JP5123041B2 - 圧電デバイスの製造方法 - Google Patents
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この水晶振動子200は、容器体201と水晶振動素子205と蓋体206により主に構成されており、容器体201に形成された凹部空間202内底面には、一対の水晶振動素子搭載用パッド203が設けられている。この水晶振動素子搭載パッド203上には、導電性接着剤204を介して電気的に接続される一対の励振電極を表裏主面に有した平板状で平面視が四角形の水晶振動素子205が搭載されている。
この水晶振動素子205を囲繞する容器体201の側壁頂面に金属製の蓋体206を被せ、接合することにより、凹部空間202を気密封止した水晶振動子200が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この先端部が容器体の凹部空間内底面に接触すると、周波数が変動してしまうため、従来の圧電デバイスでは、前記容器体201の凹部空間202内底面の水晶振動素子の先端部と対向する面に枕材が形成されている構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
図7に示すように、従来の圧電デバイスの製造方法は、前記容器体201の凹部空間202内底面に設けられた水晶振動素子搭載パッド203上に導電性接着剤204を塗布し、前記導電性接着剤204上に水晶振動素子205を搭載する工程と、前記導電性接着剤204を加熱硬化させ、前記水晶振動素子搭載パッド203と水晶振動素子205とを導通固着する工程と、蓋体206と前記容器体201とを接合するための工程とを含む製造方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、圧電振動素子205の先端部が、凹部空間202内底面に接触することを防止するため枕材を設けた場合でも、圧電振動素子205の先端部の一部は枕材に接触してしまうため、発振周波数が変動するといった課題もあった。
本発明の圧電デバイスの製造方法は、凹部空間を有し、その凹部空間内に圧電振動素子搭載パッドが設けられた容器体に、圧電振動素子を搭載して、凹部空間内を気密封止した圧電デバイスの製造方法であって、導電性接着剤によって、容器体に圧電振動素子を搭載する圧電振動素子搭載工程と、噴出ノズルを、容器体の凹部空間内底面と噴出ノズルとのなす角度が0度から45度となるように、噴出ノズルが圧電振動素子の先端部側に傾けて容器体に近付け、容器体の凹部空間内にエアを噴出しながら、導電性接着剤を加熱硬化させ、圧電振動素子搭載パッドと圧電振動素子とを導通固着する圧電振動素子固着工程と、蓋体と容器体とを接合するための蓋体接合工程とを含むことを特徴とするものである。
よって、圧電振動素子が凹部空間内底面や枕材に接触することにより生じる圧電デバイスの発振周波数の変動を防止することができ、安定した発振周波数を出力することが可能となる。
また、噴出ノズルと容器体の凹部空間底面とのなす角度が0度、つまり、噴出ノズルから噴出されるエアの向きを容器体の凹部空間底面と平行になるようにすることによって、ベルヌーイの定理により、圧電振動素子の先端部が上方向に吸い上げられながら固着することになるので、凹部空間内の基板部の主面に圧電振動素子の先端部が接触することがなくなる。
図1は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。以下、圧電デバイスの一例である水晶振動子について説明する。
水晶素板21は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。
励振用電極22は、前記水晶素板21の表裏両主面に被着・形成したものである。このような水晶振動素子20は、その両主面に被着されている励振用電極22と凹部空間11内底面に形成されている圧電振動素子搭載パッド13とを、導電性接着剤40を介して電気的且つ機械的に接続することによって凹部空間11に搭載される。
また、このような水晶振動素子20は、表裏主面にそれぞれ設けられた励振用電極から一辺に延設された引き出し電極を圧電振動素子搭載パッド13に導電性接着剤40で固着することで片持ち固定されている。このときの引き出し電極が設けられた一辺とは反対側の自由端となる端辺を圧電振動素子20の先端部23とする。
この基板部10a及び枠部10bは、アルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料によって形成されている。
図1及び図2に示すように、基板部10aの一方の主面と枠部10bによって凹部空間11が形成されている。
この容器体10の凹部空間11を囲繞する枠部10bの開口側頂面の全周には、環状の封止用導体パターン12が形成されている。凹部空間11内底面、つまり凹部空間11内に露出した基板部10aの一方の主面には、圧電振動素子搭載パッド13が設けられている。
容器体10の基板部10aの他方の主面の4隅には、外部接続用電極端子14が設けられている。
圧電振動素子搭載パッド13と外部接続用電極端子14は、前記容器体10の凹部空間11内の基板部10a内部に形成された配線パターン(図示せず)と基板部10aの内部に形成されたビア導体(図示せず)により接続されている。
この封止用導体パターン12は、後述する蓋体30を、容器体10に接合する際に用いられ、蓋体30に形成された封止部材31の濡れ性を良好にして接合し、凹部空間11の気密信頼性及び生産性を向上させることができる。
また、このような封止部材31は、前記封止用導体パターン12表面の凹凸を緩和し、凹部空間11内の気密性の低下を防ぐことが可能となる。
ここで、図3(a)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子搭載工程を示す断面図であり、図3(b)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子固着工程を示す断面図であり、図3(c)は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の蓋体接合工程を示す断面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子固着工程での噴出ノズルと容器体の凹部空間内底面とのなす角を示す断面図である。
図5は、本発明の他の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子固着工程を示す断面図である。
図3(a)に示すように、容器体10の凹部空間11内の基板部10aには一対の圧電振動素子搭載パッド13が設けられており、前記圧電振動素子搭載パッド13上に導電性接着剤40を塗布し、この圧電振動素子搭載パッド13に塗布された導電性接着剤40に圧電振動素子20の表面に形成した励振用電極22から延設した引き出し電極を付着させる形態で圧電振動素子20を搭載する。
整列治具60は、例えば、SUS等の金属材料により形成され、前記容器体10を確実に固定し、各工程を流す際に用いられるものである。また、各工程は、容器体10を整列治具60に収容した状態で行われる。
前記整列治具60の厚みは、前記容器体10の厚みよりも厚くなっており、前記容器体10を収容し固定するための収容部61が複数形成されている。その収容部61内に容器体10を収容している。
図3(b)に示すように、噴出ノズル50を前記容器体10に近付け、この噴出ノズル50から前記容器体10の凹部空間11内に空気等のエア
K
を噴出しながら、前記導電性接着材40を加熱硬化させ、前記圧電振動素子搭載パッド13と圧電振動素子20とを導通固着する。
噴出ノズル50の傾き角度、噴出ノズル50と容器体10との間隔及びエアKの速度や風量は、噴出ノズル50が接続されているエア供給制御装置(図示せず)で制御することができる。
例えば、エアKの風量は15×10−3m3/min〜25×10−3m3/minとする。
つまり、噴出ノズル50の本体は、容器体10に搭載されている圧電振動素子20の先端部23が位置する容器体の開口側方向に離れた位置に近付けられ、容器体10の凹部空間11内の所定の場所にエアKを噴出する。つまり、エアKは圧電振動素子20が搭載されている容器体10の圧電振動素子搭載パッド13側に向かって噴出する。
図3(b)に示すように、噴出ノズル50から噴出されたエアKの流れを矢印にて表すと、噴出ノズル50より噴出されるエアKは、圧電振動素子20が導電性接着剤40で搭載されている側の容器体10の枠部10bにおける凹部空間側の側面にあたる。次に、エアKは、圧電振動素子20と容器体の基板部10aとの間を通って、圧電振動素子20の先端部23側の枠部10bにぶつかり、圧電振動素子20の先端部23と枠部10bの凹部空間11側の側面との間から容器体10の凹部空間11の開口側に向かって流れる。
このようにエアKが流れることで、容器体10の凹部空間11底面の圧電振動素子搭載パッド13に搭載された圧電振動素子20の先端部23が、エアKの圧力により、容器体10の凹部空間11の開口側に向かって押し上げられる。この状態で導電性接着剤40を加熱硬化することで固着するので、凹部空間11内の基板部10aの主面に圧電振動素子20の先端部23が接触することがなくなる。
よって、圧電振動素子20の先端部23が凹部空間11内の基板部10aの主面に接触することにより生じる圧電デバイス100の発振周波数の変動を防止することができ、安定した発振周波数を出力することが可能となる。
つまり、図4に示すように、噴出ノズル50は、噴出ノズル50の噴出口の中心軸線Zと容器体10の凹部空間11内底面とのなす角度αが0度より大きく45度以下になるように、傾いて配置される。
このようにすることで、容器体10の凹部空間11底面の圧電振動素子搭載パッド13に搭載された圧電振動素子20がエアKの作用で容器体10の凹部空間11の開口側に押し上がりながら固着することになるので、凹部空間11内の基板部10aの主面に圧電振動素子20の先端部23が接触することがなくなる。
また、噴出ノズル50の噴出口の中心軸線Zと容器体10の凹部空間11内底面、つまり容器体の凹部空間内に露出する基板部10aの一方の主面とのなす角度αが45度より大きく、90度以下になるようにした場合には、噴出するエアKにより、圧電振動素子20の先端部23が押し上げられる力に比べ、エアKが圧電振動素子20に当たることにより、圧電振動素子20が容器体10の凹部空間11底面側に押し下げられる力の方が強くなるため、圧電振動素子20の先端部23が容器体10の凹部空間11底面に接触してしまう。
また、噴出ノズル50の噴出口の中心軸線Zと容器体の凹部空間内底面、つまり容器体の凹部空間内に露出する基板部10aの一方の主面とのなす角度αが90度より大きくなると、エアKを導電性接着剤40で固着されている側の圧電振動素子20と枠部10bの凹部空間側側面との間に流入することが難しくなる。
尚、0度を下回るとエアKが凹部空間内に入らないため、圧電振動素子20の先端部23を押し上げることができない。また、45度を超えると圧電振動素子20の先端部23が凹部空間11内の基板部10aに接触してしまう。
図3(d)に示すように、蓋体30を圧電振動素子20が搭載された容器体10の凹部空間11を覆う形態で搭載し、封止部材31を加熱溶融することにより、前記蓋体30と前記容器体10とを接合する。
加熱手段としては、キセノンランプやハロゲンランプ等を用い、これらの熱源から熱光線を、蓋体30が配置された容器体10に照射することによって、蓋体30の封止部材31を溶融し、容器体10の封止用導体パターン12に接合する。その後、溶融した封止部材31を冷却固着し、蓋体30が接合された圧電振動子100を整列治具60から取り出す。
例えば、上述した実施形態においては、圧電デバイスの1つである水晶振動子を例に説明したが、これに代えて、容器体10内の凹部空間11内に、圧電振動素子20と、この圧電振動素子20と電気的に接続した発振回路を内蔵した集積回路素子とを一緒に、又は、容器体10に別個の凹部空間11を形成し、その凹部空間11内に圧電振動素子20と集積回路素子を別個搭載した形態の圧電発振器や、内部に搭載する圧電振動素子20をフィルタとして機能させた圧電フィルタ等の、他の圧電デバイスを製造する方法においても本発明は適用可能である。
10a・・・基板部
10b・・・枠部
11・・・凹部空間
12・・・封止用導体パターン
13・・・圧電振動素子搭載パッド
14・・・外部接続用電極端子
20・・・圧電振動素子
21・・・励振用電極
22・・・先端部
30・・・蓋体
31・・・封止部材
40・・・導電性接着剤
50・・・噴出ノズル
51・・・貫通孔
60・・・整列治具
K・・・エア
Claims (1)
- 凹部空間を有し、その凹部空間内に圧電振動素子搭載パッドが設けられた容器体に、圧電振動素子を搭載して、前記凹部空間内を気密封止した圧電デバイスの製造方法であって、
導電性接着剤によって、前記容器体に前記圧電振動素子を搭載する圧電振動素子搭載工程と、
噴出ノズルを、前記容器体の前記凹部空間内底面と前記噴出ノズルとのなす角度が0度から45度となるように、前記噴出ノズルが前記圧電振動素子の先端部側に傾けて前記容器体に近付け、前記容器体の凹部空間内にエアを噴出しながら、前記導電性接着剤を加熱硬化させ、前記圧電振動素子搭載パッドと前記圧電振動素子とを導通固着する圧電振動素子固着工程と、
蓋体と前記容器体とを接合するための蓋体接合工程とを含むことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
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