JP5131473B2 - 車載内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

車載内燃機関の排気浄化装置 Download PDF

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Description

この発明は、車載内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化部材に燃料等の還元剤を添加することで排気浄化機能を維持する車載内燃機関の排気浄化装置に関する。
車載内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化機構として、窒素酸化物(NOx)の吸蔵機能及び還元機能を有するNOx吸蔵還元触媒(NOx触媒)と、このNOx触媒の下流に設けられる酸素ストレージ機能を有する酸化触媒とを用いることによって、排気ガスを浄化する車載内燃機関の排気浄化装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
このNOx触媒は、排気通路内の排気ガスがリ−ン(酸素過剰)状態にあるときに排気中のNOxを吸蔵し、排気ガスがリッチ(酸素不足)状態にあるときに吸蔵されたNOxを還元する機能を有している。また、その下流におかれる酸化触媒は、リーン状態で排気中の酸素を吸蔵し、リッチ状態で吸蔵した酸素を放出する機能を有している。
そして一般に、こうした排気浄化装置では、NOx触媒のNOx吸蔵容量が限られていることから、排気ガスがリーン状態のときに吸蔵されるNOxを還元すべく排気ガスを間欠的にリッチ状態とするNOx還元制御が行われている。また、NOx触媒には、NOxとともに硫黄酸化物(SOx)が吸蔵されることによりNOx触媒のNOx吸蔵能力が低下することから、NOx触媒に吸蔵されているSOxの量に応じてSOxを還元させるために排気ガスの空燃比を間欠的にリッチ状態とするS被毒回復制御が行われている。排気浄化装置ではこのように、間欠燃料等、触媒への還元剤の供給を通じて触媒を昇温させるとともに、その高温下で排気ガスをリッチ状態とすることにより、NOx触媒からのNOx及びSOxの放出及びその還元を促進し、NOx吸蔵能力の回復を図るようにしている。
一方、排気ガスのリッチ状態が続くと、排気中や触媒上での還元成分の酸化に伴う発熱が大きくなり、触媒が過度に昇温されたり、NOx触媒の還元能力を超えて同触媒が還元しきれなかった成分である非還元成分が排気通路に排出される等の虞があった。このため、上述のNOx還元制御及びS被毒回復制御では、排気ガスのリッチ状態を間欠的に制御することで排気浄化装置としての還元量の制御がなされている。すなわちこの制御では、排気浄化装置に供給される還元剤(燃料)の量がNOx触媒でのNOxの還元に必要な量以上となるように設定し、NOx触媒で還元しきれなかった非還元成分についてはこれをその下流に設けられた酸化触媒で酸化することにより排気ガスを浄化している。
特開平6−66185号公報
ところで、上記特許文献1に記載の排気浄化装置も含めたこの種の排気浄化装置では通常、NOx還元のためのリッチ度合いの設定量が、S被毒の回復を目安に決定されることが多い。それゆえ、酸化触媒の非還元成分吸着容量や酸素ストレージ量にて浄化可能な量を超えてNOx触媒に対するリッチ度合いが設定される虞がある。そして、このような態様でリッチ度合いの設定がなされた場合には、非還元成分の一部が酸化触媒(下流側触媒)によって浄化されきれずに排出されて、白煙の発生を招くことにもなりかねない。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気浄化のために供給される還元剤の供給量の制御を通じて、S被毒の回復と白煙防止との好適な両立を
図ることのできる車載内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、車載内燃機関の排気通路に設けられて排気ガス中のNOx吸蔵機能及び還元機能を有するNOx吸蔵還元触媒と、このNOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分を吸着する機能及び酸素ストレージ機能を有して同NOx吸蔵還元触媒の下流に設けられる補助触媒とを備え、所定の条件下で排気通路に還元剤を添加することで排気の浄化機能を維持する車載内燃機関の排気浄化装置において、前記NOx吸蔵還元触媒と前記補助触媒との間に空燃比センサを設け、該空燃比センサから出力される酸素濃度情報に基づいて前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分が前記補助触媒に吸入される量である非還元成分吸入量を推定するとともに、前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒への吸着速度、及び同NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒の酸素ストレージ機能に基づき酸化還元される量である非還元成分反応量を併せて推定して前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分が前記補助触媒から排出される量である非還元成分排出量を求め、前記NOx吸蔵還元触媒による還元の実行に際し、この求められる非還元成分排出量に基づいて前記還元剤の添加量を制限し、前記吸着速度は、前記補助触媒の温度が高いほど低い値として求められるとともに、排気流量が多いほど低い値となるように補正されることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、車載内燃機関の排気通路に設けられて排気ガス中のNOx吸蔵機能及び還元機能を有するNOx吸蔵還元触媒と、このNOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分を吸着する機能及び酸素ストレージ機能を有して同NOx吸蔵還元触媒の下流に設けられる補助触媒とを備え、所定の条件下で排気通路に還元剤を添加することで排気の浄化機能を維持する車載内燃機関の排気浄化装置において、前記NOx吸蔵還元触媒と前記補助触媒との間に空燃比センサを設け、該空燃比センサから出力される酸素濃度情報に基づいて前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分が前記補助触媒に吸入される量である非還元成分吸入量を推定するとともに、前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒への吸着速度、及び同NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒の酸素ストレージ機能に基づき酸化還元される量である非還元成分反応量を併せて推定して前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分が前記補助触媒から排出される量である非還元成分排出量を求め、前記NOx吸蔵還元触媒による還元の実行に際し、この求められる非還元成分排出量に基づいて前記還元剤の添加量を制限し、前記吸着速度は、排気流量が多いほど低い値として求められることを要旨とする。
上記構成によれば、各々推定される補助触媒への非還元成分吸入量、補助触媒での非還元成分の吸着速度、そして補助触媒による非還元成分反応量に基づいて補助触媒から排出される非還元成分排出量が算出される。すなわち、NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分(非還元成分)に対して補助触媒がその排出を抑えることのできる量の総量が、ここでは補助触媒自身がその能力としてどの程度の速度でこの非還元成分を吸着保持することができるかといった量(吸着速度相当吸着量)、及び同補助触媒の酸素ストレージ機能によって酸化還元される非還元成分の量の総和として推定される。そして、このようにして推定された非還元成分の量を補助触媒に実際に吸入されるであろう非還元成分の吸入量推定値から減算することによって、この補助触媒から排出されてしまう非還元成分の量を求めるようにしている。ここで、特に上記補助触媒での非還元成分の吸着速度とは、触媒自身の体格や構造はもとより、触媒温度や排気の状態(量、流速など)といった環境条件に大きく依存することから、この吸着速度(相当吸着量)を併せて推定して上記非還元成分排出量を算出することにより、同排出量に関する推定(算出)精度も自ずと高められるようになる。そしてここでは、NOx吸蔵還元触媒による還元の実行に際し、こうして求められる、すなわち推定、算出される非還元成分排出量に基づいて還元剤の添加量を制限することとしているため、例えばこの非還元成分排出量が所定の値となる態様で還元剤の添加を制限するなどの制御も可能となり、NOx吸蔵還元触媒による還元の実行に伴うS被毒の回復等に併せて、上記非還元成分が補助触媒から排出されることに起因する白煙の発生等も好適に抑制されるようになる。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車載内燃機関の排気浄化装置において、前記推定される前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒への吸着速度に基づき、同還元しきれなかった成分の補助触媒に対するその都度の吸着量が、補助触媒自身の吸着容量値を上限値とした、前記還元しきれなかった成分の補助触媒への吸着速度に基づく単位時間当たりの吸着量から同還元しきれなかった成分の補助触媒からの放出速度に基づく単位時間当たりの放出量を差し引いた値として推定されること要旨とする。
上記補助触媒として例えば酸化触媒のように、HC、CO等の非還元成分の吸着機能を備える触媒であれ、こうした非還元成分は吸着され続ける訳ではなく、同時に放出されることともなる。そして、補助触媒が非還元成分を吸着する速度、及び補助触媒から非還元
成分が放出される速度は、触媒の温度や排気の状態により、ほぼ逆の傾向をもって変化する。このため、上記補助触媒での非還元成分吸着速度(相当吸着量)、すなわちその都度の吸着量としては、その目安の1つとして上記構成によるように、非還元成分の補助触媒への吸着速度に基づく単位時間当たりの吸着量から非還元成分の補助触媒からの放出速度に基づく単位時間当たりの放出量を差し引いた値が有効である。ただしこの値は、補助触媒自身の吸着容量を超える値ともなり得るため、実用上は同構成によるように、補助触媒自身の吸着容量値を上限値とすることが望ましい。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置において、前記還元しきれなかった成分の補助触媒からの放出速度は、前記補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量、及び前記空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する前記還元しきれなかった成分の濃度の少なくとも1つの関数としてそれぞれ求められることを要旨とする。
上記還元しきれなかった成分の補助触媒への吸着速度、及び還元しきれなかった成分の補助触媒からの放出速度はそれぞれ、補助触媒の触媒温度、あるいは当該機関への吸入空気量に相関する排気流量、あるいは空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する非還元成分の濃度に応じて変化することが知られている。そこで上記構成によるように、補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量、及び空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する非還元成分の濃度、の少なくとも1つの関数として、それら非還元成分の補助触媒への吸着速度、及び非還元成分の補助触媒からの放出速度をそれぞれ求めることとすることで、同吸着速度及び放出速度についての精度の高い算出が可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置において、前記還元しきれなかった成分の補助触媒への吸着速度は、前記空燃比センサから出力される
酸素濃度情報に相関する前記還元しきれなかった成分の濃度に基づいて補正され、前記還元しきれなかった成分の補助触媒からの放出速度は、前記補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量、及び前記空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する前記還元しきれなかった成分の濃度のいずれか1つの関数としてそれぞれ求められるとともに、他の2つの要素の少なくとも一方に基づいてそれぞれ補正されることを要旨とする。
上記還元しきれなかった成分の補助触媒への吸着速度、及び還元しきれなかった成分の補助触媒からの放出速度はそれぞれ、補助触媒の触媒温度、あるいは当該機関への吸入空気量に相関する排気流量、あるいは空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する非還元成分の濃度に応じて変化することは上述の通りであるが、上記構成によるように、補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量、及び空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する非還元成分の濃度、のいずれか1つの関数としてそれら非還元成分の補助触媒への吸着速度、及び非還元成分の補助触媒からの放出速度をそれぞれ求めるとともに、他の2つの要素の少なくとも一方に基づいてそれら値をそれぞれ補正することとすれば、同吸着速度及び放出速度についてのさらに精度の高い算出が可能ともなる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置において、前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒の酸素ストレージ機能に基づき酸化還元される量である前記非還元成分反応量が、前記補助触媒による酸素ストレージ量に前記空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する同還元しきれなかった成分の濃度及びその都度の環境における反応率を乗算した値として求められることを要旨とする。
非還元成分が補助触媒の酸素ストレージ機能に基づき酸化還元される量である上記非還元成分反応量は、空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する非還元成分の濃度及びその都度の環境(触媒温度や排気流量)における反応率に応じて変化する。そこで上記構成によるように、補助触媒による酸素ストレージ量に空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する非還元成分の濃度及びその都度の環境における反応率を乗算した値としてこの非還元成分反応量を求めるようにすることで、同非還元成分反応量についてのより精度の高い値が得られるようになる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置において、前記その都度の環境における反応率が、前記補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量の少なくとも一方の関数として求められることを要旨とする。
上記非還元成分反応量を求めるための環境に依存する反応率は、先にも触れたように、触媒温度や排気流量、すなわち補助触媒の触媒温度、あるいは当該機関への吸入空気量に相関する排気流量に応じて変化する。そこで上記構成によるように、これら補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量の少なくとも一方の関数としてこの反応率を求めることとすることで、同反応率はもとより、上記非還元成分反応量についても精度の高い算出が可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置において、前記その都度の環境における反応率が、前記補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量のいずれか一方の関数として求められるとともに、他方の要素に基づいて補正されることを要旨とする。
非還元成分反応量を求めるための環境に依存する反応率が補助触媒の触媒温度、あるいは当該機関への吸入空気量に相関する排気流量に応じて変化することは上述の通りであるが、上記構成によるように、これら補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量のいずれか一方の関数としてこの反応率を求めるとともに、他方の要素に基づいてこの値を補正することとすれば、同反応率はもとより、上記非還元成分反応量についてのさらに精度の高い算出が可能ともなる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置において、前記還元剤の添加が前記排気通路に設けられた添加弁による当該内燃機関の燃料の添加として行われることを要旨とする。
還元剤の添加は、燃料噴射弁を通じて行うことも可能ではあるが、上記構成によるように、当該機関の排気通路に対して添加弁(燃料添加弁)を設け、この添加弁から直接排気に対して還元剤である燃料の添加を行うこととすれば、S被毒の回復等も含めて、NOx吸蔵還元触媒による還元の実行をより容易かつ的確に行うことができるようになる。
以下、本発明にかかる車載内燃機関の排気浄化装置を具体化した一実施の形態を図1〜図8を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の対象とする車載内燃機関の構成を示している。同図に示されるように、この内燃機関10は、コモンレール方式の燃料噴射装置、及びターボチャージャ11を備えるディーゼル機関となっており、その排気系には主にNOx対策を意図した排気浄化装置を備えている。以下、同内燃機関10の吸気系から順にその構成を説明する。
内燃機関10の吸気系を構成する吸気通路12には、その最上流部に配設されたエアクリーナ15から下流側に向けて順に、エアフロメータ16、上記ターボチャージャ11の
コンプレッサ17、インタークーラ18、及び吸気絞り弁19が配設されている。また吸気通路12は、吸気絞り弁19の下流側に設けられた吸気マニホールド20において分岐され、吸気ポート21を介して内燃機関10の各気筒の燃焼室13(図1においてはその一つのみを図示)に接続されている。
一方、内燃機関10の排気系を構成する排気通路14では、各気筒の燃焼室13にそれぞれ接続された排気ポート22が排気マニホールド23を介して上記ターボチャージャ11の排気タービン24に接続されている。また排気通路14の排気タービン24下流には排気浄化機構が設けられており、上流側から順に、NOx触媒コンバータ(NOx吸蔵還元触媒)25、DPNRコンバータ(Diesel Paticulate−NOX Reduction system)26、これらNOx触媒コンバータ25やDPNRコンバータ26により還元しきれなかった成分を吸着する機能及び酸素ストレージ機能を有する補助触媒としての酸化触媒コンバータ(酸化触媒)27が配設されている。
ここで、上記NOx触媒コンバータ25には、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されている。このNOx触媒は、機関通常運転時には触媒中にNOxを吸蔵し、還元剤となる燃料が添加されてリッチ化されたときにその吸蔵したNOxを還元してこれを浄化する機能を有している。
また、上記DPNRコンバータ26は、多孔質材料によって形成されており、排気中の粒子状物質(PM)が捕集されるようになっている。このDPNRコンバータ26にも、上記NOx触媒コンバータ25と同様に、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されており、排気中のNOxの浄化が行われる。またそのNOx触媒によって触発される反応により、捕集されたPMが酸化され除去されるようにもなっている。
そして、上記酸化触媒コンバータ27には、酸化触媒が担持されている。この酸化触媒により、排気の酸素濃度が高いときに排気中の酸素(O)が吸蔵され、排気の酸素濃度が低いときにその吸蔵されたOにより排気中のHCやCO、すなわち上記NOx触媒で還元しきれなかった成分(非還元成分)が酸化されることによりその浄化が促される(酸素ストレージ機能)。また、排気の酸素濃度が低いときに排気の非還元成分が吸着され、排気の酸素濃度が高いときにその非還元成分が放出されるとともに、上記酸素ストレージ機能によりその放出された非還元成分が酸化されて浄化されるようにもなっている。すなわち、上記排気通路14にあって、このような酸素ストレージ機能を有する酸化触媒コンバータ27をNOx触媒コンバータ25及びDPNRコンバータ26の下流に配設することによって、排気の酸素濃度が高いときに多量の酸素が酸化触媒に吸蔵される。このため、NOx触媒コンバータ25に担持されたNOx触媒によって還元しきれなかった非還元成分の量が多くなり、同NOx触媒から非還元成分が排出されることがあっても、これら非還元成分が酸化触媒に吸蔵されているOによって浄化され、非還元成分が酸化触媒コンバータ27の下流に排出されることが抑制されることになる。
なおこの実施の形態において、排気通路14の上記酸化触媒コンバータ27には、酸化触媒の温度Taを検出する温度センサ28が設けられている。また、排気通路14にあって、同酸化触媒コンバータ27の上流側、すなわち、NOx触媒コンバータ25、DPNRコンバータ26とこの酸化触媒コンバータ27との間には、排気中の酸素濃度をリニアに検出する空燃比センサ29が設けられている。
その他、内燃機関10には、排気の一部を吸気通路12に再循環させる排気再循環(EGR)装置が設けられている。このEGR装置は、排気通路14と吸気通路12とを連通するEGR通路30を有しており、このEGR通路30の最上流部は、排気通路14の上記排気タービン24の排気上流側に接続されている。またこのEGR通路30には、その
上流側から、再循環される排気を改質するEGR触媒31、その改質された排気を冷却するEGRクーラ32、そしてこうした排気の流量すなわち再循環量を調整するEGR弁33がそれぞれ設けられている。また、EGR通路30の最下流部は、吸気通路12における上記吸気絞り弁19の下流側に接続されている。
一方、内燃機関10の各気筒の燃焼室13には、同燃焼室13内での燃焼に供される燃料を噴射する燃料噴射弁40(図1においてはその一つのみを図示)がそれぞれ配設されている。各気筒の燃料噴射弁40は、高圧燃料供給管41を介してコモンレール42に接続されている。コモンレール42には、燃料ポンプ43を通じて高圧燃料が供給される。コモンレール42内の高圧燃料の圧力は、同コモンレール42に取り付けられたレール圧センサ44によって検出されるようになっている。
更に、上記燃料ポンプ43からは、低圧燃料供給管45を通じて、低圧燃料が燃料添加弁46に供給されるようになっている。この添加弁46は、特定の気筒の排気ポート22に配設されており、排気タービン24側に向けて燃料(還元剤)を添加して、排気中にNOx還元のための還元剤を供給する弁である。
また一方、こうした内燃機関10の各種制御を司る電子制御装置50は、内燃機関10の制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えるマイクロコンピュータを中心に構成されている。電子制御装置50の入力ポートには、上述した各センサに加え、機関回転速度NEを検出する機関回転速度センサ51やアクセル操作量を検出するアクセルセンサ52、吸気絞り弁19の開度を検出する絞り弁センサ53等が接続されている。また電子制御装置50の出力ポートには、上記吸気絞り弁19や燃料噴射弁40、燃料ポンプ43、燃料添加弁46、EGR弁33等が各々電子制御装置50に内蔵される駆動回路を介して接続されている。
この電子制御装置50は、上記各センサから入力される検出信号より把握される機関運転状態に応じて、上記各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。こうして上記燃料噴射弁40による燃料噴射時期や燃料噴射量の制御、上記吸気絞り弁19の開度制御、上記EGR弁33の開度制御に基づくEGR制御等の各種制御が電子制御装置50により実行される。
また電子制御装置50は、そうした制御の一環として、上記燃料添加弁46による排気に対する燃料の添加を実行する。この燃料添加弁46による排気への燃料添加は、以下に説明する各制御、すなわちNOx還元制御、S被毒回復制御、及びPM再生制御に際して実施される。
ここで、NOx還元制御は、上記NOx触媒コンバータ25及びDPNRコンバータ26のNOx触媒に吸蔵されたNOxを、窒素(N)、二酸化炭素(CO)及び水(HO)に還元して放出するために行われる。NOx還元制御時には、上記燃料添加弁46から排気に対し一定の時間をおいて間欠的に燃料を添加することで、NOx触媒周囲の排気を一時的に酸素濃度が低く且つ還元剤(燃料)の多い状態とする、いわゆるリッチスパイクが間欠的に行われる。これにより、NOx触媒からのNOxの放出及びその還元が促進され、排気の浄化が図られるようになる。
また、S被毒回復制御は、NOx触媒に硫黄酸化物(SOx)が吸着されることによって低下したNOx吸蔵能力を回復するために行われる。S被毒回復制御が開始されると、まず次のPM再生制御と同様に、燃料噴射弁40もしくは燃料添加弁46によるいわゆる
ポスト噴射を通じて、触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)する昇温制御が行われる。その後、NOx還元制御時と同様に、上記燃料添加弁46からの間欠的な燃料の添加を行うことで、NOx触媒からのSOxの放出及びその還元を促進して、上記NOx吸蔵能力の回復を図るようにしている。
そして、PM再生制御は、上記DPNRコンバータ26に捕集されたPMを燃焼させることで、同DPNRコンバータ26の目詰まりを解消するために行われる。PM再生制御時には、燃料噴射弁40もしくは燃料添加弁46によるこれもポスト噴射を通じて、その酸化反応に伴う発熱で触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)することで、上記PMの燃焼を図るようにしている。
以上のように本実施の形態では、排気通路14に設けられた燃料添加弁46から直接排気に燃料を添加することにより、内燃機関10の排気浄化性能の維持を図るようにしている。
ところで、上述したようなNOx還元制御、及びS被毒回復制御の実行に際してNOx触媒コンバータ25やDPNRコンバータ26に燃料を添加する場合には、各コンバータの還元能力を超えた還元剤が供給され、未浄化の、すなわち還元しきれなかった成分(非還元成分)が過剰に酸化触媒コンバータ27の下流へと排出される場合がある。そこで本実施の形態では、上述したNOx還元制御、及びS被毒回復制御を実行する際には、酸化触媒コンバータ27の下流へと排出される非還元成分(未浄化の還元成分)の量を推定し、この推定した排出量に基づきこれが所定量以下となるようにそれら各制御にて実行される燃料(還元剤)の添加量を制限する添加量調整制御を併せて実行するようにしている。
以下、この添加量調整制御について、その概念を図2を参照して説明する。
図2は、上述したNOx還元制御、及びS被毒回復制御に伴う非還元成分の推移例とともに、本実施の形態で実行される添加量調整制御の概要を示している。
まず、図2において、図2(a)は空燃比センサ29によって検出される酸化触媒コンバータ27に吸入される排気の空燃比(酸素濃度)の推移を、図2(b)は酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分(主にTHC:全炭化水素)の吸着量の推移を、図2(c)は酸化触媒コンバータ27に吸着される酸素ストレージ量OSCの推移を示している。そして、図2(d)は酸化触媒コンバータ27に吸入される非還元成分の吸入量の推移を、図2(e)はこれらの推移に基づいて算出推定される酸化触媒コンバータ27から排出される非還元成分の排出量の推移を示している。
このような前提のもとに、いま、燃料添加弁46から燃料が添加されることによって排気通路14内に燃料(還元剤)が供給されて排気の酸素濃度が低下したとすると、酸化触媒コンバータ27の上流に配設されているNOx触媒コンバータ25、DPNRコンバータ26に吸蔵されていたNOxが還元される。そして、燃料添加弁46から添加される燃料量が所定量を超えると、NOx触媒コンバータ25及びDPNRコンバータ26により還元しきれなかった成分、すなわち非還元成分の量が過剰となる。このため、酸化触媒コンバータ27に吸入される排気中の非還元成分の量も過剰となり、このときには空燃比センサ29によって検出される酸素濃度の値が低下する(リッチ状態:タイミングt0−t2)。
こうして酸化触媒コンバータ27に吸入される排気がリッチ状態となると、排気中の非還元成分が酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の量が次第に増加する。そしてその間、酸化触媒コンバータ27の酸素に吸蔵されていたOによって非還元成分が酸化還元される。すなわち、燃料添加弁46から還元剤が添加されてNOx触媒コンバータ
25で還元しきれなかった成分が、NOx触媒コンバータ25の下流に設けられた酸化触媒コンバータ27の非還元成分を吸着する機能及び酸素ストレージ機能によって、同酸化触媒コンバータ27の下流に非還元成分が排出されることが抑制される。このため、燃料添加弁46から還元剤が添加されたとしても、同図2(e)に示すように酸化触媒コンバータ27の下流への非還元成分の排出が抑えられるようになっている(タイミングt0−t1)。この間、酸化触媒コンバータ27に吸蔵されているOは非還元成分の酸化還元に用いられることで次第に減少し、酸化触媒コンバータ27の酸素ストレージ量が用い尽くされる(タイミングt1)。これにより、非還元成分の排出を抑制できる機能が酸化触媒コンバータ27の吸着機能のみに依存され、酸化触媒コンバータ27の下流に排出される非還元成分の量(図2(e))が逓増する。そしてこの結果、非還元成分の排出量が白煙発生の抑制する上で許容される値β(許容排出量)に達するようになる(タイミングt2)。そこで本実施の形態では、こうした酸化触媒コンバータ27からの非還元成分の排出を上記値β以下に抑えるべく、次の態様にて燃料添加弁46から添加される燃料量の制限を行うようにしている。
すなわち、本実施の形態では、まず、図2(a)に示す空燃比センサ29の出力(酸素濃度情報)に基づいて図2(d)に示す酸化触媒コンバータ27に吸入される非還元成分の吸入量の推定値THCiを算出する。そして、図2(b)に示す非還元成分の酸化触媒コンバータ27に対する吸着速度に相関する同酸化触媒コンバータ27への非還元成分の吸着量の推定値THCQ、及び図2(c)に示す酸化触媒コンバータ27の酸素ストレージ機能に基づいて酸化還元される非還元成分の反応量の推定値(推定反応量)ROをそれぞれ算出する。そしてこれら推定された値に基づいて、次式(1)により、図2(e)に示す酸化触媒コンバータ27で還元しきれずに酸化触媒コンバータ27の下流に排出される非還元成分の排出量の推定値THCexを算出する。
THCex=THCi−(THCQ+RO) …(1)
THCex:推定排出量
THCi:推定吸入量
THCQ:速度推定吸着量
RO:推定反応量
上記式(1)によって、酸化触媒コンバータ27の吸着能力に基づき非還元成分の排出を抑えることのできる量(吸着量)、及び同酸化触媒コンバータ27の酸素ストレージ機能によって酸化還元される非還元成分の反応量の総和の推定値を算出することができる。そして、酸化触媒コンバータ27に実際に吸入されるであろう非還元成分の吸入量(推定吸入量THCi)から、酸化触媒コンバータ27にて非還元成分の排出を抑制することのできる総和の推定値(THCQ+RO)を減算することにより、酸化触媒コンバータ27から排出されてしまう非還元成分の量(推定排出量THCex)を求めることができる。
なお、非還元成分の酸化触媒コンバータ27に対するその都度の吸着速度に基づく吸着量の推定値THCQは、次式(2)に基づいて算出される。
THCQ=Min(THCmax、Ves×T−Vos×T) …(2)
THCQ:推定吸着量
THCmax:吸着容量
Ves:推定吸着速度
Vos:推定放出速度
上記式(2)によって、非還元成分の酸化触媒コンバータ27への推定吸着速度(Ves)に基づく単位時間あたりの吸着量から非還元成分の酸化触媒コンバータ27からの推定放出速度(Vos)に基づく単位時間あたりの放出量を減算することで、非還元成分の酸化触媒コンバータ27に対するその都度の吸着量の推定値(推定吸着量THCQ)を算出することができる。なお、非還元成分の酸化触媒コンバータ27への吸着速度(Ves
)から非還元成分の酸化触媒コンバータ27からの放出速度(Vos)を減算することによって算出される値は、触媒温度や排気流量、あるいは非還元成分の濃度によっては酸化触媒コンバータ27自身が非還元成分を吸着することのできる容量を超えることもあり得る。このため、本実施の形態では、酸化触媒コンバータ27自身の吸着容量THCmaxを非還元成分の酸化触媒コンバータ27に対するその都度の吸着量の推定値(推定吸着量THCQ)の上限値とすることで、こうしたいわば異常値の発生を抑制している。
このように、本実施の形態では前述のSOx被毒の回復等を実行する際に、上記式(1)及び(2)によって算出される推定排出量THCexに基づいて酸化触媒コンバータ27の下流に排出される非還元成分の排出量の監視がなされる。そして、この排出量が酸化触媒コンバータ27を介して非還元成分が過剰に排出されることを抑制する上で許容される値β(排出許容量)以下となるように、燃料添加弁46から添加される還元剤の添加量が制限される。これにより、NOx触媒コンバータ25による還元の実行に伴うS被毒の回復等に併せて、過剰な非還元成分が酸化触媒コンバータ27から排出されることに起因する白煙の発生等も好適に抑制されるようになる。
次に、本実施の形態の還元剤の添加量調整制御に際して用いられる上記各値の推移の傾向について図3〜5を参照して説明する。
まず、非還元成分の酸化触媒コンバータ27に対する吸着速度の推移、及び非還元成分の酸化触媒コンバータ27からの放出速度の推移について図3及び図4を参照して説明する。
図3及び図4は、上記式(2)において酸化触媒コンバータ27の吸着量THCQの算出に用いられる推定吸着速度Ves及び推定放出速度Vosを算出するための演算用及び補正用マップである。このうち、図3(a)及び図4(a)は、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに応じて非還元成分の吸着速度及び放出速度を算出するためのものであり、それぞれ酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに応じた非還元成分の酸化触媒コンバータ27への基本吸着速度Ve、非還元成分の酸化触媒コンバータ27からの基本放出速度Voの各推移を示している。なお、これら図3及び図4に示すマップは実験等を通じて得られたものであり、電子制御装置50の記憶部に記憶されている。
そしてここでは、まず非還元成分の酸化触媒コンバータ27への吸着速度を触媒温度に応じて算出すべく、図3(a)の演算用マップを通じて温度センサ28によって検出される酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに基づいて酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の基本吸着速度Veが算出される。同様に、図4(a)の演算用マップを通じて温度センサ28によって検出される酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに基づいて酸化触媒コンバータ27から放出される非還元成分の基本放出速度Voが算出される。これら図3(a)及び図4(a)に示されるように、上記各速度Ve、Voは酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに応じてほぼ逆の傾向をもって変化する。すなわち、非還元成分が酸化触媒コンバータ27で吸着されるのみならず、同酸化触媒コンバータ27に吸入された非還元成分は同時に放出されることともなる。そこで、上記式(2)では、非還元成分の酸化触媒コンバータ27への吸着速度の単位時間あたりの積算量(Ves×T)から非還元成分の酸化触媒コンバータ27からの放出速度の単位時間あたりの積算量(Vos×T)を減算することによって酸化触媒コンバータ27での吸着量を算出するようにしている。これにより、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに応じて変化する酸化触媒コンバータ27の吸着特性及び放出特性が考慮されたより精度の高い吸着量が算出されるようになる。
本実施の形態では、これら算出される基本吸着速度Ve及び基本放出速度Voに基づいて、上記式(2)において酸化触媒コンバータ27の吸着量の算出に用いられる推定吸着
速度Ves及び推定放出速度Vosが算出される。
なお、図3(b)は本車載内燃機関への吸入空気量に相関する排気通路14内の排気流量Qaに応じて酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の吸着速度の推移を示すマップであり、本実施の形態においては、図3(a)を通じて算出される基本吸着速度Veを補正するための補正用マップとして用いられる。また、図3(c)は空燃比センサ29から検出される酸素濃度情報に相関する非還元成分の濃度Fdに応じて酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の吸着速度の推移を示すマップであり、本実施の形態においては、これも図3(a)を通じて算出される基本吸着速度Veを補正するための補正用マップとして用いられる。一方、図4(b)は本車載内燃機関への吸入空気量に相関する排気通路14内の排気流量Qaに応じて酸化触媒コンバータ27から放出される非還元成分の放出速度の推移を示すマップであり、本実施の形態においては、図4(a)を通じて算出される基本放出速度Voを補正するための補正用マップとして用いられる。また、図4(c)は空燃比センサ29から検出される酸素濃度情報に相関する非還元成分の濃度Fdに応じて酸化触媒コンバータ27から放出される非還元成分の放出速度の推移を示すマップであり、本実施の形態においては、これも図4(a)を通じて算出される基本放出速度Voを補正するための補正用マップとして用いられる。
ちなみに、図3(a)及び(b)に示されるように、酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の吸着速度は、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taの上昇又は排気通路14内の排気流量Qaの増加に伴い低下する。一方、図4(a)及び(b)に示されるように、酸化触媒コンバータ27から放出される非還元成分の放出速度は、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taの上昇又は排気通路14内の排気流量Qaの増加に伴い上昇する。このため、単位時間当たりの吸着量THCeと単位時間当たりの放出量THCoとの乖離から算出される酸化触媒コンバータ27の非還元成分の吸着量は、触媒温度Taの上昇又は排気流量Qaの増加に伴い減少する。また、図3(c)に示されるように酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の吸着速度は、酸化触媒コンバータ27に吸入される排気中の非還元成分の濃度Fdが高くなるにつれて上昇する。一方、図4(c)に示されるように酸化触媒コンバータ27に吸入される排気中の非還元成分の濃度Fdが高くなるにつれて低下する。このため、酸化触媒コンバータ27の非還元成分の吸着量は、非還元成分の濃度Fdの上昇に伴い増加する。
このように本実施の形態では、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Ta、排気通路14内の排気流量Qa、及び排気中の非還元成分の濃度Fdに基づいて酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の吸着速度及び放出速度を算出する。このため、酸化触媒コンバータ27の温度依存特性や排気状況に応じた吸着速度及び放出速度を精度よく算出することができる。
次に、酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の反応率を、図5を参照して説明する。
図5は、酸化触媒コンバータ27の酸素ストレージ機能によって酸化還元される非還元成分の反応率を示す演算及び補正用マップである。
まず、図5(a)は酸化触媒コンバータ27の温度に応じた酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の反応率の推移を示した演算用マップである。これら演算用及び補正用のマップも実験等を通じて得られたものであり、電子制御装置50の記憶部に記憶されている。
ここではまず、図5(a)の演算用マップを通じて、温度センサ28によって検出される酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに基づいて基本反応率Prが算出される。
また、図5(b)は排気通路14内の排気流量Qaに応じた酸化触媒コンバータ27の反応率の推移を示すマップであり、本実施の形態においては、図5(a)を通じて算出される基本反応率Prを補正するための補正用マップとして用いられる。
ちなみに、図5(a)及び(b)に示されるように、酸化触媒コンバータ27の酸素ストレージ機能によって酸化還元される非還元成分の反応率は、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taの上昇又は排気通路14内の排気流量Qaの増加に伴い上昇する。このため、酸化触媒コンバータ27の酸素ストレージ機能によって酸化還元される非還元成分の反応量は、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taが高いほど、また、排気通路14内の排気流量Qaが多いほど多くなる。
このように本実施の形態では、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Ta、排気通路14内の排気流量Qaに基づいて酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の反応率を算出することが可能となる。これにより、酸化触媒コンバータ27の温度依存特性や排気状態に応じた非還元成分の反応量の推定値ROを算出することができる。
以下、このような前提のもとに電子制御装置50により実行される燃料(還元剤)の添加量調整制御について図6〜8を参照して説明する。
図6は、この燃料添加量調整制御についてその制御手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートに示す一連の処理は電子制御装置50により所定時間毎に繰り返し実行される。
図6に示されるように、この一連の処理ではまず、前述した燃料添加弁46からの間欠的な燃料添加を通じた周知の還元制御が実行中であるか否かが判断される(ステップS100)。すなわち、NOx還元制御、S被毒回復制御を実行すべく燃料添加弁46から燃料(還元剤)が添加中であるか否かが判断される。そして、こうした還元制御の実行中ではない旨判断された場合には(ステップS100:NO)、この処理は一旦終了される。
一方、上記還元制御の実行中である旨判断された場合には(ステップS100:YES)、酸化触媒コンバータ27に吸着されている非還元触媒の量を算出すべく吸着量算出処理が実行される(ステップS101)。この吸着量算出処理の詳細を図7に示す。
この吸着量の算出処理では、図7に示すように、まずは酸化触媒コンバータ27に担持された酸化触媒の温度(触媒温度)Taが検出される(図7ステップS200)。そしてこうして触媒温度Taが検出されると、先の図3(a)に示した演算用マップを通じて、この検出された触媒温度Taに基づき酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の吸着速度の基本値である基本吸着速度Veが算出される。同じく先の図4(a)に示した演算用マップを通じて、同触媒温度Taに基づき酸化触媒コンバータ27から放出される非還元成分の放出速度の基本値である基本放出速度Voが算出される(図7ステップS201)。
次に、エアフロメータ16の検出値に基づき、例えば図示しない適宜のマップを通じて排気通路14内の排気流量Qaが算出される(ステップS202)。こうして排気流量Qaが算出されると、先の図3(b)に示した補正用マップを通じて、この排気流量Qaに基づき基本吸着速度Veを補正するための流量補正係数ke1が算出される。同じく図4(b)に示した補正用マップを通じて、同排気流量Qaに基づき基本放出速度Voを補正するための流量補正係数ko1が算出される(ステップS203)。
そして次に、空燃比センサ29の検出値に基づき、これも図示しない適宜のマップを通じて酸化触媒コンバータ27に吸入される排気中の非還元成分の濃度Fdが算出される(
ステップS204)。こうして非還元成分の濃度Fdが算出されると、先の図3(c)に示した補正用マップを通じて、この非還元成分の濃度Fdに基づき基本吸着速度Veを補正するための濃度補正係数ke2が算出される。同じく先の図4(c)に示した補正用マップを通じて、同非還元成分の濃度Fdに基づいて基本放出速度Voを補正するための濃度補正係数ko2が算出される(ステップS205)。
このようにして各補正係数が算出されると、酸化触媒コンバータ27に非還元成分が吸着される際の速度の推定値である推定吸着速度Ves、及び酸化触媒コンバータ27から非還元成分が放出される際の速度の推定値である推定放出速度Vosが次式(3)及び(4)に基づいて算出される(ステップS206)。
Ves=Ve×ke1×ke2 …(3)
Vos=Vo×ko1×ko2 …(4)
Ves:推定吸着速度
Vos:推定放出速度
ke1、ko1:流量補正係数
ke2、ko2:濃度補正係数
上記式(3)及び(4)によって、基本吸着速度Ve及び基本放出速度Voが排気通路14内の排気流量Qa、及び酸化触媒コンバータ27に吸入される排気中の非還元成分の濃度Fdに基づき補正される。これにより、排気通路14内の排気流量Qaや、排気中の非還元成分の濃度Fdが変化するような場合であれ、これらの変動要因に基づいて非還元成分の吸着速度及び放出速度が補正されることとなり、より正確な推定値を算出することができる。
次に、上記式(3)及び(4)によって算出された推定吸着速度Ves及び推定放出速度Vosに基づいて酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の速度推定吸着量THCe、及び酸化触媒コンバータ27から放出される非還元成分の速度推定放出量THCoが次式(5)及び(6)に基づいて算出される(ステップS207)。
THCe=THCe+Ves×T1 …(5)
THCo=THCo+Vos×T1 …(6)
THCe:速度推定吸着量
THCo:速度推定放出量
Ves:推定吸着速度
Vos:推定放出速度
T1:演算サイクル時間
上記式(5)及び(6)の右辺第2項は演算サイクル時間T1あたりの非還元成分の速度推定吸着量THCe、及び速度推定放出量THCoを算出する式であり、右辺第1項(THCe、THCo)は前回の演算サイクルまでに積算された速度推定による吸着量及び放出量である。このように、これらを加算することにより、本添加量調整制御が実行されている間に酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の速度推定吸着量THCe、及び酸化触媒コンバータ27から放出される非還元成分の速度推定放出量THCoが算出される。
そして、この処理を通じて算出された速度推定吸着量THCeから速度推定放出量THCoを減算することにより、酸化触媒コンバータ27に吸着されていると推定される非還元成分の量(吸着量)THCQが算出される(ステップS208)。
このような処理を通じて推定吸着量THCQが算出されると、図6に示すメインルーチンにおいて、酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の反応量を算出すべく
非還元成分反応量算出処理が実行される(図6ステップS102)。この非還元成分反応量算出処理の詳細を図8に示す。
この処理では、図8に示すように、空燃比センサ29の検出値に基づき、図示しない適宜のマップを通じて酸化触媒コンバータ27に吸入される排気の酸素濃度OCONCが算出される(図8ステップS300)。次いで、エアフロメータ16の検出値に基づき、これも図示しない適宜のマップを通じて排気通路14内の排気流量Qaが算出される(ステップS301)。
このようにして酸素濃度OCONC及び排気流量Qaが算出されると、酸化触媒コンバータ27による酸素ストレージ量OSCが次式(7)に基づいて算出される(ステップS302)。
OSC=OSC+Qa・OCONC・T1 …(7)
OSC:酸素ストレージ量
Q:排気流量
CONC:流量補正係数
T1:演算サイクル時間
上記式(7)の右辺第2項は演算サイクル時間T1あたりの酸素ストレージ量OSCを算出するためのものであり、右辺第1項(OSC)は前回の演算サイクルまでに積算された酸素ストレージ量OSCである。そして、これらを加算することにより、本添加量調整制御が実行されている間に酸化触媒コンバータ27に吸蔵される酸素ストレージ量OSCが算出される。
次に、温度センサ28を通じて酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taが検出される(ステップS303)。こうして触媒温度Taが検出されると、先の図5(a)に示した演算用マップを通じて、この触媒温度Taに基づき酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の反応率の基本値である基本反応率Prが算出される(ステップS304)。基本反応率Prが算出されると、同様に先の図5(b)に示した補正用マップを通じて、上記排気流量Qaに基づき基本反応率Prを補正するための流量補正係数kpが算出される(ステップS305)。
このようにして基本反応率Pr及び流量補正係数kpが算出されると、酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の反応率の推定値である推定反応率Prsが次式(8)に基づいて算出される(ステップS306)。
Prs=Pr×kp …(8)
Prs:推定反応率
Pr:基本反応率
kp:流量補正係数
上記式(8)によって、基本反応率Prが排気通路14内の排気流量Qaに基づいて補正される。これにより、排気通路14内の排気流量Qaが変化するような場合であれ、この変動要因に基づいて酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の反応率が補正されることとなり、より正確な推定値を算出することができる。
次に、空燃比センサ29の検出値に基づき、図示しない適宜のマップを通じて酸化触媒コンバータ27に吸入される排気中の非還元成分の濃度Fdが算出される(ステップS307)。
このようにして算出された酸素ストレージ量OSC、推定反応率Prs、非還元成分の濃度Fdに基づいて、酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の推定量であ
る推定反応量ROが次式(9)により算出される(ステップS308)。
RO=OSC×Prs×Fd …(9)
RO :推定反応量
OSC:酸素ストレージ量
Prs:推定反応率
Fd:非還元成分の濃度
上記式(9)によって、排気流量Qaに基づき補正された推定反応率Prsと、酸化触媒コンバータ27による酸素ストレージ量OSCと、酸化触媒コンバータ27に吸入される排気の非還元成分の濃度Fdとに基づいた反応量ROが算出される。
そして、以上の吸着量算出処理及び非還元成分反応量算出処理を通じて吸着量の推定値THCQ及び非還元成分反応量の推定値ROが算出されると、図6に示すメインルーチンに戻る。そしてここでは、酸化触媒コンバータ27の下流へと排出される非還元成分の推定排出量THCexが、上記算出された吸着量の推定値THCQ及び非還元成分反応量の推定値RO、酸化触媒コンバータ27に吸入されると推定される非還元成分の推定吸入量THCiに基づいて先の式(1)により算出される(図6ステップS103)。なお、推定吸入量THCiは、上記推定排出量が算出される際に酸化触媒コンバータ27に吸入されるであろう排気通路14内の非還元成分の量であり、エアフロメータ16及び空燃比センサ29の検出値に基づき、図示しない適宜のマップを通じて算出される値である。このようにして推定排出量THCexが算出されると、この推定排出量THCexが上記許容排出量β(図2(e))以下であるか否かが判断される(ステップS104)。
そして、推定排出量THCexが許容排出量β以下である旨判断された場合には(ステップS104:YES)、この処理から一旦抜け、NOx還元、S被毒回復にかかる還元制御が継続して実行される。
一方、推定排出量THCexが許容排出量βを超えた旨判断された場合には(ステップS104:NO)、上記燃料添加弁46が即座に閉じられるとともに(ステップS105)、先の速度推定吸着量THCe、速度推定放出量THCo、酸素ストレージ量OSC等の積算値がクリアされる(ステップS106)。そしてその後、並行して実施されている上述した還元制御を停止すべく要求が発せられた後(ステップS107)、この一連の処理が終了される。
以上の処理によって、燃料添加弁46から添加される燃料(還元剤)の添加量が調整されることにより、先の図2に基づき説明したように、NOx吸蔵還元触媒による還元の実行に伴うS被毒の回復等に併せて、非還元成分が酸化触媒コンバータ27から排出されることに起因する白煙の発生等も好適に抑制されるようになる。
上記説明したように、本実施の形態にかかる車載内燃機関の排気浄化装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)NOx触媒コンバータ25に対するNOx還元制御、S被毒回復制御に際して、酸化触媒コンバータ27から排出される非還元成分の推定量である推定排出量THCexに基づいて燃料添加弁46から排気通路14内に供給される燃料(還元剤)の添加量を制限することとした。このため、推定排出量THCexが白煙発生の抑制の指標となる許容排出量β以下となるようにこうした燃料(還元剤)の添加を制限することが可能となる。これにより、NOx触媒コンバータ25による還元の実行に伴うS被毒回復、NOx還元に併せて、非還元成分が酸化触媒コンバータ27から排出されることに起因する白煙の発生等も好適に抑制することができるようになる。
(2)上記推定排出量THCexを、酸化触媒コンバータ27へ吸入される非還元成分の推定値である推定吸入量THCiから、酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の推定値である吸着量THCQと酸化触媒コンバータ27で酸化還元される非還元成分の推定値である反応量ROとを減算することによって算出することとした(式(1))。これにより、実際に酸化触媒コンバータ27から排出されるであろう非還元成分の量を正確に推定し、算出することができるようになる。
(3)特に、酸化触媒コンバータ27自身がその能力として非還元成分を吸着することのできる量の算出に際して、酸化触媒コンバータ27自身の吸着容量THCmaxを上限値とした非還元成分の吸着速度と放出速度との差に基づくこととした(式(2))。これにより、酸化触媒コンバータ27に吸入される非還元成分に対して、実際に酸化触媒コンバータ27によって非還元成分の排出を抑制することができる非還元成分の量をより精度よく算出することができるようになる。
(4)上記非還元成分の吸着量THCQの算出に際しては、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに基づいて算出した基本吸着速度Ve及び基本放出速度Voを基本値とし、これらの基本値を酸化触媒コンバータ27に吸入される排気の流量Qa及び酸化触媒コンバータ27に吸入される排気中の非還元成分の濃度Fdに基づいて補正することとした。これにより、酸化触媒コンバータ27の触媒温度や、酸化触媒コンバータ27に吸入される排気の状態が変化するような場合であれ、上記推定吸着量THCQを精度よく算出することができるようになる。
(5)非還元成分反応量ROの算出に際しても、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに基づいて算出した基本反応率Prを基本値とし、この基本値を酸化触媒コンバータ27に吸入される排気の流量Qaに基づいて補正することとした。これにより、酸化触媒コンバータ27の触媒温度や、排気通路14内の排気流量Qaが変化するような場合であれ、非還元成分反応量ROを精度よく算出することができるようになり、上記態様での推定吸着量THCQの算出とも併せて、より正確に燃料(還元剤)の添加量を調整、制限することができるようになる。
(6)NOx触媒コンバータ25、DPNRコンバータ26への燃料(還元剤)の添加を、排気通路14に設けられた専用の燃料添加弁46によって行うこととした。これにより、各コンバータに供給される燃料の添加量を高い精度で制御することができるとともに、上記添加量調整制御についてもこれをより容易に実行することができるようになる。
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、排気通路14内への燃料(還元剤)の添加を、燃料添加弁46により行うこととしたが、これに代えて上記燃料噴射弁40を兼用するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、基本反応率Prを酸化触媒コンバータ27の触媒温度Taに基づいて算出し、排気通路14内の排気流量Qaによってこれを補正することとした。これに限らず、先の図5(b)に示した関係を通じて排気流量Qaに基づく基本反応率Prを算出し、触媒温度Taによってこれを補正するようにしてもよい。また、排気流量Qa及び触媒温度Taのいずれかに基づいて算出される反応率を推定反応率Prsとし、その補正処理を割愛するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、基本吸着速度Ve及び基本放出速度Voを酸化触媒コンバータ27の触媒温度Ta(図3(a)、図4(a))に基づいて算出し、排気流量Qa及び非還元成分の濃度Fdによってこれを補正することとした。これに限らず、排気流量Qa及
び非還元成分の濃度Fdのいずれか一方によって補正することとしてもよい。また、先の図3(b)、図4(b)に示した関係を通じて排気流量Qaに基づく基本吸着速度Ve及び基本放出速度Voを算出し、触媒温度Ta及び非還元成分の濃度Fdの少なくとも一方によってこれを補正するようにしてもよい。更には、先の図3(c)、図4(c)に示した関係を通じて非還元成分の濃度Fdに基づく基本吸着速度Ve及び基本放出速度Voを算出し、触媒温度Ta及び排気流量Qaの少なくとも一方によってこれを補正するようにしてもよい。またあるいは、触媒温度Ta、排気流量Qa、非還元成分の濃度Fdのいずれか一つに基づいて吸着速度及び放出速度を算出し、これを補正することなく推定吸着速度Ves及び推定放出速度Vosとしてもよい。
・上記実施の形態では、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Ta、排気流量Qa、非還元成分の濃度Fdのいずれかに基づいて基本吸着速度Ve及び基本放出速度Voを算出し、これを補正するようにした。これに限らず、酸化触媒コンバータ27の触媒温度Ta、排気流量Qa、非還元成分の濃度Fdからなる三次元マップにより、推定吸着速度Ves及び推定放出速度Vosを算出するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、許容排出量βを、酸化触媒コンバータ27を介して非還元成分が過剰に排出されることを抑制する上で許容できる値としたが、非還元成分が酸化触媒コンバータ27の下流へと排出されることをより確実に抑制する上では、許容排出量βの値を「0」に設定するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、酸素ストレージ量OSCを、空燃比センサ29による検出値に基づいて算出することとした。これに限らず、DPNRコンバータ26と酸化触媒コンバータ27との間に酸素濃度センサを設け、この酸素濃度センサの検出値に基づいてその算出を行うようにしてもよい。
・上記実施の形態では、エアフロメータ16を通じて検出される吸入空気量に基づいて排気流量Qaを推定(算出)する構成としたが、内燃機関10の運転状態、例えば機関回転速度や燃料噴射量に相関する値として排気の流量を算出し、これを排気流量Qaの代替値として用いるようにしてもよい。
・上記実施の形態では、NOx触媒コンバータ25と酸化触媒コンバータ27との間にDPNRコンバータ26を設ける構成としたが、これを割愛するものであってもよい。また、DPNRコンバータ26に代えてDPF(Diesel Particulate Filter)コンバータを設ける構成であってもよい。
・上記実施の形態では、NOx吸蔵還元触媒の補助触媒として酸化触媒コンバータ27をその下流側に設けたが、この補助触媒としては酸素ストレージ機能と非還元成分の吸着機能を有するものであればよく、他に例えば三元触媒等を用いる構成であってもよい。
・上記実施の形態では、酸化触媒コンバータ27に吸着される非還元成分の吸着量を、非還元成分の酸化触媒コンバータ27への吸着速度に基づく単位時間あたりの吸着量から非還元成分の酸化触媒コンバータ27からの放出速度に基づく単位時間あたりの放出量を減算して算出することとした。これに限らず、この吸着量を空燃比センサ29から出力される酸素濃度情報の時間積分値として算出するようにしてもよい。
・上記実施の形態では、NOx触媒コンバータ25に添加される還元剤として燃料を使用したが、他に、尿素、アンモニア化合物、シアヌル酸、ジメチルエーテル、メチルエーテルなども上記還元剤として用いることができる。
本発明にかかる車載内燃機関の排気浄化装置の一実施の形態について、適用対象とするディーゼル機関とともに、主にその燃料供給系、排気系の構成を示す略図。 (a)〜(e)は、同実施の形態の燃料添加量調整制御に伴う各種排気成分の推移例を示すタイミングチャート。 (a)は酸化触媒コンバータの触媒温度と非還元成分の吸着速度との関係を示すグラフ。(b)は排気通路内の排気流量と酸化触媒コンバータからの非還元成分の吸着速度との関係を示すグラフ。(c)は酸化触媒コンバータに吸入される排気中の非還元成分の濃度とその酸化触媒コンバータへの吸着速度との関係を示すグラフ。 (a)は酸化触媒コンバータの温度と非還元成分の放出速度との関係を示すグラフ。(b)は排気通路内の排気流量と酸化触媒コンバータからの非還元成分の放出速度との関係を示すグラフ。(c)は酸化触媒コンバータに吸入される排気中の非還元成分の濃度とその酸化触媒コンバータからの放出速度との関係を示すグラフ。 (a)は酸化触媒コンバータの温度と非還元成分の反応率との関係を示すグラフ。(b)は排気通路内の排気流量と酸化触媒コンバータでの非還元成分の反応率との関係を示すグラフ。 同実施の形態による燃料(還元剤)の添加量調整制御についてその制御手順を示すフローチャート。 上記燃料添加量制御に際しての特に推定吸着量算出処理についてその処理手順を示すフローチャート。 上記燃料添加量制御に際しての特に非還元成分反応量算出処理についてその処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
10…内燃機関、11…ターボチャージャ、12…吸気通路、13…燃焼室、14…排気通路、15…エアクリーナ、16…エアフロメータ、17…コンプレッサ、18…インタークーラ、19…吸気絞り弁、20…吸気マニホールド、21…吸気ポート、22…排気ポート、23…排気マニホールド、24…排気タービン、25…NOx吸蔵還元触媒コンバータ、26…DPNRコンバータ、27…酸化触媒コンバータ、28…温度センサ、29…空燃比センサ、30…EGR通路、31…EGR触媒、32…EGRクーラ、33…EGR弁、40…燃料噴射弁、41…高圧燃料供給管、42…コモンレール、43…燃料ポンプ、44…レール圧センサ、45…低圧燃料供給管、46…燃料添加弁、50…電子制御装置、51…(機関)回転速度センサ、52…アクセルセンサ、53…絞り弁センサ。

Claims (9)

  1. 車載内燃機関の排気通路に設けられて排気ガス中のNOx吸蔵機能及び還元機能を有するNOx吸蔵還元触媒と、このNOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分を吸着する機能及び酸素ストレージ機能を有して同NOx吸蔵還元触媒の下流に設けられる補助触媒とを備え、所定の条件下で排気通路に還元剤を添加することで排気の浄化機能を維持する車載内燃機関の排気浄化装置において、
    前記NOx吸蔵還元触媒と前記補助触媒との間に空燃比センサを設け、該空燃比センサから出力される酸素濃度情報に基づいて前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分が前記補助触媒に吸入される量である非還元成分吸入量を推定するとともに、前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒への吸着速度、及び同NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒の酸素ストレージ機能に基づき酸化還元される量である非還元成分反応量を併せて推定して前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分が前記補助触媒から排出される量である非還元成分排出量を求め、前記NOx吸蔵還元触媒による還元の実行に際し、この求められる非還元成分排出量に基づいて前記還元剤の添加量を制限し、
    前記吸着速度は、前記補助触媒の温度が高いほど低い値として求められるとともに、排気流量が多いほど低い値となるように補正される
    ことを特徴とする車載内燃機関の排気浄化装置。
  2. 車載内燃機関の排気通路に設けられて排気ガス中のNOx吸蔵機能及び還元機能を有するNOx吸蔵還元触媒と、このNOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分を吸着する機能及び酸素ストレージ機能を有して同NOx吸蔵還元触媒の下流に設けられる補助触媒とを備え、所定の条件下で排気通路に還元剤を添加することで排気の浄化機能を維持する車載内燃機関の排気浄化装置において、
    前記NOx吸蔵還元触媒と前記補助触媒との間に空燃比センサを設け、該空燃比センサから出力される酸素濃度情報に基づいて前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分が前記補助触媒に吸入される量である非還元成分吸入量を推定するとともに、前記
    NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒への吸着速度、及び同NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒の酸素ストレージ機能に基づき酸化還元される量である非還元成分反応量を併せて推定して前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分が前記補助触媒から排出される量である非還元成分排出量を求め、前記NOx吸蔵還元触媒による還元の実行に際し、この求められる非還元成分排出量に基づいて前記還元剤の添加量を制限し、
    前記吸着速度は、排気流量が多いほど低い値として求められる
    ことを特徴とする車載内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記推定される前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒への吸着速度に基づき、同還元しきれなかった成分の補助触媒に対するその都度の吸着量が、補助触媒自身の吸着容量値を上限値とした、前記還元しきれなかった成分の補助触媒への吸着速度に基づく単位時間当たりの吸着量から同還元しきれなかった成分の補助触媒からの放出速度に基づく単位時間当たりの放出量を差し引いた値として推定される
    請求項1又は2に記載の車載内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記還元しきれなかった成分の補助触媒からの放出速度は、前記補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量、及び前記空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する前記還元しきれなかった成分の濃度の少なくとも1つの関数としてそれぞれ求められる
    請求項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記還元しきれなかった成分の補助触媒への吸着速度は、前記空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する前記還元しきれなかった成分の濃度に基づいて補正され、
    前記還元しきれなかった成分の補助触媒からの放出速度は、前記補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量、及び前記空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する前記還元しきれなかった成分の濃度のいずれか1つの関数としてそれぞれ求められるとともに、他の2つの要素の少なくとも一方に基づいてそれぞれ補正される
    請求項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記NOx吸蔵還元触媒により還元しきれなかった成分の前記補助触媒の酸素ストレージ機能に基づき酸化還元される量である前記非還元成分反応量が、前記補助触媒による酸素ストレージ量に前記空燃比センサから出力される酸素濃度情報に相関する同還元しきれなかった成分の濃度及びその都度の環境における反応率を乗算した値として求められる
    請求項1〜のいずれか一項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記その都度の環境における反応率が、前記補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量の少なくとも一方の関数として求められる
    請求項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置。
  8. 前記その都度の環境における反応率が、前記補助触媒の触媒温度、及び当該機関への吸入空気量に相関する排気流量のいずれか一方の関数として求められるとともに、他方の要素に基づいて補正される
    請求項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置。
  9. 前記還元剤の添加が前記排気通路に設けられた添加弁による当該内燃機関の燃料の添加として行われる
    請求項1〜のいずれか一項に記載の車載内燃機関の排気浄化装置。
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