JP5125654B2 - 車両用無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ベルト式の車両用無段変速機の変速制御装置に係り、その車両用無段変速機の耐久性を維持するための技術に関するものである。
走行用動力源であるエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に駆動側プーリおよび従動側プーリとその両プーリに巻き掛けられたベルトとを有する無段変速機を備えた車両において、上記両プーリのそれぞれにおける上記ベルトの巻付け径(巻掛け径)を変化させることによって上記無段変速機の変速を行う車両用無段変速機の変速制御装置が、従来から知られている。例えば、特許文献1に示された車両用無段変速機の変速制御装置がそれである。その特許文献1に示された車両用無段変速機の変速制御装置は、上記無段変速機の変速比がその目標値である目標変速比になるように上記駆動側プーリにおける上記ベルトの巻付け径を油圧制御するフィードバック制御を実行する。そのフィードバック制御では、上記目標変速比に対応した目標入力軸回転速度と実際の入力軸回転速度との差(入力軸回転速度偏差)が大きいほど、上記変速比の変化速度である変速速度が高くなる。また、そのフィードバック制御における変速ゲインによっても上記変速速度は変化し、両者は上記変速ゲインが低いほど上記変速速度は低くなる関係にある。このようなフィードバック制御により上記無段変速機の変速を行う上記特許文献1の変速制御装置は、車両発進時には上記無段変速機の変速比を最大変速比とし、その変速比を最大変速比から車速上昇に伴い小さくしていく。また、その変速制御装置は、車両発進時に上記無段変速機が最減速状態にはないと判断した場合、例えば、上記無段変速機の変速比が最大変速比ではないと判断した場合には、その変速比を最大変速比にするが、その場合、上記変速速度を低下させるため前記変速ゲインを低下させる。
特開2001−330122号公報 特開2007−177832号公報
ところで、前記無段変速機の変速比は、前記駆動側プーリの回転速度と従動側プーリの回転速度とがそれぞれのプーリに設けられた回転速度センサなどにより検出され、その駆動側プーリの回転速度と従動側プーリの回転速度とから算出される。従って、車両停止中は上記駆動側プーリの回転速度および従動側プーリの回転速度は何れも零であり上記変速比を算出することができないので、前記変速制御装置は、例えば、車両停止直前の車両状態から上記変速比を推定することになる。しかし、前記エンジンが停止状態から始動された後の最初の車両発進の前においては上記変速制御装置は前記無段変速機の変速比を算出も推定もできないためそれを把握しておらず、その無段変速機が最減速状態になかったとしてもその旨の判断を行えないと考えられる。また、上記エンジンの停止中において車両が牽引されるなどした場合には上記駆動側プーリと従動側プーリとが回転し上記無段変速機の変速比が変化してしまうことが想定される。
従って、上記エンジンが停止状態から始動された後の最初の車両発進時において、上記無段変速機が最減速状態になかった場合に、上記変速制御装置は前記変速ゲインを低下させることなく通常の変速速度で上記無段変速機の上記駆動側プーリにおける巻付け径を小さくすることによりその変速比を最大変速比にする。これにより、前記ベルトの張力が過渡的に下がりそれに起因したベルト滑りが発生する可能性があった。なお、この課題は未公知である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ベルト式の車両用無段変速機において、車両発進時にベルト滑りが発生することを未然に防止する変速制御装置を提供することにある。
かかる目的を達成するために、請求項1に係る発明は、(a)走行用動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に駆動側プーリおよび従動側プーリとその両プーリに巻き掛けられたベルトとを有する無段変速機を備え、その両プーリのそれぞれにおけるそのベルトの巻付け径を変化させることによってその無段変速機の変速を行う車両用無段変速機の変速制御装置であって、(b)前記無段変速機の変速比がその目標値である目標変速比になるように前記駆動側プーリにおける前記ベルトの巻付け径を制御するフィードバック制御を実行する変速制御手段と、(c)前記無段変速機が、車両停止状態において最減速状態にあるか否かを判断する最減速判断手段と、(d)前記変速制御装置の電源投入後において最初の車両発進時には、前記最減速判断手段の判断結果に関わらず、前記フィードバック制御における前記変速比の変化速度を決定する変速ゲインを予め定められた定常値に対して低下させる変速ゲイン変更手段とを、含むことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、前記最初の車両発進後において、前記最減速判断手段により前記無段変速機が車両停止状態において前記最減速状態にあると判断された場合には、前記変速ゲイン変更手段は前記変速ゲインの低下を解除することを特徴とする。
請求項3に係る発明では、前記変速制御装置の電源投入後の2回目以降の車両発進時に、前記最減速判断手段により前記無段変速機が車両停止状態において前記最減速状態にはないと判断された場合には、前記変速ゲイン変更手段は前記変速ゲインを前記予め定められた定常値に対して低下させることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、前記無段変速機の入力軸の回転速度である入力軸回転速度が予め定められた入力軸回転速度判定値以上である場合、或いは、車速が予め定められた車速判定値以上である場合には、前記変速ゲイン変更手段は前記変速ゲインの低下を解除することを特徴とする。
請求項5に係る発明では、(a)車両走行中に前記無段変速機の変速比が前記目標変速比に到達したか否かを判断する走行時変速比判断手段を備え、(b)車両発進後にその走行時変速比判断手段により前記無段変速機の変速比が前記目標変速比に到達したと判断された場合には、前記変速ゲイン変更手段は前記変速ゲインの低下を解除することを特徴とする。
請求項1に係る発明の車両用無段変速機の変速制御装置は、(a)前記無段変速機の変速比がその目標値である目標変速比になるように前記駆動側プーリにおける前記ベルトの巻付け径を制御するフィードバック制御を実行する変速制御手段と、(b)上記無段変速機が、車両停止状態において最減速状態にあるか否かを判断する最減速判断手段と、(c)上記変速制御装置の電源投入後において最初の車両発進時には、上記最減速判断手段の判断結果に関わらず、上記フィードバック制御における上記変速比の変化速度を決定する変速ゲインを予め定められた定常値に対して低下させる変速ゲイン変更手段とを、含む。従って、上記無段変速機が車両停止状態において最減速状態になかった場合においてそれを上記最減速判断手段が判断できなくても、上記駆動側プーリにおける巻付け径(有効径)が小さくされて上記変速比が最大変速比にされるときのその変速比の変化速度(変速速度)が、上記変速ゲインの低下によって緩やかになり、その結果、上記ベルトの張力が過渡的に下がることに起因したベルト滑りの発生を未然に防止することができる。
請求項2に係る発明の車両用無段変速機の変速制御装置によれば、前記最初の車両発進後において、上記最減速判断手段により上記無段変速機が車両停止状態において上記最減速状態にあると判断された場合には、上記変速ゲイン変更手段は上記変速ゲインの低下を解除するので、上記変速速度を低下させておく必要が無くなれば、上記無段変速機の変速比の前記目標変速比に対する追従性が高い定常状態での変速速度で上記無段変速機の変速が行われることとなり、車両走行時の快適性を損なうことを回避できる。
なお、上記「最初の車両発進後」とは、前記「最初の車両発進時」を除く意味であるので、その最初の車両発進後から次に車両が停止するまでではなく、その最初の車両発進後から上記変速制御装置の電源遮断までである。
請求項3に係る発明の車両用無段変速機の変速制御装置によれば、前記変速制御装置の電源投入後の2回目以降の車両発進時に、前記最減速判断手段により上記無段変速機が車両停止状態において上記最減速状態にはないと判断された場合には、前記変速ゲイン変更手段は上記変速ゲインを前記予め定められた定常値に対して低下させるので、上記無段変速機の変速比が最大変速比にされるときの変速速度が、上記変速ゲインの低下によって緩やかになり、その結果、上記ベルトの張力が過渡的に下がることに起因したベルト滑りの発生を未然に防止することができる。
請求項4に係る発明の車両用無段変速機の変速制御装置によれば、上記無段変速機の入力軸回転速度が予め定められた入力軸回転速度判定値以上である場合、或いは、車速が予め定められた車速判定値以上である場合には、上記変速ゲイン変更手段は上記変速ゲインの低下を解除する。ここで、上記無段変速機が車両停止状態において上記最減速状態にはない場合にその無段変速機の変速比が最大変速比にされるのは車両発進直後の過渡的なことである。従って、上記入力軸回転速度または車速に基づいて上記変速速度を低下させておく必要があるか否かが簡便に判断されその必要が無くなれば、上記無段変速機の変速比の前記目標変速比に対する追従性が高い定常状態での変速速度で上記無段変速機の変速が行われることとなり、車両走行時の快適性を損なうことを回避できる。
請求項5に係る発明の車両用無段変速機の変速制御装置によれば、(a)車両走行中に上記無段変速機の変速比が前記目標変速比に到達したか否かを判断する走行時変速比判断手段が備えられ、(b)車両発進後にその走行時変速比判断手段により上記無段変速機の変速比が上記目標変速比に到達したと判断された場合には、上記変速ゲイン変更手段は上記変速ゲインの低下を解除する。従って、前記変速速度を低下させておく必要が無くなれば、上記無段変速機の変速比の前記目標変速比に対する追従性が高い定常状態での変速速度で上記無段変速機の変速が行われることとなり、車両走行時の快適性を損なうことを回避できる。
ここで好適には、前記無段変速機の目標変速比は、車両の運転性と燃費性とを両立するように求められ予め記憶された変速条件(変速マップ)に従って、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度や車速などで例示される車両状態を示す状態量に基づき設定される。また、上記予め定められた変速条件は、例えばアクセル開度などの運転者の出力要求量(加速要求量)および車速(無段変速機の出力軸の回転速度に対応)などの車両状態をパラメータとする変速マップや演算式などによって設定される。
また好適には、前記変速ゲインの定常値とは、車両の確保すべき走行性能や上記無段変速機の機械的性能に基づいて予め定められた、定常時すなわち非過渡状態での変速における前記フィードバック制御に適用される変速ゲインである。
また好適には、前記無段変速機の最減速状態とは、その無段変速機の変速比が最大変速比である変速状態を含み、その変速比が最大変速比である場合と同等の発進性能を確保できる変速状態である。
また好適には、車両発進時に前記変速制御手段は上記無段変速機を最減速状態にする。このようにすれば、良好な発進性能が得られる。
また好適には、(a)前記駆動側プーリと従動側プーリとにはそれぞれ回転速度センサが設けられており、(b)上記無段変速機の変速比は、上記回転速度センサにより検出される上記駆動側プーリの回転速度と従動側プーリの回転速度とから算出される。
また好適には、前記走行用動力源としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジンが広く用いられる。さらに、補助的な走行用動力源として、電動機等が上記エンジンに加えて用いられても良い。或いは、走行用動力源として電動機のみが用いられてもよい。
また好適には、上記走行用動力源とはエンジンであり、前記変速制御装置の電源投入後とはそのエンジンの始動後である。
また好適には、前記入力軸回転速度判定値および前記車速判定値は、車両発進時に上記無段変速機の変速速度を低下させるべき期間が経過したことを判断するための判定値である。
また好適には、前記駆動側プーリにおけるベルトの巻付け径に対応した溝幅を変化させる駆動側油圧アクチュエータとしての駆動側油圧シリンダが上記駆動側プーリに一体的に設けられており、その駆動側油圧シリンダに対して作動油が油圧制御装置によって給排されることにより上記無段変速機の変速が行われる。更に、前記従動側プーリにおけるベルトの巻付け径に対応した溝幅を変化させる従動側油圧アクチュエータとしての従動側油圧シリンダが上記従動側プーリに一体的に設けられており、その従動側油圧シリンダの油圧が上記ベルトの滑りを生じないように油圧制御装置によって調圧される。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の構成を説明する骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型自動変速機であって、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用動力源としてエンジン12を備えている。内燃機関にて構成されているエンジン12の出力は、エンジン12のクランク軸、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式の無段変速機(CVT)18、減速歯車装置20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびトルクコンバータ14の出力側部材に相当するタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられており、油圧制御回路100(図2、図3参照)内の図示しないロックアップコントロールバルブ(L/C制御弁)などによって係合側油室および解放側油室に対する油圧供給が切り換えられることにより、係合または解放されるようになっており、完全係合させられることによってポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tは一体回転させられる。ポンプ翼車14pには、無段変速機18を変速制御したりベルト挟圧力を発生させたり、ロックアップクラッチ26を係合解放制御したり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧をエンジン12により回転駆動されることにより発生する機械式のオイルポンプ28が連結されている。
前後進切換装置16は、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1とダブルピニオン型の遊星歯車装置16pとを主体として構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに一体的に連結され、無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに一体的に連結されている一方、キャリア16cとサンギヤ16sは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は断続装置に相当するもので、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
そして、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が解放されると、前後進切換装置16は一体回転状態とされることによりタービン軸34が入力軸36に直結され、前進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、前進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が解放されると、前後進切換装置16は後進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、入力軸36はタービン軸34に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)になる。
無段変速機18は、入力軸36に設けられた入力側部材である有効径(ベルト巻付け径)が可変の駆動側プーリ(プライマリプーリ、プライマリシーブ)42と、出力軸44に設けられた出力側部材である有効径(ベルト巻付け径)が可変の従動側プーリ(セカンダリプーリ、セカンダリシーブ)46と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。
可変プーリ42および46は、入力軸36および出力軸44にそれぞれ固定された固定回転体42aおよび46aと、入力軸36および出力軸44に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた可動回転体42bおよび46bと、それらの間のV溝幅を変更する推力を付与する油圧アクチュエータとしての駆動側油圧シリンダ(プライマリプーリ側油圧シリンダ)42cおよび従動側油圧シリンダ(セカンダリプーリ側油圧シリンダ)46cとを備えて構成されており、駆動側油圧シリンダ42cへの作動油の供給排出流量が油圧制御回路100によって制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の巻付け径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変化させられる、すなわち無段変速機18の変速が行われる。また、従動側油圧シリンダ46cの油圧であるセカンダリ圧Pd(以下、「ベルト挟圧Pd」という)が油圧制御回路100によって調圧制御されることにより、伝動ベルト48が滑りを生じないようにベルト挟圧力が制御される。このような制御の結果として、駆動側油圧シリンダ42cの油圧であるプライマリ圧(以下、「変速圧」という)Pinが生じるのである。なお、上記無段変速機18の変速比γは、入力軸回転速度センサ56により検出される入力軸回転速度Ninと出力軸回転速度センサ58により検出される出力軸回転速度Noutとから算出される。
図2は、図1の車両用駆動装置10などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。本発明の変速制御装置に対応する電子制御装置50は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御や無段変速機18の変速制御およびベルト挟圧力制御やロックアップクラッチ26のトルク容量制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や無段変速機18およびロックアップクラッチ26の油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置50には、エンジン回転速度センサ52により検出されたクランク軸回転角度(位置)ACR(°)およびエンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Nに対応するクランク軸回転速度を表す信号、タービン回転速度センサ54により検出されたタービン軸34の回転速度(タービン回転速度)Nを表す信号、入力軸回転速度センサ56により検出された無段変速機18の入力回転速度である入力軸36の回転速度(入力軸回転速度)Ninを表す信号、車速センサ(出力軸回転速度センサ)58により検出された無段変速機18の出力回転速度である出力軸44の回転速度(出力軸回転速度)Noutすなわち出力軸回転速度Noutに対応する車速Vを表す車速信号、スロットルセンサ60により検出されたエンジン12の吸気配管32(図1参照)に備えられた電子スロットル弁30のスロットル弁開度θTHを表すスロットル弁開度信号、冷却水温センサ62により検出されたエンジン12の冷却水温Tを表す信号、CVT油温センサ64により検出された無段変速機18等の油圧回路の油温TCVTを表す信号、アクセル開度センサ66により検出されたアクセルペダル68の操作量であるアクセル開度Accを表すアクセル開度信号、フットブレーキスイッチ70により検出された常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無BONを表すブレーキ操作信号、レバーポジションセンサ72により検出されたシフトレバー74のレバーポジション(操作位置)PSHを表す操作位置信号などが供給されている。
また、電子制御装置50からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号S、例えば電子スロットル弁30の開閉を制御するためのスロットルアクチュエータ76を駆動するスロットル信号や燃料噴射装置78から噴射される燃料の量を制御するための噴射信号や点火装置80によるエンジン12の点火時期を制御するための点火時期信号などが出力される。また、無段変速機18の変速比γを変化させる為の変速制御指令信号S例えば駆動側油圧シリンダ42cへの作動油の流量を制御するソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2を駆動するための指令信号、伝動ベルト48の挟圧力を調整させる為の挟圧力制御指令信号S例えばベルト挟圧Pdを調圧するリニアソレノイド弁SLSを駆動するための指令信号、ロックアップクラッチ26の係合、解放、スリップ量を制御させる為のロックアップ制御指令信号例えば油圧制御回路100内の前記ロックアップコントロールバルブの弁位置を切り換える図示しないオンオフソレノイド弁DSUを駆動するための指令信号やロックアップクラッチ26のトルク容量を調節するソレノイド弁DS2を駆動するための指令信号、ライン油圧Pを制御するリニアソレノイド弁SLTやリニアソレノイド弁SLSを駆動するための指令信号などが油圧制御回路100へ出力される。
シフトレバー74は、例えば運転席の近傍に配設され、順次位置させられている5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、および「L」(図3参照)のうちの何れかへ手動操作されるようになっている。
「P」ポジション(レンジ)は車両用駆動装置10の動力伝達経路を解放しすなわち車両用駆動装置10の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし且つメカニカルパーキング機構によって機械的に出力軸44の回転を阻止(ロック)するための駐車ポジション(位置)であり、「R」ポジションは出力軸44の回転方向を逆回転とするための後進走行ポジション(位置)であり、「N」ポジションは車両用駆動装置10の動力伝達が遮断されるニュートラル状態とするための中立ポジション(位置)であり、「D」ポジションは無段変速機18の変速を許容する変速範囲で自動変速モードを成立させて自動変速制御を実行させる前進走行ポジション(位置)であり、「L」ポジションは強いエンジンブレーキが作用させられるエンジンブレーキポジション(位置)である。このように、「P」ポジションおよび「N」ポジションは動力伝達経路をニュートラル状態とし車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであり、「R」ポジション、「D」ポジションおよび「L」ポジションは動力伝達経路を動力伝達経路の動力伝達を可能とする動力伝達可能状態とし車両を走行させるときに選択される走行ポジションである。
図3は、油圧制御回路100のうち無段変速機18のベルト挟圧力制御、変速比制御、およびシフトレバー74の操作に伴う前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1の係合油圧制御に関する要部を示す油圧回路図である。図3において、油圧制御回路100は、伝動ベルト48が滑りを生じないように従動側油圧シリンダ46cの油圧であるベルト挟圧Pdを調圧する挟圧力コントロールバルブ110、リニアソレノイド弁SLTにより調圧された第1油圧としての制御油圧PSLTを出力する第1位置とライン圧モジュレータNO.2バルブ122からの第2油圧としての出力油圧PLM2を出力する第2位置とに切り換えられる切換弁として機能するクラッチアプライコントロールバルブ112、変速比γが連続的に変化させられるように駆動側油圧シリンダ42cへの作動油の流量を制御する変速制御弁として機能する変速比コントロールバルブUP114および変速比コントロールバルブDN116、変速圧Pinとベルト挟圧Pdとの比率を予め定められた関係とする推力比コントロールバルブ118、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が係合或いは解放されるようにシフトレバー74の操作に従って油路が機械的に切り換えられるマニュアルバルブ120等を備えている。
また、ライン油圧Pは、エンジン12により回転駆動される機械式のオイルポンプ28(図1参照)から出力(発生)される作動油圧を元圧として、例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ(調圧弁)124によりリニアソレノイド弁SLTからの信号圧PSLT或いはリニアソレノイド弁SLSからの信号圧PSLSに基づいてエンジン負荷等に応じた値に調圧されるようになっている。上記出力油圧PLM2は、ライン油圧Pを元圧として前記ライン圧モジュレータNO.2バルブ122によりリニアソレノイド弁SLTからの信号圧PSLT或いはリニアソレノイド弁SLSからの信号圧PSLSに基づいて調圧されるようになっている。出力油圧PLM3は、制御油圧(信号圧)PSLTおよび信号圧PSLSの元圧となるものであって、ライン油圧Pを元圧としてライン圧モジュレータNO.3バルブ126により一定圧に調圧されるようになっている。モジュレータ油圧Pは、電子制御装置50によってデューティ制御されるソレノイド弁DS1の出力油圧である制御油圧PDS1およびソレノイド弁DS2の出力油圧である制御油圧PDS2の元圧となるものであって、出力油圧PLM3を元圧としてモジュレータバルブ128により一定圧に調圧されるようになっている。
前記マニュアルバルブ120において、入力ポート120aにはクラッチアプライコントロールバルブ112から出力された係合油圧Pが供給される。そして、シフトレバー74が「D」ポジション或いは「L」ポジションに操作されると、係合油圧Pが前進走行用出力圧として前進用出力ポート120fを経て前進用クラッチC1に供給され且つ後進用ブレーキB1内の作動油が後進用出力ポート120rから排出ポートEXを経て例えば大気圧にドレーン(排出)されるようにマニュアルバルブ120の油路が切り換えられ、前進用クラッチC1が係合させられると共に後進用ブレーキB1が解放させられる。
また、シフトレバー74が「R」ポジションに操作されると、係合油圧Pが後進走行用出力圧として後進用出力ポート120rを経て後進用ブレーキB1に供給され且つ前進用クラッチC1内の作動油が前進用出力ポート120fから排出ポートEXを経て例えば大気圧にドレーン(排出)されるようにマニュアルバルブ120の油路が切り換えられ、後進用ブレーキB1が係合させられると共に前進用クラッチC1が解放させられる。
また、シフトレバー74が「P」ポジションおよび「N」ポジションに操作されると、入力ポート120aから前進用出力ポート120fへの油路および入力ポート120aから後進用出力ポート120rへの油路がいずれも遮断され且つ前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1内の作動油が何れもマニュアルバルブ120からドレーンされるようにマニュアルバルブ120の油路が切り換えられ、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放させられる。
前記クラッチアプライコントロールバルブ112は、軸方向へ移動可能に設けられることにより制御油圧PSLTを入力ポート112iから出力ポート112sを経て係合油圧Pとしてマニュアルバルブ120へ供給し且つ信号圧PSLSを入力ポート112jから出力ポート112tを経てライン圧モジュレータNO.2バルブ122およびプライマリレギュレータバルブ124へ供給する第1の油路を構成する第1位置(CONTROL位置)と出力油圧PLM2を入力ポート112kから出力ポート112sを経て係合油圧Pとしてマニュアルバルブ120へ供給し且つ制御油圧PSLTを入力ポート112iから出力ポート112tを経てライン圧モジュレータNO.2バルブ122およびプライマリレギュレータバルブ124へ供給する第2の油路を構成する第2位置(NORMAL位置)とに位置させられるスプール弁子112aと、そのスプール弁子112aを第2位置側に向かって付勢する付勢手段としてのスプリング112bと、スプール弁子112aに第1位置側に向かう推力を付与するために制御油圧PDS1を受け入れる油室112cと、スプール弁子112aに第1位置側に向かう推力を付与するために制御油圧PDS2を受け入れる径差部112dとを備えている。
このように構成されたクラッチアプライコントロールバルブ112において、例えば所定の低車速時や車両停止時等にシフトレバー74が「N」ポジションから「D」ポジション或いは「R」ポジションへ操作されるガレージシフト(N→Dシフト或いはN→Rシフト)が行われ、所定圧以上の制御油圧PDS1が油室112cへ供給され且つ所定圧以上の制御油圧PDS2が径差部112dへ供給されると、中心線より右側半分に示す第1位置側に切り換えられて制御油圧PSLTがマニュアルバルブ120を介して前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1に供給される。これにより、ガレージシフト時のクラッチC1やブレーキB1の係合過渡油圧が第1の電磁弁としてのリニアソレノイド弁SLTによって調圧される。例えば、制御油圧PSLTは、N→Dシフト或いはN→RシフトにおいてクラッチC1やブレーキB1の過渡的な係合状態を制御するための油圧であって、クラッチC1或いはブレーキB1が滑らかに係合させられ、係合時のショックが抑制されるように、予め定められた規則に従って調圧される。
また、例えばガレージシフト後のクラッチC1やブレーキB1が係合させられた定常時等に、制御油圧PDS1および制御油圧PDS2のうち少なくとも一方の供給が停止させられると、中心線より左側半分に示す第2位置側に切り換えられて出力油圧PLM2がマニュアルバルブ120を介して前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1に供給される。これにより、ガレージシフト後のクラッチC1やブレーキB1の係合が出力油圧PLM2によって保持される。例えば、出力油圧PLM2は、クラッチC1やブレーキB1を完全係合状態とするための所定油圧であって、少なくとも予め定められた一定圧に調圧されると共に信号圧PSLTに応じた油圧分を加えて調圧される。
このように、クラッチアプライコントロールバルブ112は、クラッチC1或いはブレーキB1への油圧の供給油路を、ガレージシフト時には前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1の過渡的な係合状態を制御するために制御油圧PSLTを供給する第1油路と、定常時にはクラッチC1或いはブレーキB1を完全係合状態とするために出力油圧PLM2を供給する第2油路とのいずれかに、第2の電磁弁としてのソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2からの制御油圧PDS1および制御油圧PDS2に基づいて切り換える切換弁として機能する。
尚、本実施例では、リニアソレノイド弁SLTの出力油圧を制御油圧PSLTと信号圧PSLTとで2通りの記載をしているが、ガレージシフト時の係合過渡油圧を制御油圧PSLTとし、ライン油圧Pを調圧するためのパイロット圧を信号圧PSLTとして明確に区別して用いる。すなわち、リニアソレノイド弁SLTは、クラッチアプライコントロールバルブ112が第1位置に切り換えられているときには前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1の過渡的な係合状態を制御するために制御油圧PSLTを出力し、クラッチアプライコントロールバルブ112が第2位置に切り換えられているときにはライン油圧Pを調圧するために信号圧PSLTを出力する。また、この信号圧PSLTはプライマリレギュレータバルブ124によりライン油圧Pを調圧するためのパイロット圧であり、クラッチC1或いはブレーキB1を係合するために直接的にそれら係合装置の油圧アクチュエータに供給される油圧でないことから、上記出力油圧PLM2よりも小さな油圧とされている。
前記変速比コントロールバルブUP114は、軸方向へ移動可能に設けられることによりライン油圧Pを入力ポート114iから入出力ポート114jを経て駆動側プーリ42へ供給可能且つ入出力ポート114kを閉弁するアップシフト位置と駆動側プーリ42が入出力ポート114jを介して入出力ポート114kと連通させられる原位置とに位置させられるスプール弁子114aと、そのスプール弁子114aを原位置側に向かって付勢する付勢手段としてのスプリング114bと、そのスプリング114bを収容し且つスプール弁子114aに原位置側に向かう推力を付与するために制御油圧PDS2を受け入れる油室114cと、スプール弁子114aにアップシフト位置側に向かう推力を付与するために制御油圧PDS1を受け入れる油室114dとを備えている。
また、変速比コントロールバルブDN116は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入出力ポート116jが排出ポートEXと連通させられるダウンシフト位置と入出力ポート116jが入出力ポート116kと連通させられる原位置とに位置させられるスプール弁子116aと、そのスプール弁子116aを原位置側に向かって付勢する付勢手段としてのスプリング116bと、そのスプリング116bを収容し且つスプール弁子116aに原位置側に向かう推力を付与するために制御油圧PDS1を受け入れる油室116cと、スプール弁子116aにダウンシフト位置側に向かう推力を付与するために制御油圧PDS2を受け入れる油室116dとを備えている。
このように構成された変速比コントロールバルブUP114および変速比コントロールバルブDN116において、中心線より左側半分に示すようにスプール弁子114aがスプリング114bの付勢力に従って原位置に保持されている閉じ状態では、入出力ポート114jと入出力ポート114kとが連通させられ、駆動側プーリ42(駆動側油圧シリンダ42c)の作動油が入出力ポート116jへ流通することが許容される。また、中心線より右側半分に示すようにスプール弁子116aがスプリング116bの付勢力に従って原位置に保持されている閉じ状態では、入出力ポート116jと入出力ポート116kとが連通させられ、推力比コントロールバルブ118からの推力比制御油圧Pτが入出力ポート114kへ流通することが許容される。
また、制御油圧PDS1が油室114dへ供給されると、中心線より右側半分に示すようにスプール弁子114aがその制御油圧PDS1に応じた推力によりスプリング114bの付勢力に抗してアップシフト位置側へ移動させられ、ライン油圧Pが制御油圧PDS1に対応する流量で入力ポート114iから入出力ポート114jを経て駆動側油圧シリンダ42cへ供給されると共に、入出力ポート114kが遮断されて変速比コントロールバルブDN116側への作動油の流通が阻止される。これにより、変速圧Pinが高められ、駆動側プーリ42のV溝幅が狭くされて変速比γが小さくされるすなわち無段変速機18がアップシフトされる。
また、制御油圧PDS2が油室116dへ供給されると、中心線より左側半分に示すようにスプール弁子116aがその制御油圧PDS2に応じた推力によりスプリング116bの付勢力に抗してダウンシフト位置側へ移動させられ、駆動側油圧シリンダ42cの作動油が制御油圧PDS2に対応する流量で入出力ポート114jから入出力ポート114kさらに入出力ポート116jを経て排出ポートEXから排出される。これにより、変速圧Pinが低められ、駆動側プーリ42のV溝幅が広くされて変速比γが大きくされるすなわち無段変速機18がダウンシフトされる。
このように、制御油圧PDS1が出力されると変速比コントロールバルブUP114に入力されたライン油圧Pが駆動側油圧シリンダ42cへ供給されて変速圧Pinが高められて連続的にアップシフトされ、制御油圧PDS2が出力されると駆動側油圧シリンダ42cの作動油が排出ポートEXから排出されて変速圧Pinが低められて連続的にダウンシフトされる。
例えば図4に示すような車両の運転性と燃費性とを両立するように実験的に求められた、アクセル開度Accをパラメータとして車速Vと無段変速機18の目標入力回転速度である目標入力軸回転速度Nintとの関係(変速マップ)が予め記憶されており、その関係(変速マップ)から実際の車速Vおよびアクセル開度Accで示される車両状態に基づいて所定回転部材としての入力軸36の目標入力軸回転速度Nintが設定される。そして、その設定された目標入力軸回転速度Nintと実際の入力軸回転速度Nin(以下、目標入力軸回転速度Nintとの関係で紛らわしい場合には「実入力軸回転速度Nin」と表す)とが一致するように、それ等の回転速度差(偏差)ΔNin(=Nint−Nin)に応じて無段変速機18の変速がフィードバック制御により実行される、すなわち駆動側油圧シリンダ42cに対する作動油の供給および排出により両可変プーリ42、46のV溝幅が変化させられて変速比γがフィードバック制御により連続的に変化させられる。
図4の変速マップは変速条件に相当するもので、アクセル開度Accや車速Vなどをパラメータとする実験的に定められた演算式などでもよく、車速Vが小さくアクセル開度Accが大きい程大きな変速比γになる目標入力軸回転速度Nintが設定されるようになっている。また、車速Vは出力軸回転速度Noutに対応するため、入力軸回転速度Ninの目標値である目標入力軸回転速度Nintは目標変速比γ(=Nint/Nout)に対応し、無段変速機18の最小変速比γminと最大変速比γmaxの範囲内で定められる。
但し、入力軸回転速度Ninの目標値として目標入力軸回転速度Nintをそのまま設定しても良いが、好適には、加速走行時や減速走行時(コースト走行時)や変速過渡時等の走行状態に応じて目標入力軸回転速度Nintを処理した値である基本目標入力軸回転速度Nint_bcを設定し、その基本目標入力軸回転速度Nint_bcに基づいて最終的な入力軸回転速度Ninの目標値である過渡目標入力軸回転速度Nint_trsを設定する。従って、この場合には、その過渡目標入力軸回転速度Nint_trsと実入力軸回転速度Ninとが一致するように、それ等の回転速度差(偏差)ΔNint_trs(=Nint_trs−Nin)に応じて無段変速機18の変速がフィードバック制御により実行される。
また、制御油圧PDS1は変速比コントロールバルブDN116の油室116cに供給され、制御油圧PDS2に拘らずその変速比コントロールバルブDN116を閉じ状態としてダウンシフトを制限する一方、制御油圧PDS2は変速比コントロールバルブUP114の油室114cに供給され、制御油圧PDS1に拘らずその変速比コントロールバルブUP114を閉じ状態としてアップシフトを禁止するようになっている。つまり、制御油圧PDS1および制御油圧PDS2が共に供給されないときはもちろんであるが、制御油圧PDS1および制御油圧PDS2が共に供給されるときにも、変速比コントロールバルブUP114および変速比コントロールバルブDN116は何れも原位置に保持されている閉じ状態とされる。これにより、電気系統の故障などでソレノイド弁DS1、DS2の一方が機能しなくなり、制御油圧PDS1または制御油圧PDS2が最大圧で出力され続けるオンフェール時となった場合でも、急なアップシフトやダウンシフトが生じたり、その急変速に起因してベルト滑りが発生したりすることが防止される。
前記挟圧力コントロールバルブ110は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入力ポート110iを開閉してライン油圧Pを入力ポート110iから出力ポート110tを経て従動側プーリ46および推力比コントロールバルブ118へベルト挟圧Pdを供給可能にするスプール弁子110aと、そのスプール弁子110aを開弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング110bと、そのスプリング110bを収容し且つスプール弁子110aに開弁方向の推力を付与するために制御油圧PSLSを受け入れる油室110cと、スプール弁子110aに閉弁方向の推力を付与するために出力ポート110tから出力されたベルト挟圧Pdを受け入れるフィードバック油室110dと、スプール弁子110aに閉弁方向の推力を付与するためにモジュレータ油圧Pを受け入れる油室110eとを備えている。
このように構成された挟圧力コントロールバルブ110において、伝動ベルト48が滑りを生じないように制御油圧PSLSをパイロット圧としてライン油圧Pが連続的に調圧制御されることにより、出力ポート110tからベルト挟圧Pdが出力される。
例えば図5に示すように伝達トルクに対応するアクセル開度Accをパラメータとして変速比γと必要油圧(ベルト挟圧力)Pdとのベルト滑りが生じないように予め実験的に求められて記憶された関係(ベルト挟圧力マップ)から実際の変速比γおよびアクセル開度Accで示される車両状態に基づいて決定(算出)されたベルト挟圧力Pdが得られるように従動側油圧シリンダ46cのベルト挟圧Pdが制御され、このベルト挟圧Pdに応じてベルト挟圧力すなわち可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力が増減させられる。
前記推力比コントロールバルブ118は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入力ポート118iを開閉してライン油圧Pを入力ポート118iから出力ポート118tを経て変速比コントロールバルブDN116へ推力比制御油圧Pτを供給可能にするスプール弁子118aと、そのスプール弁子118aを開弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング118bと、そのスプリング118bを収容し且つスプール弁子118aに開弁方向の推力を付与するためにベルト挟圧Pdを受け入れる油室118cと、スプール弁子118aに閉弁方向の推力を付与するために出力ポート118tから出力された推力比制御油圧Pτを受け入れるフィードバック油室118dとを備えている。
このように構成された推力比コントロールバルブ118において、油室118cにおけるベルト挟圧Pdの受圧面積をa、フィードバック油室118dにおける推力比制御油圧Pτの受圧面積をb、スプリング118bの付勢力をFとすると、次式(1)で平衡状態となる。
τ×b=Pd×a+F ・・・(1)
従って、推力比制御油圧Pτは、次式(2)で表され、ベルト挟圧Pdに比例する。
τ=Pd×(a/b)+F/b ・・・(2)
そして、制御油圧PDS1および制御油圧PDS2が共に供給されないか、或いは所定圧以上の制御油圧PDS1および所定圧以上の制御油圧PDS2がともに供給されて、変速比コントロールバルブUP114および変速比コントロールバルブDN116が何れも原位置に保持されている閉じ状態とされたときには、推力比制御油圧Pτが駆動側油圧シリンダ42cに供給されることから、変速圧Pinが推力比制御油圧Pτと一致させられる。つまり、推力比コントロールバルブ118により変速圧Pinとベルト挟圧Pdとの比率を予め定められた関係に保つ推力比制御油圧Pτすなわち変速圧Pinが出力される。
例えば、入力軸回転速度センサ56や車速センサ58の精度上、所定の変速比検出下限車速V’以下の低車速状態では入力軸回転速度Ninや車速Vの検出精度が劣ることから、このような低車速走行時や発進時には回転速度差(偏差)ΔNinを解消するための変速比γのフィードバック制御に替えて、例えば制御油圧PDS1および制御油圧PDS2を共に供給せず変速比コントロールバルブUP114および変速比コントロールバルブDN116を何れも閉じ状態とする所謂閉じ込み制御を実行する。これにより、低車速走行時や発進時には変速圧Pinとベルト挟圧Pdとの比率を予め定められた関係とするようにベルト挟圧Pdに比例する変速圧Pinが駆動側油圧シリンダ42cへ供給されて、車両停車時から極低車速時における伝動ベルト48のベルト滑りが防止されると共に、このとき例えば最大変速比γmaxに対応する推力比τ(=従動側油圧シリンダ推力WOUT/駆動側油圧シリンダ推力WIN;WOUTはベルト挟圧Pd×従動側油圧シリンダ46cの受圧面積、WINは変速圧Pin×駆動側油圧シリンダ42cの受圧面積)より大きな推力比τが可能なように上記式(2)の右辺第1項の(a/b)やF/bが設定されていると、最大変速比γmax又はその近傍の変速比γmax’にて良好な発進が行われる。また、上記所定の変速比検出下限車速V’は、所定回転部材の回転速度例えば入力軸回転速度Ninが検出不可能な回転速度となる車速Vとして予め定められたフィードバック制御を実行可能な下限の車速であって、例えば2km/h程度に設定されている。
図6は、車速Vをパラメータとして変速比γと推力比τとの予め求められて記憶された関係であって、図示の関係になるように上記式(2)の右辺第1項の(a/b)が設定された場合の一例を示す図である。図6の一点鎖線で示した車速Vのパラメータは駆動側油圧シリンダ42cおよび従動側油圧シリンダ46cにおける遠心油圧を考慮して算出した推力比τであり、実線との交点(V、V20、V50)にて閉じ込み制御時に保持可能な所定の変速比としての変速比γが求められる。例えば、この図6に示すように本実施例の無段変速機18においては、車速Vが0km/hすなわち車両停止中の閉じ込み制御時に所定の変速比として最大変速比γmaxが保持可能である。
図7は、電子制御装置50による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図7において、変速制御手段152は、例えば図4に示すような予め記憶された変速マップ(変速条件)に従って、実際の車速Vおよびアクセル開度Accで示される車両状態に基づいて目標変速比γ(=Nint/Nout)に対応する目標入力軸回転速度Nintを逐次設定する。
そして、変速制御手段152は、無段変速機18の変速比γが目標変速比γになるように駆動側プーリ42における伝動ベルト48の巻付け径(有効径)を制御するフィードバック制御を実行することにより、無段変速機18の変速を行う。実入力軸回転速度Ninに着目して表現すれば、変速制御手段152は、実入力軸回転速度Ninが上記設定した目標入力軸回転速度Nintと一致するように、すなわち回転速度差(偏差)ΔNin(=Nint−Nin)を解消するように、その回転速度差ΔNinに応じて無段変速機18の変速を上記フィードバック制御により実行する。すなわち、変速制御手段152は、駆動側油圧シリンダ42cに対する作動油の流量QCVTを制御することにより両可変プーリ42、46のV溝幅を変化させる変速制御指令信号(油圧指令)Sを油圧制御回路100へ出力して変速比γを連続的に変化させる。ここで、上記フィードバック制御において、上記駆動側油圧シリンダ42cに対する作動油の流量QCVTは変速時の変速比γの変化速度(変速速度)に対応しており、例えば、下記式(3)の制御式によって決定される。具体的に、変速制御手段152は、その式(3)により決定される上記作動油の流量QCVTが正である場合には、その流量QCVTで駆動側油圧シリンダ42cの作動油が入出力ポート114jから入出力ポート114kさらに入出力ポート116jを経て排出ポートEXから排出されるように、その作動油の流量QCVTに応じた制御油圧PDS2をソレノイド弁DS2から出力させ、無段変速機18のダウンシフトを実行する。また、変速制御手段152は、上記作動油の流量QCVTが負である場合には、その流量QCVT(絶対値)でライン油圧Pが入力ポート114iから入出力ポート114jを経て駆動側油圧シリンダ42cへ供給されるように、その作動油の流量QCVT(絶対値)に応じた制御油圧PDS1をソレノイド弁DS1から出力させ、無段変速機18のアップシフトを実行する。
Figure 0005125654
ここで、上記式(3)の制御式で右辺第1項は比例項であり右辺第2項は積分項である。上記式(3)の「KP」は比例ゲイン、「KI」は積分ゲインをそれぞれ示しており、上記式(3)とその比例ゲインKPおよび積分ゲインKIは、車両の確保すべき走行性能や無段変速機18の機械的性能に基づいて予め実験的に設定されたものである。上記比例ゲインKP、積分ゲインKIの何れも上記フィードバック制御における変速時の変速比γの変化速度を決定する変速ゲインであると言えるが、本実施例では説明を簡潔にし理解を容易にするため比例ゲインKPを「変速ゲイン」と表現することとする。上記式(3)、比例ゲインKP、および積分ゲインKIは、例えば、変速制御手段152に予め記憶されている。また、上記比例ゲイン(変速ゲイン)KPは後述の変速ゲイン変更手段176により変更されることがあるが、その変更が行われない定常時すなわち非過渡状態での変速では、比例ゲインKPには、車両の確保すべき走行性能や無段変速機18の機械的性能に基づいて予め実験的に定められた変速ゲインの定常値KRGが設定されている。
ベルト挟圧力設定手段154は、例えば図5に示すような予め実験的に求められて記憶されたベルト挟圧力マップから、実際のアクセル開度Accおよび電子制御装置50により実際の入力軸回転速度Ninおよび出力軸回転速度Noutに基づいて算出される実変速比γ(=Nin/Nout)で示される車両状態に基づいてベルト挟圧力Pdを設定する。つまり、ベルト挟圧力設定手段154は、ベルト挟圧力Pdが得られる為の出力側油圧シリンダ46cのベルト挟圧Pdを設定する。
ベルト挟圧力制御手段156は、前記ベルト挟圧力設定手段154により設定されたベルト挟圧力Pdが得られるように従動側油圧シリンダ46cのベルト挟圧Pdを調圧する挟圧力制御指令信号Sを油圧制御回路100へ出力してベルト挟圧力Pdを増減させる。
油圧制御回路100は、上記変速制御指令信号Sに従って無段変速機18の変速が実行されるようにソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2を作動させて駆動側油圧シリンダ42cへの作動油の供給・排出量を制御すると共に、上記挟圧力制御指令信号Sに従ってベルト挟圧力Pdが増減されるようにリニアソレノイド弁SLSを作動させてベルト挟圧Pdを調圧する。
また、変速制御手段152は、前述の機能に加え、車速Vが前記変速比検出下限車速V’以下であることを条件として、通常の変速制御としての回転速度差ΔNinを解消するための変速比γのフィードバック制御を行わず、推力比コントロールバルブ118により変速圧Pinとベルト挟圧Pdとの比率を、無段変速機18の変速比γを最大変速比γmaxで保持するための予め定められた関係に保つ閉じ込み制御を実行する。すなわち、変速比コントロールバルブUP114および変速比コントロールバルブDN116を閉じ状態とすることによって、駆動側油圧シリンダ42c内に作動油を閉じ込めた状態として無段変速機18の変速比γを所定の変速比(最大変速比γmax)とする低車速用の変速制御のための変速指令(閉じ込み制御指令)信号S’を油圧制御回路100へ出力して上記所定の変速比を成立させる。
油圧制御回路100は、上記閉じ込み制御指令信号S’に従って変速比コントロールバルブUP114および変速比コントロールバルブDN116が閉じ状態とされるようにソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2を作動させず、推力比コントロールバルブ118から変速圧Pinとベルト挟圧Pdとの比率を予め定められた関係に保つ推力比制御油圧Pτを出力する。
エンジン出力制御手段158は、エンジン12の出力制御の為にエンジン出力制御指令信号S、例えばスロットル信号や噴射信号や点火時期信号などをそれぞれスロットルアクチュエータ76や燃料噴射装置78や点火装置80へ出力する。例えば、エンジン出力制御手段158は、アクセル開度Accに応じたスロットル開度θTHとなるように電子スロットル弁30を開閉するスロットル信号をスロットルアクチュエータ76へ出力してエンジントルクTを制御する。
シフトポジション判定手段160は、レバーポジションPSHに基づいてすなわち各レバーポジションPSHのON信号に基づいて現在のレバーポジションPSHを判定したり、シフトレバー74の操作履歴を判定する。例えば、シフトポジション判定手段160は、レバーポジションPSHに基づいてN→Dシフト判定、N→Rシフト判定、「D」ポジション判定、「N」ポジション判定、「R」ポジション判定等を行う。
係合制御手段162は、前記シフトポジション判定手段160によりN→Dシフト或いはN→Rシフトが行われたと判定されたガレージシフト時には、クラッチアプライコントロールバルブ112を第1位置側へ切り換えると共に、前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1の過渡的な係合状態を制御するために係合ショックが抑制されるように係合油圧を緩やかに上昇させるための制御油圧PSLTを出力し且つライン油圧Pを調圧するために信号圧PSLSを出力するガレージシフト指令信号Sを油圧制御回路100へ出力する。例えば、係合制御手段162は、リニアソレノイド弁SLTをデューティー制御するための指令信号SLTDUTYとして係合過渡油圧指令圧pcltexcを油圧制御回路100へ出力する。
油圧制御回路100は、ガレージシフト時には上記ガレージシフト指令信号Sに従って、クラッチアプライコントロールバルブ112が第1位置側へ切り換えられるようにソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2を作動させて所定圧以上の制御油圧PDS1および所定圧以上の制御油圧PDS2を出力すると共に、予め定められた規則に従って前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1が係合されるようにリニアソレノイド弁SLTを作動させて制御油圧PSLTを出力し且つエンジン負荷等に応じてライン油圧Pが調圧されるようにリニアソレノイド弁SLSを作動させて信号圧PSLSを出力する。
また、係合制御手段162は、ガレージシフト後例えばガレージシフト開始から所定時間経過後や制御油圧PSLTが所定の係合油圧以上となった後等の定常時には、前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1へ出力油圧PLM2を供給して完全係合状態とするためにクラッチアプライコントロールバルブ112を第2位置側へ切り換えると共に、ライン油圧Pを調圧するために信号圧PSLTを出力する定常制御指令信号S’を油圧制御回路100へ出力する。例えば、係合制御手段162は、リニアソレノイド弁SLTをデューティー制御するための指令信号SLTDUTYとしてライン圧指令圧plctgtを油圧制御回路100へ出力する。
油圧制御回路100は、定常時には上記定常制御指令信号S’に従って、前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1へ出力油圧PLM2が供給されて完全係合状態とされるようにソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2を同時に作動させずにクラッチアプライコントロールバルブ112を第2位置側へ切り換えると共に、エンジン負荷等に応じてライン油圧Pが調圧されるようにリニアソレノイド弁SLTを作動させて信号圧PSLTを出力する。
このように、リニアソレノイド弁SLTは、ガレージシフト時にはクラッチアプライコントロールバルブ112の第1位置において、前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1が係合されるように制御油圧PSLTを出力する(クラッチ圧モードという)。また、リニアソレノイド弁SLTは、定常時にはクラッチアプライコントロールバルブ112の第2位置において、ライン油圧Pが調圧されるように信号圧PSLTを出力する(ライン圧モードという)。また、このクラッチ圧モードにおいては、所定圧以上の制御油圧PDS1および所定圧以上の制御油圧PDS2が出力されていることから、前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1へ制御油圧PSLTが供給されると同時に、所定の変速比となるように推力比コントロールバルブ118による閉じ込み制御が行われる。
つまり、ガレージシフト時には変速を行う必要がないことから、そのガレージシフトが行われたときには、クラッチアプライコントロールバルブ112を第1位置に切り換えるための信号油圧としての所定圧以上の制御油圧PDS1および所定圧以上の制御油圧PDS2を通常は無段変速機18の変速を制御するために作動させるソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2から出力させると共に、所定の変速比となるように推力比コントロールバルブ118による閉じ込み制御が行われる。
ここで、前述したように、本実施例の無段変速機18においては、車両停止中の閉じ込み制御時には変速比γが最大変速比γmaxとされる、すなわち無段変速機18の伝動ベルト48が最減速位置に戻された状態(以下、「最減速状態」という)とされる。上記閉じ込み制御においては推力比制御油圧Pτが駆動側油圧シリンダ42cに供給されていることから、閉じ込み制御後の車両発進の際に駆動側プーリ42の回転に伴ってアップシフトが生じるおそれがある。
そこで、前記変速制御手段152は、後述の最減速判断手段166により無段変速機18が最減速状態にあると判断されて車両停止した後の車両発進の際には、通常の変速制御が実行可能となる車速Vが変速比検出下限車速V’を超えるまで通常の変速制御に先だって、閉じ込み制御に替えて、ダウンシフト時と同様に駆動側油圧シリンダ42c内の作動油を排出することにより駆動側プーリ42のV溝幅を最大幅に維持させるデューティダウン制御の為のデューティダウン制御指令信号S”を油圧制御回路100へ出力して無段変速機18の最減速状態を維持させる発進時変速制御手段としての機能を備える。なお、上記デューティダウン制御時において変速制御手段152は、後述の変速ゲイン変更手段176が変速ゲインKPを定常値KRGに対して低下させた場合には、そうでない場合に対しその変速ゲインKPの低下割合に応じて上記作動油の排出流量を低下させる。
油圧制御回路100は、上記デューティダウン制御指令信号S”に従ってソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2を作動させて駆動側油圧シリンダ42cから作動油を排出する。これによって、無段変速機18のアップシフトが防止されて変速比γが最大変速比γmaxに維持される。
最減速判断手段166は、無段変速機18(伝動ベルト48)が車両停止状態において最減速状態にあるか否かを判断する。最減速判断手段166は、車両停止中には入力軸回転速度Ninおよび出力軸回転速度Noutの何れも零であるため自動変速機18の変速比γを算出できないので、例えば、車両減速走行中に変速比検出下限車速V’を超えている車速Vにおいて既に変速比γが最大変速比γmaxとなっている状態で車両停止したか否か、或いは車両減速走行中に変速比検出下限車速V’を超えている車速Vにおいて変速比γが最大変速比γmaxとなっていないものの車両停止時には最大変速比γmaxとなっていると推定される最大変速比γmax近傍の所定変速比γmax’になっているか否かに基づいて上記判断をする。なお、上記無段変速機18の最減速状態は、理想的には変速比γが最大変速比(最低車速側変速比)γmaxである変速状態であるが、上述のように車両停止中の変速比γは車両停止直前の車両状態から推定されるものであり機械的ばらつき等も考慮して、実際にはある程度の変速比幅を有するものである。そこで本実施例では、上記最減速状態とは、最大変速比γmaxを最大値とした所定の変速比幅を有し、変速比γが最大変速比γmaxである変速状態を含んだ、その変速比γが最大変速比γmaxである場合と同等の発進性能を確保できる変速状態であるとする。従って、最減速判断手段166は、上述のように無段変速機18(伝動ベルト48)が車両停止状態において最減速状態にあるか否かを判断するが、具体的には、無段変速機18の変速比γが、上記最減速状態の有する上記所定の変速比幅の最小値である最減速状態判定値Lγmax以上であるか否かを判断する。
ところで、前記デューティダウン制御が実行されて駆動側油圧シリンダ42c内の作動油が排出されたとしても、車両停止の際に無段変速機18が実際に最減速状態にある場合には駆動側プーリ42のV溝幅が増大されることはない。しかし、坂路等の車両状態によってはフットブレーキの解除に伴い車両が動き出すことがあり、そのような場合には駆動側プーリ42が回転することによってアップシフトが生じるおそれがある。また、エンジン12の停止中において車両が牽引されるなどした場合にも駆動側プーリ42が回転することによってアップシフトが生じるおそれがある。
このようなアップシフトが生じて無段変速機18が最減速状態から外れたときに、最減速判断手段166により無段変速機18が最減速状態にないと判断されれば良いが、変速比検出下限車速V’以下の車両状態では、無段変速機18が最減速状態にあるか否かの判断が行われず、引き続き無段変速機18が最減速状態にあるとして無段変速機18の変速制御が進行する。
そうすると、無段変速機18が最減速状態から外れた状態であっても、車両発進の際には変速比検出下限車速V’を超えるまで前記変速制御手段152によりデューティダウン制御指令信号S”が油圧制御回路100へ出力されることから、駆動側プーリ42のV溝幅が増大されて伝動ベルト48が緩み、ベルト滑りが生じるおそれがある。更に、エンジン12が停止され電子制御装置50の電源が遮断された状態からその電源が投入された後、すなわち、エンジン始動直後の最初の車両発進時においては、電子制御装置50は無段変速機18の変速比γを把握できないので、上記ベルト滑りが生じるおそれが特に懸念される。そこで、そのようなベルト滑りが発生することを未然に防止する制御が本実施例では実行され、その制御機能の要部ついて以下に説明する。
車両発進判断手段170は、電子制御装置50が電源遮断状態から電源が投入された後において未だ車両が発進されてはおらず、或いは、車両が発進されたとしてもそれが最初の車両発進であるか否かを判断する。すなわち、車両発進判断手段170は、電子制御装置50の電源投入後において未だ車両が発進されてはいない場合には肯定的な判断をし、また、電子制御装置50の電源投入後において最初の車両発進時にも肯定的な判断をする。例えば、車両発進判断手段170は、電子制御装置50の電源が遮断されると初期値である零に戻る車両発進フラグFSTを記憶しており、車速Vが所定の車両発進判定値を超えた場合に上記車両発進フラグFSTを1にする。このようにして車両発進判断手段170は、電子制御装置50が電源遮断状態から電源が投入された後において、車両発進フラグFSTが零であれば肯定的な判断をし、一方、車両発進フラグFSTが1であれば否定的な判断をする。なお、本実施例はエンジン12を走行用動力源とする通常車両であるので、電子制御装置50が電源遮断状態から電源が投入された後とは、エンジン12が停止状態から始動された後と言い換えることができる。また、前記最初の車両発進時とは上記変速比検出下限車速V’以下の車速Vである車両状態に限られるものではない。また、上記車両発進判定値は車両発進時か否かを判断するための判定値であって、例えば前記変速比検出下限車速V’もしくは後述の車速判定値LVなどと同一あるいはそれ以上の予め実験的に求めれた車速が上記車両発進判定値として設定されている。
走行状態判断手段172は、入力軸回転速度Ninが予め定められた入力軸回転速度判定値LNin以上であるか否かを判断する。更に、走行状態判断手段172は、車速Vが予め定められた車速判定値LV以上であるか否かを判断する。上記入力軸回転速度判定値LNinおよび車速判定値LVは、車両発進時に無段変速機18の変速速度を低下させるべき期間が経過したことを判断するための実験等により求められた判定値であり、つまり、後述の変速ゲイン変更手段176により変速ゲインKPが低下させられる必要性が無くなったと判断するための判定値である。なお、上記車速判定値LVは前記変速比検出下限車速V’であってもよく、上記入力軸回転速度判定値LNinは、変速比γが最大変速比γmaxである場合の上記変速比検出下限車速V’に対応した入力軸回転速度Ninであってもよい。また、走行状態判断手段172は入力軸回転速度Ninと車速Vとの両方についての判断をするが、何れか一方の判断のみであってもよい。
走行時変速比判断手段174は、車両走行中において無段変速機18の変速比γが目標変速比γ(=Nint/Nout)に到達したか否かを判断する。具体的には、走行時変速比判断手段174は、上記変速比検出下限車速V’を超えた車速Vでの車両走行中において、目標入力軸回転速度Nintと実入力軸回転速度Ninとの回転速度差(偏差)ΔNin(=Nint−Nin)が予め定められた偏差許容判定値LGP以下であるか否かを判断する。無段変速機18の変速のフィードバック制御では、実入力軸回転速度Ninが目標入力軸回転速度Nintに一致して上記回転速度差ΔNinが零となるのが理想的ではあるが実際には一致しない場合もあり得るので、上記変速比γが目標変速比γに到達したか否かの判断ではある程度の許容幅をもつことが必要であり、上記偏差許容判定値LGPは、実入力軸回転速度Ninが目標入力軸回転速度Nintに一致したとみなしても差し支えない実験的に求められた上記回転速度差ΔNinについての限度値である。
変速ゲイン変更手段176は、電子制御装置50の電源投入後において最初の車両発進時には、最減速判断手段166の判断結果に関わらず、前記フィードバック制御における変速比γの変化速度(変速速度)を決定する変速ゲインKPを定常値KRGに対して低下させる。すなわち、変速ゲイン変更手段176は、車両発進判断手段170が肯定的な判断をした場合には変速ゲインKPを定常値KRGに対して低下させる。
また、変速ゲイン変更手段176は、電子制御装置50の電源投入後の2回目以降の車両発進時には、最減速判断手段166により無段変速機18が車両停止状態において前記最減速状態にはないと判断された場合に変速ゲインKPを定常値KRGに対して低下させる。すなわち、変速ゲイン変更手段176は、車両発進判断手段170が否定的な判断をした場合において最減速判断手段166により無段変速機18が車両停止状態において上記最減速状態にはないと判断された場合に、変速ゲインKPを定常値KRGに対して低下させる。変速ゲイン変更手段176が変速ゲインKPを定常値KRGに対して低下させるときの低下量は、ベルト滑りを未然に防止しつつ車両の発進性能を損なわないように予め実験的に定められている。
上述のように変速ゲイン変更手段176は、所定の条件のもと変速ゲインKPを低下させるが、前記最初の車両発進後において、具体的には、車両発進判断手段170が否定的な判断をした場合において、最減速判断手段166により無段変速機18が車両停止状態において上記最減速状態にあると判断された場合には、変速ゲイン変更手段176は前記変速ゲインKPの低下を解除し、例えば、変速ゲインKPを定常値KRGに戻す。
また、走行状態判断手段172によって入力軸回転速度Ninが入力軸回転速度判定値LNin以上であると判断された場合、或いは、車速Vが車速判定値LV以上であると判断された場合に、変速ゲイン変更手段176は前記変速ゲインKPの低下を解除する。また、変速ゲイン変更手段176は、車両発進後に、変速比検出下限車速V’を超えた車速Vでの車両走行中に無段変速機18の変速比γが目標変速比γに到達したと走行時変速比判断手段174により判断された場合にも前記変速ゲインKPの低下を解除する。なお、上記走行状態判断手段172および走行時変速比判断手段174の判断を総合して、変速ゲイン変更手段176が上記変速ゲインKPの低下を解除するようにしてもよい。つまり、走行状態判断手段172によって入力軸回転速度Ninが入力軸回転速度判定値LNin以上であると判断された場合、或いは、車速Vが車速判定値LV以上であると判断された場合において、更に、変速比検出下限車速V’を超えた車速Vでの車両走行中に無段変速機18の変速比γが目標変速比γに到達したと走行時変速比判断手段174により判断された場合に、変速ゲイン変更手段176は上記変速ゲインKPの低下を解除するようにしてもよい。
図8は、電子制御装置50の制御作動の要部すなわち車両発進に際してベルト滑りの発生を未然に防止するための制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、車両発進判断手段170に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1においては、電子制御装置50が電源遮断状態から電源が投入された後(エンジン始動後)において未だ車両が発進されてはおらず、或いは、車両が発進されたとしてもそれが最初の車両発進であるか否かが判断される。具体的には、電子制御装置50の電源が遮断されると初期値である零に戻る車両発進フラグFSTが記憶されており、車速Vが前記所定の車両発進判定値を超えた場合にはその車両発進フラグFSTが1に変更される。そして、車両発進フラグFSTが零であればSA1にて肯定的な判断がなされ、一方、車両発進フラグFSTが1であれば否定的な判断がなされる。このSA1の判断が肯定的である場合、すなわち、電子制御装置50の電源投入後において未だ車両が発進されていないか或いは車両が発進されたとしてもそれが最初の車両発進である場合にはSA3に移る。一方、このSA1の判断が否定的である場合にはSA2に移る。
最減速判断手段166に対応するSA2においては、ベルト戻り不良ではないか否か、すなわち、無段変速機18が車両停止状態において最減速状態にあるか否かが判断される。具体的には、無段変速機18の変速比γが前記最減速状態判定値Lγmax以上であるか否かが判断される。このSA2の判断が肯定的である場合、すなわち、無段変速機18が車両停止状態において最減速状態にある場合にはSA6に移る。一方、このSA2の判断が否定的である場合にはSA3に移る。
走行状態判断手段172に対応するSA3においては、(i)入力軸回転速度Ninが前記入力軸回転速度判定値LNin以上であること、(ii)車速Vが前記車速判定値LV以上であること、の2つの条件について判定される。そして、上記(i),(ii)の条件の何れか一方が肯定されればSA3では肯定的な判断がなされ、上記(i),(ii)の条件の両方が否定されればSA3では否定的な判断がなされる。このSA3の判断が肯定的である場合、すなわち、上記(i),(ii)の条件の何れか一方が肯定された場合にはSA4に移る。一方、このSA3の判断が否定的である場合、すなわち、上記(i),(ii)の条件の両方が否定された場合にはSA5に移る。
走行時変速比判断手段174に対応するSA4においては、車両走行中において無段変速機18の変速比γが目標変速比γ(=Nint/Nout)に到達したか否か、具体的には、目標入力軸回転速度Nintと実入力軸回転速度Ninとの回転速度差ΔNin(=Nint−Nin)が前記偏差許容判定値LGP以下であるか否かが判断される。このSA4の判断が肯定的である場合、すなわち、上記回転速度差ΔNinが偏差許容判定値LGP以下である場合にはSA6に移る。一方、このSA4の判断が否定的である場合にはSA5に移る。
変速ゲイン変更手段176に対応するSA5においては、前記フィードバック制御における変速ゲインKPが定常値KRGに対して低下させられる。
変速ゲイン変更手段176に対応するSA6においては、上記変速ゲインKPが定常値KRGである通常変速ゲインとされる。すなわち、SA5にて変速ゲインKPが低下させられた場合には、その変速ゲインKPの低下が解除され上記変速ゲインKPが通常変速ゲイン(定常値KRG)に戻される。
上述のように、本実施例によれば、変速制御手段152は、無段変速機18の変速比γが目標変速比γになるように駆動側プーリ42における伝動ベルト48の巻付け径(有効径)を制御するフィードバック制御を実行することにより、無段変速機18の変速を行う。また、変速ゲイン変更手段176は、電子制御装置50の電源投入後(エンジン12の始動後)において最初の車両発進時には、最減速判断手段166の判断結果に関わらず、前記フィードバック制御における変速比γの変化速度(変速速度)を決定する変速ゲインKPを定常値KRGに対して低下させる。従って、無段変速機18が車両停止状態において最減速状態になかった場合においてそれを最減速判断手段166が判断できなくても、変速ゲインKPの低下によって、前記車両発進の際に実行されるデューティダウン制御における駆動側油圧シリンダ42cからの作動油の排出流量が抑えられ、すなわち、駆動側プーリ42における巻付け径が小さくされて上記変速比γが最大変速比γmaxにされるときのその変速比γの変化速度が緩やかになり、その結果、伝動ベルト48の張力が過渡的に下がることに起因したベルト滑りの発生を未然に防止することができる。
また、本実施例によれば、変速ゲイン変更手段176は所定の条件のもと変速ゲインKPを低下させるが、前記最初の車両発進後において、具体的には、車両発進判断手段170が否定的な判断をした場合において、最減速判断手段166により無段変速機18が車両停止状態において上記最減速状態にあると判断された場合には、変速ゲイン変更手段176は前記変速ゲインKPの低下を解除し、例えば、変速ゲインKPを定常値KRGに戻す。従って、前記変速速度を低下させておく必要が無くなれば、無段変速機18の変速比γの目標変速比γに対する追従性が高い定常状態での変速速度で無段変速機18の変速が行われることとなり、車両走行時の快適性を損なうことを回避できる。
また、本実施例によれば、変速ゲイン変更手段176は、電子制御装置50の電源投入後(エンジン12の始動後)の2回目以降の車両発進時には、最減速判断手段166により無段変速機18が車両停止状態において上記最減速状態にはないと判断された場合に変速ゲインKPを定常値KRGに対して低下させる。従って、無段変速機18の変速比γが最大変速比γmaxにされるときの変速速度が、変速ゲインKPの低下によって緩やかになり、その結果、伝動ベルト48の張力が過渡的に下がることに起因したベルト滑りの発生を未然に防止することができる。
また、本実施例によれば、走行状態判断手段172によって入力軸回転速度Ninが入力軸回転速度判定値LNin以上であると判断された場合、或いは、車速Vが車速判定値LV以上であると判断された場合に、変速ゲイン変更手段176は変速ゲインKPの低下を解除する。ここで、無段変速機18が車両停止状態において上記最減速状態にはない場合に無段変速機18の変速比γが最大変速比γmaxにされるのは車両発進直後の過渡的なことである。従って、入力軸回転速度Ninまたは車速Vに基づいて上記変速速度を低下させておく必要があるか否かが簡便に判断されその必要が無くなれば、無段変速機18の変速比γの目標変速比γに対する追従性が高い定常状態での変速速度で無段変速機18の変速が行われることとなり、車両走行時の快適性を損なうことを回避できる。
また、本実施例によれば、変速ゲイン変更手段176は、車両発進後に、変速比検出下限車速V’を超えた車速Vでの車両走行中に無段変速機18の変速比γが目標変速比γに到達したと走行時変速比判断手段174により判断された場合には前記変速ゲインKPの低下を解除する。従って、前記変速速度を低下させておく必要が無くなれば、無段変速機18の変速比γの目標変速比γに対する追従性が高い定常状態での変速速度で無段変速機18の変速が行われることとなり、車両走行時の快適性を損なうことを回避できる。
変速制御手段152は車両発進の際には、デューティダウン制御指令信号S”を油圧制御回路100へ出力して無段変速機18の最減速状態を維持させる発進時変速制御手段としての機能を備えるので、良好な発進性能を得ることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、図8のフローチャートのSA3では入力軸回転速度Ninと車速Vとについての前記(i),(ii)の条件がそれぞれ判定されるが、その(i),(ii)の条件の判定に替えて、車両発進時からの経過時間が所定の経過時間判定値以上になったか否かの判定がなされてもよい。要するに、車両発進時に無段変速機18の変速速度を過渡的に低下させるべき期間が経過したか否かが判断できればよい。
前述の実施例において、図8のフローチャートではSA3の判断が肯定的である場合においてSA4の判断が肯定的であればSA6が実行されるが、上記SA4の判断を経ずに、SA3の判断が肯定的である場合にはSA6が実行されるフローチャートであってもよい。
また、前述の実施例においては、無段変速機18はその変速比γが連続的に変化させられるものであったが、例えば無段変速機18の変速比γを連続的にではなく敢えて段階的に変化させるものであってもよい。
また、前述の実施例において、前記走行用動力源であるエンジン12としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジンが広く用いられる。更に、補助的な走行用動力源として、電動機等がエンジン12に加えて用いられても良い。或いは、走行用動力源として電動機のみが用いられてもよい。
また、前述の実施例において、無段変速機18の変速比γは油圧制御によって変化させられるが、電動のアクチュエータなどにより変速比γが変化させられてもよい。
また、前述の実施例では、理解を容易にするため前記式(3)における比例ゲインKPが変速ゲインと称され、変速ゲイン変更手段176はその比例ゲインKPを変更するが、積分ゲインKIを変更してもよいし、比例ゲインKPと積分ゲインKIとの両方を変更してもよい。
また、前述の実施例において、上記式(3)の右辺は比例項と積分項とから構成されているが、この式(3)はあくまでも無段変速機18の変速速度を決定するための制御式の例示であり、例えば微分項などのその他の項が上記右辺に含まれていてもよいし、上記積分項が無い制御式であってもよい。また、上記式(3)の左辺は駆動側油圧シリンダ42cに対する作動油の流量QCVTであるが、上記無段変速機18の変速速度に関係するパラメータであれば特に限定されるものではない。
また、前述の実施例において、所定回転部材の回転速度として例示した入力軸回転速度Ninやそれに関連する目標入力軸回転速度Nintなどは、それら入力軸回転速度Ninなどに替えて、エンジン回転速度Nやそれに関連する目標エンジン回転速度N など、或いはタービン回転速度Nやそれに関連する目標タービン回転速度N などが用いられても良い。従って、入力軸回転速度センサ56等の回転速度センサは、制御する必要がある回転速度に合わせて適宜備えられれば良い。
また、前述の実施例において、流体伝動装置としてロックアップクラッチ26が備えられているトルクコンバータ14が用いられていたが、ロックアップクラッチ26は必ずしも設けられなくてもよく、またトルクコンバータ14に替えて、トルク増幅作用のない流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式動力伝達装置が用いられてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用された車両用駆動装置を説明する骨子図である。 図1の車両用駆動装置などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。 図1の車両用駆動装置において、油圧制御回路のうち無段変速機のベルト挟圧力制御、変速比制御、およびシフトレバーの操作に伴う前進用クラッチ或いは後進用ブレーキの係合油圧制御に関する要部を示す油圧回路図である。 図1の無段変速機の変速制御において目標入力回転速度を求める際に用いられる変速マップの一例を示す図である。 図1の無段変速機の挟圧力制御において変速比等に応じて必要油圧を求める必要油圧マップの一例を示す図である。 図1の車両用駆動装置において、車速をパラメータとして変速比と推力比との予め求められて記憶された関係である。 図2の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図2の電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両発進に際してベルト滑りの発生を未然に防止するための制御作動を説明するフローチャートである。
符号の説明
12:エンジン(走行用動力源)
18:無段変速機
24:駆動輪
42:駆動側プーリ
46:従動側プーリ
48:伝動ベルト(ベルト)
50:電子制御装置(変速制御装置)
152:変速制御手段
166:最減速判断手段
174:走行時変速比判断手段
176:変速ゲイン変更手段
γ:変速比
γ:目標変速比
KP:比例ゲイン(変速ゲイン)
RG:定常値
Nin:入力軸回転速度
LNin:入力軸回転速度判定値
V:車速
LV:車速判定値

Claims (5)

  1. 走行用動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に駆動側プーリおよび従動側プーリと該両プーリに巻き掛けられたベルトとを有する無段変速機を備え、該両プーリのそれぞれにおける該ベルトの巻付け径を変化させることによって該無段変速機の変速を行う車両用無段変速機の変速制御装置であって、
    前記無段変速機の変速比がその目標値である目標変速比になるように前記駆動側プーリにおける前記ベルトの巻付け径を制御するフィードバック制御を実行する変速制御手段と、
    前記無段変速機が、車両停止状態において最減速状態にあるか否かを判断する最減速判断手段と、
    前記変速制御装置の電源投入後において最初の車両発進時には、前記最減速判断手段の判断結果に関わらず、前記フィードバック制御における前記変速比の変化速度を決定する変速ゲインを予め定められた定常値に対して低下させる変速ゲイン変更手段と
    を、含むことを特徴とする車両用無段変速機の変速制御装置。
  2. 前記最初の車両発進後において、前記最減速判断手段により前記無段変速機が車両停止状態において前記最減速状態にあると判断された場合には、前記変速ゲイン変更手段は前記変速ゲインの低下を解除する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用無段変速機の変速制御装置。
  3. 前記変速制御装置の電源投入後の2回目以降の車両発進時に、前記最減速判断手段により前記無段変速機が車両停止状態において前記最減速状態にはないと判断された場合には、前記変速ゲイン変更手段は前記変速ゲインを前記予め定められた定常値に対して低下させる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用無段変速機の変速制御装置。
  4. 前記無段変速機の入力軸の回転速度である入力軸回転速度が予め定められた入力軸回転速度判定値以上である場合、或いは、車速が予め定められた車速判定値以上である場合には、前記変速ゲイン変更手段は前記変速ゲインの低下を解除する
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用無段変速機の変速制御装置。
  5. 車両走行中に前記無段変速機の変速比が前記目標変速比に到達したか否かを判断する走行時変速比判断手段を備え、
    車両発進後に該走行時変速比判断手段により前記無段変速機の変速比が前記目標変速比に到達したと判断された場合には、前記変速ゲイン変更手段は前記変速ゲインの低下を解除する
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用無段変速機の変速制御装置。
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