JP4534136B2 - 自動車のフロントサスペンション装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のフロントサスペンション装置に係り、特に、前置き式ステアリングギアユニットを備えた自動車のフロントサスペンション装置に関する。
近年、車両の運動性能、特に操縦安定性(操安性)を向上させるためにエンジン搭載位置を車室側に近づけたフロントミッドシップ車両が知られている。このような車両では、そのレイアウト上、ステアリングギアユニットを、エンジンやサスペンションアームに対し車体前方側で車体に取り付ける必要がある場合がある。このような前置き式ステアリングギアユニットの場合、ステアリングギアユニットから延びるタイロッドは、ホイールサポートの車体前方端部に取り付けられる。
一方、主に、ダブルウィッシュボーン型のフロントサスペンション装置において、各サスペンションアームの車体への取付部に、コンプライアンスを増大させた弾性ブッシュを設けて、良好な乗り心地を得るようにしたものが知られている。また、このような弾性ブッシュに、所謂すぐりを設け、操縦安定性と乗り心地とを両立させることが行われている。また、特許文献1には、シミーを抑制するために、すぐり(スロット)を設ける角度を調整したサスペンション装置が開示されている。
欧州特許第0653320B1号公報
ここで、図5に示すように、制動時には、タイヤ16に車体後方に向く制動力Fが加わり、この制動力Fにより、ホイールサポート8には、回転モーメントMがかかる。ダブルウィッシュボーン型のフロントサスペンション装置において、このような回転モーメントMが各サスペンションアーム4、6に伝達されると、弾性ブッシュを変形させる。コンプライアンスを増大させた弾性ブッシュを用いている場合には、このような弾性ブッシュの変形が大きくなり、アッパアーム4は車体前方に、ロアアーム6は車体後方にそれぞれ変位し(図5中D1、D2)、その結果として、ホイールサポート8は図5中D3の方向に回転してしまう。
前置き式のステアリングギアユニットにおいて、このような回転が生じた場合、タイロッドが取り付けられるホイールサポート8の車体前方端部8dは、下方且つ車体後方側に変位する。
ここで、タイロッドは、アッカーマンジオメトリを成立させるために、平面視で車体外方に車体斜め前方に延びるように傾斜角が付き、さらに、バンプトーイン特性を得るために、正面視で車体外方に斜め上方に延びるように傾斜角が付くように設けられる必要がある。
従って、例えば、図6(a)中仮想線で示すように、ホイールサポート8の回転に伴い、タイロッド18の傾斜角は減少し、一方、タイロッド自体の長さは変化しないので、その取付点8dは、下方側且つ車体後方側に変位すると共に車幅方向外方にも変位することになる。従って、車輪はトーアウト方向に向く。
このように、タイロッド18がホイールサポート8の車体前方端部8dに取り付けられていること、及び、タイロッド18に傾斜角が付けられていることに起因して、制動時には、車輪がトーアウト方向に向いてしまい、特に高速走行時において、制動時の車両安定性が低下する場合があるという問題があった。
一方、このようなトーアウトを防止するために、弾性ブッシュのコンプライアンスを減少させると、乗り心地を悪化させることになる。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、乗り心地を犠牲にすることなく、アッカーマンジオメトリを成立させると共に制動時の車両安定性を確保することが出来る、前置き式ステアリングギアユニットを備えたフロントサスペンション装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明は、前置き式ステアリングギアユニットを備えた自動車のフロントサスペンション装置であって、車体に弾性ブッシュを介して取り付けられたアッパアームと、車体に2箇所において弾性ブッシュを介して取り付けられたロアアームであって、その車体前方側の取付部からほぼ車幅方向に延びる前方アーム部及び車体後方側の取付部から車幅方向外方に斜め前方に延びる後方アーム部を有するA型のロアアームと、アッパアーム及びロアアームに取り付けられ車輪を回転自在に支持するホイールサポートと、車体のアッパアーム及びロアアームより車体前方の位置に固定されたステアリングギアユニットと、このステアリングギアユニットから車幅方向外方に斜め前方に延びステアリングギアユニットとホイールサポートの車体前方端部とを連結するタイロッドと、を有し、ロアアームの後方アーム部の取付部の弾性ブッシュは、その中心軸線が車体上下方向に延びるように設けられ、この弾性ブッシュは、平面視でその車幅方向に延びる軸線より車体前方側且つ車体前後方向に延びる軸線より車体内方側の領域に形成された第1の低弾性部を有し、この第1の低弾性部は、弾性ブッシュの外周部に沿って延びるすぐり部であり、このすぐり部は、その長手方向の中間部が、平面視で弾性ブッシュの車体前後方向の軸線から25乃至35度の位置になるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、ステアリングギアユニットは、サスペンションクロスメンバのアッパアーム及びロアアームより車体前方の位置に固定されており、タイロッドは、このステアリングギアユニットから車幅方向外方に斜め前方に延びステアリングギアユニットとホイールサポートの車体前方端部とを連結している。このように構成されたタイロッドにより、アッカーマンジオメトリを成立させることが出来る。一方、このようなタイロッドの構成では、アッパアーム及びロアアームが弾性ブッシュを介してサスペンションクロスメンバに取り付けられていることに起因して、制動時にホイールサポートの車体前方端部が車幅方向外方に変位して車輪がトーアウト方向に向こうとする。しかしながら、ロアアームの後方アーム部の取付部の弾性ブッシュは、その中心軸線が車体上下方向に延びるように設けられ、この弾性ブッシュは、平面視でその車幅方向に延びる軸線より車体前方側且つ車体前後方向に延びる軸線より車体内方側の領域に形成された第1の低弾性部を有するので、制動時に、弾性ブッシュを車体後方且つ車幅方向外方に斜め方向に変形させて、ロアアームを、車体後方且つ車幅方向外方に斜め方向に変位させることが出来る。従って、制動時には、ホイールサポートの車体前方端部及びロアアームのホイールサポートへの取付部の両方が車幅方向外方に変位することになる。このようにして、ホイールサポートを全体的に車幅方向外方に移動させて、車輪の制動時のトーアウトを抑制することが出来る。その結果、弾性ブッシュのコンプライアンスを増大させて乗り心地を確保しても、制動時の車両安定性を確保することが出来る。
さらに、このように構成された本発明においては、第1の低弾性部は、弾性ブッシュの外周部に沿って延びるすぐり部であり、このすぐり部は、その長手方向の中間部が、平面視で弾性ブッシュの車体前後方向の軸線から25乃至35度の位置になるように形成されているので、弾性ブッシュの車体前後方向の変形量が比較的大きくなるようにして乗り心地を確保すると共に、車幅方向の変形量が過度に大きくならないようにして走行中の操安性をも確保することが出来る。
また、本発明は、好ましくは、すぐり部は、その長手方向の一端部が、平面視で弾性ブッシュの車体前後方向の軸線から0乃至5度の位置になるように形成されている。
このように構成された本発明においては、すぐり部は、その長手方向の一端部が、平面視で弾性ブッシュの車体前後方向の軸線から0乃至5度の位置になるように形成されているので、より確実に乗り心地及び操安性の両立を図ることが出来る。
また、本発明は、好ましくは、すぐり部は、タイロッドが延びる方向とほぼ平行な方向に延びる。
このように構成された本発明においては、すぐり部は、タイロッドが延びる方向とほぼ平行な方向に延びるので、より効果的に、車輪の制動時のトーアウトを抑制することが出来る。
本発明によるフロントサスペンション装置によれば、ステアリングギアユニットが前置き式となっていても、乗り心地を犠牲にすることなく、アッカーマンジオメトリを成立させると共に制動時の車両安定性を確保することが出来る。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1により、フロントサスペンション装置1を説明する。図1は、本発明の実施形態による自動車のフロントサスペンション装置を示す斜視図である。
本発明の実施形態によるフロントサスペンション装置1は、車体(図示せず)に固定されたサスペンションクロスメンバ2に取り付けられている。このサスペンションクロスメンバ2は、車幅方向に延びると共にその両側から車体後方に向かって延びるコ字状の前側部材2a、この前側部材2aの車幅方向両側にそれぞれ固定された上方に延びる上方部材2b、及び、前側部材2aの後方で車幅方向に延び、その両端部が前側部材2aに固定された後側部材2cで構成されている。
フロントサスペンション装置1は、ダブルウィッシュボーン型であり、上方部材2bに取り付けられたアッパアーム4、前側部材2aに取り付けられたロアアーム6、これらのアッパアーム4及びロアアーム6に取り付けられたホイールサポート8、及び、緩衝装置10を有している。ホイールサポート8は、前輪16(図3参照)やブレーキディスク18等を回転自在に支持するものである。緩衝装置10は、ダンパ12及びコイルスプリング14を備え、それらの上端部が車体(図示せず)に固定され、ダンパ12の下端部がロアアーム6に回転自在に取り付けられている。
また、フロントサスペンション装置1は、サスペンションクロスメンバ2の前方側で車幅方向に延びるように前方部材2aに固定されたステアリングギアユニット16、及び、このステアリングギアユニット16から車幅方向外方に延びてホイールサポート8に取り付けられたタイロッド18を有している。ステアリングギアユニット16は、ラックピニオン式或いはボールスクリュー式の操舵装置であり、タイロッド18を介して、前輪16を操舵するようになっている。
次に、図2及び図3により、フロントサスペンション装置1の構成を具体的に説明する。図2は、本発明の実施形態による自動車のフロントサスペンション装置の右前輪側を車体上方から見た平面図であり、図3は、本発明の実施形態による自動車のフロントサスペンション装置の右前輪側を車体前方から見た正面図である。なお、図2では、緩衝装置10は、その図示を省略している。ここで、自動車のフロントサスペンション装置は、右前輪側及び左前輪側とも基本構造は同じであるので、ここでは、右前輪側を示す図2及び図3を中心に説明する。
先ず、図2に示すように、アッパアーム4は、前方アーム部4a及び後方アーム部4bを有するA型アームであり、2箇所の取付部20、22で、サスペンションクロスメンバ2の上方部材2bに取り付けられている。これらの取付部20、22では、各アーム部4a、4bの車幅方向内方端部4c、4dが、円筒状の弾性ブッシュ24を介して車体側に取り付けられている。これらの弾性ブッシュ24は、車体前後方向に中心軸線を有するように設けられている。
ロアアーム6は、ほぼ車幅方向に延びる前方アーム部6a、及び、車幅方向外方に斜め前方に延びる後方アーム部6bを有するA型アームであり、2箇所の取付部26、28で、サスペンションクロスメンバ2の前方部材2aに取り付けられている。これらの取付部26、28では、各アーム部6a、6bの車幅方向内方端部6c、6dが、円筒状の弾性ブッシュ24を介して車体側に取り付けられている。
車体前方側の取付部26の弾性ブッシュ24は、車体前後方向に中心軸線を有するように設けられ、車体後方側の取付部28の弾性ブッシュ24は、車体上下方向に中心軸線を有するように設けられている。また、ロアアーム6に設けたこれらの各ブッシュ24は、乗り心地を確保するためにコンプライアンスが大きなものとなっている。一方、操安性の確保のために、車体前方側の取付部26の弾性ブッシュ24は、車体後方側の取付部28の弾性ブッシュ24より、コンプライアンスが比較的小さなものとなっている。
アッパアーム4及びロアアーム6のそれぞれの車幅方向外方端部4e、6eは、ホイールサポート8に取り付けられている。具体的には、図3に示すように、ホイールサポート8は、上方に延びるアッパアーム連結用の延長部8a、及び、下方に延びるロアアーム連結用の延長部8bを備え、各アーム4、6は、それぞれ、これらの延長部8a、8bの上端部及び下端部にボールジョイント30(図2参照)を介して取り付けられている。なお、図3では、前方アーム部6aの図示を省略している。
また、図2に示すように、ホイールサポート8は、車体前方に延びるタイロッド連結用の延長部(ナックルアーム)8cを備え、この延長部8cの先端部8dに、タイロッド18の車幅方向外方端部が取り付けられている。タイロッド18の車幅方向内方端部はステアリングギアユニット16に取り付けられている。
図2に示すように、このタイロッド18は、平面視で、車幅方向外方に斜め前方に延び、車幅方向に対し傾斜角αが付けられている。この傾斜角αにより、このフロントサスペンション装置1のアッカーマンジオメトリを成立させて、操舵時に、旋回内輪の切れ角が外輪側の切れ角より大きくなるようにしている。
また、図3に示すように、タイロッド18は、正面視で、車幅方向外方に斜め上方に延び、水平線に対し傾斜角βが付けられている。この傾斜角βにより、このフロントサスペンション装置1がバンプトーイン特性を有するようにして、バンプしている旋回外輪がトーアウトに向くことを抑制している。
本発明の実施形態によるフロントサスペンション装置1では、ステアリングギアユニット16が、サスペンションクロスメンバ2の前方に取り付けられている。従って、タイロッド18は、各アーム4、6の前方に配置されると共に、その車幅方向外方端部がホイールサポート8の車体前方端部(延長部8cの先端部8d)に取り付けられることになる。
一方、上述したように、タイロッド18には、アッカーマンジオメトリやバンプトーイン特性を満足するために、傾斜角が付けられている。詳細には後述するように、タイロッド18がホイールサポート8の車体前方端部に取り付けられていること、及び、タイロッド18に傾斜角が付けられていることに起因して、制動時には、前輪16は制動時にトーアウト方向に向く傾向がある。そこで、本発明の実施形態では、ロアアーム6の弾性ブッシュ24にすぐり部(低弾性部)を設け、そのすぐり部の配置により前輪16の制動時のトーアウトを抑制するようにしている。
次に、図4により、ロアアーム6の車体後方側の取付部28の弾性ブッシュ24の形状について説明する。図4は、本発明の実施形態による自動車のフロントサスペンション装置のロアアームを示す平面図である。
ロアアーム6の車幅方向内方端部6dは、車体上下方向に中心軸線A(図3参照)を有するように円筒状に形成され、その内方に車体上下方向に中心軸線A(図3参照)を有するように弾性ブッシュ24が圧入されている。この弾性ブッシュ24の内周部の表面には、金属製の内筒部32が接着されており、この内筒部32が、車体側、即ち、サスペンションクロスメンバ2に固定されている。
この弾性ブッシュ24には、その外周部に沿って延びるすぐり部(低弾性部)34(34a、34b)が2箇所に形成されている。これらのすぐり部34は、弾性ブッシュ24の中心軸線Aと平行に延びる貫通孔である。これらのすぐり部34を設けた部分は、他の部分よりたわみやすくなっているので、弾性ブッシュ24は、ロアアームの端部6dから力を受けると、これらのすぐり部34と中心軸線Aとを結ぶ線上の方向に変形し易くなる。
これらのすぐり部34のうち、第1のすぐり部34aは、平面視で、弾性ブッシュ24の車体前後方向軸線B(或いは中心軸線Aを通り車体前後方向に延びる中立面)より車幅方向内方側、且つ、弾性ブッシュ24の車幅方向軸線C(或いは中心軸線Aを通る車幅方向に延びる中立面)より車体前方側の領域24aに形成されている。
第2のすぐり部34bは、平面視で、弾性ブッシュ24の車体前後方向軸線B(或いは中心軸線Aを通り車体前後方向に延びる中立面)より車幅方向外方側、且つ、平面視で、弾性ブッシュ24の車幅方向軸線C(或いは中心軸線Aを通り車幅方向に延びる中立面)より車体後方側の領域24bに形成されている。この第2のすぐり部34bは、第1のすぐり部34に対して、弾性ブッシュ24の中心軸線Aに関して対称な位置に対向して形成されている。
これらのすぐり部34a、34bは、その弾性ブッシュ24の外周部に沿った長手方向の中間部が、平面視で、車体前後方向軸線Bから25乃至35度(図中角度γ)の位置になるようになるように形成されている。言い換えると、平面視で、弾性ブッシュ24の中心軸線Aとすぐり部34a、34bの長手方向の中間部とを結んだ線が、車体前後方向軸線Bに対して25乃至35度(角度γ)で傾くように、すぐり部34a、34bが形成されている。本実施形態では、角度γが30度となっている。
さらに、すぐり部34a、34bは、その長手方向の一端部が、車体前後方向軸線Bから0乃至5度の位置になるように形成されており、本実施形態では0度となっている。
また、これらのすぐり部34a、34bは、その長手方向が、タイロッド18が延びる方向とほぼ平行な方向に延びるように形成されている。即ち、角度γと傾斜角αがほぼ同一となっている。
次に、図4、図5及び図6により、上述した実施形態の作用を説明する。図5は、制動時に車輪、サスペンションアーム及びホイールサポートに加わる力及び変位を説明するためのサスペンション装置の一部を車幅方向側方から見た概念図であり、図6は、制動時のホイールサポートのトーアウト変位を説明するためのサスペンション装置の右前輪側部分を車体上方から見た概念図(a)及び本発明の実施形態によるロアアームの車体後方側の弾性ブッシュの作用によるサスペンションアーム、ホイールサポート及びタイロッドの制動時における変位を説明するためのサスペンション装置の右前輪側部分を車体上方から見た概念図(b)である。
本発明の実施形態では、第1のすぐり部34aを、平面視で、弾性ブッシュ24の車体前後方向に延びる車体前後方向軸線Bより車幅方向内方側、且つ、平面視で、弾性ブッシュ24の車幅方向に延びる車幅方向軸線Cより車体前方側の領域24aに形成しているので、前輪16の制動時のトーアウトを抑制することが出来る。
この作用について、図4、図5及び図6により具体的に説明する。
先ず、図5に示すように、制動時には、車輪16に制動力Fが加わり、この制動力Fはホイールサポート8に伝達され、ホイールサポート8には、回転モーメント力Mが加わる。この回転モーメント力Mは、アッパアーム4及びロアアーム6に伝達され、この伝達された力は、アーム4、6の車体側への各取付部の弾性ブッシュ24を変形させる。その結果、アッパアーム4は、車体前方に向けて変位し(図中D1)、ロアアーム6は、車体後方に向けて変位し(図中D2)、ホイールサポート8は、図中D3のような方向に回転変位する。弾性ブッシュ24のコンプライアンスが大きい場合には、特に、このような変位D1、D2、D3が生じやすくなる。ホイールサポート8にこのような回転変位D3が生じると、タイロッド連結用の延長部(ナックルアーム)8cの先端部8dは、下方側且つ車体後方側に変位する。
図6(a)及び(b)に示すように、タイロッド18は、このような延長部8cの先端部8dの変位によって、図中仮想線で示すように変位する。即ち、先端部8dは、下方側且つ車体後方側に変位するので、タイロッド18の傾斜角(α)は減少し、一方、タイロッド18自体の長さは変化しないので、先端部8dは、下方側且つ車体後方側に変位すると共に、車幅方向外方にも変位することになる。つまり、タイロッド18がホイールサポート8の車体前方端部に取り付けられていること、及び、タイロッド18に傾斜角が付けられていることに起因して、制動時には、前輪16がトーアウト方向に向けて移動しまうことになる。
ここで、図6(a)に示すように、ロアアーム6が、制動力F(図5参照)により、仮想線で示すように車体前後方向の車体後方に向かって真っ直ぐ変位する場合、ロアアーム6のホイールサポート8への取付部6eは、車体前後方向の車体後方に向かって真っ直ぐ変位し、車幅方向には変位しない。従って、ホイールサポート8は、図中仮想線で示すように変位し、その結果、車輪16はトーアウト方向に移動してしまう。
一方、図4に示すように、本発明の実施形態によるサスペンション装置1によれば、第1のすぐり部34aを、平面視で、弾性ブッシュ24の車体前後方向に延びる車体前後方向軸線Bより車幅方向内方側、且つ、平面視で、弾性ブッシュ24の車幅方向に延びる車幅方向軸線Cより車体前方側の領域24aに形成している。この弾性ブッシュ24は、車体側の内筒部32と、ロアアーム6の端部6dとの間で力を受けて変形するが、特に、すぐり部34aを設けた方向に変形し易くなっている。従って、ロアアーム6の車体後方側の端部6dは、図4中D4に示すような方向に変位し易くなっている。
従って、図6(b)に示すように、端部6dは、車体後方側に変位すると共に車幅方向外方にも変位する。そして、ロアアーム6の車体前方側の端部6cも、このような端部6dの変位により、車幅方向外方に引っ張られるように変位する。従って、ロアアーム6のホイールサポート8への取付部6eは、車体前後方向の車体後方に変位すると共に車幅方向外方にも変位する。その結果、ホイールサポート8は、その先端部8dが車幅方向外方に変位しても、ロアアーム6のホイールサポート8への取付部6eも車幅方向外方に変位するので、図中仮想線で示すように、ホイールサポート8は全体的に車幅方向外方に移動する。このようにして、本発明の実施形態では、前輪16の制動時のトーアウトを抑制することが出来るのである。
さらに、車体前方側の取付部26の弾性ブッシュ24は、車体後方側の取付部28の弾性ブッシュ24に対し、比較的小さなコンプライアンスとなっているので、ロアアーム6が変位する際、図中仮想線で示すように、車体前方側の取付部26をほぼ中心にするような回転も生じる。この回転により、ロアアーム6のホイールサポート8への取付部6eは、車体前方に変位するので、制動力Fによるロアアーム6の車体方向への変位(図5参照)による取付部6eの車体後方への変位が抑制され、従って、ホイールサポート8の回転変位D3(図5参照)も抑制することが出来る。その結果、前輪16の制動時のトーアウトを抑制することも出来るのである。
次に、本発明の実施形態では、第2のすぐり部34bが、平面視で、弾性ブッシュ24の車体前後方向に延びる車体前後方向軸線Bより車幅方向外方側、且つ、平面視で、弾性ブッシュ24の車幅方向に延びる車幅方向軸線Cより車体後方側の領域24bに、第1のすぐり部34aと対向するように形成されているので、車体後方側の取付部28の弾性ブッシュ24が、各すぐり部34a、34bを結ぶ方向に沿って大きく変形し易くなり、より確実に、前輪16の制動時のトーアウトを抑制することが出来る。
また、各すぐり部34a、34bは、弾性ブッシュ24の外周部に沿って延び、その長手方向の中間部が、平面視で、車体前後方向軸線Bから25乃至35度(図中角度γ)の位置になるようになるように形成されているので、前輪16の制動時のトーアウトを抑制しつつ、弾性ブッシュ24の車体前後方向の変形量が比較的大きくなるようにして乗り心地を確保すると共に、車幅方向の変形量が過度に大きくならないようにして操安性をも確保することが出来る。
さらに、すぐり部34a、34bは、その長手方向の一端部が、車体前後方向軸線Bと一致、即ち、車体前後方向軸線Bから0乃至5度の位置になるように形成されているので、前輪16の制動時のトーアウトを抑制しつつ、より確実に乗り心地及び操安性の両立を図ることが出来る。
また、すぐり部34a、34bは、その長手方向が、タイロッド18が延びる方向、即ち、平面視で車幅方向に対して傾斜角αの方向とほぼ平行な方向に延びるように形成されているので、より効果的に、前輪16の制動時のトーアウトを抑制することが出来る。
本発明の実施形態による自動車のフロントサスペンション装置を示す斜視図である。 本発明の実施形態による自動車のフロントサスペンション装置の右前輪側を車体上方から見た平面図である。 本発明の実施形態による自動車のフロントサスペンション装置の右前輪側を車体前方から見た正面図である。 本発明の実施形態による自動車のフロントサスペンション装置のロアアームを示す平面図である。 制動時に車輪、サスペンションアーム及びホイールサポートに加わる力及び変位を説明するためのサスペンション装置の一部を車幅方向側方から見た概念図である。 制動時のホイールサポートのトーアウト変位を説明するためのサスペンション装置の右前輪側部分を車体上方から見た概念図(a)及び本発明の実施形態によるロアアームの車体後方側の弾性ブッシュの作用によるサスペンションアーム、ホイールサポート及びタイロッドの制動時における変位を説明するためのサスペンション装置の右前輪側部分を車体上方から見た概念図(b)である。
符号の説明
1 フロントサスペンション装置
2 サスペンションクロスメンバ
4 アッパアーム
6 ロアアーム
8 ホイールサポート
10 緩衝装置
16 前輪
20 アッパアームの車体への車体前方側の取付部
22 アッパアームの車体への車体後方側の取付部
24 弾性ブッシュ
26 ロアアームの車体への車体前方側の取付部
28 ロアアームの車体への車体後方側の取付部
34 すぐり部

Claims (3)

  1. 前置き式ステアリングギアユニットを備えた自動車のフロントサスペンション装置であって、
    車体に弾性ブッシュを介して取り付けられたアッパアームと、
    上記車体に2箇所において弾性ブッシュを介して取り付けられたロアアームであって、その車体前方側の取付部からほぼ車幅方向に延びる前方アーム部及び車体後方側の取付部から車幅方向外方に斜め前方に延びる後方アーム部を有するA型のロアアームと、
    上記アッパアーム及び上記ロアアームに取り付けられ車輪を回転自在に支持するホイールサポートと、
    上記車体の上記アッパアーム及び上記ロアアームより車体前方の位置に固定されたステアリングギアユニットと、
    このステアリングギアユニットから車幅方向外方に斜め前方に延び上記ステアリングギアユニットと上記ホイールサポートの車体前方端部とを連結するタイロッドと、を有し、 上記ロアアームの後方アーム部の取付部の弾性ブッシュは、その中心軸線が車体上下方向に延びるように設けられ、この弾性ブッシュは、平面視でその車幅方向に延びる軸線より車体前方側且つ車体前後方向に延びる軸線より車体内方側の領域に形成された第1の低弾性部を有し、
    この第1の低弾性部は、上記弾性ブッシュの外周部に沿って延びるすぐり部であり、このすぐり部は、その長手方向の中間部が、平面視で上記弾性ブッシュの上記車体前後方向の軸線から25乃至35度の位置になるように形成されていることを特徴とする自動車のフロントサスペンション装置。
  2. 上記すぐり部は、その長手方向の一端部が、平面視で上記弾性ブッシュの車体前後方向の軸線から0乃至5度の位置になるように形成されている請求項記載の自動車のフロントサスペンション装置。
  3. 上記すぐり部は、上記タイロッドが延びる方向とほぼ平行な方向に延びる請求項又は請求項記載の自動車のフロントサスペンション装置。
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