JP5123649B2 - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体及び画像形成装置に関する。特に、電子輸送剤として、特定の構造を有するジフェノキノン化合物を用いることにより、連続して画像形成を実施した場合であっても、優れた感度特性を安定的に得ることができる電子写真感光体及びそのような電子写真感光体を搭載した画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置等に用いられる電子写真感光体として、結着樹脂、電荷発生剤、及び電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)等からなる有機感光体(OPC)が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
一方、かかる有機感光体において使用される電荷輸送剤は、電子写真感光体に対して所定の電気特性を付与すべく、優れた電荷移動速度を有する必要がある。
そこで、優れた電荷移動速度を有する電子輸送剤として、ジフェノキノン化合物が開示されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1において具体的に開示されているジフェノキノン化合物は、優れた電子輸送能を有するものの、有機溶媒への溶解度や結着樹脂との相溶性が低いため、感光層中において結晶化しやすいという問題が見られた。
すなわち、特許文献1において具体的に開示されている下記式(27)で表されるジフェノキノン化合物は、電子輸送能を向上させることに重点を置く一方で、結晶化を抑制することについては、何ら考慮がなされておらず、その分子構造における対称性が過度に増大したことにより、上述した問題が生じるものと考えられる。
そこで、かかる結晶化の問題を解決すべく、置換基における炭素数を所定の範囲に規定したジフェノキノン化合物を用いた電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献2)。
より具体的には、下記一般式(28)で表されるジフェノキノン化合物を含んだ電子写真感光体が開示されている。
(一般式(28)中、Ra及びRbは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアリール基である。ただし、Ra及びRbのうち少なくとも1つは、炭素数5以上の脂肪族性置換基もしくは炭素数5以上の脂肪族性置換基を含むユニットである。)
特開平1−206349号公報(特許請求の範囲) 特開2005−300781号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献2におけるジフェノキノン化合物は、確かに感光層中における結晶化を抑制することができるものの、炭素数を規定した置換基の立体構造が過度に嵩高くなって、電子移動性や注入性といった、電子輸送剤として必須となる機能が低下してしまうという問題が見られた。その結果、特許文献2の電子写真感光体を用いて連続して画像形成を実施した場合には、感度特性が低下しやすくなるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の構造を有するジフェノキノン化合物であれば、置換基の立体構造における嵩高さと、分子構造の対称性と、のバランスが良好となることから、優れた電子輸送能を有するとともに、感光層中における結晶化を効果的に抑制できることを見出した。その結果、電子輸送剤として、かかる特定の構造を有するジフェノキノン化合物を用いることにより、連続して画像形成を実施した場合であっても、優れた感度特性を安定的に得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の目的は、連続して画像形成を実施した場合であっても、優れた感度特性を安定的に得ることができる電子写真感光体及びそのような電子写真感光体を搭載した画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば、基体上に、電子輸送剤、電荷発生剤及び結着樹脂を含む感光層が設けられた電子写真感光体であって、電子輸送剤が、下記一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物であることを特徴とする電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
(一般式(1)中、置換基R1及びR2は共に、炭素数4〜12の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基炭素数5〜12の置換または非置換のシクロアルキル基であり、置換基R1及びR2における炭素数は、その合計が8〜24となるような整数である。)
(一般式(2)中、置換基R3及びR4は共に、炭素数2の置換または非置換のアルキル基炭素数5〜12の置換または非置換のシクロアルキル基であり、置換基R3及びR4における炭素数は、その合計が4〜24となるような整数である。
すなわち、本発明における特定の構造を有するジフェノキノン化合物であれば、置換基の立体構造における嵩高さと、分子構造の対称性と、のバランスが良好となることから、優れた電子輸送能を有するとともに、感光層中における結晶化を効果的に抑制することができる。
したがって、電子輸送剤として、かかる特定の構造を有するジフェノキノン化合物を用いることによって、連続して画像形成を実施した場合であっても、優れた感度特性を安定的に得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(2)中、R3及びR4がエチル基であることが好ましい。
このように構成することにより、分子構造の高い対称性にもかかわらず、その結晶性を所定の範囲に抑制することができ、かつ、より優れた電子輸送能を発揮することができる。
したがって、連続して画像形成を実施した場合であっても、より優れた感度特性を安定的に得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層を、単層型感光層とすることが好ましい。
このように構成することにより、製造が容易になるとともに、皮膜欠陥を効果的に抑制することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、単層型感光層における結着樹脂100重量部に対して、一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物の含有量を5〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、特定の構造を有するジフェノキノン化合物が感光層中で結晶化することをより効果的に抑制しつつ、優れた感度特性を得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層を、積層型感光層とすることが好ましい。
このように構成することにより、電荷発生剤や、電荷輸送剤等の感光性材料の選択肢が広がり、構造設計の自由度を向上させることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、積層型感光層に含まれる電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して、一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物の含有量を1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、特定の構造を有するジフェノキノン化合物が電荷輸送層中で結晶化することを効果的に抑制しつつ、優れた感度特性を得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、積層型感光層における電荷輸送層が、さらに正孔輸送剤を含むことが好ましい。
このように構成することにより、電荷輸送層における電荷輸送能を、より向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電子写真感光体を搭載した画像形成装置であって、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段が配置されていることを特徴とする画像形成装置である。
すなわち、本発明の画像形成装置であれば、所定の電子写真感光体を搭載していることから、連続して画像形成を実施した場合であっても、高品質な画像を安定的に形成することができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、基体上に、電子輸送剤、電荷発生剤及び結着樹脂を含む感光層が設けられた電子写真感光体であって、電子輸送剤が、一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物であることを特徴とする電子写真感光体である。
以下、主に単層型電子写真感光体を例にとって、第1の実施形態としての電子写真感光体について具体的に説明する。
なお、単層型電子写真感光体として構成することによって、製造が容易となるとともに、皮膜欠陥を効果的に抑制することができるといった利点がある。
1.基本的構成
図1(a)に示すように、単層型電子写真感光体10は、基体12上に単一の感光層14を設けたものである。
また、かかる感光層は、電子輸送剤としての特定の構造を有するジフェノキノン化合物と、電荷発生剤と、結着樹脂と、を含むとともに、さらに必要に応じて正孔輸送剤や、レベリング剤またはシリル基含有化合物等の添加剤を含むことができる。
また、図1(b)に示すように、基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層16が形成されている単層型感光体10´でもよい。
なお、電荷輸送剤として、さらに正孔輸送剤を含有させることによって、電荷発生剤と電子輸送剤との間における電荷輸送効率を、さらに向上させることができる。
また、基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上述した金属が蒸着又はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス、あるいはカーボンブッラク等の導電性微粒子を分散してなるプラスッチク材料等が挙げられる。
また、基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。
2.感光層
(1)電子輸送剤
(1)−1 種類
本発明の電子写真感光体においては、電子輸送剤として、上述した一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物を用いることを特徴とする。
この理由は、かかる特定の構造を有するジフェノキノン化合物であれば、置換基の立体構造における嵩高さと、分子構造の対称性と、のバランスが良好となることから、優れた電子輸送能を有するとともに、感光層中における結晶化を効果的に抑制することができるためである。
したがって、電子輸送剤として、かかる特定の構造を有するジフェノキノン化合物を用いることによって、連続して画像形成を実施した場合であっても、優れた感度特性を安定的に得ることができる。
すなわち、従来においては、ジフェノキノン化合物の電子輸送能を向上させる点に重点を置いた結果、過度に対称性を有する分子構造が採用されてきた。
しかしながら、かかる分子構造の対称性に起因して、ジフェノキノン化合物における有機溶媒への溶解度や結着樹脂との相溶性が低下し、感光層中において結晶化しやすくなる場合があった。
一方、かかる結晶化の問題を解決すべく、置換基の立体構造を嵩高くしたジフェノキノン化合物が提案されている。
しかしながら、このようなジフェノキノン化合物では、かかる置換基の立体構造に起因して、その電子輸送能が低下しやすくなる場合があった。
したがって、電子輸送剤として、置換基の立体構造における嵩高さと、分子構造の対称性と、のバランスが崩れたジフェノキノン化合物を用いた場合、上述した結晶化の問題及び電子輸送能の問題を同時に解決することが困難であった。その結果、電子写真感光体における感度特性、特に、連続して画像形成を実施した場合の感度特性が低下しやすくなるといった問題が見られた。
この点、本発明におけるジフェノキノン化合物は、所定の置換基における構造を特定の置換基に限定しつつ、他の置換基においては、その炭素数のみを所定の範囲に限定することによって、上述した問題をバランスよく解決することができる。
すなわち、一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物においては、一般式(1)中、上方に位置するキノン構造が、置換基として二つのイソプロピル基をそれぞれ2位及び6位に有することによって、置換基の立体構造における嵩高さを効果的に抑制しながらも、ジフェノキノン化合物に対して所定の対称性を付与することができる。
さらに、一般式(1)中、下方に位置するキノン構造が、置換基として、合計炭素数が8〜24である所定の置換基R1及びR2をそれぞれ2´位及び6´位に有することによって、置換基の立体構造における嵩高さを抑制しつつも、分子構造における対称性を所定の範囲で崩すことができる。
より具体的には、置換基R1及びR2における合計炭素数が8未満の値となると、ジフェノキノン化合物における分子構造の対称性を崩す効果が十分に発揮されず、過度に結晶化しやすくなる場合があるためである。一方、置換基R1及びR2における合計炭素数が24を超えた値となると、当該置換基における立体構造が過度に嵩高くなって、電子輸送能が低下する場合があるためである。
したがって、置換基R1及びR2における合計炭素数を8〜18の範囲内の値とすることがより好ましく、8〜12の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、一般式(2)で表されるジフェノキノン化合物においても、上述した一般式(1)についての説明と同様の内容が該当する。
なお、一般式(2)で表されるジフェノキノン化合物の場合は、置換基R3及びR4における合計炭素数を4〜12の範囲内の値とすることがより好ましく、4〜8の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図2を用いて、一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物における置換基R1及びR2の合計炭素数と、感度と、の関係を説明する。
すなわち、図2には、横軸に一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物における置換基R1及びR2の合計炭素数(個)を採り、縦軸に電子写真感光体における感度(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、ジフェノキノン化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して30重量部とした。その他の詳細は、後の実施例において記載する。
ここで、特性曲線Aは、製造直後の電子写真感光体を用いて初期感度を測定した場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、5,000枚耐久印刷した後の電子写真感光体を用いて耐久感度を測定した場合の特性曲線である。
まず、特性曲線Aから理解されるように、感度の値は、置換基R1及びR2の合計炭素数の増加にともなって、一度減少した後、増加している。
より具体的には、置換基R1及びR2の合計炭素数が8個未満の範囲では、その増加にともなって、感度の値が減少しているものの、140V以上の高い値となっていることがわかる。一方、置換基R1及びR2の合計炭素数が8〜24個の範囲では、その増加にかかわらず、感度の値がほぼ安定的に120V前後の低い値を保持できることがわかる。さらに、置換基R1及びR2の合計炭素数が24個を超えた範囲では、その増加にともなって、感度の値が急激に増加してしまい、140V以上の高い値となってしまうことがわかる。
また、特性曲線Bについても、特性曲線Aとほぼ同様の挙動を示していることがわかる。
したがって、一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物における置換基R1及びR2の合計炭素数を8〜24(個)の範囲内の値とすることによって、初期感度及び耐久感度を安定的に得ることができることがわかる。
また、図3を用いて、一般式(2)で表されるジフェノキノン化合物における置換基R3及びR4の合計炭素数と、感度と、の関係を説明する。
すなわち、図3においては、横軸に一般式(2)で表されるジフェノキノン化合物における置換基R3及びR4の合計炭素数(個)を採り、縦軸に電子写真感光体における感度(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、ジフェノキノン化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して8重量部とした。その他の詳細は、後の実施例において記載する。
ここで、特性曲線Cは、製造直後の電子写真感光体を用いて初期感度を測定した場合の特性曲線であり、特性曲線Dは、5,000枚耐久印刷した後の電子写真感光体を用いて耐久感度を測定した場合の特性曲線である。
まず、特性曲線Cから理解されるように、感度の値は、置換基R3及びR4の合計炭素数の増加にともなって、一度減少した後、増加している。
より具体的には、置換基R3及びR4の合計炭素数が4個未満の範囲では、その増加にともなって、感度の値が急激に減少しているものの、140V以上の高い値となっていることがわかる。一方、置換基R3及びR4の合計炭素数が4〜24個の範囲では、その増加にかかわらず、感度の値がほぼ安定的に120V前後の低い値を保持できることがわかる。さらに、置換基R3及びR4の合計炭素数が24個を超えた範囲では、その増加にともなって、感度の値が急激に増加してしまい、140V以上の高い値となってしまうことがわかる。
また、特性曲線Dについても、特性曲線Cとほぼ同様の挙動を示していることがわかる。
したがって、一般式(2)で表されるジフェノキノン化合物における置換基R3及びR4の合計炭素数を4〜24(個)の範囲内の値とすることによって、初期感度及び耐久感度を安定的に得ることができることがわかる。
また、感光層が、一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物以外の電子輸送剤をさらに含むことも好ましい。
この理由は、特定の構造を有するジフェノキノン化合物と、それ以外の電子輸送剤と、を併用することにより、電子輸送剤の総合的な電子輸送能及び結晶性を、より容易に調節することができるためである。
例えば、電子輸送能には優れるものの、結晶化しやすく、電子輸送剤として単独で使用することが困難であるような化合物であっても、特定の構造を有するジフェノキノン化合物と所定の割合で併用することによって、効果的に結晶化を抑制しつつ、その優れた電子輸送能を発揮させることができる。
また、これらを併用する際の含有割合としては、併用する電子輸送剤の種類にもよるが、一般に、特定の構造を有するジフェノキノン化合物以外の電子輸送剤/特定の構造を有するジフェノキノン化合物の重量比を0.1〜10の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜5の範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)−2 具体例
また、一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物の具体例としては、下記式(3)〜(5)で表される化合物(ETM−1〜3)を挙げることができる。
また、一般式(2)で表されるジフェノキノン化合物の具体例としては、下記式(6)、(8)で表される化合物(ETM−4、6)を挙げることができる(下記式(7)で表される化合物(ETM−5)は、参考例とする)。
なお、式(6)かかるジフェノキノン化合物(ETM−4)は、分子構造の対称性が非常に高くなっているにもかかわらず、その結晶性を所定の範囲に抑制することができ、かつ、優れた電子輸送能を有している。
この理由は、置換基であるエチル基の分子量や、その可動範囲等の総合的な影響により、例えば、置換基が4つともメチル基、フェニル基、t−ブチル基及びシクロヘキシル基であった場合と比較して、例外的にその結晶性を抑制できるためであると考えられる。
(1)−3 含有量
また、一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物の含有量を、結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、特定の構造を有するジフェノキノン化合物の含有量をかかる範囲内の値とすることにより、特定の構造を有するジフェノキノン化合物が感光層中で結晶化することをより効果的に抑制しつつ、優れた感度特性を得ることができるためである。
すなわち、特定の構造を有するジフェノキノン化合物の含有量が5重量部未満の値となると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、特定の構造を有するジフェノキノン化合物の含有量が100重量部を超えた値となると、その分子構造における対称性が所定の範囲に抑制されてはいるものの、感光層中で結晶化しやすくなる場合があるためである。
したがって、特定の構造を有するジフェノキノン化合物の含有量を、結着樹脂100重量部に対して5〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜50重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図4を用いて、単層型感光層における一般式(1)及び(2)で表されるジフェノキノン化合物の含有量と、感度と、の関係を説明する。
すなわち、図4においては、横軸に結着樹脂100重量部に対する特定の構造を有するジフェノキノン化合物の含有量(重量部)を採り、縦軸に電子写真感光体における感度(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、ここでの感度とは、5,000枚耐久印刷した後の電子写真感光体を用いて測定した耐久感度を意味する。
ここで、特性曲線Aは、一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物として、式(3)で表される化合物(ETM−1)を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、一般式(2)で表される化合物として、式(7)で表される化合物(ETM−5)を用いた場合の特性曲線である。
その他、電子写真感光体の構成等の詳細は、後の実施例において記載する。
すなわち、特性曲線A及びBから理解されるように、ジフェノキノン化合物の含有量が0重量部から5重量部へと増加するのにともなって、感度の値が約200V前後の値から130V前後の値にまで、急激に減少していることがわかる。そして、ジフェノキノン化合物の含有量が5重量部以上の値となると、その増加にともなって感度の値がやや変化するものの、130V前後の低い値を安定的に保持できることがわかる。一方、上述したように、ジフェノキノン化合物の含有量が100重量部を超えた値となると、その分子構造における対称性が所定の範囲に抑制されてはいるものの、感光層中で結晶化しやすくなる場合がある。
したがって、特定の構造を有するジフェノキノン化合物の含有量を、結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部の範囲内の値とすることで、特定の構造を有するジフェノキノン化合物が感光層中で結晶化することをより効果的に抑制しつつ、優れた感度特性を得ることができることがわかる。
(2)正孔輸送剤
(2)−1 種類
また、本発明において使用される正孔輸送剤としては、特に制限されるものではなく、従来公知の種々の正孔輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物(例えば2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなど)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールなど)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなど)、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、及びジフェニレンジアミン系化合物などが好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
(2)−2 具体例
また、上述した化合物の中でも、特に好ましい化合物としては、下記式(9)〜(13)で表される化合物(HTM−1〜5)を挙げることができる。
(2)−3 含有量
また、正孔輸送剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して、1〜120重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送剤の含有量が1重量部未満の値となると、感光層の正孔輸送能が極端に低下し、画像特性に悪影響を与える場合があるためである。一方、かかる正孔輸送剤の含有量が120重量部を超えた値となると、分散性が低下し、結晶化しやすくなるという問題が生じるためである。
したがって、正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、5〜100重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜90重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)電荷発生剤
(3)−1 種類
また、本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤等の一種単独又は二種以上の混合物が挙げられる。
(3)−2 具体例
また、これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(14)〜(17)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜D)を使用することがより好ましい。
(3)−3 含有量
また、電荷発生剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の含有量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の含有量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の含有量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)添加剤
また、添加剤として、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
(5)結着樹脂
結着樹脂としては、例えば、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、及びポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びその他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、及びウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂などがあげられる。これら結着樹脂は単独で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。
(6)厚さ
また、感光層の厚さは、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光層を均一に形成することが困難となったり、機械的強度が低下する場合があるためである。一方、感光層の厚さが100μmを超えた値となると、感光層が基体から剥離しやすくなる場合があるためである。
したがって感光層の厚さを10〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜45μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(7)製造方法
電子写真感光体の製造方法としては、特に制限されるものではないが、以下のような手順で実施することができる。
まず、溶剤に電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂、添加剤等を含有させて塗布液を作成する。このようにして得られた塗布液を、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて導電性基材(アルミニウム素管)上に塗布する。
その後、例えば、100℃、40分間の条件で熱風乾燥して、所定膜厚の感光層を有する単層型電子写真感光体を得ることができる。
なお、分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4-ジオキサン、等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。このとき、さらに、電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を含有させてもよい。
また、この感光層を形成する前に、基体上に中間層を形成しておくことも好ましい。
この中間層を形成するにあたり、結着樹脂、必要に応じて添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を適当な分散媒とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して塗布液を調整し、これを公知の手段、例えばブレード法、浸漬法、スプレー法により塗布して、熱処理を施し中間層を形成する。
また、添加剤は製造時の沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止する等の目的のために、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を少量添加することができる。
次いで、得られた塗布液を、公知の製造方法に準じて、例えば、支持基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて塗布することができる。
その後、基体上の塗布液を乾燥する工程は、20〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが好ましい。
(8)積層型電子写真感光体
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、図5に示すように、電荷発生剤を含む電荷発生層24と、電荷輸送剤及び結着樹脂を含む電荷輸送層22と、からなる積層型の感光層20であることも好ましい。
この積層型電子写真感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電荷輸送剤と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製することができる。
また、上述した構造とは逆に、図5(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図5(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
また、単層型感光体の場合と同様に、基体上に中間層25を形成することも好ましい。
なお、かかる積層型の感光層を採用した場合、電荷発生剤や、電荷輸送剤等の感光性材料の選択肢が広がり、構造設計上の自由度を向上させることができるという利点がある。
また、電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂などの所定の成分を、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
この積層型感光層20において、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の厚さは、特に限定されないが、電荷発生層については、0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましい。一方、電荷輸送層については、2〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物の含有量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、含有量をかかる範囲とすることによって、特定の構造を有するジフェノキノン化合物が電荷輸送層中で結晶化することを効果的に抑制しつつ、優れた感度特性を得ることができるためである。
したがって、一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物の含有量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して1〜45重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜30重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
次いで、図6を用いて、電荷輸送層における一般式(1)及び(2)で表されるジフェノキノン化合物の含有量と、感度と、の関係を説明する。
すなわち、図6においては、横軸に電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対する特定の構造を有するジフェノキノン化合物の含有量(重量部)を採り、縦軸に電子写真感光体における感度(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、ここでの感度とは、耐久印刷を実施する前の初期感度を意味する。
ここで、特性曲線Aは、一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物として、式(3)で表される化合物(ETM−1)を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、一般式(2)で表される化合物として、式(7)で表される化合物(ETM−5)を用いた場合の特性曲線である。
その他、電子写真感光体の構成等の詳細は、後の実施例において記載する。
すなわち、特性曲線A及びBから理解されるように、ジフェノキノン化合物の含有量が0重量部から1重量部へと増加するのにともなって、感度の値が約70V前後の値から60V前後の値にまで、急激に減少していることがわかる。そして、ジフェノキノン化合物の含有量が1重量部以上の値である場合には、感度の値を安定的に60V前後の低い値に抑制できることがわかる。一方、ジフェノキノン化合物の含有量が100重量部を超えた値となると、その分子構造における対称性が所定の範囲に抑制されてはいるものの、感光層中で結晶化しやすくなる場合がある。
したがって、特定の構造を有するジフェノキノン化合物の含有量を、結着樹脂100重量部に対して1〜50重量部の範囲内の値とすることで、特定の構造を有するジフェノキノン化合物が感光層中で結晶化することをより効果的に抑制しつつ、優れた感度特性を得ることができることがわかる。
また、電荷輸送層が、さらに正孔輸送剤を含むことが好ましい。
この理由は、電荷輸送層において、特定の構造を有するジフェノキノン化合物のほかに、さらに正孔輸送剤を含有させることにより、電荷輸送層における電荷輸送能を、より向上させることができるためである。
より具体的には、正孔輸送剤を主な電荷輸送剤として用いる一方で、特定の構造を有するジフェノキノン化合物を、正孔輸送剤の補助的な電荷輸送剤(電子アクセプタ性化合物)として、用いることによって、電荷輸送層における電荷の輸送を効果的に向上させることができるためである。
このとき、特定の構造を有するジフェノキノン化合物/正孔輸送剤の重量比を0.01〜0.5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有比率とすることによって、電荷輸送層における電荷輸送能を、さらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる含有比率が0.01未満の値となると、電子アクセプタ性化合物としての十分な効果を発揮することが困難となる場合があるためである。一方、かかる含有比率が0.5を超えた値となると、感光層表面に対して正孔を輸送する機能に効率的に寄与することが困難となるばかりか、電荷輸送層を均一に形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、特定の構造を有するジフェノキノン化合物/正孔輸送剤の重量比を0.02〜0.4の範囲内の値とすることがより好ましく、0.02〜0.3の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態としての電子写真感光体を搭載した画像形成装置であって、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段が配置されていることを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第2の実施形態としての画像形成装置について説明する。
第2の実施形態の画像形成装置は、例えば、図7に示すような複写機30として構成することができる。かかる複写機30は、画像形成ユニット31、排紙ユニット32、画像読取ユニット33、及び原稿給送ユニット34を備えている。また、画像形成ユニット31には、画像形成部31a及び給紙部31bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット34は、原稿載置トレイ34a、原稿給送機構34b、及び原稿排出トレイ34cを有しており、原稿載置トレイ34a上に載置された原稿は、原稿給送機構34bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ34cに排出される。
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット33において、光源33aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子33bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部31bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部31aに送られる。この画像形成部31aには、像担持体である感光体ドラム41が備えられており、さらに、この感光体ドラム41の周囲には、帯電器42、露光器43、現像器44、及び転写ローラ45が、感光体ドラム41の回転方向に沿って配置されている。
これらの構成部品のうち、感光体ドラム41は、図中、実線矢印で示す方向に回転駆動されて、帯電器42により、その表面が均一に帯電される。その後、前述の画像信号に基づいて、露光器43により感光体ドラム41に対して露光プロセスが実施され、この感光体ドラム41の表面において静電潜像が形成される。
この静電潜像に基づき、現像器44によりトナーを付着させて現像し、感光体ドラム41の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、感光体ドラム41と転写ローラ45とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット47に搬送されて、定着プロセスが行われる。
また、定着後の用紙Sは、排紙ユニット32に送られることになるが、後処理(例えば、ステイプル処理等)を行う際には、用紙Sは中間トレイ32aに送られた後、後処理が行われる。その後、用紙Sは、画像形成装置の側面に設けられた排出トレイ部(図示せず)に排出される。一方、後処理を行わない場合には、用紙Sは中間トレイ32aの下側に設けられた排紙トレイ32bに排紙される。なお、中間トレイ32a及び排紙トレイ32bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。
なお、感光体ドラム41として、第1の実施形態で説明した電子写真感光体を搭載していることから、連続して画像形成を実施した場合であっても、高品質な画像を安定的に形成することができる。
[実施例1]
1.単層型電子写真感光体の製造
(1)中間層の形成
容器内に、アルミナ及びシリカで表面処理した後、湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理したルチル型酸化チタン(テイカ製、SMT−02、数平均一次粒子径:10nm)300重量部と、エタノール1200重量部と、ブタノール300重量部とを、共重合ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ製、ベスタメルトX4685)100重量部に対して加えた後、ビーズミル(メディア:直径0.5mmのジルコニアボール)を用いて5時間混合して、中間層用塗布液とした。
次いで、得られた中間層用塗布液を、5ミクロンのフィルタにてろ過した後、直径30mm、長さ246mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚1.5μmの中間層を形成した。
(2)単層型感光層の形成
容器内に、電荷発生剤として、式(14)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)(大日本インキ(株)製、Fastgen Blue 8120BS)3重量部と、正孔輸送剤として式(9)で表される化合物(HTM−1)を50重量部と、電子輸送剤として式(3)で表される化合物(ETM−1)を30重量部と、ジメチルシリコンオイル(信越化学工業(株)製、KF−96−50CS)0.1重量部と、結着樹脂として、粘度平均分子量50,000の下記式(18)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1)を100重量部と、溶媒としてテトラヒドロフランを760重量部と、を収容した。
次いで、超音波分散機にて溶解・分散して、単層型感光層用の塗布液を作成し、得られた塗布液を上述した中間層上に、リングコート法にて塗布した後、100℃、40分間の条件で熱風乾燥して、膜厚28μmの単層型感光層を有する単層型電子写真感光体を得た。
2.感度の評価
得られた単層型電子写真感光体における感度の評価を行った。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、正帯電反転現像プロセスを採用した市販の複写機(京セラミタ(株)製、KM−4530)に搭載した。次いで、N/N環境下(温度23℃、相対湿度50%RH)にて、グリッド電位調整を行って、単層型電子写真感光体における帯電電位が650Vになるように帯電させた後、黒ベタ画像の形成を行った。次いで、黒ベタ画像形成時の現像位置における電位を測定し、初期感度(V)とした。
また、A4横、5,000枚の単発コピーを行った後、コピー直後における耐久感度(V)を、上述した初期感度と同様にして測定した。得られた結果を表1に示す。
[実施例2〜6]
また、実施例2〜6においては、単層型感光層を形成する際に、式(3)で表される電子輸送剤(ETM−1)の含有量を、結着樹脂100重量部に対してそれぞれ0.1、1、8、50、100重量部としたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
また、実施例7においては、単層型感光層を形成する際に、式(4)で表される電子輸送剤(ETM−2)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
また、実施例8においては、単層型感光層を形成する際に、式(5)で表される電子輸送剤(ETM−3)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例9]
また、実施例9においては、単層型感光層を形成する際に、式(6)で表される電子輸送剤(ETM−4)を、結着樹脂100重量部に対して8重量部含有させたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例10]
また、参考例10においては、単層型感光層を形成する際に、式(7)で表される電子輸送剤(ETM−5)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例11〜15]
また、参考例11〜15においては、単層型感光層を形成する際に、式(7)で表される電子輸送剤(ETM−5)の含有量を、結着樹脂100重量部に対してそれぞれ0.1、1、8、50、100重量部としたほかは、参考例10と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例16]
また、実施例16においては、単層型感光層を形成する際に、式(8)で表される電子輸送剤(ETM−6)を、結着樹脂100重量部に対して8重量部含有させたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例17]
また、実施例17においては、単層型感光層を形成する際に、式(8)で表される電子輸送剤(ETM−6)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例18]
また、実施例18においては、単層型感光層を形成する際に、式(10)で表される正孔輸送剤(HTM−2)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例19]
また、実施例19においては、単層型感光層を形成する際に、式(11)で表される正孔輸送剤(HTM−3)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例20]
また、実施例20においては、単層型感光層を形成する際に、式(12)で表される正孔輸送剤(HTM−4)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例21]
また、実施例21においては、単層型感光層を形成する際に、式(13)で表される正孔輸送剤(HTM−5)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例22]
また、実施例22においては、単層型感光層を形成する際に、式(4)で表される電子輸送剤(ETM−2)を、結着樹脂100重量部に対して8重量部含有させるとともに、式(10)で表される正孔輸送剤(HTM−2)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例23]
また、実施例23においては、単層型感光層を形成する際に、式(11)で表される正孔輸送剤(HTM−3)を用いたほかは、実施例22と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例24]
また、実施例24においては、単層型感光層を形成する際に、式(12)で表される正孔輸送剤(HTM−4)を用いたほかは、実施例22と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例25]
また、実施例25においては、単層型感光層を形成する際に、式(13)で表される正孔輸送剤(HTM−5)を用いたほかは、実施例22と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例26]
また、実施例26においては、単層型感光層を形成する際に、式(4)で表される電子輸送剤(ETM−2)及び下記式(19)で表される電子輸送剤(ETM−7)を、それぞれ結着樹脂100重量部に対して8重量部及び30重量部含有させたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
また、比較例1においては、単層型感光層を形成する際に、電子輸送剤を含有させなかったほかは、実施例1と同様に単層単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
また、比較例2においては、単層型感光層を形成する際に、下記式(20)で表される電子輸送剤(ETM−8)を、結着樹脂100重量部に対して8重量部含有させたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。なお、得られた単層型感光層においては、電子輸送剤の結晶化が確認された。
[比較例3]
また、比較例3においては、単層型感光層を形成する際に、式(19)で表される電子輸送剤(ETM−7)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
また、比較例4においては、単層型感光層を形成する際に、下記式(21)で表される電子輸送剤(ETM−9)を、結着樹脂100重量部に対して8重量部含有させたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。なお、得られた単層型感光層においては、電子輸送剤の結晶化が確認された。
[比較例5]
また、比較例5においては、単層型感光層を形成する際に、式(20)で表される電子輸送剤(ETM−8)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。なお、得られた単層型感光層においては、電子輸送剤の結晶化が確認された。
[比較例6]
また、比較例6においては、単層型感光層を形成する際に、下記式(22)で表される電子輸送剤(ETM−10)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。なお、得られた単層型感光層においては、電子輸送剤の結晶化が確認された。
[比較例7]
また、比較例7においては、単層型感光層を形成する際に、下記式(23)で表される電子輸送剤(ETM−11)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。なお、得られた単層型感光層においては、電子輸送剤の結晶化が確認された。
[比較例8]
また、比較例8においては、単層型感光層を形成する際に、下記式(24)で表される電子輸送剤(ETM−12)を、結着樹脂100重量部に対して8重量部含有させたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例27]
1.積層型電子写真感光体の製造
(1)中間層の形成
容器内に、アルミナ及びシリカで表面処理した後、湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理したルチル型酸化チタン(テイカ製、SMT−02、数平均一次粒子径:10nm)300重量部と、エタノール1200重量部と、ブタノール300重量部とを、共重合ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ製、ベスタメルトX4685)100重量部に対して加えた後、ビーズミル(メディア:直径0.5mmのジルコニアボール)を用いて5時間混合して、中間層用塗布液とした。
次いで、得られた中間層用塗布液を、5ミクロンのフィルタにてろ過した後、直径30mm、長さ246mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚2μmの中間層を形成した。
(2)電荷発生層の形成
次いで、ビーズミルを用いて、電荷発生剤として、式(15)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶を200重量部、結着樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(電気化学工業(株)製、デンカブチラール#6000EP)100重量部、分散媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル3000重量部、テトラヒドロフラン5000重量部を、2時間混合、分散させ、電荷発生層用の塗布液を得た。得られた塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過後、上述した中間層上にディップコート法にて塗布し、80℃で5分間乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(3)電荷輸送層の形成
次いで、超音波分散機を用いて、正孔輸送剤として式(9)で表される化合物(HTM−1)70重量部と、電子輸送剤(電子アクセプタ性化合物)として式(3)で表される化合物(ETM−1)8重量部と、添加剤として下記式(25)で表されるメタターフェニル(ADD−1)5重量部と、酸化防止剤として下記式(26)で表されるジブチルヒドロキシトルエン(ADD−2)10重量部、結着樹脂として、粘度平均分子量50,000の式(18)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1)100重量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン430重量部及びトルエン430重量部と、溶解・分散して、電荷輸送層用塗布液を得た。得られた塗布液を、上述した電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、120℃、30分間の条件で乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を製造した。
(4)チタニルフタロシアニン結晶の製造
なお、電荷発生層において、電荷発生剤として含有させたチタニルフタロシアニン結晶は、以下のようにして製造した。
すなわち、アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル25gと、チタンテトラブトキシド28gと、尿素20gと、キノリン300gとを加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した。
次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温したのち、この温度を維持しつつさらに2時間、撹拌して反応させた。
次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、及びメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体25gを得た。
次いで、顔料化前処理として、上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体15gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、撹拌しつつ130℃に加熱して2時間、撹拌処理を行った。
次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、さらに、23±1℃まで冷却した時点で撹拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。そして安定化された後の上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄したのち真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
次いで、顔料化処理として、上述した顔料化前処理で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。
次いで、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間撹拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。
次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗したのち、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間、撹拌した。そして、上澄みをガラスフィルターによってろ別したのち、得られた結晶を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(15)で表される無置換のチタニルフタロシアニン(CGM−B)の結晶(青色粉末)4.5gを得た。
なお、得られたチタニルフタロシアニン結晶においては、初期、及び1,3−ジオキソランまたはテトラヒドロフラン中に7日間浸漬させた後においても、光学特性として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び26.2°にピークが発生していないことを確認した。また、熱特性として、示差走査熱量分析での400℃までの昇温において、吸着水の気化にともなう90℃付近のピーク以外に、302℃に1つのピークを示すことを確認した。
2.評価
(1)感度及びメモリ電位の評価
得られた積層型電子写真感光体における感度の評価を行った。
すなわち、得られた積層型電子写真感光体を、除電手段を有さない負帯電反転現像プロセスを採用した市販のプリンタ((株)沖データ製、c5200n)に搭載した。次いで、N/N環境下(温度23℃、相対湿度50%RH)にて、積層型電子写真感光体における帯電電位が−600Vになるように外部から電圧を供給して帯電させた。次いで、電子写真感光体の一周分(95mm)のうち、65mmの部分に対して黒ベタ画像に相当する露光を行い、かかる箇所における電位を測定し、初期感度(V)とした。
一方、電子写真感光体における残り30mmの部分及びさらに電子写真感光体一周分に対しては、露光を行わずに、上述した帯電工程を実施しつつ電子写真感光体を回転させた。そして、電子写真感光体が二周した時点で、一周目の露光部に相当する箇所の電位V0b(V)と、一周目の非露光部に相当する箇所の電位V0(V)と、を測定し、(V0b−V0)(V)を算出して、初期メモリ電位(V)とした。
なお、使用したプリンタとしては、以下のような改造を施したプリンタを使用した。
すなわち、電子写真感光体に対して画像形成装置の外部から電圧を印加して、帯電させることができるようにした。また、イメージングユニットの現像手段を取り外して、そこに電位測定装置を挿入した。なお、かかる電位測定装置は、イメージングユニットにおける現像位置に、電位測定プローブを配置することで構成されており、電位プローブの位置は、電子写真感光体の軸方向における中央とし、電子写真感光体表面からの距離を5mmとした。
また、得られた積層型電子写真感光体を、除電手段を有さない負帯電反転現像プロセスを採用した市販のプリンタ((株)沖データ製、c5200n)であって、上述した改造を施していないプリンタに搭載し、A4縦、10,000枚の連続プリントアウトを行った後、プリントアウト直後における耐久感度(V)及び耐久メモリ電位(V)を、上述した初期感度及び初期メモリ電位と同様にして測定した。得られた結果を表2に示す。
(2)ゴースト評価
また、得られた積層型電子写真感光体を使用した場合におけるゴースト評価を行った。
すなわち、得られた積層型電子写真感光体を、除電手段を有さない負帯電反転現像プロセスを採用した市販のプリンタ(沖データ(株)製、c5200n)に搭載した。次いで、10mm角の黒四角パターンを電子写真感光体の一周分(95mm)を用いて任意の数だけ印字した後、全面グレー画像及び全面白紙画像をプリントアウトした。次いで、かかる全面グレー画像及び全面白紙画像において、ゴーストが発生しているか否かを、目視によって確認するとともに、下記基準に沿って評価した。
また、上述した感度及びメモリ電位の評価と同様に、A4縦、10,000枚の連続プリントアウトを行った後においてもゴースト評価を行った。得られた結果を表2に示す。
◎:ゴーストが全く確認されない。
○:ゴーストが僅かに確認されるが、黒四角画像は確認されない。
△:ゴーストがうっすらと確認されるとともに、黒四角画像も確認される。
×:ゴーストがはっきりと確認される。
[実施例28〜31]
また、実施例28〜31においては、電荷輸送層を形成する際に、式(3)で表される電子輸送剤(ETM−1)の含有量を、電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対してそれぞれ0.1、1、20、50重量部としたほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
なお、実施例28〜31では、耐久後(A4縦、10,000枚の連続プリントアウト後)における感度、メモリ電位及びゴースト評価を実施しなかった。
[実施例32]
また、実施例32においては、電荷輸送層を形成する際に、式(4)で表される電子輸送剤(ETM−2)を用いたほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例33]
また、実施例33においては、電荷輸送層を形成する際に、式(5)で表される電子輸送剤(ETM−3)を用いたほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例34]
また、実施例34においては、電荷輸送層を形成する際に、式(6)で表される電子輸送剤(ETM−4)を用いたほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
参考例35]
また、参考例35においては、電荷発生層を形成する際に、式(16)で表されるV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM−C)を用い、かつ、電荷輸送層を形成する際に、式(7)で表される電子輸送剤(ETM−5)を用いたほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2を示す。
参考例36〜39]
また、参考例36〜39においては、電荷輸送層を形成する際に、式(7)で表される電子輸送剤(ETM−5)の含有量を、電荷輸送層の結着樹脂100重量部に対してそれぞれ0.1、1、20、50重量部としたほかは、参考例35と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。
なお、参考例36〜39では、耐久後(A4縦、10,000枚の連続プリントアウト後)における感度、メモリ電位及びゴースト評価を実施しなかった。得られた結果を表2に示す。
[実施例40]
また、実施例40においては、電荷輸送層を形成する際に、式(8)で表される電子輸送剤(ETM−6)を用いたほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例41]
また、実施例41においては、電荷輸送層を形成する際に、式(10)で表される正孔輸送剤(HTM−2)を用いたほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例42]
また、実施例42においては、電荷輸送層を形成する際に、式(11)で表される正孔輸送剤(HTM−3)を用いたほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例9]
また、比較例9においては、電荷輸送層を形成する際に、電子輸送剤を用いなかったほかは、実施例27と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例10]
また、比較例10においては、電荷輸送層を形成する際に、式(10)で表される正孔輸送剤(HTM−2)を用いたほかは、比較例9と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例11]
また、比較例11においては、電荷輸送層を形成する際に、式(11)で表される正孔輸送剤(HTM−3)を用いたほかは、比較例9と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に表す。
以上、詳述したように、特定の構造を有するジフェノキノン化合物であれば、置換基の立体構造における嵩高さと、分子構造の対称性と、のバランスが良好となることから、優れた電子輸送能を有するとともに、感光層中における結晶化を効果的に抑制できるようになった。その結果、電子輸送剤として、かかる特定の構造を有するジフェノキノン化合物を用いることにより、連続して画像形成を実施した場合であっても、優れた感度特性を安定的に得ることができるようになった。
したがって、本発明の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における高品質化、高速化及び長寿命化等に寄与することが期待される。
(a)〜(b)は、単層型電子写真感光体の基本構造及び変形構造を説明するために供する図である。 置換基R1及びR2の合計炭素数と感度との関係を説明するために供する図である。 置換基R3及びR4の合計炭素数と感度との関係を説明するために供する図である。 単層型電子写真感光体におけるジフェノキノン化合物の含有量と感度との関係を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、積層型電子写真感光体の基本構造及び変形構造を説明するために供する図である。 積層型電子写真感光体におけるジフェノキノン化合物の含有量と感度との関係を説明するために起用する図である。 電子写真感光体を備えた画像形成装置を説明するために供する図である。
符号の説明
10:単層型感光体
12:導電性基体
14:感光層
16:バリア層
20:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
30:複写機
31:画像形成ユニット
31a:画像形成部
31b:給紙部
32:排紙ユニット
33:画像読取ユニット
33a:光源
33b:光学素子
34:原稿給送ユニット
34a:原稿載置トレイ
34b:原稿給送機構
34c:原稿排出トレイ
41:感光体ドラム
42:帯電器
43:露光源
44:現像器
45:転写ローラ

Claims (8)

  1. 基体上に、電子輸送剤、電荷発生剤及び結着樹脂を含む感光層が設けられた電子写真感光体であって、
    前記電子輸送剤が、下記一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物であることを特徴とする電子写真感光体。

    (一般式(1)中、置換基R1及びR2は共に、炭素数4〜12の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基炭素数5〜12の置換または非置換のシクロアルキル基であり、置換基R1及びR2における炭素数は、その合計が8〜24となるような整数である。)

    (一般式(2)中、置換基R3及びR4は共に、炭素数2の置換または非置換のアルキル基炭素数5〜12の置換または非置換のシクロアルキル基であり、置換基R3及びR4における炭素数は、その合計が4〜24となるような整数である。
  2. 前記電子輸送剤が前記一般式(2)で表されるジフェノキノン化合物であり、前記一般式(2)中、R3及びR4がエチル基であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層を、単層型感光層とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記単層型感光層における結着樹脂100重量部に対して、前記一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物の含有量を5〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記感光層を、積層型感光層とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  6. 前記積層型感光層に含まれる電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して、前記一般式(1)及び(2)、あるいはいずれか一方で表されるジフェノキノン化合物の含有量を1〜50重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記積層型感光層における電荷輸送層が、さらに正孔輸送剤を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載した電子写真感光体を搭載した画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段が配置されていることを特徴とする画像形成装置。
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