JP5131897B2 - リン酸エステル系難燃剤の固体化方法 - Google Patents

リン酸エステル系難燃剤の固体化方法 Download PDF

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Description

本発明は、リン酸エステル系難燃剤の固体化方法に関し、詳細には高純度に精製することなく、応力負荷をかけずに個体化できるリン酸エステル系難燃剤の固体化方法に関する。
近年、環境負荷の低減を目的として、ハロゲン系難燃剤をリン系難燃剤や金属水酸化物などの無機系難燃剤で代替することが検討されている。
リン系難燃剤としては、レゾルシノール誘導体やビスフェノールA誘導体のリン酸エステル系難燃剤が知られており、ポリカーボネートやポリエステルなどに用いられている。
しかし、リン酸エステル系難燃剤は液状または低融点であり、樹脂に配合すると可塑化効果を示して樹脂物性を低下させる。また、樹脂へ配合するために液状添加剤の配合設備が必要になる。
リン酸エステル系難燃剤の固体化方法として、特許文献1にはビス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸クロリドとレゾルシノールを反応させることで高純度のリン酸エステルを製造し、固体難燃剤を得る方法が提案され、特許文献2および特許文献3には応力負荷と種晶による固体難燃剤を製造することが提案されている。
特開平5−320205号公報(特許請求の範囲等) 特表平10−504317号公報(特許請求の範囲等) 特開2001−131339号公報(特許請求の範囲および実施例)
しかしながら、特許文献1の製法は予めビス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸クロリドを精製する必要があり、特許文献2の方法はニーダーなどの応力負荷が必要な設備が必要となる問題点があった。また、ビスフェノールA誘導体は高純度にしても融点が低く、夏場にはケーキングしやすいため粉末として長期に保存することが困難であった。
そこで、本発明の目的は、高度に精製する必要がなく、応力負荷を用いない、リン酸エステル系難燃剤の固体化方法を提供することである。
本発明者らは、かかる現状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定のリン酸エステル化合物に対し、特定量の種晶を添加することで、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のリン酸エステル系難燃剤の固体化方法は、溶融状態の下記一般式(I)で表されるリン酸エステル化合物100質量部に対し、55℃以下で種晶1〜50質量部を添加することを特徴とするものである。
Figure 0005131897
(式中、R1、R2は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、nは1〜5の数を表す。)
本発明においては、前記一般式(I)でn=1であるリン酸エステル化合物が90質量%未満であることが好ましく、前記R1およびR2が水素原子であることが好ましい。
本発明により、高度に精製する必要がなく、応力負荷を用いない、リン酸エステル系難燃剤の固体化方法を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
前記一般式(I)で表される化合物としては、より詳細には、以下のNo.1およびNo.2の化合物が挙げられる。
Figure 0005131897
Figure 0005131897
前記一般式(I)で表される化合物の合成方法は特に制限されず、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとフェノールとオキシ塩化リンを塩化マグネシウムなどの触媒の存在下に反応させ脱塩酸するか、トリフェニルホスフェイトと4,4’−ジヒドロキシビフェニルをエステル交換反応することで合成可能である。
一般式(I)で表される化合物の固化方法としては、合成反応後に冷却することで応力負荷をかけることなく固化できる。
本発明のリン酸エステル系難燃剤の固体化方法は、固体化を促進するため反応生成物100質量部に対して、種晶を1〜50質量部添加し、好ましくは3〜30質量部、特に好ましくは5〜25質量部添加する。1質量部より少ないと種晶を添加した効果が小さく、50質量部より多く用いると生産効率が低下する。
冷却方法としては、特に制限されず、水などを用いて冷却した金属板上に溶融状態の難燃剤を流して冷却するスチールベルトなどの汎用の固体化装置で容易に固体化できる。
本発明のリン酸エステル系難燃剤の固体化方法においては、前記一般式(I)でn=1であるリン酸エステル化合物が90質量%未満であることが好ましい。但し、80質量%未満では固形化に時間がかかり実用的ではないため、80質量%以上が好ましい。
本発明により固体化されたリン酸エステル系難燃剤は、種々の樹脂の難燃化に有効であり、例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体等のα−オレフィンの単重合体または共重合体、これらのα−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート・パラオキシベンゾエート、ポリブチレンテレフタレートなどの直鎖ポリエステルや酸変性ポリエステル、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸エステルの重合物、ポリエーテルケトン、ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、直鎖又は分岐のポリカーボネート、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン−スチレン共重合ゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合ゴム、エチレンとプロピレン、ブテン−1等のα−オレフィンとの共重合ゴム、更にエチレン−α−オレフィン及びエチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン等の非共役ジエン類との三元共重合体ゴム等のエラストマー、シリコン樹脂等であってもよく、これら樹脂及び/又はエラストマーをアロイ化又はブレンドしたものであってもよい。
前記樹脂は、立体規則性、比重、重合触媒の種類、重合触媒の除去の有無や程度、結晶化の度合い、温度や圧力などの重合条件、結晶の種類、X線小角散乱で測定したラメラ晶のサイズ、結晶のアスペクト比、芳香族系または脂肪族系溶媒への溶解度、溶液粘度、溶融粘度、平均分子量、分子量分布の程度、分子量分布におけるピークがいくつあるか、共重合体にあってはブロックであるかランダムであるか、各モノマーの配合比率などにより安定化効果の発現に差異が生じることはあるものの、いかなる樹脂を選択した場合においても本発明により固体化されたリン酸エステル系難燃剤の適用は可能である。
本発明により固体化されたリン酸エステル系難燃剤を樹脂に適用する際には、必要に応じて、通常各々の樹脂に用いられる各種の配合剤が用いられる。例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、他のヒンダードアミン化合物、造核剤、他の難燃剤、難燃助剤、滑剤、充填剤、繊維状充填剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、帯電防止剤、顔料、染料などが挙げられる。
前記フェノール系としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられ、樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
前記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類があげられ、樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
前記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイトなどがあげられ、樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類があげられ、樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
前記他のヒンダードアミン化合物としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物があげられる。
前記造核剤としては、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムなどの芳香族カルボン酸金属塩;ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)リン酸リチウム、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の酸性リン酸エステル金属塩;ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトールなどの多価アルコール誘導体、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタンジカルボン酸ジナトリウム、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタンジカルボン酸亜鉛などの脂環族カルボン酸金属塩などが挙げられる。
前記他の難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、赤燐、リン酸メラミン、リン酸グアニジン、ホスファゼン化合物などのリン系難燃剤、メラミンシアヌレートなどの窒素系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物が、難燃助剤としては、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛などの無機化合物、ポリテトラフルオロエチレンなどのドリップ防止剤などが挙げられる。
ハイドロタルサイト類としては、天然物でも合成品でもよく、表面処理の有無や結晶水の有無によらず用いることができる。例えば、下記一般式(II)で表される塩基性炭酸塩が挙げられる。
Mx Mgy Alz CO3(OH)xp+2y+3z-2・nH2O (II)
(式中、Mはアルカリ金属または亜鉛を、xは0〜6の数を、yは0〜6の数、zは0.1〜4の数を、pはMの価数を、nは0〜100の結晶水の数を表す。)
滑剤としては、ラウリルアミド、ミリスチルアミド、ステアリルアミド、ベヘニルアミドなどの脂肪酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、ポリエチレンワックス、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレートなどの金属石鹸、ジステアリルリン酸エステルマグネシウム、ステアリルリン酸エステルマグネシウムなどのリン酸エステル金属塩などが挙げられる。
充填剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、チタン酸カリウム、ホウ酸カリウムなどの無機物が球状物においては粒径、繊維状物においては繊維径や繊維長さおよびアスペクト比を適宜選択して用いられる。また、充填剤は、必要に応じて表面処理したものを用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によりなんら制限を受けるものではない。
リン酸エステル化合物の合成例
ジヒドロキシ化合物(表1記載)に触媒として塩化マグネシウムを9.52g(0.01mol)加え、オキシ塩化リンをジヒドロキシ化合物の6倍モル添加して80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去したのち、フェノール化合物(表1記載)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をトルエンに溶かし、酸あるいは塩基を含む水溶液で洗浄したのち、脱水・脱溶媒することでリン酸エステル化合物を得た。得られた化合物はIR分析、NMR分析により下記式(III)で表されるリン酸エステル化合物であることを確認し、液体クロマトグラフにより下記式(III)においてn=1に該当する化合物の純度を測定した。
Figure 0005131897
(式中、Xはジヒドロキシ化合物の残基を、nは1〜5の整数を表す。)
固体化特性の評価
得られたリン酸エステル化合物100質量部を120℃で1時間撹拌して溶融状態としたのち、表1記載の種晶添加温度まで冷却し、表1記載の配合量で種晶を添加して攪拌した。撹拌できなくなるまでの時間を固体化時間として評価した。固体化時間は短いほど工業的に優れた固体化条件であることを意味するが、冷却のためのコストなどもあるため120分を最長測定時間として評価した。結果を表1に示す。
種晶は、カラムで前記式(III)のn=1に該当する化合物を精製して20℃で24時間冷却して得られた固形物を粉砕したものを用いた。
Figure 0005131897
*1:120分後も撹拌可能であった。
実施例1、2及び3と比較例1から本発明の4,4’−ジヒドロキシビフェニルを用いたリン酸エステル化合物の固化方法は、種晶の有無により固化時間に顕著な差があり、種晶添加の優位性は明らかである。また、比較例2および3から他のリン酸エステル化合物では純度は同等でも固化しなかったことから、4,4’−ジヒドロキシビフェニル誘導体から合成されたリン酸エステル化合物を用いた実施例の方法のみが工業的に有効な製造方法であることが確かめられた。

Claims (3)

  1. 溶融状態の下記一般式(I)で表されるリン酸エステル化合物100質量部に対し、55℃以下で種晶1〜50質量部を添加することを特徴とするリン酸エステル系難燃剤の固体化方法。
    Figure 0005131897
    (式中、R1、R2は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、nは1〜5の数を表す。)
  2. 前記一般式(I)でn=1であるリン酸エステル化合物が90質量%未満である請求項1記載のリン酸エステル系難燃剤の固体化方法。
  3. 前記R1およびR2が水素原子である請求項1又は2記載のリン酸エステル系難燃剤の固体化方法。
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