JP5125677B2 - スピーカ用振動板及びそれを用いたスピーカとスピーカ用振動板の製造方法 - Google Patents

スピーカ用振動板及びそれを用いたスピーカとスピーカ用振動板の製造方法 Download PDF

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本発明は、スピーカ用振動板及びそれを用いたスピーカに関するものである。
スピーカが優れた音質にて音を再生するためには、スピーカに用いられるスピーカ用振動板が大きなヤング率と適度な内部損失を兼ね備えることが必要となる。
このため、例えば特許文献1では、図9の斜視図に示すような無機繊維織布101と、さらにその下面に天然繊維不織布102を重ね合わせた積層体103にて構成されたスピーカ用振動板104が提案されていた。
すなわち、特許文献1に記載のスピーカ用振動板104では、内部損失は小さいが大きなヤング率を有する無機繊維織布101と、ヤング率は小さいが大きな内部損失を有する天然繊維不織布102とを貼り合わせることにより、ヤング率と内部損失の両方に優れた特性を実現しようとするものであった。
特開2003−219493号公報
しかしながら、上記従来のスピーカ用振動板104では、互いに異なる性質を有する無機繊維織布101と天然繊維不織布102とを単に貼り合わせた構成としているため、無機繊維織布101と天然繊維不織布102とは十分に一体化しているとは言い難いものであった。
したがって、従来のスピーカ用振動板104では、無機繊維織布101の有する大きなヤング率と天然繊維不織布102の有する大きな内部損失とを存分に発揮させることは難しく、スピーカの音質の向上が十分に図れるものではなかった。
そこで、本発明はスピーカ用振動板のヤング率と内部損失を高めることにより、スピーカの音質を向上させることを目的とする。
そして、この目的を達成するために本発明におけるスピーカ用振動板は、熱硬化性樹脂を含浸した織布層と、この織布層の裏面側に少なくとも熱をかけて圧着一体化された不織布層とを備え、前記不織布層には竹繊維が混入された構成とした。
上記構成により本発明は、スピーカ用振動板のヤング率と内部損失を高めることができ、スピーカの音質を向上させることができる。
これは、本発明のスピーカ用振動板を構成する不織布層に竹繊維が混入されていることによる。
すなわち、竹繊維は硬く、剛性・強靭性が高いため、熱圧着前の不織布層の表面においては、針葉樹パルプ繊維が不織布層の表面に沿った方向(寝た状態)に配されやすいのに対し、竹繊維は不織布層の表面に対し起こり立った状態となりやすい。したがって、熱圧着させる前の不織布層の表面には竹繊維による毛羽が多く存在し、不織布層と織布層を熱圧着により一体化させる際には、これらの毛羽が織布層の編目に入り込むこととなる。この状態で不織布層と織布層を熱圧着一体化させると、織布の編目に入り込んだ毛羽が織布の織糸と絡み合い、不織布層と織布層とを十分に一体化させることが可能となる。
この結果、不織布層と織布層とが十分に一体化した振動板となり、本発明のスピーカ用振動板では織布層の有する優れたヤング率と、不織布層の有する優れた内部損失を十分に発揮させることができるのである。
また、本発明のスピーカ用振動板では、混入した竹繊維自身の有する高い剛性・強靭性によりヤング率はさらに向上することにもなる。
したがって、本発明によるスピーカ用振動板はスピーカの音質を向上させることができるのである。
以下、本発明の一実施形態の構成について図面を用いて説明する。
図1(a)にスピーカ用振動板1の斜視図、図1(b)にスピーカ用振動板を表面側から見たときの要部拡大図を示す。図1(a)に示されるように、本実施形態のスピーカ用振動板1は、織布層2の層と不織布層3の層との2層構造となっており、さらに後述するように不織布層3の毛羽4が織布層2に絡みついた構成となっている。
織布層2は、図1(a)に示されるように、縦糸5及び横糸6の2種類の織糸7を格子状に織ることによって形成されており、この格子縞はスピーカ用振動板1をスピーカに搭載させた際に、スピーカの表面に表出した状態となる。これら縦糸5と横糸6の内部及び外周部には熱硬化性樹脂(図示せず)が存在する状態となっており、この熱硬化性樹脂が熱硬化することにより、縦糸5と横糸6自体、及びそれらを織ることで形成された織布層2が硬化した状態となっている。
なお、この織布層2は、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、綿繊維、カーボン繊維、ガラス繊維、絹繊維などの高強度繊維のうち少なくとも一つを含有した構成とし、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂の少なくとも一つを含有する樹脂を用いている。
不織布層3は、針葉樹パルプ繊維に竹繊維を0.5wt%以上20wt%以下の含有量で混入させて形成されている。この不織布層3に混入されている竹繊維は、ミクロフィブリル状態となるまで小さく叩解され、その平均繊維径を5μm以下としたことにより、針葉樹パルプ繊維と十分に絡みあった状態となっている。
また、不織布層3は熱圧着により織布層2の背面側に一体化されている。このように、織布層2の背面側には不織布層3が熱圧着一体化されているため、スピーカ用振動板1の表面側から裏面側にかけて空気が通過することはない。
さらに、この不織布層3を構成する竹繊維及び針葉樹パルプ繊維は、織布層2の隣り合う縦糸5及び横糸6によって囲まれた部分である編目8に充填され、不織布層3の竹繊維および針葉樹パルプ繊維の毛羽4は、図1(b)に示すように織布層2の表面側(不織布層3との接合面とは逆の面側)から縦糸5及び横糸6に絡みつき、織糸7とともに熱硬化性樹脂により硬化した構造となっている。すなわち、スピーカ用振動板1は、熱により熱硬化性樹脂を硬化させ、織布層2と不織布層3を圧着一体化させたことに加え、竹繊維により織布層2と不織布層3とが圧着一体化していることになる。なお、編目8とは厳密には縦糸5及び横糸6によって囲まれた面を底面とした略直方体部分を指す。
ここで、図1(b)の点線部AA'における断面模式図を図2に示す。
すなわち、本実施形態におけるスピーカ用振動板1では、図2に示すように、縦糸5の間の編目8部分には不織布層3の竹繊維および針葉樹パルプ繊維が充填されており、不織布層3の竹繊維および針葉樹パルプ繊維の毛羽4は織布層2の表面側から縦糸5に絡みついた状態で熱圧着されているのである。なお、ここでは縦糸5に毛羽4が絡み付いている様子について説明したが、横糸6においても縦糸5と同様に毛羽4が絡みついた状態となっている。
次に、以上に述べた本実施の形態におけるスピーカ用振動板1を用いたスピーカ11の断面図を図3に示す。
図3に示すように、スピーカ11は、円筒状の磁気ギャップ12を有する磁気回路13と、この磁気ギャップ12内にコイル14部分が可動自在に配置された円筒状のボイスコイル体15とを備えている。
そして、このボイスコイル体15の上端付近の外周部分にコーン形状のスピーカ用振動板1の内周部分が連結され、さらにこのスピーカ用振動板1の外周部分は、リング状の第一のエッジ16を介して深皿状のフレーム17の上面開口部分に連結されている。なお、このスピーカ用振動板1内周部分付近には、ボイスコイル体15の上面側を覆うように半球状のダストキャップ18が設けられており、このダストキャップ18は磁気ギャップ12への粉塵や水分等の侵入を防止する機能を有している。
また、ボイスコイル体15のコイル14からの引出線19を、このボイスコイル体15の上部から、前記スピーカ用振動板1とは非接触状態で前記フレーム17の外部へと引出している。この引出線19を介して音声信号を付加した交流電流がスピーカ外部からコイル14へと流される仕組みとなっている。
さらに、このボイスコイル体15の、前記引出線19引出部と磁気ギャップ12内配置部分との間部分には、弾性体により形成した平面形状がリング状である第二のエッジ20の内周端がサスペンションホルダ21を介して連結されている。また、この第二のエッジ20の他端側は前記フレーム17の内面中間部分に結合させている。
これらの第二のエッジ20と前記第一のエッジ16はウレタンまたはゴムなどの弾性体により形成されたものであるが、第二のエッジ20は下方に、また第一のエッジ16は上方へと互いに反対方向に突出する形状にしている。
このように、第一のエッジ16と第二のエッジ20をそれぞれ逆方向に突出する形状としたことにより、ボイスコイル体15の上、下方向への可動負荷が近似することになる。
したがって、スピーカ用振動板1の動作も上、下方向に対称性を持つようになり、その結果、スピーカ11から再生される音声に含まれる歪みを低減することができる。
以下、本実施形態の動作及び効果について説明する。
以上のように構成されたスピーカ11のボイスコイル体15に、音声信号を流すと、磁気ギャップ12が形成する磁界と反応し、ボイスコイル体15には駆動力が発生する。この駆動方向はフレミング左手の法則に従い、ボイスコイル体15は上下方向に変動する。そして、このボイスコイル体15の変動により、ボイスコイル体15にその内周部分が連結されたスピーカ用振動板1も同様に上下方向に振動し、空気を動かすことでスピーカ11から音声が発生する仕組みとなっている。
しかしながら、スピーカ用振動板を、織布と紙などの部材同士を重ね合わせて形成する場合、これらの部材同士は互いに性質が異なるため十分に一体化することはできなかった。この結果、このような構成のスピーカ用振動板は、熱硬化性樹脂で固着した織布層の大きなヤング率と不織布層の大きな内部損失とを最大限に発揮させることは難しく、スピーカの音質の向上が十分に図れるものではなかった。
そこで、本実施形態のスピーカ用振動板1では、不織布層3に竹繊維を混入させた構成とした。
このように、竹繊維を混入させた不織布層3では、竹繊維が剛性・強靭性が高いという特性を有しているため、不織布層3の表面に対して竹繊維が起こり立った状態となりやすい。このため、竹繊維による不織布層3の表面に対して起こり立った状態の毛羽4が多く発生し、この毛羽4が織布層2の編目8に充填されることになる。そして、本実施形態のスピーカ用振動板1は、毛羽4が織布層2の編目8に充填され、さらに毛羽4が織布層2の織糸7に絡みついた状態で熱硬化性樹脂にて熱圧着一体化されているため、織布層2と不織布層3が強固に一体化されることとなる。
したがって、本実施形態のスピーカ用振動板1は、一般に織布層2の裏面側のみが不織布層3の層に貼り合わされた構成となっている従来のスピーカ用振動板4と比較して、織布層2と不織布層3とを十分に一体化した構成となっており、この結果、織布層の有する優れたヤング率と、不織布層の有する優れた内部損失を存分に発揮させることができるのである。
また、竹繊維は高い剛性・強靭性を有しているため、この竹繊維自身の剛性・強靭性によりスピーカ用振動板1のヤング率は、さらに高められることになる。
以上、説明したように本実施形態におけるスピーカ用振動板1は、内部損失及びヤング率を高めることができ、スピーカ11の音質を高めることができるのである。また、上述したように本実施形態のスピーカ用振動板1では、織布層2と不織布層3とを強固な接合力にて接合することができるため、織布層2と不織布層3が剥離する可能性を極めて低くすることもできる。
なお、不織布層3に混入させる材料として竹繊維を用いた本実施形態のスピーカ用振動板1は、コスト面・環境面においても優れるものである。すなわち、従来のスピーカ用振動板の材料として用いられてきた針葉樹は、スピーカ用振動板以外にも様々な用途として世界各地で伐採されるため、現在では針葉樹不足に陥ることが危惧されている状態にある。一方、竹は針葉樹に比べアジアを中心に数多く存在し、また成長速度も非常に速いことから針葉樹伐採のように環境面に悪影響を与えることはないと考えられる。このような状況を踏まえて本実施形態では竹繊維を不織布層3に混入し、不織布層3に占める針葉樹パルプ繊維の割合を減らしたものである。この結果、本実施形態におけるスピーカ用振動板1は、低コストで、かつ環境面に悪影響を与えることなく製造可能なものとなっている。
また、本実施形態において不織布層3に混入した竹繊維は、叩解によりその平均繊維径が5μm以下のミクロフィブリル状態としている。このように、混入する竹繊維をミクロフィブリル状態とすると、竹繊維と針葉樹パルプ繊維の絡み合いを良好化させることができ、スピーカ用振動板のヤング率を向上させることができる。
なお、本実施形態においては、不織布層3に混入した竹繊維の平均繊維径を5μm以下としたが、これに限らず竹繊維の平均繊維径を5μm以上としてもよい。このように、竹繊維の平均繊維径を5μm以上とした場合は、平均繊維径を5μm以下とした場合に比べ、竹繊維と針葉樹パルプ繊維の絡み合いを強化させる力は低減されることになるが、従来の振動板と比較すると十分に優れたヤング率及び内部損失を有している。また、不織布層3を竹繊維のみで構成し、スピーカ用振動板1を形成してもよい。この場合は、竹繊維本来の特性が発揮され、すなわち竹繊維の有する剛性・強靭性により、従来のスピーカ用振動板と比べ、ヤング率を高いものとすることができる。
また、織布層2に含まれる熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂の少なくとも一つを含有する樹脂を用いるのが望ましい。これらの樹脂を含有する樹脂であれば、熱圧着時に十分に硬化しスピーカ用振動板1の硬度を高めることができ、スピーカ用振動板1のヤング率を大きくすることができる。
また、不織布層3にはアラミド繊維を混入してもよい。このように、硬度の高いアラミド繊維を不織布層3に混入すると、スピーカ用振動板1の強度を高めることができ、これに伴ってスピーカ用振動板1の硬度も増すため、よりヤング率を高めることができる。なお、このようにアラミド繊維を混入した場合においても、竹繊維をミクロフィブリル状態まで叩解しておけば、竹繊維はアラミド繊維と十分に絡み合うことができ、竹繊維の特性を発揮させることができる。
同様に、織布層2は、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、綿繊維、カーボン繊維、ガラス繊維、絹繊維などの硬度の高い繊維のうち少なくとも一つを含有する織布を用いるのが望ましい。これらの繊維を含有する織布を用いれば、織布層2の硬度を向上させることができ、スピーカ用振動板1のヤング率を高めることができる。
また、このスピーカ用振動板1を搭載したスピーカにおいては、スピーカ表面に、織布層2の格子縞を表出させていることが望ましい。
すなわち、スピーカ用振動板1をスピーカに搭載した際に、図1(a)にて示される縦糸5と横糸6が織り成す格子縞をスピーカの表面に表出させるように構成すれば、スピーカ用振動板1の局部的な共振作用の発生を防止することができる。
以下、本実施形態のスピーカ用振動板1の製造方法について説明する。
図4は、スピーカ用振動板1を形成するための第一の金型22と第二の金型23で構成された成型機を示している。
第一の金型22は、下方に突出する成形型を備えた円錐台形状となっており、また第二の金型23は、この第一の金型22の円錐台形状が嵌合される皿形状となっている。これら第一の金型22、第二の金型23には図示していないが、加熱用のヒーターが取り付けられている。
このような第一の金型22、第二の金型23を用意し、先ずは第一の金型22を第二の金型23の上方向に引き離す。
次に、第二の金型23上に皿状の抄紙スクリーン24を載せる。
この抄紙スクリーン24は、図5に示すように不織布層3の原料となる針葉樹パルプ繊維及び竹繊維を溶解槽からすくい上げた状態となっており、抄紙スクリーン24上には繊維及び竹繊維にて構成された厚みがおよそ10mmの堆積層25が形成されている。なお、溶解槽にはフィブリル状態となった竹繊維が満遍なく混入されているため、堆積層25内にも竹繊維が満遍なく存在し、ランダムに配向された状態となっている。また、溶解槽内に混入された竹繊維の量は、堆積層25の水分を蒸発させたときに竹繊維が0.5wt%以上20wt%以下となるように調整されている。
この状態で、第二の金型23の加熱用のヒーターを駆動させ、堆積層25に含まれる水分を加熱蒸発させる。ここで、第一の金型22が押し下げられることはないので、第一の金型22と第二の金型23にて堆積層25を圧縮することはない。すなわち、堆積層25は非加圧状態で加熱乾燥されることとなる。なお、本実施形態では、第二の金型23に取り付けられた加熱用のヒーターのみを駆動させたが、第二の金型23に埋め込まれた加熱用のヒーターだけでなく第一の金型22に取り付けられた加熱用のヒーターを同時に駆動させてもよい。あるいは、加熱用のヒーターを駆動させることなく、堆積層25をドライヤーなどの温風で乾燥させても良いし、自然乾燥させてもよい。
このように、堆積層25を非加圧状態で加熱乾燥させると、堆積層25はパルプ溶解液からすくい上げたままの状態で乾燥するため、図6に示すように、乾燥後の堆積層25の第一の金型22と対向する面には竹繊維および針葉樹パルプ繊維による多数の毛羽25aが発生し、堆積層25の表面は毛羽立った状態となっている。
特に、針葉樹パルプ繊維に比べ、竹繊維の毛羽25aは、堆積層25の表面に対して起こり立った状態となっている。これは、針葉樹パルプ繊維が乾燥後に堆積層25の表面に臥し、堆積層25の表面に沿う方向(表面に対して寝た状態)に配されてしまう傾向があるのに対し、竹繊維は針葉樹パルプ繊維に比べ剛性・強靭性が高いため乾燥前の状態を保持しやすい傾向を持つことによる。すなわち、乾燥前の堆積層25の表面において、表面に沿う方向以外に配向されていた竹繊維が加熱乾燥される際にそのままの状態を保持し、この結果、乾燥後の堆積層25の表面において起こり立った状態となるのである。
つまり、乾燥前の堆積層25内においてランダムに配向された竹繊維のうち、堆積層25の表面上に存在し、かつ堆積層25の表面に沿う方向以外に配向された竹繊維が乾燥後に毛羽25aとなる。
次に、図7に示されるように、型押しする前の平板状織布26を、第一の金型22と、堆積層25及び抄紙スクリーン24が載置された状態の第二の金型23との間に配置する。この平板状織布26は、成型後の織布層2にあたる部材であり、糸を格子状に織ることにより形成されている。また、平板状織布26には、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂熱硬化性樹脂のうち、少なくとも一つを含有した熱硬化性樹脂が予め含浸されている。
そして、この状態から、図8に示されるように、第一の金型22を第二の金型23へと押し下げ、堆積層25と平板状織布26とを加圧、圧縮する。このとき、堆積層25の竹繊維及び針葉樹パルプ繊維は毛羽立った状態となっていたため、図6で示した毛羽25aは平板状織布26の編目に入り込んで、平板状織布26の表面から突出した状態となり、続いて圧縮されることになる。
すなわち、堆積層25の竹繊維及び針葉樹パルプ繊維による毛羽25aが平板状織布26の編目を充填した状態で、堆積層25と平板状織布26は型締めされる。
なお、この時点で、堆積層25及び平板状織布26は加圧、圧縮により変形し、それぞれ図1(a)に示したスピーカ用振動板1の不織布層3及び織布層2の形状となる。
さらに、堆積層25と平板状織布26とを型締めした状態で、第一の金型22及び第二の金型23を180度〜250度に加熱させ、平板状織布26に含浸させた熱硬化性樹脂を熱硬化させて堆積層25と平板状織布26とを一体化する。すなわち、堆積層25と平板状織布26とは熱をかけて一体化されるとともに、毛羽25aが平板状織布26と絡み合うことによっても一体化されていることになる。
その後、第一の金型22及び第二の金型23を開き、成型されたスピーカ用振動板1を取り出し、抄紙スクリーン24を剥がす。なお、本実施形態では第二の金型23に堆積層25及び抄紙スクリーン24を載置した状態で型締めしたが、堆積層25の加熱乾燥後に抄紙スクリーン24を剥がし、平板状織布26と堆積層25のみを型締めしてもよい。
以上の工程後に不要部分を適宜裁断すると、図1(a)(b)と図2に示したスピーカ用振動板1が形成される。
このように、本実施形態の製造方法によると、堆積層25の第一の金型22と対向する面の毛羽25aを平板状織布26の編目に充填させ、平板状織布26の表面から突出させた状態で圧縮成型することができ、図1(a)、図1(b)及び図2に示すような、織布層2の表面側から、竹繊維及び針葉樹パルプ繊維による毛羽4を織糸7に絡みつかせ熱硬化樹脂で固着させた構成のスピーカ用振動板1を形成することができるのである。
本発明におけるスピーカ用振動板は、不織布層には竹繊維が混入された構成とし、織布層の編目に不織布層による毛羽に加え、竹繊維による毛羽を充填するとともに織布層の表面側からこれらの毛羽を絡みつかせた構成としたため、織布層と不織布層を十分に一体化でき、スピーカ用振動板の内部損失及びヤング率を大きくすることができる。したがって、本発明におけるスピーカ用振動板は、スピーカの音質を向上させることができ、各種音響機器において有用なものである。
(a)本発明の一実施形態のスピーカ用振動板の斜視図、(b)本発明の一実施形態のスピーカ用振動板の要部拡大図 本発明の一実施形態のスピーカ用振動板の要部断面模式図 本発明の一実施形態のスピーカを示す断面図 本発明の一実施形態のスピーカ用振動板の製造方法を示す断面図 本発明の一実施形態のスピーカ用振動板の製造方法を示す断面図 本発明の一実施形態のスピーカ用振動板の原材料の断面図 本発明の一実施形態のスピーカ用振動板の製造方法を示す断面図 本発明の一実施形態のスピーカ用振動板の製造方法を示す断面図 従来のスピーカ用振動板の斜視図
符号の説明
1 スピーカ用振動板
2 織布層
3 不織布層
4 毛羽
5 縦糸
6 横糸
7 織糸
8 編目
11 スピーカ
12 磁気ギャップ
13 磁気回路
14 コイル
15 ボイスコイル体
16 第一のエッジ
17 フレーム
18 ダストキャップ
19 引出線
20 第二のエッジ
21 サスペンションホルダ
22 第一の金型
23 第二の金型
24 抄紙スクリーン
25 堆積層
25a 毛羽
26 平板状織布

Claims (11)

  1. 織布層と、
    前記織布層の裏面と接触する側の表面に毛羽を有する不織布層とを備え、
    前記不織布層には竹繊維が混入され
    前記毛羽が、前記織布層の編目に入り込んで前記織布層の表面から突出し、
    前記織布層の表面で前記織布層と絡み合うことにより一体化されたスピーカ用振動板。
  2. 前記織布層には、熱硬化状態となった熱硬化性樹脂を有する請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  3. 前記不織布層に混入された竹繊維はミクロフィブリル状態となった請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  4. 前記織布層に含まれる熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂の少なくとも一つを含有する樹脂を用いた請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  5. 前記不織布層にはアラミド繊維が混入された請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  6. 前記織布層は、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、綿繊維、カーボン繊維、ガラス繊維、絹繊維の少なくとも一つを含有した請求項1に記載のスピーカ用振動板。
  7. 請求項1〜に記載のいずれか一つに記載のスピーカ用振動板を用いたスピーカであり、前記スピーカ用振動板と、
    このスピーカ用振動板に結合されたフレームと、
    このフレームの内定部に中央に保持された磁気回路体と、
    この磁気回路体が形成する磁気ギャップに可動自在に配置されたボイスコイルから構成されるスピーカ。
  8. 請求項1〜に記載のいずれかひとつに記載のスピーカ用振動板を用いたスピーカであり、
    前記スピーカ用振動板と、
    このスピーカ用振動板に結合されたフレームと、
    このフレームの内定部に中央に保持された磁気回路体と、
    この磁気回路体が形成する磁気ギャップに可動自在に配置されたボイスコイルとを備え、前記織布層の格子縞をスピーカの表面に表出させたスピーカ。
  9. 第一の金型と、
    この第一の金型に対向して設けられ、第一の金型と型締め時に整合するように設けられた第二の金型とを備えた成型機により製造される織布層と前記織布層の裏面と接触する側の表面に毛羽を有する不織布層とを備え、前記不織布層には竹繊維が混入され、前記毛羽が、前記織布層の編目に入り込んで前記織布層の表面から突出し、前記織布層の表面で前記織布層と絡み合うことにより一体化させた構成のスピーカ用振動板の製造方法であり、
    前記第一の金型と前記第二の金型にて熱圧着によりスピーカ用振動板を形成する前に、前記不織布層の原料となる針葉樹パルプ繊維及び竹繊維を抄紙スクリーンにてすくい、これら針葉樹パルプ繊維及び竹繊維を非加圧状態で乾燥させたスピーカ用振動板の製造方法。
  10. 第一の金型と、
    この第一の金型に対向して設けられ、第一の金型と型締め時に整合するように設けられた第二の金型とを備えた成型機により製造される織布層と前記織布層の裏面と接触する側の表面に毛羽を有する不織布層とを備え、前記不織布層には竹繊維が混入され、前記毛羽が、前記織布層の編目に入り込んで前記織布層の表面から突出し、前記織布層の表面で前記織布層と絡み合うことにより一体化させた構成のスピーカ用振動板の製造方法であり、
    前記第一の金型と前記第二の金型にて熱圧着によりスピーカ用振動板を形成する前に、前記不織布層の原料となる竹繊維を抄紙スクリーンにてすくい、この竹繊維を非加圧状態で乾燥させたスピーカ用振動板の製造方法。
  11. 請求項または10に記載の製造方法により製造されたスピーカ用振動板。
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