JP5121753B2 - 空間多重受信装置、及び空間多重受信方法 - Google Patents

空間多重受信装置、及び空間多重受信方法 Download PDF

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Description

本発明は、空間多重受信装置、及び空間多重受信方法に関する。
まず、以下で用いる用語の一部の定義について説明する。
以下では、例えば、
[A]R,T:AはR行T列の行列
:行列Aのj番目列ベクトル
i,j: 行列Aのi行j列要素
: 行列Aの複素共役転置
: 行列Aの転置
: 行列Aの擬似逆行列
I: 単位行列I
||a||: ベクトルaのノルム
a:スカラー(つまり1x1行列)a
a*: スカラーaの複素共役
|a|: スカラーaの絶対値
Σ:累加演算
と定義している。
なお、一般的に、行列(ベクトル)等は、太字で示すことになっているが(数式中では太字)、明細書では太字で表わすことができないので、通常の文字を用いているが、前後の内容から容易に推察され得るものである。また、特定の符号においては、その上部に「〜」、「^」が付されているものがあるが、明細書では、それぞれチルト(〜)、またはハット(^)と表記している。
無線通信においては、限られた周波数資源を用いて大容量化を図るための周波数利用効率の向上が必須となっている。周波数利用効率や情報伝送レートを向上させる技術として、複数の送信側アンテナと複数の受信側アンテナを用いて、MIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを構築し、複数の信号ストリームを同一の周波数帯域上に多重化して送信する空間多重システム(あるいは、MIMOシステム)が提案されている。
図23は、従来技術による、MIMOシステムの一例の構成を示すブロック図である。図23に示すように、MIMOシステムの送信機30では、チャネル符号化回路30−1により、送信する情報ビットストリームTx Dataから符号ビットストリームbが生成される。該チャネル符号化回路30−1には、符号化機能の他に、スクランブル機能や、インタリーブ機能などを含むことも可能である。次に、空間信号生成回路30−2では、符号ビットストリームbからT個の送信信号ストリームS、S、…、Sが生成される。
それらの送信信号ストリームS、S、…、Sは、パスバンド変換回路30−3によりベースバンドからパスバンドに変換され、T本のアンテナ30−4−1、30−4−2、…、30−4−Tを通して同時に同一周波数帯域内において送信される。
MIMOシステムの受信機40では、R本の受信アンテナ40−1−1、40−1−2、…、40−1−Rを用いて空間で多重されたT個の送信信号を受信して、R個受信信号が得られる。そのR個の受信信号は、まず、ベースバンド変換回路40−2により、パスバンドからベースバンドに変換され、R個の受信信号ストリームx”、x”、…、x”が生成される。
次に、空間多重信号信号検出器40−3は、空間多重化された送信符号ビットに対して、推定符号ビットを生成する機能を有し、その処理結果としてT本の推定符合ビットストリーム(ハット^b)を出力する。更に、推定符合ビットストリーム(ハット^b)がチャネル復号化回路40−4を通して復号処理され、最終的には推定情報ビットストリームRx Dataが生成される。上記チャネル復号化回路40−4は、復号化機能の他に、逆スクランブル機能や、逆インタリーブ機能を含むことも可能である。ここでいう信号検出とは、チャネル復号器で正確な復号処理ができるように、推定符号ビットを生成することである。
ここで、チャネル行列H(以下、数式では太字)は、無線伝搬路のみではなく、送信機30のベースバンド処理部分から受信機40のベースバンド処理部分までの区間において、受ける様々な影響を反映したチャネル応答行列を意味する。例えば、送信側で施した異なる空間信号に対する送信電力制御の影響や、パワーアンプによる非線形影響などが全てチャネルの伝搬特性として、チャネル行列Hに反映される。
受信機40では、チャネル行列Hを有しているものとする。更に、MIMOシステムにおける送受信両側間の周波数、時間、及びサンプリングタイミングの同期が正常に取れていることとする。以上のことを踏まえて、MIMOシステムにおける送受信関係式は、以下の数式(1)のように表わせる。
Figure 0005121753
ここで、nは、時間インデックスを表す。s”(n)とx(n)とは、n番目の送信系列と受信系列である。w”(n)は、対応する雑音、及び干渉である。H”(n)は、対応するチャネル行列であり、R行T列を有する。H”(n)は、次式(2)で表わせる。
Figure 0005121753
本発明の信号検出方法は、任意番目のMIMO信号に対して適用することができるため、以下では、MIMO信号の番号nを省略する。
従来、図23に示す空間多重信号信号検出回路40−3の機能、つまり、空間多重された送信系列中のT個存在する信号を再生する従来技術として、線形法(Zero-forcing:ZF規範、及びMinimum mean square error:MMSE規範)、順番付け連続干渉除去法(Ordered successive interference cancellation:OSIC)、最尤推定法(Maximum likelihood detection:MLD)等がある。
この中でMLDの誤り率特性が一番優れる。また、見方を変えると、誤り率特性が優れるということは、低信号対雑音比(signal to noise ratio:SNR)での通信が可能であることを意味しており、通信エリアの拡大にも貢献する。また、MLDを用いた場合には、伝搬路相関に起因する誤り率特性劣化への耐性が最も強く、受信側で用いる受信アンテナの数分だけ受信ダイバシチ効果が得られる特徴がある。
更に、より良い受信特性を得るには、送信側では送信データをチャネル符号化し、受信側では信号検出した後、チャネル復号化することによって、チャネル符号を用いないシステムに比べ、更なる大幅の受信品質向上が実現できる。このようなチャネル符号を用いるMIMOシステムにおいては、A−Posteriori−Probability(APP)軟符号ビット生成信号検出方式が最も受信特性が良いと知られている。APP信号検出器では、チャネル復号処理をより正確に行うため、品質の高い推定符号ビットを生成し、チャネル復号化回路40−4に入力する。
ここでは、Log Likelihood Ratio (LLR)、あるいは他の近似方法によって算出される信頼度情報が有する推定符号ビットを軟符号ビットと呼び、その値は実数となり、以下ではb”Softで表す。対照的に、信頼度情報が有しない推定符号ビットを硬符号ビットと呼び、その値は±1となり、以下ではb”Hardで表す。硬符号ビットの値をb”Hard=0,1とすることもできるが、本質はb”Hard=±1と全く同じである。ここでは、b”Hard=±1として説明を進める。APPの軟符号ビットを計算するには膨大な演算量が必要とし、実システムへの適用は困難である。演算量削減のため、厳密なAPP信号検出器による軟符号ビット計算を、以下の数式(3)〜(6)のように近似する方法が提案されている。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
ここで、受信側にとって、実際送信された信号が未知のため、s”は、実際の送信信号の候補であり、送信系列候補と呼ぶ。数式(5)のs”は、s”のt番目の要素であり、t番目の送信信号の信号点候補である。b”は、TK個の符号ビットによって構成されたビット系列候補であり、b”は、s”の各信号成分のビットパターンを表している。数式(5)のように、“⇔”は、K符号ビットと1つのコンスタレーション信号点との間のマッピング関係を意味し、b”の各K符号ビットがs”の1つの信号成分と1対1の関係にある。
コンスタレーションのサイズ、つまり中の信号点の数はQ=2とする。s”に対応するK符号ビットb”=[b”t,1,…,b”t,K]は、ビットパターン候補と呼び、b”t,kは、t番目信号点候補s”におけるk番目の符号ビットを表す。数式(4)のΛ(b”)=Λ(s”)は、尤度メトリックと呼ぶ。ここで、aは係数であり、LはベクトルのL次ノルムであり、g(b”)は、b”に依存する関数である。記述を簡単化するため、以下では、a=1、L=2、g(b”)=0とする。つまり、次式(7)で表わされる。
Figure 0005121753
しかし、本発明の方法は、これらのパラメータの値を任意に変えても適用可能である。Cは、s”の生成に用いるコンスタレーションを表す。数式(3)の2つの集合(数式(8)を参照)は、それぞれb”の(t,k)番目の要素b”t,kが、b”t,k=+1とb”t,k=−1のときの全ビット系列候補を含めた集合である。
Figure 0005121753
MIMOシステムにAPP信号検出方式を適用した場合は、数式(3)のようにMIMO信号について、数式(8)に示す2つの集合のそれぞれの中にある全ビットパターンにおける尤度メトリックを計算し、その最小値(数式(4)のメトリックの書き方によって最大値を取ることもある)の差分を軟符号ビットとする信号検出方法である。
更に、近似APP方式を簡単化するため、List Sphere Decoding(LSD)技術が提案されている。その考えたかは、以下の数式(9)のように表わせる。
Figure 0005121753
つまり、数式(8)に示す全ビットパターン集合ではなく、数式(10)に示す、一度絞り込んだビットパターン集合を用いて、軟符号ビットを計算する方式である。しかし、実用の観点から、LSDが必要とする所用演算量は依然として大きい。APP軟符号ビット生成信号検出方式とList Sphere Decoedingに関する更なる詳細のついては非特許文献1を参照されたい。
Figure 0005121753
APP、あるいは近似APP信号検出方式の誤り率特性は、諸信号検出方法の中でも最も良いと知られているが、必要な尤度メトリック計算の数はQとなる。つまり、送信信号の数Tの増加に伴い、指数的に増加する。一例として、T=R=4のMIMOシステムにおいて、送信系列生成に用いるコンスタレーションを16−QAMとした場合では、受信側で1つのMIMO信号を検出するには、16=65536通りの尤度メトリックを計算しなければならない。
これは、膨大な回路規模、記憶容量や消費電力を必要とする。APP、あるいは近似APP信号検出方式の演算量は、膨大すぎて実用には向かないという課題が分かる。一方、List Sphere Decodingは、近似APPより計算する尤度メトリックの数は少ないものの、依然として非常に膨大なビットパターンにおける尤度メトリックを計算する必要があり、実用は困難である。従って、MIMOシステムの受信機の空間多重信号信号検出器において、優れた受信品質が有するAPPを実現するには、多数の送信系列候補に基づく尤度メトリック計算に起因する膨大な演算量を大幅に削減する必要がある。
Bertrand M. Hochwald and Stephan ten Brink, "Achieving Near-Capacity on a Multiple-Antenna Channel", IEEE Transactions on communications, vol. 51, no. 3, march 2003, 389-399
上述した従来技術によるAPP、あるいは近似APPを空間多重システムに適用した場合には、計算する送信系列候補と尤度メトリックの数が、送信信号の数、及び適用するコンスタレーションサイズに伴い、指数的に増大してしまい、所要演算量が膨大となり、実現するのが困難であるという問題がある。
また、送信系列候補と尤度メトリックの数が膨大であるため、それらの送信系列候補、及び尤度メトリックを記憶するためには、膨大な記憶容量が必要になるという問題がある。また、所要演算量、及び所要記憶容量が非常に大きいため、それに伴い、従来技術によるAPP、あるいは近似APPを実装するには、回路規模が非常に大きくなるという問題がある。
また、所要消費電力は、所要演算回路規模や、その動作クロック周波数などに比例するため、従来技術によるAPP、あるいは近似APPでは、電力消費量が非常に大きくなることが予想され、バッテリによる動作時間が短くなるという問題がある。また、無線送受信機、特に、無線携帯端末においては、小型化・軽量化が望ましいが、従来技術によるAPP、あるいは近似APP方式では、所要演算回路規模、及び所要消費電力が大きいため、装置の小型化・軽量化が困難であるという問題がある。
また、従来技術によるAPP、あるいは近似APP方式では、上述した問題から経済的な実装が極めて困難であり、無線送受信機、特に、無線携帯端末の製造コストが高くなり、大量生産が難しくなるという問題がある。さらに、上述した問題は、空間多重システムの送信アンテナ数T、コンスタレーションサイズQの増加に伴い、更に著しくなる。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、誤り率特性を維持しつつ、尤度メトリックの計算量を大幅に削減することができる空間多重受信装置、及び空間多重受信方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、複数の送信アンテナを有する送信機から同一周波数帯で送信される複数の信号ストリームを、複数の受信アンテナで受信して信号検出・分離する空間多重受信装置であって、各送信系統における信号点候補選定の実施順番を決定する実施順番決定手段と、前記実施順番決定手段によって決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、チャネル行列の変換を行う行列変換手段と、前記行列変換手段による行列変換の結果に基づいて、変換受信系列を生成する変換受信系列生成手段と、前記行列変換手段により得られた行列変換の結果と前記変換受信系列生成手段により得られた変換受信系列とを用いて、変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの算出を行う変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段と、前記実施順番決定手段によって決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、前記変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段により得られた変換系列候補の空間順番を並び直して送信系列候補に復元する順番復元手段と、前記変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段により絞り込まれた送信系列候補と尤度メトリックとを用いて、前記順番復元手段により復元された送信系列候補の送信符号ビットに対して、推定符号ビットを生成する推定符号ビット計算手段とを備え、前記変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段は、前記変換受信系列生成手段により生成された変換受信系列に基づいて、ある送信系列に対する基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記行列変換手段による行列変換の結果と前記基準信号生成手段により生成された基準信号とに基づいて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選定し、対応する尤度メトリックを算出する初期信号点候補探索手段と、前記初期信号点候補探索手段により選定された初期信号点候補に基づいて、追加信号点候補を選定し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出する追加信号点探索手段と、前記追加信号点探索手段により算出された累積メトリックが所定の上限値を超えた場合に、当該累積メトリックに対応する部分変換系列候補を候補から除外し、送信系列候補を絞り込む候補除外手段とを備え、前記基準信号生成手段は、前記変換受信系列生成手段により生成された変換受信系列に基づいて、擬似逆行列を算出し、該擬似逆行列を三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段を用いて、前記基準信号を生成することを特徴とする空間多重受信装置である。
本発明は、上記の発明において、前記行列変換手段は、前記実施順番決定手段によって決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、QR分解を行って三角行列に変換するQR分解手段、または、前記実施順番決定手段によって決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、似逆行列を算出し、該似逆行列を三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段のいずれか一方を用いて、前記チャネル行列の変換を行うことを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記変換受信系列生成手段は、前記行列変換手段による行列変換の結果に基づいて、QR分解を行って三角行列に変換するQR分解手段、または、前記行列変換手段による行列変換の結果に基づいて、似逆行列を算出し、該似逆行列を三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段のいずれか一方を用いて、前記変換受信系列を生成することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記初期信号点候補探索手段は、前記基準信号のビットパターンとの差分ビットに基づいて初期信号点候補を選定する差分ビット候補選定手段、前記基準信号からの信号点間距離に基づいて初期信号点候補を選定する最短距離候補選定手段、または前記基準信号に基づいて指定した限定エリア内から初期信号点候補を選定する限定エリア候補選定手段のいずれか1つを用いて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選定し、対応する尤度メトリックを算出することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記追加信号点探索手段は、前記基準信号のビットパターンとの差分ビットに基づいて追加信号点を選定する差分ビット候補選定手段、前記基準信号からの信号点間距離に基づいて追加信号点を選定する最短距離候補選定手段、または前記基準信号に基づいて指定した限定エリア内から追加信号点を選定する限定エリア候補選定手段のいずれか1つを用いて、追加信号点候補を選定し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記推定符号ビット計算手段は、推定符号ビットとして信頼度情報を有する軟符号ビットを生成する軟符号ビット生成手段、または推定符号ビットとして信頼度情報を有しない硬符号ビットを生成する硬符号ビット生成手段のいずれか1つを用いて、各送信符号ビットに対する推定符号ビットを生成することを特徴とする。
また、上述した課題を解決するために、本発明は、複数の送信アンテナを有する送信機から同一周波数帯で同時に送信される複数の信号ストリームを、複数の受信アンテナで受信して信号検出・分離する空間多重受信方法であって、各送信系統における信号点候補選定の実施順番を決定するステップと、前記決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、チャネル行列の変換を行うステップと、前記行列変換の結果に基づいて、変換受信系列を生成するステップと、前記行列変換の結果と前記変換受信系列とを用いて、変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの算出を行うステップと、前記信号点候補選定の実施順番に基づいて、前記絞り込まれた変換系列候補の空間順番を並び直して送信系列候補に復元するステップと、前記絞り込まれた送信系列候補と前記尤度メトリックとを用いて、前記復元された送信系列候補の送信符号ビットに対して、推定符号ビットを生成するステップとを含み、前記変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの算出を行うステップは、前記変換受信系列に基づいて、ある送信系列に対する基準信号を生成するステップと、前記行列変換の結果と前記基準信号とに基づいて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選択し、対応する尤度メトリックを算出するステップと、前記初期信号点候補に基づいて、追加信号点候補を選択し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出するステップと、前記累積メトリックが所定の上限値を超えた場合に、当該累積メトリックに対応する部分変換系列候補を候補から除外し、送信系列候補を絞り込むステップとを含み、前記基準信号を生成するステップでは、前記変換受信系列に基づいて擬似逆行列を算出し、該擬似逆行列を三角行列に変換することにより、前記基準信号を生成することを特徴とする空間多重受信方法である。
この発明によれば、誤り率特性を維持しつつ、尤度メトリックの計算量を大幅に削減することができるという利点が得られる。
本発明の実施形態による空間多重信号信号検出回路の構成を示すブロック図である 本実施形態による初期化処理回路1の構成を示すブロック図である。 本実施形態による送信系列候補絞込み回路2の構成を示すブロック図である。 本実施形態による変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2の構成を示すブロック図である。 本実施形態による推定符号ビット計算回路3の構成を示すブロック図である。 本実施形態による、初期信号点候補探索回路2−2−2でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。 本実施形態による、初期信号点候補探索回路2−2−2の一例として、差分ビット候補による初期子ノードの選定手段でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。 本実施形態による、初期信号点候補探索回路2−2−2の一例として、差最短距離候補による初期子ノードの選定手段でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。 本実施形態による、初期信号点候補探索回路2−2−2の一例として、限定エリア候補による初期子ノードの選定手段でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。 本実施形態による、追加信号点候補探索回路2−2−3でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。 本実施形態による空間多重信号信号検出回路10の全体動作を説明するためのフローチャートである。 本実施形態による初期化処理の動作を説明するためのフローチャートである。 本実施形態による送信系列候補絞込み処理の動作を説明するためのフローチャートである。 本実施形態による、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算処理の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。 本実施形態による、推定符号ビット計算処理の動作を説明するためのフローチャートである。 本実施形態による、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2の動作について説明するための概念図である。 実無線通信システムにおける送受信信号フォーマットを示す概念図である。 本実施形態による、マルチポイント対ポイント通信に適用した場合の構成を示すブロック図である。 本実施形態による、マルチポイント対マルチポイント通信に適用した場合の構成を示すブロック図である。 本実施形態による、バーチャルMIMO通信を示すブロック図である。 本実施形態による、発信源から受信源までの通信を実現するリレー伝送による通信を示すブロック図である。 本実施形態による、リレー・協調組合せによる通信を示すブロック図である。 従来技術による、MIMOシステムの一例の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
従来技術によるAPPでは、全部でQ通りの尤度メトリックを計算する必要があるため、送信信号の数Tの増加に伴い、所要演算量が指数的に増大し、実システムによる実現は困難である。これに対して、本発明では、送信系列候補を効率的に絞込み、その結果、尤度メトリックの計算量を大幅に削減しながら、APPの優れた誤り率特性を維持する。
従来方式との一番の違いは、従来技術では、全ての尤度メトリックを計算するのに比べ、本発明では、尤度メトリックの計算量を大幅に削減しながら、APPの誤り率特性を近似することを特徴としている。
A.実施形態
図1は、本発明の実施形態による空間多重信号信号検出回路の構成を示すブロック図である。図において、空間多重信号信号検出回路10は、初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、推定符号ビット計算回路3、記憶回路4、及び制御回路5から構成されている。それぞれは、後述する初期化処理、送信系列候補絞り込み処理、推定符号ビット計算処理、データアクセス処理、と全ての処理における制御を行う。本実施形態による全ての回路ブロックは、そのブロックの信号処理目的を実現するための(1)演算素子を有し、(2)データと記憶回路4との間のアクセス(つまり、データの記憶回路4からの呼び出しと記憶回路4への書き込み)が可能である。
図2は、本実施形態による初期化処理回路1の構成を示すブロック図である。図において、初期化処理回路1は、実施順番決定回路1−1、及び行列変換回路1−2からなる。初期化処理回路1では、送信系列候補絞込み回路2での処理が効率良く実施できるように、実施順番決定回路1−1で信号点候補選定の実施順番を決定する実施順番決定処理と、行列変換回路1−2でチャネル行列の変換を行う変換処理とを実施する。
実施順番決定回路1−1は、信号点候補選定の実施順番決定処理を行う。行列変換回路1−2は、実施順番決定回路1−1で決定した信号点候補選定の実施順番を反映した上、チャネル行列の変換を行う、チャネル行列の変換処理を行う。行列変換回路1−2としては、QR分解による行列変換手段や、擬似逆行列及び三角変換手段などが考えられる。
図3は、本実施形態による送信系列候補絞込み回路2の構成を示すブロック図である。図において、送信系列候補絞込み回路2は、変換受信系列生成回路2−1、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2、及び順番復元回路2−3からなる。
送信系列候補絞込み回路2では、推定符号ビット計算回路3での処理が効率良く実施できるように、変換受信系列生成回路2−1で変換受信系列を生成する変換受信系列生成処理、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの計算を行う変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算処理、順番復元回路2−3で変換送信系列候補に対する空間順番の並び直し、すなわち順番復元処理を実施する。
変換受信系列生成回路2−1は、行列変換回路1−2で得た行列変換の結果を用いて、変換受信系列を生成する変換受信系列生成処理を行う。変換受信系列生成回路2−1としては、例えば、QR分解による変換受信系列生成手段や、擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段などが考えられる。
変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2は、行列変換回路1−2で得た行列変換の結果と変換受信系列生成回路2−1で得た変換受信系列とを用いて、変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックとを計算する変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算処理を行う。
順番復元回路2−3は、実施順番決定回路1−1で得た信号点候補選定の実施順番を用いて、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で得た変換系列候補の空間順番を並び直して送信系列候補に復元する、順番復元処理を行う。
図4は、本実施形態による変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2の構成を示すブロック図である。図において、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2は、基準信号生成回路2−2−1、初期信号点候補探索回路2−2−2、追加信号点候補探索回路2−2−3、及び候補除外回路2−2−4からなる。
基準信号生成回路2−2−1は、変換受信系列生成回路2−1で得た変換受信系列を用いて、信号点候補選定がまだ実施されていないレイヤについて基準信号を生成する、基準信号生成処理を行う。基準信号生成回路2−2−1としては、例えば、QR分解による基準信号生成手段や、擬似逆行列及び三角変換による基準信号生成手段などが考えられる。
初期信号点候補探索回路2−2−2は、行列変換回路1−2で得た行列変換の結果と基準信号生成回路2−2−1とで得た基準信号を用いて、初期(変換)信号点候補の選定を行い、対応する累積メトリックを算出する、基準信号による初期信号点候補探索処理を行う。初期信号点候補探索回路2−2−2としては、例えば、差分ビット候補による初期子ノードの選定手段や、最短距離候補による初期子ノードの選定手段、限定エリア候補による初期子ノードの選定手段などが考えられる。
次に、追加信号点候補探索回路2−2−3は、初期信号点候補探索回路2−2−2で得た初期信号点候補に基づいて、追加(変換)信号点候補の選定を行い、対応する累積メトリックを算出する、初期信号点候補の中の最尤信号点候補に対する追加信号点候補探索処理を行う。追加信号点候補探索回路2−2−3としては、例えば、差分ビット候補による追加子ノードの選定手段や、最短距離候補による追加子ノードの選定手段、限定エリア候補による追加子ノードの選定手段などが考えられる。
候補除外回路2−2−4は、サブキャリア初期信号点候補探索回路2−2−2と追加信号点候補探索回路2−2−3で算出された累積メトリックの中に、ある上限値を超えた累積メトリックと対応する部分変換系列候補を候補から除外する、累積メトリック上限値による候補除外処理を行う。
なお、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2は、基準信号生成回路2−2−1〜候補除外回路2−2−4による処理を、送信系統の本数分回、つまりT回、繰り返して実施する。
図5は、本実施形態による推定符号ビット計算回路3の構成を示すブロック図である。図において、推定符号ビット計算回路3は、推定符号ビット計算回路3−1からなる。推定符号ビット計算回路3では、チャネル復号器で正確に復号処理ができるように、推定符号ビット計算回路3−1で推定符号ビットを生成する処理を実施する。推定符号ビット計算回路3−1は、送信系列候補絞込み回路2で得た送信系列候補と尤度メトリックとを用いて、各送信符号ビットに対して、推定符号ビットを生成すべく、送信系列候補と尤度メトリックとによる推定符号ビット計算処理を行う。推定符号ビット計算回路3−1としては、例えば、軟符号ビット生成手段や、硬符号ビット生成手段などが考えられる。
次に、上述した各回路による処理について詳細に説明する。
(A)初期化処理回路1
初期化処理回路1は、送信系列候補絞込み回路2での処理が効率良く実施できるように、実施順番決定回路1−1で信号点候補選定の実施順番を決定する実施順番決定処理と、行列変換回路1−2でチャネル行列の変換を行う変換処理とを実施する。
(A−1)実施順番決定回路1−1
受信側では、送信系列s”の各送信信号s”がコンスタレーション中のどの信号点であるかが分からない。従って、受信側は、各送信信号s”について、コンスタレーション中の信号点を候補として、送信信号を推測する。これを各送信信号s”における信号点候補選定と呼ぶ。
信号点候補の数としては、1個からQ個まで(Q=2は、コンスタレーションのサイズである)取れるが、考慮する候補数が大きければ大きいほど、信号検出特性が向上する一方で、所用演算量も増えてしまう。
ここで、T個ある送信信号[s”,s”,…,s”]を同時にではなく、順番に個々の送信信号s”における信号点候補選定を行う。受信側では、この信号点候補選定の実施順番を決定できる。
送受信関係は、次式(11)のように表わせる。
Figure 0005121753
数式(11)から分かるように、チャネル行列H”の各列ベクトルh”(n)は、送信系列s”(n)の各送信信号s”(n)に対応する。チャネル行列H”の列ベクトルは、それぞれ異なる受信品質を有しているゆえ、各送信信号における受信品質も違ってくる。従って、受信側では、チャネル行列に基づいて、信号点候補選定の実施順番を適切に決定すれば、各送信信号における候補数を抑え、信号検出の所用演算量を削減することができる。
実施順番決定回路1−1では、チャネル行列H”に基づいて、各送信系統における信号点候補選定の実施順番を決定する。ここで、信号点候補選定の実施順番をO={O,O,…,O}と表す。O(t=1,2,…,T)の下付き数字tは、信号点候補選定の実施順番であり、Oの値自体は、t番目に信号点候補選定が実施される送信信号の空間番号である。tとOとは、1対1に対応する。例えば、O=3というのは、第O=3番目の空間送信信号s”O2=s”が2番目にその信号点候補の選定を実施する。実施順番決定回路1−1は、チャネル行列H”を用いて、O={O,O,…,O}の各要素の値(1からTまでの整数の内の1つ)を決定する。
実施順番O通りに信号点候補選定を行うには、チャネル行列H”の列ベクトルを並び替える(あるいは、並び替えと等価な操作)必要がある。以下では、この並び替え操作を、数学的に並び替え行列E(O)とチャネル行列H”との乗算H=H”Eという形で表現するが、実際の処理としては、行列H”の列ベクトルを並び替えるだけで良く、乗算をする必要はない。Hは、列ベクトルを並び替えたチャネル行列であり、並び替えチャネル行列と呼ぶ。従って、実施順番Oと並び替え行列E(O)とは、互いに1対1に対応し、完全に等価な情報を持っていると理解すれば良い。
実施順番を決定するには、様々な方法が考えられる。例えば、参考文献1(特願2007−172835)、参考文献2(特願2007−172836)に開示されている実施順番決定方法を適用することが考えられる。また、再帰的にチャネル行列H”の各列ベクトルの中に、最も受信品質の良い、あるいは悪い列ベクトルを優先的に実施することもできる。更に、再帰的ではなく、各列ベクトルの受信品質を、降順、あるいは昇順に並べ、並べた順番通りに実施することができる。また、順番決定を行わずに、送信信号の空間順番通りに、信号点候補選定を行うことも可能である。その場合、O=t(t=1、2、…、T)、E(O)=Iとなる。
個々の実施順番決定方法には、行列の列ベクトルにおける受信品質を表す指標として、様々な量が用いられる。例えば、各列ベクトルにおける受信SNR(signal to noise ratio)、各列ベクトルにおける受信SINR(signal to interference plus noise ratio)、各列ベクトルにおけるL次ノルム(Lは任意の整数)などがある。実施順番決定回路1−1では、チャネル行列H”の列ベクトルにおける受信品質を表す如何なる量を適用しても良い。
(A−2)行列変換回路1−2
行列変換回路1−2では、実施順番決定回路1−1で信号点候補選定の実施順番を決定した後、チャネル行列の変換を行う。前述したように、行列変換回路1−2としては、例えば、QR分解による行列変換手段や、擬似逆行列及び三角変換手段などが考えられる。
(A−2−1)QR分解による行列変換手段
QR分解による行列変換手段では、候補信号点選定の実施順番が決定すれば、実施順番E(O)通りにチャネル行列H”の列ベクトルの順番を、次式(10)に表わすように並び替える。
Figure 0005121753
Hは、列ベクトルの順番が並び替えられたチャネル行列である。
次に、この並び替えチャネル行列Hについて、QR分解を行う。行列Q及びUは、行列HにおけるQR分解の結果であり、それぞれ次式(13)〜(15)のように定義する。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Qは、R行T列の行列で、UはT行T列の上三角行列である。
(A−2−2)擬似逆行列及び三角変換手段
擬似逆行列及び三角変換手段では、候補信号点選定の実施順番が決定すれば、上述したQR分解による行列変換手段と同様に実施順番T(n)通りにチャネル行列H”の列ベクトルの順番を、次式(16)に表わすように並び替え、並び替えチャネル行列Hを生成する。
Figure 0005121753
次に、この並び替えチャネル行列Hの逆擬似行列を、次式(17)に従って算出する。
Figure 0005121753
一方では、並び替えチャネル行列Hを、数式(18)に示す三角行列Uに変換する。
Figure 0005121753
並び替えチャネル行列Hを三角行列に変換するには、様々な方法が考えられる。例えば、QR分解による変換、Cholesky分解による変換、あるいはユニタリ行列による変換などがある。三角行列に変換できれば、如何なる方法を用いても良い。
(B)送信系列候補絞込み回路2
送信系列候補絞込み回路2では、推定符号ビット計算回路3での処理が効率良く実施できるように、変換受信系列生成回路2−1で変換受信系列を生成し、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの計算を行い、順番復元回路2−3で変換送信系列候補から送信系列候補へ復元するなどの処理を実施する。
(B−1)変換受信系列生成回路2−1
変換受信系列生成回路2−1では、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で変換系列候補の絞込みと尤度メトリックの計算が簡易化できるように、受信系列xに対して処理し、変換受信系列を生成する。前述したように、変換受信系列生成回路2−1としては、例えば、QR分解による変換受信系列生成手段や、擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段などが考えられる。
(B−1−1)QR分解による変換受信系列生成手段
QR分解による変換受信系列生成手段では、上述した行列変換回路1−2のQR分解による行列変換手段に合わせて、QR分解で得た行列Qの複素共役転置と受信系列xとを掛けて、次式(19)のような変換受信系列y(n)を生成する。
Figure 0005121753
この変換受信系列yは、更に、要素毎の表現として次式(20)のように表わせる。
Figure 0005121753
ここで、iは変換後の空間番号を表し、i番目のレイヤと呼ぶ。また、各信号成分の順番が並び替えられた送信系列sは、次式(21)で表わせる。
Figure 0005121753
以後、送信系列s”に対応して、並び替え処理によって得られた信号sを変換送信系列と呼ぶ。例えば、s”を3番目の空間送信信号、sを3番目の変換送信信号と呼ぶ。
また、w=Qw”は、変換後の雑音及び干渉成分を表す。更に、変換前のビット表記と対応付けるため、次のように、変換ビットパターンb=[bt,1,…,bt,K]、変換ビット系列bを、それぞれ数式(22)〜(24)に定義する。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
変換前と同様に、変換ビット系列bの各K符号ビットb=[bt,1,…,bt,K]が変換送信系列sの1つの信号成分sと1対1のマッピング関係にある。
ここで、次段の変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2に含まれる基準信号生成回路2−2−1から候補除外回路2−2−4までの処理を説明するため、QR分解による変換受信系列生成手段で得た変換後のシステムについて考える。まず、尤度メトリックを変換受信系列yに合わせて、数式(25)のように書き換える。
Figure 0005121753
ここで、sは、実際の変換送信系列sではなく、sである可能性のある変換送信系列候補(送信系列候補s”とは含む信号の順番が異なるだけである)である。sは、変換送信系列候補sのi番目信号成分であり、i番目変換信号点候補と呼ぶ。チルダ(〜)sは、候補信号点の選定に用いる基準信号である。
更に、Δをi番目レイヤにおける増分メトリックと呼び、次式(26)のように定義する。
Figure 0005121753
数式(25)と数式(26)から尤度メトリックは、各レイヤにおける増分メトリックの総和である特徴を利用して、数式(25)を次式(27)のような再帰式に書き換えられる。
Figure 0005121753
ここで、Λは、レイヤi=Tから降順にレイヤi=jまでの部分変換送信系列候補s[j]=[sj+1 … sに対応する累積メトリックである。この再帰式から分かるように、s[j]に対応する累積メトリックΛを求めるには、レイヤi=Tから降順レイヤi=j+1までの部分変換送信系列候補s[j+1]=[sj+1 … sに対応する累積メトリックΛj+1と、レイヤi=jでの候補信号点sに対応する増分メトリックΔとを足し合せれば良い。累積メトリックの初期値をΛT+1=0に設定し、T回の再帰処理を行えば、最終的には尤度メトリックΛ=Λが得られる。
(B−1−2)擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段
擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段では、上述した行列変換回路1−2の擬似逆行列及び三角変換手段に合わせて、擬似逆行列Hと受信系列xとを掛けて、次式(28)のような変換受信系列zを生成する。
Figure 0005121753
sは、数式(21)と同様に、各信号成分の順番が並び替えられた送信系列であり、変換送信系列となる。一方、尤度メトリックは、次式(29)のように表わすことができる。
Figure 0005121753
チルダ(〜)sは、変換受信系列生成回路2−1のQR分解による変換受信系列生成手段と同様に、候補信号点の選定に用いる基準信号である。更に、増分メトリックと尤度メトリックも上記QR分解による変換受信系列生成手段と全く同じように定義できる。
(B−2)変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2
変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2では、基準信号生成回路2−2−1〜候補除外回路2−2−4による処理を、送信系統の本数分回、つまりT回、繰り返して実施し、変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックとの計算を行う。
(B−2−1)基準信号生成回路2−2−1
基準信号生成回路2−2−1では、基準信号を生成する。前述したように、基準信号生成回路2−2−1としては、例えば、QR分解による基準信号生成手段や、擬似逆行列及び三角変換による基準信号生成手段などが考えられる。
(B−2−1−1)QR分解による基準信号生成手段
QR分解による基準信号生成手段では、行列変換回路1−2のQR分解による行列変換手段と変換受信系列生成回路2−1のQR分解による変換受信系列生成手段に合わせて、次式(30)に基づき、候補信号点の選定を実施していないあるレイヤにおける基準信号チルダ(〜)sを算出する。
Figure 0005121753
(B−2−1−2)擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段
擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段では、行列変換回路1−2の擬似逆行列及び三角変換手段と変換受信系列生成回路2−1の擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段に合わせて、次式(31)に基づき、候補信号点の選定を実施していないあるレイヤにおける基準信号チルダ(〜)sを算出する。
Figure 0005121753
(B−2−2)初期信号点候補探索回路2−2−2
初期信号点候補探索回路2−2−2では、基準信号生成回路2−2−1で得た基準信号チルダ(〜)sを用いて、初期信号点候補の選定を行う。更に、選定した信号点候補に対して、対応する累積メトリックを算出する。
以下では、各レイヤにおける信号点候補の選定をツリー探索と例えて説明する。空間のレイヤ構造を反映するため、探索ツリーにもT個のレイヤを有し、探索はルートから出発し、レイヤi=Tからレイヤi=1まで行う。各レイヤのノードは、選定された信号点候補を意味する。ここで、あるレイヤi+1で選んだノード(つまり、選定した信号点候補)を、次の処理レイヤiにとっての親ノードとなる。つまり、レイヤiの親ノードは、1つ前のレイヤi+1にある。レイヤiでの全ての親ノードの数はAとする。また、親ノードに基づいて選んだレイヤiでのノードをレイヤiの子ノードと呼ぶ。レイヤiでの全ての子ノードの数はBとする。このレイヤiの子ノードは、同時に次のレイヤi−1の親ノードでもある。このようにルートから出発し、親ノードから子ノードへ、子ノードが親ノードとなり、更に、次の子ノードへという順番で、レイヤi=Tからレイヤi=1までツリー探索を行う。更に、同じ親ノードを持つ子ノードを兄弟ノードとも呼ぶ。
初期信号点候補探索回路2−2−2では、処理レイヤにおける各親ノードから、1つあるいは複数の子ノードを選定し、選ばれた子ノードを初期子ノードと呼ぶ。レイヤiでの親ノードの中に、対応する累積メトリックが最も小さいいくつの親ノードを指定し、最尤親ノードと呼ぶ。レイヤiでの最尤親ノードの数をVとする。最尤親ノードに対して、多めに初期子ノードを選定する。ここで、P(v)をレイヤiでのv番目の最尤親ノードにおける初期子ノードの数とする。最尤親ノード以外の親ノードは、1つの初期子ノードを選定する。V=0は、最尤親ノードが指定しないことを意味する。その場合には、最尤親ノードから選定される初期子ノードP(v)=0となる。つまり、全ての親ノードは、1つの初期子ノードを選定する。
(v)の値、つまり、レイヤiのv番目の最尤親ノードから選定する初期子ノードの数は、レイヤiの受信品質、及び親ノードの尤度(つまり、尤度メトリックの値)を考慮して決めれば良い。
受信品質の良いレイヤでは、信号点候補選定の誤り率が低いため、P(v)の値を小さくしても、確からしい初期子ノードが選べる(つまり、特性劣化が少ない)。一方、受信品質の悪いレイヤでは、信号点候補選定の誤り率が高いので、P(v)の値を大きくしないと、確からしい初期子ノードが選べない(つまり、特性劣化がしやすい)。
また、尤度の高い親ノード(つまり、尤度メトリックが小さい親ノード)では、確からしい初期子ノードを産む可能性が高いため、P(v)の値を大きくし、多くの初期子ノードを選定した方が最終的により良い誤り率特性が得られる。一方、尤度の低い親ノード(つまり、尤度メトリックが大きい親ノード)では、確からしい初期子ノードを産む可能性が低いため、P(v)の値を小さくし、少ない初期子ノードを選定した方が演算量を削減できる。
上述したように、P(v)の値、つまり親ノードから選定する初期子ノードの数は、所望する受信誤り率特性と許容演算量との双方を両立しながら、各レイヤの受信品質、及び親ノードの尤度の高さを考慮して決定すれば良い。
図6は、本実施形態による、初期信号点候補探索回路2−2−2でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。レイヤiでは、レイヤi+1にある3つの親ノードを有している。各親ノードからそれぞれA=3、V=2、P(v=1)=3、P(v=2)=2個の初期子ノードを選んでいる。2番目の親ノードの尤度が高いため、2個の初期子ノードを選定している。更に、図で分かるように、処理量を減らすためには、コンスタレーション上の全ての信号点を初期子ノードとせず、一部だけを信号点候補として選定する。
前述したように、初期信号点候補探索回路2−2−2としては、初期子ノード選定を実現するには、差分ビット候補による初期子ノードの選定手段や、最短距離候補による初期子ノードの選定手段、限定エリア候補による初期子ノードの選定手段などが考えられる。
(B−2−2−1)差分ビット候補による初期子ノードの選定手段
差分ビット候補による初期子ノードの選定手段では、基準信号を量子化して、量子化基準信号ハット(^)sを1つの初期子ノードとする。更に、量子化基準信号のビットパターン(ハット^)b=[ハット(^)bt,1,…,ハット(^)bt,K]といくつの異なるビットを持つ信号点も初期子ノードとする。
ここで、図7は、本実施形態による、初期信号点候補探索回路2−2−2の一例として、差分ビット候補による初期子ノードの選定手段でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。量子化基準信号のビットパターンは、ハット(^)b=[ハット(^)bt,1,…,ハット(^)bt,4(n)]=[1,0,1,1]となる。その[1,0,1,1]と1つの差分ビットを持つ信号点は全部で4つ、[1,0,1,0]、[0,0,1,1]、[1,1,1,0]、[1,0,0,1]となる。更に、[1,0,1,1]と2つの差分ビットを持つ信号点は全部で6つ、[0,0,1,0]、[1,1,1,0]、[0,1,1,1]、[0,0,0,1]、[1,1,0,1]、[1,0,0,0]となる。従って、量子化基準信号[1,0,1,1]も含めて、ある親ノードから全部でP=1+4+6=11個の初期子ノードを選定する。
また、ハット(^)sのビットパターンとの差分ビットの数で初期子ノードを選定するではなく、上位ビットや、下位ビットがハット(^)sのビットパターンと異なる信号点を初期子ノード選定の基準にしても良い。量子化基準信号に対して適切な差分ビットを持つ信号点を初期子ノードとして選定できる基準であれば、全て適用可能である。
更に、量子化基準信号だけを初期子ノードにしても良い。この場合、初期子ノードの数は、図6のように3番目の親ノードa=3のように、1となる。初期子ノード選定ができれば、各初期子ノードの増分メトリックと累積メトリックとを、数式(26)と数式(27)のように算出する。
(B−2−2−2)最短距離候補による初期子ノードの選定手段
最短距離候補による初期子ノードの選定手段では、基準信号チルダ(〜)s、あるいは量子化基準信号ハット(^)sから距離が最も近い、いくつの信号点を選定し、量子化基準信号と一緒に初期子ノードとする。
図8は、本実施形態による、初期信号点候補探索回路2−2−2の一例として、差最短距離候補による初期子ノードの選定手段でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。ここでは、基準信号チルダ(〜)sに最も近い5つの信号点を選定し、最終的には、基準信号点を含めて全部でP=1+5=61個の初期子ノードを選定する。
ここで用いる信号点間の距離の定義としては、様々なものが考えられる。例えば、ユークリッド距離、マンハッタン距離、あるいは任意次元のノルム距離が適用できる。初期子ノード選定ができれば、各初期子ノードの増分メトリックと累積メトリックとを、数式(26)と数式(27)のように算出する。
(B−2−2−3)限定エリア候補による初期子ノードの選定手段
限定エリア候補による初期子ノードの選定手段では、基準信号チルダ(〜)s、あるいは量子化基準信号ハット(^)sに基づいて、コンスタレーションの上にある限定したエリアを指定し、その限定エリアに入る信号点を初期子ノードとする。
図9は、本実施形態による、初期信号点候補探索回路2−2−2の一例として、限定エリア候補による初期子ノードの選定手段でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。ここでは、基準信号チルダ(〜)sに基づいて、1つの限定した円エリア、あるいは四角エリアを指定する。円エリアにおいてはP=10、四角エリアにおいてはP=12個の初期子ノードを選定する。もちろん、円エリアと四角エリアの他にもさまざまな適切な限定エリアが適用できる。
初期子ノード選定ができれば、各初期子ノードの増分メトリックと累積メトリックとを、数式(26)と数式(27)のように算出する。
(B−2−3)追加信号点候補探索回路2−2−3
追加信号点候補探索回路2−2−3では、初期信号点候補探索回路2−2−2で得た初期子ノードを用いて、追加子ノードの選定を行う。まず、初期信号点候補探索回路2−2−2で算出したレイヤiでの各初期子ノードの中に、対応する累積メトリックが最も小さい、いくつの初期子ノードを指定し、最尤子ノードと呼ぶ。ここで、Wをレイヤiでの最尤子ノードの数と定義する。次に、最尤子ノードと同じ親ノードを持つ兄弟ノードを探索ツリーに追加する。追加された兄弟ノードを追加子ノードと呼ぶ。ここで、Q(w)をレイヤiでのw番目の最尤子ノードにおける追加子ノードの数と定義する。最尤子ノードと対応する追加子ノードは同じ親ノードを持つ。W=0は最尤子ノードが指定しないことを意味する。その場合、追加子ノードQ(w)=0となる。つまり、子ノードを追加しないことになる。
及びQ(w)の値、つまり、レイヤiの最尤子ノードの数、及び各最尤子ノードに対応する追加子ノードの数は、レイヤiの受信品質及び親ノードと、最尤子ノードの尤度とを考慮して決めれば良い。
受信品質の良いレイヤでは、信号点候補選定の誤り率が低いため、W及びQ(w)の値を小さくしても、確からしい追加子ノードが選べる(つまり、特性劣化が少ない)。一方、受信品質の悪いレイヤでは、信号点候補選定の誤り率が高いので、W及びQ(w)の値を大きくしないと、確からしい追加子ノードが選べない(つまり、特性劣化がしやすい)。
また、尤度の高い親ノードと最尤子ノード(つまり、尤度メトリックが小さい親ノードと最尤子ノード)では、確からしい追加子ノードを持つ可能性が高いため、Q(w)の値を大きくし、多くの追加子ノードを選定した方が最終的により良い誤り率特性が得られる。一方、尤度の低い親ノードと最尤子ノード(つまり、尤度メトリックが大きい親ノード)では、確からしい追加子ノードを持つ可能性が低いため、Q(w)の値を小さくし、少ない追加子ノードを選定した方が演算量を削減できる。
上述のように、W及びQ(w)の値、つまり、レイヤiの最尤子ノードの数、及び各最尤子ノードに対応する追加子ノードの数は、所望する受信誤り率特性と許容演算量との双方を両立しながら、各レイヤの受信品質、及び親ノードと最尤子ノードの尤度を考慮して決定すれば良い。
もし、追加しようとするQ(w)個の子ノードが初期信号点候補探索回路2−2−2で得た初期子ノードと重複する場合には、重複しない子ノードだけを追加すれば良い。この場合、追加した子ノードの数はQ(w)より小さくなる。
図10は、本実施形態による、追加信号点候補探索回路2−2−3でのレイヤiにおける16−QAMコンスタレーションを用いた場合の初期子ノード選定の一例を示す概念図である。前述した図6の初期子ノード選定の例と比較しながら参照されたい。レイヤiでは、最初は全部で4つの初期子ノードが有している。最尤子ノードの数をW=2とする。ここで、4つの初期子ノードのうち、1番と3番の初期子ノードの累積メトリックが最も小さいため、それらを最尤子ノードとする。次に、1番の最尤子ノードに対してはQ(w=1)=2個の追加子ノードをツリーに追加する。2番の最尤子ノードに対しては、Q(w=2)=4個の追加子ノードを追加したいが、4個の追加子ノードのうち1つだけ、2番の初期子ノードと重複するため、残りの3個の重複しない追加子ノードのみをツリーに追加する。従って、1〜6番の子ノードは初期子ノードとなり、7〜11番の子ノードは追加子ノードとなる。レイヤiで全部でB=11個の子ノードになる。
前述したように、追加信号点候補探索回路2−2−3による追加子ノード選定を実現するには、初期子ノードと同様に、差分ビット候補による追加子ノードの選定手段や、最短距離候補による追加子ノードの選定手段、限定エリア候補による追加子ノードの選定手段が適用できる。
なお、これら追加信号点候補探索回路2−2−3の差分ビット候補による追加子ノードの選定手段や、最短距離候補による追加子ノードの選定手段、限定エリア候補による追加子ノードの選定手段については、初期子ノードと同様であるので説明を省略するが、この場合も、追加子ノード選定ができれば、各追加子ノードの増分メトリックと累積メトリックとを、数式(26)と数式(27)のように算出する。
(B−2−4)候補除外回路2−2−4
候補除外回路2−2−4では、更なる演算量の削減を実現するため、累積メトリック上限値を設定して、その上限値を超えている累積メトリックと対応する部分変換送信系列候補を候補から除外する。
上限値の設定は、レイヤ毎に行っても良いし、また、全てのレイヤにおいて1つの共通の上限値を用いても良い。上限値の設定については、チャネルの状態や、雑音と干渉のレベル、所望の誤り率特性などを考慮して決定すれば良い。
また、累積メトリック上限値を、実際、到達不可能な大きな値に設定した場合には、累積メトリックと対応する部分変換送信系列候補への除外処理を行わないことを意味する。この場合、候補除外回路2−2−4による処理を実施しないで、基準信号生成回路2−2−1、初期信号点候補探索回路2−2−2、加信号点候補探索回路2−2−3のみをT回繰り返して実施すれば良い。
上述した基準信号生成回路2−2−1、初期信号点候補探索回路2−2−2、追加信号点候補探索回路2−2−3、候補除外回路2−2−4については、あるレイヤで実施した後には、次のレイヤへ進み、そのレイヤで実施する。このように、全てのレイヤにおいて、基準信号生成回路2−2−1、初期信号点候補探索回路2−2−2、追加信号点候補探索回路2−2−3、候補除外回路2−2−4による処理が実施されるまで繰り返す。
(B−3)順番復元回路2−3
順番復元回路2−3では、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で絞り込んだ変換系列候補に対して、順番の並び直しを実施し、元の送信信号の空間順番となるように、送信系列候補に復元する。並び直しの数的な表現としては、次式(32)のように、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で絞り込んだ変換系列候補の集合Sに属する全ての変換系列候補sと並び替え行列E(O)とを掛けることになる。
Figure 0005121753
実際の処理としては、並び直し操作だけをすれば良い。この並び直し操作の結果として、送信信号系列候補s”が得られる。また、この順番並び直しによって得られた信号系列候補s”の集合はBとする。更に、次式(33)に示すように、s”とマッピングの対応関係にある送信ビット系列候補b”も同時に得られる。
Figure 0005121753
(C)推定符号ビット計算回路3
推定符号ビット計算回路3では、チャネル復号器で正確に復号処理ができるように、推定符号ビット計算回路3−1で推定符号ビットを生成する処理を実施する。
(C−1)推定符号ビット計算回路3−1
推定符号ビット計算回路3−1では、送信系列候補絞込み回路2で絞り込んだ送信系列候補と尤度メトリックとを用いて、各送信符号ビットに対して、推定符号ビットを生成する。前述したように、推定符号ビット計算回路3−1としては、例えば、軟符号ビット生成手段や、硬符号ビット生成手段などが考えられる。
(C−1−1)軟符号ビット生成手段
次式(34)で表わされる軟符号ビット、つまり信頼度情報が有する推定符号ビットの生成に関しては、様々な手法が考えられる。一例として、各送信ビットにおける近似LLR値を算出する方法がある。
Figure 0005121753
該軟符号ビットは、さらに、次式(35)、(36)で表わされる。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
b”Softは、数式(34)に示す軟符号ビット要素を含めた軟符号ビット系列である。数式(37)に示す部分集合は、Bの部分集合であり、それぞれに属するビット系列候補b”∈Bの(t、k)番目の要素b”t,kがそれぞれ、b”t,k=+1とb”t,k=−1である。Gはチャネル行列と、雑音や、干渉レベルなどを考慮した係数である。更に、計算量を削減するためには、係数G=1と設定すれば良い。
Figure 0005121753
もし、数式(37)で示す部分集合のいずれか一方の中で、(t,k)番目の要素b”t,kが、b”t,k=+1、あるいはb”t,k=−1のようなビット系列候補b”が存在しなければ、数式(35)による軟符号ビット計算が困難になる。その場合においては、次式(38)で示す近似値Cを適用する。
Figure 0005121753
ここで、数式(39)で表わされる値は、(t、k)番目の送信符号ビットにおける硬符号ビットであり、後述する(F−1−2)で詳細に説明する。Cはチャネル行列と、雑音や、干渉レベルなどとを考慮した係数である。更に、計算を簡易化するためには、Cを適切な固定値に設定することで、チャネル行列と、雑音や、干渉レベルなどとを考慮する必要がなくなる。
Figure 0005121753
(C−1−2)硬符号ビット生成手段
数式(39)に示す硬符号ビット、つまり信頼度情報が有しない推定符号ビットの生成に関しても様々な手法が考えられる。一例として、次式(40)、(41)のように、送信系列候補絞込み回路2で算出した尤度メトリックΛ(b”)の中で、最も小さいものに対応するビット系列候補b”を硬符号ビット系列b”Hardと推定することができる。
Figure 0005121753
硬符号ビット系列b”Hardの各要素は、数式(41)に示すように、数式(39)で示す硬符号ビットである。
Figure 0005121753
このように、推定符号ビット計算回路3−1では、軟符号ビット、あるいは硬符号ビットを算出し、それをチャネル復号器へ入力する。
次に、上述した実施形態の動作について説明する。
図11は、本実施形態による空間多重信号信号検出回路10の全体動作を説明するためのフローチャートである。本実施形態による空間多重信号信号検出回路10の動作全体は、図11に示すように、初期化処理回路1による初期化処理(ステップS1)、送信系列候補絞込み回路2による送信系列候補絞込み処理(ステップS2)、推定符号ビット計算回路3による推定符号ビット計算処理(ステップS3)が実行される。
次に、上記初期化処理(ステップS1)、送信系列候補絞込み処理(ステップS2)、軟符号ビット計算処理(ステップS3)について詳細に説明する。
図12は、本実施形態による初期化処理の動作を説明するためのフローチャートである。まず、実施順番決定回路1−1は、実施順番決定処理として、チャネル行列に基づいて、信号点候補選定の実施順番を決定する(ステップS10)。処理結果として、実施順番を出力する。次に、行列変換回路1−2は、行列変換処理として、入力された実施順番とチャネル行列とに基づいて、実施順番を反映した行列変換を行う(ステップS11)。処理結果として、変換行列を出力する。
次に、図13は、本実施形態による送信系列候補絞込み処理の動作を説明するためのフローチャートである。まず、変換受信系列生成回路2−1は、変換受信系列生成処理として、入力された受信系列と変換行列とに基づいて、変換受信系列を生成する(ステップS20)。処理結果として、変換受信系列を出力する。
次に、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2は、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算処理として、入力された変換受信系列と関連する係数とに基づいて、変換送信系列候補絞込みと尤度メトリック計算とを行う(ステップS21)。処理結果として、変換送信系列候補と対応する尤度メトリックとが出力される。なお、該変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算処理の詳細については後述する。
そして、順番復元回路2−3は、順番復元処理として、入力された変換送信系列候補と実施順番とに基づいて、変換送信系列候補に対する順番を並び直して送信系列候補に復元する(ステップS22)。処理結果として、送信系列候補が出力される。
図14は、上述した変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算処理の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。まず、全てのレイヤの処理が終了したか否かを判定し(ステップS210)、終わっていなければ、基準信号生成回路2−2−1は、基準信号生成処理として、入力された変換受信系列、変換行列、部分変換送信系列候補に基づいて、基準信号を生成する(ステップS211)。処理結果として、基準信号を出力する。
次に、初期信号点候補探索回路2−2−2は、初期信号点候補探索処理として、入力された基準信号と初期子ノード数とに基づいて、初期信号点候補の選定を行い、対応する累積メトリックを算出する(ステップS212)。処理結果として、初期信号点候補と対応する累積メトリックとを出力する。
次に、追加信号点候補探索回路2−2−3は、追加信号点候補探索処理として、入力された初期信号点候補、最尤子ノード数、追加子ノード数に基づいて、追加信号点候補の選定を行い、対応する累積メトリックを算出する(ステップS213)。処理結果として、追加信号点候補と対応する累積メトリックとを出力する。
次に、候補除外回路2−2−4は、候補除外処理として、入力された累積メトリック上限値と累積メトリックと対応する部分変換送信系列候補とに基づいて、ある上限値を超えた累積メトリックと対応する部分変換系列候補を候補から除外する(ステップS214)。処理結果として、生き残った部分変換送信系列候補と対応する累積メトリックを出力する。
その後、ステップS210に戻り、全てのレイヤに対して処理が終了するまで、上述したステップS210〜S214を繰り返し実行する。そして、全てのレイヤに対して処理が終了すると、当該処理を終了する。
図15は、上述した推定符号ビット計算処理の動作を説明するためのフローチャートである。推定符号ビット計算回路3−1は、推定符号ビット計算処理として、入力された送信系列候補と対応する尤度メトリックと関連する係数に基づいて、推定符号ビットを生成する(ステップS30)。処理結果として、推定符号ビット信号が出力し、チャネル復号器に入力する。
次に、本実施形態での計算例について説明する。
以下では、通信を行うMIMOシステムでは、送信側にT=4本の送信アンテナがあり、受信側にR=4本の受信アンテナがあるとする。また、全ての送信系統は、16−QAM変調、つまり、16−QAMコンスタレーションを使用していると仮定する。
初期化処理回路1では、まず、実施順番決定回路1−1で、チャネル行列に基づいて、各信号点候補選定の実施順番O={O1=3、O2=1、O3=2、O4=4}と決定する。次に、行列変換回路1−2で、チャネル行列H”に対して、QR分解を行う。QR分解の結果として、ユニタリ行列Qと、三角行列Uとが得られる。次に、送信系列候補絞込み回路2では、まず、変換受信系列生成回路2−1で、受信系列xに行列Qの複素共役転置を掛け、変換受信系列yを生成する。次に、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2では、基準信号生成回路2−2−1、初期信号点候補探索回路2−2−2、追加信号点候補探索回路2−2−3、候補除外回路2−2−4による処理を、T=4個で、ある変換送信信号に繰り返して適用していく。
以下では、図16に示すツリー構造を用いて、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2の動作について説明する。ここでは、V=V=V=V=0、P=P=P=P=0、W=W=W=W=1、Q=4,Q=2,Q=2、Q=2とする。つまり、各レイヤの親ノードからの初期子ノード数は全て1と設定し、各レイヤの初期子ノードの中の最尤子ノード数も全て1とする。そして、レイヤ4からレイヤ1までの各1つの最尤子ノードに対する追加子ノード数はそれぞれ4、2、2、2とする。また、候補除外回路2−2−4における累積メトリック上限値を無限大と設定し、候補除外回路2−2−4の実施を省くことにする。図16の各ノードについている番号は、処理の順番や、累積メトリックの大きさを表しているわけでなく、単に各レイヤのノードの数を表わすために任意の順番で付けてある。
図16に示すように、まず、レイヤ4において、基準信号生成回路2−2−1では、対応する親ノードを用いて、レイヤ4における基準信号チルダ(〜)S(1)を算出する。次に、初期信号点候補探索回路2−2−2では、基準信号から1つの初期子ノードs(1)を選定し、対応する累積メトリックΛ(1)を算出する。次に、追加信号点候補探索回路2−2−3では、初期信号点候補探索回路2−2−2で得た初期子ノードの中で最尤子ノードs(1)(レイヤ4では子ノード1つしかないので)を見つけ、その最尤子ノードの親ノードから4つの追加子ノードs(2)、s(3)、s(4)、s(5)を候補として加え、対応する累積メトリックΛ(2)、Λ(3)、Λ(4)、Λ(5)を算出する。
次に、処理はレイヤ3へ移り、まず、基準信号生成回路2−2−1によって5つの基準信号チルダ(〜)s(1)、チルダ(〜)s(2)、チルダ(〜)s(3)、チルダ(〜)s(4)、チルダ(〜)s(5)を生成する。次に、初期信号点候補探索回路2−2−2では、基準信号からぞれぞれ1つの初期子ノードs(1)、s(2)、s(3)、s(4)、s(5)を選定し、対応する累積メトリックΛ(1)、Λ(2)、Λ(3)、Λ(4)、Λ(5)を算出する。次に、追加信号点候補探索回路2−2−3では、初期信号点候補探索回路2−2−2で得た初期子ノードの中で最尤子ノードs(2)を見つけ、その最尤子ノードの親ノードから2つの追加子ノードs(6)、s(7)を候補として加え、対応する累積メトリックΛ(6)、Λ(7)を算出する。
次に、処理はレイヤ2へ移り、まず、基準信号生成回路2−2−1によって7つの基準信号チルダ(〜)s(1)、チルダ(〜)s(2)、チルダ(〜)s(3)、チルダ(〜)s(4)、チルダ(〜)s(5)、チルダ(〜)s(6)、チルダ(〜)s(7)を生成する。次に、初期信号点候補探索回路2−2−2では、基準信号からぞれぞれ1つの初期子ノードs(1)、s(2)、s(3)、s(4)、s(5)、s(6)、s(7)を選定し、対応する累積メトリックΛ(1)、Λ(2)、Λ(3)、Λ(4)、Λ(5)、Λ(6)、Λ(7)を算出する。次に、追加信号点候補探索回路2−2−3では、初期信号点候補探索回路2−2−2で得た初期子ノードの中で最尤子ノードs(1)を見つけ、その最尤子ノードの親ノードから2つの追加子ノードs(8)、s(9)を候補として加え、対応する累積メトリックΛ(8)、Λ(9)を算出する。
次に、処理はレイヤ1へ移り、まず、基準信号生成回路2−2−1によって9つの基準信号チルダ(〜)s(1)、チルダ(〜)s(2)、チルダ(〜)s(3)、チルダ(〜)s(4)、チルダ(〜)s(5)、チルダ(〜)s(6)、チルダ(〜)s(7)、チルダ(〜)s(8)、チルダ(〜)s(9)を生成する。次に、初期信号点候補探索回路2−2−2では、基準信号からぞれぞれ1つの初期子ノードs(1)、s(2)、s(3)、s(4)、s(5)、s(6)、s(7)、s(8)、s(9)を選定し、対応する累積メトリックΛ(1)、Λ(2)、Λ(3)、Λ(4)、Λ(5)、Λ(6)、Λ(7)、Λ(8)、Λ(9)を算出する。次に、追加信号点候補探索回路2−2−3では、初期信号点候補探索回路2−2−2で得た初期子ノードの中で最尤子ノードs(8)を見つけ、その最尤子ノードの親ノードから2つの追加子ノードs(10)、s(11)を候補として加え、対応する尤度メトリックΛ(10)、Λ(11)を算出する。
上述した各レイヤにおける処理を終え、それぞれ11個の変換送信系列候補と対応する11個の尤度メトリックとが得られる。
次に、順番復元回路2−3で、実施順番Oに従って、変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で得た変換送信系列候補の空間順番を並び直し、送信系列候補に復元する。
最後に、推定符号ビット計算回路3では、推定符号ビット計算回路3−1で、送信系列候補絞込み回路2で得た送信系列候補、及び対応する尤度メトリックを用いて、推定符号ビット信号を生成し、チャネル復号器へ入力する。
この計算例の場合には、従来技術によるAPP信号検出器では、Q=16=65536個の尤度メトリックを計算しなければならないが、本発明では、わずか11個の尤度メトリックを計算すれば良い。
以下に、本実施形態の変形例について説明する。
(1)様々なシステムへの適用
前述した数式(1)に示す送受信関係は、空間多重システムだけではなく,他にも様々なシステムの送受信関係を表わすことができる.例えば,空間多重とマルチキャリア技術とを組み合わせた空間多重マルチキャリアシステムの各サブキャリアにおける送受信関係や、シンボル間干渉チャネル(Inter Symbol Interference:ISI)上での伝送システムにおける送受信関係や、CDMAシステムのマルチユーザ信号検出(Multiuser Detection:MUD)における送受信関係などが挙げられる.従って,本発明は、空間多重システムだけではなく,無線と有線に限定せず、数式(1)によって、その送受信関係を表現できる全ての通信システムへ適用することができる.
(2)拡張複素送受信関係
また、上述した実施形態による初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3は、MIMOシステムにおける複素送受信関係を表わす数式(1)に適用したが、次式(42)のような拡張複素送受信関係に対しても適用可能である。
Figure 0005121753
上記数式(42)の各要素、すなわち数式(43)に示す各要素は、各々、次式(44)、(45)、(46)のように定義する。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
ここで、数式(42)に示す各要素は、それぞれ拡張受信系列、拡張チャネル行列、及び拡張雑音である。パラメータαを設定することによって、様々な号処理基準に適用することが可能である。例えば、α=0の場合には、zero forcing(ZF)基準になり、数式(47)で示すような場合には、minimum mean square error(MMSE)基準となる。また、αをチャネルのコンディションに応じて設定し、数値計算の安定性を向上させることも可能である。
Figure 0005121753
(3)実数送受信関係
また、上述した実施形態による初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3は、次式(48)で表わされるようなMIMOシステムにおける実数送受信関係に対しても適用可能である。
Figure 0005121753
数式(48)の各要素、すなわち各要素x、H”、s”、w”は、各々、次式(49)、(50)、(51)、(52)のように定義する。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
ここで、Re{}は、行列、あるいはベクトルの実部、Im{}は、行列、あるいはベクトルの虚部を意味する。H”、x、s”、w”は、それぞれ実数チャネル行列、実数受信系列、実数送信系列及び実数雑音である。更に、複素コンスタレーションCも次式(53)のように実数コンスタレーションに分解する。
Figure 0005121753
とCは、それぞれ複素コンスタレーションCの実数軸と虚数軸に対応する実数部コンスタレーションと虚数部コンスタレーションとである。実数送信系列s”の最初のT個の信号は、Cから生成し、残りのT個の信号は、Cから生成する。
(4)拡張実数送受信関係
また、上述した実施形態による初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3は、次式(54)で表わされるようなMIMOシステムにおける拡張実数送受信関係に対しても適用可能である。
Figure 0005121753
数式(54)の各要素、すなわち数式(55)に示す各要素は、各々、次式(56)、(57)、(58)、(59)のように定義する。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
Figure 0005121753
ここで、数式(55)に示す各要素は、それぞれ拡張実数チャネル行列、拡張実数受信系列、実数送信系列、及び拡張実数周波数領域雑音である。更に、複素コンスタレーションCを実数コンスタレーションCとCに分解する。
(5)基底縮小
また、上述した実施形態による初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3は、MIMOシステムにおける複素送受信関係、拡張送受信関係、実数送受信関係、拡張実数送受信関係に適用した場合には、数式(60)に示す、複素チャネル行列、拡張チャネル行列、実数チャネル行列、拡張実数チャネル行列をそのまま用いるのではなく、チャネル行列に対して基底縮小を施し、チャネル行列の各列ベクトルが近似直交化された基底縮小チャネル行列を、初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3に用いても良い。
Figure 0005121753
更に、基底縮小処理は、チャネル行列の列ベクトルが候補信号点選定の実施順番に従って並び替えられる前後で、あるいは前か、後かのいずれか一方で、実施することが可能である。以下、説明する。
(6)候補信号点選定の実施順番の決定前
Figure 0005121753
数式(61)におけるHL1(n)とs”L1(n)とは、次式(62)のように定義する。
Figure 0005121753
ここで、T(n)は、候補信号点選定の実施順番の決定前の基底縮小変換行列である。
(7)候補信号点選定の実施順番の決定後
Figure 0005121753
数式(63)におけるHL2(n)とsL2(n)とは、次式(64)のように定義する。
Figure 0005121753
ここで、T(n)は、候補信号点選定の実施順番の決定後の基底縮小変換行列である。基底縮小変換行列T(n)とT(n)を決定する方法として、Lenstra−Lenstra−Lovasz縮小法や、Korkine−Zolotareff縮小法、Block Korkine−Zolotareff縮小法、Gaussian縮小法、Minkowski縮小法などがある。
(8)上三角生成QR分解
行列変換回路1−2では、QR分解を用いる。各送信系統における候補信号点選定の実施順番{O,O,…,O}を反映するQR分解としてはいく通りものパターンが考えられる。
以下、表記の簡単化のため、インデックスnを省略する。ここで、行列のQR分解は、あるR行T列のチャネル行列Hを、R行T列の準ユニタリ行列QとT行T列の上三角行列Uとに分解すること、あるいはR行T列のチャネル行列Hを、R行R列のユニタリ行列Qと上三角行列Uを含むR行T列の行列(数式(65)参照)に分解することができる。それを数式(66)に示すように表す。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
あるいは、数式(67)に示すように表わす。
Figure 0005121753
候補信号点選定の実施順番{O,O,…,O)}は、以下のように並び替え行列E(O)に保存される。上三角行列Uを含むR行T列の行列(数式(65)参照)は、次式(68)のようになる。
Figure 0005121753
また、行列O、Oは、次式(69)のように表わされる。
Figure 0005121753
つまり、行列Oは、n行T列のゼロ行列であり、Oは、m行T列のゼロ行列である。更に、次の条件(n,m=0,1,…,R−T∧n+m=R−T)が成り立つ。上三角行列Uを含むR行T列の行列(数式(65)参照)に含まれるUは、次式(70)のような上三角行列である。
Figure 0005121753
また、上記行列におけるQR分解を実現する方法として、NTT姜提案法(特願2006−086017、特願2006−314369)、Classical Gram−Schmidt QR分解法、Modified Gram−Schmidt QR分解法、Householder QR分解法、Given QR分解法などがある。
(9)下三角生成QR分解
更に、行列のQR分解は、あるR行T列のチャネル行列Hを、R行T列の準ユニタリ行列QとT行T列の下三角行列Lとに分解すること、あるいはR行T列のチャネル行列Hを、R行R列のユニタリ行列Qと下三角行列Lを含むR行T列の行列(数式(71)参照)とに分解することもできる。それを数式(72)で表す。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
あるいは、数式(73)に示すように表わす。
Figure 0005121753
候補信号点選定の実施順番{O(a),O(a),…,O(a)}は、以下のように並び替え行列P(b)に保存される。下三角行列Lを含むR行T列の行列(数式(71)参照)は、次式(74)のようになる。
Figure 0005121753
下三角行列Lを含むR行T列の行列(数式(71)参照)に含まれるLは、次式(75)のような下三角行列である。
Figure 0005121753
下三角行列LにQR分解する場合では、レイヤ1から昇順レイヤTまでに処理を進める。つまり、各変換信号における候補信号点の選定は変換信号sからsまでの順番で実施する。
また、上記の行列におけるQR分解を実現する方法として、NTT姜提案法(特願2006−086017、特願2006−314369)、Classical Gram−Schmidt QR分解法、Modified Gram−Schmidt QR分解法、Householder QR分解法、Given QR分解法などがある。
(10)順番決定とQRDの合同実施
また、実施順番決定回路1−1による候補信号点実施順番決定処理と行列変換回路1−2によるQR分解処理とについては、別々に処理するの他に、同時に処理することも可能である。つまり、まず、順番O=O,O,…,O(E(O)と等価である)を決定し、次に、順番に基づいてチャネル行列の列ベクトルを並び替えてからQR分解せずに、順番決定とチャネル行列の並び替えとQR分解とを同時に行うことも可能である。
(11)再帰的な尤度メトリック表現
行列変換回路1−2では、チャネル行列を変換して、尤度メトリックの再帰的な表現を導出したが、他のチャネル行列変換によって尤度メトリックを再帰的に表現しても良い。また、チャネル行列を変換せずに、尤度メトリックを再帰的に表現しても良い。最終的にツリー探索構造を用いて説明できる尤度メトリックの再帰的な表現式であれば、本発明の適用は全て可能である。
(12)異なる変調方式
上述した説明では、QPSKや、QAM変調方式を例として挙げたが、他のあらゆる同期検波が可能な変調方式、つまり、コンスタレーションに対して、本発明技術を適用できる。例えば、多値PSK変調方式や、多値ASK変調方式などが考えられる。
更に、異なるアンテナ間においては、異なるコンスタレーションを用いて送信信号を生成することも可能である。例えば、第2空間送信信号にQPSKコンスタレーションを使いながら、第4空間送信信号には64−QAMコンスタレーションを使っても良い。通信容量や、通信品質を向上させるために、送信側で適応変調を用いた場合はその一例となる。
(13)チャネル復号器
受信側で空間多重信号検出器が出力する推定符号ビットを処理するチャネル復号器としては如何なるものを用いても良い。例えば、ビタビ(Viberbi)アルゴリズム、ファノ(Fano)アルゴリズム、スタック(Stack)アルゴリズムなどが考えられる。また、復号器としてTurbo、あるいはLDPCなどの反復復号構成を用いる場合には、空間多重信号検出器とチャネル復号器との間に反復的に情報交換を行うこととする。
(14)チャネルを推定
本発明に用いる受信側チャネル行列の獲得には、様々な方法が考えられる。例えば、信号パケットの先頭部、中間、あるいは後尾部に挿入されるパイロット信号を利用して、チャネル推定を行うことで得られる。また、パイロット信号を用いずに、ブラインドでチャネル推定を行い、チャネル行列を算出することも可能である。また、受信側では、直接、チャネルの推定を行わずに、送信側から推定したチャネル行列情報を受信側に送ることによって受信側にチャネル行列を持たせても良い。つまり、最終的に受信側がチャネル行列を保有できる方法ならば如何なる方法であっても良い。
(15)実無線通信システムの信号フォーマットへの適用
図17は、上述した数式(1)に示す送受信関係式を送受信信号フォーマットに関連づけた概念図である。1つの信号パケットには、N個の空間多重マルチキャリア送信信号が含まれる。数式(1)は、N個の送信信号の中のn番目の送信信号における送受信信号関係を表している。送信信号パケットの先頭では、送信パイロット信号があり、受信側では、まず、受け取ったパイロット信号を用いてチャネル推定を行う。次に、推定で得られたチャネル行列を用いて送信パイロット信号の後ろのデータ信号について信号検出処理を行う。このように、信号パケットを1つずつ処理していく。
図17に示す送信フォーマットは、様々な無線通信システムの実フォーマットを抽象化したものでありながら、その本質の部分は完全に抽出している。従って、本発明技術は、様々な標準化された、あるいは、これから標準化される実システムへ適用することができる。例えば、セルラーシステムを代表するLTEや、4G、無線LANシステムを代表するIEEE802.11nや、IEEE.802.11ac、あるいは無線MANシステムを代表するIEEE802.16−2004、IEEE802.16eなどの標準規格が挙げられる。
(16)空間多重信号間・パケット間流用
空間(つまり、MIMO)チャネルの相関性質を利用して、ある空間多重受信信号、あるいは受信パケットにおける信号点候補選定の実施順番O(n)(つまり、E(n))と、信号点候補絞込みに用いる諸パラメータV、P(v)、W、Q(w)などを、次に受信される1つ、あるいは複数の空間多重受信信号、あるいは受信パケットに流用しても良い。その場合、実施順番O(n)などのパラメータを、空間多重受信信号毎に更新しなくて良いため、更なる演算量の低減につながる。
(17)マルチポイント対ポイント通信(MP−P)
図23に示す従来技術では、1つの送信機による送信側と1つの受信機による受信側とから構成されるポイント対ポイント通信(P−P)であるが、複数の送信機による送信側と1つの受信機による受信側から構成されるマルチポイント対ポイント通信(MP−P)も考えられる。具体的には、図18に示すようなシステム構成となる。なお、図23に対応する部分には同一の符号を付けている。図18では、TU個の送信機31−1〜31−TUがあり、1個の受信機40がある。送信機31−1〜31−TUは、各々、T、T、…、TTU個の送信信号を送信アンテナから送信する。それらの合計は、次式(76)のように、Tとなる。
Figure 0005121753
ここで、T≧1、T≧1、…、TTU≧1とする。つまり、TU個の送信機31−1〜31−TUがそれぞれ持つ送信信号、及び送信アンテナの数は、1つ、あるいは複数のいずれでも良い。図18のようなMP−P構成は、様々な通信シナリオに当てはまる。一例としては、複数のユーザが送信側とし、1つの基地局、あるいはアクセスポイントが受信側とし、これらが通信を行う場合には、マルチアクセス通信となる。また、複数の基地局、あるいはアクセスポイントが協調し合って送信側とし、1つのユーザ局が受信側とし、これらが通信を行う場合には、協調通信となる。本発明は、図18に示すようなMP−P構成を持つ、あらゆる通信シナリオへ適用することができる。
(18)マルチポイント対マルチポイント通信(MP−MP)
複数の送信機による送信側と複数の受信機による受信側とから構成されるマルチポイント対マルチポイント通信(MP−MP)も考えられる。具体的には、図19に示すようなシステム構成となる。なお、図23に対応する部分には同一の符号を付けている。図20では、T個の送信機31−1〜31−TUがあり、R個の受信機41−1〜41−TUがある。送信機31−1〜31−TUは、各々、T、T、…、TTU個の送信信号を送信アンテナから送信し、R個の受信機41−1〜41−TUは、各々、R、R、…、RRU個の受信信号を受信アンテナで受信する。それらの合計は、次式(77)、(78)のようになる。
Figure 0005121753
Figure 0005121753
ここで、T≧1、T≧1、…、TTU≧1とR≧1、R≧1、…、RRU≧1とする。つまり、T個の送信機31−1〜31−TUとR個の受信機41−1〜41−TUのそれぞれが有する送信アンテナと受信アンテナとの数は、1つ、あるいは複数のいずれでも良い。図19のようなMP−MP構成は、様々な通信シナリオに当てはまる。一例としては、複数のユーザ局が送信側とし、複数の基地局、あるいはアクセスポイントを協調させて受信側とし、これらが通信を行う場合には、協調型マルチアクセス通信となる。更に、通信を行う場合には、協調型マルチアクセス通信は、バーチャルMIMO通信とも言われる。図20では、図19の送受信局を抽象化した形でバーチャルMIMO通信を示している。本発明は、図19と図20に示すようなMP−MP構成を持つ、あらゆる通信シナリオへ適用することができる。
(19)リレー伝送
図21は、発信局から受信局までの通信を実現するため、信号を複数回中継するリレー伝送を示すブロック図である。1段目の発信局から2段目の中継局に1回目の中継を行い、中継された2段目の中継局は次段へ中継を行うというように、l回の中継を行い、l回目の中継を受けた中継局は、受信局に対してL回目の中継を行う。リレー伝送の各中継は、図23、図18、図19に示すP−P、MP−P、MP−MP通信構成で用いることができる。従って、本発明は、リレー伝送の各中継に適用することもできる。
(20)リレー・協調組合せ伝送
リレー伝送と協調伝送を組み合わせることも可能である。例えば、図22では、発信局Aから受信局Cまでの通信を実現するため、まず、発信局Aから中継局B、C、Dに信号を送る。次に、発信局Aと中継局B、C、Dが協調し合って、受信局Eに信号を送信する。従って、本発明は、リレー・協調組合せ伝送の中継局と受信局とに適用することもできる。
(21)アンテナ選択
送受信双方、あるいは一方だけアンテナ選択技術を用いる場合には、実際の送信アンテナ本数をTaとし、Tは、Ta本の送信アンテナの中から選択された実際に送信に用いるアンテナの数を意味する。つまり、T≦Taである。同様に、実際の受信アンテナ本数をRaとし、Rは、Ra本の受信アンテナの中から選択された実際に受信に用いるアンテナの数を意味する。つまり、R≦Raである。
(22)ソフトウェア
上述した実施形態は、コンピュータシステム内で実行される。そして、上述した実施形態の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記各処理が実現される。すなわち、上述した各処理は、CPUなどの中央演算処理装置がROMや、RAMなどの記憶装置に記憶されているプログラムを読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、実現されるものであっても良い。ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリなどをいう。
(23)配布ソフトウェア
また、上述したコンピュータプログラムは、通信回線を介し得コンピュータに配信されてもよく、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
(24)部分的な使い方
上述した構成の中で各回路、各処理、各プログラムを常に全部動作させるのではなく、動作が必要な状況でのみ動作させることにより、消費電力を低減させることも可能である。更に、各回路を常に全部装置に実装する必要がなく、実際の要求に応じて、必要な部分のみを実装すれば良い。
上述した実施形態によれば、従来技術によるAPPの優れた誤り率特性を維持しつつ、計算する送信系列候補、及び対応する尤度メトリックの数が、送信アンテナ数、及びコンスタレーションサイズに指数的に比例せず、所要演算量を大幅に削減することができる。
また、本実施形態によれば、記憶する送信系列候補、及び対応する尤度メトリックの数が大幅に削減できるため、それらを記憶するための記憶容量を小さくすることができ、搭載容量を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
また、本実施形態によれば、所要演算量、及び所要記憶容量が小さくなるため、それに伴い、従来技術によるAPPに比べ、実装における所要回路規模を小さくすることができる。
また、本実施形態によれば、所要回路規模や、その動作クロック周波数などに比例して所要消費電力が小さくなるので、所要回路規模が演算量、及び記憶容量を削減することによって小さくなるため、結果として所要消費電力を小さくすることができる。
また、本実施形態によれば、所要回路規模、及び所要消費電力を小さくすることによって、実装した装置の小型化・軽量化が可能になる。無線送受信機、特に無線携帯端末においては小型化・軽量化が望ましい。
また、本実施形態によれば、ハードウェアでの経済的な実装が可能になるので、MIMOシステムを備えた無線装置における製造コストを安くすることができ、容易に大量生産に適用することができる。
1 初期化処理回路
2 送信系列候補絞込み回路
3 推定符号ビット計算回路
4 記憶回路
5 制御回路
1−1 実施順番決定回路
1−2 行列変換回路
2−1 変換受信系列生成回路
2−2 変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路
2−3 順番復元回路
2−2−1 基準信号生成回路
2−2−2 初期信号点候補探索回路
2−2−3 追加信号候補探索回路
2−2−4 候補除外回路
3−1 推定符号ビット計算回路

Claims (7)

  1. 複数の送信アンテナを有する送信機から同一周波数帯で送信される複数の信号ストリームを、複数の受信アンテナで受信して信号検出・分離する空間多重受信装置であって、
    各送信系統における信号点候補選定の実施順番を決定する実施順番決定手段と、
    前記実施順番決定手段によって決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、チャネル行列の変換を行う行列変換手段と、
    前記行列変換手段による行列変換の結果に基づいて、変換受信系列を生成する変換受信系列生成手段と、
    前記行列変換手段により得られた行列変換の結果と前記変換受信系列生成手段により得られた変換受信系列とを用いて、変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの算出を行う変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段と、
    前記実施順番決定手段によって決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、前記変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段により得られた変換系列候補の空間順番を並び直して送信系列候補に復元する順番復元手段と、
    前記変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段により絞り込まれた送信系列候補と尤度メトリックとを用いて、前記順番復元手段により復元された送信系列候補の送信符号ビットに対して、推定符号ビットを生成する推定符号ビット計算手段と
    を備え
    前記変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段は、
    前記変換受信系列生成手段により生成された変換受信系列に基づいて、ある送信系列に対する基準信号を生成する基準信号生成手段と、
    前記行列変換手段による行列変換の結果と前記基準信号生成手段により生成された基準信号とに基づいて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選定し、対応する尤度メトリックを算出する初期信号点候補探索手段と、
    前記初期信号点候補探索手段により選定された初期信号点候補に基づいて、追加信号点候補を選定し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出する追加信号点探索手段と、
    前記追加信号点探索手段により算出された累積メトリックが所定の上限値を超えた場合に、当該累積メトリックに対応する部分変換系列候補を候補から除外し、送信系列候補を絞り込む候補除外手段と
    を備え、
    前記基準信号生成手段は、
    前記変換受信系列生成手段により生成された変換受信系列に基づいて、擬似逆行列を算出し、該擬似逆行列を三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段を用いて、前記基準信号を生成する
    ことを特徴とする空間多重受信装置。
  2. 前記行列変換手段は、
    前記実施順番決定手段によって決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、QR分解を行って三角行列に変換するQR分解手段、または、前記実施順番決定手段によって決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、似逆行列を算出し、該似逆行列を
    三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段のいずれか一方を用いて、前記チャネル行列の変換を行うことを特徴とする請求項1記載の空間多重受信装置。
  3. 前記変換受信系列生成手段は、
    前記行列変換手段による行列変換の結果に基づいて、QR分解を行って三角行列に変換するQR分解手段、または、前記行列変換手段による行列変換の結果に基づいて、似逆行列を算出し、該似逆行列を三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段のいずれか一方を用いて、前記変換受信系列を生成する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の空間多重受信装置。
  4. 前記初期信号点候補探索手段は、
    前記基準信号のビットパターンとの差分ビットに基づいて初期信号点候補を選定する差分ビット候補選定手段、前記基準信号からの信号点間距離に基づいて初期信号点候補を選定する最短距離候補選定手段、または前記基準信号に基づいて指定した限定エリア内から初期信号点候補を選定する限定エリア候補選定手段のいずれか1つを用いて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選定し、対応する尤度メトリックを算出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空間多重受信装置。
  5. 前記追加信号点探索手段は、
    前記基準信号のビットパターンとの差分ビットに基づいて追加信号点を選定する差分ビット候補選定手段、前記基準信号からの信号点間距離に基づいて追加信号点を選定する最短距離候補選定手段、または前記基準信号に基づいて指定した限定エリア内から追加信号点を選定する限定エリア候補選定手段のいずれか1つを用いて、追加信号点候補を選定し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空間多重受信装置。
  6. 前記推定符号ビット計算手段は、
    推定符号ビットとして信頼度情報を有する軟符号ビットを生成する軟符号ビット生成手段、または推定符号ビットとして信頼度情報を有しない硬符号ビットを生成する硬符号ビット生成手段のいずれか1つを用いて、各送信符号ビットに対する推定符号ビットを生成する
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の空間多重受信装置。
  7. 複数の送信アンテナを有する送信機から同一周波数帯で同時に送信される複数の信号ストリームを、複数の受信アンテナで受信して信号検出・分離する空間多重受信方法であって、
    各送信系統における信号点候補選定の実施順番を決定するステップと、
    前記決定された信号点候補選定の実施順番に基づいて、チャネル行列の変換を行うステップと、
    前記行列変換の結果に基づいて、変換受信系列を生成するステップと、
    前記行列変換の結果と前記変換受信系列とを用いて、変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの算出を行うステップと、
    前記信号点候補選定の実施順番に基づいて、前記絞り込まれた変換系列候補の空間順番を並び直して送信系列候補に復元するステップと、
    前記絞り込まれた送信系列候補と前記尤度メトリックとを用いて、前記復元された送信系列候補の送信符号ビットに対して、推定符号ビットを生成するステップと
    を含み、
    前記変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの算出を行うステップは、
    前記変換受信系列に基づいて、ある送信系列に対する基準信号を生成するステップと、
    前記行列変換の結果と前記基準信号とに基づいて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選択し、対応する尤度メトリックを算出するステップと、
    前記初期信号点候補に基づいて、追加信号点候補を選択し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出するステップと、
    前記累積メトリックが所定の上限値を超えた場合に、当該累積メトリックに対応する部分変換系列候補を候補から除外し、送信系列候補を絞り込むステップと
    を含み、
    前記基準信号を生成するステップでは、
    前記変換受信系列に基づいて擬似逆行列を算出し、該擬似逆行列を三角行列に変換することにより、前記基準信号を生成する
    ことを特徴とする空間多重受信方法。
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