JPH11322773A - 亜リン酸エステル化合物および合成樹脂組成物 - Google Patents

亜リン酸エステル化合物および合成樹脂組成物

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JPH11322773A
JPH11322773A JP14211898A JP14211898A JPH11322773A JP H11322773 A JPH11322773 A JP H11322773A JP 14211898 A JP14211898 A JP 14211898A JP 14211898 A JP14211898 A JP 14211898A JP H11322773 A JPH11322773 A JP H11322773A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】合成樹脂の加熱加工時の溶融粘度変化抑制効
果、耐高温着色性改善効果及び合成樹脂との相溶性向上
効果の点において、従来のリン系酸化防止剤に優るリン
系酸化防止剤を提供すること。 【解決手段】下記一般式(I)で表される亜リン酸エス
テル化合物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3価の芳香族化合
物を介して結合する3個のフェノール化合物のそれぞれ
が、脂肪族グリコールと共に亜リン酸とエステル結合を
してなる亜リン酸エステル化合物であって、合成樹脂に
添加使用すればその熱加工安定性、耐加熱着色性の改善
に優れた効果を発揮する新規な亜リン酸エステル化合
物、および当該化合物を含有する合成樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】合成
樹脂はその優れた機械的、化学的特性から包装用資材、
建材、自動車用部品、日常雑貨品、農業用資材、医療用
器具等の幅広い用途に利用されている。しかし、合成樹
脂は通常、加熱加工時に高温に曝されることによって着
色や劣化現象が見られ、本来の機能を失い易く、実用に
適さなくなる場合がある。
【0003】この高温による着色、劣化現象を抑制する
方法として、種々の酸化防止剤を合成樹脂に添加する方
法が知られている。ここに使用される酸化防止剤として
は、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等の
一次酸化防止剤やリン系酸化防止剤、チオエーテル系酸
化防止剤等の二次酸化防止剤がある。
【0004】これら各種の酸化防止剤の中で、リン系酸
化防止剤は比較的、加熱加工時の着色を抑える他、合成
樹脂主鎖の切断および架橋による溶融粘度の変化を抑制
する効果に優れ、トリアリールホスファイト化合物、ペ
ンタエリスリトールジホスファイト化合物、ビスフェノ
ールの環状ホスファイト化合物等の亜リン酸エステル化
合物、ホスフォナイト化合物など、種々の構造のリン系
酸化防止剤が知られている。また、特定のグリコールお
よびフェノールのエステル化合物である亜リン酸エステ
ル化合物が、特開昭53−18544号公報、特開昭6
1−165397号公報、特開平7−145268号公
報等に提案されている。
【0005】しかし、これら比較的優れた公知の亜リン
酸エステル化合物も、合成樹脂の加熱加工時の溶融粘度
変化抑制効果、即ち加工安定性の改善効果は未だ充分に
は満足できるものではないばかりか、耐高温着色性も満
足できる程には良いとは言えず、しかも合成樹脂への相
溶性が余り良くないためブルームするという問題をも抱
えていた。特に、直鎖状低密度ポリエチレン(以下「L
LDPE」ということがある。)においては、亜リン酸
エステル化合物のブルームが著しいことが観察されてお
り、LLDPEを含め各種合成樹脂に添加された場合に
加工安定性、耐高温着色性に優れ、しかもブルームを生
じさせないリン系酸化防止剤の出現が強く望まれてい
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため検討を重ねた結果、上記公知の亜リン酸
エステル化合物とは異なる、特定のグリコールと、特定
のフェノール化合物のエステル化合物である新規な亜リ
ン酸エステル化合物が、合成樹脂に優れた加工安定性相
溶性及び耐高温着色性を付与し、しかもブルーム性を改
善することができることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0007】即ち、本発明は下記一般式(I)で表され
る亜リン酸エステル化合物および該化合物により安定化
された合成樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
【化2】
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容について詳細
に説明する。一般式(I)におけるR1 およびR2 は、
それぞれ独立に水素原子又は特定のアルキル基を表し、
両者が同時に水素原子である場合、一方が水素原子で他
方が特定のアルキル基である場合の他、共に特定のアル
キル基である場合もあり得る。ここに特定のアルキル基
とは炭素原子数1〜8のアルキル基であり、例えばメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブ
チル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、
ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オ
クチル、2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0010】一般式(I)におけるAは、式(II)又
は式(III)に示した特定の芳香族環又は芳香族複素
環を有する3価の基を表す。また、一般式(I)におけ
るm及びnはそれぞれ独立に0〜8の整数を表すが、m
+n≧3を満たす必要がある。一般式(I)で表される
化合物の具体例としては、下記の化合物No.1〜6が
挙げられる。ただし、本発明は以下の例示化合物により
何ら限定されるものではない。
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】上記一般式(I)で表される化合物の合成
方法は、特に限定されるものではなく、グリコール、特
定の3価芳香族化合物のフェノール誘導体及びリン化合
物とから亜リン酸エステルを合成する公知の方法を用い
ることができる。例えば、グリコールと三塩化リンを塩
基性触媒の存在下に反応させ、モノクロロ亜リン酸エス
テルとし、次いで有機アミンなどの受酸剤の存在下でフ
ェノール化合物を反応させ製造することができる。
【0018】本発明に係る亜リン酸エステル化合物を使
用することにより加熱加工する際の安定化を図ることが
できる合成樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化
性樹脂およびエラストマーの例示ができる。熱可塑性樹
脂としては、高密度、低密度、直鎖状低密度ポリエチレ
ン等の各種ポリエチレン;、ポリプロピレン、ポリブテ
ン−1、ポリ−3−メチルペンテン−1などのα−オレ
フィン系重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系共重合
体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ
エチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ弗化ビニリデ
ン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル
三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合
体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビ
ニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲ
ン樹脂;石油樹脂;クマロン樹脂;ポリスチレン;ポリ
酢酸ビニル;アクリル樹脂;スチレン及び/又はα−メ
チルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、
フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエ
ン、アクリロニトリル等)とのスチレン系共重合体(例
えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS
樹脂等);ポリメチルメタクリレート;ポリビニルアル
コール;ポリビニルホルマール;ポリビニルブチラー
ル;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレン
テレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリフェニレン
オキシド;ポリカプロラクタム;ポリヘキサメチレンア
ジパミド等のポリアミド;分岐又は直鎖ポリカーボネー
ト;ポリアセタール;ポリフェニレンサルファイド;ポ
リウレタン;繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂等の単一樹
脂又はブレンド物が例示できる。
【0019】また、熱硬化性樹脂としては、フェノール
樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂等を例示することができる。更にエ
ラストマーとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレ
ン−ブタジエン共重合ゴム等が例示できる。
【0020】本発明に係る亜リン酸エステル化合物は前
記合成樹脂中、特に各種ポリエチレン、α−オレフィン
系重合体、ポリオレフィン系共重合体等のポリオレフィ
ン系樹脂に好ましく配合される。上記ポリオレフィン系
樹脂は、分子量、分子量分布、メルトフローインデック
ス(MIと略すこともある)、ヘキサン等の溶媒への不
溶分の割合、立体規則性、例えばアイソタクティックの
ペンタッド分率やシンジオタクティックのトライアッド
分率の程度、チーグラー・ナッター触媒やメタロセン触
媒等の重合触媒の種類及び触媒の除去工程の有無によら
ず好適に用いることができる。
【0021】本発明に係る亜リン酸エステル化合物は、
上記のごとくポリオレフィン系樹脂に好適であるが、L
LDPEにおける耐ブルーム性に優れるため、ポリオレ
フィン系樹脂中、特にLLDPEへの適用が好ましい。
LLDPEとしては、エチレン・α−オレフィン共重合
物であることが好ましい。エチレン・α−オレフィン共
重合物を構成するα−オレフィンとしては、プロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メ
チルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げ
られる。これらα−オレフィンとエチレンの重合比は特
に限定されるものではないが、エチレンが全体の60重
量%以上であることが好ましく、90重量%以上である
ことが特に好ましい。エチレンの重合比が小さいと樹脂
の機械強度が低下し易く、また溶融粘度が高くなって成
形性が低下する傾向が現れる。
【0022】また、LLDPEのメルトフローレート
は、0.01〜20g/10minのものが好ましい。
20g/10minを超えると成形時に腰が弱くなり易
く、フィルムなどの成形が難しくなることがある。逆に
0.01g/10min未満では押出成形が難しくなる
傾向が出る。LLDPEの密度は、0.860〜0.9
40g/cm3 のものが好ましい。0.860未満では
成形品の機械的強度が不足気味になり、逆に0.940
を超えると成形加工時に流動性が低下して加工が難しく
なり易い。
【0023】また、LLDPEの示差走査熱量測定法に
よる最大ピーク温度は、100℃以上のものが好まし
い。樹脂の温度が100℃未満では、使用時に熱水等に
接触した場合に形状が変化することがあり、実用的問題
が生じやすい。また、LLDPEの沸騰n−ヘキサン不
溶分は、10重量%以上のものが好ましい。沸騰n−ヘ
キサン不溶分は、高分子量体の比率を示す尺度の一つで
あるが、10重量%未満であると、耐油性が低下気味で
あり、機械的強度も不足することがある。
【0024】LLDPEには必要に応じて、α−オレフ
ィンの他、さらに酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタ
クリル酸メチル等の他の共重合可能な単量体が共重合さ
れたものでもよい。これら共重合可能な単量体の共重合
量は、エチレン100重量%に対して10重量%未満、
好ましくは5重量%未満であることが、樹脂の特性を制
御させる上で好ましい。
【0025】本発明に係る合成樹脂組成物を製造する方
法としては特に限定されるものではなく、従来行われて
来た合成樹脂に各種添加剤をブレンドする方法がそのま
ま使用できる。即ち、本発明に係る亜リン酸エステルを
各種合成樹脂に分散混合する場合、例えば乾式ブレンド
方法としてはリボンミキサー、ヘンシェルミキサー等が
好適に使用され、湿式ブレンド方法としては押出機、バ
ンバリミキサー等が好適に使用される。このようにして
得られた合成樹脂組成物を使用する成形方法は特に限定
されるものではなく、通常の押出成形、射出成形、ブロ
ー成形、ロール成形、圧縮成形、カレンダー加工成形等
が挙げられる。
【0026】本発明に係る亜リン酸エステル化合物は、
上述のごとく合成樹脂の熱的安定化、耐高温着色性の付
与、相溶性向上に好適であるが、必要に応じて汎用の公
知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光
安定剤などの添加剤を併用することが好ましい。これら
の添加剤として特に好ましいものとしては、フェノール
系、硫黄系などの酸化防止剤、本発明の亜リン酸エステ
ル化合物以外のリン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒン
ダードアミン系の光安定剤が挙げられ、特にフェノール
系酸化防止剤との併用は熱安定性を更に向上させるので
好ましい。
【0027】上記フェノール系酸化防止剤としては、例
えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6
−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステ
アリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジ
エチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘ
キサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメ
チレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス
(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチ
レンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチル
フェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドキシ−3
−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコー
ルエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチ
ル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス
(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチ
リデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノー
ル)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキ
シ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三
ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三
ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレー
ト、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒド
ロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリ
ス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−
〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラ
キス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、
2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイル
オキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェ
ノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3
−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオニルオキシ}エチル〕2,4,8,10−テト
ラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレング
リコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオネート〕などが挙げられ
る。
【0028】また、上記硫黄系酸化防止剤としては、例
えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、
ジステアリルなどのジアルキルチオジプロピオネート類
及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカ
プトプロピオネート)などのポリオールのβ−アルキル
メルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0029】また、本発明の亜リン酸エステル化合物以
外のリン系酸化防止剤としては、特に限定されるもので
はないが、例えば、トリスノニルフェニルホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファ
イト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メ
チルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モ
ノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリス
リトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三
ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ
第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイ
ト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフ
ェニル)−2−オクタデシルホスファイト、2,2’−
エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フル
オロホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリ
デンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシ
ル)−4,4−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−
5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリ
デシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファ
イト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビ
フェニレンジホスホナイト、9 ,10−ジハイドロ−
9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オ
キサイド、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラ
キス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオ
キサホスフェピン−6−オキシ〕エチル)アミン、2,
2−ビス(4−〔(2,4,8,10−テトラキス第三
ブチルベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサフォス
フェピン−6−イル)オキシ〕フェニル)プロパンなど
が挙げられ、特に、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリス
リトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシ
ルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフ
ェニル)ビフェニレンジホスホナイトなどの融点40℃
以上のものが樹脂の軟化点などへの影響が小さいので好
ましい。
【0030】また、上記紫外線吸収剤としては、例え
ば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビ
ス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の
2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒ
ドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6
−ベンゾトリアゾール)フェノール、2−(2−ヒドロ
キシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベン
ゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル等の
2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾ
エート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第
三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル
−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート
などのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオ
キザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリ
ドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−
β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ
−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレ
ート等のシアノアクリレート類などが挙げられる。
【0031】また、上記ヒンダードアミン系光安定剤と
しては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、
1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,
6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2
−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
マロネート、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テト
ラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカ
ルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカ
ルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテト
ラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル
−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニル
オキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサス
ピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジ
メチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチル
カルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テト
ラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,1
2−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−
1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,1
2−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−2,2,6,−テトラメチル−4−ピペリジノー
ル/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ
−4,6−ジシクロ−s−トリアジン/N,N−ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘ
キサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメ
チレンジアミン/ジブロモエタン縮合物などが挙げられ
る。
【0032】その他必要に応じて、本発明の合成樹脂組
成物には予め重金属不活性剤、p−t−ブチル安息香酸
アルミニウム、ジベンジリデンソルビトール、2,2’
−メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リ
ン酸エステル金属塩等の造核剤、金属石けん、ハイドロ
タルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活
性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などから
なる帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物
等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、
加工助剤、充填剤などを包含させることができる。
【0033】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例によりなんら制限されるも
のではない。 (実施例1)化合物No.1の合成 2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール1
9.0g、三塩化リン16.8g、トリエチルアミン
0.11gを仕込み、トルエンを溶媒として、65℃で
3時間反応させた。次いでトリエチルアミン14.7g
およびトリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)イソシアネート29.1gを仕込み、70
℃で3時間反応させた。冷後、反応液を水洗し、脱溶媒
して粗結晶を取り、メタノールから再結晶して、白色粉
末35g(純度98%、収率70%)を得た。得られた
化合物の融点は98.6℃であった。
【0034】また、得られた化合物の赤外吸収スペクト
ルを測定したところ、1685cm-1付近にC=Oの伸
縮振動による吸収が、1190cm-1付近にP−O−Φ
の伸縮振動による吸収が、1030cm-1付近にP−O
−Rの伸縮振動による吸収が見られ、原料のトリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
イソシアネートの赤外吸収スペクトルで見られるフェノ
ール性O−Hの伸縮振動による3620cm-1付近の吸
収はなかった。
【0035】(実施例2)線状低密度ポリエチレン(密
度0.92g/cm3、メルトフローインデックス5g
/10分のオクテン−1をエチレン100モル%に対し
て1.4モル%用いたエチレン−オクテン−1共重合
体)100重量部に、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕メタン0.05重量部とカルシウ
ムステアレート0.1重量部および(表1)に示すリン
系酸化防止剤0.1重量部を添加して220℃で5回繰
り返し押し出し加工してペレットとし、1回目と5回目
のペレットをMIの試験片とした。また、1回目のペレ
ットを230℃で射出成形して5cm×3cm×2mm
のシートを得た。JIS K7210により190℃、
荷重2.16kgfでMIを測定して、押し出し5回目
/1回目の比を加工安定性として評価した。また、得ら
れたシートの130℃オーブン中での黒化時間により耐
熱性を、130℃×300時間後のハンター比色計によ
る黄色度とオリジナルのシートとの色差から熱着色を、
40℃×90%湿度の恒温恒湿器で500時間放置後の
顕微鏡による表面観察によりブルームを評価した。表面
全体にブルームが認められるものを5、半分にブルーム
が認められるものを3、その中間を4、ブルームが認め
られないものを1、1と3の中間を2とし、ブルームの
有無を5段階で評価した。それらの結果を(表1)に示
す。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例3)高密度ポリエチレン(三井石
油化学(株)製「ハイゼックス」)100重量部、協和
化学(株)製合成ハイドロタルサイト(「DHT−4
A」:Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O)
0.05重量部、ジステアリルチオジプロピオネート
0.3重量部、テトラキス〔メチレン−3−(3’,
5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート〕メタン0.1重量部、(表2)に示す亜リ
ン酸エステル化合物0.1重量部を混合し、合成樹脂組
成物を得た。この組成物を、150℃の温度で5分間ミ
キシングロールで混練し、次いで150℃の温度、18
0kg/cm2の条件で5分間圧縮成形を行い、厚さ
1.0mmのシートを形成した。このシートを10×2
0mmの試験片としてアルミ箔上、150℃の温度で空
気中におけるギヤオーブン加熱劣化試験を行った。な
お、同一サンプルに10枚の試験片を用い、5枚以上が
変色、ワックス状化した時点を劣化時間とした。また、
同じ組成物を230℃で押し出し加工した後、メルトイ
ンデクサー中に190℃で20分間滞留させた時のメル
トインデックスのオリジナルとの比から加工安定性を評
価し、実施例3と同様にして耐熱性を評価した。それら
の結果を(表2)に示す。
【0038】
【表2】
【0039】(実施例4)ポリプロピレン(モンテル社
製、「Profax6501」)100重量部、DHT
−4A0.05重量部、テトラキス〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕メタン0.1重量部、(表3)に
示すリン系酸化防止剤0.1重量部を混合し、合成樹脂
組成物を得た。次いでこの化合物を250℃で繰り返し
押し出して、押し出し回数1回目および5回目のペレッ
トについて、230℃で2.16kg荷重にてMFIを
測定して、押し出し5回目/1回目の比を加工安定性と
して評価した。さらに押し出し回数1回目のペレットを
250℃で射出成形して厚さ1mmの試験片を作成し、
この試験片を160℃のオーブンで黒化までの時間を測
定し耐熱性として評価した。また、試験片のオリジナル
と160℃オーブンで72時間後の黄色度をハンター比
色計で測定して色差(ΔE)により熱着色性を評価し
た。それらの結果を(表3)に示す。
【0040】
【表3】
【0041】(実施例5)耐熱ABS樹脂(α−メチル
スチレン共重合体)100重量部、マグネシウムステア
レート0.4重量部、トリエチレングリコールビス(3
−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオネート0.2重量部および(表4)に示すリン
系酸化防止剤0.2重量部を混合し、合成樹脂組成物を
得た。この組成物を200℃で押し出し加工してペレッ
トを作成し、このペレットを用い230℃でインジェク
ション加工して試験片を作成した。この試験片を135
℃のギヤオーブン中で30時間加熱した後の着色度合い
をハンター比色計で測定し、白色度で示した。さらに試
験片の20℃でのアイゾット衝撃値(オリジナル)を測
定し、100℃の熱水に24時間浸積した後(熱水浸積
後)、135℃で30時間加熱した試験片のアイゾット
衝撃値(加熱後)も測定した。それらの結果を(表4)
に示す。
【0042】
【表4】
【0043】(実施例6)固有粘度0.56dl/g
(クロロホルム中25℃)のポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンオキサイド)50重量部、ポリスチ
レン47.5重量部、ポリカーボネート2.5重量部、
酸化チタン3重量部および(表5)に示すリン系酸化防
止剤0.1重量部を加え、ヘンシェルミキサーにて十分
に混合し、押出機でペレット化、次いで射出成形により
試験片を作成した。この試験片をギヤオーブン中で12
5℃、100時間加熱し、伸びおよびアイゾット衝撃値
保持率を測定した。それらの結果を(表5)に示す。
【0044】
【表5】
【0045】(実施例7)塩化ビニル樹脂(重合度10
00)100重量部、ジオクチルフタレート45重量部
トリキシレニルホスフェート3重量部、亜鉛ステアレー
ト0.8重量部、バリウムステアレート0.4重量部、
バリウムノニルフェネート0.5重量部、(表6)に示
すリン系酸化防止剤0.2重量部、ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル3重量部、メチレンビス(ステアリ
ン酸アミド)0.5重量部、ソルビタンモノパルミテー
ト2重量部を混合し、合成樹脂組成物を得た。この組成
物を用い、混練ロールにより混練し厚さ1mmのシート
を作成した。このシートを用い、190℃における黒化
時間を耐熱性として評価を行った。また、サンシャイン
ウェザオメーターによる耐光性試験を行った。それらの
結果を(表6)に示す。
【0046】
【表6】
【0047】
【発明の効果】本発明の特定の亜リン酸エステル化合物
は、合成樹脂に添加してもほとんどブルームすることが
ない。本発明の亜リン酸エステル化合物を配合すると、
優れた加工安定性と耐熱着色性を有する合成樹脂組成物
を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される亜リン酸エ
    ステル化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】 上記一般式(I)におけるmが1で、n
    が3〜7のいずれかである請求項1記載の亜リン酸エス
    テル化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の亜リン酸エステ
    ル化合物を含有する合成樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 合成樹脂がポリオレフィン樹脂である請
    求項3記載の合成樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン樹脂が直鎖状低密度ポリ
    エチレンである請求項4記載の合成樹脂組成物。
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