JP5119439B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は感熱孔版印刷装置に関する。
孔版印刷装置における製版装置では、感熱性孔版原紙にサーマルヘッドによって画像信号に応じた穿孔パターンを形成してマスタを作製している。本発明では、便宜上、製版前の原紙も含めて一律にマスタと呼ぶ。サーマルヘッドに与えるエネルギ(印加電圧・印加時間)の大きさによって、孔の大きさ(孔の面積)や穿孔確率は変化するが、マスタの種類によってもそれらは異なることがある。
マスタの種類を識別するマスタ識別手段の識別情報に応じて、マスタの搬送速度、プラテンローラの回転速度、製版速度、フロントテンション、バックテンションのいずれかを調整し、上記識別情報に基づいてサーマルヘッドへの印加エネルギを調整する提案がある(例えば、特許文献1 参照。)。
マスタの種類を設定するマスタ設定手段の設定情報に基づいてサーマルヘッドへの印加エネルギを調整する提案がある(例えば、特許文献2 参照。)。
原紙ロールに製版用感熱原紙の製版特性を表すマークを設け、印刷機側でこのマークから読み取った製版特性に応じて、サーマルヘッドへの印加電圧の大きさおよび印加時間の一方または両方を適正値に設定する提案がある(例えば、特許文献3 参照。)。
マスタ表面状態を光学的に自動検知し、マスタの表面品質の良否に応じて高電圧短時間穿孔と低電圧長時間穿孔を使い分けて、原紙の表面品質の程度によらずほぼ同程度の穿孔品質を確保する提案がある(例えば、特許文献4 参照。)。
光沢度計により測定されたマスタの光沢度に基づいて、既定の電力に対応する電力印加時間を調整することによってサーマルヘッドエネルギを調整する提案がある(例えば、特許文献5 参照。)。以上のように、特許文献1ないし5には、検出もしくは設定されたマスタの情報に応じて、好適となるサーマルヘッドへの印加エネルギを設定する構成が記載されている。
このような構成が採用される理由は、サーマルヘッドへの印加エネルギの変更が、孔版印刷機設定上の課題および特性を熟知し、専門的な知識を持った者でなければ設定は出来ず、ユーザ自身が原稿、使用するインキ色、印刷用紙および用途等に応じてサーマルヘッドへのエネルギを変更することは難しい構成となっているという事情がある。
これに対して、複数の種類のマスタを使用できるようにした孔版印刷機の場合は更に問題が複雑になる。この問題の詳細な説明は後述する。
製版されたマスタを、製版中に印刷ドラム(版胴)に巻き付ける方法がある。そのほかに、いったん貯留手段に貯留してから製版終了後に貯留手段から送り出して版胴に巻き付ける方法がある(例えば、特許文献6 参照。)。貯留手段を設ける理由は、剛性の低い(低剛性)マスタの場合、製版しながら版胴へ巻装する際に皺が発生することを抑制するためである。しかし、使用するマスタが高剛性の場合は必ずしも貯留手段を必要としない。特許文献6では、原稿サイズ、用紙サイズ、製版画像濃度および使用環境温度等のうちの少なくとも1つの、マスタ貯留手段周りでのマスタ同士の貼り付きおよび/またはマスタの剛性の低下に影響を及ぼすパラメータからの情報に基づいて、送風手段の送風タイミングを変える制御手段を有するとしている。すなわち、剛性の高いマスタも、低いマスタも同様に貯留手段に貯留するための工夫がなされていて、マスタの情報によって、貯留するかしないかを選択するものではない。したがって、従来構成では、貯留しないことを選択することが出来なかったので、貯留を必要としない場合、使わなくても済むはずの送風ファンおよび引き込みファンの動作による消費電力の増加を避けることが出来ないという問題があった。
特開2002−144688号公報 特開2002−144689号公報 特開2005−280364号公報 特開2002−79646号公報 特開2003−48297号公報 特開2006−116914号公報
本発明においては上記問題点に鑑み、マスタ種類を問わず、全てのユーザが問題のない条件設定内で任意に印加エネルギ調整できる機構を提供するとともに、マスタ種類に応じた適正な搬送手段を提供することで、操作性および環境に配慮できる孔版印刷装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明では、主走査方向に配列された多数の発熱部を具備するサーマルヘッドに対して、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタをプラテンローラで押圧させた状態で、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により移動させながら画像信号に応じた印加エネルギ上記サーマルヘッドに供給し、上記印加エネルギによって上記発熱部を発熱させて上記熱可塑性樹脂フィルムを選択的に溶融穿孔して上記画像信号に応じた穿孔パターンを形成し、このマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し上記印刷ドラムの内側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を印刷用紙上に印刷する孔版印刷装置において、上記印加エネルギの可変範囲がそれぞれ異なる複数種類のマスタが使用可能であり、マスタの種類を識別できるマスタ識別手段を備え、該マスタ識別手段により識別されたマスタ種類に応じて上記可変範囲を設定し、上記可変範囲で任意に上記印加エネルギを調整する手段と、上記可変範囲を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
請求項に記載の発明では、請求項記載の孔版印刷装置において、さらに上記マスタ識別手段は、マスタに搭載された識別タグの読み取り手段、マスタの識別コードの入力手段、ユーザによるマスタ種別の選択手段のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする。
請求項に記載の発明では、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、さらに上記印加エネルギの調整を行うため上記サーマルヘッドへ電力を供給する通電パルス幅を変更するパルス幅可変手段を有し、上記可変範囲が上記通電パルス幅の可変範囲であることを特徴とする。
請求項に記載の発明では、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、さらに上記印加エネルギの調整を行うため上記サーマルヘッドへ供給する印加電圧を変更する電圧可変手段を有し、上記可変範囲が上記印加電圧の可変範囲であることを特徴とする。
本発明によれば、使用可能なマスタそれぞれに対応した印加エネルギ可変範囲が設定されているので、いかなる使用条件下においても、印加エネルギの過多および不足による不具合発生が無い状況で使用することが出来、また、感熱孔版印刷装置の操作に不慣れなユーザも容易に任意に印加エネルギ調整することが可能となる。
はじめに、複数の種類のマスタを使用可能にした孔版印刷機における問題点を説明する。
マスタ種別でエネルギ制御する(最適なエネルギ条件に設定する)ことは公知で、従来はマスタ1種に対して1ないし2のエネルギ設定が主流であった。(標準モードとそれ以外のモード)
マスタ種別でサーマルヘッドへの印加エネルギを自由に変更できる構成はほとんど存在せず、たとえあったとしても特定のマスタに対してのものであったり、上述したように、マスタの種別に応じた好適なエネルギ条件(標準エネルギ条件)に設定する制御しかなかった。
この為、複数のマスタを搭載できる機構とした場合に、以下の問題点が生じてしまっていた。
図13は3種類のマスタに対する印加エネルギと穿孔確率の関係を示す図である。
図14は図13と同様の印加エネルギと穿孔面積の関係を示す図である。
両図においてA、B、Cはマスタの種類、X、Y、Z等は印加エネルギの変更可能範囲限界位置をそれぞれ示す。
それぞれの図は、特性の異なるマスタA、マスタB、マスタCを用い、同一条件下(環境、サーマルヘッドおよび製版装置)で印加エネルギを変化させた時の穿孔確率(ある一定範囲内の印字データ数に対する穿孔ドット数の比率)の推移と、穿孔面積(1ドットあたりの熱可塑性樹脂フィルムの溶融面積)の推移を示したものである。
孔版印刷機ではサーマルヘッドに具備された発熱体の発熱により感熱孔版原紙の熱可塑性樹脂フィルム(以下フィルムという)を溶融し、それにより出来たフィルムの穿孔部より印刷ドラムから供給されるインキを通過させ印刷用紙にそのインキを転移させる構成であるから、フィルム未穿孔=画像白抜け=所謂画像不良となる。よって、印刷画像として許容できる穿孔確率はその機械に搭載されたサーマルヘッドの解像度にもよるが、せいぜい90%程度(図13中破線)と考えられる。
また当然ながら上述したように、孔版印刷機は穿孔部よりインキを通過させる構成であることから、穿孔の大きさ、すなわち穿孔面積が印刷画像へ大きく影響を与える要素となる。
適正な穿孔の大きさはサーマルヘッドの解像度、および発熱抵抗体サイズと、使用される環境および使用インキ、および印刷システム、そしてマスタの特性により決定される。
よって、同一サーマルヘッドおよびインキで、印刷システムが同じでも、使用するマスタの特性(穿孔特性)が異なればその特性に応じてサーマルヘッドへの印加エネルギを変更する必要がある。
それは、孔版印刷機の特性上、穿孔が大きくなりすぎると耐刷性が劣化したり、インキ転移の過多による裏移りの発生および増加、溶融したフィルムのサーマルヘッド表面への固着、正規の搬送距離を送れないスティックの増加に繋がることや、逆に、穿孔が小さくなりすぎることでインキが穿孔部を通過しなくなりインキ転移量の不足によるベタ埋まりの劣化といった問題が生じてしまうからである。
その為サーマルヘッドへの印加エネルギの設定は、穿孔確率と穿孔面積の各々の特性と印刷システムとのマッチングを把握した上で適正な値となるように設定されている。
上記理由から、従来、マスタ種別による印加エネルギの切り替えは、それぞれのマスタに対応したエネルギを図13に示した各々のマスタの標準設定値を設定する構成であったため、それぞれの条件下での穿孔状態はどれも穿孔確率90%を確保できており、問題はなかった。
また、印加エネルギを調整できる機構を持っていても、使用するマスタによってエネルギ変更可能範囲(可変範囲)を設定する機構を取っているものではなかった為、ある一点の条件で問題のない可変範囲を設定するに過ぎなかった。
このため、これまでの構成であると、以下に記載する問題点が生じてしまうことがあった。
近年マスタ製造技術の進歩によりマスタCのような高い穿孔確率を確保できる特性を持つマスタも普及してきている。
マスタ間で穿孔確率90%を確保できる範囲を比較すると、マスタAは「X−Y」間、マスタBはX以上、マスタCは「X−Z」と違いが出ている。
エネルギ範囲を変更できる構成を取っていて、設定してあるエネルギ可変範囲(標準設定値に対してのエネルギ変更可能幅)がマスタAに合わせている孔版印刷機において、エネルギ可変範囲をマスタAと同等として変更せずにマスタBを使用しようとした場合、標準設定値がB用にシフトされているので、可変範囲は「X’−Y’」の範囲となる。その為、印加エネルギがX’となる時には、穿孔確率は十分満足できるものの、穿孔面積が大きくなりすぎて、前述した裏移り増加や耐刷性劣化等の問題を引きを起こしてしまったり、逆にY’で使用される場合には穿孔確率は一定の目標値となる90%を大きく下回ってしまい、穿孔面積も小さい為、インキ転移量が少なく白ぬけの多い印刷画像となってしまう。
よって、Bのようなマスタを問題ない範囲で使用する場合には、エネルギ可変範囲を「X’−Y’」からずっと狭くした「X”−Y”」の範囲に変更する必要がある。
また、前述したマスタCは穿孔確率を劣化させずに穿孔面積を大きく変えられる点が特徴として上げられる。つまり画像濃度を高めたい場合、しっかり埋まったベタ画像を得たい場合には高めのエネルギを、インキ消費量を抑えたい場合や、淡い濃度の画像にしたい場合や、耐刷性を重視したい場合等には低目のエネルギを印加するといった、ユーザ自身の好みによってエネルギを切り換えられるマスタと言える。
ところが上記のように設定してあるエネルギ可変範囲をマスタAに合わせている場合に可変範囲を変更しないままマスタCを使用すると、マスタBの場合とは逆にほとんど穿孔確率と穿孔面積が変わらない範囲での調整となり、意味のないものとなってしまう。その為、エネルギ可変範囲は「X−Y」から[X−Z]の範囲へと広げる方が望ましい。
従来の孔版印刷機においては省インキモードなどと称されるモードがあり、印加エネルギを変更することで解像度を落とさず、インキ消費量を抑制する製版モードが搭載されている機種が多い。今回は印加エネルギ変更での省インキモードについて記述する。穿孔するドット数を減らすことでインキ消費量を抑制する制御もあるが、こちらに関しては解像度を落とすことになるので、画質の劣化、特に文字原稿等においては文字かすれ等の懸念があり、今回は説明しない。
省インキモードは基本的に画像に大きく影響を及ぼさない範囲で設定されている。穿孔径を小さくする制御である為に幾らかベタ埋まりや濃度が低下するが、大きな劣化は見られない。特に、文字画像が主である原稿などにおいてはほとんど影響は無い。このことから、インキ消費量と、製版時の消費電力の抑制、および耐刷性の向上等を目的に使用されてきた。
省インキモード時の印加エネルギの設定条件は、通常時のインキ消費量の何%減という具合に設定される場合が多い。
前述したようにマスタの特性により穿孔確率および穿孔面積等の穿孔品質が異なる為、上記省インキモードの設定条件(印加エネルギのダウン量)に関してもマスタ間で変更する必要がある。
例えばマスタA、B、Cのような特性を持った3種類のマスタの搭載が可能な孔版印刷装置において、各マスタで各々に適応した印加条件に合わせたとしても、例えば、目標とするインキ消費量抑制量を通常時の−10%としている場合、マスタAにおいては印加エネルギを10%ダウンすることで目標とするインキ消費抑制量が得られていても、極端な例ではあるがマスタCで印加エネルギのダウン率をマスタAと同じ10%としたとき、インキ消費抑制量は通常時に対して−5%、マスタBで同様に、印加エネルギのダウン率をマスタAと同じ10%としたとき、インキ消費抑制量は通常時に対して−20%
といった具合に変わることもあり、特にマスタBのような場合であると印加エネルギを下げすぎてしまうことになり、画質への影響が大きいことから許容できない印刷画像となってしまうことが予想される。
またマスタCに関しては画質は良好なものの、想定していたインキ消費抑制量とならないことから、もう少し印加エネルギのダウン量を増やさなければならない。つまりインキ消費量の目標低減率を同じとした場合、マスタAでは印加エネルギダウン率が10%で許容限界であったのに対し、マスタCでは画質に問題が無ければ
マスタCでの印加エネルギダウン率の許容限界を20%とすることが必要となる。
また消費電力で考えると、マスタCでの省インキモードはマスタA時よりも低消費電力効果の高い省インキモード化を図ることが可能となる。
本発明によれば、複数種類のマスタを使用することができることを特徴としているので、耐刷性を上げて多枚数印刷したい場合には耐刷性に富んだマスタを、画質を優先させたい場合には穿孔性が良いマスタを選択するといった、ユーザ用途に応じたマスタにて製版印刷作業を行なうことが出来るようになる。
印加エネルギの調整を通電パルス幅(印加電圧を印加する時間)の変更によって行なう場合には、パルス幅可変手段を用意しておき、マスタAでは標準エネルギ(従来技術でマスタ毎に設定されていた条件)に対して事前確認済みの「+A%〜−B%」の範囲で設定可能とし、マスタBを使用する場合にはマスタBでの標準エネルギに対して「+A’%〜−B’%」の範囲で設定可能といった具合に設定する。この構成は比較的容易に制御することが可能である。
通電パルス幅の変更によれば、印加エネルギの調整を比較的容易に行なうことが出来るようになる。
印加電圧の制御も通電パルス幅の制御と考え方は同じで、サーマルヘッドへ供給する電圧を変更する電圧可変手段を用意しておき、それぞれの標準エネルギに対して「+C%〜−D%」と設定する。この方式は通電パルス幅を変更しないので印加エネルギ変更時に常に同じ発熱時間を得ることが出来るので安定した穿孔状態が得易くなる。通電パルス幅の変更に比べて構成が面倒な面もある。
上記印加エネルギの変更は比率で可変する場合のステップ幅はいくらでもよい(例えば1%刻みであっても3%刻みでも良い)し、また数値に関しては直接入力もしくは矢印ボタンや±ボタンの操作によって行なっても良いし、操作パネル上などで任意の数値を選ぶ方式や大中小などのレベル選択等、印加エネルギを変更できれば方式はどんな形でも良い。
印加エネルギの調整がサーマルヘッドへ供給する電圧の可変によって行なわれる構成を取っているので、印加エネルギ変更時に常に同じ発熱時間を得ることが出来るので安定した穿孔状態が得易くなる。
また、比率ではなく実際の数値(通電パルス幅であればms、印加電圧であればV)を入力もしくは選択する形等でも良い。
従来、原材料費の低減と、サーマルヘッドの発熱量を低減し低消費電力化を図るために、感熱性フィルムおよび支持体の薄膜化が進み、マスタとしては低剛度化している物が増加する傾向にあった。
マスタが低剛度化することにより、その取扱いが難しくなり、製版時や製版済みマスタの印刷ドラムへの巻装時に皺や寄りが発生することが懸念されている。
その対応策の一つとして、製版と印刷ドラムへのマスタの巻装を同時に行なわず、製版済みのマスタを一時製版装置内へ貯留し、製版終了後に一気に印刷ドラムへ巻装する方式が多く取られている。
この構成にすることにより、待機原稿がある場合、現原稿の印刷中に待機原稿の製版を行なうことが可能となり、総作業時間を短縮できる、というメリットも得ることが出来ている。
図15は孔版印刷装置におけるファン動作と消費電力の関係を説明するための図である。
同図において、太い実線はファン動作時の消費電力曲線、細い実線はファン非動作時の消費電力曲線をそれぞれ示している。
同図はある孔版印刷装置でファンを動作させた場合と非動作にした場合での製版開始から製版終了までの消費電力の推移を表したものである。
複数のマスタを搭載できる機構を持つ孔版印刷装置において、特許文献6のようにファンの風量を調整する構成とすることで複数のマスタを問題なく製版し、印刷ドラムへ巻装させることも知られている。
しかしながらこれら構成においては、貯留する為に吹き付けファンおよび吸引ファンの動作が必要となり、その結果、同図に示すように、貯留機構を持たない孔版印刷装置に対して、消費電力が増加してしまっていた。
また近年、低剛度化とは逆に、感熱性フィルムの感度向上および支持体の構成改良によって、高剛度化のマスタが開発されるようになってきている。
その為、前述したように、孔版印刷機においても各々のマスタに対応した適正印加エネルギを設定し、それらに適正に対応したファンの風量とすることで両用を図っていた。
しかし、ある程度以上の剛性を持ちマスタの貯留が必要でなくとも、搬送経路を切り換える方式ではなかったために、その剛性に合わせて貯留する為のファンの風量も通常のマスタに比べて、増やさなければならなくなり、さらに消費電力を増加しなくてはならなかった。
そこで本発明においてはマスタ種別を識別し、その特性に応じて貯留しなくとも問題のないマスタであれば、製版装置内にマスタを貯留せず、製版と平行して印刷ドラムへのマスタの巻装を行なう構成とすることにしたので、高剛度のマスタであれば通常時に対してファンの吹き付けおよび吸引作業が発生しない構成としている。その為、ファン動作での電力消費を抑制することが可能となる。(動作については別途記載。)
また、本発明においては、使用するマスタが高剛度と識別された場合のみにおいて搬送経路を製版と同時に巻装する方式か、貯留する方式かを選択できる構成としている。
これは複数原稿を製版したい場合に、消費電力は上がっても、印刷中に次原稿の製版を同時に行なう(すなわち、次原稿は無条件で貯留させる)ことで全体の作業時間を減らすことを望むユーザ要望に応えるための構成である。
図1は本発明の孔版印刷装置の動作の流れを示す図である。
同図において符号Sは流れのステップを示す。
図2は本発明の構成の概要を示すブロック図である。
ステップS1で電源がONされると、本構成においては複数種類のマスタを使用できるようになっているので、本体はマスタ識別手段により使用されるマスタがまず何であるか識別する(ステップS2)。この際、推奨マスタ以外もしくは本体に登録外のマスタが搭載されていた場合には、ユーザにその旨を報知する構成であっても良い。
その識別方法は後述する識別タグによるものや、ユーザの識別コードの入力や、PCもしくは操作パネル上での選択によって行なわれる。詳細は後述。
上記識別手段とは別に、マスタの特性を検出する形でも識別することは可能である。超音波センサを利用した厚み検出により剛性の代用特性を得ておく形や、公知例にあるように表面の光沢や表面粗さを光学的に検出し、その検出情報を基に識別する方式等、識別方式はどんなものでも構わない。
図3は本発明の孔版印刷装置用操作パネルの一例を説明するための図である。
図4ないし図6はマスタ種別に関する表示例を示す図である。
マスタの種類の代表的なタイプを「Type A」、「Type B」、「Type C」のような選択手段としての入力ボタンを用意しておき、ユーザに選択して貰うことができる。また、使用するマスタの剛性が予め分かっている場合は、高剛性か、低剛性かを選択できるようにしておく。いずれのボタンを押した場合も、押された結果が確認できるように、隣接するLEDが点灯するようにしておく。
装置にセットしたマスタを自動識別することができるようになっている場合は、識別が成功すれば、マイクロコンピュータでは識別されたマスタを操作パネル上に対応するマスタ用のLEDがあればそれを点灯させ、無ければ操作パネルの表示手段であるLCD画面に図4のような形で表示する。これによりユーザはどのマスタが搭載されているのか確認することが出来る。マスタ情報は不揮発性メモリ等に記憶させておくことで、使用者別に課金する場合などに利用することもできる。
したがって、この場合は、LEDさえ有れば、上記のような選択ボタンは必要ないはずであるが、何かの事情により自動識別ができなかった場合には、図5のように表示手段にマスタ種別の入力を促すメッセージを表示することになり、上記のような入力手段が必要になる。また、用意されたボタンでは表せない種類のマスタを使用する場合は、図6のように、LCDの表示部に識別コード入力を促すメッセージを表示して、テンキー部分から入力できるようにしておくと良い。
このような、コード入力およびユーザ選択のみでのマスタ識別に関しては、マスタに識別装置を付けずに済む経済的効果が得られる。
図7は印加エネルギの可変範囲を表示する例を示す図である。
そのマスタに対応した標準エネルギ条件を設定するとともに、予め実験によって得られている上記マスタに対応した印加エネルギ可変範囲を設定し、操作パネル上のインジケータ等やLCD画面に同図のように表示するなどの表示手段で、ユーザに報知する形を取る。
識別手段により設定(選択)された条件での投入エネルギ可変範囲を表示できる構成を取っているので、孔版印刷機に不慣れな一般のユーザが不具合を気にせず使用できるようになる上、あとどの程度変更可能か容易に判断することが出来るようになる。
次にマスタ識別手段で得られた使用マスタの剛性情報から低剛度マスタであれば、マスタを撓みボックス内に貯留しながら製版し、高剛度マスタの時はADFもしくはPCから送信された待機原稿があるか否かを判別し、無い場合にはマスタを貯留せず製版と印刷ドラムへの巻装を平行して行い、待機原稿があった場合には、印刷中に製版を行なうか否かの選択情報を確認し、行わない場合には印刷終了後に次原稿を製版、印刷中の製版を行なう場合には低剛度マスタでの製版時と同様にマスタを撓みボックス内に貯留しながら製版する。なおこの場合、低剛度マスタでの製版時と比較して吸引ファンと吹き付けファンのいずれか、もしくは両方の風量を増加させることが望ましい。
識別手段により高剛性と判断され、複数原稿の製版(予約があった場合)を行なう際に、印刷中にマスタ貯留機構に製版済みマスタを貯留するかどうか選択する構成を取っているので複数原稿を製版したい場合に、消費電力は上がっても、印刷中に次原稿の製版を同時に行なうことで全体の作業時間を減らすことを望むユーザ要望に応えることが出来るようになる。
次に、マスタの種類の識別法について説明する。
例えば、非接触式の識別方法として、RFID(Radio Frequency Identification)の技術を使用する事が考えられる。RFIDとは無線通信を利用し非接触による書き込みと読み込みを行なう自動認識技術を利用したものである。また、RFIDの一般的な説明をすると、基本的にメモリ機能のあるICチップとアンテナを搭載したICタグ(RFタグ、電子タグなどとも呼ばれている。)と、ICタグ内のデータの読み取り、書き込みを行なうリーダ/ライタ、その情報管理を行なうシステムによって構成されている。 このタグを目標物(ここで言う目標物とは、感熱孔版原紙やインク等になる)に貼り付けることで、自動識別などの記録や、呼び出しなどの用途に使用される。詳細は後述する。
図8はロール状感熱孔版原紙にICタグを付加する例を説明するための図である。
一例として、感熱孔版原紙(種別)と感熱孔版原紙以外(感熱紙)の識別に流用する際には、感熱孔版原紙のロールにメモリ機能のあるICチップとアンテナを搭載したICタグを具備させて、このアンテナを介してICチップからの情報を非接触で読み取る読み取り手段を設ける方法等がある。なお、この際のICチップは、感熱孔版原紙が巻装されている筒状の芯管(紙管)に具備させる事が一般的な方法である。
次に接触式の識別方法の一例としては、電源を供給しなくても一定期間の間データを記憶出来る不揮発性メモリを使用し、このメモリが取り付けられている基板内での接点若しくは、基板外部であってもメモリとのインターフェイスが可能な接点を設けておき、本体処理部とを電気的に接続するコネクタを設置して、その電気的信号を読み取り手段によって認識させる方法がある。なお、不揮発性メモリでは、EEPROMと呼ばれるデータの消去と書き込みが可能なROM等を使用する事が出来る。また、一度書き込みを行い、その後書き込みを行わない場合には、EPROM等の不揮発性メモリ等を使用しても構わない。
図9はRFIDの原理を説明するための概略構成図である。
同図において符号RFは所定の周波数をもった電磁波である。
ここで、RFIDの詳細を説明する。
基本構成としては、上述に一般的な説明をしているので全体的な事は省略するが、ICタグの内部は、ICチップとそれに接続したコイル状のアンテナから構成されており、ICチップは記憶部、電源整流部、送信部、受信部の4つに区分され、それぞれが働きを分担して通信を行う。通信原理としては、ICタグとリーダ/ライタのアンテナが電波によって通信し、データのやり取りを行う。その通信手順とは、ICタグ内のアンテナがリーダ/ライタからの電磁波(実線のRF)を受信し、共振作用により起電力が発生(電磁誘導等)する。そしてICタグ内のICチップが起動し、チップ内の情報を信号化する。その信号をICタグ側のアンテナから発信させ(点線のRF)、リーダ/ライタのアンテナで送られてきた信号を受信する。その後、コントローラーを介してデータ処理部へ転送させ、ソフト側で認識等のデータ処理を行うという手順である。
RFID技術を用いた他の識別方法について説明する。
感熱孔版原紙の紙管には、前述したRFID技術を用いた識別同様、図8に示すように、前述とは異なる機能を持ったICタグが取り付けられている。このICタグは、特定周波数の電磁波に反応して電磁波を反射するように構成されており、特定周波数に対し共振周波数を持った共振回路を有している。これを感熱孔版原紙用共振タグと呼んでいる。
感熱孔版原紙用共振タグの内部にはコイルとコンデンサーとを有する共振回路が設けられており、コイルの巻き数あるいはコンデンサーの静電容量を変化させることにより、感熱孔版原紙の種類別にそれぞれ異なる共振周波数を設定可能に構成されている。したがって、検知装置側から、複数の周波数の電磁波を、同時または時系列に発振することで、反射してきた電磁波の周波数が分かり、読み取り手段でタグが担っている情報が識別できる。
これらの識別方法を用いれば、マスタ識別に関しては自動で認識でき、手間が掛からない効果がある。
ここで、孔版印刷装置の各ブロックについて簡単に説明する。
マイクロコンピュータは、穿孔手段駆動回路、マスタ搬送モータ駆動回路、原稿搬送ローラ用モータ駆動回路、印圧可変モータ駆動回路、製版時間設定キーおよびデータ記憶手段のメモリの間で指令信号およびデータ信号を送受信し、孔版印刷装置全体のシステムを制御しており、CPU、I/Oインターフェース、ROM、RAM等を備え、信号バスによって接続されている。 マイクロコンピュータのROMには、設定された製版条件に対応した各種条件を設定するための関係データテーブルと、エネルギ調整のためのプログラムと、選択された各種条件に応じた最適な大きさの穿孔を形成するための穿孔用エネルギに対応した通電パルス幅の関係データテーブルと、最適な圧接力を選択するための関係データテーブルが、予め実験等により求められて記憶されている。
サーマルヘッド駆動回路は、復号化回路から出力されるイメージデータ信号や、マイクロコンピュータから出力される通電パルス幅の指令を受けてサーマルヘッド駆動信号を出力する駆動回路から主に構成されている。サーマルヘッドは、イメージデータ信号を順次シフトするシフトレジスタと、このシフトレジスタの各段の出力をラッチするラッチ回路と、黒画素に対応する発熱体のみ駆動するためのAND回路と、発熱体を駆動するトランジスタと、逆流防止用のダイオード等を有している。
マスタ搬送モータ駆動回路は、マスタ搬送モータに接続されていて、マスタ搬送モータを駆動する。原稿搬送ローラ用モータ駆動回路は、マスタ搬送モータ駆動回路と同様な構成を有し、相励磁回路の出力を原稿搬送ローラ用モータに供給するようになっている。
熱履歴制御手段の各熱履歴制御値は、予め決められた値にそれぞれ変更して熱履歴制御が実施される。環境温度補正制御手段としては、図示しないサーミスタ等の環境温度検知手段により検出された環境(雰囲気)の温度に応じて印加エネルギの調整を行なう機能を有するものであり、ROMには、環境の温度と通電パルス幅との関係データが記憶されている。
操作パネルには、原稿画像の読み取りから製版、給版、給紙、版付け印刷に至る各動作の起動を設定・入力する製版スタートキーと、製版された1版のマスタについて印刷すべき印刷用紙の枚数を設定する印刷枚数設定手段としての機能等を有するテンキーと、このテンキーで設定・入力された印刷枚数の印刷動作の起動を行う印刷スタートキーと、印刷速度の設定値としての印刷速度例えば1〜5速の5段階の印刷速度の中から一つの印刷速度を選択的に設定するための印刷速度設定キーと、テンキーにより設定された印刷枚数を表示する印刷枚数表示手段としてのカウンター等とが配設されている。(本発明構成については別に説明済みなので割愛する。)
図10は本発明の製版印刷装置を用いた孔版印刷装置の構成例を示す図である。
同図において符号1は孔版印刷装置、2は版胴、3は支軸を兼ねるインキ供給管、4はマスタクランパ、5はインキ供給装置、6はインキローラ、7はドクタローラ、8はインキ溜まり、9は圧胴、10は圧胴軸、11は凹部、12は紙くわえクランパ、14は印圧装置、15は製版装置、16はマスタ、17はマスタ支持部材、18はマスタエンドセンサ、19はマスタセットローラ、20はマスタセットガイド板、22はサーマルヘッド、23はプラテンローラ、24はモータ、25はプラテン圧解除機構、26はテンションローラ対、27は、28はカッタユニットをそれぞれ示す。その他の符号は以下の説明中で随時説明する。
1Fは、孔版印刷装置1の骨組みをなす本体フレームを示す。孔版印刷装置1は、本体フレーム1Fの上方に配設され原稿(図示せず)を載置するコンタクトガラス74および原稿載置台72上に載置された1枚もしくは複数枚の原稿73を後述するスキャナ部76の定位置へ順次自動移送するADF(自動原稿送り装置)部71等を備えた原稿読取装置70と、この原稿読取装置70の下方の本体フレーム1Fの一側部に配置されマスタ16がロール状に巻かれたマスタロール16Aから繰り出されるマスタ16を穿孔製版する製版装置15と、本体フレーム1Fの略中央部に配置され穿孔製版された製版済みのマスタ16を外周面に巻装する版胴2、およびこの版胴2の下方に配置され給送されて来た印刷用紙Sの先端部を挾持・保持する保持手段としての紙くわえクランパ12を備え、版胴2上の製版済みのマスタ16に印刷用紙Sを押し付ける圧胴9を有する印圧装置14と、製版装置15の下方に配置され給紙トレイ61上に積載された印刷用紙Sを印圧装置14へ送出する給紙装置60と、この給紙装置60に対向する本体フレーム1Fの下方に配置され印圧装置14で印刷された印刷済みの印刷用紙Sを排紙トレイ81に排出する排紙装置80と、この排紙装置80と原稿読取装置70との間に配置され版胴2の外周面上から使用済みのマスタ16を剥ぎ取り排版ボックス69内へ排出する排版装置66と、製版装置15と給紙装置60との間に配置され主として製版装置15の動作を制御する制御装置120とを具備している。
以下、原稿読取装置70、製版装置15、印圧装置14、給紙装置60、排版装置66、排紙装置80および制御装置120について説明するが、製版装置15および制御装置120を除き公知の構成であるため簡単に説明する。製版装置15は、後述するように版胴2へマスタ16を給版するための給版装置の一部の構成を有するものであり、製版給版装置とも呼ばれる。同図に示すように、原稿読取装置70におけるADF部71は、原稿載置台72および原稿排紙台75を備え、コンタクトガラス74に対して開閉可能に配設されている。ADF部71の原稿自動送り装置は、公知文献等に記載されているものと同様の周知のものである。スキャナ部76は、原稿73の表面から結像レンズを介して結像された反射光に対応して光電変換を行う画像センサ77およびスキャナモータ(図示せず)等を備えた周知の原稿走査用光学系を有する。画像センサ77は、得られた画像信号を本体フレーム1F内の図示しないアナログ/デジタル(以下「A/D」と略記する)変換部から図示しない製版制御部に入力されるようになっている。スキャナ部76は、公知文献等に記載されている構成と同様の周知のものであり、例えば、ADF部71を使用せずに、コンタクトガラス74上に原稿73を載置して上記スキャナモータを駆動することにより画像読み取り動作を行うことができる。
図11は本発明の製版装置を説明するための図である。
図12はマスタに着目した部分斜視図である。
マスタ16がロール状に巻かれたマスタロール16Aからマスタ16を繰り出し可能に貯容するマスタ貯容手段としてのマスタ支持部材17と、マスタロール16Aから繰り出されるマスタ16の先端部を載置するためのマスタセットガイド板20およびマスタ16の先端部を介してマスタセットガイド板20に接触しマスタ16を搬送するマスタ搬送手段としてのマスタセットローラ19と、マスタ搬送路XRにおけるマスタ支持部材17の下流側に配設され、マスタロール16Aから繰り出されるマスタ16を画像信号に応じて感熱製版する製版手段としてのサーマルヘッド22と、このサーマルヘッド22にマスタ16を押し付けながら回転し搬送するプラテンローラ23と、サーマルヘッド22をプラテンローラ23に接離させる接離手段としてのプラテン圧解除機構25と、マスタ搬送路XRにおけるプラテンローラ23に隣る下流側に配設された上下一対のテンションローラ26,26(以下、「テンションローラ対26」と略称する)と、マスタ搬送路XRにおけるテンションローラ対26に隣る下流側に配設された除電ローラ27と、マスタ搬送路XRにおけるテンションローラ対26に隣る下流側に配設され、未製版もしくは製版済みのマスタ16を切断する切断手段としてのカッタユニット28と、マスタ搬送路XRにおけるカッタユニット28の下流側に配設された上下一対の反転ローラ40,40(以下、「反転ローラ対40」と略称する)と、テンションローラ対26とカッタユニット28との間のマスタ搬送路XRの下方に配設された撓みボックス32および、ガイド搬送板31等を備えたマスタ貯留手段30と、撓みボックス32の開口32a近傍上方に設けられ開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16に送風する送風手段および盛り上がり防止手段としての吹き付けファン35と、マスタ搬送路XRにおける反転ローラ対40の下流側に配設された給版ガイド板42とを具備している。ガイド搬送板31はマスタ貯留手段30の入り口に当たる撓みボックス32の開口32aを開閉する開閉手段でもある。
マスタロール16Aの中心部には、マスタ16の幅と同じ長さに形成されマスタロール16Aの両端面と同一面をなすパイプ状の芯管16Bが設けられていて、マスタロール16Aは芯管16Bの周りにマスタ16を巻き付けられて形成されている。マスタロール16Aには例えば250〜300版に相当するシート状のマスタ16が巻装されていて、マスタロール16Aは複数版のマスタ16を供給してその製版を可能とすべく設けられている。マスタ16は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)系等からなる1〜2μm程度の薄いフィルムに対してベースとして和紙繊維を接着剤で貼り付けてラミネート構造としたものが用いられ、そのフィルム部分がサーマルヘッド22の発熱素子によって加熱穿孔されるものである。マスタ支持部材17は、芯管16Bの両端部を着脱自在かつ回転可能に支持するように設けられている。マスタ支持部材17には、図示しない例えばブレーキゴム等の制動手段が当接するように設けられている。これによりマスタ16には、マスタ支持部材17に装着セットされたマスタロール16Aから振動等によって自然に繰り出されることがない程の制動力を付与されている。
マスタセットローラ19は、後述するマスタ搬送駆動手段としてのプロッタモータ24に図示しない回転伝達手段等を介して連結されている。該回転伝達手段は複数のギヤからなる。
なお、マスタ支持部材17、マスタセットローラ19、マスタセットガイド板20の構成は、公知文献等に示されているものと同様の構成であってもよい。
サーマルヘッド22は、プラテンローラ23の軸方向に相当する主走査方向に沿って配列された複数の発熱素子を有し、原稿読取装置70の上記A/D変換部、上記製版制御部等で処理されて送出されるデジタルの画像信号に基づき、その発熱素子に対する選択的な通電制御によって発熱素子を選択的に発熱させることにより発熱位置に対応するマスタ16のフィルム箇所を加熱溶融させて穿孔する周知の機能を有する。サーマルヘッド22は、プラテン圧解除機構25によりプラテンローラ23に対して接離可能に設けられている。
プラテン圧解除機構25は、図示しない圧解除モータ、および接離検知センサ等を有する接離手段を具備しているが、図10および図11ではバネやカム等を始めそれらの構成要素の図示を省略している。圧解除モータが圧解除回転位置を占める方向に所定量回転駆動されることにより、プラテンローラ23に対するサーマルヘッド22のプラテン圧が解除(オフ)されることとなる。このとき接離検知センサがオフされ離間信号を生成する。図示しない電源スイッチをオンすることにより、圧解除モータおよび接離検知センサのホームポジション位置出しが行われ、これらのホームポジションではプラテン圧が解除された状態に作動するようになされている。一方、圧解除モータが押圧回転位置を占める方向に所定量回転駆動されることにより、プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22が接触して所定のプラテン圧がオンされることとなる。このとき接離検知センサがオンされ上記離間信号を消滅するようになっている。
プラテンローラ23は、ローラ軸の外周部に一体的に形成されていて、上記ローラ軸を介して本体フレーム1F側に固設された図示しない製版側板対に回転自在に支持されている。プラテンローラ23は、上記ローラ軸に配設されたプーリ、プロッタモータ24側に設けられた駆動プーリおよびこれらのプーリと駆動プーリとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)等を介して連結されたプロッタモータ24で回転され、マスタ16をサーマルヘッド22に押圧しつつマスタ搬送方向Xの下流側のマスタ貯留手段30へ搬送するマスタ搬送手段としての機能を有する。プロッタモータ24は、ステッピングモータである。
テンションローラ対26は、サーマルヘッド22とプラテンローラ23とのニップ部からテンションローラ対26に至る製版済みのマスタ16に所定のフロントテンション(張力)を付与する機能・構成を有する。テンションローラ対26は、その上側のローラが駆動ローラ、下側のローラが従動ローラでそれぞれ構成されていて、上側の駆動ローラはプーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介してプロッタモータ24に連結されている。それ故に、テンションローラ対26も、上記マスタ搬送手段としての機能を有する。テンションローラ対26のうちの下部の従動ローラは、例えばプラテン圧解除機構25に組み込まれていて、プラテン圧解除機構25の動作と同様に、上部の駆動ローラに対して接離自在になされている。
除電ローラ27は、例えば導電性のアクリル+硫化銅でできていて、カッタユニット28のフレーム212の上面212aに当接するように配置されている。除電ローラ27は、マスタ16に帯電した静電気を導電性の金属でできたフレーム212から逃がすようになっている。除電ローラ27は、プーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介してプロッタモータ24に連結されている。それ故に、除電ローラ27も、上記マスタ搬送手段としての機能を有する。
カッタユニット28のフレーム212の上面212aは、製版済みのマスタ16を搬送案内するガイド板を兼ねている。カッタユニット28は、その非作動時において、マスタ16の搬送に支障を与えないようにマスタ搬送路XRの片側端に待機していて、ここがカッタユニット28のホームポジションとなっている。
なお、カッタユニット28は、可動上刃と固定下刃とを有していて、可動上刃が固定下刃に対してマスタ16の幅方向に回転しつつ移動する構成、あるいは、可動上刃のみを有していてこれがマスタ16に対して回転しつつ移動する構成のもの等であってもよい。
反転ローラ対40は、その上側のローラが駆動ローラ、下側のローラが従動ローラでそれぞれ構成されている。反転ローラ対40は、マスタ貯留手段30に貯留された製版済みのマスタ16を版胴2のクランパ4に給版する給版手段としての機能を有する。上側の駆動ローラとしての反転ローラ40は、プーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介して、プロッタモータ24とは別のパルス入力で駆動する給版駆動手段としての反転ローラ用ステッピングモータ41(以下、単に「ステッピングモータ41」という)に連結されている。反転ローラ対40によるマスタ搬送速度は、プラテンローラ23によるマスタ搬送速度よりもわずかに速くなるように予め設定されている。
本発明では、製版装置内に製版済みマスタの貯留手段を設けたので、使用するマスタの剛性に囚われないで使用することが可能で、また複数原稿時においては印刷中に製版動作を行なうことで総作業時間を短縮することが出来るようになる。
マスタ貯留手段30は、図10ないし図12に示すように、3段折り返しの撓みボックス32、ガイド搬送板31、図示しない搬送板ソレノイド、吸引ファン34a,34b、残マスタ検知センサ36a〜36dから主に構成されている。撓みボックス32は、製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成しながら貯留する機能を有する。撓みボックス32には、製版済みのマスタ16を複数段(この実施形態1では3段)に折り返すための2つの折り返し板32b,32cが一体的に形成されていて、これらにより複数の折り返し貯留部としての3つの撓みダクト33a,33b,33cが形成される。撓みボックス32の奥側の撓みダクト33cには、スリットや網目状の吸引口及び排気口(共に図示せず)を備え電動モータを内蔵した吸引ファン34a,34bが配置されている。これらの吸引ファン34a,34bの回転により図において左側から右側へと流れる空気流が生じ、製版済みのマスタ16に徐々に撓みが形成されるようになっている。この例では撓みボックス32を3段折り返しとしたが、2段以下でも4段以上でも構わない。
ガイド搬送板31は、図10に示すようにマスタ搬送路XRの直下方に位置するガイド搬送位置と、図11に示すようにガイド搬送位置から移動して下側の反転ローラ40の略下方に位置する撓み形成位置との間で開閉自在となっている。ガイド搬送板31が撓み形成位置を占めたとき、撓みボックス31の上方が開放されて、製版済みのマスタ16を導入するための入口としての開口32aが形成される。ガイド搬送板31の駆動機構は、図示しないソレノイドにより駆動される。ガイド搬送板31は、製版動作終了後のマスタ切断後に、上記ソレノイドが通電励磁(オン)されることにより、ガイド搬送板31が撓み形成位置から上昇してガイド搬送位置を占めることとなり、これによって、マスタ16の先端を開口32aから撓みボックス32内へと落ち込ませることなく、マスタ16の先端が図10に示す給版待機位置(反転ローラ対40のニップ部から少しはみ出た位置)まで搬送されるようにガイドするようになっている。また、マスタ16の先端が反転ローラ対40のニップ部で挾持され上記給版待機位置に達した後、ガイド搬送板31は、上記ソレノイドへの通電がオフされることにより、ガイド搬送板31の自重によりガイド搬送板31は下降して撓み形成位置を再び占めるようになっている。
残マスタ検知センサ36a〜36dは、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に製版済みのマスタ16の残留が有るか否かを検知するマスタ検知手段としての機能を有し、反射型の光学センサからなる。残マスタ検知センサ36a〜36dは、製版済みのマスタ16の残留物が残りやすい部位である、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内における製版済みのマスタ16の折り返し部位に対向して配設されている
吹き付けファン35は、撓みボックス32の開口32a近傍のマスタ送り側に形成される製版済みのマスタ16の盛り上がりの発生を未然に防止すべく配設されている。吹き付けファン35は、各吸引ファン34a,34bと同様の送風・吸引能力を有する共通のファンである。吹き付けファン35は、各吸引ファン34a,34bの吸引側および送風側を逆にして撓みボックス32の開口32aの略真上に配置したものである。
給版ガイド板42は、マスタ16の先端の向きを変えて図において左下がり斜め下方にマスタ16を案内する機能を有する。図10および図11において、符号18は、マスタエンドセンサである。マスタエンドセンサ18は、マスタロール16Aに巻装されたマスタ16が交換を必要とする程残り少なくなったことを検知するものであり、例えば反射型の光学センサからなる。符号21は、マスタセットセンサである。マスタセットセンサ21は、マスタセットローラ19とマスタセットガイド板20との間にマスタ16がセットされていることを検知するものであり、反射型の光学センサからなる。符号29は、マスタ16の先端を検知するマスタ検知手段としてのマスタ先端検知センサである。マスタ先端検知センサ29は、カッタユニット28と反転ローラ対40との間のマスタ搬送路XRにマスタ16が存在するか否かを検知するものであり、反射型の光学センサからなる。
印圧装置14は、図10に示すように、版胴2、圧胴9および版胴2の内部に配設され版胴2上の製版済みのマスタ16にインキを供給するインキ供給装置5等を有する。版胴2は、多孔構造の支持円筒体とその外周面に巻装された複数層のメッシュスクリーン(図示せず)とを有し、支軸3の周りに回転可能に支持されている。版胴2は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが可能なように図示しないギヤ列およびベルト伝動装置等を介して連結された図示しないメインモータを含む駆動系を介して回転される。上記メインモータは、制御用モータであるDCモータからなり、後述するように給紙駆動系に駆動力を伝達しないようになされているので今までのメインモータよりも小型化されている。上記メインモータの出力軸には、図示しないエンコーダが取り付けられている。該エンコーダ近傍の本体フレーム1F側には、図示しないエンコーダセンサが配設されていて、上記メインモータの回転駆動による上記エンコーダの回転動作に協働して発生された所定のパルスを上記エンコーダセンサで検出することにより、版胴2の回転速度が検出されるようになっている。これにより、上記メインモータを介して版胴2の回転速度の制御がなされるようになっている。
版胴2には、マスタ16の先端部を係止するクランパ4が版胴2の外周部の一母線に沿って配設されている。クランパ4は、所定角度回動自在な軸4aをもって版胴2の外周部に枢着され、揺動・開閉自在となっている。クランパ4は、ゴム磁石を有していて、版胴2が後述する排版位置または給版位置を占めたときに、開閉装置により、版胴2の外周部に設けられた強磁性体からなるステージ部に対して開閉される。クランパ4の閉時において、軸4aに巻着されたねじりコイルバネ等の付勢手段によりその閉じ力を補助する構成のものもある。
版胴2の一方の端板に対向した本体フレーム1F側の所定位置には、版胴2がそのクランパ4を版胴2の右側方に位置させる給版位置を占めたときに、その給版位置を検知するための図示しない給版位置検知センサと、版胴2がそのクランパ4を図10に示すように版胴2の真下に位置させるホームポジションを占めたときに、そのホームポジションを検知するための図示しないホームポジション検知センサとが配置されている。上記給版位置検知センサおよび上記ホームポジション検知センサは、透過型の光学センサからなる。排版位置は、版胴2がそのクランパ4を排版剥離ローラ67および排版ローラ68における版胴2の回転方向の下流側寄りに対向させた位置である。この排版位置を検知する検知手段は、上記ホームポジション検知センサを兼用・利用しており、上記排版位置は、版胴2がホームポジションを占めたときに上記ホームポジション検知センサからのオン信号出力時を起点として、上記メインモータに付属して設けられた上記エンコーダ等により版胴2の回転量(回転角度)を検出することにより検知されるようになっている。
版胴2の内部には、インキ供給装置5が配設されている。インキ供給装置5は、版胴2の内周面にインキを供給するインキローラ6と、インキローラ6と微小間隙を置いて平行に配置されていて、インキローラ6との間にインキ溜まり8を形成するドクタローラ7と、支軸3を兼ねると共にインキ溜まり8へインキを供給するインキ供給管3とから構成されている。インキローラ6、ドクタローラ7は、ギヤやベルト等の回転伝達手段を介して上記駆動系の上記メインモータに連結されていて、上記メインモータにより駆動される。インキ溜まり8からインキローラ6の外周面に供給されたインキは、版胴2とインキローラ6の外周面とに僅かに隙間を設けているために、版胴2の内周面に供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプにより圧送され、インキ供給管3の供給穴よりインキ溜まり8へ供給される。
圧胴9は、版胴2の周速度と同じ周速度で、かつ、版胴2と所定の同期をとって回転される押圧手段としての構成・機能を有する。版胴2の下方近傍に配設され、給紙装置60から給送されてくる印刷用紙Sの先端部を紙くわえクランパ12によりくわえながら版胴2の外周面に押圧する周知の機能を有する。圧胴9は版胴2と同径の外周部を有し、その外周部の一部には版胴2のクランパ4の部分との干渉を避けるための凹部11が形成されている。紙くわえクランパ12は、本体フレーム1F側に設けられたカム(図示せず)との当接により開閉されるようになっている。
圧胴9は、圧胴9の中心部に設けられた圧胴軸10を揺動させて版胴2の外周面に選択的に押圧するためのカム駆動機構および版胴2の外周面から離間させた状態で回転可能に保持する保持アーム、バネ等の付勢手段およびソレノイド(共に図示せず)等からなる保持手段を備えた周知の圧胴接離手段(共に図示せず)により、版胴2に対して接離自在に構成されている。上記圧胴接離手段としては、例えば偏心軸を用いたものも用いられる。また上記押圧手段としては周知のプレスローラも用いられる。
給紙装置60は、給紙トレイ61、給紙ローラ62、分離ローラ63、分離コロ63a、ガイド板対65a,65b、レジストローラ対64およびトレイ昇降モータ(図示せず)から主に構成されている。給紙トレイ61は、その上に印刷用紙Sが積載され、本体フレーム1Fに対して上下動自在に支持されていて、印刷用紙Sの増減と連動して図示しないトレイ昇降モータにより上下動される。
給紙ローラ62は、最上位の印刷用紙Sと当接して印刷用紙Pを送り出す周知の機能を有し、分離ローラ63および分離コロ63aは、給紙ローラ62により送り出された印刷用紙Sを1枚ずつ分離して給送する周知の機能を有する。給紙ローラ62、分離ローラ63および分離コロ63aは、印刷用紙Sを1枚ずつ分離して給送する給紙手段を構成している。
給紙ローラ62および分離ローラ63は、図示しないプーリおよび無端ベルト等を備えた回転伝達手段を介して給紙モータ(図示せず)に連結されており、給紙モータにより回転される。上記給紙モータは、ステッピングモータからなる。上記給紙手段の駆動は、従来の給紙手段の駆動方式であるセクタギヤ方式に代えて、上記メインモータの回転駆動力とは独立した上記給紙モータで回転される給紙手段独立駆動方式を採用している。上記各プーリと各ローラの軸との間には、図示しないワンウェイクラッチが介装されていて、上記給紙モータのオフ時には印刷用紙Sの繰り出し方向に回転自在なフリー状態となる。これにより、後述するレジストモータのみがオンしているときには、給紙ローラ62および分離ローラ63は印刷用紙Sの繰り出し方向に連れ回りされる。
分離ローラ63の印刷用紙搬送方向の下流側には、上下一対のレジストローラ64が配設されている。レジストローラ対64は、上記給紙手段により分離・給送されてくる1枚の印刷用紙Sの先端をそのニップ部直前の部位に突き当てて、回転している版胴2上の製版済みのマスタ16の画像書込み開始位置に同期させつつ、拡開している紙くわえクランパ12にタイミングをとって搬送する用紙搬送同期手段としての機能を有する。レジストローラ対64は、上側のローラが従動ローラ、下側のローラが駆動ローラであり、下側の駆動ローラが図示しないプーリおよび無端ベルト等を備えた回転伝達手段を介してレジストモータ(図示せず)に連結されており、上記レジストモータにより回転される。上記レジストモータは、ステッピングモータである。
ガイド板対65a,65bは、本体フレーム1F側に固定して配置された給紙側板(図示せず)に固設されており、給送される印刷用紙Sを案内する。なお、紙くわえクランパ12が無い圧胴や周知のプレスローラを用いた場合には、回転している版胴2上の製版済みのマスタ16の画像書込み開始位置(製版開始位置)に同期させて、版胴2の外周面と上記圧胴との間や、版胴2の外周面と上記プレスローラとの間に搬送させるようにすればよい。なお、給紙ローラ62および分離ローラ63の回転駆動手段は、上記給紙モータに代えて、上記メインモータの回転駆動力を利用した機械式のカム駆動手段も用いられる。同様に、レジストローラ対64の回転駆動手段は、上記レジストモータに代えて、上記メインモータの回転駆動力を利用した機械式のカム駆動手段も用いられる。
排紙装置80は、排紙トレイ81、排紙爪82、吸着排紙入口ローラ83、吸着排紙出口ローラ84、搬送ベルト85、吸引ファン86、排紙駆動モータ(図示せず)から主に構成されている。排紙爪82は、圧胴9の外周面近傍に配設され、紙くわえクランパ12の開放動作により紙くわえクランパ12から開放された印刷済みの印刷用紙Sを剥離し案内する。吸着排紙入口ローラ83と吸着排紙出口ローラ84とは、排紙装置80の排紙側板(図示せず)に回転自在に支持されており、各ローラ83,84間には、表面に複数の開孔を有する搬送ベルト85が掛け渡されている。吸着排紙出口ローラ84は上記排紙駆動モータで回転駆動され、この回転力は搬送ベルト85を介して吸着排紙入口ローラ83に伝達される。各ローラ83,84の間であって上記排紙側板の下部には、ファンモータを内蔵した吸引ファン86が配設されている。吸引ファン86は、その回転により図において下向きの空気流を発生させ、搬送ベルト85の表面に印刷済みの印刷用紙Sを吸引する。なお、紙くわえクランパ12での印刷用紙Sの先端部の排紙ミス時における版胴2上への用紙巻き上がりを確実に防止する目的で、排紙爪82に加えて、版胴2の外周面近傍に近接自在に配設され、版胴2から印刷済みの印刷用紙Sを剥離する剥離爪(図示せず)と、版胴2上の製版済みのマスタ16と印刷用紙Sとの間に送風して版胴2から印刷用紙Sを剥離する剥離ファン(図示せず)とを設けたものもある。
排版装置66は、排版ボックス69、排版剥離ローラ67、排版ローラ68、排版モータ(図示せず)、圧縮板(図示せず)および圧縮板駆動モータ(図示せず)から主に構成されている。排版剥離ローラ67は、排版ローラ68と圧接し合っており、上記排版モータにより回転される。排版剥離ローラ67は、揺動アームを備えた移動手段を介して、版胴2の外周面に圧接する剥離位置とこの剥離位置から離間した離間位置との間に変位自在となっている。上記移動手段は、排版剥離ローラ67が離間位置にあるときに、図示しない係止手段により係止され保持されるようになっている。上記圧縮板は、図示しない昇降機構を介して排版ボックス69内に上下動自在に収納されており、上記圧縮板駆動モータの回転駆動により上記圧縮板が排版ボックス69内を上下動されるようになっている。
製版スタートキー91の押下による製版開始信号が以降の動作フローのトリガとなる。ユーザによるマニュアル操作は製版スタートキー91を押すまでであり、以降の版付け後空回転までの動作は自動で行われる。ここでは、版胴2内のインキ供給装置5によりインキが供給されて適度なインキ溜まり8が形成されると共に、給紙装置40の上記昇降モータがオン駆動されて所定の給紙圧・分離圧等がセットされた状態となる。
まず、その外周面に前版の使用済みのマスタ16を巻装していて、ホームポジションを占めていた版胴2は、上記メインモータがオンすることにより図10中矢印で示す時計回り方向に回転を開始し、排版位置に対応して上記メインモータがオフすることにより排版位置で停止する。以下、上記メインモータのオン/オフ動作は省略する。排版および給版動作時においては、版胴2は圧胴9の外周面から離間した状態で回転移動する。版胴2が排版位置に停止すると、上記クランパモータがクランパ4を所定の角度に開くべくオンすることにより、クランパ4が拡開される。上記係止手段による上記移動手段の係止状態が解除されて、排版剥離ローラ67が版胴2上の使用済みのマスタ16に当接する剥離位置を占めると同時に、上記排版モータがオンする。これにより、排版剥離ローラ67は回転されつつクランパ4で係止されていた使用済みのマスタ16の先端部に対応する版胴2の外周面に押し付けられることで、使用済みのマスタ16の先端部が排版剥離ローラ67により版胴2の外周面からすくい上げられて剥離される。この直後、排版剥離ローラ67は上記移動手段により再び元の図10に示す離間位置に戻され、排版ローラ68と共に回転自在に保持される。排版剥離ローラ67が離間位置に戻された直後において、上記クランパモータがクランパ4を閉じるべくオンすると、上記ねじりコイルバネの付勢力およびゴム磁石の磁力によりクランパ4が閉じられる。以下、上記クランパモータおよび上記排版モータのオン/オフ動作は省略する。クランパ4が閉じた後、版胴2が時計回り方向に回転することで実質的な排版動作が始まる。剥離された使用済みのマスタ16は、排版剥離ローラ67および排版ローラ68のニップ部に挾持されながらの回転・搬送動作によって、版胴2の外周面より剥離されつつ搬送され、排版ボックス69の内部に廃棄されていく。
一方、製版開始信号生成直後の製版装置15では、前述の図示しない圧解除モータがオンして回転することにより、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間のマスタ16にプラテン圧が印加されると共に、このプラテン圧印加の状態が前述の接離検知センサでオフ検知される。製版待機状態では、プラテン圧が解除されている状態にあるため、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間およびテンションローラ対26の上下ローラの間はそれぞれ離間しており、マスタ搬送路XR内のマスタセットローラ19から反転ローラ対40に至るまでのマスタ16にたるみが発生する。そのままマスタ16を版胴2に着版して印刷を行うと、巻装シワが発生したり、製版開始位置が安定せずに製版開始位置がずれたりする問題点となるので、プラテン圧を印加した直後に、プロッタモータ24を駆動させずにステッピングモータ41だけを所定時間オンすることにより、マスタ16を少し搬送し、マスタ16のたるみを取り除く動作を行う。このとき、マスタセットローラ19とマスタセットガイド板20との間、プラテンローラ23とサーマルヘッド22との間、テンションローラ対26のニップ部間、除電ローラ27とフレーム212の上面212aとの間のマスタ16は、適宜各ローラを従動回転させつつ各部材間を滑りながらマスタ搬送方向Xの下流側へと搬送される。この後、給版時でのステッピングモータ41駆動までの間、同モータ41が励磁させるべく制御される。このように、ステッピングモータ41を所定のタイミングで励磁させるから、反転ローラ対40が回転フリーとなり、振動などによって製版開始位置合わせを行ったマスタ16がずれることを防止できる。
次いで、上述した版胴2の排版位置への移動および排版動作と並行して、原稿読取装置70および製版装置15で原稿73の画像読み取り動作および製版(書き込み)動作が開始する。原稿載置台72上にセットされた複数枚の原稿73の内の最下位の原稿73がコンタクトガラス74上の所定位置に自動搬送され、原稿73の画像が上記原稿走査用光学系で読み取られ、画像センサ77により光電変換されたアナログの画像信号が上記A/D変換部に入力される。画像が読み取られた原稿73は、原稿排紙台75上へ排出される。上記A/D変換部に入力されたアナログの画像信号は、デジタルの画像信号に変換され、そのデジタルの画像信号は画像信号処理部(図示せず)を経由して上記製版制御部に送信される。
一方、原稿73の画像読み取り動作と並行して、図示しない画像信号処理部からのデジタルの画像信号を受けての上記製版制御部によるサーマルヘッド22が制御されつつ、製版動作および排版動作が自動的に並行して進行する。デジタルの画像信号に応じて、サーマルヘッド22の発熱素子が選択的に発熱され、プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22で押圧されるマスタ16のフィルムの部分が選択的に加熱溶融されて穿孔されつつ、プロッタモータ24がオンされ、図11に示すようにプラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27がそれぞれ図中矢印方向に回転されることにより、穿孔製版された製版済みのマスタ16がマスタ搬送路XRの下流側へ静電気等で貼り付くことなく搬送される。一方、ステッピングモータ41はオフしたままであり、これにより反転ローラ対40は停止したままである。
以下、操作パネルにおいて事前にマスタ貯留手段を使用することが判っている場合について述べる。
これと同時的に、図11に示すように、吹き付けファン35および吸引ファン34a,34bが共にオンして回転する。これにより、吹き付けファン35が開口32aの上方近傍に位置する。すなわちフレーム212の上面212aの左端と反転ローラ対40との間の製版済みマスタ16に撓み16Cを形成する向きである上方から送風を行うと共に、吸引ファン34a,34bの回転により図において上から左右にかけて折り返す態様の空気流による吸引作用によって、製版済みのマスタ16が開口32aから垂れ下がるようにして撓み16C次第に大きくなるように形成させながら、また折り返し板32b,32cによって案内されながら撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に順次折り返される態様で搬送されていく。こうして、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内には製版済みのマスタ16が貯留されていく。
説明が前後するが、製版動作中に、版胴2は時計回りに回転して給版位置で停止する。この間、排版装置66では排版剥離ローラ67および排版ローラ68等の作動による排版動作が継続されており、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ16が剥離され排版ボックス69内へ廃棄・排版される。この間、製版装置15ではプロッタモータ24がオン駆動しており、マスタ貯留手段30で製版済みのマスタ16に撓み16Cを形成しながらの製版動作が継続している。
一方、製版(書き込み)動作中であって、版胴2が給版位置へ回転移動中において、給紙装置60では、上記給紙モータがオンして給紙ローラ62および分離ローラ63が回転することにより、また分離ローラ63と分離コロ63aとの協働作用によって、給紙トレイ61の最上位の1枚の印刷用紙Sが給送され、その印刷用紙Sの先端がレジストローラ対64のニップ部直前の部位に突き当てされる。その後、上記給紙モータがオフして給紙ローラ62および分離ローラ63の回転が停止することにより、印刷用紙Sの先端がレジストローラ対64のニップ部に当接・保持されると共に、印刷用紙Sの後端部が給紙ローラ62および分離ローラ対63に当接・保持される。
版胴2が給版位置に停止すると、直ちに給版動作の準備のため、すなわち着版のためにクランパ4が拡開されて、版胴2は給版待機状態となる。この給版待機状態の間、排版装置66での排版剥離ローラ67および排版ローラ68等の作動による排版動作は、一時中断されている。このとき、ステッピングモータ41が所定のタイミングでオン(起動)して反転ローラ対40が回転されることによって、製版済みのマスタ16の先端部は、給版ガイド板42に案内されつつ拡開されたクランパ4へと搬送される。ステッピングモータ41の所定ステップ数のオン作動により、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4へ届いたと判断されると、ステッピングモータ41がオフして、反転ローラ対40の作動が停止すると同時に、クランパ4が閉じられる。これにより、製版済みのマスタ16の先端部がクランパ4で係止される。
この着版時においては、制御装置120からの指令によって、ステッピングモータ41によるマスタ搬送速度v2をプロッタモータ24によるマスタ搬送速度v1以上となるように、ステッピングモータ41およびプロッタモータ24へそれぞれ供給するパルス周波数(pps)を変えることにより、マスタ搬送速度v2≧マスタ搬送速度v1となるようにステッピングモータ41およびプロッタモータ24が制御される。
上記したようにステッピングモータ41がオンしてから反転ローラ対40が回転している間を含む給版時中、換言すればステッピングモータ41がオンしてから製版済みのマスタ16が版胴2に巻装されるべく反転ローラ対40のニップ部を移動中の給版動作時中において、吹き付けファン35が開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16の上方から送風を行う。
次いで、給版のためのマスタ巻装動作が行われる。版胴2が時計回り方向に回転移動すると同時に、ステッピングモータ41が励磁されることにより、反転ローラ対40の上側ローラの連れ回りを止め、版胴2の外周面に巻き付ける製版済みのマスタ16に負荷を与えて巻装シワの発生が防止される。ステッピングモータ41を励磁した後では、反転ローラ対40の上側ローラはステッピングモータ41の励磁によるホールドの負荷を受けることにより、停止(ロック)状態となり、反転ローラ対40の下側ローラは版胴2の回転による製版済みのマスタ2の搬送力を受けることにより連れ回り・従動回転をする。版胴2の回転力により、撓みボックス32内に貯留されていた製版済みのマスタ16が引き出されつつ、版胴2の外周面上にシワ等を発生することなく巻装されていく。このとき、版胴2の周速度vは、製版装置15におけるプラテンローラ23によるマスタ搬送速度v’よりも十分大きくなるように(v>v’)、制御装置120により上記メインモータおよびプロッタモータ24の回転速度が制御されるようになっている。
一方、上記給版動作が行われると同時に、排版装置66では、排版動作が再度開始され、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ16が排版剥離ローラ67および排版ローラ68の作動により版胴2の外周面から剥離・搬送されて、排版ボックス69へ廃棄・排版されていく。一方、原稿読取装置70での読み取り動作および製版装置15での書き込み動作が進行し、読み取り動作が終了し、次いでプロッタモータ24のステップ数により、1版分の製版済みのマスタ16が製版されたと制御装置120で判断されると、制御装置120からの指令により、プロッタモータ24、吹き付けファン35および吸引ファン34a,34bがそれぞれオフされる。これにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27の回転がそれぞれ停止され、製版(書き込み)動作が終了する。
一方、印圧装置14では、版胴2がホームポジションを占める回転移動動作に同期して、給紙動作が開始される。上記レジストモータがオンすることにより、印刷用紙Sは、レジストローラ対64により版胴2の回転と同期した所定のタイミングをとられた後給送され、これとタイミングを合わせて紙くわえクランパ12が拡開され、印刷用紙Sをくわえた後、紙くわえクランパ12が閉じられ、圧胴9の外周面に印刷用紙Sが保持されたまま圧胴9が回転され、版胴2と圧胴9との間のニップ部に印刷用紙Sが送り込まれる。このタイミングに合わせて、圧胴9の外周面が版胴2の外周面に接離可能な状態となる。印刷動作後、圧胴9の外周面が版胴2の外周面から離間された状態となる。版胴2と圧胴9との上記ニップ部は、上記圧胴接離手段に具備されている緊縮性の印圧バネ(図示せず)の付勢力によって加圧されており、これにより印刷用紙Sは版胴2の外周面上に巻装されている製版済みのマスタ16に押圧される。この押圧の際に、インキローラ6により版胴2の内周面に供給されたインキは、製版画像が形成された製版済みのマスタ16の穿孔部分を通過して滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙Sの表面に転移されて、印刷画像が形成される。
印刷画像が形成された印刷済みの印刷用紙Sは、圧胴9が回転して排紙爪82の手前で紙くわえクランパ12が開くことにより、排紙爪82に乗り上げて剥離され、吸引ファン86により吸引されつつ、下方に位置する搬送ベルト85上に排出される。搬送ベルト85上の印刷済みの印刷用紙Sは、吸引ファン86で搬送ベルト85上に吸引されつつ吸着排紙出口ローラ84の回転によって搬送され、排紙トレイ81上に排出されていわゆる版付け印刷が終了する。この版付け印刷により排出された印刷物は正規の印刷物としてカウントされない。
印刷動作および排紙動作が上記したように行われ、版胴2が給版位置を占めた付近では、版胴2への1版分の製版済みのマスタ16の巻き付けが完了して給版動作が終了する。次いで、印刷済みの印刷用紙Sが排紙トレイ81上に排出されて試し刷り(版付け印刷)が終了する。この後、版胴2はホームポジションまで回転移動し、ホームポジションで停止する。
版付け印刷終了後、ユーザは排出された印刷物(印刷用紙S)を適宜目視して、通常の印刷動作を行ってもよいかどうかを適宜判断し、画像品質の確認や画像位置の確認等を適宜行い、これらが良好であれば、ユーザは印刷スタートキー92を押すと、通常印刷時の1枚目の印刷用紙Sを給紙して印刷すべく、上記したと同様の給紙動作、印刷動作および排紙動作が行われる。
一方、レジストローラ対64の回転動作が停止され、印刷動作が終了すると、製版装置15では、ガイド搬送板31が撓み形成位置から移動してガイド搬送位置を占める。これと同時に、プロッタモータ24がオンすることにより、プラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27が回転すると共に、ステッピングモータ41がオンして反転ローラ対40が回転することによって、カッタユニット28により切断された次版のマスタ16の先端部がガイド搬送板31および給版ガイド板42に案内されながら、マスタ搬送路XRの下流側へと搬送される。そして、プロッタモータ24およびステッピングモータ41の所定ステップ数の作動により、次版のマスタ16の先端部が図10に示す製版開始位置に対応して製版待機位置を占めたと判断された時点で、プロッタモータ24およびステッピングモータ41が共にオフすることにより、プラテンローラ23、テンションローラ対26、除電ローラ27および反転ローラ対40の回転がそれぞれ停止し、待機状態となる。また、サーマルヘッド22は、プラテンローラ23から離間する。原稿読取装置70でも、上記スキャナモータ等がホームポジションへ移動するためにオンした後オフする。
次に、高剛性マスタを使用し、マスタ貯留を行なわない場合の動作についての説明を行う。マスタを貯留する場合との相違点は、マスタ巻装前に排版動作が終了していること、撓みボックス32内にマスタが搬送されないことである。
マスタ識別手段によって、マスタの特性が高剛性であることが分かっていて、ユーザが選択手段を用いて製版されたマスタの貯留をしないと指定した場合、マスタはマスタ貯留手段を介さずに前記印刷ドラムの外周面に巻装される。高剛性マスタに関して1枚目の製版の場合は、無条件でマスタ貯留手段を使用しないことに設定してもかまわない。複数原稿の製版の場合、直前の原稿による印刷が行われている最中に、マスタ貯留手段に新たな製版済みマスタを貯留するかどうか選択する選択手段を設けておくのがよい。この選択手段は前記の選択手段と兼用にすることもできる。
以下、詳しく説明する。
製版キー押下後、マスタを貯留する場合と同様に、排版作業が行われる。
製版動作前に、排版装置66では排版剥離ローラ67および排版ローラ68等の作動による排版動作が行なわれ、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ16が剥離され排版ボックス69内へ廃棄・排版されている。
排版動作終了後、版胴2は時計回りに回転して給版位置で停止する。
上述した版胴2の排版位置への移動および排版動作と並行して、原稿読取装置70および製版装置15で原稿73の画像読み取り動作および製版(書き込み)動作が開始する。原稿載置台72上にセットされた複数枚の原稿73の内の最下位の原稿73がコンタクトガラス74上の所定位置に自動搬送され、原稿73の画像が上記原稿走査用光学系で読み取られ、画像センサ77により光電変換されたアナログの画像信号が上記A/D変換部に入力される。画像が読み取られた原稿73は、原稿排紙台75上へ排出される。上記A/D変換部に入力されたアナログの画像信号は、デジタルの画像信号に変換され、そのデジタルの画像信号は画像信号処理部(図示せず)を経由して上記製版制御部に送信される。
一方、原稿73の画像読み取り動作と並行して、図示しない画像信号処理部からのデジタルの画像信号を受けての上記製版制御部によるサーマルヘッド22が制御されつつ、製版動作が自動的に並行して進行する。デジタルの画像信号に応じて、サーマルヘッド22の発熱素子が選択的に発熱され、プラテンローラ23に対してサーマルヘッド22で押圧されるマスタ16のフィルムの部分が選択的に加熱溶融されて穿孔されつつ、プロッタモータ24がオンされ、図11に示すようにプラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27がそれぞれ図中矢印方向に回転されることにより、穿孔製版された製版済みのマスタ16がマスタ搬送路XRの下流側へ静電気等で貼り付くことなく搬送され、開閉手段として働くガイド搬送板31によって閉じられた撓みボックス32入り口の上部を通過し、ステッピングモータ41がオンして反転ローラ対40が回転されることによって、マスタ16はクランパ4に向けて送り出される。
マスタ16をクランプし、版胴2は間欠回転し、製版済みのマスタを徐々に巻きつけていく。
制御装置120からの指令により、プロッタモータ24、がオフされる。これにより、マスタセットローラ19、プラテンローラ23、テンションローラ対26および除電ローラ27の回転がそれぞれ停止され、製版(書き込み)動作が終了する。
以後はマスタ貯留時の印刷動作と同様になる。
このように、マスタ識別手段により識別されたマスタ種類に応じて、マスタの搬送方式を変更する構成を取っているので、そのマスタ仕様およびユーザ要望に合わせた搬送方式を取ることが可能になり条件によっては省電力化を図ることも可能になる。
しかも、マスタの特性に応じて貯留しなくとも問題のないマスタであれば、製版と平行して印刷ドラムへのマスタの巻装を行なう構成とすることにしたので、高剛度のマスタであれば通常時に対してファンの吹き付けおよび吸引作業が発生しない為、その分の電力消費を抑制することが可能となる。
本発明の孔版印刷装置の動作の流れを示す図である。 本発明の構成の概要を示すブロック図である。 本発明の孔版印刷装置用操作パネルの一例を説明するための図である。 マスタ種別に関する表示例を示す図である。 マスタ種別に関する表示例を示す図である。 マスタ種別に関する表示例を示す図である。 印加エネルギの可変範囲を表示する例を示す図である。 ロール状感熱孔版原紙にICタグを付加する例を説明するための図である。 RFIDの原理を説明するための概略構成図である。 本発明の製版印刷装置を用いた孔版印刷装置の構成例を示す図である。 本発明の製版装置を説明するための図である。 マスタに着目した部分斜視図である。 3種類のマスタに対する印加エネルギと穿孔確率の関係を示す図である。 図13と同様の印加エネルギと穿孔面積の関係を示す図である。 孔版印刷装置におけるファン動作と消費電力の関係を説明するための図である。
符号の説明
1 孔版印刷装置
2 版胴
15 製版装置
16 マスタ
22 サーマルヘッド
23 プラテンローラ
30 マスタ貯留手段
32 撓みボックス
33 撓みダクト
34 吸引ファン
35 吹き付けファン
120 制御装置

Claims (4)

  1. 主走査方向に配列された多数の発熱部を具備するサーマルヘッドに対して、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタをプラテンローラで押圧させた状態で、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により移動させながら画像信号に応じた印加エネルギ上記サーマルヘッドに供給し、上記印加エネルギによって上記発熱部を発熱させて上記熱可塑性樹脂フィルムを選択的に溶融穿孔して上記画像信号に応じた穿孔パターンを形成し、このマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し上記印刷ドラムの内側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を印刷用紙上に印刷する孔版印刷装置において、
    上記印加エネルギの可変範囲がそれぞれ異なる複数種類のマスタが使用可能であり、マスタの種類を識別できるマスタ識別手段を備え、該マスタ識別手段により識別されたマスタ種類に応じて上記可変範囲を設定し、上記可変範囲で任意に上記印加エネルギを調整する手段と、上記可変範囲を表示する表示手段とを有することを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 請求項1記載の孔版印刷装置において、
    上記マスタ識別手段は、マスタに搭載された識別タグの読み取り手段、マスタの識別コードの入力手段、ユーザによるマスタ種別の選択手段のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする孔版印刷装置。
  3. 請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
    上記印加エネルギの調整を行うため上記サーマルヘッドへ電力を供給する通電パルス幅を変更するパルス幅可変手段を有し、上記可変範囲が上記通電パルス幅の可変範囲であることを特徴とする孔版印刷装置。
  4. 請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
    上記印加エネルギの調整を行うため上記サーマルヘッドへ供給する印加電圧を変更する電圧可変手段を有し、上記可変範囲が上記印加電圧の可変範囲であることを特徴とする孔版印刷装置。
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