JP5612824B2 - 積層圧電セラミックス素子及びその製造方法 - Google Patents

積層圧電セラミックス素子及びその製造方法 Download PDF

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本発明は積層圧電セラミックス素子及びその製造方法の改良に係り、より具体的には積層圧電セラミックスアクチュエータ及び積層圧電セラミックスを包含し、特に高い信頼性と高性能な駆動特性を備えたものである、また、その製造方法に関する。
従来、積層圧電セラミックスアクチュエータとしては特許文献1ないし5等に開示が見られる。その構成の概要は斜視図として図14、図15に示される。図14は従来の積層圧電セラミックスアクチュエータの構造図、(a)は側面斜視図、(b)は内部電極の向きを変えて積層される圧電ユニット15の側面斜視図である。図15は従来の積層圧電セラミックスアクチュエータの外部電極部の様子を示した側面斜視図である。図14(b)に示すように、積層圧電セラミックスアクチュエータ1の駆動部2は圧電ユニット15を積層させたものからなる。圧電ユニット15は圧電セラミックス上に内部電極6を形成させた。より詳細には、内部電極6は圧電セラミックスの上面にマージン電極6とマージン電極6が形成されていない部位7からなる。
図14(b)は圧電ユニット15の4ユニットについてマージン電極6の端部が右、左と順次繰り返し反転させた重ねる前の状態図である。この状態で外部電極15は内部電極が左端に現れている部位と右端に現れている部位をそれぞれ集め図示しない左の外部電極と右の外部電極5に接続される。積層圧電セラミックスアクチュエータの圧電出力は左の外部電極と右の外部電極5間に発生するアクチュエータ圧電出力を取り出せる。このように圧電ユニット15は交互に積層された圧電セラミックスからなる部位を重ねることでアクチュエータ1の駆動部2として機能する。
他方、実用例としては非特許文献1として「NECトーキンの圧電デバイス」の「積層PAの製造工程」が図示されている。このなかで、電極とセラミックスの隙間に発生する応力を緩和するために絶縁ガラスを表面に塗布し、内部の応力を緩和する手法を取り入れられている。
しかしながら、これら各文献にはそれぞれ次の解決かべき課題が残っている。
特許文献1ないし5には、積層させた圧電セラミックスからなる上部と下部には絶縁対策、荷重に対する衝撃対策のためにダミー部3、4を設けられている。しかしながら、これらは上部と下部のダミー部がセラミックスだけで構成され、内部電極の入った駆動部2(圧電部)とダミー部との間でヤング率に差が生じ発生力の出力に大きな誤差が発生してしまう課題があった。
また、積層素子の内部電極は金属板と圧電セラミックスとを接着したタイプと内部電極を塗布し一体焼結とした2つのタイプがあった。しかしながら、前者は接着剤を用いたタイプであるため正確な変位量が得られずコストも高い課題があった。また、焼結したセラミックス素子と内部電極として金属板を利用して接着剤で固定した積層素子のような場合は、製作精度が低くコストも高くなる課題があった。また、積層素子の形状はせいぜいφ8mm以下、高さ5mm以下といった課題があった。
後者の内部電極を塗布したタイプは、例えば、圧電セラミックスシートを交互に積層していく方法が開示されている(特許文献1)。それによれば、焼成時におけるダミー部とセラミックス部(駆動部)について、ダミー部のセラミックスは卑金属を添加して還元雰囲気焼結を用いている。また、ダミー部を構成するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)組成はセラミックスシートの密度を変化させて収縮を調整する旨の開示がある。しかしながら、この手法では卑金属を添加したダミー部に特別のシートが必要であり、また還元雰囲気で焼結する必要があるため専用炉の確保、さらに専用の焼結温度パターンが必須で製造プロセスが煩雑となる課題があった。
特許文献2の積層アクチュエータは、上部付近の内部電極のパターン形状を変化させ中心部付近が周囲より変位する旨の開示がある。しかしながら、積層アクチュエータは用途により多様な形状が要求されるがそれに適用できない。また内部に未電極部が存在するため伸びない部位ができ連続駆動、無負荷環境での駆動に対しては信頼性において課題が残っていた。
特許文献3の内部電極と外部電極は、その接続を図るため一層おきにレーザー光を利用した穴を穿ける手法が開示されている。それによれば、専用装置が必要であったり、製造的な面で実用性に課題が残る。例えば、100μm以下のシートでは穴あけ精度を維持することが困難である。穿けた穴の収縮とシートの収縮精度がマッチングするような焼結条件を必要とするが、その開示はない。その結果、積層アクチュエータの形状ごとに設定する必要があり、多品種の積層アクチュエータには製造コスト面で課題が残る。
特許文献4の積層型圧電アクチュエータでは、応力破壊し難い耐久性の優れた積層型圧電アクチュエータを提供いるため、素子の中心部が外周部に比べ変位するため変位バラツキが出ることを課題として挙げられている。その解決策として、変位バラツキの制御手段には圧電アクチュエータの焼成時にドープペーストに含まれるマンガン等をセラミックスの一部に拡散することしか開示されていない。しかしながら、このような手法は現実的ではなく、焼成後において拡散により接触面の組成が変化してしまう課題があった。
特許文献5では、応力吸収層によって圧電駆動部と保護層部との境界近傍における応力集中が緩和される構造が開示されている。圧電駆動部において保護層部に近接した部分で絶縁破壊の発生を抑制することが挙げられている。
それによれば、圧電駆動部内の内部電極層の形状をいわば環状の長方形に設定している(表1)。また、表1中の「曲率R1」は、四角形状の内部電極層の4隅に設けた曲率を示しており、比較例および実施例1,2には曲率は設けられておらず、実施例3〜5では2mmの曲率が設けられている旨の記載が認められる。そして、この曲率R1によって内部電極層の四隅での電荷集中が抑制されて絶縁破壊が起こり難くなり、また、接合部に曲率R2を設けることで、応力集中を緩和することができると考えられる旨の記載が認められる。
しかしながら、圧電駆動部と保護層部における絶縁破壊の発生に対してであり、積層圧電アクチュエータにおける荷重に対しては内部歪みが発生し破壊の原因についての課題が解決されていない。さらに、積層アクチュエータの焼結は外周部の銀部位から行うため、全体で中心部と銀の内部電極との間で焼結温度における焼結不均一が生じるおそれがある課題があった。
一層間の絶縁を確保するために図14のようにマージン電極6(特許文献5では外部電極13に内部電極12から小さい接続部分で接続されているに過ぎない。図2参照)を有する電極部が必要になる。しかし、マージン電極6には引張応力が集中し駆動時の破損やクラックの原因に繋がる点につき、特許文献5では課題についての示唆すらない。他方、非特許文献1ではマージンのない内部電極を利用しており、電極の取出しにはガラスコーティングを利用したものである。しかし、このような手法はコストが高く、多くの積層素子を利用するデバイスには対応することが困難である。
一般に、圧電アクチュエータを構成する圧電セラミックスは特性のバラツキがあるが、積層された状態では全体の変位量が平均化されてしまうといった性質もある。他方、積層数、形状によっては変位特性に大きく差異がでるほか、組成によっては適正な焼成温度が異なること、収縮率に差が生ずること、クラック、層間剥離等の発生といった、多くの課題があった。
このように特許文献1ないし5には圧電セラミックスの周面部分にエッジ部の加工を施す旨の開示は見あたらない。このため、本発明者の確認では、圧電セラミックス素子の作製過程でチッピング(破片)が発生しやすく最終的な耐久駆動試験で良好な特性を得ることができなかった。積層圧電セラミックスアクチュエータの上部と下部には変形時の圧力歪みが発生する。そのため駆動時に外部の固定部(設置部)からの反力により正確な変位量を出力できない原因にもなっていたと考えられている。製造上の問題点としても、積層素子の焼成時において内部電極とセラミックスの収縮差により歪みが発生する。内部電極は面内のせん断方向に大きな歪み力が働くため焼成時には層間剥離やクラックが発生することが多い等の課題解決が必要であった。
特開2002−314156号公報 特開2003−23186号公報 特開2004−111718号公報 特開2004−158494号公報 特開2006−286774号公報
http://www.nec-tokin.com/product/piezodevice1/piezo_actuator.html
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、積層圧電セラミックスアクチュエータの改良に係り、特に高い信頼性と高性能な駆動特性及び、アクチュエータ特性を持つ積層圧電セラミックスアクチュエータと、それを用いた積層圧電セラミックス素子を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、圧電セラミックス内部電極からなる圧電ユニットを交互に積層させ、外部電極を備えた駆動部と、前記駆動部に固着させた圧電セラミックスとダミー内電極を交互に積層させたダミー部とを備えた積層圧電セラミックス素子において、前記圧電セラミックスは、圧電セラミック粉体と有機バインダー成分、分散剤、可塑剤等を有機溶媒で混合・脱泡し、粘度を調整しシート成形用スラリーを作製し、前記スラリーを用いて、テープ成形してシートとするとともに、前記成形シートを裁断、内部電極を印刷し、積層・圧着し、素子切断後分極させたものからなり、前記内部電極は、Ag/Pd合金からなり、塗工厚が1〜7μmであり、前記内部電極における中心部に銀電極の引っ張り応力を緩和するための未電極印刷部を有し前記未電極印刷部は前記内部電極全体面積の2%以下であり、前記ダミー部は、前記ダミー内電極を2ないし3枚内在しており、前記ダミー内電極と前記外部電極とが接触しておらず、前記積層圧電セラミックス素子全体のヤング率が均一化しており、誘電率のロット問バラツキ状態集中し、誘電率の分布の形態がほぼ正規分布であり、アクチュエータの破壊確率を検証するワイブル破壊確率法において、積層圧電セラミックスアクチュエータを治具に固定し、プリロードとして500Nで保持させ0−150Vの電圧を印加し、周波数10kHzで駆動させた耐久性試験で、駆動数が300万回で破壊が始まり800万回で全部破壊の破壊確率であることを特徴とする積層圧電セラミックス素子により提供される。
また、前記内部電極に未銀装部を複数箇所形成させ、該形成は、圧電ユニット一方面は前記内部電極の中心部に上向き三角形、圧電ユニットの反対面は下向き三角形の形で前記内部電極面に前記未銀装部を施したことを特徴とする前記記載の積層圧電セラミックス素子により提供される。
また、前記内部電極は絶縁抵抗計により測定された抵抗値が10オーム以下であることを特徴とする場合に、さらに、前記アクチュエータの誘電率が約1.9μFである場合に、前記記載の積層圧電セラミックス素子により提供される。
前記積層圧電セラミックスアクチュエータの直線カット量(C面が直線形状)の範囲が前記アクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmのとき0.3mm〜0.9mm程度である場合に、また、前記積層圧電セラミックスアクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmとしたとき、曲線カット量(C面が曲線形状)における曲率Rが、3.6〜4.8mmの範囲内である場合に、前記記載の積層圧電セラミックス素子により効果的に提供される。
さらに、前記未電極印刷部の口径が0.5〜3mmの未電極印刷部を塗布し、かつ、該未電極印刷部に未銀装部を複数箇所形成させたことを特徴とする前記記載の積層圧電セラミックス素により効果的に提供される。
また、前記積層圧電セラミックスアクチュエータの駆動電圧を変化させたときの駆動電圧と変位量の関係を変位量測定はレーザードップラー変位計を利用して計測したとき、約50Vの駆動電圧で15μmの変位が得られ、駆動電圧を150Vまで上昇させたところ変位量が40μm、さらに、駆動電圧を減少させたところ直線的な変位量の減少となり、ヒステリシスの程度が小さく、大きな変位量を得ることができたことを特徴とする前記記載の積層圧電セラミックス素子により効果的に提供される。
圧電セラミックスと内部電極からなる圧電ユニットを交互に積層させ、外部電極を備えた駆動部と、前記駆動部に固着させた圧電セラミックスとダミー内電極を交互に積層させたダミー部とを備えた積層圧電セラミックス素子の製造方法において、圧電セラミック粉体と有機バインダー成分、分散剤、可塑剤等を有機溶媒で混合・脱泡し、粘度を調整しシート成形用スラリーを作製し、前記スラリーを用いて、テープ成形してシートを形成し、前記成形シートを裁断し、Ag/Pd合金からなる前記内部電極を1〜7μmの塗工厚で印刷し、前記圧電ユニットを交互に積層・圧着し、素子切断後分極させ、前記外部電極を設けて前記駆動部を作成し、前記圧電セラミックスに前記ダミー内電極を2ないし3枚内在させ、前記ダミー内電極における中心部に銀電極の引っ張り応力を緩和するための未電極印刷部を塗布し、前記未電極印刷部を前記内部電極全体面積の2%以下として前記ダミー部を作成し、前記ダミー部を前記ダミー内電極と前記外部電極と接触しておらず、前記駆動部に固着して積層圧電セラミックス素子を作成し、前記積層圧電セラミックス素子全体のヤング率を均一化し、誘電率のロット間バラツキ状態を集中させ、誘電率の分布の形態がほぼ正規分布であり、アクチュエータの破壊確率を検証するワイブル破壌確率法において、積層圧電セラミックスアクチュエータを治具に固定し、プリロードとして500Nで保持させ0−150Vの電圧を印加し、周波数10kHzで駆動させた耐久性試験で、駆動数が300万回で破壊が始まり800万回で全部破壊の破壊確率としたことを特徴とする積層圧電セラミックス素子の製造方法により提供される。
また、前記圧電ユニットに用いる前記シート形成として、該シート形成は前記スラリーをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にドクターブレード法を用いて塗工させ、塗工面を熱風乾燥させつつロール状に巻き取り、圧電体の積層における熱圧着はCIP成型(冷間等方静水圧成型法)での一軸プレス成形及びCIP処理を行うことを特徴とする場合に、さらに、前記CIP成型(冷間等方静水圧成型法)で49MPa〜98MPaの圧力下で成型することを特徴とする場合に、前記記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法により提供される。
前記内部電極に未銀装部を複数箇所形成させ、該形成は、圧電ユニット一方面は前記内部電極の中心部に上向き三角形、圧電ユニットの反対面は下向き三角形の形で前記内部電極面に前記未銀装部を施した場合に、また、前記積層圧電セラミックスアクチュエータの直線カット量(C面が直線形状)の範囲が前記アクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmのとき0.3mm〜0.9mm程度とさせた場合に、さらに、前記積層圧電セラミックスアクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmとしたとき、曲線カット量(C面が曲線形状)における曲率Rが、3.6〜4.8mmの範囲内とさせた場合に、前記記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法により効果的に提供される。
また、前記圧電セラミックスは、鉛を利用したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用い、500℃まで25時間で上昇、500℃で5時間保持して前記有機バインダーを除去させ、そのまま焼結のために最高温度1100から1150℃まで5時間で昇温させ最高温度で2時間保持し、その後冷却させて、全体でおよそ45時間バインダ分解及び焼成処理を行うことを特徴とする前記記載記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法により効果的に提供される。
本発明は積層圧電セラミックスアクチュエータ、積層圧電セラミックスの信頼性の向上、製造歩留まりの向上、耐久性の向上等が図られる。かかる信頼性、耐久性の向上により、アクチュエータとして自動車関連への応用及び構造物への利用が可能である。一般に、PZTに比べ圧電特性が劣る鉛を使用しない無鉛圧電セラミックス材料の展開として積層した圧電セラミックスアクチュエータ、積層圧電セラミックスとすることで特性の向上が期待できる。
図1は積層圧電セラミックスアクチュエータの側面斜視図である。 図2は図1の積層圧電セラミックスアクチュエータのダミー内電極の様子を示した側面斜視図である。 図3は圧電セラミックス上の内部電極6を付加した圧電ユニットの一形態で、(a)、(b)は未電極部分8の位置を変えた平面図である。 図4は圧電ユニットを重ねたとき内部電極6の未銀装部8が分布している様子を示す圧電ユニットの平面図である。 図5は積層圧電セラミックスアクチュエータの構造図で、(a)はその側面斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。 図6は積層圧電セラミックスアクチュエータの構造図で、(a)はその側面斜視図、(b)は上面図である。(a)は平面図である。 図7は積層圧電セラミックスアクチュエータの駆動電圧と変位量の関係図である。 図8は積層圧電セラミックスアクチュエータの変位量と発生力の関係図である。 図9は積層圧電セラミックスアクチュエータの連続耐久試験グラフである。 図10は積層圧電セラミックスアクチュエータの焼結時のタイムスケジュール図である。 図11は積層圧電セラミックスアクチュエータの分極操作のタイムスケジュール図である。 図12は積層圧電セラミックスアクチュエータの本発明と従来品についての誘電率のヒストグラム図である。 図13は本発明と従来品についての厚み方向の圧電定数d33のヒストグラム図である。 図14は従来の積層圧電セラミックスアクチュエータの構造図、(a)は側面斜視図、(b)は内部電極の向きを変え積層させた様子の側面斜視図である。 図15は従来の積層圧電セラミックスアクチュエータの外部電極部の様子を示した側面斜視図である。
本発明の積層圧電セラミックス素子は積層圧電セラミックスアクチュエータ、積層圧電セラミックスとして提供され、基本的な構成は原則同一の構造を有する。以下、積層圧電セラミックスアクチュエータを例として、本発明を図1ないし図13を用いて具体的に説明する。
図1は本発明の一実施例である積層圧電セラミックスアクチュエータ1の構造を示す側面斜視図である。駆動部2は、圧電セラミックスと後述する内部電極からなる圧電ユニットを積層した構造からなる。また、積層圧電セラミックスアクチュエータ1の側面には図示しない内部電極に接続された駆動部2と称される位置に外部電極5が設けられている。積層圧電セラミックスアクチュエータ1の上部及び下部にはダミー部3、4が付加されている。ダミー部3、4にはダミー内電極16が1層ないし2層配置されている。さらに、積層圧電セラミックスアクチュエータ1は図示しないケース等外装を施し、内部電極からの出力を取り出し完成させた。なお、図中9はダミー部3、4を含む積層圧電セラミックスの全長Lを示したものである。
また、積層圧電セラミックスの各圧電セラミックスと内部電極との間に発生する圧電出力に着目して駆動部を圧電部と呼称することがある。
本発明の積層圧電セラミックスアクチュエータとその製造方法の一実施例について述べる。積層圧電セラミックス素子としては、一般に鉛を利用したPZT組成、鉛を利用しない、例えばビスマスナトリウムチタン(Bi Na)TiO3、カリウムナトリウムニオブ(Na K)NbO3系組成のような無鉛圧電セラミックスで構成される。
平均粒径が1μm以下の圧電セラミック粉体と有機バインダ成分、分散剤、可塑剤等を有機溶媒で混合・脱泡し、粘度を調整しシート成形用スラリーを作製した。該スラリーを用いて、テープ成形を行ってシートを形成する。成形シートは裁断され、内部電極を印刷し、積層・圧着して、素子切断(ダイシング)する。なお、本発明の積層圧電セラミックスアクチュエータ用素材としては、誘電素材、圧電素材から選択でき、説明としては圧電素材を用いて以後説明する。
図10に示すように、PZTにおける焼成条件を以下のとおりとした。
500℃まで25時間で上昇、500℃で5時間保持しバインダーを除去する。そのまま焼結のために最高温度1100から1150℃まで5時間で昇温させ最高温度で2時間保持する。その後冷却する。全体でおよそ45時間バインダ分解及び焼成処理を行った。
さらに、積層体側面(C面)を平滑に研磨し、後述するが、図3に示す圧電ユニット15にある内部電極6側を集めそこに外部電極5を形成させた。さらにメタルカバーをし、コーティングの上、分極により完成させた。
分極条件は図11に示すように、最大電圧までの傾斜時間は1分、電界は500V/mm(圧電ユニットの素子一層厚さ80μmで0.04kV印加)、保持時間は20分とした。
また、圧電ユニット15に用いるシート形成は以下の方法で行った。シート形成は前記スラリーをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にドクターブレード法を用いて塗工させ、塗工面を熱風乾燥させつつロール状に巻き取った。塗工速度は10mm/minとした。圧電体の積層における熱圧着はCIP成型(冷間等方静水圧成型法で49MPa〜98MPaの圧力下で成型)での一軸プレス成形及びCIP処理を行った。
圧電ユニット15の内部電極6の形成は次によった。積層圧電体の内部電極材料は、焼結温度において溶融しないことが必須であり、高結晶白金Pt、銀/パラジウム(Ag/Pd)合金等が利用できるが、高結晶Ptは一般に高価であるので、本発明ではAg/Pd合金を用い、塗工厚は1〜7μm程度とした。また、Ag/Pd電極の剥離強度を増加、塗布時の流動性をアップさせるために分散剤、セラミックス粉末を添加することが好ましい。
次に、圧電ユニット15の内部電極6につき図3を用いて説明する。従来方法の内部電極は圧電セラミックスの表面に前記Ag/Pd合金を塗布し加熱乾燥させていた(図14(b)参照)。本発明では、内部電極6に未銀装部8を複数箇所形成させた。実施例では図3のように、圧電ユニット15の一方は図3(a)に示す内部電極の中心部に上向き三角形、圧電ユニット15の他方は図3(b)に示す下向き三角形の形で内部電極面に未電極とした未銀装部8を施こした。これら図3(a)、(b)の圧電ユニット15は交互に図の左右で重ね合わせ積層させた。この目的は、未銀装部8を施すことで内部電極の収縮がこの穴により緩和され層間剥離やクラックを防ぐ効果を得るためである。
図1のように一般に積層圧電セラミックス素子は、例えば、上面四角形で外寸9.5mm×9.5mmの大きさで四角柱に形成する。図3の圧電ユニット15を交互に重ねることで積層圧電セラミックス素子1を形成させた。また、図3に示す圧電ユニット15は圧電セラミックスとその表面に形成させた内部電極6からなるが、そのうち表面未銀装部8は口径0.5mmないし3mm程度が良好であり、実施例で1mm径とした。この結果、内部電極の収縮がこの穴により緩和され層間剥離やクラックを防ぐ効果が得られた。この理由としては、内部電極6の中心部に1mm径程度の未銀装部を施すことで内部電極の収縮がこの穴により銀電極の引っ張り応力を緩和させ層間剥離やクラックを防いでいると考えられる。
同様に、圧電ユニット15は図3(a)を上側、(b)を下側に内部電極面を未電極とした非内部電極7を形成させた。図4は圧電ユニット15の(a)を上に、図示しない(b)を下にしこれらを重ね合わせたとき未銀装部8が配置された状態の様子の概念図である。要するに、丸形非内部電極8は図3(a)、(b)で各3個宛設けたので、図4では合計6個となる。なお、丸形非内部電極8は3個に限定されないが、圧電体としての機能から、面積比でせいぜい内部電極面塗布部分の2%程度で図4のようなバランス良く配置しておくことが効果的である。それを超えると変位の不均一による性能バラツキ及びアクチュエータ特性の低下をまねくためである。未電極部の配列は電極塗布前面の中央に位置し図4のように重ね合うときに、異極の電極塗布全面に同様に配列された未電極部と対象性を持つことが望ましい。
また、ダミー部3、4について説明する。図15は従来のダミー部3を備えた圧電セラミックスアクチュエータ構造を示したものである。本発明では図1のようにダミー部3、4をセラミックスだけで構成させると発生力や変位量などの出力に大きな誤差を生じ易い結果が得られた。このため、上下のダミー部3、4はセラミックス層1枚より厚くすると同時に、積層圧電セラミックス素子アクチュエータ1の長さLとも一定の関係を持つことが必要である。これにより、上部、下部(変位伝達部)からの反力を受けても正確な変位量が得られるよう解決した。なお、ダミー部3、4はセラミックス単体のほか、圧電ユニット15等が利用できる。
ダミー部3の厚さAと積層圧電セラミックス素子アクチュエータ1の長さL(ダミー部を含む)との関係は、2A<0.5Lの範囲で、A>0.05mm以上の関係とした。Aが0.05mm以下ではダミー部3としての強度面の低下と外部電極の取り出しが困難となるからである。なお、ダミー部3は駆動部2を挟んだ上下のダミー部としたが、必ずしも一方のみのダミー部を否定するものではない。この場合、条件として、ダミー部3としては必ず表面はセラミックス面を具備しておくことが必要である。
また、ダミー部3、4のさらなる改良方法を説明する。図1のようにダミー部3、4内にはダミー内電極16を圧電ユニット15と水平で平行に1層以上積層させた。ダミー内電極の素材としては内部電極6と同様なものが利用できる。本発明ではダミー部3は圧電セラミックス層のみではなく内部電極を内在させた構成とした。内在数としては2ないし3枚程度が望ましい。
ダミー部3内の内部電極は積層素子全体のヤング率を均一化させる効果があり、具体的には内在していないときの変位量と発生力値のバラツキ低減に極めて顕著な効果が認められた。また、アクチュエータ特性の高性能化及び信頼性の向上はヤング率の均一化により変位量、発生力など後述するように確認できた。これらは、後述する図12、図13及び図7ないし図9により明らかにする。
さらに、焼結時の内部電極6と圧電セラミックスの収縮差による歪みは、クラックの発生や層間剥離を引き起こすことの要因となる。収縮差を減少させ緩和するためには、図10による焼結タイムスケジュールが効果的である。従来に対比し焼結条件はバインダーの除去時間の延長、焼成温度の延長により対応した。
内部電極に好適な電極材料としては銀−ニッケル−銅(Ag−Ni−Cu)などの卑金属、コバルト−ニッケル−鉄(Co−Ni−Fe、コバール板)、更にLaCuOなどの導電性遷移金属セラミックスが利用でき、絶縁抵抗計により測定された値が10オーム以下であれば特に問題はない。LaCuO、ランタンニッケルオキサイド(LaNiO)等を内部電極に利用するときは、エチルセルロース等のバインダーを添加しペースト状にする必要があり銀電極同様にスクリーン印刷等で塗布できる。
さらに、実施例2として積層圧電セラミックスアクチュエータ周面の形成方法を改良した。以下、図5、図6を用いて説明する。図5はC面が直線形状積層圧電セラミックスアクチュエータの構造図で、図5(a)はその側面斜視図、(b)は上面図であり、角部10は直線カットを行った。
図6は積層圧電セラミックスアクチュエータの構造図で、図6(a)は側面斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
周面のエッジ部(平面図で4角形の圧電ユニット15を構成する圧電セラミックスの4つの角部)に直線形状カット10または曲率を有する曲線形状カット11を施した。カット面の形態として直線カット(図5(b)のC面が直線形状のカット長さ)では0.3mmとした。
図5のように直線カットでも信頼性の高い値を得ることが可能であるが、さらに、改良として図6のような曲線カットを実施した。図6は積層圧電セラミックスアクチュエータのC面が曲線形状の構造図、(a)はその側面斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
図5(b)の直線カット量(C面が直線形状)の範囲は、積層圧電セラミックスアクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmのとき0.3mm〜0.9mm程度が好ましいことが判った。0.3mm以下の場合は耐久性は低下、また0.9mm以上の場合には絶縁不良の可能性があり使用できない。
つぎに、図6(b)中の12は積層圧電セラミックス上面図で図面中央部から曲線カット部分までの距離r、13は積層圧電セラミックス素子の側面長W1、14は積層圧電セラミックス素子の側面長W2とする。
C面が曲線形状の曲率Rについて説明する。図5と同様、積層圧電セラミックスアクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmとしたとき、図6(b)のC面が曲線形状の曲率Rは、3.6〜4.8mmの範囲内がさらに高い信頼性が得られる。3.2mm以下の場合は外観上のカケの発生、及び耐久性の劣化を惹起し、また、4.8mm以上の場合には変位量及び発生力等のアクチュエータ特性の低下があり好ましくない。
図7は積層圧電セラミックスアクチュエータの駆動電圧を変化させたときの駆動電圧と変位量の関係を示したものである。変位量測定はレーザードップラー変位計を利用して計測した。約50Vの駆動電圧で15μmの変位が得られ、駆動電圧を150Vまで上昇させたところ変位量が40μmとなった。
さらに、駆動電圧を減少させたところ直線的な変位量の減少が認められた。その結果から、ヒステリシスの程度も小さく、大きな変位量を得ることができた。積層化することで駆動電圧が低くても使用することが可能である。また、発生力に関しては1500Nで積層アクチュエータの特徴を引き出せた。更に繰り返し駆動においても特性の再現性があり信頼性の高い素子として充分使用に耐えることが確認された。
本発明の実施例1、実施例2で得られたに積層圧電セラミックスアクチュエータの変位量と発生力の関係につき、その結果を図8のグラフで示した。発生力は引張試験機、変位量は歪みゲージを利用して測定した。
その結果、変位量0で発生力は約1500N、変位量15μmで約900N、変位量45μmで約0Nとなった。特徴として発生力が大きいこと、感度が高く、変位量と発生力の関係は応答性が良く、安定性、直線性が認められた。測定値には再現性があり、信頼性の高い素子として、充分使用に耐えることが確認された。
図9は本発明の積層圧電セラミックスアクチュエータの耐久試験結果である。比較例として、従来技術で作製した積層素子を用いた。試験方法は専用冶具に積層アクチュエータを組込み、パルスレシーバ、ファンクションジェネレータを使用して行った。耐久性試験方法は積層圧電セラミックスアクチュエータを冶具に固定し、プリロードとして500Nで保持させ0−150Vの電圧を印加し、周波数10kHzで駆動させた。
積層圧電セラミックスアクチュエータの破壊確率を検証するためワイブル破壊確率法を用いた。横軸は駆動回数の対数(例えば、「1E+05」で10万回、「1E+07」で1000万回に該当する。)、縦軸は破壊確率分布関数の対数ln(1/(1−F))、(例えば、「1E−02」で0.01%、「1E+01」で10%に該当する。)として表示させた。
図9によれば、従来技術で作製した積層素子の破壊確率は駆動数15万回程度で破壊が始まり40万回で全てが破壊する結果となった(サンプル表示数11個)。本発明の積層素子は300万回程度で破壊が始まり800万回で全部破壊の破壊確率の結果となった(サンプル表示数11個)。この結果から、本発明の積層素子は従来技術で作製した積層素子に比べ20倍程耐久性が高いことが確認され、従来素子に比べ耐久性において大幅な向上が得られた。
実施例1(実施例2)によって得られた積層圧電セラミックスアクチュエータは積層圧電セラミックスとしても使用でき、以下実施例3として具体的に説明する。構造は積層圧電セラミックスアクチュエータに用いた図1ないし図6と同一構成、同様に前記積層圧電セラミックスアクチュエータの製造方法が適用でき、基本構成の同一なものとして積層圧電セラミックスが得られた。
得られた積層圧電セラミックスの特性は、図7、図8、図12、図13に示した。なお、図7、図8のグラフは積層圧電セラミックスアクチュエータの特性であり、積層圧電セラミックスにあっては、図7では「積層圧電セラミックスへの入力電圧とその変位量の関係図」、図8では「変位量に対する圧電出力発生力の関係図」として読み替える。
図12、図13に示したように、ロット間のバラツキについて具体的な誘電率、厚み方向の圧電定数d33のヒストグラムを本発明品と従来品とを比較した結果である。図12では横軸は誘電率、縦軸は頻度を取った。ここでヒストグラムにおける頻度の累積数は100%として表示した(図13も同じ)。図12のように誘電率の中心値は約1.9μF程度、本発明品のバラツキ状態は集中し、分布の形態もほぼ正規分布を呈し、飛び離れた状態もなく、これに比べ従来品はバラツキの広がりが多く、分布の形態も正規分布を欠いており本発明品の特性が極めて優れていることが確認された。
また、図13のように厚み方向の圧電定数d33特性は、同様に本発明品のバラツキ状態は図12と同様集中し、分布の形態も正規分布に近く、飛び離れた状態もない結果が得られた。これに比べ従来品のバラツキは図12より大きく広がり、ピークが2つに分布した形態であり単一の正規分布は認められなかった。本発明品の特性は誘電率と同様極めて優れていることが確認された。これらは本発明における圧電ユニット15を構成した圧電セラミックスの圧電特性により得られることが理解でき、特に高い信頼性と高性能な駆動特性、圧電特性素子として積層圧電セラミックスアクチュエータ、積層圧電セラミックスを好適に提供できることが認められた。さらに、ロット間のバラツキが小さいことは量産スケール上の生産性に対してもより効果的であり安定した特性を維持できる積層圧電セラミックス素子を提供できることが確認できた。
他方、積層圧電セラミックス素子に用いる内部電極としては、導電セラミックスを利用することができる。例えば、導電セラミックスとして、LaCuO系、例えば、(La Sr)CuOやLaNiO等の伝導性遷移金属化合物が利用できる。この場合には、従来利用している白金やパラジウム、銀パラジウム、及び卑金属が不要となる。積層圧電セラミックス素子に用いる導電セラミックスは金属のような異材料でないため接合力が高くとれる効果とコストダウンが期待できる。一般に内部電極に使用する金属とセラミックスの融点が異なると収縮温度を合わせるためにセラミックスの低温度化が必須である。しかしながら、同じ構造(ペロブスカイト構造)を持つ導電セラミックスを利用することで同一温度で収縮、拡散が起るため接合力が高くなる効果が期待できる。
本発明の積層圧電セラミックス素子は積層圧電セラミックスアクチュエータ、積層圧電セラミックスとしての一般的利用のほか、ディーゼルエンジン用インジェクションの積層素子及び位置決め用のアクチュエータ、更にバルブの開閉などに利用できるほか、インクジェットプリンタ用アクチュエータとして利用でき、精密機器等の駆動用モータとして利用できる積層圧電セラミックス素子としての利用が可能である。さらに今後、積層圧電セラミックス素子としての本発明の作用効果を用いた多用途への利用が期待できよう。
また、本発明の積層圧電セラミックスは従来の圧電セラミックスないし積層圧電セラミックスに比較し、積層による変位量及び発生力の増大が期待でき、バルブの開閉や位置決め用アクチュエータ、新しいモーターへの応用展開が考えられ圧電セラミックス一枚では達成できなかった応用が可能となる。
1 積層圧電セラミックス素子
2 駆動部
3 ダミー部
4 ダミー部
5 外部電極
6 内部電極
7 非内部電極
8 未銀装部
9 積層圧電セラミックスの全長L
10 周面のカット部
11 周面のカット部
12 積層圧電セラミックス上面図で図面中央部から曲線カット部分までの距離r
13 積層圧電セラミックス素子の側面長W1
14 積層圧電セラミックス素子の側面長W2
15 圧電ユニット
16 ダミー内電極

Claims (15)

  1. 圧電セラミックス内部電極からなる圧電ユニットを交互に積層させ、外部電極を備えた駆動部と、
    前記駆動部に固着させた圧電セラミックスとダミー内電極を交互に積層させたダミー部とを備えた積層圧電セラミックス素子において、
    前記圧電セラミックスは、圧電セラミック粉体と有機バインダー成分、分散剤、可塑剤等を有機溶媒で混合・脱泡し、粘度を調整しシート成形用スラリーを作製し、前記スラリーを用いて、テープ成形してシートとするとともに、前記成形シートを裁断、内部電極を印刷し、積層・圧着し、素子切断後分極させたものからなり、
    前記内部電極は、Ag/Pd合金からなり、塗工厚が1〜7μmであり、前記内部電極における中心部に銀電極の引っ張り応力を緩和するための未電極印刷部を有し前記未電極印刷部は前記内部電極全体面積の2%以下であり
    前記ダミー部は、前記ダミー内電極を2ないし3枚内在しており
    前記ダミー内電極と前記外部電極とが接触しておらず、
    前記積層圧電セラミックス素子全体のヤング率が均一化しており、誘電率のロット問バラツキ状態集中し、誘電率の分布の形態がほぼ正規分布であり、
    アクチュエータの破壊確率を検証するワイブル破壊確率法において、積層圧電セラミックスアクチュエータを治具に固定し、プリロードとして500Nで保持させ0−150Vの電圧を印加し、周波数10kHzで駆動させた耐久性試験で、駆動数が300万回で破壊が始まり800万回で全部破壊の破壊確率であることを特徴とする積層圧電セラミックス素子。
  2. 前記内部電極に未銀装部を複数箇所形成させ、該形成は、圧電ユニット一方面は前記内部電極の中心部に上向き三角形、圧電ユニットの反対面は下向き三角形の形で前記内部電極面に前記未銀装部を施したことを特徴とする請求項1記載の積層圧電セラミックス素子。
  3. 前記内部電極は絶縁抵抗計により測定された抵抗値が10オーム以下であることを特徴とする請求項1または2記載の積層圧電セラミックス素子。
  4. 前記アクチュエータの誘電率が約1.9μFである請求項1ないし3のいずれか1項記載の積層圧電セラミックス素子。
  5. 前記積層圧電セラミックスアクチュエータの直線カット量(C面が直線形状)の範囲が前記アクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmのとき0.3mm〜0.9mm程度である請求項1ないし3のいずれか1項記載の積層圧電セラミックス素子。
  6. 前記積層圧電セラミックスアクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmとしたとき、曲線カット量(C面が曲線形状)における曲率Rが、3.6〜4.8mmの範囲内である請求項1ないし3のいずれか1項記載の積層圧電セラミックス素子。
  7. 前記未電極印刷部の口径が0.5〜3mmの未電極印刷部を塗布し、かつ、該未電極印刷部に未銀装部を複数箇所形成させたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の積層圧電セラミックス素子。
  8. 前記積層圧電セラミックスアクチュエータの駆動電圧を変化させたときの駆動電圧と変位量の関係を変位量測定はレーザードップラー変位計を利用して計測したとき、約50Vの駆動電圧で15μmの変位が得られ、駆動電圧を150Vまで上昇させたところ変位量が40μm、さらに、駆動電圧を減少させたところ直線的な変位量の減少となり、ヒステリシスの程度が小さく、大きな変位量を得ることができたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の積層圧電セラミックス素子。
  9. 圧電セラミックスと内部電極からなる圧電ユニットを交互に積層させ、外部電極を備えた駆動部と、
    前記駆動部に固着させた圧電セラミックスとダミー内電極を交互に積層させたダミー部とを備えた積層圧電セラミックス素子の製造方法において、
    圧電セラミック粉体と有機バインダー成分、分散剤、可塑剤等を有機溶媒で混合・脱泡し、粘度を調整しシート成形用スラリーを作製し、前記スラリーを用いて、テープ成形してシートを形成し、前記成形シートを裁断し、Ag/Pd合金からなる前記内部電極を1〜7μmの塗工厚で印刷し、前記圧電ユニットを交互に積層・圧着し、素子切断後分極させ、前記外部電極を設けて前記駆動部を作成し、
    前記圧電セラミックスに前記ダミー内電極を2ないし3枚内在させ、前記ダミー内電極における中心部に銀電極の引っ張り応力を緩和するための未電極印刷部を塗布し、前記未電極印刷部を前記内部電極全体面積の2%以下として前記ダミー部を作成し、
    前記ダミー部を前記ダミー内電極と前記外部電極と接触しておらず、前記駆動部に固着して積層圧電セラミックス素子を作成し、
    前記積層圧電セラミックス素子全体のヤング率を均一化し、誘電率のロット間バラツキ状態を集中させ、誘電率の分布の形態がほぼ正規分布であり、アクチュエータの破壊確率を検証するワイブル破壌確率法において、積層圧電セラミックスアクチュエータを治具に固定し、プリロードとして500Nで保持させ0−150Vの電圧を印加し、周波数10kHzで駆動させた耐久性試験で、駆動数が300万回で破壊が始まり800万回で全部破壊の破壊確率としたことを特徴とする積層圧電セラミックス素子の製造方法。
  10. 前記圧電ユニットに用いる前記シート形成として、該シート形成は前記スラリーをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にドクターブレード法を用いて塗工させ、塗工面を熱風乾燥させつつロール状に巻き取り、圧電体の積層における熱圧着はCIP成型(冷間等方静水圧成型法)での一軸プレス成形及びCIP処理を行うことを特徴とする請求項9記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法。
  11. 前記CIP成型(冷間等方静水圧成型法)で49MPa〜98MPaの圧力下で成型することを特徴とする請求項10記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法。
  12. 前記内部電極に未銀装部を複数箇所形成させ、該形成は、圧電ユニット一方面は前記内部電極の中心部に上向き三角形、圧電ユニットの反対面は下向き三角形の形で前記内部電極面に前記未銀装部を施したことを特徴とする請求項9または11記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法。
  13. 前記積層圧電セラミックスアクチュエータの直線カット量(C面が直線形状)の範囲が前記アクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmのとき0.3mm〜0.9mm程度とさせたことを特徴とする請求項9または11記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法。
  14. 前記積層圧電セラミックスアクチュエータの外寸で幅W1=7mm、W2=7mmとしたとき、曲線カット量(C面が曲線形状)における曲率Rが、3.6〜4.8mmの範囲内とさせたことを特徴とする請求項9または11記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法。
  15. 前記圧電セラミックスは、鉛を利用したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用い、500℃まで25時間で上昇、500℃で5時間保持して前記有機バインダーを除去させ、そのまま焼結のために最高温度1100から1150℃まで5時間で昇温させ最高温度で2時間保持し、その後冷却させて、全体でおよそ45時間バインダ分解及び焼成処理を行うことを特徴とする請求項9または11記載の積層圧電セラミックス素子の製造方法。
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