JP5119863B2 - ピロボール構造及びサスペンション構造 - Google Patents
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Description
このうち、図3はいわゆるダブルナックル式サスペンション形式のフロントサスペンションを示す図であって、ここでは左前輪を後方から見た模式的な断面図を示している。
ストラット2はショックアブソーバ(緩衝装置)としての機能とサスペンションアーム(支柱)としての機能を兼用する部材であって、このストラット2の外周にアッパハウジング8が固着されている。また、ナックル4は図示しないドライブシャフトやハブ(車軸)を回転自在に支持する部品であって、上下からアッパハウジング8、ロアハウジング10により揺動自在に狭持されている。
また、ボールジョイント14及びベアリング16の中心を結ぶ線がサスペンションのキングピン軸(転舵軸又は操舵軸)LKPとなり、ナックル4はこのキングピン軸LKPを中心に回動する。
また、図示するように、アッパハウジング8とロアハウジング10とはダンパフォーク20を介して接続されている。ダンパフォーク20はドライブシャフトよりも前方に配設される前側ダンパフォーク20fと、ドライブシャフト18よりも後方に配設される後側ダンパフォーク(図示省略)とにより構成されている。
ところで、上述したように、通常ロアアーム6の先端側にはブッシュ70が圧入又は固定されている。そして、ロアアーム6とロアハウジング10とをブッシュ70を介してボルト6cで締結することで、ロアハウジング10及びナックル4が上下動可能にロアアーム6に接続されるようになっている。
また、ロアハウジング10の端部は、図4に示すように二股状に分岐してそれぞれ腕部101,102を形成している。そして、これらの腕部101,102が内筒702の両端部を狭持するとともに、ボルト704及びナット705により締結される。また、この際、内筒702とロアハウジング10とは相対移動がないように締結される。
このようなサポートの揺動を許容すると、タイヤやナックル4の正確な位置決めができなくなりサスペンションとしての機能が損なわれるため、旧キングピン軸回りサポートの揺動を規制する必要がある。ただし、この形式のサスペンションでは、サスペンションストローク時に僅かながらブッシュ70の揺動を許容しないとサスペンションジオメトリーが成立しないため、ある程度の揺動(例えば0.1deg程度のオーダ)は許容する必要もある。
しかし、サポートの回転を規制する程度まで極端にブッシュのばね定数を上げようとすると、ゴム703自体が硬化することになるので、周方向のばね定数も必然的に高くなってしまう。そして、ゴム703の周方向のばね定数が必要以上に高くなると乗り心地が悪化することになる。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ストローク時にはほとんど抵抗を生じず、且つ、旧キングピン軸周りの回転を規制しながら、サスペンションジオメトリー上最低限必要な揺動を許容するようにした、ピロボール構造及びサスペンション構造を提供することを目的とする。
また、該規制部材が弾性体により形成され、該内筒は、該第2の外筒の全長に該規制部材の該鍔部の厚さを加えた寸法よりも軸方向に大きい寸法を有し、両端部が該第2の外筒の両端部よりも突出しているのが好ましい(請求項3)。
また、該規制部材が、該内筒の両端部と第2の外筒の両端部との間にそれぞれ設けられ、該2つの規制部材よりも内側に、該球体と該保持部材との間をシールするシール部材が設けられているのが好ましい(請求項4)。
また、規制部材の変形分だけ内筒の揺動を許容することによりドライバが違和感を覚えるような事態を回避できるとともに、やはり乗り心地が向上する利点がある。また、内筒と規制部材とが当接した場合の接触音の発生を防止できる利点もある(請求項3)。
本発明のサスペンション構造によれば、内筒が外筒に対して回転自在となるため、サスペンションストローク時にほとんど抵抗を生じず、乗り心地が向上する。また、規制部材により内筒の揺動が規制されるので、サスペンションの正確な位置決めを実現することができる(請求項5)。
まず、図1を用いてサスペンションの構成について説明する。なお、このサスペンションは、後述するピロボールブッシュ以外の構成については、図3を用いて説明したダブルナックル式サスペンションと同様に構成されているため、対応する部材については同一の符号を付して説明する。また、本実施形態では前輪左側のサスペンションを用いて説明するが、サスペンションは左右対称に構成されており、右側サスペンションも左側サスペンションと同様に構成されている。したがって、以下では右側サスペンションの構成については説明を省略する。
ストラット2はショックアブソーバ(緩衝装置)としての機能とサスペンションアーム(支柱)としての機能を兼用する部材であって、後述するアッパハウジング8を介してナックル4の上側を支持している。ここでストラット2自体は公知のものであって、ストラット外筒の内部に形成されたシリンダに図示しないピストンが設けられるとともに、シリンダ内にオイルが充填されて構成されている。そして、サスペンションに入力が作用すると、ピストンがオイルの抵抗を受けながらシリンダ内を進退することにより入力が緩衝されるようになっている。
また、ナックル4にはナックルアーム4aが形成され、このナックルアーム4aにタイロッド12が接続されている。これにより、ドライバの操舵力が図示しないステアリングギアボックスからタイロッド12を介してナックル4に伝達されてナックル4が回動し、車輪が操舵されるようになっている。
一方、ナックル4の上方にはベアリング(第1の軸支手段)16が設けられており、ベアリング16もオネジが形成された先端側のスタッド部(揺動軸)16bを有している。また、スタッド部16bはやはり先端に向かうほど小径となるようなテーパ状に形成され、スタッド部16bはその先端が上方に突出するように構成されている。なお、ナックル4は予めアセンブリ化されており、ボールジョイント14はピンチボルト(図示省略)で締結され、ベアリング16はナックル4に圧入されて一体化している。
また、ベアリング16,ボールジョイント14のスタッド部14b,16bは、それじれアッパハウジング8及びロアハウジング10に接続されており、これにより、ナックル4が上下から揺動自在に狭持されるようになっている。
このボス部8aはベアリング16のスタッド部16bのテーパ形状に対応した形状に形成されており、このボス部8aにスタッド部16bを挿入するとともに、上部をナット42で締結することにより、ベアリング16の軸心合わせが行われるようになっている。
また、ロアハウジング10はピロボールブッシュ7及びボルト6cを介してロアアーム6に回動可能に接続されている。また、ロアアーム6は、車両の中心側端部(基端部)において、車両の長手方向に略沿う回動中心軸を有する前側基端部6aと、車両の鉛直方向に中心軸を有する後側基端部6bとを備え、これらの基端部6a,6bにも図示しないブッシュ類が圧入されている。そして、これらの基端部6a,6bの中心軸に沿ってボルトを挿通してナット等で締結することにより、ロアアーム6が図示しない車体又はサスペンションフレームに取り付けられるとともに、前側基端部6aの回動中心軸を中心とした揺動が許容されるようになっている。
ここで、サポートをアルミ等により一体に形成することも考えられるが、本実施形態ではコストや重量並びに組み付け作業性を考慮して、上述のようにアッパハウジング8,ロアハウジング10及びダンパフォーク20の3部材に分割しており、さらにダンパフォーク20を前後2枚に分割することで、ドライブシャフト18との干渉を避けながらサポートして十分な強度を確保しているのである。
次に、ピロボールブッシュ7の構成について説明すると、図2に示すように、このピロボールブッシュ7は、従来のブッシュ(図4の符号70参照)に代えて設けられたものであって、主に、外筒71と、外筒71の内側において外筒71と同軸上に配設される内筒72と、外筒71の外側に外筒71と同軸上に配設されるパイプ(第2の外筒)73とを備えている。なお、図中のO1 ,O2はそれぞれ外筒71の中心軸,内筒72の中心軸を示しており、上述のように、これらの2つの中心軸O1 ,O2は一致している。
また、内筒72の軸方向中心部分には球状のベアリング(球体)74が内筒72と一体に形成されており、また、ベアリング74の中心は内筒の中心軸O2上に位置するように構成されている。
また、パイプ73と外筒71とが相対変位しないように、例えばパイプ73の内側に外筒71を圧入するなどして、パイプ73と外筒71とが一体化されている。
そして、パイプ73の外周面が、ロアアーム6の先端側接続部6dに溶接等により、ロアアーム6とピロボールブッシュ7とが一体化されるようになっている。
本発明の一実施形態に係るピロボール構造は上述のように構成されているので、ピロボールブッシュ7の内筒72は、外筒71及びパイプ73に対して、中心軸O1 ,O2 を中心に回転自在となり、この回転方向には保持部材75との摩擦抵抗以外には抵抗が作用しない。このため、内筒72は回転方向には極めて円滑に作動する。一方、ベアリング74を中心とする揺動に関しては、規制部材77と内筒72との間に形成された隙間Sの分のみ揺動が許容され、これ以上の揺動は内筒72が規制部材77に当接することにより規制される。また、このときには、規制部材77を樹脂で形成することにより、規制部材77が僅かに変形しながら内筒72の揺動が規制される。
まず、ロアハウジング10の先端の二股状の腕部(図4の101,102参照)が内筒72の両端を狭持するような状態でボルトを上記ロアハウジング10及び内筒72に通し、その後ナットでロアハウジング10とロアアーム6とを締結する。これにより、ロアハウジング10と内筒72との相対変位が規制され、ロアハウジング10と内筒72とは一体に作動することになる。また、内筒72は外筒71に対して回転軸O1 に対しては自在に回転が許容されるので、サスペンションストローク時には、軸周りにばね定数を有する従来のブッシュ(図4参照)に対して、抵抗がほとんどなくなり、乗り心地が向上することになる。
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。たとえば上述の実施形態では、本ピロボール構造をダブルナックルサスペンションに用いた場合について説明しているが、本ピロボール構造は種々のサスペンション形式に適用することができる。また、第1の軸支手段としてボールジョイントを適用していもよい。
4 第1部材(ナックル)
6 ロアアーム
7 ピロボールブッシュ
8 第2部材(アッパハウジング)
10 第3部材(ロアハウジング)
14 ボールジョイント(第2の軸支手段)
16 ベアリング(第1の軸支手段)
20 第4部材(ダンパフォーク)
20f 前側ダンパフォーク
20r 後側ダンパフォーク
71 外筒
72 内筒
73 パイプ(第2の外筒)
74 ベアリング(球体)
75 保持部材
77 規制部材
76 シール部材
Claims (5)
- 第1の外筒と、
該第1の外筒の内側に同軸上に配設され、該第1の外筒よりも軸方向に大きい寸法を有し、両端部がいずれも該第1の外筒の両端部よりも軸方向に突出している内筒と、
該内筒の軸方向中心部分の外周面に該内筒と一体に形成され、中心が該第1の外筒及び内筒の中心軸上に位置する球体と、
該第1の外筒と該内筒との間に配設され、該球体を、該中心軸方向への移動を規制するとともに揺動可能に保持する保持部材と、
該第1の外筒の外側に同軸上に配設され、該第1の外筒よりも軸方向に大きい寸法を有し、両端部がいずれも該第1の外筒の両端部よりも軸方向に突出している第2の外筒と、
該内筒と該第2の外筒との間に設けられて該内筒の揺動を所定範囲内に規制する規制部材とを有し、
該保持部材は、該第1の外筒により該中心軸方向の移動を規制されており、
該規制部材は、該第2の外筒の内周面と当接する円周壁部と、該第2の外筒の端部に当接する鍔部とを有する
ことを特徴とする、ピロボール構造。 - 該規制部材と該内筒との間に該内筒の所定範囲内の揺動を許容する隙間が設けられている
ことを特徴とする、請求項1記載のピロボール構造。 - 該規制部材が弾性体により形成され、
該内筒は、該第2の外筒の全長に該規制部材の該鍔部の厚さを加えた寸法よりも軸方向に大きい寸法を有し、両端部が該第2の外筒の両端部よりも突出している
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のピロボール構造。 - 該規制部材が、該内筒の両端部と第2の外筒の両端部との間にそれぞれ設けられ、該2つの規制部材よりも内側に、該球体と該保持部材との間をシールするシール部材が設けられている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピロボール構造。 - 車両の車軸を回転可能に支持する第1部材と、
該車両のストラットに固設され、第1の軸支手段を介して該第1部材の上端側を揺動自在に軸支する第2部材と、
第2の軸支手段を介して該第1部材の下端側を揺動自在に軸支する第3部材と、
該第1部材と該第2部材とをボルトにより締結する板金状の第4部材と、
先端側が該第3部材に対して揺動可能に接続されるとともに、基端側が該車両に対して揺動可能に接続されるロアアームとをそなえたサスペンション構造であって、
該ロアアームと該第3部材とが、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載のピロボール構造を介して接続されている
ことを特徴とする、サスペンション構造。
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