JP4827695B2 - 無線受信装置 - Google Patents

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本発明は、複数の異なる信号系列を空間多重伝送する無線受信装置に関するものである。
近年、無線通信の大容量化および高速化の要求に伴い、有限な周波数資源の利用効率を向上させる研究がさかんに行われている。空間領域を利用する手法はその中でも注目を集めている。その手法のひとつとして、アダプティブアレーアンテナ(適応アンテナ)がある。このアンテナを用いると、受信信号に乗算する重み付け係数(以下、重みという。)により、振幅と位相とを調整して、所望の方向から到来する信号を強く受信することができる。そして、干渉波に対しては、指向性のヌルを向けることで抑圧することができる。これにより、システムの通信容量を改善することが可能となる。
また、空間領域を利用する別の手法として、伝搬路における空間的な直交性を利用するものがある。これには、2つの技術がある。一つは、同一時刻、同一周波数および同一符号の物理チャネルを用いて異なるデータ系列を、異なる端末装置に対して伝送する空間分割多元接続(SDMA:Space Division Multiple Access)技術である。もう一つは、同一時刻、同一周波数および同一符号の物理チャネルを用いて異なるデータ系列を、同一の端末装置に対して伝送する空間多重技術である。
SDMA技術においては、端末装置間の空間相関係数が所定値よりも低ければ、SDMAが可能となり、無線通信システムのスループットや同時ユーザの収容数を改善することができる(例えば、非特許文献1)。
一方、空間多重技術においては、無線送信装置および無線受信装置の双方が、複数のアンテナ素子を備える。そして、各アンテナ素子間の受信信号の相関性が低い伝搬環境下において、空間多重伝送が実現できる。
この空間多重技術を用いる無線通信システムを図15に示す。なお、送信アンテナ数をN、受信アンテナ数をMとする。なお、Mは、一般的には、受信品質を確保するため、N以上の自然数とする。
図15の無線通信システムは、無線送信装置101と無線受信装置102とを備えている。そして、無線送信装置101は、複数の送信アンテナ103−1〜103−Nを有し、無線受信装置102は、複数の受信アンテナ104−1~104−Mを有する。
送信アンテナ103−1〜103−Nからは、それぞれ異なる送信信号が同一時刻にかつ同一周波数で送信され、これらの信号が、複数の受信アンテナ104−1〜Mで受信される。
無線受信装置102は、受信部105−1~105−Nおよび受信ベースバンド処理部106をさらに有している。各受信部105−1~105−Nは、各受信アンテナ104−1〜Mで受信された信号を受信し、受信ベースバンド処理部106は、各受信部105−1~105−Nで受信された各信号を分離する。その後、復調復号処理が行われる。
以上のように、無線送信装置101においては、各送信アンテナ103−1〜Nごとに、同一時刻、同一周波数および同一符号の物理チャネルを用いた異なるデータ系列が送信される。そして、無線受信装置102においては、各受信アンテナ104−1〜Nごとに受信された信号を基にして異なるデータ系列に分離する。このような空間多重伝送を利用することにより、多値変調を行わずに高速処理を実現することが可能である。空間多重伝送の場合において、十分なS/N(信号対雑音比)条件下で、かつ、送受信間の伝搬路に多数の散乱体が存在する環境下であるとき、無線送信装置101および無線受信装置102のアンテナ数(同数)に比例して通信容量の拡大が可能となる。
このような受信方法として、次のような方法がある(例えば、非特許文献2)。すなわち、MMSE(Minimum Mean squared error)やMLD(Maximum Likelihood Detection)、反復復号受信などによる送信系列(複数の無線受信装置からの送信系列)を分離受信する方法である。反復復号受信の構成としては、例えば、パラレル型干渉キャンセラPIC(parallel Interference Cancellation)、逐次型干渉キャンセラSIC(Successive Interference Cancellation)がある。パラレル型干渉キャンセラPICは、干渉信号を一括して除去して復号処理を行う。逐次型干渉キャンセラSICは、受信信号から逐次的に空間多重信号を分離受信して、復号処理を行う。そして、受信信号から干渉信号を徐々に取り除いていく。
MLD法では、受信信号に対し、複数の送信アンテナから送信された複数の送信信号のすべての組合せを用いてメトリック(例えばユークリッド距離又はその二乗)を算出する。そして、最小の距離を与える送信信号の組合せを選択する。これにより、複数の空間多重された送信信号が確実に分離でき、MMSEやZFといった他の線形分離受信方法よりも優れた特性を得ることができる。他方で、送信信号の変調多値数や空間多重数の増加に伴いメトリック演算が増大し、信号分離に要する演算量が大きくなる。その結果、無線受信装置の小型化および消費電力の低減化が実現しにくい結果となる。
そこで、MLD法での演算量を削減するため、各種アルゴリズムが検討されている。その一つにQRM−MLD法が存在する(例えば、非特許文献3)。QRM−MLD法では、MLD法に、QR分解およびMアルゴリズムを組み合わせて、メトリックの計算回数を削減する。例えば、64QAMを2本の送信アンテナから伝送した場合、MLD法によるメトリック計算回数は、4096(=64×64)回となる。
これに対し、QRM−MLD法によるメトリック計算回数は、(初段の信号点候補数)+(2段目の信号点候補数)×(初段で生き残った信号点候補数)で求めることができるので、48+64×48=3120回(ただし、初段の信号点候補数M=48の場合)となる。よって、QRM−MLD法によるメトリック計算回数は、MLD法によるメトリック計算回数に比べて、減ることになる。
なお、このような演算量(メトリック計算回数)の削減効果は、空間多重送信信号数が増大すればするほど大きくなる。
さらに、MLD法での演算量を削減する方法として、Sphere Decoding法も存在する(例えば、非特許文献4)。Sphere Decoding法では、すべてのシンボル候補点と受信信号点との間の距離を算出するのではなく、受信信号を中心とした一定の領域内にあるシンボル候補点だけの距離を計算する。これにより、演算量を大幅に削減する。
ここで、伝搬路誤り訂正符号化(ターボ符号、LDPC符号)により空間多重伝送する場合、送信信号の組合せを選択した後、尤度情報に基づく軟判定値を算出する。そして、誤り訂正復号処理を行う。その結果、受信特性が改善する。
尤度情報の算出方法としては、MAX−LOG―MAP法による対数尤度比(LLR:Log Liklihood Ratio)を軟判定値として用いることができる(例えば、非特許文献5)。
受信信号の対数尤度比を決定するための方法としては、次のような方法がある(例えば、特許文献1)。すなわち、2種類の距離を計算して、対数尤度比を算出する方法である。1種類目の距離は、受信信号点と、ビットにマッチングする最も近いシンボル点との間の距離である。2種類目の距離は、受信シンボルとビットにマッチングしていない最も近いシンボル点との間の距離である。
T.Ohgane et al, "A study on a channel allocation scheme with an adaptive array in SDMA, " IEEE 47th VTC, Page.725-729, vol.2(1997) G.J.Foschini, " Layered space-time architecture for wireless communication in a fading environment when using multi-element antennas," Bell Labs Tech. J., pp.41-59, Autumn 1996 Higuchi, K.; Kawai, H.; Maeda, N.; Sawahashi, M.; Itoh, T.; Kakura, Y.; Ushirokawa, A.; Seki, H, "Likelihood function for QRM-MLD suitable for soft-decision turbo decoding and its performance for OFCDM MIMO multiplexing in multipathfading channel," Personal, Indoor and Mobile Radio Communications, 2004. PIMRC 2004. 15th IEEE International Symposium on Volume 2, 5-8 Sept. 2004 pp.1142 - 1148 O.Damen, A.Chkeif, and J.C.Belfiore, "Lattice code decoder for space-time codes," IEEE Comms.Letter, vol.4,no.5, pp.161-163, May 2000 三瓶著、「デジタルワイヤレス伝送技術」、pp.275〜279、ピアソン・エデュケーション出版 特表2004−522375号公報
しかしながら、QRM―MLD法では、MAX−LOG−MAP法においてビットごとのLLRを算出する際、シンボル候補を削減することにより、対応するメトリック演算に必要なシンボルまで削減する。その結果、LLRが算出できない現象(以下、ビット消失現象という)が生じる。
QRM―MLD法では、MLD法とは異なり、周辺のシンボルのメトリックを用いた補間処理を行うことにより尤度情報を算出する。しかし、そのような算出処理は、分岐処理となってしまい、FPGAやLSIなどのハードウエア実装に適さない。
QRM−MLD法では、初段から信号点を削減する場合、MLD法に比べて、特性劣化が大きくなる。
Sphere Decoding法では、送信する情報を誤り訂正符号化して送信する場合において、軟判定復号するときに、受信信号から最も近いシンボル点の距離を求める領域が拡大する。その結果、演算量の削減効果を向上させにくい。
Sphere Decoding手法を用いた場合を以下に示す。送信する情報を誤り訂正符号化して送信する場合に、軟判定復号を適用する際、MLD法と同等な特性を得るためには、ビット毎の尤度情報算出のために、距離を計算する領域を拡大する必要が生じ、演算量削減効果が小さくなる課題を生じる。
上記課題を解決するために、本発明は、空間多重する伝搬路のチャネル推定値を出力するチャネル推定部と、M個の空間多重送信信号の受信信号と前記チャネル推定部の出力を基に、前記M個の空間多重信号のうち第1の送信信号に対するシンボルを判定し、判定シンボルとして出力するシンボル判定部と、前記第1の送信信号の判定シンボルおよび前記第1の送信信号の判定シンボルに近接する近接シンボル群と、受信信号点との間の距離を算出する近接シンボル間距離算出部と、前記第1の送信信号の判定シンボルで表されるN個のビットのうち、k番目のビットを反転したビットを含むシンボル群で前記第1の送信信号の判定シンボルに最近接する部分ビット反転シンボルS(k)(k=1〜N)と前記受信信号点との距離を算出する第1の反転シンボル間距離算出部と、前記近接シンボル間距離算出部および第1の反転シンボル間距離算出部の出力を基にビット尤度を算出するビット尤度算出部と、前記ビット尤度算出部の出力を基に誤り訂正復号処理を行う誤り訂正復号部と、を含む。
また、上記課題を解決するために、本発明は、空間多重する伝搬路のチャネル推定値を出力するチャネル推定部と、M個の空間多重送信信号の受信信号と前記チャネル推定部の出力を基に、前記M個の空間多重信号の送信シンボル(S、...、SM)を判定シンボルとして出力するシンボル判定部と、前記判定シンボルおよび前記判定シンボルに近接する近接シンボル群と受信信号点との間の距離を算出する近接シンボル間距離算出部と、前記判定シンボルで表されるN個のビットのうち、k番目のビットを反転したビットを含むシンボル群で前記判定シンボルに最近接する部分ビット反転シンボルS(k)(k=1〜N)と前記受信信号点との距離を算出する第1の反転シンボル間距離算出部と、前記近接シンボル間距離算出部および第1の反転シンボル間距離算出部の出力を基にビット尤度を算出するビット尤度算出部と、前記ビット尤度算出部の出力を基に誤り訂正復号処理を行う誤り訂正復号部と、を含む。
本発明の無線受信装置によれば、演算量の削減効果を得られて特性劣化が小さく、かつビット消失現象がなくなる。さらに、ハードウエア実装に適した構成で実現できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。同一部分は、同一の符号(用語を含む)を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における無線受信装置10の構成例を示す図である。ここでは、図1の無線受信装置10は、空間多重伝送された送信信号(空間多重ストリームに含まれる送信信号)を分離して復号するまでの受信処理を行うものとする。そして、本実施の形態では、例えば、変調方式を64QAMとし、送信信号数(または空間多重ストリーム数)NtをNt=2、受信アンテナ数NrをNr=2とした場合について説明する。
この場合、2つの送信信号ベクトルx=(xが、2本の送信アンテナからそれぞれ送信されるものとする。
なお、変調方式や送信信号数、受信アンテナ数は、本実施の形態に限定されず、変更してもよい。以下において、Lは第nの送信信号の変調多値数を表すものとする。また、xは第nの送信シンボル、Tは転置演算子をそれぞれ表すものとする。
図1において、無線受信装置10は、2本の受信アンテナ101、102、2つの受信部103、104、チャネル推定部105、QR分解演算部106および行列乗算部107を有する。さらに、無線受信装置10は、シンボル判定部108、第1の反転シンボル間距離算出部(第1の検出部)109、近接シンボル間距離算出部(第1の選定部)110、第2の反転シンボル間距離算出部(第2の検出部)111、ビット尤度算出部112および誤り訂正複号部113を有する。
各受信アンテナ101、102は、例えば無線送信装置(不図示)から送信されてきた高周波信号(複数の送信信号を含む空間多重ストリーム)を受信する。本実施の形態では、受信アンテナの本数は、例えば2本としたが、空間多重ストリーム数M(Mは自然数)以上の自然数に変更してもよい。受信アンテナの本数をM以上の自然数とするのは、受信品質を確保するためである。
各受信部103、104は、各受信アンテナ101、102で受信された高周波信号について、増幅処理および周波数変換処理を行った後、直交検波処理を行う。これにより、高周波信号が、I(I:Inphase、同相)信号と、Q(Q:Quadrature、直交)信号とからなるベースバンド信号に変換される。
なお、ベースバンド信号は、A/D変換器(不図示)を用いて、離散信号としてサンプリングされる。本実施の形態では、サンプリングされたI信号およびQ信号からなる複素信号を受信信号yとして表す。このとき、I信号は、複素信号の実数成分に相当し、Q信号は、複素信号の虚数成分に相当する。
また、本実施の形態において、受信信号ベクトルyと表記した場合、これは、第n番目の要素がyからなるNr次元の列ベクトルを表すものとする。
チャネル推定部105は、空間多重する伝搬路の変動状況の推定値であるチャネル推定値(空間多重ストリームに用いられる伝搬路のチャネル推定値)を出力する。このチャネル推定値は、無線送信装置(不図示)から送信される公知のパイロット信号やリファレンス信号などに基づくものである。具体的には、チャネル推定値は、伝搬路の振幅変動および位相変動量を示した複素数値で表される。
本実施の形態では、行列Hの行列要素が、チャネル推定値hnmとなっている場合、この行列Hをチャネル行列という。ただし、hnmは、m番目の送信アンテナとn番目の受信アンテナとの間のチャネル推定値を表す。nはNr以下の自然数、mはNt以下の自然数とする。
ここで、無線受信装置10において、第m番目の送信アンテナから送信される送信信号xに対して、フラットフェージング伝搬環境下において得られる受信信号ベクトルyは、数1で表される。
Figure 0004827695
数1中、チャネル行列Hは、Nr行×Nt列で構成される。Nrは、無線受信装置10の受信アンテナ数を表し、Ntは、無線送信装置(不図示)において送信に使用される送信アンテナ数を表す。なお、本実施の形態では、空間多重ストリーム数はNtに等しいものとする。本実施の形態では、例えば、Nr、Ntはともに、2である。
また、数1のnは、Nr本のアンテナで受信したときに付加されるNr個の要素をもつ雑音ベクトルを表す。この雑音電力σの白色雑音を数2に表す。
Figure 0004827695
なお、数2中、INrはNr次の単位行列、E[x]はxの期待値をそれぞれ表す。
QR分解演算部106は、チャネル推定部105の出力をQR分解することで、上三角行列Rとユニタリ行列Qを出力する。そして、QR分解演算部106は、上三角行列Rを新たなチャネル推定行列にし、受信信号にユニタリ行列の共役転置QHを乗算した出力を新たな受信信号とする。
具体的には、QR分解演算部106は、ユニタリ行列Qおよび上三角行列Rの積でチャネル行列Hを表すように、行列QおよびRを求める。このときH=QRとなる。Qに関する情報は、行列乗算部107に与えられる。Rに関する情報は、シンボル判定部108、各反転シンボル間距離算出部109、111および近接シンボル間距離算出部110に与えられる。
行列乗算部107は、受信信号ベクトルy=(yに、ユニタリ行列Qの共役転置行列Qを乗算する。そして、行列乗算部107は、ユニタリ変換信号ベクトルzを得る。このとき、zと送信信号ベクトルxとの間には、数3に示す関係が成立する。
Figure 0004827695
シンボル判定部108は、M個の空間多重送信信号の受信信号と前記チャネル推定部の出力を基に、前記M個の空間多重信号のうち第1の送信信号に対するシンボルを判定し、判定シンボルとして出力する。この判定には、次のような方法がある。
[線形分離方法]
まず、線形分離方法によるシンボル判定について説明する(第1段階、第2段階)。つまり、シンボル判定部108は、線形分離処理により送信信号の組合せを推定する。ここでは、第1段階として、数4に示す関係を用いて、第2の送信シンボルxを判定する。
Figure 0004827695
数4中、C(L)は、変調多値数Lの変調方式を用いたときにマッピングされるL個の送信シンボルの集合を表す。
ここで、受信信号点z/r22に対する送信シンボルの決定方法について図2を参照して説明する。なお、zはユニタリ変換信号、r22はQR分解により得られる行列Rの対角要素をそれぞれ表す。z/r22は、r22を用いてzを正規化したものである。図2のx軸およびy軸は、それぞれ、送信シンボルScをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値を示す。
この場合、(z/r22)−A、および、(z/r22)−Bを基に信号点が属する領域が検出されて、送信シンボルが決定される。これにより、全ての送信シンボルScとの距離を算出する必要なく送信シンボルを決定することができる。よって、距離算出に伴う処理量(演算量)が削減する。
なお、上記処理量の削減方法としては、次のような方法もある。すなわち、送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値A、Bに、行列Rの対角要素r22を乗算する。そして、その乗算結果を新たな閾値r22、r22とし、これらとユニタリ変換信号点zとの差から、送信シンボルを決定する。これは、QR分解により得られる行列Rの対角要素が実数値をとる性質を利用している。この場合も、ユニタリ変換信号zの正規化時の割り算が不要となるため、処理量が削減する。
次に、第2段階について説明する。ここでは、数5に示す関係から、第1段階で判定した第2の送信シンボルxを用いて、第1の送信シンボルxが決定される。
Figure 0004827695
この決定の際も、QR分解により得られる行列Rの対角要素r11を利用して処理量の削減を実現することができる。
すなわち、図2の閾値A、B(送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割したもの)と、z−r12をr11で正規化した信号点との差から、送信シンボルを決定する。なお、zはユニタリ変換信号、r12は送信シンボルxによる干渉成分をそれぞれ表す。
この場合、全ての送信シンボルとの距離を算出する必要なく送信シンボルを決定することができる。よって、距離算出に伴う処理量が削減する。
なお、上記第2段階における処理量の削減方法としては、次のような方法もある。すなわち、送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値A、Bに、行列Rの対角要素r11を乗算する。そして、その乗算結果を新たな閾値r11、r11とし、これらとユニタリ変換信号点zとの差から、送信シンボルを決定する。これは、QR分解により得られる行列Rの対角要素が実数値をとる性質を利用している。この場合も、ユニタリ変換信号zの正規化時の割り算が不要となるため、処理量が削減する。
なお、送信信号数Ntが2よりも大きい場合、第m段階として、次のような処理を行う。すなわち、数6に示す演算処理をして送信シンボルを決定する。このとき、m=Ntとなるまで、繰り返し演算処理を実行する。
Figure 0004827695
なお、QR分解を用いた線形分離方法の場合について説明したが、例えば、ZF法やMMSE法によるウエイトを乗算して、受信信号を分離してもよい。
次に、シンボル判定部108において行われる最尤推定方法によるシンボル判定について説明する(第1段階、第2段階)。つまり、シンボル判定部108は、送信信号の最適な組合せを最尤推定により判定する。ここでは、第1段階として、数7に示す関係を満たす、送信シンボルの最尤である組(x、x)を判定する。
Figure 0004827695
ここで、2×2MIMO送信時において、変調多値数L、Lの多値変調を用いる場合、最尤シンボル判定は、(L×L)通りの組合せとなる。しかし、QR分解により得られる上三角化行列Rを用いて処理量の簡易化を図ることができる。
具体的には、第2の送信シンボルとして、あるシンボルsを仮設定する。そして、ユニタリ変換信号zから、シンボルsによる干渉成分r12を除去した信号(z−r12)を、QR分解により得られる行列Rの対角要素r11で正規化した信号点と、第1の送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値との差を求める。次に、その差から、シンボルsに対する最適な第1の送信シンボルsの組合せを決定する。そして、決定したシンボルの組合せから、数8に示すメトリックを算出する。
Figure 0004827695
次に、シンボルsについて、第2の送信シンボルすべてのセットに対して、以上の処理を行い最終的に数8によるメトリックの算出を行う。そして、算出されたL個のメトリックの中から、最小のメトリックを与える送信シンボルの組合せを最尤送信シンボルとする。このようにすることにより、すべての送信シンボルの組合せ(L×L通り)に対してメトリックを算出することなく、L通りのメトリックを算出して、最尤送信シンボルを決定することができる。よって、処理量が削減する。
なお、シンボルsに対するs(第1の送信シンボル)の最適な決定方法として、次のような方法もある。すなわち、信号点(z−r12)に対する閾値(第1の送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値に行列Rの対角要素r11を乗算した新たな閾値)との差から、送信シンボルを決定する。この場合、正規化に伴う割り算が不要となり、処理量をさらに削減することができる。
ここで、L個のメトリックを算出する場合、ユークリッド距離の2乗ではなく、数9に示すマンハッタン距離のメトリックを用いて、最小のメトリックを検出してもよい。そして、その検出後に、数8に示すユークリッド距離の2乗によるメトリック算出を行うようにしてもよい。この場合、演算回数がさらに削減する。
Figure 0004827695
なお、送信信号数Ntが3の場合、数10に示す演算処理をして最尤送信シンボルを決定する。
Figure 0004827695
この場合、上記処理量の削減方法を用いると、第3段階目において、第2および第3の送信信号についての全ての組合せから、受信信号点に最も近い距離にあるシンボルを第1の送信信号として検出する処理が必要となる。このため、第2および第3の送信信号の変調多値数がL、Lであるとき、仮設定する第2および第3の送信シンボルの組合せが(L×L)通り分必要となる。
例えば、64QAMを用いる場合(L=L=64の場合)、4096通りとなり、演算回数が多くなる。そこで、演算回数を減らすため、次の準最尤方法を用いてもよい。
まず、Nt=3の場合について説明する。この場合、上記最尤シンボルの処理量を削減する際に用いた方法を、第1段階と第2段階で得られる部分的な受信信号(数11参照)に対して適用する。つまり、シンボル判定部108は、受信信号の一部を用いて、一部の送信信号の組合せを最尤推定により判定し、残りの送信信号に対しては線形分離処理により送信シンボルを判定する。
Figure 0004827695
数11から得られる最尤シンボル、すなわち第2および第3の送信シンボル(x、x)を仮判定シンボルとする。そして、残りの1つを第1の送信シンボルx1として決定する。
第3段階においては、数12に示すように、第1および第2の仮判定シンボル(x、x)を用いて、ユニタリ変換信号zから減算処理を行う。そして、第3の送信シンボルxを決定する。
Figure 0004827695
次に、送信信号数Ntが4以上の場合について説明する。この場合も、Nt=3の場合と同様に、第(Nt−m+2)から、第(Nt)までの送信シンボル(仮判定シンボル)を得る。そして、第m段階において、これらの送信シンボル(仮判定シンボル)を基に、残りの1つのシンボルを第(Nt−m+1)の送信シンボルx(Nt−m+1)として決定する。このとき、m=Ntとなるまで、繰り返し演算処理を実行する。これにより、比較的、簡易な方法ですべての送信シンボルの組合せを判定することができる。
ここで、シンボル判定部108において行われる上記3種類のシンボル判定方法の特徴について説明する。
まず、線形分離方法では、シンボル判定部109において演算するシンボル判定処理の演算量は比較的少なくなる。しかし、受信品質は、他の方法に比べて劣化する。
最尤推定方法では、シンボル判定部109において演算するシンボル判定処理の演算量は、線形分離方法の場合に比べて増える。しかし、受信品質は、3種類の方法の中で最も優れている。
準最尤方法では、演算量および受信品質がともに中程度(2番目)となる。
図1に戻って、第1の反転シンボル間距離算出部109は、シンボル判定部108の出力、すなわち送信シンボル判定結果を基に、次のようなシンボル候補群(第1のシンボル候補群)を検出して、ビット尤度算出部112に出力する。シンボル候補群は、第2の送信シンボルにおけるビット毎のLLR算出時に、ビットの消失現象が起きない必要最小限のシンボル候補(第1の条件を満たすもの)からなるものである。
具体的には、第1の反転シンボル間距離算出部109は、第1の送信信号の判定シンボルで表されるN個のビットのうち、k番目のビットを反転したビットを含むシンボル群で第1の送信信号の判定シンボルに最近接する部分ビット反転シンボルS(k)(k=1〜N)と受信信号点との距離を算出する。
ここで、シンボル候補群の一例を図3を参照して説明する。ここでは、64QAM変調方式の場合について説明するが、これに限られない。
図3によると、複素平面上にマッピングされた送信シンボル点(×印)と、割り当てられたビットデータ(0と1との組み合わせ)と、受信信号点(z/r22)が示されている。受信信号点(z/r22)は、ユニタリ変換信号zを、行列Rの対角要素r22で正規化した信号を表す。
第1の反転シンボル間距離算出部109は、第2の送信シンボルの判定値(x)にマッピングされた判定ビット列B(b)={b,b,...,bQ2}に対して、次のようなシンボルを選定(検出)する。すなわち、第k番目のビットbを反転した値NOT(b)が含まれるビット列)が、マッピングされた送信シンボルのうち、判定送信シンボル(x)に最も近接する部分ビット反転シンボルSr(k、x)である。
このとき、Q=log(L)となる。そして、第1の反転シンボル間距離算出部109は、すべてのk=1〜Qに対し、部分ビット反転シンボルSr(k、x)を選定して出力する。この選定方法としては、あらかじめ記憶しているL個の全ての送信シンボル候補に対する各々Q個の部分ビット反転シンボルとの組をあらかじめ記憶しておき、第2の送信シンボルの判定値(x)に応じて部分ビット反転シンボルの組を選定することで実現できる。このとき、上記組は、例えば、個別の記憶テーブル(シンボル記憶部)に格納することで実現できる。
この場合、(Q×L)個の組合せを記憶することで実現できる。図3では、x={0,0,0,0,0,0}の場合における部分ビット反転シンボル群Sr(k、x={0,0,0,0,0,0})が示されている。k=6である。
続いて、第1の反転シンボル間距離算出部109は、Sr(k、x)と、受信信号点(z/r22)とのメトリックd(k、x)を算出する。ただし、k=1,...,Qとする。
メトリックの算出は、ユークリッド距離の二乗、ユークリッド距離またはマンハッタン距離を適用して行うことが可能である。ユークリッド距離の二乗を用いる場合、メトリックd(Sr(k、x))は、数13のようになる。
Figure 0004827695
さらに、第1の反転シンボル間距離算出部109は、第2段階として、次のような処理を行う。すなわち、第1の反転シンボル間距離算出部109は、Sr(k、x)に対し、数14に示す関係を満たす第1の送信シンボル候補S (x1)(Sr(k、x))を決定する。
Figure 0004827695
この決定の際も、QR分解により得られる行列Rの対角要素r11を利用することにより、処理量を減らすことが可能となる。具体的には、送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値と、(z−r12Sr(k、x))をQR分解により得られる行列Rの対角要素r11で正規化した信号点との差から、送信シンボルを決定する。(z−r12Sr(k、x))は、受信信号点zから、送信シンボルSr(k、x)による干渉成分r12Sr(k、x)を除去した信号を表す。
これにより、全ての送信シンボルとの距離を算出する必要なく送信シンボルを決定することができる。よって、距離算出に伴う処理量が削減する。
なお、上記処理量の削減方法としては、次のような方法もある。すなわち、送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値A、Bに、行列Rの対角要素r11を乗算する。そして、その乗算結果を新たな閾値r11、r11とし、これらとユニタリ変換信号点zとの差から、送信シンボルを決定する。これは、QR分解により得られる行列Rの対角要素が実数値をとる性質を利用している。この場合も、ユニタリ変換信号zの正規化時の割り算が不要となるため、処理量が削減する。
さらに、第1の反転シンボル間距離算出部109は、数15に示すメトリックd(S (x1)(Sr(k、x)),Sr(k、x))を算出する。
Figure 0004827695
数15では、ユークリッド距離の二乗を用いる場合のメトリックを示しているが、メトリックの算出は、ユークリッド距離またはマンハッタン距離を適用してもよい。
近接シンボル間距離算出部110は、第1の送信信号の判定シンボルおよび第1の送信信号の判定シンボルに近接する近接シンボル群と、受信信号点との間の距離を算出する。
具体的には、近接シンボル間距離算出部110は、まず、シンボル判定部4の出力である送信シンボル判定結果を基に、次のようなシンボル候補群(第2のシンボル候補群)を選定して、第2の反転シンボル間距離算出部111に出力する。シンボル候補群は、ビット毎のLLR算出を近似的に算出するために必要最小限のシンボル候補(第2の条件を満たすもの)からなるものである。
ここで、近接シンボル間距離算出部110におけるシンボル候補群の一例を図4を参照して説明する。ここでは、64QAM変調方式の場合について説明するが、これに限られない。
図4によると、複素平面上にマッピングされた送信シンボル点(×印)と、割り当てられたビットデータ(0と1との組み合わせ)と、受信信号点(z/r22)が示されている。
近接シンボル間距離算出部110は、数16に示す関係式を用いて、第2の送信シンボルの判定値(x)から、所定の半径Fにある近接した近接送信シンボル群Sa(x、F)を出力する。
Figure 0004827695
近接シンボル間距離算出部110の出力には、判定シンボルxも含まれる。図4によると、F=0.4の場合、Sa(x={0,0,0,0,0,0}、F=0.4)として、9個のシンボルが選択されている。
次に、近接シンボル間距離算出部110は、Sa(x、F)に属する各シンボルと、受信信号点(z/r22)とのメトリックg(F、x)をそれぞれ算出する。メトリックは、反転シンボル間距離算出部109におけるものと同一のものを用いる。ユークリッド距離の二乗を用いる場合、メトリックg(F、x)は、数17のようになる。
Figure 0004827695
数17中、s (n)(x、F)は、Na個のシンボルを含む近接送信シンボル群Sa(x、F)における第n番目のシンボルを表す。n=1〜Na(Naは1以上の自然数)とする。
第2の反転シンボル間距離算出部111は、近接シンボル群Sa(x、F)に含まれる各シンボルに対し、第1の送信シンボル候補群を算出して、誤り訂正復号部113に出力する。第1の送信シンボル候補群は、第1の送信シンボルに属するビットに対するLLR算出時に、ビット消失現象が起きない必要最小限の第1の送信シンボル候補からなるものである。
具体的には、第2の反転シンボル間距離算出部111は、第2段階として、近接シンボル群Sa(x、F)に属するs (n)(x、F)に対し、数18に示す関係式から、最も近接するシンボルSa (x1)(s (n)(x、F))を検出する。この検出時には、上述した領域判定による簡易化の適用が可能である。n=1〜Naとする。
Figure 0004827695
そして、第2の反転シンボル間距離算出部111は、検出されたシンボルSa (x1)(s (n)(x、F))に対し、ビット毎のLLR算出時に、ビット消失現象が起きない必要最小限のシンボル候補群(第1の条件に従うもの)を選定して出力する(第1の反転シンボル間距離算出部109と同様)。
ここで、64QAM変調方式の場合における第2の反転シンボル間距離算出部111の機能について説明するが、変調方式は変更してもよい。
第2の反転シンボル間距離算出部111は、第1の送信シンボル候補Sa (x1)(s (n)(x、F))にマッピングされたビット列B(b)={b,b,...、bQ1}に対し、次のようなシンボルを選定する。すなわち、第k番目のビットbを反転したビットNOT(b)を有する送信シンボルのうち、第1の送信シンボル候補Sa (x1)(s (n)(x、F))に最も近接する部分ビット反転シンボルS (x1)(k、Sa (x1)(s (n)(x、F)))である。このとき、Q=logである。
そして、第2の反転シンボル間距離算出部111は、すべてのk=1〜Qに対し、第1の送信シンボルに対する部分ビット反転シンボルS (x1)(k、Sa (x1)(s (n)(x、F)))を選定して出力する。このときの選定方法としては、あらかじめ記憶しているL個の全ての送信シンボル候補に対する各々Q個の部分ビット反転シンボルとの組をあらかじめ記憶しておき、第2の送信シンボルの判定値に応じて部分ビット反転シンボルの組を選定することで実現できる。このとき、上記組は、例えば、個別の記憶テーブル(シンボル記憶部)に格納する。
この場合、(Q×L)個の組合せを記憶することで実現できる。
なお、k=0の場合、S (x1)(k、Sa (x1)(s (n)(x、F)))は、ビット反転を含まないSa (x1)(s (n)(x、F))そのもののビット列を表すものとする。
次に、第2の反転シンボル間距離算出部111は、数19に示す関係式から、第1の送信シンボル部分ビット反転シンボル群S (x1)(k、Sa (x1)(s (n)(x、F)))に対し、ユニタリ変換信号zとの距離を算出する。さらに、第2の反転シンボル間距離算出部111は、近接シンボル間距離算出部110で算出したメトリックgを加算する。このとき、メトリックgの演算回数は、(1+Q)×Naとなる。
Figure 0004827695
ビット尤度算出部112は、近接シンボル間距離算出部110(第2の反転シンボル間距離算出部111)および第1の反転シンボル間距離算出部109の出力を基にビット尤度を算出する。この算出では、数20に示す関係式から、MAX−LOG―MAP規範に基づく対数尤度比LLR(k)を算出する。
Figure 0004827695
なお、数20中、LLR(k)は、第1および第2の反転シンボル間距離算出部109、111で送信シンボル候補とされ、かつメトリックdあるいはgを算出した第1および第2の送信シンボル候補群Gの範囲内において、第k番目のビット毎の尤度情報として求められる。
また、数20中、bは、メトリックd(s1,s2)あるいはg(s1,s2)を算出した送信シンボルの組合せ(s,s)について、マッピングされたビット列として表記した場合の第k番目のビットの値を表す。このとき、k=1、...、log(L)+log(L)とする。
また、本実施の形態では、ビット尤度算出部112は、数20に示す関係式から、LLR(k)を算出することとしたが、数21に示す関係式から、近似的にLLR(k)を算出してもよい。この場合、数20の場合に比べて、優れた特性を得る。
Figure 0004827695
ここで、シンボル判定部108において最尤シンボルを出力する場合、その最尤シンボルの組合せにマッピングされたビットb (ML)は、常に、最尤シンボルのメトリックdminに等しくなる。この関係式を数22に示す。
Figure 0004827695
数20および数21から、LLR(k)は、反転ビットNOT(b (ML))に対する最小メトリックの探索のみで求まることがわかる。このとき、k=1、...、log(L)+log(L)となる。
誤り訂正復号部113は、ビット尤度算出部112の出力、すなわち対数尤度比(尤度情報)LLRを用いて誤り訂正復号処理を行う。誤り訂正符号化は、畳み込み符号やターボ符号、LDPC符号などを適用して行うことが可能である。
なお、送信側(不図示の無線送信装置)において、インターリーブまたはパンクチャが含まれる場合、誤り訂正復号部113は、デインターリーブまたはデバンクチャを含む。
ここで、上記無線受信装置10を用いたときのBER特性のシミュレーション結果を図5に示す。このときの条件として、2×2MIMO時、64QAM(R=3/4)、
Ttypical Urban 6 path(fd=72.2Hz)、Turbo decorder(8iteration, Max-log-Map)、Channel unknownとした(図5参照)。なお、図5では、比較例として、MLDを用いたときのBER特性も示している。このとき、シンボル判定部108は、最尤シンボルの検出処理を行う。
図5から、本実施の形態におけるBER特性は、近接送信シンボル群に含まれる最大個数max(Na(F))を9程度以上にすることで、MLDの特性とほぼ一致することがわかる。すなわち、近接シンボル間距離算出部110において半径Fを大きくすればよい。
一方、メトリックの演算回数については、MLDの場合はL×L=4096(回)になるのに対し、本発明の場合は、max(Na(F))=9のときにQ+max(Na(F))×Q=6+9×7=69(回)になる。よって、本発明の場合のメトリックの演算回数は、MLDの場合に比べて、1.7%程度に削減する。
以上のように、本実施の形態によると、各反転シンボル間距離算出部109、111および近接シンボル間距離算出部110は、シンボル判定部108の出力、すなわちシンボル判定結果から、予め決定された規則(あるいは記憶テーブル)を基に、送信シンボル候補点を限定して選択する。また、各反転シンボル間距離算出部109、111および近接シンボル間距離算出部110は、受信信号点とのメトリックを算出する。
このため、算出されたメトリックが、MLD法で得られる尤度情報、すなわちMAX−LOG−MAP法に基づくLLRに近似する。
そして、送信シンボル候補点として選択される送信信号点は、各反転シンボル間距離算出部109、111により、LLR算出時のビット消失問題をなくすように選定される。
さらに、この送信信号点は、近接シンボル間距離算出部110により、受信特性劣化を招かない最小限の範囲を含むように算出される。これにより、MLDと同程度の受信品質を保持しつつ演算回数の削減を図ることができる(図5参照)。
また、本実施の形態によると、Sphere Decoding法に比べ、LLR算出時のビット消失問題をなくすようにシンボル選定する。このため、距離を計算する領域を必要以上に拡大する必要がない。よって、演算量の削減効果が大きく、また受信特性の劣化が抑えやすくなる。
なお、シンボル判定として、ZFやMMSEといった線形分離受信方法を用いて、シンボルを仮判定してもよい。あるいは、シンボル判定として最尤シンボルの判定結果を用いてもよい。この場合、線形分離受信方法を用いる場合に比べ、メトリックの乗算回数をさらに削減することができる。特に、送信信号数が2などの場合においては、比較的簡易に最尤シンボルを判定することができ、有効である。
最尤シンボルの判定を行う場合、受信信号に対し、QR分解で得られるユニタリ行列を乗算してもよい。このようにすることで、領域判定とメトリック算出(簡易な距離計算)とにより、最尤シンボルの検出が、比較的容易に行える。
さらに、本実施の形態によると、LLR算出時のビット消失問題をなくすことができるので、従来例の問題(分岐処理の実行)が解消される。よって、FPGAやLSIといったハードウエア実装に適合する。
また、一般的な最尤推定法(MLD)の処理量に比べて、処理量を大幅に削減することができる。例えば、最尤シンボル判定を用いた場合、64QAM、2x2MIMO時のメトリック算出回数が、MLD法に比べて、2%程度に削減する。さらに、このときの受信特性は、MLD法とほぼ同等の性能を維持する(図5参照)。
なお、本発明は、本実施の形態に限られない。例えば、本実施の形態では、シングルキャリアを用いた場合の受信構成について説明したが、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)のようなマルチキャリア変調の場合にも適用してもよい。この場合、受信信号をFFTした後のサブキャリア信号単位で、推定したチャネル行列Hを用いる。このようにすることで、上記発明の実現が可能である。
OFDM変調による空間多重伝送の場合、無線伝搬路のマルチパス遅延が、ガードインターバル時間内であれば、各サブキャリアが受ける伝搬路変動はフラットフェージングとして扱える。このため、マルチパスの等価処理が不要となり、空間多重伝送された信号の分離処理が軽減される(特徴点)。
また、本実施の形態では、各反転シンボル間距離算出部109、111および近接シンボル間距離算出部110において、予め決定された規則あるいは個別の記憶テーブルを用いた。しかし、個別の記憶テーブルについては、一つの記憶テーブルに統合してもよい。この場合、各反転シンボル間距離算出部109、111および近接シンボル間距離算出部110において、重複したシンボルが存在する場合、統合した記憶テーブルを用いることにより、重複したメトリックを算出することがなくなる。このため、さらなる処理量の低減を図ることが可能となる。
次に、各算出部109、110、111の構成について図6および図7を参照して詳述する(後述する実施の形態2、3も同様)。
(第1の反転シンボル間距離算出部の構成)
まず、第1の反転シンボル間距離算出部109の構成について詳述する。
第1の反転シンボル間距離算出部109は、第1の送信信号の全てのシンボルに対し、部分ビット反転シンボル群を予め記憶する反転シンボル記憶部1091(シンボル記憶部)を有し、このシンボル記憶部の出力を基に距離を算出する。
具体的には、第1の反転シンボル間距離算出部109は、図6に示すように、反転シンボル記憶部1091、第1の距離算出部1092、第1の送信シンボル検出部1093および第2の距離算出部1094を有する。
反転シンボル記憶部1091は、シンボル判定部108の出力、すなわち送信シンボルの判定結果を基に、第2の送信シンボルにおけるビット毎のLLR算出時において、ビット消失現象が起きない必要最小限のシンボル候補群を出力する。
具体的には、反転シンボル記憶部1091は、第2の送信シンボルの判定値(x)にマッピングされた判定ビット列B(b)={b,b,...,bQ2}に対し、ビット列(第k番目のビットbを反転した値NOT(b)を含む)がマッピングされた送信シンボルのうち、判定送信シンボル(x)に最も近接する部分ビット反転シンボルSr(k、x)を選定する。このとき、Q=log(L)である。
そして、反転シンボル記憶部1091は、すべてのk=1〜Qに対し、部分ビット反転シンボルSr(k、x)を選択して出力する。この選定方法としては、あらかじめ記憶しているL個の全ての送信シンボル候補に対する各々Q個の部分ビット反転シンボルとの組をあらかじめ記憶しておき、第2の送信シンボルの判定値(x)に応じて部分ビット反転シンボルの組を選定することで実現できる。このとき、上記組は、例えば、個別の記憶テーブル(シンボル記憶部)に格納することで実現できる。
この場合、(Q×L)個の組合せを記憶することで実現できる。
第1の距離算出部1092は、部分ビット反転シンボル群Sr(k、x)と、受信信号点(z/r22)とのメトリックd(k、x)を算出する(ただし、k=1,...,Q)。メトリックとしては、ユークリッド距離の二乗、ユークリッド距離またはマンハッタン距離を適用してよい。
ユークリッド距離の二乗を用いる場合のメトリックd(Sr(k、x))は、数13に示したとおりである。
第1の送信シンボル検出部1093は、第2段階として、部分ビット反転シンボル群Sr(k、x)に対し、数14に示す関係を満たす第1の送信シンボル候補S (x1)(Sr(k、x))を決定する。この決定の際、QR分解により得られる行列Rの対角要素r11を利用することにより、処理量を削減することができる。
具体的には、第1の送信シンボル検出部1093は、送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値と、信号(z−r12Sr(k、x))をQR分解により得られる行列Rの対角要素r11で正規化した信号点との差から、送信シンボルを決定する。信号(z−r12Sr(k、x))は、受信信号点zから、送信シンボルSr(k、x)による干渉成分r12Sr(k、x)を除去した信号である。
これにより、全ての送信シンボルとの距離を算出する必要なく送信シンボルを決定することができ、処理量が削減する。
なお、他の決定方法として、送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値に行列Rの対角要素r11を乗算した値を新たな閾値として、受信信号点zの差から、送信シンボルを決定する方法がある。この場合も、処理量が削減することとなる。
第2の距離算出部1094は、数15に示すメトリックd(S (x1)(Sr(k、x))、Sr(k、x))を算出する。メトリックとしては、ユークリッド距離の二乗、ユークリッド距離またはマンハッタン距離を適用することが可能である。なお、数15では、ユークリッド距離の二乗を用いる場合のメトリックを示している。
(近接シンボル間距離算出部の構成)
次に、近接シンボル間距離算出部110の構成について詳述する。
近接シンボル間距離算出部110は、第1の送信信号の全てのシンボルに対し、所定の半径内にある近接するシンボルを予め記憶する近接シンボル記憶部(シンボル記憶部)1101を有し、近接シンボル記憶部1101の出力を基に距離算出する。
具体的には、近接シンボル間距離算出部110は、図7に示すように、近接シンボル記憶部1101および第1の距離算出部1102を有する。
近接シンボル記憶部1101は、まず、シンボル判定部108の出力、すなわち送信シンボルの判定結果を基に、ビット毎のLLR算出を近似的に算出するために必要最小限のシンボル候補群を出力する。近接シンボル記憶部1101は、数16に示す関係式を用いて、第2の送信シンボルの判定値(x)から、所定の半径Fにある近接した近接送信シンボル群Sa(x、F)を選定して出力する。このときの出力には、判定シンボルxも含む。
ここで、近接シンボルの選定方法としては、送信シンボルマッピングは予め既知であり、固定されているため、マッピングされたL個の全てのシンボルに対する近接シンボルの組を、記憶しておくことで実現できる。
第1の距離算出部1102は、近接シンボル群Sa(x、F)に属する各シンボルと、受信信号点(z/r22)とのメトリックg(F、x)をそれぞれ算出して出力する。メトリックとしては、第1の反転シンボル間距離算出部109におけるものと同一のものを用いる。
例えば、ユークリッド距離の2乗を用いる場合のメトリックg(F、x)は、数17に示したとおりである。
(第2の反転シンボル間距離算出部の構成)
次に、第2の反転シンボル間距離算出部111の構成について詳述する。
第2の反転シンボル間距離算出部111は、図7に示すように、第1の送信シンボル検出部1111、反転シンボル記憶部1112および第2の距離算出部1113を有する。
第1の送信シンボル検出部1111は、近接シンボル記憶部の出力、すなわち近接シンボル群Sa(x、F)に属するs (n)(x、F)に対し、数18に示す関係式から、最も近接するシンボルSa (x1)(s (n)(x、F))を検出する。
反転シンボル記憶部1112は、第1の送信シンボル検出部1111で検出された第1の送信シンボルSa (x1)(s (n)(x、F))に属するビットに対するLLR算出時に、ビット消失現象が起きない必要最小限の第1の送信シンボル候補群を出力する。
具体的には、反転シンボル記憶部1112は、第1の送信シンボル候補Sa (x1)(s (n)(x、F))にマッピングされたビット列B(b)={b,b,...、bQ1}に対し、第k番目のビットbを反転したビットNOT(b)を有する送信シンボルのうち、第1の送信シンボル候補Sa (x1)(s (n)(x、F))に最も近接する部分ビット反転シンボルS (x1)(k、Sa (x1)(s (n)(x、F)))を選定する。このとき、Q=logである。
そして、反転シンボル記憶部1112は、すべてのk=1〜Qに対し、第1の送信シンボルに対する部分ビット反転シンボルS (x1)(k、Sa (x1)(s (n)(x、F)))を選定して出力する。部分ビット反転シンボルの選定方法としては、送信シンボルマッピングは予め既知であり、固定されているため、マッピングされたL個の全てのシンボルに対する部分ビット反転シンボルの組を、記憶しておくことで実現できる。この場合、(Q×L)個の組合せを記憶することで実現できる。
なお、k=0の場合、S (x1)(k、Sa (x1)(s (n)(x、F)))は、ビット反転を含まないSa (x1)(s (n)(x、F))そのもののビット列を表すものとする。
第2の距離算出部1113は、数19に示す関係式から、第1の送信シンボル部分ビット反転シンボル群S (x1)(k、Sa (x1)(s (n)(x、F)))に対し、ユニタリ変換信号zとの距離を算出する。さらに、第2の反転シンボル間距離算出部111は、近接シンボル間距離算出部110で算出したメトリックgを加算する。このとき、メトリックgの演算回数は、(1+Q)×Naとなる。
このように構成することにより、ビット尤度算出部112における送信シンボル候補が選定される。このため、LLR算出時のビット消失の問題が解消され、また、受信特性の劣化が生じなくなる。よって、MLD法と同程度の受信品質を保持しつつ演算回数の削減を図ることができる。
(他の近接シンボル間距離算出部の構成例)
次に、他の近接シンボル間距離算出部110Aの構成例について図8を参照して説明する。
図8において、近接シンボル間距離算出部110Aは、近接シンボル記憶部1101および第1の距離算出部1102(図7参照)のほかにも、線形分離シンボル検出部1103およびシンボル距離算出部1104をさらに有する。なお、本実施の形態では、シンボル判定部108におけるシンボル判定が、最尤推定方法により判定されるものとする。これにより、近接シンボル間距離算出部110Aは、仮判定シンボルと最尤シンボルとの距離に応じて近接シンボル群の近接範囲を可変する。
線形分離シンボル検出部1103は、第2のユニタリ変換信号zと、QR分解により得られる行列Rの対角要素r22とを用いて、数23に示す関係から、第2の送信シンボルxを仮判定した送信シンボル候補uを求める。
Figure 0004827695
数23中、C(L)は、変調多値数Lの変調方式を用いた場合にマッピングされるL個の送信シンボルの集合を表す。
シンボル距離算出部1104は、数24に示す関係式から、シンボル判定部108において判定された第2の送信シンボル(最尤シンボル)xと、線形分離シンボル検出部1103において仮判定された送信シンボル候補(仮判定シンボル)uとの間のシンボル間距離Dを算出する。
Figure 0004827695
近接シンボル記憶部1101は、シンボル判定部108の出力である送信シンボルの判定結果を基に、ビット毎のLLR算出を近似的に算出するための必要最小限のシンボル候補群を出力する。
近接シンボル記憶部1101は、数16に示す関係式を用いて、第2の送信シンボルの判定値(x)から、所定の半径Fにある近接した近接送信シンボル群(近接シンボル群)Sa(x、F)を出力する(判定シンボルxを含めて出力)。この出力に際し、近接シンボル記憶部1101は、シンボル距離算出部1104の出力、すなわちシンボル間距離D(仮判定シンボルと最尤シンボルとの距離)に応じて、半径Fを可変する。例えば、シンボル間距離Dが大きい場合、半径Fの値も大きくする。
ここで、近接シンボルの選定方法としては、送信シンボルマッピングは予め既知であり、固定されているため、マッピングされたL個の全てのシンボルに対する近接シンボルの組を、半径Fに応じて記憶しておくことで実現できる。
第1の距離算出部1102は、近接シンボル群Sa(x、F)に属する各シンボルと、受信信号点(z/r22)とのメトリックg(F、x)をそれぞれ算出し出力する。メトリックとしては、第1の反転シンボル間距離算出部109におけるものと同一のものを用いる。例えば、ユークリッド距離の2乗を用いる場合のメトリックg(F、x)は、数17に示したとおりである。
このように構成すると、近接シンボル記憶部1101において、シンボル間距離Dに応じて、近接送信シンボル群Sa(x、F)の半径Fを可変することができる。例えば、シンボル間距離Dが大きい場合、雑音やチャネル推定誤差などの影響をより多く受けている受信状態となるため、そのような場合、近接送信シンボル群Sa(x、F)の範囲をより広くする。このようにすることで、ビット尤度算出部112において算出されるLLRが、MLDで得られるLLRに近似することとなる。その結果、受信品質が改善する。
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2における無線受信装置10Aの構成例を示す図である。なお、図9の無線受信装置10Aは、空間多重伝送された送信信号を分離して復号するまでの受信処理を行うものとする。
図9の無線受信装置10Aは、図1の実施の形態1における無線受信装置10に、受信品質検出部114およびビット列復元部115をさらに有する。その他の無線受信装置10Cの構成は、図1の実施の形態1と同様である。そこで、以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
受信品質検出部114は、空間多重ストリームごとの受信品質を検出し、複数の送信信号のうち、受信品質の高い送信信号を第1の送信信号として並び替える。また、ビット列復元部115は、LLRにおけるビット列を並び替え前に戻して誤り復号部113へ出力する。
具体的には、受信品質検出部114は、チャネル推定部105で推定したチャネル行列Hを基に、複数の送信信号に対する受信品質を検出する。そして、受信品質検出部114は、検出した受信品質の順序づけを行う。なお、受信品質は、送信信号に対する受信電力の大きさや、総受信電力に対する希望送信信号の電力などによって評価する。受信品質検出部114による受信品質の検出値Pを数25に示す。数22のPは、チャネル推定値から、送信信号に対する受信電力の大きさの2乗和が算出されている。
Figure 0004827695
受信品質検出部114は、すべての送信信号m=1〜Ntに対し、数25のPを算出する。そして、受信品質検出部114は、すべてのPについて、大小関係を比較した結果をQR分解演算部106に出力する。
QR分解演算部106は、受信品質検出部114において検出された受信品質(個々の送信信号に付されたもの、例えば、P)に従って、複数の送信信号についての受信品質の劣化したものの中から、良い順に送信信号を並べ替える。
また、QR分解演算部114は、並び替えた送信信号に対応するように、チャネル行列Hの列ベクトル単位の並べ替えを行う。
ここで、並べ換え後の送信信号ベクトルをx、並び換え後のチャネル行列をHとすると、QR分解演算部106は、次のような関係式を得る。例えば、(第1の送信信号に対する受信品質検出値P)>(第2の送信信号に対する受信品質検出値P)の場合、x=(xとなり、H=[hとする。
さらに、QR分解演算部106は、並び換え後のチャネル行列をHが、ユニタリ行列Q及び上三角行列Rの積で表現されるように、行列QおよびRを求める(H=QR)。行列Qに関する情報は、行列乗算部107に与えられ、行列Rに関する情報は、シンボル判定部108、各反転シンボル間距離算出部109、111、近接シンボル間距離算出部110に与えられる。そうすると、これら各部107〜111において、実施の形態1と同様に、並び替えた送信信号ベクトルxに対する受信処理が行われる。
ビット列復元部115は、ビット毎の尤度情報LLR(k)におけるビット順番(送信シンボルの並び換え後の送信信号ベクトルをxに対するもの)に関して、送信シンボルの並び替え前のビット列に対応するように、ビット列の順序を復元して、誤り訂正復号部113に出力する。
以上のように構成することにより、例えば、シンボル判定部108が、線形分離方法によるシンボル判定を行う場合、シンボル判定部108は、受信品質の高い送信信号の順に、シンボル判定処理を行うことができる。したがって、シンボル判定の誤る確率が低減し、誤り伝搬の影響(誤ったシンボル判定が後続する送信信号の判定に影響を与えるもの)を低くすることができる。よって、受信品質を向上させることができる。
また、受信品質を向上させることができることにより、近接シンボル間距離算出部110において半径Fを小さくすることができる。これにより、ビット尤度算出部112においてLLRを算出する際に必要なメトリックの演算回数を少なくすることができる。
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3における無線受信装置10Bの構成例を示す図である。なお、図10の無線受信装置10Bは、空間多重伝送された送信信号を分離して復号するまでの受信処理を行うものとする。
図10の無線受信装置10Bは、図1の実施の形態1における無線受信装置10に、多値数検出部116およびビット列復元部115をさらに有する。その他の無線受信装置10Cの構成は、図1の実施の形態1と同様である。そこで、以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
多値数検出部116は、空間多重ストリームに含まれる送信信号の変調多値数を検出し、複数の送信信号のうち、変調多値数の小さい送信信号を第1の送信信号として並び替える。また、ビット列復元部115は、LLRにおけるビット列を並び替え前に戻して誤り復号部113へ出力する。
具体的には、多値数検出部116は、報知チャネルなどにより通知され、かつ、空間多重伝送される送信信号の変調多値数情報を検出する。そして、多値数検出部116は、送信信号に対する変調多値数の大小関係を比較した結果をQR分解演算部106に出力する。
QR分解演算部106は、多値数検出部116において検出された変調多値数情報(個々の送信信号に付されたもの)に従って、複数の送信信号についての変調多値数を大きい順に並べ替える。
また、QR分解演算部106は、並び替えた変調多値数に対応するように、チャネル行列Hの列ベクトル単位の並べ替えを行う。
ここで、並べ換え後の送信信号ベクトルをx、並び換え後のチャネル行列をHとすると、QR分解演算部106は、次のような関係式を得る。例えば、(第1の送信信号に対する変調多値数L)>(第2の送信信号に対する変調多値数L)の場合、x=(xとなり、H=[hとする。
さらに、QR分解演算部106は、並び換え後のチャネル行列をHが、ユニタリ行列Q及び上三角行列Rの積で表現されるように、行列QおよびRを求める(H=QR)。行列Qに関する情報は、行列乗算部107に与えられ、行列Rに関する情報は、シンボル判定部108、各反転シンボル間距離算出部109、111、近接シンボル間距離算出部110に与えられる。そうすると、これら各部107〜111において、実施の形態1と同様に、並び替えた送信信号ベクトルxに対する受信処理が行われる。
ビット列復元部115は、ビット毎の尤度情報LLR(k)におけるビット順番(送信シンボルの並び換え後の送信信号ベクトルをxに対するもの)に関して、送信シンボルの並び替え前のビット列に対応するように、ビット列の順序を復元して、誤り訂正復号部113に出力する。
以上のように構成することにより、例えば、シンボル判定部108が、最尤推定方法によるシンボル判定を行う場合、シンボル判定部108は、変調多値数の小さい送信信号の順に、シンボル判定処理を行うことができる。したがって、メトリックの乗算回数を低減することができる。
これは、実施の形態1の場合と同様の理由に基づく。すなわち、例えば、2×2MIMO送信時において、変調多値数L、Lの多値変調を用いる場合、最尤シンボル判定には、(L×L)通りの組合せとなる。しかし、QR分解により得られる上三角化行列Rを用いることにより、(L通り)のメトリック算出で最尤送信シンボルを決定することができるためである。
複数の送信信号について、変調多値数が大きい順に並べ替えることにより、L>Lとなるように送信信号の並べ替えができ、その結果、メトリックの演算回数が削減する。
(実施の形態4)
図11は、実施の形態4における無線受信装置10Cの構成例を示す図である。なお、図11の無線受信装置10Cは、空間多重伝送された送信信号を分離して復号するまでの受信処理を行うものとする。
図11の無線受信装置10Cは、図1の実施の形態1における無線受信装置10に、第2の近接シンボル間距離算出部(第2の選定部)117をさらに有する。そして、無線受信装置10Cは、図1の実施の形態1における無線受信装置10の第1の反転シンボル間距離算出部109に代えて、第1の反転シンボル間距離算出部109Aを有する。その他の無線受信装置10Cの構成は、図1の実施の形態1と同様である。そこで、以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
(第1の反転シンボル間距離算出部の構成)
まず、第1の反転シンボル間距離算出部109Aの構成について詳述する。
第1の反転シンボル間距離算出部109Aは、図12に示すように、反転シンボル記憶部1091、第1の距離算出部1092および第1の送信シンボル検出部1093を有する。
反転シンボル記憶部1091は、シンボル判定部108の出力、すなわち送信シンボルの判定結果を基に、第2の送信シンボルにおけるビット毎のLLR算出時に、ビット消失現象が起きない必要最小限のシンボル候補群を出力する。
具体的には、反転シンボル記憶部1091は、第2の送信シンボルの判定値(x)にマッピングされた判定ビット列B(b)={b,b,...,bQ2}に対し、ビット列(第k番目のビットbを反転した値NOT(b)を含む)がマッピングされた送信シンボルのうち、判定送信シンボル(x)に最も近接する部分ビット反転シンボルSr(k、x)を選定する。このとき、Q=log(L)である。
そして、反転シンボル記憶部1091は、すべてのk=1〜Qに対し、部分ビット反転シンボルSr(k、x)を選択して出力する。このときの選定方法としては、あらかじめ記憶しているL個全ての送信シンボル候補に対する各々Q個の部分ビット反転シンボルとの組をあらかじめ記憶しておき、第2の送信シンボルの判定値(x)に応じて部分ビット反転シンボルの組を選定することで実現できる。このとき、上記組は、例えば、個別の記憶テーブル(シンボル記憶部)に格納する。この場合、(Q×L)個の組合せを記憶することで実現できる。
第1の距離算出部1092は、部分ビット反転シンボル群Sr(k、x)と、受信信号点(z/r22)とのメトリックd(k、x)を算出する(ただし、k=1,...,Q)。メトリックとしては、ユークリッド距離の二乗、ユークリッド距離またはマンハッタン距離を適用してよい。
ユークリッド距離の二乗を用いる場合のメトリックd(Sr(k、x))は、数13に示したとおりである。
第1の送信シンボル検出部1093は、第2段階として、部分ビット反転シンボル群Sr(k、x)に対し、数14に示す関係を満たす第1の送信シンボル候補S (x1)(Sr(k、x))を決定する。この決定の際、QR分解により得られる行列Rの対角要素r11を利用することにより、処理量を削減することができる。
具体的には、第1の送信シンボル検出部1093は、送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値と、信号(z−r12Sr(k、x))をQR分解により得られる行列Rの対角要素r11で正規化した信号点との差から、送信シンボルを決定する。信号(z−r12Sr(k、x))は、受信信号点zから、送信シンボルSr(k、x)による干渉成分r12Sr(k、x)を除去した信号である。
これにより、全ての送信シンボルとの距離を算出する必要なく送信シンボルを決定することができ、処理量が削減する。
なお、他の決定方法として、送信シンボルをマッピングした複素平面上を領域分割した閾値に行列Rの対角要素r11を乗算した値を新たな閾値として、受信信号点zの差から、送信シンボルを決定する方法がある。この場合も、処理量が削減することとなる。
(第2の近接シンボル間距離算出部の構成)
次に、第2の近接シンボル間距離算出部117の構成について詳述する。
第2の近接シンボル間距離算出部117は、第1の送信信号とは異なる第2の送信シンボル候補で表されるN個のビットのうち、k番目のビットを反転したビットを含むシンボル群で第1の送信信号の判定シンボルに最近接する部分ビット反転シンボルS(k)(k=1〜N)と、受信信号点との距離を算出する。この場合、ビット尤度算出部112は、第2の反転シンボル間距離算出部117の出力も基にビット尤度を算出する。
具体的には、第2の近接シンボル間距離算出部117は、図12に示すように、近接シンボル記憶部(シンボル記憶部)1171および第2の距離算出部(距離算出部)1172を有する。
近接シンボル記憶部1171は、第1の送信信号に対する近接シンボル群および部分ビット反転シンボル群を用いて、異なる第2の送信信号のシンボル候補を記憶する。具体的には、近接シンボル記憶部1171は、第1の送信シンボル検出部1093の出力、すなわち第1の送信シンボル候補S (x1)(Sr(k、x))を基に、ビット毎のLLR算出を近似的に算出するために必要最小限のシンボル候補群を出力する。近接シンボル記憶部1171は、数26に示す関係式を用いて、第1の送信シンボル候補S (x1)(Sr(k、x))から所定の半径Fにある近接した近接送信シンボル群Sa(S (x1)(Sr(k、x))、F)を出力する(ただし、k=1,...,Q)。このときの出力には、判定シンボルxも含む。
ここで、近接シンボルの選定方法としては、送信シンボルマッピングは予め既知であり、固定されているため、マッピングされたL個の全てのシンボルに対する近接シンボルの組を、記憶しておくことで実現できる。
Figure 0004827695
第2の距離算出部1172は、受信信号とシンボル候補との距離を算出する。具体的には、第2の距離算出部1172は、数27に示すメトリックd(Sa(S (x1)(Sr(k、x))、F)、Sr(k、x))を算出して、ビット尤度算出部7に出力する。メトリックとしては、ユークリッド距離の二乗、ユークリッド距離またはマンハッタン距離を適用することが可能である。数27では、ユークリッド距離の二乗を用いる場合のメトリックを示している。
Figure 0004827695
数27中、s (n)(S (x1)(Sr(k、x))、F)は、Nb個のシンボルを含む近接送信シンボル群Sa(S (x1)(Sr(k、x))、F)における第n番目のシンボルを表す(n=1〜Nb)。
ビット尤度算出部112は、数20に示す関係式から、MAX−LOG―MAP規範に基づく対数尤度比LLR(k)を算出する。なお、LLR(k)は、第1および第2の反転シンボル間距離算出部109、111で送信シンボル候補とされ、かつ、メトリックdあるいはgを算出した第1および第2の送信シンボル候補群Gの範囲で、第k番目のビット毎の尤度情報として求められる。
以上のように実施の形態4によると、無線受信装置10Cは、第2の近接シンボル間距離算出部117をさらに有する。そして、第2の近接シンボル間距離算出部117において、近接シンボル記憶部1171が、第1の反転シンボル間距離算出部109Aで選択された第1の送信シンボル候補S (x1)(Sr(k、x))から、所定の半径Fにある近接した近接送信シンボル群Sa(S (x1)(Sr(k、x))、F)を含むメトリックd(Sa(S (x1)(Sr(k、x))、F)、Sr(k、x))を算出する。
このため、LLR算出のシンボル候補の範囲を効果的に広げることができるので、ビット尤度算出部7において算出されるLLRが、MLD法で得られるLLRに近似する。よって、受信品質を改善することができる。
なお、実施の形態4では、各反転シンボル間距離算出部109A、111および各近接シンボル間距離算出部110、117において、予め決定された規則あるいは個別の記憶テーブルを用いた。しかし、個別の記憶テーブルについては、一つの記憶テーブルに統合してもよい。この場合、各反転シンボル間距離算出部109A、111および各近接シンボル間距離算出部110、117において、重複したシンボルが存在する場合、統合した記憶テーブルを用いることにより、重複したメトリックを算出することがなくなる。このため、さらなる処理量の低減を図ることが可能となる。
(実施の形態5)
図13は、実施の形態5における無線受信装置10Dの構成例を示す図である。なお、図13の無線受信装置10Dは、空間多重伝送された送信信号を分離して復号するまでの受信処理を行うものとする。
図14の無線受信装置10Dは、図1の実施の形態1における無線受信装置10に、パラレル型の干渉キャンセラ(すなわち各部120〜127)を従属接続した点が、実施の形態1と異なる。その他の無線受信装置10Dの構成は、図1の実施の形態1と同様である。そこで、以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
再符号化変調部120は、誤り訂正復号部の出力である仮判定ビット列b(k)に基づいて送信シンボルデータを再生成する。再符号化変調部120は、不図示の伝送路符号化部、直並列変換手段(S/P変換手段)、インターリーバおよび変調部を含む。
伝送路符号化部は、仮判定ビット列b(k)に対し、送信時に用いた所定の符号化率及び誤り訂正方式によって、誤り訂正符号化を行う。
直並列変換手段(S/P変換手段)は、伝送路符号化部のデータ出力について、送信時と同様に、受信アンテナの本数Nr分(例えば、Nr=2)の並列データ列に変換する。そして、直並列変換手段は、仮判定送信ビットデータ系列d[1] (k)として出力する。
その後、送信時に用いた同一のインターリーブパターンを有するインターリーバが、仮判定送信ビットデータ系列d[1] (k)に対し、インターリービング処理を行う。
そして、変調部は、インターリーバの出力に対し、送信時に用いた所定の多値変調を用いて、I信号及びQ信号からなる複素平面上の変調シンボルにマッピングした仮判定送信シンボル系列x[1] (k)を出力する(mはNt以下の自然数)。
なお、x[1](k)は、複数のアンテナ(Nt>1)から送信される離散時刻kにおける仮判定送信シンボル系列とする。x[1](k)は、Nt次元の列ベクトルであり、第m番目の要素は、x[1] (k)からなる。
レプリカ生成部121は、上記再符号化の変調結果と上記チャネル推定値を基に、受信信号のレプリカ信号を生成する。具体的には、レプリカ生成部121は、再符号化変調部120の出力である仮判定送信シンボル系列x[1] (k)、および、QR分解演算部106の出力である上三角行列Rを用いて、受信信号y(k)のレプリカ信号Z[1](k)を生成する。この生成例を数28に示す。
Figure 0004827695
干渉キャンセル部122は、行列乗算部107の出力であるユニタリ変換信号Z(k)から、空間多重ストリーム(所望の第r番目の空間多重ストリームを除く)を干渉信号とみなして除去する。そして、干渉キャンセル部122は、除去した第r番目の空間多重ストリームを出力する。つまり、干渉キャンセル部122は、数29に示す干渉キャンセル出力v(k)を算出する。
Figure 0004827695
数29中、Grは、Nt次の単位行列から、r行r列の対角成分を0にした行列を表す。rは1からNtまでの自然数、Z[1](k)はレプリカ信号をそれぞれ表す。
干渉キャンセル出力v(k)は、Nr個の要素をもつ列ベクトルを表す。
干渉キャンセル部122は、送信されてきたすべてのNt個の空間多重ストリームに対して、v(k)を算出する。すなわち、干渉キャンセル部122は、r=1、...,Ntに対して、数29に示す関係式を用いて、干渉キャンセル動作を行う。
各合成部は、Nr個の要素をもつ干渉キャンセル出力v(k)を合成する。本実施の形態では、Nr=2とするので、2つの合成部123、124を有するものとする。なお、干渉キャンセル出力の合成方法としては、最大比合成(MRC合成)、MMSE合成(最小自乗誤差合成)など適用することが可能である。
例えば、最大比合成法を適用する場合、各合成部は、数30に示す関係式から、所望の第r番目の空間多重ストリームに対する合成出力u(k)を算出する。
Figure 0004827695
数30中、bは上三角行列Rにおける第r番目の列ベクトル、Hはベクトル共役転置をそれぞれ表す。なお、rはM以下の自然数とする。
各尤度算出部は、各合成部の出力である合成出力シンボルデータ系列u(k)を、ビット列からなるビットデータ列に変換するデマッピング処理を行う。
各尤度算出部は、ビットデータ列に変換する際、ビット尤度算出部112と同様に、ビット毎の対数尤度比LLRを算出する。具体的には、各尤度算出部は、u(k)に対する第i番目のビットの信頼性情報として、数31に示す対数尤度比LLRr,j(k)を算出する。
Figure 0004827695
数31中、Lnは第n番目の送信信号に用いられた変調多値数を表す。s (bi=A)はシンボルマッピング時に用いられたシンボル候補のうち、第i番目のビットがAであるシンボル候補の集合を表す。なお、Aは、0または1であり、iはlog(L)以下の自然数である。
また、mはNt以下の自然数、brは上三角行列Rにおける第r番目の列ベクトル、rはNt以下の自然数をそれぞれ表す。
なお、数31は、各合成部123、124において最大比合成方法を適用した場合を前提に示している。つまり、受信品質情報q(k)として、SNR規範を用いる。そして、各アンテナでの雑音電力を共通として省略する。さらに、第r番目の空間多重ストリーム対する、MRC合成の受信電力||br||による重み付けが行われている。||x||はベクトルxに対するノルムを表す。
第2の復号処理部127は、誤り訂正復号部113と同様の構成であるため、その詳細説明は省略する。
例えば、実施の形態5の誤り訂正復号部113においてビット判定に誤りが生じた場合、以降、各部120〜127(干渉キャンセラ部ともいう)において、干渉キャンセルに誤りが発生し、特性劣化する要因となりやすい。
そこで、その対策として、ビット判定の誤りの有無を検出し、誤りがあった場合は、尤度を補正するようし処理してもよい。この場合、無線受信装置10Dがさらに尤度補正部(不図示)を有し、この尤度補正部が、誤り訂正復号部113の出力を基に、ビット判定の誤り状況(有無)を検出する。そして、尤度補正部は、誤りがあった場合、各尤度算出部125、126の出力である尤度を小さくするように所定値に補正する。これにより、ビット判定誤りのパラレル干渉キャンセラへの誤り伝搬を低減することができる。よって、受信特性の改善を図ることができる。
ここで、無線受信装置10Dを用いて、上記ビット判定の誤り対策を施した場合の受信特性をシミュレーションした。このシミュレーション結果を図14に示す。このときの条件として、2×2MIMO時、64QAM(R=3/4)、Typical Urban 6 path(fd=72.2Hz)、Turbo decoder(8iteration, Max-log-Map)、Channel unknownとした(図14参照)。なお、図14では、比較例として、MLDを用いたときのBER特性も示している。
図14から、本実施の形態におけるBER特性は、MLDよりも優れた特性を得たことがわかる。このため、近接シンボル間距離算出部110においては、半径Fによる特性差が小さくなる。図14によると、近接送信シンボル群に含まれる最大個数max(Na(F))は、5程度以上にすると、MLDよりも優れた特性を得ることがわかる。
また、図14から、MLDと同程度の特性を得るために必要な近接送信シンボル群中の最大個数max(Na(F))を小さくすることができることがわかる。
また、最大個数max(Na(F))を1とした場合であっても、MLDと同程度の特性を実現できることもわかる。この場合の処理量の削減量は、パラレル型干渉キャンセラによる処理量の増加を上回る。このため、処理遅延の増加は大きくなるものの、全体的な処理量が削減することとなる。
なお、本実施の形態では、第2の復号処理部127は、最終的な送信ビットデータ系列に対する復号結果として出力することとしたが、これに限られない。例えば、第2の復号処理部127の出力データは、再度、再符号化変調部120に入力するようにしてもよい。この場合、再符号化変調部120、レプリカ生成部121、干渉キャンセル部122、各合成部、各尤度算出部および第2の復号処理部127において、第2の復号処理部127の出力データについて、再度、同じ処理を繰り返し行う。これにより、繰り返し処理に伴う遅延が大きくなるものの、復号部処理部127における誤り訂正の効果が高まる結果、受信特性がさらに改善される効果がある。
また、本実施の形態では、無線受信装置10Dは、従属接続形態のパラレル型干渉キャンセラを有する場合について説明したが、シリアル型干渉キャンセラを有するようにしてもよい。
本発明にかかる無線受信装置は、受信ダイバーシチ利得を十分に得ることができる空間多重伝送を可能とするものであり、空間多重伝送を用いる無線通信分野に有用である。
本発明の実施の形態1における無線受信装置の構成図。 受信信号点に対する送信シンボルの決定方法を示す説明図。 第1の反転シンボル間距離算出部におけるシンボル候補群の一例を示す図。 近接シンボル間距離算出部おけるシンボル候補群の一例を示す図。 実施の形態1におけるBER特性のシミュレーション結果を示す図。 実施の形態1における第1の反転シンボル間距離算出部の構成例を示す図。 実施の形態1における第2の反転シンボル間距離算出部および第2の反転シンボル間距離算出部の構成例を示す図。 他の近接シンボル間距離算出部の構成例を示す図。 本発明の実施の形態2における無線受信装置の構成例を示す図。 本発明の実施の形態3における無線受信装置の構成例を示す図。 本発明の実施の形態4における無線受信装置の構成例を示す図。 実施の形態4における第1の反転シンボル間距離算出部および第2の近接シンボル間距離算出部の構成例を示す図。 本発明の実施の形態5における無線受信装置の構成例を示す図。 実施の形態5におけるBER特性のシミュレーション結果を示す図。 従来例の無線受信装置の構成を示す図。
符号の説明
10 無線受信装置
101、102 アンテナ
103、104 受信部
105 チャネル推定部
106 QR分解演算部
107 行列乗算部
108 シンボル判定部
109 第1の反転シンボル間距離算出部
110 近接シンボル間距離算出部
111 第2の反転シンボル間距離算出部
112 ビット尤度算出部
113 誤り訂正復号部

Claims (22)

  1. 空間多重する伝搬路のチャネル推定値を出力するチャネル推定部と、
    M個の空間多重送信信号の受信信号と前記チャネル推定部の出力を基に、前記M個の空間多重信号のうち第1の送信信号に対するシンボルを判定し、判定シンボルとして出力するシンボル判定部と、
    前記第1の送信信号の判定シンボルおよび前記第1の送信信号の判定シンボルに近接する近接シンボル群と、受信信号点との間の距離を算出する近接シンボル間距離算出部と、
    前記第1の送信信号の判定シンボルで表されるN個のビットのうち、k番目のビットを反転したビットを含むシンボル群で前記第1の送信信号の判定シンボルに最近接する部分ビット反転シンボルS(k)(k=1〜N)と前記受信信号点との距離を算出する第1の反転シンボル間距離算出部と、
    前記近接シンボル間距離算出部および第1の反転シンボル間距離算出部の出力を基にビット尤度を算出するビット尤度算出部と、
    前記ビット尤度算出部の出力を基に誤り訂正復号処理を行う誤り訂正復号部と、
    を含む無線受信装置。
  2. 前記第1の反転シンボル間距離算出部より出力されるビット反転した近接シンボル群を用いて、第2の送信信号のシンボル候補を仮判定し、前記受信信号との前記仮判定した第2の送信信号のシンボル候補との距離を算出する第2の近接シンボル間距離算出部を更に有する請求項1記載の無線受信装置。
  3. 前記第2の近接シンボル間距離算出部は、
    更に、前記仮判定した第2の送信信号のシンボル候補及びそれに近接する近接シンボル群と、受信信号点との間の距離を算出し、
    前記ビット尤度算出部は、
    更に、前記第2の近接シンボル間距離算出部の出力も基にビット尤度を算出する請求項2記載の無線受信装置。
  4. 前記第2の近接シンボル間距離算出部は、
    前記第1の反転シンボル間距離算出部より出力されるビット反転シンボル群を用いて、第2の送信信号のシンボル候補を記憶するシンボル記憶部と、
    前記受信信号と前記シンボル候補との距離を算出する距離算出部とを有する請求項2記載の無線受信装置。
  5. 前記近接シンボル間距離算出部より出力される近接シンボル群を用いて、第2の送信信号のシンボル候補を仮判定し、前記受信信号との前記仮判定した第2の送信信号のシンボル候補との距離を算出する第2の反転シンボル間距離算出部を更に有する請求項1記載の無線受信装置。
  6. 第2の反転シンボル間距離算出部は、更に、
    前記仮判定した第2の送信信号のシンボル候補で表されるN個のビットのうち、k番目のビットを反転したビットを含むシンボル群で前記第1の送信信号の判定シンボルに最近接する部分ビット反転シンボルS(k)(k=1〜N)と前記受信信号点との距離を算出し、
    ビット尤度算出部は、更に、
    前記第2の反転シンボル間距離算出部の出力を基にビット尤度を算出する請求項5記載の無線受信装置。
  7. 前記第2の反転シンボル間距離算出部は、
    前記近接シンボル間距離算出部より出力される前記近接シンボル群を用いて、第2の送信信号のシンボル候補を記憶するシンボル記憶部と、
    前記受信信号との前記シンボル候補との距離を算出する距離算出部とを有する請求項5記載の無線受信装置。
  8. 前記第1の送信信号とは異なる第2の送信シンボル候補で表されるN個のビットのうち、k番目のビットを反転したビットを含むシンボル群で前記第1の送信信号の判定シンボルに最近接する部分ビット反転シンボルS(k)(k=1〜N)と、前記受信信号点との距離を算出する第2の反転シンボル間距離算出部をさらに含み、
    前記ビット尤度算出部は、
    前記第2の反転シンボル間距離算出部の出力を基にビット尤度を算出する請求項1記載の無線受信装置。
  9. 前記チャネル推定部の出力をQR分解することで、上三角行列Rとユニタリ行列Qを出力するQR分解演算部をさらに含み、
    前記QR分解演算部は、
    前記上三角行列Rを新たなチャネル推定行列にし、受信信号に前記ユニタリ行列の共役転置QHを乗算した出力を新たな受信信号とする
    請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の無線受信装置。
  10. 前記近接シンボル間距離算出部は、前記第1の送信信号の全てのシンボルに対し、所定の半径内にある近接するシンボルを予め記憶するシンボル記憶部を有し、このシンボル記憶部の出力を基に距離を算出する請求項1記載の無線受信装置。
  11. 前記第1の反転シンボル間距離算出部は、前記第1の送信信号の全てのシンボルに対し、前記部分ビット反転シンボル群を予め記憶するシンボル記憶部を有し、このシンボル記憶部の出力を基に距離を算出する請求項1記載の無線受信装置。
  12. 前記近接シンボル間距離算出部は、仮判定シンボルと最尤シンボルとの距離に応じて
    近接シンボル群の近接範囲を可変する請求項1記載の無線受信装置。
  13. 前記シンボル判定部は、送信信号の最適な組合せを最尤推定により判定する請求項1記載の無線受信装置。
  14. 前記シンボル判定部は、線形分離処理により送信信号の組合せを推定する請求項1記載の無線受信装置。
  15. 前記シンボル判定部は、受信信号の一部を用いて、一部の送信信号の組合せを最尤推定により判定し、残りの送信信号に対しては線形分離処理により送信シンボルを判定する請求項1記載の無線受信装置。
  16. 異なる多値変調数の送信信号が空間多重される場合、
    多値変調数が最も小さい送信信号を前記第1の送信シンボルとする請求項1記載の無線受信装置。
  17. 空間多重送信信号毎の受信品質を測定するストリーム受信品質検出部をさらに含み、
    前記ストリーム受信品質検出部の出力を基に、ストリーム受信品質の高い送信信号を前記第1の送信信号とする請求項1記載の無線受信装置。
  18. 前記近接シンボル間距離算出部および前記第1の反転シンボル間距離算出部は、ユークリッド距離の2乗を用いて距離を算出する請求項1記載の無線受信装置。
  19. 前記近接シンボル間距離算出部および前記第1の反転シンボル間距離算出部は、ユークリッド距離を用いて距離を算出する請求項1記載の無線受信装置。
  20. 前記近接シンボル間距離算出部および前記第1の反転シンボル間距離算出部は、マンハッタン距離を用いて距離を算出する請求項1記載の無線受信装置。
  21. 前記誤り訂正復号部の出力を基に再符号化変調処理を行う再符号化変調部と、
    前記再符号化変調部の出力と前記チャネル推定部の出力を基に、受信レプリカ信号を生成するレプリカ生成部と、
    前記レプリカ生成部の出力を基に、受信信号から1つ以上の空間多重信号成分を減算処理する干渉キャンセル部と、
    前記干渉キャンセル部の出力を基に誤り訂正復号処理を行う復号処理部と、をさらに含む請求項1記載の無線受信装置。
  22. 空間多重する伝搬路のチャネル推定値を出力するチャネル推定部と、
    M個の空間多重送信信号の受信信号と前記チャネル推定部の出力を基に、前記M個の空間多重信号の送信シンボル(S、...、SM)を判定シンボルとして出力するシンボル判定部と、
    前記判定シンボルおよび前記判定シンボルに近接する近接シンボル群と受信信号点との間の距離を算出する近接シンボル間距離算出部と、
    前記判定シンボルで表されるN個のビットのうち、k番目のビットを反転したビットを含むシンボル群で前記判定シンボルに最近接する部分ビット反転シンボルS(k)(k=1〜N)と前記受信信号点との距離を算出する第1の反転シンボル間距離算出部と、
    前記近接シンボル間距離算出部および第1の反転シンボル間距離算出部の出力を基にビット尤度を算出するビット尤度算出部と、
    前記ビット尤度算出部の出力を基に誤り訂正復号処理を行う誤り訂正復号部と、
    を含む無線受信装置。
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