JP5466886B2 - スピーカー用振動板およびこれを用いたスピーカー - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカー用振動板および当該振動板を用いたスピーカーに関する。
織布の織目を表出させ、背面に紙板などを熱圧着して一体化したスピーカー用振動板が多数提案されている(例えば、特許文献1)。また、複数の織布および/または不織布を積層し、これを熱硬化性樹脂で含浸して一体化した振動板、あるいは、このような振動板にさらに織布を熱圧着して一体化した振動板も知られている。
上記のようなスピーカー振動板はいずれも、抄造紙や天然繊維を用いたスピーカー用振動板に比べて強度に優れるものの、構成部材および構成材料である織布、不織布および熱硬化性樹脂が石油由来であり、石油資源の枯渇や温室効果ガスの問題を招いている。したがって、優れた特性を維持しつつ、石油由来の材料の使用量が可能な限り少ないスピーカー用振動板が求められている。
特開2009−21832号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、石油由来の材料の使用量が少なく、かつ、耐熱性および機械的強度に優れたスピーカー用振動板を提供することにある。
本発明のスピーカー用振動板は、ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維を用いてなる。
好ましい実施形態においては、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維は、バイオマス原料由来のポリ乳酸を含む。
好ましい実施形態においては、上記スピーカー用振動板は、支持層と、該支持層に積層された、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維から形成された織布からなる基材層とを有する。
好ましい実施形態においては、上記スピーカー用振動板は、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維から形成された少なくとも1枚の織布および/または不織布に熱硬化性樹脂が含浸された基材層を有する。
本発明の別の局面によれば、スピーカーが提供される。このスピーカーは、上記のスピーカー用振動板を含む。
本発明によれば、ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維を用いることにより、石油由来の材料の使用量が少なく、かつ、耐熱性および機械的強度に優れたスピーカー用振動板が得られる。
本発明の実施例2のスピーカー用振動板を用いたスピーカーの音圧周波数特性を示すグラフである。 本発明の実施例5のスピーカー用振動板を用いたスピーカーの音圧周波数特性を示すグラフである。 本発明の実施例6のスピーカー用振動板を用いたスピーカーの音圧周波数特性を示すグラフである。 比較例2のスピーカー用振動板を用いたスピーカーの音圧周波数特性を示すグラフである。 比較例3のスピーカー用振動板を用いたスピーカーの音圧周波数特性を示すグラフである。 比較例4のスピーカー用振動板を用いたスピーカーの音圧周波数特性を示すグラフである。
本発明のスピーカー用振動板は、ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維を用いてなる。以下、本発明の好ましい実施形態について具体的に説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態には限定されない。
A.ステレオコンプレックスポリ乳酸
本発明に用いられるステレオコンプレックスポリ乳酸は、L−乳酸単位を主成分とするポリL−乳酸(PLLA)とD−乳酸単位を主成分とするポリD−乳酸(PDLA)とを含む。ステレオコンプレックスポリ乳酸は、鏡像異性体であるPLLAとPDLAとが対となり、その分子間相互作用により構成される強固な結晶構造を有する。ステレオコンプレックス結晶の融点は、通常のポリL−乳酸の作る結晶融点よりもおよそ20から50℃高いため、耐熱性が高いことが特徴である。
上記ステレオコンプレックスポリ乳酸におけるPLLA/PDLAの比(L/D)は、好ましくは30/70〜70/30、より好ましくは40/60〜60/40、さらに好ましくは45/55〜55/45である。L/Dが上記範囲を外れると、十分に強固なステレオコンプレックス結晶構造が得られず、通常のポリL−乳酸結晶が含まれてしまう場合がある。その結果、得られる繊維(結果的にはスピーカー用振動板)の耐熱性および機械的強度が不十分である場合がある。
上記ステレオコンプレックスポリ乳酸のステレオ化度(S)は、理想的には100%である。実用的な観点から、ステレオ化度(S)は、好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。ステレオ化度(S)が80%未満である場合には、十分に強固な結晶構造が得られず、その結果、得られる繊維(結果的にはスピーカー用振動板)の耐熱性および機械的強度が不十分である場合がある。なお、ステレオ化度(S)は、下記式
S={△Hms/(△Hms+Hmh)}×100
で表される。ここで、△Hms(J/g)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した190℃以上の結晶融解エンタルピーで、△Hmh(J/g)は、190℃以下の結晶化エンタルピーである。
上記ステレオコンプレックスポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10万〜30万、より好ましくは12万〜25万である。Mwが10万未満である場合には、得られる繊維(結果的にはスピーカー用振動板)の機械的強度が不十分である場合がある。Mwが30万を超えると、結晶性が低下して耐熱性が不十分である場合がある。なお、重量平均分子量(Mw)は、溶離液にクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量値である。
上記ステレオコンプレックスポリ乳酸の結晶融点(Tm)は、好ましくは200℃〜250℃、より好ましくは200℃〜220℃である。この範囲であれば、十分な耐熱性によって成型加工中の熱処理などにも十分適用できる。
上記ステレオコンプレックスポリ乳酸のごとき融点を有するためには、用いるPLLAは、好ましくは90モル%以上、より好ましくは96モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上のL−乳酸単位を含有する。特に210℃以上の融点の繊維を所望する場合には96モル%以上のL−乳酸単位を含有することが好ましい。他の単位としては、D−乳酸単位、乳酸以外の単位が挙げられる。D−乳酸単位および乳酸以外の単位の含有量は、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは2モル%以下である。乳酸以外の単位の具体例としては、2個以上のエステル結合形成可能な官能基を有するジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等由来の単位、およびこれら種々の構成成分からなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等由来の単位が挙げられる。
一方、同様に、PDLAは、好ましくは90モル%以上、より好ましくは96モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上のD−乳酸単位を含有する。特に210℃以上の融点の繊維を所望する場合には96モル%以上のD−乳酸単位を含有することが好ましい。他の単位としては、L−乳酸単位、乳酸以外の単位が挙げられる。L−乳酸単位および乳酸以外の単位の含有量は、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは2モル%以下である。乳酸以外の単位は、PLLAについて記載したのと同様である。
ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維を製造するために用いるポリL−乳酸およびポリD−乳酸は、従来から知られているポリ乳酸、ポリラクチドの製造法によって製造するものを用いることができる。例えば、ラクチドの開環重合、乳酸からの直接重合、乳酸エステルの重縮合などが挙げられる。特に、開環重合は、ラクチドを反応容器内で金属触媒の存在下、加熱することにより行うことができ、品質の高いポリマーが得られることから好ましい。
好ましくは、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸は、バイオマス原料由来のポリ乳酸を含む。ステレオコンプレックスポリ乳酸の原料となるL−乳酸ならびにD−乳酸は、微生物発酵によって植物原料などのバイオマスから製造したものを好適に用いることができる。D−乳酸およびL−乳酸をバイオマス原料から生成する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、バイオマス原料(例えば、デンプン、セルロース、生ごみ)から、乳酸発酵、エステル化および蒸留精製、加水分解を経て、L−乳酸またはD−乳酸が得られ得る。得られたL−乳酸またはD−乳酸を縮合することにより、開環重合原料のL−ラクチドまたはD−ラクチドが得られ、これを公知の重合法によって開環重合することによってポリL−乳酸あるいはポリD−乳酸を得ることができる。
本発明で用いるステレオコンプレックスポリ乳酸は、PLLAとPDLAとを混合するステレオ化処理によって製造される。例えば、PLLAとPDLAとを上記の好ましい比率で溶融ブレンドした後、ステレオ化処理(代表的には、加熱混合処理)することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸が得られる。このとき、ステレオ化を促進するために適切な添加剤などを添加することも好ましい。このような添加剤としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、金属石鹸などの結晶化促進剤などを挙げることができる。このようなステレオ化処理を十分に行い、低融点のhomo結晶が発生しない状態にすることで、高融点のステレオコンプレックス構造の耐熱特性を十分に発揮できるようになる。
上記溶融ブレンドを行う装置としては、任意の適切な混合装置が採用され得る。具体例としては、攪拌翼を備えたバッチ式反応器、連続式反応器、二軸または一軸の押出機が挙げられる。上記溶融ブレンド温度は、好ましくは240℃〜280℃、より好ましくは250℃〜270℃である。溶融ブレンド温度が240℃より低いと、homo結晶の生成が優勢となり製糸性が低下する場合がある。溶融ブレンド温度が280℃より高いと、ポリマーの分解が促進されオリゴマー等のガスが発生する場合がある。
上記ステレオコンプレックスポリ乳酸には、目的に応じて任意の適切な添加剤が含有され得る。添加剤の具体例としては、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離形剤、各種フィラー、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌・抗カビ剤、核形成剤、着色剤(例えば、染料、顔料)が挙げられる。
なお、ステレオコンプレックスポリ乳酸の詳細については、例えば、特開2007-23393号公報、特開2007-70736号公報、特開2007-70750号公報、特開2008-163486号公報、特開2008-248176号公報、特開2008-248182号公報、特開2008-248184号公報に記載されており、これらの記載の本発明に関連する部分は、本明細書に参考として援用される。
B.ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維
本発明に用いられるステレオコンプレックスポリ乳酸繊維は、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸を紡糸することにより得られる。紡糸方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。代表例としては、溶融紡糸が挙げられる。溶融紡糸は、上記溶融ブレンドおよびステレオ化処理から連続して行えるという利点を有する。
上記溶融紡糸の温度は、好ましくは240℃〜280℃、より好ましくは250℃〜270℃である。紡糸速度は、ポリ乳酸の分子量および粘度、所望の単糸繊度およびフィラメント数、糸の横断面形状、紡糸温度、冷却条件等に応じて調整され得る。より具体的には、紡糸速度は、好ましくは500m/分〜5000m/分である。
好ましくは、得られた未延伸糸は、延伸された後、熱処理に供される。熱処理温度は、好ましくは80℃〜140℃である。延伸糸を熱処理することにより、ステレオコンプレックス構造がさらに生成しやすくなる。その結果、繊維の耐熱性および機械的強度をさらに向上させることができる。
本発明に用いられるステレオコンプレックスポリ乳酸繊維の繊度は、好ましくは40dtex〜2000dtex、さらに好ましくは50dtex〜1200dtexである。フィラメント数は、好ましくは30本〜280本、さらに好ましくは30本〜250本である。
C.スピーカー用振動板
本発明のスピーカー用振動板は、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維を用いてなる。1つの実施形態においては、上記スピーカー用振動板は、支持層と、該支持層に積層された、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維から形成された織布からなる基材層とを有する。支持層と基材層とは、例えば熱可塑性接着剤またはホットメルトフィルムを介した熱圧着により積層(一体化)されている。好ましくは、基材層の織目は、音波を放射する振動板の前面側、あるいは、背面側で露出している。
上記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維織布の織り組織としては任意の適切な組織が採用され得る。具体例としては、平織り、綾織り、朱子織り、これらの組合せが挙げられる。好ましくは、平織りである。織布のカバーファクター(CF)は、好ましくは1000〜2300である。カバーファクター(CF)は、織物の単位面積に占める糸の割合で、次の計算式にて求められる。
CF=経糸密度(本/in)×√経糸繊度(dtex)/1.1+緯糸密度(本/in)×√緯糸密度(dtex)/1.1
上記支持層の具体例としては、抄造紙、織布、不織布が挙げられる。支持層の織布または不織布を構成する材料としては、ナイロン(例えば、ナイロン6、ナイロン66)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ポリアリレート、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマーおよび熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いられる。あるいは、2種以上のこれらの樹脂モノマーからの共重合体を用いてもよい。織布または不織布を用いる場合は、さらにそれらに熱硬化性樹脂を含浸および硬化させて支持層としてもよい。
別の実施形態においては、上記スピーカー用振動板は、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維から形成された織布または不織布に熱硬化性樹脂が含浸および硬化された基材層を有する。ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維織布の構成については、上記で説明したとおりである。不織布は、任意の適切な方法で形成され得る。不織布の形成方法の具体例としては、抄紙法、水流絡合法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、メルトブロー法等が挙げられる。不織布の目付は、好ましくは20g/m〜80g/mである。基材層は、織布または不織布の単一層であってもよく、積層構造を有していてもよい。基材層が積層構造を有する場合、層の数は目的等に応じて適切に設定され得る。当該積層構造は、織布のみで構成されてもよく、不織布のみで構成されてもよく、織布および不織布を組み合わせて構成されてもよい。また、一層以上のステレオコンプレックスポリ乳酸織布または不織布を用いていれば、上記の支持層と同様の構成材料からなる織布および/または不織布をさらに積層してもよい。
上記熱硬化性樹脂としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な樹脂が採用され得る。好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂である。不飽和ポリエステル樹脂は、硬化速度が速く、硬化温度が低いので製造が容易であり、かつ、優れた内部損失を有するスピーカー振動板が得られる。メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂は、強度の向上に大きく寄与する。
さらに別の実施形態においては、上記スピーカー用振動板は、上記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維から形成された織布または不織布に熱硬化性樹脂が含浸および硬化された基材層に積層された表面層をさらに有する。この場合、表面層が音波を放射する振動板の前面側に配置される。表面層の具体例としては、織布、不織布が挙げられる。織布および不織布の構成材料の具体例は、上記の支持層と同様である。さらに、表面層は、ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維から形成された織布または不織布であってもよい。
D.スピーカー
本発明のスピーカーは、上記A〜C項に記載のスピーカー用振動板を含む。本発明のスピーカーは、あらゆる用途に適用され得る。例えば、本発明のスピーカーは、車載用であってもよく、携帯電子機器用(例えば、携帯電話、携帯音楽プレーヤー)であってもよく、据置型であってもよい。また例えば、本発明のスピーカーは、大口径であってもよく、中口径であってもよく、小口径であってもよい。また例えば、本発明のスピーカーは、ウーハーであってもよく、ツイーターであってもよい。本発明のスピーカーは、用途に応じた適切な構造を有し得る。それらの構造は当業界で周知であるので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
(参考例1)
発酵法によって製造したL−乳酸およびD−乳酸を原料とするL−ラクチドおよびD−ラクチドを開環重合してポリL−乳酸およびポリD−乳酸を得た。これらを溶融混合し、ステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を得た(帝人株式会社製)。この樹脂を溶融紡糸し、280dtex/60filの繊維を得た(帝人ファイバー株式会社製、バイオフロント(登録商標))。この繊維を経糸および緯糸として用い、CF=1276、目付け約100g/mの平織り織布を得た。
(参考例2)
参考例1と同様にして得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を参考例1と同様にして紡糸し、167dtex/36filの繊維を得た。この繊維を経糸および緯糸として用い、CF=1948、目付け約165g/mの平織り織布を得た。
(参考例3)
参考例1と同様にして得られたステレオコンプレックスポリ乳酸樹脂を参考例1と同様にして紡糸し、167dtex/34filの繊維を得た。この繊維を用い、抄紙法によって、目付け約60g/mの不織布を得た。
(実施例1)
抄紙乾燥した秤量約150g/mの紙コーン(支持層となる)の窪み形状を形成する表面(前面表面)に、熱可塑性接着剤を塗布し乾燥した。この紙コーンの熱可塑性接着剤塗膜表面に、参考例1で得られた織布を配し、105℃で5秒間プレスして熱圧着し、一体化させた。このようにして、支持層と基材層とを有する16cm口径スピーカー用のカーブドコーン振動板(内径φ26.2mm、外径φ117mm、全高24mm)を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(実施例2)
抄紙乾燥した秤量約150g/mの紙コーン(支持層となる)の窪み形状を形成する表面(前面表面)に、ホットメルトフィルムを配置した。この紙コーンのホットメルトフィルム表面に、参考例2で得られた織布を配し、110℃で5秒間プレスして熱圧着し、一体化させた。このようにして、支持層と基材層とを有する16cm口径スピーカー用のカーブドコーン振動板(内径φ26.2mm、外径φ117mm、全高24mm)を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(実施例3)
参考例2で得られた織布と参考例3で得られた不織布とを重ね合わせた。この積層体に、下記の組成を有する不飽和ポリエステル樹脂溶液を含浸し、130℃で30秒間プレスして、硬化および成形した。ここで、織布が音波の放射側(最前面側)に配置されるようにして成形した。
不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット(株)製;ポリホープN350L):100(部)
低収縮化剤(日本油脂(株)製;モディパーS501):5(部)
硬化剤(日本油脂(株)製;パーオクタO):1.3(部)
このようにして、16cm口径スピーカー用のカーブドコーン振動板(内径φ26.2mm、外径φ117mm、全高24mm)を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(実施例4)
参考例3で得られた不織布2枚を重ね合わせた。この積層体に、実施例3で用いたのと同様の不飽和ポリエステル樹脂溶液を含浸し、130℃で30秒間プレスして、硬化および成形した。この成形体の内側表面に、熱可塑性接着剤を塗布し乾燥し、さらに、熱可塑性接着剤塗膜表面に参考例2で得られた織布を表面層として配し、105℃で5秒間プレスして熱圧着し、一体化させた。このようにして、基材層と表面層とを有する16cm口径スピーカー用のカーブドコーン振動板(内径φ26.2mm、外径φ117mm、全高24mm)を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(実施例5)
参考例2で得られた織布と全芳香族ポリアミド繊維(目付け約60g/m、帝人テクノプロダクツ製、商品名テクノーラ)の2枚の不織布とを重ね合わせた。この積層体に、実施例3で用いたのと同様の不飽和ポリエステル樹脂溶液を含浸し、130℃で30秒間プレスして、硬化および成形した。ここで、織布が音波の放射側(最前面側)に配置されるようにして成形した。このようにして、16cm口径スピーカー用のカーブドコーン振動板(内径φ26.2mm、外径φ117mm、全高24mm)を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(実施例6)
全芳香族ポリアミド繊維(目付け約60g/m、帝人テクノプロダクツ製、商品名テクノーラ)の2枚の不織布を重ね合わせた。この積層体に、実施例3で用いたのと同様の不飽和ポリエステル樹脂溶液を含浸し、130℃で30秒間プレスして、硬化および成形した。この成形体の内側表面に、熱可塑性接着剤を塗布し乾燥し、さらに、熱可塑性接着剤塗膜表面に参考例2で得られた織布を表面層として配し、105℃で5秒間プレスして熱圧着し、一体化させた。このようにして、基材層と表面層とを有する16cm口径スピーカー用のカーブドコーン振動板(内径φ26.2mm、外径φ117mm、全高24mm)を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(比較例1)
参考例1で得られた織布の代わりにポリエステル織布(経糸及び緯糸280dtex/60fil、CF=1270、目付け約100g/m、平織り)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてスピーカー用振動板を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(比較例2)
参考例2で得られた織布の代わりにポリエチレンナフタレート(PEN)織布(経糸及び緯糸280dtex/60fil、CF=2096、目付け約165g/m、平織り)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてスピーカー用振動板を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(比較例3)
参考例2で得られた織布の代わりにPEN織布(目付け約165g/m、平織り)を用い、および、参考例3で得られた不織布の代わりに全芳香族ポリアミド繊維(目付け約60g/m、帝人テクノプロダクツ製、商品名テクノーラ)の不織布を用いたこと以外は実施例3と同様にしてスピーカー用振動板を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
(比較例4)
参考例3で得られた不織布の代わりに全芳香族ポリアミド繊維(目付け約60g/m、帝人テクノプロダクツ製、商品名テクノーラ)の不織布を用いたこと以外は実施例4と同様にしてスピーカー用振動板を作製した。振動板の重量に占める非石油由来成分の重量を下記表1に示す。
Figure 0005466886
得られたスピーカー用振動板について、密度、ヤング率(E)および内部損失(tanδ)を通常の方法で測定した。また、これらの値を用いて、比弾性(E/密度)を算出した。得られた結果を下記表2に示す。
Figure 0005466886
実施例2、実施例5および実施例6、ならびに、比較例2、比較例3および比較例4で得られたスピーカー振動板を用いたスピーカーの音圧周波数特性を測定した。実施例2の結果を図1に、実施例5の結果を図2に、実施例6の結果を図3に、比較例2の結果を図4に、比較例3の結果を図5に、比較例4の結果を図6に示す。実施例2のスピーカー振動板は、比較例2の場合に比較して、ヤング率と内部損失とのバランスに優れていること、および、比弾性の値が大きいことに起因して、ピークディップの少なくて高域限界周波数がより高くなる音圧周波数特性が認められる。また、実施例5のスピーカー振動板は、比較例3の場合に比較して、内部損失(tanδ)の値が小さくなり、比弾性の値が大きいことに起因して、高域限界周波数が高くなる音圧周波数特性が認められる。また、実施例6のスピーカー振動板は、比較例4の場合に比較して、ヤング率と内部損失とのバランスに優れ、比弾性の値が大きいことに起因して、ピークディップが少なくて高域限界周波数が高くなる音圧周波数特性が認められる。
本発明の実施例により、対応する比較例と同等の構成であれば、スピーカー用振動板としての特性を低下させることなく、非石油由来成分の使用量(割合)を大幅に増大させることができた。また、実施例のスピーカー用振動板は、対応する同等の構成を有する比較例に比較して、スピーカー用振動板としての特性に優れ、さらに耐熱性に優れるスピーカー用振動板とすることができた。
本発明のスピーカー用振動板は、あらゆる用途のスピーカーに好適に用いられ得る。

Claims (4)

  1. 支持層と、該支持層に積層された、ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維から形成された織布からなる基材層とを有する、スピーカー用振動板。
  2. ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維から形成された少なくとも1枚の織布および/または不織布に熱硬化性樹脂が含浸された基材層を有する、スピーカー用振動板。
  3. 前記ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維が、バイオマス原料由来のポリ乳酸を含む、請求項1または2に記載のスピーカー用振動板。
  4. 請求項1からのいずれかに記載のスピーカー用振動板を含む、スピーカー。

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