JP5129760B2 - 担体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生理活性物質を固定するのに好適な担体およびその製造方法、さらにはその担体を備えたバイオセンサー用チップおよびバイオリアクター用チップに関するものである。
現在、臨床検査等で免疫反応など分子間相互作用を利用した測定が数多く行われているが、中でも煩雑な操作や標識物質を必要とせず、測定物質の結合量変化を高感度に検出することのできるいくつかの技術が使用されている。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術が挙げられる。これらの技術においては、いずれの場合も、生理活性物質を固定化する表面が重要である。
一般に生理活性物質を測定するために使用される測定チップは、透明基板(例えば、ガラス)上に、蒸着された金属膜、タンパク質等の生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜を順に有し、官能基を介して金属表面に生理活性物質が固定化されている。そして、生理活性物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定することによって、生体分子間の相互作用を分析する。従って、測定チップにおいては生理活性物質と検体物質間の特異的結合の向上が望まれる。
測定チップの生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜としては、外からの細かい制御を加えていない状態で、膜材料そのものがもつ機構によって形成される一定の秩序化された組織をもった自己組織化膜(SAMs)が一例として挙げられる。例えば、非特許文献1には、多価キレートのチオール残基を持つ試薬によりSAMsを形成する技術が記載されている。また、非特許文献2には、末端がカルボン酸のSAMsを作製した後、水中でのNTA修飾により2次元NTA膜を作製する技術が記載されている。
Chem.Eur.J.2005,11, 5249-5259 京基樹 他1名 「ヒスチジンタグタンパク質アレイの作製とラベルフリー相互作用観察」東洋紡績(株)ライフサイエンス事業部情報誌、2004年10月、No.77 p15-16 インターネット<URL: http://www.toyobo.co.jp/seihin/xr/lifescience/tech/upload/upld77/technical/hisutijin77tr04.pdf>
しかし、非特許文献1に記載されているSAMは、bis-NTA(bis-Nitrilotriacetic acid )単独のSAMあるいは、これとOH基を末端にもつ試薬との混合SAMであるため、形成されたSAMsの末端が嵩高く、SAMsが金属膜上に整然とした状態でパッキングされず、金属膜上にSAMの隙間や欠損が生じやすいため、金属膜上の非特異吸着を抑制することができないという問題がある。また、生理活性物質と検体物質間の特異的な結合の向上のためには、生理活性物質を多点で把持することが有効であるが、非特許文献1に記載されているSAM末端のNTAは嵩高い官能基であるため、リジットでフレキシブルに動くことができないので、生理活性物質に対し多点で金属が配位結合しにくく、生理活性物質を多点で安定に固定することができないという問題がある。一方、非特許文献2に記載されているような通常の修飾方法では、多点結合を誘起するだけの密度でNTAを結合することはできない。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、非特異性吸着を抑制しながら生理活性物質を安定に固定化することが可能な担体およびこの担体の製造方法、並びにこの担体を備えたバイオセンサー用チップおよびバイオリアクター用チップを提供することを目的とするものである。
本発明の担体は、基板と、該基板表面上に結合された自己集合性分子からなる自己組織化膜と、該自己組織化膜に結合されたリガンドとを備えた担体であって、前記リガンドが0.4個/nm2以上4個/nm2以下の密度で前記自己組織化膜に結合していることを特徴とするものである。
前記リガンドはニトリロトリ酢酸誘導体であることが好ましい。
前記リガンドには金属イオンが固定されていることが好ましい。
前記金属イオンには生理活性物質が固定されていることが好ましい。
前記金属イオンは遷移金属イオンであることが好ましく、Cu(II)イオンであることがより好ましい。
前記生理活性物質は前記遷移金属イオンに配位結合する官能基を有し、該官能基によって前記生理活性物質が前記遷移金属イオンに固定されていることが好ましい。
前記官能基はイミダゾール基であることが好ましい。
本発明の担体の製造方法は、前記基板に前記自己集合性分子からなる自己組織化膜を結合し、該自己組織化膜に前記リガンドを結合させて、リガンドが0.4個/nm2以上4個/nm2以下の密度で前記自己組織化膜に結合している担体の製造方法において、前記自己組織化膜に前記リガンドを結合する工程を有機溶剤中で行うことを特徴とするものである。
前記有機溶剤は非プロトン系極性溶媒であることが好ましく、ジメチルスルホキサイドまたはN,N−ジメチルホルムアミドであることがより好ましい。
本発明の担体は、バイオセンサー用チップあるいはバイオリアクター用チップに好適に用いられる。
本発明の担体は、基板と、この基板表面上に結合された自己集合性分子からなる自己組織化膜と、この自己組織化膜に結合されたリガンドとを備えた担体であって、リガンドが0.4個/nm2以上4個/nm2以下の密度で自己組織化膜に結合しているので、リガンドによって生理活性物質を多点で把持することが可能であるため、生理活性物質を安定に固定化することができる。また、本発明の担体は基板表面上に自己集合性分子からなる自己組織化膜を有しているので、自己組織化膜が金属膜上に整然とした状態でパッキングされ、金属膜上に隙間や欠損が生じないので、非特異吸着を抑制することが可能である。
本発明の担体の製造方法は、基板に自己集合性分子からなる自己組織化膜を結合し、この自己組織化膜にリガンドを結合させる担体の製造方法において、自己組織化膜にリガンドを結合する工程を有機溶剤中で行うので、自己組織化膜にリガンドを0.4個/nm2以上4個/nm2以下の密度で結合させることが可能である。従って、リガンドによって生理活性物質を多点で把持することができ、生理活性物質を安定に固定化することが可能な担体を製造することができる。
本発明の一実施の形態である担体の構成を示す概略模式図である。 本発明の一実施の形態を示す担体を製造する工程を示す模式図である。 本発明の一実施の形態を示す担体を製造する工程を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の担体について説明する。図1は、本発明の一実施の形態である担体の構成を示す概略模式図である。なお、図1では結合状態をわかりやすくするため、一部を拡大し、リガンドとしてニトリロトリ酢酸(NTA)、金属イオンとしてCu(II)イオン、生理活性物質として官能基にイミダゾール基を有するタンパク(図中Pで表示)を例にとり、2つのNTAがイミダゾール基を解してタンパクと結合している状態を示している。
図1に示す担体は、表面に金属膜が設けられた基板と、この基板表面上に配置された自己集合性分子からなる自己組織化膜(SAMs)と、この自己組織化膜上にリガンドとしてNTAと、このNTAに配位結合したCu(II)イオンと、Cu(II)イオンに固定化された官能基としてイミダゾール基を有するタンパクPとを備えてなり、リガンドが0.4個/nm2以上4個/nm2以下の密度で自己組織化膜に結合している。リガンドとイミダゾール基を有するタンパクPとは、複数のCu(II)イオンと結合することが可能であるため、タンパクPを安定に固定化することができる。
また、基板表面上の自己組織化膜(SAMs)は、外からの細かい制御を加えていない状態で、膜材料そのものがもつ機構によって形成される一定の秩序をもつ組織をもった自己集合性分子から形成されており、この自己集合性分子は末端に嵩高い基を有していないため、金属膜上に整然とした状態でパッキングされ、金属膜上に隙間や欠損が生じないので、金属膜上における非特異吸着を抑制することが可能である。
以下、本発明の担体の各構成およびその構成の形成方法(活性化)について説明し、次に、本発明の担体を製造する工程を図面を用いて説明し、最後にバイオリアクターやバイオセンサーに適用する場合について説明する。
(1)基板
本発明の担体における基板は、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
基板上には金属膜が配置される。ここで、基板上に配置されるとは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にはクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であることが好ましく、特に1nm以上200nm以下であることが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であることが好ましい。
またバイオリアクター用を考えた場合、基板は、ガラス、金属酸化物、あるいは合成樹脂、具体的にはセファロース、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリメチル(メタ)クリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどを用いることができる。このような基板は好ましくは、バイオリアクターを使用する条件で安定性の高い材料が望ましい。
金属膜は必ずしも必要とはならないが、必要な場合には上記バイオセンサーと同様の金属を用いることができ、0.1nm以上1μm以下であることが好ましく、特には1nm以上100nm以下が好ましい。また、上記バイオセンサーと同様にクロム等からなる介在層を設けてもよく、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であることが好ましい。
(2)自己組織化膜
自己組織化膜(SAMs)とは、外からの細かい制御を加えていない状態で、膜材料そのものがもつ機構によって形成される一定の秩序をもつ組織をもった単分子膜やLB膜などの超薄膜を意味し、自己集合性分子からなる。この自己集合性分子は末端に嵩高い基を有さず、自己組織化膜を形成した場合に、金属膜上にSAMの隙間や欠損が生じにくく、整然とした状態でパッキングされるものであり、より詳細には、一方の末端に水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、メチル基、アミノ基からなる群より選ばれる官能基を有し、他方の末端に−SH(チオール)、−SS(スルフィド)、−SeH(セレノール)、−SeSe(ジセレニド)、−COSH(チオ酸)からなる群から選ばれる官能基を有する化合物によって構成される。そして自己集合性分子の自己組織化により、非平衡な状況で長距離にわたって秩序がある構造やパターンが形成される。
自己組織化膜(SAMs)を用いた金属膜の被覆法は、ハーバード大のWhitesides教授らにより精力的に展開されており、その詳細は例えばChemical Review, 105, 1103-1169 (2005)に報告されている。金属として金を用いた場合、有機層形成化合物として一般式A-1(一般式A-1において、nは3から20の整数を示し、Xは官能基を示す)に示すアルカンチオール誘導体を用いることにより、Au-S結合とアルキル鎖同士のvan der Waals力に基づき、配向性を持つ単分子膜が自己組織的に形成される。自己組織化膜は、アルカンチオール誘導体の溶液中に金基板を浸漬するという極めて簡便な手法で作製される。一般式A-1においてX=NH2である化合物を用いて自己組織化膜を形成させることで、アミノ基を有する有機層で金表面を被覆することが可能となる。
Figure 0005129760
末端にアミノ基を有するアルカンチオールは、アルキル鎖を介してチオール基とアミノ基が連結している化合物(一般式A-2)(一般式A-2において、nは3から20の整数を示す)でもよく、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオール(一般式A-3、A-4)(一般式A-3においてnは3から20の整数を示し、一般式A-4においてnはそれぞれ独立に1から20の整数を示す)と大過剰のヒドラジドまたはジアミンを反応させた化合物でもよい。末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールと大過剰のヒドラジドまたはジアミンとの反応は、溶液状態で行ってもよく、また、末端にカルボキシル基を有するアルカンチオールを基板表面に結合した後、大過剰のヒドラジドまたはジアミンを反応させてもよい。
Figure 0005129760
A-2〜A-4のアルキル基の繰返し数は、3以上20以下が好ましく、さらに3以上16以下が好ましく、11以上16以下が最も好ましい。アルキル鎖が短いと自己組織化膜を形成しにくく、アルキル鎖が長いと製造コストが高くなる。
本発明に用いるポリアミンとしては、任意の化合物を用いることが可能であるが、バイオセンサー表面またはバイオリアクター表面に用いる場合、水溶性ポリアミンが好ましい。水溶性ポリアミンとしては具体的に、エチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン酸等の芳香族ジアミンが挙げられる。バイオセンサー表面またはバイオリアクター表面の親水性を向上させるという観点から、2つのアミノ基をエチレングリコールユニットで連結した化合物を用いることも可能である。本発明に用いるジアミンとしては、好ましくはエチレンジアミンまたは一般式A-5(一般式A-5において、n及びmは、それぞれ独立に1から20の整数を示す)で表される化合物であり、より好ましくは、エチレンジアミンまたは1,2−ビス(アミノエトキシ)エタン(一般式A-5において、n=2,m=1)である。
Figure 0005129760
アミノ基を有するアルカンチオールは、単独で自己組織化膜を形成することも可能であり、また、他のアルカンチオールと混合して自己組織化膜を形成することも可能である。バイオセンサー表面に用いる場合、他のアルカンチオールとしては、生理活性物質の非特異吸着を抑制可能な化合物を用いることが好ましい。生理活性物質の非特異吸着を抑制可能な自己組織化膜に関しては、前述のWhitesides教授らにより詳細に検討されており、親水性基を有するアルカンチオールから形成された自己組織化膜が非特異吸着抑制に有効であることが報告されている(Langmuir,17,2841-2850, 5605-5620, 6336-6343 (2001))。
本発明において、アミノ基を有するアルカンチオールと混合単分子膜を形成するアルカンチオールは、上記論文に記載された化合物を好ましく用いることが可能である。非特異吸着抑制能に優れ、入手が容易であることから、アミノ基を有するアルカンチオールと混合単分子膜を形成するアルカンチオールとしては、水酸基を有するアルカンチオール(一般式A-6)あるいはエチレングルコールユニットを有するアルカンチオール(一般式A-7)(一般式A-6において、nは3から20の整数を示し、一般式A-7において、n及びmは、それぞれ独立に1から20の整数を示す)を用いることが好ましい。好ましくは、一般式A-6において、nは5以上であり、10以上であることがさらに好ましく、10〜30がさらに好ましく、最も好ましくは10〜16である。
Figure 0005129760
カルボキシル基を有するアルカンチオールを他のアルカンチオールと混合して自己組織化膜を形成する場合、A-2〜A-4のアルキル基の繰返し数は、4以上20以下が好ましく、さらに4以上16以下が好ましく、11以上16以下が最も好ましい。また、A-6,A-7のアルキル基の繰返し数は、3以上16以下が好ましく、さらに6以上16以下が好ましく、11以上16以下が最も好ましい。
本発明において、カルボキシル基を有するアルカンチオールと水酸基を有するアルカンチオールは、任意の割合で混合することが可能であるが、カルボキシル基を有するアルカンチオールの割合が少ない場合には後述する親水性ポリマーの結合量が低下し、水酸基を有するアルカンチオールの割合が少ない場合には非特異吸着抑制能が減少する。それゆえ、カルボキシル基を有するアルカンチオールと水酸基を有するアルカンチオールの混合比は、1/1〜1/1,000,000の範囲であることが好ましく、1〜1/1,000の範囲であることがより好ましく、1〜1/10の範囲であることがさらに好ましい。非特異吸着抑制能の観点から、カルボキシル基を有するアルカンチオールの分子長は、水酸基を有するアルカンチオールの分子長よりも長いことが好ましい。また、末端にアミノ基を有するアルカンチオールを基板表面に結合した後、大過剰のマレイン酸又はフマル酸を反応させてもよい。
本発明で用いるアルカンチオールは、Northwestern大学のGrzybowski教授らによる総説(Curr. Org. Chem., 8, 1763-1797(2004).)およびその引用文献に基づいて合成された化合物を用いても良く、また市販の化合物を用いてもよい。これらの化合物は、同仁化学(株)、Aldrich社、SensoPath Technologies社、Frontier Scientific Inc.社等から購入可能である。本発明においてアルカンチオールの酸化生成物であるジスルフィド化合物は、アルカンチオールと同様に用いることが可能である。
(3)リガンド
自己組織化膜にはリガンドが結合される。リガンドとなる化合物としては、各種キレート剤を用いることができ、ニトリロトリ酢酸(NTA)、イミノジ酢酸、フェナンスロリン、テルピリジン、ビピリジン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ポリピラゾリルホウ酸、1,4,7−トリアゾシクロノナン、ジメチルグリオキシム、ジフェニルグリオキシム等の多座配位子およびその誘導体を好ましくあげることができる。この中でも、ニトリロトリ酢酸又はその誘導体であることがさらに好ましい。ニトリロトリ酢酸は4座配位子であり、このリガンドが自己組織化膜の自己集合性分子の末端の官能基に結合することにより、分子レベルで近接した3つのカルボキシル基へと変換されることになる。
リガンドの結合は、例えば、自己組織化膜の自己集合性分子の末端の官能基がカルボキシル基の場合、カルボキシル基を活性化した後に、リガンドを反応させることによってリガンドをカルボキシル基に結合させることができる。カルボキシル基を活性化する方法としては、公知の手法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)とN-Hydroxysuccinimide(NHS)により活性化する方法、又はEDC単独により活性化する方法を好ましく用いることができる。
このリガンドの結合の際には有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤を用いることによってリガンドを0.4個/nm2以上4個/nm2以下の密度で前記自己組織化膜に結合することができる。リガンドの密度が0.4個/nm2よりも小さい場合には、近接したイミダゾール基を多点で把持することができず、一方、理論上、4個/nm2よりも大きい密度でリガンドを結合することは困難である。リガンド密度は好ましくは、0.4個/nm2以上4個/nm2以下、より好ましくは1個/nm2以上4個/nm2以下、さらに好ましくは1.2個/nm2以上2個/nm2以下である。
有機溶剤は非プロトン系極性溶媒であることが好ましく、ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、ジグライム等を好ましくあげることができ、リガンドの溶解性および副反応の抑制の観点からはジメチルスルホキサイドあるいはN、N−ジメチルホルムアミドを用いることがより好ましい。
このリガンド密度は以下のようにして求めることができる。実際に測定を行って求める場合は、基板上にリガンドを結合した後、金属イオンを付与し、基板上に固定された金属イオンの数をICP分析装置などで求め、この金属イオンの数とリガンドが結合している部分の基板の面積から、単位面積あたりのリガンドの数を求めることができる。計算によって求める場合は、リガンドの体積をCHEM3D(CambridgeSoft社製)などの計算ソフトを使用して求めることで、単位面積あたりのリガンドの数を求めることができる。リガンドの体積を計算ソフトで求めた場合、例えばNTAであれば0.25nm2程度と見積もられるので4個/nm2よりも高い密度では理論上リガンドを結合することは困難である。なお、リガンド密度は固定化した金属イオンの数を測定することによって求めることもできる。
このリガンドの結合の際には添加剤として塩基を用いることが好ましい。塩基を用いることにより、リガンドの結合率をより高めることができる。この塩基の例としては、DBU(1,8-diazabicyclo[5,4,0]undec-7-ene)、DBN(1,5-diazabicyclo[4,3,0]non-5-ene)、イミダゾール、メチルイミダゾール、ピリミジン、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、ピコリン、2,6-ルチジンキノリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルフェニルアミン、DABCO(1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等が好ましく挙げられ、用いる有機溶媒によって適宜選択することができる。
用いる塩基の量としては結合リガンド量に対して0.1モル%以上10000モル%以下が好ましく、より好ましくは100モル%以上1000モル%以下、さらには300モル%以上500モル%以下であることが好ましい。
(4)金属イオン
金属イオンは、不飽和金属錯体を形成する金属イオンであればよく、得られる金属錯体の安定性の観点からは遷移金属イオンが好ましく、具体的には、Cu(I)、Cu(II)、Ni(II)、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Ga(III)のいずれかのイオンであり、リガンドの種類に応じて適宜選択することができる。中でも好ましくは、Cu(II)、Ni(II)、Co(III)、Fe(III)であり、さらに好ましくは、Cu(II)イオンである。
金属イオンとリガンド密度の組み合わせとしては、金属イオンがCu(II)イオンの場合、リガンド密度は0.8個/nm2以上であることが好ましい。
(5)生理活性物質
生理活性物質は、例えば免疫タンパク質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫タンパク質、免疫グロブリン結合性タンパク質、糖結合性タンパク質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは配位子結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。これらの生理活性物質は、金属イオンへの配位結合により基板上に固定されるものであり、金属イオンに対して配位可能な官能基を有する、即ち、金属配位能を有するものであればよい。このような金属配位能は、強い配位力を持つ配位子を共有結合することによって容易に付与することができる。
官能基としては、含窒素複素環を有し、金属イオンと共に金属錯体を形成可能なものであればよい。含窒素複素環としては、窒素原子を含む3員環から7員環の単環及び縮合環構造のいずれであってもよく、環中の窒素原子は単数でも複数であってもよい。好ましくは、5員環から6員環のものを挙げることができる。
このような含窒素複素環を有する配位子として具体的には、イミダゾール、ピロール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾ−ル、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、アゼピン、アゾニン、キノリン、アクリジン、フェナンスリジン、インドール、イソインドール、カルバゾール、ベンズイミダゾール、1,8−ナフチリジン、プリン、プテリジン、ベンゾトリアゾール、キノキサリン、キナゾリン、ペリミジン、シンノリン、フタラジン、1,10−フェナンスロリン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、8−ヒドロキシキノリン、8−メルカプトキノリン、2,2’−ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、ジ(2−ピコリルアミン)、2,2’,2”−ターピリジン、ポルフィリン、フタロシアニン、およびそれらの誘導体が挙げられる。得られる金属錯体の安定性の観点から好ましくはイミダゾール、ピロール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、およびそれらの誘導体が好ましい。
とりわけ、官能基としては、アミノ酸自動合成装置を用いた導入、あるいは遺伝子操作による導入が容易であることから、イミダゾール基が好ましい。イミダゾール基を含むヒスチジン(His)を機能性部位として導入したいわゆるHis-tagは長い方が好ましく、イミダゾール基は6個〜100個程度であることがより好ましい。さらに好ましくは、10個から20個であり、最も好ましくは10個から14個である。イミダゾール基が少ないと多点で把持しにくく、多いとサイズが大きくなり、タンパク質の活性に影響を与える。なお、ヒスチジンは、His-His-His-Hisのように連続していてもよく、例えば、His-His-○−His-Hisのように間に別な構造を有していてもよい。
(6)生理活性物質の固定化
生理活性物質の固定化は、生理活性物質を含む溶液を塗布することによって行う。本発明において、「塗布」とは、浸漬する方法も含む。生理活性物質が含窒素複素環基を有する場合、生理活性物質の含窒素複素環が金属イオンに配位結合し、錯体を形成することによって固定化される。
基板に結合したリガンドに対して、金属イオンと、生理活性物質の含窒素複素環基と、を付与すると、金属イオンに、(1)リガンドと、(2)生理活性物質の含窒素複素環基と、(3)水分子または水酸化イオンと、が配位し、錯体を形成する。
例えば、リガンドとしてNTAを使用し、6配位可能な金属イオンを付与した場合、6配位部位中4つの配位部位を、(1)NTAが保有する3つのカルボキシル基と1つの窒素原子が占有し、残りの2つの配位部位は、(2)生理活性物質の含窒素複素環基と、(3)水分子または水酸化イオンなどが占有することにより、6配位の錯体を形成する。
リガンドとして、イミノジ酢酸を使用し、6配位可能な金属イオンを付与した場合は、6配位部位中3つの配位部位を、(1)イミノジ酢酸が保有する2つのカルボキシル基と1つの窒素原子が占有し、残りの3つの配位部位は、(2)生理活性物質の含窒素複素環基と、(3)水分子または水酸化イオンなどが占有することにより、6配位の錯体を形成する。
ここでは、金属イオンは、6配位可能な金属イオンを例に挙げて説明したが、配位数については7配位以上でもよく、5配位以下でもよい。また、錯体を形成するカルボキシル基は、1つのリガンドから供給されずともよく、複数のリガンドから供給され、錯体を形成してもよい。
(7)担体の製造
以下、本発明の一実施の形態を示す担体を製造する工程を図面を用いて説明する。図2は金属膜の形成から自己組織化膜にリガンドを結合するまでを示した模式図、図3はリガンドに金属イオンを固定し、これに生理活性物質を固定するまでを示した模式図である。なお、図3においてはリガンド、金属イオンおよび生理活性物質の結合および固定をより具体的に説明するために、リガンドを拡大するとともに、リガンドとしてNTA、金属イオンとしてCu(II)イオン、生理活性物質としてイミダゾール基を有するタンパク(図中Pで表示)を例にとって示している。
まず基板上に金属膜を形成する(図2(a))。金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。なお、上記で説明したように、基板と金属膜との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。次ぎに金属膜上にSAMsを形成する(図2(b))。SAMsの形成は、上述したようにアルカンチオール誘導体等の溶液中に金属膜が形成された基板を浸漬することにより行うことができる。
続いて、SAMsにリガンドを結合させる。リガンドの結合は、例えば、SAMが末端にカルボキシル基を有する場合には、このカルボキシル基を活性化した後に、リガンドとなる化合物を有機溶剤中で反応させることによって、リガンドをSAMに固定化することができる(図2(c))。
図2(c)に示すリガンドとしてNTAを例にとると、SAMのカルボキシル基1つは3つのカルボキシル基へと置換されることになる(図3(a))。ここにCu(II) イオンを加えてNTAのカルボキシル基と錯形成させる(図3(b))。ここでCu(II)イオンの配位座はNTAによっては完全には満たされない状態である。このNTA−Cu(II)にイミダゾール基を末端に有するタンパクを加えると、イミダゾール基がCu(II) イオンに配位する(図3(c))。なお、図3では結合状態を見やすくするためにイミダゾール基は4つしか記載していないが、上述したようにこのイミダゾール基は6〜100であることが好ましい。
Cu(II) イオンにイミダゾール基を末端に有するタンパクを固定後、バッファやイミダゾール溶液等で洗浄することが好ましい。担体上のCu(II) イオンと結合していないタンパクやその他の夾雑物を除去することによって、イミダゾール基を末端に有する生理活性物質の精製を行うことができる。なお、金属イオンとしてCu(II) イオンを使用した場合は、イミダゾール基を末端に有する生理活性物質とCu(II)イオンでは保持力が高いため、イミダゾール溶液を多量に流してもイミダゾール基を末端に有する生理活性物質が流出せず、精度の高い精製を行うことができる。
(8)本発明の担体の適用
本発明の担体は、バイオセンサーやバイオリアクター(例えばバイオリアクター技術、1988年、(株)シーエムシー、バイオチップとバイオセンサー、2006年、共立出版(株))に適用することができる。バイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味し、バイオリアクターとは、酵素、菌体、細胞、オルガネラなどの生体触媒による生化学的反応を利用して、有用物質の生産、エネルギーの発生、環境汚染物質の分解などに応用する反応器である。以下、それぞれについての適用について説明する。
(8−1)バイオセンサーへの適用
通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサーは、センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材からなるが、本発明の担体は生理活性物質を固定する部分を含む部材として用いることができる。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6-167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものであるが、本発明の担体はこのような漏洩モード測定装置にも用いることができる。
また、本発明の担体は、例えば基板表面に、回折格子と場合によっては付加層とを有している導波路構造を保持した、屈折率変化を導波路を用いて検出するバイオセンサーのチップとしても用いることができる。この方式のバイオセンサーの構成については、例えば特公平6-27703号公報4頁48行目から14頁15行目および第1図から第8図、米国特許第 6,829,073号のcolumn6の31行目からcolumn7の47行目および第9図A,Bに記載されている。また、別の実施形態として、回折格子導波路のアレイがマイクロプレートのウェル内に組み込まれる形態も可能である(特表2007-501432号)。すなわち回折格子導波路がマイクロプレートのウェル底面にアレイ状に配列されていれば、スループットの高い薬物または化学物質のスクリーニングを可能にすることができる。
(8−2)バイオリアクターへの適用
酵素を固定化した不溶性担体を用いて有用物質の生成、反応等を行うことが可能なバイオリアクター(例えば実公平4-18398号、実公平4-18399号等)においては、上記不溶性担体として、本発明の担体を適用することができる。
以下に本発明の担体についての実施例を示す。
(実施例1)
(SAMsの作製)
センサーチップ上に金膜のみが形成されているBiacore社センサーチップAuを12分間、UVオゾン処理を行った後、10mlのエタノールに50μmol の16-mercaptohexadecanoic acid(Aldrich製)を溶解させた溶液と金膜を40℃で20時間反応させて、金膜上にカルボキシル基を形成し、エタノールで1回、超純水で1回洗浄した。
(NTAの結合)
1mmolのEDCと0.2mmolのNHSをDMSO1mlに添加した溶液を50μl加え、30分間室温で反応させた。溶液を除去、DMSOで1回洗浄後、0.1mmolのAB-NTA(同仁化学製)をDMSO1mlに添加した液を2時間反応させた。溶液を除去、超純水で1回洗浄し、共鳴プラズモン測定用チップを作製した。
(タンパク質の固定)
作製した共鳴プラズモン測定用チップをBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、SPR用HEPES緩衝液(20mM HEPES-HCl, 150mM NaCl, pH7.2)を10μl/minの流速で安定させ1mmol/lのCuSO4水溶液を10μl添加した後に、HBS-Nバッファーで10分間洗浄し、その後に1μmol/lのHis10-Ubiquitin (R&D systems社製、ヒスチジンユニットが10個連なったものが結合しているユビキチン)水溶液を10μl添加し、添加終了1分後の屈折率と1時間後の屈折率からタンパク残存率を測定した。
(非特異吸着の測定)
作製した共鳴プラズモン測定用チップをBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、SPR用HEPES緩衝液(20mM HEPES-HCl, 150mM NaCl, pH7.2)を10μl/minの流速で安定させ、その後に2 μmol/lのHis6- Ubiquitin(Novus biologicals社製、ヒスチジンユニットが6個連なったものが結合しているユビキチン)水溶液を30μl添加し、10mM NaOH水溶液を10μlで洗浄し、His6-ubiquitinの非特異吸着量を測定した。
(実施例2)
実施例1の(NTAの結合)において、0.1mmolのAB-NTA(同仁化学製)をDMSO1mlに添加した液を用いるかわりに、0.1mmolのAB-NTA(同仁化学製)とDBU(東京化成製)0.06mlとDMSO 0.94mlを用いた以外は実施例1と同様にしてタンパク残存率と非特異吸着量を測定した。
(実施例3)
実施例2の(タンパク質の固定)において、1mmol/lのCuSO4水溶液を用いるかわりに10mmol/l NiCl2水溶液を用いた以外は実施例2と同様にしてタンパク残存率と非特異吸着量を測定した。
(比較例1)
センサーチップ上に金膜のみが形成されているBiacore社センサーチップAuを12分間、UVオゾン処理を行った後、10mlの純水に50μmol のDithiobis(同仁化学社製、NTA末端を有するSAM試薬)を溶解させた溶液と金膜を40℃で20時間反応させて、エタノールで1回、超純水で1回洗浄し、金膜上にNTA結合基板を作製した。(タンパク質の固定)と(非特異吸着量の測定)については実施例1と同様にし、タンパク残存率と非特異吸着量を測定した。
(比較例2)
実施例1の(NTAの結合)において、0.1mmolのAB-NTAをDMSO 1mlに溶かす代わりにNaOH水溶液1mlにとかした液を用いた以外は実施例1と同様にしてタンパク残存率と非特異吸着量を測定した。
(リガンド密度)
実施例1〜3、比較例1および2において、NTAを結合した後に、0.1MのNiCl2水溶液を添加し、10分後に溶液を除去し、超純水で2回洗浄した。50mMのEDTA水溶液5mlで2度抽出を行った。この抽出液を合わせてICP分析装置で測定してNiの数を検出し、このNiの数と被覆面積(50mm2)からリガンド数を換算し、リガンド密度を求めた。
(非特異吸着防止層密度)
実施例1〜3、比較例1および2において、未修飾金基盤の屈折率をBiacore3000により測定し、SAMs(非特異吸着防止層)を作製した後に、再度屈折率を測定した。その屈折率差(比較例1はNTA結合基板作製時と同等)と、非特異吸着分子(実施例1〜3および比較例2は16-mercaptohexadecanoic acid、比較例1はDithiobis)の分子量から非特異吸着防止層の密度を算出した。
結果を表1に示す。表1の非特異吸着量は比較例2の値を1としたときの相対値で示している。なお、表1のタンパク残存率はSPRにより添加後1分後の屈折率と1時間バッファーを流した後の屈折率から、(添加1分後の固定量/1時間後の固定量)により算出した。
Figure 0005129760
表1から明らかなように実施例1〜3のリガンドが高密度のものでは、タンパク保持能が大きく、非特異吸着量が少ないのに対し、NTA末端を有するSAM試薬を用いた比較例1では末端のNTAの嵩高さに起因して金属膜上に隙間や欠損が生じ、非特異吸着防止層密度が小さく、非特異吸着量が格段に多かった。一方、非特異吸着防止層密度が実施例と同等であるがリガンド密度が低い比較例2ではタンパク残存率、つまり1時間後におけるタンパク保持能が小さかった。
以上のように、本発明の担体は、リガンドが0.4個/nm2以上4個/nm2以下の密度で自己組織化膜に結合しているので、リガンドによって生理活性物質を多点で把持することが可能であるため、生理活性物質を安定に固定化することができる。また、本発明の担体は基板表面上に自己集合性分子からなる自己組織化膜を有しているので、自己組織化膜が金属膜上に整然とした状態でパッキングされ、金属膜上に隙間や欠損が生じないので、非特異吸着を抑制することが可能である。
本発明は、生理活性物質を固定する担体として利用することができ、より詳細には、バイオセンサー用チップやバイオリアクター用チップの担体等として利用することができる。

Claims (9)

  1. 基板と、該基板表面上に結合された自己集合性分子からなる自己組織化膜と、該自己組織化膜に結合されたリガンドとを備え、該リガンドに金属イオンが固定されている担体であって、
    前記自己組織化膜が、一方の末端に水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、メチル基、アミノ基からなる群より選ばれる官能基を有し、他方の末端に−SH(チオール)、−SS(スルフィド)、−SeH(セレノール)、−SeSe(ジセレニド)、−COSH(チオ酸)からなる群から選ばれる官能基を有する化合物によって構成され、
    前記金属イオンがCu(II)イオンであって、
    前記リガンドがニトリロトリ酢酸誘導体であり、
    該ニトリロトリ酢酸誘導体0.8個/nm2以上個/nm2以下の密度で前記自己組織化膜に結合していることを特徴とする担体。
  2. 前記金属イオンに生理活性物質が固定されていることを特徴とする請求項記載の担体。
  3. 前記生理活性物質が前記Cu(II)イオンに配位結合する官能基を有し、該官能基によって前記生理活性物質が前記Cu(II)イオンに固定されていることを特徴とする請求項1または2記載の担体。
  4. 前記官能基がイミダゾール基であることを特徴とする請求項記載の担体。
  5. 請求項1〜いずれか1項記載の担体の製造方法であって、前記基板に前記自己集合性分子からなる自己組織化膜を結合し、該自己組織化膜に前記リガンドを結合させる担体の製造方法において、前記自己組織化膜に前記リガンドを結合する工程を有機溶剤中で行うことを特徴とする担体の製造方法。
  6. 前記有機溶剤が非プロトン系極性溶媒であることを特徴とする請求項記載の担体の製造方法。
  7. 前記非プロトン系極性溶媒がジメチルスルホキサイドまたはN,N−ジメチルホルムアミドであることを特徴とする請求項記載の担体の製造方法。
  8. 請求項1〜記載の担体を備えていることを特徴とするバイオセンサー用チップ。
  9. 請求項1〜記載の担体を備えていることを特徴とするバイオリアクター用チップ。
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