JP5234288B2 - スピーカー用振動板およびスピーカー - Google Patents
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好ましい実施形態においては、本発明のスピーカー用振動板は、支持層と、該支持層に積層された、上記天然ひまし油由来のポリアミド11繊維から形成された織布からなる基材層とを有する。
好ましい実施形態においては、本発明のスピーカー用振動板は、上記天然ひまし油由来のポリアミド11繊維から形成された少なくとも1枚の織布および/または不織布に熱硬化性樹脂が含浸された基材層を有する。
本発明の別の局面によれば、スピーカーが提供される。このスピーカーは、上記スピーカー用振動板を備える。
上記ポリアミド11繊維は、天然ひまし油由来である。具体的には、上記ポリアミド11繊維は、天然ひまし油中のリシノール酸を原料とし、11−アミノウンデカン酸を重縮合して得られたポリアミド11樹脂を紡糸して得ることができる。上記ポリアミド11樹脂の重合方法は、任意の適切な方法を採用し得る。また、重合の際、任意の適切な添加剤を使用してもよい。添加剤としては、例えば、触媒、熱安定剤等が挙げられる。ポリアミド11樹脂は市販品を用いてもよい。天然ひまし油由来のポリアミド樹脂の市販品としては、例えば、アルケマ社製の商品名「リルサンB」等が挙げられる。このような植物由来の繊維を用いることにより、石油資源の使用量が抑制されたスピーカー用振動板を得ることができる。また、植物由来材料を廃棄焼却する際に発生する二酸化炭素は、元々大気中に存在していたものであり、かつ光合成により再び植物に戻り得る(カーボンニュートラル)。すなわち、上記天然ひまし油由来のポリアミド11繊維は循環型の材料であり、これを用いて得られたスピーカー用振動板は環境負荷が少ない。また、上記天然ひまし油由来のポリアミド11繊維を用いれば、ヤング率と内部損失とのバランスに優れ、かつ剛性の高いスピーカー用振動板を得ることができる。
本発明のスピーカー用振動板は、天然ひまし油由来のポリアミド11繊維を用いてなる。1つの実施形態においては、上記スピーカー用振動板は、支持層と、該支持層に積層された、上記天然ひまし油由来のポリアミド11繊維から形成された織布からなる基材層とを有する。支持層と基材層とは、例えば熱可塑性接着剤またはホットメルトフィルムを介した熱圧着により積層(一体化)されている。好ましくは、基材層の織目は、音波を放射する振動板の前面側、あるいは、背面側で露出している。
本発明のスピーカーは、上記のスピーカー用振動板を含む。本発明のスピーカーは、あらゆる用途に適用され得る。例えば、本発明のスピーカーは、車載用であってもよく、携帯電子機器用(例えば、携帯電話、携帯音楽プレーヤー)であってもよく、据置型であってもよい。また例えば、本発明のスピーカーは、大口径であってもよく、中口径であってもよく、小口径であってもよい。また例えば、本発明のスピーカーは、ウーハーであってもよく、ツイーターであってもよい。本発明のスピーカーは、用途に応じた適切な構造を有し得る。それらの構造は当業界で周知であるので、詳細な説明は省略する。
天然ひまし油由来のポリアミド11(アルケマ社製、商品名「リルサン B」)を紡糸し、280dtexの繊維を得、その繊維を縦横に用いて、密度が40本/inch×40本/inch、目付けが100g/m2の平織りの織布を得た。
天然ひまし油由来のポリアミド11(アルケマ社製、商品名「リルサン B」)を紡糸し、78dtexの繊維を得、その繊維を縦横に用いて、密度が縦(3本撚×140本)/inch×横(6本撚×55本)/inch、目付け236g/m2の綾織りの織布を得た。
280dtexのポリエステル繊維を縦横に用いて、密度が40本/inch×40本/inch、目付けが100g/m2の平織りの織布を得た。
78dtexのポリエチレンナフタレート繊維を縦横に用いて、密度が縦(3本撚×140本)/inch×横(6本撚×55本)/inch、目付け236g/m2の綾織りの織布を得た。
天然ひまし油由来のポリアミド11(アルケマ社製、商品名「リルサン B」)を紡糸し繊維を得、これを用い、水流絡合法によって、目付け60g/m2の不織布を得た。
全芳香族ポリアミド繊維(帝人社製、商品名「テクノーラ」)を用い、水流絡合法によって、目付け60g/m2の不織布を得た。
下記の組成を有する不飽和ポリエステル溶液を調製した:
不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット(株)製;ポリホープN350L):
100(部)
低収縮化剤(日本油脂(株)製;モディパーS501):5(部)
硬化剤(日本油脂(株)製;パーオクタO):1.3(部)
抄紙乾燥した秤量150g/m2の紙コーンの窪み空間を形成する前面側表面に、熱可塑性接着剤を塗布し乾燥した。この紙コーンの熱可塑性接着剤塗膜表面に、製造例1で得られた織布(1)を、105℃で5秒間プレスして熱圧着一体化して、内径26.2mm、外径117mm、全高24mmのスピーカー用振動板を得た。
抄紙乾燥した秤量150g/m2の紙コーンの窪み空間を形成する前面側表面に、ホットメルトフィルムを配置した。この紙コーンのホットメルトフィルム表面に、製造例2で得られた織布(2)を、110℃で5秒間プレスして熱圧着一体化して、内径26.2mm、外径117mm、全高24mmのスピーカー用振動板を得た。
製造例5で得られた不織布(1)と製造例2で得られた織布(2)とを重ねた積層体に、製造例7で得られた不飽和ポリエステル溶液を塗布し、130℃で30秒間プレス成形して、織布が音波を放射するコーンの窪み空間を形成する前面側に配置されているスピーカー用振動板(内径26.2mm、外径117mm、全高24mm)を得た。
製造例5で得られた不織布(1)を2枚重ねた積層体に、製造例7で得られた不飽和ポリエステル溶液を塗布し、130℃で30秒間プレス成形して、コーンを得た。得られたコーンに熱可塑性接着剤を塗布し乾燥した後、製造例2で得られた織布(2)を表面層として、105℃で5秒間プレスして熱圧着一体化して、内径26.2mm、外径117mm、全高24mmのスピーカー用振動板を得た。
製造例6で得られた不織布(1)を2枚重ねた積層体に、製造例7で得られた不飽和ポリエステル溶液を塗布し、130℃で30秒間プレス成形して、コーンを得た。得られたコーンに熱可塑性接着剤を塗布し乾燥した後、製造例2で得られた織布(2)を表面層として、105℃で5秒間プレスして熱圧着一体化して、内径26.2mm、外径117mm、全高24mmのスピーカー用振動板を得た。
製造例1で得られた織布(1)に代えて、製造例3で得られた織布(3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてスピーカー用振動板を得た。
製造例2で得られた織布(2)に代えて、製造例4で得られた織布(4)を用いた以外は、実施例2と同様にしてスピーカー用振動板を得た。
製造例5で得られた不織布(1)と製造例2で得られた織布(2)とを重ねた積層体に代えて、製造例6で得られた不織布(2)と製造例4で得られた織布(4)とを重ねた積層体を用いた以外は、実施例3と同様にしてスピーカー用振動板を得た。
製造例2で得られた織布(2)に代えて製造例4で得られた織布(4)を用いた以外は、実施例5と同様にしてスピーカー用振動板を得た。
得られたスピーカー用振動板中の植物由来材料の割合を表1に示す。ここで、植物由来材料とは、紙コーンに用いられた紙、および天然ひまし油由来のポリアミド11である。
Claims (5)
- 天然ひまし油由来のポリアミド11繊維から形成される織布または不織布を含む、スピーカー用振動板。
- 支持層と、該支持層に積層された、前記天然ひまし油由来のポリアミド11繊維から形成された織布からなる基材層とを有する、請求項1に記載のスピーカー用振動板。
- 前記天然ひまし油由来のポリアミド11繊維から形成された少なくとも1枚の織布および/または不織布に熱硬化性樹脂が含浸された基材層を有する、請求項1に記載のスピーカー用振動板。
- 前記天然ひまし油由来のポリアミド11繊維と熱硬化性樹脂との重量比率(ポリアミド11繊維/樹脂比率)が、50/50〜70/30である、請求項3に記載のスピーカー用振動板。
- 請求項1から4のいずれかに記載のスピーカー用振動板を備える、スピーカー。
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