JP5120566B2 - ジアリル化合物とマレイン酸との共重合体の製造方法 - Google Patents

ジアリル化合物とマレイン酸との共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジアリル化合物とマレイン酸との共重合体に関し、詳しくはジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドやジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、工業的に生産可能で簡便なジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドやジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体の製造方法に関する。
ジアリルジアルキルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合体は、水溶液中、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合により収率よく得られ(特許文献1参照)、凝集剤、脱臭剤、製紙用助剤等の種々の用途に興味が持たれてきている(特許文献2参照)。
一方、ジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体に関しては、重合収率が低く(特許文献1参照)、また、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリド以外のジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体に関しては、モノマーのジアリルジアルキルアンモニウム塩の入手が困難であり、工業的に製造できていないものがほとんどである。しかし、カチオン性モノマーを含む重合体を用いるファインケミカル分野等において、カチオンのカウンターイオン(対イオン)の種類により性能が大きく異なる場合があり(特許文献3参照)、簡便で収率の高い、種々のカウンターイオンを有するジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体の実用的な製造方法の開発が望まれていた。
東ドイツ特許公開番号,274432号公報(1989年) 特開平04−193308号公報 特開2006−045363号公報
本発明は、このような事情のもとで、簡単に入手可能な、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合体を用いて、従来、モノマーの入手困難等により、工業的に製造困難だったジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体を簡便で高収率で製造する方法を提供することを第一の目的とし、得られたジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体を原料として、従来製造できなかった種々のカウンターイオンを有するジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体を製造する方法を提供することを第二の目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、種々のカウンターイオンを有するジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体の実用的な製造方法の開発に鋭意検討した。その結果、モノマーのジアリルジメチルアンモニウムクロリドに強塩基性の水酸化物を加えて得られる混合物をイオン交換膜電気透析処理してもジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドに変換されないにもかかわらず、出発原料として、そのモノマーの代わりにジアリルジアルキルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合体を使用して、この共重合体を強塩基性の水酸化物で処理し、次いでイオン交換膜電気透析処理すると、共重合体中のジアリルジアルキルアンモニウムクロリド単位がジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシド単位に変換され、ジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体を製造できることを見出した。
さらに得られたジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体に酸を加えると種々のカウンターイオンを有するジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体が製造できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、
(1)下記一般式(I)又は(II)
Figure 0005120566


(ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるジアリルジアルキルアンモニウムクロリド構成単位と下記式(III)
Figure 0005120566


で表されるマレイン酸構成単位とを含む共重合体を、強塩基性の水酸化物で処理し、得られた混合物をイオン交換膜電気透析処理することにより、下記一般式(IV)または(V)
Figure 0005120566


(ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシド構成単位と下記式(III)
Figure 0005120566
で表されるマレイン酸構成単位とを含む共重合体を製造することを特徴とする、ジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体の製造方法、
(2)強塩基性の水酸化物が水酸化金属である、上記(1)に記載の方法、および
(3)上記(1)の方法によりジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体を製造し、得られた共重合体を有機酸(X−H)で処理することにより、下記一般式(VI)または(VII)
Figure 0005120566


(ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはカウンターイオンを示す)で表されるジアリルジアルキルアンモニウム塩構成単位と下記式(III)
Figure 0005120566
で表されるマレイン酸構成単位とを含む共重合体を製造することを特徴とする、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体の製造方法
提供するものである。
本発明によれば、簡単に入手可能な、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合体を出発原料として、従来、モノマーの入手困難等により、工業的に製造困難だったジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体やジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体を簡便に高収率で製造することができる。
本発明の製造方法において用いられるイオン交換膜電気透析装置の概略図である。 本発明の製造方法に原料として用いられるジアリルジメチルアンモニウムクロリドとマレイン酸との1:1共重合体のFT−IRのチャートである。 本発明の製造方法により得られるジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との1:1共重合体のFT−IRのチャートである。 本発明の製造方法により得られるジアリルジメチルアンモニウムメタンスルホネトとマレイン酸との1:1共重合体のFT−IRのチャートである。 本発明の製造方法により得られるジアリルジメチルアンモニウムエタンスルホネートとマレイン酸との1:1共重合体のFT−IRのチャートである。 本発明の製造方法により得られるジアリルジメチルアンモニウムイセチオネートとマレイン酸との1:1共重合体のFT−IRのチャートである。 本発明の製造方法により得られるジアリルジメチルアンモニウムスルファメート塩とマレイン酸との1:1共重合体のFT−IRのチャートである。 本発明の製造方法により得られるジアリルジメチルアンモニウムベンゼンスルホネートとマレイン酸との1:1共重合体のFT−IRのチャートである。
先ず、本発明のジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体の製造方法について説明する。
本発明において原料として用いる共重合体は、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合体であり、下記一般式(I)又は(II)
Figure 0005120566


(ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるジアリルジアルキルアンモニウムクロリド構成単位と下記式(III)
Figure 0005120566


で表されるマレイン酸構成単位とを含むものである。
原料共重合体、すなわち、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合体は、既知の方法、例えば、特許文献1に記載の方法で製造できる。また、原料共重合体は、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液、マレイン酸、水を仕込み、得られる溶液を、過硫酸アンモニウムの存在下で、例えば、50〜70℃で重合させて得ることもできる。原料共重合体におけるジアリルジアルキルアンモニウムクロリドのモル構成単位とマレイン酸のモル構成単位とのモル比に特に制限はないが、1:(0.1〜1)が好ましい。
この原料共重合体の分子量は、原料共重合体が水溶性を維持する限り特に制限はないが、例えば、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリエチレングリコール換算の重量平均分子量で、1,000〜1,000,000のものを使用できる。また、一般式(I)または(II)と式(III)の構成単位以外に他の構成単位、例えば、二酸化硫黄等の第三の構成単位を含む場合、他の構成単位の含有割合は、全構成単位を基準にして、通常40モル%以下、好ましくは30モル%以下、特に好ましくは15モル%以下である。
本発明のジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体の製造方法においては、先ず、上記原料共重合体を強塩基性の水酸化物で処理するが、強塩基性の水酸化物としては、水溶性であり、本発明の目的を達成できる程度の強塩基性の水酸化物であれば特に限定しないが、例えば、強塩基性の水酸化金属、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
本発明においては、強塩基性の水酸化物の使用量は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド単位に対して100〜200モル%が好ましい。100モル%未満では、製造できる共重合体のクロリドがヒドロキシドに変換しにくく、200モル%を超えると、強塩基性の水酸化物添加後の溶液が高pHとなり扱いにくくなる。
本発明においては、原料共重合体を、強塩基性の水酸化物で処理したのち、得られる混合物をイオン交換膜電気透析処理に付する。
イオン交換膜電気透析法は、内部に電解液を有するイオン交換膜槽の両側に電圧を印加することにより、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を通して陽イオンまたは陰イオンを除去する方法である。
本発明に用いられる陽イオン交換膜および陰イオン交換膜は、一般的なイオン交換膜(例えば旭硝子社製CMV、AMV等)を用いることができる。またこれらのイオン交換膜を装着させる電気透析槽も、公知のものを用いることができ、市販されているものでよく、膜間隔、室数、室内透過等を特別に設定する必要はない。
本発明に用いられるイオン交換膜電気透析法の好ましい実施態様を、以下、図1を用いて説明する。
図1中、電気透析槽9は、その中に陽イオン交換膜Cと陰イオン交換膜Aとが交互に並行 に配列され、膜により区画された希釈室3、濃縮室4および電極室5より成立しており、電気透析槽9の両端の電極室5には、それぞれ陽極と陰極の電極板6が設備されている。
原液槽1には、原料の共重合体と強塩基性の水酸化物とが混合した水溶液が投入され、ポンプPにより電気透析槽9の希釈室3に送られる。2つの電極板6に電圧を印加すると、希釈室3では、陽イオンと陰イオンに電離した中和塩XCl(強塩基性の水酸化物として水酸化金属を用いた場合は塩化金属)が、それぞれ陽イオン交換膜Cと陰イオン交換膜Aを通して濃縮室4へ移動することにより、希釈室3から中和塩XCl(強塩基性の水酸化物として水酸化金属を用いた場合は塩化金属)が除去される。生成されるジアリルジアルキルアンモニムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体は陽イオン交換膜Cにより遮断されて移動することができず、希釈室3にそのまま残留する。
一方、濃縮液槽2及び電極室5には、濃縮液たる電解液が投入される。電解液としては、一般的には、1〜2%のNaCl溶液又は、NaSO溶液等が用いられるが、これらに限定されず電解質溶液であれば何れを用いてもよい。この濃縮液はポンプPにより濃縮室4へ送られる。
原料共重合体に強塩基性の水酸化物を加えて得られる混合物を、原液槽1に投入して希釈室3へ循環させると同時に、電解液を濃縮液槽2へ投入して濃縮室4へ循環させることにより、原液槽1に投入された水溶液からは、徐々に中和塩XCl(強塩基性の水酸化物として水酸化金属を用いた場合は塩化金属)が透析除去される。
原料共重合体に強塩基性の水酸化物を加えて得られる混合物には、未反応の原料の共重合体や強塩基性の水酸化物が含まれているが、徐々に中和塩XCl(強塩基性の水酸化物として水酸化金属を用いた場合は塩化金属)が除去されるにつれて、原料の共重合体のジアリルジアルキルアンモニウムクロリド構成単位がジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドに変換されて目的のジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体に変換される。
最終的には、原液槽1には目的のジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体の水溶液が、濃縮液槽2には中和塩(強塩基性の水酸化物として水酸化金属を用いた場合は塩化金属MCl)が濃縮貯蔵されることになる。かくして、目的の共重合体を得ることができる。
このようにして得られたジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体は、下記一般式(IV)又は(V)
Figure 0005120566


(ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシド構成単位と下記式(III)
Figure 0005120566


で表されるマレイン酸構成単位とを含むものである。
本発明においては、上述した方法によりジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体を製造したのち、この共重合体を酸(H−X)で処理することにより、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体を製造することができる。
得られたジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体は、下記一般式(VI)又は(VII)
Figure 0005120566


(ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはカウンターイオンを示す)で表されるジアリルジアルキルアンモニウム塩構成単位と下記式(III)
Figure 0005120566


で表されるマレイン酸構成単位とを含むものである。
本発明によれば、酸(H−X)として、種々の酸、たとえば、好ましくは有機スルホン酸等の有機酸を加えることにより、通常、製造困難な種々のカウンターイオン(X)を有するジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体を製造することができる。そのような酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸を例示できる。酸の量としては、通常、ジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体中のジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシド単位の当量と等当量を用いることができるが、一部のカウンターイオンを交換したいときは、適宜調整することができる。
参考例1 原料共重合体であるジアリルジメチルアンモニウムクロリドとマレイン酸との1:1共重合体の製造
攪拌機、冷却管、温度計を備えた1000mL四つ口セパラブルフラスコに、65質量% ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液49.8g(0.2モル)、マレイン酸23.2g(0.2モル)、水38.1gを仕込み、完全に溶解させた後、内温を60℃まで昇温させた。温度安定後、28.5質量%の過硫酸アンモニウム水溶液25.6g(0.03モル)を4回分けて添加し、内温60℃にて72時間、重合を実施した。重合終了後により得られるジアリルジメチルアンモニウムクロリドとマレイン酸との1:1共重合体溶液をGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)にて測定したところ、質量平均分子量は15,000、重合収率は97%であった。
実施例1 目的物質の共重合体であるジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との1:1共重合体の製造
参考例1で得られたジアリルジメチルアンモニウムクロリドとマレイン酸との1:1共重合体溶液に、水418.8gを添加して希釈し、その内の465.2gを取り、当該共重合体中のジアリルジメチルアンモニウムクロリドと等モル量の25質量%水酸化ナトリウム水溶液56.0g(0.35モル)を添加した。得られた水溶液について図1に示すイオン交換膜電気透析処理装置に10時間付してイオン交換膜電気透析処理した。
最終的には、濃縮液槽2には塩化ナトリウムの水溶液が、原液槽1には目的物質であるジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との1:1共重合体の水溶液が、定量的に濃縮貯蔵された。イオン交換膜電気透析処理前後の水溶液について、それぞれイオンクロマトグラフィー法により処理した後の塩化物イオン含有濃度を測定した。その結果、純体換算で電気透析前が11%であったが、電気透析後には、塩化物イオンは1%前後でほとんど消失していた。
また、イオン交換膜電気透析処理後の一部の水溶液について2−プロパノールを加え、固体化・精製し、それを用いてFT−IR装置を用いた分析を行なった。この電気透析前後のFT−IRチャートを、それぞれ図2、図3に示す。イオン交換膜電気透析処理前にみられる1700cm−1付近のカルボン酸に由来する吸収(C=O伸縮振動)が、処理後では1560cm−1付近のカルボキシルイオンに由来する吸収(C=O逆対称伸縮振動)に変移していた。電気透析後にカルボン酸がカルボキシルイオンに変化していることが明らかとなり、カルボベタイン構造を有していることが示唆された。このことは、ジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体が両性イオン(zwitter ion)をとっているという文献(ケミカルアブストラクト,110巻,213749)のデータに一致しており、得られた重合体がジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との1:1共重合体であることを支持している。
実施例2 目的物質の共重合体である、カウンターイオンを有するジアリルジメチルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体の製造
実施例1で製造したジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体の水溶液に対し、ジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシド構成単位と等モル量(等当量)のメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸一水和物を加え、得られる混合液を室温下で攪拌した。攪拌後、それぞれのサンプルに2-プロパノールを加え固体化させ精製した。イオンクロマトグラフィー法を用い、各固体サンプル中の塩化物イオン(Cl)濃度および硫酸イオン(SO )濃度の測定を行った。その結果、いずれも塩化物イオン濃度は1%以下であり、硫酸イオン濃度は、8.5〜18%であった。
また、それらの固体をFT−IR装置を用いて分析した。各FT−IRチャートを図4〜8に示す。図4がメタンスルホン酸、図5がエタンスルホン酸、図6がイセチオン酸、図7がスルファミン酸、図8がベンゼンスルホン酸一水和物を用いて得られた共重合体のFT−IRチャートである。これらのFT−IRチャートより、各種酸を添加する前は1560cm−1付近のカルボキシルイオンに由来する吸収が確認出来たが、添加後では1700cm−1付近のカルボン酸に由来する吸収に変移し、また1210〜1150および1060〜1030cm−1付近のSO に由来する吸収が確認できた。したがって、実施例1で製造したジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体に、各種酸を添加することで、種々のカウンターイオンを有するジアリルジメチルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体に変換できることがわかった。すなわち、それぞれ、ジアリルジメチルアンモニウムメタンスルホネートとマレイン酸との共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムエタンスルホネートとマレイン酸との共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムイセチオネートとマレイン酸との共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムスルファメートとマレイン酸との共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムベンゼンスルホネートとマレイン酸との共重合体が得られたことを示している。
参考例2 モノマーであるジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)のイオン交換膜電気透析処理
65質量% ジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液37.31g(0.15モル)と25質量%水酸化ナトリウム水溶液24.00g(0.15モル)、水46.21gを仕込み、完全に溶解させた。その後、電気透析処理を11時間行った。処理後サンプルにつき、イオンクロマトグラフィー法により塩化物イオン濃度の測定を行なった。その結果、純体換算で23%であり、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合体のデータにほぼ一致した。従って、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドを電気透析処理することで、カウンターイオンをヒドロキシルイオン(OH)に交換することは出来ず、この方法でモノマーのジアリルジメチルアンモニウムヒドロキシドを製造することはできないことが判明した。
本発明によれば、簡単に入手可能な、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリドとマレイン酸との共重合体を出発原料として、従来、モノマーの入手困難等により、工業的に製造困難だったジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体やジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体を簡便で収率良く製造することができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)又は(II)
    Figure 0005120566
    (ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるジアリルジアルキルアンモニウムクロリド構成単位と下記式(III)
    Figure 0005120566
    で表されるマレイン酸構成単位とを含む共重合体を、強塩基性の水酸化物で処理し、得られた混合物をイオン交換膜電気透析処理することにより、下記一般式(IV)または(V)
    Figure 0005120566
    で表されるジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシド構成単位(ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示す)と下記式(III)
    Figure 0005120566
    で表されるマレイン酸構成単位とを含む共重合体を製造することを特徴とする、ジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体の製造方法。
  2. 強塩基性の水酸化物が水酸化金属である、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1記載の方法によりジアリルジアルキルアンモニウムヒドロキシドとマレイン酸との共重合体を製造し、得られた共重合体を有機酸(H−X)で処理することにより、下記一般式(VI)または(VII)
    Figure 0005120566
    (ただし、R、Rは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはカウンターイオンを示す)で表されるジアリルジアルキルアンモニウム塩構成単位と下記式(III)
    Figure 0005120566
    で表されるマレイン酸構成単位とを含む共重合体を製造することを特徴とする、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とマレイン酸との共重合体の製造方法。
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