JPH0632401Y2 - 自動車の車輪支持装置 - Google Patents

自動車の車輪支持装置

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JPH0632401Y2
JPH0632401Y2 JP1983204719U JP20471983U JPH0632401Y2 JP H0632401 Y2 JPH0632401 Y2 JP H0632401Y2 JP 1983204719 U JP1983204719 U JP 1983204719U JP 20471983 U JP20471983 U JP 20471983U JP H0632401 Y2 JPH0632401 Y2 JP H0632401Y2
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wheel
axis
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伸一 吉田
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【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車の車輪支持装置に関するものであり、特
に、非回転のスピンドルが車輪を回転可能に支持する形
式の車輪支持装置に関するものである。
従来の技術 自動車の車輪を支持する装置には、スピンドル支持部材
に回転不能に支持されたスピンドルが車輪を回転可能に
支持する形式と、車輪はスピンドルに固定され、スピン
ドルがスピンドル支持部材により回転可能に支持される
形式とがある。いずれにおいても、車輪支持部材がサス
ペンションアームによって車体に取り付けられることに
より、車輪を車体に取り付ける懸架装置が構成されるこ
ととなる。
車輪支持装置は自動車を制動するブレーキ装置をも支持
するのが普通である。ブレーキロータを車輪とともに回
転可能に支持する一方、そのブレーキロータの回転を抑
制するブレーキ機構を回転不能に支持するのである。
上記両形式の車輪支持装置のうち、非回転のスピンドル
が車輪およびブレーキロータを回転可能に支持する形式
は、例えば、左右両輪をそれぞれ互いに独立して車体に
取り付ける独立懸架装置に好適である。独立懸架装置に
おいては、一般に、サスペンションアームがハーシュネ
ス等に対する乗心地の向上のためにゴムプッシュ等の弾
性部材を介して防振的に車体に取り付けられるため、上
記スピンドルに回転不能に支持されたブレーキ機構によ
ってブレーキロータの回転が抑制され、それにより車輪
が制動されたとき、その車輪と路面との間に発生する摩
擦力によって上記弾性部材が撓まされ、スピンドルの軸
心が自動車の後方へ小角度傾くことを許容することとな
る。
このように構成された独立懸架装置においては、旋回中
にブレーキが作用させられたとき、前述のように車輪と
路面との間に発生する摩擦力によって、スピンドルが後
方へ小角度傾かされて、左右両輪はトーアウト側へステ
アされるのであるが、このとき外側(旋回軌跡に関し
て)の車輪にかかる負荷が内側の車輪にかかっている負
荷よりも大きくなるために、外側の車輪の方が内側の車
輪よりも自動車の進行方に強い影響を与える。
そのため、車輪が後車輪であれば、自動車は後部側が外
側へ振り出され、自動車の旋回半径が小さくなって回り
過ぎる所謂オーバステアを生じ、前車輪であれば、自動
車の前部側が外側へ振り出され、自動車の旋回半径が大
きくなって回り足りない所謂アンダステアを生じること
となる。特に、サスペンションアームがトレーリングア
ームのように、自動車の旋回に伴って車輪に加えられる
横力によって内側の車輪がトーイン側、外側の車輪がト
ーアウト側へステアされるものである場合には、外側の
車輪のトーアウト側へのステアが一層大きくなり易く、
上記オーバステアやアンダステアが生じ易い。
考案が解決しようとする課題 上記のようなステアは、一般的に望ましいものではない
ため、発生を抑制することが望ましいのであるが、その
ためには、制動時に車輪をトーイン側にステアさせる機
構が必要である。しかし、これは制動時に車輪に作用す
る摩擦力の方向とは逆の方向にスピンドルを傾かせなけ
ればならないことを意味し、容易なことではない。
本考案は、この問題を解決し、制動時にスピンドルを摩
擦力の作用方向とは逆の方向に傾かせ得る機能を有する
車輪支持装置を提供することを目的として為されたもの
である。
課題を解決するための手段 本考案は、サスペンションアームにより自動車の車体に
取り付けられるスピンドル支持部材と、そのスピンドル
支持部材に支持されるとともに車輪およびブレーキロー
タを回転可能に支持するスピンドルとを含む自動車の車
輪支持装置においては、制動時にブレーキ装置を介して
車輪のトルクがスピンドルに伝達されることを利用し
て、制動時に車輪をトーイン側へステアさせ得る車輪支
持装置を構成することに成功したものである。
すなわち、本考案の要旨は、上記スピンドルを、共通の
基部から互いに逆向きに延び出すとともに軸心が互いに
傾いた第一スピンドルと第二スピンドルとを一体的に含
むものとし、第一スピンドに車輪およびブレーキロータ
を回転可能に支持させる一方、基部ブレーキロータの回
転を抑制するブレーキ機構を回転不能に支持させ、か
つ、第二スピンドルをスピンドル支持部材に回転可能に
支持させるとともに、それら第二スピンドルとスピンド
ル支持部材との間に弾性部材を配設したことにある。弾
性部材は、第二スピンドルに固定の部分とスピンドル支
持部材に固定部分とを有し、それら両固定部分の間の部
分において弾性変形可能なものとする。
また、上記第二スピンドルの軸心の第一スピンドルの軸
心に対する傾きの方向は、第一スピンドルの軸心の第一
スピンドルの先端に対応する部分が、自動車の走行状態
のいかんを問わず、第二スピンドルの軸心を含む垂直面
に直角でかつ第二スピンドルの軸心を含む基準平面より
上方に位置する方向に決定する。
作用 上記のように構成した車輪支持装置において、車体重量
に抗して路面から車輪に加えられる路面反力の第一スピ
ンドルに対する作用点、すなわち路面反力の作用線と第
一スピンドルの軸心との交点が、第二スピンドルの軸心
と第一スピンドルの軸心との交点と一致している場合に
は、路面反力は第一,第二スピンドルを回転させるトル
クを生じさせないが、両者が一致していない場合には生
じさせる。例えば路面反力の作用点が第一、第二スピン
ドルの軸心同士の交点より第一スピンドルの先端側であ
り、かつ、第二スピンドルの軸心より後ろ側である場合
には、路面反力は第一、第二スピンドルを自動車の前進
時における車輪の回転方向と同じ方向に回転させるトル
クを生じさせ、路面反力の作用点が第一,第二スピンド
ルの軸心同士の交点より第一スピンドルの先端側であ
り、かつ、第二スピンドルの軸心より前側である場合に
は、自動車の後進時における車輪の回転方向と同じ方向
に回転させるトルクを生じさせるのである。
したがって、路面反力の作用点と第一,第二スピンドル
の軸心同士の交点とが一致している場合には、路面から
車輪に加えられる力が路面反力のみであるとみなし得る
定常走行時に、弾性部材が弾性変形しない状態で両スピ
ンドルをスピンドル支持部材に対して一定の位相位置に
保持し、路面反力の作用点と両スピンドルの軸心の交点
とが一致していない場合には、路面反力に基づくトルク
に応じた量だけ弾性変形した状態で両スピンドルを一定
の位相位置に保持することになる。
この定常状態から制動が行われれば、車輪と路面との間
の摩擦力に基づいて車輪に発生するトルクが、ブレーキ
ロータおよびブレーキ機構を介して第一,第二スピンド
ルに伝達され、第二スピンドルが弾性部材を弾性変形さ
せつつ回転する。この第二スピンドルの回転につれて、
第一スピンドルの軸心は第二スピンドルの軸心との交点
を頂点とする円錐状軌跡を描くのであるが、第二スピン
ドルの軸心の第一スピンドルの軸心に対する傾きの方向
が、前述のように、第一スピンドルの軸心の第一スピン
ドルの先端に対応する部分が、第二スピンドルの軸心を
含む垂直面に直角でかつ第二スピンドルの軸心を含む基
準平面より上方に位置する方向に決定されているため、
第一スピンドルの軸心は平面視において自動車前方へ傾
動し、車輪がトーイン側へステアされることとなる。
また、この第二スピンドルの回転に伴う弾性変形により
弾性部材の弾性力が変化する。路面反力により第一、第
二スピンドルが自動車の前進時における車輪の回転方向
と同じ方向に回転させられている場合は弾性部材の弾性
力が増大し、第一、第二スピンドルが自動車の後進時に
おける車輪の回転方向と同じ方向に回転させられている
場合は弾性部材の弾性力が減少するのであるが、いずれ
にしても制動時における第二スピンドルの回転角が多く
なるほどその第二スピンドルを元の位相(自動車の定常
走行時における位相)へ戻す戻しトルクが増大すること
となる。
そして、ブレーキが解除されれば上記トルクが消滅する
ため、弾性部材の弾性変形が制動開始前の状態に復元
し、第一および第二スピンドルの位相が元の位相に復し
て、車輪のトーイン側へのステアが解消される。
なお、上記車輪のトーイン側へのステア量は、第一スピ
ンドルと第二スピンドルとの軸心同士の傾き角の大きさ
と、自動車の定常走行状態における第一スピンドルの傾
き方向と、弾性部材の荷重特性とによって決まる。軸心
同士の傾き角を大きくするほど、また、定常走行状態に
おける第一スピンドルの傾き方向を、第一スピンドルの
軸心の第一スピンドルの先端に対応する部分が前記円錐
上軌跡の最上部に位置する方向に近づけるほど、また、
弾性部材の弾性係数を小さくするほどステア量が大きく
なるのであり、制動時におけるサスペンションアームの
ゴムプッシュ等の弾性変形に基づくステア量等を勘案し
て適宜決定すべきものである。
考案の効果 以上の説明から明らかなように、本考案に係る車輪支持
装置を用いれば、制動時に車輪をトーイン側へステアさ
せることが可能であり、前記懸架装置のゴムプッシュの
弾性変形等を基づくトーアウト側へステアを打ち消し、
あるいは軽減することができる。しかも、本考案に係る
車輪支持装置は構造が単純なものであるため、安価に製
造することができる。
実施例 以下、本考案をフロントドライブ車の後車輪の支持装置
に適用した場合の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。
第1図において10は図示しない車体に防振的に支持さ
れたサスペンションメンバであり、このサスペンション
メンバ10には2個のブラケット12が適宜の間隔を隔
てて固定されている。
これらブラケット12はコの字形断面の部材であり、そ
の両側壁によって両端を支持されたボルト14には、サ
スペンションアームとして二股のトレーリングアーム1
6の円筒部18がそれぞれスリーブ20およびゴム製の
ブッシュ22を介して取り付けられている。
上記トレーリングアーム16のブラケット12に支持さ
れている側と反対側の端部には、車輪支持装置23を介
して後車輪60が支持されている。トレーリングアーム
16の端部には円筒状のスピンドル支持部材24が、半
径方向外向きに形成されたフランジ部26において複数
個のボルト28によって固定されている。このスピンド
ル支持部材24のトレーリングアーム16に固定された
側の端を内側端と称し、反対側の端を外側端と称するこ
ととする。このスピンドル支持部材24の内部の空間3
0は、その中心線が前傾、すなわち内側端から外側端に
向かうに従って自動車前方に向かう向きに一定角度傾斜
するように形成されている。この空間30の両端部の内
周面はそれぞれ軸心に対して平行に形成された円筒面と
されているが、これら両端部の間の部分は断面形状が第
2図に示すように矩形の長手方向の両端部がそれぞれ円
弧状に膨出したトラック形をなすとともに、スピンドル
支持部材24の外側端側へ向かうほど太さが漸増するテ
ーパ面とされている。このように形成されたスピンドル
支持部材24内には、ベアリング(すべり軸受でもころ
がり軸受でも可)32,34およびゴムブッシュ36を
介してスピンドル38が回転可能かつ半径方向に移動不
能に収容されている。このゴムブッシュ36は、第2図
のように空間30の中間部と同じ断面形状を有する環状
の部材であり、その内周面および外周面は共に上記テー
パ面と等しい傾斜を有するテーパ面とされており、ま
た、スピンドル38は、第2図に示すように空間30と
同様な断面形状を有し、その外周面は空間30と同様
に、両端部はそれぞれ軸心に対して平行な円筒面とされ
るとともに中間部は空間30の上記テーパ面と同じ傾斜
のテーパ面とされている。そして、このスピンドル38
は空間30内において両端部がそれぞれベアリング3
2,34を介してスピンドル支持部材24によって回転
可能に支持されるとともに、中間のテーパ部はゴムブッ
シュ36を介して支持されて、空間30と同心、すなわ
ち一定角度前傾した状態で支持されている。なお、この
ゴムブッシュ36は、自動車の定常走行状態においてス
ピンドル38をスピンドル支持部材24に対してほぼ一
定の位相位置に保持し、その位相位置からスピンドル3
8が回転させられるとき、そのスピンドル支持部材24
に対する相対回転角度が増大するにつれて増大する戻し
トルクを発生させるものである。
上記スピンドル38のスピンドル支持部材24の外側端
から突出した部分に隣接して基部40が形成されてお
り、この基部40からはスピンドル38とは反対方向へ
スピンドル42が延び出させられている。スピンドル3
8およびスピンドル42の基部40に近い端を基端と称
し、基部40から遠い側の端を先端と称することとす
る。このスピンドル42は、自動車の定常走行状態にお
いて軸心が平面視において車体の前後方向に対して直角
となるようにされており、スピンドル42の軸心とスピ
ンドル38の軸心とは互いに一定角度傾いた状態とされ
ている。
スピンドル42には、車体重量に対抗する路面反力が作
用するが、本実施例においては第3図に傾斜角度を誇張
して示すように、この路面反力の作用点Pが両スピンド
ル38,42の軸心E,Hの交点Oよりスピンドル42
の先端側であり、かつ、スピンドル38の軸心Eより後
ろ側であるため、両スピンドル38,42は、作用点P
のスピンドル38の軸心Eから距離Lと路面反力との積
の大きさを有するトルクによって矢印Bで示す方向に回
転させられる。
そのため、本実施例においては、路面反力が作用してお
らず、ゴムブッシュ36が弾性変形させられていない状
態において、スピンドル42の軸心Hが平面視でやや後
傾するとともに垂直面視でやや上方に傾斜した状態にさ
れており、路面反力が作用する状態ではスピンドル42
の軸心Hがスピンドル38の軸心Eを中心とする円錐状
軌跡Fを描き、平面視において車体の前後方向に対して
直角となった状態で停止するようにされている。この状
態においては、スピンドル42の軸心Hの垂直面視にお
ける傾斜角度が路面反力が作用していない状態における
より大きくなる。
自動車の定常走行時には、スピンドル42に上記路面反
力のみならず後記後車輪60のころがり抵抗に基づく後
ろ向きの力も作用するから、この後ろ向きの力は路面反
力に比較して無視できる程度に小さいため、スピンドル
42には路面反力のみがほぼ静的に作用すると考えるこ
とができ、ゴムブッシュ36はこの路面反力に基づく一
定のトルクによって一定量弾性変形させられた状態に保
たれることになる。この状態がゴムブッシュ36の定常
状態であり、前記戻しトルクはこの定常状態からのゴム
ブッシュ36の弾性変形量の増大に伴って増大するので
ある。
スピンドル42には、ベアリング44,46を介して円
筒状のハブ48が回転可能かつ半径方向に移動不能に嵌
められているが、このハブ48の軸方向の中間部には半
径方向外向きに延び出すフランジ50が形成されてお
り、このフランジ50の外側面にはブレーキロータとし
てのディスクロータ52が固定されている。そして、こ
のディスクロータ52の外側面には有底円筒状のホイー
ルディスク54が固定されており、このホイールディス
ク54と、その外周面に固定されリム56とによってタ
イヤ58が支持されて、走行時には、ハブ48,ホイー
ルディスク54,リム56,タイヤ58等から成る後車
輪60がスピンドル42の回りに回転するようになって
いる。前述のように、スピンドル42の軸心は平面視に
おいては車体の前後方向に対して直角となっているが、
垂直面視においては先端ほど高くなっているため、この
スピンドル42に支持されている後車輪60にはネガテ
ィブキャンバが付いている。
上記スピンドル42とスピンドル38とを連結する基部
40には、半径方向外向きに延び出すフランジ62が設
けられており、このフランジ62にはマウンティングブ
ラケット64によりディスクブレーキ機構66が取り付
けられている。したがって、制動時において、後車輪6
0の回転がディスクロータ52を介して抑制されること
により生じるブレーキトルクは、マウンティングブラケ
ット64,フランジ62,スピンドル38等によって受
けられることとなる。
なお、トレーリングアーム16と図示しない車体とを連
結し、車体重量を支える役割を果たすスプリングおよび
ショックアブソーバ等は、本考案とは直接関係がないた
め、図示および詳細な説明は省略する。
後車輪60が上記のようにして懸架された自動車におい
ては、制動時にタイヤ58と路面との間に生じる摩擦力
の作用点が、トレーリングアーム16が2個のブラケッ
ト12によって支持されている位置から自動車の幅方向
に外れているため、トレーリングアーム16に第1図に
おいて時計方向の回転モーメントが生じ、トレーリング
アーム16を支持しているブッシュ22の撓みによって
スピンドル42が後方へ傾かされ、後車輪60はトーア
ウト傾向となるようにステアさせられることとなる。し
かし、これと同時に後車輪60の回転が抑制されること
により生じるブレーキトルクがマウンティングブラケッ
ト64を介してスピンドル42,38に伝達されるた
め、これらスピンドル42,38が回転させられてスピ
ンドル42が前方へ傾かされ、上記スプンドル42の後
方へ傾きが打ち消される。すなわち、スピンドル38
は、前述のようにスピンドル42の軸心H、すなわち後
車輪60の回転中心線に対して一定角度傾かされている
ため、スピンドル38が回転させられるのに伴って、ス
ピンドル42の軸心Hはスピンドル38の軸心Eとの交
点Oを頂点とする円錐面に沿って旋回することとなり、
この旋回に伴うスピンドル42の前傾成分によってスピ
ンドル42の後傾が打ち消されるのである。その結果、
後車輪60はトーイン傾向にもトーアウト傾向にもなら
ず、単にネガティブキャンバが変化するのみである。本
実施例においては、前述のように、自動車の定常走行状
態において、スピンドル42の軸心Hが、第3図に示す
ように、スピンドル38,42の回転に伴ってスピンド
ル42の軸心Hが描く円錐状軌跡Fの最上部より手前
側、すなわち制動時におけるスピンドル38,42の回
転に伴って最上部へ近づく側に位置しているため、制動
時にはネガティブキャンバが増加することとなる。
なお、制動時にスピンドル42の軸心が平面視において
前方へ傾動するようにするためには、スピンドル42の
軸心のスピンドル38の軸心に対する傾きの方向を、ス
ピンドル42の軸心のスピンドル42の先端に対応する
部分が、スピンドル38の軸心を含む垂直面に直角でか
つスピンドル38の軸心を含む基準平面A(本実施例に
おいてはスピンドル38の軸心が水平面内にあるため基
準平面Aも水平面である)より上方に位置する方向に決
定すればよいため、本実施例におけるように自動車の定
常走行時にスピンドル42の軸心のスピンドル42の先
端に対応する部分がスピンドル38の軸心を含む垂直面
より後ろ側に位置するようにすることは不可欠ではな
い。垂直面より前側に位置するようにすることも可能な
のであって、この場合には制動時にスピンドル38,4
2が回転するにつれてスピンドル42の軸心の垂直面視
における上方へ傾斜角が小さくなり、車輪のネガティブ
キャンバが減少することとなる。
以上は自動車の直進中にブレーキが作用させられた場合
の説明であるが、旋回中にブレーキが作用させられた場
合には、外側の後車輪60の回転軸であるスピンドル4
2は、路面から後車輪60に加えられる横力によって直
進時の制動におけるよりも更に大きく後方へ傾けられ、
この外側の後車輪60は大きくトーアウト側へステアさ
れることとなるが、この場合にも、スピンドル42がス
ピンドル38の回転に伴って前方へ傾動させられ、後車
輪60のトーアウト傾向が軽減されることとなるため、
内側の後車輪が横力によってトーイン傾向とされること
と相俟って、車体の後部側が外側へ振り出されて旋回半
径が小さくなるオーバステアの発生が防止され、安定し
た状態で自動車を旋回させ得ることとなるのである。
以上の説明から明らかなように、本実施例においては、
スピンドル38が第二スピンドル、スピンドル42が第
一スピンドルとしてそれぞれ機能し、ゴムブッシュ36
が、スピンドル38を定常走行時に一定の回転位相に保
持する弾性部材として機能する。
なお、本実施例においては、スピンドル38のスピンド
ル42に対する傾き角および方向ならびにゴムブッシュ
36の荷重特性が、自動車直進中における制動時にトレ
ーリングアーム16のゴムブッシュ22の弾性変形によ
って許容されるスピンドル42の後傾を、スピンドル3
8の回転に伴うスピンドル42の前傾がちょうど打ち消
すように選定されている。ゴムブッシュ22の弾性変形
量は制動力の大きさにほぼ比例すめため、それによって
生じるスピンドル42の後傾角も制動力にほぼ比例す
る。また、ゴムブッシュ36の弾性変形量、ひいてはス
ピンドル38および42の回転角が制動力にほぼ比例す
るため、それによって生じるスピンドル42の前傾角も
制動力にほぼ比例する。厳密にはスピンドル42の前傾
角はスピンドル38および42の回転角には比例しない
が、制動力に基づくスピンドル38および42の回転角
が小さい場合(スピンドル42の軸心が前記円錐状軌跡
の最上部に近い位置にある場合には特に)には、スピン
ドル42の前傾角はスピンドル38および42の回転角
に比例すると考えて差し支えなく、スピンドル42の前
傾角は制動力にほぼ比例すると考えることができるので
ある。
さらに、スピンドル38および42の回転に伴うスピン
ドル42の前傾角は、スピンドル38と42との軸心の
傾き角にほぼ比例する。したがって、スピンドル38と
42との軸心の傾き角と、自動車の定常走行状態におけ
るスピンドル42の傾き方向とを、ゴムブッシュ22の
弾性係数に合わせて適所に選定しておけば、制動力の大
きさの如何を問わず、スピンドル42の後傾を前傾によ
って打ち消すことができるのである。
ただし、ゴムブッシュ36の弾性係数と、スピンドル4
2の軸心のスピンドル38の軸心に対する傾き角および
方向とを、自動車直進中における制動時には後車輪がや
やトーイン傾向となり、旋回中における制動時に外側の
後車輪が殆どトーアウト傾向とならないように定めるこ
とも可能である。また、逆に自動車直進中における制動
時に後車輪のトーアウト傾向が完全には打ち消されない
ようにスピンドル42の傾き角および方向とゴムブッシ
ュ36の弾性係数とを定めても、このような対策が施さ
れていない従来の装置に比較すれば、自動車の旋回安定
性を増すという本考案の効果が得られる。
また、上記実施例において、スピンドル38の回転につ
れて戻しトルクを発生させる弾性部材がゴムブッシュ3
6とされていたが、これに限定されるわけではなく、ス
ピンドル38に固定(直接でも間接でもよい)の部分と
スピンドル支持部材24に固定の部分とを有し、それら
の両固定部分の間に部分において弾性変形可能なもので
あれば使用が可能である。
さらに、スピンドル38を支持するスピンドル支持部材
24はトレーリングアーム16と一体に形成してもよ
い。
また、本実施例においては、後車輪60はサスペンショ
ンメンバ10によって支持されたトレーリングアーム1
6をサスペンションアームとして懸架され、所謂トレー
リングアーム方式で懸架されていたが、フロントドライ
ブ車の後車輪を独立に懸架する場合において、制動時に
後車輪のスピンドルが後方へ傾くことが許容される形式
のものであれば、例えばウィッシュボーン方式等、他の
独立懸架方式によって車輪が懸架されたものについても
同様に本考案を適用し、上記のような効果を得ることが
できるのであり、また、この後車輪に用いられるブレー
キ機構はディスクブレーキのみならず、ドラムブレーキ
であってもよく、この場合には、ドラムブレーキを構成
するブレーキドラムがブレーキロータとなる。
さらに、本考案はリヤドライブ車の前車輪の支持装置に
も適用することができる。
その他、いちいち例示することはしないが、本考案の趣
旨を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の
変形,改良を施した状態で本考案を実施し得ることは勿
論である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例である車輪支持装置を含む独
立懸架装置を示す平面図である。第2図は、第1図にお
けるII−II断面図である。第3図は本発明の作用を示す
説明図である。 10:サスペンションメンバ 16:トレーリングアーム (サスペンションアーム) 22:ブッシュ 23:車輪支持装置 24:スピンドル支持部材 36:ゴムブッシュ(弾性部材) 38:スピンドル(第二スピンドル) 40:基部 42:スピンドル(第一スピンドル) 52:ディスクロータ(ブレーキロータ) 60:後車輪 64:マウンティングブラケット 66:ディスクブレーキ機構

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】サスペンションアーム(16)により自動
    車の車体に取り付けられるスピンドル支持部材(24)
    と、そのスピンドル支持部材に支持されるとともに車輪
    (60)およびブレーキロータ(52)を回転可能に支
    持するスピンドルとを含む自動車の車輪支持装置におい
    て、 前記スピンドルを、共通の基部(40)から互いに逆向
    きに延び出すとともに軸心が互いに傾いた第一スピンド
    ル(42)と第二スピンドル(38)とを一体的に含む
    ものとし、第一スピンドルに前記車輪およびブレーキロ
    ータを回転可能に支持させる一方、前記基部に前記ブレ
    ーキロータの回転を抑制するブレーキ機構(66)を回
    転不能に支持させ、かつ、前記第二スピンドルを前記ス
    ピンドル支持部材に回転可能に支持させるとともに、そ
    れら第二スピンドルとスピンドル支持部材との間に、第
    二スピンドルに固定の部分とスピンドル支持部材に固定
    の部分とを有し、それら両固定部分の間の部分において
    弾性変形可能な弾性部材(36)を配設し、さらに、前
    記第一スピンドルの軸心の第二スピンドルの軸心に対す
    る傾きの方向を、第一スピンドルの軸心の第一スピンド
    ルの先端に対応する部分が、自動車の走行状態のいかん
    を問わず、第二スピンドルの軸心を含む垂直面に直角で
    かつ第二スピンドルの軸心を含む基準平面より上方に位
    置する方向に決定したことを特徴とする自動車の車輪支
    持装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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