JP5121752B2 - 空間多重マルチキャリア受信装置、及び空間多重マルチキャリア受信方法 - Google Patents
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以下では、例えば、
[A]R、T:AはR行T列の行列
aj:行列Aのj番目列ベクトル
ai、j: 行列Aのi行j列要素
AH: 行列Aの複素共役転置
AT: 行列Aの転置
A+: 行列Aの擬似逆行列
I: 単位行列I
||a||: ベクトルaのノルム
a:スカラー(つまり1x1行列)a
a*: スカラーaの複素共役
|a|: スカラーaの絶対値
Σ:累加演算
と定義している。
従来技術によるAPPでは、全部でQT通りの尤度メトリックを計算する必要があるため、送信信号の数Tの増加に伴い、所要演算量が指数的に増大し、実システムによる実現は困難である。これに対して、本発明では、送信系列候補を効率的に絞込み、その結果、尤度メトリックの計算量を大幅に削減しながら、APPの優れた誤り率特性を維持する。
図1は、本発明の実施形態による空間多重信号信号検出回路の構成を示すブロック図である。図において、空間多重信号信号検出回路10は、初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、推定符号ビット計算回路3、記憶回路4、及び制御回路5から構成されている。それぞれは、後述する初期化処理、送信系列候補絞り込み処理、推定符号ビット計算処理、データアクセス処理、と全ての処理における制御を行う。本実施形態による全ての回路ブロックは、そのブロックの信号処理目的を実現するための(1)演算素子を有し、(2)データと記憶回路4との間のアクセス(つまり、データの記憶回路4からの呼び出しと記憶回路4への書き込み)が可能である。
(A)サブキャリアグループ化回路1−1
マルチキャリアシステムでは、サブキャリアの数が増えると処理量が増えるという課題がある。そこで、処理量を減らすために、以下のようなグループ化を考える。図6に示すように、空間多重マルチキャリア信号が持つ全部でN個のサブキャリアをA(1≦A≦N)個のグループに分ける。そして、各グループに含まれるサブキャリアの数N1、N2、…、NAの総和はNとなるようにし、次式(13)のように表される。
グループ分けが行った後は、各グループを代表するチャネル行列(以下では、代表チャネル行列と呼ぶ)を生成し、グループ実施順番決定回路1−3での順番決定処理をサブキャリア毎の処理からグループ毎の処理へと簡易化する。
周波数領域チャネルに基づく代表チャネル行列生成手段は、b番目のグループにおける代表チャネル行列G(a)を、次式(14)のように生成する。
一方、時間領域チャネル行列を用いた代表チャネル行列生成も考えられる。時間領域では、周波数上にあるサブキャリアが見えないので、全てのサブキャリアを常に1つのグループとしてまとめる。つまり、A=1となる。この場合の代表チャネル行列Hは、全サブキャリアを代表することになり、次式(15)で表されるように生成される。
受信側では、送信系列s”(na)の各送信信号s”t(na)がコンスタレーション中のどの信号点であるかが分からない。従って、受信側は、各送信信号s”t(na)について、コンスタレーション中の信号点を候補として、送信信号を推測する。これを各送信信号s”t(na)における信号点候補選定と呼ぶ。
サブキャリア実施順番決定回路1−4では、グループ実施順番決定回路1−3で各サブキャリアグループにおける信号点候補選定の実施順番を決定した後、グループに属する各サブキャリアにおける信号点候補選定の実施順番を決定する。ここで、代表チャネル行列G(a)における実施順番O(a)、つまりE(O(a))に新たな並び替え行列D(na)を掛け、そのグループに属する各サブキャリアにおける実施順番E(na)を決定していく。数学的には、次式(17)のように表せる。
サブキャリア行列変換回路1−5では、サブキャリア実施順番決定回路1−4で各サブキャリアグループに属する各サブキャリアにおける信号点候補選定の実施順番を決定した後、チャネル行列の変換を行う。前述したように、サブキャリア行列変換回路1−5としては、例えば、QR分解による行列変換手段や、擬似逆行列及び三角変換手段などが考えられる。
QR分解による行列変換手段では、各グループa(1≦a≦A)に属する各サブキャリアにおける候補信号点選定の実施順番が決定すれば、実施順番E(na)通りにグループaに属する各サブキャリアのチャネル行列H”(na)の列ベクトルの順番を、次式(18)に表すように並び替える。
擬似逆行列及び三角変換手段では、各グループa(1≦a≦A)に属する各サブキャリアにおける候補信号点選定の実施順番が決定すれば、上述したQR分解による行列変換手段と同様に実施順番E(na)通りにグループaに属する各サブキャリアのチャネル行列H”(na)の列ベクトルの順番を、次式(22)に表すように並び替え、並び替えチャネル行列H(na)を生成する。
送信系列候補絞込み回路2では、推定符号ビット計算回路3での処理が効率良く実施できるように、サブキャリア変換受信系列生成回路2−1で変換受信系列を生成し、サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックの計算を行い、サブキャリア順番復元回路2−3で変換送信系列候補から送信系列候補へ復元するなどの処理を実施する。
サブキャリア変換受信系列生成回路2−1では、サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で変換系列候補の絞込みと尤度メトリックの計算が簡易化できるように、各サブキャリアグループに属する各サブキャリアが持つ受信系列x(na)に対して処理し、変換受信系列を生成する。前述したように、サブキャリア変換受信系列生成回路2−1としては、例えば、QR分解による変換受信系列生成手段や、擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段などが考えられる。
QR分解による変換受信系列生成手段では、上述したサブキャリア行列変換回路1−5のQR分解による行列変換手段に合わせて、QR分解で得た行列Q(na)の複素共役転置と受信系列x(na)とを掛けて、次式(25)のような変換受信系列y(na)を生成する。
擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段では、
上述したサブキャリア行列変換回路1−5の擬似逆行列及び三角変換手段に合わせて、擬似逆行列H+(na)と受信系列x(na)とを掛けて、次式(34)のような変換受信系列z(na)を生成する。
サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路では、サブキャリア基準信号生成回路2−2−1〜サブキャリア候補除外回路2−2−4による処理を、送信系統の本数分回、つまりT回、繰り返して実施し、変換送信系列候補の絞込みと尤度メトリックとの計算を行う。
サブキャリア基準信号生成回路2−2−1では、各サブキャリアグループに属する各サブキャリアにおける基準信号を生成する。前述したように、サブキャリア基準信号生成回路2−2−1としては、例えば、QR分解による基準信号生成手段や、擬似逆行列及び三角変換による基準信号生成手段などが考えられる。
QR分解による基準信号生成手段では、サブキャリア行列変換回路1−5のQR分解による行列変換手段とサブキャリア変換受信系列生成回路2−1のQR分解による変換受信系列生成手段に合わせて、次式(36)に基づき、候補信号点の選定を実施していないあるレイヤにおける基準信号チルダ(〜)si(na)を算出する。
擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段では、サブキャリア行列変換回路1−5の擬似逆行列及び三角変換手段とサブキャリア変換受信系列生成回路2−1の擬似逆行列及び三角変換による変換受信系列生成手段に合わせて、次式(37)に基づき、候補信号点の選定を実施していないあるレイヤにおける基準信号チルダ(〜)si(na)を算出する。
サブキャリア初期信号点候補探索回路2−2−2では、サブキャリア基準信号生成回路2−2−1で得た基準信号チルダ(〜)si(na)を用いて、初期信号点候補の選定を行う。更に、選定した信号点候補に対して、対応する累積メトリックを算出する。
差分ビット候補による初期子ノードの選定手段では、基準信号を量子化して、量子化基準信号ハット(^)si(na)を1つの初期子ノードとする。更に、量子化基準信号のビットパターン(ハット^)bt(n)=[ハット(^)bt,1(n),…,ハット(^)t,K(n)]といくつの異なるビットを持つ信号点も初期子ノードとする。
最短距離候補による初期子ノードの選定手段では、基準信号チルダ(〜)si(na)、あるいは量子化基準信号ハット(^)si(na)から距離が最も近い、いくつの信号点を選定し、量子化基準信号と一緒に初期子ノードとする。
限定エリア候補による初期子ノードの選定手段では、基準信号チルダ(〜)si(na)、あるいは量子化基準信号ハット(^)si(na)に基づいて、コンスタレーションの上にある限定したエリアを指定し、その限定エリアに入る信号点を初期子ノードとする。
サブキャリア追加信号点候補探索回路2−2−3では、サブキャリア初期信号点候補探索回路2−2−2で得た初期子ノードを用いて、追加子ノードの選定を行う。まず、サブキャリア初期信号点候補探索回路2−2−2で算出したレイヤiでの各初期子ノードの中に、対応する累積メトリックが最も小さい、いくつの初期子ノードを指定し、最尤子ノードと呼ぶ。ここで、Wiをレイヤiでの最尤子ノードの数と定義する。次に、最尤子ノードと同じ親ノードを持つ兄弟ノードを探索ツリーに追加する。追加された兄弟ノードを追加子ノードと呼ぶ。ここで、Qi(wi)をレイヤiでのwi番目の最尤子ノードにおける追加子ノードの数と定義する。最尤子ノードと対応する追加子ノードは同じ親ノードを持つ。Wi=0は最尤子ノードが指定しないことを意味する。その場合、追加子ノードQi(wi)=0となる。つまり、子ノードを追加しないことになる。
サブキャリア候補除外回路2−2−4では、更なる演算量の削減を実現するため、累積メトリック上限値を設定して、その上限値を超えている累積メトリックと対応する部分変換送信系列候補を候補から除外する。
サブキャリア順番復元回路2−3では、サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で絞り込んだ変換系列候補に対して、順番の並び直しを実施し、元の送信信号の空間順番となるように、送信系列候補に復元する。並び直しの数的な表現としては、次式(38)のように、サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路2−2で絞り込んだ変換系列候補の集合Sに属する全ての変換系列候補s(na)と並び替え行列E(na)とを掛けることになる。
推定符号ビット計算回路3では、チャネル復号器で正確に復号処理ができるように、サブキャリア推定符号ビット計算回路3−1で推定符号ビットを生成する処理を実施する。
サブキャリア推定符号ビット計算回路3−1では、サブキャリアグループ化回路1−1で分けた各グループに属する各サブキャリアに対して、送信系列候補絞込み回路2で絞り込んだ送信系列候補と尤度メトリックとを用いて、各送信符号ビットに対して、推定符号ビットを生成する。前述したように、サブキャリア推定符号ビット計算回路3−1としては、例えば、軟符号ビット生成手段や、硬符号ビット生成手段などが考えられる。
次式(40)で表される軟符号ビット、つまり信頼度情報が有する推定符号ビットの生成に関しては、様々な手法が考えられる。一例として、各送信ビットにおける近似LLR値を算出する方法がある。
数式(45)に示す硬符号ビット、つまり信頼度情報が有しない推定符号ビットの生成に関しても様々な手法が考えられる。一例として、次式(46)のように、送信系列候補絞込み回路2で算出した尤度メトリックΛ(b”(na))の中で、最も小さいものに対応するビット系列候補b”(na)を硬符号ビット系列b”Hard(na)と推定することができる。
図12は、本実施形態による空間多重信号信号検出回路10の全体動作を説明するためのフローチャートである。本実施形態による空間多重信号信号検出回路10の動作全体は、図12に示すように、初期化処理回路1による初期化処理(ステップS1)、送信系列候補絞込み回路2による送信系列候補絞込み処理(ステップS2)、推定符号ビット計算回路3による推定符号ビット計算処理(ステップS3)が実行される。
以下では、通信を行う空間多重マルチキャリアシステムでは、送信側にT=4本の送信アンテナがあり、受信側にR=4本の受信アンテナがあるとする。マルチキャリアシステムのサブキャリアは、N=64個とする。また、全てのサブキャリアの送信系統は、16−QAM変調、つまり、16−QAMコンスタレーションを使用していると仮定する。
O(1)={O1(1)=3,O2(1)=1,O3(1)=2,O4(1)=4}
O(2)={O1(2)=4,O2(2)=3,O3(2)=1,O4(2)=2}
O(3)={O1(3)=4,O2(3)=3,O3(3)=2,O4(3)=4}
O(4)={O1(4)=4,O2(4)=1,O3(4)=3,O4(4)=4}
と決定する。
(1)様々なマルチキャリアシステムへの適用
なお、マルチキャリアシステムには、様々な種類があり、例えば、OFDMシステム、OFDMAシステム、MC−CDMAシステムなどが知られている。本発明は、空間多重システムと任意のマルチキャリア方式との組み合わせに適用可能である。例えば、MIMO−OFDMシステム、MIMO−OFDMAシステム、MIMO−MC−CDMAシステムなどへの適用が可能である。
また、上述した実施形態による初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3は、空間多重マルチキャリアシステムにおける複素送受信関係を表す数式(3)に適用したが、次式(48)のような拡張複素送受信関係に対しても適用可能である。表記簡単化のため、ここでマルチキャリア信号の番号mを省略する。
また、上述した実施形態による初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3は、次式(54)で表されるような空間多重マルチキャリアシステムにおける実数送受信関係に対しても適用可能である。
また、上述した実施形態による初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3は、次式(61)で表されるような空間多重マルチキャリアシステムにおける拡張実数送受信関係に対しても適用可能である。
また、上述した実施形態による初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3は、空間多重マルチキャリアシステムにおける複素送受信関係、拡張送受信関係、実数送受信関係、拡張実数送受信関係に適用した場合には、数式(68)に示す、複素チャネル行列、拡張チャネル行列、実数チャネル行列、拡張実数チャネル行列をそのまま用いるのではなく、チャネル行列に対して基底縮小を施し、チャネル行列の各列ベクトルが近似直交化された基底縮小チャネル行列を、初期化処理回路1、送信系列候補絞込み回路2、及び推定符号ビット計算回路3に用いても良い。
グループ実施順番決定回路1−3では、QR分解を用いる。各送信系統における候補信号点選定の実施順番{O1(a),O2(a),…,OT(a)}を反映するQR分解としてはいく通りものパターンが考えられる。
更に、行列のQR分解は、あるR行T列のチャネル行列Hを、R行T列の準ユニタリ行列QとT行T列の下三角行列Lとに分解すること、あるいはR行T列のチャネル行列Hを、R行R列のユニタリ行列Qと下三角行列Lを含むR行T列の行列(数式(78)参照)とに分解することもできる。それを数式(79)で表す。
また、サブキャリア実施順番決定回路1−4による候補信号点実施順番決定処理とサブキャリア行列変換回路1−5によるQR分解処理とについては、別々に処理する他に、同時に処理することも可能である。つまり、まず、順番O=O1,O2,…,OT(E(O)と等価である)を決定し、次に、順番に基づいてチャネル行列の列ベクトルを並び替えてからQR分解せずに、順番決定とチャネル行列の並び替えとQR分解とを同時に行うことも可能である。
空間多重マルチキャリアシステムの各サブキャリアのQR分解については、まず一部のサブキャリアだけをQR分解し、残りのサブキャリアにおいては、先に計算された一部のサブキャリアのQR分解結果を利用して、挿入補間(Interpolation)法によって残りのサブキャリアのQR分解を実施しても良い。この場合、サブキャリア数の大きい空間多重マルチキャリアシステムにおいては更なる演算量の低減につながる。
サブキャリア行列変換回路1−5では、チャネル行列を変換して、尤度メトリックの再帰的な表現を導出したが、他のチャネル行列変換によって尤度メトリックを再帰的に表現しても良い。また、チャネル行列を変換せずに、尤度メトリックを再帰的に表現しても良い。最終的にツリー探索構造を用いて説明できる尤度メトリックの再帰的な表現式であれば、本発明の適用は全て可能である。
上述した説明では、QPSKや、QAM変調方式を例として挙げたが、他のあらゆる同期検波が可能な変調方式、つまり、コンスタレーションに対して、本発明技術を適用できる。例えば、多値PSK変調方式や、多値ASK変調方式などが考えられる。
受信側で空間多重信号検出器が出力する推定符号ビットを処理するチャネル復号器としては如何なるものを用いても良い。例えば、ビタビ(Viberbi)アルゴリズム、ファノ(Fano)アルゴリズム、スタック(Stack)アルゴリズムなどが考えられる。また、復号器としてTurbo、あるいはLDPCなどの反復復号構成を用いる場合には、空間多重信号検出器とチャネル復号器との間に反復的に情報交換を行うこととする。
本発明に用いる受信側チャネル行列の獲得には、様々な方法が考えられる。例えば、信号パケットの先頭部、中間、あるいは後尾部に挿入されるパイロット信号を利用して、チャネル推定を行うことで得られる。また、パイロット信号を用いずに、ブラインドでチャネル推定を行い、チャネル行列を算出することも可能である。また、受信側では、直接、チャネルの推定を行わずに、送信側から推定したチャネル行列情報を受信側に送ることによって受信側にチャネル行列を持たせても良い。つまり、最終的に受信側がチャネル行列を保有できる方法ならば如何なる方法であっても良い。
図18は、上述した数式(3)に示す送受信関係式を送受信信号フォーマットに関連づけた概念図である。1つの信号パケットには、M個の空間多重マルチキャリア送信信号が含まれる。数式(3)は、M個の送信信号の中のm番目の送信信号における送受信信号関係を表している。送信信号パケットの先頭では、送信パイロット信号があり、受信側では、まず、受け取ったパイロット信号を用いてチャネル推定を行う。次に、推定で得られたチャネル行列を用いて送信パイロット信号の後ろのデータ信号について信号検出処理を行う。このように、信号パケットを1つずつ処理していく。
空間(つまり、MIMO)チャネルの相関性質を利用して、ある空間多重マルチキャリア受信信号、あるいは受信パケットにおける各サブキャリアの信号点候補選定の実施順番O(na)(つまり、E(na))と、信号点候補絞込みに用いる諸パラメータPi(j)、Vi、Qi(ν)などを、次に受信される1つ、あるいは複数の空間多重マルチキャリア受信信号、あるいは受信パケットに流用しても良い。その場合、実施順番O(na)などのパラメータを、空間多重マルチキャリア受信信号毎に更新しなくて良いため、更なる演算量の低減につながる。
図24に示す従来技術では、1つの送信機による送信側と1つの受信機による受信側とから構成されるポイント対ポイント通信(P−P)であるが、複数の送信機による送信側と1つの受信機による受信側から構成されるマルチポイント対ポイント通信(MP−P)も考えられる。具体的には、一例として、図19に示すようなシステム構成となる。なお、図24に対応する部分には同一の符号を付けている。図19では、TU個の送信機31−1〜31−TUがあり、1個の受信機40がある。送信機31−1〜31−TUは、各々、T1、T2、…、TTU個の送信信号を送信アンテナから送信する。それらの合計は、次式(83)のように、Tとなる。
複数の送信機による送信側と複数の受信機による受信側とから構成されるマルチポイント対マルチポイント通信(MP−MP)も考えられる。具体的には、図20に示すようなシステム構成となる。なお、図24に対応する部分には同一の符号を付けている。図20では、TU個の送信機31−1〜31−TUがあり、RU個の受信機41−1〜41−TUがある。送信機31−1〜31−TUは、各々、T1、T2、…、TTU個の送信信号を送信アンテナから送信し、RU個の受信機41−1〜41−TUは、各々、R1、R2、…、RRU個の受信信号を受信アンテナで受信する。それらの合計は、次式(84)、(85)のようになる。
図22は、発信源から受信源までの通信を実現するため、信号を複数回中継するリレー伝送を示すブロック図である。1段目の発信局から2段目の中継局に1回目の中継を行い、中継された2段目の中継局は次段へ中継を行うというように、l回の中継を行い、l回目の中継を受けた中継局は、受信局に対してL回目の中継を行う。リレー伝送の各中継は、図24、図19、図20、図21に示すP−P、MP−P、MP−MP通信構成で用いることができる。従って、本発明は、リレー伝送の各中継に適用することもできる。
リレー伝送と協調伝送を組み合わせることも可能である。例えば、図23では、発信局Aから受信局Cまでの通信を実現するため、まず、発信局Aから中継局B、C、Dに信号を送る。次に、発信局Aと中継局B、C、Dが協調し合って、受信局Eに信号を送信する。従って、本発明は、リレー・協調組合せ伝送の中継局と受信局とに適用することもできる。
(22)アンテナ選択
送受信双方、あるいは一方だけアンテナ選択技術を用いる場合には、実際の送信アンテナ本数をTaとし、Tは、Ta本の送信アンテナの中から選択された実際に送信に用いるアンテナの数を意味する。つまり、T≦Taである。同様に、実際の受信アンテナ本数をRaとし、Rは、Ra本の受信アンテナの中から選択された実際に受信に用いるアンテナの数を意味する。つまり、R≦Raである。
上述した実施形態は、コンピュータシステム内で実行される。そして、上述した実施形態の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記各処理が実現される。すなわち、上述した各処理は、CPUなどの中央演算処理装置がROMや、RAMなどの記憶装置に記憶されているプログラムを読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、実現されるものであっても良い。ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリなどをいう。
また、上述したコンピュータプログラムは、通信回線を介し得コンピュータに配信されてもよく、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
上述した構成の中で各回路、各処理、各プログラムを常に全部動作させるのではなく、動作が必要な状況でのみ動作させることにより、消費電力を低減させることも可能である。更に、各回路を常に全部装置に実装する必要がなく、実際の要求に応じて、必要な部分のみを実装すれば良い。
2 送信系列候補絞込み回路
3 推定符号ビット計算回路
4 記憶回路
5 制御回路
1−1 サブキャリアグループ化回路
1−2 グループ代表チャネル行列生成回路
1−3 グループ実施順番決定回路
1−4 サブキャリア実施順番決定回路
1−5 サブキャリア行列変換回路
2−1 サブキャリア変換受信系列生成回路
2−2 サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算回路
2−3 サブキャリア順番復元回路
2−2−1 サブキャリア基準信号生成回路
2−2−2 サブキャリア初期信号点候補探索回路
2−2−3 サブキャリア追加信号点候補探索回路
2−2−4 サブキャリア候補除外回路
3−1 サブキャリア推定符号ビット計算回路
Claims (8)
- 複数の送信アンテナを有する送信機から同時に送信される複数の信号ストリームを、複数の受信アンテナで受信して信号検出・分離する空間多重マルチキャリア受信装置であって、
複数のサブキャリアをグループ化するサブキャリアグループ化手段と、
前記サブキャリアグループの各々を代表する代表チャネル行列を生成するグループ代表チャネル行列生成手段と、
前記サブキャリアグループの各々の代表チャネル行列に基づいて、各送信系統における信号点候補選定の実施順番を決定するグループ実施順番決定手段と、
前記サブキャリアグループの各々における信号点候補選定の実施順番に基づいて、前記サブキャリアグループに属する各サブキャリアにおける信号点候補選定の実施順番を決定するサブキャリア実施順番決定手段と、
前記サブキャリアグループの各々に属する各サブキャリアに対して、前記グループ実施順番決定手段によって決定された、各送信系統における信号点候補選定の実施順番と、前記サブキャリア実施順番決定手段によって決定された、各サブキャリアにおける信号点候補選定の実施順番とに基づいて、チャネル行列の変換を行うサブキャリア行列変換手段と、
前記サブキャリア行列変換手段による行列変換の結果に基づいて、変換受信系列を生成するサブキャリア変換受信系列生成手段と、
前記サブキャリアグループの各々に属する各サブキャリアに対して、前記サブキャリア行列変換手段による行列変換の結果と前記サブキャリア変換受信系列生成手段により生成された変換受信系列とに基づいて、変換送信系列候補の絞り込みと尤度メトリックとを計算するサブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段と、
前記サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段により絞り込まれた前記変換送信系列候補の順序を変更して送信系列候補に復元するサブキャリア順番復元手段と、
前記サブキャリア順番復元手段により復元された送信系列候補と前記サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段により算出された尤度メトリックとに基づいて、各送信符号ビットに対する推定符号ビットを生成する推定符号ビット生成手段と
を備え、
前記サブキャリア変換送信系列候補絞込み・尤度メトリック計算手段は、
前記サブキャリア変換受信系列生成手段により生成された変換受信系列に基づいて、ある送信系列に対する基準信号を生成するサブキャリア基準信号生成手段と、
前記サブキャリア行列変換手段による行列変換の結果と前記サブキャリア基準信号生成手段により生成された基準信号とに基づいて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選定し、対応する尤度メトリックを算出するサブキャリア初期信号点候補探索手段と、
前記サブキャリア初期信号点候補探索手段により選定された初期信号点候補に基づいて、追加信号点候補を選定し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出するサブキャリア追加信号点探索手段と、
前記サブキャリア追加信号点探索手段により算出された累積メトリックが所定の上限値を超えた場合に、当該累積メトリックに対応する部分変換系列候補を候補から除外し、送信系列候補を絞り込むサブキャリア候補除外手段と
を備え、
前記サブキャリア基準信号生成手段は、
前記サブキャリアグループに属する各サブキャリアに基づいて擬似逆行列を算出し、該擬似逆行列を三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段を用いて、前記基準信号を生成する
ことを特徴とする空間多重マルチキャリア受信装置。 - 前記グループ代表チャネル行列生成手段は、
前記サブキャリアグループの各々に属する各サブキャリアの周波数領域チャネル、または前記サブキャリアグループの各々に属する各サブキャリアの時間領域チャネルのいずれか一方に基づいて、前記代表チャネル行列を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の空間多重マルチキャリア受信装置。 - 前記サブキャリア行列変換手段は、
前記サブキャリアグループに属する各サブキャリアに基づいてQR分解を行って三角行列に変換するQR分解手段、または、前記サブキャリアグループに属する各サブキャリアに基づいて擬似逆行列を算出し、該擬似逆行列を三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段のいずれか一方を用いて、前記チャネル行列の変換を行う
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の空間多重マルチキャリア受信装置。 - 前記サブキャリア変換受信系列生成手段は、
前記サブキャリアグループに属する各サブキャリアに基づいてQR分解を行って三角行列に変換するQR分解手段、または、前記サブキャリアグループに属する各サブキャリアに基づいて擬似逆行列を算出し、該擬似逆行列を三角行列に変換する擬似逆行列及び三角変換手段のいずれか一方を用いて、前記変換受信系列を生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空間多重マルチキャリア受信装置。 - 前記サブキャリア初期信号点候補探索手段は、
前記基準信号のビットパターンとの差分ビットに基づいて選定する差分ビット候補選定手段、前記基準信号からの信号点間距離に基づいて選定する最短距離候補選定手段、または前記基準信号に基づいて指定した限定エリア内から選定する限定エリア候補選定手段のいずれか1つを用いて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選定し、対応する尤度メトリックを算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空間多重マルチキャリア受信装置。 - 前記サブキャリア追加信号点探索手段は、
前記基準信号のビットパターンとの差分ビットに基づいて選定する差分ビット候補選定手段、前記基準信号からの信号点間距離に基づいて選定する最短距離候補選定手段、または前記基準信号に基づいて指定した限定エリア内から選定する限定エリア候補選定手段のいずれか1つを用いて、追加信号点候補を選定し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の空間多重マルチキャリア受信装置。 - 前記推定符号ビット生成手段は、
推定符号ビットとして信頼度情報を有する軟符号ビットを生成する軟符号ビット生成手段、または推定符号ビットとして信頼度情報を有しない硬符号ビットを生成する硬符号ビット生成手段のいずれか1つを用いて、各送信符号ビットに対する推定符号ビットを生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空間多重マルチキャリア受信装置。 - 複数の送信アンテナを有する送信機から同時に送信される複数の信号ストリームを、複数の受信アンテナで受信して信号検出・分離する空間多重マルチキャリア受信方法であって、
複数のサブキャリアをグループ化するステップと、
前記サブキャリアグループの各々を代表する代表チャネル行列を生成するステップと、
前記サブキャリアグループの各々の代表チャネル行列に基づいて、各送信系統における信号点候補選定の実施順番を決定するステップと、
前記サブキャリアグループの各々における信号点候補選定の実施順番に基づいて、前記サブキャリアグループに属する各サブキャリアにおける信号点候補選定の実施順番を決定するステップと、
前記サブキャリアグループの各々に属する各サブキャリアに対して、前記各送信系統における信号点候補選定の実施順番と、前記各サブキャリアにおける信号点候補選定の実施順番とに基づいて、チャネル行列の変換を行うステップと、
前記チャネル行列の変換結果に基づいて、変換受信系列を生成するステップと、
前記各サブキャリアに対して、前記チャネル行列の変換の結果と、前記変換受信系列とに基づいて、変換送信系列候補の絞込みをするステップと、
前記各サブキャリアに対して、前記チャネル行列の変換の結果と、前記変換受信系列とに基づいて、尤度メトリックを算出するステップと、
前記絞込まれた変換送信系列候補の順序を変更して送信系列候補に復元するステップと、
前記復元された送信系列候補と前記算出された尤度メトリックとに基づいて、各送信符号ビットに対する推定符号ビットを生成するステップと
を含み、
前記変換送信系列候補の絞込みをするステップと尤度メトリックを算出するステップとは、
前記変換受信系列に基づいて、ある送信系列に対する基準信号を生成するステップと、
前記チャネル行列の変換結果と前記基準信号とに基づいて、変換送信系列候補の1つを初期信号点候補として選定し、対応する尤度メトリックを算出するステップと、
前記初期信号点候補に基づいて、追加信号点候補を選定し、前記尤度メトリックの和である累積メトリックを算出するステップと、
前記累積メトリックが所定の上限値を超えた場合に、当該累積メトリックに対応する部分変換系列候補を候補から除外し、送信系列候補を絞り込むステップと、
を含み、
前記基準信号を生成するステップでは、
前記サブキャリアグループに属する各サブキャリアに基づいて擬似逆行列を算出し、該擬似逆行列を三角行列に変換することにより、前記基準信号を生成する
ことを特徴とする空間多重マルチキャリア受信方法。
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