JP5119439B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
マスタの種類を識別するマスタ識別手段の識別情報に応じて、マスタの搬送速度、プラテンローラの回転速度、製版速度、フロントテンション、バックテンションのいずれかを調整し、上記識別情報に基づいてサーマルヘッドへの印加エネルギを調整する提案がある(例えば、特許文献1 参照。)。
マスタの種類を設定するマスタ設定手段の設定情報に基づいてサーマルヘッドへの印加エネルギを調整する提案がある(例えば、特許文献2 参照。)。
原紙ロールに製版用感熱原紙の製版特性を表すマークを設け、印刷機側でこのマークから読み取った製版特性に応じて、サーマルヘッドへの印加電圧の大きさおよび印加時間の一方または両方を適正値に設定する提案がある(例えば、特許文献3 参照。)。
光沢度計により測定されたマスタの光沢度に基づいて、既定の電力に対応する電力印加時間を調整することによってサーマルヘッドエネルギを調整する提案がある(例えば、特許文献5 参照。)。以上のように、特許文献1ないし5には、検出もしくは設定されたマスタの情報に応じて、好適となるサーマルヘッドへの印加エネルギを設定する構成が記載されている。
このような構成が採用される理由は、サーマルヘッドへの印加エネルギの変更が、孔版印刷機設定上の課題および特性を熟知し、専門的な知識を持った者でなければ設定は出来ず、ユーザ自身が原稿、使用するインキ色、印刷用紙および用途等に応じてサーマルヘッドへのエネルギを変更することは難しい構成となっているという事情がある。
これに対して、複数の種類のマスタを使用できるようにした孔版印刷機の場合は更に問題が複雑になる。この問題の詳細な説明は後述する。
マスタ種別でエネルギ制御する(最適なエネルギ条件に設定する)ことは公知で、従来はマスタ1種に対して1ないし2のエネルギ設定が主流であった。(標準モードとそれ以外のモード)
マスタ種別でサーマルヘッドへの印加エネルギを自由に変更できる構成はほとんど存在せず、たとえあったとしても特定のマスタに対してのものであったり、上述したように、マスタの種別に応じた好適なエネルギ条件(標準エネルギ条件)に設定する制御しかなかった。
この為、複数のマスタを搭載できる機構とした場合に、以下の問題点が生じてしまっていた。
図14は図13と同様の印加エネルギと穿孔面積の関係を示す図である。
両図においてA、B、Cはマスタの種類、X、Y、Z等は印加エネルギの変更可能範囲限界位置をそれぞれ示す。
それぞれの図は、特性の異なるマスタA、マスタB、マスタCを用い、同一条件下(環境、サーマルヘッドおよび製版装置)で印加エネルギを変化させた時の穿孔確率(ある一定範囲内の印字データ数に対する穿孔ドット数の比率)の推移と、穿孔面積(1ドットあたりの熱可塑性樹脂フィルムの溶融面積)の推移を示したものである。
また当然ながら上述したように、孔版印刷機は穿孔部よりインキを通過させる構成であることから、穿孔の大きさ、すなわち穿孔面積が印刷画像へ大きく影響を与える要素となる。
適正な穿孔の大きさはサーマルヘッドの解像度、および発熱抵抗体サイズと、使用される環境および使用インキ、および印刷システム、そしてマスタの特性により決定される。
それは、孔版印刷機の特性上、穿孔が大きくなりすぎると耐刷性が劣化したり、インキ転移の過多による裏移りの発生および増加、溶融したフィルムのサーマルヘッド表面への固着、正規の搬送距離を送れないスティックの増加に繋がることや、逆に、穿孔が小さくなりすぎることでインキが穿孔部を通過しなくなりインキ転移量の不足によるベタ埋まりの劣化といった問題が生じてしまうからである。
その為サーマルヘッドへの印加エネルギの設定は、穿孔確率と穿孔面積の各々の特性と印刷システムとのマッチングを把握した上で適正な値となるように設定されている。
また、印加エネルギを調整できる機構を持っていても、使用するマスタによってエネルギ変更可能範囲(可変範囲)を設定する機構を取っているものではなかった為、ある一点の条件で問題のない可変範囲を設定するに過ぎなかった。
このため、これまでの構成であると、以下に記載する問題点が生じてしまうことがあった。
マスタ間で穿孔確率90%を確保できる範囲を比較すると、マスタAは「X−Y」間、マスタBはX以上、マスタCは「X−Z」と違いが出ている。
エネルギ範囲を変更できる構成を取っていて、設定してあるエネルギ可変範囲(標準設定値に対してのエネルギ変更可能幅)がマスタAに合わせている孔版印刷機において、エネルギ可変範囲をマスタAと同等として変更せずにマスタBを使用しようとした場合、標準設定値がB用にシフトされているので、可変範囲は「X’−Y’」の範囲となる。その為、印加エネルギがX’となる時には、穿孔確率は十分満足できるものの、穿孔面積が大きくなりすぎて、前述した裏移り増加や耐刷性劣化等の問題を引きを起こしてしまったり、逆にY’で使用される場合には穿孔確率は一定の目標値となる90%を大きく下回ってしまい、穿孔面積も小さい為、インキ転移量が少なく白ぬけの多い印刷画像となってしまう。
また、前述したマスタCは穿孔確率を劣化させずに穿孔面積を大きく変えられる点が特徴として上げられる。つまり画像濃度を高めたい場合、しっかり埋まったベタ画像を得たい場合には高めのエネルギを、インキ消費量を抑えたい場合や、淡い濃度の画像にしたい場合や、耐刷性を重視したい場合等には低目のエネルギを印加するといった、ユーザ自身の好みによってエネルギを切り換えられるマスタと言える。
ところが上記のように設定してあるエネルギ可変範囲をマスタAに合わせている場合に可変範囲を変更しないままマスタCを使用すると、マスタBの場合とは逆にほとんど穿孔確率と穿孔面積が変わらない範囲での調整となり、意味のないものとなってしまう。その為、エネルギ可変範囲は「X−Y」から[X−Z]の範囲へと広げる方が望ましい。
省インキモードは基本的に画像に大きく影響を及ぼさない範囲で設定されている。穿孔径を小さくする制御である為に幾らかベタ埋まりや濃度が低下するが、大きな劣化は見られない。特に、文字画像が主である原稿などにおいてはほとんど影響は無い。このことから、インキ消費量と、製版時の消費電力の抑制、および耐刷性の向上等を目的に使用されてきた。
前述したようにマスタの特性により穿孔確率および穿孔面積等の穿孔品質が異なる為、上記省インキモードの設定条件(印加エネルギのダウン量)に関してもマスタ間で変更する必要がある。
例えばマスタA、B、Cのような特性を持った3種類のマスタの搭載が可能な孔版印刷装置において、各マスタで各々に適応した印加条件に合わせたとしても、例えば、目標とするインキ消費量抑制量を通常時の−10%としている場合、マスタAにおいては印加エネルギを10%ダウンすることで目標とするインキ消費抑制量が得られていても、極端な例ではあるがマスタCで印加エネルギのダウン率をマスタAと同じ10%としたとき、インキ消費抑制量は通常時に対して−5%、マスタBで同様に、印加エネルギのダウン率をマスタAと同じ10%としたとき、インキ消費抑制量は通常時に対して−20%
といった具合に変わることもあり、特にマスタBのような場合であると印加エネルギを下げすぎてしまうことになり、画質への影響が大きいことから許容できない印刷画像となってしまうことが予想される。
マスタCでの印加エネルギダウン率の許容限界を20%とすることが必要となる。
また消費電力で考えると、マスタCでの省インキモードはマスタA時よりも低消費電力効果の高い省インキモード化を図ることが可能となる。
本発明によれば、複数種類のマスタを使用することができることを特徴としているので、耐刷性を上げて多枚数印刷したい場合には耐刷性に富んだマスタを、画質を優先させたい場合には穿孔性が良いマスタを選択するといった、ユーザ用途に応じたマスタにて製版印刷作業を行なうことが出来るようになる。
通電パルス幅の変更によれば、印加エネルギの調整を比較的容易に行なうことが出来るようになる。
上記印加エネルギの変更は比率で可変する場合のステップ幅はいくらでもよい(例えば1%刻みであっても3%刻みでも良い)し、また数値に関しては直接入力もしくは矢印ボタンや±ボタンの操作によって行なっても良いし、操作パネル上などで任意の数値を選ぶ方式や大中小などのレベル選択等、印加エネルギを変更できれば方式はどんな形でも良い。
印加エネルギの調整がサーマルヘッドへ供給する電圧の可変によって行なわれる構成を取っているので、印加エネルギ変更時に常に同じ発熱時間を得ることが出来るので安定した穿孔状態が得易くなる。
また、比率ではなく実際の数値(通電パルス幅であればms、印加電圧であればV)を入力もしくは選択する形等でも良い。
マスタが低剛度化することにより、その取扱いが難しくなり、製版時や製版済みマスタの印刷ドラムへの巻装時に皺や寄りが発生することが懸念されている。
その対応策の一つとして、製版と印刷ドラムへのマスタの巻装を同時に行なわず、製版済みのマスタを一時製版装置内へ貯留し、製版終了後に一気に印刷ドラムへ巻装する方式が多く取られている。
この構成にすることにより、待機原稿がある場合、現原稿の印刷中に待機原稿の製版を行なうことが可能となり、総作業時間を短縮できる、というメリットも得ることが出来ている。
同図において、太い実線はファン動作時の消費電力曲線、細い実線はファン非動作時の消費電力曲線をそれぞれ示している。
同図はある孔版印刷装置でファンを動作させた場合と非動作にした場合での製版開始から製版終了までの消費電力の推移を表したものである。
複数のマスタを搭載できる機構を持つ孔版印刷装置において、特許文献6のようにファンの風量を調整する構成とすることで複数のマスタを問題なく製版し、印刷ドラムへ巻装させることも知られている。
しかしながらこれら構成においては、貯留する為に吹き付けファンおよび吸引ファンの動作が必要となり、その結果、同図に示すように、貯留機構を持たない孔版印刷装置に対して、消費電力が増加してしまっていた。
その為、前述したように、孔版印刷機においても各々のマスタに対応した適正印加エネルギを設定し、それらに適正に対応したファンの風量とすることで両用を図っていた。
しかし、ある程度以上の剛性を持ちマスタの貯留が必要でなくとも、搬送経路を切り換える方式ではなかったために、その剛性に合わせて貯留する為のファンの風量も通常のマスタに比べて、増やさなければならなくなり、さらに消費電力を増加しなくてはならなかった。
また、本発明においては、使用するマスタが高剛度と識別された場合のみにおいて搬送経路を製版と同時に巻装する方式か、貯留する方式かを選択できる構成としている。
これは複数原稿を製版したい場合に、消費電力は上がっても、印刷中に次原稿の製版を同時に行なう(すなわち、次原稿は無条件で貯留させる)ことで全体の作業時間を減らすことを望むユーザ要望に応えるための構成である。
同図において符号Sは流れのステップを示す。
図2は本発明の構成の概要を示すブロック図である。
ステップS1で電源がONされると、本構成においては複数種類のマスタを使用できるようになっているので、本体はマスタ識別手段により使用されるマスタがまず何であるか識別する(ステップS2)。この際、推奨マスタ以外もしくは本体に登録外のマスタが搭載されていた場合には、ユーザにその旨を報知する構成であっても良い。
その識別方法は後述する識別タグによるものや、ユーザの識別コードの入力や、PCもしくは操作パネル上での選択によって行なわれる。詳細は後述。
上記識別手段とは別に、マスタの特性を検出する形でも識別することは可能である。超音波センサを利用した厚み検出により剛性の代用特性を得ておく形や、公知例にあるように表面の光沢や表面粗さを光学的に検出し、その検出情報を基に識別する方式等、識別方式はどんなものでも構わない。
図4ないし図6はマスタ種別に関する表示例を示す図である。
マスタの種類の代表的なタイプを「Type A」、「Type B」、「Type C」のような選択手段としての入力ボタンを用意しておき、ユーザに選択して貰うことができる。また、使用するマスタの剛性が予め分かっている場合は、高剛性か、低剛性かを選択できるようにしておく。いずれのボタンを押した場合も、押された結果が確認できるように、隣接するLEDが点灯するようにしておく。
したがって、この場合は、LEDさえ有れば、上記のような選択ボタンは必要ないはずであるが、何かの事情により自動識別ができなかった場合には、図5のように表示手段にマスタ種別の入力を促すメッセージを表示することになり、上記のような入力手段が必要になる。また、用意されたボタンでは表せない種類のマスタを使用する場合は、図6のように、LCDの表示部に識別コード入力を促すメッセージを表示して、テンキー部分から入力できるようにしておくと良い。
このような、コード入力およびユーザ選択のみでのマスタ識別に関しては、マスタに識別装置を付けずに済む経済的効果が得られる。
そのマスタに対応した標準エネルギ条件を設定するとともに、予め実験によって得られている上記マスタに対応した印加エネルギ可変範囲を設定し、操作パネル上のインジケータ等やLCD画面に同図のように表示するなどの表示手段で、ユーザに報知する形を取る。
識別手段により設定(選択)された条件での投入エネルギ可変範囲を表示できる構成を取っているので、孔版印刷機に不慣れな一般のユーザが不具合を気にせず使用できるようになる上、あとどの程度変更可能か容易に判断することが出来るようになる。
識別手段により高剛性と判断され、複数原稿の製版(予約があった場合)を行なう際に、印刷中にマスタ貯留機構に製版済みマスタを貯留するかどうか選択する構成を取っているので複数原稿を製版したい場合に、消費電力は上がっても、印刷中に次原稿の製版を同時に行なうことで全体の作業時間を減らすことを望むユーザ要望に応えることが出来るようになる。
例えば、非接触式の識別方法として、RFID(Radio Frequency Identification)の技術を使用する事が考えられる。RFIDとは無線通信を利用し非接触による書き込みと読み込みを行なう自動認識技術を利用したものである。また、RFIDの一般的な説明をすると、基本的にメモリ機能のあるICチップとアンテナを搭載したICタグ(RFタグ、電子タグなどとも呼ばれている。)と、ICタグ内のデータの読み取り、書き込みを行なうリーダ/ライタ、その情報管理を行なうシステムによって構成されている。 このタグを目標物(ここで言う目標物とは、感熱孔版原紙やインク等になる)に貼り付けることで、自動識別などの記録や、呼び出しなどの用途に使用される。詳細は後述する。
一例として、感熱孔版原紙(種別)と感熱孔版原紙以外(感熱紙)の識別に流用する際には、感熱孔版原紙のロールにメモリ機能のあるICチップとアンテナを搭載したICタグを具備させて、このアンテナを介してICチップからの情報を非接触で読み取る読み取り手段を設ける方法等がある。なお、この際のICチップは、感熱孔版原紙が巻装されている筒状の芯管(紙管)に具備させる事が一般的な方法である。
次に接触式の識別方法の一例としては、電源を供給しなくても一定期間の間データを記憶出来る不揮発性メモリを使用し、このメモリが取り付けられている基板内での接点若しくは、基板外部であってもメモリとのインターフェイスが可能な接点を設けておき、本体処理部とを電気的に接続するコネクタを設置して、その電気的信号を読み取り手段によって認識させる方法がある。なお、不揮発性メモリでは、EEPROMと呼ばれるデータの消去と書き込みが可能なROM等を使用する事が出来る。また、一度書き込みを行い、その後書き込みを行わない場合には、EPROM等の不揮発性メモリ等を使用しても構わない。
同図において符号RFは所定の周波数をもった電磁波である。
ここで、RFIDの詳細を説明する。
基本構成としては、上述に一般的な説明をしているので全体的な事は省略するが、ICタグの内部は、ICチップとそれに接続したコイル状のアンテナから構成されており、ICチップは記憶部、電源整流部、送信部、受信部の4つに区分され、それぞれが働きを分担して通信を行う。通信原理としては、ICタグとリーダ/ライタのアンテナが電波によって通信し、データのやり取りを行う。その通信手順とは、ICタグ内のアンテナがリーダ/ライタからの電磁波(実線のRF)を受信し、共振作用により起電力が発生(電磁誘導等)する。そしてICタグ内のICチップが起動し、チップ内の情報を信号化する。その信号をICタグ側のアンテナから発信させ(点線のRF)、リーダ/ライタのアンテナで送られてきた信号を受信する。その後、コントローラーを介してデータ処理部へ転送させ、ソフト側で認識等のデータ処理を行うという手順である。
感熱孔版原紙の紙管には、前述したRFID技術を用いた識別同様、図8に示すように、前述とは異なる機能を持ったICタグが取り付けられている。このICタグは、特定周波数の電磁波に反応して電磁波を反射するように構成されており、特定周波数に対し共振周波数を持った共振回路を有している。これを感熱孔版原紙用共振タグと呼んでいる。
感熱孔版原紙用共振タグの内部にはコイルとコンデンサーとを有する共振回路が設けられており、コイルの巻き数あるいはコンデンサーの静電容量を変化させることにより、感熱孔版原紙の種類別にそれぞれ異なる共振周波数を設定可能に構成されている。したがって、検知装置側から、複数の周波数の電磁波を、同時または時系列に発振することで、反射してきた電磁波の周波数が分かり、読み取り手段でタグが担っている情報が識別できる。
これらの識別方法を用いれば、マスタ識別に関しては自動で認識でき、手間が掛からない効果がある。
マイクロコンピュータは、穿孔手段駆動回路、マスタ搬送モータ駆動回路、原稿搬送ローラ用モータ駆動回路、印圧可変モータ駆動回路、製版時間設定キーおよびデータ記憶手段のメモリの間で指令信号およびデータ信号を送受信し、孔版印刷装置全体のシステムを制御しており、CPU、I/Oインターフェース、ROM、RAM等を備え、信号バスによって接続されている。 マイクロコンピュータのROMには、設定された製版条件に対応した各種条件を設定するための関係データテーブルと、エネルギ調整のためのプログラムと、選択された各種条件に応じた最適な大きさの穿孔を形成するための穿孔用エネルギに対応した通電パルス幅の関係データテーブルと、最適な圧接力を選択するための関係データテーブルが、予め実験等により求められて記憶されている。
マスタ搬送モータ駆動回路は、マスタ搬送モータに接続されていて、マスタ搬送モータを駆動する。原稿搬送ローラ用モータ駆動回路は、マスタ搬送モータ駆動回路と同様な構成を有し、相励磁回路の出力を原稿搬送ローラ用モータに供給するようになっている。
同図において符号1は孔版印刷装置、2は版胴、3は支軸を兼ねるインキ供給管、4はマスタクランパ、5はインキ供給装置、6はインキローラ、7はドクタローラ、8はインキ溜まり、9は圧胴、10は圧胴軸、11は凹部、12は紙くわえクランパ、14は印圧装置、15は製版装置、16はマスタ、17はマスタ支持部材、18はマスタエンドセンサ、19はマスタセットローラ、20はマスタセットガイド板、22はサーマルヘッド、23はプラテンローラ、24はモータ、25はプラテン圧解除機構、26はテンションローラ対、27は、28はカッタユニットをそれぞれ示す。その他の符号は以下の説明中で随時説明する。
1Fは、孔版印刷装置1の骨組みをなす本体フレームを示す。孔版印刷装置1は、本体フレーム1Fの上方に配設され原稿(図示せず)を載置するコンタクトガラス74および原稿載置台72上に載置された1枚もしくは複数枚の原稿73を後述するスキャナ部76の定位置へ順次自動移送するADF(自動原稿送り装置)部71等を備えた原稿読取装置70と、この原稿読取装置70の下方の本体フレーム1Fの一側部に配置されマスタ16がロール状に巻かれたマスタロール16Aから繰り出されるマスタ16を穿孔製版する製版装置15と、本体フレーム1Fの略中央部に配置され穿孔製版された製版済みのマスタ16を外周面に巻装する版胴2、およびこの版胴2の下方に配置され給送されて来た印刷用紙Sの先端部を挾持・保持する保持手段としての紙くわえクランパ12を備え、版胴2上の製版済みのマスタ16に印刷用紙Sを押し付ける圧胴9を有する印圧装置14と、製版装置15の下方に配置され給紙トレイ61上に積載された印刷用紙Sを印圧装置14へ送出する給紙装置60と、この給紙装置60に対向する本体フレーム1Fの下方に配置され印圧装置14で印刷された印刷済みの印刷用紙Sを排紙トレイ81に排出する排紙装置80と、この排紙装置80と原稿読取装置70との間に配置され版胴2の外周面上から使用済みのマスタ16を剥ぎ取り排版ボックス69内へ排出する排版装置66と、製版装置15と給紙装置60との間に配置され主として製版装置15の動作を制御する制御装置120とを具備している。
図12はマスタに着目した部分斜視図である。
マスタ16がロール状に巻かれたマスタロール16Aからマスタ16を繰り出し可能に貯容するマスタ貯容手段としてのマスタ支持部材17と、マスタロール16Aから繰り出されるマスタ16の先端部を載置するためのマスタセットガイド板20およびマスタ16の先端部を介してマスタセットガイド板20に接触しマスタ16を搬送するマスタ搬送手段としてのマスタセットローラ19と、マスタ搬送路XRにおけるマスタ支持部材17の下流側に配設され、マスタロール16Aから繰り出されるマスタ16を画像信号に応じて感熱製版する製版手段としてのサーマルヘッド22と、このサーマルヘッド22にマスタ16を押し付けながら回転し搬送するプラテンローラ23と、サーマルヘッド22をプラテンローラ23に接離させる接離手段としてのプラテン圧解除機構25と、マスタ搬送路XRにおけるプラテンローラ23に隣る下流側に配設された上下一対のテンションローラ26,26(以下、「テンションローラ対26」と略称する)と、マスタ搬送路XRにおけるテンションローラ対26に隣る下流側に配設された除電ローラ27と、マスタ搬送路XRにおけるテンションローラ対26に隣る下流側に配設され、未製版もしくは製版済みのマスタ16を切断する切断手段としてのカッタユニット28と、マスタ搬送路XRにおけるカッタユニット28の下流側に配設された上下一対の反転ローラ40,40(以下、「反転ローラ対40」と略称する)と、テンションローラ対26とカッタユニット28との間のマスタ搬送路XRの下方に配設された撓みボックス32および、ガイド搬送板31等を備えたマスタ貯留手段30と、撓みボックス32の開口32a近傍上方に設けられ開口32aを含むその近傍の製版済みのマスタ16に送風する送風手段および盛り上がり防止手段としての吹き付けファン35と、マスタ搬送路XRにおける反転ローラ対40の下流側に配設された給版ガイド板42とを具備している。ガイド搬送板31はマスタ貯留手段30の入り口に当たる撓みボックス32の開口32aを開閉する開閉手段でもある。
なお、マスタ支持部材17、マスタセットローラ19、マスタセットガイド板20の構成は、公知文献等に示されているものと同様の構成であってもよい。
なお、カッタユニット28は、可動上刃と固定下刃とを有していて、可動上刃が固定下刃に対してマスタ16の幅方向に回転しつつ移動する構成、あるいは、可動上刃のみを有していてこれがマスタ16に対して回転しつつ移動する構成のもの等であってもよい。
本発明では、製版装置内に製版済みマスタの貯留手段を設けたので、使用するマスタの剛性に囚われないで使用することが可能で、また複数原稿時においては印刷中に製版動作を行なうことで総作業時間を短縮することが出来るようになる。
これと同時的に、図11に示すように、吹き付けファン35および吸引ファン34a,34bが共にオンして回転する。これにより、吹き付けファン35が開口32aの上方近傍に位置する。すなわちフレーム212の上面212aの左端と反転ローラ対40との間の製版済みマスタ16に撓み16Cを形成する向きである上方から送風を行うと共に、吸引ファン34a,34bの回転により図において上から左右にかけて折り返す態様の空気流による吸引作用によって、製版済みのマスタ16が開口32aから垂れ下がるようにして撓み16Cが次第に大きくなるように形成させながら、また折り返し板32b,32cによって案内されながら撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内に順次折り返される態様で搬送されていく。こうして、撓みボックス32の撓みダクト33a,33b,33c内には製版済みのマスタ16が貯留されていく。
マスタ識別手段によって、マスタの特性が高剛性であることが分かっていて、ユーザが選択手段を用いて製版されたマスタの貯留をしないと指定した場合、マスタはマスタ貯留手段を介さずに前記印刷ドラムの外周面に巻装される。高剛性マスタに関して1枚目の製版の場合は、無条件でマスタ貯留手段を使用しないことに設定してもかまわない。複数原稿の製版の場合、直前の原稿による印刷が行われている最中に、マスタ貯留手段に新たな製版済みマスタを貯留するかどうか選択する選択手段を設けておくのがよい。この選択手段は前記の選択手段と兼用にすることもできる。
以下、詳しく説明する。
製版キー押下後、マスタを貯留する場合と同様に、排版作業が行われる。
製版動作前に、排版装置66では排版剥離ローラ67および排版ローラ68等の作動による排版動作が行なわれ、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ16が剥離され排版ボックス69内へ廃棄・排版されている。
排版動作終了後、版胴2は時計回りに回転して給版位置で停止する。
マスタ16をクランプし、版胴2は間欠回転し、製版済みのマスタを徐々に巻きつけていく。
以後はマスタ貯留時の印刷動作と同様になる。
このように、マスタ識別手段により識別されたマスタ種類に応じて、マスタの搬送方式を変更する構成を取っているので、そのマスタ仕様およびユーザ要望に合わせた搬送方式を取ることが可能になり条件によっては省電力化を図ることも可能になる。
しかも、マスタの特性に応じて貯留しなくとも問題のないマスタであれば、製版と平行して印刷ドラムへのマスタの巻装を行なう構成とすることにしたので、高剛度のマスタであれば通常時に対してファンの吹き付けおよび吸引作業が発生しない為、その分の電力消費を抑制することが可能となる。
2 版胴
15 製版装置
16 マスタ
22 サーマルヘッド
23 プラテンローラ
30 マスタ貯留手段
32 撓みボックス
33 撓みダクト
34 吸引ファン
35 吹き付けファン
120 制御装置
Claims (4)
- 主走査方向に配列された多数の発熱部を具備するサーマルヘッドに対して、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタをプラテンローラで押圧させた状態で、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により移動させながら画像信号に応じた印加エネルギを上記サーマルヘッドに供給し、上記印加エネルギによって上記発熱部を発熱させて上記熱可塑性樹脂フィルムを選択的に溶融穿孔して上記画像信号に応じた穿孔パターンを形成し、このマスタを印刷ドラムの外周面に巻装して上記印刷ドラムの内側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を印刷用紙上に印刷する孔版印刷装置において、
上記印加エネルギの可変範囲がそれぞれ異なる複数種類のマスタが使用可能であり、マスタの種類を識別できるマスタ識別手段を備え、該マスタ識別手段により識別されたマスタ種類に応じて上記可変範囲を設定し、上記可変範囲で任意に上記印加エネルギを調整する手段と、上記可変範囲を表示する表示手段とを有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記マスタ識別手段は、マスタに搭載された識別タグの読み取り手段、マスタの識別コードの入力手段、ユーザによるマスタ種別の選択手段のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
上記印加エネルギの調整を行うため上記サーマルヘッドへ電力を供給する通電パルス幅を変更するパルス幅可変手段を有し、上記可変範囲が上記通電パルス幅の可変範囲であることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
上記印加エネルギの調整を行うため上記サーマルヘッドへ供給する印加電圧を変更する電圧可変手段を有し、上記可変範囲が上記印加電圧の可変範囲であることを特徴とする孔版印刷装置。
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