以下、本発明の実施形態を図1〜図8に基づき説明する。電子写真方式でタンデム型のカラーの複合機1(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略構成)
まず、図1及び2を用いて、本発明の実施形態に係る複合機1の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機1の概略構成を示す模型的断面図である。図2は本発明の実施形態に係る1つの画像形成ユニット4の拡大断面図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる複合機1は、上部から原稿搬送装置10、画像読取部11(スキャナ)が設けられ、正面上部に操作パネル12(図1で破線で図示、指示入力部に相当)が設けられる。又、本体内に、給紙部2、第1搬送路3、画像形成ユニット4、中間転写部5、定着部6、中間給紙部7等が設けられる。
原稿搬送装置10は、原稿の複写時、複数のローラの回転駆動で原稿載置トレイ10aに積載された原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部11の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス11a)に向けて搬送する。画像読取部11は原稿を読み取り、画像データを生成する。画像読取部11の上面に送り読取用コンタクトガラス11aと載置読取用コンタクトガラス11bが設けられ、画像読取部11内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。
そして、これらの光学系部材を用い、原稿搬送装置10が搬送する原稿や、載置読取用コンタクトガラス11b上の原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換して画像データを生成する。複合機1は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。尚、原稿搬送装置10は、図1の紙面奥側に支点が設けられ持ち上げ可能であり、載置読取用コンタクトガラス11bに原稿を載置した後、原稿搬送装置10で原稿を押さえる。又、操作パネル12は、タッチパネル式の液晶表示部12aや、各種キーを備え、複合機1の状態(例えば、エラー発生やモード)の表示やユーザからの各種の入力を受け付ける。
又、給紙部2は、例えば、コピー用紙、ラベル用紙等の各種各サイズの用紙(シート)を収容し、モータ等の駆動機構(不図示)により回転する給紙ローラ21で第1搬送路3に送り出し、用紙を供給する。そして、第1搬送路3は、給紙部2から供給された用紙を排出トレイ31まで搬送するためのものであり、複合機1内で用紙を搬送し、給紙部2から供給された用紙を、中間転写部5、定着部6を経て排出トレイ31まで導く。第1搬送路3には、搬送モータM1等から駆動力の供給を受け、用紙を搬送する搬送ローラ対32〜34(図1において、上方のものから順に符号を付す)やガイド35及び搬送される用紙を中間転写部5の手前で待機させ、タイミングをあわせて送り出すレジストローラ対36、用紙を排出トレイ31に排出する排出ローラ対37等が設けられる。
更に、複合機1は形成すべき画像の画像データに基づき、トナー像を形成し、搬送される用紙に転写する画像形成部として、4色分の画像形成ユニット4や露光装置40や中間転写部5等を備える。具体的に、トナー像を形成する部分として、複合機1は図1左側から、ブラックの画像を形成する画像形成ユニット4kと、イエローの画像を形成する画像形成ユニット4yと、シアンの画像を形成する画像形成ユニット4cと、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット4mのほか、1つの露光装置40を備える。
ここで、図2に基づき、各画像形成ユニット4k〜4mを詳述する。尚、各画像形成ユニット4k〜4mは、形成するトナー像の色が異なるだけで、いずれも基本的に同様の構成で、同様に説明できる。そこで、図2では1つの画像形成ユニット4のみ示し、以下の説明では、特に説明する場合を除き、各画像形成ユニット4の色の識別用の符号であるk(ブラック)、y(イエロー)、c(シアン)、m(マゼンタ)の符号は省略する。
まず、各感光体ドラム41は、周面にトナー像を担持し、例えば、アルミニウム製のドラムの外周面上にアモルファスシリコン等の感光層を有し、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで紙面反時計方向に回転駆動される。
各帯電装置42は帯電ローラ42aを含み、各帯電ローラ42aは各感光体ドラム41に接し、合わせて回転する。そして、帯電装置42は、帯電ローラ42aに電圧を印加し、その結果、感光体ドラム41は一定の電位で帯電させられる。尚、帯電装置42は、コロナ放電式やブラシ等を用いたものでも良い。各画像形成ユニット4の下方の露光装置40は(図1参照)、入力されるカラー色分解された画像信号をレーザ出力部(不図示)にて光信号にそれぞれ変換し、変換された光信号であるレーザ光(破線で図示)を4色分出力可能であり、帯電後の感光体ドラム41の走査露光を行って、静電潜像を形成する。
各現像装置43は、現像ローラ43aを有し、トナーを含む現像剤(不図示)を収納する(画像形成ユニット4kの現像装置43はブラック、画像形成ユニット4yの現像装置43はイエロー、画像形成ユニット4cの現像装置43はシアン、画像形成ユニット4mの現像装置43はマゼンタの現像剤を収納する)。各現像ローラ43aは、感光体ドラム41に対向し、所定のギャップ(例えば、1mm以下)を設けて配され、画像形成時にトナーを担持し感光体ドラム41にトナーを供給する。
現像プロセスを説明すると、帯電された感光体ドラム41に対し、画像データに応じ露光装置40のレーザ光によって、露光が行われ静電潜像が形成される。そして、現像装置43には高圧電源(不図示)が設けられ、直流と交流を重畳させた電圧である現像バイアスの現像ローラ43aへの印加により、帯電したトナーが飛翔し、静電潜像がトナー像として現像される。
各清掃装置44は、感光体ドラム41の清掃を行い、例えば、弾性を有する円筒状の清掃部材45を有し、清掃部材45は、各感光体ドラム41を摺擦しドラム表面の転写残トナーを除去、回収する。更に、感光体ドラム41に当接させる樹脂製の平板状のブレードを追加して設けても良い。
図1に戻り説明を続ける。中間転写部5は、感光体ドラム41からトナー像の1次転写を受け、用紙に2次転写を行い、感光体ドラム41の1本に付き、1本設けられる各1次転写ローラ51(51k〜51mの計4本)、中間転写ベルト52、駆動ローラ53、従動ローラ54、55、2次転写ローラ56、ベルト清掃装置57等で構成される。各1次転写ローラ51は、各感光体ドラム41と無端状の中間転写ベルト52を挟み込むように中間転写ベルト52に当接し、交流及び直流が重畳された転写用の電圧を印加する転写バイアス印加部(不図示)に接続され、トナー像を中間転写ベルト52に転写する。
中間転写ベルト52は、1次転写ローラ51、駆動ローラ53、従動ローラ54、55に張架され、モータ等の駆動機構に接続される駆動ローラ53の回転駆動により図1の紙面時計方向に周回する。又、駆動ローラ53は、2次転写ローラ56と中間転写ベルト52を挟み込む。用紙へのトナー像転写を説明すると、各画像形成ユニット4で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)の転写では、各1次転写ローラ51に転写バイアスが印加され、タイミングを取られ、順次、ずれなく重畳されつつ、中間転写ベルト52に1次転写される。そして、各色重ね合わされたトナー像は所定の電圧を印加された2次転写ローラ56で、用紙に転写される。尚、2次転写後の中間転写ベルト52上の残トナー等は、ベルト清掃装置57で除去されて回収される。
定着部6は、用紙に2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。そして、定着部6は主として、ヒータHを内蔵する加熱ローラ61(加熱用回転体に相当)とこれに圧接される加圧ローラ62(加圧用回転体に相当)とで構成され、ニップが形成される。そして、トナー像の転写された用紙は、ニップを通過すると加熱・加圧され、その結果、トナー像が用紙に定着する。尚、定着後の用紙は、排出トレイ31に排出され画像形成処理が完了する。
更に、本実施形態の複合機1は、第1搬送路3の他に、定着部6の用紙搬送方向下流側の第1搬送路3から定着部6よりも用紙搬送方向上流側の第1搬送路3とを接続する第2搬送路8を有する。又、複合機1は、第2搬送路8と、第2搬送路8に設けられる搬送ローラ対71〜73や切替弁74、75等からなり、定着部6を通過した用紙を、用紙の表裏を反転させずに第1搬送路3に合流させることができる中間給紙部7を備える。
更に、本実施形態の複合機1では、用紙の到着、通過を検出するための搬送センサS1〜S4が設けられる。搬送センサS1〜S4は、例えば光センサで構成され、用紙の存在を検知している時としていない時とでは、出力電圧が異なる。例えば、各搬送センサは、レジストローラ対36の用紙搬送方向上流側近傍(搬送センサS1)や、排出ローラ対37近傍(搬送センサS2)、定着部6近傍(搬送センサS3)、第2搬送路8の経路上(搬送センサS4)などに配される。
(中間給紙部7の構成、動作)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態に係る中間給紙部7の構成、動作の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る中間給紙部7の構成と動作の一例を説明するための模型的正面断面図である。
尚、中間給紙部7は、給紙部2から供給された2枚の用紙から合紙を生成するという本発明を実施する際に用いられるが、本実施形態の複合機1における中間給紙部7は、両面印刷時にも用いられる。言い換えると、本実施形態の複合機1の中間給紙部7は、両面印刷機構を応用したものである。そこで、図3では、両面印刷時の中間給紙部7等の動作を説明しておく。
まず、中間給紙部7は、定着部6の用紙搬送方向下流側から、レジストローラ対36の用紙搬送方向上流側をつなぐ第2搬送路8を有する。第2搬送路8での用紙搬送方向は上から下の方向である。そして、第2搬送路8には搬送ローラ対71〜73が設けられ、搬送ローラ対71〜73は、定着部6の下流側から第2搬送路8に導かれた用紙をレジストローラ対36の上流側まで搬送する。更に、定着部6と排出ローラ対37の間には、用紙の搬送方向を定めるための切替弁74、75が2つ(図3において、上方のものを「切替弁74」、下方のものを「切替弁75」と符号を付す。)
両面印刷時の中間給紙部7等の動作を図3に基づき説明する。図3(a)と(b)は、両面印刷時に、片面印刷済の用紙の表裏を逆転させるスイッチバック動作の一例を示す。まず、図3(a)に示すように、片面印刷済みの用紙は、排出ローラ対37により、排出トレイ31に排出される方向に搬送される(搬送方向を図3(a)に破線矢印で図示)。この時、切替弁74と切替弁75は、用紙を排出ローラ対37に導く位置とされる。
次に、図3(b)に示すように、排出ローラ対37が片面印刷済の用紙を排出しきる前に、排出ローラ対37の回転方向が逆転し、スイッチバック動作が行われる(図3において、各状況での排出ローラ対37の回転方向を矢印で図示)。この時、切替弁74と切替弁75は、用紙を第2搬送路8に導く位置となる。
その後、図3(b)、(c)に示すように、片面印刷済みの用紙は、第2搬送路8に搬送され、レジストローラ対36上流側まで搬送され、第1搬送路3に合流する。更に、片面印刷済みの用紙は、レジストローラ対36から送り出され、2次転写ローラ56と中間転写ベルト52のニップを通過してトナー像が転写され、定着部6でトナー像が定着され、その結果、両面に印刷がなされる。このように、先のスイッチバック動作によって、用紙の表裏が入れ替わり、用紙の未印刷済面が中間転写ベルト52と当接し、トナー像が転写される。そして、両面にトナー像が印刷された用紙は、排出トレイ31に排出される。
(複合機1のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、本発明の実施形態に係る複合機1のハードウェア構成を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る複合機1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係る複合機1は、内部の制御基板上に制御部9を有する。制御部9は、複合機1の各部の制御を司る部分であり、装置本体内に設けられる。そして、制御部9はCPU91を有し、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部92を含み、制御上、各種の時間を計時する計時部を設けることができる。
まず、CPU91は、中央演算処理装置であり、ROM等に格納されるプログラムやデータをRAM等に展開し、展開された制御プログラムやデータに基づき複合機1の各部の制御や演算を行う。記憶部92のROMは電源投入時の起動用プログラム等、複合機1に関するプログラムや、複合機1のシステムに関するデータや、複合機1の制御に関するデータや、ユーザによる複合機1の設定データなどの各種データを記憶する。そして、記憶部92のRAMに、制御用プログラム、制御用データ、画像データ等、各種プログラムやデータを展開する。記憶部92のHDDは、例えば、画像データを記憶する大容量の記憶装置である。
そして、例えば、制御部9は駆動制御部94、第1搬送路3、各画像形成ユニット4、中間転写部5、定着部6、中間給紙部7、各搬送センサS1〜S4、原稿搬送装置10、画像読取部11、給紙部2、操作パネル12、I/F部95(インターフェイス部、指示入力部に相当)等と接続され、複合機1が適切に動作するように制御を行う。
制御部9は、合紙作成時や印刷時、駆動制御部94に指示して、各種回転体を回転させる。駆動制御部94は、例えば、排出モータM0、搬送モータM1、メインモータM2、中間転写モータM3、定着モータM4、中間給紙モータM5、切替弁74、切替弁75等と接続され、制御部9の指示に基づき、複合機1内部に配される各モータ等の駆動のON/OFFや回転速度の制御を行う(図4中、2点鎖線は駆動力の供給を示す。)。
具体的に、排出モータM0は、第1搬送路3の排出ローラ対37を回転させるモータであり、両面印刷時のスイッチバックのため、正逆回転自在である(図3参照)。搬送モータM1は、第1搬送路3に設けられる搬送ローラ対32〜34等、各種回転体を回転させる。メインモータM2は、感光体ドラム41や現像ローラ43a等の画像形成ユニット4の各種回転体を回転させる。中間転写モータM3は、駆動ローラ53を回転させ中間転写ベルト52を周回させる。定着モータM4は、加熱ローラ61等、定着部6内の回転体を回転させる。又、中間給紙モータM5は、中間給紙部7の搬送ローラ対71〜73等の回転体を回転させる。
尚、本実施形態の複合機1では複数のモータを各部ごとに設けているが、例えは、メインモータM2と中間転写モータM3を共用するなど、ギアによる接続や電磁クラッチによって、モータの設置数を減少させることは可能である。
そして、切替弁74、切替弁75は、例えば、ソレノイドやモータによって駆動させることができるが、駆動制御部94は、制御部9の指示に基づき、片面印刷時、両面印刷時等、状況にあわせて、切替弁74、切替弁75の動作、位置を制御する。
このように、複合機1内の各構成を通信可能に接続することにより、複合機1は画像読取部11で読み取った画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、I/F部95は、複合機1を他の機器と接続するためのインターフェイスとしての部分であり、複数のコネクタ、ソケットを備える。
このI/F部95によって、ネットワークを介して複合機1と複数のユーザ端末100を通信可能に接続することができる。従って、複合機1は、ユーザ端末100から送信された画像データや指示に基づき、印刷を行うことができる(プリンタ機能)。又、画像読取部11で得られた画像データを記憶部92に記憶することや、ユーザ端末100に送信することもできる(スキャナ機能)。更に、I/F部95によって、公衆通信回線等を利用して、外部のFAX装置200とFAX通信を行うことができる(FAX機能)。尚、便宜上、図4では、ユーザ端末100及びFAX装置200を1台のみ図示している。
図4を用いて説明したように、複合機1には、複数のユーザ端末100が接続される。言い換えると、複合機1は、プリンタとして複数の使用者に共有されうる。このように、複数の使用者で共有される場合、連続して印刷ジョブが複合機1に各ユーザ端末100から送信される場合がある。更に、複数の印刷ジョブが各ユーザ端末100から送信された状態で、他の使用者がコピーを行う場合もある。このように、複数の印刷ジョブが集中すると、次々に印刷済みの印刷ジョブが排出トレイ31に積まれる。
そうすると、何ら対策を施さなければ、排出トレイ31に積み上げられた印刷物のうち、どの部分が誰の印刷ジョブか分からなくなる。言い換えると、印刷ジョブと印刷ジョブの間を仕切る目印がないので、印刷物を取り分け難い。従って、各使用者は、他人の印刷物の内容を確認しつつ、自分の印刷ジョブ(印刷物)を取り出すことになる。しかし、他人の印刷物の内容をみてしまうことは、秘密保持上好ましくない。
これらの点を考慮し、本実施形態の複合機1では、専用の合紙ではなく、給紙部2に収容される用紙から合紙を作成し、印刷ジョブと印刷ジョブの間を仕切ることができる点に特徴がある。そこで、図5乃至図7に基づき、本実施形態の複合機1での合紙作成時の各部の動作と合紙作成の詳細を説明する。
尚、図5は、本発明の実施形態に係る2枚の合紙用用紙の重ね合わせの概要を説明するための斜視図である。図6は、本発明の実施形態に係る複合機1での合紙作成時の動作の一例を説明するための模型的正面断面図である。図7は、本発明の実施形態に係る合紙作成時のパターン画像PGや印刷ジョブを識別するための情報の一例を示す説明図である。
まず、図5を用いて、本実施形態の複合機1での合紙作成の概要を説明する。図5(a)に示すように、本実施形態の複合機1では、2枚の用紙をずらして重ね合わせ、図5(b)に示すように、2枚の用紙が一体化された1つの合紙が作成される。
図5(a)に示す用紙は、いずれも給紙部2から供給される用紙であり、いわゆる普通紙やOA用紙と呼ばれるものなどが当てはまる。そして、図5(a)のうち、下方の合紙用用紙P1は、合紙作成の際、最初に給紙部2から供給される1枚目の用紙である。そして、この合紙用用紙P1には、例えば、図5に示すような、格子状のパターン画像PGが転写され、定着部6で定着される。又、合紙用用紙P1は、中間給紙部7で搬送される。
その後、合紙用用紙P1は、給紙部2から新たに供給された2枚目の用紙である合紙用用紙P2と、タイミングをあわせて第1搬送路3で合流し、重ね合わされる。この時、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2を完全に一致させるように重ね合わせるのではなく、用紙搬送方向において平行な方向で、敢えて、ずらすように重ね合わされる。これにより、給紙部2に収容される用紙と生成された合紙のサイズを異ならせることができ、印刷ジョブと印刷ジョブを仕切る目印となる。尚、合紙用用紙P1のうち、合紙用用紙P2と重ならない部分は、印刷ジョブを識別するための情報(以下、「ユーザ情報」という。)を示すトナー像が形成される領域となる(以下、「ユーザ情報領域F」という。)。
そして、合紙用用紙P1のパターン画像PGが形成された面が、合紙用用紙P2と重ね合わされ、定着部6を通過する際に、パターン画像PGのトナーが再度溶融し、トナーは、合紙用用紙P2にも定着する。即ち、トナーが合紙用用紙P1と合紙用用紙P2との接着剤として機能する。その後、接着された2枚の用紙は、1つの合紙として排出される。尚、上述のように、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2は、ずらされつつ重ね合わせられるので、図5(a)に示すように、パターン画像PGは、合紙用用紙P1中、合紙用用紙P2と重なる領域だけに形成されればよい。
次に、図6に基づき、本実施形態の複合機1での合紙作成時の動作の一例を説明する。図6(a)に示すように、合紙作成時、給紙部2から供給された1枚目の合紙用用紙P1は、パターン画像PGが転写された後、定着部6を通過し、スイッチバックされることなく、そのまま第2搬送路8に導かれる。この時、切替弁74と切替弁75は、定着部6から第2搬送路8方向に合紙用用紙P1を導入する位置とされる。
そして、図6(b)に示すように、合紙用用紙P1は、レジストローラ対36の上流側で第1搬送路3に合流する。この時、給紙部2からは、合紙作成のための2枚目の用紙としての合紙用用紙P2も供給、搬送されており、その結果、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2は重ね合わされる。例えば、第2搬送路8の一定位置まで合紙用用紙P1が到達したことを搬送センサS4で制御部9は認識した後、制御部9は、中間給紙部7の搬送ローラ対71〜73を停止させた後、給紙部2に合紙用用紙P2の給紙を行わせる。
ここで、給紙部2が給紙を開始してから、どれくらいの時間がたてばレジストローラ対36に到着するかは、給紙部2からレジストローラ対36までの距離と給紙ローラ21や排出ローラ対33、34の周速度(用紙搬送速度)から、求めることができる。従って、給紙部2が合紙用用紙P2の給紙を開始してから、どれくらい経過してから中間給紙部7の搬送ローラ対71〜73を回転させるかを調整することにより、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2を、どれほどずらして重ね合わせられるか調整することができる。
尚、搬送センサS4からレジストローラ対36までの搬送距離と、給紙部2からレジストローラ対36までの搬送距離により、中間給紙部7の搬送ローラ対71〜73を停止させずに、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2をずらして重ね合わせることも可能である。
次に、図7(a)、(b)に基づき、合紙作成時に最初に供給される合紙用用紙P1に形成されるパターン画像PGを説明する。尚、図7(a)、(b)では、実線で示す用紙が1枚目の合紙用用紙P1であり、2枚目の合紙用用紙P2は、破線で示す。
合紙用用紙P1に形成されるパターン画像PGは、図7(a)に示すように、格子状に形成されてもよいし、図7(b)に示すように水玉模様のように、複数の塗り潰し円を複数配するようにトナー像が形成されてもよい。又、図示はしないが、パターン画像PGは例えば、唐草模様、縞模様などの他の模様でも良い。これらのパターン画像PGの画像データは、例えば、記憶部92に記憶される。又、使用者が任意に選択した画像(例えば、複合機1にユーザ端末100から画像データを送信)して、使用者の好きな画像を合紙作成時のパターン画像PGとして利用しても良い。即ち、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2を接着できれば良く、パターン画像PGに特に制限はない。
ただし、合紙用用紙P2の繊維にもトナーが入り込むように、合紙用用紙P1に載せられるトナーがある程度盛り上げられる方がよい(例えば、指で触った場合、トナーがのっている部分とのっていない部分とで、凹凸の差が感じられる程度)。言い換えると、パターン画像PGでは、合紙用用紙P1上のトナーには、ある程度厚みをもたせた方がよい。尚、トナーを利用した画像形成装置では、画像内の中間調(例えば、白黒におけるグレー)部分は、濃度に応じ、中間調の領域内にのせられるトナーの密度が少なくなるので、パターン画像PGは2枚の用紙を接着できる程度に高濃度の部分を有するほうがよい(中間調の部分を含めることは不可能ではない)。
ここで、パターン画像PGは、画像形成ユニット4のうち、どの色のトナーを利用して形成してもよいが、例えば、イエローでパターン画像PGを形成することができる。トナーのイエローのみであれば、ブラックやマゼンタなどに比べ、視認されにくい。従って、合紙作成に利用した用紙(例えば、合紙用用紙P2)は、使用後引き剥がしても、外観上汚れていると使用者に認識させにくくなり、合紙作成用として再利用しやすくなる。
そして、上述したように、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2はずらされて重ね合わされ、トナーで接着される。この重ね合わせにおけるずれは、図5(a)に示すように、用紙搬送方向における用紙の長さに対し、1/10〜1/20程度(例えば、1cm〜2cm程度)としてもよい。又、例えば、図5(b)に示すように、重ね合わせにおけるずれを、用紙搬送方向における用紙の長さの1/2程度までずらしても良い(例えば、10cm程度)。又、印刷ジョブごとに、ずれ量に差が設けられても良い(この場合、ユーザ情報領域Fが見やすくなる場合がある)。即ち、作成された合紙が排出された際、他の用紙とサイズが異なり、作成した合紙がジョブとジョブとの区切りとして機能すればよい。
ここで、図7(a)、(b)において網掛にて図示する、合紙用用紙P1のうち合紙用用紙P2と重ならない部分は、ユーザ情報領域Fであって、インデックス(見出し)として利用できる。言い換えると、作成された合紙と他の印刷ジョブが排出トレイ31に積まれた際、合紙のサイズと他の用紙のサイズが異なるので、ユーザ情報領域Fは、見出しのように用紙束から飛び出した状態となる。
そして、本実施形態の複合機1は合紙用用紙P1のうち、ユーザ情報領域Fに、図7(c)に示すように、どの使用者の印刷ジョブかを識別するためのユーザ情報を印刷する。具体的には、パターン画像PG形成時に同時に、ユーザ情報も印刷される。
まず、複合機1をプリンタとして利用する場合を例に挙げる。各ユーザ端末100には複合機1をプリンタとして利用するために、通常、複合機1用のドライバソフトウェアがインストールされる。そして、複合機1は、ドライバソフトウェアを介し、画像データを送信したユーザ端末名や、ネットワーク上のアドレスや、印刷が実行されたファイル名を取得できる。そして、取得したユーザ端末名等を「ユーザ名」として、又、取得したファイル名を「ジョブ名」として記すことができる。
又、複合機1をコピーとして利用する場合、「ユーザ名」や「ジョブ名」を操作パネル12から入力できるようにしても良いし、「ユーザ名」に複合機1の形式番号を記し、「ジョブ名」に例えば「コピー」と表記して、コピーであることを明らかにしても良い。
更に、利用態様を問わず、図7(c)に示すように、ユーザ情報として、印刷を実行した時間や、印刷ジョブの概要として印刷ジョブの1枚目の1行目(図7(c)では、「□□□□報告書」と例示)を示し、誰の印刷ジョブかが明らかになるようにしても良い。
(合紙作成時の制御)
次に、図8に基づき、本発明の実施形態に係る複合機1での合紙作成時の制御の一例を説明する。図8は、本発明の実施形態に係る複合機1での合紙作成時の制御の一例を示すフローチャートである。尚、ここでは、印刷ジョブの開始時に合紙を作成する例を説明する。尚、合紙作成は、印刷ジョブの終了時に行ってもよい。
まず、図8におけるスタートは、合紙作成の実行時である。ここで、使用者は、操作パネル12への入力や、ユーザ端末100にインストールされたドライバソフトウェアでの印刷設定操作によって、合紙作成を行うか否かの指示を行うことができる。従って、複合機1において、操作パネル12とI/F部95が、合紙を作成するか否かの指示入力部として機能する。即ち、複合機1は、合紙を作成して印刷を行うことを入力するための指示入力部を備える。そして、使用者によって合紙作成が指示された場合のみ、印刷ジョブの1枚目の印刷前に、本制御が実行される。
次に、制御部9は、給紙部2から1枚目の合紙用用紙P1を給紙させる(ステップ♯1)。続いて、制御部9は、画像形成部や第1搬送路3の各回転体を駆動させるとともに、画像形成ユニット4にパターン画像PG及びユーザ情報のトナー像を形成させ、中間転写部5にパターン画像PGとユーザ情報のトナー像を合紙用用紙P1に転写させる。即ち、画像形成部は、1枚目の合紙用用紙に対し、2枚目の合紙用用紙と重ねられる領域にパターン画像PGを形成するとともに、パターン画像PGが形成されない領域に、印刷ジョブを識別するための情報を示すトナー像を形成する(ステップ♯2)。
尚、この時、パターン画像PGはイエローのトナーで形成するが、ユーザ情報は視認性確保のためイエロー以外の色のトナーで形成すればよい。即ち、画像形成部は、イエローのトナー像を形成可能であって、パターン画像PGをイエローのトナーで形成する。
更に、制御部9は、定着部6の各回転体を駆動させ、定着部6に合紙用用紙P1を通過させるとともに、切替弁74、切替弁75を制御し、合紙用用紙P1を直接中間給紙部7に導く(ステップ♯3)。その後、制御部9は、搬送ローラ対71〜73等を回転させ、中間給紙部7に合紙用用紙P1をレジストローラ対36の上流側まで搬送させ(ステップ♯4)、給紙部2から2枚目の合紙用用紙P2を給紙させる(ステップ♯5)。
そして、制御部9は、合紙用用紙P1の搬送を制御し、合紙用用紙P1を第1搬送路3に合流させ、レジストローラ対36に進入させる(ステップ♯6)。合紙用用紙P1のレジストローラ対36進入後、制御部9は、合紙用用紙P2の搬送を制御し、合紙用用紙P2をレジストローラ対36に進入させる(ステップ♯7)。これにより、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2がずらされて重ね合わされる。尚、制御部9は、ずらしつつ重ね合わせるため、合紙用用紙P1や合紙用用紙P2の搬送を一時的に停止させても良い。
尚、本説明では、合紙用用紙P1を先にレジストローラ対36に進入させた後、合紙用用紙P2をレジストローラ対36に進入させる例を説明しているが、先に、合紙用用紙P2を先にレジストローラ対36に進入させた後、合紙用用紙P1をレジストローラ対36に進入させてもよい。ここで、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2のレジストローラ対36の順序によって、ユーザ情報領域Fの位置が異なるので、画像形成部は、ステップ♯2において、ユーザ情報領域Fの位置に応じてユーザ情報を示すトナー像を形成すればよい。
その後、レジストローラ対36は回転し、画像形成部の各回転体は、回転を続け、トナーの形成、転写を行うことなく、定着部6に向けて、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2を重送状態のまま送り出す(ステップ♯8)。
ここで、制御部9は、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2が加熱ローラ61と加圧ローラ62のニップに進入する前に、定着部6のヒータHをON状態とし、又、加熱ローラ61と加圧ローラ62の回転速度を通常の印刷時よりも遅くする(ステップ♯9)。即ち、定着部6は、用紙を加熱するためのヒータHを含む加熱ローラ61と、加熱ローラ61に圧接してニップを形成し、ニップを通過する用紙を加圧する加圧ローラ62とを備え、重ねられた合紙用用紙を通過させる際、加熱ローラ61の温度を上昇させ、及び/又は、加熱ローラ61と加圧ローラ62の回転速度を印刷時よりも遅くする。これにより、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2が定着部6を通過する際、より高温で通過させるとともに、より多くの熱を合紙用用紙P1に与えることができる。従って、トナーが溶融しやすくなり、合紙用用紙P2の繊維内にもトナーが浸透しやすくなり、トナーの接着力が向上する。
そして、制御部9は、重なった状態の合紙用用紙P1と合紙用用紙P2を定着部6のニップに進入させ、通過させる(ステップ♯10)。これにより、合紙用用紙P1と合紙用用紙P2が接着され、1枚の合紙が作成される。即ち、印刷ジョブの開始又は終了の際、画像形成部は、給紙部2から供給された1枚目の合紙用用紙P1にパターン画像PGを形成、転写し、給紙部2は、2枚目の合紙用用紙P2を供給し、中間給紙部7は、定着部6を通過した1枚目の合紙用用紙P1を搬送するとともに、第1搬送路3で搬送される2枚目の合紙用用紙P2とずらされて重なるように、1枚目の合紙用用紙P1を第2搬送路8から第1搬送路3に合流させ、定着部6は重ねられた2枚の合紙用用紙の定着を行い、パターン画像PGのトナーにより2枚の合紙用用紙を接着して1つの合紙を生成する。
更に、制御部9は、作成された合紙を排出ローラ対37の方向に導くように、切替弁74、切替弁75の位置を制御する(ステップ♯11)。その後、排出ローラ対37が合紙を排出し、合紙作成制御は完了する(エンド)。合紙作成制御完了、又は、合紙作成制御完了間際に、別途、印刷ジョブの1枚目の印刷が開始される。
このようにして、本実施形態の構成によれば、給紙部2に収容される用紙から合紙を作成するので、専用の合紙やオプション装置を用いることなく印刷ジョブと印刷ジョブを仕切ることができる。従って、使用者の利便性が向上し、コスト面での負担も少なくなる。又、従来のように、排出トレイ31への排出角度を変化させないので、1枚のみの印刷ジョブが連続する場合や、印刷物を探す際などにずらされた用紙が整合され印刷ジョブと印刷ジョブの境目が分からなくなることもなく、確実に印刷物を仕切ることができる。又、2枚の合紙用用紙は接着されるので、ジャム等、搬送の点で問題は生じない。
又、合紙用用紙に識別用の情報が印刷されるので、各印刷ジョブの内容を確認せずに、排出トレイ31に積まれた印刷ジョブのうち、どの印刷ジョブが自分の印刷ジョブか直ちに認識することができる。従って、自分の印刷ジョブを取り出す際に、他人の印刷物の内容をみる必要が無くなり、秘密保持性が向上する。又、指示入力部(操作パネル12やI/F部95)で合紙を作成するか否か入力できるので、使用者は必要な時のみ、合紙を生成する指示を与えられる。又、イエローは視認されがたいところ、パターン画像PGをイエローのトナーで形成するので、外観上、用紙が汚れているといった不快感を使用者に持たせにくく、1度合紙作成に利用した用紙を再度合紙生成に再利用しやすくなる。又、印刷物を作成した合紙を含めて保存用のファイル、バインダー等に綴じ込み、合紙をファイル等における仕切りとして用いる場合にも、外観を損ねることがない。又、合紙作成時、加熱用回転体(加熱ローラ61)の温度を上昇させ、印刷時よりも加熱用回転体(加圧ローラ62)等の回転速度を遅くするので、トナーが十分に溶融し、2枚目の合紙用用紙の繊維にまでトナーを入り込む。従って、2枚の合紙用用紙の接着力を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。