JP3996605B2 - 固定化方法、バイオセンサー及び試験方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固定化方法、バイオセンサー及び試験方法に関する。
現在、臨床検査等で免疫反応など分子間相互作用を利用した測定が数多く行われているが、従来法では煩雑な操作や標識物質を必要とするため、標識物質を必要とすることなく、測定物質の結合量変化を高感度に検出することのできるいくつかの技術が使用されている。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術である。これらの技術においては、いずれの場合も、生理活性物質を固定化する表面が重要である。以下、当技術分野で最も使われている表面プラズモン共鳴(SPR)を例として、説明する。
一般に使用される測定チップは、透明基板(例えば、ガラス)、蒸着された金属膜、及びその上に、タンパク質等の生理活性物質を固定化できる官能基を有する薄膜からなり、その官能基を介し、金属表面に生理活性物質を固定化する。該生理活性物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定することによって、生体分子間の相互作用を分析する。
生理活性物質を測定チップに固定化するためのいくつかの手法が知られている。生理活性物質としてタンパク質を例にとった場合、測定チップとタンパク質を共有結合により固定化するための手法として、タンパク質のアミノ基と測定チップ上のカルボキシル基とを結合させる方法(アミンカップリング法)が知られている。しかしながら、この方法では、固定化によってタンパク質表面の任意のアミノ基が修飾されることになるため、固定化されるタンパク質の配向が一定にならない場合や、修飾されるアミノ基の位置によってタンパク質と基質との結合が阻害されてタンパク質の活性が低下する場合がある。さらに、この方法では、チップ上にタンパク質を濃縮する必要があり、固定化の際にタンパク質を、固定化されるタンパク質のpIよりも低いpH、かつ低いイオン強度の緩衝液に溶解する必要がある。それゆえ、このような条件下で変性するタンパク質は、活性を維持したまま固定化することが不可能となるなどの欠点を有している。
一方、遺伝子改変により人工的に合成されたタンパク質のN末端あるいはC末端に導入されたTagと呼ばれる部分を用いて、中性条件下で測定チップ上にタンパク質を固定化する手法が開発されている。その代表例として、His-tagを用いた固定化技術が挙げられる。この技術は、遺伝子組換えによって発現させたHis-tagタンパク質を利用したアフィニティーカラムによる精製用に開発されたものであるが、タンパク質を一定の配向性を持たせた状態で固体表面に固定化させる目的にも用いられている。
特に、NTA (Nitrilotriacetic acid) とNi (II) イオンとによるNTA-Ni (II) 錯体を用いたHis-tagタンパク質の固定化では、錯体中の2つの配位座に配位した水分子がHis-tagタンパク質のオリゴヒスチジン残基の2つのイミダゾール基の窒素原子と置換することによって、His-tagタンパク質が特異的かつ一定方向に固体表面に結合する。このNTA-Ni (II) 錯体を用いるHis-tagタンパク質の固定化では、酸性条件下でプレコンセントレーションを行う必要がないため、生理的条件の緩衝液(PBSなど)を用いてHis-tagタンパク質の固定化が可能となり、アミンカップリングの有する欠点を解消することができる。
しかし、His-tagタンパク質とNTA-Ni (II) 錯体との組み合わせは、アフィニティーカラムによる精製を目的として開発されているため、その結合は充分に強固ではなく、解離平衡が存在する。それゆえ、測定チップ上にNTA-Ni (II) 錯体を介して固定化されたHis-tagタンパク質は、徐々に測定チップから解離してしまうという欠点を有し、バイオセンサー用途での使用には不十分であった。
これらの問題を解決するために、特許文献1では、NTA-Ni (II) 錯体による固定化法とアミンカップリング法を併用することで、His-tagタンパク質を強度に固定化する手法が開示されている。
しかし本手法を用いた場合にも、固定化されるタンパク質の配向が必ずしも一定にはならない。また、アミンカップリングをそのまま組み合わせて用いているので、タンパク質の活性部位近傍のアミノ基修飾によるタンパク質の活性低下等のアミンカップリング法特有の問題から完全に排除することができない。
特開2004−170195号公報
上述したように、共有結合によるタンパク質の固定化では、タンパク質を特定の配向で必ずしも固定化することができず、また、タンパク質が変性する場合があり、固定化できるタンパク質に一定の制限がある。一方、NTA-Ni (II) 錯体を用いたHis-tagタンパク質の固定化の場合には、タンパク質と固体表面との結合は充分に強固ではないために、基板からタンパク質が徐々に解離してしまうという問題があった。
本発明は、種々のタンパク質等の生理活性物質を特定方向に配向させることができると共に、安定して強固に基板表面に固定化することができる生理活性物質の固定化方法並びに、生理活性物質が特定方向に配向すると共に安定して強固に固定されたバイオセンサー及びこれを用いた試験方法を提供することを目的とする。
本発明の固定化方法は、生理活性物質を、金属配位子及び金属イオンを用いて基板表面に固定する方法であって、前記金属配位子が、含窒素複素環構造を有する金属配位子であることを特徴としている。
ここで、前記金属イオンの配位数をn、含窒素複素環構造を有する金属配位子の配位基の数をmとした場合に、n−m>0であることが好ましい。
また、前記生理活性物質が、前記金属イオンに対して配位可能な配位子を有することが好ましく、前記生理活性物質が有する配位子がオリゴヒスチジン基であることが更に好ましい。
本発明のバイオセンサーは、上記固定化方法で、生理活性物質が基板表面に固定されたものである。
ここで、本バイオセンサーは、非電気化学的検出に使用されるものであることが好ましく、表面プラズモン共鳴分析に使用されるものであることが特に好ましい。
本発明の試験方法は、上記バイオセンサーに固定化されている生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法である。
本発明によれば、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体を用いて、生理活性物質を基板表面に固定化する。この含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体では、pHを変更したり、アミンカップリングなどの特別な処理を行うことなく、配位子を有する生理活性物質を強固に配位することができる。この結果、このような金属錯体を介して生理活性物質を基板表面に固定したときは、生理活性物質を、特定方向に配向することができると共に固体表面に安定して強固に固定することができる。
本発明によれば、種々のタンパク質等の生理活性物質を特定方向に配向させることができると共に、安定して強固に固体表面に固定化することができる生理活性物質の固定化方法並びに、生理活性物質が特定方向に配向すると共に安定して強固に固定されたバイオセンサー及びこれを用いた試験方法を提供することができる。
本発明の固定化方法は、生理活性物質を、金属配位子及び金属イオンからなる金属錯体を用いて基板表面に固定する方法であって、前記金属配位子が、含窒素複素環構造を有する金属配位子であることを特徴としている。
これによれば、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体に、配位能を有する生理活性物質が安定して強固に結合することができるので、基板表面にこの金属錯体を介して生理活性物質を安定して強固に固定することができる。
以下、本固定方法を説明する。
本発明では、含窒素複素環を有する配位子が用いられる。このような配位子としては、含窒素複素環を有し、金属イオンと共に金属錯体を形成可能なものであればよい。配位子における含窒素複素環としては、窒素原子を含む3員環から7員環の単環及び縮合環構造のいずれであってもよく、環中の窒素原子は単数でも複数であってもよい。好ましくは、5員環から6員環のものを挙げることができる。このような含窒素複素環を有する配位子として具体的には、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾ−ル、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、アゼピン、アゾニン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナンスリジン、インドール、イソインドール、カルバゾール、ベンズイミダゾール、1,8−ナフチリジン、プリン、プテリジン、ベンゾトリアゾール、キノキサリン、キナゾリン、ペリミジン、シンノリン、フタラジン、1,10−フェナンスロリン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、8−ヒドロキシキノリン、8−メルカプトキノリン、2,2’−ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、ジ(2−ピコリルアミン)、2,2’,2”−ターピリジン、ポルフィリン、フタロシアニン、およびそれらの誘導体が挙げられる。得られる金属錯体の安定性の観点から好ましくはピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、およびそれらの誘導体であり、より好ましくはピリジン誘導体である。以下に、含窒素複素環を有する配位子の具体的構造を示す。これらの配位子に対し、任意の置換基が結合している化合物もまた、本発明に好ましく用いることができる。
Figure 0003996605
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これらの配位子を基板表面に固定化することで、本発明のバイオセンサーを製造することが可能となる。含窒素複素環を有する配位子を基板表面に固定化する方法は既知の方法を用いることが可能であるが、含窒素複素環を有する配位子のアミノ基と基板表面上のカルボキシル基とを結合させる方法が好ましい。このためには、含窒素複素環を有する配位子が、1級アミノ基あるいは2級アミノ基を有することが好ましい。この1級アミノ基あるいは2級アミノ基は、含窒素複素環を有する配位子に直接結合していてもよく、メチレン鎖や酸素原子等を介して結合していてもよい。このような観点から以下に示す含窒素複素環を有する配位子が更に好ましい。
Figure 0003996605
またこれらの含窒素複素環を有する配位子としては、単座配位子であっても多座配位子であってもよく、金属イオンの配位及び金属錯体を形成した後における生理活性物質との配位の観点から、多座配位子であることが好ましい。
含窒素複素環を有する多座配位子は、市販品(例えば、化合物1,2,6、11など)を購入して使用することが可能であり、また、文献に従って合成した化合物(例えば化合物12、C. H. Weidl, A. A. Precup, C. Eschbaumer, U. S. Schubert, Polymeric Materials: Science and Engineering, 84, 649 (2001).)を用いることも可能である。
また、含窒素複素環を有する多座配位子は、基板上で合成することも可能である。このためには、基板表面のカルボキシル基に対し、第一ステップとして、イミノジ酢酸、グルタミン酸、AB-NTA(N-(5-Amino-1-carboxypentyl)iminodiacetic acid)等を結合させる。この操作により、基板表面上のカルボキシル基は、分子レベルで近接した2つ(イミノジ酢酸、グルタミン酸)あるいは3つ(AB-NTA)のカルボキシル基へと変換される。第二ステップとして、この表面に対し、アミノ基を有する含窒素複素環を結合させる。含窒素複素環を有する単座配位子(化合物14〜22等)をイミノジ酢酸やグルタミン酸表面に結合した場合、基板表面で2座配位子が合成され、AB-NTA表面に結合した場合、基板表面で3座配位子(AB-NTAの3級窒素が配位する場合には4座配位子)が合成される。同様に、含窒素複素環を有する2座配位子(化合物1〜7等)をイミノジ酢酸やグルタミン酸表面に結合した場合、基板表面で4座配位子が合成され、AB-NTA表面に結合した場合、基板表面で6座配位子(AB-NTAの3級窒素が配位する場合には7座配位子)が合成される。
Figure 0003996605
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本発明において配位子を有する生理活性物質は、金属イオンおよび含窒素複素環を有する配位子を介することで基板と結合する。すなわち金属イオンは、生理活性物質の配位子と基板上の配位子の両者に結合することが要求される。金属イオンの配位数をn、含窒素複素環を有する配位子の配位基の数をmとした場合、n−m=0では含窒素複素環を有する配位子が金属イオンの配位座を全て占有してしまい、生理活性物質の配位子が金属イオンに配位すること困難な場合がある。それゆえn−mは1以上であることが好ましく、2〜5であることが更に好ましく、2〜4であることが特に好ましい。この結果、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンとによって形成された金属錯体には、他の配位子と配位可能な配位基が残存する。このような不飽和金属錯体は、次いで配位能を有する生理活性物質と配位可能となる。
本発明における金属イオンは、不飽和金属錯体を形成する金属イオンであればよく、得られる金属錯体の安定性の観点から、好ましくは遷移金属イオンであり、より好ましくは、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Mn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Ni(II)、Ni(III)、Ni(IV)、Cu(I)、Cu(II)、Mo(III)、Mo(IV)、Mo(V)、Ru(II)、Ru(III)、Rh(III)、Rh(IV)、W(III)、W(IV)、W(V)、Re(IV)、Re(V)、Ir(III)、Ir(IV)、Pt(II)、Pt(IV)、のいずれかのイオンであり、配位子の種類に応じて適宜選択される。
本発明において、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体とバイオセンサーの表面との結合法については、公知の手法を用いることが可能である。本明細書中に以下に説明するような疎水性ポリマーを介してバインディングマトリックスを金属表面に結合する方法(特開2004−271514号公報を参照))、X−R−Y(Xは金属に結合し、Yはバインディングマトリックスと結合する)の密に詰め込まれた単層を介してバインディングマトリックスを金属表面に結合する方法(特許第2815120号を参照)、などを適用することができる。好ましくは、末端に反応性基を有するアルカンチオール(あるいはその酸化体であるジスルフィド)を用いて金属表面に密な層を形成させた後、アルカンチオール末端の反応性基と含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体を反応させる結合法である。
本発明における生理活性物質は、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。これらの生理活性物質は、金属イオンへの配位結合により基板上に固定されるものであり、金属イオンに対して配位可能な配位子を有する、即ち、金属配位能を有するものであればよい。このような金属配位能は、強い配位力を持つ配位子を共有結合することによって容易に付与することができる。このような生理活性物質に共有結合している配位子としては、このような用途に用いられる既知の化合物を挙げることができる。例えば、アミノ酸自動合成装置を用いた導入、あるいは遺伝子操作による導入が容易であることから、生理活性物質に結合している配位子としてはオリゴヒスチジン基が好ましい。
本発明の固定化方法は、生理活性物質が基板表面に固定されたバイオセンサーに好ましく適用することができる。
本発明にかかるバイオセンサーとしては、バイオセンサー用表面に固定化されている生理活性物質と被験物質との相互作用を非電気化学的方法により検出及び/又は測定するものであることが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した光学的測定技術などが挙げられる。
本発明におけるバイオセンサーの基板表面に対し、配位子を有する生理活性物質を接触させることにより、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体と配位子を有する生理活性物質が結合するため、バイオセンサーに生理活性物質を固定化することが可能となる。
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生理活性物質間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
本発明のバイオセンサーでは、金属表面又は金属膜を基板として用いることができる。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であるのが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
本発明において、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体は、金属層に、直接又は中間層を介して結合している。中間層としては、疎水性高分子化合物又は自己組織化膜から成る層などを使用することができる。以下、疎水性高分子化合物、及び自己組織化膜について説明する。
本発明で用いる疎水性高分子化合物は、吸水性を有しない高分子化合物であり、水への溶解度(25℃)が10%以下、より好ましくは1%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
疎水性高分子化合物を形成する疎水性単量体としては、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等から任意に選ぶことができる。疎水性高分子化合物としては、1種類のモノマーから成るホモポリマーでも、2種類以上のモノマーから成るコポリマーでもよい。
本発明で好ましく用いられる疎水性高分子化合物としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ナイロンなどが挙げられる。
疎水性高分子化合物の基板へのコーティングは常法によって行うことができ、例えば、スピン塗布、エアナイフ塗布、バー塗布、ブレード塗布、スライド塗布、カーテン塗布、さらにはスプレー法、蒸着法、キャスト法、浸漬法等によって行うことができる。
疎水性高分子化合物のコーティング厚さは特に限定されないが、好ましくは0.1nm以上500nm以下であり、特に好ましくは1nm以上300nm以下である。
次に、自己組織化膜について説明する。チオールやジスルフィド類などの硫黄化合物は金等の貴金属基板上に自発的に吸着し単分子サイズの超薄膜を与える。またその集合体は基板の結晶格子や吸着分子の分子構造に依存した配列を示すことから自己組織化膜と呼ばれている。本発明では、例えば、自己組織化化合物として、7−カルボキシ−1−ヘプタンチオール、10−カルボキシ−1−デカンチオール、4,4’−ジチオジブチリックアシッド、11−ヒドロキシ−1−ウンデカンチオール、11−アミノ−1−ウンデカンチオールなどを使用することができる。
本発明のバイオセンサーにおいては、基板の最表面に配位子を有するタンパク質を固定化することができる。ここで言う「基板の最表面」とは、「基板から最も遠い側」という意味であり、さらに具体的には、「基板上にコーティングした化合物中の基板から最も遠い側」という意味である。
上記のようにして得られたセンサー用基板は、X−R−Y(Xは金属に結合し、Yはバインディングマトリックスと結合する)の官能基であるYを介して、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体を共有結合させることによって、金属表面又は金属膜に、配位子を有する生理活性物質を固定化することができる。
上記のようにして配位子を有する生理活性物質を固定化したバイオセンサーは、検出対象、例えばタンパク質と相互作用する物質の検出及び/又は測定を目的とした試験方法に使用することができる。
本発明では、バイオセンサー用基板に固定化されている生理活性物質と被験物質との相互作用を非電気化学的方法により検出及び/又は測定することが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のバイオセンサーは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角(θSP)の角度を測定している。
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角(θSP)を測定し、該全反射減衰角(θSP)の角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰(θSP)の角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角(θSP)の角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角(θSP)の角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる(特開2002−207006号参照)。このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角(θSP)の角度変化量の測定を行っている。
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
本発明のバイオセンサーを表面プラズモン共鳴分析に使用する場合、上記したような各種の表面プラズモン測定装置の一部として適用することができる。
また、本発明のバイオセンサーは、本バイオセンサーに安定的に固定化されている生理活性物質と相互作用する物質を検出又は測定する試験方法に好ましく用いることができる。本バイオセンサーの表面には、安定して強固に生理活性物質が固定化されているので、この生理活性物質と相互作用する物質の検出又は測定を精度よく行うことができる。このような試験方法としては、上述したように非電気化学的方法、特に、表面プラズモン共鳴分析によって行われることが好ましい。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。また実施例中の%は、特に断らない限り、重量(質量)基準である。
[実施例1]
本実施例は、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体が結合しているセンサーチップを製造し、配位子を有する生理活性物質の結合挙動を検討したものである。配位子を有する生理活性物質として、オリゴヒスチジン基を有するタンパク質(His-tag化GFP:Green Fluorescent Protein、アップステート社製)を用いて検討を行った。
(1)金表面基板の作製
縦8mm×横80mm×厚さ0.5mmのガラス基板に、平行平板型6インチ用スパッタ装置(アルバック株式会社製SH−550)を用いて基板上にクロムの厚さが1nm、さらにクロム上に金の厚さが50nmになるようにスパッタ製膜を行った。この基板をModel-208UV-オゾンクリーニングシステム(TECHNOVISION INC.)で30分処理し、金表面基板を作製した。
(2)試料1(比較例)の作成
(1)で作成した金表面基板をペトリ皿(内径16cm)中に置いた。4.0mMの8−ヒドロキシオクタンチオール(同仁化学製)および1.0mMの10−カルボキシ−1−デカンチオール(同仁化学製)を溶解したエタノール/水(80/20)を表面に注ぎ、ペトリ皿を40℃の振盪インキュベーターで20分間インキュベートした。表面を5×50mlの水、50mlのエタノール/水(80/20)、及び5×50mlの水で洗浄した。
この試料を、本出願人による特開2004−286539に記載の表面プラズモン共鳴装置に設置した。センサーチップは、レーザー光の当たる中心位置が縦方向は中央に、横方向は端部から40mmの位置となるようにセットした。チップ上にはポリプロピレン製の部材を被せることにより、幅(縦方向)1mm、長さ(横方法)7.5mm、深さ1mmのセルを作成した。
セル内を塩化ニッケル水溶液(10mM)に置換し、5分静置した。次に、セル内をHis-tag化GFP(Green Fluorescent Protein:アップステート社製)のHBS−Nバッファー溶液(10μg/ml)に置換し、30分静置した。次に、セル内をHBS−Nバッファーに置換し、10分間洗浄した。以上の操作により、His-tag化GFPをセンサーチップ表面に固定化した。これを試料1とした。
(3)試料2(比較例)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(2)と同様の操作を行い、試料2を得た。
(4)試料3(比較例)の作成
(1)で作成した金表面基板をペトリ皿(内径16cm)中に置いた。4.0mMの8−ヒドロキシオクタンチオール(同仁化学製)および1.0mMの10−カルボキシ−1−デカンチオール(同仁化学製)を溶解したエタノール/水(80/20)を表面に注ぎ、ペトリ皿を40℃の振盪インキュベーターで20分間インキュベートした。表面を5×50mlの水、50mlのエタノール/水(80/20)、及び5×50mlの水で洗浄した。この表面に対し、0.4MのEDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)および0.1MのSulfo−NHS (N−ヒドロキシスルホスクシンイミド ナトリウム塩)を含む水溶液を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。なお、HBS−Nバッファーの組成は、HEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)0.01mol/l(pH7.4)、NaCl 0.15mol/lである。次にAB−NTA(N−(5−アミノ−1−カルボキシペンチル)イミノジ酢酸:同仁化学製)の1%水溶液(pH8.5、NaOHで調整)を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。
この試料を、(2)と同様の操作で、表面プラズモン共鳴装置に設置し、塩化ニッケル(II)水溶液による錯体化、His-tag化GFP固定、HBS−Nバッファー洗浄を行うことで、試料3を得た。
(5)試料4(比較例)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(4)と同様の操作を行い、試料4を得た。
(6)試料5(本発明)の作成
AB−NTAの1%水溶液を、化合物15(3−アミノピリジン:東京化成製)の0.01%水溶液(pH8.5、NaOHで調整)に変更した以外は(4)と同様の操作を行い、試料5を得た。
(7)試料6(本発明)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(6)と同様の操作を行い、試料6を得た。
(8)試料7(本発明)の作成
AB−NTAの1%水溶液を、化合物(ジ(2−ピコリルアミン):Aldrich社製)の0.01%水溶液に変更した以外は(4)と同様の操作を行い、試料7を得た。
(9)試料8(本発明)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(8)と同様の操作を行い、試料8を得た。
(10)試料9(本発明)の作成
AB−NTAの1%水溶液を、化合物(5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン:Aldrich社製)の0.01%水溶液に変更した以外は(4)と同様の操作を行い、試料9を得た。
(11)試料10(本発明)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(10)と同様の操作を行い、試料10を得た。
(12)試料11(本発明)の作成
AB−NTAの1%水溶液を、化合物11(4−(5−クロロ−2−ピリジルアゾ)−1,3−フェニレンジアミン:東京化成製)の0.01%水溶液に変更した以外は(3)と同様の操作を行い、試料11を得た。
(13)試料12(本発明)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(12)と同様の操作を行い、試料12を得た。
(14)試料13(本発明)の作成
(1)で作成した金表面基板をペトリ皿(内径16cm)中に置いた。4.0mMの8−ヒドロキシオクタンチオール(同仁化学製)および1.0mMの10−カルボキシ−1−デカンチオール(同仁化学製)を溶解したエタノール/水(80/20)を表面に注ぎ、ペトリ皿を40℃の振盪インキュベーターで20分間インキュベートした。表面を5×50mlの水、50mlのエタノール/水(80/20)、及び5×50mlの水で洗浄した。この表面に対し、0.4MのEDCおよび0.1MのSulfo−NHSを含む水溶液を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。次にグルタミン酸(東京化成製)の10mM水溶液(pH8.5、NaOHで調整)を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。さらに、0.4MのEDCおよび0.1MのSulfo−NHSを含む水溶液を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。次に、化合物の0.01%水溶液(pH8.5、NaOHで調整)を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。
この試料を、(2)と同様の操作で、表面プラズモン共鳴装置に設置し、塩化ニッケル(II)水溶液による錯体化、His-tag化GFP固定、HBS−Nバッファー洗浄を行うことで、試料13を得た。
(15)試料14(本発明)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(14)と同様の操作を行い、試料14を得た。
(16)試料15(本発明)の作成
化合物の0.01%水溶液を化合物の0.01%水溶液に変更した以外は(14)と同様の操作を行い、試料15を得た。
(17)試料16(本発明)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(16)と同様の操作を行い、試料16を得た。
(18)試料17(本発明)の作成
(1)で作成した金表面基板をペトリ皿(内径16cm)中に置いた。4.0mMの8−ヒドロキシオクタンチオール(同仁化学製)および1.0mMの10−カルボキシ−1−デカンチオール(同仁化学製)を溶解したエタノール/水(80/20)を表面に注ぎ、ペトリ皿を40℃の振盪インキュベーターで20分間インキュベートした。表面を5×50mlの水、50mlのエタノール/水(80/20)、及び5×50mlの水で洗浄した。この表面に対し、0.4MのEDCおよび0.1MのSulfo−NHSを含む水溶液を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。次にAB−NTAの1%水溶液(pH8.5、NaOHで調整)を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。さらに、0.4MのEDCおよび0.1MのSulfo−NHSを含む水溶液を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。次に、化合物15の0.01%水溶液(pH8.5、NaOHで調整)を30分接触させ、HBS−Nバッファー(ビアコア社製、pH7.4)で洗浄した。
この試料を、(2)と同様の操作で、表面プラズモン共鳴装置に設置し、塩化ニッケル(II)水溶液による錯体化、His-tag化GFP固定、HBS−Nバッファー洗浄を行うことで、試料17を得た。
(19)試料18(本発明)の作成
塩化ニッケル(II)水溶液(10mM)を塩化コバルト(II)水溶液(10mM)に変更した以外は(18)と同様の操作を行い、試料18を得た。
試料1〜18について、His-tag化GFP添加前の共鳴シグナル値(RU(1))と、金属錯体化・His-tag化GFP固定・HBS−Nバッファー洗浄後の共鳴シグナル値(RU(2))の変化量(RU(2)−RU(1))を、His-tag化GFPの結合量とした。試料1に対するHis-tag化GFPの結合量を基準として、試料2〜20に対するHis-tag化GFP結合量を相対値で評価した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0003996605
表に示されるように、含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる不飽和金属錯体であっても良好にHis-tagタンパク質を基板上に固定することができ、特に、配位子として多座配位子を用いた場合に、His-tagタンパク質の固定化能に優れることが証明された。さらに、多座配位子の配位数が3あるいは4の場合に、His-tagタンパク質の固定化能が最大になることが証明された。

Claims (18)

  1. 生理活性物質を、金属配位子及び金属イオンからなる金属錯体を用いて基板表面に固定する方法であって、前記金属配位子が、含窒素複素環構造を有する金属配位子であることを特徴とする固定化方法。
  2. 前記金属イオンが遷移金属のイオンであることを特徴とする請求項1記載の固定化方法。
  3. 前記金属イオンが、ニッケルイオン又はコバルトイオンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固定化方法。
  4. 前記金属イオンの配位数をn、含窒素複素環構造を有する金属配位子の配位基の数をmとした場合に、n−m>0であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の固定化方法。
  5. 前記金属イオンの配位数をn、含窒素複素環構造を有する金属配位子の配位数の数をmとした場合に、n−mが2以上5以下であることを特徴とする請求項4に記載の固定化方法。
  6. 前記生理活性物質が、前記金属イオンに対して配位可能な配位子を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の固定化方法。
  7. 含窒素複素環を有する配位子における含窒素複素環が5員環又は6員環である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の固定化方法。
  8. 含窒素複素環を有する配位子が、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択された少なくとも1つである請求項7に記載の固定化方法。
  9. 前記生理活性物質が有する配位子がオリゴヒスチジン基であることを特徴とする請求項記載の固定化方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法で、生理活性物質が基板表面に固定されたバイオセンサー。
  11. 金属表面あるいは金属膜を用いた請求項10に記載のバイオセンサー。
  12. 前記金属表面あるいは金属膜が、金、銀、銅、白金、及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの自由電子金属からなる請求項11に記載のバイオセンサー。
  13. 含窒素複素環を有する配位子と金属イオンからなる金属錯体が、アルカンチオールを介して金属表面あるいは金属膜に固定されている請求項10に記載のバイオセンサー。
  14. 非電気化学的検出に使用される請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載のバイオセンサー。
  15. 表面プラズモン共鳴分析に使用される請求項14に記載のバイオセンサー。
  16. 請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載のバイオセンサーに固定化されている生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する試験方法。
  17. 非電気化学的方法により検出または測定する請求項16に記載の試験方法。
  18. 表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する請求項17に記載の試験方法。
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