JP5123491B2 - 積層型圧電/電歪素子 - Google Patents

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Description

本発明は、内部電極層の磨耗が生じ難く、且つ潤滑剤の循環性、冷却性に優れる、積層型の圧電/電歪素子に関する。
地球環境問題の1つである地球温暖化を防止するため、自動車の燃費改善にかかる技術開発が進められている。環境に優しい自動車の動力源としては燃料電池が有力とされるが、実現に至る技術的・コスト的な課題は多い。そこで、電気モータを併用したハイブリッドエンジンシステムの実用化が進んだ他、特に欧州においては、有害物の排出を抑えた改良ディーゼルエンジンを搭載した自動車がシェアを大きく伸ばしている。
ディーゼルエンジンは、燃料をシリンダへ噴射し高圧に圧縮して自己着火させるエンジンであり、燃料の噴射量でエンジン出力を制御するものであるため、ディーゼルエンジンにおいては、燃料をシリンダ内へ送る燃料噴射装置の役割が重要である。近年、ディーゼルエンジンの利用が増えた理由は、いわゆるコモンレール式の燃料噴射装置の発展によるところが大きく、特に、今後、噴射ノズルを開閉させる機構の駆動源として、ソレノイドに代わり圧電素子を採用することにより、ディーゼルエンジンの利用拡大を後押しすることが見込まれている。これは、圧電素子が、ソレノイドより高速な噴射ノズルの開閉を実現出来るため、より適切な量の燃料をシリンダへ送ることが可能になり、燃料の最適な燃焼状態を形成することが出来るようになり、その結果、排出ガス中に含まれるパティキュレート、窒素酸化物、一酸化炭素、炭化水素等の有害物の減少、燃費の改善、エンジン音の低下、エンジン出力の向上、という優れた効果がもたらされるからである。
燃料噴射装置に適用される圧電素子は、変位及び/又は応力を発生する噴射ノズル開閉機構の駆動源として利用され、金属等のケースに収容した状態で使用される場合が多い。通常、圧電素子としては積層型のものが適用され、この積層型の圧電素子は、一般に、のちに内部電極となる導電材料のパターンが形成された圧電テープを所定数積層し、この積層された生の積層体を切削等の加工によって個割りする、又は、焼成により得られた焼結ブロックを切削等の加工によって個割りし、作製される。従って、圧電素子は、その外面が当該加工によって形成された平面を呈している。尚、先行文献として、特許文献1が挙げられる。
特開2001−339105号公報 特開2002−160195号公報
このような従来の積層型の圧電素子は、上記の通りケースに収容され、その内部で伸縮動作を行うため、圧電素子の外面(側面)において摺動することになる。従って、必然的にケースの内面との摩擦によって、圧電素子の外面(側面)に露出した内部電極の端部が削られることになり、長期にわたる作動信頼性に課題があった。一方、このような磨耗現象を抑制するための潤滑の目的や外気の湿度を遮断する目的で、圧電素子を潤滑剤とともにケースに収容し使用する場合がある。しかし、圧電素子の側面が平面であることから、潤滑剤の廻りや潤滑剤の冷却(ひいては圧電素子の冷却)に不安があり、やはり信頼性の点から改善が望まれていた。
本発明は、上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば燃料噴射装置における噴射ノズル開閉機構の駆動源として適用された場合に
、ケースに収容されケース内で伸縮動作を行っても電極の磨耗が生じ難く、且つ潤滑剤とともにケースに収容し使用されても潤滑剤が十分に循環し且つ冷却され得る、積層型の圧電素子を実現することである。検討が重ねられた結果、以下に示す手段により、上記目的を達成出来ることが見出された。
即ち、先ず、本発明によれば、圧電/電歪層と内部電極層とが、交互に、複数、積層をされてなる柱状積層体と、内部電極層を一層おきに接続する外部電極と、を有する圧電/電歪素子であって、柱状積層体の軸方向に平行なその柱状積層体の側面に、積層の周期毎に段差を有するとともに、圧電/電歪層は、積層の方向に平行な断面の形状が台形であり、その台形の上底(短辺)を構成する面のみに、内部電極層が形成されている積層型圧電/電歪素子が提供される。即ち、本発明の積層型圧電/電歪素子は、側面に段差を有する構造をなすものであり、側面に段差を有するとは、側面を構成する面と面との間に高低差が生じている部分があることを意味する。
本発明の積層型圧電/電歪素子は、圧電/電歪層と内部電極層の積層の方向が柱状積層体の軸方向と同じ方向(平行な方向)であり、圧電/電歪層が生じる変位が電界誘起歪みの縦効果に基づく変位であることが好ましい。
本発明の積層型圧電/電歪素子でいう台形は、上底が下底より短い図形であり、上底は下底(底辺)より短い辺である。又、幾何学的に定義される厳密な意味での(上底と下底が平行な)台形に限らず、本願の主旨を逸脱しない範囲で、略台形状であってもよい。柱状積層体は、圧電/電歪層と内部電極層とが、交互に、複数、積層をされてなるものであるため、断面の形状が台形である圧電/電歪層が積層されることにより、柱状積層体の側面には段差が生じる。
又、圧電/電歪層と内部電極層とが、交互に、複数、積層をされてなる柱状積層体は、側面に面取りが施された円柱形又は角柱形であることが好ましい。この側面に面取りが施された円柱形又は角柱形とは、側面に段差を有することを除き、面取りが施されていないとすれば通常の円柱形又は角柱形になるものであって、通常の円柱形又は角柱形をベースとして側面が面取りされたものである。角柱形の場合には側面の角部が面取りされる。円柱形及び角柱形の何れにおいても、面取りされた側面からは段差が消え、面取りされない側面には段差が残る。本発明の積層型圧電/電歪素子においては、外部電極は、面取りが施された面(段差が消えて平らになった面)に形成されていることが好ましい。このような面取りが施された面は、ケースの側面に、直接、接触し難いので、この面に外部電極を形成すれば、前述した段差構造(ひいて言えば庇構造)による内部電極の磨耗防止とともに、外部電極に対しても、摺動による磨耗が抑制出来る。
本発明の積層型圧電/電歪素子においては、内部電極層が、(積層型圧電/電歪素子の)外面に露出していないことが好ましい。外面とは、上記側面を含み、積層型圧電/電歪素子の外側の全ての面を意味する。この態様では、内部電極層が柱状積層体の外形に対してオフセットされて形成される。即ち、内部電極層は圧電/電歪層より小さい面積で圧電/電歪層の間に積層され、内部電極層を外側から視認することは出来ない。もっとも、内部電極層は一層おきに、(信号電極又は共通電極として、それぞれに)外部電極と接続されるものであるため、外部電極と接続する部分では、柱状積層体の側面に現れるが、この部分でも、内部電極層は、外部電極に覆われており、積層型圧電/電歪素子の外面には露出しない。尚、内部電極層は、柱状積層体(圧電/電歪層)を貫通するビアホール等によって、一層おきに接続してもよい。
本発明の積層型圧電/電歪素子においては、柱状積層体の軸方向に垂直なその柱状積層体の2つの端面のうち少なくとも何れかの端面の中央部に、凹部を有することが好ましい。又、本明細書において、柱状積層体には、中心軸部分が空洞である筒形のものが含まれる。本発明の積層型圧電/電歪素子は、このような凹部を有することにより、特に、柱状積層体が円柱形を呈する場合、ケースへの位置決めが容易になる。加えて、本発明の積層型圧電/電歪素子(柱状積層体)は、形状を問わず中心部分が空洞である場合には、段差を有する構造であることとの相乗効果により、構造的に表面積が大きく取れるものとなるため、積層型圧電/電歪素子の駆動にかかるエネルギーロスに起因する発熱を、効果的に放熱することが可能である。
本発明の積層型圧電/電歪素子は、限定されるものではないが、グリーンシート積層法及び打抜同時積層法を用いて作製されたものであることが好ましい。即ち、本発明の積層型圧電/電歪素子は、のちに圧電/電歪層となる、圧電/電歪材料を主成分とするグリーンシートに、のちに内部電極層となる、導電材料からなる電極パターンを形成し、打抜加工機を用いて、電極パターンを形成したグリーンシートを、打抜加工機のパンチを積層軸としてパンチに積層しながら打抜加工し、グリーン積層体を得て、そのグリーン積層体を焼成して柱状積層体を得て、作製されたものであり、全体が焼成一体化されたものであることが好ましい。尚、打抜同時積層法の詳細については、特許文献2に開示された手順、内容に従うものとする。
本発明の積層型圧電/電歪素子は、内燃機関の燃料噴射装置における噴射ノズル開閉機構の駆動源として好適に用いられるものである。
本発明の積層型圧電/電歪素子は、圧電/電歪と称しているが、圧電/電歪層において生じる変位は、電界によって誘起される歪みに基づく変位の全てである。即ち、本発明の積層型圧電/電歪素子は、狭義の意味での、印加電界に概ね比例した歪み量を発生する圧電効果を利用するもの、及び印加電界の二乗に概ね比例した歪み量を発生する電歪効果を利用するものに限定されず、強誘電体材料全般にみられる分極反転、反強誘電体材料にみられる反強誘電相−強誘電相転移、等の現象を利用するものも含まれる。
本発明の積層型圧電/電歪素子は、柱状積層体の軸方向に平行な柱状積層体の側面に、積層の周期毎に現れる、段差を有している。そのため、本発明の積層型圧電/電歪素子を潤滑剤とともにケースに収容した際に、その段差部分に潤滑剤溜りが形成され、潤滑剤の冷却効果が得られる。又、この段差を有することから潤滑剤の循環性に優れており、長期にわたり安定して動作し得るものとなっている。加えて、本発明の積層型圧電/電歪素子は、その構造が、段差を有しないものと比較して相対的に大きな表面積を有するものであるため、駆動により生じる発熱を効果的に逃がすことが可能である。
本発明の積層型圧電/電歪素子は、その好ましい態様において、圧電/電歪層の、積層の方向に平行な断面の形状が台形であり、その台形の上底(短辺)を構成する面に、内部電極層が形成されている。即ち、本発明の積層型圧電/電歪素子をケースに収容し作動(伸縮)させた場合に、内部電極層は摺動面に露出しない。従って、内部電極層の磨耗が生じず、磨耗により、ケース内において、内部電極層を構成する導体材料成分の磨耗クズが発生しない。そのため、電気的な信頼性に優れ、長期にわたり安定して動作し得る。
本発明の積層型圧電/電歪素子は、その好ましい態様において、外面に、内部電極層が露出していないので、側面に存在する段差構造における面(側面)の高い部分、ひいて言えば庇構造の庇部分、が磨耗しても、内部電極層は磨耗しない。そのため、電気的な信頼性に優れ、長期にわたり安定して動作し得る。
本発明の積層型圧電/電歪素子の好ましい態様は、グリーンシート積層法及び打抜同時積層法による製造過程を経て作製されたものである。従って、本発明の積層型圧電/電歪素子の好ましい態様に備わる段差は、精度よく形成されたものになる。そのため、本発明の積層型圧電/電歪素子は、その柱状積層体の軸方向及び/又は変位(伸縮)方向に対して、ブレが殆どない構造を有するものになり、発生する変位及び/又は応力を、効率よく作用させることが可能である。
噴射ノズル開閉機構を動作させるための駆動源として本発明の積層型圧電/電歪素子を採用した燃料噴射装置は、長期にわたり安定して、高速な噴射ノズルの開閉を実現し得るものとなるため、ディーゼルエンジンをはじめとする内燃機関の作動状況に応じて、最適な量の燃料をシリンダへ送ることが出来る。従って、本発明の積層型圧電/電歪素子を採用した燃料噴射装置は、排出ガス中に含まれるパティキュレート、窒素酸化物、一酸化炭素、炭化水素等の有害物を減少させ、燃費を改善し、エンジン音を低下させ、エンジン出力を向上させる、といった優れた効果を、長期にわたり安定してもたらす。
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
図1は、本発明の積層型圧電/電歪素子の一の実施形態を示す断面図である。図1に示される積層型圧電/電歪素子1は、圧電/電歪層14と内部電極層18,19とが、交互に、複数、積層をされてなる柱状積層体10と、内部電極層18,19を一層おきに接続する(図示しない)外部電極と、を有している。柱状積層体10は、全体としては概ね円柱形を呈するものである。又、外部電極は、内部電極層18(信号電極)どうし及び内部電極層19(共通電極)どうしを接続するものであり、外部の電源を用いて内部電極層18,19間へ電圧をかけるための、配線の役割を担う電極である。圧電/電歪層14と内部電極層18,19とで構成される柱状積層体10、及び外部電極は、焼成により一体化されている。
積層型圧電/電歪素子1では、圧電/電歪層14の分極方向P(図1参照)が、信号電極(内部電極層18)から共通電極(内部電極層19)へ向けた方向になっている。そして、信号電極〜共通電極間(即ち圧電/電歪層14)に対し、分極方向Pと同じ方向E(図1参照)に電圧が印加されると、複数の圧電/電歪層14のそれぞれが柱状積層体10の軸方向(図中において矢印Sで示される方向(S方向という))に伸長する変位を生じ、積層型圧電/電歪素子1として伸長する。電圧が印加されず圧電/電歪層14に電界が形成されなくなると、複数の圧電/電歪層14のそれぞれは収縮し、積層型圧電/電歪素子1としても収縮する。
積層型圧電/電歪素子1は、圧電/電歪層14の、積層の方向(S方向と同じ方向)に平行な断面の形状が、図1に明示されるように、台形であり、その台形の上底(短辺)を構成する面に、内部電極層18,19が形成されている。又、柱状積層体10の軸方向(上記S方向と同じ方向)に平行なその柱状積層体10の側面に、積層の周期T毎に、段差Aを有している。
積層の周期Tの大きさ(長さ)は、圧電/電歪層14及び内部電極層18(19)の厚さに相当し、数十〜数百μmオーダーである。又、段差Aの寸法は、好ましくは1〜8μm、より好ましくは1〜6μm、更に好ましくは1〜4μmである。段差Aの寸法が10μmを超えると、燃料噴射装置における噴射ノズル開閉機構の駆動源としてケースに潤滑剤とともに積層型圧電/電歪素子1を収容して使用した場合に、潤滑剤を循環させ冷却させる作用の効果が得られ難く、構造体として強度面も低下するおそれがあるので、好ましくない。
積層型圧電/電歪素子1は、上記断面の形状を台形とし上記段差Aを精度よく且つ容易に得るために、グリーンシート積層法及び打抜同時積層法を採用して作製されたものである(製造方法については、別途、後述する)。即ち、のちに圧電/電歪層14となる、圧電/電歪材料を主成分とするグリーンシートに、のちに内部電極層18,19となる、導電材料からなる電極パターンを形成し、打抜加工機を用いて、電極パターンを形成したグリーンシートを、打抜加工機のパンチを積層軸としてパンチに積層しながら打抜加工し、グリーン積層体を得て、そのグリーン積層体を焼成して柱状積層体10を得て、作製されたものである。
グリーンシート積層法を用いて作製する場合には、積層型圧電/電歪素子1における圧電/電歪層14の上記断面の形状(台形)は、製造時に、グリーンシートの組成と、打抜加工に使用する打抜加工機のパンチとダイとのクリアランスによって調整(変更)することが出来る。パンチとダイとのクリアランスは、1〜8μmであることが好ましく、より好ましいクリアランスは1〜4μmである。クリアランスを、この範囲とすることにより、好ましい台形の断面を有する圧電/電歪層14を安定して得ることが可能である。
又、グリーンシートの原料としては、圧電/電歪材料(粉末)の他に有機樹脂、溶剤、分散剤、可塑剤等が挙げられる。その中で、有機樹脂材料は、圧電/電歪材料に対して4〜9質量%の割合とすることが望ましく、5〜6質量%とすることがより望ましい。このような範囲で原料に有機樹脂材料を混合することにより、打抜加工の際の破断に要する強度が適度となり、打抜加工で得られる圧電/電歪層14の断面形状が安定し、全ての圧電/電歪層14において均一な台形が得られる。
図15は、本発明の積層型圧電/電歪素子の他の実施形態を示す断面図である。そして、図16の(a)及び(b)は、図15に示される積層型圧電/電歪素子151の圧電/電歪層及び内部電極層の一態様を示す平面図である。積層型圧電/電歪素子151は、圧電/電歪層14と内部電極層18,19とが、交互に、複数、積層をされてなる柱状積層体150と、内部電極層18,19を一層おきに接続する(図示しない)外部電極と、を有するものである。この積層型圧電/電歪素子151は、圧電/電歪層14の積層の方向に平行な断面の形状がほぼ台形であり、柱状積層体150の軸方向に平行なその柱状積層体150の側面に、積層の周期毎に、積層型圧電/電歪素子1より少し大きな段差を有している。
積層型圧電/電歪素子151は、台形である圧電/電歪層14のうち、最も上層の圧電/電歪層14の上底(短辺)を構成する面、及び最も下層の圧電/電歪層14の下底(長辺)を構成する面には内部電極層18,19が形成されていない。又、内部電極層18,19は圧電/電歪層14より小さい面積で、柱状積層体150の外形に対してオフセットして(柱状積層体150の内部側に引いて)形成されている(図16の(a)及び(b)を参照)。そのため、内部電極層18,19は、外部電極と接続される部分を除いては柱状積層体150の外面(側面、上面、及び下面)に露出せず、積層型圧電/電歪素子151の外面(側面、上面、及び下面)には全く露出しない。従って、内部電極層18,19を外側から視認することは出来ない。積層型圧電/電歪素子151は、これらの点において、積層型圧電/電歪素子1とは異なるが、他は、既述の積層型圧電/電歪素子1と同じ構造・仕様の積層型圧電/電歪素子である。
図2は、本発明の積層型圧電/電歪素子の他の実施形態を示す斜視図であり、柱状積層体の形状の好ましい例を示す図である(段差は省略して描かれている)。そして、図7は、図2に示される積層型圧電/電歪素子にかかる柱状積層体の、積層方向に垂直な断面の形状を示す図である。図2及び図7に示される積層型圧電/電歪素子21にかかる柱状積層体20は、側面に4つの面取りが施された円柱形を呈している。
図3は、本発明の積層型圧電/電歪素子の更に他の実施形態を示す斜視図である(段差は省略して描かれている)。図3に示される積層型圧電/電歪素子31にかかる柱状積層体30は、積層型圧電/電歪素子21の柱状積層体20と同様に、側面に4つの面取りが施された円柱形を呈するが、その軸方向に垂直な2つの端面のうち(図中の)上端面において、その中央部に、凹部32を有しているところが、柱状積層体20とは異なる(図3において矢印で示される上端部の断面形状は、柱状積層体30の点線で囲った部分の断面形状である)。本発明の積層型圧電/電歪素子においては、柱状積層体の好ましい形状として、他に、側面の角部に面取りが施された角柱形を挙げることが出来る(図4の(e)参照、後述する)。尚、外部電極は、面取りが施された面に形成される。電極を形成する上で、面取りはC面取り(角面取り)が望ましい。
図10は、本発明の積層型圧電/電歪素子の更に他の実施形態を示す斜視図である。そして、図11の(a)及び(b)は、図10に示される積層型圧電/電歪素子91の内部電極層の一態様を示す平面図である。積層型圧電/電歪素子91は、圧電/電歪層114と内部電極層とが、交互に、複数、積層をされてなる柱状積層体90を有し、その柱状積層体90の側面には段差が設けられている。内部電極層は、一層おきに、内部電極層118と、図10に明示されない内部電極層(内部電極層119とよぶ、図11の(b)参照)と、で構成される。柱状積層体90は、側面に面取りが施された角柱形であり、一層おきに積層された内部電極層118どうしを接続する外部電極128が、面取りが施された面92に形成されている。図10に明示されない奥側(裏面側)では、一層おきに積層された図10に明示されない内部電極層119どうしを接続する外部電極(外部電極129とよぶ)が、外部電極128と同様に、面取りが施された面に形成されている。積層型圧電/電歪素子91の内部電極層118,119は、図11の(a)及び(b)に示されるように、それぞれ圧電/電歪層114の概ね全面を挟み得る形状の電極であるが、短絡を防止するために、圧電/電歪層114の形状に対し一部が欠けている。その欠けている部分は、図11の(a)及び(b)のそれぞれにおいて内部電極層118,119の上部分及び下部分である。そして、図10中における手前側の面取りが施された面92(外部電極128が形成された面)においては、内部電極層118のみが露出して外部電極128と導通し、内部電極層119は露出せず圧電/電歪層114によって外部電極128と絶縁している。一方、図中に明示されないが、図10における奥側の面取りが施された面(外部電極129が形成された面)においては、内部電極層119のみが露出して外部電極129と導通し、内部電極層118は露出せず圧電/電歪層114によって外部電極129と絶縁している。
図12は、本発明の積層型圧電/電歪素子の更に他の実施形態を示す斜視図である。そして、図13の(a)及び(b)は、図12に示される積層型圧電/電歪素子111の内部電極層の一態様を示す平面図である。積層型圧電/電歪素子111は、圧電/電歪層214と内部電極層とが、交互に、複数、積層をされてなる柱状積層体110を有し、その柱状積層体110の側面には段差が設けられている。内部電極層は、一層おきに、内部電極層218と、図12に明示されない内部電極層(内部電極層219とよぶ、図13の(b)参照)と、で構成される。柱状積層体110は、側面に面取りが施された円柱形であり、一層おきに積層された内部電極層218どうしを接続する外部電極228が、面取りが施された面112に形成されている。図12に明示されない奥側(裏面側)では、一層おきに積層された図12に明示されない内部電極層219どうしを接続する外部電極(外部電極229とよぶ)が、外部電極228と同様に、面取りが施された面に形成されている。積層型圧電/電歪素子111の内部電極層218,219は、図13の(a)及び(b)に示されるように、それぞれ圧電/電歪層214の概ね全面を挟み得る形状の電極であるが、短絡を防止するために、圧電/電歪層214の形状に対し一部が欠けている。その欠けている部分は、図13の(a)及び(b)のそれぞれにおいて内部電極層218,219の上部分及び下部分である。そして、図12中における手前側の面取りが施された面112(外部電極228が形成された面)においては、内部電極層218のみが露出して外部電極228と導通し、内部電極層219は露出せず圧電/電歪層214によって外部電極228と絶縁している。一方、図中に明示されないが、図12における奥側の面取りが施された面(外部電極229が形成された面)においては、内部電極層219のみが露出して外部電極229と導通し、内部電極層218は露出せず圧電/電歪層214によって外部電極229と絶縁している。
次に、本発明の積層型圧電/電歪素子を製造する方法と、併せて使用する材料について、説明する。図4の(a)〜(e)は、本発明の積層型圧電/電歪素子の製造工程の一例を示す説明図である。本発明の積層型圧電/電歪素子を製造するにあたっては、グリーンシート積層法及び打抜同時積層法を利用することが好ましく、以下に説明する製造方法は、この二つの方法を用いたものである。
先ず、圧電/電歪材料を主成分とする所定枚数のセラミック製のグリーンシート(以下、セラミックグリーンシート、又は、単にシートともいう)を用意する。このセラミックグリーンシートは、のちに圧電/電歪層を構成するものである。セラミックグリーンシートは、従来知られたセラミック製造方法により作製出来る。例えば、圧電/電歪材料の粉末を用意し、これに有機樹脂(バインダ)、溶剤、分散剤、可塑剤等を望む組成に調合してスラリーを作製し、これを脱泡処理後、ドクターブレード法、リバースロールコーター法、リバースドクターロールコーター法等のテープ成形法によって成形し(図4の(a)参照)、適宜、それを切断して、シートを作製することが可能である。
圧電/電歪材料は、電界誘起歪みを起こす材料であれば、問われるものではない。結晶質でも非晶質でもよく、又、半導体セラミック材料や強誘電体セラミック材料、あるいは反強誘電体セラミック材料を用いることも可能である。用途に応じて適宜選択し採用すればよい。又、分極処理が必要な材料であっても必要がない材料であってもよい。
具体的には、好ましい材料として、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、マグネシウムタングステン酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、チタン酸ビスマスネオジウム(BNT)、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマス、銅タングステンバリウム、鉄酸ビスマス、あるいはこれらのうちの2種以上からなる複合酸化物を挙げることが出来る。又、これらの材料には、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ、銅等の酸化物が固溶されていてもよい。中でも、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛の複合酸化物を主成分として酸化ニッケルを含有してなる材料、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛の複合酸化物を主成分とする材料が、大きな電界誘起歪が利用出来ることから、好ましい。この場合、ニッケル成分として、酸化物換算で0.05〜3質量%含有するものが、特に好ましい。又、上記材料等に、ビスマス酸リチウム、ゲルマニウム酸鉛等を添加した材料は、その圧電/電歪層の低温焼成を実現しつつ高い材料特性を発現出来るので好ましく、特に、上記したジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛の複合酸化物を主成分として酸化ニッケルを含有してなる材料、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛の複合酸化物を主成分とする材料であって、そのニッケル成分として、酸化物換算で0.05〜3質量%含有し、且つゲルマン酸鉛を0.3〜4質量%添加した材料は望ましい。
次に、所定枚数のシートを作製したら、そのシートの表面に、導電材料を用いて、所定のパターン(電極パターン)の導体膜48を形成する(図4の(b)参照)。この導体膜48は、のちに内部電極層(信号電極及び共通電極)になる膜である。
導体膜の形成手段は、スクリーン印刷法が好適に用いられるが、フォトリソグラフィ、転写、スタンピング等の手段で行ってもよい。使用する導電材料としては、室温で固体である金属が採用される。例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、又は鉛等の金属単体又はこれら2種類以上からなる合金、例えば、銀−白金、白金−パラジウム、銀−パラジウム等を1種単独で又は2種類以上を組み合わせたものを用いることが好ましい。又、これらの材料と、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化セリウム、ガラス、又は圧電/電歪材料等との混合物、サーメットであってもよい。これらの材料は、圧電/電歪層と同時に焼成されるか否かに依存して選定される。内部電極層の場合には、圧電/電歪層と同時に焼成されるため、圧電/電歪層の焼成温度においても変化しない白金、パラジウム、白金−パラジウム合金、銀−パラジウム合金等の高融点金属を使用する必要がある。一方、後述する、のちに外部電極となる導体膜の場合には、低温で焼成出来るので、アルミニウム、金、銀、銀−パラジウム合金等を使用することが可能である。加えて、用途によっては、非常に大きな変位を発生させなければならないケースもあり、このような場合には、外部電極の断線が生じないように、形成した電極上に、別途、延展性に富む導電材料の箔、板等を載置し、併せて用いてもよい。
次いで、のちに内部電極層になる導体膜48が形成された所定枚数のシートに対し、既述の如くパンチとダイとのクリアランスを適切に調節した打抜加工機を用い、パンチを積層軸として、加工したシートをパンチに積層しながら打抜加工を施し、これらを積層し圧着して、グリーン積層体41を得る(図4の(c)参照)。打抜加工によってシートに空隙部52が形成されるため、グリーン積層体41は、概ね四角形の実体部51が残ったシートの積層体として構成される。その後、そのグリーン積層体41を焼成し、一体化した積層焼成体42を得て、それに対し、ダイシング加工、スライシング加工、ワイヤーソー加工等の加工手段により、切断線43に沿って切断し、更に不要部分を取り除く(図4の(d)参照)。尚、切断については、焼成前に行ってもよい。部品の取り扱い工数は増加するが、脱脂、焼成に要する時間を短縮することが出来る。
上記の加工により、圧電/電歪層と内部電極層とが交互に積層をされた、個割の柱状積層体40が得られ、更に、その柱状積層体40の軸方向に平行な側面(加工により得られた面)に、導体膜を形成し焼成して(図示しない)外部電極を設けることにより、積層型圧電/電歪素子44を得ることが出来る(図4の(e)参照、段差は省略して描かれている)。つまり、上記した本発明の積層型圧電/電歪素子を製造する方法によれば、必要最小限の加工により本発明の積層型圧電/電歪素子を作製することが出来、その加工自体が、個割りの目的と、外部電極を形成するための平坦面を得る目的と、を兼ねている。更に、積層型圧電/電歪素子の耐湿性、絶縁性を増す目的で、樹脂コートを施してもかまわない。樹脂コートに使用する樹脂材料としては、ポリフルオルエチレン系、アクリル系、エポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系等が挙げられるが、燃料噴射装置等の高環境負荷下では、ポリフルオルエチレン系、ポリイミド系、更には、それらの複合系、例えばPTFE(ポリフルオルエチレン系)とポリアミドイミドの複合系の材料を用いることが好ましい。
図5は、図4の(d)に示される積層焼成体42の上表面の一部を拡大して示す図である。上記したように、焼成前のグリーン積層体41を得る際に、既に打ち抜かれて空隙部52が形成され、グリーン積層体41の段階で、複数の実体部51がつながったものとして構成されているから、それを焼成し一体化して得られる積層焼成体42も、空隙部52を有し、上面からみて概ね四角形(全体として概ね四角柱形)の複数の実体部51がつながったものとして構成される。そして、その積層焼成体42に対し、更に切断線43に沿って加工が施される。そうして得られる積層型圧電/電歪素子44は、柱状積層体40が、その側面の角部に面取りが施された四角柱形を呈するものになる(図4の(e)参照)。即ち、上記した本発明の積層型圧電/電歪素子を製造する方法は、最終製品のニアネットシェープを経由した製法であるので、前述の通り、手間がかかりコスト増の原因となっている後加工を最小限にすることが可能であるとともに、二次元的に加工出来る形状であれば、どのような複雑な形状・構造の積層型圧電/電歪素子であっても、それを作製(形成)出来るのである。
図6は、図5に対応する他の態様の図であり、側面に4つの面取りが施された円柱形の柱状積層体を有する積層型圧電/電歪素子を作製する過程における、積層焼成体の上表面の一部を拡大して示す平面図である。図6に上表面の一部が拡大されて示される積層焼成体60は、焼成前のグリーン積層体を得る際に、既に打ち抜かれて空隙部62が形成され、上面からみて概ね円形(全体として概ね円柱形)の複数の実体部61がつながったものとして構成されている。この積層焼成体60に対し切断線63に沿って加工が施されて得られる積層型圧電/電歪素子は、図2及び図7に示される積層型圧電/電歪素子21のような、柱状積層体が4つの面取りが施された円柱形を呈するものになる。
図8は、図5に対応する更に他の態様の図であり、側面に2つの面取りが施された円柱形の柱状積層体を有する積層型圧電/電歪素子を作製する過程における、積層焼成体の上表面の一部を拡大して示す平面図である。又、図9は、その2つの面取りが施された円柱形を呈する柱状積層体を有する積層型圧電/電歪素子にかかる当該柱状積層体の、積層方向に垂直な断面の形状を示す図である。図8に上表面の一部が拡大されて示される積層焼成体80は、焼成前のグリーン積層体を得る際に、既に打ち抜かれて空隙部82が形成され、上面からみて概ね円形(全体として概ね円柱形)の複数の実体部81がつながったものとして構成されている。この積層焼成体80に対し切断線83に沿って加工が施されて得られる積層型圧電/電歪素子は、図9に断面が示されるように、柱状積層体が2つの面取りが施された円柱形を呈するものになる。
以上説明した製造方法においては、グリーン積層体を得る際に(図4の(c)参照)、打抜加工機のパンチを積層軸としてパンチに加工したシートを積層しながら打抜加工を施すため、シートの位置合わせが精度よく行える。この方法を打抜同時積層法とよび、その詳細の準備、手順等は、先に示したように、特許文献2に開示された方法に従って行う。打抜同時積層法を適用して積層型圧電/電歪素子を製造すると、積層ずれが生じないため、焼成後の柱状積層体における圧電/電歪層の面の輪郭度を、概ね8μm以下とすることが出来る。従って、従来の積層型の圧電素子(焼結体)のように、その外面に機械加工を施して仕上げることなく、変位や発生力を意図する方向に意図する量で作用させることが容易であり、積層型圧電/電歪素子の特性を効率よく利用出来る。又、高い輪郭度であるために、積層型圧電/電歪素子を作動させ、ある対象を、押す、叩く等の作用から受ける反作用に対して、高い耐性を示し、折れ、割れ等の破損が生じ難い。圧電/電歪層及び内部電極層の積層の方向に平行な断面の形状が台形であることに基づく効果との相乗効果により、長期にわたり安定した伸縮変位を発現し駆動動作を実現することが可能となる。尚、面の輪郭度は、日本工業規格B0621「幾何偏差の定義及び表示」に示されている。面の輪郭とは機能上定められた形状をもつように指定した表面であって、面の輪郭度とは理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさをいう。
尚、本発明の積層型圧電/電歪素子は、打抜同時積層法を採用しなくても製造することが可能である。シートを積層する際の位置合わせ方法として、例えば、シートの外形と概ね同一の内形を有する枠内にシートを順次重ねるか、若しくは、ガイドピンを立ててシートに予め開けられたガイド孔を通し順次重ねるか、若しくは、打抜形状と同じ形状の所定数のガイドピンを所定ピッチで並べ打抜孔自体をガイド孔としてガイドピンに通して順次重ねることにより位置合わせしてもよい。位置合わせして積層した後に、加熱圧着すればグリーン積層体が得られる。
以上、本発明の積層型圧電/電歪素子とそれを製造する方法について説明したが、本発明の積層型圧電/電歪素子は、燃料噴射装置における噴射ノズル開閉機構に好適な駆動源として用いられるものである。ここで、図14に、燃料噴射装置の一例を示す。図14は断面図であり、高圧の燃料は、図14に示されないコモンレールから燃料インレットを介して燃料噴射装置に入り、ノズルから図14に示されないエンジンのシリンダへ噴射される。積層型圧電/電歪素子は、燃料噴射装置の図14中において丸で囲われた部分に収容され、その伸縮変位によって例えばニードル弁を移動させて、ノズルを開閉し、高圧の燃料の噴射を制御する。既述のように、本発明の積層型圧電/電歪素子は、長期にわたり安定して、高速な噴射ノズルの開閉を実現し得るものであり、最適な量の燃料をシリンダへ送ることが可能なものである。そのため、本発明の積層型圧電/電歪素子を利用した燃料噴射装置は、長期にわたり安定して、エンジンから排出されるガスの中に含まれるパティキュレート等の有害物を減少させることが出来る。
本発明の積層型圧電/電歪素子は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関の燃料噴射装置における噴射ノズル開閉機構の駆動源として、好適に利用される。又、光学装置等の精密な位置決めを要する装置や振動防止装置の駆動源として、適用される。
本発明の積層型圧電/電歪素子の、一の実施形態を示す断面図である。 本発明の積層型圧電/電歪素子の、他の実施形態を示す斜視図である。 本発明の積層型圧電/電歪素子の、更に他の実施形態を示す斜視図である。 (a)〜(e)は、本発明の積層型圧電/電歪素子の製造工程の一例を示す説明図である。 図4の(d)に示される積層焼成体の、上表面を示す部分拡大平面図である。 本発明の積層型圧電/電歪素子の、更に他の実施形態を示す図であり、製造過程における積層焼成体の部分拡大平面図である。 図2に示される積層型圧電/電歪素子の、積層方向に垂直な断面を表す柱状積層体の断面図である。 本発明の積層型圧電/電歪素子の、更に他の実施形態を示す図であり、製造過程における積層焼成体の部分拡大平面図である。 本発明の積層型圧電/電歪素子の、更に他の実施形態を示す図であり、積層方向に垂直な断面を表す柱状積層体の断面図である。 本発明の積層型圧電/電歪素子の更に他の実施形態を示す斜視図である。 (a)及び(b)は、図10に示される積層型圧電/電歪素子の内部電極層の一態様を示す平面図である。 本発明の積層型圧電/電歪素子の更に他の実施形態を示す斜視図である。 (a)及び(b)は、図12に示される積層型圧電/電歪素子の内部電極層の一態様を示す平面図である。 燃料噴射装置の一例を示す断面図である。 本発明の積層型圧電/電歪素子の、他の実施形態を示す断面図である。 (a)及び(b)は、図15に示される積層型圧電/電歪素子の圧電/電歪層及び内部電極層の一態様を示す平面図である。
符号の説明
1,21,31,44,91,111,151 積層型圧電/電歪素子
10,20,30,40,90,110,150 柱状積層体
14,114,214 圧電/電歪層
18,118,218 内部電極層(信号電極)
19,119,219 内部電極層(共通電極)
32 凹部
41 グリーン積層体
42,60,80 積層焼成体
43,63,83 切断線
48 導体膜
51,61,81 実体部
52,62,82 空隙部
128,228 外部電極

Claims (7)

  1. 圧電/電歪層と内部電極層とが、交互に、複数、積層をされてなる柱状積層体と、前記内部電極層を一層おきに接続する外部電極と、を有する圧電/電歪素子であって、
    前記柱状積層体の軸方向に平行なその柱状積層体の側面に、前記積層の周期毎に段差を有するとともに、
    前記圧電/電歪層は、前記積層の方向に平行な断面の形状が台形であり、その台形の上底(短辺)を構成する面のみに、前記内部電極層が形成されている積層型圧電/電歪素子。
  2. 前記柱状積層体は、側面に面取りが施された円柱形又は角柱形である請求項1に記載の積層型圧電/電歪素子。
  3. 前記外部電極は、前記面取りが施された面に形成されている請求項2に記載の積層型圧電/電歪素子。
  4. 前記内部電極層が、外面に露出していない請求項1〜3の何れか一項に記載の積層型圧電/電歪素子。
  5. 前記柱状積層体の軸方向に垂直なその柱状積層体の2つの端面のうち少なくとも何れかの端面の中央部に、凹部を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の積層型圧電/電歪素子。
  6. のちに前記圧電/電歪層となる、圧電/電歪材料を主成分とするグリーンシートに、
    のちに前記内部電極層となる、導電材料からなる電極パターンを形成し、
    打抜加工機を用いて、電極パターンを形成したグリーンシートを、前記打抜加工機のパンチを積層軸としてパンチに積層しながら打抜加工し、グリーン積層体を得て、そのグリーン積層体を焼成して前記柱状積層体を得て、作製されたものであり、全体が焼成一体化されている請求項1〜5の何れか一項に記載の積層型圧電/電歪素子。
  7. 内燃機関の燃料噴射装置における噴射ノズル開閉機構の駆動源として用いられる請求項1〜6の何れか一項に記載の積層型圧電/電歪素子。
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