JP4802148B2 - 信号検出装置及び信号検出方法並びにそのプログラムと記録媒体 - Google Patents
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Description
"Maximum Likelihood Decoding in a Space Division Multiplexing System",Richard van Nee、 Allert van Zelst and Geert Awater,「Vehicular Technology Conference Proceedings, 2000. VTC 2000-Spring Tokyo. 2000 IEEE 51st Volume 2」,15-18 May 2000 p.6-10 vol.
まず第1に、所要演算量が大きい。つまり、計算するレプリカと尤度メトリックの数は送信信号の数及び適用するコンスタレーションサイズに伴い、指数的に増大してしまい、所要演算量は膨大であり、実現するのが困難である。
また第2に、所要記憶容量が大きい。つまり、レプリカと尤度メトリックの数が膨大であるため、それらのレプリカ及びメトリックを記憶するためには膨大な記憶容量が必要になる。
また第4に、所要消費電力が大きい。つまり、所要消費電力は所要演算回路規模やその動作クロック周波数などに比例するため、従来のMLD方式による電力消費量が非常に大きいと考えられる。従って、バッテリによって動作するMIMOシステムの動作時間の長持ちが困難である。
また第6に、製品の大量生産に適さない。つまり上記の課題を踏まえて、従来のMLD方式によるハードウェア並びにソフトウェアでの経済的な実装は極めて困難である。従って、従来のMLD方式を実装したMIMOシステムを備えた無線装置における製造コストが高くなり、大量生産に適さない。
また上記の各課題は、MIMOの送信アンテナ数T、とコンスタレーションサイズ|C|の増加に伴い顕著になる。
まず、計算する送信系列候補及びそれらのメトリックの数は、送信信号数及びコンスタレーションサイズにほぼ線形比例するので、所要演算量が大幅に削減できる。また、記憶する送信系列候補及びそれらのメトリックの数が大幅に削減できるため、それらを記憶するための記憶容量を小さくすることができる。また所要演算量及び所要記憶容量が小さくなるため、それに伴い従来MLD方式比べ、実装における所要回路規模を小さくすることができる。また、所要消費電力は所要回路規模やその動作クロック周波数などに比例するので、所要回路規模が演算量及び記憶容量の削減によって小さくなるため、結果として所要消費電力を小さくすることができる。さらに、所要回路規模及び所要消費電力を小さくすることによって、本発明を実装した装置の小型化・軽量化が可能になり、無線送受信機、特に無線携帯端末においては小型化・軽量化を行うことができる。そして、以上の効果により、ハードウェア並びにソフトウェアでの経済的な実装が可能である。従って、本方式のMIMOシステムを備えた無線装置における製造コストが安くなり、大量生産に適することが可能となる
図1は同実施形態によるMIMOシステムの構成を示すブロック図である。
図1において、符号10は送信機装置である。また20は受信機装置である。そして、図1に示すように、MIMOシステムの送信機装置10では、送信データストリームが空間信号生成器に入力され、T個の送信信号系列が生成される。ただし、異なるアンテナ間においては、異なる変調方式を用いて信号を生成することが可能である。T個の送信信号はベースバンドからパスバンドへ変換され、T本のアンテナを通して同時に同一周波数帯域内において送信される。
次に、本発明の概要について説明する。
本発明はMIMOシステムにおける受信系列に対して適用するものであり、その適用方法は大きく分けて、初期化処理手段、レイヤ系列候補絞込み手段、最尤推定手段、の三つの手段となる。
[A]R,T;AはR行T列の行列
aj;行列Aのj番目の列ベクトル
aij;行列Aのi行j列要素
AH;行列Aの複素共役転置
AT;行列Aの転置
I;単位行列
‖a‖;ベクトルaのノルム
a ;スカラー(つまり1×1行列)a
a*;スカラーaの複素共役
|a|;スカラーaの絶対値
Σ;累加演算
をそれぞれ意味している。
(1−1;候補信号点選定の実施順番決定処理)
この処理では、チャネル行列に基づいて、まず、受信品質の悪い送信系統が候補信号点選定を実施し、次に、残りの受信品質の良い送信系統が候補信号点選定を実施するように、各送信系統における候補信号点選定の実施順番を決定する。ここで、1−1の処理を実現するには7つ通りの手段がある。
1−1−a)完全順次―候補信号点選定の実施順番決定処理
1−1−b)部分順次―候補信号点選定の実施順番決定処理
1−1−c)逆完全順次―候補信号点選定の実施順番決定処理
1−1−d)逆部分順次―候補信号点選定の実施順番決定処理
1−1−e)完全並列―候補信号点選定の実施順番決定処理
1−1−f)部分並列―候補信号点選定の実施順番決定処理
1−1−g)組合せ―候補信号点選定の実施順番決定処理
この1−2の処理では、候補信号点選定の実施順番に基づいて、チャネル行列をQR分解し、対応する受信系列を線形フィルタリングし、変換受信系列を生成する。
次に、レイヤ系列(つまり、空間順番が並び替えられた送信系列)の候補の絞り込みを行う。このレイヤ系列候補絞込み処理では、順番にT個あるレイヤについて、候補信号点の選定を行い、最終的に1つ以上のレイヤ系列候補(レイヤ系列候補はレプリカと一対一の関係にあるため、レイヤ系列候補の絞込みは、レプリカ計算と対応する尤度メトリック計算の削減と等価になる)とそれに対応する尤度メトリックを算出する処理である。各レイヤでの処理は以下の4つの処理を繰り返すことになる。
(2−2)2−1の処理で得られた基準信号と各送信系統が有するダイバシチ効果に合せて設定した候補信号点の数に基づいて、現在のレイヤにおける候補信号点選定を行う。
(2−3)2−2の処理で選定された候補信号点に対応する部分レイヤ系列候補の累積メトリックを計算する。
(2−4)2−3の処理において算出された累積メトリックのうち、ある適切な上限値を超えた累積メトリックとそれに対応する部分レイヤ系列候補を候補から外し、それ以外の累積メトリックとその部分レイヤ系列候補を残す。
最尤推定処理においては、上記レイヤ系列候補絞込み処理で絞り込んだレイヤ系列候補のうち、最も対応する尤度メトリックが小さいものを暫定推定結果とし、更に、候補信号点選定の実施順番決定処理1−1で決定した各送信系統における候補信号点選定の実施順番に基づいて、本来送信された空間順番に並び直して、最終推定結果とする。
次に、本発明の基本原理について説明する。
(1.初期化処理について)
従来のMLD方式では、全部で|C|T通りのレプリカと対応するメトリックを計算する必要があるため、送信信号の数Tの増加に伴い、所要演算量が指数的に増大し、実システムによる実現は困難である。しかしながら本発明では、初期化処理と、レイヤ系列候補絞込み処理により、レイヤ系列候補の絞込み(レプリカ計算と対応する尤度メトリック計算の削減と等価である)を行い、それによって演算量を大幅に減らしながらMLD方式の優れた誤り率を維持できる。初期化処理は、レイヤ系列候補絞込み処理を実施するための準備処理であり、効率的にレイヤ系列候補の絞込みを行うための処理である。
候補信号点選定の実施順番決定処理1−1では、チャネル行列に基づいて、まず、受信品質の悪い送信系統が候補信号点選定を実施し、次に、残りの受信品質の良い送信系統が候補信号点選定を実施するように、各送信系統における候補信号点選定の実施順番を決定する。ここで、MIMO信号の送受信関係式は次の式(8)ように表せる。
1−1−aの処理は、Tステップに分けて、候補信号点選定の実施順番を決定して行く処理である。決定ステップk(k=1,2,・・・,T)では、k番目に候補信号点選定が実施される送信系統番号Okを決定する。そして、ステップk=1からk=TまでのTステップを通して{O1,O2,・・・,OT}を順次決定する。行列H[T−k+1]は代表チャネル行列Hからk−1個の列ベクトル{hO1,hO2,・・・hOk−1}を除去し、残りのT−k+1個の列ベクトルから構成される次元縮小チャネル行列である。つまり、1決定ステップが終わるとチャネルHから1つの列ベクトルを除去し、それをステップごとに繰り返すことによってH の列ベクトルの次元を縮小させていく。従って、各決定ステップkと次元縮小行列H[T−k+1]とは一対一に対応する。初期化として、H[T]=Hと設定し、ステップk=1に対応付ける。
1−1−bの処理は、dステップに分けて、候補信号点選定の実施順番を決定して行く処理である。なお、各決定ステップkと次元縮小行列H[T−k+1]とは一対一に対応する。そして、処理手順は以下の式(11)ように表せる。
1−1−cの処理はTステップに分けて、候補信号点選定の実施順番を決定して行く処理である。ここで、各決定ステップkと次元縮小行列H[T−k+1]とは一対一に対応する。1−1−cの処理は1−1−aの処理とは異なり、1番目からT番目までに候補信号点選定が行う送信系統番号を決定するではなく、逆の順番で、T番目から降順に1番目までに各送信系統における候補信号点選定の実施順番を決定する。決定ステップk(k=1,2,・・・,T)では、T−k+1番目に候補信号点選定が実施される送信系統番号OT−k+1を決定する。そして、ステップk=1からk=TまでのTステップを通して{OT,OT−1,・・・,O1}を順次に決定する。処理の手順は式(12)、式(13)のように表すことができる。
1−1−dの処理は、d個のステップに分けて、候補信号点選定の実施順番を決定して行く処理である。各決定ステップkと次元縮小行列H[T−k+1]とは一対一に対応するが、上記1−1−cの処理における最初のT−dステップ、つまり、式(12)と異なることに注意されたい。処理の手順は式(14)のように表すことができる。
1−1−eの処理は、順次ではなく1ステップで候補信号点選定の実施順番を決定する処理である。処理の手順は式(15)のように表すことができる。
1−1−fの処理は、順次ではなく1ステップで候補信号点選定の実施順番を決定する処理である。処理の手順は式(16)のように表すことができる。
1−1−gの処理による組合せ手法とは、上記の1−1−aから1−1−fまでの手法を任意に組合わせて、各送信系統における候補信号点選定の実施順番{O1,O2,・・・,OT}を決定することである。一例として、1−1−aの処理と1−1−cの処理を組合わせて、最初のdステップでは1−1−aの処理によって1番目からd番目までに候補信号点選定が実施される送信系統番号{O1,O2,・・・,Od}を決定する。また残りのT−dステップでは、1−1−cの処理によってT番目から降順にd+1番目までに候補信号点選定が実施される送信系統番号{OT,OT−1,・・・,Od+1}を決定することが考えられる。以上のように、実装上の複雑さと所要誤り率特性の両立を図りながら、どのような組合せにするかを決定すれば良い。
次に、候補信号点選定の実施順番に基づいて、チャネル行列をQR分解して、対応する受信系列を線形フィルタリングし、変換受信系列を生成する。なお、レプリカと尤度メトリック計算の演算量を削減するため、ここではQR分解を用いる手法を導入する。候補信号点選定の実施順番の適用については、次の並び替え行列Pを使って説明する。Pはb番目グループの実施順番を反映するT行T列の並び替え行列であり、行列Hの右側から乗算し、Hの列ベクトルを並び替える機能を有する。またPTはsTXの左側から乗算し、sTXの行要素をHの列ベクトルに合せて並び替える機能を有する。
レイヤ系列候補絞込み処理2では、レイヤ系列(つまり、空間順番が並び替えられた送信系列)の候補の絞り込みを行う。従来技術のMLD方式では、全部で|C|T通りのレプリカと対応するメトリックを計算する必要があるため、送信信号の数Tの増加に伴い、所要演算量が指数的に増大し、実システムによる実現は困難である。本発明では、初期化処理1とレイヤ系列候補絞込み処理2により、レイヤ系列候補の絞込み(レプリカ計算と対応する尤度メトリック計算の削減と等価である)を行い、それによって演算量を大幅に減らしながらMLD方式の優れた誤り率を維持できる。レイヤ系列候補絞込み処理2は、初期化処理1で行った初期化処理の結果を利用して、効率的にレイヤ系列候補の絞込みを行い、所要演算量の大幅削減を実現するものである。
基準信号生成処理2−1は、候補信号点選定が実施していないあるレイヤにおける基準信号を生成する処理であり、上記式(29)に基づいて、候補信号点の選定が実施していないあるレイヤにおける基準信号si 〜を算出する。
候補信号点選定処理2−2は、基準信号生成処理2−1で得られた基準信号si 〜と各送信系統が有するダイバシチ効果に合せて設定した候補信号点の数に基づいて、現在のレイヤにおける候補信号点の選定を行う。処理量を減らすためには、コンスタレーション上の全ての信号点を候補信号点とせず、一部の確からしさの高い信号点だけを候補として選定する。まず、各送信系統における候補信号点選定の実施順番{O1,O2,・・・,OT}に対して、選定する候補信号点の数の上限(以下では最大候補数と呼び、{Q1,Q2,・・・,QT}のように表記する)を設定する。候補信号点選定の実施順番決定処理1−1を適用した場合では、順番決定ステップk=dを境目に決定ポリシーを変えることによって、先に候補信号点選定が実施される受信品質の悪い送信系統{O1,O2,・・・,Od}(レイヤTからレイヤT−d+1に対応)のダイバシチ効果は小さくて、後に候補信号点選定が実施される受信品質の良い送信系統{Od+1,Od+2,・・・,OT}(レイヤT−dからレイヤ1に対応)のダイバシチ効果が飛躍的に向上するという特徴が生じる。この特徴を利用して、後に候補信号点選定が実施されるT−d個の送信系統(ダイバシチ効果が非常大きい)の最大候補数{Qd+1,Qd+2,・・・,QT}を小さく設定しても、十分確からしい候補信号点を選定できる。
図2は、レイヤ系列のi番目レイヤ信号における候補信号点選定の一例である。1つの基準信号si 〜(1)を円心として、円内に入る2つのコンスタレーション信号点をレイヤiにおける候補信号点sCandidate,i(1)およびsCandidate,i(2)として選定する。更に、もしレイヤiの最大候補数QT−i+1が1であれば、つまり、1つの候補信号しか取らない場合は、候補信号点選定処理2−2は基準信号si 〜を普通に信号判定を行うことになる。つまり、コンスタレーション上、最も基準信号に近い信号点を候補信号とする。後に候補信号点選定が実施されるT−d個の送信系統(ダイバシチ効果が非常大きい)の最大候補数{Qd+1,Qd+2,・・・,QT}が1と設定しても十分確からしい候補信号点を選定できるため、その場合は普通の信号判定を行う。
累積メトリック生成処理2−3は、候補信号点選定処理2−2で選定された候補信号点に対応する部分レイヤ系列候補の累積メトリックを計算する。ここで、候補信号点を選定した後では、まず、式(28)に従ってそれぞれの候補信号点における増分メトリックΔi(1)とΔi(2)を算出する。ただし、増分メトリックは既に候補信号点選定処理2−2で算出された場合、重複して増分メトリックを計算する必要はなく、直接、候補信号点選定処理2−2で得られた増分メトリックを適用する。次に、式(30)に従って増分メトリックとレイヤi+1で計算した累積メトリックΔ[T−i]と足し合わせて、レイヤiにおける累積メトリックΔ[T−i+1](1)とΔ[T−i+1](2)を算出する。
候補除外処理2−4では、累積メトリック生成処理2−3で算出された累積メトリックの中に、ある適切な上限値を超えた累積メトリックとそれに対応する部分レイヤ系列候補を候補から外し、それ以外の累積メトリックとその部分レイヤ系列候補を残す処理を行う。つまり、更なる演算量の削減を実現するため、累積メトリック上限値を設定して、その上限値を超えているレイヤ系列候補に関しては候補から外す。上限値R[T−i+1]の決定については次の式(34)による設定方法が考えられる。
最尤推定処理3においては、レイヤ系列候補絞込み処理2で絞り込んだレイヤ系列候補の中に最も対応する尤度メトリックが小さいものを暫定推定結果とし、更に、候補信号点選定の実施順番決定処理1−1で決定した各送信系統における候補信号点選定の実施順番に基づいて、本来送信された空間順番に並び直して、最終推定結果とする。レイヤ系列候補絞込み処理2でレイヤ信号系列候補を選定した後、
以下の説明において、MIMOシステムは、T=4本の送信アンテナと、R=4本の受信アンテナを備えているものとする。また、全てのサブキャリアと送信系統はQPSK変調、つまり、QPSKコンスタレーションを使用していると仮定する。
以下では、図3のツリー構造を用いて詳細に説明する。ここでは、d=2、Q1=4、Q2=3、Q3=1、Q4=1、R[1]=R[2]=R[3]=R[4]=10とする。つまり、受信品質の悪くてダイバシチ効果の低いレイヤ4と3には最多4つと3つのコンスタレーション信号点を備え、受信品質の良くてダイバシチ効果の高いレイヤ2と1には1つだけのコンスタレーション信号点を備える。
次に、本発明の第1実施形態について説明する。
C−1.第1実施形態の構成
図4は空間多重信号検出器の機能ブロック図である。
図5は初期化処理回路の機能ブロック図である。
図6はレイヤ系列候補絞込み回路の機能ブロック図である。
まず、図4が示すように、空間多重信号機検出器30は、初期化処理回路11、レイヤ系列候補絞込み回路12、最尤推定回路13、及び記憶部14を備えている。そして初期化処理回路11、レイヤ系列候補絞込み回路12、最尤推定回路13においては、上記説明した初期化処理1、レイヤ系列絞込み処理2、最尤推定処理3が行われる。なお、各回路は、それぞれの信号処理を実現するための演算素子を有しており、各回路は記憶部14に記憶されているデータを用いて、各信号処理の演算を行う。
次に、第1実施形態の動作について説明する。
図7は空間多重信号検出器の処理フローを示す図である。
図8は初期化処理回路の処理フローを示す図である。
図9はレイヤ信号系列絞込み回路の処理フローを示す図である。
図10は最尤推定回路の処理フローを示す図である。
まず図7で示すように、空間多重信号検出器30では、初期化処理回路11による初期化処理を行い(ステップS1)、次にレイヤ系列候補絞込み回路12によるレイヤ系列候補絞込み処理を行い(ステップS2)、次に最尤推定回路13による最尤推定処理を行う(ステップS3)。
まず、計算する送信系列候補及びそれらのメトリックの数は、送信信号数及びコンスタレーションサイズにほぼ線形比例するので、所要演算量が大幅に削減できる。また、記憶する送信系列候補及びそれらのメトリックの数が大幅に削減できるため、それらを記憶するための記憶容量を小さくすることができる。また所要演算量及び所要記憶容量が小さくなるため、それに伴い従来MLD方式比べ、実装における所要回路規模を小さくすることができる。また、所要消費電力は所要回路規模やその動作クロック周波数などに比例するので、所要回路規模が演算量及び記憶容量の削減によって小さくなるため、結果として所要消費電力を小さくすることができる。さらに、所要回路規模及び所要消費電力を小さくすることによって、本発明を実装した装置の小型化・軽量化が可能になり、無線送受信機、特に無線携帯端末においては小型化・軽量化を行うことができる。そして、以上の効果により、ハードウェア並びにソフトウェアでの経済的な実装が可能である。従って、本方式のMIMOシステムを備えた無線装置における製造コストが安くなり、大量生産に適することが可能となる。
20・・・受信機装置
30・・・空間多重信号検出器(信号検出装置)
11・・・初期化処理回路
12・・・レイヤ系列候補絞込み回路
13・・・最尤推定回路
14・・・記憶部
111・・・候補信号点選定の実施順番決定回路
112・・・QR分解及び線形フィルタリング回路
120・・・反復制御回路
121・・・基準信号生成回路
122・・・候補信号点選定回路
123・・・累積メトリック生成回路
124・・・候補除外回路
Claims (13)
- MIMOシステムの送信機装置より送信された送信信号を受信して得た受信ブロックの各受信系列のチャネル行列に基づいて、受信品質の悪い送信系列から候補信号点選定を行い、その後、残りの受信品質の良い送信系列から候補信号点選定を行う、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定する候補信号点選定順番決定手段と、
前記候補信号点選定の実施順番に基づいて、前記チャネル行列をQR分解し、対応する受信系列を線形フィルタリングして、変換受信系列を生成するQR分解及び線形フィルタリング処理手段と、
空間順番が並び替えられた送信系列の候補の絞り込みを行う送信系列候補絞込み手段と、
前記送信系列の候補の絞り込みを行った結果、その候補の中の最も尤度メトリックが小さい候補を暫定推定結果とし、前記候補信号点選定の実施順番に基づいて、本来送信された空間順番に並び直して、最終推定結果を出力する最尤推定手段と、を備え、
前記送信系列候補絞込み手段においては、
候補信号点選定を実施していないあるレイヤにおける基準信号を生成する基準信号生成手段と、
前記基準信号と各送信系列が有するダイバシチ効果に合せて設定した候補信号点の数に基づいて、現在のレイヤにおける候補信号点の選定を行う候補信号点選定手段と、
前記選定された候補信号点に対応する部分レイヤ系列候補の累積メトリックを算出する累積メトリック算出手段と、
前記算出した累積メトリックのうち、上限値を超えた累積メトリックとそれに対応する部分レイヤ系列候補を候補から外して、送信系列の候補の絞り込みを行う候補除外手段と、
の各手段の処理を繰り返す
ことを特徴とする信号検出装置。 - 前記候補信号点選定手段は、
各送信系列における前記候補信号点選定の実施順番に対して、選定する候補信号点の数の上限を設定し、
先に候補信号点選定が実施されるダイバシチ効果の小さい送信系列には大きな最大候補数を設定し、後に候補信号点選定が実施されるダイバシチ効果の大きい送信系列には小さな最大候補数を設定し、
レイヤ信号について、基準信号を円心としたある半径の円の選定範囲において、当該円の内部に入るコンスタレーション信号点を候補信号点と選定する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 前記候補除外手段は、
雑音信号の2乗ノルムがある一定の確率で、上限値を下回るように前記累積メトリックの上限値を設定し、当該上限値を超えた累積メトリックとそれに対応する部分レイヤ系列候補を候補から外す
ことを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 前記候補信号点選定順番決定手段は、
T個のステップを用いて、T個の送信系列のそれぞれについての候補信号点選定の順番を決定する際に、まず、最初のd個のステップでは,受信品質の最も悪い送信系列をk(k=1から昇順でdまで)番目に候補信号点選定し、次に、残りのT-d個のステップでは、受信品質の最も良い送信系列をk(k=d+1から昇順でTまで)番目に候補信号点選定するように、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 前記候補信号点選定順番決定手段は、
d個のステップを用いて、T個の送信系列のそれぞれについての候補信号点選定の順番を決定する際に、まず、d個のステップでは、受信品質の最も悪い送信系列をk(k=1から昇順でdまで)番目に候補信号点選定し、また、d+1番目からT番目までに候補信号点選定が実施される送信系列の決定は行わず、残りのT−d個の送信系列に対してはd+1番目からT番目までの内の任意の順番で候補信号点選定するように、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 前記候補信号点選定順番決定手段は、
T個のステップを用いて、T個の送信系列のそれぞれについての候補信号点選定の順番を決定する際に、まず、最初のT−d個のステップでは、決定した送信系列を除外しながら、残りの信号の中で受信品質のd+1番目に悪い送信系列をk(k=Tから降順でd+1まで)番目に候補信号点選定を行うと決定し、次に、残りのd個のステップでは、決定した送信系列を除外しながら、残りの信号の中で受信品質の最も良い送信系列をk(k=dから降順で1まで)番目に候補信号点選定を行うと決定するように、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 前記候補信号点選定順番決定手段は、
d個のステップを用いて、T個の送信系列のそれぞれについての候補信号点選定の順番を決定する際に、まず、d個のステップでは、決定した送信系列を除外しながら、残りの信号の中で受信品質のT−d+1番目に良い送信系列をk(k=dから降順で1まで)番目に候補信号点選定を行うと決定し、また、決定した送信系列を除外した残りの信号の中でd+1番目からT番目までに候補信号点選定が実施される送信系列の決定は行わず、残りのT−d個の送信系列に対してはd+1番目からT番目までの内の任意の順番で候補信号点選定を行うと決定するように、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 前記候補信号点選定順番決定手段は、
1個のステップを用いて、T個の送信系列のそれぞれについての候補信号点選定の順番を決定する際に、完全チャネル行列の各送信系列に対応する各順番メトリックを昇順に並べ、d個の最も受信品質の悪い送信系列に対しては、受信品質の悪い順に、k(k=1から昇順でdまで)番目に候補信号点選定し、残りのT−d個の送信系列に対しては、受信品質の良い順に、k(k=d+1から昇順でTまで)番目に候補信号点選定するように、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 前記候補信号点選定順番決定手段は、
1個のステップを用いて、T個の送信系列のそれぞれについての候補信号点選定の順番を決定する際に、完全チャネル行列の各送信系列に対応する各順番メトリックを昇順に並べ、d個の最も受信品質の悪い送信系列に対しては、受信品質の悪い順に、k(k=1から昇順でdまで)番目に候補信号点選定し、また、d+1番目からT番目までに候補信号点選定が実施される送信系列の決定は行わず、残りのT−d個の送信系列に対してはd+1番目からT番目までの内の任意の順番で候補信号点選定するように、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 前記候補信号点選定順番決定手段は、
請求項5から請求項10の何れか複数の前記候補信号点選定順番決定手段の処理を組み合わせて、各送信系列の候補信号点選定の実施の順番を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。 - 信号検出装置における信号検出方法であって、
候補信号点選定順番決定手段が、MIMOシステムの送信機装置より送信された送信信号を受信して得た受信ブロックの各受信系列のチャネル行列に基づいて、受信品質の悪い送信系列から候補信号点選定を行い、その後、残りの受信品質の良い送信系列から候補信号点選定を行う、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定し、
QR分解及び線形フィルタリング処理手段が、前記候補信号点選定の実施順番に基づいて、前記チャネル行列をQR分解し、対応する受信系列を線形フィルタリングして、変換受信系列を生成し、
送信系列候補絞込み手段が、空間順番が並び替えられた送信系列の候補の絞り込みを行い、
最尤推定手段が、前記送信系列の候補の絞り込みを行った結果、その候補の中の最も尤度メトリックが小さい候補を暫定推定結果とし、前記候補信号点選定の実施順番に基づいて、本来送信された空間順番に並び直して、最終推定結果を出力し、
前記送信系列候補絞込み手段においては、
候補信号点選定を実施していないあるレイヤにおける基準信号を生成する基準信号生成処理と、
前記基準信号と各送信系列が有するダイバシチ効果に合せて設定した候補信号点の数に基づいて、現在のレイヤにおける候補信号点の選定を行う候補信号点選定処理と、
前記選定された候補信号点に対応する部分レイヤ系列候補の累積メトリックを算出する累積メトリック算出処理と、
前記算出した累積メトリックのうち、上限値を超えた累積メトリックとそれに対応する部分レイヤ系列候補を候補から外して、送信系列の候補の絞り込みを行う候補除外処理と、を繰り返す
ことを特徴とする信号検出方法。 - 信号検出装置のコンピュータを、
MIMOシステムの送信機装置より送信された送信信号を受信して得た受信ブロックの各受信系列のチャネル行列に基づいて、受信品質の悪い送信系列から候補信号点選定を行い、その後、残りの受信品質の良い送信系列から候補信号点選定を行う、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定する候補信号点選定順番決定手段、
前記候補信号点選定の実施順番に基づいて、前記チャネル行列をQR分解し、対応する受信系列を線形フィルタリングして、変換受信系列を生成するQR分解及び線形フィルタリング処理手段、
空間順番が並び替えられた送信系列の候補の絞り込みを行う送信系列候補絞込み手段、
前記送信系列の候補の絞り込みを行った結果、その候補の中の最も尤度メトリックが小さい候補を暫定推定結果とし、前記候補信号点選定の実施順番に基づいて、本来送信された空間順番に並び直して、最終推定結果を出力する最尤推定手段として機能させ、さらに、
前記送信系列候補絞込み手段において、
候補信号点選定を実施していないあるレイヤにおける基準信号を生成する基準信号生成手段、
前記基準信号と各送信系列が有するダイバシチ効果に合せて設定した候補信号点の数に基づいて、現在のレイヤにおける候補信号点の選定を行う候補信号点選定手段、
前記選定された候補信号点に対応する部分レイヤ系列候補の累積メトリックを算出する累積メトリック算出手段、
前記算出した累積メトリックのうち、上限値を超えた累積メトリックとそれに対応する部分レイヤ系列候補を候補から外して、送信系列の候補の絞り込みを行う候補除外手段、
として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 信号検出装置のコンピュータを、
MIMOシステムの送信機装置より送信された送信信号を受信して得た受信ブロックの各受信系列のチャネル行列に基づいて、受信品質の悪い送信系列から候補信号点選定を行い、その後、残りの受信品質の良い送信系列から候補信号点選定を行う、各送信系列における候補信号点選定の実施順番を決定する候補信号点選定順番決定手段、
前記候補信号点選定の実施順番に基づいて、前記チャネル行列をQR分解し、対応する受信系列を線形フィルタリングして、変換受信系列を生成するQR分解及び線形フィルタリング処理手段、
空間順番が並び替えられた送信系列の候補の絞り込みを行う送信系列候補絞込み手段、
前記送信系列の候補の絞り込みを行った結果、その候補の中の最も尤度メトリックが小さい候補を暫定推定結果とし、前記候補信号点選定の実施順番に基づいて、本来送信された空間順番に並び直して、最終推定結果を出力する最尤推定手段として機能させ、さらに、
前記送信系列候補絞込み手段において、
候補信号点選定を実施していないあるレイヤにおける基準信号を生成する基準信号生成手段、
前記基準信号と各送信系列が有するダイバシチ効果に合せて設定した候補信号点の数に基づいて、現在のレイヤにおける候補信号点の選定を行う候補信号点選定手段、
前記選定された候補信号点に対応する部分レイヤ系列候補の累積メトリックを算出する累積メトリック算出手段、
前記算出した累積メトリックのうち、上限値を超えた累積メトリックとそれに対応する部分レイヤ系列候補を候補から外して、送信系列の候補の絞り込みを行う候補除外手段、
として機能させるためのプログラム。
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