コーティング及びその製造方法、並びにインクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、
を含み、該加水分解性シラン化合物に対する前記(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物の比率が0.1〜4mol%である。
また、本発明に係るコーティング材料は、加水分解性シラン化合物の縮合生成物を含むコーティング材料であって、該加水分解性シラン化合物が、
(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、
加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物と、
を含む。
本発明に係るインクジェットヘッドは、本発明に係るコーティングを有する。
前記コーティング材料の塗膜に対し露光及び加熱処理を施すことにより、塗膜を硬化させる工程と、
を含むコーティングの製造方法であって、
前記加水分解性シラン化合物が、
(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、
を含む。
(1)基板上に加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物と、光重合開始剤とを含む光重合性樹脂を用いて光重合性樹脂層を形成する工程と、
(2)前記光重合性樹脂層上に本発明に係るコーティング材料の塗膜を形成する工程と、
(3)前記光重合性樹脂層及び前記塗膜を同時に露光する工程と、
(4)前記光重合性樹脂層及び前記塗膜の露光部分を一括硬化する工程と、
を含む。
本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、コーティングを有するインクジェットヘッドの製造方法であって、本発明に係るコーティングの製造方法を用いて該コーティングを形成する。
本発明に係る撥水防汚コーティング用材料は、加水分解性シラン化合物を縮合させて得られる縮合生成物を含む撥水防汚コーティング用材料であって、該加水分解性シラン化合物が、(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物と、(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、を含む。
パーフルオロポリエーテル基とは、パーフルオロアルキル基と酸素原子(エーテル結合)を含むユニットが1つ以上連なった基である。具体的には、パーフルオロポリエーテル基は下記式(5)で表される基であることが撥水性および汎用性の観点から好ましい。下記式(5)中、括弧内で表される部分がそれぞれのユニットであり、そのユニットの数を示すo、p、q及びrで表される数をここでは繰り返し単位数と呼ぶ。
前記式(1)から(4)において、Rpは前記式(5)で表される基であることが好ましい。Rp内の繰り返し単位数は1から30の整数であることが好ましい。パーフルオロポリエーテル基の構造にもよるが、繰り返し単位数は3から20の整数であることがより好ましい。Rpの平均分子量は、500〜5000であることが好ましく、500〜2000であることがより好ましい。Rpの平均分子量が500以上であることにより、十分な撥水性が得られる。また、Rpの平均分子量が5000以下であることにより、十分な溶媒への溶解性が得られる。なお、パーフルオロポリエーテル基を有する化合物はその特性上、繰り返し単位数の異なるものの混合物である場合が多い。また、パーフルオロポリエーテル基の平均分子量とは、前記式(5)の繰り返し単位で示される部分の総和の分子量の平均を示す。前記平均分子量はGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)により測定した値である。
前記式(9)〜(13)において、繰り返し単位数であるs、t、e、f、g及びhは3〜30であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。3以上であることにより撥水性が向上し、30以下であることにより溶媒に対する溶解性が向上する。特にアルコール等の非フッ素系溶媒中で縮合反応を行う場合には、s、t、e、f、g及びhは3〜10であることが好ましい。市販の(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物としては、ダイキン工業(株)製「オプツールDSX」、「オプツールAES」、信越化学工業(株)製「KY−108」、「KY−164」、住友スリーエム製「Novec1720」、ソルベイソレクシス製「フルオロリンクS10」(以上、商品名)などが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物としては、下記式(6)で表される化合物が汎用性の観点から好ましい。
(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物としては、特に限定されないが、下記式(7)で表される化合物であることが好ましい。パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物とそれ以外の成分との親和性およびパーフルオロポリエーテル基の凝集防止の観点からである。
前記加水分解性シラン化合物は、前記(a)、(b)及び(c)に加えてさらに下記式(8)で表される(d)アルキル基またはアリール基を有する加水分解性シラン化合物を含むことが好ましい。
T1体:1つの加水分解性シラン化合物と酸素を介して結合しているSi原子
T2体:2つの加水分解性シラン化合物と酸素を介して結合しているSi原子
T3体:3つの加水分解性シラン化合物と酸素を介して結合しているSi原子
D1体:1つの加水分解性シラン化合物と酸素を介して結合しているSi原子
D2体:2つの加水分解性シラン化合物と酸素を介して結合しているSi原子
本発明に係る撥水防汚コーティングは、本発明に係る撥水防汚コーティング用材料を用い、該撥水防汚コーティング用材料に含まれる前記縮合生成物を、光重合開始剤を用いて硬化させることにより得られる。
本発明に係る撥水防汚コーティングの製造方法は、加水分解性シラン化合物を縮合させて得られる縮合生成物と、光酸発生剤と、加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物とを含む撥水防汚コーティング材料を基板上に塗布する工程と、
前記撥水防汚コーティング材料の塗膜に対し露光及び加熱処理を施すことにより、塗膜を硬化させる工程と、を含む撥水防汚コーティングの製造方法であって、
前記加水分解性シラン化合物が、
(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、を含む。該方法では、撥水防汚コーティング材料が光酸発生剤と、加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物とを含むことで、該材料を硬化させることで得られる撥水防汚コーティングは高い撥水防汚性、耐久性及び平滑性を示す。
(1)基板上に加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物と、光重合開始剤とを含む光重合性樹脂を用いて光重合性樹脂層を形成する工程と、
(2)前記光重合性樹脂層上に本発明に係る撥水防汚コーティング材料を用いて撥水防汚層を形成する工程と、
(3)前記光重合性樹脂層及び前記撥水防汚層を同時に露光する工程と、
(4)前記光重合性樹脂層及び前記撥水防汚層の露光部分を一括硬化する工程と、を含む。該方法では、下地である光重合性樹脂層が加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物と、光重合開始剤とを含み、その上に形成される撥水防汚層と光重合性樹脂層とが一部相溶する。このため、上述した方法と同様に得られる撥水防汚コーティングは高い撥水防汚性、耐久性及び平滑性を示す。該方法は、さらに(5)前記光重合性樹脂層及び前記撥水防汚層の未露光部を除去してパターンを形成する工程を含むことができる。
調製した縮合生成物の縮合度は、核磁気共鳴装置(製品名:AVANCEII 500MHz、ブルカーバイオスピン(株)製)を用いて29Si−NMR測定を行い、前記定義より算出した。また、ピーク強度より、未反応モノマー量(T0量)と、加水分解性置換基が全て縮合したものの量(T3量)も併せて算出した。
走査型電子顕微鏡(製品名:S−4300、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、塗膜の現像残渣と表面状態を観察した。塗膜外観は以下の基準で評価した。
○:現像残渣が確認されない。
○:表面は平滑である。
作製した塗膜の評価として、微小接触角計(製品名:DropMeasure、(株)マイクロジェット製)を用いて純水に対する動的後退接触角θrの測定を行い、初期撥水性の評価を行った。また、塗膜表面の耐久性評価として、pH=10のアルカリ水溶液に塗膜を浸漬して60℃で1週間保持し、水洗した後、純水に対するθrを測定した。さらに、擦りに対する耐久性評価として、カーボンブラックを含有する水溶液を塗膜に吹き付けながらHNBR(水素化ニトリルゴム)のブレードを用いて拭き取り操作を2000回実施した後、純水に対するθrを測定した。
以下に示す方法により縮合生成物を調製した。前記式(12)で表される化合物0.96g(0.726mmol、gは3から10の整数、以下化合物(i))、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン12.53g(0.045mol、以下GPTES)、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン4.91g(0.0225mol、以下C1)、メチルトリエトキシシラン8.02g(0.0225mol、以下MTEOS)、純水5.93g、エタノール15.15g、およびハイドロフルオロエーテル3.83g(商品名:HFE7200、住友スリーエム(株)製)を、冷却管を備えるフラスコ内で、室温で5分間撹拌した。その後、24時間加熱還流することによって縮合生成物を調製した。このときの縮合度は70%、T0量=3.5%、T3量=36%であった。縮合生成物の溶液をエタノールで4倍に希釈し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。
実施例1で調製した撥水防汚コーティング用材料100質量部に光酸発生剤(商品名:SP−172、(株)ADEKA製)を0.4質量部加え、撥水防汚コーティング用材料を調製した。基板上に該撥水防汚コーティング用材料をスピンコート法により塗布し、90℃で加熱処理して厚さ0.5μmの塗膜を得た。実施例1と同様に、i線照射、現像処理、および加熱処理を行い、撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。実施例1と同様に撥水防汚コーティングの表面は平滑であり、初期及び耐久試験後の純水接触角は高い値を示した。
実施例1で調製した撥水防汚コーティング用材料100質量部に光酸発生剤(商品名:SP−172、(株)ADEKA製)0.8質量部、及びエポキシ化合物(商品名:EHPE−3150、(株)ダイセル製)7質量部を加えた。さらに、エタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。該撥水防汚コーティング用材料を用いて実施例2と同様の処理を行い、撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。撥水防汚コーティング材料にエポキシ化合物と光酸発生剤とを添加した場合においても、実施例1と同様に撥水防汚コーティングの表面は平滑であり、初期及び耐久試験後の純水接触角は高い値を示した。
MTEOSをフェニルトリエトキシシラン(以下PhTES)に変更した以外は、実施例1と同様に縮合生成物を合成し、エタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈して撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。実施例1と同様に撥水防汚コーティングの表面は平滑であり、初期及び耐久試験後の純水接触角は高い値を示した。
実施例5では、GPTES及びC1の配合量を表1に示す値に変更した。実施例6では、C1の配合量を表1に示す値に変更し、MTEOSを添加しなかった。実施例7では、化合物(i)及びC1の配合量を表1に示す値に変更し、MTEOSを添加しなかった。これら以外は実施例1と同様に縮合生成物を合成した。これらを、エタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈して撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。GPTESが少なく、C1の配合量が多いため、撥水性がやや低下する傾向がみられたが、撥水防汚コーティングの表面状態は良好であった。
各加水分解性シラン化合物の配合量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様に縮合生成物を合成し、エタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈して撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。C1の配合量が比較的少ないため、撥水防汚コーティングの表面に僅かに現像残渣が確認された。
GPTESの代わりに、2官能の加水分解性シラン化合物であるγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(以下GPMDES)を用いた以外は実施例1と同様に縮合生成物を合成した。これをエタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈して撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。実施例1と同様に撥水防汚コーティングの表面は平滑であり、初期及び耐久試験後の純水接触角は高い値を示した。
純水の代わりに表1に記載の有機酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、エタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈して撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。純水を用いた場合に比較して、T3比率がやや減少していることがわかった。また、実施例1と同様に撥水防汚コーティングの表面は平滑であり、初期及び耐久試験後の純水接触角は高い値を示した。
C1の代わりに、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(フッ素原子数13、以下C6)を用いた。また、表1に示す組成に変更した以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成した。これを、エタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈して撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。撥水防汚コーティングの表面に僅かに凹みが発生したが、現像残渣は発生せず、撥水性も良好であった。
C1の代わりに、ノナフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロヘキシルトリエトキシシラン(フッ素原子数9、以下C4)を用いた。また、表1に示す組成に変更した以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成した。これを、エタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈して撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。実施例1と同様に撥水防汚コーティングの表面は平滑で残渣は確認されず、初期及び耐久試験後の純水接触角は高い値を示した。
C1の代わりに、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(フッ素原子数5、以下F5Ph)を用いた。また、表1に示す組成に変更した以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成した。これを、エタノール/ブタノール混合溶媒を用いて希釈して撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。実施例1と同様に撥水防汚コーティングの表面は平滑で残渣は確認されず、初期及び耐久試験後の純水接触角は高い値を示した。
溶媒としてHFE7200を用いなかった以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを得た。結果を表1に示す。フッ素系溶媒を用いずに合成したため、僅かに現像残渣が発生したが、撥水性は良好であった。
化合物(i)の代わりに、下記式で示される化合物(ii)を用いた。
純水の配合量を5.93gから4.94gに変更した以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを作製した。結果を表1に示す。合成時の水分量を減少させたところ、縮合度はそれほど変化しなかったが、T0量とT3量が増加した。撥水防汚コーティングの撥水性は僅かに低下したが、現像残渣は発生せず、平滑性は良好であった。
加熱還流時間を8時間に短縮した以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを作製した。結果を表1に示す。縮合度が40%に低下し、撥水防汚コーティングの撥水性は僅かに低下したが、現像残渣は発生せず、平滑性は良好であった。
各加水分解性シラン化合物の配合量を表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを作製した。結果を表1に示す。撥水防汚コーティングの撥水性は僅かに低下したが、現像残渣は発生せず、平滑性は良好であった。
純水の代わりに0.001mol/lの塩酸を用いた以外は、実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを作製した。結果を表1に示す。撥水防汚コーティングの撥水性は良好であり、現像残渣は発生せず、平滑性は良好であった。
C1を配合せず、表1に示す組成とした以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを作製した。結果を表1に示す。現像残渣が確認され、撥水防汚コーティングの表面に円形の凹みが観察された。
GPTESを配合せず、表1に示す組成とした以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを作製した。結果を表1に示す。撥水防汚コーティングの撥水性が低下し、撥水防汚性能が劣った。
化合物(i)、MTEOS及びHFE7200を配合せず、表1に示す組成とした以外は実施例1と同様の方法で縮合生成物を合成し、撥水防汚コーティング用材料を調製した。さらに実施例1と同様の手順で撥水防汚コーティングを作製した。結果を表1に示す。撥水防汚コーティングの撥水性が低下し、撥水防汚性能が劣った。
Claims (30)
- 加水分解性シラン化合物の縮合生成物を含むコーティング材料であって、該加水分解性シラン化合物が、
(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、
を含み、該加水分解性シラン化合物に対する前記(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物の比率が0.1〜4mol%であるコーティング材料。 - 前記(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物が、下記式(1)から(4)で表される化合物の少なくとも一種である請求項1に記載のコーティング材料。
(式(1)中、Rpはパーフルオロポリエーテル基、Aは炭素数1から12の有機基、Xは加水分解性置換基、Yは非加水分解性置換基である。aは1から3の整数である。)
(式(2)中、Rは非加水分解性置換基であり、Yと同一であっても異なっていてもよい。Rp、A、X、Yおよびaは式(1)と同義である。)
(式(3)中、Zは水素原子又はアルキル基、Q1は2価の結合基である。mは1から4の整数である。Rp、A、X、Yおよびaは式(1)と同義である。)
(式(4)中、nは1又は2である。Q2はn=1のとき2価の結合基、n=2のとき3価の結合基である。Rp、A、X、Yおよびaは式(1)と同義である。) - 前記式(5)において、o、p、q及びrの合計が3から10の整数である請求項3に記載のコーティング材料。
- 前記式(7)において、Rfがフッ素原子を1から10個有するアルキル基またはアリール基である請求項7に記載のコーティング材料。
- 前記式(7)において、Rfが3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロフェニル基、パーフルオロブチル基、又はトリフルオロメチル基である請求項8に記載のコーティング材料。
- 前記式(8)で表される(d)アルキル基またはアリール基を有する加水分解性シラン化合物が、Rdとしてメチル基およびフェニル基の少なくとも一方を有する請求項10に記載のコーティング材料。
- 前記(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、前記(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物とのモル比が、(a):(c)=1:4から1:50である請求項1から11のいずれか1項に記載のコーティング材料。
- 前記縮合生成物の縮合度が40%以上、90%以下である請求項1から12のいずれか1項に記載のコーティング材料。
- 前記縮合生成物において、3つの加水分解性シラン化合物と酸素を介して結合しているSi原子の比率が、全Si原子に対して50%以下である請求項1から13のいずれか1項に記載のコーティング材料。
- 前記加水分解性シラン化合物に対する前記(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物の比率が30〜70mol%である請求項1から14のいずれか1項に記載のコーティング材料。
- 前記加水分解性シラン化合物に対する前記(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物の比率が1〜50mol%である請求項1から15のいずれか1項に記載のコーティング材料。
- さらに加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物を含む請求項1から16のいずれか1項に記載のコーティング材料。
- 加水分解性シラン化合物の縮合生成物を含むコーティング材料であって、該加水分解性シラン化合物が、
(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、
加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物と、
を含むコーティング材料。 - 請求項1から18のいずれか1項に記載のコーティング材料と光重合開始剤との硬化物であるコーティング。
- 前記光重合開始剤が光酸発生剤である請求項19に記載のコーティング。
- 請求項20に記載のコーティングを有するインクジェットヘッド。
- 加水分解性シラン化合物の縮合生成物と、光酸発生剤と、加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物とを含むコーティング材料を基板上に塗布する工程と、
前記コーティング材料の塗膜に対し露光及び加熱処理を施すことにより、塗膜を硬化させる工程と、
を含むコーティングの製造方法であって、
前記加水分解性シラン化合物が、
(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、
(b)エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物と、
(c)パーフルオロポリエーテル基以外のフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物と、
を含むコーティングの製造方法。 - 前記加水分解性シラン化合物に対する前記(a)パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物の比率が0.1〜4mol%である請求項22に記載のコーティングの製造方法。
- (1)基板上に加水分解性シラン化合物以外のエポキシ化合物と、光重合開始剤とを含む光重合性樹脂を用いて光重合性樹脂層を形成する工程と、
(2)前記光重合性樹脂層上に請求項1から19のいずれか1項に記載のコーティング材料の塗膜を形成する工程と、
(3)前記光重合性樹脂層及び前記塗膜を同時に露光する工程と、
(4)前記光重合性樹脂層及び前記塗膜の露光部分を一括硬化する工程と、
を含むコーティングの製造方法。 - さらに(5)前記光重合性樹脂層及び前記塗膜の未露光部を除去してパターンを形成する工程を含む請求項24に記載のコーティングの製造方法。
- 前記縮合生成物が、前記加水分解性シラン化合物を非フッ素系有機溶媒とフッ素系溶媒との混合液中で加熱することにより得られる請求項24または25に記載のコーティングの製造方法。
- 前記非フッ素系有機溶媒とフッ素系溶媒との混合液が、アルコールとハイドロフルオロエーテルとの混合液である請求項26に記載のコーティングの製造方法。
- 前記縮合生成物が、前記加水分解性シラン化合物を有機溶媒及び水の存在下で酸を触媒に用いて反応させることにより得られる請求項24または25に記載のコーティングの製造方法。
- 前記酸がカルボン酸である請求項28に記載のコーティングの製造方法。
- コーティングを有するインクジェットヘッドの製造方法であって、請求項24から29のいずれか1項に記載のコーティングの製造方法を用いて該コーティングを形成するインクジェットヘッドの製造方法。
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