JP5129190B2 - 嗜好性フレーバー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コーヒーや茶類などの嗜好性飲料用素材から嗜好性フレーバーを調製する方法、及びその方法により得られるフレーバーに関する。より詳細には、本発明は、これまで廃棄されていたフレーバー回収後の嗜好性素材の残渣液を有効活用しつつ、嗜好性素材が有する特徴的な香気と呈味が選択的に増強され、濃厚感を有した嗜好性フレーバーの製造方法に関する。
近年、食品および飲料に対する消費者の嗜好が多様化し、コーヒーや、緑茶、紅茶及び烏龍茶などの茶飲料は膨大な種類が店頭に並んでいる。嗜好性飲料は一般に、味と香りの僅かな違いがその品質を決定する要部を占めている。これらの嗜好性飲料はそれぞれ呈味や香気に特徴付けをすることで、他製品と差別化しており、消費者は個人の嗜好によりこれら各種製品を自分の好みに応じて適宜選択することができる。そのため、嗜好性飲料の供給者側は、消費者の多種多様な嗜好に応えるため、呈味や香気の異なる様々なニーズにあった特徴的な食品の開発が望まれている。
上述したような多様な呈味や香気を嗜好性飲料に付与する方法として、嗜好性飲料用素材から飲料を製造する際の抽出条件を目的に応じて調整することが一般的であったが、当該嗜好性素材に含まれている呈味成分や香気成分を十分に抽出できず、さらに、殺菌などの製造工程中の処理によって味や香りが劣化してしまうことがあるため、味や香りの点で十分に満足のいくものではなかった。
そこで、前述の方法とは別に、嗜好性素材から香気成分や呈味成分を選択的に抽出するよう様々な製法を行い、それぞれ微妙に香質や味質の異なる嗜好性フレーバーを調製し、最終製品である飲料に添加・混合する方法がある。当該方法によって調製された嗜好性飲料は、前述の方法にある劣化等の問題を解決でき、嗜好性素材中の呈味成分や香気成分を余すところなく十分に回収できるという利点がある。このような嗜好性フレーバーを調製する方法としては、茶葉に水蒸気蒸留処理を施し、蒸気処理によって得られた残渣を抽出し、適宜当該抽出液を濃縮後、抽出液と水蒸気蒸留によって得られる溜出液とを混合することで力価の高い茶エキスを製造する方法(特許文献1)、茶類原料の抽出時または抽出後に、グルコアミラーゼなどの糖類分解酵素を用いて酵素分解処理することで、苦味と渋味を抑制し、旨味と甘味を付与した茶類エキスを得る方法(特許文献2)、焙煎したコーヒー豆を水蒸気と接触させ香気成分を回収し、水蒸気を凝縮後、グリセリン脂肪酸エステルにより再抽出することでコーヒーフレーバーを得る方法(特許文献3)などが提案されている。
上で述べたように、嗜好性素材を水蒸気と接触することで当該嗜好性素材の香気成分を得る水蒸気蒸留法は嗜好性フレーバーの主な回収方法の一つであるが、この水蒸気蒸留法の改良型として、スピニングコーンカラム(Spinning Cone Column;SCC)を利用した気液向流接触蒸留法がある(非特許文献1、2)。また、この気液向流接触蒸留法を利用した嗜好性フレーバーの回収方法も種々提案されている(特許文献4〜8)。
一方、水蒸気蒸留法や気液向流接触蒸留法などのフレーバー回収方法によって発生した、嗜好性飲料用の素材の残渣に関して、従来方法の殆どはその残渣を廃棄していた。残渣を活用する方法として、特許文献1には、一度茶葉中の香気成分を抽出した後、残渣を再度抽出処理することで、効率よく高力価のフレーバーを回収するという技術が提案されており、また他にも、コーヒーや茶葉を水蒸気蒸留した後の残渣を水抽出し、水蒸気蒸留による溜出液と残渣抽出液とを混合してコーヒーや茶エキスを得る方法(特許文献10、11)、乾燥茶葉を20℃以下の水で抽出し、前記抽出残渣を60℃以上の温水で抽出後陽イオン交換樹脂処理を行い、次いで、得られた抽出液と、20度以下の水で抽出して得られた抽出液とを混合する茶抽出液を製造する方法(特許文献12)、天然の動植物原材料から気液向流接触蒸留装置により香気成分を回収した後、その残渣を水又は含水アルコールによって抽出した抽出液と、気液向流接触蒸留装置で回収した香気成分とを混合する動植物エキスを製造する方法(特許文献5)も提案されている。
特開2007−295921号公報 特開2008−86280号公報 特開2005−87122号公報 特開平10−66507号公報 特開2000−210045号公報 特開2001−172667号公報 特開2002−105486号公報 特開2003−33137号公報 WO2006/028193号公報 特開2007−117080号公報 特開2008−92817号公報 特開2006−254715号公報
Foods & Food Ingredients Journal of Japan, Vol. 210, No. 11, pp. 1086-1088 (2005) 特許庁 標準技術集「香料」(平成18年度),2−1−2−2 水蒸気蒸留(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/kouryou/2-1-2.pdf)
本発明は、従来の技術では表現することができなかった新規で強い香気や呈味を有し、さらには消費者を含めた需要者の嗜好性を有意に刺激する嗜好性フレーバーの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、嗜好性飲料用素材が有する香気・呈味成分を一度回収した後、液状またはスラリー状の廃棄物に残っている特有の香気・呈味成分までも無駄なく回収し、素材の有効活用が可能な嗜好性フレーバーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のごとき課題を解決すべく鋭意研究した結果、嗜好性飲料用素材を気液向流接触蒸留法によって香気成分を回収した後の素材の液状またはスラリー状の残渣液から嗜好性抽出液を得て、次いで、嗜好性抽出液中の香気成分や呈味成分を合成吸着剤に吸着させ、溶媒により脱着することで、嗜好性素材が有する特有の香気と呈味を有し、また、従来の嗜好性フレーバーと異なる新規なフレーバーが得られることを見出した。
また、前記製造方法で得られた嗜好性フレーバーと、気液向流接触蒸留法によって得られたフレーバーとを混合することで、嗜好性素材が持つ香気と呈味がさらに増強され、前記製造方法で得られたフレーバーとも異なった香気・呈味を示す嗜好性フレーバーが得られることを確認した。
さらには、本発明による嗜好性フレーバーを飲食品に添加することで、飲料においては、味質や香質を特徴付けることができ、その他飲食品においては、その雑味を和らげ、味質が整えられることを確認した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
本発明は、以下の態様を有する嗜好性フレーバーの製造方法に関する。
項1.以下の(A)〜(C)の工程を経ることを特徴とする嗜好性フレーバーの製造方法;
(A)嗜好性飲料用素材の液状化物に気液向流接触蒸留法を行なう工程、
(B)(A)工程後の嗜好性飲料用素材の残渣に含まれるフレーバー成分を合成吸着剤に吸着させる工程、
(C)(B)工程で吸着させたフレーバー成分を溶媒により脱着させて回収する工程。
項2.以下の(A)〜(D)の工程を経ることを特徴とする嗜好性フレーバーの製造方法;
(A)嗜好性飲料用素材の液状化物から気液向流接触蒸留法によりアロマを回収する工程、
(B)(A)工程後の嗜好性飲料用素材の残渣に含まれるフレーバー成分を合成吸着剤に吸着させる工程、
(C)(B)工程で吸着させたフレーバー成分を溶媒により脱着させて回収する工程。
(D)(A)で得られたアロマと(C)で得られたエキスとを混合する工程。
項3.前記嗜好性飲料用素材がコーヒーまたは茶である、項1又は2に記載の嗜好性フレーバーの製造方法。
項4.前記(C)工程の合成吸着剤が、スチレン系、スチレン−ジビニルベンゼン系、アクリル酸エステル系、芳香族系修飾型からなる群より選択されるいずれか一種類である、項1乃至3の何れかに記載の嗜好性フレーバーの製造方法。
項5.前記(C)工程の合成吸着剤からフレーバー成分を脱着させる溶媒が、エタノール濃度50〜99容量%のエタノール水溶液である、項1乃至4の何れかに記載の嗜好性フレーバーの製造方法。
項6.項1乃至5の何れかによって得られる嗜好性フレーバーを、飲食品に添加することを特徴とする、飲食品の呈味増強方法。
項7.項1乃至5の何れかに記載の方法によって調製される嗜好性フレーバー。
項8.項7の嗜好性フレーバーを添加してなる飲食品。
本発明の嗜好性フレーバーの製造方法によれば、嗜好性素材特有の香気と呈味を有し、力価の強い嗜好性フレーバーを製造することができる。また、本発明で得られた嗜好性フレーバーを調合香料素材として使用すれば、これまでの嗜好性フレーバーでは表わすことのできなかった特有の香気や呈味をより自然な風味で表現することができ、コーヒーや茶類などの嗜好性飲料だけでなく、その他各種飲食品、調味料などの香味増強剤あるいは呈味改善剤としても好適である。
さらには、通常は廃棄される抽出残渣の有効利用ともなり、無駄のない資源の活用という観点からも、環境にやさしい嗜好性素材のフレーバーを提供することができる。
本発明の嗜好性フレーバーの製造方法は、嗜好性飲料用素材を気液向流接触蒸留法によって香気成分を回収した後の素材の液状またはスラリー状の残渣液から嗜好性抽出液を得て、次いで、嗜好性抽出液中の香気成分や呈味成分を合成吸着剤に吸着させ、溶媒により脱着して香味成分を得ることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)嗜好性フレーバーの製造方法
A)第一工程:気液向流接触蒸留法処理
本発明の第一工程は、嗜好性飲料用素材に気液向流接触蒸留法を施す工程である。
本発明で利用できる嗜好性飲料用の素材として、例えば、コーヒー;緑茶、ウーロン茶、紅茶、ほうじ茶、プーアル茶、抹茶などの茶;ハトムギ、玄米、大麦、ソバなどの穀物;ラベンダー、ローズマリー、ローズヒップ、ペパーミント、ジャスミン、カモミールなどのハーブ;マテ、ガラナ、ココアなどが挙げられるが、飲料としたときに香りを楽しむことができる素材、具体的にはコーヒーや茶が好ましい。かかる嗜好性素材は、焙煎などの前処理を行なうことで、さらにはその焙煎度(L値)の強弱に応じて、最終的に得られる嗜好性フレーバーの香気や呈味などの風味を変えることもできる。また、コーヒーや茶を使用する場合、それらの銘柄や産地によっても最終的に得られる嗜好性フレーバーの香気や呈味が僅かに異なるので、所望のフレーバーに応じて銘柄や産地を選択することもできる。
本発明では、上記嗜好性素材に気液向流接触蒸留法を用いるが、SCC等の気液向流接触蒸留装置に当該素材を使用するためには、素材を液状化物(液状またはスラリー状)とする必要がある。嗜好性素材を液状またはスラリー状とする方法としては、既知の方法を採用すればよいが、例えば、水抽出あるいは熱水抽出により当該嗜好性素材の抽出液を得る方法、当該嗜好性素材を湿式粉砕してスラリーを得る方法などが挙げられる。気液向流接触蒸留法によって嗜好性素材のもつ香気成分をできる限り得ようとする場合は、嗜好性素材の粉砕物をスラリー化したものを使用することが好ましい。
気液向流接触蒸留法は、特公平7−22646号公報や非特許文献1に開示されている方法によって実施することができる。以下、具体的に説明すると、気液向流接触蒸留装置のカラム上部に予め調製した素材の液状化物を投入する。次いで、液状化物は、回転円錐に入り、円錐の回転による遠心力により薄膜上の液層となり、固定円錐に落下して次の回転円錐に移動する。そして次々とカラム内を移動して最終的にカラム底部から排出される。一方、水蒸気をカラム底部より送り込むことで、液状化物とは逆にカラム上部へと香気成分を回収しながら移動して、最終的にカラム上部から嗜好性素材の香気成分と共に、冷却後、溜出されてくる。こうしてカラム底部より排出されてきた液状化物は、本来、カラム上部から溜出されたアロマを得た後、不要なものとして廃棄されていたが、本発明では次の第二工程で使用する。
本発明における気液向流接触蒸留法の操作条件としては、当該方法を行なう装置の性能、嗜好性素材の種類および濃度、所望とする香気成分の強度によって適宜変更することができるが、一例として下記条件が挙げられる。
原料供給流量:300〜1000L/時
スラリーに対する蒸発量:2〜15%
液状化物加熱温度:60〜110℃
また、当該方法を行うことができる装置の例として、SCC(Spinning Cone Column、フレーバーテック社製)などを挙げることができる。
B)第二工程:合成吸着剤によるフレーバー成分の吸着処理
本発明の第二工程は、前工程で排出された嗜好性素材の液状化物から抽出液を得て、合成吸着剤に前記抽出液中のフレーバー成分を吸着させる工程である。
第一工程で得られた嗜好性素材の液状化物は、前工程の気液向流接触蒸留法を行なう前の状態にもよるが、例えば、嗜好性素材の粉砕物がスラリー化されているように、液体中に素材由来の不溶性固形分が混在している状態であれば、固液分離処理を行う必要がある。一方、気液向流接触蒸留法を行なう前の状態が、不溶性固形分の一切存在していないさらさらな液状であれば、前工程で排出されてきた液状化物をそのまま抽出液として合成吸着剤による処理を行うことができる。
嗜好性素材の液状化物から抽出液を得る方法として、既知の方法であれば限定されないが、遠心分離、スクリュープレス、濾紙もしくは膜による濾過など1種若しくは2種以上を組み合わせることができる。
こうして得られた抽出液は、次いで、合成吸着剤に接触させ、抽出液中のフレーバー成分を吸着させる。使用させる合成吸着剤は、スチレン系として、例えばアンバーライトXAD−16(ローム・アンド・ハース社製);スチレン−ジビニルベンゼン系として、例えばダイヤイオンHP−20、セパビーズSP−700、同SP−70(以上、三菱化学株式会社製);アクリル酸エステル系として、例えばアンバーライトXAD−7HP(ローム・アンド・ハース社製);芳香族系修飾型として、SP−207(三菱化学株式会社製)などの中から1種もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
嗜好性抽出液を合成吸着剤に吸着させる方法としては、カラム方式を採用するのが好ましく、上記合成吸着剤を充填したカラムに、使用する合成吸着剤の2〜100倍量、好ましくは4〜50倍量の抽出液を、合成吸着剤容量に対して時間当たり0.5〜20倍容量の流速(以下SV=0.5〜20と記載)、好ましくはSV=1〜10で通液することで吸着させることができる。次いで、合成吸着剤に付着した夾雑物の除去及びフレーバー成分の回収効率の点から、合成吸着剤に水洗処理を施すことが好ましい。前記水洗処理は、合成吸着剤容量の0.5〜5倍量、好ましくは1〜2倍量の水で行なうことを例示することができる。
C)第三工程:合成吸着剤からのフレーバー成分脱着処理
本発明の第三工程は、前工程で吸着させたフレーバー成分を脱着させて回収する工程である。
前工程により合成吸着剤に吸着されたフレーバー成分は、溶媒により脱着させることができる。脱着に用いることができる溶媒として、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトンなどの有機溶媒を用いることができるが、得られたフレーバーを食品に用いること、作業上の危険性、及び、操作性などを考慮すると、エタノールの使用が好ましい。合成吸着剤から脱着されて得られるエキス量は、合成吸着剤に対し0.1〜10倍量、好ましくは0.5〜5倍量である。エタノールを脱着に用いる場合、エタノール濃度は、10〜100容量%、好ましくは50〜99容量%のエタノール水溶液を使用することができる。脱着の速度は、SV=1〜20、好ましくはSV=2〜5が適当である。
かくして、本発明に係る嗜好性フレーバーを得ることができる。
D)第四工程:気液向流接触蒸留法で得られたアロマとの混合
本発明の第四工程は、目的のフレーバーの香質を改変するためにあるもので、所望の香質に応じて任意に行うことができる。
本工程は、前工程で得られた嗜好性フレーバーと、第一工程の気液向流接触蒸留法で溜出されたアロマとを混合させることによって達成される。
かくして得られた嗜好性フレーバーは、第三工程までで得られた嗜好性フレーバーに比べて、より自然でフレッシュな香味をもつという点で優れている。
(2)嗜好性フレーバーの応用
以上のようにして得られた嗜好性フレーバーは、そのまま或いはさらに濃縮して液状もしくはペースト状製剤とする他、デキストリン、乳糖やアラビアガム等の既知の賦形剤を適宜添加して、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法により粉末化してもよい。
本発明の製造方法によって調製される嗜好性フレーバーは、嗜好性素材特有の香質や呈味が自然な形で表わされており、飲食品や調味料などに添加することで、嗜好性素材の香気や呈味を付与することができ、さらには、極微量添加することで、飲食品や調味料特有の風味を強化することもできる。また、当該嗜好性フレーバーを、それと同様の嗜好性素材から調製した嗜好性飲料へ添加することで、従来の嗜好性飲料では表現することができなかった、香気や呈味を有した飲料を調製することができる。
本発明の製造方法によって調製される嗜好性フレーバーを添加することができる飲食品や調味料として、コーヒー、茶類飲料、穀物茶飲料又はこれらを混合したブレンド飲料、カクテル、その他アルコール飲料、果汁飲料、野菜飲料、炭酸飲料、清涼飲料、乳飲料等の飲料;ドレッシング、マヨネーズ、ソース、たれ、カレー粉などの調味料;麺、蕎麦、パン、粥、ふりかけ、カマボコ、ソーセージ、ハンバーグ、ゼリー、ヨーグルト、プリン、冷菓、ケーキ、和菓子、米菓、スナック菓子、ビスケット、飴、ガム、チョコレート、ジャムなどの加工食品などが挙げられるが特にこれらに限定されない。また、飲食品以外でも、芳香剤、消臭剤、トイレタリー製品などに使用することもできる。
上で述べた飲食品等の製品への本発明にかかる嗜好性フレーバーの配合量は、使用対象、目的や得られたフレーバーの力価に応じて適宜調整することができるが、0.0001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%を例示することができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは「重量部」を、「%」は「重量%」を意味するものとする。
実験例1:コーヒーフレーバーの調製
(1)第一工程の違いによって調製されたコーヒーフレーバーの香気性及び呈味性I
(実施例1)
A)第一工程
焙煎したコーヒー豆(ブラジル豆、L値=22)を90kg/時、水道水510kg/時の比でコミトロールプロセッサ(アーシェル社製)に連続的に供給し湿式粉砕し、粉砕コーヒー豆の平均粒子径が850μmである、15%コーヒースラリーを得た。得られたスラリーは均一になるようスラリータンク内で常時攪拌し、気液向流接触蒸留装置(SCC,フレーバーテック社製)に600L/時の流量速度で供給した。同時に気液向流接触蒸留装置の下部から、蒸留温度100℃、36kg/時の速度で水蒸気を供給した。
B)第二工程
気液向流接触蒸留装置の下部から排出されたコーヒースラリーはスクリュープレス(Flavourtech Cone Press,フレーバーテック社製)にて、コーヒースラリーから液体部分であるコーヒー抽出液を分離し、濾過した。次いで、合成吸着剤SP−700(三菱化学株式会社製)25Lを充填した樹脂塔に、前記コーヒー抽出液200kgをSV=2.5で通液した。その後、SV=2.5で25Lの水で洗浄した。
C)第三工程
水洗い後、合成吸着剤に吸着されたフレーバー成分を脱着させるために、エタノール濃度が95容量%のエタノール水溶液を用いてSV=2.5の条件で通液し、25kgのSCCコーヒーエキスを得た。
(比較例1)
A)第一工程
粉砕した焙煎コーヒー豆(ブラジル豆、L値=22)40kgに水道水227kgを加え、90℃で15分攪拌抽出し、次いで、スクリュープレスで固液分離し、さらに濾過することで、コーヒー熱水抽出液を得た。
B)第二工程
前工程で得られた熱水抽出液は、合成吸着剤SP−700(三菱化学株式会社製)25Lを充填した樹脂塔に、抽出液200kgをSV=2.5で通液した。その後、SV=2.5で25Lの水で洗浄した。
以下、実施例1に従って、C)工程を行い、25kgの熱水抽出コーヒーエキスを得た。
(比較例2)
A)第一工程
粉砕した焙煎コーヒー豆(ブラジル豆、L値=22)20kgを多機能抽出装置(イズミフードマシナリ社製)に仕込んだ後、蒸気流量400L/時で蒸留し、溜出されたアロマを回収した後、残った粉砕コーヒー豆残渣28.2kgを得た。
B)第二工程
前記工程で得られた水蒸気蒸留後のコーヒー残渣28.2kgに、92℃60Lの熱水にて散水し、Brix 5°の抽出液48kgを得た。次いで、合成吸着剤SP−700(三菱化学株式会社製)8Lを充填した樹脂塔に、前記抽出液48kgをSV=2.5で通液した。その後、SV=2.5で25Lの水で洗浄した。
C)第三工程
水洗い後、合成吸着剤に吸着されたフレーバー成分を脱着させるために、エタノール濃度が95容量%のエタノール水溶液を用いてSV=2.5の条件で通液し、8kgの水蒸気蒸留コーヒーエキスを得た。
実施例1及び比較例1,2で得られた各抽出エキスを、下記の処方に基づいて調製したコーヒー飲料に豆換算で0.1%相当量を添加し、その香気と呈味に関して、よく訓練された7名の評価員により、トップの広がり、原料豆の香気感、コーヒー香の甘味性、風味のナチュラルさ、まろやかさについて官能評価する試験を実施した。
<コーヒー飲料の処方>
牛乳 10 g
砂糖 5 g
コーヒー抽出液(Bx.2.8) 37 g
水にて合計 100.00g。
それぞれの項目について、「強く感じられた場合:10点」、「普通に感じられた場合:5点」、「弱く感じられた場合:1点」と配点する評価をした。7名の評価員の合計点を集計し、3つのサンプルの中で最も一般的なフレーバーの製造方法である比較例1の熱水抽出エキスを100として、他の実施例1と比較例2について相対的に評価した。尚、当該評価は、試験する飲料に添加したエキスがどのような製造を経て調製されたものか評価員に伏せた状態で行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005129190
上記表1の結果より、本発明により製造されたSCCコーヒーエキスは、香気と呈味がいずれも強く、それでいて、全体のバランスが非常によく、コーヒーの濃厚感及び素材感が香りと味の両面で素直に表現されており、特に初発の香気発現性が優れていて、淹れたてのコーヒーのような嗜好性に富むコーヒーフレーバーであった。
本発明により製造されたSCCコーヒーエキスと従来の製造方法によって調製されたコーヒーエキスを比較すると、実施例1のSCCコーヒーエキスは、第一工程を熱水抽出に置き換えた比較例1のコーヒーエキスに比べて、香気性及び呈味性が全体的に強く発現しており、素材が本来有する香気成分や呈味成分を比較例1のコーヒーエキスに比べて無駄なく抽出することができたといえる。また、実施例1のSCCコーヒーエキスと、第一工程を水蒸気蒸留に置き換えた比較例2のコーヒーエキスとを比べると、本発明により調製された実施例1のコーヒーエキスは、全体的に甘い印象が特徴的であった比較例2のコーヒーエキスにコーヒー香の甘味性の点で劣るものの、他の点、例えばコーヒーの深い香りや素材感に優れており、比較例2のコーヒーエキスと異なる良好な香調を示した。
(2)第一工程の違いによって調製されたコーヒーフレーバーの香気性及び呈味性II
(実施例2)
A)第一工程
焙煎したコーヒー豆(ブラジル豆、L値=22)を90kg/時、水道水510kg/時の比でコミトロールプロセッサ(アーシェル社製)に連続的に供給し湿式粉砕し、粉砕コーヒー豆の平均粒子径が850μmである、15%コーヒースラリーを得た。得られたスラリーは均一になるようスラリータンク内で常時攪拌し、気液向流接触蒸留装置(SCC,フレーバーテック社製)に600L/時の流量速度で供給した。同時に気液向流接触蒸留装置の下部から、蒸留温度100℃、36kg/時の速度で水蒸気を供給し、SCCコーヒーアロマ12.5kgを得た。
以下、実施例1に従って、B)工程及びC)工程を行い、25kgのSCCコーヒーエキスを得た。
D)第四工程
次いで、前記C)工程までで得られたSCCコーヒーエキス25kgに、第一工程で回収したSCCコーヒーアロマ12.5kgを混合し、37.5kgのSCCコーヒーアロマエキスを得た。
(比較例3)
A)第一工程
粉砕した焙煎コーヒー豆(ブラジル豆、L値=22)20kgを多機能抽出装置(イズミフードマシナリ社製)に仕込んだ後、蒸気流量400L/時で蒸留し、溜出された水蒸気蒸留コーヒーアロマ16kgを回収した後、残った粉砕コーヒー豆残渣28.2kgを得た。
以下、比較例2のB)工程及びC)工程に従い、8kgの水蒸気蒸留抽出コーヒーエキスを得た。
D)第四工程
次いで、前記工程で得られた水蒸気蒸留抽出コーヒーエキス8kgに、第一工程で回収した水蒸気蒸留コーヒーアロマ16kgを混合し、24kgの水蒸気蒸留コーヒーアロマエキスを得た。
実施例2及び比較例3で得られた各コーヒーアロマエキスを、実験例1の(1)と同じ処方で調製したコーヒー飲料に豆換算で0.1%相当量を添加し、その香気と呈味に関して実施例1(1)と同様の官能評価で試験した。尚、本試験では比較例3のコーヒーアロマエキスを100として、実施例2を相対的に評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0005129190
上記表2の結果より、本発明により製造されたSCCコーヒーアロマエキスは、香気と呈味がいずれも極めて強く、それでいて、全体のバランスが非常によく、コーヒーの濃厚感及び素材感が香りと味の両面で素直に表現されていた。また、当該実施例2のSCCコーヒーアロマエキスは、実施例1のSCCコーヒーエキスよりも、香気及び呈味がさらに強く発現しており、淹れたてのコーヒーを凌ぐくらい嗜好性に非常に富んだコーヒーフレーバーであった。SCCコーヒーアロマエキスの香気及び呈味の発現性と持続性は、実施例1のSCCコーヒーエキスに実施例2の第一工程で回収したSCCコーヒーアロマを配合したものであると到底予想できないほど良質なコーヒーフレーバーであった。
本発明により製造されたSCCコーヒーアロマエキスと、比較例3の水蒸気蒸留コーヒーアロマエキスとを比較すると、比較例3のコーヒーアロマエキス自体かなり良好な香気及び呈味を表わしていたが、実施例2のSCCコーヒーアロマエキスは、水蒸気蒸留コーヒーアロマエキスに比べ、原料豆の素材感が強く発現しており、全体的にフレッシュな印象でコーヒーの自然な風味、深い味わいが表現されていた。
(3)第二工程の違いによって調製されたコーヒーフレーバーの香気性及び呈味性
(比較例4)
実施例2に従ってA)工程を行い、SCCコーヒーアロマ12.5kg及びコーヒースラリーを得た。
B)第二工程
気液向流接触蒸留装置の下部から排出されたコーヒースラリーは、スクリュープレス(Flavourtech Cone Press,フレーバーテック社製)にて、コーヒースラリーから液体部分である抽出液を分離し、濾過した。次いで、弱陰イオン交換樹脂ダイヤイオンWA−30(三菱化学株式会社製)25Lを充填した樹脂塔に、前記抽出液200kgをSV=2.5で通液した。その後、SV=2.5で25Lの水で洗浄した。
C)第三工程
水洗い後、弱陰イオン交換樹脂に吸着されたフレーバー成分を脱着させるために、95%エタノールを用いてSV=2.5の条件で通液し、25kgの陰イオン交換樹脂コーヒーエキスを得た。
D)第四工程
次いで、前記工程で得られた陰イオン交換樹脂コーヒーエキス25kgに、第一工程で回収したSCCコーヒーアロマ12.5kgを混合し、37.5kgの陰イオン交換樹脂コーヒーアロマエキスを得た。
(比較例5)
実施例2に従ってA)工程を行い、SCCコーヒーアロマ12.5kg及びコーヒースラリーを得た。
B)第二工程
気液向流接触蒸留装置の下部から排出されたコーヒースラリーは、スクリュープレス(Flavourtech Cone Press,フレーバーテック社製)にて、コーヒースラリーから液体部分である抽出液を分離し、濾過した。次いで、弱陽イオン交換樹脂ダイヤイオンWK−100(三菱化学株式会社製)25Lを充填した樹脂塔に、前記抽出液200kgをSV=2.5で通液した。その後、SV=2.5で25Lの水で洗浄した。
C)第三工程
水洗い後、弱陽イオン交換樹脂に吸着されたフレーバー成分を脱着させるために、95%エタノールを用いてSV=2.5の条件で通液し、25kgの陽イオン交換樹脂コーヒーエキスを得た。
D)第四工程
次いで、前記工程で得られた陽イオン交換樹脂コーヒーエキス25kgに、第一工程で回収したSCCコーヒーアロマ12.5kgを混合し、37.5kgの陽イオン交換樹脂コーヒーアロマエキスを得た。
実施例2及び比較例4,5で得られた各コーヒーアロマエキスを、実験例1の(1)と同じ処方で調製したコーヒー飲料に0.1%添加し、その香気と呈味に関して実施例1(1)と同様の官能評価で試験した。尚、本試験では比較例4のアロマエキスを100として、実施例2を相対的に評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0005129190
上記表3の官能評価の結果より、本発明により製造されたSCCコーヒーアロマエキスは、第二工程の合成吸着剤に代えてイオン交換樹脂を用いた比較例4,5と比較すると、全体的に香りと味が強く発現しており、とりわけ、初発の香気発現性が極めて良好であった。このことから、実施例2のSCCコーヒーアロマエキスの方がコーヒーフレーバーとして高力価であることが判明した。
実験例2:異なる合成吸着剤によって調製されたコーヒーフレーバーと香気成分の分析
合成吸着剤の化学構造の違いと、コーヒーフレーバーの香気性及び呈味性に関する特徴の違いを調べた。さらには、合成吸着剤からフレーバーを脱着させるエタノール濃度の違いによる、コーヒーフレーバーの香気性及び呈味性に関する特徴の違いも検討した。また、これらに関して、それぞれの製造方法で得られたフレーバー中の香気成分濃度を分析した。
尚、本試験で使用するコーヒーフレーバーは、下記表4に記載する事項を除き、実施例1の方法に従って調製し、コーヒーエキスを得て使用した。また、本試験の対照例として、気液向流接触蒸留装置で処理したスラリーから液体部分を分離し、濾過した後(合成吸着剤処理を行う前)の抽出液を用いた。
Figure 0005129190
対照例及び実施例3〜10で得られた各コーヒーエキスを、実験例1の(1)と同じ処方で調製したコーヒー飲料に、本試験では豆換算で0.1%相当量を添加し、その香気と呈味に関して実施例1(1)と同様の官能評価で試験した。尚、本試験では対照例のコーヒーエキスを100として、実施例3〜10を相対的に評価した。その結果を表5に示す。
Figure 0005129190
次いで、各コーヒーエキス中に含まれる香気成分濃度について、GCMS(GC : Agilent Technologies 6890N, MS : Agilent Technologies 5973 Inert 、Column:DB-WAX(60m x 0.25mm i.d., Agilent Technologies)、Oven Temp.:50(2min)-220℃, 3 ℃/min)により内部標準液(3-heptanol)を用いて測定した。結果は表6に示す。
Figure 0005129190
上記表5,6の結果より、合成吸着剤を用いることで、吸着剤の化学構造や脱着に使用したエタノール濃度に係らず、香気と呈味が増すことが判明した。とりわけ、合成吸着剤処理を行ったコーヒーエキスの全てに共通して、香気発現性が非常に良好で、かつ、香りと味の深み、いわゆるコーヒーのコクと濃厚感がうまく表現されていた。また、表5より、評価基準によって(例えばコーヒー香の甘味性)は、対照例と同等程度の香気性だったものもあった。このことは、使用する合成吸着剤によって香気成分が選択的に濃縮されていて、結果、吸着剤の化学構造とエタノール濃度の違いにより、多様な香気と呈味が示されるものと考えられる。したがって、所望のフレーバーを得るために僅かに香調を変化させたい場合は、合成吸着剤を変更したり、脱着に用いる溶媒を変更することが有効であることがわかる。
実験例3:紅茶フレーバーの調製
(実施例11)
A)第一工程
紅茶葉(セイロン紅茶)25kgを42kg/時、水道水558kg/時の比でコミトロールプロセッサ(アーシェル社製)に連続的に供給し湿式粉砕し、7%の紅茶スラリーを得た。得られたスラリーは均一になるようスラリータンク内で常時攪拌し、気液向流接触蒸留装置(SCC,フレーバーテック社製)に600L/時の流量速度で供給した。同時に気液向流接触蒸留装置の下部から、蒸留温度100℃、36kg/時の速度で水蒸気を供給し、SCC紅茶アロマ15kgを得た。
B)第二工程
気液向流接触蒸留装置の下部から排出されたスラリーは、スクリュープレス(Flavourtech Cone Press,フレーバーテック社製)にて、スラリーから液体部分である抽出液を分離し、濾過した。次いで、合成吸着剤SP−700(三菱化学株式会社製)10Lを充填した樹脂塔に、前記抽出液280kgをSV=5で通液した。その後、SV=5で10Lの水で洗浄した。
C)第三工程
水洗い後、合成吸着剤に吸着されたフレーバー成分を脱着させるために、エタノール濃度が95容量%のエタノール水溶液を用いてSV=5の条件で通液し、10kgのSCC紅茶エキスを得た。
D)第四工程
次いで、前記工程で得られたSCC紅茶エキス10kgに、第一工程で回収したSCC紅茶アロマ15kgを混合し、25kgのSCC紅茶アロマエキスを得た。
(比較例6)
実施例11のA)工程で得られたSCC紅茶アロマを使用した。
実施例11及び比較例6で得られたアロマエキスとアロマを、下記の処方に基づいて調製した紅茶飲料に生茶葉換算で0.1%相当量を添加し、その香気と呈味に関して、5名の評価員で評価したことを除いて実施例1(1)と同様の官能評価で試験した。尚、本試験では比較例6のアロマを100として、実施例11を相対的に評価した。その結果を表7に示す。
<紅茶飲料の処方>
紅茶抽出液(Bx.0.7) 29 g
砂糖 3 g
水にて合計 100.00g。
Figure 0005129190
上記表7の結果より、本発明により製造されたSCC紅茶アロマエキスは、原料にコーヒーを用いたときと同様に、香気と呈味がいずれも強く、それでいて、全体のバランスが非常によく、紅茶の自然な風味がボディ感を伴って表現されていた。また、本発明により製造されたSCC紅茶アロマエキスは、比較品であるSCC紅茶アロマと比べたところ、香気および呈味がさらに強く発現しており、自然でフレッシュな香味を持つ紅茶を調製することができた。
実験例4:嗜好性フレーバーの応用
(実施例12)コーヒーゼリー
実施例1で調製したSCCエキスフレーバーを用いて下記処方のコーヒーゼリー(本発明のコーヒーゼリー)を調製した。
<コーヒーゼリーの処方>
砂糖 5 g
果糖ぶどう糖液糖 15 g
コーヒーエキス(Bx.50) 1 g
ゲル化剤 1 g
実施例1で調製したフレーバー 0.1g
水にて合計 100.00g。
上記により得られた本発明のコーヒーゼリーは、ゼリーカップの封を開けた瞬間、焙煎コーヒー豆の深く自然な香りが漂い、食してみても、非常に優れたコーヒー特有の呈味を示していた。
(実施例13)紅茶アイス
実施例11で調製したSCC紅茶アロマエキスフレーバーを用いて下記処方の紅茶アイス(本発明の紅茶アイス)を調製した。
<紅茶アイスの処方>
全脂加糖煉乳 10 g
無塩バター 8.5g
生クリーム 10 g
脱脂粉乳 5 g
砂糖 5 g
水飴 10 g
安定剤 0.3g
乳化剤 0.2g
実施例11で調製したフレーバー 0.2g
水にて合計 100.0g。
上記により得られた本発明の紅茶アイスは、口に入れた瞬間、紅茶葉が有する自然でフレッシュな香りが漂い、茶葉が有する濃厚感を持った深い味わいを呈していた。
本発明により、力価が強く、従来にない嗜好性素材の香気と呈味が表現されている嗜好性フレーバーを製造することができる。さらには、本発明で得られたフレーバーを調合香料素材として添加すれば、コーヒーや茶類特有の香気だけでなく、特徴のある風味付けを表現することができ、各種飲食品、調味料などの香味増強剤あるいは呈味改善剤として好適である。また、通常は廃棄される液状またはスラリー状物質の有効利用ともなり、資源の有効活用の面からも、環境にやさしい嗜好性素材のフレーバーを提供することができる。

Claims (8)

  1. 以下の(A)〜(C)の工程を経ることを特徴とする嗜好性フレーバーの製造方法;
    (A)嗜好性飲料用素材の液状化物に気液向流接触蒸留法を行なう工程、
    (B)(A)工程後の嗜好性飲料用素材の残渣に含まれるフレーバー成分を合成吸着剤に吸着させる工程、
    (C)(B)工程で吸着させたフレーバー成分を溶媒により脱着させて回収する工程。
  2. 以下の(A)〜(D)の工程を経ることを特徴とする嗜好性フレーバーの製造方法;
    (A)嗜好性飲料用素材の液状化物から気液向流接触蒸留法によりアロマを回収する工程、
    (B)(A)工程後の嗜好性飲料用素材の残渣に含まれるフレーバー成分を合成吸着剤に吸着させる工程、
    (C)(B)工程で吸着させたフレーバー成分を溶媒により脱着させて回収する工程。
    (D)(A)で得られたアロマと(C)で得られたエキスとを混合する工程。
  3. 前記嗜好性飲料用素材がコーヒーまたは茶である、請求項1又は2に記載の嗜好性フレーバーの製造方法。
  4. 前記(C)工程の合成吸着剤が、スチレン系、スチレン−ジビニルベンゼン系、アクリル酸エステル系、芳香族系修飾型からなる群より選択されるいずれか一種類である、請求項1乃至3の何れかに記載の嗜好性フレーバーの製造方法。
  5. 前記(C)工程の合成吸着剤からフレーバー成分を脱着させる溶媒が、エタノール濃度50〜99容量%のエタノール水溶液である、請求項1乃至4の何れかに記載の嗜好性フレーバーの製造方法。
  6. 請求項1乃至5の何れかによって得られる嗜好性フレーバーを、飲食品に添加することを特徴とする、飲食品の呈味増強方法。
  7. 請求項1乃至5の何れかに記載の方法によって調製される嗜好性フレーバー。
  8. 請求項7の嗜好性フレーバーを添加してなる飲食品。
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