JP4673179B2 - 車両用サスペンション構造 - Google Patents
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Description
サスペンションリンクは、サスペンションのストロークや、フロントサスペンションの場合には転舵を可能とするため、その両端部に例えばゴムブッシュやボールジョイントを有するジョイント部が設けられ、ハウジング及び車体に対して揺動可能に支持される(例えば、特許文献1参照)。
このような湾曲したサスペンションリンクは、その中間部に最大舵角時にナックルと当接するストッパ部を形成し、ストッパ部とナックルとが線接触するように構成することによって、最大舵角時にサスペンションリンクがその軸線回りに回転することを防止したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明の課題は、湾曲して形成されたサスペンションリンクが他の部品等と干渉することを防止する車両用サスペンション構造を提供することである。
請求項1の発明は、車体側に設けられた車体側取付部、及び、車輪を支持するハブベアリングが収容されるハウジング側に設けられた車輪側取付部の間にわたして設けられ、中間部が湾曲して形成されたサスペンションリンクと、前記サスペンションリンクと前記車体側取付部との接続部、前記サスペンションリンクと前記車輪側取付部との接続部の少なくとも一方に設けられ、これらの接続部を通る軸線回りにおける前記サスペンションリンクの回転を制限する回転防止ジョイント部とを備え、前記回転防止ジョイント部は、前記サスペンションリンクの一方の端部を、前記車体側取付部又は前記車輪側取付部に対して、その他方の端部が揺動するように回転可能に支持する第1の軸支部と、前記第1の軸支部と前記サスペンションリンクとの間に介在し、前記サスペンションリンクの前記他方の端部を、前記第1の軸支部に対して、前記他方の端部が前記第1の軸支部による揺動方向と異なった方向に揺動するように回転可能に支持する第2の軸支部とを有し、前記回転防止ジョイント部の前記第1の軸支部の回転軸、前記第2の軸支部の回転軸の少なくとも一方は、前記回転防止ジョイント部を通りかつ前記軸線よりも前記サスペンションリンクがその湾曲によって前記軸線から張り出した側と反対側に傾斜した直線に対して、略直交して配置されることを特徴とする車両用サスペンション構造である。
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用サスペンション構造において、前記回転防止ジョイント部の前記第1の軸支部、前記第2の軸支部の少なくとも一方は、ゴム系材料によって形成された軸受部を備えることを特徴とする車両用サスペンション構造である。
(1)サスペンションリンクと、車体側又は車輪側の取付部との間に、サスペンションリンクの軸線回りの回転を制限する回転防止ジョイント部を設けることによって、サスペンションリンクの振れ回りが抑制され、サスペンションリンクが他の部品等に干渉することを防止することができる。
(2)サスペンションリンクの一方の端部を、その他方の端部が揺動する方向に回転可能にそれぞれ軸支する第1の軸支部、第2の軸支部を介して支持することによって、第1の軸支部、第2の軸支部それぞれの回転軸回りの回転以外のサスペンションリンクの動きが拘束されるから、サスペンションリンクの軸線回りの回転を抑制して他の部品との干渉を防止することができる。
(3)第1の軸支部の回転軸、第2の軸支部の回転軸を、それぞれ軸線に対して略直交しかつこれらが相互に略直交するように配置することによって、サスペンションリンクの軸線回りの回転をより確実に拘束することができる。
(4)第1の軸支部の回転軸、第2の軸支部の回転軸の少なくとも一方を、回転防止ジョイント部を通りかつ前記軸線よりも前記サスペンションリンクがその湾曲によって前記軸線から張り出した側と反対側に傾斜した直線に対して、略直交して配置することによって、サスペンションストロークによるサスペンションリンクの揺動時に、湾曲して張り出した部分が回転軸回りに揺動する半径が小さくなるから、サスペンションリンクの揺動時における他の部品との間の隙間の減少が緩和され、干渉を防止することができる。
図1は、実施例1のフロントサスペンションを有する車両の透視図である。
実施例1において、車両1は、例えば乗用車等の自動車であって、フロントサスペンション2は、フロントホイール3と車体との間に設けられている。
フロントサスペンション2は、ストラット式のサスペンションであって、ハウジング10、フロントロワアーム20、リアロワアーム30、ストラット40、タイロッド50、スタビライザ60を備え、さらに、ハウジング10にはドライブシャフト70が接続されている。
リアロワアーム30は、図3に示すように、その車幅方向外側の端部31が、ハウジング10の下部でありかつそのフロントロワアーム20との接続部よりも後方側に設けられた車輪側取付部11に、図示しないボールジョイント(接続部)を介して揺動可能に接続されている。また、リアロワアーム30は、その車幅方向内側の端部32が、上述した取付部11の斜め後方側に配置され、回転防止ジョイント部(接続部)100を介して車体側取付部に固定されている。この回転防止ジョイント部100については、後に詳しく説明する。
リアロワアーム30は、転舵時におけるフロントホイール3との干渉を防止するため、その中間部分が車幅方向内側に張り出すように弓状に湾曲して形成されている。
ショックアブソーバ41は、油圧式の緩衝装置(ダンパ)であって、そのロッドの軸線方向が略上下方向に配置されている。
ショックアブソーバ41は、シェルケース41a,ハウジングブラケット41b,スタビライザブラケット41c,スプリングシート41dを備えている。
シェルケース41aは、ショックアブソーバ41の下部に設けられる外筒である。
ハウジングブラケット41bは、シェルケース41aの下端部に固定され、シェルケース41aとハウジング10とを固定するものである。
スタビライザブラケット41cは、スタビライザ60が接続される部分であって、シェルケース41aの外周面のうち車両後方側の部分から外径側に突き出して形成されている。
スプリングシート41dは、スプリング42の下端部と当接するものであって、シェルケース41aの上端部側の外周面から外径側につば状に張り出して形成されている。
スプリング42は、上端部がアッパマウント43に設けられたスプリングシート43aと当接し、下端部が上述したショックアブソーバ41のスプリングシート41dと当接して配置されている。
タイロッド50及びステアリングギアボックスGは、車軸に対して車両後方側に配置され、ハウジング10のタイロッド50との接続部は、車軸に対して後方側に突き出して形成されている。
また、タイロッド50は、図4及び図5に示すように、リアロワアーム30の上方側に配置され、リアロワアーム30の上面部に対して間隔を隔てて対向して配置されている。
タイロッド50は、そのリアロワアーム30の上部に配置される部分の外周面部に、ゴム系材料によってベローズ状に形成されたダストブーツ(タイロッドブーツ)51が被せられている。
スタビライザバー(アンチロールバー)61は、例えばバネ鋼等の弾性を有する材料によって形成された棒状の部材であって、車両1のロール方向の挙動が生じた際に捻られて反力を発生し、ロール剛性を向上させるものである。スタビライザバー61は、その長手方向における中間部が略車幅方向に延在し、フロントロワアーム20に対して前方側に配置されている。また、スタビライザバー61の中間部を挟んだ両側に設けられる側部は、車両後方側に向けて屈曲させて形成され、後述するドライブシャフト70の上方側を通り、その突端部は、ショックアブソーバ41のシェルケース41aに対して車幅方向内側でありかつ後方側に配置されている。
図6は、図4のVI−VI部矢視断面図であって、回転防止ジョイント部100をその上下方向の中心部において水平面で切って見た状態を示す図である。図7は、図6のVII−VII部矢視断面図である。
回転防止ジョイント部100は、ボルト101、ナット102、スリーブ103、カラー104、樹脂ベアリング105、ホルダ106、外筒107、ピン108、樹脂ベアリング109、ダストブーツ110,111を備えている。
ナット102は、ボルト101がネジ結合されるものであって、回転防止ジョイント部100の上部であって、メインフレームFの回転防止ジョイント部100が固定される面部の上面側に配置されている。
カラー104は、スリーブ103の上部に配置され、ボルト101の軸部が挿入される環状の部材であって、その下面部は樹脂ベアリング105の上側の端面と当接するようになっている。
スリーブ103及びカラー104は、ボルト101の締結力によって、樹脂ベアリング105をその軸方向に挟持するものである。
ここで、軸線Aは、リアロワアーム30とハウジング10の車輪側取付部11との接続部におけるボールジョイントの回転中心点、及び、リアロワアーム30と車体側取付部であるメインフレームFとの接続部における回転防止ジョイント100の回転中心点(後述する中心軸I1,I2の交点)をそれぞれ通過する直線を指すものとする。
ホルダ106は、その内径側に樹脂ベアリング105が挿入された環状の部材(ヨーク)であって、その外周面部に後述する樹脂ベアリング109が挿入される凹部が形成されている。
ピン108は、外筒107の内周面に対して、上述した樹脂ベアリング105の中心軸I1に向けて突き出した状態でカシメによって固定された円柱状の部材であって、図7に示すように、この中心軸I1に対して対称な位置に1対が設けられている。
この中心軸I2は、上述した軸線A及び樹脂ベアリング105の中心軸I1のそれぞれに対して略直交し、また、略水平に配置されている。
ダストブーツ110は、図7に示すように、外筒107の上端部と、カラー104の外周面との間にわたして設けられている。
ダストブーツ111は、外筒107の下端部と、スリーブ103の外周面との間にわたして設けられている。
フロントサスペンション2は、主にサスペンションのストローク及び転舵に伴うフロントホイール3の車体に対する相対変位を可能とするものである。
サスペンションのストロークは、路面の凹凸や車両1の姿勢変化によって発生し、フロントホイール3の上下方向の変位に応じて、ストラット40のショックアブソーバ41及びスプリング42が伸縮し、連動してフロントロワアーム20、リアロワアーム30が車体及びハウジング10に対してそれぞれ揺動する。
このとき、リアロワアーム30は、回転防止ジョイント部100の樹脂ベアリング109によって、その中心軸I2回りに車体に対して回転し、リアロワアーム30のハウジング10側の端部31は、車体に対して略上下方向に揺動する。
リアロワアーム30は、ハウジング10の車輪側取付部がキングピン軸回りに回転することに伴い、回転防止ジョイント部100を中心として略水平面内で回転する。
このとき、リアロワアーム30は、回転防止ジョイント部100の樹脂ベアリング105によって、その中心軸I1回りに車体に対して回転し、リアロワアーム30のハウジング10側の端部31は、車体に対して略水平方向に揺動する。
実施例2のフロントサスペンションは、実施例1の回転防止ジョイント部100の樹脂ベアリング105,109に代えて、防振機能を有するゴム系の材料によって形成されたすべり軸受を用いたものである。
実施例2によれば、上述した実施例1と同様の効果に加えて、ゴム系材料の振動減衰能によって路面から伝達される振動が遮断されるから、ロードノイズを低減しかつ乗り心地を向上することができる。
実施例3は、上述した実施例1と比較して、回転防止ジョイント部100の外筒107をリアロワアーム30の開口30aに圧入固定する角度を異ならせ、樹脂ベアリング109の中心軸がリアロワアーム30の軸線Aに対してなす角度を変化させたものである。
実施例3においては、樹脂ベアリング109の中心軸(回転軸)I3は、リアロワアーム30の軸線Aよりも、リアロワアーム30がその湾曲によって軸線Aから張り出した側とは反対側に傾斜した直線Lに対して略直交した状態であって、実施例1における中心軸(回転軸)I2と比較すると、車幅方向内側が前進する方向にずらして配置されている。
ここで、実施例3の中心軸I3回りにリアロワアーム30が回転する場合の端部31の回転半径をR3、タイロッド50の下部に配置されたリアロワアーム30の湾曲部の回転半径をr3とし、実施例1と同様の中心軸I2回りに回転する場合の端部31の回転半径をR2、湾曲部の回転半径をr2とする。
実施例3における湾曲部の回転半径r3の端部31の回転半径R3に対する比率r3/R3は、実施例1における同様の比率r2/R2よりも小さい。このことは、フロントサスペンション2のストローク量が同じである場合に、湾曲部の変位量は実施例3のほうが実施例1、実施例2よりも小さいことを示している。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)各実施例は、例えばフロントサスペンションのロワアームに関するものであったが、本発明はこれに限らず、他の位置に設けられるサスペンションリンクに適用してもよく、また、リアサスペンションに適用してもよい。
また、各実施例は、サスペンションリンク(ロワアーム)とタイロッドとの干渉を防止するものであったが、本発明はこれに限らず、タイロッド以外の部材との干渉防止にも適用することができる。
(2)各実施例は、回転防止ジョイント部をサスペンションリンクと車体側取付部との接続部に設けているが、これに代えて又はこれと共に、回転防止ジョイント部を車輪側取付部との接続部に設けてもよい。
(3)各実施例は、第1の軸支部、第2の軸支部の回転軸をそれぞれ略鉛直方向、略水平方向に配置しているが、回転軸の配置はこれに限らず適宜変更することができる。
2 フロントサスペンション
3 フロントホイール
10 ハウジング
20 フロントロワアーム
30 リアロワアーム
40 ストラット
50 タイロッド
60 スタビライザ
70 ドライブシャフト
100 回転防止ジョイント部
101 ボルト
102 ナット
103 スリーブ
104 カラー
105 樹脂ベアリング
106 ホルダ
107 外筒
108 ピン
109 樹脂ベアリング
110,111 ダストブーツ
Claims (4)
- 車体側に設けられた車体側取付部、及び、車輪を支持するハブベアリングが収容されるハウジング側に設けられた車輪側取付部の間にわたして設けられ、中間部が湾曲して形成されたサスペンションリンクと、
前記サスペンションリンクと前記車体側取付部との接続部、前記サスペンションリンクと前記車輪側取付部との接続部の少なくとも一方に設けられ、これらの接続部を通る軸線回りにおける前記サスペンションリンクの回転を制限する回転防止ジョイント部とを備え、
前記回転防止ジョイント部は、前記サスペンションリンクの一方の端部を、前記車体側取付部又は前記車輪側取付部に対して、その他方の端部が揺動するように回転可能に支持する第1の軸支部と、
前記第1の軸支部と前記サスペンションリンクとの間に介在し、前記サスペンションリンクの前記他方の端部を、前記第1の軸支部に対して、前記他方の端部が前記第1の軸支部による揺動方向と異なった方向に揺動するように回転可能に支持する第2の軸支部とを有し、
前記回転防止ジョイント部の前記第1の軸支部の回転軸、前記第2の軸支部の回転軸の少なくとも一方は、前記回転防止ジョイント部を通りかつ前記軸線よりも前記サスペンションリンクがその湾曲によって前記軸線から張り出した側と反対側に傾斜した直線に対して、略直交して配置されること
を特徴とする車両用サスペンション構造。 - 請求項1に記載の車両用サスペンション構造において、
前記回転防止ジョイント部の前記第1の軸支部は、その回転軸が前記軸線に対して略直交して配置され、
前記回転防止ジョイント部の前記第2の軸支部は、その回転軸が前記軸線及び前記第1の軸支部の回転軸のそれぞれに対して略直交して配置されること
を特徴とする車両用サスペンション構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両用サスペンション構造において、
前記回転防止ジョイント部の前記第1の軸支部、前記第2の軸支部の少なくとも一方は、樹脂系材料によって形成された軸受部を備えること
を特徴とする車両用サスペンション構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両用サスペンション構造において、
前記回転防止ジョイント部の前記第1の軸支部、前記第2の軸支部の少なくとも一方は、ゴム系材料によって形成された軸受部を備えること
を特徴とする車両用サスペンション構造。
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