JP2005000884A - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関排ガス中に含まれる還元性ガス中の一酸化炭素を選択的に除去し、還元性ガスの比等を向上させる触媒を提供する。
【解決手段】酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、一酸化炭素シフト触媒層の上層として被覆することにより一酸化炭素濃度を低減して水素を生成する構成を有する排気ガス浄化用触媒。
【選択図】 図1
【解決手段】酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、一酸化炭素シフト触媒層の上層として被覆することにより一酸化炭素濃度を低減して水素を生成する構成を有する排気ガス浄化用触媒。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関からの排ガス浄化用触媒に関する。詳しく述べると、還元性ガス中の一酸化炭素を選択的に除去し、還元剤中の水素比率を向上させるためのCO除去触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
今後、さらに厳しくなる排ガス規制に対応するためには、より低温域においても、窒素酸化物(以下、NOxという)を浄化する必要がある。現在、NOxの浄化に使用されている触媒を低温域で使用すると、NOxの脱離がうまく行なわれないために、十分なNOx浄化率が得られないという問題があった。これは、リッチスパイクによりエンジンから発生する一酸化炭素が原因であるが、同時に発生する水素には問題がなくNOxが浄化できる。
【0003】
したがって、NOx浄化用触媒の上流側で、一酸化炭素を選択的に酸化低減して水素を透過、あるいはシフト反応により生成することにより還元剤ガス中の水素比率を高める必要がある。
【0004】
このような反応として利用できるものは、(a)一酸化炭素の選択酸化反応と(b)一酸化炭素シフト反応とであり、その触媒成分としては酸化セリウムが有効であることがわかっている。実施に酸化セリウムを用いた触媒層を設置してリッチスパイクを実施すると、一酸化炭素と水素の酸化反応および一酸化炭素シフト反応の順に反応が進行することがわかった。ただし、酸化セリウムでは一酸化炭素と水素の酸化反応における一酸化炭素の選択酸化性能は50〜60%であるため、一酸化炭素を選択的に充分に低減することは難しいので、一酸化炭素シフト反応を利用することがより効果的であると考えられる。この一酸化炭素シフト反応には酸化アルミニウムを添加した酸化セリウム基材がさらに効果的であることがわかってきた。
【0005】
酸化アルミニウムを添加した酸化セリウム基材については、特開2003−20227号公報および特開2003−24783号公報に開示されている。すなわち、前者には、ジルコニウム酸化物と、該ジルコニウム酸化物と固溶しない金属Mとの混合物であり、該ジルコニウム酸化物と該金属Mの酸化物とがnmスケールで均一に分散してなる微細混合酸化物粉末が開示されている。また、後者には、セリアとアルミナとが共にnmスケールで均一に分散してなる複合酸化物を含む担体と、該担体に担持された貴金属とよりなる水素生成触媒が開示されている。
【0006】
これらは、いずれもFE−STEMを用いて分析を行ない、nmスケールで均一に分散していることを特徴としており、異なる酸化物同士が互いの障壁として作用するために、シンタリングが抑制されるというものである。しかし、これらの基材をそのまま触媒として用いたのでは、まだ十分な一酸化炭素シフト性能は得られない。これは反応ガス中にわずかに存在する酸素のため、一酸化炭素と水素の酸化反応が優先する結果、一酸化炭素シフト反応を十分に利用できていないと考えられる。つまり、リッチスパイク時間内では、酸化反応の占める割合が増加し、COシフト反応の占める割合が減少する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は還元剤ガス中の一酸化炭素を選択的に除去し、還元剤中の水素の比率を向上させるための排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記諸目的は、酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、一酸化炭素シフト(以下、COシフトという)触媒層の上層として積層することにより、酸素濃度を低減してCOシフト反応が比較的容易に進行する反応条件とする結果、一酸化炭素濃度を低減して水素を生成することを特徴とする排ガス浄化用触媒により達成される。
【0009】
このような酸素濃度を低減する手段として、酸素濃度低減機能をもった触媒層を上層に積層して設置することで、内燃機関においても十分なCOシフト性能を得ることが可能となった。
【0010】
COシフト触媒には、酸化アルミニウムを添加した酸化セリウム基材が効果的であるが、排ガス中のNOxによる被毒があり、徐々にCOシフト性能が低下する問題があった。この点においては、ロジウムを添加することによりNOxによる被毒を低減することが可能となった。
【0011】
これらの触媒系を用いてCOを選択的に低減し水素を増加した結果、下流に設置したNOx触媒が低温域においても十分NOxを浄化することが可能となった。
【0012】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明によれば、請求項毎に次のような効果を奏する。
【0013】
請求項1に記載の発明は、酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、COシフト触媒層の上層として積層することにより一酸化炭素濃度を低減して水素を生成してなる排ガス浄化用触媒である。
【0014】
すなわち、水素透過生成触媒は、CO選択酸化反応とCOシフト反応を利用することで、還元剤中のCOを選択的に除去し、水素比率を向上することが可能である。CeO2に金属を固溶した複合酸化物(例CeZr)は、耐熱性はCeO2よりは高いものの、CO選択酸化反応が著しく高いために、リッチスパイクを実施している時間内にCOシフト反応を十分利用できない問題がある。これはCeとZrが複合化する結果、CO酸化性能が向上したと考えられる。このため、両反応を効果的に利用することが困難であった。そこで、複合化することなく各々単独の酸化物として存在する酸化セリウムと酸化アルミニウムの混合物であり、かつ酸化アルミニウムの粒径が数μm以下で高分散している(CeO2)x(Al2O3)1−yを用いることにより、リッチスパイク時間内にCOシフト反応を有効に利用できるため触媒性能を大幅に向上することが可能となった。さらにこの触媒と酸化低減機能を有する触媒とを組み合わせることにより、COシフト性能は大幅に向上する。また、この触媒にロジウム系触媒を混ぜ込むことにより、NOx被毒が抑制されてCOシフト性能が経時変化を有することなく安定した性能が得られる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、該COシフト触媒は白金、ロジウムおよびパラジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属が酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持された層であり、また該酸化性能を有する触媒はアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物と白金および/またはパラジウムとロジウムが耐火性無機酸化物に担持されてなる触媒であるから、排ガスの浄化時にリッチスパイク時に存在する酸素を第2層で低減することにより、第1層によるCOシフト反応が大幅に増大させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、該COシフト触媒へさらにロジウムが含浸担持またはロジウムを担持した耐火性無機酸化物が混合されてなる触媒であるから、ロジウムを添加することにより、NOx被毒が低減される結果、COシフト性能の低下が抑制される。
【0017】
請求項4に記載の発明は、該COシフト触媒を構成する層は、酸化セリウムと酸化アルミニウムとが複合化されずに各々単独の酸化物として存在してなる触媒であるから、酸化セリウムと酸化アルミニウムが固溶しないために、COと水素の酸化反応の増加を抑制できるため、リッチスパイク時間内にCOシフト反応を有効に利用することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、該COシフト触媒に含まれる酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物中の酸化アルミニウム含量が10〜50質量%である触媒であるから、酸化セリウムへ酸化アルミニウムを添加することによりCOシフト性能が向上する。
【0019】
請求項6に記載の発明は、触媒成分層が耐火性無機担体に担持された触媒であるから、排ガスとの接触面積が大きくなる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、該COシフト触媒中の酸化セリウムの担持量が該耐火性無機担体1リットル当り100〜500gである触媒であるから、耐久後においても充分なCOシフト性能を得ることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、該酸化触媒層中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物がナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物触媒であるから、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の作用により炭化水素被毒を低減できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明による一酸化炭素除去用触媒は、酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、COシフト触媒層の上層として積層することにより、酸素濃度を低減してCOシフト反応が比較的容易に進行する反応条件とする結果、一酸化炭素濃度を低減して水素を生成することを特徴とするものである。
【0023】
COシフト反応は、酸素が存在すると、一酸化炭素と水素の酸化反応の方が優先的に進行するために、リッチスパイク時間内では充分に利用できない。しかし、内燃機関排ガスに対して実際に使用する場合、リッチスパイクを入れて還元剤を発生させても、わずかに酸素は残っている。この酸素を除去しないと、COシフト反応は充分な性能は得られ難い。このため、本発明においては、COシフトに対して高活性を有する第1層(下層)の上に、排ガス中の酸素濃度を低減する作を有する第2層(上層)を配置することによりCOシフト性能が大幅に向上するのである。
【0024】
前記第1層におけるCOシフト触媒成分としては、白金、ロジウムおよびパラジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属が、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持されてなるものである。
【0025】
また、前記第2層における酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒成分としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物と、白金および/またはパラジウムとロジウムとが耐火性無機酸化物に担持されたものである。
【0026】
すなわち、第1層は貴金属、特に活性の高い白金を、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持させることにより非常に高いCOシフト性能が得られるのである。一方、第2層は、酸素濃度を低減することが目的であるので、一般的に使用されている三元触媒や酸化触媒を転用することができる。ただし、酸素濃度を低減するために酸化される反応物は一酸化炭素である(水素ではない)ことが好ましいので、貴金属の中でも白金が主成分になるものと思われる。
【0027】
白金、ロジウム、パラジウム等の貴金属の原料は、特に限定されるものではないが、例えば酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩等が、通常水溶液として用いられる。例えば、白金の出発原料としては、塩化白金、硝酸白金水溶液、シニトロジアンミン白金(II)硫酸水溶液等があり、ロジウムの出発原料としては、硝酸ロジウム水溶液等があり、またパラジウムの出発原料としては、硝酸パラジウム等がある。しかして、該貴金属の量は、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に対して0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜3.0質量%である。すなわち、該貴金属含量が0.1質量%未満では、活性点が少ないため十分な性能が得られないためであり、一方、5.0質量%を越えると、性能の向上はみられず、コスト増になるためである。
【0028】
該COシフト触媒には、さらにロジウムが含浸担持またはロジウムを担持した耐火性無機酸化物を混合してもよい。すなわち、ロジウムを添加することにより、NOxによるCOシフト反応の阻害が低減されると考えられるためである。該ロジウムの添加方法は、第1層に含浸、担持したり、あるいは予めロジウムを含浸、担持してある触媒層を物理的に混合してもよい。
【0029】
すなわち、第1層により得られるCOシフト性能は、経時的に性能が低下する。その原因は明らかではないが、COシフト性能の低下とNOx浄化率の低下との間に関連性がみられることから、NOxである可能性が考えられる。このことから、NOxがCOシフト反応の活性点を覆っているものと考えられる。酸化セリウムは、弱塩基性を有するため、リーン時に吸着されたNOxがリッチスパイクにより離脱するものの、完全に浄化されない場合、再度酸化セリウムに吸着される。そこで、離脱したNOxを浄化するためにロジウムを添加することが望ましい。
【0030】
本発明における前記酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物において、酸化セリウムと酸化アルミニウムとは、複合化せずに、各々単独の酸化物として存在することが望ましい。すなわち、酸化セリウムと酸化アルミニウムとが複合化していると、ストレージ酸素量が増加するため、リッチスパイク時間内にCOシフト反応の占める時間が少なくなるからである。
【0031】
前記一酸化炭素シフト触媒成分としては、白金、ロジウムおよびパラジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属が、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持されてなるものである。
【0032】
これらの酸化セリウム(CeO2)と酸化アルミニウム(Al2O3)の該混合物中の酸化アルミニウム含量は10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%である。すなわち、酸化アルミニウム含量が10質量%未満あるいは50質量%を越えると、図1に示すように、シフト性能(例えば300℃焼成)が低下しかつ物性(900℃焼成)、例えば貴金属(例えば白金)の結晶子径が低下するからである。なお、図1において白金の結晶子径は、シエラーの式を用いて算出した。
【0033】
貴金属成分としては、前記のように原料は特に限定されるものではないが、例えば、酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩等が、通常水溶液として用いられる。例えば白金およびロジウムについては前記のごときものがあり、またパラジウムとしては、例えば硝酸パラジウム水溶液等がある。しかして、該貴金属の量は、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に対して0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜3.0質量%である。すなわち、該貴金属含量が0.1質量%未満では、活性点が少ないため十分な性能が得られないためであり、一方、5.0質量%を越えると、性能の向上はみられず、コスト増になるためである。
【0034】
該酸化セリウムは、ジルコニウムおよび/またはプラセオジウムを含有していてもよく、その量は酸化セリウムに対して酸化物換算で0〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは4〜6質量%である。
【0035】
これらの触媒成分は、耐火性無機担体上に担持される。そして、該酸化セリウムの担持量は、該耐火性無機担体1リットル当り100〜500g、好ましくは350〜450gである。すなわち、100g未満では酸化セリウム量が少なく十分な性能が得られないためであり、一方、500gを越えると、ガス通過量が少なくなるため十分な性能が得られないためである。
【0036】
本発明で使用される耐火性無機担体としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、特にコージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、アルミニウムチタネート、ベタライト、スポンジュメン、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート等を材料とするモノリス担体(ハニカム担体)が好ましく、なかでもコージェライト質のものが特に好ましい。そのほか、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金等のごとき酸化抵抗性の耐熱性金属を用いて一体構造としたものも使用される。
【0037】
前述したように、酸化セリウム系触媒では、リッチスパイクを入れると、COと水素の酸化反応、COシフト反応の順に反応が進行する。ここで、酸化反応量が多いと、リッチスパイク時間内に進行する反応がほとんど酸化反応になってしまい、COシフト反応が進行しなくなる。リッチスパイク時間内COシフト反応を進行させるためには、酸化反応量を少なくする必要がある。この酸化反応量は酸化セリウムのストレージ酸素量に依存すると考えられる。酸化セリウムと固溶しやすいジルコニウムやプラセオジウムは、酸化セリウムのストレージ酸素量を増加させることが知られている。したがって、酸化アルミニウムと酸化セリウムが固溶していない(図2)方がストレージ酸素量が増加しない結果、酸化反応量も増加せず、COシフト反応を有効に利用できる。
【0038】
なお、同図におけるXRDの測定条件およびサンプル前処理条件は、つぎのとおりであった。
【0039】
<XRD測定条件>
装置名 マック・サイエンス製 X線回折装置(MXP18VAHF型)
線源 Cu
測定法 通常法
測定範囲 5〜90deg.
サンプリング間隔 0.020deg.
スキャン速度 4.000deg./min
発散スリット(DS) 1.00deg.
散乱スリット(SS) 1.00deg.
受光スリット(RS) 0.30deg.
管電圧 40.0kV
管電流 300.0mA
<サンプル前処理条件>
焼成温度 900℃
焼成時間 1.0Hr.
焼成雰囲気 Air
以上から、つぎのことが判る。
【0040】
900℃×2時間焼成後のCeAlのXRD測定からはCeO2の回折角度がシフトしない(Ce/Al=0.3〜2.7)
900℃×2時間焼成後もXRD測定からはAl2O3のピークが全くみられない(検出限界以下)
また、本発明による触媒におけるCOシフト触媒に含まれる酸化セリウム(CeO2)と酸化アルミニウム(Al2O3)の該混合物中の酸化アルミニウム含量は10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%である。すなわち、酸化アルミニウム含量が50質量%を越えると、酸化セリウム量が不足することになるので、充分なCOシフト性能が得られ難く、一方、酸化アルミニウム含量が10質量%未満では、酸化セリウム自体の性質が強くなり、酸化アルミニウムによるCOシフト性能の向上が不充分である。
【0041】
すなわち、酸化セリウムに酸化アルミニウムを添加することによりCOシフト性能は向上する。しかしながら、酸化アルミニウムの添加量が30質量%を超えると低下する傾向が見られた(図2)。この原因は明らかではないが、酸化アルミニウムの添加量が30質量%の時、白金へのCO被毒が最も低減されていると考えられる。反応温度にもよるが、通常COは白金との結合力が強いため、COシフト反応が進みにくくなる。これは白金の電子密度が高いためである。白金の電子密度は担持する基材の酸・塩基性質に影響され、塩基性が強いと基材から白金へ電子の供与が起こり、その結果、白金の電子密度が増加することになる。酸化セリウムは弱塩基性であるため、酸化セリウムから白金へ電子供与が起こる結果、白金の電子密度が増加する。しかし、酸化アルミニウムの添加量が30%の時、白金の結晶子径は最も大きかったことから(図2)、上述したような酸化セリウムから白金への電子供与の影響が小さくなり、白金表面での電子密度は高くならず、CO被毒が低減されたものと考えられる。
【0042】
これらの触媒成分は、耐火性無機担体上に担持されることが好ましい。そして、該酸化セリウムの担持量は、該耐火性無機担体1リットル当り100〜500g、好ましくは350〜450gである。すなわち、100g未満では酸化セリウム量が少なく十分な性能が得られないためであり、一方、500gを越えると、ガス通過量が少なくなるため十分な性能が得られないためである。
【0043】
本発明で使用される耐火性無機担体としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、特にコージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、アルミニウムチタネート、ベタライト、スポンジュメン、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート等を材料とするモノリス担体(ハニカム担体)が好ましく、なかでもコージェライト質のものが特に好ましい。そのほか、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金等のごとき酸化抵抗性の耐熱性金属を用いて一体構造としたものも使用される。
【0044】
本発明による触媒におけるCOシフト触媒中の酸化セリウムの担持量は、該耐火性無機担体1リットル当り100〜500g、好ましくは350〜450gである。
【0045】
すなわち、この範囲を外れると、耐久後において充分な性能が得られ難いからである。すなわち、酸化セリウムの被覆量が100g/リットル未満では、耐久後において十分なCOシフト性能を得ることが困難である。一方、酸化セリウムのコート量が500g/リットルを越えると、同スラリーに含まれる酸化アルミニウムや耐火性無機担体との結合剤であるベーマイトも含めると、低セルでは被覆厚が厚くなるために触媒との接触効率が低下したり、高セルでは目詰まりなどが発生することがあるなどの問題が発生する。
【0046】
第2層である酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒成分としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物と、白金および/または白金とロジウムとが耐火性無機酸化物に担持されたものである。
【0047】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等があり、1種または2種以上が使用され、好ましくはバリウム、マグネシウム等である。これらの金属は、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩等の水溶液として使用される。
【0048】
白金およびロジウムの原料は、特に限定されるものではなく、例えば前述のとおりである。
【0049】
なお、第2層である酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層に用いられるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等があり、好ましくはバリウム、マグネシウム等である。これらの金属は、水溶性化合物の形で、水溶液として用いられる。すなわち、酸素濃度低減機能を有する第2層の触媒がリッチスパイク時に炭化水素などで活性点が被毒されないようにアルカリ金属、アルカリ土類金属を添加する。第2層は酸素濃度を低減すればよく、これまで使用されている三元触媒や酸化触媒を適用することができる。これらの触媒では、リッチスパイク時にエンジンから発生する炭化水素によって貴金属が被毒される問題があった。これに対応するためにアルカリ金属やアルカリ土類金属を添加することで電子供与効果を利用して貴金属の電子密度を増加させ、炭化水素被毒を低減することが行なわれている。
【0050】
これらのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属は、白金または白金および/またはパラジウムとロジウムとが耐火性無機酸化物に担持されて使用される。該耐火性無機酸化物は、前記のとおりである。
【0051】
本発明による触媒は、種々の方法で製造することができるが、一例を挙げると、例えばつぎの方法で製造される。
【0052】
まず、酸化セリウム(例えばCeO2)と酸化アルミニウム(例えばAl2O3)との混合粉末に、貴金属化合物の水溶液を混合撹拌したのち乾燥し、酸化性雰囲気中400℃で焼成することにより酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物上に貴金属を担持させる。ついで、必要により耐火性無機粉末、例えばアルミナ粉末に前記担持混合物と、アルミナゾル等の耐火性無機酸化物ゾルとを加えて混合粉砕してスラリーを製造する。このスラリーを耐火性無機担体、例えばモノリス担体の排ガス接触面に被覆したのち乾燥し、さらに酸化性雰囲気中で400℃で1時間焼成することにより一酸化炭素シフト触媒層を形成させる。
【0053】
一方、ロジウム化合物の水溶液を耐火性無機酸化物粉末、例えば活性アルミナ粉末に含浸させ、酸化性雰囲気中で400℃で1時間焼成し、ロジウム担持耐火性無機酸化物粉末を得る。この粉末を、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の水溶液に投入し、さらに耐火性無機酸化物ゾル、例えばアルミナゾルを加え、混合粉砕してスラリーを得る。このスラリーを前記担持触媒の一酸化炭素シフト触媒層の上に被覆して酸化性雰囲気中で400℃で1時間焼成することにより酸化触媒層を形成させる。
【0054】
さらに、必要によりロジウムの場合と同様にパラジウムを前記ロジウム含有酸化触媒層の上に被覆することもできる。また、ロジウムとパラジウムとは混合して担持させてもよい。また、ロジウムおよび/またはパラジウムの代りに、同様な方法で白金を担持させてもよい。
【0055】
【実施例】
つぎに、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)触媒の調製
実施例1
ジニトロジアンミン白金の硝酸水溶液にCeO2−Al2O3混合物(Al2O3は30質量%、第一稀元素化学工業株式会社製)を投入して1〜2時間攪拌した。攪拌終了後、150℃で一昼夜乾燥し、さらに空気中で400℃で1時間焼成することによりPt/CeO2−Al2O3を得た。このときの白金の担持濃度は2質量%であった。このようにして得られた粉末2kgに対してアルミナ粉末200gとアルミナゾル220gとを加え、磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。このようにして得られたスラリーをコージエライト質モノリス担体0.119リットル体積および断面積1平方インチ当り400セルかつ6ミルの膜厚)の排ガス接触面に被覆し、空気気流により余剰のスラリーを除し、乾燥後、空気中で400℃で30分間焼成して一酸化炭素シフト触媒層を形成した。被覆量は、400g/リットルであった。
【0056】
つぎに、硝酸ロジウム水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後、空気中で400℃で1時間焼成してRh/Al2O3の粉末を得た。この粉末のロジウム濃度は、1.5質量%であった。この粉末を、バリウムが溶解している水溶液に投入してバリウム含浸を行なった。バリウムの濃度は、5質量%とした。この粉末1kgに対して、アルミナゾル200gを磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。このスラリーを、さきに被覆したモノリス担体上に、さらに100g/リットル被覆とした。これを乾燥したのち、空気中で400℃で30分間焼成した。
【0057】
硝酸パラジウム水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後、空気中で400℃で1時間焼成してPd/Al2O3の粉末を得た。この粉末のパラジウム濃度は、5.5質量%であった。この粉末を、バリウムが溶解している水溶液が溶解している水溶液に投入してバリウム含浸を行なった。バリウムの濃度は5質量%とした。この粉末1kgに対して、アルミナゾル200gを磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。このスラリーを、さきに被覆したモノリス担体上に、さらに100g/リットル被覆とした。これを乾燥したのち、空気中で400℃で30分間焼成して一酸化炭素シフト触媒を得た。
【0058】
実施例2
実施例1で得られたCOシフト触媒を、硝酸ロジウム水溶液に一昼夜含浸させることにより、ロジウムを担持させた。そのロジウム担持濃度は白金の1/20(質量比)とした。ついで、Rh/Al2O3およびPd/Al2O3の順に被覆した。
【0059】
実施例3
ジニトロジアンミン白金の硝酸水溶液にCeO2−Al2O3混合物(Al2O3は30質量%、第一稀元素化学工業株式会社製)を投入して1〜2時間攪拌した。攪拌終了後、150℃で一昼夜乾燥し、さらに空気中で400℃で1時間焼成することによりPt/CeO2−Al2O3を得た。このときの白金の担持濃度は2質量%であった。このようにして得られた粉末2kgに対してアルミナ粉末200gとアルミナゾル220gとを加え、磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。
【0060】
ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液に酸化ジルコニウム含有酸化アルミニウムを投入して1〜2時間攪拌した。攪拌終了後、150℃で一昼夜乾燥し、さらに空気中で400℃で1時間焼成することによりRh/ZrO2−Al2O3を得た。
【0061】
Pt/CeO2−Al2O31.9kgおよびRh/ZrO2−Al2O3125gに対してアルミナゾル40gを磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。このスラリーをコージエライト質モノリス担体(0.119リットル体積および断面積1平方インチ当り400セルかつ6ミルの膜厚)の排ガス接触面に被覆し、空気気流により余剰のスラリーを除去し、乾燥後、空気中で400℃で30分間焼成した。被覆量は、420g/リットルとした。その後、Rh/Al2O3およびPd/Al2O3の順に被覆した。
【0062】
実施例4
実施例1において使用したCeO2−Al2O3中のAl2O3量を10質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0063】
実施例5
実施例1において使用したCeO2−Al2O3中のAl2O3量を50質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0064】
実施例6
触媒成分全体の被覆量を150g/リットルとした以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0065】
実施例7
Rh/Al2O3およびPd/Al2O3に含浸する金属としてバリウムの代りにマグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0066】
比較例1
Rh/Al2O3およびPd/Al2O3をCOシフト触媒の上層に被覆しないこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0067】
比較例2
Rh/Al2O3およびPd/Al2O3をCOシフト触媒の上層に被覆しないこと以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調製した。
【0068】
比較例3
Rh/Al2O3およびPd/Al2O3をCOシフト触媒の上層に被覆しないこと以外は、実施例3と同様の方法で触媒を調製した。
【0069】
実施例8
実施例1〜7および比較例1〜3で得られた触媒の、COシフト性能を評価した。
【0070】
市販の電子制御方式のエンジンを使用し、各触媒を充填したマルチコンバータをエンジンの排気系に設置し、CO転化率およびCO酸化量を評価した。これらの条件は、下記のとおりであった。なお、その結果を表1に示す。
【0071】
【0072】
【0073】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による触媒における各種Al2O3添加CeO2のXRDチャートである。
【図2】本発明による触媒におけるCeO2とAl2O3との合計量に対するAl2O3の割合とCOシフト性能と結晶格子径との関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関からの排ガス浄化用触媒に関する。詳しく述べると、還元性ガス中の一酸化炭素を選択的に除去し、還元剤中の水素比率を向上させるためのCO除去触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
今後、さらに厳しくなる排ガス規制に対応するためには、より低温域においても、窒素酸化物(以下、NOxという)を浄化する必要がある。現在、NOxの浄化に使用されている触媒を低温域で使用すると、NOxの脱離がうまく行なわれないために、十分なNOx浄化率が得られないという問題があった。これは、リッチスパイクによりエンジンから発生する一酸化炭素が原因であるが、同時に発生する水素には問題がなくNOxが浄化できる。
【0003】
したがって、NOx浄化用触媒の上流側で、一酸化炭素を選択的に酸化低減して水素を透過、あるいはシフト反応により生成することにより還元剤ガス中の水素比率を高める必要がある。
【0004】
このような反応として利用できるものは、(a)一酸化炭素の選択酸化反応と(b)一酸化炭素シフト反応とであり、その触媒成分としては酸化セリウムが有効であることがわかっている。実施に酸化セリウムを用いた触媒層を設置してリッチスパイクを実施すると、一酸化炭素と水素の酸化反応および一酸化炭素シフト反応の順に反応が進行することがわかった。ただし、酸化セリウムでは一酸化炭素と水素の酸化反応における一酸化炭素の選択酸化性能は50〜60%であるため、一酸化炭素を選択的に充分に低減することは難しいので、一酸化炭素シフト反応を利用することがより効果的であると考えられる。この一酸化炭素シフト反応には酸化アルミニウムを添加した酸化セリウム基材がさらに効果的であることがわかってきた。
【0005】
酸化アルミニウムを添加した酸化セリウム基材については、特開2003−20227号公報および特開2003−24783号公報に開示されている。すなわち、前者には、ジルコニウム酸化物と、該ジルコニウム酸化物と固溶しない金属Mとの混合物であり、該ジルコニウム酸化物と該金属Mの酸化物とがnmスケールで均一に分散してなる微細混合酸化物粉末が開示されている。また、後者には、セリアとアルミナとが共にnmスケールで均一に分散してなる複合酸化物を含む担体と、該担体に担持された貴金属とよりなる水素生成触媒が開示されている。
【0006】
これらは、いずれもFE−STEMを用いて分析を行ない、nmスケールで均一に分散していることを特徴としており、異なる酸化物同士が互いの障壁として作用するために、シンタリングが抑制されるというものである。しかし、これらの基材をそのまま触媒として用いたのでは、まだ十分な一酸化炭素シフト性能は得られない。これは反応ガス中にわずかに存在する酸素のため、一酸化炭素と水素の酸化反応が優先する結果、一酸化炭素シフト反応を十分に利用できていないと考えられる。つまり、リッチスパイク時間内では、酸化反応の占める割合が増加し、COシフト反応の占める割合が減少する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は還元剤ガス中の一酸化炭素を選択的に除去し、還元剤中の水素の比率を向上させるための排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記諸目的は、酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、一酸化炭素シフト(以下、COシフトという)触媒層の上層として積層することにより、酸素濃度を低減してCOシフト反応が比較的容易に進行する反応条件とする結果、一酸化炭素濃度を低減して水素を生成することを特徴とする排ガス浄化用触媒により達成される。
【0009】
このような酸素濃度を低減する手段として、酸素濃度低減機能をもった触媒層を上層に積層して設置することで、内燃機関においても十分なCOシフト性能を得ることが可能となった。
【0010】
COシフト触媒には、酸化アルミニウムを添加した酸化セリウム基材が効果的であるが、排ガス中のNOxによる被毒があり、徐々にCOシフト性能が低下する問題があった。この点においては、ロジウムを添加することによりNOxによる被毒を低減することが可能となった。
【0011】
これらの触媒系を用いてCOを選択的に低減し水素を増加した結果、下流に設置したNOx触媒が低温域においても十分NOxを浄化することが可能となった。
【0012】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明によれば、請求項毎に次のような効果を奏する。
【0013】
請求項1に記載の発明は、酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、COシフト触媒層の上層として積層することにより一酸化炭素濃度を低減して水素を生成してなる排ガス浄化用触媒である。
【0014】
すなわち、水素透過生成触媒は、CO選択酸化反応とCOシフト反応を利用することで、還元剤中のCOを選択的に除去し、水素比率を向上することが可能である。CeO2に金属を固溶した複合酸化物(例CeZr)は、耐熱性はCeO2よりは高いものの、CO選択酸化反応が著しく高いために、リッチスパイクを実施している時間内にCOシフト反応を十分利用できない問題がある。これはCeとZrが複合化する結果、CO酸化性能が向上したと考えられる。このため、両反応を効果的に利用することが困難であった。そこで、複合化することなく各々単独の酸化物として存在する酸化セリウムと酸化アルミニウムの混合物であり、かつ酸化アルミニウムの粒径が数μm以下で高分散している(CeO2)x(Al2O3)1−yを用いることにより、リッチスパイク時間内にCOシフト反応を有効に利用できるため触媒性能を大幅に向上することが可能となった。さらにこの触媒と酸化低減機能を有する触媒とを組み合わせることにより、COシフト性能は大幅に向上する。また、この触媒にロジウム系触媒を混ぜ込むことにより、NOx被毒が抑制されてCOシフト性能が経時変化を有することなく安定した性能が得られる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、該COシフト触媒は白金、ロジウムおよびパラジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属が酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持された層であり、また該酸化性能を有する触媒はアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物と白金および/またはパラジウムとロジウムが耐火性無機酸化物に担持されてなる触媒であるから、排ガスの浄化時にリッチスパイク時に存在する酸素を第2層で低減することにより、第1層によるCOシフト反応が大幅に増大させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、該COシフト触媒へさらにロジウムが含浸担持またはロジウムを担持した耐火性無機酸化物が混合されてなる触媒であるから、ロジウムを添加することにより、NOx被毒が低減される結果、COシフト性能の低下が抑制される。
【0017】
請求項4に記載の発明は、該COシフト触媒を構成する層は、酸化セリウムと酸化アルミニウムとが複合化されずに各々単独の酸化物として存在してなる触媒であるから、酸化セリウムと酸化アルミニウムが固溶しないために、COと水素の酸化反応の増加を抑制できるため、リッチスパイク時間内にCOシフト反応を有効に利用することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、該COシフト触媒に含まれる酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物中の酸化アルミニウム含量が10〜50質量%である触媒であるから、酸化セリウムへ酸化アルミニウムを添加することによりCOシフト性能が向上する。
【0019】
請求項6に記載の発明は、触媒成分層が耐火性無機担体に担持された触媒であるから、排ガスとの接触面積が大きくなる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、該COシフト触媒中の酸化セリウムの担持量が該耐火性無機担体1リットル当り100〜500gである触媒であるから、耐久後においても充分なCOシフト性能を得ることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、該酸化触媒層中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物がナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物触媒であるから、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の作用により炭化水素被毒を低減できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明による一酸化炭素除去用触媒は、酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、COシフト触媒層の上層として積層することにより、酸素濃度を低減してCOシフト反応が比較的容易に進行する反応条件とする結果、一酸化炭素濃度を低減して水素を生成することを特徴とするものである。
【0023】
COシフト反応は、酸素が存在すると、一酸化炭素と水素の酸化反応の方が優先的に進行するために、リッチスパイク時間内では充分に利用できない。しかし、内燃機関排ガスに対して実際に使用する場合、リッチスパイクを入れて還元剤を発生させても、わずかに酸素は残っている。この酸素を除去しないと、COシフト反応は充分な性能は得られ難い。このため、本発明においては、COシフトに対して高活性を有する第1層(下層)の上に、排ガス中の酸素濃度を低減する作を有する第2層(上層)を配置することによりCOシフト性能が大幅に向上するのである。
【0024】
前記第1層におけるCOシフト触媒成分としては、白金、ロジウムおよびパラジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属が、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持されてなるものである。
【0025】
また、前記第2層における酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒成分としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物と、白金および/またはパラジウムとロジウムとが耐火性無機酸化物に担持されたものである。
【0026】
すなわち、第1層は貴金属、特に活性の高い白金を、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持させることにより非常に高いCOシフト性能が得られるのである。一方、第2層は、酸素濃度を低減することが目的であるので、一般的に使用されている三元触媒や酸化触媒を転用することができる。ただし、酸素濃度を低減するために酸化される反応物は一酸化炭素である(水素ではない)ことが好ましいので、貴金属の中でも白金が主成分になるものと思われる。
【0027】
白金、ロジウム、パラジウム等の貴金属の原料は、特に限定されるものではないが、例えば酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩等が、通常水溶液として用いられる。例えば、白金の出発原料としては、塩化白金、硝酸白金水溶液、シニトロジアンミン白金(II)硫酸水溶液等があり、ロジウムの出発原料としては、硝酸ロジウム水溶液等があり、またパラジウムの出発原料としては、硝酸パラジウム等がある。しかして、該貴金属の量は、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に対して0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜3.0質量%である。すなわち、該貴金属含量が0.1質量%未満では、活性点が少ないため十分な性能が得られないためであり、一方、5.0質量%を越えると、性能の向上はみられず、コスト増になるためである。
【0028】
該COシフト触媒には、さらにロジウムが含浸担持またはロジウムを担持した耐火性無機酸化物を混合してもよい。すなわち、ロジウムを添加することにより、NOxによるCOシフト反応の阻害が低減されると考えられるためである。該ロジウムの添加方法は、第1層に含浸、担持したり、あるいは予めロジウムを含浸、担持してある触媒層を物理的に混合してもよい。
【0029】
すなわち、第1層により得られるCOシフト性能は、経時的に性能が低下する。その原因は明らかではないが、COシフト性能の低下とNOx浄化率の低下との間に関連性がみられることから、NOxである可能性が考えられる。このことから、NOxがCOシフト反応の活性点を覆っているものと考えられる。酸化セリウムは、弱塩基性を有するため、リーン時に吸着されたNOxがリッチスパイクにより離脱するものの、完全に浄化されない場合、再度酸化セリウムに吸着される。そこで、離脱したNOxを浄化するためにロジウムを添加することが望ましい。
【0030】
本発明における前記酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物において、酸化セリウムと酸化アルミニウムとは、複合化せずに、各々単独の酸化物として存在することが望ましい。すなわち、酸化セリウムと酸化アルミニウムとが複合化していると、ストレージ酸素量が増加するため、リッチスパイク時間内にCOシフト反応の占める時間が少なくなるからである。
【0031】
前記一酸化炭素シフト触媒成分としては、白金、ロジウムおよびパラジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属が、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持されてなるものである。
【0032】
これらの酸化セリウム(CeO2)と酸化アルミニウム(Al2O3)の該混合物中の酸化アルミニウム含量は10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%である。すなわち、酸化アルミニウム含量が10質量%未満あるいは50質量%を越えると、図1に示すように、シフト性能(例えば300℃焼成)が低下しかつ物性(900℃焼成)、例えば貴金属(例えば白金)の結晶子径が低下するからである。なお、図1において白金の結晶子径は、シエラーの式を用いて算出した。
【0033】
貴金属成分としては、前記のように原料は特に限定されるものではないが、例えば、酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩等が、通常水溶液として用いられる。例えば白金およびロジウムについては前記のごときものがあり、またパラジウムとしては、例えば硝酸パラジウム水溶液等がある。しかして、該貴金属の量は、酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に対して0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜3.0質量%である。すなわち、該貴金属含量が0.1質量%未満では、活性点が少ないため十分な性能が得られないためであり、一方、5.0質量%を越えると、性能の向上はみられず、コスト増になるためである。
【0034】
該酸化セリウムは、ジルコニウムおよび/またはプラセオジウムを含有していてもよく、その量は酸化セリウムに対して酸化物換算で0〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは4〜6質量%である。
【0035】
これらの触媒成分は、耐火性無機担体上に担持される。そして、該酸化セリウムの担持量は、該耐火性無機担体1リットル当り100〜500g、好ましくは350〜450gである。すなわち、100g未満では酸化セリウム量が少なく十分な性能が得られないためであり、一方、500gを越えると、ガス通過量が少なくなるため十分な性能が得られないためである。
【0036】
本発明で使用される耐火性無機担体としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、特にコージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、アルミニウムチタネート、ベタライト、スポンジュメン、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート等を材料とするモノリス担体(ハニカム担体)が好ましく、なかでもコージェライト質のものが特に好ましい。そのほか、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金等のごとき酸化抵抗性の耐熱性金属を用いて一体構造としたものも使用される。
【0037】
前述したように、酸化セリウム系触媒では、リッチスパイクを入れると、COと水素の酸化反応、COシフト反応の順に反応が進行する。ここで、酸化反応量が多いと、リッチスパイク時間内に進行する反応がほとんど酸化反応になってしまい、COシフト反応が進行しなくなる。リッチスパイク時間内COシフト反応を進行させるためには、酸化反応量を少なくする必要がある。この酸化反応量は酸化セリウムのストレージ酸素量に依存すると考えられる。酸化セリウムと固溶しやすいジルコニウムやプラセオジウムは、酸化セリウムのストレージ酸素量を増加させることが知られている。したがって、酸化アルミニウムと酸化セリウムが固溶していない(図2)方がストレージ酸素量が増加しない結果、酸化反応量も増加せず、COシフト反応を有効に利用できる。
【0038】
なお、同図におけるXRDの測定条件およびサンプル前処理条件は、つぎのとおりであった。
【0039】
<XRD測定条件>
装置名 マック・サイエンス製 X線回折装置(MXP18VAHF型)
線源 Cu
測定法 通常法
測定範囲 5〜90deg.
サンプリング間隔 0.020deg.
スキャン速度 4.000deg./min
発散スリット(DS) 1.00deg.
散乱スリット(SS) 1.00deg.
受光スリット(RS) 0.30deg.
管電圧 40.0kV
管電流 300.0mA
<サンプル前処理条件>
焼成温度 900℃
焼成時間 1.0Hr.
焼成雰囲気 Air
以上から、つぎのことが判る。
【0040】
900℃×2時間焼成後のCeAlのXRD測定からはCeO2の回折角度がシフトしない(Ce/Al=0.3〜2.7)
900℃×2時間焼成後もXRD測定からはAl2O3のピークが全くみられない(検出限界以下)
また、本発明による触媒におけるCOシフト触媒に含まれる酸化セリウム(CeO2)と酸化アルミニウム(Al2O3)の該混合物中の酸化アルミニウム含量は10〜50質量%、好ましくは20〜40質量%である。すなわち、酸化アルミニウム含量が50質量%を越えると、酸化セリウム量が不足することになるので、充分なCOシフト性能が得られ難く、一方、酸化アルミニウム含量が10質量%未満では、酸化セリウム自体の性質が強くなり、酸化アルミニウムによるCOシフト性能の向上が不充分である。
【0041】
すなわち、酸化セリウムに酸化アルミニウムを添加することによりCOシフト性能は向上する。しかしながら、酸化アルミニウムの添加量が30質量%を超えると低下する傾向が見られた(図2)。この原因は明らかではないが、酸化アルミニウムの添加量が30質量%の時、白金へのCO被毒が最も低減されていると考えられる。反応温度にもよるが、通常COは白金との結合力が強いため、COシフト反応が進みにくくなる。これは白金の電子密度が高いためである。白金の電子密度は担持する基材の酸・塩基性質に影響され、塩基性が強いと基材から白金へ電子の供与が起こり、その結果、白金の電子密度が増加することになる。酸化セリウムは弱塩基性であるため、酸化セリウムから白金へ電子供与が起こる結果、白金の電子密度が増加する。しかし、酸化アルミニウムの添加量が30%の時、白金の結晶子径は最も大きかったことから(図2)、上述したような酸化セリウムから白金への電子供与の影響が小さくなり、白金表面での電子密度は高くならず、CO被毒が低減されたものと考えられる。
【0042】
これらの触媒成分は、耐火性無機担体上に担持されることが好ましい。そして、該酸化セリウムの担持量は、該耐火性無機担体1リットル当り100〜500g、好ましくは350〜450gである。すなわち、100g未満では酸化セリウム量が少なく十分な性能が得られないためであり、一方、500gを越えると、ガス通過量が少なくなるため十分な性能が得られないためである。
【0043】
本発明で使用される耐火性無機担体としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、特にコージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、アルミニウムチタネート、ベタライト、スポンジュメン、アルミノシリケート、マグネシウムシリケート等を材料とするモノリス担体(ハニカム担体)が好ましく、なかでもコージェライト質のものが特に好ましい。そのほか、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金等のごとき酸化抵抗性の耐熱性金属を用いて一体構造としたものも使用される。
【0044】
本発明による触媒におけるCOシフト触媒中の酸化セリウムの担持量は、該耐火性無機担体1リットル当り100〜500g、好ましくは350〜450gである。
【0045】
すなわち、この範囲を外れると、耐久後において充分な性能が得られ難いからである。すなわち、酸化セリウムの被覆量が100g/リットル未満では、耐久後において十分なCOシフト性能を得ることが困難である。一方、酸化セリウムのコート量が500g/リットルを越えると、同スラリーに含まれる酸化アルミニウムや耐火性無機担体との結合剤であるベーマイトも含めると、低セルでは被覆厚が厚くなるために触媒との接触効率が低下したり、高セルでは目詰まりなどが発生することがあるなどの問題が発生する。
【0046】
第2層である酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒成分としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物と、白金および/または白金とロジウムとが耐火性無機酸化物に担持されたものである。
【0047】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等があり、1種または2種以上が使用され、好ましくはバリウム、マグネシウム等である。これらの金属は、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩等の水溶液として使用される。
【0048】
白金およびロジウムの原料は、特に限定されるものではなく、例えば前述のとおりである。
【0049】
なお、第2層である酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層に用いられるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属としては、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等があり、好ましくはバリウム、マグネシウム等である。これらの金属は、水溶性化合物の形で、水溶液として用いられる。すなわち、酸素濃度低減機能を有する第2層の触媒がリッチスパイク時に炭化水素などで活性点が被毒されないようにアルカリ金属、アルカリ土類金属を添加する。第2層は酸素濃度を低減すればよく、これまで使用されている三元触媒や酸化触媒を適用することができる。これらの触媒では、リッチスパイク時にエンジンから発生する炭化水素によって貴金属が被毒される問題があった。これに対応するためにアルカリ金属やアルカリ土類金属を添加することで電子供与効果を利用して貴金属の電子密度を増加させ、炭化水素被毒を低減することが行なわれている。
【0050】
これらのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属は、白金または白金および/またはパラジウムとロジウムとが耐火性無機酸化物に担持されて使用される。該耐火性無機酸化物は、前記のとおりである。
【0051】
本発明による触媒は、種々の方法で製造することができるが、一例を挙げると、例えばつぎの方法で製造される。
【0052】
まず、酸化セリウム(例えばCeO2)と酸化アルミニウム(例えばAl2O3)との混合粉末に、貴金属化合物の水溶液を混合撹拌したのち乾燥し、酸化性雰囲気中400℃で焼成することにより酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物上に貴金属を担持させる。ついで、必要により耐火性無機粉末、例えばアルミナ粉末に前記担持混合物と、アルミナゾル等の耐火性無機酸化物ゾルとを加えて混合粉砕してスラリーを製造する。このスラリーを耐火性無機担体、例えばモノリス担体の排ガス接触面に被覆したのち乾燥し、さらに酸化性雰囲気中で400℃で1時間焼成することにより一酸化炭素シフト触媒層を形成させる。
【0053】
一方、ロジウム化合物の水溶液を耐火性無機酸化物粉末、例えば活性アルミナ粉末に含浸させ、酸化性雰囲気中で400℃で1時間焼成し、ロジウム担持耐火性無機酸化物粉末を得る。この粉末を、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の水溶液に投入し、さらに耐火性無機酸化物ゾル、例えばアルミナゾルを加え、混合粉砕してスラリーを得る。このスラリーを前記担持触媒の一酸化炭素シフト触媒層の上に被覆して酸化性雰囲気中で400℃で1時間焼成することにより酸化触媒層を形成させる。
【0054】
さらに、必要によりロジウムの場合と同様にパラジウムを前記ロジウム含有酸化触媒層の上に被覆することもできる。また、ロジウムとパラジウムとは混合して担持させてもよい。また、ロジウムおよび/またはパラジウムの代りに、同様な方法で白金を担持させてもよい。
【0055】
【実施例】
つぎに、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)触媒の調製
実施例1
ジニトロジアンミン白金の硝酸水溶液にCeO2−Al2O3混合物(Al2O3は30質量%、第一稀元素化学工業株式会社製)を投入して1〜2時間攪拌した。攪拌終了後、150℃で一昼夜乾燥し、さらに空気中で400℃で1時間焼成することによりPt/CeO2−Al2O3を得た。このときの白金の担持濃度は2質量%であった。このようにして得られた粉末2kgに対してアルミナ粉末200gとアルミナゾル220gとを加え、磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。このようにして得られたスラリーをコージエライト質モノリス担体0.119リットル体積および断面積1平方インチ当り400セルかつ6ミルの膜厚)の排ガス接触面に被覆し、空気気流により余剰のスラリーを除し、乾燥後、空気中で400℃で30分間焼成して一酸化炭素シフト触媒層を形成した。被覆量は、400g/リットルであった。
【0056】
つぎに、硝酸ロジウム水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後、空気中で400℃で1時間焼成してRh/Al2O3の粉末を得た。この粉末のロジウム濃度は、1.5質量%であった。この粉末を、バリウムが溶解している水溶液に投入してバリウム含浸を行なった。バリウムの濃度は、5質量%とした。この粉末1kgに対して、アルミナゾル200gを磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。このスラリーを、さきに被覆したモノリス担体上に、さらに100g/リットル被覆とした。これを乾燥したのち、空気中で400℃で30分間焼成した。
【0057】
硝酸パラジウム水溶液を活性アルミナ粉末に含浸し、乾燥後、空気中で400℃で1時間焼成してPd/Al2O3の粉末を得た。この粉末のパラジウム濃度は、5.5質量%であった。この粉末を、バリウムが溶解している水溶液が溶解している水溶液に投入してバリウム含浸を行なった。バリウムの濃度は5質量%とした。この粉末1kgに対して、アルミナゾル200gを磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。このスラリーを、さきに被覆したモノリス担体上に、さらに100g/リットル被覆とした。これを乾燥したのち、空気中で400℃で30分間焼成して一酸化炭素シフト触媒を得た。
【0058】
実施例2
実施例1で得られたCOシフト触媒を、硝酸ロジウム水溶液に一昼夜含浸させることにより、ロジウムを担持させた。そのロジウム担持濃度は白金の1/20(質量比)とした。ついで、Rh/Al2O3およびPd/Al2O3の順に被覆した。
【0059】
実施例3
ジニトロジアンミン白金の硝酸水溶液にCeO2−Al2O3混合物(Al2O3は30質量%、第一稀元素化学工業株式会社製)を投入して1〜2時間攪拌した。攪拌終了後、150℃で一昼夜乾燥し、さらに空気中で400℃で1時間焼成することによりPt/CeO2−Al2O3を得た。このときの白金の担持濃度は2質量%であった。このようにして得られた粉末2kgに対してアルミナ粉末200gとアルミナゾル220gとを加え、磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。
【0060】
ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液に酸化ジルコニウム含有酸化アルミニウムを投入して1〜2時間攪拌した。攪拌終了後、150℃で一昼夜乾燥し、さらに空気中で400℃で1時間焼成することによりRh/ZrO2−Al2O3を得た。
【0061】
Pt/CeO2−Al2O31.9kgおよびRh/ZrO2−Al2O3125gに対してアルミナゾル40gを磁製ボールミルに投入し、混合、粉砕してスラリーを得た。このスラリーをコージエライト質モノリス担体(0.119リットル体積および断面積1平方インチ当り400セルかつ6ミルの膜厚)の排ガス接触面に被覆し、空気気流により余剰のスラリーを除去し、乾燥後、空気中で400℃で30分間焼成した。被覆量は、420g/リットルとした。その後、Rh/Al2O3およびPd/Al2O3の順に被覆した。
【0062】
実施例4
実施例1において使用したCeO2−Al2O3中のAl2O3量を10質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0063】
実施例5
実施例1において使用したCeO2−Al2O3中のAl2O3量を50質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0064】
実施例6
触媒成分全体の被覆量を150g/リットルとした以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0065】
実施例7
Rh/Al2O3およびPd/Al2O3に含浸する金属としてバリウムの代りにマグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0066】
比較例1
Rh/Al2O3およびPd/Al2O3をCOシフト触媒の上層に被覆しないこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調製した。
【0067】
比較例2
Rh/Al2O3およびPd/Al2O3をCOシフト触媒の上層に被覆しないこと以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調製した。
【0068】
比較例3
Rh/Al2O3およびPd/Al2O3をCOシフト触媒の上層に被覆しないこと以外は、実施例3と同様の方法で触媒を調製した。
【0069】
実施例8
実施例1〜7および比較例1〜3で得られた触媒の、COシフト性能を評価した。
【0070】
市販の電子制御方式のエンジンを使用し、各触媒を充填したマルチコンバータをエンジンの排気系に設置し、CO転化率およびCO酸化量を評価した。これらの条件は、下記のとおりであった。なお、その結果を表1に示す。
【0071】
【0072】
【0073】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による触媒における各種Al2O3添加CeO2のXRDチャートである。
【図2】本発明による触媒におけるCeO2とAl2O3との合計量に対するAl2O3の割合とCOシフト性能と結晶格子径との関係を示すグラフである。
Claims (8)
- 酸素濃度の低減可能な酸化性能を有する触媒層を、一酸化炭素シフト触媒層の上層として積層することにより一酸化炭素濃度を低減して水素を生成することを特徴とするCO除去触媒。
- 該一酸化炭素シフト触媒は白金、ロジウムおよびパラジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属が酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物に担持された層であり、また該酸化性能を有する触媒はアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物と白金および/またはパラジウムとロジウムが耐火性無機酸化物に担持されたものである請求項1に記載の触媒。
- 該一酸化炭素シフト触媒へさらにロジウムが含浸担持またはロジウムを担持した耐火性無機酸化物が混合されてなる請求項1または2に記載の触媒。
- 該一酸化炭素シフト触媒を構成する層は、酸化セリウムと酸化アルミニウムとが複合化されずに各々単独の酸化物として存在してなる請求項1〜3のいずれか一つに記載の触媒。
- 該一酸化炭素シフト触媒に含まれる酸化セリウムと酸化アルミニウムとの混合物中の酸化アルミニウム含量が10〜50質量%である請求項1〜4のいずれか一つに記載の触媒。
- 請求項1〜5のいずれか一つに記載の触媒が耐火性無機担体に担持されてなる触媒。
- 該一酸化炭素シフト触媒中の酸化セリウムの担持量が該耐火性無機担体1リットル当り100〜500gである請求項1〜6のいずれか一つに記載の触媒。
- 該酸化触媒層中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物がナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物である請求項1〜7のいずれか一つに記載の触媒。
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- 2003-06-13 JP JP2003170101A patent/JP2005000884A/ja not_active Withdrawn
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