JP2016163078A - 復調装置および復調方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】格子縮小法が適用されたQRM−MLDよりも処理量を削減すると共に、格子縮小法が適用されたQRM−MLDと同等の受信性能を得る。
【解決手段】復調装置20は、第1の変換部21、第1の算出部22、第2の変換部23、および第2の算出部24を有する。第1の変換部21は、チャネル応答行列を格子縮小基底変換する。第1の算出部22は、格子縮小基底変換されたチャネル応答行列を用いて、受信信号に対して格子縮小基底上での線形検出を行い、格子縮小基底上でのシンボルの期待値を算出する。第2の変換部23は、シンボルの期待値を、格子縮小基底から元の基底に逆変換する。第2の算出部24は、逆変換されたシンボルの期待値に対して元の基底上で干渉キャンセル法を実行し、軟判定データを算出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、復調装置および復調方法に関する。
MIMO(Multiple Input Multiple Output)多重法を用いた無線通信システムが知られている。MIMOでは、送信機からの送信信号は、複数の独立したシンボルが多重化された状態で送信される。受信機は、送信信号を複数の受信アンテナで受信し、受信信号を復調して送信ビットに対応する軟判定データを出力する。MIMO復調では、受信信号から最適なシンボルを推定する処理が行われる。
受信信号から最適なシンボルを推定する手法としては、例えば、網羅的に全てのシンボルについて検索を行うFull−MLD(Maximum Likelihood Detection)や、MMSE(Maximum Mean Square Estimation)が知られている。また、Full−MLDの処理量を低減する方式として、QRM−MLD(complexity reduced MLD with QR decomposition and M algorithm)等が知られている。
また、格子縮小基底変換により変換された格子縮小基底において、MMSE等の線形検出法を適用することで、元の基底における線形検出よりも最適シンボルに近いシンボルを検出できる確率が大きくなることが知られている。また、QRM−MLDにおいても、格子縮小基底変換により変換された格子縮小基底においてQRM−MLDを適用することで、一定の条件下で誤り率等の受信特性が改善することが知られている。
D. Wubben, R. Bohnke, V. Kuhn, and K. D. Kammeryer, "Near-maximum-likelihood detection of MIMO systems using MMSE-based lattice reduction," IEEE Int. Conf. on Commun. (ICC’04), Vol. 2, June, 2004. X.-F. Qi and K. Holt, "A Lattice-Reduction-Aided Soft Demapper for High-Rate Coded MIMO-OFDM Systems" IEEE Signal Processing Letters, vol. 14, no. 5, pp. 305 - 308, May 2007. S. Aubert, Y. Nasser, and F. Nouvel, "Lattice Reduction-Aided Minimum Mean Square Error K-Best Detection for MIMO Systems" in International Conference on Computing, Networking and Communications, ICNC 2012.
ところで、送信側では、情報ビット系列には、誤り訂正符号等が付加され、符号ビット系列として送信される。受信側では、受信信号系列を復調して軟判定データを生成し、生成した軟判定データに基づいて誤り訂正等の処理を行い、送信された情報ビット系列を推定する。QRM−MLDでは、格子縮小法を適用することにより処理量を削減できるが、MMSE等の線形検出法に比べて、処理量は依然として大きい。
また、格子縮小法が適用された線形検出法では、復調結果として硬判定データが出力される。格子縮小法が適用された線形検出法は、誤り率等の受信性能において、格子縮小法が適用されたQRM−MLDと同等の特性を、格子縮小法が適用されたQRM−MLDよりも少ない処理量で実現することができる。しかし、軟判定データに基づいて誤り訂正等を行う後段の処理を考慮すると、格子縮小法が適用された線形検出法は、格子縮小法が適用されたQRM−MLDよりも受信性能が劣る。
本願に開示の技術は、格子縮小法が適用されたQRM−MLDよりも処理量を削減すると共に、格子縮小法が適用されたQRM−MLDと同等の受信性能を得る。
1つの側面では、復調装置は、第1の変換部と、第1の算出部と、第2の変換部と、第2の算出部とを有する。第1の変換部は、チャネル応答行列を格子縮小基底変換する。第1の算出部は、格子縮小基底変換された前記チャネル応答行列を用いて、受信信号に対して格子縮小基底上での線形検出を実行し、格子縮小基底上でのシンボルの期待値を算出する。第2の変換部は、前記シンボルの期待値を、格子縮小基底から元の基底に逆変換する。第2の算出部は、逆変換された前記シンボルの期待値に対して元の基底上で干渉キャンセル法を実行し、軟判定データを算出する。
1実施形態によれば、格子縮小法が適用されたQRM−MLDよりも処理量を削減することができると共に、格子縮小法が適用されたQRM−MLDと同等の受信性能を得ることができる。
図1は、通信システムの一例を示す図である。 図2は、格子縮小基底への変換イメージの一例を示す図である。 図3は、復調装置の一例を示すブロック図である。 図4は、実施例1における復調処理の一例を示すフローチャートである。 図5は、実施例1における第1の処理の一例を示すフローチャートである。 図6は、実施例1における第2の処理の一例を示すフローチャートである。 図7は、実施例2における第1の処理の一例を示すフローチャートである。 図8は、実施例2における第2の処理の一例を示すフローチャートである。 図9は、実施例2における復調装置の受信特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。 図10は、実施例5における復調処理の一例を示すフローチャートである。 図11は、実施例5における第3の処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、実施例5における第4の処理の一例を示すフローチャートである。 図13は、復調装置の機能を実現する通信装置の一例を示す図である。
以下に、本願の開示する復調装置および復調方法の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[通信システム10の概要]
図1は、通信システム10の一例を示す図である。通信システム10は、送信装置11と受信装置12とが、無線チャネルを通して情報ビットを送受信する。以下に、それぞれの装置の処理の概要を説明する。
[送信装置11の処理]
送信装置11は、符号化器110、変調シンボルマッピング部111、およびMIMO送信器112を有する。符号化器110は、誤り訂正符号化することにより、入力された情報ビット系列を符号ビット系列に変換する。変調シンボルマッピング部111は、規定の数のビットの単位で変調処理を行うことにより、符号ビット系列を信号シンボルにマッピングする。信号シンボル(以下「シンボル」と呼ぶ)は、元のビットの値に対応して、複素平面上(信号空間)の異なる点として表される。
MIMO送信器112は、信号シンボル系列を、複数の独立な系列(レイヤ)に分割する。そして、MIMO送信器112は、各レイヤのシンボルを、そのまま単独か、あるいは、複数のレイヤのシンボルを多重した結果を複数のアンテナのいずれかに対応させ、信号の系列とする。アンテナ毎のデータ信号の系列をストリームと呼ぶ。ストリームは、単位時間毎に、複数のアンテナから同時に搬送波の形に変換してチャネルへと送出される。従って、単位の時間において送信される送信信号は、複数の独立なシンボルが多重された状態で送信される。この意味で、このようなチャネルを「空間多重チャネル」と呼ぶ。
[受信装置12の処理]
受信装置12は、MIMO受信器120、復調装置20、および復号器121を有する。MIMO受信器120は、複数の受信アンテナを介してデータを受信する。各受信アンテナからのデータに含まれる送信シンボルは、複数の送信アンテナから送信されるシンボルが多重されたものである。
復調装置20は、受信シンボルから各ビットに対応する軟判定データとなる、尤度データを求める。尤度データは、復号処理の観点で軟判定データとも呼ばれる。復号器121は、軟判定データを用いて誤り訂正復号処理を行い、送信ビットを推定する。そして、復号器121は、推定したビットを推定ビットとして出力する。
本明細書では、レイヤマッピングおよびプレコーディングの詳細は影響しないため、その詳細には立ち入らない。それらは一般にストリームに対しての変換行列の形で表わされ、チャネル応答行列の前後の掛け算となる。よってチャネル応答行列をそれらの行列を含めて再定義することで、以下の定式化に当てはめることができる。またこれに伴って、レイヤと送信アンテナはほぼ同義語として、適宜、使い分けて併用する。
[前提]
各実施例の説明に先立ち、各実施例で前提としている事項について説明する。まず、各用語の定義について下記の表1に示す。
Figure 2016163078
上記の表1において、変調マッピングm−QAMは、2次元上の正方格子空間の一部分として定義されるQAMであることを前提とする。また、信号点(コンステレーション)において、ciは複素数として表される。ciの実数成分および虚数成分は、それぞれIチャネル成分およびQチャネル成分と呼ばれる。また、シンボルマッピングブロックbkは、符号ビット系列の先頭からmc個毎に小ブロックに分割するものとして、その任意の1つを示している。
チャネル応答行列における統計性については、一般的に適用されるフェージング環境に対するモデルが適用されるものと仮定する。特に、時間周波数のシンボルリソースの空間で、シンボルの集合であるブロックの範囲内ではシンボル間の振幅の変動が小さく、ほぼ同一の値として近似されるような場合を想定する。また、軟判定データLkは、対数尤度比あるいは、メトリックに対応する、正負符号および、大きさをもつ、実数値の量である。正負の値は硬判定ビットに対応する。なお、以下の説明において、複素行列Xのエルミート転置については、XまたはXHの表記を適宜使用する。
本実施例において、システムモデルは、例えば下記の(1)式のように表される。
Figure 2016163078
[変調スキーム]
一般に複数のビットのブロックを1個の複素数で表わされる信号点にマッピングすることを多値変調と言う。本明細書では、変調スキームをm−QAMに限定する。QAMは、IチャネルおよびQチャネルのそれぞれの成分が互いに独立で、同じマッピング規則に従う。よって、以下では代表的にIチャネルについて説明する。
マッピングのパターンによっていくつかの種類はあるが、以下では典型的なGrayマッピングを仮定する。Grayマッピングは、互いに隣接している信号点に対しては、1つのビットだけが異なる(「反転する」とも言う)ビットパターンが割り当てられる。
シンボルの平均電力が1であるという規格化のもとで、QAMのI(Q)成分は以下のように示される。
Figure 2016163078
ここで、
Figure 2016163078
としている。ただし、
Figure 2016163078
は、I(Q)成分へマッピングされるビットの数、および異なる信号点の数である。また、Aは最小振幅である。すなわち、シンボルの振幅の値は、Aを基準として、正負の奇数値倍となる。
[実数表現]
通常、ベースバンドにおける変調シンボルは複素数で表現される。これに合わせて、チャネル応答、受信信号、雑音信号も複素数で表わされる。しかし、以下では幾何学的で直感的な表現が便利であるため、等価な実数表現を中心に用いる。複素数による行列およびベクトルの演算は、サイズが2倍の実数成分による行列およびベクトルによって表現できる。
例えば、複素数のスカラー値の掛け算は、以下の対応関係で数学的には等価な結果を与える演算として表現される。
Figure 2016163078
なお、複素ベクトルや行列への拡張は、各要素を、自由度を拡張する形にそのまま置き換えることで実現される。この変換を用いることで(1)式のシステムモデルは、実数成分の行列表示に変換される。特に、両方の表現を同時に扱う必要がない限りは、行列やベクトルはいずれかの表現で表わされるものとして、ここでは、特に両者を区別する定義は導入しない。ただし、実数表現では、ベクトルや行列のサイズはちょうど2倍となる。混乱がない限り、アンテナ数は、複素表現での2倍の値をとるものとして読み替えるものとする。つまり、通常2×2のMIMOシステムでは、4×4の実成分のMIMOシステムと等価になる。
[MIMO復調]
受信データは(1)式の形にモデリングされるものとする。受信データy、チャネル応答行列H、および、受信端でのアンテナ毎の送信電力Es,NはMIMO受信器120の測定処理によって取得できることを前提とする。MIMO復調は、各送信シンボルにマッピングされる符号ビットbiに対応する、軟判定データLiを生成する処理である。
軟判定データは、数学的には対数尤度比に対応する。対数尤度比は、ある送信ビットについて、0の確率と1の確率との比の対数として定義される。送信シンボルベクトルs内の、ある符号ビットbiの値がb=0または1となる確率は、その符号ビットの値がbi=bとなるようなシンボルベクトルの候補のうち、最大の確率を取るシンボルベクトルが送信シンボルベクトルとなる確率として近似的に求められる。
本実施例では、最大確率のシンボル(ベクトル)を「最適シンボル(ベクトル)」と呼ぶ。以下、混乱が生じない限り、シンボルベクトルを単にシンボルと呼ぶものとする。また、最適シンボルに含まれる各ビットの値b=0または1に対して、反転した値についての最大確率のシンボルを「対抗シンボル」と呼ぶ。各ビットの尤度は、この確率比の対数として与えられる。
手順の大枠は以下のようになる。
1)最適シンボル推定
2)対抗シンボル推定
3)軟判定データ生成
[軟判定と硬判定の区別]
一般的に「MIMO復調」と言う場合、その出力結果が「軟判定データ」なのか、あるいは「硬判定データ」なのかを区別することが必要となる。MIMOを利用する無線通信システムにおいて、大きな伝送レートのデータチャネルは、図1に示したシステムモデルに従うのが一般的である。すなわち、変調シンボルマッピングの前には誤り訂正符号化を行い、受信側では誤り訂正復号処理を行うことで、劣悪な無線伝搬環境に対してより信頼度の高い受信処理が可能となる。信頼度の高い強力な復号処理を行うためには、入力データとして各ビットに対応した「軟判定データ」を用いる。以下に、本明細書で用いられるそれぞれの定義を示す。
1)軟判定データ
推定ビットに加えて、その推定値の信頼度からなるデータ。
2)硬判定データ(ビット)
本明細書では、上記の軟判定データに含まれる推定ビットを指す。変調マッピングシンボル(あるいはベクトル)の単位で、各ビットの値が硬判定ビットで構成されるシンボルのことを、「硬判定シンボル」と呼ぶ。また、この硬判定シンボルが、最適な復調処理の結果得られる場合「最適シンボル」と呼ぶ。
一般に使用される復調方式は大きく分けて以下のように分類される。
(1)最大尤度検出(MLD)
MLDは、特性が良好であるが、処理量が多い。
処理量を改善した方式としては、例えば部分選択方式が挙げられる。
具体例としては、SD(Sphere Decoding)やQRM−MLDが知られている。
(2)線形検出
線形検出は、特性はMLDよりも劣るが、処理量は、MLDよりも少ない。
特性を改善した方式としては、例えば干渉キャンセル方式が挙げられる。
具体例としては、SIC(Successive Interference Cancelation)やPIC(Parallel Interference Cancelation)が知られている。
SICは、各シンボルの処理順に、シンボルの推定処理と、推定シンボルから求められる干渉成分を受信データにからキャンセルする処理とを、逐次的に繰り返す方式である。
また、PICは、対象のシンボルに対して、それ以外のシンボルを、この時点での仮の推定シンボルを用いて全てキャンセルする方式である。干渉キャンセル法では、従来の線形検出方式に比べて処理量は増加するが、MLDおよびMLDの処理量改善方式と比べると、処理量は小さい。
[格子縮小法]
MIMOでは、複数の送信アンテナから送信される変調シンボルが多重化されて送信される。多重化された信号は、1つの大きなシンボルとみなすことができる。このシンボルが取り得る候補の点は、離散的な格子上の点であると解釈することができる。「格子」は、基底ベクトルによって張られる線形空間である。受信処理は、数学的には、この格子により張られる空間において、受信信号の点から、最も近いと思われる格子上の点を特定する方法であると定式化することができる。この枠組みにおいて、格子を定義する基底ベクトルを適切に変換することにより、線形検出法において、特性が改善される。
格子縮小法は、「最適シンボル」を求めるという目的に対して、「線形検出法の範囲でMLDに近い特性が得られる」ものとして提案された(例えば、下記の非特許文献4参照)。
[非特許文献4]
H. Yao and G. Wornell, ”Lattice-Reduction-Aided Detectors for MIMO Communication Systems”, in IEEE Proc. Globecom, Taipei, Taiwan, November 17-21 2002.
そのため、MLDの立場からは、MLDよりも少ない処理量で、MLDと同等の特性を得るための方法とみることができる。一方、線形検出法の立場からは、従来の線形検出法と同等の処理量で、従来の線形検出法よりも特性の良い硬判定結果を与える方法と見ることができる。従って、従来の復調方式に対して格子縮小法を適用することは、代表的な二つの方式であるMLDと線形検出法との間の、特性と処理量のトレードオフ関係のギャップを埋めることができると考えられる。
これは「硬判定」については正しいことが前述の非特許文献1において示された。しかし「軟判定」については課題を含む。格子縮小基底上では、線形検出により軟判定データを求める方法が知られていない。ただし、MLDでは、格子縮小基底上で軟判定データを求めることが可能である。例えば、従来の近似的なMLD方式であるQRM−MLDにおいて、格子縮小基底変換を適用し、変換後の基底上でQRM−MLDを行うことで、候補の選択数をより小さくしても、特性劣化を抑えることができる。これにより、MLDの処理量を削減できる。
ただし、上記の効果を有効とするためには、適用される環境が限定される。例えば、フェージング環境が静的であるか、あるいは、チャネルの変動があっても、十分緩やかである「準静的な」フェージング環境の場合に、上記の効果が得られる。しかし、このような環境は、特殊な環境というわけではなく、むしろ伝送レートが大きい場合には典型的に発生し得る環境である。
[格子基底縮小法の詳細]
以下では、実数表現を用いるものとする。受信信号は、付加雑音成分がない場合には、
Figure 2016163078
と表される。ここで表現をシンプルにするため、送信電力は1に規格化している(チャネルあるいはシンボルにスケール係数として含めて再定義すると考えても良い)。これは、各列ベクトルhiが互いに線形独立であれば、線形空間の数学的な定義式となっている。特に送信シンボルsiが整数値のみを取るものとすると、結果として受信信号ベクトルyが取り得る値は、hiを基底ベクトルとする格子点となる。雑音がある一般的な場合には、格子点から雑音ベクトルの分だけずれた位置に受信信号は測定される。そこで、この解釈によるとMIMO復調処理は、受信信号から、送信シンボルとして定義される「格子上の点を特定すること」と一般化される。
さて、特定の与えられた格子に対して、数学的には格子を表現する方法は上記した(2)式に限定されない。基底ベクトルの和として定義される任意のベクトルはある格子点に対応しており、任意にN個の線形独立なものを選択しても、基底となり得る。この変換行列をTとすると、同じ格子は、下記の(3)式のように表される。
Figure 2016163078
ここで、
Figure 2016163078
となる。これを「格子縮小基底変換」と呼ぶ。
格子縮小基底変換とは、基底ベクトルが互いになるべく直交関係に近くなるように変換することを言う。図2は、格子縮小基底への変換イメージの一例を示す図である。図2において、白丸は格子点である。送信した変調シンボルが受信側で、雑音成分がなく受信された場合に受信信号が取り得る値に対応している。図2の左側が、チャネルの定義により自然に定義される、格子基底の表現で、相関が高い場合の例となっている。図2の右図は、この同じ格子に対して、格子基底の変換により、互いに直交に近い位置関係にある、別の基底の組を選ぶようにしたものである。
格子縮小基底変換では、まず、基底変換行列およびその逆行列が算出される。ただし、基底変換行列およびその逆行列を算出するアルゴリズムの詳細は、開示の技術には影響しない。そのため、チャネル毎に何らかの方法で基底変換行列およびその逆行列が効率的に求められるものと仮定する。例えば、準最適な方法として広く知られているLLL(Lenstra-Lenstra-Lovasz)アルゴリズムを用いて、チャネル毎に基底変換行列およびその逆行列を求めることができる。LLLアルゴリズムの詳細については、例えば前述の非特許文献1等に記載されている。
[格子点の数値的な扱い方]
前述のように、送信シンボルは格子点として表される。数学的にはこれで十分であるが、アルゴリズム上で実際に使用するためには、具体的な数値で表わす必要がある。元の格子基底におけるシンボルベクトルの各成分は多値変調シンボルの実数成分である。よって、これをより具体的に振幅および電力を含めて表すと、下記のようになる。
Figure 2016163078
ここで、システムモデルにおいて、シンボルsに適当な既知の「定数ベクトルの加算」をしても「定数スケール」をしても、同時に受信データを変換することで特性には影響しないようにできる。これを利用して、格子点としてより扱い易いように下記の表現に変換する。
Figure 2016163078
以下では、無用の変数定義の増加による混乱をさけるため、右辺の表記をsとして表す。格子縮小基底変換によるシンボル点zについては、前述の(5)式により再定義される。
[MMSEを用いた軟判定データの生成]
次に、MMSEを用いた軟判定データの生成手順について説明する。MMSEを用いた軟判定データの生成は、例えば以下の手順で行われる。
1)最適シンボル推定
MMSEを用いて推定したシンボル値を最適シンボルとする。
2)対抗シンボル推定
1)でのフィルタ出力の表現において得られる受信信号から、レイヤ毎に独立にFull−MLDを実行する。
3)軟判定データの生成
2)での処理に沿って、レイヤ毎のFull−MLDにより求められるビット毎の0の尤度値と1の尤度値との差分に基づいて軟判定データを生成する。
[MMSEによるシンボル推定の原理]
受信信号yに対する線形フィルタ変換の出力において、レイヤ毎に希望信号を残し雑音信号成分が低減されるように、統計的な性質に基づいてフィルタ係数行列Wを決定する。MMSEでは、推定シンボルの推定誤差の2乗平均が最小になるようなフィルタ係数行列Wを算出する。推定シンボルの推定誤差の2乗平均Jは、例えば下記の式で表される。
Figure 2016163078
ここで、E[・]は、付加雑音nに対する期待値である(表1参照)。
以下に、結果として得られる基本公式を示す。
<定義>
Figure 2016163078
<公式>
Figure 2016163078
次に、MMSEを用いた軟判定データの生成手順について説明する。
1)ウェイト行列生成
1−1)相関行列演算
Figure 2016163078
1−2)ウェイト行列
Figure 2016163078
あるいは数式として等価な公式として、下記のように表してもよい。
Figure 2016163078
2)軟判定シンボル推定
2−1)ウェイト乗算
Figure 2016163078
2−2)振幅推定除算
Figure 2016163078
2−3)有効雑音成分の分散
Figure 2016163078
ただし、Diag(X)は、行列Xの対角成分のみを残した行列を意味する。
3)シンボル単位MLD
3−1)レプリカ生成
Figure 2016163078
3−2)メトリック演算
Figure 2016163078
3−3)最小値検索
Figure 2016163078
対応するマッピングビットの奇数番と偶数番をIおよびQに対応させる。
Figure 2016163078
4)各ビットの対抗ビットの最小値検索
k=(j−1)×mc+1,・・・,(j−1)×mc+mcに対して以下を行う。
Figure 2016163078
5)事後尤度の算出
k=−(Lk(0)−Lk(1))/2
[MMSE Turbo等化器]
送信シンボルに対しての事前確率が与えられているもとでのMMSEの拡張方式を考える。MMSE処理を行う単位のブロックを、本明細書では「要素復調処理」と呼ぶ。要素復調処理は、尤度データを入力として、より特性が改善される尤度データを出力する処理である。これを繰り返し実行することで特性の改善が見込まれる。このような処理は、一般に「Turbo等化器」と呼ばれる。要素復調処理として、MMSEをベースとした拡張方式を特に「MMSE Turbo等化器」と呼ぶ。MMSE Turbo等化器は、さらに、事前確率の適用の仕方で「Soft−MMSE」と「Hard−MMSE」とに分類される。
[Soft−MMSE]
事前確率を考慮することで、前述のMMSEの原理式が修正される。修正ポイントは、期待値演算E[・]の意味が修正されることから、それから導かれる各測定量が修正されることである。この場合、期待値演算は、付加雑音だけでなく与えられる送信シンボルに対しての事前確率についても期待値を取るものとして拡張される。また、事前確率は対数尤度比から求められる。以下に詳細を示す。
[Soft−MMSEによるシンボル推定の原理]
<定義>
1)事前確率による期待値
P(x)を事前確率とする。測定値xに対しての関数である測定量Xの期待値E[X]を下記のように表す。
Figure 2016163078
2)相関関数
Figure 2016163078
<公式>
Figure 2016163078
上記(6)式の第n成分は、下記のように表される。
Figure 2016163078
さらに、第n番目のシンボルの推定および事後尤度を求めるためには、第nシンボル自身の事前確率の影響を除くべきことが仮定される。これは、下記を仮定することに対応する。
Figure 2016163078
従って、最終的に下記の式を得る。
Figure 2016163078
[対数尤度に対する確率]
<定義>
Figure 2016163078
<公式>
1)ビット確率
Figure 2016163078
2)シンボル確率
Figure 2016163078
[Hard−MMSE]
前述のSoft−MMSEの特別な場合と解釈できる。即ち、前述の事前確率として、その時点での硬判定シンボルが確率1で選択されるように設定することに対応する。これにより、シンボルの期待値はこの時点で得られる「硬判定シンボル」に一致し、シンボルの分散σs 2は1である。従って、前述の公式(7)は、下記のように表すことができる。
Figure 2016163078
ここで、wj Hは、V=Iと置いた場合のウェイト行列Wの列ベクトルである(MMSEと同様である)。
[MMSE−SIC]
MMSE−SICは、前述のMMSEに対して特性を改善する修正方式である。MMSE−SICは、V−BLAST(Vertical Bell Laboratories Layered Space-Time)に相当しており、以下の説明はそれに沿って行う。V−BLASTは、Hard−MMSEに対応している。これをSoft−MMSEに拡張することも可能である。以下では、Hard−MMSEに対応するMMSE−SICを、MMSE−HSIC(MMSE-Hard-SIC)と呼ぶ。また、Soft−MMSEに対応するMMSE−SICを、MMSE−SSIC(MMSE-Soft-SIC)と呼ぶ。
[MMSE−HSIC]
MMSE−HSICでは、はじめにMMSEを適用してウェイトによる変換が行われる。そして、後で説明する順番に従って、レイヤ毎の処理が行われる。第1のレイヤではMMSEと同様にシンボル推定が行われる。続いて、第2のレイヤでは、シンボル推定が行われる前に、第2のレイヤの受信信号成分に含まれる、第1のレイヤのシンボルによる干渉成分が抑制される。そして、干渉雑音が抑制された受信信号に対してシンボル推定が行われる。干渉成分は、推定シンボルから求められる。これを「レプリカ」と呼ぶ。以下同様に、逐次的に、第i+1番目のレイヤは、第i番目までの推定シンボルによるレプリカにより、干渉成分が除去された受信信号から、MMSEと同様のシンボル推定が行われる。
なお、処理毎に逐次的に、推定され結果のSNRが大きくなる順にシンボルが選択されることが好ましい。ただし、厳密にこの方法に従わなければ、大きく特性劣化が発生するというものではない。そのため、より効率的に順番を決定する方式も提案されている。以下で説明する「SQRD−MMSE−SIC」は、そのうちの最良な方式の一つである。
以下では説明を簡単化するため、順番は適切に決定され、適当な行列の置換により選択されたレイヤは、常に、未処理のレイヤの、最後のインデックスに置き換えられるものとする。よってレイヤの処理の順番はj=N,N−1,・・・,1という順番で実行されるものとする。
[手順詳細]
1)レイヤNの処理
MMSEと同様のウェイトを求めて受信信号に乗じる。受信信号のレイヤNの成分に対してMLDにより軟判定データを求める。
2)レイヤi=N−1,・・・,1の処理
2−1)レプリカ生成
レイヤi+1までの推定シンボル(硬判定シンボル)
Figure 2016163078
をレプリカシンボルとする。
2−2)干渉キャンセル
Figure 2016163078
2−3)MLD
結果として得られる受信データ
Figure 2016163078
をもとに、MMSEと同様のウェイトを求めて受信信号に乗じる。受信信号のレイヤiの成分に対してMLDにより軟判定データを求める。
[補足]
前述の(8)式は、チャネルモデルの形で表すと、下記のように表される。
Figure 2016163078
従って、第i番目レイヤに対して、仮想的なチャネル応答行列
Figure 2016163078
に対してのMMSEを適用することができる。
[MMSE−SSIC]
処理手順の大枠は「MMSE−HSIC」と同様である。異なる点は、MMSE−HSICにおける、i=N−1以降のレイヤ処理に対してMMSEを用いてシンボル推定を行う部分の処理が、Soft−MMSEの処理に置き換わる点である。このとき、前提となる「事前確率」は、i+1番目のレイヤまでに求めた「事後対数尤度比」を対応させる。
[MMSE−PIC]
MMSE−PICは、前述のMMSEに対して特性を改善する修正方式である。MMSE−SICと同様に、アルゴリズム内で事前確率の元でのMMSEを利用する方式であり、「Hard−MMSE」および「Soft−MMSE」に対応して、二つの異なる方式があり、それぞれ「MMSE−HPIC」および「MMSE−SPIC」と呼ぶ。SICがレイヤ毎に逐次的に処理を行う方式であるのに対し、PICは、対象となるレイヤ以外のレイヤについては、この時点での事後確率を前提として処理を行う方式である。
[MMSE−HPIC]
MMSE−HPICの要素復調処理では、全てのレイヤj=1,・・・,Nに対して、Hard−MMSEがそれぞれ適用される。それぞれについては、互いに結果が影響しないため、処理順は任意に取ることができる。以下に詳細を説明する。
[手順概要]
・レイヤの処理順は、j=1,・・・,Nとする。
・要素復調処理が規定の回数繰り返される。
・繰り返し処理の前に初期処理としてMMSEが実行され、各レイヤのシンボル推定が行われる。
・上記事前確率を前提として、以下の要素復調処理が繰り返される。
・レイヤ毎のシンボル推定においてHard−MMSEが適用される。
・すなわち、現時点の推定シンボルから得られるレプリカを生成し、受信データから除去することにより、受信データのベクトルに含まれる他のレイヤの干渉成分が除去される。
・結果の受信信号に対して、MMSEを適用する。
[手順詳細]
<初期処理>
1)MMSE
受信データy、チャネル応答行列Hに対して、前述のMMSEを実行することにより、各レイヤのシンボル成分の、各ビットに対しての対数尤度比(軟判定データ)を求める。
<要素復調処理>
規定の回数だけ以下の処理を繰り返す。
1)シンボル推定
初期処理、あるいは、前回の要素復調処理の結果の硬判定シンボルを推定シンボル
Figure 2016163078
とする。
2)レプリカ生成およびキャンセル
各レイヤj=1,・・・,Nについて以下を順に実行する。
Figure 2016163078
3)軟判定データ生成
各レイヤj=1,・・・,Nについて以下を順に実行する。
入力データ
Figure 2016163078
に対して、アンテナ構成1×MでのMMSEを適用し尤度を生成する。
[MMSE−SPIC]
MMSE−SPICでは、MMSE−HPICにおけるHard−MMSEの部分の処理を、Soft−MMSEの処理に置き換えたものである。
[手順詳細]
<初期処理>
1)MMSE
受信データy、チャネル応答行列Hに対して、前述のMMSEを実行することにより、各レイヤのシンボル成分の、各ビットに対しての対数尤度比(軟判定データ)を求める。
<要素復調処理>
規定の回数だけ以下の処理を繰り返す。
1)シンボル推定(期待値生成)
初期処理、あるいは、前回の要素復調処理の結果の対数尤度比を事前確率に対応させ、シンボルの期待値
Figure 2016163078
を求める。
2)レプリカ生成およびキャンセル
各レイヤj=1,・・・,Nについて以下を順に実行する。
Figure 2016163078
3)軟判定データ生成
各レイヤj=1,・・・,Nについて以下を順に実行する。
入力データ
Figure 2016163078
に対して、アンテナ構成1×MでのMMSEを適用し尤度を生成する。
[QRD−LD−SIC]
QRD−LD−SICでは、初めにチャネル応答行列に対してのQR分解を行い、そこで得られる直交行列により、受信信号ベクトルの座標変換を行う。これにより、受信信号ベクトルのチャネルモデルに含まれる、他シンボル干渉成分の半分を削除することができる。QRD−LD−SICは、シンボル間干渉が少ないレイヤから順に、線形検出法とSICとを組み合わせた処理を行う方式である。線形検出法としてはZF(Zero Forcing)とMMSEの両方を適用することができ、それぞれ「QRD−ZF−SIC」、「QRD−MMSE−SIC」と呼ぶ。
[QRD−ZF−SIC]
QRD−ZF−SICは、チャネル応答行列をQR分解し、このとき得られる直交行列により受信信号の変換を行う方式である。ここでは、説明を簡略するため、処理順序は予め決められた順に行列の順序が置換されているものと仮定した上でのレイヤ毎の処理の詳細を示す。
[手順詳細]
<前処理>
1)QR分解
チャネル応答行列に対してQR分解を適用する。
Figure 2016163078
ここでQは、下記の関係を満たすユニタリ行列である。
Figure 2016163078
また、Rは、下記に示す要素を持つ上三角行列である。
Figure 2016163078
2)受信データのQ変換
受信信号ベクトルが直交行列Qにより線形変換される。これにより、チャネル応答行列が行列Rに変換される。
Figure 2016163078
成分表示では、以下のように表される。
Figure 2016163078
<主要処理>
1)レイヤj=Nの処理
受信データのチャネルモデルは以下のように表される。
Figure 2016163078
1−1)同期検波
Figure 2016163078
1−2)軟判定データ生成
Figure 2016163078
に対して1シンボルのMLDを実行することにより、各ビットの尤度を求める。
1−3)シンボル推定
i)硬判定
最も近いシンボルが選択される。
Figure 2016163078
ここで、Q(・)は、選択関数(「量子化関数」とも呼ばれる)である。
ii)軟判定
尤度からシンボルの確率を生成し期待値を求める。
Figure 2016163078
2)レイヤj=N−1,・・・,1の処理
2−1)レプリカ生成およびキャンセル
Figure 2016163078
2−2)同期検波
Figure 2016163078
2−3)軟判定データ生成
Figure 2016163078
に対して1シンボルのMLDにより、各ビットの尤度を求める。
2−4)シンボル推定
i)硬判定
最も近いシンボルが選択される。
Figure 2016163078
ii)軟判定
尤度からシンボルの確率を生成し期待値を求める。
Figure 2016163078
[QRD−MMSE−SIC]
QRD−MMSE−SICでは、ZFで生じた雑音成分の増幅を緩和することと、QR分解によるSIC処理の簡単化を両立させる方式である。QR分解を適用するために「拡張チャネル応答行列」が導入される。これにより、以下で示すようにMMSEによるシンボル推定を、ZFと同様の形式に置き換えることが可能となる。
<定義>
Figure 2016163078
<公式>
Figure 2016163078
[SQRD−LD−SIC]
QRD−LD−SICでは、推定シンボルのSNRを指標としてレイヤの処理順について最適化を行うことを考慮すると、処理量が大きくなることが課題であった。そこで、SQRD−DL−SICでは、予めレイヤ処理の順序を決定するものとする。また、その処理順の決定方法としては、電力が小さい順番にQR分解における基底の順番を求め、このように決定された順番の逆順を、処理の順序とする。このようなQR分解を「SQRD(Sorted-QRD)」方式と呼ぶ。これにより、QR分解はたった1回のみで処理順は決定され、SIC処理は処理順の決定と完全に分離された形で実行できるようになり、処理量は大幅に削減される。なお、SQRD方式のSICに対しても、SSICとHSICとをそれぞれ適用可能である。また、SQRD方式が適用されたQRD−MMSE−SICを、SQRD−MMSE−SICと呼ぶ。
[SQRD−MMSE−HSIC]
基本的な手順は、最適シンボル推定の範囲で、元の基底の復調方式における「SQRD−MMSE−SIC」と同様である。格子縮小基底変換は、一般的に利用できるものとして例示した方法で行う。ただし、この場合は、QRD−MMSEであることに合わせて、拡張チャネル応答行列に基づくLLLアルゴリズムとなる。これは、一方ではQR分解の一方式としても解釈される。LLLアルゴリズムは、まさに大きさが「小さい」基底ベクトルから順に選択するアルゴリズムとなっており、SQRDによる処理順の決定に適合している。よって、この方法によって決定される順番を処理順として利用することができる。
[手順詳細]
<前処理>
以下はチャネルの値が一定とみなせる、処理単位ブロックについて1回実行される。
1)格子基底変換およびQR変換
LLLアルゴリズム等を用いて格子縮小基底変換を実行する。
Figure 2016163078
格子縮小基底変換行列および逆行列を求める。
ここでは、一例として、チャネル応答行列をQR変換した形で、格子縮小基底変換を行うものとする。従って、元の基底のQR分解
Figure 2016163078
を初期状態として、格子縮小基底変換アルゴリズムにより変換後のQR分解
Figure 2016163078
を直接的に求める。
<主要処理>
以下の処理は、ブロック内の全てのシンボル毎に適用される。
1)直交行列Qを用いて受信信号ベクトルを線形変換
これにより、拡張チャネル応答行列が上三角行列に変換される。
Figure 2016163078
2)レイヤj=Nの処理
受信データのチャネルモデルは、以下のように表される。
Figure 2016163078
2−1)同期検波
Figure 2016163078
2−2)軟判定データ生成
Figure 2016163078
に対して1シンボルのMLDを実行することにより、各ビットの尤度を求める。
2−3)シンボル推定
最も近いシンボルを推定シンボルとして選択する。
Figure 2016163078
3)レイヤj=N−1,・・・,1の処理
3−1)レプリカ生成およびキャンセル
Figure 2016163078
3−2)同期検波
Figure 2016163078
3−3)シンボル推定
最も近いシンボルを推定シンボルとして選択する。
Figure 2016163078
4)元の基底への逆変換
元の基底での表現に逆変換を行う。ただし、この結果は元の基底で変調シンボルに対応しているとは限らない。そこで、範囲を超える場合にはクリッピング処理が行われる。
4−1)逆変換
Figure 2016163078
4−2)クリッピング
Figure 2016163078
次に、実施例1について説明する。本実施例では、図1の通信システム10を前提とする。より具体的なシステムの例としては、3GPP(Third Generation Partnership Project)のLTE(Long Term Evolution)およびLTE−Advancedにおける下りのデータパケットチャネルを想定する。下りのデータパケットチャネルとしては、例えばPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を想定する。
図3は、復調装置20の一例を示すブロック図である。復調装置20は、第1の変換部21、第1の算出部22、第2の変換部23、および第2の算出部24を有する。
第1の変換部21は、チャネル応答行列を直交行列と上三角行列との積に分解する。また、第1の変換部21は、チャネル応答行列について格子縮小基底変換行列およびその逆行列を算出し、直交行列と上三角行列とをそれぞれ格子縮小基底変換する。
第1の算出部22は、格子縮小基底変換された直交行列を用いて、受信信号に対して格子縮小基底上での線形検出を実行することにより、格子縮小基底上でのシンボルの期待値を算出する。本実施例において、第1の算出部22は、シンボルの期待値として、硬判定シンボルを出力する。本実施例において、第1の算出部22によって実行される、格子縮小基底上での線形検出法としては、例えばSQRD−MMSE−HSICが用いられる。
第2の変換部23は、第1の算出部22によって算出されたシンボルの期待値を、格子縮小基底から元の基底に逆変換する。
第2の算出部24は、第2の変換部23によって逆変換されたシンボルの期待値に対して元の基底上で干渉キャンセル法を実行し、軟判定データを算出する。本実施例において、第2の算出部24によって実行される、元の基底上での干渉キャンセル法としては、例えばMMSE−HPICが用いられる。
[手順の詳細]
<前処理>
第1の変換部21は、チャネルの値が一定とみなせる処理単位ブロックについて例えば1回、以下の手順で前処理を実行する。
1)格子基底変換およびQR変換
第1の変換部21は、例えばLLLアルゴリズム等を用いて、MIMO受信器120から受信したチャネル応答行列Hに基づいて下記に示す格子縮小基底変換を実行し、変換行列およびその逆行列を算出する。
Figure 2016163078
また、第1の変換部21は、例えばLLLアルゴリズム等を用いて、拡張チャネル応答行列を、直交行列および上三角行列にQR分解し、QR分解した形で格子縮小基底変換を行う。従って、第1の変換部21は、下記に示す元の格子のQR分解を初期状態として、格子縮小基底変換アルゴリズムを実行する。
Figure 2016163078
そして、第1の変換部21は、下記に示すように、格子縮小基底変換後のQR分解を求める。
Figure 2016163078
そして、第1の変換部21は、格子縮小基底変換行列、その逆行列、格子縮小基底変換後の直交行列、および格子縮小基底変換後の上三角行列を、第1の算出部22へ出力する。
<主要処理>
第1の算出部22は、ブロック内の全てのシンボルについて下記の処理を実行する。
1)直交行列を用いて受信信号ベクトルを線形変換
これにより、拡張チャネル応答行列が上三角行列に変換される。
Figure 2016163078
2)レイヤj=N,・・・,1の処理
受信データのチャネルモデルは下記のように表される。
Figure 2016163078
2−1)レプリカ生成およびキャンセル
j=Nの場合、第1の算出部22は、下記の式に基づいて、レプリカ生成およびキャンセルを実行する。
Figure 2016163078
j<Nの場合、第1の算出部22は、下記の式に基づいて、レプリカ生成およびキャンセルを実行する。
Figure 2016163078
2−2)同期検波
第1の算出部22は、下記の算出式に基づいて同期検波を行う。
Figure 2016163078
2−3)シンボル推定
第1の算出部22は、下記の算出式に基づいて、硬判定を行う。そして、第1の算出部22は、最も近いシンボルを選択し、選択された硬判定シンボルを、推定シンボルとして第2の変換部23へ出力する。
Figure 2016163078
ここで、
Figure 2016163078
は、雑音を含む推定シンボルを示し、
Figure 2016163078
は、雑音を含まない、格子上に推定された推定シンボルを示す。
3)元の基底への逆変換
次に、第2の変換部23は、第1の算出部22によって推定されたシンボルを、元の格子縮小基底の表現に逆変換する。ただし、この結果は元の格子基底で変調シンボルに対応しているとは限らない。そこで、第2の変換部23は、範囲を超える場合にはクリッピング処理を行う。
3−1)逆変換
第2の変換部23は、下記の式に基づいて逆変換を行う。
Figure 2016163078
3−2)クリッピング
第2の変換部23は、下記の式に基づいてクリッピングを行う。
Figure 2016163078
4)MMSE−HPICの要素復調処理
次に、第2の算出部24は、第2の変換部23によって元の基底に逆変換された推定シンボルを用いて、MMSE−HPICの要素復調処理の処理をkmax回繰り返す。kmaxは、繰り返し回数を規定する定数である。本実施例において、kmaxの値は例えば2である。
なお、通常のMMSE−HPICでは、前述のように、初期処理により硬判定シンボルが算出され、算出された硬判定シンボルを用いて要素復調処理が実行される。これに対し、本実施例におけるMMSE−HPICの要素復調処理では、第2の算出部24は、kmax回の繰り返しのうち、最初の1回目の処理では、第2の変換部23によって元の基底に逆変換された硬判定シンボルを用いて要素復調処理を実行する。そして、kmax回の繰り返しのうち、2回目以降の処理では、第2の算出部24は、前回のMMSE−HPICの要素復調処理の過程で算出された硬判定シンボルを用いて要素復調処理を実行する。
4−1)レプリカ生成およびキャンセル
第2の算出部24は、各レイヤj=1,・・・,Nについて、下記の式に基づいて、レプリカの生成およびキャンセルを実行する。
Figure 2016163078
4−2)軟判定データ生成
第2の算出部24は、各レイヤj=1,・・・,Nについて、
Figure 2016163078
を入力データとし、1×Mのアンテナ構成において、前述のMMSEを実行することにより、軟判定データを生成する。そして、第2の算出部24は、4−1)および4−2)で説明した処理をk回繰り返した後、生成した軟判定データを復号器121へ出力する。
[復調装置20の動作]
図4は、実施例1における復調処理の一例を示すフローチャートである。例えば、MIMO受信器120から受信信号データが出力される都度、復調装置20は、本フローチャートに示す復調処理を開始する。
まず、第1の変換部21は、リソースブロックの先頭のデータがMIMO受信器120から出力されたか否かを判定する(S100)。リソースブロックの先頭のデータがMIMO受信器120から出力されていない場合(S100:No)、第1の算出部22は、ステップS200に示す処理を実行する。
一方、リソースブロックの先頭のデータがMIMO受信器120から出力された場合(S100:Yes)、第1の変換部21は、前述の<前処理>を実行する。具体的には、第1の変換部21は、LLLアルゴリズム等を用いて、拡張チャネル応答行列に基づいて格子縮小基底変換を実行する。そして、第1の変換部21は、変換行列およびその逆行列を算出する。
また、第1の変換部21は、拡張チャネル応答行列に対してQR分解を適用し、チャネル応答行列を直交行列と上三角行列との積に分解する。そして、第1の変換部21は、拡張チャネル応答行列をQR分解した形で格子縮小基底変換を実行する。そして、第1の変換部21は、格子縮小基底変換行列、その逆行列、格子縮小基底変換後の直交行列、および格子縮小基底変換後の上三角行列を、第1の算出部22へ出力する(S101)。
次に、第1の算出部22は、後述する第1の処理を実行することにより、格子縮小基底変換された直交行列を用いて、受信信号に対して格子縮小基底上での線形検出を実行し、格子縮小基底上でのシンボルの期待値を算出する(S200)。第1の処理には、前述の<主要処理>のうち、「1)直交行列を用いて受信信号ベクトルを線形変換」する処理、および、「2)レイヤj=N,・・・,1の処理」が含まれる。本実施例において、シンボルの期待値は、硬判定シンボルである。そして、第2の変換部23は、第1の算出部22から出力された硬判定シンボルを、格子縮小基底から元の基底の表現に逆変換する(S102)。そして、第2の変換部23は、所定の範囲を超える硬判定シンボルをクリッピングする(S103)。
次に、第2の算出部24は、後述する第2の処理を実行することにより、逆変換された硬判定シンボルに対して元の基底上で干渉キャンセル法を実行し、軟判定データを生成する(S300)。そして、第2の算出部24は、生成した軟判定データを復号器121へ出力する。第2の処理には、前述の<主要処理>のうち、「4)MMSE−HPICの要素復調処理」が含まれる。そして、復調装置20は、本フローチャートに示した処理を終了する。
[第1の処理]
図5は、実施例1における第1の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、第1の算出部22は、変数iに送信アンテナ数(レイヤ数)Nをセットする(S201)。そして、第1の算出部22は、変数iの値が1以上か否かを判定する(S202)。変数iの値が1以上である場合(S202:Yes)、第1の算出部22は、変数iの値がNか否かを判定する(S203)。
変数iの値がNである場合(S203:Yes)、第1の算出部22は、前述の(9)式に基づいて、受信信号ベクトルを線形変換する。そして、第1の算出部22は、前述の(10)式に基づいて、レプリカの生成およびキャンセルを行い(S204)、ステップS206に示す処理を実行する。
一方、変数iの値がNではない場合(S203:No)、第1の算出部22は、前述の(9)式に基づいて、受信信号ベクトルを線形変換する。そして、第1の算出部22は、前述の(11)式に基づいて、レプリカの生成およびキャンセルを行う(S205)。そして、第1の算出部22は、前述の(12)式に基づいて、干渉成分がキャンセルされた受信信号ベクトルに対して同期検波を行う(S206)。
次に、第1の算出部22は、同期検波の出力に対して選択関数を適用して硬判定を行い、シンボルの推定を行う(S207)。そして、第1の算出部22は、推定シンボルを第2の変換部23へ出力する。そして、第1の算出部22は、変数iから1を減じ(S208)、再びステップS202に示した処理を実行する。一方、変数iの値が1未満となった場合(S202:No)、第1の算出部22は、本フローチャートに示した第1の処理を終了する。
[第2の処理]
図6は、実施例1における第2の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、第2の算出部24は、繰り返し回数をカウントする変数kに1をセットする(S301)。そして、第2の算出部24は、変数kの値が、kmax以下か否かを判定する(S302)。変数kの値がkmax以下である場合(S302:Yes)、第2の算出部24は、変数iに送信アンテナ数(レイヤ数)Nをセットする(S303)。そして、第2の算出部24は、変数iの値が1以上か否かを判定する(S304)。
変数iの値が1以上である場合(S304:Yes)、第2の算出部24は、変数kの値が1か否かを判定する(S305)。変数kの値が1である場合(S305:Yes)、第2の算出部24は、第1の算出部22によって算出された硬判定シンボルを推定シンボルとして選択する(S306)。一方、変数kの値が1ではない場合(S305:No)、第2の算出部24は、前回(1つ前の繰り返し処理)における軟判定データ生成(後述するステップS309の処理)の過程で算出された硬判定シンボルを、推定シンボルとして選択する(S307)。
次に、第2の算出部24は、ステップS306またはS307において選択された推定シンボルを用いて、前述の(14)式に基づいて、レプリカの生成およびキャンセルを行う(S308)。そして、第2の算出部24は、干渉成分がキャンセルされた受信信号ベクトルを入力として、1×Mのアンテナ構成において、前述のMMSEを実行することにより、軟判定データを生成する(S309)。そして、第2の算出部24は、変数iから1を減じ(S310)、再びステップS304に示した処理を実行する。
一方、変数iの値が1未満になった場合(S304:No)、第2の算出部24は、変数kに1を加え(S311)、再びステップS302に示した処理を実行する。また、変数kの値がkmaxより大きい場合(S302:No)、第2の算出部24は、推定シンボル毎の軟判定データを復号器121へ出力し、本フローチャートに示した処理を終了する。
上述したように、本実施例の復調装置20によれば、格子縮小基底上で線形検出を行って仮の最適シンボルを求め、求めた仮の最適シンボルに対して、元の基底で、干渉キャンセル法を適用することにより、軟判定データを出力する。これにより、格子縮小法が適用されたQRM−MLDよりも処理量を削減することができると共に、格子縮小法が適用されたQRM−MLDと同等の受信性能を得ることができる。
次に、実施例2について説明する。実施例1では、格子縮小基底上での線形検出法において硬判定シンボルが推定される。これに対し、本実施例では、格子縮小基底上での線形検出法において軟判定シンボルが推定される点が実施例1とは異なる。格子縮小基底上での線形検出において軟判定シンボル推定を行う本実施例の方法を、SQRD−MMSE−SSICと呼ぶ。
また、本実施例において、格子縮小基底上での線形検出において推定される軟判定シンボルは、送信シンボルの候補そのものでなく、確率分布を重みとして算出される期待値となる。本実施例では、格子縮小基底上での線形検出により算出されたシンボルの期待値を、元の基底に逆変換した後、MMSE−SPICを用いた干渉キャンセル法により尤度データを求める。最適シンボルの期待値を求めるためには、格子縮小基底上で、各レイヤのシンボル毎に期待値を求めることになる。そのため、格子縮小基底上での、各レイヤのシンボルが取り得る値の範囲を推定する。
[手順詳細]
<前処理>
実施例1において説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
<主要処理>
1)直交行列を用いて受信信号ベクトルを線形変換
実施例1において説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
2)レイヤj=N,・・・,1の処理
2−1)レプリカ生成およびキャンセル
実施例1において説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
2−2)同期検波
実施例1において説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
2−3)シンボル範囲の推定
第1の算出部22は、j+1以上のレイヤにおいて、現時点での最適シンボルを仮定し、下記の変換式により、元のシンボルの取り得る値の条件を満たす範囲を算出する。
Figure 2016163078
算出された値の範囲に含まれるシンボルの集合は下記のように表される。
Figure 2016163078
2−4)シンボル期待値演算
第1の算出部22は、下記の算出式を用いて、シンボル期待値を算出する。
Figure 2016163078
上記の(15)式では、雑音がガウス分布であることを仮定している。ここで、Lj(z)は、候補シンボルzのメトリックであり、格子縮小基底が直交関係に近いことから、以下のように表すことができる。
Figure 2016163078
3)元の基底への逆変換
3−1)逆変換
第2の変換部23は、下記の式に基づいて、第1の算出部22によって算出されたシンボルの期待値を、格子縮小基底から元の基底に逆変換する。
Figure 2016163078
3−2)クリッピング
実施例1において説明した処理と同様であるため、説明を省略する。
4)MMSE−SPICの要素復調処理
次に、第2の算出部24は、第2の変換部23によって元の基底に逆変換されたシンボル期待値を用いて、以下の処理をkmax回繰り返す。なお、通常のMMSE−SPICでは、前述のように、初期処理により軟判定シンボルが算出され、算出された軟判定シンボルを用いて要素復調処理が実行される。
これに対し、本実施例におけるMMSE−SPICの要素復調処理では、第2の算出部24は、kmax回の繰り返しのうち、最初の1回目の処理では、第2の変換部23によって元の基底に逆変換された期待値を用いて要素復調処理を実行する。一方、kmax回の繰り返しのうち、2回目以降の処理では、第2の算出部24は、前回のMMSE−SPICによって算出されたシンボルの期待値を用いて要素復調処理を実行する。
4−1)レプリカ生成およびキャンセル
第2の算出部24は、各レイヤj=1,・・・,Nについて、前述の(14)式に基づいて、レプリカの生成およびキャンセルを実行する。なお、繰り返し回数kが1の場合、第2の算出部24は、第2の変換部23によって元の基底に逆変換された期待値を、(14)式における推定シンボルに代入してレプリカの生成およびキャンセルを実行する。一方、繰り返し回数kが2以上の場合、第2の算出部24は、前回のMMSE−SPICによって算出されたシンボルの期待値を、(14)式における推定シンボルに代入してレプリカの生成およびキャンセルを実行する。
4−2)軟判定データ生成
第2の算出部24は、各レイヤj=1,・・・,Nについて、
Figure 2016163078
を入力データとし、1×Mのアンテナ構成において、前述のMMSEを実行することにより、軟判定データを生成する。
4−3)軟判定シンボル推定
第2の算出部24は、生成した軟判定データを事前確率に対応させ、シンボルの期待値
Figure 2016163078
を求める。
[復調装置20の動作]
本実施例における復調装置20の動作の概要は、図4を用いて説明した実施例1における動作と同様である。ただし、本実施例における第1の処理(S200)および第2の処理(S300)は、実施例1とは一部が異なる。
[第1の処理]
図7は、実施例2における第1の処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する点を除き、図7において、図5と同じ符号を付した処理は、図5において説明した処理と同様であるため説明を省略する。
ステップS206に示した処理の後、第1の算出部22は、j+1以上のレイヤにおいて、現時点での最適シンボルを仮定し、元のシンボルの取り得る値の条件を満たす範囲を推定する(S220)。次に、第1の算出部22は、前述の(15)式に基づいて、シンボル期待値を推定する(S221)。そして、第1の算出部22は、ステップS208に示した処理を実行する。
[第2の処理]
図8は、実施例2における第2の処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する点を除き、図8において、図6と同じ符号を付した処理は、図6において説明した処理と同様であるため説明を省略する。
変数kの値が1である場合(S305:Yes)、第2の算出部24は、第1の算出部22によって算出された期待値を推定シンボルとして選択する(S330)。一方、変数kの値が1ではない場合(S305:No)、第2の算出部24は、前回(1つ前の繰り返し処理)におけるシンボル期待値推定(後述するステップS333の処理)によって算出された期待値を、推定シンボルとして選択する(S331)。
次に、第2の算出部24は、ステップS330またはS331において選択された推定シンボルを用いて、前述の(14)式に基づいて、レプリカの生成およびキャンセルを実行する(S332)。そして、第2の算出部24は、MMSEを実行して軟判定データを生成した後(S309)、生成した軟判定データを事前確率に対応させ、シンボルの期待値を算出する(S333)。そして、第2の算出部24は、ステップS310に示した処理を実行する。
[シミュレーション結果]
図9は、実施例2における復調装置20の受信特性(BLER:Block Error Rate)のシミュレーション結果の一例を示す図である。図9では、比較のため、Full−MLD、格子縮小基底におけるQRM−MLD(M=3)、MMSE、およびMMSE−SPICの受信特性も併せて示されている。なお、図9に示したMMSEおよびMMSE−SPICは、格子縮小基底ではなく元の基底での処理である。また、図9に示したシミュレーションの条件は、情報ビットサイズKが1536、変調方式が16QAM、符号化率Rが8/9、送信および受信のアンテナ数が2×2としている。また、フェージングモデルとしては、レイリーフェージングを仮定している。
図9に示すように、本実施例の復調装置20は、代表的な線形検出法である、MMSEやMMSE−SPICよりも、受信特性が良好である。また、本実施例の復調装置20は、M=3の場合の格子縮小基底におけるQRM−MLDよりも受信特性が良好である。また、本実施例の復調装置20は、Full−MLDに比べると、受信特性が多少劣るものの、Full−MLDに近い受信特性が得られている。本実施例の復調装置20は、格子縮小基底における線形検出と、干渉キャンセル法とを組み合わせた方式であり、MLDに比べて処理量が少ない。図9から明らかなように、本実施例の復調装置20は、格子縮小法が適用されたQRM−MLDよりも処理量を削減することができると共に、格子縮小法が適用されたQRM−MLDと同等またはそれ以上の受信性能を得ることができる。
次に、実施例3について説明する。実施例2では、格子縮小基底上のSQRD−MMSE−SSICにおいてシンボル期待値を生成する場合、各レイヤのシンボルが取り得る値の範囲を推定した。これに対し、本実施例3では、範囲の推定は行わず、最適な推定シンボル(硬判定シンボル)の周辺のシンボルの中から、最適な推定シンボルに近い順に、規定数のシンボルを選択して期待値を求める点が、実施例2とは異なる。
具体的には、実施例2に示した「2−2)同期検波」の後に、第2の算出部24は、「2−3)シンボル範囲の推定」に代えて、前述の(13)式を実行することにより、レイヤ毎に最適シンボルの推定を行う。そして、第2の算出部24は、推定した最適シンボルの周辺に位置するシンボルの中から、最適シンボルからのユークリッド距離が短い順に、規定数のシンボルを選択する。そして、第2の算出部24は、選択した所定数のシンボルを用いて、「2−4)シンボル期待値演算」を実行し、期待値を算出する。
次に、実施例4について説明する。実施例2では、格子縮小基底上のSQRD−MMSE−SSICにおいてシンボル期待値を生成する場合、各レイヤのシンボルが取り得る値の範囲を推定し、推定した範囲内の全てのシンボルを対象としてシンボル期待値を算出した。これに対し、本実施例4では、最適な推定シンボル(硬判定シンボル)の周辺のシンボルであって、推定した範囲内のシンボルの中から、最適な推定シンボルに近い順に、規定数のシンボルを選択して期待値を求める点が、実施例2とは異なる。
具体的には、実施例2に示した「2−3)シンボル範囲の推定」の処理の後に、第2の算出部24は、前述の(13)式を実行することにより、レイヤ毎に最適シンボルの推定を行う。そして、第2の算出部24は、推定したシンボル範囲内において、最適シンボルの周辺に位置するシンボルの中から、最適シンボルからのユークリッド距離が短い順に、規定数までのシンボルを選択する。そして、第2の算出部24は、選択した所定数のシンボルを用いて、「2−4)シンボル期待値演算」を実行し、期待値を算出する。
次に、実施例5について説明する。実施例1では、格子縮小基底から元の基底に逆変換された後に実行される干渉キャンセル法として、MMSE−HPICが用いられる。これに対し、本実施例5では、格子縮小基底から元の基底に逆変換された後に実行される干渉キャンセル法として、MMSE−HPICが初めに1回実行され、その後に、MMSE−SPICが1回以上実行される。
[復調装置20の動作]
図10は、実施例5における復調処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する点を除き、図10において、図4と同じ符号を付した処理は、図4において説明した処理と同様であるため説明を省略する。
第2の変換部23によってクリッピングが行われた後、第2の算出部24は、後述する第3の処理を実行することにより、軟判定データを生成する(S400)。第3の処理には、実施例1において説明した「4)MMSE−HPICの要素復調処理」が含まれる。
次に、第2の算出部24は、第3の処理によって生成された軟判定データを元に、後述する第4の処理を実行することにより、軟判定データを生成する(S500)。第4の処理には、実施例2において説明した「4)MMSE−SPICの要素復調処理」が含まれる。そして、復調装置20は、本フローチャートに示した処理を終了する。
[第3の処理]
図11は、実施例5における第3の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、第2の算出部24は、変数iに送信アンテナ数(レイヤ数)Nをセットする(S401)。そして、第2の算出部24は、変数iの値が1以上か否かを判定する(S402)。変数iの値が1以上である場合(S402:Yes)、第2の算出部24は、シンボル推定を行う(S403)。具体的には、第2の算出部24は、第1の算出部22によって算出された硬判定シンボルを、推定シンボルとして推定する。そして、第2の算出部24は、ステップS403で推定した推定シンボルを用いて、前述の(14)式に基づいて、レプリカの生成およびキャンセルを実行する(S404)。
次に、第2の算出部24は、干渉成分がキャンセルされた受信信号ベクトルを入力として、1×Mのアンテナ構成において、前述のMMSEを実行することにより、軟判定データを生成する(S405)。そして、第2の算出部24は、生成した軟判定データを事前確率に対応させ、シンボルの期待値を推定する(S406)。そして、第2の算出部24は、変数iから1を減じ(S407)、再びステップS402に示した処理を実行する。
一方、変数iの値が1未満になった場合(S402:No)、第2の算出部24は、本フローチャートに示した処理を終了する。
[第4の処理]
図12は、実施例5における第4の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、第2の算出部24は、変数kに2をセットする(S501)。そして、第2の算出部24は、変数kの値がkmax以下か否かを判定する(S502)。変数kの値がkmax以下である場合(S502:Yes)、第2の算出部24は、変数iに送信アンテナ数(レイヤ数)Nをセットする(S503)。そして、第2の算出部24は、変数iの値が1以上か否かを判定する(S504)。変数iの値が1以上である場合(S504:Yes)、第2の算出部24は、変数kの値が2であるか否かを判定する(S505)。
変数kの値が2である場合(S505:Yes)、第2の算出部24は、図11を用いて説明した第3の処理によって推定された期待値を、推定シンボルとして選択する(S506)。一方、変数kの値が2ではない場合(S505:No)、第2の算出部24は、第4の処理の中で、前回のシンボル期待値推定の処理(後述するステップS510の処理)において算出された期待値を、推定シンボルとして選択する(S507)。
次に、第2の算出部24は、ステップS506またはS507において選択された推定シンボルを用いて、前述の(14)式に基づいて、レプリカの生成およびキャンセルを実行する(S508)。そして、第2の算出部24は、干渉成分がキャンセルされた受信信号ベクトルを入力として、1×Mのアンテナ構成において、前述のMMSEを実行することにより、軟判定データを生成する(S509)。そして、第2の算出部24は、生成した軟判定データを事前確率に対応させ、シンボルの期待値を推定する(S510)。そして、第2の算出部24は、変数iから1を減じ(S511)、再びステップS504に示した処理を実行する。
一方、変数iの値が1未満になった場合(S504:No)、第2の算出部24は、変数kに1を加え(S512)、再びステップS502に示した処理を実行する。また、変数kの値がkmaxより大きくなった場合(S502:No)、第2の算出部24は、推定シンボル毎の軟判定データを復号器121へ出力し、本フローチャートに示した処理を終了する。
[その他]
なお、上記した実施例1において、第2の算出部24は、元の基底上での干渉キャンセル法としてMMSE−HPICを実行するが、開示の技術はこれに限られない。例えば、実施例1における第2の算出部24は、元の基底上での干渉キャンセル法としてMMSE−SPICを実行してもよい。また、上記した各実施例において、第2の算出部24は、元の基底上での干渉キャンセル法としてPICを実行するが、開示の技術はこれに限られない。例えば、各実施例における第2の算出部24は、元の基底上での干渉キャンセル法としてSIC、特にSSICを実行してもよい。
[ハードウェア]
なお、これまで説明した図に示された各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
ところで、上記した実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムを通信装置で実行することで実現される。そこで、以下では、上記した実施例と同様の機能を有する通信装置の一例を説明する。図13は、復調装置の機能を実現する通信装置の一例を示す図である。
図13において、復調処理プログラムを実行する通信装置40は、無線通信インターフェイス41、操作インターフェイス42、表示インターフェイス43、CPU44、RAM45、およびROM46を有する。
ROM46には、例えば図13に示すように、復調処理プログラム460が予め記憶される。CPU44は、復調処理プログラム460をROM46から読み出してRAM45に展開する。復調処理プログラム460は、図3に示した各々の構成要素と同様、適宜統合または分離してもよい。また、ROM46に格納される各データは、常に全てのデータがROM46内に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがROM46に格納されればよい。
CPU44は、復調処理プログラム460を、復調処理プロセス450として機能させる。復調処理プロセス450は、ROM46から読み出した各種データを適宜RAM45上の自身に割り当てられた領域に展開し、展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。上記した各実施例では、CPU44が、復調処理プログラム460を読み込んで実行することにより、第1の変換部21、第1の算出部22、第2の変換部23、および第2の算出部24と同様の機能を発揮する。
また、上記した実施例1、3、および4における復調処理プロセス450は、図3に示した第1の変換部21、第1の算出部22、第2の変換部23、および第2の算出部24において実行される処理、例えば図4から図6に示した処理を実行する。また、上記した実施例2における復調処理プロセス450は、図3に示した第1の変換部21、第1の算出部22、第2の変換部23、および第2の算出部24において実行される処理、例えば図7および図8に示した処理を実行する。また、上記した実施例5における復調処理プロセス450は、図3に示した第1の変換部21、第1の算出部22、第2の変換部23、および第2の算出部24において実行される処理、例えば図9から図11に示した処理を実行する。なお、CPU44によって仮想的に実現される各処理部は、全ての処理部がCPU44によって常に実現される必要はなく、処理に必要な処理部のみが仮想的に実現されればよい。
また、上記の復調処理プログラム460については、必ずしも最初からROM46内に記憶させておく必要はない。例えば、通信装置40に挿入されるメモリカードなどの可搬型記録媒体に各プログラムが記憶され、通信装置40がこのような可搬型記録媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、各プログラムを記憶させた他のコンピュータまたはサーバ装置などから、無線通信回線、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介して、通信装置40が各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
なお、上記した各実施例では、第1の変換部21が、チャネル応答行列Hを、直交行列Qと上三角行列Rとの積にQR分解し、チャネル応答行列について格子縮小基底変換行列Tおよびその逆行列T-1を算出し、直交行列Qと上三角行列Rとをそれぞれ格子縮小基底変換する。そして、第1の算出部22が、格子縮小基底変換された直交行列Qを用いて、受信信号に対して格子縮小基底上での線形検出を実行し、格子縮小基底上でのシンボルの期待値を算出する。しかし、開示の技術はこれに限られない。
例えば、第1の変換部21は、チャネル応答行列HをQR分解しなくてもよい。この場合、第1の変換部21は、チャネル応答行列Hを格子縮小基底変換し、第1の算出部22は、格子縮小基底変換されたチャネル行列を用いて、受信信号に対して格子縮小基底上での線形検出を実行し、格子縮小基底上でのシンボルの期待値を算出する。
なお、開示の技術を実施の形態を用いて説明したが、開示の技術の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も開示の技術の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 通信システム
12 受信装置
120 MIMO受信器
121 復号器
20 復調装置
21 第1の変換部
22 第1の算出部
23 第2の変換部
24 第2の算出部

Claims (10)

  1. チャネル応答行列を格子縮小基底変換する第1の変換部と、
    格子縮小基底変換された前記チャネル応答行列を用いて、受信信号に対して格子縮小基底上での線形検出を実行し、格子縮小基底上でのシンボルの期待値を算出する第1の算出部と、
    前記シンボルの期待値を、格子縮小基底から元の基底に逆変換する第2の変換部と、
    逆変換された前記シンボルの期待値に対して元の基底上で干渉キャンセル法を実行し、軟判定データを算出する第2の算出部と
    を有することを特徴とする復調装置。
  2. 前記第1の算出部は、
    格子縮小基底上で、同期検波による推定シンボルに対して適用した量子化関数の結果である硬判定シンボルを、前記シンボルの期待値として算出することを特徴とする請求項1に記載の復調装置。
  3. 前記第1の算出部は、
    格子縮小基底上で、確率分布の重みによる期待値である軟判定シンボルを、前記シンボルの期待値として算出することを特徴とする請求項1に記載の復調装置。
  4. 前記第1の算出部は、
    格子縮小基底上で、同期検波による推定シンボルに対して適用した量子化関数の結果である硬判定シンボルを算出し、レイヤ毎に、格子縮小基底上でシンボルが取り得る値の範囲を特定し、特定した範囲内のシンボルに対するガウス分布を前記確率分布として用いて前記シンボルの期待値を算出することを特徴とする請求項3に記載の復調装置。
  5. 前記第1の算出部は、
    格子縮小基底上で、同期検波による推定シンボルに対して適用した量子化関数の結果である硬判定シンボルを算出し、レイヤ毎に、格子縮小基底上で、前記硬判定シンボルからのユークリッド距離が近い順に所定数のシンボルを選択し、選択したシンボルに対するガウス分布を前記確率分布として用いて前記シンボルの期待値を算出することを特徴とする請求項3に記載の復調装置。
  6. 前記第1の算出部は、
    格子縮小基底上で、同期検波による推定シンボルに対して適用した量子化関数の結果である硬判定シンボルを算出し、レイヤ毎に、格子縮小基底でシンボルが取り得る値の範囲を特定し、特定した範囲内において、格子縮小基底における格子上で、前記硬判定シンボルからのユークリッド距離が近い順に所定数までのシンボルを選択し、選択したシンボルに対するガウス分布を前記確率分布として用いて前記シンボルの期待値を算出することを特徴とする請求項3に記載の復調装置。
  7. 前記第2の算出部は、
    前記干渉キャンセル法として、SPIC(Soft Parallel Interference Cancelation)を実行することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の復調装置。
  8. 前記第2の算出部は、
    前記干渉キャンセル法として、SSIC(Soft Successive Interference Cancelation)を用いることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の復調装置。
  9. 前記第2の算出部は、
    元の基底上で前記干渉キャンセル法を複数回実行して前記軟判定データを算出し、
    初回に実行される干渉キャンセル法は、線形検出により算出された硬判定シンボルを用いた干渉キャンセル法であり、
    2回目以降の干渉キャンセル法は、軟判定シンボルを用いた干渉キャンセル法であることを特徴とする請求項1に記載の復調装置。
  10. 無線通信装置が、
    チャネル応答行列を格子縮小基底変換し、
    格子縮小基底変換された前記チャネル応答行列を用いて、受信信号に対して格子縮小基底上での線形検出を実行し、格子縮小基底上でのシンボルの期待値を算出し、
    前記シンボルの期待値を、格子縮小基底から元の基底に逆変換し、
    逆変換された前記シンボルの期待値に対して元の基底上で干渉キャンセル法を実行し、軟判定データを算出する
    処理を実行することを特徴とする復調方法。
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